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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E02D
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  E02D
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  E02D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E02D
審判 全部申し立て 2項進歩性  E02D
管理番号 1364926
異議申立番号 異議2019-700739  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-17 
確定日 2020-07-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6485971号発明「耐荷重性構造のためのフーチング基礎におけるポリウレタンフォーム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6485971号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕、〔8?12〕について訂正することを認める。 特許第6485971号の請求項8?9、12に係る特許を維持する。 特許第6485971号の請求項1?7、10?11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6485971号に係る特許出願は、2015年(平成27年)1月15日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2014年1月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成31年3月1日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月20日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、令和1年9月17日に特許異議申立人 森谷 晴美(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし12に対して特許異議の申立てがされた。

その後の経緯は、以下のとおりである。
令和 1年12月24日(発送日): 取消理由通知
令和 2年 3月23日: 意見書の提出及び訂正の請求

なお、申立人に対して、令和2年3月23日付け訂正請求があった旨を通知(令和2年4月13日発送)したところ、指定期間内に申立人による意見書の提出はなかった。


第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和2年3月23日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。

(1)請求項1?7に係る訂正(以下、「本件訂正1」という。)
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(2)請求項8?12に係る訂正(以下、「本件訂正2」という。)
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項8に「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、10psiより大きい圧縮強度を有する」と記載されているのを、「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」に訂正する(請求項8の記載を引用する訂正後の請求項12も、同様に訂正する)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9について、請求項8の記載を引用する部分を、訂正事項1と同様に訂正する。また、請求項9に「前記ポリウレタンフォームは、前記ポリウレタン組成物の混合後、1乃至20分の間に硬化する」と記載されているのを、「前記ポリウレタンフォームは、前記ポリウレタン組成物の混合後、25℃にて1乃至20分の間に硬化する」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について
(1)本件訂正1
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正1の訂正事項1?7は、それぞれ訂正前の請求項1?7を削除するものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正1の訂正事項1?7は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
本件訂正1の訂正事項1?7は、それぞれ訂正前の請求項1?7を削除するものであるから、いずれも願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 一群の請求項、及び独立特許要件について
訂正前の請求項1?7について、請求項2?7はそれぞれ請求項1を引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1?7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
本件訂正1の訂正事項1?7は、一群の請求項である訂正前の請求項1?7について、請求項の削除を行うことで特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正1は、一群の請求項[1?7]に対して請求されたものである。
そして、本件においては、訂正前の請求項1?7について特許異議の申立てがされているから、本件訂正1の訂正事項1?7により特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1ないし7に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(2)本件訂正2
ア 訂正事項1について
(ア)訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正2の訂正事項1は、訂正前の請求項8において、「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」について、「10psiより大きい圧縮強度を有する」ものであったところ、「80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」として圧縮強度の範囲を限定するとともに、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下」という特定を追加するものであるから、訂正前の請求項8に係る発明を限定したものと認めることができる。
また、同訂正事項1は、訂正前の請求項8に係る発明を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正2の訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

(イ)新規事項の有無
本件訂正2の訂正事項1に関して、願書に添付した明細書の段落【0100】には、「フォーム密度は0.085gm/ccmであった。圧縮強度は80psiであった。」という「実施例4」が記載され、また同明細書の段落【0096】には、「この組成物は、0.10gm/ccmの硬化フォーム密度、及び、100psiの圧縮強度を有していた。」という「実施例1」が記載されているとともに、同明細書の段落【0101】には、「種々の原材料の濃度を調整することにより、フォームの物理的及び化学的特性が変更可能である。」と記載されている。
そのため、本件訂正2の訂正事項1において、「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」の特性につき、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」と限定した点は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行ったものと認めることができる。
したがって、本件訂正2の訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

イ 訂正事項2について
(ア)訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正2の訂正事項2のうち、訂正前の請求項9が訂正前の請求項8を引用する部分を、本件訂正2の訂正事項1と同様に訂正した点は、上記ア(ア)に示したと同様に、訂正前の請求項9に係る発明を限定したものと認めることができる。
また、本件訂正2の訂正事項2のうち、訂正前の請求項9における「前記ポリウレタンフォームは、前記ポリウレタン組成物の混合後、1乃至20分間の間に硬化する」という事項について、「25℃にて」という温度の特定を付加した点も、訂正前の請求項9に係る発明を限定したものと認めることができる
そして、本件訂正2の訂正事項2は、上記のとおり、訂正前の請求項9に係る発明を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(イ)新規事項の有無
本件訂正2の訂正事項2のうち、訂正前の請求項9が訂正前の請求項8を引用する部分を、本件訂正2の訂正事項1と同様に訂正した点は、上記ア(イ)に示したとおり、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行ったものと認めることができる
本件訂正2の訂正事項2のうち、ポリウレタンフォームを硬化させる温度を「25℃」と特定した点も、願書に添付した明細書の段落【0033】に、「フォームは、硬化する際に相当量の熱を発生させる。この発熱が、低温下での迅速な硬化を可能にする。例えば、25℃で硬化させたフォームは、0.080gm/ccのフォーム密度及び100psiの圧縮強度を有し得る。」と記載されていることから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行ったものと認めることができる。
したがって、本件訂正2の訂正事項2は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 訂正事項3及び4について
本件訂正2の訂正事項3及び4は、それぞれ訂正前の請求項10及び11を削除するものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で訂正を行うものである。
したがって、本件訂正2の訂正事項3及び4は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

エ 一群の請求項、及び独立特許要件について
訂正前の請求項8?12について、請求項9?12はそれぞれ請求項8を引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項8?12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
本件訂正2の訂正事項1?4は、一群の請求項である訂正前の請求項8?12について、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正2は、一群の請求項[8?12]に対して請求されたものである。
そして、本件においては、訂正前の請求項8?12について特許異議の申立てがされているから、本件訂正2の訂正事項1?4により特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項8ないし12に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3 申立人の主張
本件訂正請求があった旨を申立人に通知したところ、指定期間内に申立人からの応答はなく、申立人による本件訂正請求に対する意見の主張はなされていない。

3 まとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5ただし書第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1?7]、[8?12]について訂正を認める。


第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし12に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、請求項1ないし12に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】(削除)

【請求項2】(削除)

【請求項3】(削除)

【請求項4】(削除)

【請求項5】(削除)

【請求項6】(削除)

【請求項7】(削除)

【請求項8】
地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するように、前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの上に設置され取り付けられてなる柱か、あるいは、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含み、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する、基礎フーチングシステム。

【請求項9】
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、
前記ポリウレタン組成物を混合し、
該ポリウレタン組成物を前記穴に注入し、そして
該ポリウレタン組成物を発泡させることから製造され、
前記ポリウレタンフォームは、前記ポリウレタン組成物の混合後、25℃にて1乃至20分の間に硬化する、
請求項8に記載の基礎フーチングシステム。

【請求項10】(削除)

【請求項11】(削除)

【請求項12】
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが疎水性である、請求項8に記載の基礎フーチングシステム。」


第4 証拠一覧、異議申立理由及び取消理由の概要、並びに証拠の記載
1 証拠一覧
申立人により、申立書とともに提出された証拠を含め、本件における証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証: 米国特許第4966497号明細書
(1990年10月30日発行、
申立人が申立書に添えて提出)
甲第2号証: 米国特許第5466094号
(1995年11月14日発行、
申立人が申立書に添えて提出)
甲第3号証: 米国特許第3403520号
(1968年10月 1日発行、
申立人が申立書に添えて提出)
甲第4号証: 米国特許第3968657号
(1976年 7月13日発行、
申立人が申立書に添えて提出)
甲第5号証: 「ポリウレタンフォーム用シリコーン整泡剤、
No.F505 Ver.4」、
東レ・ダウコーニング株式会社、2009年7月
(申立人が申立書に添えて提出)
甲第6号証: 今井嘉夫、「ポリウレタンフォーム」、
第79頁-第83頁、高分子刊行会、
1987年5月20日
(申立人が申立書に添えて提出)
参考文献1: 特表2013-533915号公報
(平成25年8月29日公表、当審が職権で探知)
参考文献2: 特表2005-503873号公報
(平成17年2月10日公表、当審が職権で探知)

2 異議申立理由、及び取消理由の要旨
(1)申立人による異議申立理由
申立人による異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

ア(甲第1号証を主たる引用例とした新規性及び進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明と同一であるか、もしくは甲第1号証に記載された発明並びに甲第4?6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第29頁下から6行?同頁最終行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

イ(甲第2号証を主たる引用例とした新規性及び進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明と同一であるか、もしくは甲第2号証に記載された発明並びに甲第4?6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第37頁第6行?第11行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

ウ(甲第3号証を主たる引用例とした進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第3号証に記載された発明、並びに、甲第1?2号証及び甲第4?6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第43頁下から5行?第44頁第1行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

エ(明確性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明における「圧縮強度」の値について、硬質ポリウレタンフォームでは発泡方向と発泡方向に対して直角な方向とで差が生じるところ、測定試料のセルの発泡方向とその直角方向のどちらで測定した値であるか明確でなく、本件特許明細書においても「圧縮強度」の具体的な測定方法が記載されていない(申立書第44頁第2行?第18行)。
そのため、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)令和1年12月24日発送の取消理由
当審が令和1年12月24日(発送日)に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

ア(甲第3号証を主たる引用例とした新規性進歩性)
本件特許の請求項1ないし5及び8ないし12に係る発明は、甲第3号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。
また、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証ないし甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第6号証並びに参考文献1及び2に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。。

イ(甲第1号証を主たる引用例とした新規性進歩性)
本件特許の請求項1ないし6及び8ないし12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。
また、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第3号証に記載された発明並びに参考文献1に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。。

ウ(甲第2号証を主たる引用例とした新規性進歩性)
本件特許の請求項1ないし6及び8ないし12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。
また、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第3号証に記載された発明並びに参考文献1に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。。

エ(明確性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明における「圧縮強度」の値について、いずれの方向に測定した値であるのか明確でなく、本件明細書を参照してもその点が明らかとはならない。そのため、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない

3 証拠の記載
(1)甲第3号証
甲第1号証及び甲第2号証が、甲第3号証を援用していることを勘案し、甲第3号証の記載事項を先に認定する。

ア 記載事項
甲第3号証には、以下の事項が記載されている(英文後の仮訳は、申立人提出の抄訳を参考に、当審が括弧書きで付した。下線は、当審で付加した。また米国特許公報についての行番号は、実際の行数でなく、各頁中央の行番号に従った。以下、同様。)。

(ア)第1欄第9行-第22行
「ABSTRACT OF THE DISCLOSURE
A method for setting poles forms in ground a hole which is only slightly larger than the butt of the pole to be placed in the hole, places the pole in the hole in the desired position, partially fills the hole with a reaction mixture of a synthetic resin and a blowing agent, and permits the reaction to complete so as to expand and foam the resin into all the space between the pole and the sides of the hole. The expanded resin adheres to and seals the end of the pole, protecting it from moisture, chemicals and rodents and firmly sets the pole in the hole. The expanding resin fills all the voids, crevices and notches, both in the sides and bottom of the hole, as well as the butt of the pole itself.」
(開示の概要
柱を設置する方法は、穴に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を地面に形成し、柱を穴の所望の位置にし、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させる。発泡樹脂は、柱の端に付着してこれを密封し、水分、化学物質、げっ歯類から保護し、柱を穴内にしっかりと固定する。発泡樹脂は、穴の側面と底部の両方で、柱自体の基部におけると同様に、全ての空隙、隙間、窪みを満たす。)

(イ)第1欄第26行-第1欄第66行
「This application is an improvement of my United States patent application Ser. No. 433,292, filed Feb. 17, 1965, for Earth Boring Machines and Method of Setting Poles, now Patent No. 3,344,871.」
(この出願は、1965年2月17日に出願された、地球ボーリングマシンおよび柱設置方法に関する米国特許出願番号第433,292号、現在は特許第3,344,871号の、改良である。)
「Utility poles are used throughout the world for holding conductors or wires of one sort or another above the ground. The most commonly used utility pole in the United States is a wooden pole, although others of steel, aluminum, concrete, or the like have been used for various purposes and invarious amounts. The conventional method of setting wooden poles is to drill a hole with an auger, place the pole in the hole, balance the pole in its desired position, back-fill the hole with the removed dirt and then tamp the back-fill for supporting the pole in position. This, of course, requires that the hole be large enough to accommodate the pole and yet leave sufiicient room around the sides to tamp the back-fill dirt between the pole and the side walls of the hole. Conventionally, very little tamping of the back-fill dirt is accomplished until the void is mostly filled with dirt, thus leaving the bottom back-fill untamped or lightly tamped. The majority of poles used by utility companies are creosote treated, which is a creosote coating over most of the pole, but about a foot or so of the butt end of the pole is not treated due to the pole holding mechanism and the process for the creosote coating. This, of course, leaves an untreated end of the pole which goes underground. In areas of high moisture, or high chemical content of soil, for example alkaline or acid soil, or where rodents and vermin are prevalent, the unprotected butt of the pole is subject to deterioration. This can be quite rapid, requiring very early replacement of the pole. Metal poles have been tried in some instances; however, the metal causes an additional problem due to the electrical conductance of the metal of the pole, both with the carrying of electricity in the wires supported by the pole and electrical disturbances and changes in the atmosphere. Concrete poles, on the other hand, are expensive and normally too heavy to transport for any distance economically, and the handling of such very heavy poles considerably increases the cost of the transmission line.」
(地面より上で何らかの導体または電線を保持するために、世界中で電柱が使用されている。米国で最も一般的に使用される電柱は木製の柱であるが、スチール、アルミニウム、コンクリートなどの他の柱も、さまざまな目的でさまざまな規模で使用されている。木製の柱を設置する従来の方法は、掘削機で穴を開け、柱を穴内に配置し、柱を所望の位置にバランスさせたうえで、取り除かれた土砂で穴を埋め戻し、その後埋め戻した土砂を突き固めて柱を支持させるものである。この方法では、当然ながら、穴が柱を収納したうえで、なおかつ穴の側壁と柱との間で埋め戻した土砂を突き固めるだけの十分な空間が残るよう、穴を大きくする必要がある。従来、埋め戻した土砂の突き固めは、空隙がほぼ土砂で埋まるまでのわずかな程度しか行われず、そのため埋め戻した底の部分は、突き固められないか、軽く突き固められるにとどまっていた。電力会社が使用する大部分の柱はクレオソート処理されており、これは柱のほとんどを覆うクレオソートコーティングであるが、柱を保持するメカニズムとクレオソートコーティングのプロセスとのために、柱の基部端の約1フィート程度は処理がされない。そのため、地下に配置される柱の基部に、未処理の端部が当然に残ることとなる。水分が多い地域、またはアルカリ性または酸性土壌などの土壌の化学物質が多い地域、またはげっ歯類や害虫が蔓延している地域では、柱の保護されていない基部が劣化しやすくなる。劣化が非常に迅速な場合、柱の早期交換が必要となる。金属製の柱も場合により試されている;しかしながら、金属は、柱の金属の電気伝導性のために、柱が支持する電線による送電、及び大気中の電気的撹乱及び変化に関して、付加的な問題を引き起こす。他方、コンクリートの柱は、高価であるとともに、重すぎていかなる距離であっても経済的に輸送することができず、このように非常に重い柱を取り扱うことは、送電のコストを大幅に増加させる。)

(ウ)第1欄第67行-第2欄第63行
「According to the present invention, I have provided a method of installing poles or posts which includes forming a hole in earth which is only slightly larger than the pole end to be inserted in the hole. The space between the pole and the side of the hole is not sufiicient to accommodate tamping tools. The method includes partially filling the void between the post and the side of the hole with an expandible plastic foam material, and letting the reactants complete the reaction to form an expanded plastic, thereby completely filling the void between the pole and the wall of the hole and exerting pressure on the earth around the hole. The composition of the foam may be controlled so as to give the desired strength for securing the pole in its position. Among the advantages of setting the pole or post in this manner include:」
(本発明によれば、柱または標柱を設置する方法を提供し、この方法は、挿入される柱の端部よりわずかに大きい穴を地面に形成することを含む。柱と穴の側面との間のスペースは、突き固め機を用いるのに十分ではない。この方法は、柱と穴の側面の間の空隙を発泡性プラスチックフォーム材料で部分的に満たしたうえで、反応物に反応を完了させて膨張したプラスチックを形成し、それによって柱と穴の壁との間の空隙を完全に埋めて、穴の周囲の地盤に圧力を加えることを含む。発泡物の組成は、柱をその位置に固定するために望ましい強度を与えるように制御してよい。この方法で柱または標柱を設置する利点には、以下のものがある:)
「(1) The size of the hole formed in the ground may be reduced in diameter, reducing the cost of excavation, and the auger or drill has less chance of encountering rocks or obstructions which otherwise, in many cases, must be removed by hand. Further, in drilling or excavating in rock or hard earth conditions, the smaller diameter hole is easier, faster, and, therefore, more economical to produce.」
((1)地面に形成する穴のサイズとして、直径が小さくなり、掘削コストが削減される。掘削機又はドリルが、多くの場合人手で除去しなければならない岩あるいは障害物に遭遇する可能性が減る。さらに、岩または硬い地盤条件での掘削では、より小さな直径の穴はより簡単で、より速く、それゆえにより経済的に形成することができる。)
「(2) A tamping operation of back-fill is eliminated, as the material expands to completely fill the void between the pole and the earth side walls and sets up fast so as to secure the pole into the surrounding ground. This saves time, eliminates unnecessary expensive tamping.」
((2)材料が膨張して柱と側壁地盤との間の空隙を完全に埋め、柱を周囲の地面に固定する設置が速やかに行われるため、埋め戻した物を突き固める処理がなくなる。これにより時間が節約され、不必要かつ高価な突き固めが排除される。)
「(3) The plastic material forms a complete bond between the pole andearth and separates the pole from the surrounding ground, thereby protecting the pole from any deleterious effects of chemicals, moisture, or the like which may be in the ground surrounding the pole.」
((3)プラスチック材料が、柱と地盤との間に完全な結合を形成するとともに、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る化学物質、水分等の有害な影響から、柱を保護する。)
「(4) The plastic material coats the contacted pole portion, expanding into cracks and crevices in the pole and protects the part of the pole underground from attack by small animals or insects. Generally, untreated wooden poles may be used with the invention.」
((4)プラスチック材料が、当接した柱の部分を被覆し、柱のひび割れや裂け目に入り込むことにより、小動物や昆虫の害から柱の地中部分を保護する。本発明では、概して未処理の木製の柱を使用することができる。)
「(5) Considerably less total setting time is taken to bore the smaller hole, mix the ingredients, pouring the same into the void between the pole and the side walls, and permitting the plastic to set, thereby reducing the cost, both in equipment and in manpower in the setting of the poles.」
((5)より小さな穴を掘り、材料を混合して、柱と側壁との間の空隙に該材料を注ぎ、プラスチックを硬化させるという、設置に要する総合時間がかなりの程度短縮されるため、柱の設置に要する設備及び労力の両面で、コストが削減される。)
「(6) The plastic material adheres to the pole itself and does not contract away from the pole, thereby producing a larger amount of solid material at the butt of the pole, producing pressure on the earth around the hole, giving a firmer set in the earth. Normally, the boring of a hole of considerably larger diameter than the pole actually reduces the ground pressure per square inch surrounding the pole, permitting a tendency of the pole to sway in severe wind conditions; the smaller diameter hole maintains the earth pressure adjacent the pole and reduces the tendency of the pole to sway.」
((6)プラスチック材料が柱自体に固着し、柱から離れる方向に収縮しないため、柱の基部により大きな固体物質が生じ、柱の周囲の地盤に圧力がかかり、地盤に対するより強固な設置がなされる。通常、柱よりもかなり大きな直径の穴を開けると、柱を囲む平方インチ当たりの土圧が実際に低下し、風が強い条件では柱が傾く傾向を生じる;より直径の小さい穴は、柱に接する土圧を維持し、柱が傾く傾向を減らす。)
「(7) The setting of the pole in the hole is safer than inconventional methods as the mixing of the material and pouring the same in the hole is safer than the use of hand or mechanical tamping tools.」
((7)材料を混ぜて穴に注ぐことは、人手や機械的な突き固め工具を用いるよりも安全であるため、柱の穴への設置が従来の方法より安全となる。)
「(8) The plastic setting material provides a uniform setting of all poles, not dependent upon human actions or subject to the physical work, such as the tamping.」
((8)プラスチック材料による設置は、人の動作や突き固め等の物理的作業に依存することなく、全ての柱の設置に均一性をもたらす。)
「Included among the objects and advantages of the present invention is to provide a method for setting poles and posts in a hole only slightly larger than the butt of the pole or post to be placed therein, without tamping.」
(本発明の目的および利点には、突き固め作業を要することなく、柱又は標柱を、その基部よりわずかに大きい穴の中に配置し、設置する方法を提供することが含まれる。)

(エ)第3欄第13行-第4欄第2行
「In my co-pending application, above identified, there is described a hole forming tool for pressing a hole in ground which involves the forming of the hole by displacing the dirt from the path of the hole into the side walls, thereby compressing the dirt surrounding the side wall of the hole rather than actually augering out dirt from the hole. In loose soils this has the advantage of actually compacting the soil into which the pole is to be set. As shown in FIG. 1, a hole 10 is provided with annular or spiral grooves 12 in the side wall extending from the top down to about the bottom, formed by a device such as illustrated in my co-pending application, above identified. The bottom of the hole 14 is of a conical shape due to the shape of the hole forming tool. The action of forming tool is to displace the soil and compress it into the soil back of the surface of the wall 16 for a distance away from the hole, forming a compressed side wall for the hole. A pole 18 is set in the hole and a liquid resin material with a blowing or forming agent is poured into the void around the pole so that it ultimately expands and forms a foamed plastic orresin filler 20, completely filling the void between the pole and the wall. One very effective synthetic resin useful for the process is polyurethane which has been mixed with a blowing agent which liberates an inert gas during setting of the polyurethane, expanding the same and permitting it to harden in the expanded, cellular form. One foaming agent for the polyurethane is a polyisocyanate, and the chemical reaction is between the poly-ester resin, water and the polyisocyanate is to form a cellular structure by internal carbon dioxide formation and the polymerization or setting of the polyurethane. In certain instances it may be desirable to add an accelerator, for example a tertiary amine, for controlling the action. The density of the set foam is controlled by the amount of water and the amount of polyisocyanate used. It has been found that a 4 pound per cubic foot density of set foamed polyurethane material gives a strength of about 80 pounds per square inch strength, which is ample to secure a pole in position for most installations. The strength of the set resin, of course, may be varied by increasing or decreasing the density by controlling the amount of water and the polyisocyanate.」
(上述した係属中の他の出願には、地中の穴を押す穴形成具が記載されており、当該穴形成具では、穴の経路中の土砂を側壁に向けて移動させて穴を形成することにより、実際に掘削具で穴の外に土砂を排出するよりも側壁周辺の土砂を圧縮することを含む。この手法は、軟弱な土壌においては、柱を設置する土壌を実際上固める利点を有する。当該係属中の出願が示す装置により形成される穴10は、図1に示されるように、頂部から底部付近まで延びる側壁に環状または螺旋状の溝12が設けられている。穴の底部14は、穴形成工具の形状のために円錐形である。穴形成工具の動作は、土を移動させて、壁16の表面背後の穴から所定距離までの土の中へと押しつけ、穴の圧縮された側壁を形成する。柱18が穴に配置され、発泡剤または発泡剤を含む液体樹脂材料が、最終的には膨張して発泡プラスチックまたは樹脂充填物20を形成し、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くすように、柱の周囲の空隙に注がれる。この処理に有用な非常に効果的な合成樹脂の1つは、不活性ガスを放出する発泡剤と混合されたポリウレタンであり、発泡剤はポリウレタンの硬化中にガスを放出し、ポリウレタンを膨張させるとともに、膨張し気泡を有する形態でポリウレタンが硬化することを可能とする。ポリウレタンの発泡剤の1つはポリイソシアネートであり、化学反応は、ポリエステル樹脂、水、およびポリイソシアネートの間で行われ、内部二酸化炭素の生成とポリウレタンの重合または硬化によって気泡構造が形成される。ある場合には、反応を制御するために、促進剤、例えば三級アミンを加えることが望ましい場合がある。発泡構造の硬化後の密度は、使用する水の量とポリイソシアネートの量によって制御される。硬化後の発泡したポリウレタン部材の密度を立方フィート当たり4ポンドとすると、平方インチ当たり約80ポンドの強度が得られ、ほとんどの設置において柱を所定の位置に固定するのに十分であることがわかった。硬化後の樹脂の強度は、もちろん、水とポリイソシアネートの量を制御することにより密度を増加または減少させることで、変更することができる。)
「In the actual process of setting the poles, after the hole has been formed and the pole placed in the hole, the two liquid reaction ingredients are mixed or stirred together for about a minute and the mixture is then poured into the void between the pole and the side wall of the hole. By forming a hole of specific diameter and depth and utilizing a pole having a particular butt diameter, an exact amount of liquid ingredients may be poured together to form, after reaction, a suliicient foam which just fills the void to the top of the earth. The reaction of the mixture in the void takes about a minute or so, and, at the end of the reaction period, the plastic sets solidly enough to provide sufficient strength to support the pole in position. The resin, of course, continues to set and harden over a period of time, depending upon the temperature and ambient conditions, and usually at the end of forty-eight hours, generally has its ultimate strength. By forming the hole in the ground with the spiral grooves, the resin expands into the grooves, expands into the crevices and cracks in the hole and the pole, completely binding the pole into the hole. The spiral grooves provide an added safety feature of insuring that the solid resin is firmly setting the pole in the hole.」
(柱を設置する実際のプロセスでは、穴が形成され、柱が穴に配置された後、2つの液体反応成分が約1分間混合または攪拌され、次に混合物が柱と穴の側壁との間の空隙に注入される。特定の直径と深さの穴を形成し、特定の基部径の柱を用いることで、硬化後にちょうど地表まで空隙を満たすに十分な発泡物が得られる量の液体成分を、正確に注入することができる。空隙内での混合物の反応には約1分程度かかり、当該反応期間の終わりには、プラスチックが十分に固まり、柱を所定の位置に支持するのに十分な強度が得られる。もちろん、樹脂は一定期間硬化し続け、温度と周囲の条件に応じて、通常48時間経過した後には、その樹脂の最高の強度に至る。らせん状の溝を有する穴を地面に形成することにより、樹脂が溝内に広がり、柱と穴との隙間及び亀裂内、柱を穴に完全に結合することができる。らせん状の溝は、固体樹脂が柱を穴に強固に固定することを保証する追加的な安全構造を提供する。)

(オ)第4欄第37行-第42行
「As a typical example, a 16 diameter butt pole may be set in an 18 diameter hole about 5 feet deep, using about 7 pounds of liquid polyurethane containing sufficient blowing agent to produce a 4 pound per cubic foot plastic foam. Under most conditions, the expanded resin forms from 80 - 100 pounds per square inch strength material.」
(典型的な例として、直径16インチの柱基部を、深さ約5フィート、直径18インチの穴に配置し、十分な発泡剤を含む液体ポリウレタン約7ポンドを使用して、立方フィートあたり4ポンドのプラスチックフォームを生成する。ほとんどの条件下で、発泡樹脂は1平方インチ当たり80-100ポンドの強度の材質を形成する。)

(カ)請求項1
「1. A method of installing a pole or the like in earth comprising forming a hole in the earth; said hole being only slightly larger than the diameter of the pole to be set, and when a pole is set therein there is insufficient room for insertion of tamping tools; telescoping the end of the pole in said hole; partially filling the remaining portion of said hole with a liquid resin and a foaming agent; permitting said resin and foaming agent to react, thereby expanding and setting into a foamed resin completely filling the hole around said hole, adhering to said pole and the earth around said hole.」
(地面に穴を形成することを含む、地面に柱などを設置する方法であり;該穴は、設置する柱の直径よりもわずかに大きく、柱が穴に配置された際には突き固め機を挿入する十分な余地がないものであり;柱の基部を当該穴に挿入し;該穴の残りの部分を液体樹脂と発泡剤で部分的に満たし;前記樹脂と発泡剤を反応させ、それにより膨張硬化した発泡樹脂が、前記穴の周辺で前記穴を完全に満たし、前記柱と前記穴の周囲の地盤とを固着する、方法。)

(キ)図1
図1には、次の図示がある。



イ 技術的事項
(ア)柱の設置方法
上記ア(イ)より、甲第3号証には、柱として電柱などの柱を扱う、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(カ)より、甲第3号証には、地面に穴を形成することを含む、地面に柱を設置する方法、という技術的事項が記載されている。
整理すると、甲第3号証には、地面に穴を形成することを含む、地面に電柱などの柱を設置する方法、という技術的事項が、記載されている。

(イ)穴
上記ア(エ)より、甲第3号証には、地面に形成される穴が、底部及び側壁を有する、という技術的事項が記載されている。

(ウ)柱の配置
上記ア(ア)及び上記ア(ウ)より、甲第3号証には、柱のうち穴内に配置されるのは基部である、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(キ)の図1には、柱18が、穴10の中央に位置するように、柱18の基部が穴10内に配置されるとともに、柱18は穴10の上方に伸びる様子が示されている。
整理すると、甲第3号証には、柱は、穴の中央に位置するように、柱の基部が穴内に配置されて、穴の上方に伸びる、という技術的事項が記載されている。

(エ)穴の径と柱の径
上記ア(オ)及び上記ア(カ)より、甲第3号証には、穴の直径は、挿入される柱の基部の直径よりわずかに大きい、という技術的事項が、記載されている。

(オ)液体樹脂材料
上記ア(エ)及び上記ア(オ)より、甲第3号証には、柱と穴の側壁との間の空隙には、十分な発泡剤としてポリイソシアネートと、ポリエステル樹脂及び水とを含む液体ポリウレタンが、液体反応成分を混合した後に、液体樹脂材料として注入される、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(エ)より、甲第3号証には、液体樹脂材料には促進剤として三級アミンを加えてもよい、という技術的事項も記載されている。

(カ)液体樹脂材料の膨張及び硬化
上記ア(エ)より、甲第3号証には、液体樹脂材料は膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとなり、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くす、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(エ)より、甲第3号証には、空隙内での混合物の反応には約1分程度かかり、当該反応期間の終わりには柱を所定の位置に支持するのに十分な強度が得られる、という技術的事項が記載されている。

(キ)硬化後の発泡ポリウレタン
上記ア(エ)及び(オ)より、甲第3号証には、硬化後の発泡ポリウレタン部材は、密度が立方フィート当たり4ポンドであり、1平方インチ当たり80-100ポンドの強度を有する、という技術的事項が記載されている。

(ク)効果
上記ア(ウ)のうち「(3)」及び「(6)」に記載される「プラスチック材料」についての効果は、プラスチック材料を具体的に「ポリウレタン」とする上記ア(エ)及び(オ)の場合にも、奏するものと解される。
そのため、甲第3号証には、発泡ポリウレタンが柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされる、という技術的事項、及び、発泡ポリウレタンが、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る水分等の有害な影響から、柱を保護する、という技術的事項が、記載されている。

(ケ)構造
上記ア(エ)、上記ア(オ)、及び上記ア(キ)の図1の図示には、柱の設置構造自体も示されており、甲第3号証には、穴と柱及び硬化したポリウレタンを有する、柱の設置構造、という技術的事項も記載されている。
また、甲第3号証には、当該柱の設置構造についても、上記(イ)から(ク)に見た技術的事項を備えることが、記載されている。

ウ 記載された発明
上記ア及びイより、甲第3号証には、次の方法発明(以下、「甲3方法発明」という。)が記載されている。
「地面に穴を形成することを含む、地面に電柱などの柱を設置する方法であり、
地面に形成される穴は、底部及び側壁を有し、
柱は、穴の中央に位置するように、柱の基部が穴内に配置されて、穴の上方に伸び、
穴の直径は、挿入される柱の基部の直径よりわずかに大きく、
柱と穴の側壁との間の空隙には、十分な発泡剤としてポリイソシアネートと、水及びポリエステル樹脂とを含む液体ポリウレタンが、液体反応成分を混合した後に、液体樹脂材料として注入され、液体樹脂材料には促進剤として三級アミンを加えてもよく、
液体樹脂材料は膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとなり、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くし、
空隙内での混合物の反応には約1分程度かかり、当該反応期間の終わりには柱を所定の位置に支持するのに十分な強度が得られ、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、密度が立方フィート当たり4ポンドであり、1平方インチ当たり80-100ポンドの強度を有し、
発泡ポリウレタンが柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ、
発泡ポリウレタンが、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る水分等の有害な影響から、柱を保護する、
柱の設置方法。」

また、甲第3号証には、甲3方法発明により形成される、次の構造発明(以下、「甲3構造発明」という。)も記載されている。
「地面に電柱などの柱を設置した構造であり、
地面に形成され、底部及び側壁を有する穴と、
穴の中央に位置するように、柱の基部が穴内に配置されて、穴の上方に伸びる柱と、
気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとを有し、
穴の直径は、挿入される柱の基部の直径よりわずかに大きく、
柱と穴の側壁との間の空隙には、十分な発泡剤としてポリイソシアネートと、水及びポリエステル樹脂とを含む液体ポリウレタンが、液体反応成分を混合した後に、液体樹脂材料として注入され、液体樹脂材料には促進剤として三級アミンを加えてもよく、
液体樹脂材料は膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとなり、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くし、
空隙内での混合物の反応には約1分程度かかり、当該反応期間の終わりには柱を所定の位置に支持するのに十分な強度が得られ、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、密度が立方フィート当たり4ポンドであり、1平方インチ当たり80-100ポンドの強度を有し、
発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ、
発泡ポリウレタンが、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る水分等の有害な影響から、柱を保護する、
柱の設置構造。」

(2)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、次の事項が記載されている。

(ア)第1欄第5行-第12行
「FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates generally to a method of setting or resetting poles in the ground using foam polyurethane resin. It more particularly relates to the improvement of setting poles in a water environment using a non-volatile water-immiscible material without a halogenated hydrocarbon blowing agent.」
(発明の分野
本発明は、発泡ポリウレタン樹脂を使用して地面に柱を設置又は再設置する方法に関する。本発明は、特に、ハロゲン化炭化水素発泡剤を用いることなく、非揮発性で水不混和性物質を用いた、水環境下での柱の設置の改良に関する。)

(イ)第1欄第26行-第46行
「The present invention is an improvement in the invention disclosedin U.S. Pat. Nos. 3,968,657 to Hannay, 3,564,859 to Goodman and 3,403,520 to Goodman which describe related methods for resetting poles with foam plastic. The entire disclosures of U.S. Pat. Nos. 3,968,657, 3,564,859 and 3,403,520 are incorporated herein by reference.」
(本発明は、発泡樹脂を用いて柱を設置する方法を記載している、Hannayの米国特許第3,968,657号、Goodmanの米国特許第3,564,859号及びGoodmanの米国特許第3,403,520号に開示される発明の改良である。米国特許第3,968,657号、米国特許第3,564,859号及び米国特許第3,403,520号の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。)
「In brief, U.S. Pat. No. 3,403,520 describes a method of setting pole forms in the ground by making a hole which is only slightly larger than the butt of the pole to be placed in the hole, placing the pole in the hole in the desired position, partially filling the hole with a reaction mixture of a synthetic resin and a blowing agent and permitting the reaction to complete so as to expand the foam and resin into all the space between the pole and the sides of the hole. The expanded resin adheres to and seals to the end of the pole protecting it from moisture, chemicals and rodents and sets the pole in the hole. The expanding resin fills all the voids, surfaces, crevices and notches, both in the sides and bottom of the hole, as well as in the butt of the pole itself.」
(簡単に説明すると、米国特許第3,403,520号は、穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置する方法を記載している。発泡樹脂は、柱の端に付着してこれを密封し、水分、化学物質、げっ歯類から保護し、柱を穴内にしっかりと固定する。発泡樹脂は、穴の側面と底部の両方で、柱自体の基部におけると同様に、全ての空隙、隙間、窪みを満たす。)

(ウ)第1欄第57行-第61行
「SUMMARY OF THE INVENTION
An object of the present invention is an improved method for setting and resetting poles in soil with foaming polyurethane without using a halogenated compound as a blowing agent.」
(発明の概要
本発明の目的は、発泡剤としてハロゲン化合物を用いることなく、発泡ポリウレタンを用いて土壌中に柱を設置又は再設置する、改良された方法である。)

(エ)第1欄第62行-第2欄第8行
「Thus, in accomplishing the foregoing object, there is provided in accordance with one aspect of the present invention is the method of setting poles, resetting poles, ground line treatment of poles, encapsulation of pole treatment chemicals or the like with a foamed polyurethane composition wherein the improvement comprises the steps of in-situ formation of said composition by combining polyisocyanate, an organic active hydrogen containing component, a liquid water-immiscible component in an amount effective to allow formation of a film of sufficient strength for holding the pole in the presence of water, a catalyst and a non-ionic surfactant, said composition having a density of about 4 to 5 pounds per cubic feet and compression of at least about 75 PSI.」
(したがって、上記の目的を達成するために、柱の設置の方法、柱の再設置の方法、柱の接地線処理の方法、柱の処理薬品等を発泡ポリウレタン組成物によりカプセル化する方法が、本発明の一側面として提示され、本発明における改良は、ポリイソシアネート、活性水素含有有機成分、水の存在下で柱を支持する十分な強度を持つ発泡物を形成するのに十分な量の水不混和性液体成分、触媒及び非イオン性界面活性剤を混合して、その場で当該組成物を形成するステップを含み、当該組成物は、1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮を有する。)

(オ)第2欄第17行-第24行
「In a more preferred embodiment the composition is composed of 4, 4' diphenylmethal diisocyanate of about 40.2%, a petroleum hydrocarbon ESCOPOL A-135 of about 18.2%, an amine phenolic or polyether polyol or combination of both of about 33%, an aromatic solvent Exxon SC150 of about 6.8%, a silicone glycolcopolymer of about 0.7%, water of up to about 0.8%, aminophenol catalyst of about 0.2%.」(当審注、「4, 4' diphenylmethal diisocyanate」は、「4, 4' diphenylmethane diisocyanate」の誤記と認める。)
(より好ましい実施形態において、組成物は、約40.2%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、約18.2%の石油炭化水素ESCOPAL A-135、約33%のフェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、約6.8%の芳香族溶媒Exxon SC150、約0.7%のシリコーン・グリコールコポリマー、約0.8%までの水、約0.2%のアミノフェノール触媒から構成されている。)

(カ)第3欄第1行-第14行
「The present invention is an improvement on a method of setting poles, resetting poles, ground line treatment of poles, encapsulation of pole treatment chemicals or the like with a foam polyurethane composition wherein the improvement comprises the steps of in-situ formation of said composition by combining polyisocyanate, an organic active hydrogen containing component, a liquid water-immiscible component in an amount effective to allow formation of foam with sufficient strength for holding the pole in the presence of water, a catalyst and an non-ionic surfactant. Furthermore, after combining said materials the composition will have a density of about 4 to 5 pounds per cubic feet and a compression of at least about 75 PSI.」
(本発明は、柱の設置の方法、柱の再設置の方法、柱の接地線処理の方法、柱の処理薬品等を発泡ポリウレタン組成物によりカプセル化する方法の改良であり、本発明における改良は、ポリイソシアネート、活性水素含有有機成分、水の存在下で柱を支持する十分な強度を持つ発泡物を形成するのに十分な量の水不混和性液体成分、触媒及び非イオン性界面活性剤を混合して、その場で当該組成物を形成するステップを含む。さらに、前述の材料を混合した後の化合物は、1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮を有する。)

(キ)第3欄第15行-第25行
「The composition of the present invention utilizes conventional materials such as polyisocyanate and reactive resin components, but also includes a water-immiscible component and a catalyst. The water-immiscible component can be any of a large number of materials or even mixtures of materials. Preferably the water-immiscible component is a liquid having a low vapor pressure which is substantially non-reactive under the usual conditions of foam formation with either the resin or the polyisocyanate components used to form the polyurethane composition.」
(本発明の組成物は、ポリイソシアネートとの反応性樹脂成分などの従来の材料を利用するが、また水不混和性成分と触媒とを含む。水不混和性成分は多く材料のいずれか、又は複数の材料の混合物であってよい。好ましくは、水不混和性成分は低蒸気圧を有する液体であり、ポリウレタン組成物を形成するために使用されるポリイソシアネート成分及び樹脂のいずれとも、通常の条件の下で実質的に非反応性である。)

(ク)第3欄第47行-第54行
「"Water-immiscible" means that the solubility in water at about 70% F is less than about 5 grams per 100 grams of water and preferably less than about 1 gram per 100 grams of water. In a preferred embodiment, the water-immiscible component has no measureable solubility in water. Among the water-immiscible components are those described in U.S. Pat. No. 3,968,657 which is incorporated herein by reference.」
(「水不混和性」とは、約70°F(当審注;「70%F」は「70°F」の誤記と認める)の水への溶解度が、水100グラム当たり約5グラム以下、好ましくは約1グラム未満であることを意味する。好ましい実施形態では、水不混和性の成分は、水中への測定可能な溶解度を有していない。水不混和性成分の中には米国特許第3,968,657号に記載されたものが含まれ、米国特許第3,968,657号は参照により本明細書に組み込まれる。)

(ケ)第4欄第3行-第14行
「The Silcon glycolcopolmer can be selected from a variety of products. In the preferred embodiment dimethicone copolyol is used. An example of this is Dow Corning's 190 and 193 surfactants. The chemical formula is:



(シリコングリコールコポリマーは、種々の製品から選択することができる。好ましい実施形態では、ジメチコンコポリオールが使用される。その一例は、ダウ・コーニング190及び193の界面活性剤である。化学式は、次のとおりである:
(化学式の仮訳は省略))

(コ)第4欄第28行-第41行
「Catalysts are also known in the art and are important in facilitating the foaming reaction. In the preferred embodiment an aminophenol catalyst is used. For example, 2, 4, 6-Tri (demethylaminomethyl) phenol. An important characteristic of a catalyst is the foam formation time sequence. The sequence involves control of the reaction times to regulate the mix of material and the gel process. To maintain the specific strength for complete expansion, the mixing to gel time should be about 28-35 seconds. The rise and skin time should end just before the expansion time is completed. Thus, the rise and skin times end at approximately one hundred forty seconds. The exotherm expansion time starts at about 110 seconds and finishes at about 150 seconds.」
(触媒も当技術分野で知られており、発泡反応を促進するのに重要である。好ましい実施形態において、アミノフェノール触媒が使用される。例えば、2、4、6トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール。触媒の重要な特性は、発泡体形成の時間シークエンスである。当該シークエンスには、材料の混合とゲル化に要する反応時間の制御を含む。完全な膨張と所定の強度を維持するために、混合時間は約28から35秒であるべきである。上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるべきである。そのため、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了する。発熱膨張時間は約110秒で開始し約150秒で終了する。)

イ 技術的事項
(ア)柱の設置構造その1
上記ア(ア)及び(イ)から、甲第1号証には、「穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置」し、合成樹脂として「発泡ポリウレタン」を用いた、柱の設置構造、という技術的事項が、記載されている。

(イ)柱の設置構造その2
上記ア(ア)、上記ア(イ)及び上記ア(ウ)より、甲第1号証には、米国特許第3403520号明細書である甲第3号証において、発泡剤としてハロゲン化合物を用いないという、発泡ポリウレタン組成物に関する改善を行った、という技術的事項が記載されている。そして、甲第1号証においては、発泡ポリウレタン組成物に関する改善を行ったことを別として、甲第3号証における柱の設置方法、及び設置される柱の構造を変更した旨の記載はない。
これらのことから、甲第1号証には、参照により組み込んだ甲第3号証の記載を考慮すると、上記(1)ウに認定した甲3構造発明において、発泡ポリウレタン組成物の構成、及び該発泡ポリウレタン組成物の構成に依拠した特性及び反応時間を変更した、柱の設置構造、という技術的事項が記載されている。

(ウ)発泡ポリウレタン組成物の構成
上記ア(エ)及び上記ア(カ)より、甲第1号証には、発泡ポリウレタン組成物の材料に関して、「ポリイソシアネート、活性水素含有有機成分、水の存在下で柱を支持する十分な強度を持つ発泡物を形成するのに十分な量の水不混和性液体成分、触媒及び非イオン性界面活性剤を混合して、その場で当該組成物を形成する」という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(オ)より、甲第1号証には、好ましくは、「約40.2%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、約18.2%の石油炭化水素ESCOPAL A-135、約33%のフェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、約6.8%の芳香族溶媒Exxon SC150、約0.7%のシリコーン・グリコールコポリマー、約0.8%までの水、約0.2%のアミノフェノール触媒」から、発泡ポリウレタン組成物を構成する、という技術的事項が記載されている。
さらに、上記ア(ケ)より、甲第1号証には、シリコーン・グリコールコポリマーとして、上記ア(ケ)に摘記した化学式のダウ・コーニング190又は193の界面活性剤を用いる、という技術的事項が、記載されている。

(エ)発泡ポリウレタン組成物の特性
上記ア(エ)及び上記ア(カ)より、甲第1号証には、発泡ポリウレタン組成物の特性に関し、「1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮」を有する、という技術的事項が記載されている。

(オ)発泡ポリウレタン組成物の反応時間
上記ア(コ)より、甲第1号証には、発泡ポリウレタン組成物の反応時間に関し、混合時間は約28から35秒であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約110秒で開始し約150秒で終了する、という技術的事項が記載されている。

ウ 記載された発明
上記ア及び上記イ(ア)、上記イ(ウ)?(オ)より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されている。
「穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置し、
合成樹脂として発泡ポリウレタンを用いた、柱の設置構造であり、
ポリイソシアネート、活性水素含有有機成分、水の存在下で柱を支持する十分な強度を持つ発泡物を形成するのに十分な量の水不混和性液体成分、触媒及び非イオン性界面活性剤を混合して、その場で発泡ポリウレタン組成物を形成し、
好ましくは、約40.2%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、約18.2%の石油炭化水素ESCOPAL A-135、約33%のフェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、約6.8%の芳香族溶媒Exxon SC150、約0.7%のシリコーン・グリコールコポリマー、約0.8%までの水、約0.2%のアミノフェノール触媒から、発泡ポリウレタン組成物を構成し、シリコーン・グリコールコポリマーとしては下記化学式のダウ・コーニング190又は193の界面活性剤を用い、
混合時間は約28から35秒であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約110秒で開始し約150秒で終了し、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮を有する、
柱の設置構造。



また、上記ア及び上記イ(イ)?(オ)より、甲第1号証には、参照により組み込まれた甲第3号証の記載も考慮すると、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されている。
「地面に電柱などの柱を設置した構造であり、
地面に形成され、底部及び側壁を有する穴と、
穴の中央に位置するように、柱の基部が穴内に配置されて、穴の上方に伸びる柱と、
気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとを有し、
穴の直径は、挿入される柱の基部の直径よりわずかに大きく、
柱と穴の側壁との間の空隙には、ポリイソシアネート、活性水素含有有機成分、水の存在下で柱を支持する十分な強度を持つ発泡物を形成するのに十分な量の水不混和性液体成分、触媒及び非イオン性界面活性剤を混合して、その場で発泡ポリウレタン組成物を形成する液体樹脂材料が注入され、
好ましくは、約40.2%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、約18.2%の石油炭化水素ESCOPAL A-135、約33%のフェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、約6.8%の芳香族溶媒Exxon SC150、約0.7%のシリコーン・グリコールコポリマー、約0.8%までの水、約0.2%のアミノフェノール触媒から、発泡ポリウレタン組成物を構成し、シリコーン・グリコールコポリマーとしては下記化学式のダウ・コーニング190又は193の界面活性剤を用い、
液体樹脂材料は膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとなり、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くし、
液体樹脂材料の混合時間は約28から35秒であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約110秒で開始し約150秒で終了し、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮を有し、
発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ、
発泡ポリウレタンが、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る水分等の有害な影響から、柱を保護する、
柱の設置構造。



(3)甲第2号証
ア 記載事項
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。

(ア)第1欄第8行-第13行
「The present invention relates generally to a method of setting or resetting poles in the ground using rigid foam polyurethane resin. It more particularly relates to the improvement of setting poles in a wet environment using a more stable, non-volatile water-immiscible material without a halogenated hydrocarbon blowing agent.」
(本発明は、発泡ポリウレタン樹脂を使用して地面に柱を設置又は再設置する方法に関する。本発明は、特に、ハロゲン化炭化水素発泡剤を用いることなく、より安定な非揮発性で水不混和性物質を用いた、水環境下での柱の設置の改良に関する。)

(イ)第1欄第28行-第47行
「The present invention is an improvement in the invention disclosed in U.S. Pat. Nos. 3,968,657 to Hannay, 3,564,859 to Goodman, 3,403,520 to Goodman, and 4,966,497 to Kirby which describe related methods for resetting poles with foam plastic. The entire disclosures of U.S. Pat. Nos. 3,968,657, 3,564,859, 3,403,520, and 4,966,497 are incorporated herein by reference.」
(本発明は、発泡樹脂を用いて柱を設置する方法を記載している、Hannayの米国特許第3,968,657号、Goodmanの米国特許第3,564,859号、Goodmanの米国特許第3,403,520号、及びKirbyの米国特許第4,966,497号に開示される発明の改良である。米国特許第3,968,657号、米国特許第3,564,859号及び米国特許第3,403,520号、及び米国特許第4,966,497号の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。)
「In brief, U.S. Pat. No. 3,403,520 describes a method of setting pole forms in the ground by making a hole which is only slightly larger than the butt of the pole to be placed in the hole, placing the pole in the hole in the desired position, partially filling the hole with a reactive component mixture with a synthetic resin and a blowing agent and permitting the reaction to complete so as to expand the resinous foam into all the space between the pole and the sides of the hole. The expanded resinous foam adheres to and seals to the lower end of the pole protecting it from moisture, chemicals and rodents and sets the pole in the hole. The expanding resinous foam fills all the voids, surfaces, crevices and notches in the sides and bottom of the hole.」
(簡単に説明すると、米国特許第3,403,520号は、穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置する方法を記載している。発泡樹脂は、柱の端に付着してこれを密封し、水分、化学物質、げっ歯類から保護し、柱を穴内にしっかりと固定する。発泡樹脂は、穴の側面と底部の両方で、柱自体の基部におけると同様に、全ての空隙、隙間、窪みを満たす。)

(ウ)第2欄第3行-第8行
「An object of the present invention is an improved method for setting and resetting poles in soil with foaming polyurethane without using a halogenated compound as a blowing agent and decreasing the cost per unit of foam pole installation while retaining the physical characteristics of previous methods.」
(本発明の目的は、発泡剤としてハロゲン化合物を用いることなく、従来の方法の物理特性を維持したまま柱当たりの発泡物設置コストを低減し、発泡ポリウレタンを用いて土壌中に柱を設置又は再設置する、改良された方法である。)

(エ)第2欄第9行-第25行
「Thus, in accomplishing the foregoing object, there is provided in accordance with one aspect of the present invention the method of setting and resetting poles in the earth and encapsulation of pole treatment chemicals by forming a foamed polyurethane composition in situ, the improvement comprising the step of mixing a first component and a second component for an appropriate time and at an appropriate temperature to form a composition, wherein the first component is comprised of polyisocyanate, a stoichiometric deficiency of an organic active hydrogen-containing component, a liquid hydrocarbon, and a non-aromatic hydrocarbon-compatible solvent; and the second component is comprised of an amine phenolic or polyether polyol or a combination thereof, a non-ionic surfactant, and a catalyst and a blowing agent; and wherein the composition has a density of 3.5 to 4.5 pounds per cubic foot and a compression of at least approximately 65-75 PSI.」
(したがって、上記の目的を達成するために、地面への柱の設置及び再設置並びに柱の処理薬品等をその場で生成する発泡ポリウレタン組成物によりカプセル化する方法が、本発明の一側面として提示され、本発明における改良は、組成物を生成するために第1の成分と第2の成分とを適切な時間、適切な温度で混合するステップを含む。ここで、第1の成分は、ポリイソシアネート、化学量的に十分でない活性水素含有有機成分、液体炭化水素、非芳香族炭化水素溶媒を含み;第2の成分は、フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、非イオン性界面活性剤、触媒及び発泡剤を含み;組成物は、1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮を有する。)

(オ)第2欄第26行-第46行
「In one embodiment, the composition is formed by combining, at an appropriate time and temperature, nine or ten parts of the first component, comprised of 60-80% 4,4' diphenylmethane diisocyanate, 10-25% petroleum hydrocarbon ESCOPOL A-135, 4-8% dibasic ester (DBE), and 9-11% silicon glycolcopolymer DOW Polyglycol E400; with one part of the second component, which is pre-mixed at an appropriate time and temperature, and is comprised of 70-90% DOW Polyglycol E200, 5-8% catalyst K15, 5-25% surfactant DC 193, and 4-9% water.」
(一実施形態では、組成物は、適切な時間および温度で、60から80%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、10%から25%の石油炭化水素ESCOPOL A135、4%から8%の二塩基性エステル(DBE)、及び9%から11%のグリコールコポリマーDOW ポリグリコールE400、からなる第1の成分9または10部を;70%から90%のDOW ポリグリコールE200、5%から8%の触媒K15、5%から25%の界面活性剤DC193、及び4%から9%の水からなり、好適な時間及び温度で予備混合された第2の成分1部と、好適な時間好適な温度で混合することにより、形成される。)
「In a more preferred embodiment, the composition is formed by mixing ten or eleven parts of the first component which has reacted for 3 hours at ambient temperature or for 1 hour at 160.degree. F., wherein the first component consists of 67%-70% 4,4' diphenylmethane diisocyanate, 15%-19% petroleum hydrocarbon ESCOPOL A-135, 4.8%-6% DBE, and 9%-10% glycolcopolymer DOW Polyglycol E400; and wherein the second component, which is pre-mixed for 1 hour prior to the addition of component 1, consists of 81%-83% DOW Polyglycol E200, 5%-7% catalyst K15, 5%-7% surfactant DC193, and 5%-6% water.」
(より好ましい実施形態では、組成物は、周囲温度で3時間または160°Fで1時間反応させた第1の成分と、第1の成分を加える1時間前に予備混合された第2の成分とを、10から11部混合することにより形成され、第1の成分は67%から70%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、15%から19%の石油炭化水素ESCOPOL A135、4.8%から6%のDBE、及び9%から10%のグリコールコポリマーDOW ポリグリコールE400からなり;第2成分は81%から83%のDOW ポリグリコールE200、5%から7%の触媒K15、5%から7%の界面活性剤DC193、及び5%から6%の水からなる。)

(カ)第3欄第40行-第49行
「The composition of the present invention utilizes conventional materials such as polyisocyanate and reactive resin compounds, but also includes a water-immiscible component and a catalyst. The water-immiscible component can be any of a large number of materials or even mixtures of materials. Preferably the water-immiscible component is a liquid having a low vapor pressure which is substantially non-reactive under the usual conditions of foam formation with either the resin or the polyisocyanate components used to form the polyurethane compositions.」
(本発明の組成物は、ポリイソシアネートとの反応性樹脂成分などの従来の材料を利用するが、また水不混和性成分と触媒とを含む。水不混和性成分は多く材料のいずれか、又は複数の材料の混合物であってよい。好ましくは、水不混和性成分は低蒸気圧を有する液体であり、ポリウレタン組成物を形成するために使用されるポリイソシアネート成分及び樹脂のいずれとも、通常の条件の下で実質的に非反応性である。)

(キ)第4欄第35行-第38行
「The water-immiscible additive is an aromatic petroleum hydrocarbon agent Exxon product ESCOPOL A-135, which is a blend of hydrocarbons from petroleum refining.」
(水不混和性の添加剤は、芳香族石油炭化水素剤Exxon製品ESCOPOL A-135であり、石油から精製した炭化水素の混合物である。)

(ク)第4欄第39行-第54行
「Catalysts are also known in the art and are important in facilitating the foaming reaction. In the preferred embodiment a low molecular weight polyglycol catalyst is used. For example, DOW E200. An important characteristic of a catalyst is the foam formation time sequence. The sequence involves control of the reaction times to regulate the mix of material and the gel process. To maintain the specific strength for complete expansion, both the first and second components of the present invention are pre-mixed at an appropriate time and temperature before the components are mixed together. The pre-mixing allows for suitable foaming when the components are subsequently mixed together. The rise and skin time end just before the expansion time is completed. Thus, the rise and skin times end at approximately 140 seconds. The exotherm expansion time starts at about 30 seconds and finishes at about 150 seconds.」
(触媒も当技術分野で知られており、発泡反応を促進するのに重要である。好ましい実施形態において、低分子量ポリグリコール触媒が使用される。例えば、DOW E200。触媒の重要な特性は、発泡体形成の時間シークエンスである。当該シークエンスには、材料の混合とゲル化に要する反応時間の制御を含む。完全な膨張と所定の強度を維持するために、第1の成分と第2の成分とは、これらの成分が互いに混合される前に、適切な時間、適切な温度にて予備混合される。予備混合は、両成分を互いに混合した時に好適な発泡を可能とする。上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるべきである。そのため、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了する。発熱膨張時間は約30秒で開始し約150秒で終了する。)

(ケ)第5欄第35行-第6欄第3行
「1. In the method of setting and resetting poles in the earth and encapsulation of pole treatment chemicals or the like by positioning the poles and forming a foamed polyurethane composition in situ around the poles, the improvement comprising: the step of forming the foamed polyurethane composition in situ by mixing a first component and a second component for an appropriate time and at an appropriate temperature, wherein the first component is comprised of:
polyisocyanate;
an organic active hydrogen-containing component;
a liquid hydrocarbon; and
a hydrocarbon compatible solvent;
and the second component is comprised of:
an amine phenolic or polyetherpolyol or a combination thereof;
a non-ionic surfactant;
a catalyst; and
a blowing agent;
wherein the composition has a density of 3.5 to 4 pounds per cubic foot and a compressive strength of at least approximately 65 to 75 PSI.」
(1.地面への柱の設置及び再設置並びに柱の処理薬品等をその場で柱の周囲に生成する発泡ポリウレタン組成物によりカプセル化する方法において、改良が;組成物を生成するために第1の成分と第2の成分とを適切な時間、適切な温度で混合するステップを含み、ここで、第1の成分は次の成分を含む:
ポリイソシアネート;
活性水素含有有機成分;
液体炭化水素;及び
炭化水素適合溶剤;
そして、第2の成分は次の成分を含む:
フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物;
非イオン性界面活性剤;
触媒;及び
発泡剤;
そして、組成物は、1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度とを有する。)

イ 技術的事項
(ア)柱の設置構造その1
上記ア(ア)及び上記ア(イ)から、甲第2号証には、「穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置」し、合成樹脂として「発泡ポリウレタン」を用いた、柱の設置構造、という技術的事項が、記載されている。

(イ)柱の設置構造その2
上記ア(ア)、上記ア(イ)及び上記ア(ウ)より、甲第2号証には、米国特許第3403520号明細書である甲第3号証において、発泡剤としてハロゲン化合物を用いないという、発泡ポリウレタン組成物に関する改善を行った、という技術的事項が記載されている。そして、甲第2号証においては、発泡ポリウレタン組成物に関する改善を行ったことを別として、甲第3号証における柱の設置方法、及び設置される柱の構造を変更した旨の記載はない。
これらのことから、甲第2号証には、参照により組み込んだ甲第3号証の記載を考慮すると、上記(1)ウに認定した甲3構造発明において、発泡ポリウレタン組成物の構成、及び該発泡ポリウレタン組成物の構成に依拠した特性及び反応時間を変更した、柱の設置構造、という技術的事項が記載されている。

(ウ)発泡ポリウレタン組成物の構成
上記ア(エ)及び上記ア(カ)より、甲第2号証には、発泡ポリウレタン組成物の材料に関して、「第1の成分」と「第2の成分」とを「混合」して「その場」で「発泡ポリウレタン組成物」を「生成する」という技術的事項、及び、「第1の成分」は「ポリイソシアネート、化学量的に十分でない活性水素含有有機成分、液体炭化水素、非芳香族炭化水素溶媒」を含み、「第2の成分」は「フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、非イオン性界面活性剤、触媒及び発泡剤」を含む、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(オ)より、甲第2号証には、好ましくは、「第1の成分」は「67%から70%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、15%から19%の石油炭化水素ESCOPOL A135、4.8%から6%のDBE、及び9%から10%のグリコールコポリマーDOW ポリグリコールE400」からなり、「第2の成分」は「81%から83%のDOW ポリグリコールE200、5%から7%の触媒K15、5%から7%の界面活性剤DC193、及び5%から6%の水」からなり、「第1の成分」の「9から10部」と「第2の成分」の「1部」とを混合する、という技術的事項が記載されている。
さらに、上記ア(カ)及び上記ア(ケ)より、甲第2号証には、「ESCOPOL A135」は「水不混和性成分」として添加されている、という技術的事項が記載されている。

(エ)発泡ポリウレタン組成物の特性
上記ア(エ)より、甲第2号証には、発泡ポリウレタン組成物の特性に関し、「1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮」を有する、という技術的事項が記載されている。
また、上記ア(ケ)より、甲第2号証には、上記ア(エ)に記載される「少なくとも約65から75PSIの圧縮」とは、「少なくとも約65から75PSIの圧縮強度」である、という技術的事項も、記載されている。

(オ)発泡ポリウレタン組成物の反応時間
上記ア(ク)より、甲第2号証には、「第1の成分」と「第2の成分」とを「混合した時」に「好適な発泡」が可能であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約30秒で開始し約150秒で終了する、という技術的事項が記載されている。

ウ 記載された発明
上記ア及び上記イ(ア)、上記イ(ウ)?(オ)より、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明1」という。)が記載されている。
「穴内に配置される柱の基部よりもわずかに大きい穴を形成し、柱を穴の所望の位置に配置し、穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させることで、柱を地面に設置し、
合成樹脂として発泡ポリウレタンを用いた、柱の設置構造であり、
第1の成分と第2の成分とを混合して、その場で発泡ポリウレタン組成物を生成し、第1の成分は、ポリイソシアネート、化学量的に十分でない活性水素含有有機成分、液体炭化水素、非芳香族炭化水素溶媒を含み、第2の成分は、フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、非イオン性界面活性剤、触媒及び発泡剤を含み、
好ましくは、第1の成分は、67%から70%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、15%から19%の石油炭化水素ESCOPOL A135、4.8%から6%のDBE、及び9%から10%のグリコールコポリマーDOW ポリグリコールE400からなり、第2の成分は、81%から83%のDOW ポリグリコールE200、5%から7%の触媒K15、5%から7%の界面活性剤DC193、及び5%から6%の水からなり、ESCOPOL A135は水不混和性成分として添加されており、第1の成分の9から10部と第2の成分の1部とが混合され、
第1の成分と第2の成分とを混合した時に好適な発泡が可能であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約30秒で開始し約150秒で終了し、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度を有する、
柱の設置構造。」

また、上記ア及び上記イ(イ)?(オ)より、甲第2号証には、参照により組み込まれた甲第3号証の記載も考慮すると、次の発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されている。
「地面に電柱などの柱を設置した構造であり、
地面に形成され、底部及び側壁を有する穴と、
穴の中央に位置するように、柱の基部が穴内に配置されて、穴の上方に伸びる柱と、
気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとを有し、
穴の直径は、挿入される柱の基部の直径よりわずかに大きく、
柱と穴の側壁との間の空隙には、第1の成分と第2の成分とを混合して、その場で発泡ポリウレタン組成物を生成する液体樹脂材料が注入され、
第1の成分は、ポリイソシアネート、化学量的に十分でない活性水素含有有機成分、液体炭化水素、非芳香族炭化水素溶媒を含み、第2の成分は、フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物、非イオン性界面活性剤、触媒及び発泡剤を含み、
好ましくは、第1の成分は、67%から70%の4,4’ジフェニルメタン・ジイソシアネート、15%から19%の石油炭化水素ESCOPOL A135、4.8%から6%のDBE、及び9%から10%のグリコールコポリマーDOW ポリグリコールE400からなり、第2の成分は、81%から83%のDOW ポリグリコールE200、5%から7%の触媒K15、5%から7%の界面活性剤DC193、及び5%から6%の水からなり、ESCOPOL A135は水不混和性成分として添加されており、第1の成分の9から10部と第2の成分の1部とが混合され、
液体樹脂材料は膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタンとなり、柱と壁との間の空隙を全て埋め尽くし、
第1の成分と第2の成分とを混合した時に好適な発泡が可能であり、上昇及び表皮形成時間は、膨張時間が終了する直前に終わるよう、上昇及び表皮形成時間は約140秒で終了し、発熱膨張時間は約30秒で開始し約150秒で終了し、
硬化後の発泡ポリウレタン部材は、1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度を有し、
発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ、
発泡ポリウレタンが、柱を周囲の土壌から分離することにより、周囲の土壌中に存在し得る水分等の有害な影響から、柱を保護する、
柱の設置構造。」

(4)甲第4号証
ア 記載事項
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。

(ア)第1欄第19行-第27行
「This invention is an improvement in the invention disclosed in U.S. Pat. No. 3,403,520 which relates to a method for setting a utility pole or the like in the ground using foamed plastic instead of back filled dirt for filling the hole; and U.S. Pat. No. 3,564,859 which describes a related method for resetting a pole with foamed plastic. The entire disclosures of U.S. Pat. Nos. 3,403,520 and 3,564,859 are incorporated herein by reference.」
(本発明は、穴を埋め戻す土砂等に代えて発泡樹脂を用いた、地面に電柱等を設置する方法を記載する米国特許第3,403,520号;及び発泡プラスチックを用いて柱を再設置する関連する方法を記載する米国特許第3,564,859号、に開示される発明の改良である。米国特許第3,403,520号、及び米国特許第3,564,859号の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。)

(イ)第1欄第28行-第35行
「Briefly, U.S. Pat. No. 3,403,520 discloses a method for the installation of a pole in the earth by forming a hole in the earth which is only slightly larger than the diameter of the pole where there is insufficient room for tamping tools by inserting the pole into the hole and partly filling the hole with a foamable plastic composition which is permitted to foam filling the void between the pole and the walls of the hole」
(簡単に説明すると、米国特許第3,403,520号は、柱の径よりもわずかに大きく突き固め機を用いる十分な余地のない穴を形成し、柱を穴に配置し、穴を発泡して柱と穴の壁との間の空隙を埋めることができる発泡可能なプラスチック組成物で部分的に満たすことによる、柱を地面に設置する方法を記載している。)

(ウ)第3欄第3行-第10行
「This invention provides a novel solution to the problem of formation of polyurethane foam in-situ in the presence of large amounts of water which would normally be expected to deleteriously affect foam formation. In particular, this invention provides an improvement in the known method for setting or resetting poles in the ground with polyurethane foam where ground water is often encountered.」
(本発明は、通常であれば発泡物の形成に悪影響を与えるであろう大量の水分が存在する状況で、その場で発泡ポリウレタンを形成する課題について、新しい解決法を提供する。特に、本発明は、しばしば地下水に遭遇する場面において、発泡ポリウレタンを用いて柱を地面に設置又は再設置する公知の方法における改善を提供する。)

(エ)第3欄第11行-第28行
「The object of this invention is accomplished by the use of special polyurethane foam forming compositions which are more resistant to the undesired side reaction with ground water. The special polyurethane foam forming compositions contemplated herein utilize conventional polyisocyanate and reactive resin components but include a water-immiscible component. The water-immiscible component can be any of a large number of materials or even mixtures of materials, examples of which are listed below. Preferably, the water-immiscible component is a liquid having a low vapor pressure which is substantially non-reactive with either the resin or the polyisocyanate components used to form the polyurethane composition. The term non-reactive refers to materials non-reactive with the necessary polyurethane components under the usual conditions of foam formation.」
(本発明の目的は、地下水との望ましくない副反応に対してより耐性がある特別なポリウレタン発泡体形成組成物を使用することにより達成される。本明細書で企図される特別なポリウレタン発泡体形成組成物は、ポリイソシアネートと反応性樹脂成分という従来の材料を利用するが、また水不混和性成分を含む。水不混和性成分は多く材料のいずれか、又は複数の材料の混合物であってよく、以下に例が示される。好ましくは、水不混和性成分は低蒸気圧を有する液体であり、ポリウレタン組成物を形成するために使用されるポリイソシアネート成分及び樹脂のいずれとも、実質的に非反応性である。実質的に非反応性とは、発泡物を形成する通常の条件において材料が必要なポリイソシアネートと反応しないことを言う。)

(オ)第3欄第66行-第4欄第2行
「By water-immiscible it is meant that the solubility in water at about 70.degree.F. is less than 5 g per 100 g. of water and preferably less than 1 g per 100 g of water. Most preferably, the water-immiscible component has no measurable solubility in water.」
(「水不混和性」とは、約70°Fの水への溶解度が、水100グラム当たり約5グラム以下、好ましくは約1グラム未満であることを意味する。最も望ましくは、水不混和性の成分は、水中への測定可能な溶解度を有していない。)

(カ)第4欄第21行-第42行
「The added water-immiscible component necessary to this invention is to be distinguished from the usual essential components of a polyurethane foam system, namely polyisocyanate and resin which are normally water-immiscible in themselves. As indicated above, it is preferred that the water-immiscible component be non-reactive with the essential polyurethane components. Once this preference is satisfied the ratio of water-immiscible component to the remainder of the polyurethane foam forming composition is not critical. The essential considerations for selecting appropriate proportions are that enough of the water-immiscible component be present to inhibit the reaction with water and that excesses of the water-immiscible component resulting in unacceptable deterioration of the physical characteristics of the final foam be avoided. Consistent with the foregoing requirements operative polyurethane foams can be obtained from compositions containing 10% to 80% by weight of water-immiscible components. Preferably, the amount of water-immiscible component is in the range of 30% to 60% by weight of the polyurethane foam forming compositions.」
(本発明に必要な追加の水不混和性成分は、ポリウレタン発泡系に通常必要な成分、すなわちそれら自体も通常は水不混和性であるポリイソシアネート及び樹脂とは、区別される。上に示したように、水不混和性成分は必須のポリウレタン成分と非反応性であることが好ましい。この好適要件が満たされるならば、水不混和性成分の、その他のポリウレタン発泡体形成組成物に対する比率は、深刻な問題ではない。適切な比率を選択するための本質的な考察は、水との反応を抑制するために、十分な水不混和性成分が存在すること、及び、最終発泡体の物理的特性の許容できない劣化を生ずる、水不混和性成分の過剰を回避することである。以上の要件と一致して、適切なポリウレタン発泡体は、10重量%から80重量%の水不混和性成分を含有する組成物から得ることができる。好ましくは、水不混和性成分の量は、ポリウレタン発泡体形成組成物の30重量%から60重量%の範囲である。)

イ 記載された発明
上記アより、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されている。
「柱の径よりもわずかに大きな穴を形成し、柱を穴に配置し、発泡して柱と穴の壁との間の空隙をポリウレタン発泡体で埋める、柱を地面に設置する方法において、
地下水との望ましくない副反応に対して耐性を持たせるための水不混和性成分を、ポリウレタン発泡体形成組成物の10重量%から80重量%含有させる、
柱を地面に設置する方法。」

(5)甲第5号証
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。

ア 第1頁第1行-第7行
「I シリコーン整泡剤について
1)シリコーン整泡剤の構造
シリコーン整泡剤はジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーンオイル)とポリエーテルのブロックコポリマー(ポリエーテル変性シリコーン)です。代表的な構造は図1に示す通りです。
整泡剤の構造設計には自由度が多く、各種構造要因を系統的に変化させることができます。シロキサン鎖長、ポリエーテル鎖長、ポリエーテル鎖数、ポリエーテル鎖のエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド比率等の構造要因を変化させることで、表面張力/溶解性を調整した最適な構造を得ることが可能となります(図2)。」

イ 第1頁 図1の表題
「図1.ポリエーテル変性シリコーン(ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン・コポリマー)」

ウ 第1頁 表1の上の4行
「2)シリコーン整泡剤の表面活性効果
シリコーン整泡剤の主骨格であるジメチルポリシロキサンは、比較的低い表面張力を示します(表1)。また分子量が高くなるに従い、その値は高くなっていきますが、ある程度の分子量で比較的低い値を維持しつつ一定となります。ポリウレタン発泡系におけるシリコーン整泡剤の役割は、このジメチルポリシロキサンの特性がベースとなっています。」

エ 第2頁 第1行-第4行
「さらに、界面活性剤が表面活性効果を与えるには、2つの構造要因が必要となります。すなわち、○1系に対して可溶な部分と不溶な部分が結合した構造であること、及び○2不溶部の表面張力が系の表面張力に比べて相当小さいことです。ジメチルポリシロキサンにポリエーテルを変性させたシリコーン界面活性剤は、ポリウレタン発泡系において上記2つの構造要因を満たすため、非シリコーン系界面活性剤よりも優れた表面活性効果を示します。表2にその比較を示します。」(当審注;「○1」等は、○の中に1を示す。)

(6)甲第6号証
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。

ア 第79頁見出し
「8 硬質ポリウレタンフォーム」

イ 第79頁第1行
「硬質PUFは、独立気泡からなり、断熱性能が極めて優れている。」

ウ 第81頁の「(1)処方(スラブ用)」
「A液」の中に「シリコーン整泡剤 1.5pbw」と記載されている。

エ 第81頁の表34
同表の冒頭には、「硬質フォームの物性」と記載されている。
同表の下の注記には、「一般に硬質フォームは異方性(後述)であり、フォームの発泡方向(たて方向)とこれに垂直な方向(よこ方向)とでは、ある種の物性は異なった値をとるため、その場合は両物性値を併記して示す。」と記載されている。
同表中には、「圧縮強さ」として、フォーム発泡方向に平行する方向が「2.1」、フォーム発泡方向に直角の方向が「1.7」、両数値の単位が「kg/cm^(2)」であることが、示されている。

オ 第82頁の「(1)処方」
「A液」の中に「シリコーン整泡剤 1pbw」と記載されている。

カ 第82頁の表35
同表の冒頭には、「硬質ポリイソシアヌレートフォームの物性」と記載されている。
同表中には、「圧縮強さ」として、フォーム発泡方向に平行する方向が「2.8」、フォーム発泡方向に直角の方向が「1.1」、両数値の単位が「kg/cm^(2)」であることが、示されている。

キ 第82頁下から6行-最終行
「8.5 硬質フォームの物性検討
(1)異方性 Anisotropy
セル構造形成時、発泡上昇力と重力との影響を受け、セル形状は等方性Isotropyをとらず、縦長の楕円形となり、セル寸法と相まって、発泡方向とその直角方向とにおいて物性の差が生じる。その物性比は、例えば、曲げ強度は2:1、弾性率は3:1、伸度は1:2、その他圧縮強度、寸法安定性などに明確に現われる。」

(7)参考文献1
参考文献1には、以下の事項が記載されている。
「【0030】
プレポリマーは界面活性剤の存在下に調製されてよく、又は、界面活性剤とブレンドでき、その界面活性剤としては米国特許第4,390,645号明細書に記載されるタイプの界面活性剤が挙げられ、その特許明細書を参照により本明細書中に取り込む。界面活性剤は、通常、所望ならば、プレポリマーを製造するのに使用される他の成分との相溶性を促進するために使用される。さらに、界面活性剤はプレポリマーからフォームを形成するときに有利な役割を担うことができる。ポリウレタンフォーム中の界面活性剤の機能及び使用は当該技術分野でよく知れておりそして記載されている。例えば、Herrington, Nafziger, Hock and Moore in Flexible Urethane Foams, pp.2.22-2.25を参照されたい。ポリウレタンフォームの調製に使用される界面活性剤は、一般に、ポリシロキサンポリアルキレンオキシドコポリマーであり、幾つかの製造者から入手可能であり、例えば、Goldschmidt Chemical Corp., OSi及びAir Productsand Chemicals, Inc.から入手可能である。ほとんどすべてのポリウレタンフォームは非イオン性シリコーン系界面活性剤の援助でもって製造される。
【0031】
界面活性剤は気泡開放の正確なタイミング及び程度を制御するのを援助する。各フォーム配合物の中で、商業上許容されるフォームを製造するために最少量の界面活性剤は必要とされる。界面活性剤が存在しないと、フォーム系は、通常、破局的な凝集を経験し、ボイリングとして知られる事象を呈する。少量の界面活性剤の添加では、安定であるが不完全なフォームが製造されることがあり、界面活性剤の濃度を上げると、フォーム系は改良された安定性及び気泡サイズ制御を示すであろう。最適な濃度では、安定な連続気泡フォームは製造される。しかしながら、より多量の界面活性剤量では、気泡ウィンドーは過剰安定化し、得られるフォームは硬くなりすぎ、あまり望ましくない物性となる。特定のポリイソシアネート/ポリオール組成物を用いてフォームを製造するのに使用されうる界面活性剤はフォーム安定化界面活性剤と呼ばれる。
【0032】
界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤及び湿潤剤が挙げられ、例えば、プロピレングリコールに対してポリプロピレンオキシド、次いで、エチレンオキシドを逐次に付加させることにより調製されるもの、固体もしくは液体オルガノシリコーン、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸性硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル及びアルキルアリールスルホン酸の第三級アミンもしくはアルカノールアミン塩が挙げられる。プロピレングリコールに対してポリプロピレンオキシド、次いで、エチレンオキシドを逐次に付加させることにより調製される界面活性剤は好ましく、また、固体もしくは液体オルガノシリコーンも好ましい。
【0033】
界面活性剤のポリオキシアルキレン(又はポリオール)末端は乳化効果の原因である。分子のシリコーン末端はバルク表面張力を下げる。ケイ素とポリエーテル基との間にSi-O結合を含む加水分解可能な界面活性剤を(フォームマスターバッチ又はシリコーン/アミン/水流として)水と接触させるときに、分子は分解して、シロキサン及びグリコール分子を生成する。このことが起こると、個々の分子はもはや適切な界面活性効果を示さない。このため、ケイ素とポリエーテル鎖との間の水に安定なSi-C結合を含む加水分解可能でないタイプの界面活性剤は好ましい。
【0034】
商業上のフォームは、最適濃度は存在するけれども、所与のポリイソシアネート/ポリオール組み合わせ物についてある範囲にわたって機能する「許容性(forgiving)」界面活性剤を用いて製造される。これらの界面活性剤は有用である。というのは、それから得られるフォームは機械の差異により生じる計量の変動などの製造プロセスの小さい変動によって影響を受けないからである。このため、従来のフォームの製造において、適切な「許容性」触媒及び濃度が特定されると、界面活性剤又はその濃度を変更する動機付けはない。
【0035】
適切なオルガノシリコーンの例としては、Evonikにより、Tegostab(商標)の名称で販売されているものが挙げられ、例えば、Tegostab B8443, Tegostab B8476, Tegostab B8485, Tegostab B8486及びTegostab B8490が挙げられる。界面活性剤を使用するときに、それは、通常、プレポリマー成分の約0.0015?約1質量%の量で存在する。
【0036】
疎水性ポリウレタンフォームをもたらす、すべてのフォーム安定化界面活性剤を、本明細書中で「疎水性誘発性界面活性剤」と呼ぶ。疎水性誘発性界面活性剤はよく知られており、例えば、米国特許第4,264,743号明細書を参照されたい。その特許明細書を参照により本明細書中に取り込む。本発明の1つの実施形態において、適切な界面活性剤はグラフトポリオール及び従来のポリオールが界面活性剤の存在下にポリイソシアネートと反応するときに、疎水性フォームを生じるフォーム安定化界面活性剤である。所与の組成物では、幾つかの適切な疎水性誘発性界面活性剤があり、他の界面活性剤は適さないことがある。疎水性誘発性界面活性剤は、一般に、従来のフォームの製造において「許容性」でない。さらに、本発明の目的で有用な界面活性剤としては、本発明の高グラフトポリオールフォームを含む、従来の可とう性フォームに通常に推奨されない界面活性剤が挙げられる。本発明に適する疎水性誘発性界面活性剤として既に特定されている界面活性剤としては、Goldschmidt Chemical Corp.から入手されるB8110, B8229, B8232, B8240, B8870, B8418及びB8462、OSiから入手されるL626, L600及びL6164、Air Products and Chemicals, Inc.から入手されるDC5604及びDC5598、及び、Dow Corningから入手される DC-198が挙げられる。好ましい界面活性剤は24時間超にわたって水の浸入に耐えることができるフォームをもたらす。例えば、B8870, B8110, B8240, B8418, B8462, L626, L6164, DC5604, DC5598及びDC-198である。
【0037】
疎水性誘発性界面活性剤としては、可とう性フォームの形成、半硬質フォームの形成及び硬質フォームの形成のための使用に推奨されうる広い範囲の界面活性剤が挙げられる。上記に特定した界面活性剤は市販の様々な界面活性剤であり、使用のための製造者の推奨が異なる。その界面活性剤は所望のレベルの吸水率の低減を達成するために単独で使用されても又は1種以上の疎水性誘発性界面活性剤との組み合わせで使用されてもよい。本発明により、適切な組成物が特定されたら、他の疎水性誘発性界面活性剤はフォームのサンプルバッチを調製し、次いで、疎水性試験により特定されうる。このような最適化はフォーム製造技術の当業者の知識範囲に入る。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は24時間後の吸水率が20%以下であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらにより好ましくは5%以下である硬化フォームを提供する。本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は24時間吸水率が0%以上であり、好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上である硬化フォームを提供する。」

(8)参考文献2
参考文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0035】
当該技術分野においてシリコーンコポリオールとしても知られる、本発明に有用なポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、ポリマー性、オリゴマー性、コポリマー性及びその他のマルチモノマー性シロキサン物質を含む。コポリマーは一般に、シロキサンユニットで構成されたポリシロキサン主鎖及びポリアルキレンオキシド側鎖を含む。ポリシロキサン主鎖の構造は、直鎖、分岐鎖または環状のいずれかであり得る。本発明のコポリマーのポリアルキレンオキシド側鎖は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドマクロモノマーまたはこれらの混合物を含むことも可能である。側鎖はまた任意選択的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンモノマーを含むこともできる。好ましくは、ポリアルキレンオキシドモノマーは、コポリマーの約10重量%を超えて、好ましくは約20重量%を超えて、より好ましくは約30重量%を超えて含まれる。ポリエチレンオキシド側鎖マクロモノマーが好ましい。また、ポリプロピレンオキシド側鎖も好ましく、側鎖はポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドを約1:2?約2:1のモル比で含む。
【0036】
本発明のコポリマーは、通常、約2,000?約100,000g/g-モル、好ましくは約10,000?約80,000g/g-モル、より好ましくは約15,000?約75,000、さらにより好ましくは約20,000?約50,000、最も好ましくは約25,000?約40,000の範囲の分子量を有する。
【0037】
本発明のポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、約40mN/m未満、好ましくは約30mN/m未満、より好ましくは約25mN/m未満の表面張力を有する。表面張力は、25℃で0.1重量%の溶液を用いるASTMD1331-89に従うウィルヘルミー(Wilhelmy)プレート試験方法によって測定される。本発明のコポリマーはまた、約60mm未満、好ましくは約40mm未満、より好ましくは約40mm未満、最も好ましくは約10mm未満のロスマイルス起泡高さを有する。ロスマイルス起泡高さ試験は、1重量%の溶液を用いてASTMC1173-53に従って、5分間の計測により行う。さらに本発明のコポリマーは、約4以上、好ましくは約6以上、より好ましくは約8以上のHLBを有する。
【0038】
好ましいポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、次の一般式を有する:
【0039】
【化1】


式中、R1?R11ラジカルの各々は、C1?C10非置換アルキルまたはアリール基;アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、ケトン、アミド、エステル及びチオール基のような水素結合官能基;またはエポキシド基のようなセルロース結合基;自己架橋基;水素結合官能基、セルロース結合基または自己架橋基で置換されたC1?C10アルキルまたはアリール基、あるいはこれらの混合物からなる群より独立に選択される。好ましくはR1?R11ラジカルの各々は独立に、C1?C4非置換アルキル基、ヒドロキシル基、エポキシド基またはこれらの混合物のいずれかであることができる。Zは、水素またはいずれかのC1?C4非置換アルキル基のような当該技術分野において既知のモノマー末端キャップであり得る。
【0040】
ポリマー化学当該業者には周知なように、ポリマーの組織は、平均的なポリマーが総合的に望ましい主鎖及び側鎖分子量、シロキサン主鎖とアルキレンオキシド側鎖との比及び側鎖の組成物を含むような、モノマー及びマクロモノマーのランダムな組み合わせである。一般にaは1?1000、好ましくは2?500、より好ましくは5?250、最も好ましくは10?100の範囲であり得る。b及びdは0?500、好ましくは0?250、より好ましくは0?100の範囲であり得る。cは0?50、好ましくは0?20、より好ましくは0?10の範囲であり得る。m、n、及びpは独立に、0?100、好ましくは1?75、より好ましくは2?50、さらにより好ましくは5?30の範囲であることができる。r、s、t、u、v、及びwはそれぞれ独立に、0?10、好ましくは0?7、より好ましくは0?5の範囲であることができる。
【0041】
一般式からわかるように、好ましいコポリマーは、シロキサンモノマーの主鎖及びポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、またはポリエチレン-プロピレンマクロモノマーの側鎖を含む。好ましい実施形態の1つでは側鎖は本質的にポリエチレンオキシドマクロモノマーである。換言すれば(c+d):(a+b+c+d)のモル比が約0.05未満、好ましくは約0.02未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは0に等しい。この実施形態では、aとbのモル比は、ポリエチレンオキシドマクロモノマーがコポリマーの少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%含まれるように決定される。より低い吸収性を所望する用途ではより低濃度で使用できる。
【0042】
別の好ましい実施形態では、側鎖は主にエチレンオキシドとプロピレンオキシドモノマーとの混合物であるマクロモノマーを含む。すなわち、(b+c):(a+b+c+d)のモル比が約0.05未満、好ましくは約0.02未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは0に等しい。この実施形態では、p:qのモル比は0.8を超える、好ましくは0.9を超える、より好ましくは0.95を超える、最も好ましくは0.99を超える。またaとdのモル比は、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシドマクロモノマーがコポリマーの少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%含まれるように決定されるのが望ましい。
【0043】
全ての実施形態において、c:(a+b+c+d)のモル比を0.1未満、好ましくは0.05未満、より好ましくは0.01未満、最も好ましくは0に等しく維持するのが、必須ではないが好ましい。
【0044】
側鎖が主にポリアルキレンオキシドモノマーで構成されるよう企図されている一方で、低濃度のエチレンまたはプロピレンモノマーを有する側鎖を本発明に使用することも可能である。好ましくはm:(m+r+s)、n:(n+t+u)及び(p+q):(p+q+v+w)のモル比は全て約0.9を超え、より好ましくは約0.95を超え、最も好ましくは1.0に等しい。
【0045】
本発明の好ましいコポリマーとしては、シルウェット(Silwet)L-7602(商標)、シルウェットL-7650(商標)、シルウェットL-8610(商標)、シルウェットL-8600(商標)、シルウェットL-7604(商標)、シルウェットL-7644(商標)、シルウェットL-77(商標)、シルウェットL-7608(商標)、ニューウェット(Nuwet)550(商標)、ニューウェット100(商標)、及びニューウェット625(商標)、全てOSIスペシャリティーズ(OSI Specialties,Inc.)から入手可能;ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なDC190(商標)、DC193(商標)、及びQ2-5211(商標);及びゲレスト(Gelest)から入手可能なEBP-234(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。コポリマーの混合物も本発明に使用できる。」


第5 判断
上記第3のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められ、請求項1ないし7及び10ないし11は削除されたので、本件訂正発明8ないし9及び12について、取り消されるべきか否かを判断する。
本件訂正発明8ないし9及び12に対応する、本件訂正前の請求項8ないし9及び12に係る発明について、先の取消理由通知においては、特許異議申立の理由である、甲第1号証を主たる引用例とした新規性及び進歩性、甲第2号証を主たる引用例とした新規性及び進歩性、甲第3号証を主たる引用例とした新規性及び進歩性、並びに、明確性の点で、いずれも取消理由を通知していた。
そのため、以下では、本件訂正発明8ないし9及び12が、先の取消理由通知に記載した取消理由により取り消されるべきか否かを、判断する。

1 新規性及び進歩性
(1)本件訂正発明8
ア 甲3構造発明を主たる引用発明として
(ア)対比
本件訂正発明8と甲3構造発明とを対比する。
甲3構造発明における「地面に形成され、底部及び側壁を有する穴」は、穴の最上部が存在することは明らかであることを勘案すれば、本件訂正発明8における「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴」に相当する。
甲3構造発明における「柱」は、本件訂正発明8における「柱」に相当する。
甲3構造発明において、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」に関して、「反応期間の終わりには柱を所定の位置に支持するのに十分な強度が得られ」ること、「1平方インチ当たり80-100ポンドの強度」を有すること、「地盤に対するより強固な設置」がなされることを勘案すれば、硬質のポリウレタンであり、「気泡」は相互に連通せず独立していると解されるから、甲3構造発明における「硬化したポリウレタン」の「気泡」は、本件訂正発明8における「クローズド・セル」に相当する。また、甲3構造発明における「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、気泡を有する構造はフォームとも言い得るから、本件訂正発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」に相当する。
甲3構造発明において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、穴について見れば、穴のうち柱の基部によって占められていない部分がポリウレタンで埋められることとなるから、本件訂正発明8において、「ポリウレタンフォーム」が「穴を埋めるように設けられる」構成に相当する。
また、甲3構造発明において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱について見れば、柱の基部が穴の側壁との間で硬化したポリウレタンに埋め込まれた状態となる構成であるから、本件訂正発明8において、「柱」の「少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる」構成に相当する。そして、甲3構造発明において、柱が「穴の中央に位置するように」配置されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱が穴の中で硬化するポリウレタンの中央に位置することとなる構成であるから、本件訂正発明8において、柱が「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置する」ように、ポリウレタンフォームに埋め込まれる構成に相当する。
甲3構造発明において、「柱の設置構造」は、「穴」と「柱」及び「硬化したポリウレタン」という複数の部材の組合せである点で、システムと言うことができる。また甲3構造発明の「柱の設置構造」について、想定される柱は電柱等であるが、電柱等の柱であっても、柱の上に載置する部材を含めたある程度の重量を全体として支える構造であるとともに、「発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ」ることから、設置構造の根元近傍は拡径されて強固な基礎、すなわち基礎フーチングとなっているということができる。これらのことを考慮すると、甲3構造発明における「穴」と「硬化したポリウレタン」と「柱」とを有する「柱の設置構造」は、本件訂正発明8における「ポリウレタンフォーム」と「柱」とを含む「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」に相当する。
甲3構造発明において、「硬化後」に「発泡ポリウレタン部材」となる「液体樹脂材料」が含む「ポリイソシアネート」は、本件訂正発明8における「ポリイソシアネート」に相当する。また、甲3構造発明における「液体樹脂材料」が含む「水」及び「ポリエステル樹脂」並びに「三級アミン」は、いずれも「ポリイソシアネート」と化学反応し得る状態の水素を有することが技術常識であるから、本件訂正発明8における「少なくとも1つの活性化水素含有化合物」に相当する。
甲3構造発明において、「ポリイソシアネート」、「水」、「ポリエステル樹脂」、「三級アミン」といった複数の成分を含む「液体樹脂材料」が「膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、複数の成分の組成物が硬化した混合物ということができるから、甲3構造発明における当該「ポリウレタン」の構成と、本件訂正発明8において「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む構成とは、「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物を含」む点で、共通する。
甲3構造発明において、「硬化後の発泡ポリウレタン部材」が、「密度が立方フィート当たり4ポンドであり、1平方インチ当たり80-100ポンドの強度」を有する構成は、該「ポリウレタン部材」が「柱の基部」において「柱を所定の位置に支持」することから、「強度」が荷重を受けて圧縮される際の圧縮強度と解されることを勘案すると、本件発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」が「80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」構成に相当する。

以上より、甲3構造発明と本件訂正発明8とは、
「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するように、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物を含み、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する、基礎フーチングシステム。」
という点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本件訂正発明8においては、「ポリウレタンフォーム」を形成する「ポリウレタン組成物」が「該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」を含むと特定されているのに対し、
甲3構造発明では、発泡ポリウレタン部材を形成する液体樹脂材料が、界面活性剤を含むことが特定されていない点。

<相違点2>
硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの物性について、
本件訂正発明8においては、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下」であるのに対し、
甲3構造発明においては、立方フィート当たり4ポンドであり、換算すると約0.064gm/ccmである点。

(イ)判断
事案に鑑み、相違点2について判断する。
a 形式的な相違点であるか否かについて
相違点2は、ポリウレタンフォームの密度が異なる値であるから、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。

b 容易想到であるか否かについて
甲第1号証には、上記第4の3(2)ウに認定した甲1発明1及び甲1発明2が記載されている。また甲第2号証には、上記第4の3(3)ウに認定した甲2発明1及び甲2発明2が記載されている。甲1発明1及び甲1発明2、並びに、甲2発明1及び甲2発明2は、甲第3号証を従来技術として、使用する発泡ポリウレタンを改良したものであるが、硬化後の発泡ポリウレタンの密度は、換算しても上記相違点2に係る本件訂正発明8の構成である「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下」の範囲より小さく、その点においては甲3構造発明と変わるものではない。
そのため、甲3構造発明に甲1発明1又は甲1発明2、若しくは甲2発明1又は甲2発明2を適用しても、上記相違点2に係る本件訂正発明8の構成に至るものではない。
また、甲3構造発明は、柱の設置構造の発明であるが、主に想定している柱は「電柱などの柱」であり、甲3号証に記載の技術を改良した甲1発明1及び2、並びに甲2発明1及び2においても、発泡ポリウレタンの密度が本件訂正発明8より小さい値であること、及び、甲1発明1及び2、並びに甲2発明1及び2においては、発泡ポリウレタンの圧縮強度が甲3構造発明より下がっていることを勘案すると、想定する「電柱などの柱」を支持する観点から、甲3構造発明において発泡ポリウレタンの圧縮強度を維持したうえで、発泡ポリウレタンの密度を増加させる動機付けがあるということはできない。また、甲3構造発明において、「電柱などの柱」とは性質の異なる構造物の柱を支持対象とすることや、支持対象とする柱を変更することに伴い発泡ポリウレタンの物性を変更する動機付けがあるということもできない。
そして、甲第4号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1及び2には、それぞれ上記第4の3(4)ないし(8)にそれぞれ摘記した事項若しくは認定した発明が記載されているが、これらの事項を考慮しても、甲3構造発明において、発泡ポリウレタンの圧縮強度を維持したまま密度を増加する改変を行うことは、示唆されているということができない。
したがって、甲3構造発明において、上記相違点2に係る本件訂正発明8の構成に至ることは、甲1発明1及び2、甲2発明1及び2、並びに甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項及び参考文献1ないし2に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得た事項ではない。

c 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明8は、上記相違点1について検討するまでもなく、甲3構造発明と同一ではない。
また、本件訂正発明8は、上記相違点1について検討するまでもなく、甲3構造発明において、たとえ甲第1号証ないし甲第2号証、及び甲第4号証ないし甲第6号証並びに参考文献1ないし2に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲1発明2を主たる引用発明として
(ア)対比
本件訂正発明8と甲1発明2とを対比する。
甲1発明2における「地面に形成され、底部及び側壁を有する穴」は、穴の最上部が存在することは明らかであることを勘案すれば、本件訂正発明8における「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴」に相当する。
甲1発明2における「柱」は、本件訂正発明8における「柱」に相当する。
甲1発明2において、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」に関して、「柱を支持する十分な強度を持つ発泡物」となること、「少なくとも約75PSIの圧縮」を有し、「地盤に対するより強固な設置」がなされることを勘案すれば、「少なくとも約75PSIの圧縮」は「少なくとも約75PSIの圧縮強度」の趣旨であるとともに、硬化した「ポリウレタン」は硬質のポリウレタンであり「気泡」は相互に連通せず独立していると解されるから、甲1発明2における「硬化したポリウレタン」の「気泡」は、本件訂正発明8における「クローズド・セル」に相当する。また、甲1発明2における「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、気泡を有する構造はフォームとも言い得るから、本件訂正発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」に相当する。
甲1発明2において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、穴について見れば、穴のうち柱の基部によって占められていない部分がポリウレタンで埋められることとなるから、本件訂正発明8において、「ポリウレタンフォーム」が「穴を埋めるように設けられる」構成に相当する。
また、甲1発明2において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱について見れば、柱の基部が穴の側壁との間で硬化したポリウレタンに埋め込まれた状態となる構成であるから、本件訂正発明8において、「柱」の「少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる」構成に相当する。そして、甲1発明2において、柱が「穴の中央に位置するように」配置されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱が穴の中で硬化するポリウレタンの中央に位置することとなる構成であるから、本件訂正発明8において、柱が「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置する」ように、ポリウレタンフォームに埋め込まれる構成に相当する。
甲1発明2において、「柱の設置構造」は、「穴」と「柱」及び「硬化したポリウレタン」という複数の部材の組合せである点で、システムと言うことができる。また甲1発明2の「柱の設置構造」について、想定される柱は電柱等であるが、電柱等の柱であっても、柱の上に載置する部材を含めたある程度の重量を全体として支える構造であるとともに、「発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ」ることから、設置構造の根元近傍は拡径されて強固な基礎、すなわち基礎フーチングとなっているということができる。これらのことを考慮すると、甲1発明2における「穴」と「硬化したポリウレタン」と「柱」とを有する「柱の設置構造」は、本件訂正発明8における「ポリウレタンフォーム」と「柱」とを含む「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」に相当する。
甲1発明2において、「硬化後」に「発泡ポリウレタン部材」となる「液体樹脂材料」が含む「ポリイソシアネート」及び「活性水素含有有機成分」は、それぞれ本件訂正発明8における「ポリイソシアネート」及び「少なくとも1つの活性化水素含有化合物」に相当する。
甲1発明2において、「シリコーン・グリコポリマー」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」は、その化学式から、また上記第4の3(8)に摘記した参考文献2の段落【0039】における化学式及び段落【0045】に示される同商品名を参照しても、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーということができ、本件訂正発明8における「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」に相当する。また、甲1発明2において、「シリコーン・グリコポリマー」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」の使用量が液体樹脂材料中の「約0.7%」であることは、本件訂正発明8において、「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」の含有量が、「該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含む」というものである構成に相当する。
甲1発明2において、「ポリイソシアネート」、「活性水素含有有機成分」、及び「非イオン性界面活性剤」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」の「約0.7%」といった複数の成分を含む「液体樹脂材料」が「膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、複数の成分の組成物が硬化した混合物ということができるから、甲1発明2における当該「ポリウレタン」の構成は、本件訂正発明8における「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む構成に相当する。

以上より、甲1発明2と本件訂正発明8とは、
「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するように、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含む、
基礎フーチングシステム。」
という点で一致し、次の点で相違する。

<相違点3>
硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの物性について、
本件訂正発明8においては、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」のに対し、
甲1発明2においては、「1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮」(当審注;「少なくとも約75PSIの圧縮」については、甲1発明2における「ポリウレタン部材」が「柱の基部」において「柱を支持」し、「地盤に対するより強固な設置」がなされることを勘案すれば、「少なくとも約75PSIの圧縮強度」の趣旨であると解される)であり、密度については換算すると0.064から0.080gm/ccmである点。

(イ)判断
上記相違点3について判断する。

a 形式的な相違点であるか否かについて
相違点3は、ポリウレタンフォームの密度及び圧縮強度が異なるから、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。

b 容易想到であるか否かについて
甲第3号証には、上記第4の3(1)ウに認定した甲3構造発明及び甲3方法発明が記載されている。また甲第2号証には、上記第4の3(3)ウに認定した甲2発明1及び甲2発明2が記載されている。甲1発明2、並びに、甲2発明1及び甲2発明2は、いずれも甲第3号証を従来技術として、使用する発泡ポリウレタンを改良したものであるが、甲3構造発明に認定したとおり、柱の設置構造として主に想定している柱は「電柱などの柱」であり、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれの記載を検討しても、甲1発明2において甲3構造発明よりも下限を下げた発泡ポリウレタンの圧縮強度を上昇させる動機付け、及び発泡ポリウレタンの密度を増加させる動機付けがあるということはできない。また、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれの記載を検討しても、甲1発明2において、「電柱などの柱」とは性質の異なる構造物の柱を支持対象とすることや、支持対象とする柱を変更することに伴い発泡ポリウレタンの物性を変更する動機付けがあるということもできない。
そして、甲第4号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1及び2には、それぞれ上記第4の3(4)ないし(8)にそれぞれ摘記した事項若しくは認定した発明が記載されているが、これらの事項を考慮しても、甲1発明2において、発泡ポリウレタンの圧縮強度及び密度を増加する改変を行うことは、示唆されているということができない。
したがって、甲1発明2において、上記相違点3に係る本件訂正発明8の構成に至ることは、甲2発明1及び2、甲3構造発明及び甲3方法発明、並びに甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項及び参考文献1ないし2に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得た事項ではない。

c 小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明8は、甲1発明2と同一ではない。
また、本件訂正発明8は、甲1発明2において、たとえ甲第2号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1ないし2に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 甲1発明1を主たる引用発明として
(ア)対比
甲1発明1における「穴」は、「柱を地面に設置」するための「穴」であるから、地面に形成されるとともに、当然に最上部と底部も有すると解される。さらに、甲1発明1における「穴」が「穴の側面」も有することを勘案すると、甲1発明1における「穴」は、本件訂正発明8における「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴」に相当する。
甲1発明1における「柱」は、本件訂正発明8における「柱」に相当する。
甲1発明1において、「穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させる」ことで形成した「合成樹脂」としての「発泡ポリウレタン」は、「柱と穴の側面の間の全ての空間」に存在するから、穴を埋めるように設けられると解され、「発泡」しているから気泡を有すると解されるとともに「フォーム」ということができ、また「硬化後」に「1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮を有する」ことからすると、硬質の発泡ポリウレタンであり気泡は独立したセルになっていると解されるから、本件訂正発明8における「穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」に相当する。
甲1発明1において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「合成樹脂」である「発泡ポリウレタン」が「柱と穴の側面の間のすべての空間」で「発泡」することで「柱を地面に設置」する構成は、柱について見れば、柱の基部が穴の側面との間で硬化したポリウレタンに埋め込まれた状態となる構成であるから、本件訂正発明8において、「柱」の「少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる」構成に相当する。
甲1発明1において、「柱の設置構造」は、「穴」と「柱」及び「発泡ポリウレタン」という複数の部材の組合せである点で、システムと言うことができ、本件訂正発明8における「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」とは、「システム」という点で共通する。
甲1発明1において、「硬化後」に「発泡ポリウレタン部材」となる材料が含む「ポリイソシアネート」及び「活性水素含有有機成分」は、それぞれ本件訂正発明8における「ポリイソシアネート」及び「少なくとも1つの活性化水素含有化合物」に相当する。
甲1発明1において、「シリコーン・グリコポリマー」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」は、その化学式から、また上記第4の3(8)に摘記した参考文献2の段落【0039】における化学式及び段落【0045】に示される同商品名を参照しても、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーということができ、本件訂正発明8における「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」に相当する。また、甲1発明1において、「シリコーン・グリコポリマー」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」の使用量が、発泡ポリウレタン組成物を構成する材料の「約0.7%」であることは、本件訂正発明8において、「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」の含有量が、「該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含む」というものである構成に相当する。
甲1発明1において、「ポリイソシアネート」、「活性水素含有有機成分」、及び「非イオン性界面活性剤」としての「ダウ・コーニング190又は193の界面活性剤」の「約0.7%」といった複数の成分を含む材料が、発泡して形成された硬化後の発泡ポリウレタン部材は、複数の成分の組成物が硬化した混合物ということができるから、甲1発明1における当該「ポリウレタン」の構成は、本件訂正発明8における「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む構成に相当する。

以上より、甲1発明1と本件訂正発明8とは、
「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含むシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含む、
システム。」
という点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4>
本件訂正発明8では、「柱」が「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するよう」に配置されるとともに、全体として「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」と特定されているのに対し、
甲1発明1では、「柱の基部」が「穴内」に配置されたうえで「柱と穴の側面の間のすべての空間」に「樹脂」である「発泡ポリウレタン」を「発泡させることで、柱を地面に設置」するものの、柱が「ポリウレタンフォームの中央に位置するように配置」されるとは特定されておらず、また全体として「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」とは特定されていない点。

<相違点5>
硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの物性について、
本件訂正発明8においては、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」のに対し、
甲1発明1においては、「1立方フィート当たり4から5ポンドの密度と、少なくとも約75PSIの圧縮」(当審注;「少なくとも約75PSIの圧縮」については、甲1発明1における「ポリウレタン部材」が「柱の基部」において「柱を支持」することを勘案すれば、「少なくとも約75PSIの圧縮強度」の趣旨であると解される)であり、密度については換算すると0.064から0.080gm/ccmである点。

(イ)判断
甲1発明1は、甲第1号証が参照により組み込んだ従来技術である、甲第3号証における柱の設置に関する前提部分を含めて認定した甲1発明2に対して、甲第1号証に直接記載された事項のみから認定したものである。
そのため、甲1発明1と本件訂正発明8との上記相違点4及び5のうち、上記相違点4は、甲第1号証に直接記載されない柱の設置に関する前提部分として、甲1発明2と本件訂正発明8との相違点にはなかった付加的な相違点であるところ、上記相違点5は、甲1発明2と本件訂正発明8との相違点3と同じ相違点である。
そして、上記相違点5は、上記イ(イ)に検討した甲1発明2との上記相違点3と同様に、形式的な相違点ということはできず、甲2発明1及び2、甲3構造発明及び甲3方法発明、並びに甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項及び参考文献1ないし2に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得た事項ではない。
したがって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲1発明1と同一ではない。
また、上記相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲1発明1において、たとえ甲第2号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1ないし2に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 甲2発明2を主たる引用発明として
(ア)対比
本件訂正発明8と甲2発明2とを対比する。
甲2発明2における「地面に形成され、底部及び側壁を有する穴」は、穴の最上部が存在することは明らかであることを勘案すれば、本件訂正発明8における「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴」に相当する。
甲2発明2における「柱」は、本件訂正発明8における「柱」に相当する。
甲2発明2において、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」に関して、「少なくとも約65から75PSIの圧縮強度」を有し、「地盤に対するより強固な設置」がなされることを勘案すれば、硬化した「ポリウレタン」は硬質のポリウレタンであり「気泡」は相互に連通せず独立していると解されるから、甲2発明2における「硬化したポリウレタン」の「気泡」は、本件訂正発明8における「クローズド・セル」に相当する。また、甲2発明2における「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、気泡を有する構造はフォームとも言い得るから、本件訂正発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」に相当する。
甲2発明2において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、穴について見れば、穴のうち柱の基部によって占められていない部分がポリウレタンで埋められることとなるから、本件訂正発明8において、「ポリウレタンフォーム」が「穴を埋めるように設けられる」構成に相当する。
また、甲2発明2において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱について見れば、柱の基部が穴の側壁との間で硬化したポリウレタンに埋め込まれた状態となる構成であるから、本件訂正発明8において、「柱」の「少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる」構成に相当する。そして、甲2発明2において、柱が「穴の中央に位置するように」配置されたうえで、「気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」が「柱と穴の側壁との間の空隙を全て埋め尽く」す構成は、柱が穴の中で硬化するポリウレタンの中央に位置することとなる構成であるから、本件訂正発明8において、柱が「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置する」ように、ポリウレタンフォームに埋め込まれる構成に相当する。
甲2発明2において、「柱の設置構造」は、「穴」と「柱」及び「硬化したポリウレタン」という複数の部材の組合せである点で、システムと言うことができる。また甲2発明2の「柱の設置構造」について、想定される柱は電柱等であるが、電柱等の柱であっても、柱の上に載置する部材を含めたある程度の重量を全体として支える構造であるとともに、「発泡ポリウレタンが、柱自体に固着して、柱の基部により大きな固体物質が生じることで、地盤に対するより強固な設置がなされ」ることから、設置構造の根元近傍は拡径されて強固な基礎、すなわち基礎フーチングとなっているということができる。これらのことを考慮すると、甲2発明2における「穴」と「硬化したポリウレタン」と「柱」とを有する「柱の設置構造」は、本件訂正発明8における「ポリウレタンフォーム」と「柱」とを含む「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」に相当する。
甲2発明2において、「硬化後」に「発泡ポリウレタン部材」となる「液体樹脂材料」の「第1の成分」が含む「化学量的に十分でない活性水素含有有機成分」、及び「第2の成分」が含む「フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物」は、後者が「ポリイソシアネート」と化学反応し得る状態の水素を有することが技術常識であるから、いずれも本件訂正発明8における「少なくとも1つの活性化水素含有化合物」に相当する。
甲2発明2において、「非イオン性界面活性剤」の具体例として「液体樹脂材料」に含まれる「界面活性剤DC193」は、上記第4の3(2)ア(ケ)に摘記した同界面活性剤の化学式から、また上記第4の3(8)に摘記した参考文献2の段落【0039】における化学式及び段落【0045】に示される同商品名を参照しても、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーということができ、本件訂正発明8における「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」に相当する。
甲2発明2において、「ポリイソシアネート」、「化学量的に十分でない活性水素含有有機成分」及び「フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物」、並びに「非イオン性界面活性剤」としての「界面活性剤DC193」といった複数の成分を含む「液体樹脂材料」が「膨張するとともに気泡を有する形態で硬化したポリウレタン」は、複数の成分の組成物が硬化した混合物ということができるから、甲2発明2における当該「ポリウレタン」の構成と、本件訂正発明8における「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む構成とは、「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及びポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む点で共通する。

以上より、甲2発明2と本件訂正発明8とは、
「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するように、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及びポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含む、
基礎フーチングシステム。」
という点で一致し、次の点で相違する。

<相違点6>
本件訂正発明8においては、ポリウレタンフォームを形成するポリウレタン組成物が含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤の含有量について、「該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含む」と特定されているのに対し、
甲2発明2では、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤に相当する「界面活性剤DC193」の使用量が、「第1の成分の9から10部と第2の成分の1部とが混合」される「第2の成分」のうちの「5%から7%」であるものの、「第1の成分の9から10部と第2の成分の1部」という比率が重量比であるか明確でなく、第1の成分と第2の成分との合計重量に対する含有量が明確でない点。

<相違点7>
硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの物性について、
本件訂正発明8においては、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」のに対し、
甲2発明2においては、「1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度とを有する」ものであり、密度については換算すると0.056から0.072gm/ccmである点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点7について判断する。

a 形式的な相違点であるか否かについて
相違点7は、ポリウレタンフォームの密度及び圧縮強度が異なるから、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。

b 容易想到であるか否かについて
甲第3号証には、上記第4の3(1)ウに認定した甲3構造発明及び甲3方法発明が記載されている。また甲第1号証には、上記第4の2(3)ウに認定した甲1発明1及び甲1発明2が記載されている。甲2発明2、並びに、甲1発明1及び甲1発明2は、いずれも甲第3号証を従来技術として、使用する発泡ポリウレタンを改良したものであるが、甲3構造発明に認定したとおり、柱の設置構造として主に想定している柱は「電柱などの柱」であり、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれの記載を検討しても、甲2発明2において甲3構造発明よりも下限を下げた発泡ポリウレタンの圧縮強度を上昇させる動機付け、及び発泡ポリウレタンの密度を増加させる動機付けがあるということはできない。また、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれの記載を検討しても、甲2発明2において、「電柱などの柱」とは性質の異なる構造物の柱を支持対象とすることや、支持対象とする柱を変更することに伴い発泡ポリウレタンの物性を変更する動機付けがあるということもできない。
そして、甲第4号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1及び2には、それぞれ上記第4の3(4)ないし(8)にそれぞれ摘記した事項若しくは認定した発明が記載されているが、これらの事項を考慮しても、甲2発明2において、発泡ポリウレタンの圧縮強度及び密度を増加する改変を行うことは、示唆されているということができない。
したがって、甲2発明2において、上記相違点7に係る本件訂正発明8の構成に至ることは、甲1発明1及び2、甲3構造発明及び甲3方法発明、並びに甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項及び参考文献1ないし2に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得た事項ではない。

c 小括
以上のとおりであるから、上記相違点6について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲2発明2と同一ではない。
また、上記相違点6について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲2発明2において、たとえ甲第1号証及び甲第3号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1ないし2に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 甲2発明1を主たる引用発明として
(ア)対比
甲2発明1における「穴」は、「柱を地面に設置」するための「穴」であるから、地面に形成されるとともに、当然に最上部と底部も有すると解される。さらに、甲2発明1における「穴」が「穴の側面」も有することを勘案すると、甲2発明1における「穴」は、本件訂正発明8における「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴」に相当する。
甲2発明1における「柱」は、本件訂正発明8における「柱」に相当する。
甲2発明1において、「穴を合成樹脂と発泡剤の反応混合物で部分的に満たし、反応を完了させて、柱と穴の側面の間のすべての空間に樹脂を発泡させる」ことで形成した「合成樹脂」としての「発泡ポリウレタン」は、「柱と穴の側面の間のすべての空間」に存在するから、穴を埋めるように設けられると解され、「発泡」しているから気泡を有すると解されるとともに「フォーム」ということができ、また「硬化後」に「1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度を有する」ことからすると、硬質の発泡ポリウレタンであり気泡は独立したセルになっていると解されるから、本件訂正発明8における「穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」に相当する。
甲2発明1において、「柱」の「基部」が「穴内に配置」されたうえで、「合成樹脂」である「発泡ポリウレタン」が「柱と穴の側面の間のすべての空間」で「発泡」することで「柱を地面に設置」する構成は、柱について見れば、柱の基部が穴の側面との間で硬化したポリウレタンに埋め込まれた状態となる構成であるから、本件訂正発明8において、「柱」の「少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる」構成に相当する。
甲2発明1において、「柱の設置構造」は、「穴」と「柱」及び「発泡ポリウレタン」という複数の部材の組合せである点で、システムと言うことができ、本件訂正発明8における「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」とは、「システム」という点で共通する。
甲2発明1において、「硬化後」に「発泡ポリウレタン部材」となる材料の「第1の成分」が含む「化学量的に十分でない活性水素含有有機成分」、及び「第2の成分」が含む「フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物」は、後者が「ポリイソシアネート」と化学反応し得る状態の水素を有することが技術常識であるから、いずれも本件訂正発明8における「少なくとも1つの活性化水素含有化合物」に相当する。
甲2発明1において、「非イオン性界面活性剤」の具体例として「液体樹脂材料」に含まれる「界面活性剤DC193」は、上記第4の3(2)ア(ケ)に摘記した同界面活性剤の化学式から、また上記第4の3(8)に摘記した参考文献2の段落【0039】における化学式及び段落【0045】に示される同商品名を参照しても、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーということができ、本件訂正発明8における「ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤」に相当する。
甲2発明1において、「ポリイソシアネート」、「化学量的に十分でない活性水素含有有機成分」及び「フェノール性アミン又はポリエーテルポリオール若しくは両者の混合物」、並びに「非イオン性界面活性剤」としての「界面活性剤DC193」といった複数の成分を含む材料が発泡することで形成される硬化後の「発泡ポリウレタン部材」は、複数の成分の組成物が硬化した混合物ということができるから、甲2発明1における当該「ポリウレタン」の構成と、本件訂正発明8における「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む構成とは、「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及びポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含」む点で共通する。

以上より、甲2発明1と本件訂正発明8とは、
「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含むシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及びポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含む、
システム。」
という点で一致し、次の点で相違する。

<相違点8>
本件訂正発明8では、「柱」が「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するよう」に配置されるとともに、全体として「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」と特定されているのに対し、
甲2発明1では、「柱の基部」が「穴内」に配置されたうえで「柱と穴の側面の間のすべての空間」に「樹脂」である「発泡ポリウレタン」を「発泡させることで、柱を地面に設置」するものの、柱が「ポリウレタンフォームの中央に位置するように配置」されるとは特定されておらず、また全体として「耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」とは特定されていない点。

<相違点9>
本件訂正発明8においては、ポリウレタンフォームを形成するポリウレタン組成物が含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤の含有量について、「該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含む」と特定されているのに対し、
甲2発明1では、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤に相当する「界面活性剤DC193」の使用量が、「第1の成分の9から10部と第2の成分の1部とが混合」される「第2の成分」のうちの「5%から7%」であるものの、「第1の成分の9から10部と第2の成分の1部」という比率が重量比であるか明確でなく、第1の成分と第2の成分との合計重量に対する含有量が明確でない点。

<相違点10>
硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの物性について、
本件訂正発明8においては、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する」のに対し、
甲2発明1においては、「1立方フィート当たり3.5から4.5ポンドの密度と、少なくとも約65から75PSIの圧縮強度とを有する」ものであり、密度については換算すると0.056から0.072gm/ccmである点。

(イ)判断
甲2発明1は、甲第2号証が参照により組み込んだ従来技術である、甲第3号証における柱の設置に関する前提部分を含めて認定した甲2発明2に対して、甲第2号証に直接記載された事項のみから認定したものである。
そのため、甲2発明1と本件訂正発明8との上記相違点8ないし10のうち、上記相違点8は、甲第2号証に直接記載されない柱の設置に関する前提部分として、甲2発明2と本件訂正発明8との相違点にはなかった付加的な相違点であるところ、上記相違点9ないし10は、甲2発明2と本件訂正発明8との相違点6ないし7と同じ相違点である。
そして、上記相違点10は、上記エ(イ)に検討した甲2発明2との上記相違点7と同様に、形式的な相違点ということはできず、甲1発明1及び2、甲3構造発明及び甲3方法発明、並びに甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項及び参考文献1ないし2に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得た事項ではない。
したがって、上記相違点8ないし9について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲2発明1と同一ではない。
また、上記相違点8ないし9について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲2発明1において、たとえ甲第1号証及び甲第3号証ないし甲第6号証、並びに参考文献1ないし2に記載される事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

新規性及び進歩性のまとめ
上記アないしオのとおり、本件訂正発明8は、先の取消理由通知に記載した新規性及び進歩性に関する取消理由によって取り消されるべきものではない。

(2)本件訂正発明9及び12
本件訂正発明9及び12は、本件訂正発明8が有する構成を全て有し、さらに限定を加えたものである。
そして、上記(1)のとおり、本件訂正発明8が先の取消理由通知に記載した新規性及び進歩性に関する取消理由によって取り消されるべきものでないから、本件訂正発明9及び12も、先の取消理由通知に記載した新規性及び進歩性に関する取消理由によって取り消されるべきものではない。

2 明確性
本件訂正発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」の圧縮強度は、訂正前の請求項8における「10psiより大きい」から、「80psi以上100psi以下」へと限定された。当該訂正後の圧縮強度の範囲が、訂正前の下限値の約8?10倍であること、及び、本件訂正発明8における「クローズド・セルのポリウレタンフォーム」が、「地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように」設けられたうえで、「前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの上に設置され取り付けられてなる柱か、あるいは、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステム」を構成するものであることからすれば、本件訂正発明8における「80psi以上100psi以下の圧縮強度」とは、柱を介して加わる荷重に耐える基礎フーチングを構成するうえで、当該荷重が加わる重力方向についての圧縮強度を特定したものと理解することが、自然である。
また、本件訂正により、「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」について、当該「圧縮強度」に加えて、「フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下」であることが併せて特定されたことを勘案すると、本件訂正発明8における「硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォーム」について、第三者に不測の不利益を生じさせる程にその構造・機能及び物性が不明確であるというものではないと判断することができる。
本件訂正発明9及び12についても、同様である。
したがって、本件訂正発明8ないし9及び12は、先の取消理由において通知した点で、特許を取り消すべき程に不明確なものではない。

3 申立人の主張について
申立人は、本件訂正前の請求項1ないし12に係る発明について、申立書に記載した異議申立理由により特許を取り消すべきと主張していたが、本件訂正請求があった旨の通知に対して意見書等の提出はしておらず、本件訂正発明8ないし9及び12について特段の主張はされていない。


第6 むすび
以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件訂正発明8ないし9及び12に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、本件訂正発明8ないし9及び12に係る特許について、他に取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項1ないし7及び10ないし11に係る発明は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てのうち、請求項1ないし7及び10ないし11に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】
地盤に設けられ、そして最上部、底部及び側面を有する穴を埋めるように設けられる硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームと、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの中央に位置するように、前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームの上に設置され取り付けられてなる柱か、あるいは、少なくとも一部が前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームに埋め込まれてなる柱とを含む耐荷重性構造のための基礎フーチングシステムであって、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが、ポリウレタン組成物の硬化した混合物を含み、
該ポリウレタン組成物が、ポリイソシアネート、少なくとも1つの活性化水素含有化合物、及び該ポリウレタン組成物の0.1質量%乃至5質量%の量で含むポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー界面活性剤を含み、
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、フォーム密度0.085gm/ccm以上0.10gm/ccm以下であり、80psi以上100psi以下の圧縮強度を有する、基礎フーチングシステム。
【請求項9】
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームは、
前記ポリウレタン組成物を混合し、
該ポリウレタン組成物を前記穴に注入し、そして
該ポリウレタン組成物を発泡させることから製造され、
前記ポリウレタンフォームは、前記ポリウレタン組成物の混合後、25℃にて1乃至20分の間に硬化する、
請求項8に記載の基礎フーチングシステム。
【請求項10】(削除)
【請求項11】(削除)
【請求項12】
前記硬化したクローズド・セルのポリウレタンフォームが疎水性である、請求項8に記載の基礎フーチングシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-29 
出願番号 特願2016-564445(P2016-564445)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (E02D)
P 1 651・ 121- YAA (E02D)
P 1 651・ 113- YAA (E02D)
P 1 651・ 537- YAA (E02D)
P 1 651・ 841- YAA (E02D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 亀谷 英樹  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 土屋 真理子
有家 秀郎
登録日 2019-03-01 
登録番号 特許第6485971号(P6485971)
権利者 ロイヤル アドヒーシブ アンド シーランツ カナダ エルティーディー
発明の名称 耐荷重性構造のためのフーチング基礎におけるポリウレタンフォーム  
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所  
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所  
代理人 加藤 勉  
代理人 加藤 勉  
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