• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1363799
審判番号 不服2019-2719  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-27 
確定日 2020-07-02 
事件の表示 特願2016-206081号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年4月26日出願公開、特開2018-64820号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年10月20日の出願であって、平成29年11月30日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年2月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月28日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月1日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月13日付け(送達日:同年12月4日)で、同年8月1日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成31年2月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和1年7月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月20日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年11月28日付けで最後の拒絶の理由が通知され、令和2年2月3日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年2月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月3日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、令和1年9月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
所定の制御設定値によって動作が制御される複数のデバイスと、
第1条件が成立した場合に、前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段と、
遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域への遊技球の入球に基づいて実行される抽選の結果を報知する演出に係る演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な表示装置と
を備え、
前記複数のデバイスは、音声出力装置と、発光装置とを含み、
前記設定変更手段は、
前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を前記音声出力装置から出力させる制御と、前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する輝度で前記発光装置を発光させる制御と、を並行して実行可能であり、
前記第1条件の成立中に第2条件が成立した状態で前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること
を特徴とする遊技機。」は、
令和2年2月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
所定の制御設定値によって動作が制御される複数のデバイスと、
第1条件が成立した場合に、前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段と、
遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域への遊技球の入球に基づいて実行される抽選の結果を報知する演出に係る演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な表示装置と
を備え、
前記第1条件は、前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立し、
前記複数のデバイスは、音声出力装置と、発光装置とを含み、
前記設定変更手段は、
前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を前記音声出力装置から出力させる制御と、前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する輝度で前記発光装置を発光させる制御と、を並行して実行可能であり、
前記第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること
を特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1条件」に関して、「前記第1条件は、前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立し、」を付加し、同じく、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「設定変更手段による制御設定値の変更」の「解除」に関して、「前記第1条件の成立中に第2条件が成立した状態で前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること」とあったものを「前記第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0052】、【0501】?【0516】、【図50】等の「遊技状態が非時短遊技状態である場合」に「設定変更条件」が成立可能である旨の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Hは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 所定の制御設定値によって動作が制御される複数のデバイスと、
B 第1条件が成立した場合に、前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段と、
C 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域への遊技球の入球に基づいて実行される抽選の結果を報知する演出に係る演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な表示装置と
を備え、
D 前記第1条件は、前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立し、
E 前記複数のデバイスは、音声出力装置と、発光装置とを含み、
F 前記設定変更手段は、
F1 前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を前記音声出力装置から出力させる制御と、前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する輝度で前記発光装置を発光させる制御と、を並行して実行可能であり、
G 前記第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること
H を特徴とする遊技機。」

(2)引用例1
当審判合議体による令和1年11月28日付け拒絶理由に引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-139471号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
ア 記載事項
(ア)
「【0018】
図1は、本実施形態における遊技機1の外観構成を示す正面図である。図2は、遊技機1の下部を拡大して示す斜視図である。図3は、遊技機1の遊技機本体1aを開放した状態で背面側を示す図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作によって発射装置が打ち出す遊技球が各種入賞口に入賞すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機であって、遊技の進行状況に応じて各種の演出を行う遊技機である。遊技機1は、図3に示すように、ホール(店舗)の島設備などに固定される本体枠1bを有し、その本体枠1bの左端部1cを中心に回動可能に軸支され、本体枠1bの内側に嵌め込んだ状態に固定することが可能な遊技機本体1aを有している。また遊技機1は、図1に示すように、遊技機本体1aの正面側に遊技球を転動させる遊技盤10が取り付けられており、その遊技盤10の正面側に透明ガラス板2が嵌め込まれた前枠扉3を有している。この前枠扉3は遊技機本体1aに左端部を中心に回動可能に軸支され、遊技機本体1aの正面側を開放可能である。前枠扉3の右側下方には鍵孔3aが配置されており、この鍵孔3aにホールで管理される鍵を差し込み、例えば右方向に回動させると、前枠扉3が解錠され、遊技機本体1aの正面側を開放することができる。また鍵を左方向に回動させると、遊技機本体1aが解錠され、遊技機本体1aが図3(a)に示すように本体枠1bの左端部1cを中心に回動可能となる。」

(イ)
「【0024】
設定スイッチ28は、遊技機1に関する設定、より具体的には、遊技機1で行う各種演出に関する基本的な設定を行うためのスイッチである。この設定スイッチ28は、遊技機1において演出が行われるときの枠ランプ9の輝度や発光パターン、後述する画像表示器12の輝度、並びに、スピーカー8から出力される演出音の基本的な音量レベルなどを予め設定しておくためのスイッチである。例えば図3(b)に示すように、設定スイッチ28は、店員が操作可能な設定調整部28aを4つの設定位置P1,P2,P3,P4のいずれかにスライド移動させて演出に関する基本的な設定を行うように構成される。例えば、設定調整部28aが設定位置P1に設定されると、枠ランプ9や画像表示器12の輝度が通常の輝度レベルに設定されると共に、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルの初期値が最大値に設定される。また設定調整部28aが設定位置P2に設定されると、枠ランプ9や画像表示器12の輝度が通常の輝度レベルに設定され、賞球の払い出し球数が所定球数を超えることにより枠ランプ9を所定の発光パターンで発光させるアピールランプ機能がオンとなり、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルの初期値が小レベルに対応する所定値に設定される。尚、設定調整部28aが設定位置P2に設定された場合には、遊技者による音量調整操作を受け付けないようになる。また設定調整部28aが設定位置P3に設定されると、枠ランプ9や画像表示器12の輝度を通常の輝度レベルよりも低下させるエコモードがオンとなり、且つ、上述のアピールランプ機能もオンとなる。また設定調整部28aが設定位置P3に設定された場合は、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルの初期値が中レベルに対応する所定値に設定される。さらに設定調整部28aが設定位置P4に設定されると、枠ランプ9や画像表示器12の輝度が通常の輝度レベルに設定されると共に、上述のアピールランプ機能がオンとなり、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルの初期値が最大値に設定される。」

(ウ)
「【0030】
第1始動口13および第2始動口14のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において遊技者に有利な特別遊技である大当たり遊技を行うか否かの特別遊技判定(大当たり判定)が行われる条件となる入賞口である。これら始動口13,14に入賞した遊技球が始動検知領域を通過して始動条件が成立すると、遊技機1において特別遊技判定が行われ、図柄表示器22において特別図柄の変動表示が開始されると共に、センター役物11などにおいてもその特別遊技判定の結果に応じた図柄変動演出が開始される。そして所定時間経過後に特別図柄の変動表示及び図柄変動演出が終了し、特別遊技判定の結果が表示される。その特別遊技判定の結果が大当たりを示すものであれば、遊技機1はその後、大当たり遊技として、遊技者にとって有利な特別遊技を開始する。
【0031】
尚、図柄表示器22は、遊技盤10の隅の遊技者にとって視認し難い位置に設けられており、特別図柄の変動表示の表示態様なども遊技者にとっては識別し難い表示態様で表示される。それ故、遊技者は、特別遊技判定の結果などを、主にセンター役物11などで行われる演出によって認識する。
・・・
【0036】
またセンター役物11は、その中央に、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成される画像表示器12を備えている。この画像表示器12は、例えば数字やアルファベット、文字などの図柄が付された3つの装飾図柄12a、12b、12cを表示可能である。遊技機1において特別遊技判定が行われて特別図柄の変動表示が開始されることに伴い、画像表示器12は、それら3つの装飾図柄12a、12b、12cを上下方向又は左右方向に変動させる図柄変動演出を開始し、所定時間経過後にその図柄変動演出を停止させることにより、特別遊技判定の結果を遊技者に報知する演出を行う。例えば、画像表示器12で行われる図柄変動演出が、3つの装飾図柄12a,12b,12cの全てを同じ図柄に揃えた状態で停止すると、その停止図柄が揃った状態により大当たりであることが報知される。また3つの装飾図柄12a,12b,12cの少なくとも1つが他の図柄と揃わない状態で停止すれば、その停止図柄の不揃いにより、ハズレであることが報知される。」

(エ)
「【0053】
また演出制御基板52には、遊技機本体1aの背面側に設けられる設定スイッチ28が接続される。遊技機1に電源が投入され、メイン制御基板31から初期設定コマンドを受信すると、演出制御基板52は、設定スイッチ28の設定状態に基づき、演出に関する基本的な設定を行う。すなわち、演出制御基板52は、設定スイッチ28の設定調整部28aの位置に基づき、枠ランプ9の輝度や発光パターン、画像表示器12の輝度、並びに、スピーカー8から出力する演出音の音量レベルの初期値を設定する。その後、演出制御基板52は、遊技が開始されることに伴ってメイン制御基板31から受信する信号やコマンドに基づいて上述した各種演出の実行を制御する。このとき、演出制御基板52は、設定スイッチ28の設定状態に基づき、各種演出の実行を制御する。ただし、本実施形態の遊技機1は、遊技者が第2操作ボタン7を操作することによって演出音の音量レベルの初期値を変更することが可能である。そのため、演出制御基板52は、遊技者による操作に基づいてスピーカー8から出力する演出音の音量レベルを初期値から変更し、その後、その変更後の音量レベルで演出音が出力されるように制御する。」

(オ)
「【0089】
図10は、特別状態制御部63による遊技機1の遊技状態の移行を示す図である。特別状態制御部63は、図10に示すように遊技の進行に応じて遊技機1の遊技状態を通常遊技状態ST1、特別遊技状態ST2および特定遊技状態ST3のそれぞれに移行させる。まず、遊技機1に電源が投入され、RAMクリアボタン29が操作されると、遊技機1は通常遊技状態ST1で動作する。通常遊技状態ST1は、大当たりに当選する確率が高確率状態よりも低い低確率(通常確率)で遊技を進行させる状態である。この通常遊技状態ST1では、スルーゲート21を遊技球が通過することにより行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間は極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い。そのため、通常遊技状態ST1では、遊技者はハンドルレバー5を操作することにより、図1の矢印F1で示すように、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球がセンター役物11の左側領域を流下していくように調整し、遊技球を第1始動口13に入賞させることを狙って遊技を行う。」

(カ)
「【0127】
図21は、演出制御基板52における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。演出制御基板52は、CPU52aが所定のプログラムを実行することにより、遊技演出制御部71、遊技演出設定部72、報知処理部73,初期設定部74及び遊技検知部75として機能する。
【0128】
遊技演出制御部71は、電源投入に伴う起動処理が終了した後に動作し、メイン制御基板31から受信する各種の信号やコマンドなどに基づき、遊技の進行に応じた各種の遊技演出の実行を制御する。この遊技演出制御部71には、第1操作ボタン6及び第2操作ボタン7が接続されている。そのため、遊技演出制御部71は、遊技者により第1操作ボタン6又は第2操作ボタン7が操作された場合に、遊技機1で実行する演出をその操作に対応した演出に切り替えることが可能である。この遊技演出制御部71は、待機演出制御部81、通常遊技演出制御部82、特別遊技演出制御部83及び特定遊技演出制御部84を備えている。
・・・
【0130】
通常遊技演出制御部82は、遊技機1の遊技状態が通常遊技状態ST1であるときにメイン制御基板31から変動開始コマンドを受信することによって動作し、通常遊技状態ST1における図柄変動演出の実行を制御する。すなわち、通常遊技演出制御部82は、メイン制御基板31から変動開始コマンドを受信することに伴い、通常遊技状態ST1のために予め設けられている複数の演出パターンの中から、メイン制御基板31において行われる特別図柄の変動表示の変動時間に対応する一の演出パターンを決定する。このとき、通常遊技演出制御部82は、特別遊技判定の結果に対応する演出パターンを決定する。例えば、特別遊技判定の結果が大当たりであり、メイン制御基板31によって行われる特別図柄の変動表示の変動時間が120秒である場合、通常遊技演出制御部82は、通常の図柄変動演出からリーチ演出へと移行させ、そのリーチ演出を更に発展させた発展リーチ演出などを行って最終的に3つの装飾図柄12a,12b,12cが揃った状態で停止して大当たりとなる120秒間の演出パターンを決定する。そして通常遊技演出制御部82は、決定した演出パターンに基づいて画像制御基板53やランプ制御基板54を制御することにより、その演出パターンに基づく図柄変動演出の実行を開始する。尚、複数の演出パターンには、それぞれの演出パターンに対応する演出音が予め設定されている。そのため、通常遊技演出制御部82が演出パターンに基づく図柄変動演出の実行を開始すると、スピーカー8からその演出パターンに対応する音楽や効果音、音声などの演出音が出力されるようになる。
【0131】
この通常遊技演出制御部82は、操作演出の実行を制御する操作演出制御部82aと、特定示唆演出の実行を制御する特定示唆遊技演出制御部82bを備える。操作演出とは、遊技者に第1操作ボタン6又は第2操作ボタン7の操作を促す演出である。例えば、変動開始コマンドに基づいて決定した演出パターンに、所定のタイミングで操作演出を行うパターンが含まれている場合、通常遊技演出制御部82は、図柄変動演出を開始してから操作演出を行うタイミングになると、操作演出制御部82aを機能させる。そして操作演出制御部82aは、例えば、画像表示器12に、第1操作ボタン6又は第2操作ボタン7の操作を促す画像などを表示させることにより、操作演出を実行する。また特定示唆演出とは、遊技者に対して有利な遊技価値が付与される期待度が通常よりも高いことを示唆する演出である。例えば、図柄変動演出中における特定示唆演出には、遊技者によって所定のタイミングで第1操作ボタン6又は第2操作ボタン7が操作された場合に通常よりも大当たりとなる可能性が高い画像を画像表示器12にカットイン表示させる演出や、リーチ演出から発展させて行われる発展リーチ演出が通常の発展リーチ演出よりも大当たりとなる可能性が高い特定の発展リーチ演出がある。またこの他にも、特定示唆演出には、複数回の図柄変動演出にわたって連続的に行われる演出であって、大当たりとなる期待度が通常よりも高いことを示唆する期待度アップゾーンでの演出などが含まれる。変動開始コマンドに基づいて決定した演出パターンが、そのような特定示唆演出を行うパターンである場合、通常遊技演出制御部82は、特定示唆遊技演出制御部82bを機能させる。そして特定示唆遊技演出制御部82bは、変動開始コマンドに基づいて決定された演出パターンに定められている特定示唆演出を実行する。操作演出制御部82a及び特定示唆遊技演出制御部82bは、それぞれ図柄変動演出の実行中に、操作演出や特定示唆演出を行うとき、遊技演出設定部72に対してその旨を通知する。」

(キ)
「【0144】
遊技演出設定部72は、遊技演出に関する各種の設定を行う処理部である。この遊技演出設定部72は、電源投入時には、初期設定部74からの指示に基づき、演出に関する基本的な設定を行う。すなわち、遊技機1への電源投入時、初期設定部74は、設定スイッチ28の設定状態に基づき、枠ランプ9や画像表示器12の輝度レベル、スピーカー8から演出音を出力するときの音量レベルの初期値、アピールランプ機能などの設定を遊技演出設定部72に指示する。遊技演出設定部72は、そのような初期設定部74からの指示に基づき、枠ランプ9や画像表示器12の輝度レベルを設定スイッチ28で指定されたレベルに設定する共に、スピーカー8の音量レベルを設定スイッチ28で指定された初期値に設定する。また遊技演出設定部72は、初期設定部74からの指示に基づき、アピールランプ機能をオン又はオフに設定する。アピールランプ機能がオンになると、遊技機1における賞球の払い出し球数が所定球数を超えると、例えば枠ランプ9が所定の発光パターンで発光するようになる。遊技演出設定部72は、初期設定部74からの指示に基づいて遊技演出に関する初期設定を行うと、その初期設定の内容を報知処理部73へ通知する。
【0145】
この遊技演出設定部72は、音量調整部72aを備えている。音量調整部72aは、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルを調整する処理部であり、演出制御基板52から画像制御基板53に対して演出音が出力されるときにその音量レベルを予め設定されたレベルに調整して出力するように構成される。この音量調整部72aは、電源投入時には音量レベルを初期設定部74から指示される初期値に設定する。そのため、遊技機1に電源が投入されると、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルは、店員が操作可能な設定スイッチ28で指定された初期値に設定される。また遊技演出設定部72には第2操作ボタン7が接続されており、音量調整部72aは、電源投入時に音量レベルを設定スイッチ28で指定された初期値に設定した後、遊技者によって第2操作ボタン7が操作されると、その操作に基づいて音量レベルを変更することができるように構成される。したがって、遊技者は、第2操作ボタン7を操作することにより、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルを所定の調整可能範囲内で所望のレベルに変更することが可能である。そして音量調整部72aは、現在の音量レベルを報知処理部73へ通知する。」

(ク)
「【0178】
次に、遊技演出制御部71によって行われる遊技演出について説明する。まず図30は、通常遊技演出制御部82によって図柄変動演出が行われるときの演出態様の一例を示す図であり、(a)は通常ゾーン演出として図柄変動演出が行われる場合を、(b)は期待度アップゾーンとして図柄変動演出が行われる場合を例示している。ここで通常ゾーン演出とは、通常の演出態様で行われる図柄変動演出をいう。これに対し、期待度アップゾーン演出とは、例えば保留の先読み判定などにより通常ゾーンから移行させて設定される演出であって、複数回の連続的な図柄変動演出に跨って設定される、通常の演出態様とは異なる態様の図柄変動演出をいう。通常遊技状態ST1において通常ゾーン演出に対応する図柄変動演出が行われる場合、例えば図30(a)に示すように、画像表示器12に所定の背景画像12gが表示され、その背景画像12gの前面側において3つの装飾図柄12a,12b,12cの変動表示が行われる。このような通常の演出態様で図柄変動演出が行われるとき、大当たりに当選する期待度はそれ程高くない。これに対し、例えば保留として記憶された遊技データの先読み判定などにより、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行すると、図30(a)に示す状態から図30(b)に示す状態へと移行し、期待度アップゾーンに対応する演出態様で図柄変動演出が行われる。期待アップゾーン演出に対応する図柄変動演出が行われる場合、例えば図30(b)に示すように、画像表示器12において通常ゾーン演出とは異なる背景の背景画像12hが表示され、その背景画像12hの前面側において3つの装飾図柄12a,12b,12cの変動表示が行われるようになる。このような期待度アップゾーンは、例えば先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合に設定される。そのため、期待度アップゾーンにおいて複数回の図柄変動演出が連続的に行われる場合、いずれかの図柄変動演出で大当たりとなる可能性があるリーチ演出が行われるため、期待度アップゾーンにおける図柄変動演出は、遊技者に有利な遊技価値が付与される期待度が通常ゾーン演出よりも高い演出となる。そして期待度アップゾーンにおいて所定回数の図柄変動演出が終了すると、通常の演出態様で図柄変動演出が行われる通常ゾーン演出に戻る。このように本実施形態では、通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出として、通常ゾーンに対応する演出態様と、期待度アップゾーンに対応する演出態様との2つの演出態様があり、期待度アップゾーンに対応する演出態様が通常ゾーンに対応する演出態様よりも、遊技者に有利な遊技価値を付与する期待度が高い演出となっている。
【0179】
上記のような期待度アップゾーンは、特定示唆演出のひとつとして行われる。そして音量調整部72aは、通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出が通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行することに伴い、現在の音量レベルを一時的に上昇させる。これにより、遊技者を、期待度アップゾーンにおいて行われる図柄変動演出に注目させることができるようになる。そして期待度アップゾーンで図柄変動演出が継続する期間中、その上昇させた音量レベルを維持し、期待度アップゾーンから通常ゾーンへ戻ると、音量調整部72aは、音量レベルを元のレベルに戻す。
【0180】
ただし、音量調整部72aは、現在の音量レベルが所定レベル以下である場合にのみ、期待度アップゾーン演出に移行したときに音量レベルを上昇させるようにしても良い。例えば、音量調整部72aは、現在の音量レベルが所定レベル以下である場合に、現在の音量レベルをこれより大きい所定の音量レベル(例えば最大レベルなど)に変更するようにしても良い。
・・・
【0185】
尚、通常遊技演出制御部82が変動開始コマンドに基づいて決定する演出パターンには、図32に示した演出パターン以外にも様々なパターンがある。通常遊技演出制御部82は、メイン制御基板31において行われる特別図柄の変動時間TDに対応する演出パターンであって、現在の遊技状態に応じた一の演出パターンを決定する。例えば通常遊技演出制御部32は、通常ゾーンの演出態様で図柄変動演出を行うときには通常ゾーン演出に対応する複数の演出パターンの中から一の演出パターンを決定し、期待度アップゾーンの演出態様で図柄変動演出を行うときには期待度アップゾーン演出に対応する複数の演出パターンの中から一の演出パターンを決定する。そのため、メイン制御基板31において行われる特別図柄の変動時間TDが仮に同じ時間であっても、遊技機1における遊技状態や演出ゾーンが異なる場合には、遊技機1において異なる演出態様の図柄変動演出が行われるようになり、スピーカー8から出力される演出音も異なる演出音となることがある。」

(ケ)
「【図30】




(コ)
「【0202】
図37は、図柄変動演出処理(図35のステップS1003)の詳細を示すフローチャートである。通常遊技演出制御部82または特定遊技演出制御部84は、図柄変動中において現在実行中の演出パターンに操作演出が含まれているか否かを判断する(ステップS1201)。操作演出が含まれている場合(ステップS1201でYES)、操作演出処理を行う(ステップS1202)。操作演出処理の詳細については後述する。操作演出処理が行われた後、通常遊技演出制御部82または特定遊技演出制御部84は、現在実行中の演出パターンに大当たりとなる期待度が高いことを示唆する特定示唆演出が含まれているか否かを判断する(ステップS1203)。特定示唆演出が含まれている場合(ステップS1203でYES)、特定示唆演出処理を行う(ステップS1204)。特定示唆演出処理の詳細については後述する。また特定示唆演出が含まれていない場合(ステップS1203でNO)、特定示唆演出処理をスキップする。
・・・
【0205】
続いて通常遊技演出制御部82または特定遊技演出制御部84は、メイン制御基板31から変動停止コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS1211)。変動停止コマンドを受信した場合(ステップS1211でYES)、通常遊技演出制御部82または特定遊技演出制御部84は、図柄確定演出を行い、特別遊技判定の結果を表示する(ステップS1212)。変動停止コマンドを受信していない場合(ステップS1211でNO)、現在の図柄変動演出が更に継続するため、ステップS1212をスキップして図柄変動演出処理を終了する。」

(サ)
「【図37】



(シ)
「【0209】
図39は、特定示唆演出処理(図37のステップS1204)の詳細を示すフローチャートである。通常遊技演出制御部82の特定示唆遊技演出制御部82bまたは特定遊技演出制御部84の特定示唆遊技演出制御部84bは、特定示唆演出を開始するタイミングであるか否かを判断する(ステップS1401)。特定示唆演出を開始するタイミングである場合(ステップS1401でYES)、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、その旨を音量調整部72aに通知する。これにより、音量調整部72aは、現在の音量レベルの設定値の読み出し(ステップS1402)、現在の音量レベルの設定値が所定レベル未満であるか否かを判断する(ステップS1403)。その結果、所定レベル未満である場合(ステップS1403でYES)、音量調整部72aは、音量レベルの設定値を変更する(ステップS1404)。音量レベルの設定値の変更の態様としては、設定値を予め設定する所定レベルにしてもよく、或いは設定値を最大レベルにしてもよい。その後、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、実行中の演出パターンに定められている特定示唆演出の実行を開始する(ステップS1405)。この特定示唆演出により、遊技者に対して当該図柄変動演出が大当たりとなる期待度が通常よりも高いことが示唆される。なお、ステップS1401において特定示唆演出を開始するタイミングでない場合(ステップS1401でNO)、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、ステップS1402からS1405をスキップさせる。
【0210】
次に、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、特定示唆演出を終了するタイミングであるか否かを判断する(ステップS1406)。特定示唆演出を終了するタイミングでない場合(ステップS1406でNO)、特定示唆演出が継続するので、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、特定示唆演出処理を終了する。特定示唆演出を終了するタイミングである場合(ステップS1406でYES)、特定示唆演出開始時に音量レベルの設定値が変更されたか否かを判断する(ステップS1407)。音量レベルの設定値が特定示唆演出開始時に変更されていた場合(ステップS1407でYES)、特定示唆遊技演出制御部82bまたは84bは、音量調整部72aに、音量レベルの設定値を、特定示唆演出開始前における設定値に復元させる音量レベル復元処理を行い(ステップS1408)、特定示唆演出処理を終了する。音量レベルの設定値が特定示唆演出開始時に変更されていない場合(ステップS1407でNO)、ステップS1408をスキップして特定示唆演出処理を終了する。
【0211】
上記のような特定示唆演出処理が行われることにより、遊技機1において、遊技者に遊技な遊技価値が付与される期待度が通常よりも高いことを示唆する特定示唆演出が行われるときには、スピーカー8から出力される演出音の音量レベルを一時的に上昇させた状態で出力することができるようになる。」

(ス)
「【図39】




イ 引用発明
上記アの記載事項、および、図面の図示内容を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?hは、本件補正発明の構成A?Hに概ね対応させて当審判合議体により付した。)。
「a、e 輝度や発光パターンの設定状態に基づき演出の実行が制御される枠ランプ9と、音量レベルの設定状態に基づき演出の実行が制御されるスピーカー8と(【0053】)、
b 枠ランプ9の輝度レベル、および、スピーカー8の音量レベルを、店員が操作可能な設定スイッチ28で指定された初期値に設定する遊技演出設定部72と(【0024】、【0144】)、
画像表示器12と(【0024】)、
演出制御基板52と(【0127】)、
遊技演出制御部71が有する通常遊技演出制御部82と(【0128】)、
遊技演出設定部72が有する音量調整部72aと(【0145】)、を備え、
演出制御基板52は、遊技演出制御部71、遊技演出設定部72として機能し(【0127】)、
音量調整部72aは、通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出の演出態様が、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行させて設定されることに伴い、遊技者による操作に基づいて初期値から変更された現在の音量レベルを一時的に上昇可能であり(【0053】、【0145】、【0178】?【0180】)、
期待度アップゾーン演出は、特定示唆演出に含まれ、複数回の図柄変動演出にわたって連続的に行われ、大当たりとなる期待度が通常よりも高いことを示唆する演出であって(【0131】)、
c 画像表示器12は、始動口13,14に入賞した遊技球が始動検知領域を通過して始動条件が成立し、特別遊技判定が行われることに伴い、3つの装飾図柄12a、12b、12cを変動させる図柄変動演出を開始し、所定時間経過後にその図柄変動演出を停止させることにより、特別遊技判定の結果を遊技者に報知する演出が行われ(【0030】、【0036】)、
d 通常遊技演出制御部82は、スルーゲート21を遊技球が通過することにより行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間は極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い、通常遊技状態ST1において、先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合に、演出態様が、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行させて設定され、期待度アップゾーン演出の演出態様で図柄変動演出の実行を制御し(【0089】、【0130】、【0178】?【0179】)、
f、f1 通常遊技演出制御部82は、期待度アップゾーンの演出態様で図柄変動演出を行うときには期待度アップゾーン演出に対応する複数の演出パターンの中から一の演出パターンを決定し、演出パターンに基づく図柄変動演出の実行を開始すると、スピーカー8からその演出パターンに対応する音声などの演出音を出力し(【0130】、【0185】)、
音量調整部72aは、通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出が期待度アップゾーン演出に移行することに伴い、現在の音量レベルを一時的に上昇させ(【0179】)、
g 通常遊技演出制御部82は、
g1 図柄変動演出処理において、現在実行中の演出パターンに大当たりとなる期待度が高いことを示唆する特定示唆演出が含まれている場合、特定示唆演出処理を行い(【0202】)、
g2 特定示唆演出処理において、期待度アップゾーンから通常ゾーンへ戻る、特定示唆演出を終了するタイミングである場合、特定示唆遊技演出制御部82bにより、音量調整部72aに、音量レベルの設定値を、特定示唆演出開始前における設定値に復元させる音量レベル復元処理を行い、特定示唆演出処理を終了し(【0179】、【0209】?【0210】)、
g3 メイン制御基板31から変動停止コマンドを受信した場合、図柄確定演出を行い、特別遊技判定の結果を表示する(【0205】)
h 遊技機1(【0018】)。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a、e)
引用発明における
「輝度や発光パターンの設定状態」、
「演出の実行が制御される」こと、
「枠ランプ9と」「スピーカー8」、
「スピーカー8」、
「枠ランプ9」は、それぞれ、
本件補正発明における
「所定の制御設定値」、
「動作が制御される」こと、
「複数のデバイス」、
「音声出力装置」、
「発光装置」に相当する。
したがって、引用発明における構成a、eは、本件補正発明における構成A、Eに相当する。

(b、d)
本件補正発明の構成Bの「第1条件」は、構成Dに「第1条件は、抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立し」と定義されていることから、ここでは、引用発明の構成b、dと、本件補正発明の構成B、Dとを併せて対比する。
引用発明における構成dの「スルーゲート21を遊技球が通過することにより行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間は極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い、通常遊技状態ST1」は、「第2始動口14」に「遊技球」が「入賞」したことに伴い実行される「特別遊技判定」の実行頻度が低いことから、本件補正発明における構成Dの「抽選の実行が容易でない遊技状態」に相当する。
したがって、引用発明における構成bの「遊技者による操作に基づいて初期値から変更された現在の音量レベルを一時的に上昇可能であ」ることと、本件補正発明における構成Bの「前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能」なこととは、「複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能」なことで共通する。

さらに、引用発明における「保留として記憶されている遊技データ」が、「大当たりとなるものや、リーチとなるもの」であることは、本件補正発明における「変更条件」に相当することから、引用発明における構成dの「先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合」と、本件補正発明における構成Dの「前記制御設定値の変更条件が満たされた場合」とは、「複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更条件が満たされた場合」で共通する。
したがって、引用発明における構成dの「スルーゲート21を遊技球が通過することにより行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間は極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い、通常遊技状態ST1において、先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合」と、本件補正発明における構成Dの「第1条件」が「成立」する「抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な制御設定値の変更条件が満たされた場合」とは、「第1条件が成立する、抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更条件が満たされた場合」で共通する。

また、引用発明における構成bの「通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出の演出態様が、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行させて設定されること」は、構成dによると、「スルーゲート21を遊技球が通過することにより行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間は極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い、通常遊技状態ST1において、先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合」に成立すると認められる。
そうすると、引用発明の構成bの「通常遊技演出制御部82によって行われる図柄変動演出の演出態様が、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行させて設定されることに伴い、遊技者による操作に基づいて初期値から変更された現在の音量レベルを一時的に上昇させ」る「音量調整部72a」を有する「遊技演出設定部72」として「機能」する「演出制御基板5」と、本件補正発明における構成Bの「第1条件が成立した場合に、前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段」とは、「第1条件が成立した場合に、複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段」であることで共通する。

(c)
引用発明における
「始動口13,14」
「入賞した遊技球が始動検知領域を通過して始動条件が成立」すること、
「特別遊技判定の結果を遊技者に報知する演出」、
「3つの装飾図柄12a、12b、12cを変動させる図柄変動演出を開始し、所定時間経過後にその図柄変動演出を停止させる」こと、
「画像表示器12」は、それぞれ、
本件補正発明における
「遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域」、
「遊技球の入球に基づ」くこと、
「抽選の結果を報知する演出」、
「演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な」こと、
「表示装置」に相当する。
したがって、引用発明における構成cは、本件補正発明における構成Cに相当する。

(f、f1)
引用発明における構成f、f1の「音量調整部72a」による「現在の音量レベルを一時的に上昇させ」た「期待度アップゾーン演出に移行することに伴」って、「スピーカー8から」出力される「演出パターンに対応する音声などの演出音」は、「現在の音量レベルを一時的に上昇させ」たものである。
ここで、「音量レベル」は、構成bによると、「遊技者による操作に基づいて初期値から変更された」ものである。
そうすると、引用発明における「音量調整部72a」による「現在の音量レベルを一時的に上昇させ」た「期待度アップゾーン演出に移行することに伴」う、「演出パターンに対応する音声などの演出音」は、本件補正発明における「遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声」に相当する。
そして、引用発明における「通常遊技演出制御部82」による「期待度アップゾーンの演出態様で図柄変動演出を行うときには期待度アップゾーン演出に対応する複数の演出パターンの中から一の演出パターンを決定し、演出パターンに基づく図柄変動演出の実行を開始すると、スピーカー8からその演出パターンに対応する音声などの演出音を出力」する制御は、本件補正発明における「音声出力装置から出力させる制御」に相当する。
ここで、引用発明において、構成bより、「音量調整部72a」は、「遊技演出設定部72が有する」ものであり、また、「通常遊技演出制御部82」は、「遊技演出制御部71が有する」ものであり、さらに、「演出制御基板52は、遊技演出制御部71、遊技演出設定部72として機能」するものである。
また、上記(b)より、引用発明における「音量レベル」と、本件補正発明における「前記制御設定値」とは、「複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値」であることで共通する。
したがって、引用発明における構成f、f1の「通常遊技演出制御部82」、「音量調整部72a」の機能を有する「演出制御基板52」と、本件補正発明の構成F、F1の「設定変更手段」とは、「遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を音声出力装置から出力させる制御を実行可能である設定変更手段」であることで共通する。

(g)
引用発明における
「特定示唆演出を終了する」(構成g2)こと、
「図柄確定演出を行い、特別遊技判定の結果を表示する」際(構成g3)は、それぞれ、
本件補正発明における
第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立」すること、
「演出図柄の停止態様が表示される際」に相当する。

そして、引用発明における「メイン制御基板31から変動停止コマンドを受信した場合」(構成g3)は、「図柄変動演出処理において」「行われる」「特定示唆演出」としての「期待度アップゾーン」演出が終了した後のことであると認められるから、本件補正発明における「第2条件が成立した後」に相当する。
また、上記(b)より、引用発明における「音量レベル」と、本件補正発明における「前記制御設定値」とは、「複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値」であることで共通することから、引用発明における「特定示唆遊技演出制御部82bにより、音量調整部72aに、音量レベルの設定値を、特定示唆演出開始前における設定値に復元させる音量レベル復元処理を行」うこと(構成g2)と、本件補正発明における「制御設定値の変更が解除されている」こととは、「複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更が解除されている」ことで共通する。

したがって、引用発明における構成g?g3と、本件補正発明における構成Gとは、「第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、演出図柄の停止態様が表示される際に、設定変更手段による複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更が解除されていること」で共通する。

(h)
引用発明における「遊技機1」は、本件補正発明における「遊技機」に相当する。」

上記(a)?(h)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 所定の制御設定値によって動作が制御される複数のデバイスと、
B’第1条件が成立した場合に、複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段と、
C 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域への遊技球の入球に基づいて実行される抽選の結果を報知する演出に係る演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な表示装置と
を備え、
D’前記第1条件は、前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立し、
E 前記複数のデバイスは、音声出力装置と、発光装置とを含み、
F 前記設定変更手段は、
F1’前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を前記音声出力装置から出力させる制御を実行可能であり、
G’前記第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記複数のデバイスのうちの一つのデバイスの前記制御設定値の変更が解除されている
H 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成B、D、G)
遊技者による制御設定値の変更の対象が、本件補正発明では、「複数のデバイス」であるのに対して、引用発明では、「スピーカー8」であり、「枠ランプ9」の「輝度レベル」について、「店員が操作可能な設定スイッチ28で指定されたレベルに設定する」ことが可能であるが、遊技者により変更可能であるか否か不明である点。

[相違点2](構成F、F1)
設定変更手段に関し、
本件補正発明は、遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を音声出力装置から出力させる制御と、遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する輝度で発光装置を発光させる制御と、を並行して実行可能であるのに対して、
引用発明は、「遊技者による操作に基づいて初期値から変更された現在の、演出パターンに対応する音声などの演出音の音量レベルを一時的に上昇させて、スピーカー8から出力」させる制御を実行可能であり、「枠ランプ9」の「輝度レベル」について、「店員が操作可能な設定スイッチ28で指定されたレベルに設定する」ことが可能であるが、遊技者により変更可能であるか否か不明であるため、本件補正発明のような構成を備えない点。

(4)当審判合議体の判断
上記相違点1?2は、音声出力装置と発光装置の制御設定値の設定変更についての、互いに関連する構成であるのでまとめて検討する。
遊技機の技術分野において、演出効果の低下を抑え、遊技者の興趣を向上させるために、特定演出の開始条件の成立により特定演出を実行する場合、遊技者の設定した音量を、遊技機が設定し直した音量の音を音声出力装置から出力することに並行して、遊技者の設定した輝度を、遊技機が設定し直した輝度の光を発光装置から出力することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、当審判合議体による令和1年11月28日付け拒絶理由に引用例2として引用された特開2016-179106号公報の【0007】?【0008】、【0015】、【0290】?【0298】、【0401】や、同じく、引用例3として引用された特開2015-73764号公報の【0010】、【0052】、【0297】?【0300】には、遊技者の操作によりスピーカ27の音量と枠LED28の輝度とを設定可能であり、特定演出実行中フラグが設定されている場合、特定演出に用いる音量および輝度を所定値に変更して再設定し、かつ、演出終了条件成立フラグがセットされ、演出図柄の変動表示の停止タイミングになった場合、特定演出実行中フラグをリセットし、特定演出を終了させ、音声出力装置から出力する音量、および、発光装置から出力する輝度を、遊技者の設定した値に戻すことが記載されている。以下「周知の技術事項」という。)。
そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、遊技機において、遊技者の興趣を向上させるための特定演出を行う際に、音声出力装置から出力する音量を、遊技者が設定した所定値から、遊技機が設定した値に戻して出力するという共通の機能を有するものである。
また、引用発明と上記周知の技術事項とは、特定演出による演出効果を向上させるという共通の課題を解決するものである。
したがって、引用発明の「特定示唆演出」としての「期待度アップゾーン演出」に上記周知の技術事項を適用して、「期待度アップゾーン演出」において、遊技者の選択した設定値と異なる値の音量レベルの音声などの演出音を「スピーカー8」から「出力」すること、および、「枠ランプ9」からの「出力」について、店員により輝度レベルを設定可能とすることに加えて、遊技者により輝度レベルを設定可能とし、さらに、「期待度アップゾーン演出」において、上記「スピーカー8」から「出力」に並行して、遊技者の選択した設定値と異なる値の輝度レベルの光を「枠ランプ9」から出力可能とし、上記相違点1?2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明により奏される効果は、引用発明に上記周知の技術事項を適用することにより奏される効果の範囲内のものである。

(5)請求人の主張について
令和2年2月3日付け意見書において、請求人は次の主張をする。
「引用文献1-3には、上記第一の構成における「前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件」という構成(「遊技状態が非時短遊技状態である場合」に「設定変更条件」が成立可能である構成)が開示も示唆もされておりません。つまり、引用文献1-3に記載された発明は、上記第一の構成を有しておりません。」(2-2.拒絶理由1(進歩性)について)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
引用発明は、「通常遊技状態ST1において、先読み判定などにより、保留として記憶されている遊技データの中に、大当たりとなるものや、リーチとなるものが含まれている場合に、演出態様が、通常ゾーン演出から期待度アップゾーン演出に移行させて設定され」(構成d)、「期待度アップゾーン演出に移行することに伴い、遊技者による操作に基づいて初期値から変更された現在の、演出パターンに対応する音声などの演出音の音量レベルを一時的に上昇させて、スピーカー8から出力」する(構成e)ものである。
そして、上記「(3)対比(b、d)」において検討したように、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dのうち、「スピーカー8」からの「出力」に関してではあるが、「第1条件は、抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な複数のデバイスのうちの一つのデバイスの制御設定値の変更条件が満たされた場合に成立」する構成に相当する。
したがって、引用文献1(引用例1)には、「前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合に成立可能な前記制御設定値の変更条件」が開示されているといえるから、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)まとめ
上記(1)?(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和1年9月20日付け手続補正書により補正された、次のとおりのものと認める。
「A 所定の制御設定値によって動作が制御される複数のデバイスと、
B 第1条件が成立した場合に、前記制御設定値を複数の値から遊技者が選択した設定値と異なる値に変更可能な設定変更手段と、
C 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられた始動領域への遊技球の入球に基づいて実行される抽選の結果を報知する演出に係る演出図柄の変動態様および停止態様の表示が可能な表示装置と
を備え、
E 前記複数のデバイスは、音声出力装置と、発光装置とを含み、
F 前記設定変更手段は、
F1 前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する音量の音声を前記音声出力装置から出力させる制御と、前記遊技者が選択した設定値と異なる値の制御設定値に対応する輝度で前記発光装置を発光させる制御と、を並行して実行可能であり、
G’ 前記第1条件の成立中に第2条件が成立した状態で前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること
H を特徴とする遊技機。」

2 拒絶の理由の概要
当審による令和1年11月28日付け拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。

「1(進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1:特開2015-139471号公報
2:特開2016-179106号公報
3:特開2015-73764号公報」

3 引用例に記載された事項
(1)引用発明について
当審による令和1年11月28日付け拒絶の理由に引用された引用文献1(前記「第2[理由]2 2-2(2)」の「引用例1」である。)の記載事項および引用発明の認定については、前記「第2[理由]2 2-2(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]2-2(1)本件補正発明」で検討した本件補正発明の「第1条件」に関する、「前記第1条件は、前記抽選の実行が容易でない遊技状態である場合」との限定を省くとともに、本件補正発明の「設定変更手段による制御設定値の変更」の「解除」に関して、「前記第1条件の成立中に実行される特定の演出が終了して第2条件が成立した後、前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること」とあったものを、「前記第1条件の成立中に第2条件が成立した状態で前記演出図柄の停止態様が表示される際に、前記設定変更手段による前記制御設定値の変更が解除されていること」とその限定を省くものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、前記相違点1(構成B、G’)および相違点2(構成F、F1)において相違し、その余の点で一致するものである。
そして、相違点1?2についての判断は、本件補正発明と引用発明との相違点1?2についての判断、前記「第2 2-2(4)当審判合議体の判断」において検討したと同様に、引用発明の「特定示唆演出」としての「期待度アップゾーン演出」に上記周知の技術事項を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明、及び、上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-04-07 
結審通知日 2020-04-14 
審決日 2020-05-12 
出願番号 特願2016-206081(P2016-206081)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也柳 重幸岩永 寛道  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 赤坂 祐樹
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 森 哲也  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ