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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B21D
管理番号 1363441
審判番号 不服2019-16092  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-29 
確定日 2020-07-07 
事件の表示 特願2017-518534「曲げ加工プレス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月14日国際公開、WO2016/055906、平成29年10月12日国内公表、特表2017-530012、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年10月6日(DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

平成31年 2月14日付け:拒絶理由通知(発送日同年2月19日)
令和 元年 5月20日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 元年 8月 1日付け:拒絶査定 (発送日同年8月6日)
令和 元年11月29日 :審判請求と同時に手続補正書の提出
令和 2年 3月31日 :上申書

第2 原査定の概要
原査定(令和元年8月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-18に係る発明は、以下の引用文献1-10に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2014/0225494号明細書
2.特開2002-300942号公報(周知技術を示す文献)
3.米国特許第5720535号明細書(周知技術を示す文献)
4.特開2001-150032号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2004-307125号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2014-83685号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2014-4604号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2009-113081号公報(周知技術を示す文献)
9.特開平3-294029号公報(周知技術を示す文献)
10.実願昭57-141003号(実開昭59-44626号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(以下、「請求時補正」という。)は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
請求時補正は、請求項1の上側ビームと下側ビームに関し、「曲げ加工プレスの中央側に配置された」ものであることを加入し、引出しに関し、「少なくとも1つの引出し(31)は、曲げ加工プレスの筐体(13)に関して旋回可能である」ことを加入するとともに、請求項7の「有利な態様として、曲げ加工プレス(11)の筐体(13)に関して旋回可能であ」るとの事項を削除するものである。
これらの補正事項について以下検討する。
請求時補正によって請求項1に「曲げ加工プレスの中央側に配置された」という事項を追加したことは、上側ビームと下側ビームの配置をさらに特定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)における発明の詳細な説明の段落0061-0062,0074、図1,5等の記載からみて、新規事項の追加には該当しない。
次いで、請求項1に「少なくとも1つの引出し(31)は、曲げ加工プレスの筐体(13)に関して旋回可能である」という事項を追加したことは、請求項7の特定事項を加入することで、引出しの構造をさらに特定したものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、当初明細書等の発明の詳細な説明の段落0031,0073、図4の記載からみて、新規事項の追加には該当しない。
請求項7の「有利な態様として、曲げ加工プレス(11)の筐体(13)に関して旋回可能であ」るとの事項を削除することは、請求項7が引用する請求項1において、上記のとおり、「少なくとも1つの引出し(31)は、曲げ加工プレスの筐体(13)に関して旋回可能である」との事項を加入し、限定したことに伴うものと認められるから、新規事項の追加に該当しないことは明らかである。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-18に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は、上記請求時補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

【請求項1】
曲げ加工プレスの中央側に配置された上側ビームと下側ビームを含むほか、少なくとも1つの引出しを含む、金属シートを曲げるための曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しは、上側ビームまたは下側ビームの隣に配置され、作業者が手に取って上側ビームまたは下側ビームに配置する曲げ工具を収容するように設計されており、
少なくとも1つの引出しの中に、曲げ工具のための少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットが提供されており、
少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットは、曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出された状態で、曲げ加工プレスの中央側へ向かって旋回させることができ、
少なくとも1つの引出しは、曲げ加工プレスの筐体に関して旋回可能であることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項2】
請求項1に記載の曲げ加工プレスにおいて、
複数の引出しが提供され、引出しは有利な態様として、上側ビームの両側または下側ビームの両側または上側ビームおよび下側ビームの隣に提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しの中に、部品のための少なくとも1つの部品収容ユニットが提供されていることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項4】
請求項3に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットおよび/または少なくとも1つの部品収容ユニットは、それぞれ少なくとも1つの曲げ工具用または少なくとも1つの部品用の少なくとも1つの収容ホルダを有することを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項5】
請求項3または4に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの部品収容ユニットは、少なくとも1つの引出しの外に移動させることができ、有利な態様として、少なくとも1つの引出しの外に旋回させることができることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項6】
請求項5に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しの中の少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットおよび/または少なくとも1つの部品収容ユニットを一時的に保持するための保持手段が提供され、保持手段は有利な態様として、機械的または磁気的に設計されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項7】
請求項1?6のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しは、曲げ加工プレスの筐体に関して移動可能であることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項8】
請求項1?7のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しを移動させるためのモータユニットが提供され、このモータユニットは有利な態様として、センサ制御式であることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項9】
請求項1?8のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しは曲げ加工プレスから分離可能であり、有利な態様として、移動ユニットを含むことを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項10】
請求項1?9のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの支援機器が少なくとも1つの引出しの中に提供され、少なくとも1つの支援機器は有利な態様として、少なくとも1つのロボットおよび/または少なくとも1つの発電機、および/または少なくとも1つの電源装置を含むことを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項11】
請求項1?10のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの支持要素が提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項12】
請求項11に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの支持要素が少なくとも1つの引出しの上または中に配置され、有利な態様として、少なくとも1つの引出しに関して移動可能、有利な態様としては旋回可能であり、別の利点として、少なくとも1つの支持要素を移動させるための少なくとも1つの駆動手段が提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項13】
請求項1?12のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
曲げ部品および/または曲げ工具のための少なくとも1つの搬送手段が少なくとも1つの引出しの上または中に提供され、有利な態様として、少なくとも1つの搬送手段が少なくとも1つの支持要素上に提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項14】
請求項1?13のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの表示ユニットが少なくとも1つの引出しの上または中に提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項15】
請求項3に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの表示ユニットが、少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットおよび/または少なくとも1つの部品収容ユニットに配置されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項16】
請求項1?15のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの電子インタフェースまたは電気インタフェースが少なくとも1つの引出しの上または中に提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項17】
請求項1?16のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つのセンサが少なくとも1つの引出しの上または中に提供されることを特徴とする曲げ加工プレス。
【請求項18】
請求項1?17のうちの1項に記載の曲げ加工プレスにおいて、
少なくとも1つの引出しはロックできることを特徴とする曲げ加工プレス。

第5 引用文献
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線及び括弧内の和訳は当審で付した。)

(1)「[0002] The present invention relatesgenerally to a press brake tool cabinet drawers and, more particularly, topress brake tool cabinet drawers having rotatable or drop down front panels to enable quick, easy and safe removal of pressbrake tools from the drawers as well as quick, easy and safe return of suchtools into the drawers.」
([0002]本発明は、概して、プレスブレーキ工具キャビネット引出しに関し、より詳細には、回転式またはドロップダウン式のフロントパネルを有するプレスブレーキ工具キャビネット引出しに関するものであり、プレスブレーキ工具の引出しからの迅速かつ容易かつ安全な取り外しを可能にするのみならず、引出しへの迅速かつ容易かつ安全な返却を可能にする。)

(2)「[0003] A press brake is a machine tool for bending sheet and platematerial. The machine tool forms predetermined bends by clamping a workpiecebetween matching punch and die tools. The tools are heavy and bulky and aretypically stored in tool cabinets. Changing dies is a time consuming anddifficult task so that making the process easier, more efficient and safer isdesirable. Typical press brake tool cabinet drawers have to be extended thetool lifted from the drawers. This is difficult and somewhat dangerous.」
([0003]プレスブレーキは、板材・板材を曲げ加工する工作機械である。工作機械は、対応するパンチ工具とダイ工具の間にワークピースをクランプすることにより、所定の曲げを形成する。ツールは重くてかさばり、通常はツールキャビネットに保管される。金型の交換は時間のかかる困難な作業であるため、プロセスをより簡単に、より効率的に、より安全にすることが望まれる。一般的なプレスブレーキツールキャビネットの引き出しは、引出しからツールを持ち上げた状態で展開される必要がある。これは難しく、やや危険である。)

(3)「[0005] The press brake tool cabinet drawers of the present inventionallows for quick, easy and efficient press brake tool removal from a cabinetdrawer as well as tool return to the drawer by a user, and does so with adrawer that is compact and robust. The press brake tool cabinet drawersdescribed in detail below are relatively low cost, easy to use and relativelyeasy to assemble.」
([0005]本発明のプレスブレーキ工具キャビネット引出しは、使用者によるキャビネット引出しからの迅速、容易かつ効率的なプレスブレーキ工具の取外し、ならびに引出しへの工具の戻りを可能にし、それをコンパクトで丈夫な引出しにより行う。以下で詳細に説明するプレスブレーキツールキャビネットの引出しは、比較的低コストで、使いやすく、組み立ても比較的簡単である。)

(4)「[0006] Brieflysummarized, the invention relates to a press brake tool cabinet including apress brake tool cabinet having multiple press brake tool carrying drawers,where each of the multiple press brake tool carrying drawers includes a drawerbase formed into a drawer bottom panel and two drawer side panels, where eachof the multiple press brake tool carrying drawers includes a drawer back panelconnected to the drawer base, where each of the multiple press brake toolcarrying drawers includes a drawer front panel, where each of the multiplepress brake tool carrying drawers includes a hinge, the hinge being mounted tothe front panel and to the bottom panel of the corresponding drawer to enablethe front panel to rotate between a raised closed position and a lowered openposition, and where each of the multiple press brake tool carrying drawersincludes a fastener having a bolt connected to the front panel of thecorresponding drawer and a strike plate mounted to the corresponding drawerbase.」
([0006]簡単に要約すると、本発明は、複数のプレスブレーキツール運搬引出しを有するプレスブレーキツールキャビネットを含むプレスブレーキツールキャビネットに関し、複数のプレスブレーキツール運搬引出しのそれぞれには、引出し底部パネルおよび2つの側部パネルに形成された引出しベースを含み、複数のプレスブレーキツール運搬引出しのそれぞれには、引出しベースに接続された引出し背面パネルが含まれる。複数のプレスブレーキツール運搬引出しのそれぞれには、引出しの前面パネルが含まれる。複数のプレスブレーキツール運搬引出しのそれぞれには、ヒンジが含まれ、そのヒンジは前面パネルと対応する引出しの下部パネルに取り付けられているヒンジで、前面パネルを上げた閉位置と下げた開位置の間で回転させることができる。複数のプレスブレーキツール運搬引出しのそれぞれには、ファスナが含まれ、対応する引出しのフロントパネルに接続されたボルトと、対応する引出しベースに取り付けられたストライクプレートを有する。)

(5)「[0024] Referring now to FIG. 1 there is illustrated a press braketool cabinet 10. The tool cabinet 10 includes a top panel 12, two side panels14, 16, a rear panel 18, and a bottom panel 20. A transparent, downward openingdoor 24 is mounted at the front of the cabinet. Behind the door 24 are multiplepress brake tool-receiving drawers, such as the drawers 26, 28, 30. Positionedabove the closed door 24 and below the top panel 12 is a utility drawer 32 foraccessories, such as measuring instruments. The tool cabinet 10 may alsoinclude two support brackets 34, 36 that may be used to mount the tool cabinet10 to a factory or shop floor.」
([0024]次に図1を参照すると、プレスブレーキ工具キャビネット10が示されている。ツールキャビネット10は、頂部パネル12、2つの側部パネル14、16、後部パネル18、及び底部パネル20を含む。透明な下向きに開くドア24がキャビネットの前部に取り付けられている。ドア24の後ろには、引出し26、28、30などの複数のプレスブレーキ工具受け引出しがある。閉じたドア24の上方かつ上部パネル12の下方には、測定機器などの付属品用のユーティリティ引出し32が配置されている。ツールキャビネット10はまた、ツールキャビネット10を工場または製造現場に取り付けるために使用され得る2つの支持ブラケット34、36を含み得る。)

(6)「[0025] Each drawer, such as the drawer 26, which is illustratedpartially formed in FIG. 2, and partially assembled in FIG. 3, includes adrawer base 38 formed into a bottom panel 40, and two side panels 42, 44. Aback panel 46 is connected to the drawer base 38, and a front panel 48 is shownin FIG. 4. The front panel 48 is connected to a continuous hinge 50 and thehinge 50 is connected to the bottom panel 40. The hinge 50 allows the frontpanel 48 to rotate or drop down as illustrated in FIG. 5, so that heavy andbulky press brake tools may be more easily removed simply by sliding the toolout of the drawer. Sliding a press brake tool out of the drawer is much easierfor a user than requiring him to lift the heavy tool upward out of the drawer. Thesame is true when the tool is returned back to the drawer. It is easier andsafer to slide the tool back into the drawer than to lay or drop the tool intothe drawer.」
([0025]図2において部分的に形成されて示されている引出し26のような各引出しは、図3において部分的に組み立てられており底部パネル40に形成された引き出しベース38と、2つの側部パネル42、44とを含む。背面パネル46は、引き出しベース38に接続されており、前面パネル48が図4に示されている。フロントパネル48は連続ヒンジ50に接続され、ヒンジ50はボトムパネル40に接続される。ヒンジ50は、図5に示されるように、フロントパネル48が回転しあるいは降下することを可能にする。これにより、重いかさばるプレスブレーキツールは、引出しからツールをスライドさせるだけで簡単に取り出すことができる。引出しからプレスブレーキツールをスライドさせることは、重いツールを引出しから持ち上げることをユーザーに求めるよりもはるかに簡単である。これは、ツールが引出しに戻される場合も同様である。ツールを引出しに載置するか落とし込むよりも、ツールをスライドさせて引出しに戻す方が簡単で安全である。)

(7)「[0026] Each drawer, such as the partially formed drawer 26, FIG. 3,is formed from the metal sheet base 38, FIG. 2, that is bent to create the twoside panels 42, 44 separated by the bottom panel 40. The back panel 46 isconnected to the rear of the base 38. The front panel 48, FIG. 4, and thecontinuous hinge 50 are connected to the front of the base 38.」
([0026]図3の部分的に形成された引出し26のような各引出しは、図2の金属シートベース38から形成され、これは、底部パネル40によって隔てられた2つの側部パネル42、44を生成するように曲げられている。バックパネル46は、ベース38の後部に接続されている。図4のフロントパネル48、及び連続ヒンジ50は、ベース38の前部に接続されている。)

(8)「[0027] The front panel 48, FIG. 6, includes two fasteners openings66, 68 and two strike openings 70, 72. The strike openings 70, 72 receivestrike plates that also form part of oppositely disposed fasteners or latches.The two latch openings 66, 68 accommodate snap-in latches that contain latchbolts. The fasteners and the strike plates are described in more detail below.」
([0027]図6のフロントパネル48は、2つのファスナ開口部66、68および2つの打撃開口部70、72を含む。ストライク開口部70、72は、反対に配置されたファスナまたはラッチの一部を形成するストライクプレートを受け入れる。2つのラッチ開口部66、68は、ラッチボルトを含むスナップインラッチを収容する。ファスナとストライクプレートについては、以下で詳しく説明する。)

(9)「[0028] The front panel 48 and the hinge 50 are illustrated in aconnected configuration in FIGS. 4-8. The continuous hinge 50 may be a pin andbarrel (or knuckle) type having two extended arms 80, 82. The first arm 80 isconnected the front panel 48 and the second arm 82 is connected to the bottompanel 40. Connections are made with any suitable fasteners well known in thefield. In FIGS. 4 and 7, the front panel 48 is illustrated in an upright closedposition relative to the bottom panel 40, while illustrated in FIGS. 5 and 8,the front panel 48 is illustrated in a lowered open position (about 180°removed from the upright position) relative to the bottom panel 40.」
([0028]フロントパネル48およびヒンジ50は、図4-8に接続構成で示されている。 連続ヒンジ50は、2つの延長アーム80、82を有するピンおよびバレル(またはナックル)タイプであり得る。第1のアーム80は前面パネル48に接続され、第2のアーム82は底部パネル40に接続される。接続は、技術分野においてよく知られている適切なファスナで行われる。 図4及び図7では、前部パネル48は、底部パネル40に対して直立した閉鎖位置で示されている一方で、図5及び図8を参照すると、フロントパネル48は、ボトムパネル40に対して降下された開放位置(直立位置から約180°移動している)で示されている。)

(10)「[0029] Referring now to FIGS. 9-11, left and right strike plates 84,86 are mounted to the drawer base 38. Each strike plate 84, 86 includes a slot90, 92, respectively, to receive a spring loaded bolt or bar from a fastener inthe form of a latch, such as the latch 100, FIG. 12, that is snap-fitted intothe fastener openings 66, 68, FIG. 6, of the front panel 48. Suitablesnap-fitted latches may be acquired from EMKA of Velbert, Germany, model number1091. The strike plates act as cams to the latch bolts as the front panel 48 israised from its lowered position to its raised position. As illustrated in FIG. 9, a divider platform 110 may be placed ormounted to the drawer base 38 to organize and cradle press brake tools. It isnoted that divider grooves, such as the divider grooves 112, 114, are orientedparallel to the side panels 42, 44, rather than the more usual perpendiculararrangement. Having the divider grooves extend from front to back rather thanside to side allows for ease of press brake tool extraction from the drawer andreturn of the tools to the drawer after the front panel has been lowered.」
([0029]ここで、図9-11を参照すると、左右のストライクプレート84、86が引出しベース38に取り付けられている。 各ストライクプレート84、86は、それぞれスロット90、92を含み、図12のラッチ100のようなラッチの形態のファスナからばね荷重ボルトまたはバーを受け入れる。これは、図6における前面パネル48のファスナ開口部66、68にスナップフィットされる。適切なスナップ式ラッチは、ドイツのベルベルトのEMKAからモデル番号1091で入手できる。ストライクプレートは、前縁パネル48がその下降位置からその上昇位置に上昇するときに、ラッチボルトに対するカムとして機能する。図9に示すように、仕切りプラットフォーム110を引出しベース38に配置または取り付けて、プレスブレーキツールを整頓して受け入れることができる。仕切り溝112、114などの仕切り溝は、より通常の垂直配置ではなく、サイドパネル42、44に平行に向けられることに留意されたい。仕切りの溝を左右ではなく前から後ろに延ばすことで、引出しからプレスブレーキツールを簡単に引き出し、前面パネルを下げた後、ツールを引出しに戻すことができる。)

(11)「[0030] Each of the drawer side panels 42, 44 are attachedto drawer slides, such as the drawer slides 120, 122, illustrated in FIG. 13.The drawer slides are also attached to frame posts 130, 132 of the cabinet. Tofacilitate the removal of press brake tools and to enhance safety, the drawerslides 130, 132 are lockable so that a sliding tool does not drag a drawerfurther open then is intended by the user. Suitable heavy duty, lock in/lockout drawer slides may be acquired from ACCURIDE of Santa Fe Springs, Calif.,model number 9308.」
([0030]引出しサイドパネル42、44のそれぞれは、図13に示される引出しスライド120、122などの引出しスライドに取り付けられる。引出しスライドは、キャビネットのフレームポスト130、132にも取り付けられている。プレスブレーキツールの取り外しを容易にし、安全性を高めるために、引出しスライド130、132[訳注:120、122の誤記。]はロック可能であり、スライドツールが引き出しをさらに引きずらないようにして、ユーザーが意図している。適切な頑丈なロックイン/ロックアウト引き出しスライドは、カリフォルニア州サンタフェスプリングスのACCURIDEからモデル番号9308で入手できる。)

(12)「[0033] In operation of the flip down drawer, a user who wishes to remove a heavy and/or bulky press brake tool,for example, during a change over, opens theappropriate drawer, locks the drawer slides, retracts the latch bolts andlowers the front panel. Once the front panel is no longer latched it may berotated to its lowered position. After the front panel is lowered the press brake tool may be slid away from thedrawer and removed by the user using both hands if necessary because of tool'sweight. After the press tool is installed in a machine tool, the user mayclose the drawer's front panel, which will latch automatically when the frontpanel is returned to its raised position. Because the drawer slides are lockedthe drawer will not move outward when the tool is pulled out or move inwardwhen the front panel is raised to the closed position. When the user wishes toreturn the press brake tool, the process with the drawer is repeated. Thedrawer is extended, the drawer slides are locked, the latch bolts are retractedand the front panel is lowered. The user isthen able to use both hands to return the press brake tool to the properdivider location.」
([0033]引出しのフリップダウンの操作時、たとえば、切り替え中に重いプレスブレーキツールやかさばるプレスブレーキツールを取り外したいユーザーは、適切な引出しを開き、引出しスライドをロックし、ラッチボルトを引っ込めて前面パネルを下げる。前面パネルがラッチされなくなったら、下がった位置まで回転させることができる。フロントパネルが下がった後、プレスブレーキツールは引出しからスライドさせて離し、ツールの重量のため、必要に応じてユーザーが両手で取り外すことができる。プレスツールを工作機械に取り付けた後、ユーザーは引出しの前面パネルを閉じることができる。前面パネルが上昇位置に戻ると、自動的にラッチがかかる。引出しスライドはロックされているため、ツールを引き出しても引出しは外側に移動せず、前面パネルを閉じた位置に上げても内側に移動しない。ユーザーがプレスブレーキツールを返却したい場合は、この引出しの操作を繰り返す。引出しが伸ばされ、引出しスライドがロックされ、ラッチボルトが後退し、前面パネルが下がる。その後、ユーザーは両手でプレスブレーキツールを適切な仕切り位置に戻すことができる。)

(13)「[0035] It may now be appreciated that the press brake tool cabinetincludes drawers that are compact and robust, but easy to use so that removingand returning press brake tools from and to the drawers are simple and safe.The drawers are also easy and inexpensive to form and assemble.」
([0035]ここで、プレスブレーキツールキャビネットは、コンパクトで頑丈であるが使いやすい引出しを含み、それにより、プレスブレーキツールの引出しからの取り出し、及び引出しへの返却が簡単かつ安全であることが理解できるであろう。引出しは、簡単に形成でき、組み立ても簡単である。)

したがって、上記記載事項(1)?(13)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が、記載されていると認められる。
「少なくとも1つの引出し26(drawer 26)を含む、プレスブレーキツール(press brake tool)を収容するツールキャビネット10(toolcabinet 10)であって、
少なくとも1つの引出し26は、使用者(user)が手に取って工作機械に取り付けるプレスブレーキツールを収容するように設計されており、
少なくとも1つの引出し26の中に、プレスブレーキツールのための少なくとも1つの仕切りプラットフォーム110(divider platform 110)が提供されており、
仕切りプラットフォーム110が提供された引出し26が手前に引き出されることを可能とした、
ツールキャビネット10。」

2.引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落0037-0057、及び図1-4の記載からみて、当該引用文献4には、
「曲げ加工プレスの中央側に配置されたパンチPとダイDを含むほか、少なくとも1つの金型収納箱29を含む、金属シートを曲げるためのプレスブレーキPBにおいて、少なくとも1つの金型収納箱29は、パンチPまたはダイDの隣に配置され、作業者が手に取ってパンチPまたはダイDに配置する曲げ工具を収容するように設計されているプレスブレーキPB」
という技術的事項が記載されていると認められる。(以下、引用文献4記載の技術的事項を、「引用技術事項」という。)

3.その他の文献について
引用文献2(段落0006-0015、図1-2等の「回転板5」を参照)、引用文献3([図1、段落0043-0069の「drawers 26, 28」を参照)は、引出しの中に、収容ユニットを設ける構成について、また、引用文献2(段落0006-0015、図1-2等を参照)、引用文献4(段落0036-0042、図1-3等を参照)、引用文献5(段落0031-0051、図1等を参照)は、物品を収容する収容装置において、収容ユニットを旋回させる構成について、それぞれ記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明1の「引出し26」、「プレスブレーキツール」、「使用者」、及び「仕切りプラットフォーム110」は、それぞれ、本願発明1における「引出し」、「曲げ工具」、「作業者」、及び「曲げ工具のための曲げ工具収容ユニット」に相当する。
また、引用発明1の「プレスブレーキツール」を「工作機械に取り付ける」ことは、技術常識からみて、本願発明1の「曲げ工具」を「上側ビームまたは下側ビームに配置する」ことに相当するものといえる。
さらに、引用発明1の「少なくとも1つの引出し26(drawer26)を含む、プレスブレーキツール(press brake tool)を収容するツールキャビネット10(tool cabinet 10)」は、本願発明1の「少なくとも1つの引出し(31、31A、71、71A、71B、81、91、101)を含む、金属シートを曲げるための曲げ加工プレス」と対比すると、「少なくとも1つの引出しを含む、金属シートを曲げるための曲げ加工プレスで用いられる曲げ工具の収容手段」の点に限れば一致する。
また、引用発明1の「仕切りプラットフォーム110が提供された引出し26が手前に引き出されることを可能とした」ことは、本願発明1の「少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットは、曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出された状態で、曲げ加工プレスの中央側へ向かって旋回させることができ」ることと、「曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出されることを可能とした」点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「少なくとも1つの引出しを含む、金属シートを曲げるための曲げ加工プレスで用いられる曲げ工具の収容手段において、
少なくとも1つの引出しは、作業者が手に取って上側ビームまたは下側ビームに配置する曲げ工具を収容するように設計されており、
少なくとも1つの引出しの中に、曲げ工具のための少なくとも1つの曲げ工具収容ユニットが提供されており、
曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出されることを可能とした、
曲げ加工プレスで用いられる曲げ工具の収容手段。」

(相違点1)
本願発明1が「曲げ加工プレスの中央側に配置された上側ビームと下側ビームを含むほか、少なくとも1つの引出しを含む、金属シートを曲げるための曲げ加工プレス」であるのに対し、引用発明1は、引出し26を含む曲げ加工プレスの曲げ工具の収容手段に相当するものではあるが、上側ビームと下側ビームを含む曲げ加工プレスそのものではない点。
(相違点2)
上記相違点1に伴い、本願発明1の引出しは、「上側ビームまたは下側ビームの隣に配置され」ているのに対して、引用発明1の引出し26は、曲げ加工プレスで用いられる曲げ工具の収容手段ではあるが、曲げ加工プレス自体との関連は不明であり、したがって、引出し26と曲げ加工プレスの上側ビームまたは下側ビームとの位置関係は不明である点。
(相違点3)
本願発明1の曲げ工具収容ユニットは、「曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出された状態で、曲げ加工プレスの中央側へ向かって旋回させることができ」るのに対して、引用発明1の曲げ工具収容ユニットが提供された引出しは、手前に引き出される状態になり得るものの、曲げ工具収容ユニットは、この状態で旋回させることができない点。
(相違点4)
本願発明1の引出しは、「曲げ加工プレスの筐体に関して旋回可能である」のに対して、引用発明1では、引出し26と曲げ加工プレスの筐体の関係が不明であり、引出し26自体も旋回可能ではない点。

(2)相違点についての判断
ア.相違点1について
相違点1に関して、引用文献1には、本願発明1の「曲げ加工プレス」に相当する「プレスブレーキ」については、構造等の具体的な開示は一切ないから、引出しが、上側ビームまたは下側ビームの隣に配置されたことの直接的な開示がないことは明らかであるし、引用発明1のツールキャビネット10をプレスブレーキに配置することについての示唆もない。
加えて、下記第7において詳述するとおり、引用発明1のツールキャビネット10を、「上側ビームまたは下側ビームの隣に配置」することが、当然、あるいは容易に想到し得るものということもできない。
また、上記引用技術事項は、金型収納箱29を、上側ビームまたは下側ビームの隣に配置することを開示するものであるが、金型収納箱29が引出しを備えるか否かまでは明らかではないから、引用技術事項の存在を勘案しても、相違点1に係る事項を容易に想到し得たということはできない。

イ.相違点2について
相違点2に関し、上記引用技術事項の金型収納箱29は、パンチPまたはダイDの隣に配置され、作業者が手に取ってパンチPまたはダイDに配置する曲げ工具を収容するように設計されているプレスブレーキPBであって、曲げ加工プレスで用いられる曲げ工具の収容手段が、「上側ビームまたは下側ビームの隣に配置され」ていることが認められる。
しかし、引用発明1は、曲げ工具の収容手段は2つの支持ブラケット34、36により、工場または製造現場に取り付けて使用されるもの(段落0024)であって、曲げ工具の収容手段と曲げ加工プレスの位置関係は規定されないのであるから、引用発明1に、引用技術事項を直ちに適用することを想定し得ず、相違点2の構成にまで至らない(下記第7をあわせて参照されたい。)。
よって、相違点2の構成とすることは、当業者といえども容易になし得るものとはいえない。

ウ.相違点3について
引用文献1の段落0029において、曲げ工具収容ユニットとしての仕切りプラットフォーム110における工具収容部としての分割溝112,114は、側面パネル42,44に配向され、フロントパネル48が下降した後に、引出しの前側から工具を取り出し、あるいは戻すものであることが記載されているから、仮に、一般に物品を収容する収容装置において、収容ユニットを旋回させることが、引用文献2、4,5等から周知技術といえたとしても、上記のようなツールキャビネットである引用発明1に対して当該周知技術を適用し、曲げ工具収容ユニットを、曲げ工具収容ユニットが提供された引出しが手前に引き出された状態で、曲げ加工プレスの中央側へ向かって旋回させるものとして、相違点3の構成とする動機は存在しない。

エ.相違点4について
相違点4について検討すると、引用発明1は、プレスブレーキ自体ではなく、その工具の収容手段にすぎず、そのツールキャビネット10は、また工場または製造現場に取り付けるために使用され得る2つの支持ブラケット34、36を含む(段落0024)など、固定して使用されることが望ましいことがうかがえるものである。一方、引用技術事項は、工具(金型)の交換手段としての金型ラックを特徴とするもので、金型収納箱29でなく、むしろ金型ラック5L,5Rの方を回転させて、工具であるパンチP及びダイDを金型収納箱29に出し入れさせやすくしている(段落0047,図2)ものである。
そうすると、引用発明1も引用技術事項も、いずれも、引出しと、装置としての曲げ加工プレスの位置関係を、課題解決のために直接考慮する必要性がないから、仮に、一般に収容ユニットを旋回させることが周知技術であったとしても、引用発明1の引出しを、曲げ加工プレスの筐体に関して旋回可能とすることについて、動機がないことが明らかである。

オ.まとめ
上記のとおり、引用発明1、引用文献4に記載された事項、及び他の引用文献2、3、5に記載された事項(その記載内容は、上記「第5 引用文献」の「3.その他の文献について」を参照)からは、上記相違点1-4に係る事項を容易に想到することができない。
また、引用文献6-10にも、相違点1-4に係る事項については、記載されていない。
したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2-10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2-18について
本願発明2-18も、本願発明1の「曲げ加工プレス」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-10に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
原査定において、上記相違点1、2に関し、
「プレス装置において、上側ビームと下側ビームを含むことは技術常識であるから、引用文献1に記載の『曲げ加工プレス(press brake)』は、『上側ビームと下側ビームを含む』ものと認める。
また、引用文献1の[0002](段落0002)の記載によれば、引用文献1に記載の『引出し(drawers26,28,30)』は、『工具の迅速、容易、かつ安全な除去、並びにこのようなツールの引き出し内への迅速、容易かつ安全な戻りを可能にする(to enable quick, easy and safe removal of press brake tools from thedrawers as well as quick, easy and safe return of such tools into the drawers)』ものであるから、引用文献1に記載の『引出し(drawers 26,28,30)』を『上側ビームまたは下側ビームの隣に配置』することは当然である。」
旨の判断がされている。
しかし、引用文献1には、上記段落0024の記載からみて、ツールキャビネット10を、工場又は作業場の床に取り付けられるために用いることができるブラケットについて、記載されていると認められ、また、段落0025には、フロントパネル48が回転して下降することで、プレスブレーキ工具を、スライドさせるだけで引出しから容易に取り出し、戻すことができること、工具を引出しに対して載置もしくは落とし込むよりも、スライドさせる方が容易で安全であることが記載されている。
そうすると、曲げ加工ブレスのようなプレス装置(プレスブレーキ)において、上側ビームと下側ビームを含むことは技術常識であるとしても、引用発明1のツールキャビネット10は、曲げ加工プレスとしてのプレスブレーキの筐体の一部に付属して用いられるものではなく、工場や作業場に設置されて用いられることが推認され、また、「工具の迅速、容易、かつ安全な除去、並びにこのようなツールの引き出し内への迅速、容易かつ安全な戻りを可能にする」ことを、プレスブレーキ工具を、スライドさせるだけで引出しから容易に取り出し、戻すことを可能にすることで実現させているものであり、引用文献1の上記段落0002の記載も、そのように解釈することが自然であることから、「上側ビームまたは下側ビームの隣に配置」することが、当然、あるいは容易に想到し得るものということはできない。
よって、原査定の判断を採用することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-06-18 
出願番号 特願2017-518534(P2017-518534)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B21D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山下 浩平  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 田々井 正吾
栗田 雅弘
発明の名称 曲げ加工プレス  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  

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