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審決分類 審判 全部無効 発明同一  H01L
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部無効 2項進歩性  H01L
管理番号 1365217
審判番号 無効2017-800061  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-05-09 
確定日 2020-07-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5825390号発明「発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5825390号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、3、5、6]、[2、8?10]について、一群の請求項ごとに訂正することを認める。 特許第5825390号の請求項1?3、5、6、8?10に係る発明についての審判の請求は、成り立たない。 特許第5825390号の請求項4、7に係る発明についての審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 請求及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
「特許第5825390号の請求項1?7に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。

2 答弁の趣旨
「訂正を認める。本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。

第2 手続の経緯
本件特許第5825390号(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成26年 4月11日 特許出願
(本件特許に係る出願は、平成20年9月3日に出願された特許出願(特願2008-225408号(以下「最初の特許出願」という。))の一部を、平成25年3月6日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2013-44799号(以下「第1世代分割出願」という。))とし、更にその一部を、平成26年4月11日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2014-81908号)としたものである。)
平成27年10月23日 特許権の設定登録
平成29年 5月 9日 無効審判請求
平成29年 5月31日 手続補正書提出(請求人、審判請求書の補正)
平成29年 8月18日 訂正請求書提出(被請求人)
平成29年 8月18日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成29年 9月 5日 上申書提出(請求人、弁駁書提出期限の期間延長)
平成29年11月16日 弁駁書提出(請求人、以下「第1弁駁書」という。)
平成29年12月19日 訂正拒絶理由通知書
平成29年12月21日 職権審理結果通知書
平成30年 1月 9日 手続補正書提出(被請求人、訂正特許請求の範囲の補正)
平成30年 1月 9日 意見書提出(被請求人)
平成30年 2月13日 意見書提出(請求人)
平成30年 3月12日 弁駁書提出(請求人、以下「第2弁駁書」という。)
平成30年 6月 8日 審理事項通知書
平成30年 7月26日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成30年 7月26日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成30年 8月23日 口頭審理

第3 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成30年1月9日付け手続補正によって補正された、平成29年8月18日付けの本件訂正請求書における請求の趣旨は、「特許第5825390号の特許請求の範囲を、本請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。また、平成30年1月9日付け手続補正によって補正された、平成29年8月18日付けの本件訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりのものである(なお、願書に添付した明細書を、以下「本件特許明細書」という。)。

(1)訂正事項1:請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1において、
「切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれた光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂と、を備える樹脂パッケージを有し、」
とあるのを、
「切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
イ 訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面に沿って形成されており、」
とあるのを、
「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
ウ 訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
エ 訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材が配置されており、」
とあるのを、
「前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
オ 訂正事項1-5
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記樹脂パッケージの外側面において、前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成しており、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
カ 訂正事項1-6
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記リードは、前記樹脂パッケージの外底面において露出されている」
とあるのを、
「前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、」
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。
キ 訂正事項1-7
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」
という特定事項を、訂正事項1-6で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする(請求項1の記載を引用する、請求項3、5、6も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2:請求項2に係る訂正
ア 訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項2において、
「前記内底面は、前記リードおよび前記樹脂部からなる請求項1に記載の発光装置。」
とあるのを、
「切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれた光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂と、を備える樹脂パッケージを有し、
前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面に沿って形成されており、
前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
前記内底面は、前記リードおよび前記樹脂部からなり、前記内底面に発光素子が配置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材が配置されており、
前記樹脂パッケージの外側面において、前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、
前記リードは、前記樹脂パッケージの外底面において露出されていることを特徴とする発光装置。」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2-2
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれた光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂と、を備える樹脂パッケージを有し、」
とあるのを、
「切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
ウ 訂正事項2-3
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面に沿って形成されており、」
とあるのを、
「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
エ 訂正事項2-4
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
オ 訂正事項2-5
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材が配置されており、」
とあるのを、
「前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
カ 訂正事項2-6
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「前記樹脂パッケージの外側面において、前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されており、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
キ 訂正事項2-7
特許請求の範囲の請求項2において、上記訂正事項2-1のうち、
「前記リードは、前記樹脂パッケージの外底面において露出されている」
とあるのを、
「前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、」
と訂正する(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。
ク 訂正事項2-8
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」
という特定事項を、訂正事項2-7で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする(請求項2の記載を引用する、請求項8、9、10も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3:請求項3にかかる訂正
ア 訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項3において、
「前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さである」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、」
と訂正する(請求項3の記載を引用する、請求項5、6も同様に訂正する)。
イ 訂正事項3-2
特許請求の範囲の請求項3において、
「請求項1または2に記載の発光装置。」
とあるのを、
「請求項1に記載の発光装置。」
と訂正する(請求項3の記載を引用する、請求項5、6も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4:請求項4にかかる訂正
ア 訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(5)訂正事項5:請求項5にかかる訂正
ア 訂正事項5-1
特許請求の範囲の請求項5において、
「前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項1?4のいずれか1項に記載の発光装置。」
とあるのを、
「前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項1および3のいずれか1項に記載の発光装置。」
と訂正する(請求項5の記載を引用する、請求項6も同様に訂正する)。

(6)訂正事項6:請求項6にかかる訂正
ア 訂正事項6-1
特許請求の範囲の請求項6において、
「前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項1?5のいずれか1項に記載の発光装置。」
とあるのを、
「前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項1、3および5のいずれか1項に記載の発光装置。」
と訂正する。

(7)訂正事項7:請求項7にかかる訂正
ア 訂正事項7-1
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(8)訂正事項8:請求項8にかかる訂正
ア 訂正事項8-1
特許請求の範囲の請求項3において、
「請求項1または2に記載の発光装置。」
とあるのを、
「請求項2に記載の発光装置。」として請求項2を引用するものに改めて、新たな請求項8とする(請求項8の記載を引用する、請求項9、10も同様に訂正する)。
イ 訂正事項8-2
新たな請求項8において、
「前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さである」
とあるのを、
「前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、」
と訂正する(請求項8の記載を引用する、請求項9、10も同様に訂正する)。

(9)訂正事項9:請求項9にかかる訂正
ア 訂正事項9-1
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項1?4のいずれか1項に記載の発光装置。」
とあるのを、請求項2、および請求項2を引用する訂正前の請求項3(すなわち、訂正後の請求項8)を引用するものに改めて、
「前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項2および8のいずれか1項に記載の発光装置。」
と訂正して、これを新たな請求項9とする(請求項9の記載を引用する、請求項10も同様に訂正する)。

(10)訂正事項10:請求項10にかかる訂正
ア 訂正事項10-1
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項1?5のいずれか1項に記載の発光装置。」
とあるのを、請求項2、ならびに請求項2を引用する訂正前の請求項3および5(すなわち、訂正後の請求項8および9)を引用するものに改めて、
「前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項2、8および9のいずれか1項に記載の発光装置。」
と訂正して、これを新たな請求項10とする。

2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項について
訂正前の特許請求の範囲において、請求項2?7はそれぞれ請求項1の記載を引用しているものであって、訂正事項1-1ないし1-7によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?7に対応する訂正後の請求項1?10は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。

(2)訂正事項についての判断
ア 訂正事項1について
(ア)訂正事項1-1
a 訂正の目的について
訂正事項1-1は、請求項1において、発光装置が有する樹脂パッケージが備えている熱硬化性樹脂が、
(1-1-1)(切り欠き部に埋め込まれるとともに)リードの上方に一体に形成されたものであること、
(1-1-2)光反射性物質として酸化チタンを含有するものであること、
(1-1-3)樹脂部を構成していること
を特定事項として追加するとともに、
(1-1-4)樹脂パッケージが、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形のものであること
を特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1に記載された発明において、樹脂パッケージが備えている熱硬化性樹脂は、光反射性物質を含有するものとして特定されるだけであり、また、樹脂パッケージの形状については特定されていない。
訂正事項1-1は、訂正後の請求項1に記載された発明において、上記(1-1-1)ないし(1-1-4)の特定事項を追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。また、本件特許の願書に添付した図面を「本件図面」ということがある。)に基づくものである。
c-1 熱硬化性樹脂が樹脂部を構成していること(上記(1-1-3))について
本件特許明細書の段落【0041】には、「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」(下線は合議体が付与した。以下、同じ。)と記載され、段落【0104】には、「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。(※中略)樹脂部25には熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を用いる。」と記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件特許明細書には、樹脂パッケージが備える熱硬化性樹脂が樹脂部を構成していることが記載されている。
c-2 熱硬化性樹脂が(切り欠き部に埋め込まれるとともに)リードの上方に一体に形成されたものであること(上記(1-1-1))について
本件特許明細書の段落【0032】には、「図1は、第1の実施の形態に係る発光装置を示す斜視図である。」と記載され、段落【0033】には、「第1の実施の形態に係る発光装置100は、(※中略)樹脂パッケージ20を有する。」と記載され、段落【0034】には、「樹脂パッケージ20は、主に光反射性物質26を含有する樹脂部25と、リード22と、から構成されている。」と記載されている。
そして、本件図面の図1には、切り欠き部に埋め込まれた熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、リード22の上方に形成された熱硬化性樹脂からなる樹脂部とが一体となって、樹脂部全体25を構成していることが記載されている。
さらに、本件図面には、第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法を示す概略断面図として、図4が示されており、本件特許明細書の段落【0075】には、「上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する。」と記載されている。
図4および段落【0075】の記載は、発光装置の製造工程において、熱硬化性樹脂が、切り欠き部21aに埋め込まれるとともにリードフレーム21の上方に一体に形成されて、樹脂成形体全体24を構成することを示すものである。このことから、個片化後の発光装置においても、切り欠き部に埋め込まれた熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、リードの上方に形成された熱硬化性樹脂からなる樹脂部とが一体となって、樹脂部全体を構成することは明らかである。
したがって、本件特許明細書及び本件図面には、熱硬化性樹脂が(切り欠き部に埋め込まれるとともに)リードの上方に一体に形成された形態が記載されている。
c-3 熱硬化性樹脂が光反射性物質として酸化チタンを含有するものであること(上記(1-1-2))について
本件特許明細書の段落【0104】には、「光反射物質26には酸化チタンを使用する。」と記載されている。
したがって、本件特許明細書には、熱硬化性樹脂が光反射性物質として酸化チタンを含む形態が記載されている。
c-4 樹脂パッケージが、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形のものであること(上記(1-1-4))について
本件図面の図1には、第1の実施の形態に係る発光装置を示す斜視図が示されている。
また、本件図面の図3には、第1の実施の形態に用いられるリードフレームを示す平面図が示されており、図3において、符号21aで示されるものはリードフレームに設けられた切り欠き部である。
また、本件特許明細書の段落【0078】には、「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。」と記載されている。図3において、赤い破線で囲んだ切り欠き部21aに沿って、樹脂成形体とリードフレームとを切断すると、上面視で矩形である樹脂部とリードとの複合体(すなわち、樹脂パッケージ)が得られることは、当業者には自明である。
したがって、図1および図3ならびに本件特許明細書の段落【0078】によれば、図1に示された発光装置100が上面視で矩形のものであることは明らかである。また、図1に示された矩形の発光装置が、四つの外側面を有することは明らかであり、四つの外側面が、互いに対向する位置にある第1外側面と第2外側面、および互いに対向する第3外側面と第4外側面であることもまた明らかである。
また、訂正事項1-1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正事項1-2
a 訂正の目的について
訂正事項1-2は、請求項1において、切り欠き部が、第1乃至第4外側面に沿って形成されていること、および切り欠き部が、樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有していることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1に記載された発明において、リードが有する切り欠き部は樹脂パッケージの外側面に沿って形成されたものであると特定され、外側面に沿って形成された切り欠き部がいずれの外側面に形成されたものであるのか、また、四つの外側面に沿って切り欠き部が形成されている場合に、それらの切り欠き部が互いに独立しているか否かについては特定されていない。
訂正事項1-2は、訂正後の請求項1に記載された発明において、切り欠き部の位置および形態に関する特定事項を追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-2は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
本件図面には、第1の実施の形態の発光装置の斜視図として図1が示されている。
また、本件図面の図3には、第1の実施の形態に用いられるリードフレームを示す平面図が示されている。
図3において、符号21aで示されるものはリードフレームに設けられた切り欠き部であり、本件特許明細書の段落【0078】に「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。」と記載されているとおり、樹脂成形体とリードフレームとが切断される箇所である。
さらに、本件特許明細書の段落【0078】には、「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」と記載され、この記載から、リードフレームに設けられた切り欠き部21aに沿って切断して得られる切断面が、図1に示される発光装置の樹脂パッケージの外側面となることは、明らかである。
そして、切断後の樹脂パッケージには、図1に表れているリード22(正確にはリードの露出部)間に、樹脂パッケージ20の外側面に沿って形成されたリードの切り欠き部が存在することもまた明らかである。
加えて、図3において、上下方向の切り欠き部が対称に形成され、また、左右方向の切り欠き部が対称に形成されていることから、図1では見えていない外側面においても、図1で見えている外側面と同じように、リード22が露出して、露出したリード22の間に切り欠き部が形成されていることは明らかである。
したがって、これらの記載を考慮すれば、図3に示されたリードフレームを用いて製造された、図1に示される発光装置100において、4つのすべての外側面(第1乃至第4外側面)に沿って、リード22に切り欠き部(第1乃至第4の切り欠き部)が形成されており、また、これらの切り欠き部が樹脂パッケージの外側面において互いに分離していることは、当業者には自明のことである。
また、訂正事項1-2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)訂正事項1-3
a 訂正の目的について
訂正事項1-3は、凹部の内側面を構成する「樹脂部」が、訂正事項1-1として追加された「(前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる)樹脂部」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものであり、凹部の内側面を構成する「樹脂部」がその前に説明した「樹脂部」を指すのかどうか明瞭でないという不備を是正するものである。
したがって、当該訂正事項は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-3は、「前記」という用語によって、凹部の内側面を構成する「樹脂部」が先に記載された「樹脂部」を指すことを明確にしたものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-3は、「前記」という用語を付加することにより、凹部の内側面を構成する「樹脂部」が、先に記載された「(前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる)樹脂部」を指すことを明確にしたものであるところ、樹脂パッケージが、「(前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる)樹脂部」を備える構成は、上記「(ア)」「c」項で説明したとおり、本件特許明細書及び本件図面に記載されている。
また、訂正事項1-3は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(エ)訂正事項1-4
a 訂正の目的について
訂正事項1-4は、請求項1において、発光素子を被覆する封止部材がシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなることを、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1に記載された発明において、封止部材を構成する材料は特定されていない。
訂正事項1-4は、訂正後の請求項1に記載された発明において、封止部材がシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-4は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
本件特許明細書の段落【0051】には、「(封止部材) 封止部材の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」と記載されている。
また、訂正事項1-4は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(オ)訂正事項1-5
a 訂正の目的について
訂正事項1-5は、請求項1において、外側面においてリードと同一面に形成されている樹脂部が、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部であること、樹脂部と同一面を形成しているリードが樹脂部から露出したものであること、および樹脂部とリードとが樹脂パッケージの第1乃至第4外側面それぞれにおいて同一面に形成されて、切断面を構成していることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-5は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
上記「(イ)訂正事項1-2」「c」項で説明したとおり、本件特許明細書および本件図面の記載から、図1に示される発光装置100を構成するリード22において、4つのすべての外側面(第1乃至第4外側面)にて、互いに分離した切り欠き部(第1乃至第4の切り欠き部)が設けられていることは、当業者には自明のことである。
そして、本件特許明細書の段落【0078】には、「これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」と記載されており、切断面である樹脂パッケージの外側面において樹脂部と略同一面に形成されるリードが露出していることが記載されている。
また、本件図面の図1には、樹脂パッケージの外側面において、リード22が樹脂部から露出しており、露出したリード22と、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部とが同一面に形成された構成が記載されている。
図1の斜視図は、二つの外側面が見えるように記載されたものであるが、上記「(イ)訂正事項1-2」「c」項で説明したとおり、図1に示す発光装置が図3に示すリードフレームを用いて製造されたものであることを考慮すれば、図に表れない他の二つの外側面においても同様に、露出したリード22と、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部とが同一面に形成されていることは明らかである。
さらに、上記のとおり、段落【0078】には、「これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」と記載されており、本件特許明細書に開示された発光装置において、樹脂部とリードとにより形成される同一面が、樹脂成形体とリードフレームとの切断により形成される切断面であることは明らかである。
また、訂正事項1-5は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項1-5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(カ)訂正事項1-6
a 訂正の目的について
訂正事項1-6は、リードが、
(1-6-1)金属板に銀メッキ処理が施されてなるものであること、
(1-6-2)金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、樹脂パッケージの外側面において金属板が露出していること、
(1-6-3)第1外側面、第2外側面及び第3外側面それぞれに露出した第1リードと、第1外側面、第2外側面及び第4外側面それぞれに露出した第2リードを有していること
を特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1に記載された発明において、リードは外底面において露出していると特定されている。
訂正事項1-6は、訂正後の請求項1に記載された発明において、上記(1-6-1)ないし(1-6-3)の特定事項を追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-6は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
c-1 リードが金属板に銀メッキ処理が施されてなるものであること(上記(1-6-1))について
本件特許明細書の段落【0046】には、「(リード、リードフレーム) リードフレームは平板状の金属板を用いることができるが、段差や凹凸を設けた金属板も用いることができる。」と記載され、段落【0051】には、「リードフレームは、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体を用いて形成される。また、発光素子からの光の反射率を高めるために、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキを施すことができる。」と記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件特許明細書には、金属板に銀メッキ処理を施してなるリードが記載されている。
c-2 金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、樹脂パッケージの外側面において金属板が露出していること(上記(1-6-2))について
本件特許明細書の段落【0021】には、「本発明は、熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており、かつ、外側面はメッキ処理が施されていない部分を有する発光装置に関する。」と記載されている。ここで、リードの外側面でメッキ処理が施されていない部分とは、メッキ処理の対象である金属板それ自体が露出している部分にほかならない。
したがって、本件特許明細書には、金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、樹脂パッケージの外側面において金属板が露出しているリードの構成が記載されている。
c-3 リードが、第1外側面、第2外側面及び第3外側面それぞれに露出した第1リードと、第1外側面、第2外側面及び第4外側面それぞれに露出した第2リードを有していること(上記(1-6-3))について
本件図面の図1および図2には、リードが二つの部分に分かれており、発光素子から延びる二本のワイヤ50のうち一方が一方のリードに、他方のワイヤが他方のリードに接続されている様子が記載されている。
また、本件特許明細書の段落【0045】には、「リードは正負一対となるように所定の間隔を空けて設けている。」と記載され、段落【0050】には、「切り欠き部は、樹脂成形体を個片化して樹脂パッケージとした際、リードが正負一対となるように形成されている。」と記載されており、リードが二つのリード(これらは区別のために便宜的に、「第1リード」および「第2リード」と呼ぶことができる)を有することが記載されている。
加えて、図1に示す発光装置が、図3に示すリードフレームを用いて、図4に示す方法で製造されたものであることから、図1に示す発光装置の底面図が次のようなものとなることは当業者には自明であるところ、この図によれば、二つのリード(第1リード、第2リード)は、それぞれが3つの外側面に露出している。具体的には、第1リードは第1外側面、第2外側面および第3外側面で露出し、第2リードは第1外側面、第2外側面および第4外側面で露出している。
したがって、本件特許明細書および本件図面には、第1外側面、第2外側面及び第3外側面それぞれに露出した第1リードと、第1外側面、第2外側面及び第4外側面それぞれに露出した第2リードとを有するリードが記載されている。
また、訂正事項1-6は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項1-6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(キ)訂正事項1-7
a 訂正の目的について
訂正事項1-7は、請求項1において、切り欠き部が、上面視で、発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1に記載された発明において、リードに形成された切り欠き部が発光装置の全包囲周に占める割合については特定されていない。
訂正事項1-7は、訂正後の請求項1に記載された発明において、切り欠き部が、上面視で、発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1-7は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-7は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
本件特許明細書の段落【0016】には、「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」と記載されている。
また、本件特許明細書の段落【0035】には、「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」との記載があり、この記載において、切り欠き部に沿って切断したときの切断面である、発光装置(樹脂パッケージ)の外側面において、リードの露出部分が1/2未満であるということは、リードに設けられた切り欠き部(樹脂部が埋め込まれているために露出しない部分)が個片化後の発光装置(樹脂パッケージ)の全包囲の長さの1/2以上を占めることにほかならない。
したがって、本件特許明細書には、切り欠き部が、上面視で、発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている構成が記載されている。
また、訂正事項1-7は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項1-7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ク)訂正後の請求項1に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項1に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

イ 訂正事項2について
(ア)訂正事項2-1
a 訂正の目的について
訂正事項2-1は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、請求項1との引用関係の解消を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2-1は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2-1は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正事項2-2ないし2-5、並びに訂正事項2-7及び2-8
訂正事項2-2ないし2-5、並びに訂正事項2-7及び2-8は、それぞれ、上記「ア」の「(ア)訂正事項1-1」ないし「(エ)訂正事項1-4」、並びに「(カ)訂正事項1-6」及び「(キ)訂正事項1-7」で、「a 訂正の目的」、「b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと」、「c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」について検討したのと同様に、特許請求の範囲を減縮しようとするもの、あるいは明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)訂正事項2-6
a 訂正の目的について
訂正事項2-6は、請求項2において、外側面においてリードと同一面に形成している樹脂部が、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部であること、樹脂部と同一面を形成しているリードが樹脂部から露出したものであること、および樹脂部とリードとが樹脂パッケージの第1乃至第4外側面それぞれにおいて同一面に形成されていることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項2-6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2-6は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
上記「ア」「(オ)訂正事項1-5」「c」項で説明したとおりであるから、訂正事項2-6も、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(エ)訂正後の請求項2に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項2に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

ウ 訂正事項3及び訂正事項8について
(ア)訂正事項3-1及び訂正事項8-2
a 訂正の目的について
訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、請求項3において、金属板が、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、外側面において露出しているものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項3は、訂正前の請求項1または2を引用し、したがって訂正前の請求項3に記載された発明においては、リードは外底面において露出していると特定されている。
訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、訂正後の請求項3及び請求項8に記載された発明において、金属板が、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、外側面において露出しているものであることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、本件特許明細書又は本件図面に基づくものである。
上記「ア」「(カ)訂正事項1-6」「c」「c-1」項で説明したとおり、本件特許明細書の段落【0051】には、金属板に銀メッキ処理を施してなるリードが記載されている。
また、本件特許明細書の段落【0015】には、リードフレームへのメッキ処理と、得られる発光装置のリードのメッキに関連して、「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」と記載されている。
さらに、本件特許明細書の段落【0078】には、「これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」と記載されており、切断面である樹脂パッケージの外側面において樹脂部と略同一面に形成されるリードが露出していることが記載されている。
したがって、これらの記載によれば、銀メッキ処理を予め施したリードフレームを用いて発光装置を製造すれば、得られる発光装置のリードを構成する金属板が、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、外側面において露出している構成のものとなることは明らかである。
また、訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
以上のとおりであるから、訂正事項3-1及び訂正事項8-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正事項3-2及び訂正事項8-1
a 訂正の目的について
訂正事項3-2は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとするため、請求項1を引用する形式に変更したものであり、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
訂正事項8-1は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとしたうえで、新たな請求項8としたものであるから、特許請求の範囲の減縮及び請求項1との引用関係の解消とを目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項3-2及び訂正事項8-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-2及び訂正事項8-1は、それぞれ、請求項2または請求項1を引用しないものとしたものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)訂正後の請求項3及び請求項8に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項3及び請求項8に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

エ 訂正事項4について
(ア)訂正事項4-1
a 訂正の目的について
訂正事項4-1は、訂正前の請求項4を削除することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項4-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4-1は、請求項4を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正後の請求項4に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項4に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

オ 訂正事項5及び訂正事項9について
(ア)訂正事項5-1及び訂正事項9-1
a 訂正の目的について
訂正事項5-1は、訂正前の請求項5が請求項1?4の記載を引用する記載であるところ、請求項4の削除に伴い、請求項4を引用しないものとするとともに、請求項2及び請求項2を引用する請求項3を引用しないものとしたものである。
したがって、訂正事項5-1は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または、請求項2、請求項2を引用する請求項3、及び請求項4との引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項9-1は、訂正前の請求項5が請求項1?4の記載を引用する記載であるところ、請求項4の削除に伴い、請求項4を引用しないものとするとともに、請求項1及び請求項1を引用する請求項3を引用しないものとし、新たな請求項9としたものである(新たな請求項9が引用する請求項8は、訂正事項8-1により訂正された、訂正前における、請求項2を引用する請求項3)。
したがって、訂正事項9-1は、明瞭でない記載の釈明、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または、請求項1、請求項1を引用する請求項4、及び請求項4との引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項5-1及び訂正事項9-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5-1は、請求項2及び請求項2を引用する請求項3並びに請求項4を引用しないものとするものであり、訂正事項9-1は、請求項1及び請求項1を引用する請求項3並びに請求項4を引用しないものとしたものであるから、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正後の請求項5及び請求項9に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項5及び請求項9に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

カ 訂正事項6及び訂正事項10について
(ア)訂正事項6-1及び訂正事項10-1
a 訂正の目的について
訂正事項6-1は、訂正前の請求項6が請求項1?5の記載を引用する記載であるところ、請求項4の削除に伴い、請求項4を引用しないものとするとともに、請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項2を引用する請求項5、及び請求項2を引用する請求項3を引用する請求項5を引用しないものとしたものである。
したがって、訂正事項6-1は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または、請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項4、請求項2を引用する請求項5、及び請求項2を引用する請求項3を引用する請求項5との引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項10-1は、訂正前の請求項6が請求項1?5の記載を引用する記載であるところ、請求項4の削除に伴い、請求項4を引用しないものとするとともに、請求項1、請求項1を引用する請求項3、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項5、及び請求項1を引用する請求項5を引用しないものとしたうえで、新たな請求項10としたものである。
したがって、訂正事項10-1は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または、請求項1、請求項1を引用する請求項3、請求項4、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項5、及び請求項1を引用する請求項5との引用関係の解消及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項6-1及び訂正事項10-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6-1は、請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項2を引用する請求項5、及び請求項2を引用する請求項3を引用する請求項5、並びに請求項4を引用しないものとするものであり、訂正事項10-1は、請求項1、請求項1を引用する請求項3、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項5、及び請求項1を引用する請求項5、並びに請求項4を引用しないものとしたものであるから、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正後の請求項6及び請求項10に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項6及び請求項10に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

キ 訂正事項7について
(ア)訂正事項7-1
a 訂正の目的について
訂正事項7-1は、訂正前の請求項7を削除することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項7-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7-1は、請求項7を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)訂正後の請求項7に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項7に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

ク 請求人の主張について
(ア)請求人は、本件特許明細書等において開示されている発光装置は、裏面視で、樹脂パッケージの4隅においてリードが露出している態様のものに限られるが、本件訂正後の各請求項の記載は、裏面視で、樹脂パッケージの4隅においてリードが露出している旨の限定はなされておらず、本件特許明細書等に記載されていない態様までをも包含することが明らかであり、本件訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであって、認められるべきものではない旨主張している(第1弁駁書3?6ページ、第2弁駁書7ページ参照。)

(イ)本件訂正後の各請求項の記載は、裏面視で、樹脂パッケージの4隅においてリードが露出している旨の限定はなされていないものの、上記ア(ア)cないし(キ)cで検討したとおり、訂正事項1-1ないし1-7は、いずれも本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、上記イないしキで検討したとおり、訂正事項2-1ないし10-1も、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

3 小括
以上のとおり、訂正事項1-1ないし10-1は、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明、あるいは他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当するから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号、第3号、及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、また、訂正事項1-1ないし10-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであるから、同法同条第2項及び第3項の規定、並びに同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正を認める。

第4 本件訂正発明
1 上記第3のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし3、5、6、及び8ないし10に係る発明は、本件訂正後の訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3、5、6、及び8ないし10に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである(以下、本件訂正後の各請求項に係る発明を「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明10」という。また、本件訂正前の各請求項に係る発明を「本件発明1」ないし「本件発明7」という。下線は訂正箇所に付したもの。以下、同じ。)。

「【請求項1】
切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
前記内底面に発光素子が配置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成しており、
前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
前記内底面は、前記リードおよび前記樹脂部からなり、前記内底面に発光素子が配置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されており、
前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項1および3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項1、3および5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、請求項2に記載の発光装置。
【請求項9】
前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項2および8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項2、8および9のいずれか1項に記載の発光装置。」

2 本件訂正発明1及び本件訂正発明2を分節すると、以下のとおりである(審理事項通知書6?7ページの訂正発明1及び訂正発明2のとおり。)。

「【請求項1】
1A 切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、
1B 互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
1C 前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
1D 前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
1E 前記内底面に発光素子が配置されており、
1F 前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
1G 前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成しており、
1H 前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、
1I 前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
1J 前記切り欠き部は、上面視で前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。」

「【請求項2】
2A 切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、
2B 互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
2C 前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
2D 前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
2E 前記内定面は、前記リードおよび前記樹脂部からなり、前記内底面に発光素子が配置されており、
2F 前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
2G 前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されており、
2H 前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、
2I 前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
2J 前記切り欠き部は、上面視で前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。」

第5 請求人の主張の概要及び証拠方法
1 請求人の主張する無効理由1ないし8は、以下のとおりである(審理事項通知書の「第3」「2」のとおり。)。
このうち、無効理由2及び3については、請求人は、口頭審理陳述要領書において、本件訂正が認められる場合には、取り下げるとしており(後述の「3(3)」、「4(3)」参照。)、上記第3のとおり、本件訂正は認められることから、請求人の主張する無効理由は、無効理由1及び4ないし8であると整理することができる。

(1)[無効理由1](特許法第36条第6項第1号乃至第2号)
本件は、本件訂正後の特許請求の範囲の記載が、特許法36条第6項第1号乃至第2号に規定する要件を満たしていない出願に対して特許されたものであるから、その特許は同法123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

(2)[無効理由2](特許法第29条の2)
訂正発明1?3、5、8、9は、本件特許の原出願の日前の他の特許出願であって本件特許の原出願後に出願公開された甲第16号証に記載された発明と同一であり、本件特許の出願人と当該他の特許出願の出願人とが同一の者でもなく、特許法第29条の2の規定に特許を受けることができないものであるから、その特許は同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(3)[無効理由3](特許法第29条の2)
訂正発明1?3、8は、本件特許の原出願の日前の他の特許出願であって本件特許の原出願後に出願公開された甲第17号証に記載された発明と同一であり、本件特許の出願人と当該他の特許出願の出願人とが同一の者でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(4)[無効理由4](分割要件違反、特許法第29条第2項)
本件特許出願は、特許法第44条第1項に規定される分割出願の要件を満たしておらず、同法同条第2項のみなし規定の適用は享受し得ず、訂正発明1?3、5、6、8?10は、平成22年3月18日に出願公開された甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(5)[無効理由5](特許法第29条第2項)
訂正発明1?3、5、8、9は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明に、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正発明6、10は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第3号証に記載された発明に、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?甲第12号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(6)[無効理由6](特許法第29条第2項)
訂正発明1?3、5、8、9は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載の技術事項、並びに甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正発明6、10は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載の技術事項、甲第3号証に記載の技術事項、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?甲第12号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(7)[無効理由7](特許法第29条第2項)
訂正発明1?3、5、8、9は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、並びに甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正発明6、10は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?甲第12号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(8)[無効理由8](特許法第29条第2項)
訂正発明1?3、5、8、9は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第19号証に記載された発明に、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正発明6、10は、本件特許の原出願前に頒布された刊行物である甲第19号証に記載された発明に、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?甲第12号証に記載された技術事項を組み合わせることにより、本件特許の原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2 無効理由1(特許法第36条第6項第1号乃至第2号)
(1)審判請求書における主張
ア 「本件特許発明は、「前記樹脂パッケージの外側面において、前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、」との構成を備えた発光装置であるとされている。」(審判請求書20ページ)

イ 「本件特許明細書には、樹脂パッケージの外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成された態様が開示されているに過ぎず、樹脂パッケージの外側面において樹脂部とリードとが同一面に形成された態様は何ら開示されていない。
…(略)…
本件においてこれをみると、本件特許明細書には樹脂パッケージの外側面において樹脂部とリードとが同一面に形成された態様は何ら開示されていないのであるから、本件特許発明は「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」の要件に適合しておらず、また、本件特許明細書に何ら開示のない上記態様がどのようなものであるのかを明確に理解し得ないという意味において、本件特許発明は「特許を受けようとする発明が明確であること。」の要件に適合していないことは明らかである。
なお、仮に、「同一面」は「略同一面」を意味するのであり、斯かる態様は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているというのであれば、当該「略同一面」とは「同じ切断工程で形成されたこと」を意味するのであるから、「物の発明」についての請求項において、実質的に、その物の製造方法が記載されていることとなる。
そして、本件特許発明は何れも、…(略)…ある等の事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するとも解されない。
そうすると、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)に関する平成27年6月5日の最高裁判決(平成24年(受)1204号、同2658号)の判示に照らし、本件特許発明は何れも、明確性要件違反の無効理由(特許法第36条第6項第2号の規定違反)を有するというべきである」(審判請求書23?25ページ)

(2)第2弁駁書における主張
「被請求人は、「外側面における樹脂部とリードとの位置関係に関して、『略同一面』なる用語も、『同一面』なる用語も、その意味は同じであり、『略』の有無によって実質的な意味が変わるものではな」く、「本件訂正発明1および2において『略同一面』とせずに『同一面』としたのは、審査段階で『略』という用語が不明瞭であると指摘される可能性を考慮して、『略』を使用しないものとしたからにすぎない。」(第28頁第12?17行)などと主張する。
しかし、…(略)…
この点は措くとしても、…(略)…
しかし、そもそも、本件無効審判請求書において確認したとおり、樹脂部とリードとの関係における「同一面」なる用語は本件明細書には認められないことに加え、訂正後請求項2では「同一面に形成されて、切断面を構成しており、・・・」と記載されてはいないのであるから、本件訂正発明2は、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものであるか、もしくは、特許を受けようとする発明が明確とは言えないものとなる。
よって、答弁書における被請求人の主張を前提としても、訂正後の請求項2およびそれに従属する請求項8?10はなお、無効理由1を有する。」(第2弁駁書24ページ?27ページ)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「本件明細書において、「略同一面」とは、樹脂部とリードが「同じ切断工程で形成されたことを意味する」(段落【0042】)とされ、特別な意味が込められているのであって、幾何学的な意味で概ね「同一面」となっている様態を意味するものではない。
「前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成して」なる記載だけからは、仮に樹脂部とリードが「切断面を構成」しているとしても、それが「同じ切断工程で形成された」ものかどうかまでは読み取ることができない。
つまり、上記記載によれば、樹脂部とリードが異なる工程で切断されたとしても、結果として「切断面を構成」してさえいれば、文言上、斯かる態様も包含されることとなろうが、そのような態様の「切断面」は、樹脂部とリードが「同じ切断工程で形成された」ものではないから、本件明細書の記載を離れて、一般的な意味において「同一面」なる用語が「略同一面」なる用語に包含されるからといって、本件明細書に「同一面」が開示されているとは言えない。」(口頭審理陳述要領書7ページ)

3 無効理由2(特許法第29条の2)
(1)審判請求書における主張
…(略)…

(2)第2弁駁書における主張
…(略)…

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「本件訂正が認められるべきではない点については上述のとおりであるが、仮に本件訂正が認められる場合には、当該訂正の内容に鑑み、訂正発明1?3、5、8、9に対する無効理由2については、取り下げる。」(口頭審理陳述要領書7ページ)

4 無効理由3(特許法第29条の2)
(1)審判請求書における主張
…(略)…

(2)第2弁駁書における主張
…(略)…

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「本件訂正が認められるべきではない点については上述のとおりであるが、仮に本件訂正が認められる場合には、当該訂正の内容に鑑み、訂正発明1?3、8に対する無効理由3については、取り下げる。」(口頭審理陳述要領書8ページ)

5 無効理由4(特許法第29条第2項)
(1)審判請求書における主張
「「前記樹脂パッケージの外側面において、前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、」との構成を備えた発光装置は、本件特許明細書に開示されていないばかりか、本件特許の分割親出願である特願2013-044799の明細書にも、更には、特願2013-044799の分割親出願である特願2008-225408の明細書にも、開示されていない。
…(略)…
故に、本件特許は、「二以上の発明を包含する特許出願の一部」を新たな特許出願としたものではないから、特許法第44条第1項柱書の規定に適合しない違法な分割出願であって、その結果、特許法第44条第2項のみなし規定の適用は享受し得ない。」(審判請求書52?53ページ)

(2)第2弁駁書における主張
「樹脂部とリードとの関係における「同一面」なる用語は本件明細書には認められず、同様に、「同一面」なる用語は分割親出願明細書にも認められない。
「同一面」なる用語が分割親出願に記載されていない以上、無効理由4は解消していない。」(第2弁駁書30ページ)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「上述のとおり、請求人は、一般的な意味において「同一面」なる用語が「略同一面」なる用語に包含されるからといって、本件明細書に「同一面」が開示されているとは言えないと考えている。
合議体は、本件特許出願は分割出願の要件を満たしているとの暫定的な見解を有しているとのことであるが、上記「同一面」が、最初の特許出願及び第1世代分割出願のいずれにも開示されていない以上、本件特許出願は分割出願の要件を満たさないと考える。」(口頭審理陳述要領書8ページ)

6 無効理由5(特許法第29条第2項違反)
(1)審判請求書における主張
…(略)…

(2)第2弁駁書における主張
「(2)切り欠き部に関する相違点1乃至3の容易想到性について
被請求人は、「オ 切り欠き部に関する相違点1乃至3が容易想到でないこと」として、…(略)…と主張する。
しかし、発光装置の寸法を小さくするために必要に応じてアウターリードをカットする程度のことは当業者であれば適宜行うであろう事項でしかないし、<1>や<2>を実施した場合の技術的利点が、「リードの形状を精密に加工するとともに、金型による樹脂成形も精密に実施する必要があ」ることや、「リードの切断時に樹脂部も切断してしまい、製品の外観や性能に影響を及ぼす可能性がある」といった云わば不利益を下回るというものではないから、これら「不利益」ゆえに「甲3発明から相違点1乃至3に想到すること」の非容易想到性が認められるという性格のものではない。
しかも、上記<1>の実施に際しては、第1のリード20および第2のリード30を、その一部が、樹脂パッケージの紙面上下に位置する外側面にほぼ達する形状として個別封止を実施すればよいのであるし、上記<2>の実施に際しては、下図の赤破線部にほぼ沿うように、第1のリード20および第2のリード30の突出している部分を切断すればよいのであるから、このようなことは当業者であれば当然に試みるであろう設計事項の範囲のものでしかなく、甲3発明から相違点1乃至3に想到することが当業者にとって容易なことではないなどと結論付ける根拠とはならない。」(第2弁駁書34?35ページ)
(審決注:第2弁駁書における「相違点1」、「相違点2」、「相違点3」(答弁書49ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Iに関するもので、後記「第7」「2(3)無効理由5について」のイ(ア)における「相違点1」、「相違点2」、「相違点3」が対応する。また、下線は合議体が付与した。以下同じ。)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
審理事項通知書「第3」「8 無効理由5について」の「(1)イ 対比」の<相違点1>?<相違点3>(下記参照。)に関し、甲3発明において、当業者が当該相違点1?3に係る構成を採用する動機付けについての主張は、以下のとおりである。

<相違点1>
訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿つて形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲3発明では、「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1の樹脂成形体40から露出している、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成することで製造される」ものであることから、「『互いに分離した』四つの切り欠き部」を有しているものとはいえず、訂正発明1のような「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いるものではない点。

<相違点2>
訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成して」いる(構成要件1G)のに対し、甲3発明では、第1の樹脂成形体40のいずれの外側面においても、樹脂部と第1のリード21、第2のリード31とが同一面に形成されておらず、訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

<相違点3>
訂正発明1では、リードが「前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第三側面それぞれに露出した第1リードと、前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第四外側面それぞれに露出した第2リードを有し」て前記第二外側面及び前記第四外側面それぞれに露出した第2リードを有し」ている(構成要件1I)のに対し、甲3発明では、「第1のリード21」及び「第2のリード31」はそれぞれ、一つの外側面のみにおいて露出している点。

「イ 「対比」について
(ア)「相違点1」について
本件特許の出願当時において既に、集合体での多数個同時生産方式を開示する文献や、リードあるいはリードに相当する電極板等に切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする態様を開示する先行文献は多数存在している。
…(略)…
斯かる技術常識を有する当業者が甲3発明に触れれば、甲3発明においても、これを集合体での多数個同時生産方式で実施すべくリードに変えてリードフレームを用いることを試みたうえで、リードフレームに切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする構成を採用する動機付けは十分にある。
なお、その場合には、最終段階として「切断」という工程を要することは自明である。
そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明であり、その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし、阻害要因もない。
よって、多数個同時生産方式や、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性を高めることが、本件特許の出願当時における新規な解決課題ではない以上、甲3発明において、「相違点1」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。
(イ)「相違点2」について
「相違点2」は、上記「相違点1」の構成を採用して「切断」を行った場合の、当然の結果に過ぎない。
…(略)…
そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるために、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明である。
そうすると、上記「相違点1」に係る本件訂正発明の構成を採用することに十分な動機付けがある以上、その当然の結果として、「相違点2」に係る本件訂正発明の構成を採用することには十分な動機付けがある。
(ウ)「相違点3」について
「相違点3」は、上記「相違点2」の構成を採用した場合の、当然の結果に過ぎない。
そうすると、上記「相違点2」に係る本件訂正発明の構成を採用することに十分な動機付けがある以上、その当然の結果として、「相違点3」に係る本件訂正発明の構成を採用することには十分な動機付けがある。」(口頭審理陳述要領書8?10ページ)

7 無効理由6(特許法第29条第2項)
(1)審判請求書における主張
…(略)…

(2)第2弁駁書における主張
ア 「1 「2 被請求人の反論の要旨」(第61?63頁)について
被請求人は、無効理由5における主張と同様に、無効理由6に関しても、…(略)…平面視においてリードの両側を挟む熱硬化性樹脂が存在しない甲1は甲3、6、13の教示を適用するための前提を欠いており、両者を組み合わせる動機がないことは明らかである。」(第62頁最終行?第63頁第5行)と結論付ける。
しかし、既に無効理由5においても主張したとおり、本件において問題とされるべきは、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を高めるために、樹脂が埋め込まれる「切り欠き部」が設けられているかどうかであって、例えそれが、「個別封止において密着性を高める構成としての切り欠き部」であるとしても、当該「切り欠き部」は、本件訂正発明1の「切り欠き部」であり得る。
そして、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を高めることが好ましいことは当業者にとって自明の課題であると云え、甲第3号証、甲第6号証、甲第13号証に開示の態様のように、正負のリードに「凹凸」状の部位を設けてリードと樹脂部の密着強度を向上させることに何ら困難性はなく、阻害要因も認められない。
また、被請求人は、「仮に甲1に甲3、6、13の『切り欠き部』を組み合わせたとしても、…(略)…にすぎず、本件訂正発明1の構成要件1C、1G、1Jのように、ダイシング等によって切断する発光装置の4つの外側面それぞれに、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたってリードの切り欠き部を設ける動機はない。」(第63頁第6?12行)と主張するが、この点についても既に述べたとおりであって、そもそも、訂正事項1-7の根拠とされる本件明細書の段落【0035】には、第1の実施の形態に係る発光装置100において「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。」との記載があるものの、斯かる態様とすることで顕著な効果が得られるものではなく、「切り欠き部」の長さを「発光装置の全包囲周の2分の1以上」とする程度のことは、単なる設計事項でしかない。」(第2弁駁書43?44ページ)

イ 「3 「4 本件訂正発明1の進歩性について」(第67?87頁)について
(1)相違点3、相違点5、相違点7について
…(略)…本件において問題とされるべきは、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を高めるために「切り欠き部」が設けられているかどうかであって、例えそれが、「個別封止において密着性を高める構成としての切り欠き部」であるとしても、当該「切り欠き部」は、本件訂正発明1の「切り欠き部」であり得る。
…(略)…
被請求人は、また、「甲3、甲6、甲13に開示された『切り欠き部』は、上記のとおり、…(略)…、両者を組み合わせる動機がないことは明らかである。」(第77頁下から第7?1行)と結論付ける。
しかし、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を高めることが好ましいことは当業者にとって自明の課題であると云えるから、甲1に甲3、6、13の教示を適用する動機は充分にあり、甲第3号証、甲第6号証、甲第13号証に開示の態様のように、正負のリードに「凹凸」状の部位を設けてリードと樹脂部の密着強度を向上させることに何ら困難性はなく、阻害要因も認められない。
さらに、被請求人は、「甲1では、・・・リードの切り欠き部に設けた熱硬化性樹脂が、リードの上方に形成された熱硬化性樹脂と別体になっており、このことからも、甲3、6、13の教示を甲1発明に適用する動機がないことは明らかである。」(第78頁第1?5行)などと主張するが、斯かる主張の前提そのものが誤りである。」(第2弁駁書52?54ページ)
(審決注:第2弁駁書における「相違点3」、「相違点5」、「相違点7」(答弁書68?69ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Jに関するもので、後記「第7」「2(4)無効理由6について」のイ(ア)における「相違点2」、「相違点4」、「相違点6」が対応する。)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
審理事項通知書「第3」「9 無効理由6について」の「(1)イ 対比」の<相違点2>、<相違点4>、<相違点6>(下記参照)に関し、甲1発明において、当業者が当該相違点2、4、6に係る構成を採用する動機付けについての主張は、以下のとおりである。

<相違点2>
訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲1発明は、「リードフレームである配線基板」が、「切り欠き部」を有するものではない点.。

<相違点4>
訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成し」いる(構成要件1G)のに対し、甲1発明では、リフレクターの四つの外側面のいずれにおいても、「切り欠き部に埋め込まれた樹脂部」と、「『ダイシングにより分割して個片化』された『リードフレームである配線基板』」とが「同一面に形成されて」いるものではなく、訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

<相違点6>
訂正発明1では、「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分1以上にわたって設けられている」(構成要件1J)のに対し、甲1発明は、このような特定はなされていない点。

「イ 「対比」について
(ア)「相違点2」について
リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいこと自体は、技術常識を有する当業者にとって自明である。
そうであるが故に、リードあるいはリードに相当する電極板等に切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする態様を開示する先行文献が多数存在するのである。
そして、上記技術常識を有する当業者が甲1発明に触れれば、甲1発明においても、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいことを自明のこととして認識するし、そのための手段として、リードフレームに切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させてリードフレームと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくすることを試みることには十分に動機付けがあるし、阻害要因もない。
そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明である。
その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし、阻害要因もない。
よって、「相違点2」に係る本件訂正発明の構成を採用することには十分な動機付けがある。
なお、甲1発明において上記構成を採用したうえで個片化すれば、結果的に、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成された外側面(切断面)を有することとなることは明らかである。
(イ)「相違点4」について
…(略)…であるから、「相違点4」は、上記「相違点2」の構成を採用した場合の、当然の結果に過ぎない。
そうすると、上記「相違点2」に係る本件訂正発明の構成を採用することに十分な動機付けがある以上、その当然の結果として、「相違点4」に係る本件訂正発明の構成を採用することには十分な動機付けがある。
(ウ)「相違点6」について
…(略)…
よって、上記「相違点2」および「相違点4」に係る本件訂正発明の構成を採用することに十分な動機付けがある以上、「相違点6」に係る本件訂正発明の構成を採用することにも十分な動機付けがある。」(口頭審理陳述要領書11?13ページ)

8 無効理由7(特許法第29条第2項)
(1)審判請求書における主張
「(2)本件発明1<1>本件発明1と甲1発明との相違点
既に検討済みのとおり、甲第1号証には、少なくとも、下記の構成を備えた光半導体装置の発明(甲1発明)が開示されており、甲1発明に係る発光装置は、「前記樹脂パッケージの外側面に沿って形成され」た「切り欠き部」を備えていない点において本件発明1と相違し、その余において一致する。
…(略)…<2>相違点についての検討
上述のとおり、甲第14号証には、ダイシングラインに沿ってリードフレームに予めスリット(切り欠き部)を設けておくことが開示されている。
…(略)…
そうすると、甲1発明で用いられるリードフレームとして、甲第14号証に開示されているような、スリット(切り欠き部)を設けたリードフレームを用いる程度のことは、甲第1号証に触れた当業者であれば自明のこととして想起するし、少なくとも容易に想到するものでしかない。
そして、甲1発明では、樹脂として熱硬化性樹脂が選択されるとともに、成型法としてトランスファー成型法が採用され、その結果、ダイシング予定の位置にはトランスファー成型によってリフレクターとなる樹脂部が形成されるのであるから、そこに設けられたスリット(切り欠き部)には、必然的に、そのリフレクターを構成する熱硬化性樹脂が充填されることとなる。」(審判請求書123?125ページ)

(2)第2弁駁書における主張
ア 「1 「2 被請求人の反論の要旨」(第88?90頁)について
被請求人は、「甲14は、スリットが予め設けられたメタル基板を用いて発光ダイオード(発光装置)を製造する方法を開示するものの、…(略)…、甲14はスリットに樹脂基板の樹脂が入り込む(スリット面が樹脂で覆われる)ことを前提とするものではない。」(第89頁第12?20行)旨を主張する。
しかし、甲14発明は、仮にその前提として、スリットに樹脂基板の樹脂が入り込むものではないとしても、そのようなリードフレームを用いてトランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成すれば、結果的に、スリットには樹脂基板の樹脂が入り込むこととなるのである。
そして、甲1発明に甲第14号証に開示のリードフレームを適用すれば、…(略)…、当該二つの外側面に沿って形成された切り欠き部に樹脂部が埋め込まれた構成、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部と、樹脂部から露出したリードとが同一面に形成された構成、および樹脂部が埋め込まれた切り欠き部が発光装置の全包囲周の2分の1にわたって設けられた構成が導かれるのである。」(第2弁駁書60?61ページ)

イ 「被請求人はまた、「甲15には、スリットが形成されたリードフレームを用いて半導体装置を製造する方法が記載されているものの、当該方法により得られる半導体装置は図23に示されるものであって、モールド樹脂35Aと、基板33Aとが、上下に積層されており、半導体装置の外側面において、基板33Aに切り欠き部が設けられたものではない。」(第90頁第7?11行)とも主張する。
しかし、甲第15号証に、「また本実施例では、上記のようにスリット88Aが第2の分離工程で基板33Dが分離されるダイシング位置82に形成されている。よって、図46に示すように、ダイシングソー81は基板33Dに比べて軟質なモールド樹脂35Aを主に切断処理することとなるため、分離処理を行う治具の長寿命化を図ることが可能となる。」(段落【0168】)との記載がある以上、結果的に、スリット内のモールド樹脂がリードと樹脂との界面を保護することで、切断時の剥離を有効に防止できるという効果を奏するのであるから、本件訂正発明の備える「切り欠き部」と同様の剥離防止効果を奏するのである。」(第2弁駁書61?62ページ)

9 無効理由8(特許法第29条第2項)
(1)審判請求書における主張
…(略)…

(2)第2弁駁書における主張
ア 「1 「2 被請求人の反論の要旨」(第102?103頁)および「3 甲19発明について」(第103?107頁)について
被請求人は、「甲19発明は、・・いわゆる個別封止によってモールド部を形成…(略)…構成をとる必要のないものである。」(第102頁第15?24行)旨を主張する。
しかし、既に述べたとおり、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を高めることが好ましい点については、一括封止であるかどうかに関わらず、個別封止においても同様であるから、甲第19号発明が備える切り欠き部が「切断時の剥離の防止を目的とした切り欠き部」であるか否かを問うこと自体が失当である。
また、モールド部を構成する樹脂としてシリコーン樹脂や変性シリコーン樹脂を選択すること、リードの上面全面にメッキ処理を施すこと、発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって切り欠き部を設けることは、何れも、当業者が適宜選択する程度の設計事項に過ぎない。」(第2弁駁書73ページ)

イ 「2 「4 本件訂正発明1の進歩性について」(第107?112頁)について
(1)相違点2、相違点3、相違点4について
被請求人は、相違点2として「甲19発明では、二つの外側面に沿って切り欠き部が形成されていない」と主張する。
しかし、…(略)…、甲19発明でも、四つの外側面に沿って切り欠き部が形成されている。
また、被請求人は、相違点3として、「甲19発明の実施例2では、・・・残りの二つの側面においてはリード部が露出しておらず、モールド部とリード部とが同一面に形成されていない」と主張し、相違点4に関し「甲19発明の実施例2では、第1リード133´および第2リード136´はそれぞれ一つの外側面においてのみ露出している」と主張する。
しかし、…(略)…、甲第19号発明が備える第1リード133´および第2リード136´の形状を、四つの外側面でリード部が露出し、その結果、モールド部とリード部とが同一面に形成されている態様とすることは、単なる設計事項でしかない。
さらに、被請求人は、相違点4(甲19発明の実施例2では、第1リード133´および第2リード136´はそれぞれ一つの外側面においてのみ露出している点)に関連して、<1>…(略)…、むしろそのような構成とすることには阻害要因があるというべきである。」(第110頁第3行?下から第4行)と主張する。
しかし、<1>や<2>を実施した場合の技術的利点は、「リードの形状を精密に加工するとともに、金型による樹脂成形も精密に実施する必要があ」ることや、「リードの切断時に樹脂部も切断してしまい、製品の外観や性能に影響を及ぼす可能性がある」といった云わば不利益を下回るというものではない。
よって、これら「不利益」を理由として、「甲19には、第1リード133´および第2リード136´が・・・外側面に露出した構成を採用することを動機付けるものはなく、むしろそのような構成とすることには阻害要因があるというべきである。」などとの結論付けには理由がない。」(第2弁駁書73?75ページ)
(審決注:第2弁駁書における「相違点2」、「相違点3」、「相違点4」(答弁書108?109ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Iに関するもので、後記「第7」「2(6)無効理由8について」のイ(ア)における「相違点2」、「相違点3」、「相違点4」が対応する。)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
審理事項通知書「第3」「11 無効理由8について」の「(1)イ 対比」の<相違点2>?<相違点4>、<相違点6>(下記参照)に関し、甲19発明において、当業者が当該相違点2?4、6に係る構成を採用する動機付けについての主張は、口頭審理において撤回された(第1回口頭審理調書を参照。)。

<相違点2>
訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲19発明では、「モールド部140aのリード部130aが露出している前記二つの外側面のみにおいて、モールド部140aと、前記モールド部140aから露出したリード部130aとが同一面に形成されている」ものであることから、訂正発明1のような「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いるものではない点。

<相違点3>
訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成して」いる(構成要件1G)のに対し、甲19発明では、「第1リード133’及び第2リード136’はそれぞれ、モールド部140aの一つの外側面のみに露出しており、モールド部140aの四つの外側面のうち、二つの外側面のみにおいてリード部130aが露出しており、その余の二つの外側面においてリード部130aは露出しておらず」、訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

<相違点4>
訂正発明1では、リードが「前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第三外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第四外側面それぞれに露出した第2リードを有し」ている(構成要件1I)のに対し、甲19発明では、「第1リード133’」及び「第2リード136’」はそれぞれ、一つの外側面のみにおいて露出している点。

<相違点6>
訂正発明1では、「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」(構成要件1J)のに対し、甲19発明では、このような特定はなされていない点。

10 証拠方法
請求人が提出した甲号証は、以下のとおりである。

(1)甲第1号証:特開2007-235085号公報
(2)甲第2号証:特開2010-62272号公報
(3)甲第3号証:特開2006-156704号公報
(4)甲第4号証:特願2015-200794号の平成28年2月2日付上申書
(5)甲第5号証:特開2003-174200号公報
(6)甲第6号証:特開平11-191562号公報
(7)甲第7号証:特開2001-326295号公報
(8)甲第8号証:特開2003-37236号公報
(9)甲第9号証:国際公開第2008/081696号
(10)甲第10号証:国際公開第2007/015426号
(11)甲第11号証:国際公開第2008/081794号
(12)甲第12号証:特開2008-166535号公報
(13)甲第13号証:特開2001-15668号公報
(14)甲第14号証:特開2003-218398号公報
(15)甲第15号証:特開2000-156435号公報
(16)甲第16号証:特開2008-227166号公報
(17)甲第17号証:特開2009-283883号公報
(18)甲第18号証:特表2005-507178号公報
(19)甲第19号証:特開2006-339639号公報
(20)甲第20号証:米国特許出願公開第2004/0075100号明細書
(以上、審判請求書に添付して提出。)

(21)甲第21号証:特開2007-329502号公報
(22)甲第22号証:特開2006-310397号公報
(23)甲第23号証:特開2008-187045号公報
(以上、第1弁駁書に添付して提出。)

(24)甲第24号証:特開2004-274027号公報
(25)甲第25号証の1:平成26年(行ケ)第10157号審決取消請求事件の判決文
(26)甲第25号証の2:無効2013-800023号審判事件の審決
(27)甲第26号証:特開2006-140207号公報
(以上、第2弁駁書に添付して提出。)

(28)甲第27号証:特開2007-134376号公報
(以上、口頭審理陳述要領書に添付して提出。)

第6 被請求人の反論の概要及び証拠方法
1 無効理由1(特許法第36条第6項第1号乃至第2号)について
(1)答弁書における主張
「(1) サポート要件違反について
外側面における樹脂部とリードとの位置関係に関して、「略同一面」なる用語も、「同一面」なる用語も、その意味は同じであり、「略」の有無によって実質的な意味が変わるものではない。本件訂正発明1および2において「略同一面」とせずに「同一面」としたのは、審査段階で「略」という用語が不明瞭であると指摘される可能性があることを考慮して、「略」を使用しないものとしたからにすぎない。
したがって、本件訂正発明1および2は、本件特許明細書に記載された発明であり、サポート要件を充足する。
(2) 明確性要件違反について
上記「(1)」項で述べたように、「同一面」は、「略同一面」と実質的に同じ意味を有するものである。請求人は、本件特許明細書の段落【0042】に「この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」と記載されていることをもって、「同一面」が「略同一面」を意味する場合には、訂正前の本件発明1?7がいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームに該当し、明確性要件違反の無効理由を有する旨を主張する。
しかしながら、本件特許明細書の記載の如何にかかわらず、「同一面」という用語は、「ある一つの共通した面」という物の構造を特定していることは明らかである。したがって、「同一面」という用語を含む請求項がプロダクト・バイ・プロセス・クレームであるという請求人の主張は失当である。
また、「略同一面」ないし「同一面」が、本件特許明細書において「同じ切断工程で形成されたこと」を意味すると定義されていることを考慮するとしても、それによって、「同一面」という用語が不明瞭とはならない。本件特許明細書の記載「この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」は、「略同一面」ないし「同一面」が「切断工程で形成」された面、すなわち「切断面」を意味することを示すものである。…(略)…「切断面」を意味する「同一面」という用語によって、訂正後の請求項1および2が、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームであることを理由に明確性要件に違反するといえるはずがなく、請求人の主張は失当である。」(答弁書28?29ページ)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
「無効理由1について示された暫定見解によれば、「略同一面」は切断面であり、また、「同一面」は「略同一面」に形式的に包含されることから、「同一面」は「略同一面」と同様に「切断面」であるといえ、その意味において両者は同義である。…(略)…本件訂正発明1および2は、特許法36条6項1号に規定される要件を満たしているという暫定見解に被請求人はまったく異存がない。」(口頭審理陳述要領書「B.第1」91ページ)

2 無効理由2(特許法第29条の2)について
…(略)…

3 無効理由3(特許法第29条の2)について
…(略)…

4 無効理由4(特許法第29条第2項)について
(1)答弁書における主張
「2 被請求人の反論
無効理由1について上記「第4」項において説明したとおり、「前記樹脂部と前記リードとが同一面に形成されており、」との構成を備えた発光装置は、本件特許の分割親出願の明細書に記載されているから、本件特許は分割要件を充足する。したがって、本件訂正発明1?3、5、6および8?10(請求項4および7は削除)の新規性および進歩性の判断時は、親出願の出願日である。よって、本件訂正発明1?3、5、6および8?10はいずれも、本件特許の原々出願に係る甲2発明に対して進歩性を否定されるものではない。」(答弁書41?42ページ)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
「前記「第1」項で述べたとおり、「同一面」は「略同一面」と同様に切断面であるといえ、その意味において両者は同義であるから、本件訂正発明1および2が最初の特許出願および第1世代分割出願のいずれもが包含する発明であることは明らかである。…(略)…これらの発明に係る特許が、特許法29条2項の規定に違反してされたものではないという暫定見解に対し、被請求人は異存がない。」(口頭審理陳述要領書「B.第4」92ページ)

5 無効理由5(特許法第29条第2項)について
(1)答弁書における主張
ア 「2 被請求人の反論の要旨
(1) 本件訂正発明1は、「第3」項において説明したとおり、甲1に開示されたような発光装置において、リードフレーム等の配線基板の上にモールド成形によって熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体を形成した後、ダイシングによって個片化した発光装置を得る際に、リードフレームと熱硬化性樹脂との間で剥離が生じやすいという課題を認識して初めて想到し得たものである。すなわち、本件訂正発明1の発光装置は、ダイシング等によって切断する発光装置の4つの外側面それぞれに、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたってリードの切り欠き部を設けたことを特徴とするが(構成要件1C、1G、1J)、そのような切り欠き部を設ける動機は、「第3」「2」に詳述したとおり、<1>切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減し、<2>熱硬化性樹脂とリードフレームの界面を保護し、<3>熱硬化性樹脂によってリードフレームの両側を挟み込む構造として接合強度を高め、これらの総合的な作用によって切断時のリードフレームと熱硬化性樹脂の剥離を防止する点にある。
(2) 一方、甲3発明は、各発光装置の第1の樹脂成形体の外形に応じた金型を用いる、いわゆる個別封止によって第1の樹脂成形体(本件訂正発明1でいう樹脂部に相当)を形成するものであり(甲3の段落【0121】?段落【0127】、段落【0140】および図10)、第1の樹脂成形体の外側面は本件訂正発明1のそれとは異なり、切断によって形成されるものではない。また、リードフレームから個々の発光装置を得ることは、リードフレームを切り出すことにより行われる(甲3の段落【0143】)。すなわち、甲3発明の発光装置は、四つの外側面を切断によって形成するものではないから、切断時の剥離を防止することを目的とした切り欠き部を設ける必要のないものである。
また、そのような甲3発明において、図4に示されるように、第1のリード21および第2のリード31に凹凸(切り欠き部)が設けられるのは、これらのリードの側面において第1の樹脂成形体との接触面積を増やして、これらのリードが抜脱することを防止するためである(甲3の段落【0110】)。すなわち、甲3発明において、凹凸は、第1リードおよび第2リードと第1の樹脂成形体との間に「引っかかり」を設けて、これらのリードが発光装置の使用中に抜け落ちることを抑制するものであり、本件訂正発明1とは異なり、切断時の剥離を防止するためのものではない。
(3) このように、本件訂正発明1と甲3発明とでは、発光装置の樹脂部(より正確に言えば、樹脂部の外側面)を形成する手法が異なり、また、切り欠き部を設ける目的もまったく異なるから、甲3それ自体から、または甲3にその他の証拠を組み合わせても、特に、本件訂正発明1の構成要件1C(四つの外側面それぞれに沿って形成された切り欠き部)、構成要件1G(リードと樹脂部が四つの外側面で同一面に形成される構成)、構成要件1I(各リードが3つの外側面で露出する構成)および構成要件1J(切り欠き部が全包囲周の2分の1以上)を導くことはできない。」(答弁書42?44ページ)

イ 「4 本件訂正発明1の進歩性について
(1)本件訂正発明1と甲3発明との対比
…(略)…
オ 切り欠き部に関する相違点1乃至3が容易想到でないこと
甲3発明の発光装置において、切り欠き部に関する相違点1乃至3が同時に充足されるためには、第1の樹脂成形体40からの第1のリード20および第2のリード30の突出部分を切断することに加えて、<1>第1のリード20および第2のリード30を、その一部が、樹脂パッケージの紙面上下に位置する外側面(下図の青線部)にちょうど達するような形状として個別封止を実施するか、<2>あるいは、第1のリード20および第2のリード30を、その一部が紙面上下に位置する外側面(下図の青線部)から突出するような形状とし、第1の樹脂成形体40を金型を用いて形成した後、下図の赤破線部に沿って、第1のリード20および第2のリード30の突出している部分を切断する必要がある。
…(図略)…
しかしながら、これらの作業は、徒に甲3発明の発光装置の製造プロセスを複雑にするだけである。例えば、<1>を実施しようとすれば、金型の内面に第1のリード20および第2のリード30が正確に突き当たるように、リードの形状を精密に加工するとともに、金型による樹脂成形も精密に実施する必要がある。また、<2>を実施しようとすれば、樹脂部とリードが同一面になるようにリードのみを切断することは困難であることから、リードの切断時に樹脂部も切断してしまい、製品の外観や性能に影響を及ぼす可能性がある。すなわち、甲3には、第1リード20および第2リード30が上図の青い線で示した外側面に露出した構成を採用することを動機付けるものはなく、むしろそのような構成とすることには阻害要因があるというべきである。したがって、甲3発明から相違点1乃至3に想到することは、当業者にとって容易なことではない。」(答弁書48?54ページ)
(審決注:答弁書及び被請求人口頭審理陳述要領書の「A.III.第5」における「相違点1」、「相違点2」、「相違点3」(答弁書49ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Iに関するもので、後記「第7」「2(3)無効理由5について」のイ(ア)における「相違点1」、「相違点2」、「相違点3」が対応する。)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
ア 答弁書における被請求人の主張に対する請求人反論「(iii)切り欠き部に関する相違点1乃至3の容易想到性に関し、相違点を充足するために実施しなければならないことの技術的利点が、不利益を下回るというものではないから、不利益ゆえに甲3発明から相違点1乃至3に相当することの非容易想到性が認められるということはない(第2弁駁書34?36頁)。」(被請求人口頭審理陳述要領書「A.III.第5」「1(1)(iii)」46ページ)に対する被請求人の意見は、次のとおりである。

「(4)請求人反論(iii)に対する被請求人の意見
請求人反論(iii)は、被請求人が答弁書の53?54頁において、甲3発明の発光装置において、切り欠き部に関する相違点1乃至3が同時に充足されるために必要な作業が少なくとも何であるか、また、当該作業が当業者にとっていかに困難であるかを説明したことに対するものであり、その主張は、これらの作業の技術的利点が、これらの作業の不利益を下回るというものではないから、これら「不利益」ゆえに、「甲3発明から相違点1乃至3に相当すること」の非容易想到性が認められるという性格のものではない、というものである。
しかしながら、請求人反論(iii)においては、切り欠き部に関する相違点1乃至3が同時に充足されるために必要な作業の「技術的利点」が何であるかはまったく説明されていない。また、そのような作業を実施することにより何らかの「技術的利点」がもたらされるとして、請求人は、当該技術的利点が得られることを期待して当該作業を行うことを動機づけるものが、甲3または他の証拠にあることも説明していない。」(口頭審理陳述要領書「A.III.第5」「1(4)」50ページ)

イ 「2 甲3発明において相違点に係る構成を採用する動機付けについての意見
(1)相違点1に係る構成を採用する動機付けについて
…(略)…
また、無効理由5に関連して提出された他の証拠を考慮したとしても、甲3発明において相違点1を採用する動機を当業者が有することはない。そのことは、答弁書の55?59頁および前記「A」「III」「第5」「1」「(6)」項で説明したとおりである。すなわち、いずれの証拠(甲5?甲8)にも、甲3発明で形成される凹凸をリードの四つの外側面に形成することを動機づけるものはなく、また、これらの証拠に記載されたリードの構成を甲3発明のリードに適用しても、相違点1に係る構成は得られない。
(2)相違点2に係る構成を採用する動機付けについて
…(略)…そのような形状とすることには、阻害事由が存在する。よって、当該構成を得る動機は甲3にはなく、当該構成は容易想到ではない。
(3)相違点3に係る構成を採用する動機付けについて
…(略)…そのような形状とすることには、阻害事由が存在する。よって、当該構成を得る動機は甲3にはなく、当該構成は容易想到ではない。」(口頭審理陳述要領書「B.第5」「2(1)?(3)」93?96ページ)

6 無効理由6(特許法第29条第2項)について
(1)答弁書における主張
ア 「2 被請求人の反論の要旨
(1) 本件訂正発明は、「第3」「2」項において説明したとおり、…(略)…、これらの総合的な作用によって切断時のリードフレームと熱硬化性樹脂の剥離を防止する点にある。
(2) これに対して、本件発明のような「切り欠き部」が開示されているとして請求人が挙げた甲3、甲5、甲6、甲13には、本件訂正発明1のような技術思想に基づく「切り欠き部」は開示されていない。すなわち、後述するとおり、甲3、甲5、甲6、甲13のうち、甲5にはそもそもリードの切り欠き部が開示されておらず、甲3、甲6、甲13に開示された「切り欠き部」は、下図のとおり、平面視においてリードの両側にある熱硬化性樹脂をリードの「切り欠き部」に係合させて、リードの横方向への抜け落ちを防止するものである。
…(図略)…
(3) 請求人は、甲1に開示された発光装置に甲3、6、13の「切り欠き部」を組み合わせれば、本件発明における「切り欠き部」を容易に想到し得る旨主張するが、甲1の発光装置では、平面視においてリードの両側を熱硬化性樹脂が挟む構造とはなっていないことは請求人も認めている(審判請求書、113頁、図a参照)。
…(図略)…
上記のとおり、甲3、甲6、甲13に開示された「切り欠き部」は、平面視においてリードの両側が熱硬化性樹脂で挟まれていることを前提に、それらの熱硬化性樹脂をリードの「切り欠き部」に係合させて、リードの横方向への抜け落ちを防止するものであるから、平面視においてリードの両側を挟む熱硬化性樹脂が存在しない甲1は甲3、6、13の教示を適用するための前提を欠いており、両者を組み合わせる動機がないことは明らかである。
さらに、仮に甲1に甲3、6、13の「切り欠き部」を組み合わせたとしても、…(略)…にすぎず、本件訂正発明1の構成要件1C、1G、1Jのように、ダイシング等によって切断する発光装置の4つの外側面それぞれに、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたってリードの切り欠き部を設ける動機はない。」(答弁書61?63ページ)

イ 「(3) 本件訂正発明1と甲1発明との相違点が甲3および甲5?甲13から容易に想到できないこと
…(略)…
イ 樹脂パッケージの外側面に沿った「切り欠き部」に関する相違点(相違点3(第1ないし第4外側面のそれぞれに沿って)、相違点5(同一面)、相違点7(全包囲周の1/2以上))について
(ア) 甲3、5、6、13の開示
請求人は、樹脂パッケージの外側面に沿った「切り欠き部」は甲3、甲5、甲6、甲13から容易に想到し得る旨主張するが、以下に詳述するとおり、甲5には、そもそも「切り欠き部」が開示されておらず、甲3、6、13にも、平面視でリードの両側が樹脂部によって挟まれた構造を前提として、樹脂部からリードが横方向に抜け落ちることを防止するための「切り欠き部」が開示されるのみであり、本件訂正発明1と同様の技術思想に基づく「切り欠き部」は開示されていない。」(答弁書69?70ページ)
(審決注:答弁書及び被請求人口頭審理陳述要領書の「A.III.第6」における「相違点3」、「相違点5」、「相違点7」(答弁書68?69ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Jに関するもので、後記「第7」「2(4)無効理由6について」のイ(ア)における「相違点2」、「相違点4」、「相違点6」が対応する。)

ウ 「(イ) 甲1発明に甲3、6、13の「切り欠き部」を組み合わせる動機がないこと
…(略)…
一方、甲3、甲6、甲13^(*8)に開示された「切り欠き部」は、上記のとおり、平面視においてリードの両側が熱硬化性樹脂で挟まれていることを前提に、それらの熱硬化性樹脂をリードの「切り欠き部」に係合させて、リードの横方向への抜け落ちを防止するものであるから、リードの左右を挟む熱硬化性樹脂が存在しない甲1は甲3、6、13の教示を適用するための前提を欠いており、両者を組み合わせる動機がないことは明らかである。
*8 甲5には、そもそも「切り欠き部」が開示されていないので、甲1発明に組み合わせても本件訂正発明1の構成には至らず、これ以上の検討は不要である。

さらに、甲1では平面視でリードの両側を挟む熱硬化性樹脂が存在しないことに加えて、上記(ア)で述べたとおり、リードの切り欠き部に設けた熱硬化性樹脂が、リードの上方に形成された熱硬化性樹脂と別体となっており、このことからも、甲3、6、13の教示を甲1発明に適用する動機がないことは明らかである。」(答弁書77?78ページ)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
ア 「(4)請求人主張(iii)に対する反論
ア 甲3、甲5、甲6、甲13において開示された構成は本件訂正発明1の「切り欠き部」に相当しないこと
…(略)…
イ 甲1発明において、切り欠き部を設けても、切り欠き部に埋め込まれた熱硬化性樹脂はリードの上方に形成された樹脂と別体となること
…(略)…
ウ 相違点3(第1ないし第4外側面のそれぞれに沿って)、相違点5(同一面)、相違点7(全包囲周の1/2以上)は設計事項の範囲のものでないこと
(ア)前記「I」「第2」「3」「(1)」項で説明したとおり、本件訂正発明1および2は、
a)やわらかな樹脂成形体の切断により、硬いリードフレームを切断するときに加わる振動や応力などの機械的ストレスを緩和する
b)樹脂成形体とリードフレームとの界面に切断装置が直接触れることを避けることによって、該界面を保護する
c)切断中のリードフレームを、二組の対向する二つの側面から樹脂成形体で挟み込む構成とすることにより、樹脂成形体とリードフレームとの接合強度を高くする
ことで、リードフレームに一体に形成した樹脂成形体において、特に切断時に剥離が生じやすいという課題が解決されることを見出した点にあり、これを具体的に実現するために採用した構成が以下のものである。
<1> 樹脂パッケージの外側面に沿って切り欠き部が設けられ、かつ少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを用いること
<2> 上記切り欠き部は、樹脂パッケージの四つの外側面それぞれに沿って設けられ、かつ製造される発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられていること
<3> 樹脂成形体を金型で形成するに際し、外側面に沿って設けられた切り欠き部内に樹脂成形体を構成する熱硬化性樹脂の一部を充填させること
<4> 外側面に沿って設けられた切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が樹脂パッケージの外側面に露出するように、樹脂成形体とリードフレームとを切断すること
上記<2>乃至<4>の構成は、本件訂正発明1および2における上記a)乃至c)の思想があってはじめて生じ得る構成である。そして、該思想は、樹脂とリードフレームとの切断時における剥離防止という本件訂正発明1および2の課題に基づく基本思想であって、いずれの引用発明にも全く開示されていない新規な思想である。
…(略)…
(ウ)しかるに、請求人は、相違点3、5、7に係る構成はいずれも、設計事項の範囲のものでしかないと主張するが、前述のとおり、本件訂正発明1において、相違点3、5、7に係る構成を備えた切り欠き部は、樹脂とリードフレームとの切断時の剥離を防止するための構成である。よって、該構成は、樹脂とリードフレームとの切断時における剥離防止という本件訂正発明1および2の思想があってはじめて生じるものであるところ、甲1発明にはそのような思想ないし課題は存在しない。
よって、相違点3、5、7に係る構成を備えた切り欠き部を設けることは、甲1発明が解決しようとする課題を解決するための技術の具体的適用に伴う構成変更ではなく、新規な課題を解決するための構成であるから、甲1発明における「設計事項」ではない。」(口頭審理陳述要領書「A.III.第6」「1(4)」64?67ページ)

イ 「2 甲1発明において相違点に係る構成を採用する動機付けについての意見
相違点2、4および6、ならびにその他の相違点に係る構成を採用する動機となるものが、甲1およびその他の証拠に無いことは、答弁書69?87頁および前記「A」「III」「第6」「1」「(2)」項で説明したとおりであるが、ここでは、甲1発明に、甲3、甲5、甲6および甲13(相違点2、4および6に係る構成に関連して請求人が提出した証拠)に記載のリードないしはリード端子の構成を適用する動機を当業者が有し得ず、もって甲1発明において相違点2、4、6に係る構成を採用する動機付けとなるものがいずれの証拠にも無いことを改めて説明する。
(1)甲1発明における光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)と配線基板(リードフレーム)との間の接合について
甲1発明においては、光反射用熱硬化性樹脂組成物層(以下、「樹脂層」)は配線基板の表面にトランスファー成型により形成されており(段落【0011】等)、樹脂層と配線基板とは接着剤等を介することなく接合されている。また、甲1発明においては、リードフレームである配線基板に切り欠き部が設けられておらず、甲1発明の光半導体装置は、以下に示すとおり、シート状の樹脂層と配線基板とが単純に積層された構成のものである。
…(図略)…
甲1には、この光半導体装置の製造中および得られた光半導体装置において、樹脂層と配線基板との密着性を向上させる必要があることについて何らの説明もない^(*19)。したがって、少なくとも甲1に接した当業者は、甲1発明において樹脂層と配線基板の密着性を向上させようとする動機を有することはなく^(*20)、リードフレームである配線基板の形状を、相違点2、4、6に係る構成のように変更して、樹脂層と配線基板の密着性を向上させる動機付けはそもそも存在しないうえ、甲1の段落【0008】にも記載のとおり、甲1発明は、使用する部材や工程の低減による生産性の向上を図ることを目的としているところ、リードフレームである配線基板にわざわざ切り欠き部を設けることは、その分工程を増やすことになり、甲1発明の目的に反することにもなる。
*19 甲1は、熱可塑性樹脂を使用する場合に生じる反りや剥離を、熱硬化性樹脂を使用することによって抑制する技術を開示するものであり、それ以上に剥離抑制に関する技術を開示していない。
*20 この点、請求人も、甲1発明において剥離防止という課題は存在していなかったと明言している(弁駁書8?13頁等)。そして、甲1を通常の量産技術を適用して実施した場合に剥離の問題が生じることは、甲1の公開後に、本件発明者らが新たに見いだした課題である(前記「A」「III」「第1」「3」「(1)」項)。

(2)甲3、甲5、甲6および甲13に相違点に係る構成を採用する動機付けとなるものがないこと
ア 甲3、甲6および甲13に相違点に係る構成を採用する動機付けとなるものがないこと
仮に、当業者が、甲1発明において樹脂層と配線基板の密着性を向上させようとする場合を敢えて想定してみたとしても、甲1発明においては、樹脂層と配線基板は主表面(一つの面)でのみ接合しており、配線基板の側面ないし底面側には樹脂層が存在しない。そして、樹脂層と配線基板が主表面でのみ接合している甲1発明の半導体装置においては、両者の間で剥離が生じてしまえば樹脂層が配線基板を保持する力が失われてしまい、半導体装置として成り立たない。これに対し、甲3、甲6および甲13では、配線基板(リード)の主表面に加えて側面や底面側にも樹脂層が存在し、配線基板(リード)の四面ないしは五面で樹脂層が密着しているため、配線基板(リード)と樹脂層との間で剥離が生じたとしても、なお樹脂層が配線基板(リード)を周囲から把持できる。
しかしながら、その場合でも、配線基板(リード)に対し、特定の横方向への力(配線基板の側面に樹脂が存在しない方向であり且つ主表面と平行な方向への力)が加われば配線基板が抜ける危険があるため、これを防止する構成を採用する意義がある。そして、その構成を実現したものが、これらの証拠に記載された、配線基板(リード)側面の凹凸や窪みであり、それらの凹凸や窪みが配線基板を把持している樹脂と係合することによって、配線基板が横方向へと抜けてしまうことを防止できる(答弁書71?77頁)。
したがって、甲3、甲6および甲13は、配線基板(リード)を樹脂層が周囲から把持できる構造を前提に、配線基板が特定の横方向へと抜ける危険を防止する思想を開示するものであり、答弁書71?77頁にも記載のとおり、甲1発明のように、配線基板の側面に樹脂が存在せず、主表面のみで樹脂層と配線基板とが接合している構成に、これらの証拠の構成を適用する動機はない。
…(略)…
オ 小括
以上のとおり、甲3、甲6、および甲13では、いずれも、甲1の半導体装置とは異なり、リード(ないしはリード端子)の側面ないし底面側にも樹脂層が存在し、四つまたは五つの面で樹脂とリードとが密着している。そして、甲3、甲6および甲13に開示された構成は、このような、甲1発明とは樹脂とリードとの密着形態が異なる構成を前提に、リード(ないしはリード端子)が特定の横方向(リード(ないしはリード端子)の側面に樹脂が存在しない方向であり且つ主表面と平行な方向)へ抜ける危険を防止する思想を開示するものにすぎず、答弁書71?77頁にも記載のとおり、甲1発明のように、配線基板(リード)の側面に樹脂が存在せず、主表面のみで樹脂層と配線基板とが接合している構成に、これらの証拠の構成を適用する動機はない。」(口頭審理陳述要領書「B.第6」「2(1)(2)」98?104ページ)

7 無効理由7(特許法第29条第2項)について
(1)答弁書における主張
ア 「2 被請求人の反論の要旨
(1) 本件訂正発明1の発光装置は、無効理由6に関して上記「第9」「2」「(1)」項および同「4」「(2)」「(エ)」項で説明したとおり、…(略)…、これらの総合的な作用によって切断時のリードフレームと熱硬化性樹脂の剥離を防止して製造されることを可能とする。

(2) これに対して、甲14は、スリットが予め設けられたメタル基板を用いて発光ダイオード(発光装置)を製造する方法を開示するものの、甲14においては、樹脂基板14とメタル基板12との間に接着シート15を挟んで接合する方法で、パッケージ基板11を形成し、それからカバー板18を接合した後、ダイシングする方法で発光ダイオードを得ており(甲14の段落【0021】?段落【0026】、図5?図9)、また、甲14にはスリット12bが完成LED10の外周にあたる部分であると記載されていることから、甲14はスリットに樹脂基板の樹脂が入り込む(スリット面が樹脂で覆われる)ことを前提とするものではない^(*9)。
*9 甲14には、樹脂基板14を一旦部品として完成させてからメタル基板上に接合する方法以外にも、樹脂基板14をメタル基板上に直接樹脂モールドすることによって形成してもよい旨の記載があるが、そのように樹脂基板14を形成する場合でも、スリット12bが完成LED10の外周にあたるという前提が変わるわけではない。

かかる前提は、甲14のスリット12bが設けられたメタル基板を甲1発明に組み合わせた場合でも変わるものではなく、甲1発明に甲14を組み合わせても、少なくとも、樹脂パッケージの第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成された切り欠き部(構成要件1C)、当該四つの外側面に沿って形成された切り欠き部に樹脂部が埋め込まれた構成(構成要件1A)、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部と、樹脂部から露出したリードとが同一面に形成された構成(構成要件1G)、および樹脂部が埋め込まれた切り欠き部が発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられた構成(構成要件1J)は導かれない。

(3) 甲15には、スリットが形成されたリードフレームを用いて半導体装置を製造する方法が記載されているものの、当該方法により得られる半導体装置は図23に示されるものであって、モールド樹脂35Aと、基板33Aとが、上下に積層されており、半導体装置の外側面において、基板33Aに切り欠き部が設けられた構成のものではない。…(略)…そのため、甲15に記載の手法を甲1に適用したとしても、切断処理中、リードと熱硬化性樹脂との界面が保護されず(ダイシングソーが界面に直接当たってしまう)、また、熱硬化性樹脂がリードの両側を挟み込む構造とならず、少なくとも、樹脂パッケージの第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成された切り欠き部(構成要件1C)、当該四つの外側面に沿って形成された切り欠き部に樹脂部が埋め込まれた構成(構成要件1A)、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部と、樹脂部から露出したリードとが同一面に形成された構成(構成要件1G)、および樹脂部が埋め込まれた切り欠き部が発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられた構成(構成要件1J)は導かれない。」(答弁書88?90ページ)

イ 「(2)本件訂正発明1と甲1発明との相違点が、甲3および甲5?15から容易に想到できないこと
…(略)…
イ 相違点3(第1ないし第4外側面のそれぞれに沿って)、相違点5(同一面)、相違点7(全包囲周の1/2以上)について
(ア)甲1発明に甲14を組み合わせても相違点3、5、7を容易に想到し得ないこと
…(略)…
(ii)甲1発明に甲14を組み合わせても相違点3、5、7が導かれないこと
請求人は、甲14におけるメタル基板のスリット12bが本件訂正発明1の切り欠き部に相当すると主張し(審判請求書の122頁下から6行?123頁2行)、甲14と甲1を組み合わせれば「ダイシング予定の位置にはトランスファー成型によってリフレクターとなる樹脂部が形成されるのであるから、そこに設けられたスリット(切り欠き部)には、必然的に、そのリフレクターを構成する熱硬化性樹脂が充填される」と主張する(同125頁4?8行)。
しかし、上記の請求人主張は、甲14を甲1に組み合わせる際に、「ダイシング予定位置にはトランスファー成型によってリフレクターとなる樹脂部が形成される」ことを前提にしている点で明らかに誤りである。すなわち、甲14は、メタル基板12にスリット12bを形成すると同時に、それと対応する位置の樹脂基板14にもスリット14bを形成し、それらのスリット12bおよび14bの表面が完成したLEDの外周部となるものである(甲14の段落【0022】、【0024】)。したがって、甲14のスリット形成されたメタル基板12を甲1に使用するならば、同時にメタル基板12の上の熱硬化性樹脂層にも甲14の樹脂基板14と同様のスリットを形成するのが当然である。そうすると、下図に示すように、メタル基板12にトランスファ・モールドによって熱硬化性樹脂層を形成する際には、熱硬化性樹脂層にスリット14bが形成されるように金型の凸部を形成する必要があり、その凸部によってメタル基板のスリット12bが塞がれるため、メタル基板のスリット12bの部分に熱硬化性樹脂が充填されることはない。
…(略)…
(イ)甲1発明に甲15を組み合わせても相違点3、5、7を容易に想到し得ないこと
…(略)…
(ii)甲1発明に甲15組み合わせても相違点1、3、5、7が導かれないこと
…(略)…すなわち、甲1発明に甲15を適用しても、樹脂パッケージの四つの外側面に沿って、熱硬化性樹脂が埋め込まれた切り欠き部が、発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって形成された構成の発光装置は得られない。」(答弁書91?98ページ)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
ア 答弁書における被請求人の主張に対する請求人反論「(i)答弁書の「2 被請求人の反論の要旨」において被請求人がした、甲14発明および甲15発明に関する主張には誤りがある(第2弁駁書60?63頁)。」(被請求人口頭審理陳述要領書「A.III.第7」「1(1)(i)」73ページ)に対する被請求人の意見は、次のとおりである。

「(2)請求人反論(i)に対する被請求人意見
ア 甲14発明について
請求人は、被請求人が答弁書において「甲14にはスリット12bが完成LED10の外周にあたる部分であると記載されていることから、甲14はスリットに樹脂基板の樹脂が入り込む(スリット面が樹脂で覆われる)ことを前提とするものではない。」と主張したことに対して、「甲14発明は、仮にその前提として、スリットに樹脂基板の樹脂が入り込むものではないとしても、そのようなリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成すれば、結果的に、スリットには樹脂基板の樹脂が入り込むこととなるのである。」と反論したうえで、甲14に開示のリードフレームを甲1発明に適用すれば、2つの外側面に沿って形成された切り欠き部、当該切り欠き部に樹脂部が埋め込まれた構成、2つの外側面で樹脂部とリードとが同一面に形成された構成、および全包囲周の1/2に切り欠き部が設けられた切り欠き部の構成が導かれると結論付けている(第2弁駁書60?61頁)。
しかしながら、請求人は、甲14に開示のリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成した場合に「結果的に、スリットには樹脂基板の樹脂が入り込むこととなる」理由を全く説明していない。したがって、請求人の上記反論は具体的な根拠のないものであって、そもそも失当である。
そして、仮に、甲14に開示のリードフレームを甲1発明に適用した場合に当該リードフレームのスリット12bに樹脂が入り込んだとしても、四つの外側面のそれぞれに切り欠き部が設けられた構成が導かれないことは、請求人自らが第2弁駁書の61頁で示した図からも明らかである。

イ 甲15発明について
請求人は、被請求人が答弁書において甲15発明について「半導体装置の外側面において、基板33Aに切り欠き部が設けられたものではない。」と主張したことに対して、甲15の段落【0168】の記載を根拠として、「結果的に、スリット内のモールド樹脂がリードと樹脂との界面を保護することで、切断時の剥離を有効に防止できるという効果を奏するのであるから、本件訂正発明の備える「切り欠き部」と同様の剥離防止効果を奏するのである。」と反論する(第2弁駁書61?62頁)。
しかしながら、前記「I」「第2」「3」「(2)」「エ」項において説明したとおり、本件製造方法は、切り欠き部内の樹脂が分離後の各樹脂パッケージの外側面に露出するように切断することにより、ダイシングソーが樹脂成形体とリードフレームとの界面に直接触れないようにして界面を保護すること、また、切断の前後にわたって樹脂がリードを挟み込む構成とすることで密着性を向上させることを可能にし、もって切断時の剥離を有効に抑制するものである。
これに対し、答弁書の96?98頁において、また、前記「I」「第2」「3」「(2)」「ウ」項において説明したとおり、甲15に記載の分離工程においては、スリットよりも幅の広いダイシングソーを用いて、スリット内の樹脂をすべて取り除くような切断が実施されているのであり、このような分離工程においては、ダイシングソーが樹脂とリードフレームとの界面に直接触れることとなるので、界面を保護することができない。また、甲15の分離工程によってスリット内の樹脂はすべて取り除かれてしまうので、切断後の半導体装置において、樹脂がリードを挟み込む構成はとり得ない。
よって、甲15に記載の構成が、本件訂正発明の備える「切り欠き部」と同様の剥離防止効果を奏し得ないことは明らかであり、請求人の主張には誤りがある。」(口頭審理陳述要領書「A.III.第7」「1(2)」74?76ページ)

イ 答弁書における被請求人の主張に対する請求人反論「(iii)相違点3、5、7(切り欠き部)に関し、
- 甲14において、「スリット12bに熱硬化性樹脂を充填してはならないことは明らかである」と結論付けることはできず、甲14の段落【0022】の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をする」なる記載の「全面」は「表と裏の両面」の意味であり、スリットの内側面まで包含するものと理解すべきでない(第2弁駁書63?67頁)。
…(略)…」(被請求人口頭審理陳述要領書「A.III.第7」「1(1)(iii)」73ページ)に対する被請求人の意見は、次のとおりである。

「(4)請求人反論(iii)に対する被請求人意見
ア 請求人は、相違点3、5、7(切り欠き部)に関連して、被請求人が答弁書において「甲14は、・・・それらのスリット12bおよび14bの表面が完成したLEDの外周部となるものである」と主張したことに対して、甲14の段落【0022】および【0024】のいずれにも、スリット12bおよび14bの表面が完成したLED10の外周部となる旨の記載はない、と主張する(第2弁駁書63頁)。
しかしながら、甲14において、「スリット12a」および「スリット14b」が、完成されたLEDの外周部にあたるという明確な記載が存在する以上(甲14の段落【0022】)、請求人の主張にはまったく理由がない。
また、完成されたLED10の斜視図である図2によれば、このLED10の外周全体にわたって、メタル基板の側面が露出していることがわかる。したがって、仮に請求人が主張するように、甲14において、スリット12aの表面が、形成されたスリットの状態のままで、完成されたLEDの外周部となっていないのであれば、ダイシングは、スリット12a全体が除去されるように(すなわち、ダイシングソーの幅をスリットの幅より大きくして)実施されることとなる。そして、そのようなダイシングを実施する場合には、本件訂正発明1の切り欠き部に関する相違点は当然に充足されないから、甲14を甲1発明に適用しても、相違点3、5および7を導くことはできない。」(口頭審理陳述要領書「A.III.第7」「1(2)」76?77ページ)

8 無効理由8(特許法第29条第2項)について
(1)答弁書における主張
ア 「2 被請求人の反論の要旨
繰り返し述べているように、本件訂正発明1は、「第3」項において説明したとおり、甲1に開示されたような発光装置において、リードフレーム等の配線基板の上にモールド成形によって熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体を形成した後、ダイシングによって個片化した発光装置を得る際に、リードフレームと熱硬化性樹脂との間で剥離が生じやすいという課題を認識して初めて想到し得たものである。すなわち、本件訂正発明1の発光装置は、ダイシング等によって切断する発光装置の4つの外側面それぞれに、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたってリードの切り欠き部を設けたことを特徴とするが(構成要件1C、1G、1J)、そのような切り欠き部を設ける理由は、「第3」「2」項に詳述したとおり、<1>切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減し、<2>熱硬化性樹脂とリードフレームの界面を保護し、<3>熱硬化性樹脂によってリードフレームの両側を挟み込む構造として接合強度を高め、これらの総合的な作用によって切断時のリードフレームと熱硬化性樹脂の剥離を防止する点にある。
一方、甲19発明は、上記「第8」項で検討した甲3発明と同様に、各LEDパッケージの外形に応じた金型を用いる、いわゆる個別封止によってモールド部を形成するものであり(甲19の段落【0109】?【0114】、図12c)、モールド部の外側面は本件訂正発明1のそれとは異なり、切断によって形成されるものではない。また、個々のLEDパッケージを得ることは、切断機を利用しモールド部の外部面に突出された第1リードおよび第2リードを切断することにより行われる(甲19の段落【0120】)。すなわち、甲19発明のLEDパッケージは、四つの外側面を切断によって形成するものではないから、切断時の剥離の防止を目的とした切り欠き部を設けることに起因する構成をとる必要のないものである。
このように本件訂正発明1と甲19発明とでは、発光装置の樹脂部(より正確に言えば、樹脂部の外側面)を形成する手法が異なっており、甲19から、特に、本件訂正発明1の構成要件1C(四つの外側面それぞれに沿った切り欠き部の形成)、構成要件1G(リードと樹脂部が四つの外側面で同一面に形成される構成)、および構成要件1I(各リードが3つの外側面で露出する構成)を導くことはできない。」(答弁書102?103ページ)

イ 「イ 相違点2、3および4が容易想到でないこと
甲19発明の実施例2のLEDパッケージにおいて、相違点2、3および4が同時に充足されるためには、<1>第1リード133’および第2リード136’を、その一部がモールド部140aの二つの外側面(下図の青線部)にちょうど達するような形状として個別封止を実施するか、<2>あるいは、第1リード133’および第2リード136’を、その一部が外側面(下図の青線部)から突出するような形状とし、モールド部140aを金型を用いて形成した後、第1リード133’および第2リード136’の突出している部分を切断する、
必要がある。
…(図略)…
しかしながら、これらの作業は、上記「第8」「4」「(1)」「オ」項でも説明したとおり、徒に甲19発明のLEDパッケージの製造プロセスを複雑にするだけである。…(略)…
すなわち、甲19には、第1リード133’および第2リード136’が上図の青い線で示した外側面に露出した構成を採用することを動機付けるものはなく、むしろそのような構成とすることには阻害要因があるというべきである。また、その他の証拠にも、甲19において、第1リード133’および第2リード136’が上図の青い線で示した外側面に露出させることを動機付けるものはない。したがって、甲19発明およびその他の証拠から相違点3および4に想到することは、当業者にとって容易なことではない。」(答弁書109?111ページ)
(審決注:答弁書及び被請求人口頭審理陳述要領書の「A.III.第8」における「相違点2」、「相違点3」、「相違点4」(答弁書108?109ページ)は、それぞれ構成要件1C、1G、1Iに関するもので、後記「第7」「2(6)無効理由8について」のイ(ア)における「相違点2」、「相違点3」、「相違点4」が対応する。)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
ア 「(2)請求人反論(i)に対する被請求人意見
請求人は、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を高めることが好まし点については、一括封止であるか否かに関わらず、個別封止においても同様であることを理由として、甲19発明が備える切り欠き部が「切断時の剥離の防止を目的とした切り欠き部」であるか否かを問うこと自体が失当であると主張する(第2弁駁書73頁)。
請求人の上記反論は、甲19、および甲3等の個別封止を開示する証拠において、リードフレームと樹脂との密着性を向上させる切り欠き部が開示されていることを前提とするものである。しかしながら、後述の「B」「第6」「2」「(2)」項で説明するように、甲3が開示する凹凸は、リードの横方向の抜けを防止するためのものであって、樹脂層とリードとの「密着性」を向上させるものではなく、甲5は、切り欠き部とは全く異なる構成を教示するものである。また、甲19においても同様に、リードの欠損部分が樹脂とリードとの密着性を向上させるものであることは記載されていない。このように、甲19および甲3等の個別封止を開示する証拠はいずれも、切り欠き部を設けることで、リードフレームと樹脂との密着性を向上させることを教示するものではない。したがって、請求人の上記主張はこれらの証拠の記載に基づかないものであり、その前提において誤りがある。」(口頭審理陳述要領書「A.III.第8」「1(2)」85ページ)

イ 「2 甲19発明において相違点に係る構成を採用する動機付けについての意見
相違点2?4および6、ならびにその他の相違点に係る構成を採用する動機となるものが、甲19およびその他の証拠に無いことは、答弁書107?112頁および前記「A」「III」「第8」「1」項で説明したとおりである。」(口頭審理陳述要領書「B.第8」「2」105ページ)

9 証拠方法
被請求人が提出した乙号証は、以下のとおりである。

(1)乙第1号証:無効2015-800164号審決の第1頁、第2頁、第128頁、第131頁
(2)乙第2号証:特開2003-268205号公報
(3)乙第3号証:特開2005-311137号公報
(以上、答弁書に添付して提出。)

(4)乙第4号証:特開2001-15682号公報
(5)乙第5号証:特開2004-281510号公報
(6)乙第6号証:特開2004-88119号公報
(7)乙第7号証:特開2004-241766号公報
(8)乙第8号証:特開2007-149823号公報
(9)乙第9号証:特開2008-192837号公報
(以上、口頭審理陳述要領書に添付して提出。)

第7 当審の判断
1 本件訂正発明
「第3 本件訂正発明」で認定したとおりである。

2 請求人の主張する無効理由についての当審の判断
上記第3のとおり、本件訂正は認められることから、上記第5の「1」のとおり、請求人が主張する無効理由は、無効理由1及び4ないし8と整理できる。
そこで、以下では、無効理由1及び4ないし8について検討する。

(1)無効理由1について
ア 本件訂正後の請求項1には、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成しており」との構成(構成要件1G)が、請求項2には、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成(構成要件2G)が記載されている(下線は合議体が付与した。以下同じ。)。

イ 本件訂正発明の構成要件1G及び2Gに関し、本件特許明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0033】
第1の実施の形態に係る発光装置100は、熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面20bにおいて樹脂部25とリード22とを略同一面に形成する樹脂パッケージ20を有する。リード22は底面(樹脂パッケージ20の外底面20a)及び上面(凹部27の内底面27a)の少なくともいずれか一面にメッキ処理を施している。一方、リード22の側面(樹脂パッケージ20の外側面20b)はメッキ処理が施されていない。樹脂パッケージ20の外側面20bは、樹脂部25が大面積を占めており、リード22が隅部から露出している。」

(イ)「【0041】
発光素子は、フェイスアップ構造のものを使用することができる他、フェイスダウン構造のものも使用することができる。発光素子の大きさは特に限定されず、□350μm、□500μm、□1mmのものなども使用することができる。また発光素子は複数個使用することができ、全て同種類のものでもよく、光の三原色となる赤・緑・青の発光色を示す異種類のものでもよい。
(樹脂パッケージ)
樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。樹脂パッケージは、350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であるが、420nm?520nmの光反射率が80%以上であることが特に好ましい。また、発光素子の発光領域と蛍光物質の発光領域とにおいて高い反射率を有していることが好ましい。
【0042】
樹脂パッケージは、外底面と外側面と外上面とを有する。樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」

(ウ)「【0062】
…(略)…
(第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法)
第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図4は、第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法を示す概略断面図である。図5は、第1の実施の形態に係る樹脂成形体を示す平面図である。
【0063】
第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法は、切り欠き部21aを設けたリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む工程と、上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型60内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する工程と、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する工程と、を有する。
…(略)…
【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。 複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。
<第2の実施の形態>
…(略)…」

ウ(ア)上記イの発明の詳細な説明(特に段落【0033】、【0042】、【0078】等を参照。)を参照すると、発明の詳細な説明には、「樹脂パッケージの第1乃至第4外側面それぞれにおいて、切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部と、樹脂部から露出したリードとが略同一面に形成されて」との構成が開示されているといえる。
そして、樹脂部とリードとを有し、外側面においてリードが露出している樹脂パッケージの、樹脂部とリードとの位置関係に関して、「樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」(本件特許明細書の段落【0042】を参照。)と記載されている。

しかしながら、請求項1、2の記載は「略同一面」ではなく、「同一面」であり、発明の詳細な説明の段落【0063】と【0078】には、「切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する」ことが記載されている、すなわち、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成されることが開示されているのであるから、いずれにせよ、構成要件1G及び構成要件2Gの「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成が、発明の詳細な説明に開示されているといえることにはかわりない。
したがって、本件訂正発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号に規定される要件を満たしている。

(イ)また、本件訂正後の請求項1及び2の「前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、…前記樹脂部と、…前記リードとが同一面に形成されて」との記載は、製造方法の記載ではないから、「物の発明にかかる請求項にその物の製造方法」が記載されている場合には該当しない。
したがって、本件訂正後の請求項1及び2は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームには該当せず、本件訂正発明1及び2は、明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たしている。

エ 請求人の主張について
請求人は、本件特許明細書において、「略同一面」と「同一面」とは意味が違う旨(上記「第5」「2(3)」を参照。)、及び本件訂正発明の記載だけからは、「仮に樹脂部とリードが「切断面を構成」しているとしても、それが「同じ切断工程で形成された」ものかどうかまでは読み取ることができない。」(上記「第5」「2(3)」を参照。)と主張している。
しかしながら、上記ウ(イ)で検討したように、本件訂正発明1及び2は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームには該当しないのであり、また、上記ウ(ア)で検討したように、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成されることが開示されているのであるから、構成要件1G及び構成要件2Gにおける「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて…(略)…同一面に形成されて」との、物の発明における構成は開示されているといえる。
したがって、請求人の上記主張を考慮しても、本件訂正後の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号乃至第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

オ 無効理由1についてのまとめ
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、審判請求人が主張する無効理由1によっては、無効とすることはできない。

(2)無効理由4について
ア 本件特許の出願日について
(ア)本件訂正発明1及び本件訂正発明2における、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、…前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成(構成要件1G、2G)について検討する。

(イ)最初の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する」(段落【0063】、【0078】)と記載されている。すなわち、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成されることが開示されている。
したがって、最初の特許出願は、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成を含む発明を包含する。

(ウ)第1世代分割出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する」(段落【0063】、【0078】)と記載されておる。すなわち、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成されることが開示されている。
したがって、第1世代分割出願は、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成を含む発明を包含する。
また、上記記載は、第1世代分割出願の出願直前(分割直前)の最初の特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「最初の特許出願明細書等」という。)に記載されている。

(エ)本件特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する」(段落【0063】、【0078】)と記載されている。すなわち、樹脂部とリードが同じ切断工程で形成されることが開示されている。
したがって、本件特許出願は、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」との構成を含む発明を包含する。
また、上記記載は、本件特許出願の出願直前(分割直前)の最初の特許出願明細書等及び第1世代分割出願明細書の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている。

(オ)したがって、本件訂正発明1及び本件訂正発明2は、最初の特許出願及び第1世代分割出願のいずれもが包含する発明である。
よって、第1世代分割出願は、特許法第44条第1項に規定する新たな特許出願である(分割出願の要件を満たす)ということができ、本件特許出願も、特許法第44条第1項に規定する新たな特許出願である(分割出願の要件を満たす)ということができる。

(カ)以上のとおり、第1世代分割出願及び本件特許出願は、いずれも特許法第44条第1項に規定する新たな特許出願である(分割出願の要件を満たす)ということができるから、本件特許出願は、最初の特許出願の時にしたものとみなすことができ、最初の特許出願の出願日である平成20年9月3日に出願されたものというべきである。

イ 審判請求人の主張について
審判請求人は、上記「第5」「5(3)」において、「一般的な意味において「同一面」なる用語が「略同一面」なる用語に包含されるからといって、本件明細書に「同一面」が開示されているとは言えないと考えている。」と主張しているが、(ア)で検討したとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。

ウ 無効理由4についての判断
以上のとおり、本件特許出願は、最初の特許出願の時にしたものとみなすことができ、最初の特許出願の出願日である平成20年9月3日に出願されたものというべきであり、一方、無効理由4で証拠とされた甲第2号証(特開2010-62272号公報)は、平成22年3月18日に公開された刊行物であるから、特許法第29条第1項第3号の「特許出願前に頒布された刊行物」に該当しない。
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(3)無効理由5について
ア 甲第3号証の記載事項と甲3発明
(ア)甲第3号証には、以下の記載がある。(下線は当審が付した。以下同じ。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源などに用いられる表面実装型発光装置及びそれに適した樹脂成形体並びにそれらの製造方法に関する。」

「【0054】
<第1の実施の形態>
<表面実装型発光装置>
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置について図面を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。図2は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。図1は、図2のI-Iの概略断面図である。
【0055】
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。
【0056】
…(略)…
【0057】
第1のリード20は第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有している。発光素子10は、第1のインナーリード部20a上にダイボンド部材を介して載置されている。第1のインナーリード部20aは、発光素子10が持つ第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは第1の樹脂成形体40から露出している。第1のリード20は、第1の樹脂成形体40の側面外側に第1のアウターリード部20bを有しているだけでなく、第1の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第1のアウターリード部20bと呼ぶ場合もあり、第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第1のリード20は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。
【0058】
第2のリード30は第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有している。第2のインナーリード部30aは、発光素子10が持つ第2の電極12とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第2のアウターリード部30bは第1の樹脂成形体40から露出している。第2のリード30は、第2の樹脂成形体40の側面外側に第2のアウターリード部30bを有しているだけでなく、第2の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第2のアウターリード部30bと呼ぶ場合もあり、第2のアウターリード部30bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第2のリード30は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。第1のリード20と第2のリード30とが短絡しないように、裏面側における第1のリード20と第2のリード30との近接する部分に絶縁部材90を設ける。
【0059】
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。第1の樹脂成形体40は、トランスファ・モールドにより成形する。第1の樹脂成形体40は、熱硬化性樹脂を用いている。凹部40cの開口部は、底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられていることが好ましい。」

「【0070】
<第1の樹脂成形体>
…(略)…
【0081】
第1の樹脂成形体40は、パッケージとしての機能を有するため硬質のものが好ましい。また、第1の樹脂成形体40は透光性の有無を問わないが、用途等に応じて適宜設計することは可能である。例えば、第1の樹脂成形体40に遮光性物質を混合して、第1の樹脂成形体40を透過する光を低減することができる。一方、表面実装型発光装置からの光が主に前方及び側方に均一に出射されるように、フィラーや拡散剤を混合しておくこともできる。また、光の吸収を低減するために、暗色系の顔料よりも白色系の顔料を添加しておくこともできる。このように、第1の樹脂成形体40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。」

「【0082】
<第1のリード及び第2のリード>
第1のリード20は、第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有する。第1のインナーリード部20aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出しており、発光素子10を載置する。この露出された第1のインナーリード部20aは、発光素子10を載置する面積を有していればよいが、熱伝導性、電気伝導性、反射効率などの観点から広面積の方が好ましい。第1のインナーリード部20aは、発光素子10の第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは、発光素子10が載置されている部分を除く、第1の樹脂成形体40から露出している部分である。第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続されるとともに熱伝達する作用も有する。
【0083】
第2のリード30は、第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有する。第2のインナーリード部30aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出している。この露出された第2のインナーリード部30bは、発光素子10の第2の電極12と電気的に接続する面積を有していればよいが、反射効率の観点から広面積の方が好ましい。裏面側の第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとは露出しており、実質的に同一平面を形成している。これにより表面実装型発光装置の実装安定性を向上することができる。また半田付け時に第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30aの裏面間が半田により短絡することを防止するため、電気絶縁性の絶縁部材90を薄くコーティングすることもできる。絶縁部材90は樹脂などである。
【0084】
第1のリード20及び第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20及び第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のリード20及び第2のリード300の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。この場合、第1のリード20及び第2のリード30を折り曲げるなどの成形工程が困難であるため、所定の大きさに切断する。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより、第1のリード20及び第2のリード30のたわみが少なくなり、発光素子10の実装をし易くすることができる。これとは逆に、第1のリード20及び第2のリード30を薄い平板状とすることにより折り曲げる成形工程がし易くなり、所定の形状に成形することができる。」

「【0086】
<第2の樹脂成形体>
第2の樹脂成形体50は、外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子10を保護するために設ける。また、発光素子10から出射される光を効率よく外部に放出することができる。第2の樹脂成形体50は、第1の樹脂成形体40の凹部40c内に配置している。
【0087】
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。第2の樹脂成形体50は、発光素子10を保護するため硬質のものが好ましい。また、第2の樹脂成形体50は、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。第2の樹脂成形体50は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。第2の樹脂成形体50中には拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、第2の樹脂成形体50は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質80を含有させることもできる。」

「【0106】
<表面実装型発光装置の実装状態>
上記表面実装型発光装置を用いて、外部電極と電気的に接続した実装状態を示す。図3は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【0107】
表面実装型発光装置の裏面側に放熱接着剤100を介して放熱部材110を設けることができる。この放熱接着剤100は、第1の樹脂成形体40の材質よりも熱伝導性が高いものが好ましい。放熱接着剤100の材質は、電気絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。放熱部材110の材質は熱電導性の良好なアルミ、銅、タングステン、金などが好ましい。このほか、第1のリード20のみに接触するように放熱接着剤100を介して放熱部材110を設けることにより、放熱接着剤として更に熱電導性の良い半田を含む共晶金属を用いることができる。表面実装型発光装置の裏面側は平坦となっていることから、放熱部材110への実装時の安定性を保持することができる。特に、発光素子10と最短距離をとるように第1のリード20及び放熱部材110を設けているため、放熱性は高い。
【0108】
第1のリード20の第1のアウターリード部20b及び第2のリード30の第2のアウターリード部30bは外部電極と電気的に接続する。第1のリード20と第2のリード30は厚肉の平板であるため、外部電極と放熱部材90とで挟み込むように電気的に接続する。第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bと外部電極との電気的接続には鉛フリー半田を用いる。この他、外部電極に第1のアウターリード部20b等を載置するように電気的接続することもできる。」

「【0109】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図4は、第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【0110】
この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。」

「【0120】
<表面実装型発光装置の製造方法>
本発明に係る表面実装型発光装置の製造方法について説明する。本製造方法は、上述の表面実装型発光装置についてである。図10(a)?(e)は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0121】
第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30a並びに第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを、上金型120と下金型121とで挟み込む(第1の工程)。
【0122】
上金型120は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成している。第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する上金型120の部分は、第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aとを接触するように形成されている。
【0123】
上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込む(第2の工程)。
【0124】
トランスファ・モールド工程は、所定の大きさを有するペレット状の第1の熱硬化性樹脂を所定の容器に入れる。その所定の容器に圧力を加える。その所定の容器から繋がる上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に、溶融状態の第1の熱硬化性樹脂が流し込む。上金型120と下金型121とを所定の温度に温め、その流し込まれた第1の熱硬化性樹脂を硬化する。この一連の工程をトランスファ・モールド工程という。
【0125】
第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aを挟み込むため、第1の熱硬化性樹脂を流し込む際に第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aがばたつくことがなく、バリの発生を抑制できる。
【0126】
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体40を成形す
る(第3の工程)。
【0127】
これにより、熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を成形する。これにより耐熱性、耐光性、密着性等に優れたパッケージを提供することができる。また、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有する熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を提供することができる。」

「【実施例1】
【0136】
実施例1に係る表面実装型発光装置は図1及び図2に示す。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様の構成を採るところは説明を省略する。
【0137】
実施例1に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有しており、凹部40cの開口部は底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられている。
【0138】
発光素子10は青色に発光するGaN系のものを使用する。発光素子10は同一面側に第1の電極11と第2の電極12とを有しており、ダイボンド樹脂(銀入りのエポキシ樹脂)を用いてフェイスアップで第1のリード20に接着されている。第1の電極11は金ワイヤ60を用いて第1のリード20と電気的に接続されている。第2の電極11も金ワイヤ60を用いて第2のリード30と電気的に接続されている。第1のリード20及び第2のリード30は母材に銅を用い、第1の樹脂成形体40から露出する部分に銀メッキを施している。第1のリード20及び第2のリード30はやや厚板(約0.5mm)のものを用い、第1のリード20及び第2のリード30の裏面側は露出している。第1の樹脂成形体40はトリグリシジルイソシアヌレートよりなるエポキシ樹脂とヘキサヒドロ無水フタル酸よりなる酸無水物とを当量比用いてなる混合物100重量部と、DBU0.5重量部、エチレングリコール1重量部、酸化チタン顔料10重量部、ガラス繊維50重量部を添加したものを用いる。第2の樹脂成形体50はシリコーン樹脂を用いる。第2の樹脂成形体50には(Y_(0.8)Gd_(0.2))_(3)Al_(5)O_(12):Ceの組成を有するYAG系蛍光体80を均一に混合している。底面40aと側面40bとを持つ凹部40cに第2の樹脂成形体50を配置しており、第2の樹脂成形体50の表面は凹部40cの上面と一致する。これにより製品毎のYAG系蛍光体80の量を均一にしている。第1のリード20と第2のリード30の裏面側に所定の厚さのエポキシ樹脂シートなる絶縁部材90を貼着している。
【0139】
実施例1に係る表面実装型発光装置は以下の工程により製造される。図10は実施例1に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0140】
所定のリードフレームに打ち抜きを行い、複数個の第1のリード20と第2のリード30とを設ける。約150℃に加熱した下金型121へリードフレームを固定する。同様に約150℃に加熱した上金型120でリードフレームを挟み込む。挟み込みは第1のリード20と第2のリード30のインナーリード部20a、30a、アウターリード部20b、30bに相当する部分である。第1の樹脂成形体40に相当する上記のエポキシ樹脂組成物を打錠し得たタブレットを金型シリンダー部に配置する。このタブレットをピストンにより金型内へ流し込む(トランスファ・モールド)。この流し込まれたエポキシ樹脂を金型内で約150℃約3分間の加熱を行い仮硬化する。次に上金型120と下金型121とを分割して上記のエポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出す。取り出した後、さらに約150℃約3時間の加熱を行い本硬化する。これによりリードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得る。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、底面40aはリードフレームが露出している。このリードフレームのアウターリード部20b、30bに相当する部分にメッキ処理を施す。
【0141】
次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドする。発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード20の第1のインナーリード部20a、第2の電極12と第2のリード30の第2のインナーリード部30aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続する。
【0142】
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下する。シリコーン樹脂の粘度等により、YAG系蛍光体80が沈降する。YAG系蛍光体80が沈降することにより発光素子10の周辺にYAG系蛍光体を配置することができ、所定の色調を有する表面実装型発光装置を提供することができる。シリコーン樹脂を滴下後、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成する。
【0143】
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成する。これにより実施例1に係る表面実装型発光装置を製造することができる。」

図1?4は、それぞれ以下のとおりである。


(イ)甲3発明
以上のことから、甲第3号証には、第2の実施の形態について、実施例1(図1及び図2に示される)に係る表面実装型発光装置の製造工程についての記載も勘案すると、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる(特に、段落【0057】、【0058】、【0081】、【0083】、【0084】、【0087】、【0110】、【0120】?【0127】、【0137】?【0143】、図4を参照。)。

「発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する表面実装型発光装置であって、
第1の樹脂成形体40は、発光素子を載置するための第1のリード21と、発光素子と電気的に接続される第2のリード31と、を一体成形しており、
第1のリード21は第1のインナーリード部21aと第1のアウターリード部21bとを有しており、第1のアウターリード部21bは、外部電極と電気的に接続される部分であり、
第2のリード31は第2のインナーリード部31aと第2のアウターリード部31bとを有しており、第2のアウターリード部31bは、外部電極と電気的に接続される部分であり、
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有しており、
第1の樹脂成形体40は反射性物質を混合することもでき、
裏面側の第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとは露出しており、実質的に同一平面を形成し、これにより表面実装型発光装置の実装安定性を向上することができ、
第1のリード及び第2のリードの表面に銀等の金属メッキを施すこともでき、
第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げることにより、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止しており、
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂であり、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などにより形成することが好ましく、
リードフレームと一体成形された樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームであって、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aはリードフレームが露出しているリードフレームを得て、
このリードフレームの、第1のリード21の第1のアウターリード部21b、第2のリード31の第2のアウターリード部31bに相当する部分にメッキ処理を施し、
凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドし、
次に第2の樹脂成形体50を形成し、
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1の樹脂成形体40から露出している、第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとを形成することで製造される、表面実装型発光装置。」

イ 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲3発明の対比
本件訂正発明1では、上記「第4」「2」に記載の構成要件1C、1G、1I、1Jが特定されている。
甲3発明の「第1の樹脂成形体40」は、本件訂正発明1の「樹脂部」に相当し、甲3発明の「第1のリード21」と「第2のリード31」は、合わせて本件訂正発明1の「リード」に相当する。
したがって、本件訂正発明1と甲3発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
本件訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿つて形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲3発明では、「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1の樹脂成形体40から露出している、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成することで製造される」ものであることから、「『互いに分離した』四つの切り欠き部」を有しているものとはいえず、本件訂正発明1のような「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いるものではない点。

<相違点2>
本件訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成して」いる(構成要件1G)のに対し、甲3発明では、第1の樹脂成形体40のいずれの外側面においても、樹脂部と第1のリード21、第2のリード31とが同一面に形成されておらず、本件訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

<相違点3>
本件訂正発明1では、リードが「前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第三側面それぞれに露出した第1リードと、前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第四外側面それぞれに露出した第2リードを有し」ている(構成要件1I)のに対し、甲3発明では、「第1のリード21」及び「第2のリード31」はそれぞれ、一つの外側面のみにおいて露出している点。

<相違点4>
本件訂正発明1では、「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」(構成要件1J)のに対し、甲3発明では、「第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け」ることは特定されているものの、本件訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点1?3について
事案に鑑み、まず、相違点1?3について、まとめて検討する。

(a)本件訂正発明1における、前記構成要件1C、1G、1Iに関連して、本件特許明細書には、次のような記載がある。
・「【0050】
切り欠き部は、樹脂成形体を個片化して樹脂パッケージとした際、リードが正負一対となるように形成されている。また、切り欠き部は、樹脂成形体を切断する際に、リードを切断する面積を少なくするように形成されている。例えば、正負一対のリードとなるように横方向に切り欠き部を設け、また、樹脂成形体を個片化する際の切り出し部分に相当する位置に切り欠き部を設ける。ただし、リードフレームの一部が脱落しないように、又は、樹脂パッケージの外側面にリードを露出させるためにリードフレームの一部を連結しておく。ダイシングソーを用いて樹脂成形体をダイシングするため、切り欠き部は、縦及び横若しくは斜めに直線的に形成されていることが好ましい。」
・「【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。 複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。」
上記記載より、本件訂正発明1において、「切り欠き部」は、切断時の剥離を抑制して、「リード」(個片化後のリードフレーム)と「樹脂パッケージ」(個片化後の樹脂成形体)との剥離を抑制させ、また、「リード」と「樹脂パッケージ」との密着強度を向上させるとの効果を奏するものであると認められる。

(b)一方、甲3発明は、「発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する表面実装型発光装置であって」、「第1の樹脂成形体40は、発光素子を載置するための第1のリード21と、発光素子と電気的に接続される第2のリード31と、を一体成形しており」、「第1のリード21は第1のインナーリード部21aと第1のアウターリード部21bとを有しており、第1のアウターリード部21bは、外部電極と電気的に接続される部分であり、第2のリード31は第2のインナーリード部31aと第2のアウターリード部31bとを有しており、第2のアウターリード部31bは、外部電極と電気的に接続される部分であり」、「リードフレームと一体成形された樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームであって、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aはリードフレームが露出しているリードフレームを得て」、「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1の樹脂成形体40から露出している、第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとを形成することで製造される、表面実装型発光装置」であるから、いわゆる個別封止によって第1の樹脂成形体を形成するものであり、表面実装型発光装置は、「所定の位置でリードフレームを切り出して」製造されるものである。
そうすると、甲3発明において、第1のリード21の第1のアウターリード部21bと第2のリード31の第2のアウターリード部31bは、いずれも「外部電極と電気的に接続される部分」であり、また、リードフレームに成形された「第1の樹脂成形体40」は、切り出しの際に、リードフレームとともに切断されるものではなく、また、リードフレームの切り出しは、4つの位置で行われるものでもない。

また、甲3発明は、「第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げることにより、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止して」いるものであるから、「凹凸」は切断時の剥離を防止するためのものではない。

(c)したがって、甲3発明は、切断時の剥離を防止することを目的として切り欠き部を設ける必要がないものであるから、甲3発明において、「第1のリード21と第2のリード31」を、樹脂部の4つの外側面それぞれに沿って形成された「切り欠き部」を有する構成とする動機付けも、また、4つの外側面それぞれにおいて、樹脂部と第1のリード21、第2のリード31とが同一面に形成される構成を採用する動機付けもない。
しかも、甲3発明において、「外部電極と電気的に接続される部分」である第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bを切り出すよう構成する動機付けもない。
よって、甲3発明において、前記構成要件1C及び1Gを導くことはできず、そうすると、構成要件1Iを導くこともできない。
以上のことから、甲3発明において、相違点1ないし3に係る本件訂正発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(d)次に、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項を適用することについて検討する。
甲第5、7、8号証に記載されたリードの形状は、4つの外側面においてリードが露出するものではなく、甲3発明に甲第5、7、8号証に記載されたリードを適用しても、相違点1ないし3に係る本件訂正発明1の構成を導くことはできない。
甲3発明に甲第6号証に記載された技術事項を適用した場合には、甲第3号証の図2や図4に示された態様において、第1の樹脂成形体からの第1リード21と第2のリード31それぞれのアウターリード部21bと31bを切断して、発光装置の実装面積を小さくするようにリードフレームを加工することが行われることとなるが、甲3発明のアウターリード部21bと31bは、いずれも「外部電極と電気的に接続される部分」であるから、アウターリード部21bと31bを切断することは動機付けがなく、しかも、甲第6号証に記載の技術事項において、切断前のリードフレーム30のリード端子34を枠体32に連結されたものとする必然性もないから、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づき、前記構成要件1Iを適用する動機付けもない。
したがって、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、相違点1ないし3に係る本件訂正発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(e)次に、甲3発明において、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項を適用することについて検討する。
甲第10号証及び甲第11号証には、酸化チタンが反射性物質がであることについて開示されており、上記「第4」「2」に記載の構成要件1Aに関連する証拠であり、構成要件1C、1G、1Iについて開示されていないから、甲3発明において、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて、相違点1ないし3に係る本件訂正発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(f)したがって、相違点1?3に係る本件訂正発明1の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲3発明、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が甲3発明、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件訂正発明2について
(ア)本件訂正発明2と甲3発明の対比
本件訂正発明2では、上記「第4」「2」に記載の構成要件2C、2G、2I、2Jが特定されている。
したがって、本件訂正発明2と甲3発明とは、少なくとも、上記相違点1、3及び4、並びに以下の<相違点2’>で相違する。ただし、上記相違点1、3及び4の「本件訂正発明1」は「本件訂正発明2」と読み替え、構成要件1C、1I、1Jは構成要件2C、2I、2Jとそれぞれ読み替える。

<相違点2’>
本件訂正発明2では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」いる(構成要件2G)のに対し、甲3発明では、第1の樹脂成形体40のいずれの外側面においても、樹脂部と第1のリード21、第2のリード31とが同一面に形成されていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点1、2’、3について
(a)上記イ(イ)a(b)、(c)で本件訂正発明1について検討したとおり、甲3発明において、第1のリード21の第1のアウターリード部21bと第2のリード31の第2のアウターリード部31bは、いずれも「外部電極と電気的に接続される部分」であり、また、リードフレームに成形された「第1の樹脂成形体40」は、切り出しの際に、リードフレームとともに切断されるものではなく、また、リードフレームの切り出しは、4つの位置で行われるものでもない。また、「甲3発明において、「第1のリード21と第2のリード31」を、樹脂部の4つの外側面それぞれに沿って形成された「切り欠き部」を有する構成とする動機付けも、また、4つの外側面それぞれにおいて、樹脂部と第1のリード21、第2のリード31とが同一面に形成される構成を採用する動機付けもない。しかも、甲3発明において、「外部電極と電気的に接続される部分」である第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bを切り出すよう構成する動機付けもない。
したがって、甲3発明において、前記構成要件2C及び2Gを導くことはできず、そうすると、構成要件2Iを導くこともできない。
以上のことから、甲3発明において、相違点1、2’、3に係る本件訂正発明2の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(b)次に、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項を適用することについて検討する。
甲第5、7、8号証に記載されたリードの形状は、4つの外側面においてリードが露出するものではなく、甲3発明に甲第5、7、8号証に記載されたリードを適用しても、相違点1、2’及び3に係る本件訂正発明2の構成を導くことはできない。
甲3発明に甲第6号証に記載された技術事項を適用した場合には、甲第3号証の図2や図4に示された態様において、第1の樹脂成形体からの第1リード21と第2のリード31それぞれのアウターリード部21bと31bを切断して、発光装置の実装面積を小さくするようにリードフレームを加工することが行われることとなるが、甲3発明のアウターリード部21bと31bは、いずれも「外部電極と電気的に接続される部分」であるから、アウターリード部21bと31bを切断することは動機付けがなく、しかも、甲第6号証に記載の技術事項において、切断前のリードフレーム30のリード端子34を枠体32に連結されたものとする必然性もないから、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づき、前記構成要件2Iを適用する動機付けもない。
したがって、甲3発明において、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて、相違点1、2’、3に係る本件訂正発明2の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(c)次に、甲3発明において、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項を適用することについて検討する。
甲第10号証及び甲第11号証には、酸化チタンが反射性物質がであることについて開示されており、上記「第4」「2」に記載の構成要件2Aに関連する証拠であり、構成要件2C、2G、2Iについて開示されていないから、甲3発明において、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて、相違点1、2’、3に係る本件訂正発明2の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(d)したがって、相違点1、2’、3に係る本件訂正発明2の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲3発明、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者が甲3発明及び甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、並びに、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件訂正発明3、5、6、8?10について
本件訂正発明3、5、6、8?10は、本件訂正発明1または本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付したものであり、また、甲第9号証、甲第10?12号証は、本件訂正発明6、10に関連する証拠であり、構成要件1C(2C)、1G、1I(2I)、2Gについて開示されていないから、本件訂正発明3、5、6、8?10は、当業者が甲3発明及び甲第5号証?第8号証に記載された技術事項、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?甲第12号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 請求人の主張について
(ア)請求人は、「相違点1」について、「斯かる技術常識を有する当業者が甲3発明に触れれば、甲3発明においても、これを集合体での多数個同時生産方式で実施すべくリードに変えてリードフレームを用いることを試みたうえで、リードフレームに切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする構成を採用する動機付けは十分にある。
なお、その場合には、最終段階として「切断」という工程を要することは自明である。
そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明であり、その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし、阻害要因もない。」(上記「第5」「6(3)」を参照。)と主張している。

(イ)甲3発明は、上記イ(イ)の「a 相違点1?3について」の(b)で検討したように、いわゆる個別封止によって第1の樹脂成形体を形成するものであり、甲3発明の表面実装型発光装置は、「所定の位置でリードフレームを切り出して」製造されるものであるから、甲3発明において、リードフレームに成形された「第1の樹脂成形体40」は、切り出しの際に、リードフレームとともに切断されるものではなく、また、リードフレームの切り出しは、4つの位置で行われるものでもない。
また、上記ア(イ)のとおり、甲3発明は、「第1の樹脂成形体40は、発光素子を載置するための第1のリード21と、発光素子と電気的に接続される第2のリード31と、を一体成形しており」、第1のリードの「第1のアウターリード部21bは、外部電極と電気的に接続される部分」であり、第2のリードの「第2のアウターリード部31bは、外部電極と電気的に接続される部分」である。

したがって、請求人が主張するように、集合体での多数個同時同時生産方式を開示する文献が多数存在しているからといって、外部電極と電気的に接続される第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bを有する表面実装型発光装置に係る甲3発明において、集合体での多数個同時生産方式で実施すべくリードに変えてリードフレームを用いることを試みたうえで、パッケージの4つの外側面となるリードフレームの位置それぞれに、「互いに分離した」四つの切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させる構成を採用することは、阻害要因があると認められる。

よって、甲3発明において、相違点1について請求人の上記主張は採用できない。

カ 無効理由5についてのまとめ
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、審判請求人が主張する無効理由5によっては、無効とすることはできない。

(4)無効理由6について
ア 甲第1号証の記載事項と甲1発明
(ア)甲第1号証には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子と蛍光体などの波長変換手段とを組み合わせた光半導体装置を製造するのに有用な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法に関する。」

「【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記(1)?(10)に記載の事項をその特徴とするものである。
【0011】
(1)光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成することを特徴とする、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【0012】
(2)前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであることを特徴とする、上記(1)に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
…(略)…
【0017】
(7)前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかであることを特徴とする、上記(1)?(6)のいずれか1項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【0018】
(8)上記(1)?(7)のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程、および前記光半導体素子を封止樹脂により覆う工程、を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【0019】
(9)前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程、をさらに有することを特徴とする、上記(8)に記載の光半導体装置の製造方法。」

「【0023】
本発明は、配線基板と、当該配線基板上に形成され、光半導体素子搭載領域となる凹部(貫通孔)が所定位置に2つ以上形成されている光反射用熱硬化性樹脂組成物層とを有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により一括形成することをその特徴とするものである。
【0024】
上記トランスファー成型による形成について、より具体的には、例えば、上記配線基板として、図1(a)に示すような、金属配線401を有するプリント配線板400を用い、これを図1(b)に示すように、所定形状の金型411内に配置し、金型411の樹脂注入口410から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入する。ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を好ましくは、金型温度170℃?190℃で60秒?120秒、アフターキュア温度120℃?180℃で1時間?3時間の条件で熱硬化させた後、金型411を外すことで、凹部(光半導体素子搭載領域)420が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430を得ることができる(図1(c)、(d))。また、凹部底面の、光半導体素子が接続される端子表面に電気めっき等によりNi/Agめっき104を施すこともできる。また、凹部の形状は、特に限定されないが、搭載されたLED素子10が発する光を反射させて上方へ導くようなカップ形状(円錐台形状)であることが望ましい。
【0025】
上記光反射用熱硬化性樹脂組成物としては、公知のものを使用することも可能であるが、好ましくは、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用い、より好ましくは、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、かつ熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いる。…(略)…
【0029】
上記(D)無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等を挙げることができ、これらは単独でも、併用して用いてもよい。熱伝導性、光反射特性、成型性、難燃性の点からは、シリカ、アルミナ、酸化アンチモン、水酸化アルミニウムのうちの2種以上の混合物であることが好ましい。また、無機充填材の粒径は、特に制限はないが、白色顔料とのパッキング効率を考慮すると、平均粒径が1μm?100μmの範囲であることが好ましい。
【0030】
上記(E)白色顔料としては、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、無機中空粒子等を挙げることができ、これらは単独でも、併用して用いてもよい。…(略)…また、白色顔料の粒径は、平均粒径が1?50μmの範囲にあることが好ましい。平均粒径が1μm未満であると粒子が凝集しやすく、分散性が悪くなる傾向があり、50μmを超えると反射特性が十分に得られなくなる傾向がある。
【0031】
上記(D)無機充填材と上記(E)白色顔料の合計量は、光反射用熱硬化性樹脂組成物全体に対して、70?85体積%の範囲であることが好ましい。この合計量が70体積%未満であると熱伝導性や光反射特性が不十分になる恐れがあり、85体積%を超えると樹脂組成物の成型性が悪くなり、光半導体素子搭載用基板の作製が困難となる傾向がある。
…(略)…
【0034】
また、本発明において用いる上記配線基板としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、上記プリント配線のほかに、リードフレーム、フレキシブル配線板、メタルベース配線板等を用いることができる。
【0035】
上記プリント配線は、例えば、銅箔付プリプレグに対して、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂及びプリプレグに含浸する樹脂には、LED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記リードフレームは、例えば、銅、42アロイ等の基板を公知の手法を用いて回路を形成して得ることができる。その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。また、上記フレキシブル配線板は、例えば、銅箔付のポリイミド基板を公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記メタルベース配線板は、例えば、銅やアルミニウムの基板に絶縁層を形成し、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、金属基板上の絶縁層及び回路絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。
【0036】
本発明の光半導体装置の製造方法は、上記本発明の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法により得られた光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程、および当該光半導体素子を透明な封止樹脂により覆う工程、を有することをその特徴とするものである。
【0037】
より具体的には、例えば、図1(c)および(d)に示す光半導体素子搭載用パッケージ基板430の凹部420の各底面の所定位置に、例えば、図2および図3に示すように、光半導体素子100を搭載し、該光半導体素子100と金属配線105とをボンディングワイヤ102、はんだバンプ107等の公知の方法で電気的に接続した後、公知の蛍光体106を含む透明な封止樹脂101により該光半導体素子100を覆うことで本発明の光半導体装置を製造する。なお、図1(c)および(d)には、光半導体素子を搭載する凹部が9箇所形成された場合について示されているが、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0038】
また、上記樹脂封止工程後に、マトリックス状である上記光半導体装置を、ダイシング、レーザ加工、ウォータージェット加工、金型加工等の公知の方法により分割することで、光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体(SMD型光半導体装置)を得ることができる。好ましくは、図6に示すような、マトリックス状の光半導体装置にダンシングラインを形成し、これに沿ってダイシングする。」

「【実施例】
【0039】
(実施例1)
<プリント配線板>
…(略)…
【0043】
<光半導体装置の製造>
上記で得た光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された各凹部底面の回路上に、LED素子をダイボンド材(日立化成工業(株)製、EN4620K)にて固定し、150℃で1時間加熱することによりLED素子を端子上に固着させた。ついで、金線でLED素子と端子を電気的に接続した後、下記組成の透明封止樹脂をポッティングにより各凹部に流し込み、150℃で2時間加熱硬化し、LED素子を樹脂封止した。
【0044】
(透明封止樹脂組成)
・水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂:デナコールEX252(ナガセケムテックス社製)
90重量部
・脂環式エポキシ樹脂:CEL-2021P(ダイセル化学社製)
10重量部
・4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物HN-5500E(日立化成工業製)
90重量部
・2、6ジターシャルブチル-4-メチルフェノールBHT
0.4重量部
・2-エチル-4-メチルイミダゾール
0.9重量部
【0045】
<ダイシング>
上記透明封止樹脂を硬化させた後、マトリックス状の光半導体装置をダイシング装置((株)ディスコ製、DAD381)により個片化し、LED素子を1つ有する単体の光半導体装置(SMD型LED)を複数製造した。
【0046】
(実施例2)
プリント配線板の代わりにリードフレームを用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。」

図2、3から、光半導体素子100を1つ有する単体の光半導体装置110が見てとれる。

(イ)甲1発明
以上のことから、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(特に、段落【0011】、【0012】、【0017】?【0019】、【0025】、【0029】?【0031】、【0034】?【0038】、【0043】?【0046】を参照。)。

「光半導体装置110であって、
光半導体素子搭載領域となる凹部(貫通孔)420が所定位置に2つ以上形成されている光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103を、表面に銀めっきが施されたリードフレームである配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430を得て、
光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部420の各底面に光半導体素子100を搭載し、
光半導体素子100を、エポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂101により覆い、硬化させた後、
光半導体素子100を1つ有する単体の光半導体装置110に、ダイシングにより分割して個片化することで製造される光半導体装置110であり、
光半導体素子100はLED素子であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(D)無機充填材、(E)白色顔料を必須成分として含み、無機充填材と白色顔料の平均粒径や合計量は反射特性の点から選択される、光半導体装置110。」

イ 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲1発明の対比
本件訂正発明1では、上記「第4」「2」に記載の構成要件1A、1C、1F、1G、1H、1Jが特定されている。
甲1発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103」、「透明封止樹脂101」はそれぞれ、本件訂正発明1の「樹脂部」、「封止部材」に相当する。
甲1発明は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103を、表面に銀めっきが施されたリードフレームである配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430を得て」、「光半導体素子100を1つ有する単体の光半導体装置110に、ダイシングにより分割して個片化することで製造される光半導体装置110」であるから、個片化後の「リードフレームである配線基板」は、本件訂正発明1の「リード」に相当する。
したがって、本件訂正発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
「樹脂部」について、本件訂正発明1では、「光反射性物質として酸化チタンが含有される」ものである(構成要件1A)のに対し、甲1発明では、光反射用熱硬化性樹脂組成物について、光反射性物質として酸化チタンを含有することは特定されていない点。

<相違点2>
本件訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲1発明は、「リードフレームである配線基板」が、「切り欠き部」を有するものではない点.。

<相違点3>
樹脂パッケージが有する「凹部内」に配置された「封止部材」について、本件訂正発明1では、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる」ものである(構成要件1F)のに対し、甲1発明では、透明封止樹脂101について、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる」ものは特定されていない点。

<相違点4>
本件訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成し」いる(構成要件1G)のに対し、甲1発明では、リフレクターの4つの外側面それぞれにおいて、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103」(樹脂部)と、「『ダイシングにより分割して個片化』された『リードフレームである配線基板』」(リード)とが「同一面に形成されて」いるものではなく、本件訂正発明1のこのような特定はなされていない点。(審決注:下線部は、上記「第4」「7(3)に記載の<相違点4>と異なる箇所。))

<相違点5>
金属板に銀メッキ処理が施された「リード」について、本件訂正発明1では、「前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている」(構成要件1H)のに対し、甲1発明では、「表面に銀めっきが施されたリードフレームである配線基板」が、「ダイシングにより分割して個片化」され、「リード」になった際、銀めっきが「少なくとも上面全面」に施されているとの特定はなされていない点。

<相違点6>
本件訂正発明1では、「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分1以上にわたって設けられている」(構成要件1J)のに対し、甲1発明は、このような特定はなされていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点2、4、6について
事案に鑑み、まず、相違点2、4、6について、まとめて検討する。

(a)甲1発明は、「リードフレームである配線基板」が、「切り欠き部」を有するものではなく、また、甲1発明は、「『光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103』を、『リードフレームである配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430』」を得て、「光半導体素子100を1つ有する単体の光半導体装置110に、ダイシングにより分割して個片化することで製造される光半導体装置110」であり、「光半導体装置110」の4つの外側面のいずれにおいても、平面視において、「リードフレームである配線基板」が、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」により挟まれた構造とはなっていないといえる。

(b)一方、甲第3号証に開示された第1のリード21及び第2のリード31の凹凸(段落【0109】、図4などを参照。)、甲第6号証に開示されたリード端子34の先細りの形状に加工された先端部、及びアイランドの突出部33aの先細りの形状に加工された先端部8(段落【0023】、【0028】、図6、8、9を参照。)、並びに甲第13号証の図5に開示されたリードは、いずれも、平面視において、リードの両側が熱硬化性樹脂で挟まれていることを前提としており、第1のリード21及び第2のリード31と第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げること、先細り形状、アンカー効果を、それぞれ利用して、リードの延在方向への抜け落ちを防止するものである。
したがって、平面視において、「リードフレームである配線基板」が、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」により挟まれた構造とはなっていない甲1発明は、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用するための前提を欠いており、甲1発明において、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用する動機付けはない。
また、甲第5号証には、リードの接続端子部に、突起部が、リードが絶縁体から剥離し、抜け落ちるのを防止するために設けられており、絶縁体の内部方向に折り曲げられている構成が開示されている(段落【0057】、図1、2を参照。)に過ぎず、本件訂正発明1における「切り欠き部」は開示されていない。

(c)甲第7号証、甲第8号証は、一般的な樹脂パッケージ型の半導体装置に関するものであり、甲第7号証には、半導体チップと、複数の導体と、樹脂パッケージと、を具備しており、かつ上記各導体の一部は、上記樹脂パッケージの底面から露出した面実装用の端子部とされている、半導体装置であって、各導体は、上記樹脂パッケージの底面方向に突出する凸部を一部に有しており、かつこの凸部の一部分が、上記端子部として上記樹脂パッケージの底面から露出している、半導体装置が開示されており(請求項1などを参照。)、各凸部の樹脂によって囲まれており、各凸部の複数の起立状の側面は、樹脂と密着して、導体の固定がより確実なものとなる旨が記載されている(段落【0013】?【0015】、【0028】、【0039】等を参照。)に過ぎず、甲1発明において、甲第7号証に開示された技術事項を参照したとしても、「リードフレームである配線基板」に、「切り欠き部」を、4つの外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、外側面において互いに分離したものとなるように設ける動機付けはない。
また、甲第8号証に記載の技術は、半導体装置Aにおいて、2つのリード部2が露出している樹脂パッケージの外側面(本件訂正発明1の「第1外側面(第4外側面)」に相当。)、ダイパッド3が露出している樹脂パッケージ4の外側面(本件訂正発明1の「第4外側面(第1外側面)」に相当。)、リードやダイパッドの露出はない、2つの外側面(本件訂正発明1の「第2外側面(第3外側面)及び第3外側面(第2外側面)」に相当。)とを有しており、上記ダイパッド部は1つの導体部として形成されており(段落【0027】参照。)、甲1発明において、甲第8号証に開示された技術事項を参照したとしても、「リードフレームである配線基板」に、「切り欠き部」を、4つの外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、外側面において互いに分離したものとなるように設ける動機付けはない。

(d)したがって、相違点2、4、6に係る本件訂正発明1の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲1発明、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、並びに甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点1、3、5について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が甲1発明、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、並びに甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件訂正発明2について
(ア)本件訂正発明2と甲1発明の対比
本件訂正発明2では、上記「第4」「2」に記載の構成要件2A、2C、2F、2G、2H、2Jが特定されている。
したがって、本件訂正発明2と甲1発明とは、少なくとも、上記相違点1?3、5及び6、並びに以下の<相違点4’>で相違する。ただし、上記相違点1?3、5及び6の「本件訂正発明1」は「本件訂正発明2」と読み替え、構成要件1A、1C、1F、1H、1Jは構成要件2A、2C、2F、2H、2Jとそれぞれ読み替える。

<相違点4’>
本件訂正発明2では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」いる(構成要件2G)のに対し、甲1発明では、リフレクターの4つの外側面のいずれにおいても、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421、103」(樹脂部)と、「『ダイシングにより分割して個片化』された『リードフレームである配線基板』」(リード)とが「同一面に形成されて」いるものではなく、本件訂正発明2のこのような特定はなされていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点2、4’、6について
(a)上記イ(イ)a(a)、(b)で検討したとおり、甲1発明は、「光半導体装置110」の4つの外側面のいずれにおいても、平面視において、「リードフレームである配線基板」が、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」により挟まれた構造とはなっていないといえ、また、平面視において、「リードフレームである配線基板」が、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」により挟まれた構造とはなっていない甲1発明は、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用するための前提を欠いており、甲1発明において、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用する動機付けはない。また、甲第5号証には、リードの接続端子部に、突起部が、リードが絶縁体から剥離し、抜け落ちるのを防止するために設けられており、絶縁体の内部方向に折り曲げられている構成が開示されている(段落【0057】、図1、2を参照。)に過ぎず、本件訂正発明2における「切り欠き部」は開示されていない。

(b)上記イ(イ)a(c)で検討したとおり、甲1発明において、甲第7号証に開示された技術事項を参照したとしても、「リードフレームである配線基板」に、「切り欠き部」を、4つの外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、外側面において互いに分離したものとなるように設ける動機付けはなく、また、甲第8号証に開示された技術事項を参照したとしても、「リードフレームである配線基板」に、「切り欠き部」を、4つの外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、外側面において互いに分離したものとなるように設ける動機付けはない。

(c)したがって、相違点2、4’、6に係る本件訂正発明2の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲1発明、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、並びに甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点1、3、5について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者が甲1発明、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、並びに甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件訂正発明3、5、6、8?10について
本件訂正発明3、5、6、8?10は、本件訂正発明1または本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付したものであり、また、甲第9号証、甲第10?12号証は、本件訂正発明6、10に関連する証拠であり、構成要件1C(2C)、1G、1(2I)、2Gについて開示されていないから、本件訂正発明3、5、6、8?10は、当業者が甲1発明、甲第5号証、甲第6号証及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第3号証に記載された技術事項、甲第5号証?甲第8号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?第12号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 請求人の主張について
請求人は、「熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を高めることが好ましいことは当業者にとって自明の課題であると云えるから、甲1に甲3、6、13の教示を適用する動機は充分にあり、甲第3号証、甲第6号証、甲第13号証に開示の態様のように、正負のリードに「凹凸」状の部位を設けてリードと樹脂部の密着強度を向上させることに何ら困難性はなく、阻害要因も認められない。」(上記「第5」「7(2)イ」、「7(3)イ(ア)」を参照。)と主張している。
しかしながら、上記イ(イ)a(b)で検討したように、平面視において、「リードフレームである配線基板」が、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」により挟まれた構造とはなっていない甲1発明は、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用するための前提を欠いており、甲1発明において、甲第3号証、甲第6号証、及び甲第13号証に開示された技術事項を適用する動機付けはない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

カ 無効理由6についてのまとめ
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、審判請求人が主張する無効理由6によっては、無効とすることはできない。

(5)無効理由7について
ア 甲1発明
甲第1号証には、上記「(4)無効理由6について」のア(イ)の甲1発明が記載されていると認められる。

イ 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲1発明の対比
本件訂正発明1と甲1発明との相違点については、上記「(4)無効理由6について」のイ(ア)のとおりである。

(イ)相違点についての判断
a 甲第14号証は、メタル基板2と接着シート5と樹脂基板4からなるパッケージ1を備える表面実装型LEDであって、メタル基板2の上面から下面にかけて、メタル基板2を縦に2分するスリット2cが形成され、スリット2cには、樹脂接着剤である絶縁部材3が充填されている表面実装型LED10を開示する(段落【0017】?【0018】、図1、図2)ものの、このLED10の製造方法は、スリット12a、12bが、それぞれ所定の間隔で互いに平行に加工されたメタル基板12のスリット12a内に絶縁部材3を充填・硬化させ、LED素子6を実装済みのメタル基板12上に、集合状態の接着シート15を挟んで、貫通穴4dが所定の配列になるように形成した集合基板状態の樹脂基板14接合(あるいは、メタル基板上に、直接樹脂モールド)し、パッケージ基板11を形成し、それからカバー板18を接合し、最後に、ダイシングしてLED10を単個に分離して、表面実装型LED10を得ており(段落【0021】?【0027】、図2?図9)、また、「スリット12bは、完成LED10の外周にあたる部分である。」(段落【0022】)ことから、甲第14号証に記載の技術は、スリット12bに樹脂基板の樹脂が入り込む(スリット面が樹脂で覆われる)ことを前提とするものではない。

したがって、甲1発明に甲第14号証に記載の技術事項を適用したとしても、少なくとも、リードが有する「切り欠き部」は、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる構成(構成要件1C)、樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、「前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて切り欠き部に埋め込まれた樹脂部と、リードの上方に形成された樹脂部と、樹脂部から露出したリードとが同一面に形成され」た構成(構成要件1G)、及び樹脂部が埋め込まれた切り欠き部が、「上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」構成(構成要件1J)を導くことはできない。

b 甲第15号証には、図23に示される第22実施例である半導体装置70Aの製造方法における、接着部材配設工程の第4の他実施例として、第2の分離工程(モールド樹脂と基板との一括切断。図36)で、基板33Dが分離されるダイシング位置(分離位置)にスリット88Aが形成された基板33Dを用いて半導体装置70Aを製造する方法が記載されている(段落【0140】?【0154】、【0165】?【0170】、図42?図45)。

しかしながら、当該方法により得られる半導体装置は、段落【0114】?【0116】及び図23に示される第22実施例である半導体装置70Aであって、外側面においてもモールド樹脂と基板は上下に積層されており、半導体装置の外側面において、基板に切り欠き部が設けられた構成のものではない。したがって、甲1発明に、甲第15号証に記載の技術事項を適用したとしても、少なくとも、上記(構成要件1C)、上記(構成要件1G)、及び上記(構成要件1J)を導くことはできない。

c 甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項については、上記「(4)無効理由6について」のイ(イ)の「a 相違点2、4、6について」の(b)、(c)で検討したとおりである。
したがって、相違点2、4、6に係る本件訂正発明1の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲1発明、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、並びに甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

d 以上のとおりであるから、相違点1、3、5について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が甲1発明、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、並びに甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件訂正発明2について
(ア)本件訂正発明2と甲1発明の対比
訂正発明2と甲1発明との相違点については、上記「(4)無効理由6について」のウ(ア)のとおり(上記(4)イ(ア)の相違点1?3、5及び6、並びに上記(4)ウ(ア)の相違点4’)である。

(イ)相違点についての判断
a 上記イ(イ)aにおける検討と同様に、甲1発明に甲第14号証に記載の技術事項を適用したとしても、少なくとも、上記(構成要件2A)、上記(構成要件2G)及び上記(構成要件2J)を導くことはできない。
また、上記イ(イ)bにおける検討と同様に、甲1発明に、甲第15号証に記載の技術事項を適用したとしても、少なくとも、上記(構成要件2C)、上記(構成要件2G)、及び上記(構成要件2J)を導くことはできない。
また、甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項については、上記「(4)無効理由6について」のウ(イ)の「a 相違点2、4’、6について」の(b)で検討したとおりである。
したがって、相違点2、4’、6に係る本件訂正発明2の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲1発明、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、並びに甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点1、3、5について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者が甲1発明、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、並びに甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件訂正発明3、5、6、8?10について本件訂正発明3、5、6、8?10は、 本件訂正発明1または本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付したものであり、また、甲第9号証、甲第10?12号証は、本件訂正発明6、10に関連する証拠であり、構成要件1C(2C)、1G、1I(2I)、2Gについて開示されていないから、本件訂正発明3、5、6、8?10は、当業者が甲1発明、甲第14号証に記載された技術事項、甲第15号証に記載された技術事項、甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証、及び甲第13号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?第12号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 請求人の主張について
請求人は、「甲14発明は、仮にその前提として、スリットに樹脂基板の樹脂が入り込むものではないとしても、そのようなリードフレームを用いてトランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成すれば、結果的に、スリットには樹脂基板の樹脂が入り込むこととなるのである。」(上記「第5」「8(2)ア」を参照。)、また、甲第15号証は、「本件訂正発明の備える「切り欠き部」と同様の剥離防止効果を奏するのである。」(上記「第5」「8(2)イ」を参照。)と主張している。
しかしながら、上記イ(イ)a?bで検討したとおりであり、甲1発明に、甲第14号証に記載の技術事項、甲第15号証に記載の技術事項を適用したとしても、少なくとも、本件訂正発明1の(構成要件1C)、(構成要件1G)、及び(構成要件1J)を導くことはできない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

カ 無効理由7についてのまとめ
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、審判請求人が主張する無効理由7によっては、無効とすることはできない。

(6)無効理由8について
ア 甲第19号証の記載事項と甲19発明
(ア)甲第19号証には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は高出力LEDパッケージおよびこれを製造する方法に関することとして、より詳細にはリード部と放熱体を一つの部品に単一化しパッケージを構成する部品数を減らし、組立構造および工程をより単純化して製造原価を低減することができるように改善した高出力LEDパッケージおよびこれを製造する方法に関する。」

「【0059】
本発明のLEDパッケージ100は図2a、図2bおよび図3に図示した通り、2つの部品を一つの部品に単一化し構成部品数を減らし組立工程を単純化することが可能なものとして、発光部110、放熱部120、リード部130およびモールド部140を含んで構成される。
…(略)…
【0063】
上記放熱部120は図2a、図2bおよび図3に図示した通り、最上部面に上記発光部110が搭載され、上記発光部110の発光時発生される熱を基板M側に容易に伝達して過熱を防止する放熱手段であり、これはヒートシンクスラグ(heat sink slug)と呼ばれることもある。
【0064】
ここで、上記放熱部120は熱伝導性が優秀な金属素材で具備されることが好ましく、より具体的には銅、銀、アルミニウム、鉄、ニッケルおよびタングステン中いずれか一つの金属材またはこれらを少なくとも一つ以上含む合金材で構成されることが可能で、その外部面はニッケル、銀、金中いずれか一つの金属材またはこれらを少なくとも一つ以上含む合金材でメッキ処理されることもできる。
【0065】
このような放熱部120は上記発光部が搭載される胴体が高さ方向に積層される少なくとも2つ以上の金属層で構成され、このような金属層は相互重なるよう一つの金属板材を事前に設定された折れ線を沿って折り対応面が面接するよう構成する。
…(略)…
【0072】
一方、上記発光部110と基板Mとの間を電気的に連結するリード部130は図2aおよび図2bないし図4aおよび図4bに図示した通り、上記放熱部120と同一な素材からなる第1リード133および第2リード136で構成されるところ、上記第1リード133は上記放熱部120の外部面である複数個の金属層中いずれか一つから側方に延長され基板Mのパターン回路と接続される少なくとも一つの金属電極部材で、上記第2リード136は上記放熱部120と完全分離され、ワイヤ115を媒介に上記発光部110と電気的に連結され基板Mのパターン回路と接続される少なくとも一つの金属電極部材である。
…(略)…
【0075】
ここで、上記リード部130は上記基板Mのパターン回路Pと電気的に連結される最小限の接続面積を具備するよう上記モールド部140の外部面に露出されることが好ましい。
【0076】
一方、上記モールド部140は図2a、図2bおよび図3に図示した通り、上記発光部110が搭載される放熱部120とリード部130を一体化するよう射出成形される樹脂材である。
…(略)…
【0081】
そして、上記モールド部140の上部面には図2a、図2bおよび図3に図示した通り、上記発光部110から発光された光を外部に広い志向角で透写することができるように少なくとも一つのレンズ150を結合することが可能で、上記モールド部140と上記レンズ150との間の空間は上記発光部110とワイヤを保護することができるように充填剤155が埋められることとなる。
…(略)…
【0083】
上記充填剤155は上記モールド部140とレンズ150との間の空間に満遍なく広がるよう流動性があり、透明なレジン材質のシリコン、エポキシ等が選択的に使用され得る。」

「【0086】
図7aおよび図7bは本発明の第2実施例に係る高出力LEDパッケージを図示した斜視図で、図8は本発明の第2実施例に係る高出力LEDパッケージを図示した縦断面図である。
【0087】
本発明のLEDパッケージ100aは第1実施例のLEDパッケージと同一な部材に対しては同一な参照符号を使用しこれに対する詳細な説明は省略することとする。
【0088】
上記発光部110が搭載される放熱部120aは上、下部金属層121a、122aからなり、リード部130aは上記下部金属層122aから延長される第1リード133’と、上記放熱部120aから完全分離され上記発光部110とワイヤ115を媒介にして接続される第2リード136’で構成される。
【0089】
ここで、上記第1リード133’および上記第2リード136’は上記放熱部120aとリード部130aを一体に固定するよう射出成形されるモールド部140aの底面と外部面に露出されるようにする。」

「【0099】
図12a、図12b、図12c、図12d、図12eは、本発明に係る高出力LEDパッケージを製造する工程を順番に示した図である。本発明の高出力LEDパッケージ100は、下記のaないしg段階を経て製造される。
…(略)…
【0109】
c.上記放熱部と上記リード部を一体に固定するようモールド部を成形する段階
上記放熱部120が多層構造を有するよう折れ工程が完了され、上記リード部130の切曲工程が完了されると、図12cに図示した通り、上記放熱部120とリード部130が加工されたフレーム部101を不図示の金型内に配置した状態で上記金型内に樹脂を注入することにより、上記放熱部120とリード部130を一体に固定するモールド部140を成形する。
…(略)…
【0120】
g.上記リード部を切断し上記モールド部をフレーム部から分離する段階
そして、上記モールド部140とレンズ150間の結合が完了されると、不図示の切断機を利用し上記モールド部140の外部面に突出された第1リード133および第2リード136を切断する。
【0121】
このとき、上記第1リード133および上記第2リード136はパッケージの体積を最小化することができるように、上記モールド部140の外部面に最大限近接するよう切断することが好ましい。
【0122】
そして、上記第1リード133および上記第2リード136の切断作業が完了すると、上記発光部110が搭載された放熱部120と共に成形されたモールド部140をフレーム部101から分離して上記モールド部140上にレンズ150が結合完了されたLEDパッケージ100を製造完成することができる。」

図8から、第2実施例に係る高出力LEDパッケージにおいて、「放熱部120aは、上、下部金属層121a、122aからなり、これらの金属層が高さ方向に積層され」ていることが見てとれる。

図7b及び図8から、第2実施例に係る高出力LEDパッケージにおいて、「第1リード133’及び第2リード136’はそれぞれ、モールド部140aの一つの外側面のみに露出しており、モールド部140aの四つの外側面のうち、二つの外側面のみにおいてリード部130aが露出しており、その余の二つの外側面においてリード部130aは露出しておらず、モールド部140aのリード部130aが露出している前記二つの外側面のみにおいて、モールド部140aと、前記モールド部140aから露出したリード部130aとが同一面に形成されている」ことが見てとれる。

(イ)甲19発明
以上のことから、甲第19号証には、第2実施例について、以下の発明(以下「甲19発明」という。)が記載されていると認められる(特に、段落【0059】、【0064】、【0065】、【0081】、【0089】、図2a、2b、3、7a、7b、8、12cを参照。)。

「高出力LEDパッケージ100aであって、
発光部110と、発光部110が上部面に搭載される放熱部120aと、発光部110と基板との間を電気的に連結するリード部130a、および放熱部120aとリード部130aを一体に固定するモールド部140aを含み、
放熱部120aは、上、下部金属層121a、122aからなり、これらの金属層が高さ方向に積層され、
リード部130aは、放熱部120aの下部金属層122aから延長される第1リード133’と、放熱部120aから完全分離され上記発光部110と接続される第2リード136’とで構成され、
モールド部140aの上部面にはレンズ150が結合され、モールド部140aとレンズ150との間の空間は充填剤155が埋められ、
充填剤155として、透明なレジン材質のシリコン、エポキシ等が選択的に使用され、
放熱部120aの外部面は、銀でメッキ処理され、
第1リード133’および第2リード136’は、上記放熱部120aとリード部130aを一体に固定するように射出成形されるモールド部140aの底面と外部面に露出され、
第1リード133’及び第2リード136’はそれぞれ、モールド部140aの一つの外側面のみに露出しており、モールド部140aの四つの外側面のうち、二つの外側面のみにおいてリード部130aが露出しており、その余の二つの外側面においてリード部130aは露出しておらず、
モールド部140aのリード部130aが露出している前記二つの外側面のみにおいて、モールド部140aと、前記モールド部140aから露出したリード部130aとが同一面に形成されている、高出力LEDパッケージ100a。」

イ 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲19発明の対比
本件訂正発明1では、上記「第4」「2」に記載の構成要件1A、1C、1G、1I、1H、1Jが特定されている。
甲19発明の「モールド部140a」は、本件訂正発明1の「樹脂部」に相当する。
したがって、本件訂正発明1と甲19発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
「樹脂部」について、本件訂正発明1では、「光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる」ものである(構成要件1A)のに対し、甲19発明では、モールド部140aがどのような樹脂からなるものか特定されていない点。

<相違点2>
本件訂正発明1では、リードが有する「切り欠き部」が、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いる(構成要件1C)のに対し、甲19発明では、「モールド部140aのリード部130aが露出している前記二つの外側面のみにおいて、モールド部140aと、前記モールド部140aから露出したリード部130aとが同一面に形成されている」ものであることから、本件訂正発明1のような「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有して」いるものではない点。

<相違点3>
本件訂正発明1では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成して」いる(構成要件1G)のに対し、甲19発明では、「第1リード133’及び第2リード136’はそれぞれ、モールド部140aの一つの外側面のみに露出しており、モールド部140aの四つの外側面のうち、二つの外側面のみにおいてリード部130aが露出しており、その余の二つの外側面においてリード部130aは露出しておらず」、本件訂正発明1のこのような特定はなされていない点。

<相違点4>
本件訂正発明1では、リードが「前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第三外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第一外側面、前記第二外側面及び前記第四外側面それぞれに露出した第2リードを有し」ている(構成要件1I)のに対し、甲19発明では、「第1リード133’」及び「第2リード136’」はそれぞれ、一つの外側面のみにおいて露出している点。

<相違点5>
「リード」について、本件訂正発明1では、「前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出して」いる(構成要件1H)のに対し、甲19発明では、「放熱部120aは、上、下部金属層121a、122aからなり、これらの金属層が高さ方向に積層され、リード部130aは、放熱部120aの下部金属層122aから延長される第1リード133’と、放熱部120aから完全分離され上記発光部110と接続される第2リード136’とで構成され」、「放熱部120aの外部面は、銀でメッキ処理され」るものの、上部金属層121aの上面全面及び第2リード136’の上面全面が銀メッキ処理されているとの特定はなされていない点。

<相違点6>
本件訂正発明1では、「前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられている」(構成要件1J)のに対し、甲19発明では、このような特定はなされていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点2?4について
事案に鑑み、まず、相違点2?4について、まとめて検討する。

(a)上記「(3)無効理由5について」のイ(イ)の「a 相違点1?3について」の(a)で検討したように、本件訂正発明1において、「切り欠き部」は、切断時の剥離を抑制して、「リード」(個片化後のリードフレーム)と「樹脂パッケージ」(個片化後の樹脂成形体)との剥離を抑制させ、また、「リード」と「樹脂パッケージ」との密着強度を向上させるとの効果を奏するものであると認められる。

(b)一方、甲19発明は、「第1リード133’および第2リード136’は、上記放熱部120aとリード部130aを一体に固定するように射出成形されるモールド部140aの底面と外部面に露出され」、「モールド部140aのリード部130aが露出している前記二つの外側面のみにおいて、モールド部140aと、前記モールド部140aから露出したリード部130aとが同一面に形成されている」ものであるものであるところ、甲第19号証の第1実施例の製造工程についての説明(段落【0099】?【0122】、図12a?図12e)を勘案すると、第2実施例に係る発明の甲19発明も、第1実施例と同様に、いわゆる個別封止によってモールド部140aを形成するものであり、高出力LEDパッケージ100aは、「第1リード133’および第2リード136’」を切断して製造されるものである。
そうすると、甲19発明において、「放熱部120aとリード部130aを一体に固定するモールド部140a」の外側面は、切断の際に、リード部130aの第1リード133’と第2リード136’とともに切断されるものではなく、また、リード部130aの切断は、4つの位置で行われるものでもない。
すなわち、甲19発明の高出力LEDパッケージ100aは、四つの外側面を切断によって形成するものではない。

(c)したがって、甲19発明は、切断時の剥離の防止をすることを目的として切り欠き部を設ける必要がないものであるから、甲19発明において、「第1リード133’及び第2リード136’」を、モールド部140aの4つの外側面それぞれに沿って形成された「切り欠き部」を有する構成とする動機付けも、また、4つの外側面それぞれにおいて、モールド部140aと第1リード133’及び第2リード136’とが同一面に形成される構成を採用する動機付けもない。
よって、甲19発明において、前記構成要件1C及び1Gを導くことはできず、そうすると、構成要件1Iを導くこともできない。
以上のことから、甲19発明において、相違点2ないし4に係る本件訂正発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(d)次に、甲19発明において、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項を適用すること、並びに、甲19発明において、甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項を適用することについて検討する。

甲第20号証、甲第3号証、及び甲第9?11号証は、上記「第4」「2」に記載の構成要件1Aの「『光反射正物質』が含有される『熱硬化性樹脂』」に関する証拠(審判請求書148?150ページ参照。)であり、また、甲第1号証及び甲第3号証は、上記「第4」「2」に記載の構成要件1Aの「光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂」に関する証拠(審判請求書154ページ参照。)であり、構成要件1C、1G、1Iについて開示されていないから、甲19発明において、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項を適用したとしても、相違点2ないし4に係る本件訂正発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(e)したがって、相違点2ないし4に係る本件訂正発明1の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲19発明、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点1、5、6について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が甲19発明、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件訂正発明2について
(ア)本件訂正発明2と甲19発明の対比
本件訂正発明2では、上記「第4」「2」に記載の構成要件2A、2C、2G、2I、2H、2Jが特定されている。
したがって、本件訂正発明2と甲19発明とは、少なくとも、上記相違点1、2及び4?6、並びに以下の<相違点3’>で相違する。ただし、上記相違点1、2及び4?6の「本件訂正発明1」は「本件訂正発明2」と読み替え、構成要件1A、1C、1I、1H、1Jは構成要件2A、2C、2I、2H、2Jとそれぞれ読み替える。

<相違点3’>
本件訂正発明2では、「前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて」いる(構成要件2G)のに対し、甲19発明では、「第1リード133’及び第2リード136’はそれぞれ、モールド部140aの一つの外側面のみに露出しており、モールド部140aの四つの外側面のうち、二つの外側面のみにおいてリード部130aが露出しており、その余の二つの外側面においてリード部130aは露出しておらず」、本件訂正発明2のこのような特定はなされていない点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点2、3’、4について
(a)上記イ(イ)a(a)?(c)で検討したように、甲19発明は、切断時の剥離の防止をすることを目的として切り欠き部を設ける必要がないものであるから、甲19発明において、「第1リード133’及び第2リード136’」を、モールド部140aの4つの外側面それぞれに沿って形成された「切り欠き部」を有する構成とする動機付けも、また、4つの外側面それぞれにおいて、モールド部140aと第1リード133’及び第2リード136’とが同一面に形成される構成を採用する動機付けもない。よって、甲19発明において、前記構成要件2C及び2Gを導くことはできず、そうすると、構成要件2Iを導くこともできない。
以上のことから、甲19発明において、相違点2、3’、4に係る本件訂正発明2の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(b)上記イ(イ)a(d)で検討したように、甲第20号証、甲第3号証、及び甲第9?11号証は、上記「第4」「2」に記載の構成要件2Aの「『光反射正物質』が含有される『熱硬化性樹脂』」に関する証拠(審判請求書148?150ページ参照。)であり、また、甲第1号証及び甲第3号証は、上記「第4」「2」に記載の構成要件2Aの「光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂」に関する証拠(審判請求書154ページ参照。)であり、構成要件2C、2G、2Iについて開示されていないから、甲19発明において、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項を適用したとしても、相違点2、3’、4に係る本件訂正発明2の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たとはいえない。

(c)したがって、相違点2、3’、4に係る本件訂正発明2の構成は、請求人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲19発明、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

b 以上のとおりであるから、相違点1、5、6について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者が甲19発明、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、並びに甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件訂正発明3、5、6、8?10について
本件訂正発明3、5、6、8?10は、本件訂正発明1または本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付したものであり、また、甲第9号証、甲第10?12号証は、本件訂正発明6、10に関連する証拠であり、構成要件1C(2C)、1G、1I(2I)、2Gについて開示されていないから、本件訂正発明3、5、6、8?10は、当業者が甲19発明、甲第20号証に記載された技術事項、甲第3号証及び甲第9?11号証に記載された技術事項、甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術事項、甲第9号証に記載された技術事項、並びに甲第10号証?第12号証に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 請求人の主張について
請求人は、「甲19発明でも、四つの外側面に沿って切り欠き部が形成されている。」(上記「第5」「9(2)イ」を参照。)と主張している。
一方、本件訂正発明1は、「『切り欠き部を有するリード』と、『前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された』樹脂部と」、を備える樹脂パッケージを有し、「前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されて」いるものであるところ、甲19発明において、「モールド部140a」が、リード部130aが有する切り欠き部に埋め込まれたものであるとの特定はなされておらず、また、甲第19号証のその他の開示、例えば、実施例1の高出力LEDパッケージ100の製造方法についての記載及び図12a?図12eを参照しても、四つの外側面に沿って切り欠き部が形成され、切り欠き部に埋め込まれる樹脂部を備えるとの構成は開示されていない。
したがって、仮に、請求人が主張するように、甲19発明が、「四つの外側面に沿って切り欠き部が形成されている」ものであると解することができるとしても、当該本件訂正発明1の進歩性を否定することはできない。

カ 無効理由8についてのまとめ
よって、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、審判請求人が主張する無効理由8によっては、無効とすることはできない。

(7)無効理由1及び4ないし8についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許は、無効理由1、4ないし8によっては、無効とすることはできない。

第8 むすび
以上のとおり、請求人が主張する無効理由にはいずれも理由がなく、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件訂正発明1?3、5、6、8?10についての特許を無効とすることはできない。
請求項1?3、5、6、8?10に係る発明についての審判の請求は、成り立たない。
また、請求項4及び請求項7に係る発明については、訂正により削除されたため、本件特許の請求項4及び請求項7に対して請求人がした本件審判の請求については対象となる請求項が存在しない。
したがって、本件特許の請求項4及び請求項7に対して請求人がした本件審判の請求は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものというべきであるから、特許法第135条の規定により却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
前記内底面に発光素子が配置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されて、切断面を構成しており、
前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
切り欠き部を有するリードと、前記切り欠き部に埋め込まれるとともに前記リードの上方に一体に形成された、光反射性物質として酸化チタンが含有される熱硬化性樹脂からなる樹脂部と、を備え、互いに対向する位置にある第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する位置にある第3外側面及び第4外側面とを有する、上面視で矩形の樹脂パッケージを有し、
前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれに沿って形成されており、さらに、前記切り欠き部は、前記樹脂パッケージの外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1の切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2の切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3の切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4の切り欠き部とを有しており、
前記樹脂パッケージは、前記リードが露出されてなる内底面と、前記樹脂部からなる内側面とを備える凹部を有し、
前記内底面は、前記リードおよび前記樹脂部からなり、前記内底面に発光素子が配置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する、シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂からなる封止部材が配置された発光装置であって、
前記樹脂パッケージの前記第1乃至第4外側面それぞれにおいて、前記切り欠き部に埋め込まれた前記樹脂部と、前記リードの上方に形成された前記樹脂部と、前記樹脂部から露出した前記リードとが同一面に形成されており、
前記リードは、金属板に銀メッキ処理が施されてなり、前記樹脂パッケージの外底面において露出されて、前記金属板の少なくとも上面全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記樹脂パッケージの外側面において前記金属板が露出しており、前記第1外側面、前記第1外側面及び前記第3外側面それぞれに露出した第1リードと、前記第1外側面、前記第2外側面及び前記第4外側面それぞれに露出した第2リードを有し、
前記切り欠き部は、上面視で、前記発光装置の全包囲周の2分の1以上にわたって設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項1および3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項1、3および5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記樹脂パッケージの外側面の全包囲の長さにおいて、前記リードが露出している部分は1/2より短い長さであり、
前記金属板は、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている一方、前記外側面において露出している、請求項2に記載の発光装置。
【請求項9】
前記封止部材は、蛍光物質を含有する請求項2および8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂である請求項2、8および9のいずれか1項に記載の発光装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-04-03 
結審通知日 2019-04-08 
審決日 2019-05-09 
出願番号 特願2014-81908(P2014-81908)
審決分類 P 1 113・ 161- YAA (H01L)
P 1 113・ 121- YAA (H01L)
P 1 113・ 537- YAA (H01L)
P 1 113・ 113- YAA (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村井 友和  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 近藤 幸浩
恩田 春香
登録日 2015-10-23 
登録番号 特許第5825390号(P5825390)
発明の名称 発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法  
代理人 山尾 憲人  
代理人 鮫島 睦  
代理人 重松 文子  
代理人 言上 惠一  
代理人 田村 啓  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 宮原 正志  
代理人 言上 惠一  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 宮原 正志  
代理人 鮫島 睦  
代理人 重松 文子  
代理人 片山 健一  
代理人 山尾 憲人  
代理人 田村 啓  
代理人 上山 浩  
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