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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
管理番号 1363971
異議申立番号 異議2019-700777  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-30 
確定日 2020-05-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6496462号発明「パウチ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6496462号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6496462号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続きの経緯
特許第6496462号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成26年7月29日(優先権主張 平成25年11月20日(特願2013-239796号))を出願日とする特願2014-154093号の一部を平成29年5月19日に新たな特許出願である特願2017-100272号とし、さらにその一部を平成31年1月23日に新たな特許出願である特願2019-9684号としたものであって、同年3月15日にその特許権の設定登録がなされ、同年4月3日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和1年9月30日に特許異議申立人滝沢 純平(以下「申立人」という)により全請求項(請求項1?9)に対して特許異議の申立てがなされ、令和1年12月17日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和2年2月4日に意見書の提出及び訂正の請求がなされ、その訂正の請求に対して申立人から令和2年3月13日付けで意見書が提出されたものである。

第2.訂正の請求についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、特に訂正自体を「本件訂正」という。)による訂正の内容は、訂正箇所を下線を付して示すと、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」と記載されているのを、「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項5?8も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」と記載されているのを、「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4?8も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」と記載されているのを、「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4?8も同様に訂正する)。

ここで、訂正前の請求項5?8は、訂正前の請求項1を、直接又は間接に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項1、5?8は、一群の請求項を構成する。
また、訂正前の請求項4?8は、訂正前の請求項2を、直接又は間接に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項2、4?8は、一群の請求項を構成する。
また、訂正前の請求項4?8は、訂正前の請求項3を、直接又は間接に引用するものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項3、4?8は、一群の請求項を構成する。
したがって、共通する請求項5?8を有する上記3つの一群の請求項は組み合わされて、請求項1?8が一群の請求項になるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の目的
上記訂正事項1?3による訂正は、いずれも、第2未シール領域が「前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ」ていることを特定することで、その位置を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。

(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1?3は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

(3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1?3に関する記載として、段落【0056】には、「そこで、本実施の形態では、周囲領域3のうち、収容空間2を挟んで第1未シール領域60に対面する位置に、シール領域50によって収容空間2から隔離された第2未シール領域70が設けられている。」と記載されているから、上記訂正事項1?3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?8〕について、訂正することを認める。

第3.本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1?9に係る発明(以下「本件発明1?9」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い、パウチ。
【請求項2】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から
前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む、パウチ。
【請求項3】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、
前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない、パウチ。
【請求項4】
前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い、請求項2又は3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記第1未シール領域の縁部は、前記開口の周りから前記収容空間側に延び出た第1縁部及び第2縁部と、前記第1縁部の先端と前記第2縁部の先端との間を延びる第3縁部と、を含み、
前記第1外縁シール部分は、前記パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域の前記第1縁部まで延び、
前記第2外縁シール部分は、前記パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域の前記第2縁部まで延びる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項6】
前記張出部は、少なくとも、前記第1縁部の一部分及び前記第3縁部に隣接している、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
前記張出部の巾は、前記第1外縁シール部分の巾よりも狭い、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項8】
前記張出部の巾は、前記第1外縁シール部分の巾よりも狭く、
前記張出部の巾は、前記張出部のうち前記第3縁部に隣接する部分の巾である、請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項9】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチの製造方法であって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した
張出部と、を有しており、
前記製造方法は、
複数の前記パウチが割り付けられ得る積層フィルムを準備する工程と、
重ねられた前記積層フィルムをヒートシールして、前記積層フィルムを、
一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき領域を含む、ヒートシールされた領域と、
横方向において隣り合う2つの前記ヒートシールされた領域に挟まれる、前記収容空間となるべき領域と、1つの前記ヒートシールされた領域に囲まれる、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき領域と、を含む、ヒートシールされなかった領域と、に区画する工程と、
重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分け、ヒートシールされなかった前記領域のうち、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき前記領域を、前記第1未シール領域と前記第2未シール領域とに分ける裁断工程と、を備える、パウチの製造方法。」

第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?8に係る特許に対して、令和1年12月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。
なお、甲第1号証を以下「甲1」という。甲2号証、甲3号証についても同様。

理由1.本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

理由2.本件特許の請求項1?8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



●理由1(特許法第36条第6項第1号)について
本件特許の請求項1?3には、第2未シール領域を「収容空間2を挟んで第1未シール領域60に対面する位置」に設ける点が反映されておらず、第2未シール領域が「収容空間2を挟んで第1未シール領域60に対面する
位置」にない場合を含むものである。
そして、そのような場合には、各パウチ1のシール領域50となるべき領域をヒートシールした際に、一方のパウチ1の第1未シール領域60と他方のパウチ1の第2未シール領域70とが繋がった状態とはならないため、隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまうとヒートシールされた領域によって第1未シール領域60の開口61を閉じてしまうという本件発明の課題を解決できないことは明らかである。
したがって、本件特許の請求項1?3及びその従属項たる請求項4?8に係る発明は、発明の詳細な説明に課題を解決するための手段として記載された範囲を超えて特許を請求しようとするものであり、発明の詳細な説明に記載したものでないものを含むから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

●理由2(特許法第29条第2項)について
<引用文献一覧>
甲第1号証:特開2013-43699号公報
甲第2号証:国際公開2005/012134号

第5.当審の判断
1.理由1(特許法第36条第6項第1号)について
本件訂正により、請求項1?8は、上記第3に示したとおりのものとなった。
この訂正により、本件発明1?8は、第2未シール領域が「前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ」ていることが特定されることとなり、本件発明の課題である、各パウチ1のシール領域50となるべき領域をヒートシールした際に、一方のパウチ1の第1未シール領域60と他方のパウチ1の第2未シール領域70とが繋がった状態とはならないため、隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまうとヒートシールされた領域によって第1未シール領域60の開口61を閉じてしまうという課題を解決するものである。
したがって、本件特許の請求項1?8の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしているから、その特許は特許法第113条第4号に該当するものとはいえない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
(1)刊行物の記載
ア.甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。
(ア)「【0005】
結局、多層フィルムでシールされ、レトルト操作用に好適であるのみならず、マイクロ波オーブン内での加熱時に自己通気もするパウチ(例えば、直立型パウチ)やプラスチック(例えばポリプロピレン)製容器を含む容器で使用可能な材料に対する需要が尚ある。それら材料のシール強度は、レトルト温度を受けても大きく損なわれるべきでなく、材料は剥離又は材料層が劣化しないと言う点での温度耐性を有すべきである。」

(イ)「【0007】
本発明のある様相によれば、多層フィルムからなるシール層で形成した周囲シールを含むレトルト容器が提供される。周囲シール部は、非通気性シールのそれ未満であるところの最小非通気性シール幅を有する少なくとも1つの自己通気性シール部分を有する。ある実施例では周囲シール部は、その溶解温度がレトルト操作での要求温度以下である任意のフィルム層を含まない。例えば、代表的な多層フィルム、従って、それらフィルムで形成したシールは、溶解温度が約90°C(194°F)未満であるフィルム層、代表的には約100°C(212°F)未満、そしてしばしば約110°C(230°F)未満であるフィルム層を含まない。周囲シール部は多層フィルムのそれらと全て同一の層を含む。自己通気性及び非通気性の各シール部分を含む所定の周囲シール部は一般に、多層フィルム及びベース材の各1種から形成される。また自己通気性及び非通気性の各シール部分は通常、同一の容器内側環境に暴露される。従って、これらファクターが所定周囲シール部に渡り一定または略一定であれば、異なるシール部分のシール厚及びまたはジオメトリを変更することでガスの通気及びその他の通気特性上の容易化を調節可能となる。しかしながら、本発明を実施する上でこれらファクターが各シール部分に渡り一定または実施的に一定である必要はない。」

(ウ)「【0015】
図1及び図2には容器の各側部及び底部に沿って伸延する周囲シール部12を有する自己通気性の容器10の一例が夫々示される。図2の容器はその頂部に伸延する周囲シール部を更に有する。周囲シール部12は、容器のエッジ部15位置で重畳する多層フィルムの各層を加熱及び圧縮することで形成し得る。容器10の底部付近の高さLの位置に、容器を特定のタイプの容器、即ち自立型のマチ付きタイプとする水平方向マチ部(水平方向点線で示す)を入れても良い。しかしながら、一般的にはここで説明する本発明の各様相は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの側部ヒートシール部を有するパウチを含む広範なタイプの容器に適用可能である。ピローパウチもまた、パウチを自立させる代表例である。
【0016】
周囲シール部12は、シールがそこに沿って伸延するところの容器エッジ部に直交する幅ディメンションに沿った部分の幅の異なる、自己通気性シール部分12A及び非通気性シール部分12Bを具備することで特徴付けられる。自己通気性シール部分は図1?図4Cでは斜行影線セグメントで表される。」

(エ)「【0019】
図3に拡大してより明瞭に例示する如く、自己通気性シール部分12Aの最小幅30は、非通気性シール部分12Bの最小幅32未満である。前記自己通気性シール部分の最小幅は自己通気性シール部分12Aの横断方向最小距離に相当し、通気発生(即ち、容器内からのガス逃出)時の容器内の閾値圧力、または容器内圧(例えば、マイクロ波加熱条件下での)に影響を与える。代表的実施例では、自己通気性シール部分の最小幅30は一般に、最大で約5mm(0.20インチ)(例えば、約0.5mm(0.020インチ)?約5mm(0.20インチ)、代表的には最大で約3.2mm(0.125インチ)(例えば、約2.4mm(0.094インチ)?約3.2mm(0.125インチ))である。非通気性シール部分の最小幅32は一般に、少なくとも約1mm(0.039インチ)(例えば、約1mm(0.039インチ)から約10mm(0.39インチ))であり、代表的には少なくとも約3.2mm(0.125インチ)(例えば約3.2mm(0.125インチ)から約7.5mm(0.30インチ))である。
【0020】
図3の実施例では、自己通気性シール部分12Aにおける周囲シール部12が、非通気性シール部分12Bでの周囲シール部12に関する内方凸部を形成する。従ってこの凸部は、非通気性シール部分12Bにおいて容器10のエッジ部15(図1及び図2)が画定する部分の、例えばセンター方向に伸延する。図3には、自己通気性シール部分12Aの当該構成(または内方凸部)が、非通気性シール部分12Bにおいて容器のエッジ部15により画定されるライン55と共に突出部57を画定する状況が例示される。この突出部57は結局、自己通気性シール部分12Aの外側境界部65を画定する。図3の突出部57は、ガス排出開口59を除き実質的に完全な円である部分円61を含む。他の実施例では前記突出部は半円等の不完全な円を、または、楕円あるいは部分楕円(例えば半楕円)等の湾曲形状により境界付けられるその他部分を含み得る。そうでなければ突出部は多角形であり得る。
【0021】
シールされ、上述した如きエッジ部15を形成する材料(例えば、単一の多層フィルム、個別の多層フィルム、あるいは多層フィルムと容器底部、の各重畳部分)は、例えば、これら材料を周囲シール部12から単に打ち抜く場合は突出部57を有さない。他の実施例では前記各材料は突出部57を有するが、シールされず、または少なくとも部分的にシールされない。この場合、突出部57の各非シール材料(例えば、シールされない多層フィルム)は排出(通気される)蒸気を、例えば排出開口59を通る非シール材料間に送るガイドとして有益に作用する。従って、これら排出蒸気は、実質的に周囲シール部12を有する平面内で容器10の側部から外側に送られることが好ましい。しかしながら1つ以上のガス放出開口を、それらを非シール材料間に位置決めするよりはむしろ、突出部57の平面に関して上方あるいは下方に蒸気を送るように突出部57内での位置を変更させ得る(例えば、突出部57の頂部及び底部の各ガス放出開口により、周囲シール部12を有する平面に直交する平面内に蒸気を配行させ得る)。」

(オ)「【0023】
しかしながら、図4A?図4Cには半円形突出部57の直径(あるいは楕円形突出部57の軸と同じ)と同じガス放出開口(図4B)を含む他のジオメトリを有する自己通気性シール部分の内方凸部が例示される。図4Cでは、線55と自己通気性シール部分12Aの内方凸部とが画定する突出部は矢印状の多角形状である。図4B及び図4Cに例示されるように、自己通気性シール部分12Aの内側境界部63は、前記内方凸部の形状に実質的に一致し、従って外側境界部65の形状とも一致する形状を有する。これらの実施例では通気性シールの幅は内外各側の境界部63、65の少なくとも一部に渡り、従って自己通気性シール部分の少なくとも一部(例えば、その大半及び恐らくは全て)に渡り実質的に一定である。通気性シールの当該実質的に一定の幅部分の幅は、特に、通気性シールの最小幅30に相当する。通気性シールの実質的に一定の最小幅30をこのように用いることで、通気開始の予測性、つまり所望の閾値圧力が通気性シールの最小幅30に相当するガスバリヤを破るに十分となる時点の予測性が得られる。」

(カ)「【図1】



(キ)「【図4】





(ク)上記(ア)?(キ)から、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という)が記載されている。
<甲1発明>
「多層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲シール部12とを有する容器10であって、前記周囲シール部12は、多層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、シール領域の一方の側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた多層フィルムがヒートシールされていない一方の突出部57と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記一方の突出部57に対面する位置に設けられ、多層フィルムがヒートシールされていない他方の突出部57と、を有しており、
各突出部57にはそれぞれ、重ねられた多層フィルムのライン55によって規定される排出開口59が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該容器10の一方の前記側縁に沿って前記一方の突出部57まで延びる底部側の非通気性シール部分12Bと、前記底部側の非通気性シール部分12Bとは反対の側で当該容器の一方の前記側縁に沿って前記突出部57まで延びる頂部側の非通気性シール部分12Bと、前記底部側の非通気性シール部分12Bと前記頂部側の非通気性シール部分12Bとの間に位置し、前記底部側の非通気性シール部分12B及び前記頂部側の非通気性シール部分12Bよりも前記収容空間に向けて張り出した内方凸部と、を有する、容器10。」

イ.甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
(ア)「[0001] 本発明は、食品等を収容する包装袋に関し、特には、電子レンジ等の加熱手段を用いて加熱した時、発生する蒸気の力で包装袋の開口を行う蒸気抜き機能を有するスタンディングパウチ形式の包装袋とそれを用いた包装体に関する。」

(イ)「発明が解決しようとする課題
[0010] 本発明は、上記した問題点を解決するためになされたもので、電子レンジで加熱調理しても、加熱により生ずる包装体の内部圧力を逃がすことができ、かつ、袋内が汚染されることのない、かつ、素手で安全に持つことが可能な蒸気抜き機能を有する包装袋とそれを用いた包装体を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明の請求項1の発明は、二つ折りされた一枚の底体フィルムと表裏二枚の本体フィルムの両端縁を側部シールし、下部端縁を船底状に底部シールしてなるスタンディングパウチ形式の包装袋において、前記包装袋の二つの上隅角には、幅を拡げた方形の幅広シール部が前記側部シールに連続して設けられ、前記幅広シール部には、蒸気抜き口が設けられていることを特徴とする、蒸気抜き機能を有する包装袋である。」

(ウ)「[0017] また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記包装袋の両端縁に設けられた幅広シール部は、左と右でシール幅が異なることを特徴とする、蒸気抜き機能を有する包装袋である。
[0018] また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の発明において、前記包装袋の両端縁に設けられた幅広シール部は、左と右でシール長さが異なることを特徴とする、蒸気抜き機能を有する包装袋である。」

(エ)「[0066] 包装袋の上部両側に設けられた副シール部(13a)において、側部シール(11)と副シール部(13a)の隔離幅(すなわち、未シール部分)を、左側と右側で異なるように設定しても良い。」

(オ)「[0081] そして、包装袋(10b)の上部近傍の両端縁には直角又は鋭角を有する切り欠き(13b)が設けられ、該切り欠きの端縁に沿って第2側部シール(14b)がなされている。」

(カ)「[0084] 切り欠きの端縁に沿って設けられる第2側部シール(14b)は、左と右とでシール幅を変えることもできる。
[0085] 左と右のシール幅を変えることにより、左と右の切り欠きから抜け出す蒸気の抜け出し時間を変えることが可能になり、必要に応じてどちらかの切り欠きから優先して蒸気を抜くことができる。」

(キ)「[0088] 切り欠き(13b)の代わりに、例えば、図10に示すような、未シール部分(13c)を設ける形態としても良い。この場合、未シール部分(13c)は、切り欠き(13b)と同じ役割を果たす。」

(ク)「[図5]



(ケ)「[図10]



(コ)上記(ア)?(ケ)から、甲2には以下の事項(以下「甲2記載事項1」という)が記載されている。
<甲2記載事項1>
「包装袋(10)の両端縁に設けられた未シール部分(13c)において、未シール部分(13c)の幅や、未シール部分(13c)の端縁に沿って設けられる第2側部シール(14b)のシール幅を左と右とで変えることにより、左と右の未シール部分から抜け出す蒸気の抜け出し時間を変えることを可能として、どちらかの切り欠きから優先して蒸気を抜くことができるようにした点。」

(サ)上記(ケ)から、包装袋(10)の両端縁に設けられた未シール部分(13c)において、包装袋(10)の側部シール領域が、未シール部分(13c)と収容空間との間の位置から包装袋(10)の上部まで直線状に延びる内縁を含む点が看取できるから、甲2には以下の事項(以下「甲2記載事項2」という)が記載されている。
<甲2記載事項2>
「包装袋(10)の両端縁に設けられた未シール部分(13c)のそれぞれにおいて、包装袋(10)の側部シール領域が、未シール部分(13c)と収容空間との間の位置から包装袋(10)の上部まで直線状に延びる内縁を含む点」。

(2)対比・判断
ア.本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「多層フィルム」、「周囲シール部12」、「容器10」、「ライン55」及び「排出開口59」は、それぞれ、本件発明1の「積層フィルム」、「周囲領域」、「パウチ」、「縁部」及び「開口」に相当するから、甲1発明の、「シール領域の一方の側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた多層フィルムがヒートシールされていない一方の突出部57」、及び「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され」、「多層フィルムがヒートシールされていない他方の突出部57」は、それぞれ、本件発明1の「前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域」、及び「前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され」、「重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域」に相当する。
また、甲1発明の「底部側の非通気性シール部分12B」、「頂部側の非通気性シール部分12B」及び「内方凸部」は、それぞれ、本件発明1の「第1外縁シール部」、「第2外縁シール部」及び「張出部」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
本件発明1の第2未シール領域が、「前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ」、「前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い」のに対し、甲1発明の他方の突出部57は、収容空間を挟んで一方の突出部57に対面する位置に設けられるものの、長さについては、そのように特定されていない点。

以下、上記相違点1について検討する。

<相違点1について>
上記相違点1に係る、「収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設け」る構成と、「前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い」とする構成を、ともに備えることは、甲2には記載されていないし、提出された他の証拠にも記載されていない。
そして、本件発明1は、上記相違点1に係る構成を備えることで、「加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、一方のパウチ1に第2未シール領域70が設けられていることにより、他方のパウチ1の第1未シール領域60の開口61が塞がれてしまうことを防止することができる。」(段落【0056】)という効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2記載事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

ここで、仮に甲1発明に甲2記載事項1を適用すると、甲1発明の容器10の突出部57と甲2に記載された包装袋(10)の未シール部分(13c)とは、いずれもマイクロ波オーブンや電子レンジで加熱した際の容器や袋の内部の蒸気を排出するものである点で作用、機能が共通するものであるから、甲1発明の突出部57において、甲2記載事項1に基づき、一方の突出部57から優先して蒸気を抜くことができるようにするために、他方の突出部において、未シール部分の幅、すなわち排出開口59の長さを短くすることや、未シール部分の端縁に沿って設けられる側部シールのシール幅、すなわち収容空間と突出部57との間のシールの幅を大きくすることは、当業者であれば容易に想到し得たことではある。
しかしながら、甲1発明において、一方の突出部57から優先して蒸気を抜くことができるようにするために、他方の突出部において、収容空間と突出部57との間の幅を大きくする場合、収容空間の中央部から収容空間と一方の突出部57との間のシール部分までの距離よりも、収容空間の中央部から収容空間と他方の突出部57との間のシール部分までの距離を小さくしてしまうと、膨張時に先に他方の突出部57に内圧がかかることとなり、一方の突出部57から優先して蒸気を抜くのに好ましくないことは明らかであるから、一方の突出部57と他方の突出部57とは、互いに収容空間を挟んで対面する構成において、他方の突出部の形状は変えずに、収容空間と突出部57との間のシールの幅を収容空間側に大きくするという動機付けは存在しない。
そうすると、一方の突出部57から優先して蒸気を抜くことができるようにするために、他方の突出部において収容空間と突出部57との間の幅を大きくする場合、収容空間と突出部57との間のシールの幅を突出部57側に大きくすることとなるから、結果として、突出部57の形状は小さくなり、排出開口59の長さは短くなる。
すなわち、甲1発明において、一方の突出部57から優先して蒸気を抜くことができるようにするには、他方の突出部において、他方の突出部において、排出開口59の長さを短くすることとなる。
しかしながら、甲1発明において、他方の突出部において排出開口59の長さを短くすると、一方の突出部と他方の突出部と排出開口59の長さが異なるものとなるから、一方の突出部57と他方の突出部57とは、互いに収容空間を挟んで対面する構成とはならず、隣り合う容器10の間の裁断される位置がずれてしまうと、ヒートシールされた領域によって突出部57の排出開口59の少なくとも一部を閉じてしまうこととなることは明らかである。
したがって、甲1発明において、「他方の突出部57」が、「前記収容空間を挟んで前記一方の突出部57に対面する位置に設けられ」た状態で、甲2記載事項1を適用することで、上記相違点1に係る本件発明1のような構成とすることはできない。

イ.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1における、上記相違点1に係る構成である「前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い」という発明特定事項を削除し、代わりに「他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む」という発明特定事項を付加するものである。

そうすると、本件発明2と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点2>
本件発明2の第2未シール領域が、「前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ」、「他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む」のに対し、甲1発明の他方の突出部57は、収容空間を挟んで一方の突出部57に対面する位置に設けられるものの、内縁の形状については、そのように特定されていない点。

以下、上記相違点2について検討する。

<相違点2について>
上記相違点2に係る、「収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設け」る構成と、「他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む」とする構成を、ともに備えることは、甲2には記載されていないし、提出された他の証拠にも記載されていない。
そして、本件発明2は、上記相違点2に係る構成を備えることで、「加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、一方のパウチ1に第2未シール領域70が設けられていることにより、他方のパウチ1の第1未シール領域60の開口61が塞がれてしまうことを防止することができる。」(段落【0056】)という効果を奏するものである。
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲2記載事項1、甲2記載事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

ここで、甲1発明に、甲2記載事項1、甲2記載事項2を適用したとしても、上記「<相違点1について>」において仮に検討したのと同様に、甲1発明において、「他方の突出部57」が、「前記収容空間を挟んで前記一方の突出部57に対面する位置に設けられ」た状態で、甲2記載事項1、甲2記載事項2を適用することで、上記相違点2に係る本件発明2のような構成とすることはできない。
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲2記載事項1、甲2記載事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

ウ.請求項3について
本件発明3は、本件発明1における、上記相違点1に係る構成である「前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い」という発明特定事項を削除し、代わりに「前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない」という発明特定事項を付加するものである。

そうすると、本件発明3と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一
致する。
<相違点3>
本件発明3の第2未シール領域が、「前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ」、「前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない」のに対し、甲1発明においては、側部シール領域の内縁の位置に対する第2未シール領域の延びについては、そのように特定されていない点。

以下、上記相違点3について検討する。

<相違点3について>
上記相違点3に係る、「収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設け」る構成と、「前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない」とする構成を、ともに備えることは、甲2には記載されていないし、提出された他の証拠にも記載されていない。
そして、本件発明3は、上記相違点3に係る構成を備えることで、「加工精度に起因して隣り合うパウチ1の間の裁断される位置がずれてしまっても、一方のパウチ1に第2未シール領域70が設けられていることにより、他方のパウチ1の第1未シール領域60の開口61が塞がれてしまうことを防止することができる。」(段落【0056】)という効果を奏するものである。
よって、本件発明3は、甲1発明及び甲2記載事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

ここで、甲1発明に、甲2記載事項1、甲2記載事項2を適用したとしても、上記「<相違点1について>」において仮に検討したのと同様に、甲1発明において、「他方の突出部57」が、「前記収容空間を挟んで前記一方の突出部57に対面する位置に設けられ」た状態で、甲2記載事項1を適用することで、上記相違点3に係る本件発明3のような構成とすることはできない。
よって、本件発明3は、甲1発明及び甲2記載事項1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

エ.本件発明4?8
本件発明4は、本件発明2または3の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであり、本件発明5?8は、本件発明1、2または3の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件発明4?8についても同様に、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

(3)小括
以上のとおり、本件発明1?8は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。

第6.取消理由としなかった特許異議の申立理由について
1.上記取消理由として採用しなかった特許異議の申立理由は、以下のとおり。
(1)本件発明2について
本件発明2は、甲1発明と同一である。
(2)本件発明3?8について
本件発明3?8は、甲1発明、甲2、3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明9について
本件発明9は、甲1発明、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
と同一である。

2.(1)本件発明2について
上記第5.において述べたように、提出された証拠のいずれにも、「収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設け」る構成と、他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む」とする構成を、ともに備えることは、提出されたいずれの証拠にも記載されていないし、示唆もされていない。
よって、申立人の上記(1)の主張は採用できない。

(2)本件発明3?8について
上記第5.において述べたように、提出された証拠のいずれにも、「収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設け」る構成と、「前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない」とする構成を、ともに備えることは、提出されたいずれの証拠にも記載されていないし、示唆もされていない。
よって、申立人の上記(2)の主張は採用できない。

(3)本件発明9について
申立人は、異議申立書において、甲4には、以下の事項を備えるパウチの製造方法(以下「甲4発明」という。)が記載されていると主張している。
「複数の前記パウチが割り付けられ得る積層フィルムを準備する工程と、
重ねられた前記積層フィルムをヒートシールして、前記積層フィルムを、
一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき領域を含む、ヒートシールされた領域と、
横方向において隣り合う2つの前記ヒートシールされた領域に挟まれる、前記収容空間となるべき領域を含む、ヒートシールされなかった領域と、
に区画する工程と、
重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分ける裁断工程と、
を備える、パウチの製造方法。」

しかしながら、甲4に上記甲4発明が記載されているとしても、本件発明9における、
「重ねられた前記積層フィルムをヒートシールして、前記積層フィルムを
一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき領域を含む、ヒートシールされた領域と、
横方向において隣り合う2つの前記ヒートシールされた領域に挟まれる、前記収容空間となるべき領域と、1つの前記ヒートシールされた領域に囲まれる、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき領域と、を含む、ヒートシールされなかった領域と、
に区画する工程」、及び、
「重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分け、ヒートシールされなかった前記領域のうち、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき前記領域を、前記第1未シール領域と前記第2未シール領域とに分ける裁断工程」
は甲1、甲4のいずれにも記載されていない。

また、申立人は、異議申立書において、甲4発明を適用して、甲1発明1の容器10(パウチ)を製造する場合に、「ヒートシールされた領域とヒートシールされなかった領域とに区画する工程」における状態は、「ヒートシールされなかった領域」に、「1つの前記ヒートシールされた領域に囲まれる、第1未シール領域及び第2未シール領域になるべき領域」が当然に含まれ、裁断すれば、当然に、第1未シール領域及び第二未シール領域になるべき領域を、第1未シール領域と第2未シール領域とに分けることになる旨主張している。
しかしながら、甲1には、ヒートシールされなかった領域を裁断することで未シール領域を形成する点については記載されておらず、甲4には、裁断することにより、ヒートシールされなかった領域のうち、第1未シール領域及び第2未シール領域になるべき領域を、第1未シール領域と第2未シール領域とに分ける点については記載されていないから、甲4発明を適用して、甲1発明1の容器10(パウチ)を製造しても、本件発明9の、「重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分け、ヒートシールされなかった前記領域のうち、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき前記領域を、前記第1未シール領域と前記第2未シール領域とに分ける」という構成とすることはできない。

よって、申立人の上記(3)の主張は採用できない。

第7.申立人の主張について
申立人は令和2年3月13日付け提出の意見書において、特許第4029590号公報(以下「参考資料1」という。)の段落【0023】には、「・・・ロール状の積層体を作製した。この積層体を製袋機に取り付け、ポリプロピレンを内側にして積層体同士を重ね合わせてパウチ短辺側周縁部をヒートシールした後、パウチ長辺側周縁部をシールすると同時に、所定位置に蒸気抜きシールを施した。」と記載されており、特開平10-59433号公報(以下「参考資料2」という。)の段落【0026】には、「そして、これら長尺のシート(2)および長尺の薄膜(4)が走行する間に、シート(2)の巾方向または巾方向と進行方向にヒートシールを行う。・・・」と記載されており、特開平3-240674号公報(以下「参考資料3」という。)の第5頁左上欄第7?11行には、「第4図中、シート(2)、(2)の走行方向の中央の一点鎖線および巾方向のヒートシール部の中央の一点鎖線は、いずれも切断線であり、ヒートシール終了後これらの一点鎖線に沿って切断すると、第1?3図に示した包装用袋が得られる。」と記載されており、特開平10-101154号公報(以下「参考資料4」という。)の段落【0027】には、「前記のように構成される第一実施例における加熱処理用包装体Aは、その製袋時においてヒートシールされる際に、非シール部4と膨出シール部5とが形成されるヒートシーラ(図示せず)を用いて行なわれるもので、・・・.」と記載されており、特開昭58-168158号公報(以下「参考資料5」という。)の第2頁右下欄第6?10行には、「なおこの縦1次シールする方法としては非シール部(13)となる部分のみが過熱をされないヒーターバーあるいはその部分のみがシールされないようにマスキングした方法でシールすることにより可能である。」と記載され、同第3頁左上欄第5?7行には「シールされた袋を裁断するステップ等を含めた方法によって製袋化される。」と記載されているから、これらの周知の技術を参酌して、甲第4号証に記載の方法を適用し、未シール部となる部分のみが加熱されないヒーターバーを用いることによって、本件特許の請求項1?8に係るパウチや、甲1に記載の容器10、甲2に記載の包装体10、及び甲3に記載の容器Aを製造することは、本件特許出願前に、当業者が容易に想到できたのは明らかであるから、本件発明9は、当業者が容易に発明できたものである旨主張している。

しかしながら、ヒートシールされなかった領域を裁断することで未シール領域を形成する点や、裁断することにより、ヒートシールされなかった領域のうち、第1未シール領域及び第2未シール領域になるべき領域を、第1未シール領域と第2未シール領域とに分ける点については、甲1?4にも、参考資料1?5にも記載されていないから、参考資料1?5に記載された技術を参酌して、甲第4号証に記載の方法を適用し、未シール部となる部分のみが加熱されないヒーターバーを用いることによって、本件発明9の「重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分け、ヒートシールされなかった前記領域のうち、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき前記領域を、前記第1未シール領域と前記第2未シール領域とに分ける」という構成とすることはできない。

また、申立人は同日付けの意見書において、甲2には、包装袋(パウチ)の両端縁に設けられる蒸気抜き機能は、左右対称に設けずに、必要に応じてシール幅や未シール部の離間幅などを左右で異ならせてもよい旨が記載されており、甲4に記載の方法を適用し、末シール部となる部分のみが加熱されないヒータを用いることによって、甲1に記載の容器10又は甲3に記載の容器Aを製造する際に、甲2に基いて、「第1末シール領域」となるべき領域と、「第2末シール領域」となるべき領域とを、裁断線に対して非対称ときて製造したものは、本件発明1?8に係るパウチに他ならない旨主張している。

しかしながら、上記第5.2.(2)において示したように、甲1発明において、甲2記載のシール幅や未シール部の離間幅などを左右で異ならせる構成を適用すると、一方の突出部57と他方の突出部57の排出開口59の長さは異なるものとなり、互いに収容空間を挟んで対面する構成とはならない。
同様に、甲3に記載の容器Aに甲2記載のシール幅や未シール部の離間幅などを左右で異ならせる構成を適用しても、一方の非シール部4と他方の非シール部4とは、互いに収容空間を挟んで対面する構成とはならない。

よって、本件発明1?9は、参考資料1?5に記載の技術を参酌して、甲1?甲4に記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

第8.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い、パウチ。
【請求項2】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
他方の前記側部シール領域は、前記第2未シール領域と前記収容空間との間の位置から前記パウチの上部まで直線状に延びる内縁を含む、パウチ。
【請求項3】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチであって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、前記収容空間を挟んで前記第1未シール領域に対面する位置に設けられ、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有し、
前記第1未シール領域は、一方の前記側部シール領域の前記第1外縁シール部分の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びており、
前記第2未シール領域は、他方の前記側部シール領域の内縁の位置よりも前記収容空間側まで延びていない、パウチ。
【請求項4】
前記第2未シール領域の前記収容空間側に延びる長さは、前記第1未シール領域の前記収容空間側に延びる長さよりも短い、請求項2又は3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記第1未シール領域の縁部は、前記開口の周りから前記収容空間側に延び出た第1縁部及び第2縁部と、前記第1縁部の先端と前記第2縁部の先端との間を延びる第3縁部と、を含み、
前記第1外縁シール部分は、前記パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域の前記第1縁部まで延び、
前記第2外縁シール部分は、前記パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域の前記第2縁部まで延びる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項6】
前記張出部は、少なくとも、前記第1縁部の一部分及び前記第3縁部に隣接している、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
前記張出部の巾は、前記第1外縁シール部分の巾よりも狭い、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項8】
前記張出部の巾は、前記第1外縁シール部分の巾よりも狭く、
前記張出部の巾は、前記張出部のうち前記第3縁部に隣接する部分の巾である、請求項5又は6に記載のパウチ。
【請求項9】
重ねられた積層フィルムをヒートシールすることにより製袋され、内容物を収容する収容空間と当該収容空間の周りを取り囲む周囲領域とを有するパウチの製造方法であって、
前記周囲領域は、重ねられた積層フィルムが一対の側縁に沿ってヒートシールされた一対の側部シール領域を含むシール領域と、前記シール領域の一方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第1未シール領域と、前記シール領域の他方の前記側部シール領域によって前記収容空間から隔離され、重ねられた積層フィルムがヒートシールされていない第2未シール領域と、を有しており、
前記第1未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記第2未シール領域には、重ねられた積層フィルムの縁部によって規定される開口が形成されており、
前記シール領域の一方の前記側部シール領域は、当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第1外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分とは反対の側で当該パウチの一方の前記側縁に沿って前記第1未シール領域まで延びる第2外縁シール部分と、前記第1外縁シール部分と前記第2外縁シール部分との間に位置し、前記第1外縁シール部分及び前記第2外縁シール部分よりも前記収容空間に向けて張り出した張出部と、を有しており、
前記製造方法は、
複数の前記パウチが割り付けられ得る積層フィルムを準備する工程と、
重ねられた前記積層フィルムをヒートシールして、前記積層フィルムを、
一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき領域を含む、ヒートシールされた領域と、
横方向において隣り合う2つの前記ヒートシールされた領域に挟まれる、前記収容空間となるべき領域と、1つの前記ヒートシールされた領域に囲まれる、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき領域と、を含む、ヒートシールされなかった領域と、
に区画する工程と、
重ねられた前記積層フィルムを裁断して、ヒートシールされた前記領域のうち、一方の前記側部シール領域及び他方の前記側部シール領域となるべき前記領域を、一方の前記側部シール領域と他方の前記側部シール領域とに分け、ヒートシールされなかった前記領域のうち、前記第1未シール領域及び前記第2未シール領域になるべき前記領域を、前記第1未シール領域と前記第2未シール領域とに分ける裁断工程と、を備える、パウチの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-05-13 
出願番号 特願2019-9684(P2019-9684)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B65D)
P 1 651・ 121- YAA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 正宗  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 井上 茂夫
中村 一雄
登録日 2019-03-15 
登録番号 特許第6496462号(P6496462)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 パウチ  
代理人 宮嶋 学  
代理人 永井 浩之  
代理人 中村 行孝  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 岡村 和郎  
代理人 岡村 和郎  
代理人 宮嶋 学  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 高田 泰彦  
代理人 朝倉 悟  
代理人 高田 泰彦  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 永井 浩之  

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