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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65G
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 B65G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B65G
管理番号 1365872
審判番号 不服2019-14116  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-23 
確定日 2020-09-29 
事件の表示 特願2015- 92905「仕分装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-210527、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月30日の出願であって、平成31年2月8日付けで拒絶理由が通知され、令和1年6月20日付けで手続補正がされ、令和1年7月11日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和1年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和2年3月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和2年6月1日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明10」という。)は、令和2年6月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される次のとおりの発明である。
[本願発明1]
「回転駆動機構によって搬送路面上に搬送対象物が載置されて搬送される搬送方向と略直交するシャフトに固着される軸と傾斜角度を有した傾斜円盤を有する固定部の前記傾斜円盤周りに同角度を持って回転可能に配置され前記搬送対象の底部に摺接する弾性体の搬送対象側外周面を有し、前記シャフト周りに自由回転可能に枢設される環状回転体であって、前記弾性体は前記環状回転体の外周の一部を構成し、前記弾性体の前記搬送対象側外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記搬送対象物に接する側の面よりも若干突出している、環状回転体と、
前記弾性体の少なくとも一つの第1の面に前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても当接する第2の面を備えた回転駆動体と
を有し、前記固定部と一体化されたシャフトを任意回転することによって仕分方向を任意に選択可能とし、前記弾性体の前記回転駆動体側の外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記回転駆動体側の面よりも若干突出しており、前記弾性体の持つ摩擦係数により前記第1の面と前記第2の面との間に生じる摩擦力によって前記回転駆動体の回転力が前記環状回転体に対して前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても伝搬されることで、前記回転駆動体と前記環状回転体とが、前記シャフトの同心上で円滑な回転状態を維持する構造を有することを特徴とする仕分装置。」
[本願発明2]
「搬送対象物に接する前記環状回転体の外周部は前記弾性体で構成される請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明3]
「前記環状回転体が搬送対象物に接する弾性体が、環状回転体の最大外径部になっている請求項1および請求項2記載の仕分け装置。」
[本願発明4]
「前記回転駆動体および環状回転体が互いに摺接する領域の少なくとも一方は弾性体で覆われる請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明5]
「前記環状回転体の外周部の前記搬送対象の底部に摺接する面以外は、角面取りもしくはR面取りを設けた請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明6]
「前記シャフトに直交する面と前記環状回転体の回転軸に対して直交する面とがなす角度は20度?45度の範囲である請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明7]
「前記シャフトに直交する面と前記環状回転体の回転軸に対して直交する面とがなす角度は30度?40度の角度である請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明8]
「前記シャフトに直交する面と前記環状回転体の回転軸に対して直交する面とがなす角度は略35度である請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明9]
「前記回転駆動体と前記環状回転体を含む回転体の組み合わせを1本のシャフトに一組もしくは複数組を組み合せ設置した軸ユニットと、前記軸ユニットが一本もしくは複数段に組み合わされた回転体ユニットで構成されることを特徴とした請求項1記載の仕分装置。」
[本願発明10]
「前記回転体ユニットから単一の前記軸ユニットのみを取り付け取り外すことが可能な請求項9記載の仕分装置。」

第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

・本願請求項1?5に係る発明は、以下の引用文献A及びCに基いて、また、本願請求項6?10に係る発明は、以下の引用文献A?Cに基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

○引用文献
引用文献A.実願平3-76029号(実開平5-26921号)のCD-ROM
引用文献B.米国特許第3370685号明細書
引用文献C.実願平3-19062号(実開平4-115820号)のマイクロフィルム

第4 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
・(進歩性)本願請求項1?5に係る発明は、以下の引用文献1及び3?7に基いて、また、本願請求項6?10に係る発明は、以下の引用文献1?7に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・(実施可能要件)本件出願は、明細書及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
・(サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

○引用文献
引用文献1.実願平3-76029号(実開平5-26921号)のCD-ROM(原査定の引用文献A)
引用文献2.米国特許第3370685号明細書(原査定の引用文献B)
引用文献3.実願平3-19062号(実開平4-115820号)のマイクロフィルム(原査定の引用文献C)
引用文献4.米国特許第4372435号明細書(当審において新たに引用した文献)
引用文献5.特開平7-117839号公報(当審において新たに引用した文献)
引用文献6.実願昭61-100706号(実開昭63-8212号)のマイクロフィルム(当審において新たに引用した文献)
引用文献7.米国特許5222585号明細書(当審において新たに引用した文献)

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「 【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る上記目的は、搬送路により物品を搬送させ、且つ搬送方向を変更して前記物品の仕分けを行うようにした仕分装置において、軸心を挿通するシャフトに対し所望角度で固定される固定部及び当該固定部の外周部において環状に回転し前記物品に接触可能な環状回転部からなり、前記固定部を前記シャフトを中心に回動させることにより前記環状回転部の向きを設定する搬送ローラと、前記シャフトに回転自在に支持され、且つ駆動手段により回転付勢されるプーリを有しかつ前記環状回転部の側面に接するテーパ面を有したロールとを具備し、前記テーパ面と前記環状回転部の側面とを付勢手段により当接させて当該環状回転部を回転させるとともに、前記シャフトを回動して前記環状回転部の向きを変更することにより前記搬送ローラ上の物品の搬送方向をかえて仕分けを行うようにした仕分装置によって達成される。
【0008】
更に本考案に係る前記目的は、搬送路により物品を搬送させ、且つ搬送方向を変更して前記物品の仕分けを行うようにした仕分装置において、軸心を挿通するシャフトに対し所望角度で固定される固定部及び当該固定部の外周部において環状に回転し前記物品に接触可能な環状回転部からなり、当該固定部を前記シャフトを中心に回動させることにより前記環状回転部の向きを設定する搬送ローラと、全体形状が実質的に円柱形状でその中央側に向かって小径とするくびれ部が形成され、当該くびれ部の外周面の端部に前記環状回転部が特定向きに設定されたとき接触して回転力を付与し、前記シャフトの回転途中において前記くびれ部の外周面とが非接触とする駆動手段とを具備し、前記搬送ローラ上の前記物品の搬送方向を変えて仕分けを行うように構成した仕分装置によって達成される。
【0009】
【作用】
すなわち、前記第1の構成にあっては、駆動力が伝達されるプーリと一体に回転するローラのテーパ面に搬送ローラの回転部を接触させて回転させるのであるから、シャフトによって設定される搬送ローラの傾斜角度の如何に関わらず、換言すれば回転部の向きの如何に関わらず、駆動力を回転部に確実に伝達することができる。
従って、回転部が効率的に回転駆動され、物品の直進搬送や仕分けを確実に行うことができる。
また、前記第2の構成にあっては、搬送ローラを回転させる際に、搬送ローラに設けた回転部と同一方向に回転する駆動ローラのくびれ部に前記回転部を接触させて、この接触部分にスラスト力を生じさせることなく回転力を付与するものであるから、駆動ローラの回転力が効率よく回転部に伝達される。
従って、回転部を回転させる際に不所望なスラスト力等が発生せず、搬送ローラ上に載置された物品の直進搬送や仕分けを確実に行うことができる。
【0010】
【実施例】
以下、図1?図3を参照して本考案の第1実施例を説明する。なお、図1は本考案に係る仕分装置を適用した搬送装置における直進方向および仕分け方向を示した要部の模式的平面図であり、図2は仕分装置の構造を示す模式的平面図、図3は物品の搬送方向から見た側面図である。なお、実施例の説明にあたっては、従来例のものと同様の作用をなす部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
先ず説明の便宜のため、搬送装置の全体構成を説明すると、図1に示すように搬送手段100はベルトやローラ等により適宜構成され、その上に載置された物品11を矢印A方向に搬送、即ち直進させるようになっている。そして、搬送経路上の適宜位置Pに物品11を直進させたり、搬送方向を左右方向B、Cに変更させて仕分けを行う本実施例の仕分装置が設けられる。
【0011】
以下、図2及び図3を参照して仕分け位置Pに設置される仕分装置の第1実施例を説明する。
搬送ローラ1は、シャフト2に挿通されるとともに、シヤフト2の長手方向に移動可能な固定部3と、固定部3の外周囲にベアリング機構4Aを介して回転可能に取り付けられた回転部4とにより構成されている。また、シャフト2には、このシャフト2を挿通してパイプ状シャフト31が固定され、このパイプ状シャフト31にはベルト9を掛け渡すプーリ7の部分と回転部4に接触する部分を備えたローラ32が回転自在に取り付けられている。
ローラ32の一側面、即ち回転部4に対面する側の外周囲は、傾斜した回転部4の側面に接触するようにテーパ面32a(傾斜面)に形成されている。そして、シャフト2には、固定部3を図1で左方に付勢するバネ33が設けられているので、回転部4は固定部3と一体に常に左方に付勢されることになる。この結果、回転部4の側面はローラ32の傾斜面に常に圧接することになり、ローラ32の回転にともなって回転部4が回転することになる。
なお、最右端のバネ33は、例えばシャフト2に固定された係止部材34を支点にして、その左方に設けた固定部3を左方に付勢する。しかし、図2に示す右から2番目のバネ33及び3番目以降のバネ(図示せず)は、パイプ状シャフト31の一端を支点として固定部3を左方に付勢するように構成されている。
【0012】
搬送ローラ1の下側には、図3に示す如くモータM、駆動シャフト5、駆動プーリ8などにより適宜構成された搬送ローラ1の駆動手段が設けられている。
即ち、例えばモータMに固定されたプーリ35と駆動シャフト5に固定されたプーリ36との間にはベルト37が掛け渡され、モータMの駆動力を駆動シャフト5に伝達する。そして、駆動シャフト5の駆動力はプーリ8、ベルト9、プーリ7を介してローラ32に伝達される。ローラ32のテーパ面32aには、搬送ローラ1の回転部4の側面が接触し、しかもバネ33によって圧接状態になっているので、回転部4も所定方向に回転することになる。
【0013】
次に仕分け動作を説明すると、図2に示すようにシャフト2の一端に設けたクランク機構41、エアシリンダ42を駆動してシャフト2を適宜回転させる。
この際、回転部4の向きを図2及び図3に実線で示したように設定した場合は、矢印A方向で示す直進方向における搬送面から回転部4が突出して、矢印A方向に搬送されてくる物品11の搬送方向が矢印B方向に変更され、物品11の仕分けが行われるようになる。
これに対し、クランク機構41、エアシリンダ42を駆動してシャフト2を回転させ、回転部4の向きを図2に仮想線で示したように設定した場合は、物品11の搬送方向が矢印C方向に変更され、物品11の異なった方向への仕分けが行われるようになる。
【0014】
因みに、物品11について仕分けを行わない場合、換言すれば矢印A方向にそのまま搬送する場合は、クランク機構41、エアシリンダ42を駆動してシャフト2を回転させ、回転部4の向きを図3に仮想線で示す向きに設定する。この場合、回転部4全体は環状に回転するものの、物品11の底部に接触する回転部4の頂部4bは矢印A方向に沿って力を物品に作用するので、物品11は仕分けが行われることなく、直進するようになる。
【0015】
以上に仕分け装置の第1実施例を説明したが、この構造にあっては回転部4の向きが変更されてもプーリ7、8の位置は変化せず、ベルト9は常に安定した状態で掛け渡される。従って、ベルト9の磨耗や外れ、損傷等を防止することができ、このためメンテナンスが容易になる上に物品11の搬送、仕分けを安定に行うことができる。
また、ローラ32はプーリ7と一体に回転し、ローラ32のテーパ面32aに回転部4が圧接させられている。従って、プーリ7の回転力は、回転部4に確実に且つ効率よく伝達され、物品の搬送や仕分けを安定且つ高速に行うことができる。」
また、引用文献1の【図1】?【図3】を参照すると、下記「a」?「c」の事項が認定できる。
a:シャフト2は、搬送される矢印A方向と直交していること。
b:固定部3は、シャフト2の長手方向に移動可能な軸部分と傾斜した円盤状部分を有すること。
c:回転部4は、傾斜した円盤状部分の周りで回転可能で、物品11の底部に摺接する外周面を有していること。
(2)引用発明
引用文献1の特に、段落【0007】?【0015】及び【図1】?【図3】の記載並びに上記認定事項を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、第1実施例として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「モータM、駆動シャフト5、駆動プーリ8、ベルト9及びプーリ7によって搬送面上に物品11が載置されて搬送される矢印A方向と直交するシャフト2の長手方向に移動可能な軸部分と傾斜した円盤状部分を有する固定部3の前記傾斜した円盤状部分の周りで回転可能で前記物品11の底部に摺接する外周面を有し、前記シャフト2周りに回転可能に設けられる、回転部4と、
前記回転部4の側面に当接する当接面を備えているローラ32と、
を有し、前記固定部3が長手方向に移動可能なように固定されるシャフト2を回転させることにより物品11の搬送方向を変更させ、前記回転部4の側面と前記ローラ32の当接面とが接触することによりローラ32の回転にともなって回転部4が回転するものである仕分装置。」

2.引用文献2について
当審拒絶理由で引用された引用文献2には、ローラの傾斜により搬送物を方向転換させるローラコンベアにおいて、最適なローラの傾斜角度が、約45°であり、それよりも小さい角度も採用されうることが記載されている(第2欄第13行?15行を参照。)。
また、同じく引用文献2には、ローラコンベアにおいて、ローラを有するシャフトを複数組設けることが記載されている(第1欄下から4行?第2欄第4行を参照。)。

3.引用文献3について
当審拒絶理由で引用された引用文献3には、ローラコンベアによる仕分け装置の回転体(ローラ)をウレタン樹脂とすることが記載されている(段落【0018】を参照。)。

4.引用文献4?7について
当審拒絶理由で引用された引用文献4?7には、ローラコンベアのローラの搬送対象物に接する面に段差を設けた構成が記載されている(引用文献4の第3欄第20行?第33行、FIG.1及びFIG.2の「外側リム28(outer rim28)」、引用文献5の段落【0013】及び図2の「ガイドローラ9a、9b」、引用文献6の明細書第7ページ第10行?第19行及び図1の「パレット搬送用ローラ2」、及び、引用文献7の第4欄第26行?第30行及びFIG.1の「周方向部分3(circumferential portion3)」を参照。)。

第6 当審の判断
1.進歩性について
(1)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「モータM、駆動シャフト5、駆動プーリ8、ベルト9及びプーリ7」は、本願発明1の「回転駆動機構」に相当する。
b 以下同様に、「搬送面」は、「搬送路面」に、
「物品11」は、「搬送対象物」及び「搬送対象」に、
「搬送される矢印A方向と直交する」ことは、「搬送される搬送方向と略直交する」ことに、
「シャフト2」は、「シャフト」に、
「傾斜した円盤状部分」は、「傾斜角度を有した傾斜円盤」に、
「固定部3」は、「固定部」に、それぞれ相当する。
c 引用発明の「回転部4」は、「固定部3の前記傾斜した円盤状部分の周りで回転可能で前記物品11の底部に摺接する外周面を有し、前記シャフト2周りに回転可能に設けられる」ものであり、固定部3の傾斜した円盤状部分の周りに自由に回転可能に設けられるものであるから、本願発明1の「環状回転体」に相当する。
そして、引用発明の「固定部3の前記傾斜した円盤状部分の周りで回転可能で前記物品11の底部に摺接する外周面を有し、前記シャフト2周りに回転可能に設けられる、回転部4」は、本願発明1の「固定部の前記傾斜円盤周りに同角度を持って回転可能に配置され前記搬送対象の底部に摺接する弾性体の搬送対象側外周面を有し、前記シャフト周りに自由回転可能に枢設される環状回転体」との対比において、「固定部の前記傾斜円盤周りに同角度を持って回転可能に配置され前記搬送対象の底部に摺接する外周面を有し、前記シャフト周りに自由回転可能に枢設される環状回転体」との限度で一致する。
d 引用発明の「シャフト2の長手方向に移動可能な軸部分」は、固定部3に設けられたシャフトに装着される軸であるといえるから、本願発明1の「シャフトに固着される軸」との対比において、「シャフトに装着される軸」との限度で一致する。
e 引用発明の「回転部4の側面」は、回転部4の一部を構成する面であるといえる。一方で、本願発明1の「第1の面」は、環状回転体の外周の一部を構成している弾性体に設けられている。
したがって、引用発明の「回転部4の側面」は、本願発明1の「前記弾性体の少なくとも一つの第1の面」との対比において、「環状回転体の外周の一部を構成している第1の面」との限度で一致する。
また、引用発明の「当接面」は、「第2の面」に相当する。
f 引用発明の「当接面を備えているローラ32」は、その当接面が、自由に回転する回転部4の任意の回転位置において回転部4と当接しているものであるから、本願発明1の「前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても当接する第2の面を備えた回転駆動体」に、同様に、「シャフト2を回転させることにより物品11の搬送方向を変更させ」ることは、「シャフトを任意回転することによって仕分方向を任意に選択可能と」することに、それぞれ相当する。
g 引用発明の「前記回転部4の側面と前記ローラ32の当接面とが接触することによりローラ32の回転にともなって回転部4が回転する」ことは、回転部4の側面とローラ32の当接面との間に生じる摩擦力によって、ローラ32の回転力が回転部4に対して回転体4の自由回転に係る任意の位置においても伝搬されているといえ、これによって、ローラ32と回転部4とが、シャフト2の同心上で円滑な回転状態を維持しているといえるから、上記eをも踏まえると、本願発明1の「前記弾性体の持つ摩擦係数により前記第1の面と前記第2の面との間に生じる摩擦力によって前記回転駆動体の回転力が前記環状回転体に対して前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても伝搬されることで、前記回転駆動体と前記環状回転体とが、前記シャフトの同心上で円滑な回転状態を維持する構造を有する」こととの対比において、「環状回転体の外周の一部を構成している第1の面の持つ摩擦係数により前記第1の面と前記第2の面との間に生じる摩擦力によって前記回転駆動体の回転力が前記環状回転体に対して前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても伝搬されることで、前記回転駆動体と前記環状回転体とが、前記シャフトの同心上で円滑な回転状態を維持する構造を有する」ことの限度で一致する。
h 引用発明の「仕分装置」は、本願発明1の「仕分装置」に相当する。
i 以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。
[一致点]
「回転駆動機構によって搬送路面上に搬送対象物が載置されて搬送される搬送方向と略直交するシャフトに装着される軸と傾斜角度を有した傾斜円盤を有する固定部の前記傾斜円盤周りに同角度を持って回転可能に配置され前記搬送対象の底部に摺接する外周面を有し、前記シャフト周りに自由回転可能に枢設される環状回転体と、
環状回転体の外周の一部を構成している第1の面に前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても当接する第2の面を備えた回転駆動体と
を有し、前記シャフトを任意回転することによって仕分方向を任意に選択可能とし、環状回転体の外周の一部を構成している第1の面の持つ摩擦係数により前記第1の面と前記第2の面との間に生じる摩擦力によって前記回転駆動体の回転力が前記環状回転体に対して前記環状回転体の前記自由回転に係る任意の回転位置においても伝搬されることで、前記回転駆動体と前記環状回転体とが、前記シャフトの同心上で円滑な回転状態を維持する構造を有する仕分装置。」
j 一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
固定部に関して、本願発明1においては、固定部の軸が「シャフトに固着される」ものであり、このため、シャフトが「固定部と一体化されたシャフト」であるのに対して、引用発明においては、固定部3の軸部分はシャフト2の長手方向に移動可能であり、このため、固定部3がシャフト2の長手方向に移動可能である点。
[相違点2]
環状回転体に関して、本願発明1においては、「弾性体の搬送対象側外周面を有し」、「前記弾性体は前記環状回転体の外周の一部を構成し、前記弾性体の前記搬送対象側外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記搬送対象物に接する側の面よりも若干突出している」とともに、「前記弾性体の前記回転駆動体側の外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記回転駆動体側の面よりも若干突出して」いるという構成を備えているのに対して、引用発明の回転部4は、かかる本願発明1の弾性体に相当する構成を備えていない点。
[相違点3]
本願発明1においては、第1の面が、「前記弾性体の少なくとも一つ」の面であり、「前記弾性体の持つ摩擦係数により前記第1の面と前記第2の面との間に」摩擦力を生じるものであるのに対し、引用発明においては、第1の面に相当する面が、環状回転体の外周の一部を構成している面である点。

イ.判断
事案に鑑み上記相違点2について検討する。
上記「第5 4.」で述べたとおり、ローラなどの搬送手段において、搬送対象物に接する面に段差を設ける構成は当業者において、本願出願前に既によく知られた構成であるといえるとともに、上記「第5 3.」で述べたとおり、ローラコンベアによる仕分け装置の回転体(ローラ)をウレタン樹脂(弾性体)で構成することも、当業者において、本願出願前に知られた構成であるといえる。
しかしながら、本願発明1は、環状回転体が、「弾性体の搬送対象側外周面を有し」、「前記弾性体は前記環状回転体の外周の一部を構成し、前記弾性体の前記搬送対象側外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記搬送対象物に接する側の面よりも若干突出している」とともに、「前記弾性体の前記回転駆動体側の外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記回転駆動体側の面よりも若干突出して」いるという構成、すなわち、環状回転体の搬送対象物に接する面のみならず、搬送対象物に接しない面であって、回転駆動体と接する面側の面にも、弾性体による段差を設けているという構成を備えるものである。
そして、かかる構成(環状回転体の回転駆動体と接する面側の面にも、弾性体による段差を設けている構成)は、引用文献3?7には、記載も示唆もされていない。また、かかる構成が本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成となすことは、当業者であっても容易になしえない。
そして、相違点2に係る本願発明1の構成を有することによって、本願発明1は、物品への衝撃を低減することが可能(段落【0017】)であるだけでなく、回転駆動体から環状回転体への押圧力による弾性体の変形によって得られる抵抗力の増加により、回転駆動体の回転が環状回転体に着実に伝搬するという格別の作用効果を奏するものと認められる(段落【0024】)。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献3?7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2?10について
本願発明2?10は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものである。
したがって、本願発明2?10と引用発明との間には、少なくとも、上記(1)ア.で述べた相違点2が存在するから、上記(1)イ.に説示と同様の理由により、本願発明2?10は、引用発明及び引用文献3?7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2.記載要件について
(1)実施可能要件及びサポート要件違反に関して、当審拒絶理由では、請求項1の「圧接状態維持手段」について、発明の詳細な説明には、記載も示唆もされていない旨通知したところ、令和2年6月1日付け手続補正書による補正により、請求項1において「圧接状態維持手段」という発明特定事項が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
(2)明確性違反に関し、当審拒絶理由では、以下の点を通知した。
ア.請求項1に「前記回転駆動体及び前記固定部は圧接状態維持手段により圧接状態を保持される」という記載があることからすれば、請求項1の「シャフトに固着される軸」という記載と「固定部と一体化されたシャフト」という記載は明確でない。
イ.請求項1の「前記搬送対象物に接する面に段差を有する」との記載は明確でない。
ウ.請求項1の「前記回転駆動体及び前記固定部は圧接状態維持手段により圧接状態を保持されること」との記載は明確でない。
エ.請求項1の「前記第1の面と前記第2の面との生じる摩擦力によって」との記載は明確でない。
オ.請求項2の「環状回転体の外周部は弾性体で構成される」との記載は明確でない。
カ.請求項6?8の「前記環状回転体の傾斜角、およびそれに接する回転駆動体表面の傾斜角度」との記載は明確でない。
これに対し、令和2年6月1日付け手続補正書による補正により、特許請求の範囲が補正されたところ、上記ア.について、請求項1において「前記回転駆動体及び前記固定部は圧接状態維持手段により圧接状態を保持される」という発明特定事項が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
また、上記イ.について、請求項1において、「前記弾性体は前記環状回転体の外周の一部を構成し、前記弾性体の前記搬送対象側外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記搬送対象物に接する側の面よりも若干突出している」及び「前記弾性体は前記環状回転体の外周の一部を構成し、前記弾性体の前記搬送対象側外周面が前記環状回転体の前記弾性体以外の部分の前記搬送対象物に接する側の面よりも若干突出している」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
さらに、上記ウ.について、請求項1において、「前記回転駆動体及び前記固定部は圧接状態維持手段により圧接状態を保持される」という発明特定事項が削除された。この結果、この拒絶理由は解消した。
さらにまた、上記エ.について、請求項1において、「前記第1の面と前記第2の面との間に生じる摩擦力によって」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
加えて、上記オ.について、請求項2において、「前記弾性体」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
最後に、上記カ.について、請求項6?8において、「前記シャフトに直行する面と前記環状回転体の回転軸に対して直交する面とがなす角度」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。

3.原査定について
上記1.での説示と同様の理由により、本願発明1?10は、引用文献Aに記載された発明及び引用文献B及びCに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-09-14 
出願番号 特願2015-92905(P2015-92905)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65G)
P 1 8・ 537- WY (B65G)
P 1 8・ 536- WY (B65G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 土田 嘉一  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 尾崎 和寛
井上 信
発明の名称 仕分装置  
代理人 友野 英三  
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