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審決分類 審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  C10M
審判 全部申し立て 発明同一  C10M
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C10M
管理番号 1363991
異議申立番号 異議2019-700522  
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-01 
確定日 2020-06-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6456468号発明「改善された低温粘度および剪断抵抗を有する粘度指数向上剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6456468号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕について訂正することを認める。 特許第6456468号の請求項1?4、6、7、9?14に係る特許を維持する。 特許第6456468号の請求項5及び8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6456468号の請求項1?14に係る特許についての出願は、平成29年12月13日に特許出願され、平成30年12月28日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月23日に特許公報が発行され、その後、その特許に対し、令和1年7月1日に特許異議申立人 竹口美穂(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
本件特許異議の申立てにおける手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 1年 7月 1日 特許異議申立書
同年10月24日付け 取消理由通知書
令和 2年 1月24日 意見書、訂正請求書の提出(特許権者)
同年 2月 7日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
同年 3月 9日 意見書(申立人)

第2 訂正の請求について
1 訂正の内容
令和2年1月24日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の特許請求の範囲を上記訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?14について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10?70質量%、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート 10?80質量%
を含有し、(a)および(b)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物」とあるのを、
「(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10?70質量%、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート 10?80質量%
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマー 0.01?80質量%
を含有し、(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5までのいずれか1項」とあるのを、「請求項1から4までのいずれか1項」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6までのいずれか1項」とあるのを、「請求項1から4までのいずれか1項または6」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から8までのいずれか1項」とあるのを、「請求項1から4までのいずれか1項、6または7」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から8までのいずれか1項」とあるのを、「請求項1から4までのいずれか1項、6または7」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から8までのいずれか1項」とあるのを、「請求項1から4までのいずれか1項、6または7」に訂正する。

そして、訂正前の請求項2?14は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項1?14は一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項について請求がされたものである。

2 訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明を、訂正前の請求項1に請求項5に記載された事項を加え、更に本件明細書の段落【0072】に基づいて、モノマー組成物が「(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となる」であることを付加するものであって、訂正前の請求項1を減縮するとともに、成分(a)、(b)及び(c)の量が合計でモノマー組成物の100質量%となることを明らかにするものであるから、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

イ 本件明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること(以下、「新規事項の追加でないこと」という。)について
訂正事項1は、上記アで述べたとおり、訂正前の請求項1を引用する請求項5に係る発明において、成分(a)、(b)及び(c)の量が合計でモノマー組成物の100質量%となることを明記するものであり、成分(a)、(b)及び(c)の量が合計でモノマー組成物の100質量%となることは本件明細書の段落【0072】に記載されている。したがって、訂正事項1は、本件明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
訂正事項1は、上記アで述べたように、訂正前の請求項1を引用する請求項5に係る発明に、更にモノマー組成物が「(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となる」であることを特定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 独立特許要件について
訂正前の請求項1は特許異議の申立ての対象であるから、独立特許要件は問われない。

(2)訂正事項2及び5について
訂正事項2及び5は、訂正前の請求項5及び8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものでないし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。そして、訂正前の請求項5は、特許異議の申立ての対象であるから、独立特許要件は問われない。

(3)訂正事項3、4、6?8について
訂正事項3、4、6?8は、訂正事項2及び5により、訂正前の請求項5及び8が削除されたことに伴って、訂正前の請求項6、7、9?11が引用する請求項から、請求項5及び8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものでないし、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。そして、訂正前の請求項6、7、9?11は、特許異議の申立ての対象であるから、独立特許要件は問われない。

(4)申立人の意見について
申立人は、令和2年3月9日に提出した意見書において、「本件訂正・・・が認められてしまうと・・・(a)および(b)の合計量が100質量%とならないモノマー組成物を使用してポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを実施していた第三者に不測の不利益が生じることになります。・・・従って、このような訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当し・・・認められるべきではありません。」(意見書第4頁第26行?第5頁第18行)と述べ、要するに、訂正前の請求項1におけるモノマー組成物は、成分(a)及び(b)の量が合計で100質量%であるが、訂正後の請求項1におけるモノマー組成物は、成分(c)を含み、成分(a)及び(b)の量が合計で100質量%とならないから、特許請求の範囲を拡張または変更するものであると主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたように、訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明を、実質的に訂正前の請求項1を引用する請求項5に係る発明にするものであり、訂正前の請求項1を引用する請求項5に係る発明は、成分(a)、(b)及び(c)を含有し、成分(a)及び(b)の量で合計がモノマー組成物の100質量%になるものではなかったのであるから、訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。

3 まとめ
上記2のとおり、訂正事項1?8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものであるから、結論のとおり、本件訂正を認める。

第3 本件発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?14に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用するモノマーの全量を基準として、
(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10?70質量%、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート 10?80質量%
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマー 0.01?80質量%
を含有し、(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物を重合させることによって得られ、1.5?3mol%のモル分岐度を有するポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項2】
15,000?350,000g/molの質量平均分子量(M_(W))を有する、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記モノマー組成物が、成分(a)として、(メタ)アクリル酸と、前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%含有する、請求項1または2記載のポリマー。
【請求項4】
前記モノマー組成物が、成分(b)として、1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレートと、1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートとの混合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記モノマー組成物が、
(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%、
(b)1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレートを1.0?70質量%、および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートを0.1?10質量%、
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2?60質量%、含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項7】
前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンが、1,900?2,100g/molの数平均分子量を有する、請求項1から4までのいずれか1項または6記載のポリマー。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの製造方法であって、以下の工程:
(a)請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のモノマー組成物を用意する工程、および
(b)前記モノマー組成物において、ラジカル重合を開始する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項10】
潤滑剤組成物の粘度指数、40℃以下の温度での粘度および剪断抵抗を改善するための潤滑剤組成物用添加剤としての、請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用。
【請求項11】
(a)基油、および
(b)請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー
を含有する組成物。
【請求項12】
前記基油が、ポリα-オレフィン基油、APIグループIIIの基油、ポリα-オレフィン基油とAPIグループIIIの基油との混合物、またはAPIグループIIIの基油の混合物である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記基油を40?80質量%、および前記ポリマーを20?60質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。
【請求項14】
前記基油を50?99.5質量%、および前記ポリマーを0.5?50質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。」


第4 取消理由の概要
1 特許異議の申立ての申立理由
申立書に記載された取消理由は、以下のとおりである。
訂正前の本件発明1?14は、下記のとおりの取消理由があるから、訂正前の本件発明1?14に係る特許は、特許法第113条第2号又は第4号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記の甲第1?5号証(以下、それぞれ「甲1」等という。)を提出する。
(1)取消理由1a(サポート要件):訂正前の請求項1?14に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
訂正前の請求項1?14は、実施例と比べて(a)成分の含有量及び(b)成分の種類の範囲が広すぎるし、本件明細書の実施例は(c)成分であるスチレンを含むもののみであるが、訂正前の請求項1?14はスチレンを使用することを規定していないから、発明の詳細な説明には、訂正前の請求項1?14の課題を解決でき、本件発明1?14の範囲にまで拡張ないし一般化できるように記載されていない。

(2)取消理由2a(明確性要件):訂正前の請求項1?14に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
訂正前の請求項5、6及び8は(c)成分を含有し、(a)及び(b)成分のみを含有する訂正前の本件発明1の規定と相容れないから、訂正前の請求項1?14に係る発明は明確でない。

(3)取消理由3a(拡大先願):訂正前の請求項1?4、7?12に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、特許法第41条第1項の規定による優先権の主張の基礎とされ、同法第184条の15第2項の規定により読み替えて適用される同法第41条第3項の規定により、出願公開されたものとみなされる下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1?4、7?12に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
特願2017-057549号(国際公開第2018/174188号)

(4)証拠方法
甲1:特願2017-238789号における平成30年7月3日提出の手続補正書
甲2:特願2017-238789号における平成30年7月3日提出の上申書
甲3:広辞苑第六版、株式会社岩波書店、2008年1月11日発行、2389頁
甲4:国際公開第2018/174188号
甲5:株式会社スタンダード石油大阪発売所,“潤滑油/潤滑油ベースオイル/グループIII-ベースオイル/”,[online],[2019年6月19日検索],インターネット
<URL:http://www.ssoh.jp>


2 取消理由通知書に記載した取消理由
取消理由1.(明確性)訂正前の請求項5?14に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(訂正前の請求項5?14に対する取消理由2aと同旨)。

取消理由2.(サポート要件)訂正前の請求項1?4、7?14に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
発明の詳細な説明には、(a)成分及び(b)成分と段落【0011】に記載された課題との関連性や、(a)成分と(b)成分のみからなる実施例が記載されていないし、訂正前の本件発明8の分散性モノマーの添加と上記課題との関連性や、その実施例も記載されておらず、訂正前の請求項1?4、7?14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

第5 当審の判断
以下に述べるように、取消理由通知書に記載した取消理由1及び2、並びに、特許異議申立書に記載した取消理由1a?3aによっては、本件特許の請求項1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。

1 取消理由1(明確性)について
(1)本件発明1について
訂正前の請求項5は削除され、訂正前の請求項5に記載された事項が加えられた本件発明1は、上記第3のとおり、(a)及び(b)に加えて、「(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマー」を含有し、「(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物を重合させることによって得られ」るものである。
そして、モノマー組成物の構成成分が成分(a)、(b)及び(c)からなることと、それらの量が合計で100質量%となることは整合し、本件発明1は明確である。

(2)本件発明2?4、6、7、9?14について
本件発明2?4、6、7、9?14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)で本件発明1について述べたのと同じ理由により、本件発明2?4、6、7、9?14は明確である。

(3)まとめ
上記(1)及び(2)で述べたとおり、本件発明1?4、6、7、9?14は明確であるから、取消理由1により、本件発明1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。

2 取消理由2(サポート要件)について
(1)発明の詳細な説明に記載された事項
本件明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。

ア 「【0010】
発明の概要
良好なVI、良好な低温粘度、および優れた剪断安定性という組み合わせを兼ね備えた粘度指数向上剤を提供するという課題について、従来技術による取り組みは充分ではない。従来技術は常に、これらの特性のうちの1つを固定することに特化しているが、1つのポリマーでこれら全ての特性を実現することには焦点を当ててはいない。しかしながら、潤滑剤の近年の傾向にとっては、これらの特性をすべて最適化して、燃料経済性の改善、および自動車における金属部材の保護、およびより長い寿命にわたる産業的適用という問題を解決することが重要である。
【0011】
よって本発明の目的は、良好な粘度指数、良好な低温粘度特性、および優れた剪断安定性の組み合わせをもたらす潤滑剤添加剤を提供することである。
【0012】
意外なことに、特定のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー、および潤滑剤組成物のための添加剤としてのその使用が、これらの全ての特性をもたらすこと、つまり、従来技術のものと同等の高いVIを有するが、低温で改善された粘度特性を有し、著しく改善された剪断安定性を有することが判明した。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明によるポリマー
第一の態様において、本発明は、
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下の数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10?70質量%、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート 10?80質量%
を含有するモノマー組成物を重合させることによって得られる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーに関する。
【0014】
特に言及しない限り、モノマーの量は、使用するモノマーの全量を基準とする。
【0015】
(a)および(b)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。」

イ 「【0017】
「(メタ)アクリル酸」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリル酸とメタクリル酸との混合物を指し、メタクリル酸が好ましい。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、またはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの混合物を指し、メタクリル酸のエステルが好ましい。」

ウ 「【0023】
本発明によるポリマーは、そのモル分岐度(f_(branch))に基づき特性決定することができる。モル分岐度とは、モノマー組成物における全てのモノマーの合計モル量を基準とした、使用するマクロモノマー(成分(a))のmol%でのパーセンテージをいう。使用するマクロモノマーのモル量は、マクロモノマーの数平均分子量(M_(n))に基づき算出される。モル分岐度の算出は、詳細には国際公開第2007/003238号(WO 2007/003238 A1)、特にその13頁と14頁に記載されており、これについては、ここで明示的に参照しておく。」

エ 「【0025】
ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン
本発明に従って成分(a)として使用するためのヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、2,200g/mol以下の数平均分子量M_(n)を有する。ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、その分子量が大きいため、本発明の文脈ではマクロアルコールとも呼ぶこともある。(メタ)アクリル酸の相応するエステルもまた、本発明の文脈ではマクロモノマーと呼ぶことができる。
・・・
【0027】
2,200g/mol以下の数平均分子量を有するマクロアルコールに基づいたマクロモノマーを、本発明によるアルキル(メタ)アクリレートと組み合わせることにより、良好なVI、優れた低温特性、および良好な剪断抵抗の組み合わせをもたらすポリマーが得られる。
・・・
【0036】
ここで使用する「ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン」という用語は、1個以上の水酸基を有する水素化ポリブタジエンを指す。ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンはさらに、さらなる構造単位、例えばポリブタジエンに添加されたアルキレンオキシドに由来するポリエーテル基、またはポリブタジエンに添加されたマレイン酸無水物に由来するマレイン酸無水物基を含有することができる。これらのさらなる構造単位は、ポリブタジエンがヒドロキシ基によって官能化されている場合に、ポリブタジエンに導入することができる。
・・・
【0038】
モノヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンは、まずブタジエンモノマーをアニオン重合により変換してポリブタジエンにすることによって製造することができる。引き続き、ポリブタジエンモノマーとアルキレンオキシド(例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)との反応により、ヒドロキシ官能化されたポリブタジエンを製造することができる。ポリブタジエンはまた、1種より多いアルキレンオキシド単位と反応させることもでき、これによって、末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル-ポリブタジエンブロックコポリマーが生じる。ヒドロキシル化されたポリブタジエンは、適切な遷移金属触媒の存在下で水素化することができる。」

オ 「【0045】
アルキル(メタ)アクリレート
「C_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、(メタ)アクリル酸、および1?30個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルコールを指す。この用語は、特定の長さのアルコールを有する各(メタ)アクリル酸エステル、および同様に異なる長さのアルコールを有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物を包含する。」

カ 「【0057】
さらなるモノマー
モノマー組成物は好ましくは、成分(a)および(b)に加えてさらなるモノマー(成分c)を含有する。
【0058】
本発明に従って使用可能なさらなるモノマーは、8?17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アシル基中に1?11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1?10個の炭素原子を有するビニルエーテル、酸素および/または窒素で官能化された分散性モノマー、複素環式(メタ)アクリレート、複素環式ビニル化合物、共有結合されたリン原子を含有するモノマー、エポキシ基を含有するモノマー、およびハロゲンを含有するモノマーからなる群から選択される。
【0059】
8?17個の炭素原子を有する適切なスチレンモノマーは、スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα-メチルスチレンおよびα-エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばビニルトルエンおよびパラメチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、およびテトラブロモスチレン、ニトロスチレンからなる群から選択される。スチレンが好ましい。」

キ 「【0062】
酸素および/または窒素で官能化された適切な分散性モノマーは、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオール(メタ)アクリレート、p-ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、アルケノール(3?12個の炭素原子を有する(メチル)アリルアルコール)、多価(3?8価)アルコール(グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリド、糖)、エーテルまたはメタ(アクリレート);C_(1?8)アルキルオキシ-C_(2?4)アルキル(メタ)アクリレート、例えばメトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシ-ブチル(メタ)アクリレート、メトキシヘプチル(メタ)アクリレート、メトキシヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシペンチル(メタ)アクリレート、メトキシオクチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ-ブチル(メタ)アクリレート、エトキシヘプチル(メタ)アクリレート、エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシペンチル(メタ)アクリレート、エトキシオクチル(メタ)アクリレート、プロポキシメチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシブチル(メタ)アクリレート、プロポキシヘプチル(メタ)アクリレート、プロポキシヘキシル(メタ)アクリレート、プロポキシペンチル(メタ)アクリレート、プロポキシオクチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘプチル(メタ)アクリレート、ブトキシヘキシル(メタ)アクリレート、ブトキシペンチル(メタ)アクリレート、およびブトキシオクチル(メタ)アクリレートからなる群から選択され、エトキシエチル(メタ)アクリレートおよびブトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。」

ク 「【0068】
モノマー組成物は好ましくは、成分(c)としてさらなるモノマーを、0?80質量%、より好ましくは0.01?70質量%、最も好ましくは0.2?60質量%含有する。
・・・
【0072】
成分(a)?(c)の量は、合計で100質量%になるのが好ましい。
【0073】
好ましいモノマー組成物
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500g/mol?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを、20?60質量%、より好ましくは20?50質量%、最も好ましくは20?45質量%、
(b)1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレート0.5?80質量%および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレート0.01?15質量%を、より好ましくは1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレート1.0?70質量%および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレート0.1?10質量%を、最も好ましくは1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレート9?70質量%および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレート0.2?6質量%、および
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.01?80質量%、より好ましくは0.1?70質量%、最も好ましくは0.2?60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマー0.01?10質量%、好ましくは1?8質量%、最も好ましくは2?5質量%
含有する。
【0074】
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%、
(b)1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレートを1.0?70質量%、および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートを0.1?10質量%、
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2?60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを1?8質量%
含有する。
【0075】
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、2,200g/mol以下、好ましくは1,500?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%、
(b)1種以上のC_(1)(メタ)アクリレートを0.2?16質量%、1種以上のC_(4)(メタ)アクリレートを10?55質量%、1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートを0.2?6質量%、
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2?60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを2?5質量%
含有する。
【0076】
1つの実施形態においてモノマー組成物は、以下の(a)、(b)および(c):
(a)(メタ)アクリル酸と、1,900?2,100g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%、
(b)1種以上のC_(1)(メタ)アクリレートを0.2?16質量%、1種以上のC_(4)(メタ)アクリレートを10?55質量%、1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートを0.2?6質量%、
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2?60質量%、および任意で、酸素および/または窒素で官能化された1種以上の分散性モノマーを2?5質量%含有する。」

ケ 「【0143】
実施例
本発明を、以下の実施例により説明する。
【0144】
略号
C_(1)AMA・・・C_(1)アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート;MMA)
C_(4)AMA・・・C_(4)アルキルメタクリレート(n-ブチルメタクリレート)
C_(12/14)AMA・・・C_(12/14)アルキルメタクリレート
C_(16/18)AMA・・・C_(16/18)アルキルメタクリレート
DMAPMAm・・・N-3-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
f_(branch)・・・mol%での分岐度
Hydroseal G232H・・・石油由来の鉱油
KRL・・・テーパーローラベアリング
KV_(0)・・・0℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV_(10)・・・10℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV_(20)・・・20℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV_(40)・・・40℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
KV_(100)・・・100℃での動的粘度、ASTM D445に従って測定
MM-1・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(M_(n)=1,000g/mol)
MM-2・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(M_(n)=2,000g/mol)
MM-3・・・メタクリレート官能基を有する水素化ポリブタジエンのマクロモノマー(M_(n)=4,750g/mol)
M_(n)・・・数平均分子量
M_(w)・・・質量平均分子量
NB3020・・・Nexbase(登録商標)3020、Neste社製のグループIIIの基油、KV_(100)は2.2cSt
NB3043・・・Nexbase(登録商標)3043、Neste社製のグループIIIの基油、KV_(100)は4.3cSt
OEM・・・委託者ブランド製造
PDI・・多分散性指数、M_(w)/M_(n)によって算出される分子量分布
PSSI・・・永久剪断安定指数
RC9300・・・ADDITIN(登録商標)RC9300、Lanxess社製のDIパッケージ VI・・・粘度指数、ASTM D2270に従って測定
Yubase 4・・・SK Lubricants社製のグループIIIの基油、KV_(100)は4.2cSt
【0145】
試験法
本発明によるポリマーおよび比較例によるポリマーを、その分子量およびPDIについて特性決定した。
【0146】
ポリマーの分子量は、市販のポリメタクリレート(PMMA)標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により特定した。この特定は、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行う(流速:1mL/分、注入体積:100μL)。
【0147】
マクロモノマーの数平均分子量M_(n)は、市販のポリブタジエン標準を用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって特定する。この特定はDIN 55672-1に従って、溶離剤としてTHFを用いてゲル透過クロマトグラフィーにより行われる。
【0148】
本発明によるポリマーを含む添加剤組成物、および比較例を、ASTM D 2270に従った粘度指数(VI)、ASTM D445に従った0℃での動的粘度(KV_(0))、10℃での動的粘度(KV_(10))、20℃での動的粘度(KV_(20))、40℃での動的粘度(KV_(40))、および100℃での動的粘度(KV_(100))について特性決定した。
【0149】
剪断安定性は、KRL(テーパーローラベアリング、英語ではtapered roller bearing)によって、DIN51350 Part 6の修正版に従って、40時間、4000rpmで80℃で調査した。添加剤組成物の剪断安定性を示すために、PSSI(永久剪断安定指数)を、ASTM D 6022-01(Standard Practice for Calculation of Permanent Shear Stability Index)に従って、この方法により測定されたデータに基づき算出した。
【0150】
ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンの合成(マクロアルコール)
ブチルリチウムを用いて20?45℃で1,3-ブタジエンをアニオン重合することにより、3種類の異なったマクロアルコール(MA-1?MA-3)を合成した。所望の重合度に達したら、プロピレンオキシドを添加してこの反応を停止させ、メタノールによる沈殿によってリチウムを除去した。引き続き、このポリマーを水素雰囲気下に、貴金属触媒の存在下で、140℃までの温度および200barの圧力で水素化した。水素化が完了した後、貴金属触媒を取り除き、有機溶媒を減圧下で抜き出した。最後に、MA-3をNB 3020で希釈して、ポリマー含分を70質量%にした。MA-1およびMA-2は、100%に保った。
【0151】
表1は、MA-1、MA-2、およびMA-3の特性決定データである。
【表3】

【0152】
マクロモノマー(MM-1、MM-2およびMM-3)の合成
サーベル型スターラー、吸気管、コントローラ付熱電対、加熱ジャケット、3mmのらせん状ワイヤがランダムに充填されたカラム、蒸気分配器、上部温度計、還流式コンデンサ、および基質冷却器を備えた2Lの撹拌装置内で、前述のマクロアルコール1000gを、60℃で撹拌して、メチルメタクリレート(MMA)中に溶解させる。この溶液に、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル20ppm、およびヒドロキノンモノメチルエーテル200ppmを加える。MMAが還流するまで加熱した後(底部温度は約110℃)、安定化のために空気を通しながら、共沸乾燥のためにMMAを約20mL、留去する。95℃に冷却した後、LiOCH_(3)を添加し、この混合物を加熱して再び還流させる。約1時間の反応時間後には、メタノール形成により上部温度が約64℃に低下していた。形成されるメタノール/MMA共沸混合物は、約100℃という一定の上部温度が再度確立されるまで、常に留去する。この温度で、この混合物をさらに1時間反応させる。さらなる後処理のため、MMAの大部分を、減圧下で抜き取る。不溶性触媒残渣は、加圧濾過により除去する(Seitz T1000 デプスフィルタ)。
【0153】
表2には、マクロモノマーのMM-1、MM-2およびMM-3を合成するために使用されるMMAおよびLiOCH_(3)の量がまとめられている。
【表4】

【0154】
ポリマーの合成
方法1
4つ首フラスコおよび精密ガラス製サーベル型スターラーを備えた装置にモノマー混合物(その組成は表3に示してある)を装入し、重合油NB3020を添加して、油中のモノマー濃度を60質量%にする。窒素下で115℃に加熱後、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートの10質量%溶液、およびNB3020中のドデシルメルカプタンを、3時間以内に一定の供給速度で加える。この反応を115℃に維持し、開始剤の供給終了から0.5時間後および3.5時間後に、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタンを、(モノマーの全量に対して)0.2%添加する。この反応混合物を115℃でさらに2時間撹拌し、NB3020により油中でポリマーが30質量%の溶液となるように希釈して、最終的なVIIが得られる。
【0155】
表3は、実施例および比較例を製造するために使用される反応混合物を示す。モノマー成分は合計して100%である。開始剤および連鎖移動剤の量は、モノマーの全量に対するものである。モノマーの量は、最終的なVIIの30質量%であり、残りの70質量%は、このポリマーを製造するために使用される、一般的な手順において前述した希釈油(NB3020)である。
【0156】
方法2
モノマー混合物(その組成は、表3に示されている)を、Nexbase 3020とHydroseal G232 Hとの50/50混合物により、油中のモノマーの濃度が60質量%となるように希釈する。4つ首フラスコおよび精密ガラス製サーベル型スターラーを備えた装置には、先に作製した反応混合物50質量%が装入されている。窒素下で120℃に加熱した後、表3に記載した割合の2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン開始剤を反応混合物に添加して、反応を開始させる。同じ量の開始剤を、残りの50%の反応混合物に添加するが、これは120℃で3時間にわたって一定の割合でフラスコに添加する。この反応を120℃に維持し、反応混合物の供給から2時間後、および4時間後に、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタンを、(モノマーの量に対して)0.2%添加する。この反応混合物を120℃でさらに2時間撹拌し、NB3020により油中で42.5質量%のポリマー溶液となるように希釈して、最終的なVIIが得られる。
【0157】
表3は、本発明によるポリマーを製造するために使用される反応混合物およびその製造法を示す。モノマー成分は合計して100%である。開始剤および連鎖移動剤(CTA)の量は、モノマーの全量に対するものである。ポリマーは、2つの製造法の上記記載に従って、油(70質量%または57.5質量%)で希釈する。
【0158】
特徴的な質量平均分子量(M_(w))、およびそれらの多分散性(PDI)は、GPC測定によって得られた。
【0159】
例1、2および4は、質量%で記載されている各成分の相対的な量に関して似たような組成を有しているが、これらの例は3種類の異なったマクロモノマーそれぞれ順にMM-1、MM-2、およびMM-3)に基づいている。例3は、例4と似たような分枝度を有しているが、MM-3ではなくMM-2に基づいている。4つの例は全て同様のM_(w)を有しており、様々な例とマクロモノマーと間の性能比較が可能になる。
【0160】
例5および6は、MM-2およびMM-3と、主鎖が異なる組成物との組み合わせを使用する。
【0161】
例7、8および9は、主鎖が異なる組成を有するMM-1を使用する。
【0162】
例10は、分散剤のモノマーおよびMM-3を含む。
【0163】
例11は、MM-2と、その他の例とは対照的にC_(12/14)アルキルメタクリレートに代えてC_(16/18)アルキルメタクリレートを使用している。
【0164】
例1?3、5?9および11は、本発明による例である。残りの例は、比較例である。
【表5】

【0165】
粘度指数(VI)向上剤候補の評価
本発明によるポリマーがVI、剪断安定性および低温挙動に対してもたらす改善作用を示すために、Nexbase 3043中で5.5cStの目標KV100を有する、例示的なポリマーの添加剤組成物を製造した。さらに、パッケージ(RC9300)0.6%を、KRL保護の目的のためだけに添加した。VI、KRLによって特定される剪断安定性、および様々な温度における動的粘度を測定した。その結果が表4に示されている。
・・・
【0167】
例3、5、6および11を、MM-3を用いた比較例の4および10と比較すると、本発明による例は、より高いVI、著しく改善された剪断安定性、および良好な低温特性を示す。このことは、例3と例4(これらはともに同じ分岐度、および似たようなM_(w)を有する)を比べると特に明らかである。例3の最適化された組成は、例4の値と比べて、KV0については7%低下しており、VIについては9%改善されており、PSSI100値については62%低下しており、その一方で依然として、剪断後に良好な可溶性をもたらす。この比較は、VI、低温性能および剪断安定性におけるVI改善剤の性能が、本発明によって著しく改善されることを示している。
・・・
【0170】
よってMM-2に基づく例は、VI、低温性能、および剪断安定性という観点で全体的に最良のバランスが取れた性能を示し、このような性能は、これより小さな分子量を有するマクロモノマー(MM-1)またはより大きな分子量を有するマクロモノマー(MM-3)を用いた場合には得られない。
【表6】



(2)当審の判断
ア 特許法第36条第6項第1号について
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(平成17年(行ケ)第10042号、「偏光フィルムの製造法」事件)。
そこで、この点について、以下に検討する。

イ 本件発明1の課題について
本件発明1が解決しようとする課題は、摘記(1)アによると、「本発明の目的は、良好な粘度指数、良好な低温粘度特性、および優れた剪断安定性の組み合わせをもたらす潤滑剤添加剤を提供すること」であると解される。

ウ 本件発明1について
上記第3で述べたように、本件発明1は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のみからなるモノマー組成物を重合させることによって得られたものである。
本件明細書には、ヒドロロキシル化された水素化ポリブタジエンであるマクロアルコールMA-1(数平均分子量M_(n)=1,000)、MA-2(Mn=2,000)及びMA-3(Mn=4,750)を合成し(上記ア(ケ)の段落【0150】、【0152】及び表1)、MA-1?3とメチルメタクリレート(MMA)を用いてマクロモノマーMM-1?3を合成し(同じく段落【0152】?【0154】及び表2)、MM-1?3、各種アルキル(メタ)アクリレート、及びスチレンを含有するモノマー組成物を重合させて、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーを得たこと(同じく段落【0154】及び表5)、当該ポリマーの添加剤組成物を用いて、ASTM D 2270に従った粘度指数(VI)、ASTM D445に従った0℃?100℃の動的粘度(KV0?KV100)、ASTM D 6022-01に従った、KRL(テーパーローラーベアリング)によって特定される剪断安定性であるPSSI(永久剪断安定指数)をそれぞれ測定・算出した(同じく段落【0167】、【0170】及び表6)ことが記載されている。
そして、表3の例1?11のうち、本件発明1の具体例は、MA-2(Mn=2,000)を用いたMM-2を含むモノマー組成物を重合させて得られ、モル分岐度f_(branch)が1.7である例3及び例11である。
例3及び11は、良好な粘度指数(VI)、良好な40℃以下の低温粘度(KV_(40)?KV_(0))、及び優れたPSSI(永久剪断安定指数)を示し、上記課題を解決するものであり、上記課題を解決することを具体的に確認できる。そして、本件発明1に含まれるポリマーが、上記課題を解決できない場合があることを示す本件出願時の技術常識は見当たらない。
そうすると、本件発明1が、発明の詳細な説明により、当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものであり、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。

エ 本件発明2?4、6、7、9?14について
本件発明2?4、6、7、9?14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、上記ウで本件発明1について述べたのと同じ理由により、発明の詳細な説明に記載したものである。

オ まとめ
したがって、本件発明1?4、6、7、9?14は、発明の詳細な説明に記載したものであり、取消理由2により、本件発明1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。

3 特許異議申立書に記載した取消理由について
(1)取消理由1a(サポート要件)について
申立人は、訂正前の請求項1?14に係る発明は、実施例と比べて(a)成分の含有量及び(b)成分の種類が広すぎるため、発明の詳細な説明には、訂正前の請求項1?14に係る発明の課題を解決でき、訂正前の請求項1?14に係る発明の範囲にまで拡張ないし一般化できるように記載されていない旨を主張する。
しかしながら、上記2(2)ウで述べたように、発明の詳細な説明には、本件発明1の具体例である例3及び例11が記載されており、(b)成分の種類とモノマー組成物における配合割合や、(c)成分の配合割合の点で大きく異なるものであり、例3及び例11は、良好な粘度指数(VI)、良好な40℃以下の低温粘度(KV_(40)?KV_(0))、及び優れたPSSI(永久剪断安定指数)を示し、上記課題を解決することを具体的に確認することができるものである。そして、(a)成分の配合量を10?70質量%の範囲内で変更したり、(b)成分の種類をC_(1?30)の中で変更したりする場合に、上記課題を解決できないことを示す本件出願時の技術常識は見当たらない。
また、申立人は、本件発明1に上記課題を解決できない場合があることを具体的に例示して説明していない。
そうすると、発明の詳細な説明には、本件発明1?4、6、7、9?14が上記課題を解決することを当業者が認識できるように記載されており、本件発明1?4、6、7?14は、発明の詳細な説明に記載したものであるということができる。
したがって、取消理由1aにより、本件発明1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。

(2)取消理由2a(明確性)について
申立書に記載された取消理由2aのうち、訂正前の請求項5?14に対する理由は、取消理由1と同旨であるから、上記1で述べたように、取消理由2aによっても、本件発明1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。そして、訂正前の請求項1?4に係る発明は、本件訂正により、実質的に削除された。
したがって、取消理由2aにより、本件発明1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。

(3)取消理由3a(拡大先願)について
ア 先願明細書に記載された事項及び先願発明
甲4は、特願2017-57549号(出願日:平成29年3月23日。以下、「基礎出願」という。)を優先権主張の基礎とする日本語でされた国際特許出願(日本語特許出願、PCT/JP2018/011469)の国際公開公報である。そして、甲4の記載事項として以下に示した内容は、基礎出願の特許請求の範囲及び明細書に記載されている。
そして、本件出願の発明者が基礎出願の発明者と同一ではなく、また本件出願時において、本件出願人が基礎出願の出願人と同一でない。

甲4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【特許請求の範囲】
[請求項1] 下記一般式(1)で表される数平均分子量が800?4,000である単量体(a)を必須構成単量体として含有する共重合体(A)を含む粘度指数向上剤であって、共重合体(A)の溶解性パラメーターの範囲が9.00?9.40である粘度指数向上剤。

[R^(1)は水素原子又はメチル基;-X^(1)-は-O-、-O(AO)_(m)-又は-NH-で表される基であって、AOは炭素数2?4のアルキレンオキシ基であり、mは1?10の整数であり、mが2以上の場合のAOは同一でも異なっていてもよく、(AO)m 部分はランダム結合でもブロック結合でもよい;R^(2)はブタジエンを必須構成単量体とし、R^(2)の重量に基づいてブタジエンの比率が50重量%以上である炭化水素重合体又はその炭化水素重合体の少なくとも一部が水素化された重合体から水素原子を1つ除いた残基;pは0又は1の数を表す。]
・・・
[請求項6] 共重合体(A)が、さらに炭素数1?4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を構成単量体とする共重合体である請求項1?5のいずれかに記載の粘度指数向上剤。」

(イ)「[0020]単量体(a)は、炭化水素重合体の片末端に水酸基を導入した片末端に水酸基を含有する(共)重合体(Y)と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応、または(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応により得ることができる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。」

(ウ)「[0027]本発明における共重合体(A)は、炭素数1?4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)(以下、単量体(b)ともいう)を構成単量体とする共重合体であることが、粘度指数向上効果の観点から好ましい。炭素数1?4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル及び(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(b)のうち好ましいのは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチルであり、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチルである。」

(エ)「[0044]本発明における共重合体(A)は、単量体(a)?(e)に加え、更に・・・芳香環含有ビニル単量体(i)からなる群から選ばれる1種以上の単量体を構成単量体としてもよい。
・・・
[0055]芳香環含有ビニル単量体(i): スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、4-エチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、4-ブチルスチレン、4-フェニルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ベンジルスチレン、4-クロチルベンゼン、インデン及び2-ビニルナフタレン等が挙げられる。」

甲4には、上記(ア)の請求項1を引用する請求項6に係る発明の共重合体(A)に着目すると、以下の発明が記載されている。
「下記一般式(1)で表される数平均分子量が800?4,000である単量体(a)を必須構成単量体として含有する共重合体(A)であって、共重合体(A)の溶解性パラメーターの範囲が9.00?9.40であり、さらに炭素数1?4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を構成単量体とする共重合体(A)。

[R^(1)は水素原子又はメチル基;-X^(1)-は-O-、-O(AO)_(m)-又は-NH-で表される基であって、AOは炭素数2?4のアルキレンオキシ基であり、mは1?10の整数であり、mが2以上の場合のAOは同一でも異なっていてもよく、(AO)m 部分はランダム結合でもブロック結合でもよい;R^(2)はブタジエンを必須構成単量体とし、R^(2)の重量に基づいてブタジエンの比率が50重量%以上である炭化水素重合体又はその炭化水素重合体の少なくとも一部が水素化された重合体から水素原子を1つ除いた残基;pは0又は1の数を表す。]」(以下、「先願発明」という。)

イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と先願発明とを対比する。
先願発明の「単量体(a)」は、「炭化水素重合体の片末端に水酸基を導入した片末端に水酸基を含有する(共)重合体(Y)と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応」(上記ア(イ))により得られものであり、そのR^(2)は、「ブタジエンを必須構成単量体とし、R^(2)の重量に基づいてブタジエンの比率が50重量%以上である炭化水素重合体又はその炭化水素重合体の少なくとも一部が水素化された重合体から水素原子を1つ除いた残基」(上記ア(ア))であり、ブタジエンの比率が50重量%以上である炭化水素重合体の少なくとも一部が水素化された重合体に由来するものであるから、単量体(a)は、ブタジエンの比率が50重量%以上である炭化水素重合体又はその炭化水素重合体の少なくとも一部が水素化された重合体の片末端に水酸基を含有する(共)重合体(Y)と、(メタ)アクリル酸とのエステルであるといえるから、本件発明1の「(メタ)アクリル酸」と「ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン」とのエステルに相当する。
また、先願発明の「炭素数1?4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)」及び「共重合体」は、本件発明の「(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート」及び「ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー」にそれぞれ相当する。

そうすると、本件発明1と先願発明とは、
「(a)(メタ)アクリル酸と、ヒドロキシル化された水素化ポリブラジエンとの1種以上のエステル、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート
を含有し、(a)および(b)を含有するモノマー組成物を重合させることによって得られる、ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本件発明1は、(a)のエステルにおける「ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエン」が「1,800?2,200g/molの数平均分子量を有する」のに対して、先願発明は、(共)重合体(Y)の数平均分子量が不明である点。

相違点2:本件発明1は、「(c)炭素原子を8?17個有するスチレンモノマー」を含有するのに対して、先願発明は、スチレンモノマーを含有するか不明である点。

相違点3:本件発明1は、「使用するモノマーの全量を基準として」、(a)が「10?70質量%」、(b)が「10?80質量%」、(c)が「0.01?80質量%を含有し」「(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物を重合させることによって得られ」るのに対して、先願発明は、共重合体(A)における「単量体(a)」及び「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)」の構成割合が不明である点。

相違点4:本件発明1は、「1.5?3mol%のモル分岐度を有する」のに対して、先願発明は、共重合体(A)のモル分岐度が不明である点。

(イ)検討
まず、相違点2について検討すると、甲4には、共重合体(A)は、単量体(a)?(e)に加え、更に芳香環含有ビニル単量体(i)からなる群から選ばれる1種以上の単量体を構成単量体としてもよく、芳香環含有ビニル単量体(i)はスチレンを包含することが記載されているが(上記ア(エ))、先願発明の共重合体(A)は芳香環含有ビニル単量体(i)を構成単量体とするものではなく、本件発明1の「(c)炭素原子を8?17個有するスチレンモノマー」を含有するものではないから、相違点2は実質的な相違点である。
したがって、先願発明は、相違点1、3及び4を検討するまでもなく、本件発明1と同一であるとはいえない。

ウ 本件発明2?4、7、9?12について
本件発明2?4、7、9?12は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記イで本件発明1について述べたのと同じ理由により、先願発明と同一であるとはいえない。

エ 小括
したがって、本件発明1?4、7、9?12は、先願発明と同一であるとはいえず、取消理由3aにより、本件発明1?4、7、9?12に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すことはできない。
他に、本件特許の請求項1?4、6、7、9?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項5及び8は、上記第2及び第3で述べたように、本件訂正により削除されたので、請求項5及び8に係る申立ては却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用するモノマーの全量を基準として、
(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステル 10?70質量%、
(b)1種以上のC_(1?30)アルキル(メタ)アクリレート 10?80質量%
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマー 0.01?80質量%
を含有し、(a)、(b)および(c)の量は合計で100質量%となるモノマー組成物を重合させることによって得られ、1.5?3mol%のモル分岐度を有するポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項2】
15,000?350,000g/molの質量平均分子量(M_(w))を有する、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記モノマー組成物が、成分(a)として、(メタ)アクリル酸と、前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%含有する、請求項1または2記載のポリマー。
【請求項4】
前記モノマー組成物が、成分(b)として、1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレートと、1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートとの混合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記モノマー組成物が、
(a)(メタ)アクリル酸と、1,800?2,200g/molの数平均分子量を有するヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンとの1種以上のエステルを20?60質量%、
(b)1種以上のC_(1?4)アルキル(メタ)アクリレートを1.0?70質量%、および1種以上のC_(10?18)アルキル(メタ)アクリレートを0.1?10質量%、
(c)炭素原子を8?17個有する1種以上のスチレンモノマーを0.2?60質量%、含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項7】
前記ヒドロキシル化された水素化ポリブタジエンが、1,900?2,100g/molの数平均分子量を有する、請求項1から4までのいずれか1項または6記載のポリマー。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
ポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの製造方法であって、以下の工程:
(a)請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のモノマー組成物を用意する工程、および
(b)前記モノマー組成物において、ラジカル重合を開始する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項10】
潤滑剤組成物の粘度指数、40℃以下の温度での粘度および剪断抵抗を改善するための潤滑剤組成物用添加剤としての、請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマーの使用。
【請求項11】
(a)基油、および
(b)請求項1から4までのいずれか1項、6または7記載のポリアルキル(メタ)アクリレートポリマー
を含有する組成物。
【請求項12】
前記基油が、ポリα-オレフィン基油、APIグループIIIの基油、ポリα-オレフィン基油とAPIグループIIIの基油との混合物、またはAPIグループIIIの基油の混合物である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記基油を40?80質量%、および前記ポリマーを20?60質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。
【請求項14】
前記基油を50?99.5質量%、および前記ポリマーを0.5?50質量%含有する、請求項11または12記載の組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-05-28 
出願番号 特願2017-238789(P2017-238789)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C10M)
P 1 651・ 161- YAA (C10M)
P 1 651・ 854- YAA (C10M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 靖恵  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 近野 光知
井上 猛
登録日 2018-12-28 
登録番号 特許第6456468号(P6456468)
権利者 エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
発明の名称 改善された低温粘度および剪断抵抗を有する粘度指数向上剤  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  
代理人 二宮 浩康  
代理人 上島 類  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 バーナード 正子  
代理人 前川 純一  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 二宮 浩康  
代理人 バーナード 正子  
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