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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1363938
審判番号 不服2019-2633  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-27 
確定日 2020-07-08 
事件の表示 特願2017- 46233「積層型キャパシター及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月19日出願公開、特開2017-191929〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月10日(パリ条約による優先権主張2016年4月15日、韓国、2016年12月21日、韓国)に出願したものであって、平成30年5月30日付け拒絶理由通知に対して同年8月16日付けで手続補正がなされたが、同年10月24日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成31年2月27日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成31年2月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成31年2月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正について
平成31年2月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、
本件補正前に、
「 【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を囲む導電性接続部、ベース樹脂、及び前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性接続部と接触する第2電極層と、を含む、積層型キャパシター。
【請求項2】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、低融点金属を含む導電性接続部、前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物、及び前記導電性接続部及び前記金属間化合物をカバーするベース樹脂を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性接続部と接触する第2電極層と、を含む、積層型キャパシター。
【請求項3】
前記第1電極層が銅を含む、請求項1または2に記載の積層型キャパシター。
【請求項4】
前記導電性接続部は前記ベース樹脂の硬化温度より低い融点を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項5】
前記導電性接続部の融点が300℃以下である、請求項4に記載の積層型キャパシター。
【請求項6】
前記導電性樹脂層は、素材となる金属粒子が、銅、ニッケル、銀、銀がコーティングされた銅、及びスズがコーティングされた銅のうち少なくとも一つであり、
前記金属間化合物が銅-スズを含んで形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項7】
前記導電性樹脂層の前記導電性接続部がAg3Snを含んで形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項8】
前記導電性樹脂層の素材となる金属粒子のサイズが0.2?20μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項9】
前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項10】
前記複数の島が層(layer)状からなる、請求項9に記載の積層型キャパシター。
【請求項11】
前記本体は、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と接続され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1面及び第2面と接続され、第3及び第4面と接続され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、
前記内部電極が、前記本体の第3及び第4面に交互に露出するように配置され、
前記第1電極層が、前記本体の第3及び第4面に、前記内部電極が露出している部分とそれぞれ電気的に接続されるように形成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項12】
前記外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ形成される接続部と、前記接続部から前記本体の第1及び第2面の一部を覆う位置まで延在するように形成されるバンド部と、を含む、請求項11に記載の積層型キャパシター。
【請求項13】
前記導電性樹脂層は、前記接続部の中央部分の厚さをt1、コーナー部の厚さをt2、バンド部の中央部分の厚さをt3と定義すると、t2/t1≧0.05及びt3/t1≦0.5である、請求項12に記載の積層型キャパシター。
【請求項14】
前記導電性樹脂層は、前記導電性樹脂層の素材となる金属粒子が、球状、フレーク(flake)状、及び球状とフレーク状の混合形態のうち一つである、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項15】
前記金属間化合物の厚さは2.0?5.0μmである、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項16】
誘電体層及び内部電極を含む本体を設ける段階と、
前記内部電極の一端と電気的に接続されるように前記本体の一面に導電性金属及びガラスを含むペーストを塗布してから焼成して第1電極層を形成する段階と、
前記第1電極層上に、金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する低融点金属を含む導電性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記導電性樹脂組成物を硬化処理する際の前記硬化温度において溶融した低融点金属が金属粒子を囲む導電性接続部となり、第1電極層と導電性接続部との間に金属間化合物が形成されるように導電性樹脂層を形成する段階と、
前記導電性樹脂層上に第2電極層をめっきで形成する段階と、を含む、積層型キャパシターの製造方法。
【請求項17】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
熱硬化性樹脂内に含まれる金属粒子及び低融点金属粒子の表面の酸化膜を除去する段階と、
酸化膜が除去された金属粒子と酸化膜が除去された低融点金属粒子が反応して導電性接続部を形成し、且つ前記低融点金属粒子が流動性を有しながら第1電極層の周りに流れて第1電極層と接触する金属間化合物を形成する段階と、を含む、請求項16に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項18】
前記金属粒子は銅であり、前記低融点金属粒子はSn/Bi、Sn-Pb、Sn-Cu、Sn-Ag、及びSn-Ag-Cuのうち少なくとも一つである、請求項17に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項19】
前記金属粒子のサイズが0.2?20μmである、請求項17または18に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項20】
前記低融点金属の含量が全体の金属含量に対して10?90wt%である、請求項17から19のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項21】
前記低融点金属粒子はSn/Biであり、Snx-BiyにおいてSnの含量(x)が全体の金属含量に対して10wt%以上である、請求項18に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項22】
前記導電性接続部の融点が300℃以下である、請求項16から21のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項23】
前記第1電極層が銅を含み、
前記導電性樹脂層は、前記金属粒子が、銅、ニッケル、銀、銀がコーティングされた銅、及びスズがコーティングされた銅のうち少なくとも一つであり、
前記金属間化合物が銅-スズである、請求項16から22のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項24】
前記導電性樹脂層を形成する段階において、前記金属間化合物を複数の島(island)状に形成する、請求項16から23のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項25】
前記複数の島(island)を層(layer)状に形成する、請求項24に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項26】
本体上に導電性金属を含む第1電極層を形成する段階と、
前記第1電極層上に、前記第1電極層と導電性接続部との間の金属粒子を囲む導電性接続部及び金属間化合物を含む導電性樹脂層を形成する段階と、
前記導電性樹脂層上に第2電極層を形成する段階と、を含む、製造方法。
【請求項27】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
前記第1電極層上に、金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する低融点金属を含む導電性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記導電性樹脂組成物を前記硬化温度において硬化させる段階と、を含む、請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
前記金属粒子及び低融点金属の表面から酸化膜を除去する段階と、
酸化膜が除去された金属粒子と酸化膜が除去された低融点金属粒子が反応して導電性接続部を形成し、前記低融点金属粒子が流動性を有し、第1電極層の周りに流れ込んで第1電極層と接触する金属間化合物を形成する段階と、を含む、請求項27に記載の製造方法。」とあったところを、

本件補正により、
「 【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を囲む導電性接続部、ベース樹脂、及び前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性接続部と接触する第2電極層と、を含み、
前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される
積層型キャパシター。
【請求項2】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、低融点金属を含む導電性接続部、前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物、及び前記導電性接続部及び前記金属間化合物をカバーするベース樹脂を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性接続部と接触する第2電極層と、を含み、
前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される
積層型キャパシター。
【請求項3】
前記第1電極層が銅を含む、請求項1または2に記載の積層型キャパシター。
【請求項4】
前記導電性接続部は前記ベース樹脂の硬化温度より低い融点を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項5】
前記導電性接続部の融点が300℃以下である、請求項4に記載の積層型キャパシター。
【請求項6】
前記導電性樹脂層は、素材となる金属粒子が、銅、ニッケル、銀、銀がコーティングされた銅、及びスズがコーティングされた銅のうち少なくとも一つであり、
前記金属間化合物が銅-スズを含んで形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項7】
前記導電性樹脂層の前記導電性接続部がAg3Snを含んで形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項8】
前記導電性樹脂層の素材となる金属粒子のサイズが0.2?20μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項9】
前記複数の島が層(layer)状からなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項10】
前記本体は、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と接続され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1面及び第2面と接続され、第3及び第4面と接続され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、
前記内部電極が、前記本体の第3及び第4面に交互に露出するように配置され、
前記第1電極層が、前記本体の第3及び第4面に、前記内部電極が露出している部分とそれぞれ電気的に接続されるように形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項11】
前記外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ形成される接続部と、前記接続部から前記本体の第1及び第2面の一部を覆う位置まで延在するように形成されるバンド部と、を含む、請求項10に記載の積層型キャパシター。
【請求項12】
前記導電性樹脂層は、前記接続部の中央部分の厚さをt1、コーナー部の厚さをt2、バンド部の中央部分の厚さをt3と定義すると、t2/t1≧0.05及びt3/t1≦0.5である、請求項11に記載の積層型キャパシター。
【請求項13】
前記導電性樹脂層は、前記導電性樹脂層の素材となる金属粒子が、球状、フレーク(flake)状、及び球状とフレーク状の混合形態のうち一つである、請求項1から12のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項14】
前記金属間化合物の厚さは2.0?5.0μmである、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項15】
誘電体層及び内部電極を含む本体を設ける段階と、
前記内部電極の一端と電気的に接続されるように前記本体の一面に導電性金属及びガラスを含むペーストを塗布してから焼成して第1電極層を形成する段階と、
前記第1電極層上に、金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する低融点金属を含む導電性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記導電性樹脂組成物を硬化処理する際の前記硬化温度において溶融した低融点金属が金属粒子を囲む導電性接続部となり、第1電極層と導電性接続部との間に金属間化合物が形成されるように導電性樹脂層を形成する段階と、
前記導電性樹脂層上に第2電極層をめっきで形成する段階と、を含み、
前記導電性樹脂層を形成する段階において、前記金属間化合物を複数の島(island)状に形成する
積層型キャパシターの製造方法。
【請求項16】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
熱硬化性樹脂内に含まれる金属粒子及び低融点金属粒子の表面の酸化膜を除去する段階と、
酸化膜が除去された金属粒子と酸化膜が除去された低融点金属粒子が反応して導電性接続部を形成し、且つ前記低融点金属粒子が流動性を有しながら第1電極層の周りに流れて第1電極層と接触する金属間化合物を形成する段階と、を含む、請求項15に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項17】
前記金属粒子は銅であり、前記低融点金属粒子はSn/Bi、Sn-Pb、Sn-Cu、Sn-Ag、及びSn-Ag-Cuのうち少なくとも一つである、請求項16に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項18】
前記金属粒子のサイズが0.2?20μmである、請求項16または17に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項19】
前記低融点金属の含量が全体の金属含量に対して10?90wt%である、請求項16から18のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項20】
前記低融点金属粒子はSn/Biであり、Snx-BiyにおいてSnの含量(x)が全体の金属含量に対して10wt%以上である、請求項17に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項21】
前記導電性接続部の融点が300℃以下である、請求項15から20のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項22】
前記第1電極層が銅を含み、
前記導電性樹脂層は、前記金属粒子が、銅、ニッケル、銀、銀がコーティングされた銅、及びスズがコーティングされた銅のうち少なくとも一つであり、
前記金属間化合物が銅-スズである、請求項15から21のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項23】
前記複数の島(island)を層(layer)状に形成する、請求項15から22のいずれか一項に記載の積層型キャパシターの製造方法。
【請求項24】
本体上に導電性金属を含む第1電極層を形成する段階と、
前記第1電極層上に、前記第1電極層と導電性接続部との間の金属粒子を囲む導電性接続部及び金属間化合物を含む導電性樹脂層を形成する段階と、
前記導電性樹脂層上に第2電極層を形成する段階と、を含み、
前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される
製造方法。
【請求項25】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
前記第1電極層上に、金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する低融点金属を含む導電性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記導電性樹脂組成物を前記硬化温度において硬化させる段階と、を含む、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記導電性樹脂層を形成する段階は、
前記金属粒子及び低融点金属の表面から酸化膜を除去する段階と、
酸化膜が除去された金属粒子と酸化膜が除去された低融点金属粒子が反応して導電性接続部を形成し、前記低融点金属粒子が流動性を有し、第1電極層の周りに流れ込んで第1電極層と接触する金属間化合物を形成する段階と、を含む、請求項25に記載の製造方法。」とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。

上記の補正は、
・本件補正前の請求項9及び24を削除し、
・金属間化合物について「前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される」と限定し(本件補正後の請求項1、2及び24)、
・導電性樹脂層を形成する段階について「前記金属間化合物を複数の島(island)状に形成する」と限定し(本件補正後の請求項15)、
・請求項の削除に伴い、項番を整理(本件補正後の請求項9ないし14、16ないし23、25及び26)
したものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除及び同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-26840号公報(以下「引用文献」という。)には、「セラミック電子部品及びテーピング電子部品連」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「【0002】
従来、種々の電子装置に、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品が用いられている。積層セラミックコンデンサは、通常、セラミック素体と、セラミック素体内に配されており、セラミック部を介して対向している第1及び第2の電極とを有する。
・・・(中略)・・・
【0020】
図1及び図2に示すセラミック電子部品1は、セラミックコンデンサであってもよいし、圧電部品、サーミスタまたはインダクタ等であってもよい。」

(2)「【0021】
セラミック電子部品1は、直方体状のセラミック素体10を備える。このセラミック素体10は、第1及び第2の主面10a、10bと、第1及び第2の側面10c、10d(図2を参照)と、第1及び第2の端面10e、10f(図2を参照)とを有する。第1及び第2の主面10a、10bは、長さ方向L及び幅方向Wに沿って延びている。第1及び第2の側面10c、10dは、厚み方向T及び長さ方向Lに沿って延びている。第1及び第2の端面10e、10fは、厚み方向T及び幅方向Wに沿って延びている。長さ方向L、幅方向W及び厚み方向Tは、それぞれ直交している。
・・・(中略)・・・
【0024】
セラミック素体10は、セラミック電子部品1の機能に応じた適宜のセラミックスからなる。具体的には、セラミック電子部品1がコンデンサである場合は、セラミック素体10を誘電体セラミックスにより形成することができる。誘電体セラミックスの具体例としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などが挙げられる。セラミック素体10には、セラミック電子部品1に要求される特性に応じて、例えばMn化合物、Mg化合物、Si化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物、希土類化合物などの副成分が適宜添加されていてもよい。
・・・(中略)・・・
【0028】
(内部電極)
図2に示すように、セラミック素体10の内部には、複数の第1の内部電極11と複数の第2の内部電極12とが設けられる。
・・・(中略)・・・
【0034】
(外部電極)
図1及び図2に示すように、セラミック電子部品1は、第1及び第2の外部電極13、14を備えている。第1の外部電極13は、第1の端面10eにおいて第1の内部電極11に電気的に接続されている。一方、第2の外部電極14は、第2の端面10fにおいて第2の内部電極12に電気的に接続されている。
【0035】
第1の外部電極13は、第1の端面10eから、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dに至るように形成されている。一方、第2の外部電極14は、第2の端面10fから、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dに至るように形成されている。」

(3)「【0036】
第1及び第2の外部電極13、14は、適宜の導電材料により構成することができる。また、第1及び第2の外部電極13、14は、複数の導電膜で構成されていてもよい。
【0037】
詳しくは、第1の外部電極13は第1の焼成電極層13aを備える。第2の外部電極14は第2の焼成電極層14aを備える。
【0038】
第1の焼成電極層13aは、セラミック素体10の端面10eを覆うように、かつ、両主面10a、10b及び両側面10c、10dの一部にまで達するように設けられている。第2の焼成電極層14aは、セラミック素体10の端面10fを覆うように、かつ、両主面10a、10b及び両側面10c、10dの一部にまで達するように設けられている。
【0039】
第1の焼成電極層13aの上には、第1の樹脂電極層13bが設けられている。第2の焼成電極層14aの上には、第2の樹脂電極層14bが設けられている。第1の樹脂電極層13bの上には、第1のめっき膜13cが設けられている。第2の樹脂電極層14bの上には、第2のめっき膜14cが設けられている。
【0040】
第1及び第2の焼成電極層13a、14aは、例えば導電性金属及びガラスを含む導電性ペーストを塗布して焼き付けることで形成される。また、第1及び第2の焼成電極層13a、14aの上記導電性金属としては、例えばCu,Ni,Ag,Pd,Ag-Pd合金,Auなどを用いることができる。さらに、第1及び第2の焼成電極層13a、14aの上記ガラスとしては、例えばB,Si,Ba,Mg,Al,Liなどを含むガラスを用いることができる。」

(4)「【0045】
第1及び第2の樹脂電極層13b、14bは、導電材及び樹脂を含む。このように、第1及び第2の樹脂電極層13b、14bは、樹脂を含んでいるため、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富む。このため、セラミック電子部品1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わっても、第1及び第2の樹脂電極層13b、14bが緩衝層として機能し、セラミック電子部品1にクラックが発生することを抑制することができる。
【0046】
導電材としては、例えばAgまたは金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用することができる。金属粉としてCuやNiを用いることが好ましい。導電材として、Cuに酸化防止処理を施したものを使用することもできる。
・・・(中略)・・・
【0067】
次に、焼成後のセラミック素体10の両端面に導電性ペーストを塗布して焼き付けを行うことにより、第1及び第2の焼成電極層13a、14aを形成する。なお、焼き付け温度は、例えば700℃?1000℃であることが好ましい。
【0068】
次いで、第1及び第2の焼成電極層13a、14aを覆うように、それぞれ、導電材及び樹脂を含む導電性樹脂ペーストを塗布し、150℃?300℃の温度で熱処理を行い、樹脂を熱硬化させる。これにより、第1の焼成電極層13a上に第1の樹脂電極層13bが形成され、第2の焼成電極層14a上に第2の樹脂電極層14bが形成される。」

(5)

図2によると、焼成電極層13a、14aは、内部電極11、12と接触するものである。また、セラミック電子部品1は、内部電極11、12を多数積み重ねた構成が見てとれるので、該セラミック電子部品1は、積層セラミック電子部品であるといえる。

・上記(1)及び(5)によれば、セラミック電子部品1は、積層セラミックコンデンサである。
・上記(2)によれば、セラミック電子部品1は、セラミック素体10と、外部電極13、14とを備えるものである。また、セラミック素体10は、誘電体セラミックスにより形成され、内部に内部電極11、12が設けられるものである。そして、外部電極13、14は、セラミック素体10の端面10e、10fに形成されるものである。
・上記(3)によれば、外部電極13、14は、セラミック素体10の端面10e、10fを覆うように設けられた焼成電極層13a、14aを備えるものである。また、焼成電極層13a、14aの上には、樹脂電極層13b、14bが設けられ、樹脂電極層13b、14bの上には、めっき膜13c、14cが設けられるものである。
・上記(4)によれば、樹脂電極層13b、14bは、Agまたは金属粉の表面にAgコーティングしたものである導電材、及び樹脂を含むものである。
・上記(5)によれば、焼成電極層13a、14aは、内部電極11、12と接触するものである。

上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「セラミック素体10と、外部電極13、14とを備えた、積層セラミックコンデンサであって、
前記セラミック素体10は、誘電体セラミックスにより形成され、内部に内部電極11、12が設けられ、
前記外部電極13、14は、前記セラミック素体10の端面10e、10fに形成され、
前記外部電極13、14は、前記セラミック素体10の前記端面10e、10fを覆うように設けられ、前記内部電極11、12と接触する焼成電極層13a、14aを備え、
前記焼成電極層13a、14aの上には、樹脂電極層13b、14bが設けられ、前記樹脂電極層13b、14bの上には、めっき膜13c、14cが設けられ、
前記樹脂電極層13b、14bは、Agまたは金属粉の表面にAgコーティングしたものである導電材、及び樹脂を含む、
積層セラミックコンデンサ。」

3.対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「誘電体セラミックスにより形成され、内部に内部電極11、12が設けられ」た「セラミック素体10」、「前記セラミック素体10の端面10e、10fに形成され」た「外部電極13、14」、及び「積層セラミックコンデンサ」は、本願補正発明の「誘電体層及び内部電極を含む本体」、「前記本体の一面に配置される外部電極」、及び「積層型キャパシター」にそれぞれ相当する。

(2)引用発明の「前記セラミック素体10の前記端面10e、10fを覆うように設けられ、前記内部電極11、12と接触する焼成電極層13a、14a」は、本願補正発明の「前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層」に相当する。

(3)引用発明の「Agまたは金属粉の表面にAgコーティングしたものである導電材」、及び「樹脂」は、本願補正発明の「複数の金属粒子」、及び「ベース樹脂」にそれぞれ相当する。よって、引用発明の「前記焼成電極層13a、14aの上に」「設けられ、」「Agまたは金属粉の表面にAgコーティングしたものである導電材、及び樹脂を含む」「樹脂電極層13b、14b」は、本願補正発明の「前記第1電極層上に配置され、複数の金属粒子、」及び「ベース樹脂」「を含む導電性樹脂層」に相当する。
ただし、導電性樹脂層について、本願補正発明は「前記複数の金属粒子を囲む導電性接続部、」「及び前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点で相違する。

(4)引用発明の「前記樹脂電極層13b、14bの上に」「設けられ」た「めっき膜13c、14c」は、本願補正発明の「前記導電性樹脂層上に配置され」た「第2電極層」に相当する。
ただし、第2電極層について、本願補正発明は「前記導電性接続部と接触する」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点で相違する。

(5)本願補正発明は「前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点で相違する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
「誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体の一面に配置され、前記内部電極と接触する第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、複数の金属粒子及びベース樹脂を含む導電性樹脂層と、
前記導電性樹脂層上に配置された第2電極層と、を含む
積層型キャパシター。」の点で一致し、
以下の点で相違する。

<相違点1>
導電性樹脂層について、本願補正発明は「前記複数の金属粒子を囲む導電性接続部、」「及び前記第1電極層及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点。

<相違点2>
第2電極層について、本願補正発明は「前記導電性接続部と接触する」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点。

<相違点3>
本願補正発明は「前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される」のに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。

(1)<相違点1>について
例えば、国際公開第2014/97823号(要約、段落【0014】ないし【0034】、及び図3を参照。以下「周知例1」という。)には、Sn粉末、Cu粉末、及び熱硬化性樹脂等を含むペースト状の熱硬化型導電性樹脂組成物を硬化して外部電極を形成する際に、前記Sn粉末と前記Cu粉末の間の拡散でCu_(3)Sn合金を生成し、前記Cu_(3)Sn合金と内部電極のニッケルの金属接合でCuSnNi合金相を形成することで、積層セラミックコンデンサにおいて、ニッケルを含む内部電極に対して外部電極が良好な接合性を有するようにすることが記載されている。
また、国際公開第2009/98938号(段落【0017】、【0020】ないし【0029】、【0058】ないし【0062】、【0074】、及び図3を参照。以下「周知例2」という。)には、(A)銀粉末、(B)スズ銀合金粉末、(C)銀及び/又は銀スズ合金微粉末、及び(D)熱硬化性樹脂を含む熱硬化性導電ペーストを硬化して外部電極を形成する際に、前記ペースト中の金属粉末間で拡散し、前記ペースト由来の銀、スズと内部電極のニッケルの間の拡散でSn-Ag-Ni化合物を形成することで、積層セラミックコンデンサにおいて、ニッケルを含む内部電極と外部電極とが良好な接合性を得るようにすることが記載されている。
以上のように、金属粉末、及び熱硬化性樹脂を含むペーストを硬化して外部電極を形成する際に、前記ペースト中の金属粉末間で拡散し(金属粉末間の拡散により複数の金属粒子を囲んで金属粒子間を接続する合金層、すなわち本願における「導電性接続部」が形成されることは技術常識である。)、前記ペースト由来の金属粉末と内部電極のニッケルから、それらと接触する金属間化合物を形成することで、内部電極と外部電極とが良好な接合性を有するようにすることは、周知の技術事項である。
よって、複数の金属粒子を囲む導電性接続部、及び内部電極及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む外部電極を形成することで、内部電極と外部電極とが良好な接合性を有するようにすることは、周知の技術事項であるといえる。

ここで、引用発明の焼成電極層13a、14aは、上記周知の技術事項の内部電極と同様に、ニッケルを含むものである。そうすると、引用発明の外部電極13、14は上記「2.(3)段落【0036】」によれば、適宜の導電材料により構成すれば良いのだから、上記周知の技術事項のように、ニッケルを含む焼成電極層13a、14aに対して外部電極13、14の樹脂電極層13b、14bが良好な接合性を有するようにするため、該樹脂電極層13b、14bを、複数の金属粒子を囲む導電性接続部、及び焼成電極層13a、14a及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む層を形成する材料により構成して上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。

この点について、審判請求人は、審判請求書にて「引用文献1の導電ペーストの層は、内部電極上に直接形成するためのものであり、仮に引用文献3に適用するのであれば、当業者は引用文献1の導電ペーストの層を、内部電極に接触する第1層目に適用する。引用文献1の導電ペーストを引用文献3において2層目に適用しても、内部電極との間にSn-Ag-Ni化合物は当然形成できない。従って、引用文献1,3から本願発明の上記構成に想到することは不可能である。また、引用文献2には、Cu_(3)Sn合金を含む金属粒子と熱硬化性樹脂とを含む導通層が記載されているが、・・・(中略)・・・当該導通層は、内部電極と直接接続されることが必須のものである。従って、当業者は、当該導通層を、仮に引用文献3に適用するとしても内部電極と直接接続される第1層目に適用する。以上のように、引用文献1,2の層を引用文献3の2層目として適用すると、引用文献1,2の発明の目的を実現できないことになり、引用文献1,2の層を引用文献3の2層目として適用することには阻害要因がある。」旨を主張している。ここで、引用文献1とは上記の周知例2であり、引用文献2とは上記の周知例1であり、引用文献3とは上記の引用文献である。
しかしながら、引用文献(上記「2.(4)段落【0045】及び【0046】(5)図2」を参照。)の樹脂電極層13b、14b(第2層目)、周知例1(段落【0033】、図1を参照。)の導通層10、及び周知例2(段落【0058】ないし【0061】、図1を参照。)の外部電極(導電ペーストの層)は、いずれも金属を含む樹脂層であり、当業者が周知例1及び2に記載された樹脂層に関する上記周知の技術事項を引用発明に適用しようとする場合、同じ樹脂層である樹脂電極層13b、14b(第2層目)に適用するのが自然であり、敢えて樹脂層ではない焼成電極層13a、14a(第1層目)に適用する動機付けはないといえる。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(2)<相違点2>について
引用発明のめっき膜13c、14cは、樹脂電極層13b、14bの上に設けられるものである。
したがって、めっき膜13c、14cと樹脂電極層13b、14bが導通することを考慮すれば、上記(1)のように、引用発明の樹脂電極層13b、14bを、複数の金属粒子を囲む導電性接続部、及び焼成電極層13a、14a及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む層を形成する材料により構成した場合、めっき膜13c、14cが該導電性接続部と接触して上記相違点2の構成になるものである。

(3)<相違点3>について
本願明細書には、金属間化合物を第1電極層上に複数の島状に配置させるための条件は特段記載されておらず、段落【0149】ないし【0158】に、ニッケル及びガラスを含むペーストを塗布して焼成することで形成した第1電極層に、金属間化合物を含む導電性樹脂層を形成することが記載されているのみである。よって、ニッケル及びガラスを含むペーストを塗布して焼成することで形成した第1電極層に導電性樹脂層を形成した場合には、「金属間化合物が複数の島(island)状に配置される」ものと認められる。
これに対し、引用文献(上記「2.(3)段落【0040】(4)段落【0067】及び【0068】」を参照。)には、ニッケル及びガラスを含むペーストを塗布して焼き付けることで形成した焼成電極層13a、14aに、樹脂電極層13b、14bを形成することが記載されている。
そうすると、本願発明の第1電極層と引用発明の焼成電極層13a、14aは、同じ材料で同じ方法によって形成されたものであるから、上記(1)のように、引用発明の樹脂電極層13b、14bを、複数の金属粒子を囲む導電性接続部、及び焼成電極層13a、14a及び前記導電性接続部と接触する金属間化合物を含む層を形成する材料により構成したものは、本願発明と同様に、金属間化合物を焼成電極層13a、14a上に複数の島状に配置させた上記相違点3の構成になるものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用文献及び周知の技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
平成31年2月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし28に係る発明は、平成30年8月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりものである。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本件補正発明から「前記金属間化合物が複数の島(island)状に配置される」という事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-02-06 
結審通知日 2020-02-12 
審決日 2020-02-26 
出願番号 特願2017-46233(P2017-46233)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
P 1 8・ 575- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 晃洋  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 山田 正文
佐々木 洋
発明の名称 積層型キャパシター及びその製造方法  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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