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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08G 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08G 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08G |
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管理番号 | 1364020 |
異議申立番号 | 異議2020-700136 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-28 |
確定日 | 2020-07-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6568252号発明「液状組成物及び被覆方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6568252号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6568252号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?2に係る特許についての出願は、平成30年3月1日(優先権主張 平成29年3月2日(日本)、平成29年8月21日(日本))の出願であって、令和1年8月9日にその特許権の設定登録がされ、同年8月28日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、令和2年2月28日に、本件特許の請求項1?2に係る特許に対して、特許異議申立人である佐藤 彰芳(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1?2に係る発明(以下、請求項1?2に係る発明を、順に「本件発明1」等といい、これらをまとめて、「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、整泡剤、及びリン化合物を含有し、 上記リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部であり、 上記リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み、 上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、 上記液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含む、 ことを特徴とする液状組成物。 【請求項2】 請求項1に記載の液状組成物と、ポリイソシアネート化合物とを混合して、基材に塗付し、当該基材をフォームで被覆することを特徴とする被覆方法。」 第3 特許異議申立書に記載された取消理由の概要 請求項1及び2に係る発明は、下記1?4のとおりの取消理由があるから、本件特許の請求項1及び2に係る特許は、特許法第113条第2号又は第4号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記4の甲第1号証?甲第10号証(以下、それぞれ「甲1」等という。)を提出する。 1 取消理由1(新規性) 請求項1に係る発明は、本件特許出願前に外国において、頒布された下記の甲1に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項に違反してされたものである。 2 取消理由2(進歩性) 2-1 請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲1に記載された発明、甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2-2 請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲2に記載された発明、甲1?10に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3 取消理由3(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3-1 本件発明1の「上記リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量であり」に関して、発明の詳細な説明には、本件特許発明の効果を奏する実施例として明示されている液状組成物は、リン化合物の混合物が、ポリオール化合物100重量部に対して24?271重量部の範囲にあるもののみであり、本件発明1及び2は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。 3-2 本件発明1の「上記リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み」に関して、発明の詳細な説明には、本件特許発明の効果を奏する実施例として明示されている液状組成物は、重量比で粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?41:59の範囲内のもののみであり、本件発明1及び2は発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。 4 証拠方法 甲1:中国特許出願公開第105330818号明細書 甲2:特開2003-231728号公報 甲3:「難燃剤データ集 主要難燃剤解説 ハロゲン化リン酸エステル」、online、日本難燃剤協会、[2020年2月25日検索]、インターネット、<URL:https://frcj.jp/2015/data/kaisetsu7.html> 甲4:“Aluminum Diethylphosphinate (CAS#225789-38-8) GreenScreen^(R)(当審注:Rは丸付文字。以下同様。) for Safer Chemicals (GreenScreen^(R)) Assessment”, ToxServices LLC, 2016年10月31日 甲5:「メチルホスホン酸ジメチル」、online、ChemicalBook Inc.社、[2020年2月5日検索]、インターネット、<URL:https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB8418753.htm> 甲6:国際公開第2015/128213号 甲7:西澤仁、「難燃性高分子材料(III) 難燃剤」、日本ゴム協会誌、第86巻、第11号、2013年、341?347頁 甲8:「職場の安全サイト 安全データシート りん酸クレジルジフェニル」、厚生労働省、2014年3月31日(作成日) 甲9:「SAFETY DATA SHEET EXOLIT OP 1230」、Clariant Produkte社、2015.8.14(印刷日) 甲10:「クラリアントケミカルズ株式会社 ホスフィン酸金属塩系 EXOLIT OP1200、OP1300、OP1400、OP900シリーズの特徴」、online、[2020年1月10日検索]、インターネット、 <URL:http://www.ogcorp.co.jp/clariant/nannen/organic-phosphorus.html> 第4 当審の判断 以下に述べるように、特許異議申立書に記載した取消理由1?3によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 1 取消理由1(新規性)及び取消理由2-1(進歩性)(甲1に記載された発明に基づくもの)について (1)甲号証に記載された事項 ア 甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明 甲1には次の記載がある(当審訳)。 (ア)「特許請求の範囲 1.以下を特徴とする難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料: 質量パーセントで、原料成分は以下を含む。 ポリエーテルポリオール 20?30% 触媒 35?45% 発泡剤 1?5% 整泡剤 1?5% 難燃剤化合物 2?8% ナノ相乗剤 25?35% ポリメチレンポリフェニルイソシアネート 2?5% ここで、難燃剤化合物は、難燃剤と炭素化剤との重量比1:1から5:1の混合物であり、難燃剤は、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン化合物、メラミンシアヌル酸塩、及び次亜リン酸塩(ホスフィン酸塩)の1つ以上の組み合わせ。 2.前記リン酸エステルが、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルエチルホスホネート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)およびレゾルシノール(ジフェニルホスフェート)、である、請求項1に記載の難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料。」 (イ)「背景技術 [0002]ポリウレタンフォームは優れた断熱材であり、同じ断熱効果の下で、ポリウレタンフォームの厚さはEPSの半分に過ぎない。ポリウレタンフォームは、微小孔密度が小さく、優れた機械的特性、低い熱伝導率、強力な断熱性、耐老化性、耐薬品性などの利点があるため、広く使用されている。シンプルな家、壁、暖房用パイプ、ドア、窓の断熱材として使用される。さまざまな物理的特性の要件に応じて、ポリウレタン硬質フォームはさまざまな形状にすることができる。また、成形のために現場で直接スプレーすることもできる。 ・・・ [0006]本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、より良好な環境保護、難燃性能、断熱性能および機械的特性を有する難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料を提供することである。 ・・・ [0008]上記の技術的問題を解決するために、本発明で採用される技術的解決手段は次のとおりである。 以下を特徴とする難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料: 質量パーセントで、原料成分は以下を含む。 ポリエーテルポリオール 20?30% 触媒 35?45% 発泡剤 1?5% 整泡剤 1?5% 難燃剤化合物 2?8% ナノ相乗剤 25?35% ポリメチレンポリフェニルイソシアネート 2?5% ここで、難燃剤化合物は、難燃剤と炭素化剤との重量比1:1から5:1の混合物であり、難燃剤はリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン化合物、メラミンシアヌル酸塩、及び次亜リン酸塩(ホスフィン酸塩)の1つ以上の組み合わせ。」 (ウ)「[0009]好ましくは、リン酸エステルが、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルエチルホスホネート、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である。また、レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)の1つ以上の組み合わせ。 ・・・ [0011]好ましくは、次亜リン酸塩(ホスフィン酸塩)が、次亜リン酸塩、ジエチルホスフィン酸塩(アルミニウムジエチルホスファイト、ADPなど)、フェニルホスフィン酸塩(フェニルホスフィネートなど)・・・の組み合わせである。 ・・・ [0014]好ましくは、触媒は、エチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、オクタン酸カリウム、および酢酸カリウムのうちの1つである。 [0015]好ましくは、整泡剤はシリコーン整泡剤であり、発泡剤は水である。 [0016]好ましくは、ナノ相乗剤は、ナノスラグ、ナノ膨張パーライト粉末、ナノモレキュラシーブおよびナノモンモリロナイトの1つまたは組み合わせである。」 (エ)「[0017]上記の難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料の調製方法は次のとおりである。 配合比に従ってポリエーテルポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤を量り取り、800?1200rpmの撹拌速度で30?90秒間混合し、その後、難燃剤化合物とナノ相乗剤を加えて続行する。30?90秒間撹拌し、最後にポリメチレンポリフェニルイソシアネートを加え、10?20秒間混合し続け、すぐに金型に流し込み、硬化および成形後、難燃性ポリウレタン硬化フォーム材料が得られる。」 (オ)「[0021]実施例1 この実施形態における難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料を調製するための原料配合は以下のとおりである: ポリエーテルポリオール4110 22% エチレンジアミン 3% 水 3% シリコーン整泡剤 2% ジエチルホスフィン酸アルミニウム 11% ピロリン酸ピペラジン 8% DMMP 11% ナノモレキュラーシーブ 5% ポリメチレンポリフェニルイソシアネート 35%」 (カ)甲1に記載された発明 甲1の特許請求の範囲には、質量パーセントで、ポリエーテルポリオール20?30%、触媒35?45%、発泡剤1?5%、整泡剤1?5%、難燃剤化合物2?8%、ナノ相乗剤25?35%、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート2?5%を含む難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料が記載され(上記(ア))、このような配合割合とすることにより、より良好な環境保護、難燃性能、断熱性能及び機械的特性を有する難燃性ポリウレタン硬質フォームを提供することを目的とすることが記載されている(上記(イ))。一方、実施例1には、所定の原料配合とした難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料が記載されている(上記(オ))。 一方、甲1の実施例1には、ポリエーテルポリオール4110を22%、エチレンジアミン3%、水3%、シリコーン整泡剤2%、ジエチルホスフィン酸アルミニウム11%、ピロリン酸ピペラジン8%、DMMP11%、ナノモレキュラーシーブ5%、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート35%からなる難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料が記載されており、エチレンジアミンは触媒であり、水は発泡剤であり、ジエチルホスフィン酸アルミニウムは難燃剤である次亜リン酸塩(ホスフィン酸塩)であり、ピロリン酸ピペラジンは炭素化剤であり、DMMPはメチルホスホン酸ジメチルであって(後記1(1)エの甲5)難燃剤であるリン酸エステルであり、ナノモレキュラーシーブはナノ相乗剤であると解される(上記(ウ))。 そして、甲1の特許請求の範囲と実施例1を比べると、実施例1における触媒、難燃剤及び炭素化材の混合物である難燃剤化合物、ナノ相乗剤、並びにポリメチレンポリフェニルイソシアネートの質量パーセントは特許請求の範囲と整合しない。また、甲1の記載全体を見ても、特許請求の範囲と上記実施例のいずれの配合割合が正しく記載されたものであるのかは不明であり、甲1にはその記載事項に重大な瑕疵があるといえる。そして、甲1の記載全体を見ても、特許請求の範囲及び上記実施例に記載されたそれぞれの配合割合とすることによる作用効果を具体的に確認することはできない。そうすると、甲1には、原料成分が特定され、配合割合は正しいといえず、作用効果が不明な難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料が記載されているといえる。 そして、上記難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料の調製方法は、ポリエーテルポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤を量り取って混合し、次に難燃剤化合物とナノ相乗剤を加えて撹拌した後、最後にポリメチレンポリフェニルイソシアネートを加えて混合するものであるから(上記(エ))、甲1には、ポリエーテルポリオール、触媒、整泡剤及び発泡剤の混合物に、難燃剤化合物とナノ相乗剤を添加したポリオール組成物であって、難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料を形成するための組成物も記載されているといえる。 そうすると、甲1には、実施例1に着目して、次の発明が記載されているといえる。 「ポリメチレンポリフェニルイソシアネートを混合して難燃性ポリウレタン硬質フォームを形成するためのポリオール組成物であって、ポリエーテルポリオール4110、エチレンジアミン、水、シリコーン整泡剤、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ピロリン酸ピペラジン、DMMP、ナノモレキュラシーブからなる、上記組成物。」(以下、「甲1発明」という。) イ 甲2に記載された事項 (ア)「【請求項1】 ポリイソシアネート成分と、ヒドロキシ成分、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液と、発泡剤とをミキシングヘッドで混合してエアレススプレー発泡させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、発泡剤としてハイドロフルオロカーボンをミキシングヘッド又はミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合する方法であって、該配合液及び/又はポリイソシアネート成分の粘度が20℃において500mPa・s以下であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」 (イ)「【0008】 【発明が解決しようとする課題】ヒドロキシ成分であるポリオールに対する溶解性が低く、プレミックス安定性に劣るHFC245faやHFC365mfcであっても、特許第3309335号公報の方法に従って、ヒドロキシ成分に触媒や整泡剤等と共に混合せずに、このようにミキシングヘッド又はミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合することにより、良好な発泡安定性のもとに硬質ポリウレタンフォームを製造することが可能となるが、より一層の発泡安定性の改善が望まれる。 【0009】本発明は、発泡剤として、特にHFC245fa及び/又はHFC365mfcを用いる場合の発泡安定性をより一層改善し、高品質の硬質ポリウレタンフォームを安定に製造することができる硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することを目的とする。」 (ウ)「【0021】(2) ヒドロキシ成分 ヒドロキシ成分としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸等の多塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール等のヒドロキシ化合物との重縮合反応、或いはラクトン類の開環重合によって得られるポリエステルポリオールや、グリセリン、シュークロース、エチレンジアミン、トリレンジアミン等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオール類などがあり、各々単独で或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。」 (エ)「【0038】また、本発明においては、上記以外の任意の成分、例えば難燃剤、充填剤等も本発明の目的を妨げない範囲で使用することができる。 【0039】本発明においては、ヒドロキシ成分、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液(この配合液は発泡剤を含んでいても良い。)、及び/又はポリイソシアネート成分として、20℃における粘度が500mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下のものを用いる。配合液及び/又はポリイソシアネート成分の20℃における粘度が500mPa・sを超えると、ミキシングヘッド又はミキシングヘッドに到る導管に、HFC245fa及び/又はHFC365mfcを直接導入して混合する場合に、HFC245fa及び/又はHFC365mfcの混合性が十分でなく、本発明による発泡安定性の改善効果を得ることができない。本発明においては、配合液とポリイソシアネート成分との混合安定性の面から、特に、配合液及びポリイソシアネート成分として共に20℃における粘度が500mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下のものを用いることが望ましい。」 (オ)「【0041】一方、配合液については、粘度低減のために、その他の助剤として発泡剤、整泡剤又は触媒として作用する化合物以外の化合物であって、1分子中の活性水素の数が0又は1である低AH化合物を、ヒドロキシ成分100重量部に対して総重量部数で10?40重量部含有することが好ましい。配合液にこのような低AH化合物を含有させることにより、配合液の粘度を低下させることができ、HFC245fa及び/又はHFC365mfcの混合性を高めることができる。 【0042】この低AH化合物としては、難燃剤、可塑剤として添加される化合物などがあり、リン酸エステル系化合物及び/又はアルキルフェノール系化合物が、粘度低減効果に優れるのみならず、フォームの燃焼性を抑制し、高い難燃性を得ることができることから好ましい。 【0043】このような低AH化合物としては、具体的には、次のようなものが挙げられる。即ち、リン酸エステル系化合物としては、難燃剤として添加されるトリスモノクロロプロピルフォスフェート、ジメチルメチルフォスフェートや、可塑剤として添加されるトリクレジルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等が挙げられる。また、アルキルフェノール系化合物としては、難燃剤やヒドロキシ成分相互の相溶化剤として添加されるノニルフェノールやノニルフェノールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを開環付加重合させた化合物等が挙げられる。」 (カ)「【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。 【0050】なお、実施例及び比較例における硬質ポリウレタンフォームの製造に用いた原料は次の通りである。 【0051】ポリオールA: 第一工業製薬(株)製 マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール(ノニルフェノールをジエタノールアミンとホルムアルデヒドによりマンニッヒ変性して得られた末端変性基に、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオール) 水酸基価: 750mg-KOH/g 粘度(25℃): 1700mPa・s ポリオールB: 東邦理化(株)製 フタル酸/ノナン酸ベースポリエステルポリオール(ジエチレングリコールと、酸成分としてのフタル酸及びノナン酸とから得られたポリエステルポリオール。ポリオールB中のノナン酸ベースポリエステルポリオールの割合は20重量%で、残部がフタル酸ベースポリエステルポリオールである。) 水酸基価: 270mg-KOH/g 粘度(25℃): 390mPa・s ポリオールC: 東邦理化(株)製 o-フタル酸ベースポリエステルポリオール「PL-2001」 水酸基価: 260mg-KOH/g 粘度(25℃): 980mPa・s ポリオールD: 東邦理化(株)製 ジエチレングリコール及びノニルフェノールと、m,p-フタル酸とから得られたポリエステルポリオール「PL JP-801」 水酸基価: 295mg-KOH/g 粘度(25℃): 500mPa・s ポリオールE:東邦理化(株)製 フタル酸ベースポリエステルポリオール「PL-252」 水酸基価:250mg-KOH/g 粘度(25℃):3500mPa・s ポリオールF: 東邦理化(株)製 テレフタル酸/ノナン酸/ステアリン酸ベースポリエステルポリオール(トリエチレングリコール及びジエチレングリコールと、酸成分としてのフタル酸、ノナン酸及びテレフタル酸とから得られたポリエステルポリオール。ポリオールF中のノナン酸ベースポリエステルポリオール及びステアリン酸ベースポリエステルポリオールの割合は合計で20重量%で、残部がフタル酸ベースポリエステルポリオールである。) 水酸基価: 190mg-KOH/g 粘度(25℃): 900mPa・s ポリオールG: 第一工業製薬(株)製 マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール(ノニルフェノールをホルムアルデヒドとジエタノールアミンによりマンニッヒ変性して得られた末端変性基に、プロピレンオキサイドを開環付加重合して得られたポリエーテルポリオール) 水酸基価: 315mg-KOH/g 粘度(25℃): 1300mPa・s ポリイソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製 粗製ジフェニルメタンジイソシアネート「コロネート1156」(NCO%:30.5) 難燃剤A:大八化学(株)製 「TCPP」(トリスモノクロロプロピルフォスフェート) 難燃剤B:アクゾノーベル(株)製 トリブチルフォスフェート(低AH化合物) 整泡剤: 東レダウコーニングシリコン(株)製「SH193」(ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー) 触媒A: 花王(株)製 テトラメチルヘキサメチレンジアミン「カオライザーNo.1」 触媒B: 日本化学産業(株)製 オクチル酸カリウム溶液「プキャット15G」 触媒C: 日本化学産業(株)製 オクチル酸鉛のフタル酸ジオクチル溶液「ニッカオクチックス」(鉛濃度17重量%) 発泡剤A: 旭硝子(株)製 1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa) 発泡剤B: 旭硝子(株)製 1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc) 発泡剤C: 水 【0052】また、エアレス混合タイプの高圧スプレー発泡機システムとしては、図1に示す構成のガスマーモデルHF1600ユニット(ガスマー社製)を用いた。 【0053】実施例1?5、比較例1,2 表1に示す配合処方に従ってまず配合液Aを調製すると共に、発泡剤Aとポリイソシアネートとを用意した。次いで、図1に示すように、タンク10からの配合液Aとタンク11からのポリイソシアネートは各々メインポンプ3A,3Bから、ボンベ12A,13Bからの発泡剤Aは、窒素ガスボンベ13A,13Bからの窒素ガスにより背圧約5kg/cm^(2)をかけながら各々サブユニットポンプ(ガスマー社製:発泡補助剤比例ポンプ)4A,4Bから、表1に示す混合割合となるようにそれぞれミキサー2A,2Bに圧送し、ヒーター6,ホースヒーター7を経てミキシングヘッド8から、縦910mm、横910mm、厚さ10mmの珪酸カルシウム板に室温(8?10℃)の雰囲気下でスプレー発泡した。なお、原料の吐出時温度は35℃とし、エアポンプのシリンダー5の空気圧は0.5MPaとなるように電磁バルブ14の開度を調整した。また、珪酸カルシウム板の温度は雰囲気温度と等しく設定した。硬質ポリウレタンフォームは、スプレーの1層の厚さを5?10mm程度とし、下吹き層を含め3回積層し、総厚みが25mm程度になるように吹き付けた。 【0054】なお、イソシアネート指数は表1に示す通りであり、20℃における配合液Aの粘度及び比重と、ポリイソシアネートの粘度及び比重は表1に示す通りである。また、調製された配合液Aの安定性、発泡剤Aの混入安定性は表1に示す通りであった。 【0055】表1中、※1の発泡剤Aの混合量(体積%)は下記式により算出される値である。 【0056】 【数1】 ・・・ 【0057】用いたエアレススプレー発泡機は、図1に示すようにサブユニットを2系統有するものであり、サブユニットポンプ4A,4Bは上記式で算出される発泡剤Aの混合量として、最大混合量が各々4体積%で合計で8体積%である。 【0058】得られた硬質ポリウレタンフォームについて、コア密度を測定すると共に、フライアビリティの評価を行い、結果を表1に示した。なお、コア密度はJISA 9526:1994に準拠して測定した。また、フライアビリティの程度はフォームの感触によって評価した。また、施工性(スプレーパターン)を下記の評価基準で評価し、結果を表1に併記した。良好:床面より1mの高さからスプレーガンを床に対し鉛直に向けて1秒間発泡したときに形成されるフォームの径が35?45cmであるもの。不良:上記フォームの径が35cm以下であるもの。 【0059】 【表1】 【0060】表1より、本発明によれば、良好な施工性のもとに、高品質の硬質ポリウレタンフォームを得ることができることがわかる。」 ウ 甲4に記載された事項 甲4には次の記載がある。 (ア)「Chemical Name: Aluminum diethylphosphinate ・・・ Also called: Exolit OP 930; Exolit OP 935; Exolit OP 945; Exolit OP 1230; Exolit OP 1240; Aluminium diethylphosphinate; Aluminium tris(diethylphosphinate) 」(2頁9?13行) (当審訳:化学名:ジエチルホスフィン酸アルミニウム ・・・ 別名:Exolit OP 930; Exolit OP 935; Exolit OP 945; Exolit OP 1230; Exolit OP 1240; ジエチルホスフィン酸アルミニウム;トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム (イ)「Physicochemical Properties of Aluminum Diethylphosphinate Aluminum Diethylphosphinate is a white, fine-grade powder under standard temperature and pressure. ・・・ Table 3: Physical and Chemical Properties of Aluminum diethylphosphinate (CAS #225789-38-8) Property Value Reference Molecular formula 3[C_(4)H_(11)PO_(2)].Al U.S.EPA 2014 ・・・ Physical state Solid U.S. EPA 2014 Appearance White,fine-grade powder Clariant2010 ・・・ Density/specific gravity 1.2 g/cm^(3) at 4℃ NICNAS 2005 U.S. EPA 2015b ・・・ 」(5頁25行?6頁4行) (当審訳:ジエチルホスフィン酸アルミニウムの物理化学的特性 ジエチルホスフィン酸アルミニウムは、標準温度及び圧力下で白色の微粉末である。・・・ 表3:ジエチルホスフィン酸アルミニウム(CAS #225789-38-8)の物理的および化学的特性 特性 数値 参照 分子式 3[C_(4)H_(11)PO_(2)].Al U.S. EPA 2014 物理状態 固体 U.S. EPA 2014 外観 白色、微細粉 Clariant 2010 ・・・ 密度/比重 1.2g/cm^(3)(4℃) NICNAS 2005 U.S. EPA 2015b) エ 甲5に記載された事項 甲5には次の記載がある。 「メチルホスホン酸ジメチル ・・・ CAS番号:756-79-6 化学名:メチルホスホン酸ジメチル 別名:メチルホスホン酸ジメチル;ジメチル=メチルホスホナト;ジメチル=メチルホスホナート;ジメチルメチルホスホナート 英語化学名:Dimethyl methylphosphonate 英語別名:DMMP;Metaran;pyroldmmp;NSC62240;fyroldmmp;Fyrol dmmp;NCI-C54762;Pyrol DMMP;Reoflam DMMP;Furan tf 2000 ・・・ Molecular Formula:C3H9O3P Formula Weight:124.08 ・・・ メチルホスホン酸ジメチル 物理性質 融点:<50° 沸点:181℃(lit.) 比重(密度) :1.145g/mL at 25℃(lit.) ・・・ 外見:Liquid 色:Clear colorless 比重:1.16 ・・・」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「ポリメチレンポリフェニルイソシアネート」、「難燃性ポリウレタン硬質フォーム」、「ポリオール組成物」、「ポリエーテルポリオール4110」及び「シリコーン整泡剤」は、本件発明1の「ポリイソシアネート化合物」、「フォーム」、「液状組成物」、「ポリオール化合物」及び「整泡剤」に相当する。 また、上記(1)ア(カ)で述べたように、甲1発明の「エチレンジアミン」は触媒であり、「水」は発泡剤として添加されたものであり、リン酸エステルである「DMMP」(メチルホスホン酸ジメチル、上記(1)エの甲5)、有機リン酸エステル化合物の一種であるから、甲1発明の「DMMP」は、本件発明1の「有機リン酸エステル化合物」に相当し、次亜リン酸塩(ホスフィン酸塩)である「ジエチルホスフィン酸アルミニウム」は、本件発明1の「ホスフィン酸塩化合物」に相当する。また、甲1発明の「ピペラジンピロリン酸」も、本件発明1の「リン化合物」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、「ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、整泡剤、及びリン化合物を含有し、 上記リン化合物は、ホスフィン酸塩化合物と有機リン酸エステル化合物を含む、液状組成物。」の点で一致し、次の点で相違する。 相違点1a:本件発明1は、「上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、上記液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含」み、「粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含」むのに対して、甲1発明1は、「ジエチルホスフィン酸アルミニウム」及び「DMMP」の物理状態(粉状、液状の区別)が不明であり、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含むか不明である点。 相違点1b:本件発明1は、「上記リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部であ」るのに対して、甲1発明1は、「ジエチルホスフィン酸アルミニウム」、「ピペラジンピロリン酸」及び「DMMP」の混合量が、「ポリエーテルポリオール4110」100重量部に対して10?1000重量部であるかが不明である点。 なお、本件明細書には、「粉状、液状等の状態は、20℃における各成分単体の状態を表すものである」(段落【0024】)と記載されている。 イ 検討 (ア)相違点1aについて 甲1発明は、上記(1)ア(カ)で述べたように、難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料の配合割合に関して重大な瑕疵があり、各成分の重量を特定することはできないものであり、「ジエチルホスフィン酸アルミニウム」、「ピペラジンピロリン酸」及び「DMMP」の混合量も特定されておらず、これらの重量比を算出することはできないから、甲1発明は、本件発明1のように「粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含」むものであるとはいえない。 そうすると、相違点1は実質的な相違点であり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、甲1には、実施例1以外に、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ピペラジンピロリン酸及びDMMPを配合する場合の各混合量について何ら記載されていないから、甲1発明において、「粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含」むものにすることは動機づけられない。また、甲2、甲4及び甲5にも粉状リン化合物と液状リン化合物の重量比を上記範囲にすることを動機づける記載は見当たらない。 そうすると、甲1発明において、「粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み、上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、上記液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含む」ことは、甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 (イ)本件発明1の効果について そして、本件発明1は、「ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物について、その貯蔵安定性、施工作業性等を改善することができる。さらに、低熱伝導性、耐熱性等において優れた性能を有する均質なフォームが形成できる。」(本件明細書の段落【0009】)という優れた効果を奏するものであり、その効果は実施例1?36(後記3(1)ウ)から具体的に理解することができる。 (2)本件発明2について 被覆方法の発明である本件発明2は、本件発明1を直接引用するものであり、上記(1)で本件発明1について述べたように、甲1に記載された発明、並びに、甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件発明1は、相違点1bについて検討するまでもなく、甲1に記載された発明でないし、本件発明1及び2は、甲1に記載された発明、甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、取消理由1(新規性)及び取消理由2-1(進歩性)(甲1に記載された発明に基づくもの)によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由2-2(進歩性)(甲2に記載された発明に基づくもの)について (1)甲号証に記載された事項 ア 甲2に記載された発明 甲2には、ポリイソシアネート成分と、ヒドロキシ成分、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液と、発泡剤とをミキシングヘッドで混合してエアレススプレー発泡させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、発泡剤としてハイドロフルオロカーボンをミキシングヘッド又はミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合する方法であって、該配合液の粘度が20℃において500mPa・s以下である硬質ポリウレタンフォームの製造方法が記載されており(上記1(1)イ(ア))、上記配合液は、ポリイソシアネート成分と発泡剤とをミキシングヘッドで混合してエアレススプレー発泡させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造するものである。 また、甲2には、上記硬質ポリウレタンフォームの製造方法の具体例である実施例1の配合液として、ポリオールA(マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール、第一工業製薬(株)製)30重量部、ポリオールB(フタル酸/ノナン酸ベースポリエステルポリオール、東邦理化(株)製)50重量部、ポリオールD(ジエチレングリコール及びノニルフェノールと、m,p-フタル酸とから得られたポリエステルポリオール「PL JP-801」、東邦理化(株)製)20重量部、難燃剤A(「TCPP」(トリスモノクロロプロピルフォスフェート)、大八化学(株)製)20重量部、整泡剤(「SH193」(ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー)、東レダウコーニングシリコン(株)製)1重量部、触媒A(テトラメチルヘキサメチレンジアミン「カオライザーNo.1」、花王(株)製)1重量部、触媒B(オクチル酸カリウム溶液「ブキャット15G」、日本化学産業(株))4重量部、触媒C(オクチル酸鉛のフタル酸ジオクチル溶液「ニッカオクチックス」(鉛濃度17重量%)、日本化学産業(株)製)2重量部、発泡剤B(1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc、旭硝子(株)製))22重量部からなり、粘度が20℃において220mPa・sである配合液Aが記載されている(上記1(1)イ(カ))。 そうすると、甲2には、実施例1に着目して、次の発明が記載されているといえる。 「ポリイソシアネート成分と発泡剤とをミキシングヘッドで混合してエアレススプレー発泡させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造するための配合液であって、ポリオールであるマンニッヒ変性ポリエーテルポリオール30重量部、ポリオールであるフタル酸/ノナン酸ベースポリエステルポリオール50重量部、ジエチレングリコール及びノニルフェノールと、m,p-フタル酸とから得られたポリオールであるポリエステルポリオール20重量部、難燃剤であるトリスモノクロロプロピルフォスフェート(TCPP)20重量部、整泡剤であるジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー1重量部、触媒であるテトラメチルヘキサメチレンジアミン1重量部、触媒であるオクチル酸カリウム溶液4重量部、触媒であるオクチル酸鉛のフタル酸ジオクチル溶液2重量部、発泡剤である1,1,3,3-ペンタフルオロブタン22重量部からなり、粘度が20℃において220mPa・sである配合液」(以下、「甲2発明」という。) イ 甲3に記載された事項 甲3には次の事項が記載されている。 「主要難燃剤解説 ハロゲン化リン酸エステル ・・・ トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート (TCPP) CASE番号 13674-84-5」 ・・・ 製品は何れも液体で、ウレタンとは反応しません。」 ウ 甲6に記載された事項 甲6には次の記載がある(当審注:記載事項及び記載箇所は、申立人が甲6の翻訳文として提出した特表2017-506697号公報に基づく。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタン、少なくともシアヌル酸メラミン、リン酸の誘導体及びホスホン酸の誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の第1の含リン難燃剤(F1)、並びに、ホスフィン酸の誘導体からなる群から選択された少なくとも1種のさらなる含リン難燃剤(F2)を含む組成物。 【請求項2】 前記含リン難燃剤(F2)がホスフィン酸塩である、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 前記ホスフィン酸塩がホスフィン酸アルミニウム及びホスフィン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。 【請求項4】 前記含リン難燃剤(F1)がリン酸エステルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。 ・・・ 【請求項15】 請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケーブルシースの製造に使用する方法。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0014】 したがって、先行技術から続き、本発明は、優れた機械的特性を有し、優れた難燃性を示し、且つ、同時に優れた機械的及び化学的安定性を有する難燃の熱可塑性ポリウレタンを提供することを目的とする。」 (ウ)「【0027】 さらに、本発明の組成物は少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンを含む。原則として、熱可塑性ポリウレタンは公知である。典型的には、任意に少なくとも1種の(d)触媒及び/又は(e)通例の補助剤及び/又は添加剤の存在下で、成分(a)イソシアネートと、(b)イソシアネート反応性化合物と、任意に(c)鎖延長剤と反応させることにより製造される。成分(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、及び任意に(c)鎖延長剤は、個別に又は共に、構成成分とも称される。」 (エ)「【0082】 また、本発明は、コーティング、減衰要素(damping elements)、ベローズ(bellows)、フィルム又は繊維、成形部品、建物及び輸送の床、不織物、好ましくはシール、ローラー、靴底、ホース、ケーブル、ケーブルコネクタ、ケーブルシース、クッション、ラミネート、プロファイル、ベルト、サドル、フォーム、プラグコネクタ、垂下ケーブル(trailing cables)、太陽電池モジュール、自動車のトリムの製造に、上記の難燃の熱可塑性ポリウレタンの少なくとも1種を含む本発明の組成物を使用する方法に関する。好ましくは、ケーブルシースの製造に使用することである。好ましくは、該製造は、ペレットから、本発明の組成物の射出成形、カレンダー、粉末焼結又は押出により、及び/又は本発明の組成物のさらなる発泡により行われる。」 (オ)「【実施例】 【0105】 実施例は、本発明の組成物の向上した難燃性、優れた機械的特性及び低い排煙濃度を示す。 【0106】 1.原料 Elastollan 1185A10:1000の分子量を有するポリテトラヒドロフランポリオール(PTHF)、ブタン-1,4-ジオール及びMDIをベースとし、BASFポリウレタンGmbH,Elastogranstrasse60, 49448 Lemfordeから入手したショア硬度85AのTPU。 【0107】 Melapur MC 15 ED:CAS #が37640-57-6であり、BASF SE、67056 Ludwigshafen、ドイツから入手し、粒径D99%が50μm以下であり、D50%が4.5μm以下であり、含水量が0.1質量%未満であるシアヌル酸メラミン(1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミンを有する化合物(1:1)) 【0108】 Fyrolflex RDP:CAS #が125997-21-9であり、Supresta Netherlands B.V.,Office Park De Hoef,Hoefseweg 1,3821 AE Amersfoort、オランダから入手し、25℃での粘度が700mPas、酸価が0.1 mg KOH/g未満であり、含水量が0.1質量%未満であるレゾルシノールビス(ジフェニルホスファート)。 【0109】 Disflamoll DPK:CAS #が026444-49-5であり、LANXESS Deutschland GmbH,51369 Leverkusen,ドイツから入手し、酸価が0.1 mg KOH/g未満であり、含水量が0.1質量%未満であるリン酸クレジルジフェニル。 【0110】 Exolit OP 1230:CAS #が225789-38-8であり、Clariant Produkte (Deutschland) GmbH,Chemiepark knapsack,50351 Hurthから入手し、含水量が0.2質量%未満であり、平均粒径(D50)が20?40μm、ジエチルホスフィン酸アルミニウム。 【0111】 2.混合物の製造 下記の表2は、各成分を質量部で記載する組成物のリストである。混合物はそれぞれに、10個のバレル部に分け、35Dの軸長(screw length)を有する2軸押出機Berstoff ZE 40 Aを用いて製造する。 【0112】 【表1】 【0113】 3.機械的特性 混合部を有するスリーゾーンスクリュー(three-zone screw)(スクリュー比1:3)を備えるArenz一軸式押出機を用いて混合物を押出し、厚さ1.6mmのフィルムを得た。測定したパラメーターは、対応する試験試料の、使用したペレットのMFR、密度、ショア硬度、引張強度、引き裂き伝播抵抗及び破断点伸びであった。 【0114】 4.難燃性 難燃性を評価するため、厚さ1.6mmの試験試料をUL 94V(装置及び電器部品のプラスチック材料の可燃性試験のUL安全基準)に従ってテストする。 【0115】 難燃性を評価するため、ケーブル絶縁及びケーブルシースの従来の押出ライン(45mm直径の平滑管押出機)で、ケーブルを製造した。2.5:1の圧縮比を有する従来のスリーゾーンスクリューを使用した。 【0116】 まず、管状法で、0.1mmの個々の混合物を有する個々の混合物で、コア(8本の単線からなる撚線)を絶縁した。絶縁コアの直径は1.0mmであった。これらのコアの3つをより糸状にして、シェル(シェルの厚さが1mmである)を管状法で押出により適用した。ケーブル全体の外径は5mmであった。 【0117】 その後、VW1テスト(UL標準1581、§1080-VW-1(垂直試料)燃焼試験)をケーブルに対して行った。いずれの場合にも、試験を3つのケーブルに対して行った。」 エ 甲7に記載された事項 甲7には次の記載がある。 「2.2 りん系難燃剤 リン系難燃剤は,図1のようにリン酸エステル,赤リン,APP,ホスフィン酸金属塩,IFR系に分類できる.それらの分子構造を図5に,性状を表5に示す.その中でも使用量から見てリン酸エステルが主要な位置を占めている. ・・・ 表5 りん酸エステル系難燃剤の性状 名称 粘度cp(20℃) P含有量% 引火点℃ ・・・ 縮合型りん酸エステル RDP(レゾルシノルビス(ジフェニル)ホスフェート) 600 10.2 302 BDP(ビスフェノルAビスジフェニルホスフェート) 1,800 8.8 334 含ハロゲンりん酸エステル ・・・ TCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート) 68 9.3 219 ・・・ ホスフィン酸金属塩は,熱分解温度が300℃以上で高く,耐熱エンプラの加工温度で安定であるという特徴を生かした用途が期待される(表6).特にPA,PBT,PET等の耐熱エンプラ難燃材料への応用に期待されており,臭素系難燃剤と三酸化アンチモン併用系とほぼ同等の難燃性,物性が得られる(表7).」(344頁右欄2行?345頁左欄14行) オ 甲8に記載された事項 甲8には次の記載がある。 「 安全データシート りん酸クレジルジフェニル 作成日 2014年3月31日 1.化学品等及び会社情報 化学品等の名称 りん酸クレジルジフェニル (phosphoric acid cresyl diphenyl ester) ・・・ 9.物理的及び化学的性質 物理的状態 形状 液体 色 無色 臭い 非常にわずかな臭い ・・・ 融点・凝固点 -38℃:HSDB(2013) 沸点、初留点及び沸騰範囲 390℃(760 mm Hg):HSDB(2013) ・・・」 カ 甲9に記載された事項 甲9には次の記載がある。 (ア)「SAFETY DATA SHEET CLARIANT EXOLIT OP 1230 ・・・ SECTION 1.IDENTIFICATION Identification of the CLARIANT Produkte (Deutschland)GmbH company: ・・・ Trade name: EXOLIT OP 1230 ・・・ Primary product use: Flame retardants 」(1頁第1章) (当審訳:第1章.出所確認 製造元: クラリアント・プロダクト・ドイツ ゲーエムベーハー ・・・ 商品名: EXOLIT OP 1230 ・・・ 主な用途: 難燃剤) (イ)「SECTION 9. PHYSICAL AND CHEMICAL PROPERTIES Appearance : powder Colour : white ・・・ Density :1.35g/cm3(23℃) Method:92/69/EEC,A.3.」(4頁第9章) (当審訳:第9章.物理的および化学的特性 外観 :粉末 ・・・ 密度 :1.35g/cm3(23℃) 方法:指令92/69/EEC,A.3. ・・・) キ 甲10に記載された事項 甲10には次の記載がある。 「ホスフィン酸金属塩系 ・・・ EXOLIT OP1200、OP1300、OP1400シリーズ EXOLIT OPシリーズは、ガラス繊維入りポリアミドやPBT、PET等のポリエステルの難燃剤として、広く用いられてきました。 ・・・ 一方で、ハロゲンフリータイプのホスフィン酸金属塩系難燃剤であるEXOLIT OPシリーズは、従来の難燃剤に比べ、優れた電気特性、低比重、高い耐熱安定性に加えて、白色のため、部品の着色性に自由度を持たせることが可能です。 また、難燃剤自体の比重が小さいため、他の難燃剤に比べ製品の軽量化に寄与します。 特性データ OP1230 ・・・ ・・・ 密度(20℃、g/cm^(3)) 約1.35 ・・・ ・・・ 主な用途 芳香族PA ・・・」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 本件発明1と甲2発明は、発泡剤、触媒及び整泡剤を含有する点で共通する。また、甲2発明の「硬質ポリウレタンフォーム」、「配合液」及び「ポリオール」は、本件発明1の「フォーム」、「液状組成物」及び「ポリオール化合物」に相当する。そして、甲2発明の「難燃剤であるトリスモノクロロプロピルフォスフェート(TCPP)」は、本件発明1の「リン化合物」に相当する。 そして、甲2発明において、ポリオールA、ポリオールB及びポリオールDの配合量の合計は100重量部であり、リン化合物であるトリスモノクロロプロピルフォスフェート(TCPP)の配合量は20重量部であるから、本件発明1の「リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部」と重複一致する。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、 「ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、整泡剤、及びリン化合物を含有し、 上記リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部である、液状組成物」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点2:本件発明1は、「リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み、 上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、 上記液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含む」のに対して、甲2発明は、「難燃剤であるトリスモノクロロプロピルフォスフェート(TCPP)」を含む点。 イ 検討 相違点2について検討する。 甲3には、主要難燃剤であるハロゲン化リン酸エステルとして「トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)」が例示され、この製品が液体であることも記載されており(上記(1)イの甲3参照)、甲2発明の「トリスモノクロロプロピルフォスフェート(TCPP)」はトリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)のことであり、これは常温で液体であると解される。なお、このことは、本件明細書にも、液状リン酸化合物の具体例としてトリス(β-クロロプロピル)ホスフェートが記載されていることとも符合する(後記3(1)イの段落【0031】)。 しかしながら、甲2発明は、粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含むものではないし、甲2にはホスフィン酸塩化合物について何ら記載されていない。 一方、甲6には、熱可塑性ポリウレタン、シアヌル酸メラミン、ホスフィン酸塩およびリン酸エステルを含む組成物、当該組成物の具体例として、ホスフィン酸塩であるジエチルホスフィン酸アルミニウム(EXOLIT OP1230)と有機リン酸エステルであるレゾルシノールビス(ジフェニルホスファート)(Fyrolflex RDP)を含有する組成物(実施例I)、及び、上記ジエチルホスフィン酸アルミニウム(EXOLIT OP1230)とリン酸クレジルジフェニル(Disflamoll DPK)を含有する組成物(実施例II)が記載されている。 しかしながら、甲6に記載された組成物は、熱可塑性ポリウレタンを含む組成物であって(上記(1)ウ(ア)及び(ウ))、ポリオール化合物を含むものではなく、ポリウレタンフォームを形成するためのポリオール組成物でもない。また、甲6に記載された組成物が解決しようとする課題は、優れた機械的特性及び難燃性を有し、同時に優れた機械的及び化学的安定性を有する難燃の熱可塑性ポリウレタン組成物を提供することであり(上記(1)ウ(イ))、甲2発明の課題は、「発泡安定性をより一層改善し、高品質の硬質ポリウレタンフォームを安定に製造することができる硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供」することであって(上記1(1)イ(イ))、両者の課題は大きく異なるものである。 そうすると、甲2発明において、甲6に記載された事項を適用して、「上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含」むことが動機づけられるとはいえないし、ましてや、「粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含」むことが動機づけられるともいえない。また、甲1、甲3?甲5、甲7?甲10に記載された事項は、上記1(1)ア?ウ、上記2(1)エ?キのとおりであり、これらの記載に基づいて、甲2発明において、「リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み、上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、上記液状リン化合物として有機リン酸エステルを含む」ことが動機づけられるともいえない。 そして、上記1(2)イ(イ)で述べたように、本件発明1は、ポリオール組成物の貯蔵安定性、施工作業性等を改善し、そのフォームは低熱伝導性、耐熱性等において優れた性能を有するという効果を奏するものであり、そのような効果が、甲1?10の記載から予測し得るものであるとはいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明、甲1?甲10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2について 被覆方法の発明である本件発明2は、本件発明1を直接引用するものであり、上記(2)で本件発明1について述べたように、甲2に記載された発明、甲1?甲10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件発明1及び2は、甲2に記載された発明、甲1?甲10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、取消理由2-2(進歩性)(甲2に記載された発明に基づくもの)によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 3 取消理由3(サポート要件)について (1)発明の詳細な説明に記載された事項 本件明細書の発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている。 ア 「【0006】 本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、本発明の主たる目的は、ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物について、その貯蔵安定性、施工作業性等を改善すること、そして低熱伝導性、耐熱性等において優れた性能を有する均質なフォームを形成させることである。」 イ 「【0024】 本発明の液状組成物では、リン化合物として、粉状リン化合物と液状リン化合物とを特定比率で含む。本発明では、このような2種のリン化合物を含むことによって、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性等を高めることができる。また、ポリイソシアネート化合物との混和性が高まり(迅速かつ均一に混和する)、安定した施工を行うことができ、均質なフォームが形成できる。さらに、フォームの付着性、強度、耐熱性等においても有利な効果が得られる。なお、粉状、液状等の状態は、20℃における各成分単体の状態を表すものである。 【0025】 このような効果は、粉状リン化合物と液状リン化合物との相溶性が良く、液状リン化合物の存在によって、粉状リン化合物の分散性が高まる(粉状リン化合物の少なくとも一部が溶解したような状態で分散する)こと、さらに、形成されるフォームにおいては、粉状リン化合物がフォーム全体に均一に分散されること等によって奏されるものと考えられる。 ・・・ 【0028】 本発明において、粉状リン化合物としてはホスフィン酸塩化合物が好ましい。このようなホスフィン酸塩化合物の使用により、耐熱性等において一層優れた性能を得ることが可能となる。 ・・・ 【0030】 このようなアルキルホスフィン酸金属塩化合物は、例えば、アルキル亜スルホン酸及び/またはホスフィン酸及び/またはそれらのアルカリ金属塩を、遊離基開始剤の存在下にオレフィンと反応させて、アルキルホスフィン酸及び/またはそれらのアルカリ金属塩を得、さらに金属化合物と反応させること等によって得ることができる。具体的に、アルキルホスフィン酸金属塩化合物としては、例えば、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタン、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタン、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタン等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。この中でも特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウムが好適である。この中でも特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウムから選ばれるトリス(アルキルホスフィン酸)アルミニウムが好適である。 【0031】 液状リン化合物としては、例えば、有機リン酸エステル化合物等を使用することができる。有機リン酸エステル化合物としては、例えば、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステル、アリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。有機リン酸エステル化合物としては、具体的に例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート等が挙げられる。 【0032】 本発明では、特に、粉状リン化合物として上記ホスフィン酸塩化合物を用い、液状リン化合物として上記有機リン酸エステル化合物を用いることが好ましい。 【0033】 本発明において、リン化合物の混合量(粉状リン化合物と液状リン化合物との合計混合量)は、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部であり、好ましくは30?600重量部、より好ましくは50?400重量部である。リン化合物の混合量がこのような範囲内であれば、ハンドリング性、施工作業性、フォーム形成性、耐熱性等の点において十分な効果を得ることができる。 【0034】 リン化合物が上記混合量よりも少なすぎる場合は、耐熱性において十分な性能を得ることが困難となる。また、液状組成物の粘度が高くなりやすく、ポリイソシアネート化合物と混合した際、その均一な混和を迅速に行うことが困難となる。そのため、不十分な混和状態のまま発泡が開始してしまい、均質なフォームが得られず、付着不良等の異常が生じやすくなる。吹付け施工においては、圧力異常、詰まり等が生じるおそれもある。リン化合物が上記混合量よりも多すぎる場合は、フォームの付着性、強度等が不十分となるおそれがある。 【0035】 本発明において、粉状リン化合物と液状リン化合物の重量比は、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30であり、好ましくは2:98?60:40、より好ましくは3:97?50:50、さらに好ましくは5:95?40:60である。上記2種のリン化合物がこのような重量比であれば、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性、フォーム形成性、付着性、強度、耐熱性等の点において十分な効果を得ることができる。 【0036】 粉状リン化合物の重量比が上記範囲よりも小さすぎる場合は、耐熱性において十分な性能を得ることが困難となる。粉状リン化合物の重量比が上記範囲よりも大きすぎる場合は、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性、フォームの付着性や強度等が不十分となるおそれがあり、またフォームが炎や高熱に晒された際に割れ等が生じるおそれもある。」 ウ 「【実施例】 【0053】 以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。 【0054】 第1液として、表1に示す重量割合にて下記原料を均一に混合した液状組成物(第1液1?39)を用意した。なお、表1において、触媒については有効成分の量を記載している。 ・ポリオール化合物1:芳香族ポリエステルポリオール(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、粘度1900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:250mgKOH/g) ・ポリオール化合物2:芳香族ポリエステルポリオール(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、粘度17000mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:250mgKOH/g) ・ポリオール化合物3:脂肪族ポリエステルポリオール(コハク酸系ポリエステルポリオール、粘度9000mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:100mgKOH/g) ・ポリオール化合物4:芳香族ポリエーテルポリオール(マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール、粘度4000mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:350mgKOH/g) ・ポリオール化合物5:芳香族/脂肪族ポリエステルポリオール(フタル酸/アジピン酸系ポリエステルポリオール、粘度900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:350mgKOH/g) ・ポリオール化合物6:芳香族ポリエステルポリオール(フタル酸系ポリエステルポリオール、粘度3000mPa・s、酸価:160mgKOH/g、水酸基価:250mgKOH/g) ・発泡剤1:ハイドロクロロフルオロオレフィン ・発泡剤2:ハイドロフルオロオレフィン ・発泡剤3:水(水酸基価:6233mgKOH/g) ・触媒1:ヌレート化触媒(テトラアルキルアンモニウム有機酸塩) ・触媒2:樹脂化触媒(1,2‐ジメチルイミダゾール) ・触媒3:泡化触媒(ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル) ・粉状リン化合物1:ホスフィン酸塩化合物(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、平均粒径4μm、密度1.35g/cm^(3)) ・粉状リン化合物2:ホスフィン酸塩化合物(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、平均粒径10μm、密度1.35g/cm^(3)) ・液状リン化合物1:有機リン酸エステル化合物(トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、密度1.29g/cm^(3)) ・粉状難燃剤:水酸化アルミニウム(平均粒径2μm) ・二重結合化合物1:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度10mmol/g、水酸基価:0mgKOH/g) ・二重結合化合物2:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度11mmol/g、水酸基価:0mgKOH/g) ・二重結合化合物3:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度:10mmol/g、水酸基価:25mgKOH/g) ・整泡剤:シリコーン系整泡剤 【0055】 (1)貯蔵安定性 第1液について、製造後、20℃下にて14日間放置したときの外観変化を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。 ○:異常なし △:軽度の沈降、凝集等が発生 ×:著しい沈降、凝集等が発生 【0056】 次に、第2液として、ポリメリックMDIからなるもの(第2液1)を用意し、以下の試験を行った。 【0057】 第1液、第2液をそれぞれ40℃に加温し、これらを表2に示すイソシアネート指数となるように混合し、得られた混合液を基材(スレート板)に塗工し、発泡させて、基材の片面全体がフォームで被覆された試験体(厚み50mm)を得た。得られた試験体について下記の方法で各試験を実施した。第1液と第2液の組み合わせ、及びその結果を表2に示す。 【0058】 (2)フォーム形成性 形成されたフォームの状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。 ◎:均質なフォームが形成された。 ○:ほぼ均質なフォームが形成された。 △:フォームに一部異常(不均一発泡、付着不良等)が認められた。 ×:フォームに異常が認められた。 【0059】 (3)熱伝導率 試験体のフォーム部分を切り出し、熱伝導率計を用いて、熱伝導率を測定した。評価基準は以下のとおりである。 ○:熱伝導率が0.03W/(m・K)以下 ×:熱伝導率が0.03W/(m・K)超 【0060】 (4)耐熱性試験 ISO 5660に規定されるコーンカロリーメーターを用いて実施した。なお、加熱強度は50kW/m^(2)、加熱時間は5分、10分、20分でそれぞれ行った。評価項目及び評価基準は、以下のとおりである。 【0061】 (評価項目) (4-1)寸法変化 A:試験後の厚み方向の寸法変化が5mm以下 B:試験後の厚み方向の寸法変化が5mm超10mm以下 C:試験後の厚み方向の寸法変化が10mm超20mm以下 X:試験後の厚み方向の寸法変化が20mm超 (4-2)総発熱量 A:総発熱量が8MJ/m^(2)以下 X:総発熱量が8MJ/m^(2)超 (4-3)最大発熱速度 A:最大発熱速度が200kW/m^(2)以下 X:最大発熱速度が200kW/m^(2)超 【0062】 (評価基準) 【0063】 【表1】 【0064】 【表2】 【0065】 表1、2の結果から明らかなように、本発明の液状組成物(実施例1?36)は、経時的な沈降や凝集等が認められず、貯蔵安定性に優れ、施工作業性にも優れるものであった。また、本発明の液状組成物を用いて形成したフォームは、均質なものであり、熱伝導率が低く、耐熱性試験において、寸法変化、総発熱量、最大発熱速度等を十分に抑制することができ、さらにフォーム内に健全部を残存させることができ、優れた耐熱性を示すものであった。」 (2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。この点について、以下に検討する。 (3)本件発明が解決しようとする課題 本件発明が解決しようとする課題は、「ポリイソシアネート化合物と混合することによりフォームを形成する液状組成物について、その貯蔵安定性、施工作業性等を改善」し、「低熱伝導性、耐熱性等において優れた性能を有する均質なフォームを形成させる」ことができる液状組成物を提供することであると解される(上記(1)ア)。 (4)当審の判断 ア 本件発明1のリン化合物について 本件発明1は、「上記リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部であり、上記リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み、上記粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、上記液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含む」ものである。 イ 「粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み」「液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含む」2種のリン化合物を含むことについて 一方、発明の詳細な説明には、「発明の液状組成物では、リン化合物として、粉状リン化合物と液状リン化合物とを特定比率で含む。本発明では、このような2種のリン化合物を含むことによって、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性等を高めることができる。また、ポリイソシアネート化合物との混和性が高まり(迅速かつ均一に混和する)、安定した施工を行うことができ、均質なフォームが形成できる。さらに、フォームの付着性、強度、耐熱性等においても有利な効果が得られる。・・・このような効果は、粉状リン化合物と液状リン化合物との相溶性が良く、液状リン化合物の存在によって、粉状リン化合物の分散性が高まる(粉状リン化合物の少なくとも一部が溶解したような状態で分散する)こと、さらに、形成されるフォームにおいては、粉状リン化合物がフォーム全体に均一に分散されること等によって奏されるものと考えられる。」と記載され(上記(1)イの段落【0024】及び【0025】)、粉状リン化合物と液状リン化合物の2種のリン化合物を含むことによる作用効果が示されている。 また、発明の詳細な説明には、「本発明において、粉状リン化合物としてはホスフィン酸塩化合物が好ましい。このようなホスフィン酸塩化合物の使用により、耐熱性等において一層優れた性能を得ることが可能となる。」(上記(1)イの段落【0028】)、及び、「本発明では、特に、粉状リン化合物として上記ホスフィン酸塩化合物を用い、液状リン化合物として上記有機リン酸エステル化合物を用いることが好ましい。」(同じく段落【0032】)と記載され、粉状リン化合物としてホスフィン酸塩化合物を含み、液状リン化合物として有機リン酸エステル化合物を含むことにより、耐熱性等の一層優れた性能を得ることが示されている。 ウ 取消理由3-1(リン化合物の混合量)について 本件発明1の「リン化合物の混合量が、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量であり」に関して、発明の詳細な説明には、ポリオール化合物100重量部に対して、リン化合物を24重量部(実施例27)?271重量部(実施例13)の範囲内の量で添加した第1液1?32を調製し、これをポリメリックMDIからなる第2液と混合して、基材に塗工し発泡してフォームを形成した実施例1?36が記載されており(上記(1)ウ)、表1及び表2には、上記第1液1?36は貯蔵安定性に優れたものであり、それらを用いて形成したフォームは、フォーム形成性、熱伝導性、耐熱性に優れたものであったことが具体的に示されている。 また、発明の詳細な説明には、「本発明において、リン化合物の混合量(粉状リン化合物と液状リン化合物との合計混合量)は、ポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部であり・・・リン化合物の混合量がこのような範囲内であれば、ハンドリング性、施工作業性、フォーム形成性、耐熱性等の点において十分な効果を得ることができる。」及び「リン化合物が上記混合量よりも少なすぎる場合は、耐熱性において十分な性能を得ることが困難となる。また、液状組成物の粘度が高くなりやすく、ポリイソシアネート化合物と混合した際、その均一な混和を迅速に行うことが困難となる。そのため、不十分な混和状態のまま発泡が開始してしまい、均質なフォームが得られず、付着不良等の異常が生じやすくなる。吹付け施工においては、圧力異常、詰まり等が生じるおそれもある。リン化合物が上記混合量よりも多すぎる場合は、フォームの付着性、強度等が不十分となるおそれがある。」と記載されており(上記(1)イの段落【0033】及び【0034】)、リン化合物の混合量を特定することにより、ハンドリング性、施工作業性、フォーム形成性、耐熱性、フォームの付着性、強度などのバランスに優れることが示されている。 これらの記載から、当業者であれば、リン化合物の混合量がポリオール化合物100重量部に対して10?1000重量部の範囲内であれば、その範囲の比較的少ない含有量であっても、本件発明の上記課題を解決することを認識することができると解される。また、リン化合物の混合量が、10重量部以上24重量部未満や271重量部超1000重量部以下である場合に、上記課題を解決できないと解すべき本件出願日時点の技術常識は見当たらない。 エ 取消理由3-2(粉状リン化合物と液状リン化合物の重量比)について 本件発明1の「リン化合物は、粉状リン化合物、及び液状リン化合物を、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含み」に関して、発明の詳細な説明には、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99(実施例1)?41:59(実施例12)の重量比の範囲内の量で添加した第1液1?32を調製し、これをポリメリックMDIからなる第2液と混合して、基材に塗工し発泡してフォームを形成した実施例1?36が記載されており(上記(1)ウ)、表1及び表2には、上記第1液1?36は貯蔵安定性に優れたものであり、それらを用いて形成したフォームは、フォーム形成性、熱伝導性、耐熱性に優れたものであったことが具体的に示されている。 また、発明の詳細な説明には、「本発明において、粉状リン化合物と液状リン化合物の重量比は、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30であり・・・上記2種のリン化合物がこのような重量比であれば、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性、フォーム形成性、付着性、強度、耐熱性等の点において十分な効果を得ることができる。」及び「粉状リン化合物の重量比が上記範囲よりも小さすぎる場合は、耐熱性において十分な性能を得ることが困難となる。粉状リン化合物の重量比が上記範囲よりも大きすぎる場合は、貯蔵安定性、ハンドリング性、施工作業性、フォームの付着性や強度等が不十分となるおそれがあり、またフォームが炎や高熱に晒された際に割れ等が生じるおそれもある。」と記載されている(上記(1)イの段落【0035】及び【0036】)。 これらの記載から、当業者であれば、粉状リン化合物:液状リン化合物=1:99?70:30の重量比で含」む場合は、この範囲のうち、粉状リン化合物の重量比が比較的少なくても、本件発明の上記課題を解決できることを理解できると解される。また、粉状リン化合物:液状リン化合物が41:59超70:30以下の重量比である場合に、上記課題を解決できないと解すべき本件出願日時点の技術常識は見当たらない。 (5)まとめ したがって、発明の詳細な説明には、本件発明1及び2が、本件発明の上記課題を解決することができることを当業者が認識できるように記載されており、取消理由3(サポート要件)によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 なお、申立人は、本件発明1及び2において、リン化合物の混合量が10重量部以上24重量部未満、及び、271重量部超1000重量部以下である場合や、粉状リン化合物:液状リン化合物が41:59超70:30以下の重量比である場合に、上記課題を解決することが本件明細書に明らかにされていない旨の主張に関して、その技術的根拠を何ら具体的に提示していない。 第5 むすび 以上のとおり、申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?2に係る特許を取り消すことはできない。 他に、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-07-03 |
出願番号 | 特願2018-36185(P2018-36185) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(C08G)
P 1 651・ 113- Y (C08G) P 1 651・ 537- Y (C08G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 三原 健治 |
特許庁審判長 |
大熊 幸治 |
特許庁審判官 |
近野 光知 橋本 栄和 |
登録日 | 2019-08-09 |
登録番号 | 特許第6568252号(P6568252) |
権利者 | 株式会社エフコンサルタント |
発明の名称 | 液状組成物及び被覆方法 |