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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B27D
管理番号 1364962
異議申立番号 異議2020-700146  
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-03 
確定日 2020-08-18 
異議申立件数
事件の表示 特許第6598842号発明「ラッピング化粧板及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6598842号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6598842号(以下「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成29年12月28日の出願であって、令和1年10月11日にその特許権の設定登録がされ(特許掲載公報発行 令和1年10月30日)、その後、その特許について、令和2年3月3日に特許異議申立人小松珠美(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

2.本件特許発明
本件特許の請求項1?7に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
板状の基材と、該基材の周囲側面に周縁部が位置するように該基材の表面及び周囲側面に接着一体化されたシートからなる化粧シート層とを備えたラッピング化粧板であって、
上記基材の表面には、該基材の互いに対向する2つの側面の一方から他方まで延びる溝が形成され、
上記化粧シート層は、上記基材の表面に接着された表面部と、該基材の周囲側面に接着された周囲側面部と、上記溝の内面に接着された溝内面部とを有し、
上記周囲側面部のうち上記基材の上記2つの側面に接着された2つの溝端側面部は、上記溝の底部に対応する位置から上記シートの端縁まで延びる切り込みによって2つに分割されている
ことを特徴とするラッピング化粧板。
【請求項2】
請求項1において、
上記基材の表面と上記周囲側面との各間には、傾斜面からなる面取り部が形成されている
ことを特徴とするラッピング化粧板。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記溝内面部は、上記溝の底部に沿って該溝の延伸方向に延びる切り込みによって2つに分割されている
ことを特徴とするラッピング化粧板。
【請求項4】
請求項3において、
上記溝の内面は、塗料からなる被膜層で覆われ、
上記溝内面部は、上記被膜層の上に設けられている
ことを特徴とするラッピング化粧板。
【請求項5】
一端から他端まで延びる溝が表面に形成された板状の基材と、該基材の表面、周囲側面及び溝の内面に接着一体化されたシートからなる化粧シート層とを備えたラッピング化粧板の製造方法であって、
上記シートを上記基材の表面に接着する表面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において上記溝の端部が設けられて互いに対向する一方の2辺に対応する2つの側面に接着する第1側面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において互いに対向する他方の2辺に対応する2つの側面に接着する第2側面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートを上記溝の内面に接着する溝内面接着工程と、
上記表面接着工程後、上記第1側面接着工程を行う前に、上記基材の表面からはみ出した上記シートの周縁部であって上記溝の延伸方向の両側の部分に、該溝の底部に対応する位置から上記シートの端縁まで延びる切り込みを形成する切り込み工程とを備えている
ことを特徴とするラッピング化粧板の製造方法。
【請求項6】
一端から他端まで延びる溝が表面に形成された板状の基材と、該基材の表面、周囲側面及び溝の内面に接着一体化されたシートからなる化粧シート層とを備えたラッピング化粧板の製造方法であって、
上記シートを上記基材の表面に接着する表面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において上記溝の端部が設けられて互いに対向する一方の2辺に対応する2つの側面に接着する第1側面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において互いに対向する他方の2辺に対応する2つの側面に接着する第2側面接着工程と、
上記表面接着工程後に行われ、上記シートを上記溝の内面に接着する溝内面接着工程と、
上記表面接着工程後、上記第1側面接着工程及び上記溝内面接着工程を行う前に、上記シートを上記溝の底部に平行に一端から他端まで切り込んで切断する切り込み工程とを備えている
ことを特徴とするラッピング化粧板の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
上記表面接着工程の前に行われ、上記溝の内面に塗料を塗布して該内面を覆う被膜層を形成する被膜層形成工程をさらに備えている
ことを特徴とするラッピング化粧板の製造方法。」

3.申立理由の概要
申立人は、本件特許異議申立書に添付して以下の甲第1号証?甲第5号証(以下「甲1」?「甲5」という。)を提出し、本件発明1?7は、甲1に記載された発明及び甲2?甲5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、その特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨主張する。
甲1:特開昭55-152049号公報
甲2:特開2002-339557号公報
甲3:特開2008-87160号公報
甲4:特開2014-30975号公報
甲5:特開2001-88106号公報

4.当審の判断
(1)甲1に記載された発明
ア 甲1(特に、請求項1及び3頁左上欄13?末行の記載)には、溝付化粧板について、以下の「引用発明1」が記載されていると認められる。
「板状基材の表面に長さ方向に平行な1条又は2条以上の直線状の広幅溝が形成され、表面化粧材を板状基材の全面に貼着してから各広幅溝の中央で切り、溝上へのはみ出し部を折り曲げて溝内壁へ貼着し、前記広幅溝の底部に溝の長さ方向に沿って直線状の狭幅溝が形成された、溝付化粧板。」
イ また、甲1(特に、請求項6及び3頁左上欄13?末行の記載)には、溝付化粧板の製造方法について、以下の「引用発明2」が記載されていると認められる。
「板状基材の表面に長さ方向に平行な1条又は2条以上の直線状の広幅溝を形成し、基材側端部と広幅溝との間および各広幅溝間にそれぞれの間隔より若干広い幅の表面化粧材を接着し、表面化粧材の広幅溝へのはみ出し部分を溝内壁へ折曲げ接着し、次に前記広幅溝の底部に溝の長さ方向に沿って直線状の狭幅溝を形成する方法であって、表面化粧材を板状基材の全面に貼着してから各広幅溝の中央で切り、溝上へのはみ出し部を折り曲げて溝内壁へ貼着する、溝付化粧板の製造方法。」

(2)本件発明1について
ア 本件発明1と引用発明1を対比すると、本件発明1と引用発明1とは、以下の相違点1で相違し、その余で一致する。
相違点1:本件発明1の化粧シート層が、「基材の周囲側面に周縁部が位置するように該基材の表面及び周囲側面に接着一体化されたシートからな」り、「基材の表面に接着された表面部と、該基材の周囲側面に接着された周囲側面部と、上記溝の内面に接着された溝内面部とを有」し、「周囲側面部のうち上記基材の上記2つの側面に接着された2つの溝端側面部は、上記溝の底部に対応する位置から上記シートの端縁まで延びる切り込みによって2つに分割されている」のに対し、
引用発明1の表面化粧材は、表面化粧材を板状基材の全面に貼着してから各広幅溝の中央で切り、溝上へのはみ出し部を折り曲げて溝内壁へ貼着するものであるが、基材の周囲の側面に接着された部分を有するものではなく、そこに切り込みを有することも特定されていない点。
イ 上記相違点1について検討する。
(ア)本件発明1は、「板状の基材の表面及び周囲側面にシートを一体的に接着したラッピング化粧板」(本件明細書の【0001】)の基材として、「表面に目地のように見える溝を形成して幅広(例えば、1尺)に構成された基材を用いる」(同【0003】)場合、「基材をシートでラッピングすると、基材の溝内面にシートを接着した後、シートの周縁部を折り曲げて基材の周囲側面に接着する際に、溝内面に接着したシートの溝底部分に、該溝底部分を溝上方に持ち上げる力が集中してかかり、溝底部分が溝上方に引っ張られ、シートが溝内面から浮き上が」り、「溝内のシートが浮き上がってしまうと、溝が浅くなるため、目地に見えず、意匠性が著しく低下するという問題」(同【0007】)があり、その問題の解決を課題として、「基材において溝の端部が設けられて互いに対応する一方の2辺に対応する2つの側面に接着されるシートの周縁部に、溝の底部からシートの端縁まで延びる切り込みを形成するようにした」(同【0009】)ものである。
(イ)一方、引用発明1の表面化粧材は、基材の周囲側面にシートの周縁部を接着したものではなく、そのことを示唆する記載もない。そのため、引用発明1の表面化粧材は、本件発明1のように、「基材の溝内面にシートを接着した後、シートの周縁部を折り曲げて基材の周囲側面に接着する」ことに伴う、上記(ア)の課題を生じ得ないから、引用発明1において、上記課題を解決するために、「基材において溝の端部が設けられて互いに対応する一方の2辺に対応する2つの側面に接着されるシートの周縁部に、溝の底部からシートの端縁まで延びる切り込みを形成」する動機付けがない。また、提出された他の甲2?甲5にも、この動機付けについて示唆する記載はない。
(ウ)この点、申立人は、基材の4つの側面に、それぞれシートを貼り付けるシートラッピング製品は周知技術であり、広幅溝の内面と板状基材の4つの側面に表面化粧材を接着する場合、4つの側面のうち、広幅溝の端部が設けられた溝端側面部に表面化粧材を接着するとき、表面化粧材が広幅溝の延長上で1枚に合わせられると表面化粧材の溝端側面部に皺が生じることは、当業者が通常認識し得る程度の課題に過ぎず、表面化粧材の溝端側面部に皺が生じないように切り込みを入れることは設計的事項であり、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨(特許異議申立書13頁7行?14頁下から2行)主張する。
しかし、甲3に、基材の4つの側面にシートを貼り付けるシートラッピング製品が記載されているものの、甲3を含め提出された証拠のいずれも、表面に溝を形成した板状基材の溝の内面にシートを接着するとともに、板状基材の周囲側面にシートを接着することを示すものではない。そうすると、引用発明1は「広幅溝」を有するものであるから、引用発明1において、「広幅溝の内面と板状基材の4つの側面に表面化粧材を接着する場合、4つの側面のうち、広幅溝の端部が設けられた溝端側面部に表面化粧材を接着する」ことを、当業者が容易に想到し得たとはいえず、その上で、さらに表面化粧材の溝端側面部に皺が生じないように切り込みを入れることを、設計上、適宜なし得たともいえない。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
(エ)そうすると、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、引用発明1に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ よって、本件発明1は、引用発明1及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明2?4について
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項を、直接又は間接的にすべて含むものであるところ、上記(2)のとおり、本件発明1は、引用発明1及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項をすべて含む本件発明2?4も、引用発明1及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明5について
ア 本件発明5と引用発明2を対比すると、本件発明5と引用発明2とは、以下の相違点2で相違し、その余で一致する。
相違点2:本件発明5が、「基材の表面、周囲側面及び溝の内面に接着一体化されたシートからなる化粧シート層」を備えたラッピング化粧板の製造方法であって、「表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において上記溝の端部が設けられて互いに対向する一方の2辺に対応する2つの側面に接着する第1側面接着工程と、上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において互いに対向する他方の2辺に対応する2つの側面に接着する第2側面接着工程と」を備え、「上記表面接着工程後、上記第1側面接着工程を行う前に、上記基材の表面からはみ出した上記シートの周縁部であって上記溝の延伸方向の両側の部分に、該溝の底部に対応する位置から上記シートの端縁まで延びる切り込みを形成する切り込み工程」を備えているのに対し、
引用発明2は、基材に基材側端部と広幅溝との間および各広幅溝間にそれぞれの間隔より若干広い幅の表面化粧材を接着し、表面化粧材の広幅溝へのはみ出し部分を溝内壁へ折曲げ接着する方法であって、表面化粧材を板状基材の全面に貼着してから各広幅溝の中央で切り、溝上へのはみ出し部を折り曲げて溝内壁へ貼着するものの、表面化粧材が基材の周囲の側面に接着された部分を有するものではなく、その部分に切り込みを形成することも特定されていない点。
イ 上記相違点2について検討する。
引用発明2の溝付化粧板の製造方法は、基材の周囲側面にシートの周縁部を貼り付ける前に、溝の底部に対応する位置からシートの端縁まで延びる切り込みを形成するものではない。
そして、上記(2)で述べた理由と同様に、引用発明2の表面化粧材の製造方法は、「基材の溝内面にシートを接着した後、シートの周縁部を折り曲げて基材の周囲側面に接着する」ことに伴う、上記(2)イ(ア)の課題を生じ得ないから、引用発明2において、上記課題を解決するために、「表面接着工程後、第1側面接着工程を行う前に、基材の表面からはみ出したシートの周縁部であって溝の延伸方向の両側の部分に、該溝の底部に対応する位置からシートの端縁まで延びる切り込みを形成」しようとする動機付けがない。
そうすると、上記相違点2に係る本件発明5の構成は、引用発明2に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ よって、本件発明5は、引用発明2及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)本件発明6について
ア 本件発明6と引用発明2を対比すると、本件発明6と引用発明2とは、以下の相違点3で相違し、その余で一致する。
相違点3:本件発明6が、「基材の表面、周囲側面及び溝の内面に接着一体化されたシートからなる化粧シート層」を備えたラッピング化粧板の製造方法であって、「表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において上記溝の端部が設けられて互いに対向する一方の2辺に対応する2つの側面に接着する第1側面接着工程と、上記表面接着工程後に行われ、上記シートの周縁部を、上記基材において互いに対向する他方の2辺に対応する2つの側面に接着する第2側面接着工程と」を備え、「上記表面接着工程後、上記第1側面接着工程及び上記溝内面接着工程を行う前に、上記シートを上記溝の底部に平行に一端から他端まで切り込んで切断する切り込み工程」を備えているのに対し、
引用発明2は、基材に基材側端部と広幅溝との間および各広幅溝間にそれぞれの間隔より若干広い幅の表面化粧材を接着し、表面化粧材の広幅溝へのはみ出し部分を溝内壁へ折曲げ接着する方法であって、表面化粧材を板状基材の全面に貼着してから各広幅溝の中央で切り、溝上へのはみ出し部を折り曲げて溝内壁へ貼着するものの、表面化粧材が基材の周囲の側面に接着された部分を有するものではなく、その部分も含めて、表面化粧材の一端から他端まで切るか否かも特定されていない点。
イ 上記相違点3について検討する。
引用発明2の溝付化粧板の製造方法は、基材の周囲側面にシートの周縁部を貼り付ける前に、シートを溝の底部に平行に一端から他端まで切り込んで切断するものではない。
そして、上記(2)で述べた理由と同様に、引用発明2の表面化粧材の製造方法は、「基材の溝内面にシートを接着した後、シートの周縁部を折り曲げて基材の周囲側面に接着する」ことに伴う、上記(2)イ(ア)の課題を生じ得ないから、引用発明2において、上記課題を解決するために、基材の周囲側面に接着された部分を含む「表面接着工程後、第1側面接着工程及び溝内面接着工程を行う前に、シートを溝の底部に平行に一端から他端まで切り込んで切断する」動機付けがない。
そうすると、上記相違点3に係る本件発明6の構成は、引用発明2に基いて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ よって、本件発明6は、引用発明2及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(6)本件発明7について
本件発明7は、本件発明6の発明特定事項をすべて含むものであるところ、上記(5)のとおり、本件発明6は、引用発明2及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明6の発明特定事項をすべて含む本件発明7も、引用発明2及び甲2?甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-08-07 
出願番号 特願2017-253458(P2017-253458)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B27D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩田 行剛河内 浩志  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 佐々木 正章
井上 茂夫
登録日 2019-10-11 
登録番号 特許第6598842号(P6598842)
権利者 大建工業株式会社
発明の名称 ラッピング化粧板及びその製造方法  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
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