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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01C
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01C
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01C
管理番号 1363341
審判番号 無効2018-800069  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-05-25 
確定日 2020-04-22 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第6025267号発明「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6025267号の明細書及び特許請求の範囲を令和元年11月25日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第6025267号の請求項1、3、4に係る発明についての特許を無効とする。 特許第6025267号の請求項2、5に係る発明についての審判請求を却下する。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1 本件特許第6025267号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成26年6月20日の出願であって、平成28年10月21日に特許権の設定登録がなされた(請求項の数5)。

2 本件特許について平成30年5月25日に株式会社ゼンリンから、本件特許を無効とすることを求める旨の無効審判が請求された。
以下に、本件審判の請求以後の経緯を整理して示す。

平成30年 5月25日 審判請求書及び甲第1ないし11号証の提出(請求人)
平成30年 8月31日 答弁書及び乙第1ないし5号証の提出(被請求人)
平成30年10月31日付 審理事項通知
平成30年11月22日付 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成30年11月27日付 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成30年12月11日付 口頭審理陳述要領書、甲第12号証の提出(請求人)
平成30年12月11日付 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成30年12月17日付 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成30年12月17日付 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成30年12月18日 口頭審理の実施
平成30年12月21日付 上申書、乙第6ないし13号証の提出(被請求人)
平成30年12月27日付 上申書(請求人)
平成31年 2月 8日付 無効理由通知
平成31年 3月12日 訂正請求書、意見書、乙第14、15号証の提出(被請求人)
令和 元年 5月13日付 訂正拒絶理由通知
令和 元年 6月 5日付 弁駁書(請求人)
令和 元年 6月17日 手続補正書、意見書(被請求人)
令和 元年 9月18日付 審決の予告
令和 元年11月25日 訂正請求書、上申書(被請求人)
令和 2年 1月 8日 弁駁書(請求人)

第2 被請求人の求める訂正について
1 訂正事項
被請求人が令和元年11月25日付の訂正請求書により求める訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6025267号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、以下の(1)ないし(5)のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、

「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、」

とあるのを、

「前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、」

に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3に、

「請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示し、
前記表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。」

とあるのを、

「請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。」

に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(5)訂正事項5
明細書の【0032】、【0033】、【0041】、【0053】、【0054】、【0056】、【0057】、【0059】、【0060】、【0062】、【0066】乃至【0068】、【0093】、【0098】、【0101】、【0109】乃至【0112】、【0117】、【0118】、【0122】、及び【0130】(以下、これらの段落をまとめて「明細書の段落【0032】等」という。)を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の表示情報生成部が「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」ものであったのを「緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」と訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件訂正前の請求項3には、「表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」することが記載されており、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
さらに、上記のように訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2及び4について
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであり、訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の請求項4を削除するものであるから、いずれも特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合すると共に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
本件訂正の前後のいずれも、特許請求の範囲の請求項3は、請求項1の記載を引用する形式で記載された請求項である。そして、本件訂正前の請求項3に係る発明の特定事項であった「表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」することは、訂正事項1による訂正により、本件訂正後の請求項1に係る発明の発明特定事項となった。訂正事項3による訂正は、この発明特定事項が、請求項3に係る発明において、重複しないようにするものであり、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、さらに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。また、本件訂正後の請求項3が引用する請求項1に係る発明において、上記「表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」することが特定されているから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項5について
訂正事項5により削除される本件訂正前の明細書の段落【0032】等の記載は、次の通りである。

「【0032】
また、上記発明において、住所番地に関連する付加情報を、地図データに重ね合わせるようにして、建物の座標に対応する位置に表示させる付加情報追加部を更に有することが好ましい。この場合には、付加情報を地図データに重ね合わせて表示するので、地域に多岐多様にわたって顕在的、潜在的に分布する付加情報を、行く先々において現在地点から眺望できるように隈なく提供することができる。更に、上記発明において、付加情報は、住所番地に関連付けられた防災情報又は観光情報であることを特徴とすることが好ましい。この場合には、地域に多岐多様にわたって顕在的、潜在的に分布する防災・リスク情報や観光資源等を、自由にかつ効率的、体系的に探索できる。
【0033】
上記発明において、住所番地をキーワードとしてインターネット上を検索して、当該住所番地に関連するWeb情報を付加情報として取得する情報検索部と、情報検索部が取得したWeb情報から所定の文字列を抽出し、抽出された文字列の出現頻度からそのWeb情報の属性を決定し、抽出された属性及び住所番地に関連付けて当該Web情報を付加情報として分類して蓄積する情報分類部とを更に備えることが好ましい。この場合には、Web情報を付加情報として取得しているので、地図上に表示されている各種の付加情報をより多く抽出してユーザーに知らせることができる。この際、本発明では、Web情報から所定の文字列を抽出し、抽出された文字列の出現頻度からそのWeb情報の属性を決定し、抽出された属性及び住所番地に関連付けて当該Web情報を付加情報として分類して蓄積しているので、多くの情報の中から、ユーザーが知りたい情報のみを地図データ上に表示させることができ、利便性を向上させることができる。」

「【0041】
また、地図データ上には、住所番地に関連付けられた防災情報又は観光情報や、インターネット上で検索された住所番地に関連するWeb情報等などの付加情報191が表示可能となっている。この付加情報とは、地域に多岐多様にわたって顕在的、潜在的に分布する防災・リスク情報や観光情報など種々の情報である。地図データでは、この付加情報191を地図データ上に重ね合わせるようにして、建物の座標に対応する位置に表示させられている。」

「【0053】
また、観光に関する情報としては、観光スポットや文化財などの営業時間や、時間帯毎の混雑状況など観光スポットや文化財自体に関する情報に加え、当該観光スポットや文化財などの周囲の店舗(飲食店、お土産屋など)の営業時間や評価、混雑状況などが含まれる。更に、SNSシステムに関する情報としては、例えば、飲食店や民宿などの評価や、おすすめの商品などが含まれる。これらの情報は、住所番地又は座標が付加されているとともに、投稿者を特定するユーザーIDが付加される。
【0054】
このユーザー提供情報の住所番地又は座標は、例えば、投稿された画像に座標データが含まれていた場合には、その座標データから位置を特定し、また、投稿された時点に座標データが取得されていた場合には、その座標データから位置を特定する。更に、コメント内に住所に関連するキーワード(例えば、○○駅など)が含まれている場合にはそのキーワードから位置を特定する。そして、ユーザー提供情報蓄積部202では、ユーザー端末1から、当該防災や観光に関する情報や、当該場所の住所データ(住所番地)、座標データ、及び情報を提供したユーザーを識別する識別情報であるユーザーIDを取得して、これらの情報を蓄積している。」

「【0056】
情報検索部211は、各蓄積部内の情報を検索キーワードとして検索して、検索キーワードに関連するWeb情報、又はユーザー提供情報を付加情報として取得するモジュールである。本実施形態において、情報検索部211は、地図データ蓄積部203の地図データ内に含まれる住所番地からWeb情報を取得したり、ユーザー提供情報蓄積部202内のユーザー提供情報を検索したりする。
【0057】
地図データ蓄積部203の地図データ内に含まれる住所番地からWeb情報を取得する場合には、地図データ上の住所番地を検索キーワードとしてインターネット上を検索して、当該住所番地に関連するWeb情報を付加情報として取得する。これにより、例えば、その住所には、避難所があるのか、観光スポットがあるのか、ホテルなどの宿泊施設があるのか、病院があるのかが明確となる。」

「【0059】
一方、ユーザー提供情報蓄積部202から所定の情報を検索する場合には、提供されたコメントの文字列や、ユーザー提供情報に含まれる住所位置、又は座標を抽出する。そして、検索されたWeb情報又はユーザー提供情報は、キーワード抽出部212に入力される。なお、情報検索部211において、地図データ蓄積部203とユーザー提供情報蓄積部202との検索順序は任意であるが、初めに地図データ内に含まれる住所番地からWeb情報を取得し、その後、ユーザー提供情報を検索することが好ましい。これにより、例えば、Web検索によってその位置が避難場所であることが判明した後、ユーザー提供情報によって、その避難場所についてのコメントなどから詳細な情報を紐付けすることができる。
【0060】
キーワード抽出部212は、情報検索部211によって取得した付加情報(Web情報、又はユーザー提供情報)から、キーワードとなる情報を抽出するモジュールである。キーワードが文字列である場合には、例えば、コンテンツや提供情報に含まれる文章から形態素解析によってキーワードを抽出すると共に、TF-IDF(Term Frequency - Inverse Document Frequency:単語の出現頻度-逆出現頻度)によって特徴的な単語を、コンテンツキーワードとして抽出する。なお、この抽出するキーワードとしては、住所番地であってもよく、また、避難施設名、観光スポット名、店舗名、及び上記の各名称とともに記載されたコメント(評価)などであってもよい。また、例えば、画像データを用いる場合には、画像データに含まれた座標データをキーワードとして抽出してもよい。なお、キーワード抽出の手法は、上述した手法に限定するものではなく種々の技術を用いることができる。」

「【0062】
情報分類部213は、情報検索部211が取得したWeb情報、又はユーザー提供情報から所定の文字列を抽出し、抽出された文字列の出現頻度からそのWeb情報の属性を決定し、抽出された属性及び住所番地に関連付けて当該Web情報を付加情報として分類して蓄積するモジュールである。本実施形態では、キーワード抽出部212によって抽出された文字列(キーワード)の出現頻度からWeb情報の属性を決定する。例えば、「避難所」という文字列が多く含まれていれば、当該キーワードを防災関連の属性に分類し、例えば、「ホテル」という文字列が多く含まれていれば、当該キーワードを観光・民宿関連の属性に分類する。」

「【0066】
なお、本実施形態において、情報検索部211では、キーワード蓄積部204に記録されたキーワードを用いて、再度インターネット5上やユーザー提供情報蓄積部202から検索する機能を有しており、再検索された情報を付加情報として取得する。例えば、住所番地から災害時の避難場所が検索されて避難場所名がキーワードとして抽出された場合には、再度、その避難場所名を検索キーワードとして再度検索することで、その避難場所に関するユーザーの投稿(例えば、倒壊の危険のある建物であるコメントや、水没しやすい道路箇所、浸水時に側溝に落ちやすい場所などのコメント、火災旋風の危険のある区域などのコメント)を付加情報として追加することができる。
【0067】
更に、例えば、住所番地から観光スポットが検索された場合、再度、観光スポットの名称を検索キーワードとして再度検索することで、その観光スポット付近の飲食店やお土産屋、又は良好な撮影スポットなどの情報がある場合には、その情報を観光スポットの情報に追加することができる。このように、本実施形態では、抽出されるキーワードを再検索することで、そのキーワードから派生する各種のWeb情報やユーザー提供情報を取得することができるので、市民自らが、自分の足で現地を親しく探索することで初めて見出すことのできる情報についても、共通の情報として追加することができる。
【0068】
データ配信部215は、合成された地図データをユーザー端末1に配信するモジュールである。本実施形態では、地図データ蓄積部203と付加情報蓄積部205とに記憶された各データを住所番地に関連付けた状態で配信する。」

「【0093】
付加情報追加部184は、住所番地に関連する付加情報を、地図データに重ね合わせるようにして、建物の座標に対応する位置に表示させるモジュールである。本実施形態では、地図情報取得部185で抽出された地図データ内の住所番地又は座標データに基づいて、付加情報蓄積部15a内における付加情報を抽出するようになっている。なお、付加情報追加部184は、ユーザー操作によって付加情報の属性が選択されている場合は、当該選択された属性情報を有する付加情報のみを抽出するようになっている。」

「【0098】
地図データを取得した後、地図解析部183は、地図データ内に含まれる住所データを付加情報追加部184に送信するとともに、付加情報追加部184を制御して、付加情報蓄積部15aから、住所データ内に含まれる住所番地に関連する付加情報を抽出し、地図データに重ね合わせるようにして、建物の座標に対応する位置に表示させる。なお、分類選択部187から選択された属性情報を取得している場合には、当該属性情報内の付加情報のみ抽出するように制御する。抽出した地図データ及び付加情報は、表示情報生成部182に送信される。」

「【0101】
例えば、図7(a)に示すように、地図上に付加情報を表示させる付加情報表示領域を貼り付けるように表示させ、当該領域内に付加情報の詳細を表示させてもよい。この場合、付加情報表示領域内に表示される情報は、表示されている地図上の住所番地を含む付加情報である。また、地図上には、当該付加情報の位置を示すアイコンが表示される。」

「【0109】
その後、情報検索部211では、各蓄積部に蓄積された情報から、所定の文字列を検索キーワードとして検索して、付加情報を取得する(S103)。ここで、情報検索部211は、地図データ蓄積部203の地図データ内に含まれる住所番地からWeb情報を取得したり、ユーザー提供情報蓄積部202内のユーザー提供情報を検索したりする。
【0110】
地図データ蓄積部203の地図データ内に含まれる住所番地からWeb情報を取得する場合、情報検索部211は、地図データ蓄積部203の地図データ内に含まれる住所番地を検索キーワードとしてインターネット上を検索して、当該住所番地に関連するWeb情報を付加情報として取得する。その後、検索されたWeb情報は、キーワード抽出部212に送信される。一方、ユーザー提供情報蓄積部202内のユーザー提供情報を検索する場合、情報検索部211では、蓄積部202内のユーザー提供情報に含まれる、コメントの文字列、住所位置、又は座標を取得して、キーワード抽出部212に送信する。
【0111】
キーワード抽出部212では、情報検索部211が取得したWeb情報、又はユーザー提供情報内からキーワードとなる文字列を抽出して(S104)、当該キーワードを住所番地及び座標データとともにキーワード蓄積部204に蓄積する。その後、情報分類部213では、抽出されたキーワードとなる文字列の出現頻度からそのWeb情報、又はユーザー提供情報の属性を決定するとともに、抽出された属性及び住所番地に関連付けて当該Web情報、又はユーザー提供情報を付加情報として分類し(S105)、分類された付加情報を付加情報蓄積部205に蓄積する(S106)。
【0112】
その後、データ合成部214では、付加情報蓄積部205に新たな付加情報が蓄積されると、地図データ蓄積部203に含まれる住所番地又は座標と、付加情報蓄積部205内の住所番地又は座標とに基づいて、両蓄積部のデータを合成(関連付け)する(S107)。その後、情報検索部211では、キーワード蓄積部204に記録されたキーワードを用いて、再度、Web情報、又はユーザー提供情報を検索するかを判断し(S108)、再検索する場合には(S108における“Y”)、ステップS103?ステップS107までの処理を繰り返し行う。再検索が所定の検索範囲を超えて終了した後には(S108における“N”)、データ配信処理を行う。」

「【0117】
その後、地図解析部183では、ユーザー操作によって分類選択があったか否かを判断する(S206)。分類選択がない場合には(S206における“N”)、現在位置を含む番地入の地図データを表示させる(S210)。一方、分類選択があった場合には(S206における“Y”)、分類選択部187から選択された属性情報を取得し、付加情報追加部184を制御して選択された属性を含む付加情報を取得する。具体的に付加情報追加部184では、地図情報取得部185で抽出された地図データ内の住所番地に基づいて、付加情報蓄積部15a内における付加情報を検索するとともに(S208)、当該付加情報内の属性を参照して、選択された属性情報と合致する付加情報を抽出する(S209)。
【0118】
そして、付加情報追加部184は、地図解析部183の制御により、住所番地に関連する付加情報を、地図データに重ね合わせるようにして(S209)、表示情報生成部182では、地図データ及び付加情報に基づいて、表示部13aの画面上に、番地入の地図データを表示するとともに、付加情報を建物の座標に対応する位置に表示させる(S210)。」

「【0122】
特に、本実施形態では、付加情報追加部184では、住所番地に関連する付加情報(防災情報又は観光情報等)を、地図データに重ね合わせるようにして、建物の座標に対応する位置に表示させているので、その結果、地域の避難場所や標高、危険情報、観光スポット、イベントなどの地理位置が、既知の情報として知らなくても、また、複数の場合でも、秩序立って、同時併行的に現地で見つけ出すことが可能となる。これまでのように、途中で道に迷ったり、労多くして功甚だ少ない疲労感のために、必要とされる達成の1/10も行かないうちに諦めたり、アクセスを放棄することがなくなる。」

「【0130】
更に、本実施形態では、情報検索部211において、住所番地をキーワードとしてインターネット上を検索して、当該住所番地に関連するWeb情報を付加情報として取得しているので、地図上に表示されている各種の付加情報をより多く抽出してユーザーに知らせることができる。この際、本実施形態では、情報検索部211が取得したWeb情報から所定の文字列を抽出し、抽出された文字列の出現頻度からそのWeb情報の属性を決定し、抽出された属性及び住所番地に関連付けて当該Web情報を付加情報として分類して蓄積しているので、多くの情報の中から、ユーザーが知りたい情報のみを地図データ上に表示させることができ、利便性を向上させることができる。」

上記明細書の段落【0032】等の記載からみて、これらの段落には、本件訂正前の請求項2及び請求項5において特定されている、「付加情報」について記載されているといえる。そして、本件訂正により、請求項2及び請求項5は、削除されたから、訂正事項5による訂正は、請求項2及び請求項5を削除したことに伴って、関連する明細書の記載を削除するものであり、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項5による訂正は、明細書の段落【0032】等を削除するものであるから、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
請求人は、令和2年1月8日付の弁駁書において、本件訂正の訂正事項5に関し、本件訂正後の明細書の「段落【0113】の『合成された地図データ蓄積部203内のデータ』の『合成された』、及び、『なお,この配信するタイミングとしては,新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミングでもよく』の『新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミング』には対応する記載が存在」せず、訂正後の本件特許明細書の「段落【0113】の記載は、明瞭でない記載である」から、訂正事項5による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正とはいえない旨を主張している(令和2年1月8日付弁駁書5ページ9行ないし6ページ4行。行数に空白行は含まない(以下同様とする。)。)
しかしながら、上記のように訂正事項5による訂正は、訂正事項2及び訂正事項4により削除された請求項2及び請求項5に関連する明細書の記載を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、請求人の明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正とはいえない旨の主張は採用することができない。
また、請求人は、本件訂正後の明細書の段落【0113】の記載が明瞭でない記載である旨主張することから、この点について、念のため検討すると、訂正事項5により削除された段落【0109】ないし【0112】の前後の段落【0108】及び【0113】の記載は、以下の通りである。

「【0108】
(1)地図データ作成処理
先ず、地図データ作成処理について説明する。図8に示すように、管理サーバ2では、住所番地入の地図データを取得して、この情報を地図データ蓄積部203に蓄積する(S101)。なお、本実施形態では、予め住所番地入の地図データを取得したが、例えば、行政区画のみが表示された地図データを取得するとともに、建物等のポリゴンを変換したり、座標(緯度及び経度)や住所番地を地図データに紐付けて管理サーバ2において作成してもよい。また、管理サーバ2では、通信インターフェース201を介して、ユーザー端末1から提供されたユーザー提供情報を取得する。制御部210では、この情報をユーザー提供情報蓄積部202に蓄積する(S102)。」

「【0113】
データ配信部215では、合成された地図データ蓄積部203内のデータと、付加情報蓄積部205内のデータとを通信ネットワーク5を介して、各ユーザー端末1に配信する(S108)。なお、この配信するタイミングとしては、新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミングでもよく、また、所定時間毎に行われてもよい。」

また、本件特許の【図8】には、次の図が記載されている。


明細書の段落【0108】の記載から、管理サーバ2では、地図データ蓄積部203に住所番地入の地図データが蓄積されていることがわかる。そして、段落【0108】に「図8に示すように」と記載されていることから、【図8】の記載をみると、地図データ蓄積部203のデータは、付加情報蓄積部205のデータとデータ合成され(S107)、再探索の判断を経て(S108)、地図データが配信される(S109)ことがわかる。この配信される地図データは、明細書の段落【0108】の記載とあわせてみると、管理サーバ2が取得して、地図データ蓄積部203に蓄積され、その後、付加情報蓄積部に蓄積されていた付加情報とデータ合成された地図データであると解される。そうすると、明細書の段落【0113】の「合成された地図データ蓄積部203内のデータと、付加情報蓄積部205内のデータ」とは、【図8】のS107において、合成された地図データ蓄積部203の地図データと付加情報蓄積部のデータであると理解でき、また明細書の段落【0113】の「新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミング」とは、【図8】のS107において、地図データに新たな付加情報が関連づけられたタイミングであると理解できる。
したがって、請求人の主張するように、本件訂正後の段落【0113】の「合成された」及び「新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミング」の記載が明瞭でないとはいえない。

3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2ないし5は、本件訂正により記載が訂正された請求項1を引用するものであるから、請求項1ないし5は、一群の請求項である。そして、本件訂正は、請求項1ないし5を訂正するものであるから、一群の請求項ごとに訂正を請求するものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。
また、訂正事項5に係る本件特許明細書の訂正に係る請求項は、請求項2及び請求項5であり、一群の請求項の全てについて行われたものである。よって、訂正事項5に係る本件訂正は、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第4項に規定に適合する。

4 本件訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を令和元年11月25日提出の訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項[1-5]について、訂正することを認める。

第3 本件発明
上記のとおり、本件訂正を認めるので、本件特許の請求項1、3、4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明3」、「本件発明4」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、令和元年11月25日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、請求項3、請求項4に記載された事項によって特定される以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、
を備え、
前記地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。」

「【請求項3】
請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。」

「【請求項4】
請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと、
前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部と
を更に備えることを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。」

第4 請求人の主張の概要
1 請求の趣旨
請求人は、審判請求書において、「特許第6025267号発明の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めている。

2 請求人の証拠方法
請求人は、審判請求書に添付して以下の甲第1号証ないし甲第11号証(以下、「甲1」ないし「甲11」という。また、他の甲号証及び乙号証についても同様とする。)を提出し、さらに、平成30年12月11日に甲12を提出している。

甲1 :特開2004-133169号公報
甲2 :特開平9-281889号公報
甲3 :特開2006-146113号公報
甲4 :特開2006-145253号公報
甲5 :特開2009-14486号公報
甲6 :特開2003-195744号公報
甲7 :特開2010-244407号公報
甲8 :特開平9-304096号公報
甲9 :特開2000-230835号公報
甲10:特開2009-169470号公報
甲11:特開2000-55687号公報
甲12:戸塚区(南)明細地図、昭和50年6月5日、有限会社経済地図社

3 請求人が主張する無効理由
請求人が主張する無効理由は、次のとおりである。なお、口頭審理において、請求人の平成30年12月11日付け口頭審理陳述要領書15ページ7行ないし同ページ11行における主張は、審判請求書に記載していない請求の理由を追加するものであるから、請求の理由の要旨を変更する補正というべきものであるとの理由で、却下された。また、本件訂正により削除された請求項2及び請求項5に係る発明に関する主張は省略した。

(1)無効理由1
本件特許の請求項1、3、4は、明確ではない記載を多数含み、その結果として、特許を受けようとする発明が明確ではないから、本件特許に係る出願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、本件特許は無効とされるべきである。

ア.請求項1に記載された「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」について(審判請求書36ページ下から8行ないし37ページ21行)
「住居番号」は、住居表示に関する法律第2条第1項に規定され、市町村により付与される(同法第3条第2項)もので住居表示実施地区の建物のみ存在する。「地番」は、不動産登記法第2条第17号、同法第35条により規定され、一筆の土地ごとに付与される。
「地番」、「住居番号」の意味について法令上の意味にしたがった場合は、住居表示未実施地区の住宅にあてはめた場合には(「住居番号」が存在しないから、)存在しないもの(住居番号)を表示すると解釈すべきものとなる。また、「地番」、「住居番号」の意味について明細書中の記載にしたがった場合は、「住居番号」の概念に、住居表示未実施地区における「地番」が含まれているから、住居表示未実施地区において「地番」を二回表示するという意味になるが、そのような表示を行う技術的意味が明らかではない。
よって、「住居番号」、「地番」の意味について、法令上の意味にしたがった場合、明細書中の記載にしたがった場合のいずれにおいても、請求項1に係る発明がどのような表示をするのか明確でない。

イ.請求項1に記載された「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」について(審判請求書37ページ下から12行ないし38ページ1行)
「地図データ上の」が「交差点又は道路」を修飾するのか「建物」を修飾するのか明らかでないから、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」が何であるか明確ではない。

ウ.請求項1に記載された「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに」と「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」について(審判請求書38ページ2行ないし49ページ10行)
明細書中には、「住所番地」の意味を定義する記載は存在せず、辞書からはみいだせなかったから、「住所」と「番地」を組み合わせたものとして解釈すべきで、「住所」と同じ意味になる。「住居番号」、「地番」は、「住所番地」とは、異なる概念であるから、最終的にどのような表示がなされるのか明らかではない。
上記記載における「重点的に」、「間引いて」が何を比較の基準としているのか、また、その比較の基準に対してどの程度相違している場合に「重点的に」「間引いて」となるのかという程度については、明らかでない。
建築基準法第43条には、都市計画区域と準都市計画区域内の建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない「接道義務」が規定されている。都市計画区域に含まれ、且つ、「住宅密集地」に存在する建物は、その敷地が道路に二メートル以上接しなければならないところ、このような建物の場合には、「道路沿いの建物」と「住宅密集地」という条件の双方が成立することになる。このような、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」と「住宅密集地」が同時に成立したときに、本件発明1では、どのような表示がなされるのか明らかでなく、明確でない。また、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」と「住宅密集地」の双方が成立しない建物について、どのような表示をするのか明らかではない。

エ.請求項3に記載された「ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく」について(審判請求書52ページ19行ないし同ページ23行)
請求項3に記載された「ナビシステム」という用語は、どのような技術概念を有し、また類似する「ナビゲーションシステム」という用語と同じ概念か違う概念を指しているのか明らかではない。

オ.請求項3に記載された「緊急警報が入った時点で…地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する…地図を…自動表示する」について(審判請求書52ページ24行ないし53ページ15行)
請求項3に係る発明は、「緊急警報が入った」場合には、「住居番号」、「地番」を「間引く」という処理をせず、すべてを表示するのか、そうではないのか明確ではない。

(2)無効理由2
本件特許の請求項1、3、4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許に係る出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、本件特許は無効とされるべきである。

ア.請求項1、3、4に係る発明において、一筆の土地に複数の建物が存在する場合(審判請求書56ページ4行ないし同ページ16行)
本件発明1、3、4は、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」(本件明細書段落【0036】)という効果を奏するものであるが、住居表示未実施地区において、一筆の土地に2つ以上の建物がある場合には、いずれの建物についても同一の「地番を表示」が表示されることになる。その場合には、「…建物番地と照合することによって容易に正しい位置の特定が可能」になるとはいえない。よって、本件発明1は、明細書に記載されたものではない。

イ.請求項1、3、4に係る発明の住所番地を間引いて表示する機能について(審判請求書56ページ17行ないし同ページ29行)
本件発明1、3、4は、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」(本件明細書段落【0036】)という効果を奏するものであるが、本件発明1は「住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ものでもあって、住宅密集地においては、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能」になるとはいえない。よって、本件発明1は、明細書に記載されたものではない。

(3)無効理由3
この特許に係る出願の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令で定めるところにより、本件特許の請求項1、3、4に係る発明を、本件特許の請求項1、3、4に係る発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、本件特許に係る出願は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、本件特許は無効とされるべきである。

ア.請求項1、3、4に係る発明の「ナビゲーションシステム」について(審判請求書60ページ4行ないし同ページ26行)
本件発明1、3、4は、「ナビゲーションシステム」である以上、その「ナビゲーションシステムに表示される地図は拡大縮小可能なものと考えられる。拡大縮小後に表示される地図においても表示される「住居番号」、「地番」、「住所番地」が視認可能であり、「住宅」、「建物」との対応関係が明らかになっている必要性がある。しかし、明細書には、このような点を実現するための構成についての記載は存在しない。
したがって、本件特許に係る明細書は、本件発明1、3、4について当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。

イ.本件発明4の「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」について(審判請求書61ページ末行ないし63ページ下から3行)
本件発明4の「現在位置修正部」は、「現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求する」ことに加え、更に「表示されている地図データの補正を実行する」との処理を行うものであるが、「現在位置修正部」が行う「現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求する」との処理で誤差は除去されたにもかかわらず、この「現在位置修正部」が更に「表示されている地図データの補正を実行する」を行う必要があって、更に行った結果として、どのような技術的効果を奏するのか本件特許明細書の記載からは明らかではない。

(4)無効理由4
本件特許の請求項1、3、4に係る発明は、甲1ないし11に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とされるべきである(審判請求書109ページ2行ないし121ページ21行)。

ア.本件発明1について
本件発明1と甲1に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)とは、次の相違点1ないし3で相違する。
[相違点1]
本件発明1の「位置」は「現在位置」であるのに対し、甲1発明の「位置」は「現在位置」であるとは限らず、その結果として、本件発明1は「ナビゲーションシステム」であるのに対し、甲1発明は「地図表示装置」にとどまる点。
[相違点2]
本件発明1の「表示情報生成部」は「住居表示未実施地区における地番を表示」するのに対し、甲1発明の「表示制御装置22」は「住居表示未実施地区」に対して異なる処理を行わない点。
[相違点3]
本件発明1の「表示情報生成部」は「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」のに対し、甲1発明の「表示制御装置22」はそのような表示を行わない点。

[相違点1]について検討すると、甲2に記載されている発明を甲1発明に適用し、甲1発明を「ナビゲーションシステム」とし、相違点1にかかる本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になしえたことにすぎない。
[相違点2]について検討すると、住居表示に関する法律第6条の規定、または甲3に記載された発明を甲1発明に適用し、本件発明1のように「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」としたことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。
[相違点3]について検討すると、甲1発明に甲4に記載された発明を適用し、本件発明1のように「住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。また、甲1発明に甲5に記載された発明、甲6に記載された発明を適用し、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する」ようにしたことも当業者が容易になしえたことに過ぎない。

イ.本件発明3について
本件発明3について検討すると、本件発明3と甲1発明とは、[相違点1]ないし[相違点3]に加え、次の[相違点4]と[相違点5]でも相違する。
[相違点4]
本件発明3の「表示情報生成部」は「住居表示未実施地区では、地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居表示未実施地区における地番を表示する」のに対し、甲1発明の「表示制御装置22」は住居表示未実施地区に対して異なる処理を行わない点。
[相違点5]
本件発明3の「表示情報生成部」は「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」のに対し、甲1発明の「表示制御装置22」はそのような処理を行わない点。

[相違点4]について検討すると、この相違点4は、上記相違点2と実質同じものである。したがって、甲3に記載された発明を甲1発明に適用することにより、「表示情報生成部」を「住居表示未実施地区では、地番の社会座業形を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居表示未実施地区における地番を表示する」としたことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。
[相違点5]について検討すると、甲7に記載された発明を甲1発明に適用し、本件発明3のように「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」ように構成したことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。

ウ.本件発明4について
本件発明4について検討すると、本件発明4と甲1発明とは、[相違点1]ないし[相違点3]に加え、次の[相違点6]と[相違点7]でも相違する。
[相違点6]
本件発明4は「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェース」を有するの対し、甲1発明はそのような「入力インターフェース」を有さない点。
[相違点7]
本件発明4は、「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」を有するのに対し、甲1発明はそのような「現在位置修正部」を有さない点。

[相違点6]について検討すると、甲1発明に甲3に記載された発明、甲8に記載された発明を適用することによって、本件発明4のように「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェース」を設けた点は当業者が容易になしえたことにすぎない。
[相違点7]について検討すると、甲8に記載された発明、甲9に記載された発明を甲1発明に適用し、本件発明4のように「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」を設けることは当業者が容易になしえたことにすぎない。

(5)無効理由5
本件特許の請求項1、3、4に係る発明は、甲1ないし11に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とされるべきである(審判請求書130ページ1行ないし140ページ25行)。

ア.本件発明1について
本件発明1と甲3に記載された発明(以下、「甲3発明」という。)とは、「緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示した地図データ上の住宅に、住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するようにしたサーベイ(眺望)型地図。」の点で一致し、次の[相違点8]と[相違点9]で相違する。
[相違点8]
本件発明1は、「現在位置を取得する現在位置取得部」及び「前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部」を備えるのに対し、甲3発明は当該構成を備えず、その結果として、本件発明1は「ナビゲーションシステム」であるのに対し、甲3発明は「電子的記録媒体に記録された地図」にとどまる点。
[相違点9]
本件発明1の「表示情報生成部」は「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」のに対し、甲3発明の「電子的記録媒体に記録された地図」はそのような表示が行われたものではない点。

[相違点8]について検討すると、甲3発明の「電子的記録媒体に記録された地図」を甲2に記載された発明の「ナビゲーション装置」に表示される「三次元地図」として採用することによって、本件発明1のような「ナビゲーションシステム」としたことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。
[相違点9」について検討すると、甲3発明に甲4に記載された発明を適用し、「住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことは、当業者が容易になしえたことである。さらに、甲3発明に甲5、甲6に記載された発明を適用し、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する」ようにしたことも当業者が容易になしえたことに過ぎない。

イ.本件発明3について
本件発明3と甲3発明とは、[相違点8]と[相違点9]に加えて、次の[相違点10]でも相違する。
[相違点10]
本件発明3の「表示情報生成部」は「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」のに対し、甲3発明はそのような「表示情報生成部」を有していない点。

[相違点10]について検討すると、甲7に記載された発明を甲3発明と甲2に記載された発明の組み合わせである「ナビゲーションシステム」に適用し、「表示情報生成部」が「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」ように構成したことは、当業者が容易になしえたことにすぎない。

ウ.本件発明4について
本件発明4と甲3発明とは、[相違点8]と[相違点9]に加えて、次の[相違点11]、[相違点12]でも相違する。
[相違点11]
本件発明4は、「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェース」を有するのに対し、甲3発明はそのような「入力インターフェース」を有さない点。
[相違点12]
本件発明4は「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」を有するのに対し、甲3発明はそのような「現在位置修正部」を有さない点。

[相違点11]について検討すると、[相違点6]と同じ理由から、甲3発明と甲2に記載された発明の組み合わせである「ナビゲーションシステム」に甲8に記載された発明を適用することで、「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェース」を設けることは当業者が容易になしえたことにすぎない。
次に[相違点12]について検討すると、「相違点7]と同じ理由から、甲3発明と甲2に記載された発明の組み合わせである「ナビゲーションシステム」に、甲8に記載された発明、甲9に記載された発明を適用し、「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」を設けることは当業者が容易になしえたことにすぎない。

第5 当審で通知した無効理由の概要
平成31年2月8日付け無効理由通知書により当審が通知した無効理由の概要は以下のとおりである。

「本件の次の請求項に係る特許は、合議の結果、以下の理由によって無効とすべきものです。
理 由
1.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(実施可能要件)、理由2(サポート要件)、理由3(明確性)について
・請求項 1-5
1.請求項1の「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」について

(1)「住居番号」、「地番」の定義が不明である。通常の意味(法令上の意味)か、それ以外の意味か。
「住所番地」は、一般的な用語ではなく、その定義が不明である。また、「住居番号」、「地番」と「住所番地」との異同も不明である。
……

(2)「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」とは、地図データ上の住宅の「全て」に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するものであると解される。
「地図データ」に関し、本件の図10(a)、(b)の記載、及び、通常、ナビゲーションシステムの地図は拡大縮小表示が可能である点を考慮すると、「地図データ」も拡大縮小表示可能なものであるといえる。また、通常、縮尺等の変更により表示されていた住宅が表示されなくなっても、当該住宅のデータは地図データ上には削除されることなく記憶されていることから、「地図データ」は、その拡大縮小にかかわらず、住宅のデータを記憶していると解される。
してみると、地図データ上の住宅の「全て」に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示した際には、小縮尺表示の場合(千代田区全体を表示している場合等)に住居番号又は地番が無数に表示され、住居番号又は地番の認識が困難となるので、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」との本件発明の課題を解決できない。
なお、仮に、「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」が、地図データ上の住宅の「全て」に住居番号又は地番を表示しないものを含むならば、請求項1はナビゲーションシステムの発明であることから、システムがいずれの住居番号又は地番を表示するか否かを判断するための判断基準を設ける必要があるが、発明の詳細な説明には、どのような判断基準に基づき、地図データ上の住宅に住居番号又は地番を表示するか記載も示唆もされておらず、住居番号又は地番の表示をどのように実施しているか当業者が理解できない。

(3)「前記表示情報生成部は、・・・地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」について

(ア)「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」について、「交差点又は道路沿い」の定義(「道路」の定義)が明確でなく、また、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」とはどのような建物を特定しているか不明である。
……

(イ)「住宅密集地」について、一般的な定義があるとはいえず、その意味(判断基準)が不明であり、どのように住宅が集中すれば住宅密集地となるのか不明である。
例えば、30m^(2)程度の敷地に建てられた住宅が集まった地域は「住宅密集地」であると解されるが、1000坪の敷地に建てられた住宅が集まった地域も「住宅密集地」であるといえるのか不明である。
……

(ウ)「重点的」、「間引いて」について
(a)請求項1はナビゲーションシステムの発明であって、システムが「重点的」又は「間引いて」の表示を行っているが、システムが「重点的」又は「間引いて」の表示を行うために必要となる「重点的」、「間引いて」を判断するための入力パラメータ及び判断基準(演算手段)、「重点的」、「間引いて」の比較対象、「重点的」、「間引いて」表示した際の住所番地の表示割合、のいずれも明確でなく、「重点的」、「間引いて」の定義が不明である。
(b)「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」であって「住宅密集地」である場合(住宅密集地の全ての住宅が道路沿いにある場合等)には、「重点的に」住所番地を表示しながら住所番地を「間引いて」表示することとなることが、「重点的」、「間引いて」の定義が明確でなく、住所番地がどのように表示されるのか不明である。
(c)「表示情報生成部」が「重点的に」又は「間引いて」住所番地を表示することは、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。
……

(エ)ナビゲーションシステムが「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」を実施するためには、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」及び「住宅密集地」を一義的に特定でき、「重点的」及び「間引いて」の定義が明確であって、且つ、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」及び「住宅密集地」の条件が共に成立する場合に、住所番地がどのように表示されるのかが明らかにされる必要がある。
しかしながら、上記(ア)?(ウ)に記載したように、本件明細書の記載等を参酌しても、これらの点は明らかでない。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

(オ)上記(ア)?(ウ)に記載したように、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」及び「住宅密集地」とはどのような建物を特定しているのか明らかでなく、「重点的」及び「間引いて」の定義も不明であることから、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」とは住所番地をどのように表示することか不明である。

(4)「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」について、「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」は異なる単語であるから異なるものであり、当該記載は、地図データ上の建物である住宅に「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」を表示することに加えて、「住所番地」も表示するものを含んでいるが、地図データ上の住宅に「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」の両方を表示することは、本件の明細書等には記載も示唆もされていない。また、本件明細書等の記載を参酌しても、地図データ上の住宅に「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」の両方をどの様に表示するのか不明である。
……

3.請求項4の「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」について

(1)「表示されている地図データの補正」とは、地図データ自体を補正することか、現在位置の修正に伴い表示される地図を変更(補正)することか、それ以外の意味か不明である。

(2)ユーザーが選択した「住所番地」を現在位置として修正していることから、実際の現在位置と修正された現在位置との間で位置誤差が生じることになるが、この誤差が修正されることは記載も示唆もされていないから(なお、発明の詳細な説明にも記載も示唆もされていない)、「複雑に入り組んだ細道」(【0011】)や「路地が10メートル間隔で複数あったりする場合」(【0026】)においても現在位置の把握という本願発明の課題を解決できるとは認められない。」

第6 被請求人の主張の概要
1 答弁の趣旨
被請求人は、答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。

2 被請求人の証拠方法
被請求人は、答弁書に添付して以下の乙1ないし乙5を提出し、さらに、平成30年12月21日に乙6ないし乙13を提出し、平成31年3月12日に乙14、乙15を提出している。

乙1 :ルートマップ型からサーヴェイマップ型へのイメージマップの変容について、1980年、谷直樹
乙2 :ユーザとシチュエーションに応じたターゲティング型地図ナビゲーションシステムの開発、2015年3月6日、高田百合奈、渡邉英徳
乙3 :琉球新報記事、2017年11月15日、琉球新報
乙4 :平成30年度九州地方発明表彰に係る受賞者一覧の原稿作成について、2018年8月23日、公益社団法人発明協会発明奨励グループ
乙5 :平成30年度地方発明表彰 調査表、2018年8月、西石垣 見治
乙6 :平成30年度地方発明表彰募集要項、2018年、公益社団法人発明協会
乙7 :平成30年度九州地方発明表彰受賞者一覧、2018年、公益社団法人発明協会
乙8 :平成30年度沖縄県・那覇市総合防災訓練実施要領、2018年、沖縄県ほか
乙9 :平成30年度沖縄県・那覇市総合防災訓練写真、2018年、西石垣 見治
乙10:GISワークブック、1998年6月15日、村井俊治
乙11:平成30年度九州地方発明表彰 発明協会会長賞発表Webページ(http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/H30/jusho_kyushu/detail/jiii.html)、2018年、公益社団法人発明協会
乙12:発明協会会長賞賞状・楯写真、2018年、西石垣 見治
乙13:沖縄タイムス記事、2018年11月3日、株式会社沖縄タイムス社
乙14:大辞林第三版、2006年10月27日、株式会社三省堂
乙15:広辞苑第六版、2008年1月11日、株式会社岩波書店

3 被請求人の主張の内容
被請求人が主張する具体的な主張内容は、概略、次のとおりである。
(1)無効理由1について
ア.「3 請求人が主張する無効理由」の「(1)無効理由1」、「ア」に対して
「住居表示に関する法律」の第2条の「住居表示の方法」では、「住居表示のための番号」を「住居番号」と規定している。他方、住居表示の実施されていない未実施地区では、「地番」によって住所が表示されている。
したがって、「住所番号を表示」するのは、住居表示実施地区においてである。そうであれば、「住居表示実施地区における住居番号」と「住居表示未実施地区における地番」は並列的な関係に置かれていることが明らかであり、一つの住宅に「住居番号」と「地番」が二重表示されていると誤読する余地はない(答弁書26ページ3行ないし27ページ19行)。

イ.「3 請求人が主張する無効理由」の「(1)無効理由1」、「イ」に対して
「交差点」が「道路の交差点」であり、「地図」に含まれることは明らかである。「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」の記載は、「地図データ上の道路と道路とが交叉する所又は道路に沿った所の建物」の意味であり、その理解に何の困難もない(答弁書27ページ20行ないし同ページ34行)。

ウ.「3 請求人が主張する無効理由」の「(1)無効理由1」、「ウ」に対して
広辞苑によれば、「重点的」とは、「全体を一様にではなく、重要な所を選んで行うさま。『文法を重点的に学習する』」と解説されており、また「間引いて」については「間引く」の意味が「ところどころ省く。」となっていることから、「ところどころ省いて」という意味であることが分かる。
そうすると、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」の意味は、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については」「探索の過程において容易に検索の目安となり得るから」「できるだけ住所番地を表示する」ようにすると共に、「住宅密集地」では、以上の「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」以外については、地図表示の煩雑さを避ける意味からも、適宜、間引いて表示するものであって、その理解に何の困難もない(答弁書28ページ1行ないし同ページ16行)。
本件明細書の段落【0031】には、「住所番地を表示させる表示情報生成部とを備える」ことにより、「緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を組み合わせ」ることができることが記載されており、「住所番地」と「住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番)」がイコール関係にあることが明らかにされている。また、本件明細書の段落【0040】でも「住所番地」と「住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番)」がイコールの関係にあることを明らかにしているし、さらに本件発明の作用効果に関する段落【0120】にも、同様の記載がなされている(平成30年12月11日付 口頭審理陳述要領書(2)5ページ10行ないし6ページ8行)。
(令和元年6月17日提出の手続補正書による)補正後の訂正請求書に係る訂正後において、「住所番地」とは、住居番号及び住居表示未実施地区における地番を意味する(令和元年6月17日付 意見書6ページ8行ないし9行)。
「『地図データ上の交差点又は道路沿い』という条件と『住宅密集地』という条件が同時に成立するとき」は、「地図データ上の交差点又は道路沿い」の建物については、「重点的に住所番地を表示」すればよく、それ以外の、すなわち「地図データ上の交差点又は道路沿い」以外の「住宅密集地」については、地図表示の見易さとの兼ね合いを勘案しつつ、それなりに間引いて「住所番地を表示」すればよく、そのことの理解について何の困難もない。また、「いずれも成立しないとき」については、「重点的に表示」することも「間引いて表示」することもないものである(答弁書28ページ25行ないし29ページ8行)。
住居番号又は番地は、原則として「全て」記載されるが、例外的に住宅密集地では間引いてもよい。ただし、「交差点や道路沿いの建物」では間引かない。「重点的」「間引いて」とは、この関係を意味する。つまり、「重点的」とは、間引かずに記載することを意味する(平成31年3月12日付 意見書10ページ25行ないし11ページ3行。)。
「重点的」や「間引いて」という処理は、表示される情報の量を適宜調整する処理であるところ、「カーナビゲーション装置で地図を表示する際に、表示される地図を見やすくするために、表示される情報の量を適宜調整することは、一般的に行われていること」であり、また、甲12には、国道一号沿い(…)には地番が頻度高く表示されているのに対し、それ以外の道路(…)には、国道一号沿いに比べ少ない頻度で地番が表示されている戸塚駅付近の地図が含まれており、既に「重点的」、「間引いて」等の処理をしている地図自体は良く知られていることである。したがって、当業者であれば、「ある情報」の表示量を調整するとの知見が得られれば、後は技術常識に基づき、「当該情報」の表示量を適宜調整することができるのであって、この点は一般的に行われていることであり、且つ昭和50年頃から良く知られている(令和元年11月25日付 上申書4ページ26行ないし5ページ12行)。
地図が表示する場所や地図の目的などにより、「位置確認に必要な範囲」は地図ごとに異なり得るのであって、このような記載や特定は事実上不可能であり、このような程度にまで記載や特定を求めることは、発明の保護を図るという特許法第1条の目的にも反する。特許請求の範囲に記載されている「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」の程度については、技術常識及び当業者の理解により明確であり、且つ、本件明細書及び図面により「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」における「位置確認に必要な範囲」であると明確に特定されるのであるから、本件発明は明確であり、少なくとも、本件発明が不明確であるとは言えない(令和元年11月25日付 上申書5ページ下から7行ないし6ページ6行)。

エ.「3 請求人が主張する無効理由」の「(1)無効理由1」、「エ」に対して
「ナビシステム」の文言は、「ナビゲーションシステム」の略称であることは一般的に知られており、また、本件特許明細書の段落【0039】に「現在位置に対応した地図データを表示するナビシステム」との定義があり、本件特許における「ナビシステム」も一般的な「ナビゲーションシステム」と同様の技術的概念を示すことは明らかである(平成30年11月22日付 口頭審理陳述要領書7ページ19行ないし同ページ22行)。

オ.「3 請求人が主張する無効理由」の「(1)無効理由1」、「オ」に対して
請求項3に記載の発明特定事項は、請求項1に記載の発明特定事項を前提とするものであり、重点的に住所番地を表示する際に、或いは住所番地を間引いて表示する際に、自然座標系と社会座標系を組み合わせることを意味することは明らかである(平成30年11月22日付 口頭審理陳述要領書7ページ34行ないし同ページ37行)。

(2)無効理由2について
ア.「3 請求人が主張する無効理由」の「(2)無効理由2」、「ア」に対して
建物の所在場所が、住居表示未実施地区であるため、複数の建物が同一番地を有していたとしても、当該番地により、複数の建物に候補が絞られることに加えて、当該複数の建物から、道路との関係や建物形状等という「現地との位置照合の手掛かり」により、その特定が可能であり、その場合でも、「【0036】従来システムでは、GPSの誤差範囲に加えて、現地との位置照合の手掛りが殆どないために、地図上及び現地での正確な位置の特定は容易でなかった」場合に比して、容易に正しい位置の特定が可能であり、明細書に記載の所望の効果を奏する(答弁書30ページ6行ないし同ページ13行)。

イ.「3 請求人が主張する無効理由」の「(2)無効理由2」、「イ」に対して
住宅密集地の番地表示を地図上で間引くのは、あくまでも「容易に正しい位置の特定が可能」な範囲でなされ、しかも、「交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する」ことから、明細書【0036】「従来システムでは、GPSの誤差範囲に加えて、現地との位置照合の手掛りが殆どないために、地図上及び現地での正確な位置の特定は容易でなかった」ことに比し、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」との記載に誤りはなく、本件特許の請求項1に係る発明は明細書に記載される所望の効果を奏することは明らかである(答弁書30ページ17行ないし同ページ25行)。
「間引いて」という表示量を調整する処理は、一般的に行われており且つ昭和50年頃から良く知られている処理である。したがって、当業者であれば、本件発明1における「住宅密集地では住所番地を間引いて表示」という構成に、住所番地を「位置確認に必要な範囲」以上に「間引いて表示する」ものまで含んで理解することはない。よって、無効理由2は成り立たない(令和元年11月25日付 上申書6ページ16行ないし23行)。

(3)無効理由3について
本件明細書には、地図の図形が一般的なベクトルデータやポリゴンデータで作成され、住所番地や一部の名称がテキストデータで作成されていることを例示している(段落【0051】)。本件特許の出願時におけるコンピューターグラフィックの技術水準に照らしてみても、ベクトルデータやポリゴンデータ、及びそれに付加されるテキストデータを拡大・縮小して表示する手法は当業者であれば種々選択可能であり、特段の説明を要することなく実施できるものと考えられる。
したがって、本件特許に係る発明の詳細な説明の記載は、本件特許に係る発明を、当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる(答弁書32ページ12行ないし同ページ末行)。

(4)無効理由4について
ア.本件発明1について
本件発明1は、少なくとも
(a)現在位置に対応させて地図データを表示する。
(b)地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する。
(c)地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については、重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する。
という構成要素を兼ね備えることを基本的な技術的思想としており、これによって、「今、どこにいるのか、どこに行けばいいのか」が簡単に分かる、サーベイ型(眺望型)のナビゲーションシステムの実現に成功したものである。
これに対して、甲1に記載された発明は、「今、どこにいるのか、どこに行けばいいのか」が簡単に分かる、サーベイ型(眺望型)のナビゲーションシステムとは何ら関係のないものであり、上記(a)?(c)の構成要素については開示されていない。
甲1には、3次元表示された建物の天井面に表される文字について、14?16は「建物名や居住者名簿等の文字情報」であり、9?13は単に「住所を表す文字」であるとだけ言及されているに過ぎない。甲1の図2に、他の文字情報と一緒に表された符号11?13をもって、「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」という本件発明特有の技術的思想を前提とした「住居番号」であると読み取ることが自然である、とするのは誤導的である。
相違点1(上記、「3 請求人が主張する無効理由」、「(4)無効理由4」の「ア.本件発明1について」参照)に関して、甲2には、三次元地図の投影図に地図構成物の関連情報を表示する技術が開示されているものの、地図構成物の関連情報としては、ビル名やその案内であり、「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」という本件発明に特有の構成要件を開示するものではない。
したがって、甲1発明に甲2に記載された発明を組み合わせても、住所を表す文字の一つとして他の住所表記部分と一緒に扱われた1桁や2桁の数字が三次元地図表示のナビゲーション装置の画面上に表示される構成が得られるに過ぎず、本件発明の格別な効果を期待することはできない。
また、相違点2(上記、「3 請求人が主張する無効理由」、「(4)無効理由4」の「ア.本件発明1について」参照)に関して、甲3に記載された発明は、地図上に住民名の表示を行うことによる問題点を回避するために住民名の表示を省略した結果、家型枠内に住居番号等のみが表示されるものである。甲1発明と甲3に記載された発明とでは、解決すべき課題が異なり、これらを組み合わせることは困難である。仮に、甲1発明に甲3に記載された発明を適用したとしても、甲1発明の地図中に住民表示がなされていれば、それを省略する構成が得られるに過ぎない。
さらに、相違点3(上記、「3 請求人が主張する無効理由」、「(4)無効理由4」の「ア.本件発明1について」参照)に関し、甲1には、住所を表す文字の一つとして他の住所表記部分と一緒に扱われた1桁や2桁の数字が、三次元地図表示のナビゲーション装置の画面上に表示された構成が開示されているに過ぎず、これに甲4ないし6に記載されたランドマークやアイコンの表示・非表示の切替や、間引いて表示する構成を組み合わせてみても、本件発明の格別な効果を期待することはできない(答弁書33ページ2行ないし39ページ6行)。
甲5に開示される構成は、「住所番地(住居番号及び住居表示未実施地区における地番)」の表示を間引くというものではなく、地図上に表示する「施設のカテゴリを表示するアイコン」の重なりがあると判断すると、「施設のカテゴリを表示するアイコン」の表示を間引くというものである。したがって、甲5の構成を甲1発明に適用しても、甲1発明において、「施設のカテゴリを表示するアイコン」を間引いて表示する地図が表示されるだけであり、「住所番地(住居番号及び住居表示未実施地区における地番)」を間引いて表示する本件発明1の構成にはならない(令和元年11月25日付 上申書16ページ9行ないし16行)。

イ.本件発明3について
甲1発明が、単に紙媒体の住宅地図上の表示をそっくり転用するだけだから、「地図データ上の住宅に住居表示未実施地区における地番を表示する」ために、本件発明3のように「住居表示未実施地区では、地番の社会座標系を組み合わせる」技術上の選択余地は、ない。よって、甲7に記載された発明を甲1発明に適用しても、本件発明3のように「表示情報生成部」が「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」ように構成することは、当業者といえども容易になしえることではない(答弁書40ページ10行ないし42ページ11行)。

ウ.本件発明4について
甲1発明が、単に紙媒体の住宅地図上の表示をそっくり転用するだけだから、「地図データ上の住宅に住居表示未実施地区における地番を表示する」ために、本件発明4のように「住居表示未実施地区では、地番の社会座標系を組み合わせる」技術上の選択余地は、ない。
また、仮に甲1発明に甲8、甲9に記載された発明を適用したところで、居住人氏名や建物名称が建物の輪郭中央に大きく記載される一方、住居番号や地番は建物の輪郭の片隅に小さく記載されて、視認が困難なところから、画面を局部的にズーム拡大した挙句、地図視野が狭窄して、入力インターフェースにおいて、住所番地を選択するユーザー操作自体が実質的に不可能である。また、現在位置の視認自体が実質的に不可能であり、本件発明4に到達しない(答弁書42ページ12行ないし43ページ末行)。

(5)無効理由5について
ア.本件発明1について
請求人は、甲3に記載された「電子的記録媒体に記録された地図」と本件発明1の「地図データ」は、「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」したものである点で一致していると主張(上記「3 請求人が主張する無効理由」、「(5)無効理由5」の「ア.本件発明1について」参照)するが、誤りである。甲3発明で番地のみを記載するのは、「一般住宅」のみであり、甲3の段落【0009】の記載によれば、一般住宅からはマンション・アパートが除外されている。
したがって、甲3発明は、正しくは、次のとおりである。
「地図上における一般住宅の表示において、一般住宅の家型枠とともに、該枠中に、住民名の表示を行わず、住居表示に関する・・・住居番号を表示し、・・・あるいは地番のみを表示すると共に、マンションやアパート、店舗その他、一般住宅以外の建物については、従来の住宅地図同様、その全ての居住者や建物名称等を記載することとし」
よって、甲3発明と本件発明1とは、「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」したものである点で一致している、との請求人の主張は誤りである。
そして、本件発明1は、上記(a)?(c)という構成要素(上記「(4)無効理由4について」の「ア.本件発明1について」参照。)を持つものであり、「今、どこにいるのか、どこに行けばいいのか」が簡単に分かる、サーベイ型(眺望型)のナビゲーションシステムという技術的思想に基づくものである。このような技術的思想については、甲1ないし6のいずれにも開示されていないことから、仮にこれらを組み合わせたとしても、本件発明に想到することは、当業者でも困難である。
まず、甲3発明と甲2に記載された発明とでは、解決すべき課題及び解決する手段が異なり、これらを組み合わせることが困難である。仮に甲2に記載された発明を甲3発明と組み合わせても、地図上に住民名の表示があれば、その表示を省略したうえで残余の住居番号を表示し、その残余の住居番号が、地図構成物の変化に追随させて表示される構成が得られるものの、そもそも地図上に住民名の表示が無ければ、この構成は機能しないこととなる。
また、仮に甲5若しくは甲6に記載された発明を甲3発明と組み合わせたとしても、地図上に住民名の表示があれば、その表示を省略したうえで残余の住居番号を表示し、その残余の住居番号をアイコンとして間引いたり、地図上の距離に応じて抽出したりする構成が得られるものの、地図上に住民名の表示がなければ、この構成は機能すらしないこととなる。このため、これらのような異なる解決課題及び解決手段に基づく発明を組み合わせた構成では、本件発明1の格別な効果を期待することはできない(答弁書47ページ末行ないし50ページ4行)。
甲5に開示される構成は、「住所番地(住居番号及び住居表示未実施地区における地番)」の表示を間引くというものではなく、地図上に表示する「施設のカテゴリを表示するアイコン」の重なりがあると判断すると、「施設のカテゴリを表示するアイコン」の表示を間引くというものである。したがって、甲5の構成を甲3発明に適用しても、甲3発明において、「施設のカテゴリを表示するアイコン」を間引いて表示する地図が表示されるだけであり、「住所番地(住居番号及び住居表示未実施地区における地番)」を間引いて表示する本件発明1の構成にはならない(令和元年11月25日付 上申書18ページ20行ないし29行)。

イ.本件発明3について
本件発明3は、上記(a)?(c)の構成要件(上記「(4)無効理由4について」の「ア.本件発明1について」参照。)に加え、「避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」という構成要素をさらに併せ持つものであり、「今、どこにいるのか、どこに行けばいいのか」が簡単に分かる、サーベイ型(眺望型)のナビゲーションシステムという技術的思想に基づくものである。
このような技術的思想については、甲2、3及び7のいずれにも開示されておらず、これらを組み合わせたとしても本件発明3に想到することは当業者でも困難である(答弁書51ページ19行ないし30行)。

ウ.本件発明4について
本件発明4は、上記(a)?(c)の構成要件(上記「(4)無効理由4について」の「ア.本件発明1について」参照。)に加え、「表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」という構成要素をさらに併せ持つものであり、「今、どこにいるのか、どこに行けばいいのか」が簡単に分かる、サーベイ型(眺望型)のナビゲーションシステムという技術的思想に基づくものである。
このような技術的思想については、各甲号証のいずれにも開示されておらず、これらを組み合わせたとしても本件発明3に想到することは当業者でも困難である(答弁書52ページ下から4行ないし53ページ5行)。

(6)当審で通知した無効理由に対して
ア.「住居番号」、「地番」、「住所番地」について
「住居番号」、「地番」は、通常の意味(法令上の意味)である(平成31年3月12日付 意見書3ページ8行)。「住所番地」とは、住居番号及び住居表示未実施地区における地番を意味する(令和元年6月17日付 意見書6ページ8行ないし同ページ9行)。

イ.「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」について
無効理由において「『地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する』とは、地図データ上の住宅の『全て』に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するものであると解される」と判断した点については、異論はない(平成31年3月12日付 意見書6ページ下から2行)。
本件発明における「地図データ」は、「建物」を表示した地図データであるから、本件発明は、1/2,500等の大縮尺(1/500?1/5000)の地図を前提としており、中縮尺や小縮尺の地図データを前提していないことを理解する(令和元年6月17日付 意見書6ページ末行ないし7ページ5行)。

ウ.「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」について
「交差点又は道路沿い」とは、交差点又は道路の周囲にあることを意味し、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」とは、そのように周囲にある建物を意味している。その根拠は、本件明細書の段落【0040】の記載、図1の記載にある(平成31年3月12日付 意見書9ページ4行ないし同ページ15行)。

エ.「住宅密集地」について
「住宅密集地」とは、住宅が密集する地を意味する。「密集」とは、「隙間もないほど集合すること」、「集合」とは、「集まりあうこと。集めあわせること。よりあい。あつまり。」を意味する(乙15)。1000坪の敷地に20?30坪程度の住宅が集まった地域は、「住宅」が「隙間もないほど集合」していることにはならないから、「住宅密集地」には、該当しない。
また、本件明細書の段落【0028】及び【0128】に「或は」と記載されているように、本件明細書では、「交差点や道路沿い」と「住宅密集地」を選択的に取り扱っており、「住宅密集地」は、「交差点や道路沿い」とは異なる地域である。したがって、本件発明において「交差点や道路沿い」には、住所番地を間引いて表示する「住宅密集地」は含まれない(平成31年3月12日付 意見書9ページ下から3行ないし10ページ9行)。

オ.「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」について
住居番号又は地番は、原則として「全て」記載されるが、例外的に住宅密集地では間引いてもよい。ただし、「交差点や道路沿いの建物」では間引かない。「重点的」と「間引いて」とは、この関係を意味する。つまり、「重点的」とは、間引かずに記載することを意味する。この根拠は、明細書の段落【0028】及び【0129】の記載にある(平成31年3月12日付 意見書10ページ下から2行ないし11ページ16行)。
「間引いて」という表示量を調整する処理は、一般的に行われており且つ昭和50年頃から良く知られている処理である。したがって、当業者であれば、「どの情報」の表示量を調整するのかが分かれば、後は技術常識に基づき、当該情報の表示量を適宜調整することが可能である。住宅密集地にある「交差点又は道路沿いの建物」における表示量についても、住宅密集地にない「交差点又は道路沿いの建物」における表示量と同程度の表示量とするのか、あるいは異なる表示量とするのかという、表示量の調整の問題であり、当業者であれば、「どの情報」の表示量を調整するのかさえ分かれば、技術常識に基づき、当該情報の表示量を適宜調整することが可能である。よって、本件の発明の詳細な説明の記載は、住所番地の表示を「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示」し、住所番地を「住宅密集地では間引いて表示」することについて当業者が実施できる程度に記載されている(令和元年11月25日付 上申書7ページ2行ないし17行)。

カ.表示情報生成部が「重点的」又は「間引いて」表示することについて
住居番号または地番を表示するのは、表示情報生成部であるところ、「重点的」又は「間引いて」というのは、表示情報生成部が住居番号や地番を表示する態様の一つである。したがって、「重点的」又は「間引いて」の主体は、表示情報生成部である(平成31年3月12日付 意見書11ページ末行ないし12ページ4行)。

キ.住居番号及び地番と住所番地の表示について
「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」は、異なる用語ではあるものの、同一の意味を有する。
請求項1の「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」とは、「前記表示情報生成部は、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、前記表示情報生成部は、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」という意味であり、「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」前記表示情報生成部が、さらに、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」ことを規定している(令和元年6月17日付 意見書8ページ下から3行ないし11ページ3行)。

ク.「表示されている地図データの補正」について
「表示されている地図データの補正」とは、現在位置の修正に伴い表示される地図を変更(補正)することを意味する。その根拠は、本件の明細書の段落【0035】、【0104】、【0131】の記載にある(平成31年3月12日付 意見書15ページ1行ないし16ページ11行)。

ケ.ユーザが選択した「住所番地」を現在位置として修正していることについて
ユーザの現在位置は、一地点であるのに対し、住所番地は、一定の面積を有する区画を指すことから、両者が完全一致しない場合は、当然にあり得るのであり、「実際の現在位置と修正された現在位置との間で位置誤差が生じることになる」ことはあり得る。しかし、位置誤差があるとしても、GPSのみを用いる方法に比べて精度が向上することは、技術的、実用的には大きな意味のあることである。かかる技術常識を踏まえれば、本件明細書が記載する「現在位置の把握」という課題は、「現在位置の把握をGPSのみを用いる方法よりも精度を上げること」を意味していると理解でき、そのことは本件明細書の段落【0017】にも示唆されている。
本件発明は、自動的に取得された現在位置が間違っている場合に、手動で現在位置を取得して地図を表示し直すという手段を採用することによって、上記課題を解決しようとするものである。そして、本件明細書の段落【0035】に記載されている「衛星から取得される位置情報の誤差の解消」とは、段落【0017】に記載する「GPSの誤差という大きな問題」を解消すること、すなわち、現在位置の把握をGPSのみを用いる方法よりも精度を上げること、そして、自動で取得した現在位置の誤りを手動で取得した現在位置で修正し、それにより現在位置把握の精度が向上することを指していると理解できる(平成31年3月12日付 意見書16ページ18行ないし17ページ20行)。

第7 甲号証の記載等
1 甲1の記載事項等
(1)甲1の記載事項
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付加した。以下、同様。)

ア.「【請求項1】
地図を表示する表示手段と、2次元地図データを格納する地図データ格納手段と、前記2次元地図データを用いて前記表示手段に地図を表示する表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記2次元地図データを用いて2次元地図を描画する2次元地図描画手段と、2次元表示の建物枠が天井面に可視状態となる投影方向から見た3次元画像として当該建物を表示する3次元地図描画手段とを有し、3次元表示された建物枠の天井面に当該建物の関連情報を表示することを特徴とする地図表示装置。」

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地図構成物である建物などを表示装置に3次元表示する地図表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9-281889号公報
自動車の乗員を目的地まで誘導する装置としてカーナビゲーション装置が知られている。このカーナビゲーション装置は、CD-ROMやDVD等の記憶媒体に記憶された地図データ(2次元地図データ)を読み出して、表示装置の画面に建物、道路等を表示する。そして、GPS(Global Positioning System)等のセンサーにより現在の自動車の位置を検知して目的地へ向かう方向や道順を画面上に表示する。」

ウ.「【0005】
従来、視認性の低下を補うために、建物の関連情報を建物画像の建物枠内と建物画像の側面位置に表示して建物を識別可能にすることが知られている。このことは、上述した特許文献1に記載されている。また、建物の関連情報を建物画像からの吹き出しとして表示することも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術は、3次元表示した建物の建物枠内や側面付近に建物の関連情報を表示している。しかし、建物の3次元表示は視線位置を変化させて斜めから眺めた風景を表示しているため、建物が他の建物に隠れる部分がでるなど眺める方向によって形状が変化する。このため、建物の関連情報を表示できないことがあり、また、3次元表示された建物枠に重ねて関連情報を表示することになり地図の視認性が低下するという問題点を有する。
本発明の目的は、建物を3次元表示しても地図の視認性を損なうことことなく(当審注:「損なうことことなく」は、「損なうことなく」の誤記。)建物の関連情報を表示することができる地図表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴とするところは、2次元表示の建物枠が天井面に可視状態となる投影方向から見た3次元画像として当該建物を表示し、3次元描画された建物枠の天上面に当該建物の関連情報を表示するようにしたことにある。……」

エ.「【0010】
表示制御装置22は入力装置20に入力される操作指令に応じて表示装置21に表示する3次元地図を描画する。表示制御装置22は、2次元地図切出部23、地図データ取得部24、3次元地図描画部25及び2次元地図描画部26から構成されている。
【0011】
地図データ取得部24は、入力装置20から入力された指定領域(操作指令)の地図を表示するために必要な2次元地図データを地図データファイル27から読出しメモリ28に一時記憶させる。2次元地図描画部26はメモリ28に格納された地図データを使用して2次元地図をメモリ28内に描画する。2次元地図描画部26がメモリ28内に2次元地図を描画することは表示装置20に2次元地図を表示できることになる。」

オ.「【0016】
次に動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。
使用者が3次元地図を閲覧する場合には、入力装置20を操作し閲覧したい地図領域(範囲)を操作指令によって指定する。表示制御装置22はステップS1において操作指令を入力する。表示制御装置22の地図データ取得部24はステップS2で使用者が閲覧したい地図を表示するのに必要な地図データの範囲を算出して地図データファイル27から読出しメモリ28に記憶させる。
【0017】
ステップS2からステップS3に移行し、2次元地図描画部26はメモリ28に格納された地図データを使用して2次元地図をメモリ28内に描画する。2次元地図描画部26で作成された2次元地図はそのまま表示装置21にコピーすることで表示が可能な画像形式の地図である。2次元地図描画部26で作成された2次元地図は、例えば、図7(a)に示すようになる。図7(a)に示す地図は地図データに格納されているすべての地図構成物を2次元上に表示した状態のもので紙地図と同等の地図である。
【0018】
3次元地図描画部25はステップS4において3次元地図をメモリ28内に描画する。3次元地図の描画は、まず地面となる矩形を描画する。3次元地図描画部25はメモリ28に格納されている2次元地図画像をこの矩形に貼り付ける。これで、2次元地図と同じように全ての地図構成物が表示された3次元地図の地面が完成する。
【0019】
3次元描画部25はステップS5において、使用者が入力装置20を操作し建物天井面に名称などの建物関連情報を表示するように指定しているかを判定する。3次元地図描画部25はステップS5で建物関連情報表示を指定していると判定するとステップS6に移行して、2次元地図切出部23を使用してメモリ28に格納されている2次元地図画像から建物関連情報を切出して建物天井面に貼り付ける。これによって、3次元地図において建物の下に隠れてしまう建物の関連情報を建物天井面に表示した状態の3次元地図が作成される。
【0020】
3次元地図描画部25によるこれらの3次元地図描画はメモリ28に記憶されている2次元地図データの全ての建物に対して行われる。表示制御装置22はステップS7でメモリ28内に作成された3次元地図を表示装置21に表示する。」

カ.「【0022】
図7は図7(a)の2次元地図から切出した地図構成物である○○ビルを図7(b)の3次元地図の建物天井面に表示する例を概念的に示している。図7(b)の1は表示装置21の表示画面を示している。
【0023】
図2に3次元地図を表示装置21に表示した一例を示す。
図2において、1は表示装置21の表示画面、2?4はビルやマンションなどの建物、5は地面、6は道路、7は信号などの記号情報、9?13は住所を表す文字、14?16は建物名や居住者名等の文字情報である。」

キ.甲1には、【図2】及び【図7】として下のような図が記載されている。


ク.表示制御装置22を構成する「地図データ取得部24は、入力装置20から入力された指定領域(操作指令)の地図を表示するために必要な2次元地図データを地図データファイル27から読出しメモリ28に一時記憶させる」(上記「エ」参照)ことから、地図データ取得部24には、入力装置20から指定領域が入力されている。

ケ.甲1には、「入力装置20から入力された指定領域(操作指令)の地図を表示するために必要な2次元地図データを…メモリ28に一時記憶させ」(上記「エ」参照)て、「2次元地図描画部26はメモリ28に格納された地図データを使用して2次元地図をメモリ28内に描画」(上記「エ」参照)することが記載されている。そして、「入力装置20から入力された指定領域」とは、地図データ取得部24に入力された指定領域であり(上記「ク」参照)、また、「2次元地図描画部26がメモリ28内に2次元地図を描画することは表示装置20に2次元地図を表示できることになる」(上記「エ」参照)ことから、結局、甲1には、地図データ取得部24に入力された指定領域の2次元地図を表示する2次元地図描画部26について記載されている。

コ.甲1には、地図表示装置において表示される2次元地図について、「図7(a)に示すようになる。図7(a)に示す地図は地図データに格納されているすべての地図構成物を2次元上に表示した状態のもので紙地図と同等の地図である。」(上記「オ」参照。)としていることから、2次元地図描画部26が表示する2次元地図は、紙地図と同等の地図であって、地図データに格納されているすべての地図構成物を表示したものである。

サ.甲1には、3次元地図描画部25により3次元地図を表示することも記載されており、この場合に「2次元地図切出部23を使用してメモリ28に格納されている2次元地図画像から建物関連情報を切出して建物天井面に貼り付ける」(上記「オ」参照。)ことが行われる。この建物関連情報は、メモリ28に格納されている2次元地図画像から切り出されるものであるから、2次元地図が当然に有しているものであり、また、図7(a)に示される2次元地図からみて、2次元地図を表示するときには、この建物関連情報も表示されているといえる。
さらに、建物関連情報について、甲1には、3次元地図を表示した例ではあるが、図2が示されており、この図2には、建物の枠内に参照番号11ないし13で示される1ないし2桁の数字が表示されることが示されている。さらに、「図2において、1は表示装置21の表示画面、2?4はビルやマンションなどの建物、5は地面、6は道路、7は信号などの記号情報、9?13は住所を表す文字、14?16は建物名や居住者名等の文字情報である」(上記「カ」参照。)ことから、この建物の枠内に参照番号11ないし13で示される1ないし2桁の数字は、住所を表す文字である。
そして、上記のように2次元地図で表示される建物関連情報においても、図7(a)には、3次元地図において表示される参照番号11ないし13で示される1ないし2桁の数字と同様の数字が建物の枠内に表示されていることから、2次元地図においても、2次元地図描画部26は、建物に住所を表す数字を表示しており、また、そのような機能を有しているといえる。

(2)甲1発明の認定
上記ア.ないしサ.を含む甲1全体の記載を総合すると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「甲1発明」という。)。

「入力装置20から指定領域が入力される地図データ取得部24と、
前記地図データ取得部24に入力された指定領域の2次元地図を表示する2次元地図描画部26と、
を備え、
前記2次元地図は、紙地図と同等の地図であって、地図データに格納されているすべての地図構成物を表示したものであり、
前記2次元地図描画部26は、建物に住所を表す数字を表示する機能を有する
地図表示装置。」

2 甲2の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】 表示装置の画面上に、地図と当該地図を構成する地図構成物の関連情報とを表示する地図表示装置において、
地図構成物の三次元情報が記憶された地図情報記憶手段と、
前記地図情報記憶手段に記憶されている地図構成物の関連情報が記憶された関連情報記憶手段と、
前記地図情報記憶手段に記憶された情報を基に、三次元座標上に地図構成物が配置された三次元地図を作成する三次元地図作成手段と、
前記三次元地図作成手段で作成された三次元地図の投影図を作成する際の視点位置を設定する視点設定手段と、
前記三次元地図作成手段で作成された三次元地図を前記視点設定手段で設定された視点位置から眺めたときに得られる投影図を作成する投影図作成手段と、
前記投影図作成手段で作成された投影図に表示されている地図構成物に対応する関連情報を前記関連情報記憶手段から読み出す読出し手段と、
前記投影図作成手段で作成された投影図に表示されている地図構成物の前記投影図上における表示領域を検出する表示領域検出手段と、
前記表示領域検出手段によって検出された地図構成物の表示領域に基づいて、当該地図構成物に対応する関連情報の前記投影図上における表示領域を設定する表示領域設定手段と、
前記表示領域設定手段によって設定された関連情報の表示領域上に、当該関連情報を付記する付記手段と、
前記付記手段によって関連情報が付記された前記投影図を、前記画像装置の画面上に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする地図表示装置。」

イ.「【0002】
【従来の技術】従来より、自動車走行の便宜を図るためのものとしてナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置は、CD-ROM等の記憶媒体に記録された地図データを読み出して、モニタ等の画面上に建物、道路等が描画された地図を表示する。そして、GPS(Ground Positioning System)等のセンサにより検出した現在地(自車位置)から目的地へ向かう方向を画面上に表示する。
【0003】ところで、従来のナビゲーション装置では、地図の画面への表示尺度を切替えたり、画面上に地図を鳥瞰表示することにより、現在地周辺が、容易に把握できるように工夫している。」

ウ.「【0112】次に、本発明の第五実施形態として、上記の第一乃至第四実施形態方法を車載ナビゲーション装置に適用した場合の構成例について図面を参照して説明する。
【0113】図26は本発明の第五実施形態であるナビゲーション装置の各構成ユニットを示す図である。
【0114】図26において、演算処理部261は、様々な処理を行う中心的ユニットである。たとえば、符号266?符号269に示す各種センサから出力される情報を基にして現在位置を検出し、得られた現在位置情報に基づいて、表示に必要な地図情報を地図記憶装置263から読み込む。また、地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地マークを重ねディスプレイ262へ表示したり、ユーザから指示された目的地と現在地を結ぶ最適な道路を選択し、音声入出力装置264やディスプレイ262を用いてユーザを誘導する。」

3 甲3の記載事項等
(1)甲3の記載事項
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3には、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
地図上における一般住宅の表示において、一般住宅の家形枠とともに、該枠中に、住民名の表示を行わず、住居番号若しくは地番あるいは地番の枝番のみを表示した地図表示方法
【請求項2】
地図上における一般住宅の表示において、一般住宅の家形枠とともに、該枠中に、住民名の表示を行わず、住居番号若しくは地番あるいは地番の枝番のみを表示した地図表示方法をもって作製される住宅地図
【請求項3】
縮尺約1/3000においてなされる請求項2記載の住宅地図
【請求項4】
地図上における一般住宅の表示において、一般住宅の家形枠とともに、該枠中に、住民名の表示を行わず、住居番号若しくは地番あるいは地番の枝番のみを表示した地図表示方法を持って電子的記録媒体に記録された住宅地図
【請求項5】
縮尺約1/3000においてなされる請求項4記載の住宅地図」

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅地図において、一般住宅の家形枠(建物の形状枠をいう 以下略)の中に、住居番号若しくは地番あるいは地番の枝番(以下住居番号等と云う)を表示する地図の表示方法及びその表示方法により作成された地図(電子的記録媒体に記録された地図を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の住宅地図は、一般住宅の家形枠あるいはその住宅の敷地に、住民名を表示しさらに小さく住居番号等を表示している。……」

ウ.「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の住宅地図(非特許文献1)は、一般住宅について、その構造物の形状を表示するとともに、その家形枠の中に住居番号等及び居住する住民名(姓あるいは姓名)を表示し、多様な用途の中でも主として住居にたどりつけることを目的として、紙面上にあるいは電子的記録媒体に記録して作成されている。その地図表示の状況を、図3に例示した。
その表示方法は、住民名表示が主体である。このため、住民名を目視して見易く表示するためには、縮尺1/1500程度の地図を作成せざるを得ない。
この住宅地図には1/3000の縮尺のページがわずかにあるが、このページでは家形枠を省略し、敷地に住民名が表示されている。このページの地図を見ると、建物の存在がわからないし航空写真のように見えないため、現地との違和感がある。
この地図帳1みひらき(2ページ)に表示される地域は制限され、極めて狭い視野にならざるを得ない(いわゆる鳥の目が持てない)。したがって、このような地図においては、例えば住民を訪ねようとする場合、住所を基に、索引から目標とする住民の所在する町・字名、街区符号、住居番号、地番が掲載されたみひらきを探し出しても、多くの場合、数みひらきにわたり場合によっては数みひらきを飛んで、コピーした地図の貼り付け、あるいは縮小コピーの貼り付けを実施しなければ、大観した住民の所在地が把握できない。また、目標への道順をたどることも難しい。特に、みひらきの接合部に近い目標を探すときは煩雑である。もし、この地図貼り付けの処置を実施せず、車で現地に行くと、道路地図で近くまで来たとしても、何度も何枚もページをめくって、頭の中で、地図の貼り付けと同様な行為(イメージ化)をしなければならない。車だから、あっという間に曲がるべき曲がり角を行きすぎてしまう、駐停車できない、引き返えすのが困難等のことがあり、そのうち迷子になってしまうというようなことが往々にして起きる。車社会では、広い視野が必要になっている。この例のような、目標・道順のイメージ化や地図貼り付け等の手間は決して小さくなく、また煩雑である。このことが、現地で、迅速・容易に住民にたどりつけない大きな要因になっている。この、視野を出来るだけ広くしたい要求が、この住宅地図を大型の地図帳にしている要因でもある。
道路地図と連接して容易に住民にたどりつけることはまず無理である。従来の住宅地図と道路地図の間には、適当な縮尺の地図が存在していないといえる。」

エ.「【0008】
本発明の課題は、前述従来の実情にかんがみ、住宅地図の多様な用途・価値を減ずることなく、迅速・容易な現地目標到達が出来、プライバシーに配慮した、安価、携帯に便利な地図を提供しようとするものである。」

オ.「【0009】
一般住宅の家形枠と共に、該枠中に住居番号等を記載し、住民名表示を行わない。この表示方法及びこの表示方法を使用して住宅地図(電子的記録媒体に記録したものを含む)とすることによって課題を解決する。
ここにいう一般住宅とは、一般の住民が寝食を行う住宅を指し、官公庁、公共建物・施設、企業の社屋・工場屋、ビル・マンション・アパート等の建物、店舗等を除く。
一般住宅以外の建物への建物名表示及び住居番号等の表示は、従来の住宅地図と同様、建物名称とともに住居番号等を記載する。
本発明の手段の背景となる考え方は、以下のとおりである。
【0010】
住民名が記載されていなければ、住宅地図として成り立たないと考えがちであるがそうではない。正しい住宅位置に正しい住居番号等が記載されていれば、間違いなくそこの住民にたどりつけるものであり、住民名は必須条件ではない。
……(略)……
現在の住居表示は、1、「住居表示に関する法律」〔昭37.5.10施行〕に基づく表示方法・・・この法律は、市町村における公共の福祉の増進に資することを目的として合理的な住居表示の制度として施行され、この制度に基づく表示方法が全国で広く推進されている。2、旧来の土地の財産番号である地番をそのまま住所として表示する方法。この2つが混在している。
1の方法によれば、市街地にある住所若しくは居所又は事務所、事業所、その他これらに類する施設の所在する場所(以下「住居」という)を表示するには、町村の名称を冠するほか、街区方式または道路方式のいずれかによるとされている。街区方式では、住居は街区符号及びその街区の中にある建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号(住居番号)を用いて表示される。例えば
一般的には 山川 1丁目 2 番 3 号
(町 名)(街区符号)(住居番号)
= 住所 山川一丁目2番3号 〔略して山川一丁目2-3〕
団地の場合 山川 1丁目 2 番 3 - 4号
(町 名)(街区符号)(棟番号-各戸の番号)
あるいは 山川 1丁目 2 番 3 号
(町 名)(棟番号)(各戸の番号)
中高層建物については 山川 1丁目 2 番 3 - 4 号
(町 名)(街区符号)(基礎番-各戸の番号)
あるいは 山川 1丁目 2 番 3 - 4 号
(町 名)(街区符号)(棟番号-各戸の番号)
各市町村の街区内における住居番号の付け方にはある基準があって、地域の特性に応じた柔軟性があるものの、全国的に一定の共通性が保持されている。
市町村は、住居表示台帳を作成し保管する。この台帳は、縮尺500分の1によるものとされ、縮尺3000分の1(または2500分の1)の都市計画図を基礎として街区毎に作製される。
2の方法は、不動産登記法による土地及び建物の表示の登記と関連している。
例えば
土地の表示に関する登記 (字)栗原 12 番地の 34
(字 名)(地番 分筆による枝番)
建物の表示に関する登記 (字)栗原 12 - 34^
(字 名)(地番-適当な符号 実質的には地
番の枝番)
住 所 (字)栗原 12 番地の 34
である。
2の方法には欠陥があるため、この解消を意図して、1の方法の推進が着実にすすめられている。いずれの方法においても、市町村は、世帯単位による解り易い識別化を目指した住所及び住居表示を追及しているが、わずかではあるが同一住所に数世帯が存在しているのが現状である。また住所の最後の数字は、ほとんどが3桁以下であるが4桁の場合がある。
この実態を考慮すると、建物の存在とその概形を示す家形枠の中に住居番号等を記載することは極めて自然なことであり、地図上の住民名表示は、世帯を特定・識別できる上に更なる念入りを加えていることであり、より確実に住民を確認するための付随的な手段にすぎないことが解る。
…(略)…」

カ.「【0011】
全ての人が、住宅地図上に自分の名前を表示することに納得しているのであれば、それで許されるかもしれない。しかし、十分な説明なしに住宅地図に自分の名前が記載されている、と感じている人がたくさんいるし、多くの人は、地図により自分の知らないところで、自分の名前が広く開示されている、されていくかもしれないことに気がついていない。
図上に、住民名と住居番号等が一体化されて表示された地図と、住民名が除かれ住居番号等のみが記載された地図との差は大きい。前者ではそこにどんな名前の人が住んでいるかが誰でも解るが、後者ではそこに誰が住んでいるかは特定の人にしか解らない。また、あの付近にあの人は住んでいるというような大雑把な情報でも、名前さえ分かれば地図を見て誰でも来ることが出来ることと、あいまいな情報では決して来ることが出来ないこととの差は大きい。
GPS(自動位置識別装置)の精度がますます上がり、カーナビの機能が向上するにつれ、特定の住所にますます容易に到達できるようになることも併せて考慮すると、個人にとっては、住所と住民名が一体化して、不必要に不特定多数の人に開示されることは決して好ましいことではないと考えられる。
更に住民名の記載を必要とする者は、自らの努力で、この地図の上にその処置を施すのが(例えば地図紙面上に上書きするとか注記する、コンピューター処理する等の処置)、プライバシーの保護と関連したあり方と考えられる。
【0012】
住宅地図は、役場、警察、消防、郵便局その他たくさんの社会サービスの公共機関が多様に使用して、公益上極めて重要な使命を果たしており、この効果を失わせることは出来ない。この公共社会サービス機関が地図上での表現を要求する最も重要な情報は、実際の住居が地図上で正しく位置づけられていることとともに、車でどう行くか、この建物には間違いなく該当する人がいるか、ということだと考えられる。このことが明確に認識できる縮尺であれば、その他の多くの情報(例えば河川、病院、空き地等)は、地図上で表現が可能であると考えられる。その点から言えば、世帯を識別するための住居番号等が、地図を見て肉眼で容易に認識できるように明確に表示されていれば、住民名表示がなくても公共機関の要求を失うことは無い。この要求を満たすことが出来る条件は、一般住宅の家形枠とともに、住居番号等を肉眼で明確に認識できるよう表示することである。さらに考察すると、この要求は、人を訪ねる社会一般の要求と全く合致する。この要求の縮尺はどのくらいか、試作したところでは約1/3000程度と判断された。この縮尺は、都市計画地図の縮尺と合致するところがある。この地図が出来れば、この地図の拡大・縮小でどのような縮尺にも対応出来る。
【0013】
いかなる場合でもこの住居番号等表示が有効であるかを検討した。
建物の中に多くの世帯(戸別)が存在する団地・中高層建物においては、住所では戸別の識別が出来ても地図上では戸別の識別が出来ない。通常の地図は、立体表現が困難だからである。(1?2階の建物で、同一の建物を平面的に区分して東側は Aさん、西側はBさん、真ん中は Cさん等と表現できる場合を除く。)この様な場合には、建物の名称や棟番号を明確に家形枠に表示しておけば、住所から容易に戸別の特定が出来るから問題はない。一住所に数世帯が存在する場合は、それぞれの建物に住居番号等を表示することとなるが、どの建物に誰が住んでいるかは解らない。この地域においては、現地で表札を見る、近所に尋ねる等の行為が必要となる。しかし、この地域は数10メートルの範囲でありさほどの労苦を要しない。一方でこのような地図上の処置は、住民の住居の状態の予察となり、現地において早く目的住民にたどりつけるもととなる。
官公庁・公共機関(施設)、企業等の社屋、事業所、団地・中高層住宅等の建物は、その建物の形状枠が一般住宅より大きく、また人を探す上で重要な情報になりうるから、建物名表示を行う従来の住宅地図の表現方法が適当と考え、本発明の範疇に含めていない。住宅を店舗としており、表示可能面積の大きな建物においては、その住人の納得・要望により住居番号等と店舗名を併記することもできる。
住居番号等を家形枠の中に記載することとした。一般の住宅は、その敷地をふくめて家形枠の中が一番広い記載余地を持っていること、家形枠の形状との重畳表示を避け、肉眼、その他の電子的読み取り手段が容易に識別・判別できることを考慮した。
敷地境界は、住居の状態を把握する重要な要素となることが多い。例えば、この建物は敷地としてどのような広がりを持っているのか、住居なのか構造物なのか、建物でない空間はどのような地面上の性格を持っているのか、入り口はどこか等、境界の存在によって現地での実行動を容易にすることが多い。したがって、地図上において境界を適切に利用することが欠かせない。」

キ.「【0015】
家形枠内に記載する住居番号等の数字は、住民名漢字より明らかに小さく、また見分けやすい。したがって、家形枠が小さくなり、地図の縮尺が小となる。試作結果によれば、どんなに厳しく見積もっても縮尺1/3000以下になりうる。これにより、従来の住宅地図1みひらきの表示面積は、4倍以上になる。即ち、4倍以上の視野(鳥の目)を獲得できることとなる。目標・道順のイメージ化が容易となり、一般住宅の住民名が省かれているから住居番号等の配列状況も解り易くなる。また地図の貼り合わせ等の労力・手間が省ける。
道路地図に連接して目標地点とその道順を探すことが容易になる。道路地図には、主要な街区符号・地番が表示されている。住所から道路地図上でおおよその目安をつけ、地図検索あるいは住所検索で目標とする住居番号等が記載されたみひらきを開き、道路地図上の主要な街区符号・地番と照合すれば、容易に目標とする住居を探す事ができる。視野が広くなっていることと、住居番号等の配列状況が解り易くなっているからである。
さらに、公共施設・著名建物以外にも、住居を探すうえで価値の大きい周辺住民の共通情報となっている建物名や植生等が表示されることとなるので、現在の住宅地図が持っている実際の現地での住居探しの効果を失うことがない。
総じて、地図上の目標検索から現地における到達までの迅速性・容易性が高まる。」

ク.「【0019】
従来の住宅地図は、各種の電子的記録媒体に記録され、電子住宅地図ソフト、カーナビソフト、インターネット利用による各種地図サービス等のベースとして多様に利用されている。本発明の地図は、電子化された場合(以下電子住宅地図という)に、従来の電子住宅地図に比べて住民名データを失っているから、各種の情報を住民名と電子的に結びつけることが出来ないという面がでてくる。しかし、地図上の位置と正しく整合された形で建物の存在と住居番号等の情報を保持しており、また一般住宅以外の建物・事業所等の情報を失っているものでもない。住居(市民の居住している建物)と連接可能あり、官公庁、企業、事業所、店舗等の建物やその名称とも結びつけ可能なものであって、一般市民の個人の名前と電子的に結びつけることが出来ないだけに過ぎない。それ以外のことは、従来の電子住宅地図と変わらない機能を発揮するものである。
従来の電子住宅地図をベースとした各種ソフトの状況は、次のように把握される。電子住宅地図ソフトでは、住所検索を実施すると、一般住宅でも住居番号等によりピンポイントで迅速に検索できるが、紙面の住宅地図同様住民名が表示される。カーナビソフトでは、街区あるいは地番程度までの住所検索が出来る。更にレベルの高いものは住居番号等によるピンポイントの検索が出来るが住民名が表示される。
従来の電子住宅地図をベースとしたインターネット有料地図サービスでは、住所検索において、住居番号等による迅速なピンポイント検索が出来る。目標の住居を含む周辺住民の建物の概形が表示された地図が現れ、目的地はここだと目印を付けた形で表示される。この地図上の建物には、住民名も住居番号等も記載されていない。従来の電子住宅地図をベースとして使用しているにもかかわらず、住居番号等や住民名は肉眼で見えないようプライバシーに配慮された形に加工されている。この有料地図サービスは、住所検索以外のその他の活用法、例えばルート設定や企業の事業所・店舗検索等、を数多く提供しているが、住民名データが必要になっていると考えられるものは全くといってよいほど無い。
一方で、インターネット上の無料の地図サービでは、住所検索では住居番号等によるピンポイントの迅速な検索が出来ない。街区や地番の入力によって目標を含む付近の地図が出るが、表示された画面には街区の中の建物に住居番号等が記載されていないから、目的の住居を探すことが出来ない。別のインターネット利用による有料地図サービスでは、住居番号等によるピンポイント検索ができるが、地点が示されるばかりで周辺の細かい道路や建物の表示が無い。したがって、実際には目標地点に行くことが難しい。これらの地図サービスは、電子化された大縮尺の地図情報(データベース)を持っていないということが考えられる。
従来の電子住宅地図をベースとしているソフトだけが、住所検索において、ピンポイントで迅速に検索できる有効な能力を持っているといえる。このソフトのサービスは、活用範囲が広くかつ良質である。しかし、本当に住民名が記載された電子住宅地図をベースにしなければならないかと考えると、住民名データーを必要としているサービス需要は、プライバシーへの配慮をも考えると、一般的に考えて極めて低いと言わざるを得ない。
住民名が記載されていない本発明の電子住宅地図は、従来の電子住宅地図と機能が変わらない状態で、十分に社会的需要に応えうる。更に、本発明の電子住宅地図は、加工しないでこれを各種画面上に目視できるように表した場合であっても、住民名を不必要・不特定多数の人に開示してしまうということが無い。住所検索において、住居番号等によりピンポイントで迅速に住居を検索できる。また、街区あるいは地番程度の情報の入力からでも、建物に住居番号等が記載された画面が出てくるから、目標を特定できるピンポイント検索と同様な効果を生み出すことが出来る。いろいろな活用法に加工し易い。しかも安価である。
【0020】
紙の地図帳が薄くなる、あるいは、小さくなる等の携帯性が改善される。
前述したように、本発明の地図が縮尺約1/3000で作成された場合、地勢地図、道路地図とは違う大縮尺の地図領域における汎用性の高い地図となることが考えられる。また、都市計画地図との調製も容易となる。
本発明により表示された紙に印刷された地図帳、あるいは電子的記録媒体に表現された地図帳において、市販の際に、取り扱い説明の内容に、わが国における住居表示の実際を説明表現しておけば、さらに使いやすくなる。このことは、市町村がインターネット等で広く市民に「住居表示に関する法律」に基づく制度の普及と理解を求めていることを助けることにもつながると考えられる。さらに、市民の地図判読能力を高める潜在力ともなると考えられる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、図1に示すように、一般住宅の家形枠(1)と該枠中の住居番号等(2)及び敷地境界(3)からなる。住民名は表示されない。
家形枠(1)は、住宅の存在とその建物の概略の形状・広がり・大きさを表現している。厳しく正確な形状を問われることはない。また、同一敷地内にいくつかの構造物が存在する場合には、その主たるもの(住民の生活の基盤となる建物)は、必ず表示されるほか、縮尺上の可能性を考慮して全てを表示されることを要しない。
敷地境界(3)は、隣接住民等との地面占有上の境界を云い、土地登記図の様な正確な占有領域を表現することを要しない。また必要な範囲で表示される。
住居番号等(2)は、住居番号若しくは地番あるいは地番の枝番をもって家形枠の中に記載される。住居番号等は、街区あるいは地番の中の一部であるから、その集合体である街区・地番等(4)は、隣接する街区・地番との混合を防止するため、線種あるいは色分け、濃淡分け等により識別された境界域とともに、適宜の位置に適当な表し方で表示される。明確に街区・地番の領域識別が出来る場合は、境界域は省略される。
本発明は、以上のような構造をしている。次に、利用の形態を説明する。
【0022】
図2は、本発明の表示方法を利用した地図を、解りやすく大きく表現した一例である。「住居表示に関する法律」による制度が行われている山川2丁目と、制度が及んでいない(字)栗原が隣接している。A道から西が山川2丁目、東が栗原である。山川2丁目の文字表示があり、街区・地番等(4)が街区符号で▲2▼と表示され、住居番号等(住居番号)(2)が住宅の家形枠(1)の中に記載され敷地境界(3)で区切られている。一方、栗原においては字名栗原が文字表示され街区・地番等(4)が地番で▲246▼と表示され住居番号等(地番の枝番)(2)が家形枠(1)の中に記載され敷地境界(3)で区切られている。
このように住民名が記載されていないから、家形枠が小さくなり、その結果、縮尺が小さくなり、この地域の住居番号等の配列状況が解り易くなっている。また、プライバシーに配慮されていることとなる。」

ケ.甲3には、【図2】として下のような図が記載されている。


コ.上記ア.より、甲3には、電子的記録媒体に記録された住宅地図が記載されており、さらに、上記ク.及び上記図2の記載より、甲3に記載されたこの生活地図は、道路及び建物を線図、文字、図形で表示したものであるといえる。

サ.上記オ.より、住宅地図上の一般住宅には、家形枠と共に住居番号等を記載し、一般住宅以外の建物へは建物名称ととともに住居番号等を記載することがわかる。したがって、一般住宅であっても、一般住宅以外の建物であっても、住居番号等を記載しているといえる。そして、甲3における住居番号等は、上記オ.より、「住居表示に関する法律」に基づく住居番号か不動産登記法に基づく地番を意味するといえ、さらに、上記ク.より、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を記載していることがわかるから、甲3に記載の住宅地図上の建物は、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示しているといえる。

(2)甲3発明の認定
上記ア.ないしサ.を含む甲3全体の記載を総合すると、甲3には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「甲3発明」という。)。

「電子的記録媒体に記録された住宅地図であって、
前記住宅地図は、道路及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記住宅地図上の建物は、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示する
住宅地図。」

4 甲4の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データに基づいて、指定された地域の地図画像を指定された縮尺サイズで描画する地図画像描画手段と、
前記地図画像描画手段で描画された地図画像に重畳させる情報であって、少なくともランドマーク、道路名、地名の何れかを含む付加情報を、前記地図データから抽出する付加情報抽出手段と、
前記付加情報抽出手段で抽出された付加情報を前記地図画像描画手段で描画された地図画像に重畳させた場合の付加情報の密集度合いを推定する密集度合い推定手段と、
前記密集度合い推定手段の推定結果に基づいて、前記付加情報を前記地図画像に重畳させて表示させるか否かを切り替える付加情報表示切り替え手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。」

イ.「【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムなどで用いられる地図表示装置及び地図表示方法に関し、特に、表示対象の地図画像上にランドマーク等の付加情報を重畳表示する際の制御技術に関する。」

ウ.「【0005】
しかしながら、表示対象の地図画像に重畳表示するランドマークの数を地図画像の縮尺サイズに応じて制限するといった従来の手法では、必ずしも満足のいく表示制御が行えない場合があった。すなわち、首都圏近郊の市街地などにおいては、縮尺サイズが小さい詳細地図を表示する場合でもそこに含まれるランドマークの数が多い場合があり、その一方で、郊外の山間部などにおいては、縮尺サイズが大きい広域地図を表示する場合でもそこに含まれるランドマークの数が少ない場合もある。このように、表示対象の地図画像の縮尺サイズとそこに含まれるランドマークの数とは、必ずしも対応した関係とはなっておらず、地図画像に重畳表示するランドマークの数を地図画像の縮尺サイズに応じて制限する従来の手法では、首都圏近郊の都市部などの詳細地図を表示したときに、重畳表示されるランドマークの数が過剰となって地図画像の視認性が低下するといった不都合を招くことがある。また、郊外の山間部などの広域地図を表示したときには、重畳表示されるランドマークの数が過剰に制限されてユーザの利便性が低下するといった不都合を招くことがある。
【0006】
なお、地図画像に重畳表示する付加情報としては、ランドマーク以外にも道路名や地名なども含まれるが、上述した問題は、これらランドマーク以外の付加情報を地図画像に重畳表示する場合にも共通して生じる問題である。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点を解消すべく創案されたものであって、地図画像に重畳させる付加情報の表示/非表示を適切に制御して、地図画像の視認性低下やユーザの利便性低下を極力回避できるようにした地図表示装置及び地図表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る地図表示装置及び地図表示方法では、前記目的を達成するために、少なくともランドマーク、道路名、地名の何れかを含む付加情報を表示対象となる地図画像に重畳させた場合におけるこれら付加情報の密集度合いを推定し、その推定結果に応じて、これら付加情報を地図画像に重畳させて表示させるか否かを切り替えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランドマークなどの付加情報を表示対象の地図画像に重畳すると付加情報が密集することが推定される場合には付加情報を非表示とし、付加情報が疎らになると推定される場合には付加情報を表示するといった付加情報の表示切り替えを行うことができるので、付加情報が過剰に表示されることによる地図画像の視認性低下を有効に防止できるとともに、付加情報の表示を過剰に制限することによるユーザの利便性低下も極力回避することができる。」

エ.「【0017】
制御部6は、本実施形態の地図表示装置における各部の動作制御を司るものであり、CPUやROM及びRAM、入出力インターフェース等の周辺回路がバスを介して接続されたマイクロコンピュータとして構成されている。この制御部6には、例えばGPS(Global Positioning System)受信機で受信されたGPS信号、地磁気センサやジャイロスコープ、距離センサ等の各種センサを用いた自立航法などによって特定された自車位置の情報や、操作スイッチやジョイスティックなどの入力手段からのユーザ操作入力の情報が入力される。制御部6は、これら自車位置の情報やユーザ操作入力の情報に基づいて、画像表示部5にナビゲーション画面として表示させる地図画像の中心位置座標や縮尺サイズを決定し、地図データ取得部1に該当する地図データを記録媒体から読み出す処理を行わせる。また、制御部6は、画像合成部4でのナビゲーション画面の作成処理を制御するが、このとき、地図画像描画部2で描画された地図画像に付加情報抽出部3で抽出されたランドマークを重畳させた場合のランドマークの密集度合いを推定し、その推定結果に基づいて、地図画像にランドマークを重畳させて表示させるか否かを切り替える制御を行う。すなわち、本実施形態の地図表示装置では、この制御部6が「密集度合い推定手段」としての機能と、「付加情報表示切り替え手段」としての機能とを有している。
【0018】
具体的には、本実施形態の地図表示装置における制御部6は、例えば、地図画像描画部2で描画された地図画像の道路密度を算出し、算出した道路密度が所定の基準値よりも低ければランドマークが疎らとなると判断してランドマークを地図画像に重畳させて表示させるようにし、算出した道路密度が所定の基準値よりも高ければランドマークが密集すると判断してランドマークを表示させないように制御する。ここで、道路密度とは、表示対象となる地図画像内にどの程度の割合で道路が含まれているかを表すものであり、表示対象となる地図画像内に含まれる全ての道路の長さを加算することで求められる。
【0019】
一般的に、地図上で目印となるガソリンスタンド、銀行、コンビニエンスストア等のランドマークとなる施設は、道路に沿って設置されていることが殆どであり、また、このようなランドマークとなる施設は、道路が密集する市街地などに集中する傾向にある。したがって、地図画像の道路密度を算出することで、当該地図画像にランドマークを重畳させた場合のランドマークの密集度合いをある程度正確に推定することが可能となる。また、地図画像の道路密度は、表示対象の地図画像が決まればその地図画像を描画するためのリンクデータから容易に求めることができるので、ランドマークの密集度合いを簡便に推定する手法として極めて有効である。
【0020】
なお、ここでは、ランドマークの密集度合いを推定する手法として地図画像の道路密度を算出する例を挙げて説明しているが、ランドマークとなる施設以外も含めた各種建造物の情報が地図データ取得部1で取得した地図データに含まれている場合には、表示対象となる地図画像に含まれる建造物の密度から、ランドマークの密集度合いを推定するようにしてもよい。また、地図データ取得部1で取得した地図データに基づき、地図画像で表される地域の人口密度を推定できる場合には、その人口密度からランドマークの密集度合いを推定するようにしてもよい。さらに、付加情報抽出部3で抽出された付加情報のうちのランドマークの数を計数して、その総数からランドマークの密集度合いを推定するようにしてもよい。」

オ.「【0031】
また、上述した例では、表示対象の地図画像に重畳させる付加情報としてランドマークに着目し、表示対象の地図画像にランドマークを重畳させた場合におけるランドマークの密集度合いに応じて、当該ランドマークを重畳表示させるか否かを切り替えるようにしているが、例えば道路名や地名などの他の付加情報を地図画像に重畳表示させるか否かの切り替えについても、同様の手法を採用することが可能である。すなわち、表示対象の地図画像に道路名や地名を重畳させた場合におけるこれらの密集度合いを、例えば地図画像の道路密度などから推定し、道路密度が所定の基準値より低ければ道路名や地名などが疎らとなると判断してこれらを地図画像に重畳させて表示させるようにし、算出した道路密度が所定の基準値よりも高ければ道路名や地名などが密集すると判断してこれらを表示させないように制御することも可能である。
【0032】
このように、例えば道路名や地名などのランドマーク以外の付加情報についても上述した手法で表示切り替えを行うことにより、地図画像の視認性低下を招かない範囲で、これら付加情報の表示を積極的に行うことができ、ユーザの利便性向上を図ることができる。特に、道路名に関しては、従来、表示対象の地図画像の縮尺サイズに応じて表示する道路種別が決定され、例えば縮尺サイズの大きい広域地図を表示する場合に階層の低い道路の名称は表示されないのが一般的であったが、上述した手法で道路名の表示切り替えを行うようにすれば、広域地図を表示する場合であっても、地図画像の視認性低下を招かない範囲で階層の低い道路名を重畳表示することができ、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0033】
なお、道路名や地名などの付加情報の密集度合いを地図画像の道路密度から推定する場合には、道路名や地名などの道路密度に対する依存性がランドマークの道路密度に対する依存性とは異なるので、判定の基準となる道路密度の基準値については、付加情報の種別に応じて各々個別に設定しておくことが望ましい。これにより、付加情報を地図画像に重畳表示させるか否かの判断を、各種別毎に最適に行うことが可能となる。」

5 甲5の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
地図データを記憶した地図データ記憶手段と、道路の属性情報を記憶した道路属性記憶手段と、施設情報を記憶した施設情報記憶手段とを用い、施設の位置を示す施設指標を前記地図データに基づく地図上に表示するナビゲーション装置において、
地図への表示対象の施設を前記施設情報記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記属性情報に基づき、施設に隣接する道路の属性を取得する道路属性取得手段と、
施設に隣接する道路の属性に基づき、該施設の位置を示す前記施設指標の表示の可否を判断する表示判断手段と、
前記表示判断手段により非表示とすると判断された前記施設指標を間引き、表示する前記施設指標を前記地図データに基づく地図上に表示する出力制御手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。」

イ.「【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、その案内方法及び案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ナビゲーションシステムは、自車位置周辺のガソリンスタンド、コンビニエンスストア等の施設の位置を、地図画面上に表示されたアイコンによって案内している。このアイコンは、アイコン自身に描画された図柄や文字等によって、例えば「ガソリンスタンド」といった、案内対象となる施設のカテゴリを案内する。運転者は、地図画面に表示されたアイコンによって、自車位置周辺にある施設のカテゴリと施設の位置を得ることができる。
【0003】
しかし、地域や地図縮尺によっては、各施設を示すアイコンが重なることがある。例えば、図11に示す地図画面100のように、施設が局所的に密集すると、アイコン101の重なりが生じ、各アイコン101が表すカテゴリを見分けることが困難になる。」

ウ.「【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザにとって必要性の高い施設指標を視認しやすい状態で地図上に表示することができるナビゲーション装置、その案内方法及び案内プログラムを提供することにある。」

エ.「【0024】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置としてのナビユニット2、自車位置検出部3、地図データ記憶手段、道路属性記憶手段、施設情報記憶手段としての地理情報記憶部5、画像データ記憶部6及びディスプレイ7を備えている。」

オ.「【0036】
次に、本実施形態の処理手順について図5に従って説明する。まず、CPU10は、地図画面Mの表示開始を待機する(ステップS1)。例えば、CPU10は、イグニッションスイッチ(図示略)等からオン信号を入力した際に、その信号をトリガとして地図画面Mの表示を開始する。
【0037】
地図画面Mの表示を開始すると判断すると(ステップS1においてYES)、地図画面Mに表示する施設を検索するための検索中心点を設定する(ステップS2)。このとき、CPU10は、現在の自車位置等を検索中心点とする。
【0038】
検索中心点を設定すると、CPU10は、地理情報記憶部5に記憶された施設データ21hを用いて検索中心点に近い施設を順番に抽出する(ステップS3)。このとき、CPU10は、各施設の座標21kと検索中心点との相対距離を演算し、該相対距離が短い施設から順に抽出してもよい。或いは、検索中心点から、道路沿いに施設までの距離を演算し、その距離が短い施設から順に抽出してもよい。
【0039】
CPU10は、一つの施設を抽出すると、抽出した施設が隣接する道路の属性を判断し、該施設の道路属性が、所定レベル未満であるか否かを判断する(ステップS4)。例えば、所定レベルを「国道又は県道」等の道路種別とし、施設が隣接する道路が「国道又は県道」未満のレベルの道路であるか否かを判断するようにしてもよい。例えば、図6に従って説明すると、主要道路R1沿いの施設(図ではアイコン30I)に対しては、施設に隣接する道路の属性が所定レベル以上であると判断する。また、細街路R2沿いの施設(図ではアイコン30J)に対しては、施設に隣接する道路の属性が所定レベル未満であると判断する。尚、施設に隣接する道路は、その施設の座標21kに最も近い道とする。施設が、複数の異なる属性の道路に面している場合には、国道、県道等の上位の道路について判断する。
【0040】
或いは、所定レベルを、その時点で選択されている地図縮尺において、地図画面Mに表示される道路種別のレベルとしてもよい。そして、施設が隣接する道路の属性が、その時点で選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、施設が隣接する道路の属性が所定レベル未満であると判断してもよい。
【0041】
或いは、所定レベルを、自車が現在走行している道路種別のレベルとし、施設が隣接する道路の属性が、自車が現在走行している道路の属性よりも、下位のレベルの道路である場合には、所定レベル未満であると判断してもよい。或いは、施設が隣接する道路の属性が、自車が現在走行している道路沿いではない場合に、所定レベル未満であると判断してもよい。
【0042】
施設の道路属性が所定レベル以上であると判断すると(ステップS4においてNO)、ステップS6に進む。施設の道路属性が、所定レベル未満であると判断すると(ステップS4においてYES)、道路属性に基づき、所定レベル未満に該当する施設を間引く(ステップS5)。このとき、CPU10は、所定レベル未満の施設を非表示とする。例えば、所定レベルが「国道又は県道といった道路種別である場合には、図6中、細街路R2沿いの施設(図ではアイコン30J)を間引く対象とする。
【0043】
ステップS6では、所定レベル以上の施設の施設情報をRAM11又は図示しないフラッシュメモリ等に記憶する(ステップS6)。図6の場合、主要道路R1沿いの施設(図ではアイコン30I)の施設情報を記憶する。施設情報は、施設データ21h全部でもよいし、施設名称21iのみでもよい。これにより、地図画面M上に表示する施設の施設情報が上記メモリに蓄積される。このとき、道路属性に基づいて予め間引きするため、全体として施設情報をロードする際にかかる時間を短縮化できるとともに、上記メモリの空き領域の消費を抑制することができる。
【0044】
そして、CPU10は、検索中心点を基準とした範囲内の全ての施設について検索終了したか否かを判断する(ステップS7)。例えば、検索中心点を中心に所定距離範囲内の施設を全て検索した場合には、検索終了であると判断する。検索終了であると判断した場合には(ステップS7においてYES)、ステップS8に進む。検索中心点の周辺において、まだ検出していない施設がある場合には、検索終了でないと判断して(ステップS7においてNO)、ステップS3に戻る。そして、検索中心点の周辺の全ての施設を検出し終わるまで、ステップS3?ステップS7を繰り返す。その結果、上記メモリには、所定レベル以上の道路に隣接する施設の施設情報が蓄積される。
【0045】
全ての施設を検索し終わると、ステップS8では、CPU10は、上記メモリに記憶された施設情報を用いて、各施設のアイコン30を表示した際に、アイコン30の重なりがあるか否かを判断する(ステップS8)。このステップでは、施設データ21hを用いて、各施設の道路属性に基づく間引きを行っても、重なりが生じるアイコン30を間引きする。このときCPU10は、施設データ21hの座標21kと予め記憶したアイコン30の幅及び長さとに基づき、地図画面Mを表示するための画面座標系でのアイコン30が占有する領域を演算し、互いに隣り合う各アイコン30が重なるか否かを判断する。例えば、図7に示すように、アイコン30Aの一部にアイコン30Bが重なっている場合、アイコン30A自身の幅W1と、アイコン30Bによって遮られていない領域の幅W2との比(W2/W1)を算出する。さらに、その比(W2/W1)が所定値K未満であるか否かを判断し(所定値Kは1以下)、所定値K未満である、即ちアイコン30の重複が大きいと判断した場合には、アイコン30Aの重複が大きいと判断する。この所定値Kを「1」に設定して、アイコン30が僅かでも重なる場合には、全て重なりが生じる渡判断してもよい。或いは、所定値Kを、各アイコン30が重なっても、施設のカテゴリを判別することができる状態に応じた閾値に設定し、僅かな重なりであれば許容するようにしてもよい。
【0046】
ステップS8においてアイコン30の重なりが無いと判断すると(ステップS8においてNO)、画像プロセッサ15は、地図画面Mを出力する(ステップS10)。このとき、画像プロセッサ15は、自車位置周辺の地図データ21を読み出し、地図データ21、自車位置を示すアイコン、操作ボタン等を重ねてディスプレイ7に出力する。また、メモリに蓄積された施設情報を読み出し、該施設情報に該当するカテゴリのアイコンデータ22を読み込み、アイコンデータ22に基づくアイコン30を地図画面M上に表示する。」

カ.「【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図10に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態の処理手順の一部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0055】
ナビゲーションシステム1のCPU10は、第1実施形態と同様に、地図画面Mの表示を待機し(ステップS1)、地図画面Mの表示を開始すると判断すると(ステップS1においてYES)、検索中心点を設定し(ステップS2)、検索中心点に近い施設から順番に抽出する(ステップS3)。
【0056】
そして、CPU10は、隣り合うアイコン30の重なりがあるか否かを判断する(ステップS20)。アイコン30の重なりが無いと判断すると(ステップS20においてNO)、ステップS22に進み、施設情報を上記メモリに記憶する。アイコン30の重なりがあると判断すると(ステップS20においてYES)、施設情報に基づき間引きを行う(ステップS21)。即ち、第1実施形態では、重複の有無に関わらず、施設が隣接する道路属性が所定レベル未満であるアイコン30を間引くようにしたが、第2実施形態では重複が生じた場合のみ、施設情報に基づく間引きを行う。例えば第1実施形態と同様に、CPU10は、重なりが生じたアイコン30に対応する施設が隣接する道路を判断し、該道路の属性を取得する。さらに、取得した道路属性が所定レベル以上であるか否かを判断し、所定レベル未満である場合にはその施設を間引く対象とする。
【0057】
さらにCPU10は、間引かれなかった施設の施設情報をメモリに記憶する(ステップS22)。そして、検索中心点を中心とした所定距離範囲内の全ての施設を検出したか否か判断し(ステップS23)、検出が終了したと判断した場合には(ステップS23においてYES)、ステップS24に進む。
【0058】
ステップS24では、地図画面Mの見やすさを向上させるために、上記メモリに記憶されたアイコン30に対し、重なりがあるか否かを第1実施形態のステップS8と同様に判断する。ステップS21で間引き処理を行った場合でも、アイコン30に重なりがあると判断した場合には、さらにアイコン30を間引いて、各アイコン30が示す情報を判別可能な状態にする。アイコン30を間引くと、画像プロセッサ15は、上記メモリに記憶された施設情報に基づき、施設を示すアイコン30を表示した地図画面Mを出力する(ステップS26)。
【0059】
従って、第2実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(3)第2実施形態では、ナビゲーションシステム1のCPU10は、検索中心点を中心とした所定距離範囲の施設を抽出し、隣合うアイコン30が重なるか否かを判断するようにした。さらに、重なりが生じる場合には、各施設に隣接する道路の属性を地図データ21に基づき取得し、該道路属性が所定レベル未満であるか否かを判断するようにした。さらに、所定レベル未満である施設を間引き、所定レベル以上である施設のアイコン30を地図画面M上に表示するようにした。このため、広域の地図縮尺が設定され、施設が密集した地域の地図を表示する場合であっても、ユーザにとって必要性が高いアイコン30を、見やすい状態で表示することができる。また、アイコン30の重なりが生じない場合には、その施設に隣接する道路の属性が所定レベル未満であるとしても間引かないので、自車位置周辺の施設に関する情報を可能な限り多く提供することができる。」

6 甲6の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲6には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】 地図を3次元表示する地図表示装置であって、
建造物に対応付けられた3次元モデルを複数記憶する地図データを入力する地図データ入力部と、
前記複数の3次元モデルから表示対象となる3次元モデルを抽出する抽出部と、
該抽出された3次元モデルを用いて、地図の3次元表示を行う表示部とを備え、
前記抽出部は、前記3次元表示時に前方に表示すべき道路の周辺の所定範囲内に位置する3次元モデルを表示対象として抽出する地図表示装置。」

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地図を3次元表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータに地図を表示させる技術が利用されつつある。例えば、いわゆるカーナビゲーションシステムは、現在位置など所望の位置における地図を表示する機能を備える。また、パーソナルコンピュータや携帯デバイスにおける地図表示技術も実用とされつつある。
【0003】また、地図表示に3次元表示を利用する技術も利用されつつあった。ここに3次元表示は、リアリティの高い表現が可能であり、地図の直感的な把握が容易であるなどの利点がある。コンピュータなどにおける3次元表示は、従来、一定領域の建造物全体を3次元的に表示する態様が取られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、地図を3次元表示することは非常に複雑かつ煩雑な処理を要していた。特に、カーナビゲーションシステムや携帯デバイスにおいて3次元表示を行うことは困難であった。パーソナルコンピュータや携帯デバイス、カーナビゲーションシステムのそれぞれについて、ハードウェア資源による限界が存在する。このため、地図の3次元表示については、制限的・部分的なものに止まらざるを得なかった。
【0005】本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、地図を3次元表示する技術の実用性の向上を目的とする。」

ウ.「【0038】A.第1実施例:図1は、地図表示装置の概略構成図である。地図表示装置100は、ネットワークINTを介して、地図サーバSRVから、表示対象とする地図データを取得する。また、地図表示装置100は、GPS(Global Positioning System)その他のセンシング機能を利用して地図データと自らの位置を対比することが可能である。ユーザは、リモコン103又は操作パネル101等を利用して地図表示装置100に地図表示を行わせることができる。地図表示装置100は、ユーザの指示に基づいて地図を3次元表示するための処理を行う。ここで、地図表示装置100は表示デバイス102を備えており、3次元表示を少なくとも一部に含みつつ、地図表示をユーザに提供することができる。
【0039】図1には地図表示装置100の機能ブロック構成を併せて示した。地図表示装置100は、CPUおよびメモリ等を備えたマイクロコンピュータとして構成された制御ユニット200を備えており、図示する機能ブロックは、それぞれ制御ユニット200の機能としてソフトウェア的に構成されている。もっとも、各機能ブロックは、ハードウェア的に構成しても構わない。
【0040】なお、図1では、カーナビゲーションシステムとしての構成を例示したが、ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ等を用いて地図表示装置100を構成することもできる。かかる場合に、制御ユニット200の機能ブロックは、必ずしも単体のコンピュータ内に全てを構築する必要はない。互いに通信する複数の装置が全体として制御ユニット200を構成するものとしてもよい。例えば、ローカル接続する2つの装置に物理的に分離する場合や、その他ネットワークを利用して構成する場合が考えられる。
【0041】地図データ入力部310は、地図表示装置100は、ネットワークINTを介して、地図サーバSRVから、3次元表示の対象とする地図データを取得する。地図データには、道路や道路間の接続に関する情報、それらの緯度・経度等の座標情報の他、3次元表示を行う建造物についての3次元モデルデータを含む。地図サーバSRVは、地図表示装置100の外部にある装置であり、ネットワークを介して地図表示装置100と接続し、地図データを送付する機能を備える。
【0042】なお、ネットワークINTは、インターネットのような広域的なネットワーク、およびローカルエリアネットワーク、イントラネットなどの限定的なネットワークの双方を含む。またネットワークINTは、無線LANや携帯無線電話通信技術を利用したネットワークであってもよい。
【0043】また、地図データの取得は、CD(Compact Disk)やDVD(Disital Video Disk)等の情報記憶媒体を利用して行うものとしてもよい。
【0044】地図記憶部300は、地図データ入力部310が入力する地図データを記憶する。地図記憶部300は、その一部を通路記憶部400及び表示記憶部500として構成している。
【0045】通路記憶部400は、道路とその接続関係の情報を、緯度・経度情報と関連付けつつ記憶する。すなわち、通路記憶部400は、道路を、緯度・経度を有するノードとノード間を接続するリンクとの集合で記憶する。通路記憶部400は、かかるノードとリンクとの抽象的な構造(以下グラフと呼ぶ)を記憶する。ノードとリンクとはそれぞれ交差点と道路とにそれぞれ対応するものである。
【0046】他方、表示記憶部500は、地図の3次元表示用の3次元モデルを記憶する。例えば、ポリゴンデータやボリュームデータ、テクスチャデータなどを記憶する。本実施例で3次元表示は、建造物ごとに管理して行う。建造物は、建築物に加えて、道路、橋梁、標識、その他地図に表示すべき人工物であって、表示を一体的に管理すべき要素単位である。表示記憶部500は、建造物ごとに、緯度・経度・高度を付した代表点を有する立体形状を記憶している。なお、以下の説明では、主として、建築物を例にとって説明を行うが、かかる場合に限定されるものではない。
【0047】位置情報入力部211は、現在の位置の情報を入力する。位置情報は、GPSの機能によって生成される。また、その他のセンシングシステムの機能によっても生成される。後者の機能については、例えば、車両に搭載するカーナビゲーションシステムの場合、車両の車軸やハンドル等に備えられた回転センサを基礎とした位置情報を、位置情報入力部202が入力する。
【0048】ユーザ入力部212は、リモコン103を介したユーザ入力を入力する。また、ユーザ入力部220は、操作パネル101に基づいたユーザ入力も入力する(図中には明示せず)。ユーザは、リモコン103や操作パネル101を利用することで、地図の3次元表示を実行させることができる。例えば、地図表示の視点について、位置情報入力部202が入力する位置情報が示す現在位置を採用することを指定することができる。なお、ユーザ入力部212は、ネットワークINTその他のネットワークを介したユーザ入力を入力するものとしてもよい。
【0049】表示制御部210は、位置情報及びユーザ入力に基づいて、地図表示を制御する。
【0050】抽出部600は、地図画像の3次元表示の対象とすべき建造物を抽出する機能を奏する。かかる抽出処理は、3次元表示を行う視点情報に基づき、通路記憶部400及び表示記憶部500を参照しつつ行う。例えば、現在の位置情報からして、明らかに表示の対象となるべくない遠方の建造物を、3次元表示処理の対象から除外する機能を奏する。
【0051】本実施例では、具体的には、抽出部600の抽出処理において、現在位置等の視点位置にあるリンクに応じて建造物を抽出する。このために、基準とするリンクを位置情報等に基づいて選択する機能を持つ。抽出部600は、選択リンクと建造物との距離を計算して、所定の範囲内にあるもののみを取り出すことで、抽出処理を実現する。なお、その他の抽出処理の態様について、後述の実施例で説明する。」

エ.「【0063】例えば図4で、抽出部600は、視点データに基づいてリンクpを選択し、リンクpと建造物f,g,h,i,j,k,mとの距離をそれぞれ計算し、所定の制限距離との大小を比較する(ステップSa02)。この処理に基づき、所定の制限範囲内の距離にある、建造物h,i,j,kを抽出することができる(ステップSa03)。」

オ.「【0069】図5は、地図を3次元表示する態様を例示する説明図である。これは、図4を利用して説明した処理の結果の一例を示したものである。表示デバイス102には、ステップSa02,Sa03の抽出処理により、建造物h,i,j,kに対応する3次元表示Yh,Yi,Yj,Ykのみが含まれており、建造物f,g,mに対応すべき3次元表示(点線で図示するYf,Yg,Ym)は含まれない。なお、図1では、同様の場合について、異なる態様で表示したものを変形例として示している。」

7 甲7の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲7には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】
緊急避難が必要となる災害の情報を配信する災害情報配信サーバと、
上記災害情報配信サーバから配信された災害情報の受信をトリガとして自端末の現在位置を検出し、その現在位置情報を避難誘導サーバへ送信し、その後当該避難誘導サーバから送信されてきた避難経路情報により、自端末のユーザを避難誘導するためのナビゲーション処理を実行する携帯情報端末と、
緊急避難が必要となる災害の情報と、上記携帯情報端末から受信した上記現在位置情報と、上記携帯情報端末の現在位置周辺の地図情報とを基に、上記携帯情報端末のユーザが緊急避難するための避難経路情報を生成して上記携帯情報端末へ送信する避難誘導サーバと、
により構築されてなる避難誘導システム。」

イ.「【0001】
本発明は、例えば津波発生時のような緊急避難が必要な時に、ユーザを緊急避難場所へ速やかに誘導可能とする避難誘導システム、避難誘導方法、避難誘導サーバ、携帯電話端末等のようなユーザが常に持ち歩く携帯情報端末、及びその携帯情報端末の避難誘導プログラムに関する。」

ウ.「【0005】
ところで、上述のようなナビゲーションサービスは、ユーザが目的地や検索条件等を入力することでナビゲーションが開始されるものとなされている。したがって、当該ナビゲーションサービスを受けることを望むユーザは、自らが目的地を特定し、また、その目的地を表す情報や当該目的地までの経路を要求することなどの情報を端末を通じて入力し、さらに、それらの情報をサービス提供者側へ送るための入力操作などを行わなければならない。
【0006】
このようなことから、例えば津波発生時など、緊急に安全な目的地を定めて移動(すなわち緊急に安全な場所へ避難)しなければならないような場合には、上述した従来のナビゲーションサービスでは対応できない。すなわち、安全な場所へ緊急に避難しなければならない場合において、安全な場所の検索やそのための入力等を行った上でナビゲーションサービスへ接続し、その後にナビゲーションが実際に開始されるのでは、津波から逃げ遅れてしまう危険性が非常に高い。また、現状のナビゲーションサービスでは、例えば津波から避難するような場合に、どの場所(高さ等)まで逃げれば安全なのかどうかを知る方法がなく、避難誘導としては不完全と言わざるを得ない。その他にも、津波発生時などの緊急時には、人はパニックに陥ってしまうことがあり、そのような場合、緊急避難のためにナビゲーションサービスを利用することそのものを忘れてしまう虞もある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば津波発生時など緊急避難が必要となった場合に、緊急避難が必要なことをユーザへ確実に知らせることができるとともに、そのユーザを安全な避難場所へ速やかに誘導することを可能とする避難誘導システム、避難誘導方法、避難誘導サーバ、携帯情報端末、及びその携帯情報端末の避難誘導プログラムを提供することを目的とする。」

エ.「【0015】
この図1において、本発明実施形態の避難誘導システムは、少なくとも、携帯電話端末1、災害情報管理サーバ4、災害情報配信サーバ5、避難誘導サーバ2、地図情報管理サーバ3を有して構成されている。」

オ.「【0019】
すなわち本実施形態において、携帯電話端末1は、電子メールプログラムにより、上記災害情報配信サーバ5から自端末に宛てて配信された上記災害情報(津波情報)の電子メールを受信すると、それをトリガとして、上記避難誘導プログラムを自動的に起動させる。なお、上記受信した電子メールが上記災害情報を配信するメールであるか否かは、例えば当該災害情報の配信用として予め決められているフラグが例えばメールヘッダ等に付加されていることの検知や、電子メールの件名に入れられた所定のテキスト情報の検知、或いは、その電子メールの送信元アドレス(災害情報配信用に予め決められている電子メールアドレス)の検知などにより判定することができる。
【0020】
上記避難誘導プログラムが起動すると、携帯電話端末1は、例えば、バイブレータを振動させたり、スピーカから避難用のアラーム音やメッセージ音声を出力させたり、ディスプレイ画面上に避難すべきことを通知するメッセージを表示することにより、ユーザに直ちに避難が必要であることを知らせると同時に、緊急避難誘導のナビゲーションが行われることを通知する。
【0021】
またこの時の携帯電話端末1は、避難誘導プログラムによる制御の基で、GPS機能を起動させて自端末の現在位置を取得し、その現在位置情報を、予め決められている避難誘導サーバ2へ送信する。なお、避難誘導サーバ2へは、上記現在位置情報とともに、上記受信メールの本文に記述されていた上記津波が到達する場所、津波の到達予想時刻、予想される津波の高さの情報も送信される。また、それら現在位置情報等の送信は、携帯電話網を通じた送信や電子メールによる送信など、予め決められた通信媒体を用いて行われる。
【0022】
上記避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1から上記現在位置情報等を受信すると、先ず、現在位置情報に基づいて、携帯電話端末1の現在位置を中心にした周囲の地図情報を地図情報管理サーバ3から取得する。さらに、避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1の現在位置の周囲の地図情報と、災害情報管理サーバ4から受け取っている災害関連情報と、上記携帯電話端末1から送られてきた上記津波が到達する場所、津波の到達予想時刻、予想される津波の高さの情報とを基に、上記津波から携帯電話端末1のユーザが最も早く(つまり最も近く)且つ安全に避難するための避難場所を特定するとともに、上記現在位置から当該避難場所までの避難経路を算出する。また、避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1の現在位置に実際に津波が到達する予想時刻と、その現在位置へ到達する津波の予想高さをも算出する。なお、津波から端末ユーザを避難させる場合には、一刻を争うことになるため、上記到達予想時刻については、例えば秒単位で表される詳細な時間とする。また、避難場所としては、通常の災害時などに利用される指定避難場所ではなく、ユーザが最も素早く到達できる高所(海抜の高い地、高いビルなど)を指定する。但し、避難場所としてビルを特定する場合には、地震によりエレベータが利用できなくなっていることを想定し、ユーザが階段を登る時間も考慮した計算を行う。このため、地図情報管理サーバ3から取得する地図情報は、ユーザが利用可能な階段の数や階段の幅の情報をも含むものとする。そして、避難誘導サーバ2は、上記避難経路とその周辺を表す地図情報、上記実際に津波が到達する予想時刻、津波の予想高さ等の情報を、携帯電話端末1へ送信する。
【0023】
携帯電話端末1は、上記現在位置情報の送信等に対する応答として、上記避難誘導サーバ2から送信されてきた上記避難経路等の情報を受信すると、例えば、バイブレータを振動させたり、スピーカからの音声出力やディスプレイ画面上の表示により、避難誘導のナビゲーションが実際に開始されることをユーザへ通知する。次いで、携帯電話端末1は、上記避難経路の情報と、電子コンパスから得られる方角情報(方位情報)とを基に、ディスプレイ画面上に、避難経路及び避難経路を表す地図と、ユーザが避難すべき方向(進むべき方向)と、津波が到達するまでの残り時間を表示して、緊急避難誘導のナビゲーションを実行する。なお、ディスプレイ上の表示とともに、音声ガイドによる避難誘導をも行うことが望ましい。また、津波到達時間までの残り時間に応じて、急ぐべきかどうかを判断して、ユーザへガイドすることが望ましい。
【0024】
これにより、携帯電話端末1のユーザは、緊急に避難するべきことを即座に知ることができるとともに、避難用のナビゲーションプログラムをユーザが自ら起動させる操作等を行う必要がなく、また安全な場所の検索やそのための入力等をユーザが自らが行わなくても、安全な避難方向や避難経路を知ることができることになる。また、本実施形態によれば、ディスプレイ表示や音声によるナビゲーションが自動的に行われるため、例えばユーザがパニックに陥って正常な操作が出来ない状態であったとしても安全に避難場所へ誘導することが可能となる。
【0025】
なお、上述の説明では、災害情報配信サーバ5,避難誘導サーバ2,地図情報管理サーバ3、災害情報管理サーバ4を、それぞれ独立したものとしているが、それらは一つに纏められていてもよいし、或いは、災害情報管理サーバ4以外の他の三つのサーバが一つに纏められても、若しくは、避難誘導サーバ2と地図情報管理サーバ3のみが一つに纏められていてもよい。
【0026】
[避難誘導時における携帯電話端末のディスプレイ表示例]
図2には、上述のように避難誘導のための情報が表示された状態の携帯電話端末1のディスプレイ画面表示の一例を示す。
【0027】
図2において、携帯電話端末1のディスプレイ画面31上には、避難場所を表す避難場所マーク42と自端末(ユーザ)の現在位置を表す現在位置マーク43及びそれらを含む地図40とが表示される。なお、図2の例では、津波到達予想時刻等の表示の図示は省略している。また、ディスプレイ画面31上には、上記地図40とは別に、ユーザが見やすい大きな表示により、現在位置(43)から避難場所(42)までの方向を示す避難方向マーク41が表示される。なお、当該避難方向マーク41は、地図40上に表示してもよい。」

8 甲8の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲8には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】 測位手段の測位動作により取得された自己の現在地を示す測位位置データを補正する測位誤差補正方法において、
前記測位手段により測位位置データを取得した後、その測位位置データ及び自己が入力した実際の現在地を示す既知の位置データに基づき、前記測位位置データを前記位置データに補正する補正データを作成するとともに記憶し、それ以後、前記測位手段により取得した測位位置データを前記補正データに基づき補正することを特徴とする測位誤差補正方法。」

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、ナビゲーション装置等に用いて好適な測位誤差補正方法及び測位誤差補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーナビゲーションシステムにおいては、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を測位し、地図CD-ROMの地図情報をもとに地図上に自車位置を表示するのが一般的であるが、測位手段であるGPSによる測位精度にはGPS衛星からの電波の遅延や、発信側の事情により不可避的に誤差が存在する。また、GPSによる前記誤差を補正して測位精度を向上させる方法としては、例えばデファレンシャルGPSと称する方法がある。かかる方法は、先ず放送局等の正確な位置が既知である基準局を設け、その基準局においてGPS衛星からの電波を受信して測位したときの位置と、既知である正確な位置とを比較することにより特定の測位システムにおける測位誤差を決定する一方、同じ地域で同じ測位システムの使用者に対して、基準局にて決定した測位誤差データ又はその補正係数データ等の補正データを送信し、その補正データに基づき使用者側が測位システムにより取得した測位位置データを補正するというものである。」

ウ.「【0004】本発明はかかる従来の課題に鑑みなされたものであって、主として測位システムによる測位誤差を単独で補正することができる測位誤差補正方法及び測位誤差補正装置を提供することを目的とする。」

エ.「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本発明に係る車載用のナビゲーション装置を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、自車の走行軌跡を記憶するとともに表示する軌跡表示機能や、目的地までの経路を計算し、その経路に沿って使用者を目的地へ案内する経路誘導機能などの一般的な機能を備えたものであって、GPSアンテナ1及びGPS部2を有している。GPS部2は、本発明の測位手段であってGPSアンテナ1により受信した衛星からのL1帯のC/Aコードを復調・解読して現在地を示す緯度・経度データつまり測位位置データを割り出す測位動作を行う。GPS部2により割り出された緯度・経度の情報はバス3を介してCPU4に取り込まれる。CPU4には、その動作に必要なプログラムが記憶されたROM5、及びCPU4の動作に必要な各種データが記憶されるRAM6が、それぞれバス3を介して接続されている。RAM6は本発明の記憶手段であって、バックアップ電源によりナビゲーション装置の電源オフ時においてもメモリ内容が保持されるようになっている。また、バス3にはグラフィックコントローラ7と、CPU周辺回路G/A8と、本発明の補正データ作成手段である補正データ演算回路9が接続されており、CPU周辺回路G/A8にはCD部10が接続されている。
【0013】CPU4は、CPU周辺回路G/A8を介してCD部10に装着された地図CD-ROM11から、現在地周辺の地図/道路情報、すなわち道路データや地名データ、道路の交差点の位置を示すノードデータ、道路リンクデータ、誘導経路の計算等に用いられる交通規制データ等を読み込み、それらの情報をビデオRAM12に画像情報として展開記憶させ、表示手段であるモニタ13の画面上に現在地周辺の地図を表示させる。また、CPU周辺回路G/A8には、モード選択などナビゲーション装置の操作するために設けられたMENUキー、カーソルキー、決定キー等の図示しない各種の操作キーを有するキー入力部14が接続されている。なお、CPU4とキー入力部14により本発明の指定手段が実現されるとともに、CPU4により本発明の補正手段、制御手段、検出手段、交差点データ抽出手段、補正制御手段がそれぞれ実現されている。
【0014】次に、以上の構成からなるナビゲーション装置の動作を、図2及び図4のフローチャートに従って説明する。すなわち、ナビゲーション装置は電源が投入されると、GPS部2によって取得した測位位置データ(緯度・経度データ)に基づき、図3に示したように、自車位置を示す自車位置マークMが表示された、現在地周辺を示す縮尺率の大きな詳細地図をモニタ13に表示する(SA1)。なお、図3に示した表示例は、GPS部2によって取得した測位位置データに、GPS衛星からの電波の遅延や、発信側の事情による測位誤差があり、実際にはコンビニエンス・ストアSの店先で停車又は駐車しているにもかかわらず、つまり実際の現在地がB地点であるにもかかわらず、そこから少し離れたA地点に自車位置マークMが表示された場合のものである。引き続きナビゲーション装置は、詳細地図をモニタ13に表示したのち位置補正モードが選択されると(SA2)、カーソルキーが操作されたか否かを判別する(SA3)。ここでカーソルキーが操作されると、カーソルキーの操作に従って自車位置マークMを移動した後(SA4)、ステップSA5へ進み、カーソルキーの操作がなければ、そのままステップSA5へ進む。
【0015】ステップSA5においては、決定キーが操作されたか否かを判別し、その操作がなければステップSA3に戻る。一方、決定キーが操作されると、自車位置マークMを移動した地点、例えば自車位置マークMがB地点に移動されたときにはB地点を指定地点とし、その地点周辺の地図データと共にその地点を示す位置データを地図CD-ROM11から読み出す(SA6)。次に、補正データ演算回路9によって、ステップSA2で補正モードが選択されたときにGPS部により取得した測位位置データと、ステップSA6で読み出した位置データとに基づき、測位位置データを読み出した位置データに補正するための補正データを作成するとともに(SA7)、作成した補正データをRAM6に記憶し(SA8)、位置補正モードにおける位置補正データ作成処理を終了する。つまり、使用者によりB地点が指定地点として指定された場合には、A地点を示す測位位置データをB地点を示す位置データへ補正するための補正データをRAM6に記憶する。
【0016】次に、前記ナビゲーション装置において、前述した位置補正モードによる処理が行われた後、通常のナビゲーションモードに移行したときの動作を図4に示したフローチャートに従って説明する。すなわち、ナビゲーションモードにおいては、GPS部2の測位動作により測位位置データを取得すると(SB1)、RAM6に記憶された補正データを読み出す(SB2)。次に、補正データ演算回路9によって、取得した測位位置データを読み出した補正データにより補正して新たな自車位置データを作成する(SB3)。なお、具体的な補正データの作成方法は、従来技術で説明した、放送により他から送られてくるデータに基づき測位位置データを補正する方法と同様であるため説明を省略する。そして、作成した自車位置データに基づきモニタ13に表示した地図上に自車位置マークMを表示した後(SB4)、ステップSB1へ戻り前述した処理を繰り返す。これにより、GPS部2によって取得した測位位置データに、GPS衛星からの電波の遅延や、発信側の事情による測位誤差があったとしても、地図上に表示する自車位置マークMの位置が、より実際の自車位置に近い位置となる。つまり、前記ナビゲーション装置においては、GPS部2による測位誤差をいつでも単独で補正することができる。このため、従来技術で説明した方法による場合に不可欠であった受信装置を不要とすることができる。
【0017】なお、本実施の形態においては、補正データの作成に際して利用する実際の自車位置(現在地)を示す位置データとして、地図CD-ROM11に記憶された地図情報に含まれるデータを利用する場合について説明したが、これ以外にも他の形態により記憶された位置データを用いて補正データを作成するようにしてもよい。また、予め決められた比較的小さな規模の公共の建物の存在地を示す特定の位置データをROM5等に記憶させておき、自車がそうした特定の建物に近接しているときにだけ、補正データの作成が可能な構成としてもよい。」

9 甲9の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲9には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】 自車位置を検出し、検出した現在の自車位置周辺の道路地図を表示部により表示するナビゲーション装置において、
自車位置を検出する位置検出部と、
道路地図データを記憶した書き換え可能な道路地図データ記憶部と、
前記位置検出部により定期的に検出される自車位置から自車の走行軌跡を導出する軌跡導出部と、
同じ道路を3回以上走行する毎に前記軌跡導出部により導出される走行軌跡のうち、他よりも大きく外れるものを除外した残りを平均化処理して補正用道路データを形成するデータ形成部と、
前記補正用道路データとこれに対応する前記道路地図データ記憶部の道路地図データとの間に所定の許容値以上の誤差があるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部により前記許容値以上の誤差があると判定されたときに前記道路地図データ記憶部に記憶されている該当道路地図データを前記補正用道路データに書き換える書換部とを備えていることを特徴とするナビゲーション装置。」

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自車位置を検出し、検出した現在の自車位置周辺の道路地図を表示部により表示するナビゲーション装置及びその制御方法に関する。」

ウ.「【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明におけるナビゲーション装置は、自車位置を検出し、検出した現在の自車位置周辺の道路地図を表示部により表示するナビゲーション装置において、自車位置を検出する位置検出部と、道路地図データを記憶した書き換え可能な道路地図データ記憶部と、前記位置検出部により定期的に検出される自車位置から自車の走行軌跡を導出する軌跡導出部と、同じ道路を3回以上走行する毎に前記軌跡導出部により導出される走行軌跡のうち、他よりも大きく外れるものを除外した残りを平均化処理して補正用道路データを形成するデータ形成部と、前記補正用道路データとこれに対応する前記道路地図データ記憶部の道路地図データとの間に所定の許容値以上の誤差があるかどうかを判定する判定部と、前記判定部により前記許容値以上の誤差があると判定されたときに前記道路地図データ記憶部に記憶されている該当道路地図データを前記補正用道路データに書き換える書換部とを備えていることを特徴としている。
【0008】このように構成すれば、位置検出部により定期的に検出される自車位置に基づき、軌跡導出部により自車の走行軌跡が導出され、導出された走行軌跡からデータ形成部により補正用道路データが形成され、この補正用道路データとこれに対応する道路地図データ記憶部の道路地図データとの間に所定の許容値以上の誤差があるときには、道路地図データ記憶部の該当する道路地図データが補正用道路データに書き換えられる。
【0009】そのため、道路地図データ記憶部に記憶されている道路地図データと実際との誤差を小さくすることができ、表示部に精度の高い道路地図を表示することが可能になる。」

エ.「【0036】次に、動作について説明すると、図5に示すように、DGPS受信部1により現在の自車位置(緯度、経度)が検出され、その自車位置を含む道路地図データが道路地図データ記憶部4から読み出されてそのデータに基づく道路地図が表示部5に表示され(ステップS1)、検出された自車位置から、上記したようにして走行軌跡が導出可能か否かの判定が成される(ステップS2)。
【0037】そして、この判定結果がNOであれば検出点のデータが不足していると判断されてステップS1に戻り、判定結果がYESであれば、検出された検出点のデータから上記したようにして走行軌跡が導出されて記憶され(ステップS3)、現在走行中の道路について既に導出済みの走行軌跡があるか否かの判定が成され(ステップS4)、この判定結果がNOであればスタートに戻って自車位置の検出が繰り返され、判定結果がYESであれば、導出済みの走行軌跡に基づいて補正用道路データの形成が可能か否かの判定が成される(ステップS5)。
【0038】続いて、このステップS5の判定結果がNOであれば、導出済みの走行軌跡が不足していると判断されてスタートに戻って新たな走行軌跡の導出が繰り返され、判定結果がYESであれば、導出された走行軌跡から上記したようにして補正用道路データが形成され(ステップS6)、形成された補正用道路データとこれに対応する道路地図データ記憶部4の道路地図データとの間のずれが予め定められた許容値を超えているか否かの判定が成され(ステップS7)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、判定結果がYESであれば、その道路地図データ記憶部4の道路地図データが補正用道路データに書き換えられ(ステップS8)、道路地図データ記憶部4の記憶データが精度の高いものに更新され、その後スタートに戻る。
【0039】このように、DGPS受信部1により定期的に検出される自車位置に基づき、自車の走行軌跡が導出され、導出された走行軌跡から補正用道路データが形成され、この補正用道路データとこれに対応する道路地図データ記憶部4の道路地図データとの間に所定の許容値以上の誤差があるときには、道路地図データ記憶部4の該当する道路地図データが補正用道路データに書き換えられる。
【0040】従って、上記した実施形態によれば、道路地図データ記憶部4に道路地図データを書き込む際に誤差が生じても、実際の走行軌跡に基づいて道路地図データを補正するため、道路地図データ記憶部4に記憶されている道路地図データと実際との誤差を小さくして表示部5に常に精度の高い道路地図を表示することが可能になり、ドライバに対して高精度な経路誘導を行うことができる。」

10 甲12の記載事項
本件特許の出願前である昭和50年6月5日に頒布された甲12には、「A 戸塚駅附近拡大図」という表記と共に図面(以下、「甲12地図」という。)が記載されている。甲12地図の一部を下に示す。


第8 請求人が主張する無効理由及び当審で通知した無効理由についての判断
1 無効理由1及び当審で通知した特許法第36条第6項第2号の無効理由について
請求人が主張する無効理由1と当審で通知した無効理由のうち特許法第36条第6項第2号に関する理由は、関連するものであるので、まとめて判断する。
(1)請求項1について
ア.「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」について
一般に、「住居番号」とは、住居表示に関する法律によって定められた、住居表示実施地区において、建物等につけられる住居表示のための番号のことをいう。この住居表示のための番号は、住居表示実施地区の建物等につけられるものであるから、住居表示が実施されていない住居表示未実施地区の建物等には、つけられていないものである。
また、「地番」とは、不動産登記法により定められたもので、一筆の土地ごとに付された番号であって、上記住居表示未実施地区の土地であっても、付されている。
以上のことは、当業者に自明な事実であって、また、この点については、請求人及び被請求人の間に争いはない。
そうすると、「地図データ上の住宅に住居番号」を表示できるのは、住居表示実施地区の住居番号が付された住宅であって、住居表示未実施地区の住宅は、住居番号が付されていないことから、住居番号を表示することはできないこととなる。「住居表示未実施地区における地番を表示する」とは、このような住居番号が付されていない住居表示未実施地区の住宅に対しては、「住居番号」が表示できないから、「地番」を表示することを特定していると解される。
したがって、「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」とは、住居表示が実施されている地区の地図データ上の住宅に対しては、「住居番号」を表示し、住居表示未実施地区の地図データ上の住宅に対しては「地番」を表示することを特定していると理解でき、この記載により特定される事項は明確である。
請求人は、「地番」、「住居番号」の意味について法令上の意味にしたがった場合は、住居表示未実施地区の住宅にあてはめた場合には存在しないものを表示すると解釈すべきものとなると主張するが、上記のように住居表示未実施地区の住宅においては、「住居番号」ではなく「地番」を表示すると解されるから、この点の請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、「地番」、「住居番号」の意味について明細書中の記載にしたがった場合は、「住居番号」の概念に、住居表示未実施地区における「地番」が含まれているから、住居表示未実施地区では、「地番」を二回表示するという意味になると主張する。しかし、本件の明細書中には「住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番)」(段落【0031】)、「住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番表示を含む)」(段落【0040】、【0120】)という記載があるが、当該記載は、「住居番号」の概念に住居表示未実施地区における「地番」が含まれることを意味するものではなく、住居表示未実施地区では住居番号が付されていないことから、住居番号ではなく、地番を用いることを意味すると解されるから、請求人の上記主張は採用できない。

イ.「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」について
本件の請求項1には、「前記表示情報生成部は、…地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する…機能を有する」ことが記載されている。
そして、住所番地が表示される「建物」は、表示情報生成部が表示する地図データ上の建物であるから、当該「建物」は、当然、地図データ上にあるものである。また、上記のように表示情報生成部は、交差点又は道路沿いの建物について重点的に住所番地を表示する機能を有していることから、表示情報生成部が「交差点又は道路沿い」の判断ができるように「地図データ上の交差点又は道路」の情報を利用していることは明らか(そもそも、地図データにない「交差点又は道路」については、表示情報生成部が、これらに沿った建物を判別できない。)であるから、「交差点又は道路沿いの建物」の、「交差点又は道路」は、地図データ上の「交差点又は道路」であると解される。
そうすると、上記「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」の「交差点又は道路」と「建物」は、地図データ上のものであるといえるから、当該記載における、「交差点や道路」と「建物」が地図データ上のものであることは、明らかである。よって、本件発明1が明確でないとはいえない。

ウ.「前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに」と「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」について
(ア)「住所番地」について
「住所番地」という語は、一般的な用語ではなく、また本件の特許請求の範囲に、「住所番地」を定義する記載もない。そこで、本件の明細書の記載をみると、次のような事項が記載されている(下線は、当審で追加した。)。

「【0031】
上記発明において、地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、当該ナビシステムは、現在位置を取得する現在位置取得部と、現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示するとともに、建物の座標位置に対応させて住所番地を表示させる表示情報生成部とを備える。これにより、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を組み合わせ、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えることができる。」

「【0040】
この地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、また、地図には、道路と、該道路に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭(ポリゴン)と、建物表示輪郭内には住所番地192を表示させている。即ち、この地図データでは、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番表示を含む)の社会座標系を組み合わせて表示させている。」

「【0120】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、現在位置取得部186が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示するとともに、建物の座標位置に対応させて住所番地を表示させている。即ち、本実施形態では、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番表示を含む)の社会座標系を組み合わせ、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えるようにする。」

また、上記段落【0040】における「住所番地192」とは、本件の【図1】に参照番号192で示されたものであると解される。この【図1】は、下記のとおりである。


そして、本件発明において、「地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に…表示したものである」ことを考慮すると、上記段落【0031】の記載から、表示情報生成部により「建物の座標位置に対応させて住所番地」を表示することで、「緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を組み合わせ」ることとなることがわかるから、表示された「住所番地」は、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を表すものであるといえる。また、同様の事項が上記段落【0040】、【0120】の記載からもいえる。そして、上記のようにこの段落【0040】における「住所番地192」は、本件の【図1】に参照番号192で示されたものであると解され、また、【図1】には、地図が表示されるユーザー端末1が示されているところ、参照番号192で示される箇所には、このユーザー端末に表示される地図上に「13」の数字が表示されている。
これらの記載によれば、「住所番地」は、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を表す数字を意味すると、本件明細書及び図面に接した当業者は理解でき、これは、住居表示実施地区における住居番号及び住居表示未実施地区における地番という意味での、本件発明における「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と同義であると理解できる。
請求人は、明細書中には、「住所番地」の意味を定義する記載は存在せず、辞書からはみいだせなかったから、「住所」と「番地」を組み合わせたものとして解釈すべきで、「住所」と同じ意味になり、「住居番号」、「地番」は、「住所番地」とは、異なる概念であると主張するが、上記のように本件の明細書及び図面の記載から「住所番地」の意味は、理解できるから、請求人の上記主張は採用することができない。
また、請求人は、「明細書の段落【0032】等を削除する訂正事項5に係る訂正は認められるべきものではなく,その結果として,本件特許明細書の記載を勘案しても,本件特許発明における『住所番地』が『住居番号及び住居表示未実施地区における地番』を指すのか,『〇〇区〇丁目△番地3号のような住所データ全体』を指すのか明らかではない」(令和2年1月8日付 弁駁書 8ページ下から3行ないし9ページ2行)と主張しているが、上記「第2 被請求人の求める訂正について」に示すように、本件訂正の請求は、認められるから、請求人の上記主張は採用することができない。
そして、本件発明の「住所番地」は、「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と同義であるから、請求項1に記載された「前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能」とは、地図データ上の住宅に「住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示」した上で、さらに住所番地を表示するものではなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する際において、交差点又は道路沿いの建物については重点的に表示を行い、住宅密集地では、間引いて表示を行うようにする機能を有していると理解でき、これは、上記のように本件の【図1】においても、参照番号192で示される「住所番地」である13が1つだけ表示されていることとも整合する。

(イ)「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」について
本件の請求項1では、「重点的に住所番地を表示する」と「住所番地を間引いて表示する」ことが記載されているが、「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」の程度については、何ら特定していない。
そこで、この点について、本件の明細書の記載をみると、「重点的」と「間引いて」に関しては、本件の明細書の段落【0020】、【0028】、【0128】に次のように記載されている(下線は、当審で追加した。)

「【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムは、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、
を備え、
前記地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記地図データ上の住宅に住居番号(住居表示未実施地区では、地番)のみを表示することを特徴とする。
即ち、本発明では、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番)の社会座標系を組み合わせることを特徴とし、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えるようにする。
なお、前記表示情報生成部によって、前記地図データ上の交差点又は道路沿いの建物に重点的に住所番地を表示するとともに、住宅密集地では間引いて表示する機能を設けてもよい。」

「【0028】
なお、このナビシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。」

「【0128】
なお、このサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。更に、このシステムは、災害時にGPS機能が使えない場合でも、住宅地図としての機能により、避難場所や避難経路に安全に誘導することができる。」

上記記載のうち、明細書の段落【0020】のものは、表示情報生成部に「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物に重点的に住所番地を表示するとともに、住宅密集地では間引いて表示する機能を設けてもよい」ことが記載されているものの、「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」の程度等について、説明するものではない。
次に、明細書の段落【0028】、【0128】の記載についてみると、住所番地を「交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示」すること、或いは住所番地を「住宅密集地では間引いて表示する」ことは、住所番地を「必ずしもすべての建物に表示されている必要はな」いことを示す例として記載されており、これは、住所番地を「位置確認に必要な範囲で省略」した例であると理解できる。すなわち、段落【0028】、【0128】の記載は、住所番地がすべての建物に表示されている必要はなく、位置確認に必要な範囲で省略できる例の1つとして、交差点や道路沿いではない地域の建物に比べて、「交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示」したものを示し、またもう1つの例として、住所番地を「住宅密集地では間引いて表示」するものを示したものと理解できる。
そうすると、上記記載において、「交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示」すること、或いは住所番地を「住宅密集地では間引いて表示する」ことは、住所番地を位置確認に必要な範囲で省略した例であるから、住所番地を「重点的に表示」する程度や「間引いて表示する」程度は、位置確認に必要な範囲で住所番地の記載を省略した程度であるといえる。しかしながら、本件の明細書及び図面を参照しても、この「位置確認に必要な範囲」とは、どの程度であるかを示す記載はなく、「位置確認に必要な範囲」の程度は当業者にとって明らかであるといえない。したがって、本件の明細書及び図面を参照しても、本件の請求項1に記載された「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」の程度は、明確でない。
さらに、本件発明1では、「住宅密集地」にある「交差点又は道路沿いの建物」について、どのように「住所番地」を表示するのか不明である。上記のように、「住宅密集地」とは、その密集の程度が不明であるが、仮に、一定の面積の中に、所定の数以上の住宅がある地域を「住宅密集地」というとすると、このような住宅密集地であっても、「交差点又は道路沿いの建物」は存在することとなるし、一般に、建物には、人や物が出入りすることを考慮すると、むしろ住宅密集地の建物であっても、人や物が出入りするために道路に連なっていると考えられ、また、都市計画区域と準都市計画区域内の建物の敷地は道路に接することが義務づけられる、いわゆる「接道義務」がある(建築基準法第43条)。そうすると、住宅密集地にある「交差点又は道路沿いの建物」は、一定割合で存在することが明らかである。そして、本件発明において、このような建物については、「重点的に住所番地を表示する一方」、「住所番地を間引いて表示する」こととなるが、住所番地を「重点的に」表示することと「間引いて表示する」ことは、前者は住所番地を多くの建物に表示するのに対し、後者は、表示する建物を少なくするものであって、互いに矛盾するから、結局、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」とは、住宅密集地の交差点又は道路沿いの建物についてどのように住所番地を表示するのか明確でない。
被請求人は、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については」「探索の過程において容易に検索の目安となり得るから」「できるだけ住所番地を表示する」ようにすると共に、「住宅密集地」では、以上の「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物」以外については、地図表示の煩雑さを避ける意味からも、適宜、間引いて表示するものであって、その理解に何の困難もないと主張するが、これらの被請求人の主張は「重点的に表示する」を「できるだけ」表示するようにするものと主張し、また、「間引いて」表示することは、適宜、間引いて表示するものであると主張するにとどまり、これらの主張における「できるだけ」や「適宜」の程度が明らかでないから、これらの主張をみても、本件発明における「重点的」と「間引いて」表示する程度が明らかでない点にかわりはなく、被請求人の上記主張は、採用することができない。
また、被請求人は、「『地図データ上の交差点又は道路沿い』という条件と『住宅密集地』という条件が同時に成立するとき」は、「地図データ上の交差点又は道路沿い」の建物については、「重点的に住所番地を表示」すればよく、「地図データ上の交差点又は道路沿い」以外の「住宅密集地」については、間引いて「住所番地を表示」すればよく、そのことの理解について何の困難もない旨を主張する。被請求人の主張によれば、「交差点又は道路沿い」であって「住宅密集地」の建物については、重点的に住所番地を表示することとなり、「交差点又は道路沿い」の建物という条件と「住宅密集地」の建物という条件の両者が成立した場合には、「交差点又は道路沿い」の建物という条件が優先されるということを意味することとなるが、本件の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明や図面には、このような事項について記載されておらず、また、これらの記載から自明な事項ともいえないことから、被請求人の上記主張は、本件の特許請求の範囲の記載に基づくものであるとはいえず、採用することができない。
さらに、被請求人は、甲12には、国道一号(当審注:甲12地図において、「吉田町」、「戸塚町」と記載されている道路)沿いには地番が頻度高く表示されているのに対し、それ以外の道路には、国道一号沿いに比べ少ない頻度で地番が表示されている戸塚駅付近の地図が含まれており、既に「重点的」、「間引いて」等の処理をしている地図自体は良く知られていることであり、「当業者であれば、『どの情報』の表示量を調整するのかさえ分かれば、技術常識に基づき、当該情報の表示量を適宜調整することが可能である」と主張するが、技術常識に基づいて発明の実施が可能であることと、請求項に記載された特許を受けようとする発明が明確であることとは、異なる要件であり、「情報の表示量を適宜調整することが可能である」から、発明が明確であるとする主張は採用することができない(なお、実施可能要件については、「4 当審で通知した無効理由について」において検討する。)。
また、被請求人は、特許請求の範囲に記載されている「重点的」、「間引いて」の程度については、技術常識等により明確である旨を主張し、当該技術常識の証拠として甲12を示している。しかしながら、仮に、技術常識に基づいて、住所番地の表示量を適宜調整したものが本件発明1の「交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示」したものとなるとすると、同じ地図データであっても、住所番地の表示量を適宜調整する程度は、当該地図データを生成する手段の特性あるいは作成する人の主観等によって異なり(例えば、住宅密集地の道路沿いの建物について、重点的に表示する場合もあれば、間引いて表示する場合もある。)、その程度は明確でないから、本件発明1が明確といえないことに変わりはない。また、「位置確認に必要な範囲」についても、位置確認を必要とされる地図上の場所や、その場所において求められる精度、方向を含む位置か否かといった位置確認の種類などによって変わるから、技術常識等を参酌しても当業者にとって明確であるとはいえない。そして、本件特許請求の範囲や発明の詳細な説明には、この「位置確認に必要な範囲」の程度について示されていないから、「重点的」、「間引いて」の程度については、明確であるとはいえない。
さらに、被請求人の主張するように、甲12に、国道一号沿いには地番が頻度高く表示されているのに対し、それ以外の道路には、国道一号沿いに比べ少ない頻度で地番が表示されているとしても、これは、いわゆる幹線道路沿いには、地番を重点的に表示し、それ以外の道路沿いには、少ない頻度で地番を表示することが示されているにすぎず、国道一号以外の道路沿いも、道路沿いであることに変わりはないから、「道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示」しているとはいえず、甲12により示される事項は、「交差点又は道路沿いの建物」及び「住宅密集地」にある建物についての地番等の表示に関するものではないから、甲12により示される事項により、本件発明1が明確であるとはいえない。
また、本件の請求項1を引用する請求項3及び請求項4の記載を参照しても、請求項1に記載された「前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに」と「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」における「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」の程度を明確にする事項は特定されておらず、本件発明1と同様に本件発明3及び4は、明確でなく、さらに住宅密集地にある「交差点又は道路沿いの建物」についてどのように住所番地を表示するのか明確にする事項も特定されていないから、この点においても、本件発明1と同様に本件発明3及び4は、明確でない。


(2)請求項3について
ア.「ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく」について
「ナビゲーション」という語の最初の2文字が「ナビ」であることから、「ナビゲーション」の略称として、「ナビ」という語が用いられることは知られている。そうすると、本件の請求項3に記載された「ナビシステム」は、「ナビゲーションシステム」の略称として用いられたと解することができ、本件の請求項3は請求項1の記載を引用する請求項であるから、この「ナビシステム」は、請求項1に記載された「ナビゲーションシステム」を意味していると解される。そうすると、本件発明3の「ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく」は、本件発明1のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムを使用しているか否かに関わりなくの意味で明確であるといえるから、この点において、本件の請求項3の記載が明確でないとはいえない。

イ.「緊急警報が入った時点で…地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する…地図を…自動表示する」について
本件の請求項3は、本件の請求項1の記載を引用する引用形式の請求項であり、本件発明1は、「…前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する…機能を有する…」ことを発明特定事項としている。そうすると、本件の請求項3に特定される「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」とは、本件の請求項1に記載された「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」という機能を有している表示情報生成部によって、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示して、地図を自動表示することと解される。
そして、本件の請求項1の「表示情報生成部」は、単に「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」だけではなく、この住居番号及び住居表示未実施地区における地番に相当する住所番地について、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ものであるから、表示情報生成部によって表示された地図上の「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」は、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に」表示され、「一方、住宅密集地では」「間引いて表示」されるものとなる。
以上のことから、本件の請求項3の「緊急警報が入った時点で…地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する…地図を…自動表示する」における「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」は、本件の請求項1に特定される「表示情報生成部」によって表示されるものであり、これは、住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に」表示され、「一方、住宅密集地では」「間引いて表示」される地図であると理解でき、この点、不明確であるとはいえない。
なお、ここでは、請求人の主張にしたがい、本件発明3における「自動表示する」地図についての明確性を検討したものであり、住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に」表示され、「一方、住宅密集地では」「間引いて表示」することの明確性について検討したものではない点に留意されたい。この点についての検討は上記「(1)」の「ウ」のとおりである。

(3)無効理由1についてのまとめ
以上のことから、本件特許の請求項1、3、4は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、本件特許に係る出願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、本件の請求項1及び3、4に係る特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とされるべきである。

2 無効理由2について
(1)本件発明1において、一筆の土地に複数の建物が存在する場合について
住居表示未実施地区において、一筆の土地に複数の建物が存在する場合には、請求人が主張するとおり、本件発明1では、これら複数の建物に同じ地番が表示されることとなる。しかし、これら複数の建物は、一筆の土地の中にある建物であるから、互いに離れた位置に建てられたものではなく、一定の範囲内に建てられた建物であると解される。そして、このような一筆の土地の中に複数の建物が建てられ、同じ地番が付されている地図を見れば、当該複数の建物の周囲が、表示されている地番であることが分かるから、これを手掛かりとして、地図上の位置を特定できる。したがって、一筆の土地の中に複数の建物が存在する場合に、このような、地番が表記されていない場合に比べて、「容易に正しい位置の特定が可能になる」(段落【0036】)といえるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではないとは、いえない。
請求人の上記主張は、一筆の土地の中に複数の建物があると、一つ一つの建物に、異なる住居番号又は地番が表記されている場合に比べて、「容易に正しい位置の特定が可能になる」ものではないという主張であって、本件発明のような住居番号又は地番が表示されている地図と、このような表示がない地図とを比較したものではないから、採用することができない。

(2)本件発明1の住所番地を間引いて表示する機能について
本件の発明の詳細な説明をみると、本件発明は、「…従来のナビシステムは、…歩行者用のナビシステムとしては、GPSの誤差という大きな問題も抱えている」(【0017】)ことを前提にして、「…従来のナビシステムが抱える三重の課題を克服すること…」(【0019】)を解決しようとする課題とした発明であって、本件発明1は、「住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことが特定され、また発明の詳細な説明の記載によれば、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」(本件明細書段落【0036】)という効果を奏するものであるといえる。
この段落【0036】には、【発明の効果】として、次のように記載されている。

「【0036】
従来システムでは、GPSの誤差範囲に加えて、現地との位置照合の手掛りが殆どないために、地図上及び現地での正確な位置の特定は容易でなかったが、このシステムでは、現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった。GPSの現在地特定機能は、寧ろ、マクロの大雑把な位置特定にとどめて、分岐点等における進路決定などの個々の歩行選択は、建物番地の現地照合によるなど、効率的でストレスのないナビシステムの実現が可能になった。」

すなわち、本件発明は、従来のナビシステムが抱えている「GPSの誤差」という問題を克服することを解決しようとする課題の一つとするものであり、「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」という効果が得られる発明であるといえる。そして、本件発明1において「住所番地を間引」く程度については、何ら特定されていない。
そうすると、本件発明1は、「住宅密集地では住所番地を間引いて表示」していれば、その間引く程度は特定していない発明であると解されるから、住所番地を「位置確認に必要な範囲」以上に、「間引いて表示する」ものまで含んでいるといえ、これは、従来のナビシステムが抱えている「GPSの誤差」という問題を克服するという課題を解決していないものであり、発明の詳細な説明に記載された「現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった」という効果を奏さないものである。
被請求人は、当業者であれば、本件発明1における「住宅密集地では住所番地を間引いて表示」という構成に、住所番地を「位置確認に必要な範囲」以上に「間引いて表示する」ものまで含んで理解することはないと主張する。しかし、本件発明1において、住所番地を間引いて表示する際の間引く程度については何ら特定されておらず、また、明細書等の記載を参酌してもその程度は不明であるから、被請求人の上記主張は採用することができない。
また、本件発明3、4においても、「住所番地を間引」く程度については、何ら特定されていないから、本件発明3、4も従来のナビシステムが抱えている「GPSの誤差」という問題を克服するという課題を解決しない発明を含むものである。
したがって、この点について、本件発明1、3、4は発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(3)無効理由2についてのまとめ
以上のことから、被請求人の上記主張は採用することができず、無効理由2には、理由があるから、この点において、本件発明1、3、4についての特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効理由2により無効とすべきものである。

3 無効理由3について
(1)請求項1に記載された「ナビゲーションシステム」について
請求人は、本件発明1の「ナビゲーションシステムに表示される地図は拡大縮小可能なものと考えられる。拡大縮小後に表示される地図においても表示される『住居番号』、『地番』、『住所番地』が視認可能であり、『住宅』、『建物』との対応関係が明らかになっている必要性がある。」と主張する。請求人のこの主張は、表示される地図を縮小表示(小縮尺で広域地図を表示)したとき、「住居番号」、「地番」、「住所番地」が視認可能で、対応する「住宅」、「建物」が分かるように表示する必要があるが、本件の発明の詳細な説明には、このような表示を可能にするための事項が記載されていないから、本件発明1を実施することができないという主張と解される。
ここで、本件発明1は、「地図データを表示する表示情報生成部」を備え、「地図データは、……地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したもの」であることが特定され、さらに、「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」ことも特定されている。また、上記「1」の「(1)」、「ウ」で検討したとおり、本件発明1において「住所番地」は、「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と同義であると理解できる。
したがって、本件発明1において、表示情報生成部で表示される地図データは、建物が線図、文字、図形で表示され、さらに、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することができる程度の縮尺の地図データであるといえる。そして、また、本件の発明の詳細な説明の段落【0039】及び【図1】等には、そのような地図データが示されている。また、請求項1を引用する請求項3及び請求項4に係る発明についても、同様と考えられる。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、上記の点について、本件発明1、3、4について当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものでないとは、いえない。
なお、ここでの検討は、請求人の主張にしたがい、本件発明1の実施可能要件について行ったものであり、住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に」表示され、「一方、住宅密集地では」「間引いて表示」することの明確性について検討したものではない点に留意されたい。この点についての検討は上記「1」の「(1)」、「ウ」のとおりである。

(2)請求項4に記載された「前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部」について
請求人の主張する無効理由は、前記「第5 当審で通知した無効理由の概要」の「3.請求項4の『前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部』について」と関連する理由であるから、これらについてまとめて検討する。
本件の発明の詳細な説明には、現在位置の修正について、次のように記載されている。

「【0104】
具体的には、現在位置修正部183aは、タッチパネルなどの入力I/F12上における操作によって、表示部13a上に表示されている地図のうち、住所番地193(図中では12番地)を選択(タッチやクリック等)されることで、選択された住所番地に紐付けられた座標(緯度・経度)を地図データ蓄積部15bから取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部186に対して、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する。現在位位置の修正を要求された現在位置取得部186は、GPSの測位演算の誤差を補正し、その誤差による補正情報に基づいてその後の測位演算の精度向上に反映させる。」

ここで、請求項4が引用する請求項1に係る発明は、「現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部」を備えることを特定している。したがって、本件発明4において、「表示されている地図データの補正」が実行される前に表示されている地図データは、「入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標」に基づいた修正が行われる前の現在位置に対応した地図データである。そして、本件発明4では、「現在位置の修正を要求」して、現在位置の修正が行われるのであるから、上記のように、現在位置に対応させて表示する地図データも修正された現在位置に対応したものに補正する必要がある。本件発明4において、特定される「表示されている地図データの補正を実行する」とは、このような修正された現在位置に対応して表示される地図データを補正することと解され、また、本件の発明の詳細な説明(特に段落【0104】)の記載から、そのように解し、発明を実施することが格別に困難であるとはいえない。
そして、本件発明4は、このように現在位置を修正することにより、「GPS受信機の測位精度や、測位を行う環境による影響によって、測位に誤差が生じた場合であっても、ユーザーからの操作によって正確な位置情報を取得することができるので、衛星から取得される位置情報の誤差を解消することができるとともに、その誤差の補正情報を用いることで、その後の測位演算の精度向上に反映させることができる」(段落【0035】)ものである。すなわち、GPS受信機を用いた測位で生じる誤差を、「入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求する」(【請求項4】)ことにより、修正しているものであって、この「住所番地に関連づけられた座標」による位置の特定は、住所番地が表示される建物が一定の広さを有するものである以上、この広さに対応した精度でしか行うことができないが、本件発明4は、そのような精度で現在位置の修正を行う発明であると解され、また、このような発明を実施することが格別困難であるともいえない。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、上記の点について、本件発明4について当業者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものでないとは、いえない。

(3)無効理由3についてのまとめ
以上のことから、請求人の主張は採用することができず、無効理由3には、理由がないから、この点において、本件発明1、3、4についての特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものとはいえず、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効理由3により無効とすべきものではない。

4 当審で通知した無効理由について
請求人の主張する進歩性に関する無効理由(無効理由4及び無効理由5)について検討する前に、当審で通知した無効理由のうち、上記無効理由1ないし3と関連して検討をしなかった、本件発明1におけるナビゲーションシステムが「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」を、本件の発明の詳細な説明は、当業者が、容易に実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるか否かについて検討する。
前記「1 無効理由1及び当審で通知した特許法第36条第6項第2号の無効理由について」の「ウ.請求項1に記載された『前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに』と『地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する』について」、「(イ)『「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する』について」で述べたように、本件の発明の詳細な説明には、「重点的」と「間引いて」に関して、段落【0020】、【0028】、【0128】に記載されているが、このうち、段落【0020】のものは、表示情報生成部に「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物に重点的に住所番地を表示するとともに、住宅密集地では間引いて表示する機能を設けてもよい」と記載されているものの、「重点的」と「住宅密集地」、「間引いて」について、説明するものではない。そして、段落【0028】と【0128】には、次のように記載されている。

「【0028】
なお、このナビシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。」

「【0128】
なお、このサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。更に、このシステムは、災害時にGPS機能が使えない場合でも、住宅地図としての機能により、避難場所や避難経路に安全に誘導することができる。」

これらの記載をみると、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示」することと、住所番地を「住宅密集地では間引いて表示する」ことは、共に、「住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はな」いことから、「位置確認に必要な範囲で省略を行っ」た例として記載されていることがわかる。
そして、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示」した例においては、交差点又は道路沿いの建物以外の建物については、重点的に住所番地が表示されるものではないから、地図データ上に住所番地が表示されない建物があることとなり、その結果、「位置確認に必要な範囲で省略を行っ」たものとなることが理解できる。
また、住所番地を「住宅密集地では間引いて表示」した例においては、住宅密集地では、住所番地が表示されない地図データ上の建物があることとなり、その結果、「位置確認に必要な範囲で省略を行っ」たものとなることが理解できる。
しかしながら、本件の発明の詳細な説明及び図面を参照しても、この「位置確認に必要な範囲」とは、どの程度であるかを示す記載はなく、「位置確認に必要な範囲」の程度は当業者にとって明らかであるといえない(上記「1 無効理由1及び当審で通知した特許法第36条第6項第2号の無効理由について」の「ウ」の「(イ)」参照。)から、結局、「位置確認に必要な範囲で省略を行」う程度が不明であり、「重点的に住所番地を表示」する程度や「住宅密集地では間引いて表示」する程度が不明である。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、住所番地の表示を「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示」し、住所番地を「住宅密集地では間引いて表示」することについて当業者が実施できる程度に記載されているとはいえない。
さらに、これらをあわせた、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことについても、記載されているとはいえず、発明の詳細な説明の記載から当業者が容易に実施することができるとはいえない。この場合に、「交差点又は道路沿いの建物」であって、「住宅密集地」にあるという条件が成立する建物が存在することになる(前記、「1 無効理由1及び当審で通知した特許法第36条第6項第2号の無効理由について」の「ウ.請求項1に記載された『前記表示情報生成部は、…前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに』と『地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する』について」の「(イ)『地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する』について」参照。)が、このような「地図データ上の交差点又は道路沿い」であって、「住宅密集地」にある建物について、住所番地を重点的に表示するのか、間引いて表示するのか、発明の詳細な説明の記載をみても明らかでなく、また、この点について当業者にとって自明であるともいえない。
被請求人は、「住居番号又は地番は、原則として『全て』記載されるが、例外的に住宅密集地では間引いてもよい。ただし、『交差点や道路沿いの建物』では間引かない。『重点的』と『間引いて』とは、この関係を意味する」と主張するが、本件の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明、図面には、このような被請求人が主張する事項は記載されておらず、また、これらの記載から自明な事項ともいえないから、被請求人の主張は、本件の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明、図面の記載に基づくものではない。上記、本件の発明の詳細な説明の段落【0028】や【0128】の「交差点や道路沿いの建物」や「住宅密集地」に関する記載は、両者が成立したときの住所番地の表示について示すものではなく、請求人が主張するような内容を示すものではない。
また、被請求人は「間引いて」という表示量を調整する処理は、一般的に行われており且つ昭和50年頃から良く知られている処理であり、当業者であれば、「どの情報」の表示量を調整するのかが分かれば、後は技術常識に基づき、当該情報の表示量を適宜調整することが可能であると主張し、さらに、住宅密集地にある「交差点又は道路沿いの建物」における表示量についても、住宅密集地にない「交差点又は道路沿いの建物」における表示量と同程度の表示量とするのか、あるいは異なる表示量とするのかという、表示量の調整の問題であり、当業者であれば、「どの情報」の表示量を調整するのかさえ分かれば、技術常識に基づき、当該情報の表示量を適宜調整することが可能であると主張している。しかしながら、本件発明1が実施可能であるためには、技術常識に基づき単に住所番地の表示量を適宜調整するだけでなく、交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示することが本件の発明の詳細な説明の記載に基づき当業者が実施できることが必要であり、被請求人の主張するような「表示量の調整の問題」ではないから、被請求人の上記主張は失当である。
以上のことから、本件の発明の詳細な説明には、本件発明1の「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能」について当業者が実施できる程度に記載されておらず、本件発明1、3、4についての特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第4項に該当し、無効とすべきものである。さらに、本件発明1、3、4が実施可能であるためには、「地図データ上の交差点又は道路沿い」であって、「住宅密集地」にある建物について、どのように住所番地を表示するのか明らかにする必要があるが、この点についても記載されておらず、また当業者にとって自明であるともいえないから、本件発明1、3、4についての特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第4項に該当し、無効とすべきものである。

5 無効理由4について
(1)本件発明1について
ア.本件発明1と甲1発明との対比及び一致点、相違点について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a.甲1発明の入力装置20から入力される「指定領域」と、本件発明1の「現在位置」とは、地図データの表示箇所を指定する「地図表示箇所」である点で共通し、甲1発明の「入力される」は、本件発明1の「取得する」に相当することから、甲1発明の「入力装置20から指定領域が入力される地図データ取得部24」と、本件発明1の「現在位置を取得する現在位置取得部」とは、「地図表示箇所を取得する地図表示箇所取得部」である点で共通する。
b.甲1発明の「2次元地図」は、本件発明1の「地図データ」に相当し、前者の「2次元地図描画部26」は、後者の「表示情報生成部」に相当する。そして、甲1発明の「指定領域の2次元地図を表示する」は、指定領域に対応する2次元地図を表示することにほかならず、上記aに示すように、甲1発明の「指定領域」と、本件発明1の「現在位置」とは、「地図表示箇所」である点で共通することから、甲1発明の「指定領域の2次元地図を表示する」と、本件発明1の「現在位置に対応させて、地図データを表示する」とは、「地図表示箇所に対応させて、地図データを表示する」点で共通する。したがって、甲1発明の「前記地図データ取得部24に入力された指定領域の2次元地図を表示する2次元地図描画部26」と本件発明1の「前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部」とは、「前記地図表示箇所取得部が取得した地図表示箇所に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部」である点で共通する。
c.一般に紙地図とは、緯度及び経度によって定められる座標上に地形、地図を線図、文字、図形で表示したものであるから、甲1発明の「紙地図と同等の地図」は、本件発明1の「緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図」を「線図、文字、図形で表示したもの」に相当する。また、甲1発明は、「建物に住所を表す数字を表示する」ことを考慮すると、地図構成物として建物が含まれているから、甲1発明の「地図データに格納されているすべての地図構成物」は、本件発明1の「建物」に相当し、一般に地図は建物を表示するときに、線図、文字、図形で表示する(甲1の図7の記載においても、建物を線図、文字、図形で表示しているといえる。)ことから、甲1発明の「地図データに格納されているすべての地図構成物を表示したもの」は、本件発明1の「建物を線図、文字、図形で表示したもの」に相当する。したがって、甲1発明の「2次元地図は、紙地図と同等の地図であって、地図データに格納されているすべての地図構成物を表示したもの」は、本件発明1の「地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したもの」に相当する。
d.本件発明1の「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」は、住所を表す数字であるから、甲1発明の「住所を表す数字」と、本件発明1の「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」と「住所番地」とは、「住所を表す数字」である点で共通する。さらに、甲1発明において、「前記2次元地図は、紙地図と同等の地図であって、地図データに格納されているすべての地図構成物を表示し」、「2次元地図描画部26は、建物に住所を表す数字を表示する」ことは、緯度経度の自然座標系の地図に、建物に住所を表す数字を表示したものであるから、本件発明1における社会座標系を組み合わせることによって建物に住所を表す数字を表示したといえる。したがって、甲1発明の「前記2次元地図描画部26は、建物に住所を表す数字を表示する機能を有する」と本件発明1の「前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」とは、「前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、建物に住所を表す数字を表示する機能を有する」点で共通する。
e.本件発明1の「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」は、地図を表示する装置でもあるから、甲1発明の「地図表示装置」と本件発明1の「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」とは、「地図表示装置」である点で共通する。

(イ)上記(ア)より、本件発明1と甲1発明とは、次の[一致点]で一致し、次の[相違点1]ないし[相違点3]で相違する。

[一致点]
地図表示箇所を取得する地図表示箇所取得部と、
前記地図表示箇所取得部が取得した地図表示箇所に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、
を備え、
前記地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、建物に住所を表す数字を表示する機能を有する地図表示装置。

[相違点1]
本件発明1は、サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムであって、地図表示箇所取得部が「現在位置を取得する現在位置取得部」であり、表示情報生成部が「現在位置に対応させて、地図データを表示する」のに対し、甲1発明は、地図表示装置であって、地図表示箇所取得部が「入力装置20から指定領域が入力される地図データ取得部24」であり、2次元地図描画部26が、「地図データ取得部24に入力された指定領域の2次元地図を表示する」点。

[相違点2]
本件発明1は、「地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」のに対し、甲1発明では、「建物に住所を表す数字を表示する」ものの、この数字が「住居番号及び住居表示未実施地区における地番」であることまでは特定されていない点。

[相違点3]
本件発明1の表示情報生成部は、「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」のに対し、甲1発明の2次元地図描画部26は、単に「建物に住所を表す数字を表示する機能を有する」点。

イ.判断
[相違点1]ないし[相違点3]について検討する。
(ア)[相違点1]について
甲2には、各種センサから出力される情報を基にして現在位置を検出し、得られた現在位置情報に基づいて、表示に必要な地図情報を読み込み、地図データを表示するナビゲーション装置について記載されている。また、甲1には、従来の技術としてではあるが、地図データを読み出して表示するナビゲーション装置について記載(「第7 甲号証の記載等」の「1 甲1の記載事項等」、「(1)甲1の記載事項」、「イ」参照。)されており、地図表示装置をナビゲーション装置として用いることが示唆されているといえる。
そうすると、甲1発明である地図表示装置を、甲2に記載された現在位置に対応する地図を表示するナビゲーションシステムとし、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(イ)[相違点2]について
一般に、地図に記載された建物に表記される住所を表す数字として、住居番号や地番が知られている(「第7 甲号証の記載等」の「3 甲3の記載事項等」、「(1)甲3の記載事項」、「オ」参照)。このうち、建物に対して付与される数字は住居番号であることを考慮すると、甲1発明の建物に表示する「住所を表す数字」として、当該建物の住居番号を用い、住居番号が付与されていない建物(すなわち、住居表示未実施地区の建物)に対しては、地番を表示するようにし、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。
また、甲3には、建物に表記される住所を表す数字として、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示することが記載(「第7 甲号証の記載等」の「3 甲3の記載事項等」、「(1)甲3の記載事項」、「ク」参照)されている。甲1発明の住所を表す数字を表示することと甲3に記載された「住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番」を表示することとは、地図上に住所に関する数字を表示する点で共通するから、甲3に記載された「住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示すること」を甲1発明の住所を表す数字として用い、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)[相違点3]について
まず、「1 無効理由1及び当審で通知した特許法第36条第6項第2号の無効理由について」の「(1)」、「ウ.」に示すように、本件発明1の相違点3に係る発明特定事項である「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」は、明確ではないが、被請求人は、これらの事項について、「住居番号又は番地(当審注:「地番」の誤記と解される。)は、原則として『全て』記載されるが、例外的に住宅密集地では間引いてもよい。ただし、『交差点や道路沿いの建物』では間引かない。『重点的』『間引いて』とは、この関係を意味する。つまり、『重点的』とは、間引かずに記載することを意味する。」(平成31年3月12日付 意見書10ページ下から2行ないし11ページ1行)と主張していることから、このような意味に上記記載を解釈して、[相違点3]について検討する。
甲1発明等の地図を表示する装置において、表示される地図を見やすくするために、表示される情報の量を適宜調整することは、一般的に行われていることである(「第7 甲号証の記載等」の「4 甲4の記載事項等」の「エ」、及び前記「第7 甲号証の記載等」の「5 甲5の記載事項等」の「オ」参照)。
そして、甲5には、この表示される情報の量の調整として、地図上の施設のカテゴリを表示するアイコンについて、地図上に表示する施設のカテゴリを表示するアイコンの重なりがあると判断すると、当該施設が隣接する道路の属性を判断し、当該道路の属性が、その時点で選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、道路属性に基づき、施設のカテゴリを表示するアイコンの表示を間引くことが記載(「第7 甲号証の記載等」の「5 甲5の記載事項等」の「オ」及び「カ」参照。)されている。
ここで、甲1において、「住所を表す数字」は、特段の明記はないものの、図7には、表示されている複数の建物に「住所を表す数字」を表示している状態が記載されていることを考慮すると、この「住所を表す数字」は地図上に表示される建物の複数のものに表示されると解される。
ところで、甲5に記載されている「地図上に表示する施設のカテゴリを表示するアイコンの重なりがあると判断」される場合は、地図上で施設が狭い範囲に多くある結果、アイコンの重なりがあると判断されるものであるから、施設の密集地であると判断されるものと解される。また、甲5に記載されている「選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、道路属性に基づき、施設のカテゴリを表示するアイコンの表示を間引く」ことは、選択されている地図縮尺において表示にされる道路に隣接する施設については、アイコンが間引かれることなく表示されることも意味していると解される。
また、本件の出願前において、地図上に表示する地番等の情報を「重点的」に表示することや、「間引いて」表示することによって、表示量を調整することは、一般的に行われている周知技術(甲12及び令和元年11月25日付 上申書5ページ1行ないし21行参照)であり、このような表示量の調整は地図を見やすく、かつ使いやすくするために行われていると解されるところ、甲1発明の地図表示装置は、ディスプレイなどの表示装置に縮尺を変えた地図を表示できるものと解され、例えば小縮尺の地図に表示されて建物が地図上の狭い範囲に多くある場合には、各建物について、視認性のある大きさで住所を表す数字を表記すると、これらの数字が近接して表記されることとなり、各住所を表す数字が読み取りにくいものになるから、これら住所を表す数字が、建物が地図上の狭い範囲に多くある場合にも読み取れるようにする課題が甲1発明にはあるといえる。
そうすると、甲1発明において、地図に表示される住所を表す数字の表示量を調整するために「重点的」に表示することや「間引いて」表示することは、当業者が適宜調整することであり、建物が密集した結果、住所を表す数字が読み取りにくい地域については、甲5に記載された事項を適用し、建物が隣接する道路が選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、当該住所を表す数字の表示を間引き、建物が隣接する道路が選択されている地図縮尺において表示にされる道路の属性である場合には、当該住所を表す数字の表示を間引くことなく表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。そして、これは、本件発明1における「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことにほかならない(「第6 被請求人の主張の概要」の「3 被請求人の主張の内容」の「(6)当審で通知した無効理由に対して」、「オ」参照。)。
したがって、甲1発明に甲5に記載された事項及び周知技術を適用し、本件発明1の相違点3に係る事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(エ)また、[相違点1]ないし[相違点3]を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、甲1発明及び甲2ないし甲5に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(オ)被請求人は、甲5の構成を甲1発明に適用しても、甲1発明において、「施設のカテゴリを表示するアイコン」を間引いて表示する地図が表示されるだけであり、「住所番地(住居番号及び住居表示未実施地区における地番)」を間引いて表示する本件発明1の構成にはならない旨を主張するが、甲1発明には、住所を表す数字の表示量を調整することの課題があるから、この表示量の調整として甲5に記載された事項を適用することは当業者にとって容易になし得た事項であり、被請求人の主張は、採用することができない。

ウ.本件発明1に対する無効理由4についての結論
本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲5に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項1に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由4により無効とすべきものである。

(2)本件発明3について
ア.本件発明3と甲1発明との対比及び一致点、相違点について
本件発明3と甲1発明とは、本件発明1と甲1発明との[一致点]で一致し、[相違点1]ないし[相違点3]に加え、[相違点4]の点で相違する。

[相違点4]
本件発明3は、「表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」のに対し、甲1発明は、緊急警報が入った時点に自動表示することについて、何ら特定していない点。

イ.判断
(ア)[相違点1]ないし[相違点3]について
[相違点1]ないし[相違点3]は、本件発明1と甲1発明との相違点である[相違点1]ないし[相違点3]と同じであるから、上記「(1)本件発明1について」の「イ.判断」に示す理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たものである。

(イ)[相違点4]について
甲7には、携帯電話端末1が避難経路等の情報を受信すると、ディスプレイ画面上に、避難経路を表す現在位置を含む地図と、ユーザが避難すべき方向を表示して、緊急避難誘導のナビゲーションを実行することが記載(「第7 甲号証の記載等」の「7 甲7の記載事項等」の「オ」参照。)されている。この「携帯電話端末1が避難経路等の情報を受信すると、ディスプレイ画面上に、避難経路を表す地図」を表示することは、ユーザ操作によるナビゲーションを携帯電話端末1が実行しているか否かに関わりなく、行われると解され、また、甲7に記載された緊急避難誘導のナビゲーションを実行する際に、ディスプレイ画面上に表示される「現在位置を含む地図」は、緊急避難誘導を行うために、ユーザが現在いる位置とその近辺の状況を示すために表示されるものと解されるから、実質的に現在位置を中心とした地図であるといえる。そして、甲1発明などの地図表示装置において、緊急時に使用者に必要な情報を表示することは、一般的な課題であり、さらに、甲1発明と甲7に記載された上記事項とは、ユーザに対して地図を表示する装置である点で共通することから、甲7に記載された上記事項を甲1発明に適用し、本件発明3の上記相違点4に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)また、[相違点1]ないし[相違点4]を総合的に勘案しても、本件発明3の奏する作用効果は、甲1発明及び甲2ないし甲5及び甲7に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.本件発明3に対する無効理由4についての結論
本件発明3は、甲1発明及び甲2ないし甲5及び甲7に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項3に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由4により無効とすべきものである。

(3)本件発明4について
ア.本件発明4と甲1発明との対比及び一致点、相違点について
本件発明4と甲1発明とは、本件発明1と甲1発明との[一致点]で一致し、本件発明1と甲1発明との相違点である[相違点1]ないし[相違点3]に加え、[相違点5]の点で相違する。

[相違点5]
本件発明4は、「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと、前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部とを更に備える」のに対し、甲1発明は、住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと現在位置修正部とを備えていない点。

イ.判断
(ア)[相違点1]ないし[相違点3]について
[相違点1]ないし[相違点3]は、本件発明1と甲1発明との相違点である[相違点1]ないし[相違点3]と同じであるから、上記「(1)本件発明1について」の「イ.判断」に示す理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たものである。

(イ)[相違点5]について
まず、本件の出願時において、GPSシステムを用いた位置測定では、測定誤差が生じることは周知(「第7 甲号証の記載等」の「8 甲8の記載事項等」の「イ」参照。)である。
また、[相違点1]についての判断で述べたように、甲1発明において現在位置に対応させて地図を表示するようにすることは、当業者が容易になし得たことであり、この測定された現在位置は、上記のように誤差を含むものであることは明らかである。そして、甲8には、地図に表示される自車位置マークMが実際の現在地から離れている場合に、カーソルキーによって自車位置マークMを移動し、決定キーが操作されると、自車位置マークMを移動した地点に現在位置を補正し、ナビゲーションモードにおいては、補正した現在位置に基づいて、表示を行うことが記載されている。甲8に記載された現在位置の補正は現在位置に基づく地図を表示する場合の現在位置の補正であるから、甲1発明に甲8に記載された事項を適用し、現在位置に対応させた地図を表示すると共に、ユーザーからの操作を受け付けて現在位置を補正するようにし、本件発明4の上記相違点5に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)また、[相違点1]ないし[相違点3]及び[相違点5]を総合的に勘案しても、本件発明4の奏する作用効果は、甲1発明及び甲2ないし甲5及び甲8に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.本件発明4に対する無効理由4についての結論
本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲5及び甲8に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項4に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由4により無効とすべきものである。

6 無効理由5について
(1)本件発明1について
ア.本件発明1と甲3発明との対比及び一致点、相違点について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「住宅地図」は、本件発明1の「地図データ」に相当する。そして、甲3発明の住宅地図は、道路を「線図、文字、図形で表示したものであり」、ここで、道路を表示するためには、緯度及び経度によって定まる座標上に地形、地図を表示し、この座標上に道路を表示すると解されることから、甲3発明の「住宅地図は、道路及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり」は、本件発明1の「地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり」に相当する。
また、甲3発明の「住宅地図上の建物は、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示する」は、本件発明1の「前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」に相当する。さらに、甲3発明において、「住宅地図は、道路及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり」、「住宅地図上の建物は、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示する」ことは、緯度経度の自然座標系の地図に、住居表示実施地区では住居番号、住居表示未実施地区では地番を表示するものであり、これは、本件発明3における社会座標系を組み合わせたことにより表示しているといえる。

(イ)上記(ア)より、本件発明1と甲3発明とは、次の[一致点]で一致し、[相違点6]及び[相違点7]の点で相違する。

[一致点]
「地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示する」点。

[相違点6]
本件発明1は、「現在位置を取得する現在位置取得部と、前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、を備え」た「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」であるのに対し、甲3発明は、そのような現在位置取得部と表示情報生成部を備えていない住宅地図である点。

[相違点7]
本件発明1の表示情報生成部は、「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」のに対し、甲3発明の住宅地図は、このような機能を有するものではない点。

イ.判断
[相違点6]及び[相違点7]について検討する。
(ア)[相違点6]について
甲2には、各種センサから出力される情報を基にして現在位置を検出し、得られた現在位置情報に基づいて、表示に必要な地図情報を読み込み、地図データを表示するナビゲーション装置について記載されている。また、甲3発明の住宅地図は、カーナビゲーション装置で使用し、表示することが想定されているといえる(「第7 甲号証の記載等」の「3 甲3の記載事項等」、「(1)甲3の記載事項」、「(カ)」及び「(ク)」参照)。
そうすると、甲3発明の住宅地図の表示を、甲2に記載された現在位置に対応して表示する地図とし、[相違点6]に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(イ)[相違点7]について
[相違点3]についての判断と同様に、本件発明1の相違点7に係る発明特定事項である「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有する」を被請求人の主張に沿って、「住居番号又は番地(当審注:「地番」の誤記と解される。)は、原則として『全て』記載されるが、例外的に住宅密集地では間引いてもよい。ただし、『交差点や道路沿いの建物』では間引かない。『重点的』『間引いて』とは、この関係を意味する。つまり、『重点的』とは、間引かずに記載することを意味する」(平成31年3月12日付 意見書10ページ下から2行ないし11ページ1行)と解して、検討する。
[相違点6]についての判断で述べたように、甲3発明は、甲2に記載されるようなカーナビゲーション装置で表示することが想定されている住宅地図であるところ、カーナビゲーション装置で地図を表示する際に、表示される地図を見やすくするために、表示される情報の量を適宜調整することは、一般的に行われていることであり(「第7 甲号証の記載等」の「4 甲4の記載事項等」の「エ」、及び前記「第7 甲号証の記載等」の「5 甲5の記載事項等」の「オ」参照)、本件の出願前において、地図上に表示する地番等の情報を「重点的」に表示することや、「間引いて」表示することによって、表示量を調整することは、一般的に行われている周知技術でもある(甲12及び令和元年11月25日付 上申書5ページ1行ないし21行参照)。このような表示量の調整は地図を見やすく、かつ使いやすくするために行われていると解されるところ、甲3発明においても、地図に表示される建物が地図上の狭い範囲に多くある場合には、各建物について、視認性のある大きさで住居番号または地番を表記すると、これらの数字が近接して表記されることとなり、各住所を表す数字が読み取りにくいものになるから、これら住居番号または地番が、建物が地図上の狭い範囲に多くある場合にも読み取れるようにする課題が甲3発明にはあるといえる。
そして、甲5には、この表示される情報の量の調整として、地図上の施設のカテゴリを表示するアイコンについて、地図上に表示する施設のカテゴリを表示するアイコンの重なりがあると判断すると、当該施設が隣接する道路の属性を判断し、当該道路の属性が、その時点で選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、道路属性に基づき、施設のカテゴリを表示するアイコンの表示を間引くことが記載(「第7 甲号証の記載等」の「5 甲5の記載事項等」の「オ」及び「カ」参照。)されている。
甲5に記載されている「地図上に表示する施設のカテゴリを表示するアイコンの重なりがあると判断」される場合は、地図上で施設が狭い範囲に多くある結果、アイコンの重なりがあると判断されるものであるから、施設の密集地であると判断されるものと解される。また、甲5に記載されている「選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、道路属性に基づき、施設のカテゴリを表示するアイコンの表示を間引く」ことは、選択されている地図縮尺において表示にされる道路に隣接する施設については、アイコンが間引かれることなく表示されることも意味していると解される。
以上のことから、甲3発明の住宅地図を甲2に記載されるカーナビゲーション装置で表示する際において、建物が密集した結果、住所を表す数字が読み取りにくい地域については、表示される情報の量を適宜調整するために、甲5に記載された事項を適用し、建物が隣接する道路が選択されている地図縮尺において非表示にされる道路の属性である場合には、当該住所を表す数字の表示を間引き、建物が隣接する道路が選択されている地図縮尺において表示にされる道路の属性である場合には、当該住所を表す数字の表示を間引くことなく表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得た事項であり、これは、本件発明1における「地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する」ことにほかならない(「第6 被請求人の主張の概要」の「3 被請求人の主張の内容」の「(6)当審で通知した無効理由に対して」、「オ」参照。)。
したがって、甲3発明の住宅地図を表示する際に甲5に記載された事項、周知技術を適用し、本件発明1の[相違点7]に係る事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)また、[相違点6]及び[相違点7]を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、甲3発明及び甲2、甲5に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.本件発明1に対する無効理由5についての結論
本件発明1は、甲3発明及び甲2、甲5に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項1に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由5により無効とすべきものである。

(2)本件発明3について
ア.本件発明3と甲3発明との対比及び一致点、相違点について
本件発明3と甲3発明とは、本件発明1と甲3発明との[一致点]で一致し、[相違点6]及び[相違点7]に加え、[相違点8]の点で相違する。

[相違点8]
本件発明3は、「表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示する」のに対し、甲3発明は、緊急警報が入った時点に自動表示することについて、何ら特定していない点。

イ.判断
(ア)[相違点6]及び[相違点7]について
[相違点6]及び[相違点7]は、本件発明1と甲3発明との相違点である[相違点6]及び[相違点7]と同じであるから、上記「(1)本件発明1について」の「イ.判断」に示す理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たものである。

(イ)[相違点8]について
甲7には、携帯電話端末1が避難経路等の情報を受信すると、ディスプレイ画面上に、避難経路を表す現在位置を含む地図と、ユーザが避難すべき方向を表示して、緊急避難誘導のナビゲーションを実行することが記載(「第7 甲号証の記載等」の「7 甲7の記載事項等」の「オ」参照。)されている。この「携帯電話端末1が避難経路等の情報を受信すると、ディスプレイ画面上に、避難経路を表す地図」を表示することは、ユーザ操作によるナビゲーションを携帯電話端末1が実行しているか否かに関わりなく、行われると解される。
そして、[相違点6]についての判断で述べたように、甲3発明は、甲2に記載されるようなカーナビゲーション装置で使用することが想定されている住宅地図であるところ、そのような甲3発明の住宅地図と甲7に記載された上記事項における地図とは、ユーザに対して表示する地図である点で共通することから、甲3発明をカーナビゲーション装置で表示する場合の表示手段に甲7に記載された上記事項を適用して、甲3発明の住宅地図がナビゲーション装置で避難経路等の情報を受信したときに表示されるようにし、本件発明3の[相違点8]に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)また、[相違点6]ないし[相違点8]を総合的に勘案しても、本件発明3の奏する作用効果は、甲3発明及び甲2、甲5及び甲7に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.本件発明3に対する無効理由5についての結論
本件発明1は、甲3発明及び甲2、甲5及び甲7に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項3に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由5により無効とすべきものである。

(3)本件発明4について
ア.本件発明4と甲3発明との対比及び一致点、相違点について
本件発明4と甲3発明とは、本件発明1と甲3発明との[一致点]で一致し、本件発明1と甲3発明との相違点である[相違点6]及び[相違点7]に加え、[相違点9]の点で相違する。

[相違点9]
本件発明4は、「前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと、前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部とを更に備える」のに対し、甲3発明は、住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと現在位置修正部とを備えていない点。

イ.判断
(ア)[相違点6]及び[相違点7]について
[相違点6]及び[相違点7]は、本件発明1と甲3発明との相違点である[相違点6]及び[相違点7]と同じであるから、上記「(1)本件発明1について」の「イ.判断」に示す理由と同様の理由により、当業者が容易になし得たものである。

(イ)[相違点9]について
まず、本件の出願時において、GPSシステムを用いた位置測定では、測定誤差が生じることは周知(「第7 甲号証の記載等」の「8 甲8の記載事項等」の「イ」参照。)である。
また、[相違点6]についての判断で述べたように、甲3発明は、カーナビゲーション装置で使用することが想定されている住宅地図であって、甲3発明の住宅地図を甲2に記載されたナビゲーション装置で表示する際に現在位置に対応した地図を表示するようにすることは、当業者が容易になし得たことであり、この測定された現在位置は、上記のように誤差を含むものであることは明らかである。そして、甲8には、地図に表示される自車位置マークMが実際の現在地から離れている場合に、カーソルキーによって自車位置マークMを移動し、決定キーが操作されると、自車位置マークMを移動した地点に現在位置を補正し、ナビゲーションモードにおいては、補正した現在位置に基づいて、表示を行うことが記載されている。甲8に記載された現在位置の補正は現在位置に基づく地図を表示する場合の現在位置の補正であるから、甲3発明の住宅地図を甲2に記載されたナビゲーション装置で表示する際に、甲8に記載された事項を適用し、現在位置を中心とした地図を表示すると共に、ユーザーからの操作を受け付けて現在位置を補正するようにし、本件発明4の[相違点9]に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(ウ)また、[相違点6]及び[相違点7]、[相違点9]を総合的に勘案しても、本件発明4の奏する作用効果は、甲3発明及び甲2、甲5及び甲8に記載された事項、周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.本件発明4に対する無効理由5についての結論
本件発明4は、甲3発明及び甲2、甲5及び甲8に記載された事項、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項4に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効理由5により無効とすべきものである。

第9 むすび
本件の請求項1、3、4に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、また、同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4項に該当し、無効とすべきものである。
また、本件の請求項1、3、4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本件の請求項1、3、4に係る特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
請求項2、5は、訂正により削除されたので、請求項2、5に係る発明についての本件審判の請求は、その対象が存在しないものとなったため、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビやウオークナビなどのサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムは、位置情報を知るための座標系として、専ら緯度経度の自然座標系に拠っており、そのため、目的とする場所を一旦、ユーザーにも分かる住所などで指定することで、目的とする場所までをルート表示や音声等で地理案内することになっている(例えば、特許文献1)。これは、緯度経度は、コンピュータが位置情報を知る上では適していても、人間には現地での直接的な理解が不可能なためである。例えば、「赤道」は、人間が知覚できる赤色等で位置確認ができる訳でなく、その他の緯度経度線も、そもそも現地の地理空間において、人間が位置情報として直接に利用することは不可能である。そのため、従来システムでは、GPSと連動しつつ、目的地の位置情報の緯度経度を、一旦は、コンピュータに理解させた上で、目的地へのルートを地図上に表示させるなどして案内することが不可欠であった。
【0003】
そのシステムは、地理空間の緯度経度の暗闇の中を、いわば案内のロープを頼りに、目的地まで辿り着くようなもので、その利用可能な位置情報は、現在地と目的地との二点を結んで、必然に一次元の形式をとることから、”トンネル型”のナビシステムと言える。
【0004】
従来のナビシステムは、目的地が予め分かっていて、かつ、”一時に一つだけ目的地を見出せば十分な場合”には、大変に便利なシステムである。
【0005】
(従来のナビシステムの課題)
しかしながら、近年のナビシステムをめぐる顕在的、潜在的需要には、とりわけ東日本大震災以後においては、防災や観光、或は国民生活の諸般にわたって、単に予め決められた目的地までの経路が分かれば十分と言うだけでは済まない需要が顕著になりつつある。
【0006】
それと言うのも、防災や観光の「まち歩き」などでは、単に目標ばかりでなく、そこに至る過程自体も情報的に重要であるばかりでなく、そもそもが、その潜在的に求められている地理空間情報自体が、予め設定された目標物や既知の情報に限定されるものではないからである。
【0007】
例えば、防災面では、その必要とされる情報は、現地で初めてその必要性や価値が発見的に知られる潜在的な目標物も含むことは、以下に例示した防災ないしリスク情報の自然的、人工的性格からも容易に推測できるところである。
【0008】
「自宅や学校付近の地形や標高、避難場所、避難ルート、袋路地、3階建て以上建物、倒壊の危険のある建物・ブロック塀・自動販売機、水没しやすい道路箇所、浸水時に側溝に落ちやすい場所、火災旋風の危険のある区域、その他のリスク及び避難情報。」
これらの地物等には市民自らが、自分の足で現地を親しく探索することで初めて見出すことのできる情報ばかりでなく、高齢者や子供、災害弱者、妊婦、外国人等それぞれの防災や避難行動にとって重要な情報も含まれている。
【0009】
また、行政の防災情報も、転勤者や移住者はもとより、地域の人にとっても必ずしも周知とは限らず、現地で探索して初めて発見される情報も数多くある。
【0010】
また、観光面では、観光客にとって、見知らぬ土地を散策しながら、予期せぬ観光スポットや文化財を発見したり、或は人や地域との思いがけない出会いこそは、観光の醍醐味とも考えられる。とりわけ、我が国の”治安の良さ”は、諸外国にはない、観光の貴重な資源であることからも、いわば”散策観光”を可能にするナビシステムこそは、東京オリンピックの開催を控えていることからも、観光大国づくりの上からその実現が早急に求められるものである。
【0011】
ところで、従来システムでは、以上の必要性に対して、次の大きな問題を抱えている。即ち、従来システムは、目的地が分からないとナビ機能が役立たないばかりでなく、仮にGPS機能で現在地を表示させて、当該表示を手掛りに、「まち歩き」や「散策」を行おうとしても、歩行は、車走とは比較にならない遅速度で、かつ、複雑に入り組んだ細道などを辿ったりする必要があることから、GPSの精度の問題により、到底これに対応できる状況にはない。
【0012】
また、我が国の市街地などの地理の分かりにくさは、観光立国を図る上で大きな妨害要因になっていることについては、つとに指摘されて来ているところでもある。
【0013】
例えば、平成18年度より開始された、国土交通省の「『通り名で道案内』社会実験を踏まえて」(平成20年10月)では、次の様に報告されている。
【0014】
「1.「通り名で道案内」とは
我が国の住居表示方法は、道路、鉄道、河川などによって区画された地域に付けられるブロック(街区)を基本とする方法(街区方式)が一般的ですが、この方法は、住居表示としての大きな役割を果たしながらも、地域に不慣れな来訪者にとっての目的地の特定のしやすさという点からは、必ずしも適していないとの声も聞かれます。
【0015】
一方、欧米の住居表示で一般的に行われている「道路方式」は、通りを基本とし、通りの名称及び沿道施設に付けられた番号により場所を表示することから、地域に不慣れな来訪者でも容易に目的地を特定しやすいと考えられます。
【0016】
「通り名で道案内」は、このようなことを背景として、通りの名称と概ねの位置を表す番号を使って目的地をうまく特定できるルールを作り、道路上にこれらを表示することにより、観光地や中心市街地等において、分かりやすい道案内を行うことを目的とする取組です。」
そのため、従来のナビシステムは、我が国の市街地等の地理の分かりにくさという、都市構造的問題に対処するために、公共施設や著名ビルなどを地図上に表示したり、住居表示実施地区では街区番号を表示することで、位置特定の補助的手掛りとしているものの、しかし、抜本的な解決からは程遠い状況にある。まち歩きにおいては、効率の上からも、また、心理的な安心感の上からも、複雑な道路状況において絶えず現在地を正確に知ることが求められるにもかかわらず、従来のナビシステムでは、著名ビル等の位置が地図上に表示されて、現在地との関係について大雑把な鳥瞰を与えても、以上の構造的問題とGPSの誤差の問題が相俟って、利用者の歩行レベルでの現地案内を担保することには結び付かないからである。そのため、現在地表示のみを手掛りにする場合はもとより、著名ビル等の表示を手掛りにする場合でも、迷子になることなく、まち歩きし、地域を散策して、付近の防災・観光情報に自由にアクセスすることは、極めて困難であり、実用性から程遠いものであった。また、外国人の観光客には、日本語や漢字で表記された著名ビルなどの名称が読めないという問題もある。そして、街区番号の地図表示についても、まさしく、上記の「『通り名で道案内』社会実験」が物語っている様に、「地域に不慣れな来訪者にとっては」目的地特定の手掛りとしては実際的ではない。
【0017】
このように、従来のナビシステムは、現地理解の不可能な緯度経度を、実際上の唯一の座標系として用いていることに加えて、日本の地理空間自体の分かりにくさという構造的なハンディをそのまま反映、抱えている他、歩行者用のナビシステムとしては、GPSの誤差という大きな問題も抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2002-206943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとするのは、以上のように、従来のナビシステムが抱える三重の課題を克服することである。そのことによって、既知の目的地へのルート検索に限定された位置情報にとどまらずに、地域に多岐多様にわたって顕在的、潜在的に分布する防災・リスク情報や観光資源等を、自由にかつ効率的、体系的に探索できるように、人間にも理解可能な位置情報を、行く先々において現在地点から眺望できるように隈なく提供することである。そのことによって、利用者の探索が、その行動能力や自由において飛躍的に押し広げられて、地理リテラシーや、防災リテラシー、観光リテラシー等が向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムは、
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、
を備え、
前記地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記地図データ上の住宅に住居番号(住居表示未実施地区では、地番)のみを表示することを特徴とする。
即ち、本発明では、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番)の社会座標系を組み合わせることを特徴とし、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えるようにする。
なお、前記表示情報生成部によって、前記地図データ上の交差点又は道路沿いの建物に重点的に住所番地を表示するとともに、住宅密集地では間引いて表示する機能を設けてもよい。
【0021】
そのことによって、従来システムの様に、探索行動の有効性が、目的地の”既知性”や目的地へのルート設定といった”一方向性”に縛られることなく、ナビ地図上の至る所に網羅された住所番地を手掛りに、広々とした眺望をもって、”発見的”かつ”360度の全方位性”において可能となる。これは、現地の地理空間での探索能力やその行動半径、自由度が、飛躍的に押し広げられて、大きく向上することを意味するものである。
【0022】
その結果、地域の避難場所や標高、危険情報、観光スポット、イベントなどの地理位置が、既知の情報として知らなくても、また、複数の場合でも、秩序立って、同時併行的に現地で見つけ出すことが可能となる。これまでのように、途中で道に迷ったり、労多くして功甚だ少ない疲労感のために、必要とされる達成の1/10も行かないうちに諦めたり、アクセスを放棄することがなくなる。
【0023】
このように、そのもたらす探索行動の飛躍的な効率や、その労に報いる達成感は、利用者が地域の地理空間に親しみ、ナビシステムを利用して”散策する喜び”をもたらすものである。また、その行動の大きな自由度は、高齢者や障害者、子供、妊婦等にとっても、それぞれに必要な情報を見つけたり、思いがけない”発見”に出会ったりする上で、時間的及び心理的・体力的なゆとりをもたらすものである。
【0024】
更に、以上の利便さは、”減災”の国民的課題において、次の大きな貢献が期待される。即ち、その眺望型ナビシステムの便利さのゆえに、観光散策なども兼ねて、地域の海抜高度や避難路、避難場所などの避難行動の知識や避難パターンなどが、行動との結び付きにおいて、繰り返し脳裏に刷り込まれる。その結果、地域の歴史や史跡めぐりといった生涯学習や観光はもとより、現地の防災・リスク情報等が、頭の中で地図イメージを形成することとなり、いざというときに避難行動を反射的に可能にする避難リテラシー(=震災を生き抜く避難の知識と能力)の形成に役立つ。
【0025】
更に、建物の番地表示という、万国共通で子供でも理解できる”数字”で位置情報が表記されているなど、土地勘のない移住者や児童生徒、外国人でも容易に利用できるナビシステムである。
【0026】
従来のナビシステムでは、例えば路地が10メートル間隔で複数あったりする場合には、そもそもがどの路地に入ったかはGPS機能では、誤差の範囲内のため検出ができないが、このシステムでは建物や自動販売機などの住所表示で簡単に確認できるので、迷子になったり、目標方向から外れたりすることもない。
【0027】
歩行で移動する場合には、従来のナビシステムでは、とりわけビル街の十字路等の分岐点ではどの方向に進んでいるかが不明となり、数十メートル行って初めて間違いに気づくなど多大のロスが生じ得るが、このシステムでは建物番地(自動販売機にも表示)などで容易に方向を見定めることができるので、行き違いの防止にも効果的である。
【0028】
なお、このナビシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。
【0029】
更に、このシステムは、災害時にGPS機能が使えない場合でも、住宅地図としての機能により、避難場所や避難経路に安全に誘導することができる。なお、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、自動的に当該時点における現在地を中心とした地 図が表示されるようにすればよい。
【0030】
また、このナビシステムでは、地表の広がりにおける地物や建物等の布置が、地図上に表示された建物番号によって、相互のアナログ的な位相関係を目視で判断できるため、(機械が到底及ばない)人間の優れた図形処理能力を抽き出すことが可能となり、防災学習や観光情報への散策的アクセスや利用において、従来のナビシステムとは比較にならない効率性を生み出す。
【0031】
上記発明において、地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、当該ナビシステムは、現在位置を取得する現在位置取得部と、現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示するとともに、建物の座標位置に対応させて住所番地を表示させる表示情報生成部とを備える。これにより、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では地番)の社会座標系を組み合わせ、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えることができる。
【0032】(削除)
【0033】(削除)
【0034】
また、上記発明において、表示情報生成部が表示させた地図上において、住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと、入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部とを更に備えることが好ましい。
【0035】
この場合には、例えば、GPS受信機の測位精度や、測位を行う環境による影響によって、測位に誤差が生じた場合であっても、ユーザーからの操作によって正確な位置情報を取得することができるので、衛星から取得される位置情報の誤差を解消することができるとともに、その誤差の補正情報を用いることで、その後の測位演算の精度向上に反映させることができる。特に、本発明においては、地図データ蓄積部において、住所番地に関連づけられた座標を蓄積しており、選択された住所番地に基づいて、現在位置を修正しているので、修正処理を即時且つ簡易に行うことができる。また、本発明では、表示情報生成部が表示させた地図上に住所番地を表示させ、表示された住所番地を選択可能としているので、ユーザーにとっては、現在自身がいる場所と、地図上との位置との相違を即座に認識できるとともに、その修正作業を直感的に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
従来システムでは、GPSの誤差範囲に加えて、現地との位置照合の手掛りが殆どないために、地図上及び現地での正確な位置の特定は容易でなかったが、このシステムでは、現地の至る所に表示された建物番地と照合することによって、容易に正しい位置の特定が可能になった。GPSの現在地特定機能は、寧ろ、マクロの大雑把な位置特定にとどめて、分岐点等における進路決定などの個々の歩行選択は、建物番地の現地照合によるなど、効率的でストレスのないナビシステムの実現が可能になった。
【0037】
従来システムでは、一つの地域に複数の配達場所がある場合は、一々、配達先の住所を入力する必要があって煩雑であるが、このシステムでは、人間の優れたアナログ処理能力を生かして、目視で地図上の建物番地等を確認することで、簡単に配達先の特定や、現在地からのおおよその方向性や最短経路などを決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムで用いられるユーザー端末1の画面構成である。
【図2】実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムの全体構成を示す概念図である。
【図3】実施形態に係る管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るユーザー端末の内部構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る付加情報追加部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態に係る表示部に表示される付加情報選択画面を示す説明図である。
【図7】(a)及び(b)は、実施形態に係る地図データの表示形態を示す説明図である。
【図8】実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーション方法における地図データ作成処理を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーション方法における地図データ表示処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)及び(b)は、実施形態に係る現在位置を修正する機能を示す説明図である。
【図11】実施形態に係るユーザー端末の基本内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムで用いられるユーザー端末1の画面構成である。図1に示すように、ユーザー端末1は、現在位置に対応した地図データを表示するナビシステムを備えており、ディスプレイ13aに地図データ上の建物に住所番地を表示することができる。
【0040】
この地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、また、地図には、道路と、該道路に沿って立ち並ぶ建物を表示する建物表示輪郭(ポリゴン)と、建物表示輪郭内には住所番地192を表示させている。即ち、この地図データでは、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番表示を含む)の社会座標系を組み合わせて表示させている。
【0041】(削除)
【0042】
また、この地図データ上には、市町村の行政区画が表示されるとともに、一部の道路名や所定の場所には、道路、店舗、観光スポットの正式名称が表示されるとともに、主要な交差点の名称が表示される。なお、郵便局を表す記号、神社を表す記号、寺を表す記号のように地図上に表す記号などを表示してもよい。
【0043】
(サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムの全体構成)
以上説明した地図データを表示させるサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムについて説明する。図2は、サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムの全体構成を示す概念図である。図2に示すように、本実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムは、現在位置に対応した地図データを表示するシステムであって、通信ネットワーク5上に、本システムを管理する管理サーバ2、無線基地局4、各種のWebデータを配信する各種Webサーバ6(6a及び6b)、無線基地局4又は通信衛星3を通じて無線通信が可能なユーザー端末1(車に搭載可能なカーナビゲーション装置1aを含む)が配置されている。
【0044】
通信ネットワーク5は、無線通信網を含み、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、この通信ネットワーク5には、10BASE-Tや100BASE-TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0045】
無線基地局4は、中継装置などを通じて通信ネットワーク5に接続され、ユーザー端末1との間で無線通信接続を確立し、ユーザー端末1による通話やデータ通信を提供する装置である。中継装置は、通信ネットワーク5に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置であり、通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局4と、通信ネットワーク5との間における中継処理を行う。この中継装置には、Wi-Fi(登録商標)ルーターやアクセスポイント装置の機能も含まれ、ユーザー端末1と無線通信を行っている。衛星3は、地球上空における所定の軌道上を周回する位置情報衛星であり、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。
【0046】
管理サーバ2は、通信ネットワーク5上に配置されて、ユーザー管理、データ収集管理など、システム全体を管理・制御するサーバ装置である。また、管理サーバ2には、Webサーバが含まれ、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバコンピュータ或はその機能を持ったソフトウェアであり、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、ユーザー端末1上で実行されるWebブラウザなどのアプリケーションの要求に応じて、コンテンツ(Webページ)の配信をユーザー端末1へ配信されている。
【0047】
ユーザー端末1は、各ユーザーが所持する端末であって、CPUによる演算処理機能、及び無線通信機能を有する携帯電話機、スマートフォン、カーナビゲーション装置であり、一般的な基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、上述した通信方式とは別の無線インターフェースとして、無線LANの規格等に準じたIPパケットの送受による通信方式に対応した機能も備えている。更に、このユーザー端末1は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、及びGPS機能等の機能が搭載され、携帯情報端末(PDA)としての機能も果たす。
【0048】
Webサーバ6(6a,6b)は、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTMLファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバコンピュータ或はその機能を持ったソフトウェアであり、HTML文書や画像などの情報をデータベース61a、61bに蓄積しておき、Webブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じて、インターネット5などのIP網を通じて、これらの情報を送信する。このWebサーバ6には、ユーザー間における相互のアクセス規制を個々に設定し、アクセス規制に基づいてユーザー間でコンテンツの共有を行うソーシャルネットワークサーバなども含まれ、ユーザー端末1上においては、当該SNSシステム上で投稿されたつぶやきやコメントなどの各種情報が画面上に表示可能となっている。
【0049】
(各装置の内部構造)
次いで、上述したシステムを構成する各装置の内部構造について説明する。図2は、本実施形態に係るユーザー端末1の内部構成を示すブロック図であり、図3は、本実施形態に係る管理サーバ2の内部構成を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或はその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0050】
(1)管理サーバ
次いで、管理サーバ2の内部構成について説明する。管理サーバ2は、単一のサーバ装置の他、Webサーバやデータベースサーバなど複数のサーバ群から構成することができる。本実施形態では、図3に示すように、通信処理の機能モジュールとして、通信インターフェース201を備えている。通信インターフェース201は、通信ネットワーク5を通じて、ユーザー端末1や各Webサーバ6との間でデータの送受信を行う通信インターフェースである。
【0051】
また、管理サーバ2には、ユーザー端末1に表示させる地図データを蓄積するモジュールとして、地図データ蓄積部203を有している。地図データ蓄積部203は、住所入り電子住宅地図のデータを蓄積する記憶装置であり、蓄積される地図データとは、緯度・経度を含む座標データと、座標データに対応したベクトル地図データ(ポリゴンデータ)と、座標データに対応した住所データ(住所番地)とが関連付けて記録されている。これにより、画面上に表示される地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物が線図、文字、図形で表示されるとともに、建物には住所番地192を表示されている。なお、このような地図データは、管理サーバ2上で生成することもできる。この場合には、地図の図形を、原画、イメージスキャナ、ベクトルデータ変換装置、ポリゴン(多角の囲い図形)変換装置、及びコンピュータを用いて作成し、当該住所番地データや一部の名称(テキストデータ)は、地図上の座標に対応する位置に対して、手作業による入力によって付加したり、予め住所番地データや一部の名称(テキストデータ)に座標データが含まれている場合には、その座標データに基づいて地図データに紐付けする。なお、この際、地図上に表示される住所番地は、建物の輪郭線内に収まるように適宜修正するものとする。
【0052】
また、管理サーバ2には、各ユーザーから提供される情報を取得して蓄積するモジュールとして、ユーザー提供情報蓄積部202を有している。ユーザー提供情報蓄積部202は、ユーザー端末1から送信された各種の情報を提供情報として取得し、当該情報を蓄積する記憶装置である。提供される情報としては、例えば、防災や観光に関する情報など種々の情報が含まれる。ここで、防災に関する情報には、自宅や学校付近の地形や標高、避難場所、避難ルート、袋路地、3階建て以上建物、倒壊の危険のある建物・ブロック塀・自動販売機、水没しやすい道路箇所、浸水時に側溝に落ちやすい場所、火災旋風の危険のある区域などが含まれる。
【0053】(削除)
【0054】(削除)
【0055】
更に、管理サーバ2には、付加情報を地図データに関連付けるモジュール群として、キーワード蓄積部204と、付加情報蓄積部205と、情報検索部211と、キーワード抽出部212と、情報分類部213と、データ合成部214と、データ配信部215とを備
えている。
【0056】(削除)
【0057】(削除)
【0058】
ここで、情報検索部211によって検索されるWebサーバ6は、各種のWebサーバであり、本実施形態では、防災関連情報を配信するサーバ、都市計画情報を配信するサーバ、観光・民宿情報を配信するサーバ、各種の文化財・戦跡情報を配信するサーバ、病院・介護情報を配信するサーバ、バリアフリー情報を配信するサーバ、自然・環境情報を配信するサーバ、観光農園等の特選品情報を配信するサーバ、飲食店などの店舗情報を配信するサーバなどが含まれる。また、facebook(登録商標)やtwitter(登録商標)などSNSシステムのサーバなども含まれる。
【0059】(削除)
【0060】(削除)
【0061】
キーワード蓄積部204は、キーワード抽出部212によって抽出されたキーワードを蓄積するデータベースであり、ここでは、抽出されたキーワードに住所データや座標データを付加して蓄積する。
【0062】(削除)
【0063】
ここで、分類される分野としては、上述した、「防災」、「都市計画」、「観光」、「宿泊施設」、「文化財・戦跡、」「病院・介護」、「バリアフリー」、「自然・環境」、「特選品」、「飲食店」などが含まれ、その他としては、各土地の固定資産税を示す「固定資産税」、船乗り場、鉄道、バス等の時刻表を「時刻表」、防犯カメラの位置を示す「防犯」、「上下水道」、商店街内の各店舗の情報を示す「商店街案内」、釣り場、エステなどの所定施設を示す「サービス情報」、エレベータ設置箇所を示す「EV設置箇所」、トイレ位置を示す「トイレ」、公園を示す「公園」、AED設置箇所を示す「AED設置箇所」、駐車場を示す「駐車場」、学校を示す「学校」、イベント情報を示す「イベント」など様々な分野に分類することができる。
【0064】
付加情報蓄積部205は、情報検索部211、キーワード抽出部212、及び情報分類部213が取得したWeb情報又はユーザー提供情報を付加情報として蓄積するデータベースであり、本実施形態では、付加情報を特定する付加情報IDに、付加情報の名称、住所データ、座標データ、当該付加情報のキーワード、及び分類(属性情報)が蓄積されている。
【0065】
データ合成部214は、地図データ蓄積部203と付加情報蓄積部205とに記憶された各データを関連付けするモジュールである。このデータ合成部214では、付加情報蓄積部205内の住所データ又は座標データと、地図データ中における住所データ又は座標データとを関連付けることで、付加情報を地図データ上に表示可能としている。
【0066】(削除)
【0067】(削除)
【0068】(削除)
【0069】
なお、管理サーバ2に備えられた上記の各モジュールは、制御部210により制御される。制御部210は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或はその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。
【0070】
(2)ユーザー端末1
次いで、ユーザー端末1の内部構成について説明する。初めにユーザー端末1の基本的な内部構成について説明する。図11は、本実施形態に係る携帯通信端末1の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯通信端末1は、アンテナ101に接続されたデュプレクサ102と、このデュプレクサ102に接続された受信系モジュール及び送信系モジュールとを備えている。
【0071】
受信系モジュールとしては、低ノイズアンプ110、ミキサ111、IFアンプ112、直交ミキサ113、A/Dコンバータ114、復調器115、チャネルデコーダ116、音声デコーダ117、D/Aコンバータ118、スイッチ付きアンプ119、及びスピーカ120を備えている。一方、送信系モジュールとしては、マイク140、アンプ139、A/Dコンバータ138、音声エンコーダ137、チャネルエンコーダ136、変調器135、D/Aコンバータ134、直交ミキサ133、IFアンプ132、ミキサ131、及びパワーアンプ130を備えている。
【0072】
また、携帯通信端末1は、制御系モジュールとして、シンセサイザ103、タイムベース150、CPU180、RAM152、ROM153、EEPROM151を備え、ユーザーインターフェース系モジュールとして、加速度センサ164、LCD165、操作ボタン166、LED167、タッチセンサ168、及びバイブレータ174を備え、さらに、電源系モジュールとして、電源系電池171、電源172、及びA/Dコンバータ173を備える。
【0073】
前記アンテナ101は、電波回線を介して基地局(図示せず)に対し信号を送受信する。デュプレクサ102は、送受信される信号の入出力を切り替える回路であり、アンテナ101が受信した信号を低ノイズアンプ110に入力し、パワーアンプ130から出力された信号をアンテナ101に出力する。
【0074】
受信系モジュールにおいて、低ノイズアンプ110は、デュプレクサ102から入力された信号を増幅し、ミキサ111に出力する。ミキサ111は、低ノイズアンプ110の出力を受け、特定の周波数だけ分離して中間周波数信号として出力する。IFアンプ112は、ミキサ111から出力された中間周波数信号を増幅する。直交ミキサ113は、IFアンプ112の出力を受け直交復調する。A/Dコンバータ114は、直交ミキサ113の出力をデジタル化する。復調器115は、A/Dコンバータ114の出力を復調する。チャネルデコーダ116は、復調器115の出力に対して誤り訂正を行う。誤り訂正を行った信号には、制御メッセージ及び音声データが含まれる。制御メッセージはCPU180に、音声データは音声デコーダ117に送出される。
【0075】
かかるチャネルデコーダ116から音声デコーダ117に入力された信号は、音声データにデコードされ、D/Aコンバータ118に受け渡される。D/Aコンバータ118は音声デコーダ117の出力をアナログ信号に変換する。スイッチ付きアンプ119は、CPU180からの制御信号に基づいて、適宜のタイミングで切り替えられ、スイッチONの状態においてD/Aコンバータ118の出力を増幅する。スピーカ120はスイッチ付きアンプ119の出力を増幅する。
【0076】
一方、送信系モジュールにおいて、マイク140は、ユーザーからの音声信号を受け、この音声信号をアナログ信号として出力する。アンプ139は、マイク140から出力されるアナログ信号を増幅する。A/Dコンバータ138は、アンプ139の出力をデジタル信号に変換する。音声エンコーダ137はA/Dコンバータ138の出力をコード化して圧縮し、音声データとして出力する。チャネルエンコーダ136は、CPU180からの制御メッセージと音声エンコーダ137からの音声データとを合わせ、誤り訂正符号を付加する。
【0077】
そして、変調器135は、チャネルエンコーダ136の出力を変調する。D/Aコンバータ134は、変調器135の出力をアナログ信号に変換する。直交ミキサ133は、D/Aコンバータ134の出力を、IF周波数信号(中間周波数信号)に変換する。IFアンプ132は直交ミキサ133の出力を増幅する。ミキサ131は、IFアンプ132の出力する信号の周波数を上げる。パワーアンプ130は、ミキサ131の出力を増幅する。
【0078】
なお、前記シンセサイザ103は、通信中に、ミキサ111、直交ミキサ113、ミキサ131、直交ミキサ133の同期をとる。タイムベース150は、クロック信号を各部に供給する。
【0079】
ユーザーインターフェース系において、加速度センサ164は、加速度の大きさ及び方向を検出するセンサである。LCD165は、ユーザーにメッセージや入力文字などを表示させる液晶ディスプレイである。タッチパネル上のGUIでは、このLCD165を介して文字や図形、動画などのグラフィックを表示することができ、タッチパネル上のタッチセンサ168を通じて、操作信号を取得する。
【0080】
LED167は、点灯及び消灯によりユーザーにメッセージを伝えるためのものである。タッチセンサ168は、ユーザーの指がタッチパネル表面に接触したことを検出し、タッチパネル表面に対する圧力によって操作信号を取得する。バイブレータ174は、着信を知らせるデバイスであり、着信すると振動する。
【0081】
また、電源系電池171は、電源172及びA/Dコンバータ173に電力を供給する。電源172は携帯通信端末1の電源である。A/Dコンバータ173は、信号をCPU180に供給する。
【0082】
CPU180は、上記各部を制御する演算処理装置であり、ROM153に格納されたプログラムのコマンドを順次実行し、種々の機能を果たす。RAM152は、CPU180のワーキングメモリ等として使用され、CPU180による演算結果を一時的に格納する。ROM153にはCPU180用の各種機能プログラムやそのデータが記録され、CPU180からの要求に応じて、プログラムの実行命令を順次出力する。
【0083】
EEPROM151には、短縮ダイヤルなどのユーザーデータや、機体固有のIDや電話番号、メニューアイコンの情報やその表示情報が記録されている。このメニューアイコンには、情報処理装置の各種機能やデータが関連づけられており、機能やデータの属性に応じて画面上にマトリクス状に配列されるようになっている。
【0084】
そして、本実施形態においては、CPU180で本発明のナビゲーションプログラムなどのソフトウェアが実行されることによって、種々のモジュールがCPU180上に仮想的に構築される。
【0085】
次いで、ナビゲーションプログラムが実行された場合におけるユーザー端末1の内部構成について説明する。図4に示すように、ユーザー端末1は、通信インターフェース11、メモリ15と、アプリケーション実行部180と、出力インターフェース13と、入力インターフェース12と、位置情報取得部16とを備えている。
【0086】
通信インターフェース11は、通話を行うための移動通信用のプロトコルによる無線通信と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる無線通信とを実行する機能を備え、4G回線、LET回線、3G回線やPHSその他の高速データ通信網等の公衆携帯電話網に接続可能となっている。具体的に通信インターフェース11は、無線LAN接続を行うためにIEEE 802.11bに準拠した送受信装置であり、モバイルコンピュータやPDAにおいては、無線LANアダプタ等により実現することができる。この通信インターフェース11には、Wi-Fiルーターである中継装置とWi-Fi方式(登録商標)で無線通信する機能も備えている。
【0087】
入力インターフェース12は、操作ボタンやタッチパネルなどユーザー操作を入力するデバイスである。また、出力インターフェース13は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース13には、液晶ディスプレイなどの表示部13aが含まれている。表示部13aは、上記のLCD165及びタッチセンサ163から構成されるディスプレイである。メモリ15は、OS(Operating System)や各種のアプリケーション用のプログラム、その他のデータ等などを記憶する記憶装置であり、上記のEEPROM151、RAM152、ROM153などで構成される。このメモリ15内には、管理サーバ2の付加情報蓄積部205に蓄積された各情報を記録する付加情報蓄積部15aと、管理サーバ2の地図データ蓄積部203に蓄積された各情報を記録する地図データ蓄積部15bとが関連付けされて蓄積されている。
【0088】
位置情報取得部16は、自機の現在位置を示す位置情報を取得し、記録するモジュールであり、例えば、GPS(Global Positioning System)のように、衛星3からの信号によって自機の位置を検出したり、無線基地局4からの電波強度などによって位置を検出する。検出された監視位置情報は、地図情報で特定可能な座標データであり、アプリケーション実行部180に送信される。
【0089】
アプリケーション実行部180は、一般のOSやブラウザソフトなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現され、上記のCPU180と同様である。このアプリケーション実行部180によって、本システムのプログラムが実行されることで、データ取得部181と、表示情報生成部182と、地図解析部183と、付加情報追加部184と、地図情報取得部185と、現在位置取得部186と、分類選択部187とが構築される。
【0090】
データ取得部181は、管理サーバ2から各種のデータを受信するモジュールである。本実施形態では、データ合成部214によって関連付けされた付加情報蓄積部205の付加情報と、地図データ蓄積部203に蓄積された地図データとを取得してメモリ15内にそれぞれ記録する
【0091】
現在位置取得部186は、ユーザー端末1の現在位置を取得するモジュールであり、位置情報取得部16を介して、例えば、衛星3からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算することで、自機の位置情報を取得することが可能となっている。現在位置取得部186によって取得された座標データは、地図解析部183に入力される。
【0092】
地図情報取得部185は、現在位置取得部186によって取得された座標に基づいて、地図データ蓄積部15bから、現在位置を含む地図データを取得するモジュールである。なお、この地図情報取得部185は、地図解析部183からの制御によって行われ、入力インターフェース12から現在位置取得の操作信号を取得することで実行される。
【0093】(削除)
【0094】
また、本実施形態では、各ユーザー間でグループ化されている場合には、当該グループ内のユーザーIDを有する端末にのみユーザー提供情報を表示可能とするなどの制限をかけることもできる。この場合には、メモリ15内に予めグループを構成する他人のユーザーIDを有している。更に、付加情報蓄積部15a内のデータには表示制限のチェックが入力され、公開する範囲を指定するユーザーIDが紐付けられている。そして、付加情報追加部184では、付加情報を抽出する際、表示制限があるか否かを判断し、表示制限がある場合には、当該端末のユーザーIDと、データ内の表示許可されたユーザーIDとグ対比することで、表示させるか否かを判断している。
【0095】
分類選択部187は、ユーザー操作に基づいて、選択された分類を決定するモジュールである。本実施形態では、図6に示すように、表示部13aの画面上に、分類毎のアイコンが表示されている。ここでは、防災関連情報に関するアイコン、都市計画情報に関するアイコン、観光・民宿情報に関するアイコン、各種の文化財・戦跡情報に関するアイコン、病院・介護情報に関するアイコン、バリアフリー情報に関するアイコン、自然・環境情報に関するアイコン、観光農園等の特選品情報に関するアイコンが表示される。また、facebookやtwitterなどSNSシステムでの投稿情報を表示させることもできる。そして、ユーザー操作によって、いずれかのアイコンが選択された場合には、その操作信号を取得して、地図上に表示すべき付加情報の属性として決定する。決定された属性情報は地図解析部183に入力される。
【0096】
地図解析部183は、現在位置に関する地図データを解析するモジュールであり、ユーザー操作によって、画面上に地図を表示させる操作が行われると、分類選択部187、現在位置取得部186、地図情報取得部185、及び付加情報追加部184を制御して、地図上に表示すべき各情報を解析・決定する。
【0097】
具体的には、先ず、ユーザー操作によって、表示部13a上に地図データを表示させる操作信号を取得すると、現在位置情報を取得するように、現在位置取得部186を制御する。現在位置取得部186から現在位置の座標データ(緯度・経度)を取得すると、次に、地図情報取得部185に座標データを送信するとともに、地図情報取得部185を制御して、座標データを含む所定範囲の地図データを地図データ蓄積部15bから抽出させる。
【0098】(削除)
【0099】
表示情報生成部182は、現在位置取得部186が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示するとともに、建物の座標位置に対応させて住所番地を表示させるモジュールである。この表示情報生成部182によって、図1に示すように、ユーザー端末1の画面上には、現在位置を中心として、道路、建物等の輪郭をポリゴンで表示させるとともに、建物ポリゴン内に住所番地を表示させる。更に、画面上には、付加情報としての避難場所を示す避難場所のアイコン101が表示される。このように、本実施形態では、地図データ上に、住所番地のレイヤー、属性毎のレイヤーを重ね合わせて画面上に表示させる。
【0100】
また、表示情報生成部182では、図7(a)及び(b)に示すように、画面上の所定領域に付加情報を表示させることができる。ここで、図7(a)及び(b)は、携帯電話やスマートフォン以外のユーザー端末1としてカーナビゲーション装置1aやパーソナルコンピューター1bの画面上に地図データを表示させる場合を例にしているが、これらのような表示形態を図1に示すようなスマートフォンの画面上に表示させることもできる。
【0101】(削除)
【0102】
また、例えば、図7(b)に示すように、地図を表示させる地図表示領域と、付加情報を表示させる付加情報表示領域とを分けて表示させることもできる。ここでは、日付情報も含めており、本日イベントが行われている付加情報を付加情報表示領域に表示させている。なお、ここでも、地図上には、当該付加情報の位置を示すアイコンが表示される。
【0103】
本実施形態において、地図解析部183には、衛星3から取得される位置情報を修正する現在位置修正部183aを有している。すなわち、衛星3を用いて現在位置を取得する場合、GPS受信機の測位精度や、測位を行う環境によって大きな影響を受けるため、10m?40mの範囲で誤差が生じる。そのため、本実施形態では、図10(a)に示すように、表示部13a上に表示されている地図のうち、住所番地193(図中では12番地)をクリックすることで、当該選択された住所番地を現在位置として位置情報を変更することができる。
【0104】
具体的には、現在位置修正部183aは、タッチパネルなどの入力I/F12上における操作によって、表示部13a上に表示されている地図のうち、住所番地193(図中では12番地)を選択(タッチやクリック等)されることで、選択された住所番地に紐付けられた座標(緯度・経度)を地図データ蓄積部15bから取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部186に対して、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する。現在位位置の修正を要求された現在位置取得部186は、GPSの測位演算の誤差を補正し、その誤差による補正情報に基づいてその後の測位演算の精度向上に反映させる。
【0105】
その後、地図解析部183では、各機能モジュールを制御して、図10(b)に示すように、選択された番地に現在位置を示すアイコン193を表示させるとともに、当該番地を画面の中心となるように地図上の表示を変更する。この際、画面上に新たに加えられる住所番地に対しては、各機能モジュールを用いて付加情報の有無を検索して、付加情報がある場合には画面上に表示させる。
【0106】
なお、本実施形態では、ユーザー端末1側において、他のユーザー端末1から提供された情報に基づいて、ユーザー提供情報を付加情報として追加する機能を備えている。図6は、本実施形態に係る付加情報追加部184の内部構成を示すブロック図である。具体的に、付加情報追加部184には、上述した管理サーバ2内の情報検索部211と同様な機能モジュールである情報検索部144aと、管理サーバ2内のキーワード抽出部212と同様な機能モジュールであるキーワード抽出部144bと、管理サーバ2内の情報分類部213と同様な機能モジュールである情報分類部144cとを備えており、メモリ15内に蓄積された付加情報の名称、住所データ、座標データなどを検索キーワードとして、インターネット5上を検索して、付加情報に関連のある情報を取得する。なお、所得した情報は、管理サーバ2にユーザー提供情報として配信することもできる。
【0107】
(サーベイ(眺望)型ナビゲーション方法)
以上の構成を有するサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムを動作させることで、サーベイ(眺望)型ナビゲーション方法を実施することができる。図8は、本実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーション方法における地図データ作成処理を示すフローチャートであり、図9は、本実施形態に係るサーベイ(眺望)型ナビゲーション方法における地図データ表示処理を示すフローチャートである。
【0108】
(1)地図データ作成処理
先ず、地図データ作成処理について説明する。図8に示すように、管理サーバ2では、住所番地入の地図データを取得して、この情報を地図データ蓄積部203に蓄積する(S101)。なお、本実施形態では、予め住所番地入の地図データを取得したが、例えば、行政区画のみが表示された地図データを取得するとともに、建物等のポリゴンを変換したり、座標(緯度及び経度)や住所番地を地図データに紐付けて管理サーバ2において作成してもよい。また、管理サーバ2では、通信インターフェース201を介して、ユーザー端末1から提供されたユーザー提供情報を取得する。制御部210では、この情報をユーザー提供情報蓄積部202に蓄積する(S102)。
【0109】(削除)
【0110】(削除)
【0111】(削除)
【0112】(削除)
【0113】
データ配信部215では、合成された地図データ蓄積部203内のデータと、付加情報蓄積部205内のデータとを通信ネットワーク5を介して、各ユーザー端末1に配信する(S108)。なお、この配信するタイミングとしては、新たな付加情報が地図データに関連付けられたタイミングでもよく、また、所定時間毎に行われてもよい。
【0114】
(2)地図データ表示処理
次いで、ユーザー端末1で処理される地図データ表示処理について説明する。なお、ここでは、予め、ユーザー端末1のメモリ15に管理サーバ2から地図データ蓄積部203のデータと、付加情報蓄積部205のデータとを取得してメモリ15内に蓄積しているものとする。
【0115】
先ず、アプリケーション実行部180上において、当該サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムのアプリケーションが起動されると(S201)、アプリケーション実行部180では、ユーザー操作を監視して、地図表示の操作がされたか否かを判断する(S202)。この地図表示の操作とは、例えば、所定目的地までのナビゲーションを開始する操作であってもよく、また、単に現在位置を含む地図データの表示であってもよい。
【0116】
地図表示の操作がない場合には(S202における“N”)、待機しつつ、終了操作があるか否かを判断する(S210)。一方、地図表示の操作があった場合には(S202における“Y”)、地図解析部183の制御によって、現在位置取得部186は、ユーザー端末1の位置情報取得部16を介して、衛星3からのGPS信号を受信し(S203)、当該GPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算することで、現在位置(座標データ)を取得する(S204)。現在位置取得部186によって取得された座標データは、地図解析部183に入力される。次いで、地図解析部183では、地図情報取得部185を制御して、現在位置取得部186によって取得された座標データに基づいて、地図データ蓄積部15bから、現在位置を含む地図データを取得する(S205)。
【0117】(削除)
【0118】(削除)
【0119】
その後、アプリケーション実行部180では、終了操作があるまで、現在位置を随時取得して、表示部13aに表示すべき地図データ及び付加情報を取得しつつ表示すべき地図データを更新する(S203?S210)。一方、終了操作がある場合には(S211における“Y”)、アプリケーションを終了する。
【0120】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、現在位置取得部186が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示するとともに、建物の座標位置に対応させて住所番地を表示させている。即ち、本実施形態では、緯度経度の自然座標系と、住宅の住居番号(住居表示未実施地区では、地番表示を含む)の社会座標系を組み合わせ、GPSによって特定された現在位置との関係において、利用者が社会座標系も自由に使えるようにする。
【0121】
そのことによって、従来システムの様に、探索行動の有効性が、目的地の”既知性”や目的地へのルート設定といった”一方向性”に縛られることなく、ナビ地図上の至る所に網羅された住所番地を手掛りに、広々とした眺望をもって、”発見的”かつ”360度の全方位性”において可能となる。これは、現地の地理空間での探索能力やその行動半径、自由度が、飛躍的に押し広げられて、大きく向上することを意味するものである。
【0122】(削除)
【0123】
このように、そのもたらす探索行動の飛躍的な効率や、その労に報いる達成感は、利用者が地域の地理空間に親しみ、本発明のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムを利用して”散策する喜び”をもたらすものである。また、その行動の大きな自由度は、高齢者や障害者、子供、妊婦等にとっても、それぞれに必要な情報を見つけたり、思いがけない”発見”に出会ったりする上で、時間的及び心理的・体力的なゆとりをもたらすものである。
【0124】
更に、以上の利便さは、”減災”の国民的課題において、次の大きな貢献が期待される。即ち、その眺望型ナビシステムの便利さのゆえに、観光散策なども兼ねて、地域の海抜高度や避難路、避難場所などの避難行動の知識や避難パターンなどが、行動との結び付きにおいて、繰り返し脳裏に刷り込まれる。その結果、地域の歴史や史跡めぐりといった生涯学習や観光はもとより、現地の防災・リスク情報等が、頭の中で地図イメージを形成することとなり、いざというときに避難行動を反射的に可能にする避難リテラシー(=震災を生き抜く避難の知識と能力)の形成に役立つ。
【0125】
更に、建物の番地表示という、万国共通で子供でも理解できる”数字”で位置情報が表記されているなど、土地勘のない移住者や児童生徒、外国人でも容易に利用できるナビシステムである。
【0126】
従来のナビシステムでは、例えば路地が10メートル間隔で複数あったりする場合には、そもそもがどの路地に入ったかはGPS機能では、誤差の範囲内のため検出ができないが、このシステムでは建物や自動販売機などの住所表示で簡単に確認できるので、迷子になったり、目標方向から外れたりすることもない。
【0127】
歩行で移動する場合には、従来のナビシステムでは、とりわけ十字路等の分岐点ではどの方向に進んでいるかが不明となり、数十メートル行って初めて間違いに気づくなど多大のロスが生じ得るが、このシステムでは建物番地(自動販売機にも表示)などで容易に方向を見定めることができるので、行き違いの防止にも効果的である。
【0128】
なお、このサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムでは、住所番地は必ずしもすべての建物に表示されている必要はなく、例えば、交差点や道路沿いなどの建物に重点的に表示したり、或は住宅密集地では間引いて表示するなど、適宜、位置確認に必要な範囲で省略を行ってもよい。更に、このシステムは、災害時にGPS機能が使えない場合でも、住宅地図としての機能により、避難場所や避難経路に安全に誘導することができる。
【0129】
また、このサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムでは、地表の広がりにおける地物や建物等の布置が、地図上に表示された建物番号によって、相互のアナログ的な位相関係を目視で判断できるため、(機械が到底及ばない)人間の優れた図形処理能力を抽き出すことが可能となり、防災学習や観光情報への散策的アクセスや利用において、従来のナビシステムとは比較にならない効率性を生み出す。
【0130】(削除)
【0131】
また、本実施形態では、表示情報生成部182が表示させた地図上において、入力インターフェース12によって住所番地を選択可能としている。そして、現在位置修正部183aでは、入力インターフェース12により選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部15bから取得して、取得された座標に基づいて、現在位置取得部186に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行しているので、GPS受信機の測位精度や、測位を行う環境による影響によって、測位に誤差が生じた場合であっても、ユーザーからの操作によって正確な位置情報を取得することができ、衛星から取得される位置情報の誤差を解消することができる。さらに、現在位置取得部186では、その誤差の補正情報を用いることで、その後の測位演算の精度向上に反映させることができる。
【0132】
また、本実施形態では、地図データ蓄積部15bに住所番地に関連づけられた座標を蓄積しており、選択された住所番地に基づいて、現在位置を修正しているので、修正処理を即時且つ簡易に行うことができる。さらに、本実施形態では、表示情報生成部182が表示させた地図上に住所番地を表示させ、表示された住所番地を選択可能としているので、ユーザーにとっては、現在自身がいる場所と、地図上との位置との相違を即座に認識できるとともに、その修正作業を直感的に行うことができる。
【符号の説明】
【0133】
1…ユーザー端末
1a…カーナビゲーション装置
1b…パーソナルコンピューター
2…管理サーバ
3…通信衛星
4…無線基地局
5…通信ネットワーク(インターネット)
6…Webサーバ
11…通信インターフェース
12…入力インターフェース
13…出力インターフェース
13a…表示部(ディスプレイ)
14…アプリケーション実行部
15…メモリ
16…位置情報取得部
61a…データベース
101…アンテナ
102…デュプレクサ
103…シンセサイザ
110…低ノイズアンプ
111…ミキサ
112…IFアンプ
113…直交ミキサ
114…コンバータ
115…復調器
116…チャネルデコーダ
117…音声デコーダ
118…コンバータ
119…アンプ
120…スピーカ
130…パワーアンプ
131…ミキサ
132…IFアンプ
133…直交ミキサ
134…コンバータ
135…変調器
136…チャネルエンコーダ
137…音声エンコーダ
138…コンバータ
139…アンプ
140…マイク
150…タイムベース
151…EEPROM
152…RAM
153…ROM
164…加速度センサ
165…LCD
166…操作ボタン
167…LED
168…タッチセンサ
171…電源系電池
172…電源
173…コンバータ
174…バイブレータ
175…入力インターフェース
191,192…アイコン
200…CPU
181…データ取得部
182…表示情報生成部
183…地図解析部
184…付加情報追加部
184a…情報検索部
184b…キーワード抽出部
184c…情報分類部
185…地図情報取得部
186…現在位置取得部
187…分類選択部
15a…付加情報蓄積部
15b…地図データ蓄積部
201…通信インターフェース
202…ユーザー提供情報蓄積部
203…地図データ蓄積部
204…キーワード蓄積部
205…付加情報蓄積部
210…制御部
211…情報検索部
212…キーワード抽出部
213…情報分類部
214…データ合成部
215…データ配信部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置取得部が取得した現在位置に対応させて、地図データを表示する表示情報生成部と、
を備え、
前記地図データは、緯度及び経度によって指標される座標上に、地形、地図及び建物を線図、文字、図形で表示したものであり、
前記表示情報生成部は、緯度経度の自然座標系と住宅の住居番号及び住居表示未実施地区における地番の社会座標系を組み合わせることによって、前記地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示するとともに、地図データ上の交差点又は道路沿いの建物については重点的に住所番地を表示する一方、住宅密集地では住所番地を間引いて表示する機能を有することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部は、避難場所や避難経路に安全に誘導するために、緊急警報が入った時点で、ナビシステムを使用しているか否かに関わりなく、地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図を、当該時点における現在地を中心として自動表示することを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステムにおいて、
前記表示情報生成部が表示させた地図データ上の住宅に住居番号及び住居表示未実施地区における地番を表示することを特徴とする地図上において、前記住所番地を選択するユーザー操作を取得する入力インターフェースと、
前記入力インターフェースにより選択された住所番地に関連づけられた座標を地図データ蓄積部から取得し、取得された座標に基づいて、現在位置取得部に対し、現在位置の修正を要求するとともに、表示されている地図データの補正を実行する現在位置修正部と
を更に備えることを特徴とするサーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム。
【請求項5】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-02-20 
結審通知日 2020-02-26 
審決日 2020-03-12 
出願番号 特願2014-127655(P2014-127655)
審決分類 P 1 113・ 121- ZAA (G01C)
P 1 113・ 537- ZAA (G01C)
P 1 113・ 536- ZAA (G01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 島倉 理仲村 靖  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 窪田 治彦
長馬 望
登録日 2016-10-21 
登録番号 特許第6025267号(P6025267)
発明の名称 サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム  
代理人 蟹田 昌之  
代理人 小林 浩  
代理人 松尾 淳一  
代理人 杉森 康平  
代理人 服部 誠  
代理人 服部 誠  
代理人 蟹田 昌之  
代理人 杉森 康平  
代理人 藤松 文  
代理人 松本 卓也  
代理人 藤松 文  
代理人 小林 浩  
代理人 松本 卓也  
代理人 大房 直樹  
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