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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1363907
審判番号 不服2019-8572  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-26 
確定日 2020-07-06 
事件の表示 特願2014-256524「ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月30日出願公開、特開2016-117165〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月18日を出願日とする出願であって、その後の手続経緯は以下のとおりである。
平成30年12月10日付:拒絶理由通知書
平成31年 2月 8日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 3月28日付:拒絶査定
令和 1年 6月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 1年 7月19日付:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 1年 9月13日 :意見書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和 1年 6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外面にプラスチック製部材と、を備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、
前記容器本体および/または前記プラスチック製部材に、ラベルが取り付けられており、
前記ラベルが、前記容器本体および/または前記プラスチック製部材に巻装されるシュリンクラベル、ストレッチラベルまたはロールラベルであり、
前記プラスチック製部材が、前記プラスチック製部材を剥離除去するための切断線を有することを特徴とする複合容器。」

第3 拒絶の理由
前置審査における令和 1年 7月19日付けで通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び5に示された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開昭59-91038号公報
引用文献2:特表2004-532147号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2004-352325号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
(1)「(1)ポリエチレンテレフタレートよりなる有底パリソンの少なくとも胴壁部外面に、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを装着した後、加熱、2軸延伸-吹込成形を行なうことを特徴とする、少なくとも肩部および胴部外面に該ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトルの製造方法。」(特許請求の範囲)
(2)「第1図はチューブを倒立したパリソン1の胴壁部1aの外面側に緩挿し、ネックリング1b上に載置した状態を示す。次にこのパリソン1を延伸-吹込成形のため約80?100℃の範囲内の所定温度に、赤外線照射あるいはオーブン通過等によって加熱する。このさいチューブ2は熱収縮して、第2図に示すように、パリソン1の胴壁部1aの外面に密着する。次いで常法により、このチューブ2が密着したパリソン1を2軸延伸-吹込成形を行なって、第3図に示すようなボトル3を形成する。
そのさいチューブ2も同時に変形し、チューブ2を形成するプラスチックフィルム2’が、ボトル3の比較的薄肉の(通常約0.2?0.3mm)胴部3aおよび肩部3bに密着した状態で該部を被覆する。」(第2頁右上欄第6行乃至同頁左下欄第1行)
(3)「第1図において1はポリエチレンテレフタレートよりなる有底パリソンであって、通常射出成形によって形成される。2はガスバリヤー性プラスチックフィルム(例えば厚さ10?50μmのポリ塩化ビニリデン系フィルム;単位厚さの炭酸ガス、酸化ガス等に対するバリヤー性がポリエチレンテレフタレートの夫より大きいプラスチックのフィルム)よりなるチューブであって、例えばインフレーション法によって形成された継目無しの長尺チューブを、パリソン1の胴壁部1aの高さにほぼ等しい長さに切断したものである。その内径は胴壁部1aの外径より若干大きい。」(第2頁左上欄第14行乃至同頁右上欄第5行)
(4)「本発明によれば、簡単な操作により高い生産性で、ガスバリヤー性の優れたポリエチレンテレフタレートボトルを製造することができるという効果を奏する。」(第2頁右下欄第1行乃至第4行)

2 引用発明
したがって、引用文献1には、上記1(1)-(3)の記載からして下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトルにおいて、
ポリエチレンテレフタレート製のボトルと、
前記ボトルの外面にガスバリヤー性プラスチックフィルムと、を備え、
前記ボトルおよび前記ガスバリヤー性プラスチックフィルムは、ガスバリヤー性プラスチックフィルムよりなるチューブが密着したパリソンを2軸延伸-吹込成形を行ってボトルを形成し、その際チューブも同時に変形し、前記ガスバリヤー性プラスチックフィルムがボトル胴部および肩部に密着した状態で該部を被覆したものである、
ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトル。」

3 引用文献2の記載
引用文献2には以下の事項が記載されている(下線は当審において付与したものである。)。
「【0004】
別のより最近の進展は、シュリンクフィット又は「輪郭(contour)」ラベルの使用である。これらのラベルは、配向(又は延伸)(oriented)フィルム原料上に印刷することによって作られる。フィルムはチューブ状にされ(代表的には一方の縁を溶剤接着することによって)、容器を覆うように配位され、ボトルの周囲で「熱収縮」させられる。熱収縮は通常、配向されたラベルを容器の周囲で収縮させることができる充分に高い温度の加熱トンネル中で行われる。加熱トンネルの通過時に、配向フィルム/ラベルは、容器の形状にぴったりとフィットするように収縮する。フィルムは、容器に「ぴったりとフィットする(form-fitting)」ことによって容器の形を取る。ラベルは通常、ゆがみ印刷法(distortion printing process)を用いて印刷される。この方法は、フィルム及びインクパターンの寸法の最終変化を有効に補正する。」

4 引用文献5に記載
引用文献5には以下の事項が記載されている(下線は当審において付与したものである。)。
「【0026】
上記構成からなる遮光容器1は、底面22まで遮光性のラベル3で被覆されているので、紫外線などの光透過を防止することができる。さらに、上記ラベル3は、白色系フィルム7の裏面7aに黒色系印刷層8が設けられた基材5からなるので、意匠印刷層8の下地となる白色背景の利点を有しつつ、可視光線の透過も防止できる。可視光線の遮光性の目安は、例えば、内容物がビールやビタミン剤などの場合、波長400?600nmの最大透過率が20%以下、好ましくは10%以下である。また、光遮断手段が、1つの筒状ラベル3によって容器2を被覆するものであるため、リサイクル時には、既知の胴部ラベル付き容器と同様に、消費者は、ミシン目6などを利用して、ラベル3を切り取りこれを簡単に除去することができる。尚、ミシン目6は微小な孔であるため、光透過の影響は殆ど無視できるほどに小さいが、より確実に遮光するには、上記のような貫通孔型のミシン目6に代えて、非貫通のミシン目やハーフカットの切取り線などのような非貫通型の易開裂手段を用いることが好ましい。さらに、筒状ラベル3は、容器2の接地部221の形状に沿って装着されているので、容器2を何ら支障なく自立させることができ、外観上も美麗な容器となる。特に、筒状ラベル3の閉塞部32が、容器2の凹部222内に位置されているので、底面21からラベルの一部が突出することがないから自立安定性に優れ、さらに、搬送時、閉塞部32にゴミが付着したり、閉塞部32が不用意に障害物に引掛かることなどを防止できる。」

第5 対比(一致点、相違点の認定)・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
引用発明の「ポリエチレンテレフタレート製のボトル」、「ガスバリヤー性プラスチックフィルム」、「ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトル」はそれぞれ、本願発明の「プラスチック材料製の容器本体」、「プラスチック製部材」、「複合容器」に相当する。
また、引用発明の「前記ボトルおよび前記ガスバリヤー性プラスチックフィルム」は、ガスバリヤー性プラスチックフィルムよりなるチューブが密着したパリソンを2軸延伸-吹込成形を行ってボトルを形成し、そのさいチューブも同時に変形し、前記ガスバリヤー性プラスチックフィルムはボトル胴部および肩部に密着した状態で該部を被覆したものであることから、本願発明の「前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され」に相当するものである。

してみると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外面にプラスチック製部材と、を備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張された、
複合容器。」

そして、本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、ラベルについて、「前記容器本体および/または前記プラスチック製部材に」取り付けられるものであって、かつ「前記容器本体および/または前記プラスチック製部材に巻装されるシュリンクラベル、ストレッチラベルまたはロールラベル」であると特定するのに対し、引用発明はラベルを取り付けること、及びラベルを、シュリンクラベル、ストレッチラベルまたはロールラベルとすることについて特定されていない点。

<相違点2>
本願発明が「前記プラスチック製部材が、前記プラスチック製部材を剥離除去するための切断線を有する」と特定されているのに対し、引用発明はこのように特定されていない点。

上記相違点について、判断する。
相違点1について
容器の外観向上や表示等を目的とし、容器本体にシュリンクラベルを付与することは、本願の出願日前に周知技術であったものであり(必要であれば引用文献2の段落0004、特開2001-130520号公報の請求項2を参照。)、また、容器本体の外面のプラスチック製部材にシュリンクラベルを付与することも同様に本願の出願日前に周知技術であったものである(必要であれば、特開2001-130520号公報の段落0018参照。)
してみると、引用発明のガスバリヤー性プラスチックフィルムを備えたポリエチレンテレフタレートボトルにおいて、ボトルの外観向上または表示等を意図し、上記周知技術を採用し、ラベルを「前記容器本体および/または前記プラスチック製部材に」に取り付け、かつ前記ラベルを「容器本体および/または前記プラスチック製部材に巻装されるシュリンクラベル」とすることは当業者が容易に想到し得たことであり、これによって当業者が想到し得ないほどの新たな格別の効果を奏するものでもない。

相違点2について
ポリエチレンテレフタレートボトル等において、リサイクルの観点から容器周囲に装着するシュリンクフィルムに対してミシン目やハーフカットの切取り線などを設けることは本願の出願日前に周知技術であったものと認められる(引用文献5の段落0026等を参照。あるいはさらに必要であれば、特開2003-321029号公報の段落0031等を参照。)
そして、上記ボトル等のリサイクルの容易性を高めることは当業者にとって自明の課題であると言えることから、引用発明のポリエチレンテレフタレートボトルにおいて、前記ボトルの外面のガスバリヤー性プラスチックフィルムに剥離除去のための切断線を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであり、これによって当業者が予測し得ないほどの新たな格別の効果が奏されるものでもない。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。

審判請求人が令和 1年 9月13日付け意見書において主張した、「切断線をガスバリア性フィルムに設けた場合、この切断線からガスの出入りが可能となると、当業者であれば、考え、このような技術的事項を組み合わせようとは決して考えない」に関しては、上記引用文献5の段落0026では、「非貫通性のミシン目やハーフカットの切取り線などのような非貫通型の易開裂手段を用いること」が開示され、また、上記特開2003-321029号公報の段落0031ではバリア性のフィルムであっても使用後の中空容器と被覆されたフィルムとの分離を容易にするために「ミシン目」を入れること、等が開示されていることからして、引用発明がガスバリヤ性フィルムを用いるものであったとしても、当業者がこのような技術的事項、すなわち切断線を設けること、を組み合わせようとは決して考えないとの主張については妥当ではないものと判断される。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-05-01 
結審通知日 2020-05-08 
審決日 2020-05-22 
出願番号 特願2014-256524(P2014-256524)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中山 基志関口 貴夫  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 植前 充司
神田 和輝
発明の名称 ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材  
代理人 永井 浩之  
代理人 末盛 崇明  
代理人 朝倉 悟  
代理人 中村 行孝  
代理人 浅野 真理  
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