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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G10L
管理番号 1366091
異議申立番号 異議2020-700309  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-30 
確定日 2020-09-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6598379号発明「音声移植方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6598379号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6598379号の請求項1に係る特許についての出願は、平成28年12月2日(国内優先権主張 平成27年12月2日)に特許出願され、令和元年10月11日にその特許権の設定登録がされ、令和元年10月30日に特許掲載公報(以下、「本件特許公報」という。)が発行された。その後、その特許に対し、令和2年4月30日に特許異議申立人神谷高伸(以下、「申立人」という。)により、請求項1に対して特許異議の申立てがなされた。

第2 本件発明
特許第6598379号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、各構成の符号(A)?(G)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A?構成Gと称する。

(本件発明)
【請求項1】
(A)ヒトの音声に由来する音声素片データに基づいて合成された当該ヒトの音声を出力できるように構成された音声出力装置であって、サーバー装置との間で情報の送受信ができるように構成された音声出力装置に対し、音声素片データを移植する方法であって、
(B)音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末から、インターネットを介して、音声素片データの移植に用いるサーバー装置へアクセスするステップと、
(C)移植可能な音声素片データのリストに関する音声選択メニュー情報を、サーバー装置からユーザ端末へ送信するステップと、
(D)ユーザ端末において、移植可能な音声素片データを前記音声選択メニュー情報に基づいて選択可能に表示するステップと、
(E)ユーザが選択した音声素片データに対応する音声識別情報と、当該音声素片データの移植対象である音声出力装置に対応する装置識別情報を、ユーザ端末からサーバー装置へ送信するステップと、
(F)前記音声識別情報に対応する音声素片データを、サーバー装置から、前記装置識別情報に対応する音声出力装置へ送信するステップと、
(G)サーバー装置から受信した前記音声素片データを、音声出力装置の情報記録媒体にインストールするステップと、
(A)を含むことを特徴とする音声移植方法。

第3 申立理由の概要
申立人による特許異議申立の理由は、『本件発明は甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。』というものである。
なお、申立人は甲第1号証及び甲第2号証の他に、関連する証拠として甲第3?6号証を提出している。

甲第1号証:特開2005-147925号公報
甲第2号証:特開2004-302395号公報
甲第3号証:特開2014-21136号公報
甲第4号証:特開2001-272992号公報
甲第5号証:特開2002-216026号公報
甲第6号証:特開2003-114692号公報

第4 各証拠について
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

ア 「【0001】
本発明はキャラクタを表示させる車載端末装置およびキャラクタを用いた車両向け情報提示方法に関する。」

イ 「【0010】
図1は、本発明を実施するための最良の形態が適用された車両向け情報システムの全体構成図である。図1に示されるように、本実施形態の車両向け情報システムは、車両に搭載されて用いられる車載端末装置100と、車載端末装置100の要求に応じて、データベース207?212より検索した情報や、それらの情報を加工して得られる情報を車載端末装置100に配信するサーバ201?206を保有するサービスセンタ200とを備えて構成される。
【0011】
車載端末装置100は、通信処理部108として、携帯電話機等の無線通信装置を内蔵もしくは外付け可能に構成されており、基地局301と通信回線302とを経由してサービスセンタ200に接続し、サーバ201?206から交通情報や天気情報等の各種情報を取得可能となっている。
【0012】
車載端末装置100は、ユーザに情報を提示する際、ディスプレイ104にキャラクタのアニメーションを表示して、情報内容に応じて異なるパターンの動作や外観を見せる等の演出を行い、情報提示の分かり易さや楽しさを向上させている。
【0013】
サービスセンタ200では、車載端末装置100からの情報要求があった際、要求された情報の種類に応じて符号201?符号206のサーバが対応し、このサーバが、符号207?符号212のデータベースを検索して得た情報、またはこのデータベースの情報を加工して得た情報を、通信回線302、基地局301および車載端末装置100の通信処理部108を経由して、車載端末装置100に配信する。
なお、サービスセンタ200が、情報としてプログラムを車載端末装置100に配信し、車載端末装置100が、このプログラムを記憶装置103にインストールして利用することも可能である。」

ウ 「【図1】



エ 「【0018】
車載端末装置100のソフトウェアは、メモリ102の上で、サービスアプリ配信・実行基盤500がミドルウェアとして動作し、その上で、各種アプリケーションがサービスアプリ600として動作する構成となっている。
なお、以下アプリケーションは、適宜アプリと略す。
【0019】
サービスアプリ配信・実行基盤500の中には、例えば、符号501に示す、音声合成・認識ミドル等がある。音声合成・認識ミドル501は、サービスアプリ600等の要求を受け、音声合成処理、および、音声認識処理を行うミドルウェアである。」

オ 「【図2】



カ 「【0031】
サービスセンタ200は、車載端末装置100に対し、多彩な種類の情報を提供するために、多彩な種類のサーバを備えて構成される。例えば、ナビゲーションサーバ201、交通情報サーバ202、音楽サーバ203、天気情報サーバ204、キャラクタサーバ205、課金サーバ206等を備えて構成される。」

キ 「【0037】
キャラクタサーバ205は、キャラクタ関連サービスを提供する。例えば、キャラクタサーバ205は、車載端末装置100上のキャラクタアプリ605等と連携して、キャラクタのプログラム配信や、キャラクタに関連する各種素材のデータ配信等を車載端末装置100のユーザに提供する。
ここで、キャラクタに関連する素材のデータとは、例えば、キャラクタアプリ605がディスプレイ104に情報提示(出力)を演出する、アニメーション再生用データ(コマ画像、コマ切り替え時間、コマ表示位置)、音声合成用データ(音声素片、抑揚、リズム、音の高低)、音声認識用データ(認識語辞書、無視する接頭語・接尾語辞書)、キャラクタのプログラム(条件と実行内容の対応付け)等のデータである。」

ク 「【0091】
キャラクタアプリ管理テーブル800は、サービスセンタ200内のキャラクタサーバ205に付随するデータベース211および車載端末装置100上の記憶装置103内に構築される。サーバ側(サービスセンタ200側)および端末側(車載端末装置100側)に各々に構築されるテーブルの関係は、サーバ側がマスタテーブル、端末側がマスタテーブルの一部のデータをコピーしたサブテーブルの関係である。
【0092】
サーバ側のテーブルには、車載端末装置100に配信できる、多種・大容量のキャラクタアプリのデータが格納される。また、サーバ側のテーブルには、キャラクタサーバ205の管理者等がメンテナンスすることにより、最新のデータが適宜追加される。
端末側のテーブルには、車載端末装置100にインストール済みのキャラクタアプリのデータが格納される。ユーザが、車載端末装置100に、新規のキャラクタアプリをインストールした場合には、このキャラクタアプリのデータが、テーブルに追加される。
【0093】
キャラクタアプリ管理テーブル800は、符号801?符号808のカラムを備えて構成される。各カラムは、「キャラクタID」カラム801、「キャラクタ名称」カラム802、「代表画像」カラム803、「紹介文」カラム804、「データサイズ」カラム805、「価格」カラム806、「サンプルデータ」カラム807、「アプリバンドル」カラム808である。
以下、各カラムについて説明する。」

ケ 「【図8】



コ 「【0101】
「アプリバンドル」カラム808には、キャラクタアプリのプログラム本体およびプログラム実行に必要な画像・音声等のデータをアーカイブしたバンドルファイルが格納される。このバンドルファイルとしては、具体的には、Javaにおいて一般的な「jarファイル」のような物を用いることが出来る。」

サ 「【0141】
ステップS1301について説明する。ユーザが新規キャラクタアプリを購入・ダウンロードする場合、ユーザは、実際に購入する前に、複数ある候補の中から、購入するキャラクタアプリの選択や確認を行う為のプレビューを行う。ステップS1301では、ユーザが車載端末装置100を操作して、このプレビューの対象となるキャラクタアプリ605の選択を行う。次にステップS1302に進む。
【0142】
ステップS1302では、通信を介して、サービスセンタ200内のキャラクタサーバ205に対し、選択されたキャラクタに関するプレビューデータの配信を要求する。次に、車載端末装置100の処理はステップS1303に進む。ここで、プレビューデータ配信の要求を受付けるキャラクタサーバ205の処理について説明する。
【0143】
ステップS1320で処理を開始したキャラクタサーバ205は、ステップS1321にて、車載端末装置100からのプレビューデータ配信要求を受け、車載端末装置100に対し、プレビューデータを配信する。
ここで、プレビューデータについて、図13の1380を用いて説明する。本実施の形態では、プレビューデータを、前記した図8のサーバ側キャラクタアプリ管理テーブル800の「アプリバンドル」カラム808を除いたカラム群として定義する。具体的には、「キャラクタID」、「キャラクタ名称」、「代表画像」、「紹介文」、「データサイズ」、「価格」および「サンプルデータ」の各カラム群に格納された情報の全体をプレビューデータと定義する。
【0144】
ステップS1321では、車載端末装置100側でプレビュー対象として選択されたキャラクタのレコードを、サーバ側キャラクタアプリ管理テーブル800から探し出し、このレコード中の、プレビューデータに該当するカラム部分、具体的には、図13の符号1380において説明の為にハッチング表示している部分のデータを、車載端末装置100に対して配信する。なお、キャラクタサーバ205は、車載端末装置100からの要求がある度に、同様のプレビューデータの配信処理を行う。
【0145】
次に、プレビューデータ受信後の車載端末装置100の処理について述べる。
まず、ステップS1303において、車載端末装置100は、キャラクタサーバ205から配信されたプレビューデータを受信する。また、受信したプレビューデータを提示する。プレビューデータの車載端末装置100上での具体的な提示方法についての詳細は後述する。
【0146】
ステップS1304において、車載端末装置100のユーザは、提示されたプレビューデータに基づき、プレビュー中のキャラクタアプリを実際に購入し、ダウンロードするか否かの判断をする。購入・ダウンロードしない場合には(S1304“N”)、ステップS1301に戻り、別のキャラクタアプリをプレビューすることを考える。購入・ダウンロードする場合には(S1304“Y”)、ステップS1305に進む。
【0147】
ステップS1305では、プレビュー中のキャラクタアプリを購入・ダウンロードする為に、車載端末装置100は、通信を介してキャラクタサーバ205に対しキャラクタアプリ605の購入処理の実行を要求する。
【0148】
ここで、キャラクタアプリ605の購入処理実行の要求を受付けるキャラクタサーバ205の処理について説明する。
【0149】
ステップS1340で処理を開始したキャラクタサーバ205は、ステップS1341にて、車載端末装置100からのキャラクタアプリ購入処理実行要求を待つ。要求が無い場合(S1341の“N”)、ステップS1341に留まり、要求を待つ。要求がある場合(S1341の“Y”)にはステップS1342に進む。
【0150】
ステップS1342では、ユーザにより選択されたキャラクタアプリ605の購入処理を開始する。次にステップS1343に進む。
【0151】
ステップS1343では、課金サーバ206に対し、課金処理実行の要求を出す。具体的には、購入予定のキャラクタアプリ605のプレビュー時に参照されたサーバ側キャラクタアプリ管理テーブルのキャラクタアプリに対応するレコードの「価格」カラムに記載された価格を課金するよう、課金サーバ206に依頼する。
【0152】
ここで、課金処理を依頼された課金サーバ206の処理について説明する。
【0153】
ステップS1360で処理を開始した課金サーバ206は、ステップS1361にて、キャラクタサーバ205からの課金処理実行要求を待つ。要求が無い場合(S1361“N”)には、ステップS1361に留まり、要求を待つ。要求がある場合(S1361“Y”)にはステップS1362に進む。
【0154】
ステップS1362では、キャラクタサーバ205からの依頼に従って、所定の金額をユーザに対し課金する。課金は例えば、予め登録されているユーザの預金口座から代金を引き落とす等の処理によって実行できる。次にステップS1363に進む。
【0155】
ステップS1363では、課金が完了した旨をキャラクタサーバ205に通知する。その後、ステップS1364に進んで処理を終える。
【0156】
課金サーバ206から課金完了通知を受けたキャラクタサーバ205の処理について説明する。
【0157】
ステップS1344にて、課金サーバ206から課金完了通知を受けたキャラクタサーバ205は、課金完了通知を、通信回線を介し、車載端末装置100に送る。また、課金完了を受けて、キャラクタアプリ605のデータを車載端末装置100に配信する。
本実施の形態の場合、具体的には、領域1380中に示したキャラクタアプリ管理テーブル800の、キャラクタID「1」の行の「アプリバンドル」カラムに格納されているアプリバンドルのデータを配信する。その後、ステップS1345に進み、処理を終える。
【0158】
キャラクタサーバ205から、課金完了通知およびキャラクタバンドルの配信を受けた車載端末装置100の処理について述べる。
【0159】
ステップS1306にて、通信を介し、キャラクタサーバ205から、課金完了通知およびキャラクタバンドルの配信を受けた車載端末装置100は、課金が完了した旨をユーザに対し通知する。また、配信されたキャラクタアプリバンドルを、車載端末装置100の記憶装置103に格納し、インストールする。
ユーザへの課金完了通知においては、例えば、キャラクタアプリ605の動作確認も兼ねて、このキャラクタバンドルのインストールによって実行可能となった新規キャラクタアプリを起動することにより、ディスプレイ104にキャラクタを表示させたり、スピーカ107からキャラクタの音声等を出力させたりして通知するようにしてもよい。ステップS1306の処理が完了した後は、ステップS1307に進んで、処理を終える。
【0160】
次に、プレビューデータ(プレビュー情報)の車載端末装置100上での具体的な提示方法の一例について、図14を用いて説明する。
図14は、プレビューデータを例示した図である。
【0161】
本実施の形態におけるプレビュー画面1400は、タイトル表示領域1401、「前のキャラクタ」ソフトボタン1402、「次のキャラクタ」ソフトボタン1403、「このキャラクタを購入&DL」ソフトボタン1404、「詳しいサンプルデータを見る」ソフトボタン1405、プレビュー画像表示領域1406、キャラクタID表示領域1408、キャラクタ名称表示領域1409、紹介文表示領域1410、データサイズ表示領域1411、価格表示領域1412等を含んで構成される。
【0162】
タイトル表示領域1401には、例えば「キャラクタ 購入&ダウンロード」のような表示を行い、現在の画面表示が、キャラクタの購入およびダウンロード処理に関するものであることを示す。
【0163】
「前のキャラクタ」ソフトボタン1402および「次のキャラクタ」ソフトボタン1403は、プレビュー対象キャラクタを切り替える為のソフトボタンである。各々、1回選択・実行する毎に、「前のキャラクタ」や「次のキャラクタ」のプレビューに切り替わる。
なお、ソフトボタン1402?1405は、キー入力装置105を用いて選択・実行できる。例えば、方向キーや決定キーを持つリモコンを用い、方向キーでカーソルを合わせ、決定キーで実行するようなことができる。あるいは、タッチパネルや音声入力指示により、選択・実行しても良い。
【0164】
「このキャラクタを購入&DL」ソフトボタン1404は、現在プレビュー中のキャラクタアプリを、購入し、ダウンロードするためのボタンである。購入およびダウンロード処理の詳細は、図13を用いて説明済みである。
【0165】
「詳しいサンプルデータを見る」ソフトボタン1405は、前記した図8の「サンプルデータ」カラム807に格納されたサンプルデータを参照するためのソフトボタンである。これにより、プレビュー画像表示領域1406に、キャラクタの静止画像群、動画群等をディスプレイ104に表示させることができる。
また、領域1413に示すようなキャラクタの声や効果音等の音声サンプルを、車載端末装置100のスピーカ107から出力させることができる。ちなみに、「詳しいサンプルデータを見る」ソフトボタン1405を選択・実行しなくとも、デフォルトで、このサンプルデータによる静止画、動画、音声等を表示・出力する、あるいは、このようなデフォルトの設定が出来るようにしてもよい。
【0166】
プレビュー画像表示領域1406には、キャラクタアプリ管理テーブル800の「代表画像」カラム803から取得したキャラクタの代表画像1407や、同じくキャラクタアプリ管理テーブル800の「サンプルデータ」カラム807から取得したサンプルデータに含まれる静止画や動画等を表示することができる。また、プレビュー画像表示領域1406の下部に、キャラクタID表示領域1408を設けても良い。キャラクタID表示領域1408には、キャラクタアプリ管理テーブル800の「キャラクタID」カラム801から取得したキャラクタIDを表示できる。もちろん、キャラクタID表示領域1408は、非表示にすることができるようになっていても良い。
【0167】
キャラクタ名称表示領域1409、紹介文表示領域1410、データサイズ表示領域1411、価格表示領域1412には、それぞれキャラクタアプリ管理テーブル800の対応するカラムから取得した情報を表示させることができる。
【0168】
以上説明した画面表示や音声出力により、車載端末装置100のユーザは、実際にキャラクタアプリを購入・ダウンロードする前にプレビューデータを参照できるので、安心してキャラクタアプリを購入・ダウンロードすることができる。」

シ 「【図13】


【図14】



(2)甲第1号証に記載された発明
上記(1)ア?シに摘記した記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
なお、各構成の符号(a)?(e1)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成a?構成e1と称する。また、各構成の末尾に、対応する段落番号を示す。

(甲1発明)
(a)キャラクタを用いた車両向け情報提示方法であって、(【0001】)

(b)車両向け情報システムは、車両に搭載されて用いられる車載端末装置100と、車載端末装置100の要求に応じて、情報を車載端末装置100に配信するサーバ201?206を保有するサービスセンタ200とを備えて構成され、(【0010】)
(b1)車載端末装置100のソフトウェアは、メモリ102の上で、サービスアプリ配信・実行基盤500がミドルウェアとして動作し、その上で、各種アプリケーションがサービスアプリ600として動作する構成となっており、(【0018】)
(b2)サービスアプリ配信・実行基盤500の中には、音声合成・認識ミドルがあり、音声合成・認識ミドル501は、サービスアプリ600等の要求を受け、音声合成処理、および、音声認識処理を行うミドルウェアであり、(【0019】)
(b3)サービスセンタ200は、キャラクタサーバ205を備えて構成され、(【0031】)
(b4)キャラクタサーバ205は、車載端末装置100上のキャラクタアプリ605等と連携して、キャラクタのプログラム配信や、キャラクタに関連する各種素材のデータ配信等を車載端末装置100のユーザに提供し、ここで、キャラクタに関連する素材のデータとは、音声合成用データ(音声素片、抑揚、リズム、音の高低)等のデータであり、(【0037】)

(c)キャラクタアプリ管理テーブル800は、サービスセンタ200内のキャラクタサーバ205に付随するデータベース211および車載端末装置100上の記憶装置103内に構築され、(【0091】)
(c1)サーバ側のテーブルには、車載端末装置100に配信できる、多種・大容量のキャラクタアプリのデータが格納され、(【0092】)
(c2)ユーザが、車載端末装置100に、新規のキャラクタアプリをインストールした場合には、このキャラクタアプリのデータが、テーブルに追加され、(【0092】)
(c3)キャラクタアプリ管理テーブル800は、符号801?符号808のカラムを備えて構成され、各カラムは、「キャラクタID」カラム801、「キャラクタ名称」カラム802、「代表画像」カラム803、「紹介文」カラム804、「データサイズ」カラム805、「価格」カラム806、「サンプルデータ」カラム807、「アプリバンドル」カラム808であり、(【0093】)
(c4)「アプリバンドル」カラム808には、キャラクタアプリのプログラム本体およびプログラム実行に必要な画像・音声等のデータをアーカイブしたバンドルファイルが格納され、このバンドルファイルとしては、具体的には、Javaにおいて一般的な「jarファイル」のような物を用いることが出来、(【0101】)

(d)ユーザが新規キャラクタアプリを購入・ダウンロードする場合、ユーザは、実際に購入する前に、複数ある候補の中から、購入するキャラクタアプリの選択や確認を行う為のプレビューを行い、(【0141】)
(d1)ステップS1301では、ユーザが車載端末装置100を操作して、このプレビューの対象となるキャラクタアプリ605の選択を行い、(【0141】)
(d2)ステップS1304において、車載端末装置100のユーザは、提示されたプレビューデータに基づき、プレビュー中のキャラクタアプリを実際に購入し、ダウンロードするか否かの判断をし、購入・ダウンロードしない場合には(S1304“N”)、ステップS1301に戻り、別のキャラクタアプリをプレビューすることを考え、購入・ダウンロードする場合には(S1304“Y”)、ステップS1305に進み、(【0146】)
(d3)ステップS1305では、プレビュー中のキャラクタアプリを購入・ダウンロードする為に、車載端末装置100は、通信を介してキャラクタサーバ205に対しキャラクタアプリ605の購入処理の実行を要求し、(【0147】)
(d4)ステップS1344にて、課金サーバ206から課金完了通知を受けたキャラクタサーバ205は、課金完了を受けて、キャラクタアプリ605のデータを車載端末装置100に配信し、具体的には、領域1380中に示したキャラクタアプリ管理テーブル800の、キャラクタID「1」の行の「アプリバンドル」カラムに格納されているアプリバンドルのデータを配信し、(【0157】)
(d5)ステップS1306にて、通信を介し、キャラクタサーバ205から、キャラクタバンドルの配信を受けた車載端末装置100は、配信されたキャラクタアプリバンドルを、車載端末装置100の記憶装置103に格納し、インストールし、(【0159】)

(e)プレビュー画面1400は、タイトル表示領域1401、「前のキャラクタ」ソフトボタン1402、「次のキャラクタ」ソフトボタン1403、「このキャラクタを購入&DL」ソフトボタン1404、「詳しいサンプルデータを見る」ソフトボタン1405、プレビュー画像表示領域1406、キャラクタID表示領域1408、キャラクタ名称表示領域1409、紹介文表示領域1410、データサイズ表示領域1411、価格表示領域1412等を含んで構成され、(【0161】)
(e1)「前のキャラクタ」ソフトボタン1402および「次のキャラクタ」ソフトボタン1403は、プレビュー対象キャラクタを切り替える為のソフトボタンである、(【0163】)

(a)情報提示方法。

2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザーの所望する音声コンテンツを合成するとともに、特定の日時に特定の端末に前記音声コンテンツを送信することのできる音声コンテンツ合成配信システムに関する。」

イ 「【0017】
本発明に係る音声コンテンツ合成配信システムにおいては、まず、ウェブサーバ1が、第1ユーザー端末2から入力された基本情報をインターネットなどの電気通信回線4を介して受信し、前記基本情報に基づき前記音声合成手段1aによって所定の音声コンテンツを合成し、前記音声コンテンツを第2ユーザー端末3に送信する。
【0018】
前記所定の音声コンテンツとしては種々のメッセージが考えられる。例えば、出迎えの言葉などが挙げられる。この場合、音声コンテンツの声としては、音声合成手段1aによってユーザーの所望する声を採用することができ、例えばユーザーの好きな女性、女優または歌手などの声とすることも可能である。
【0019】
これにより、例えば、独身のユーザーが遅くまで残業をしなければならない場合に、まず、職場において第1ユーザー端末2である自分の携帯電話などから、基本情報をウェブサーバ1に送信しておく。そうすると、ウェブサーバ1は、所定の音声コンテンツ、例えばユーザーの好きな女性であるYUKIさんの声による「YUKIです。おかえりなさい。お仕事お疲れ様でした!」といったメッセージを、第2ユーザー端末3である留守番電話などに送信する。したがって、本発明に係る音声コンテンツ合成配信システムは、疲れたユーザーを癒すという顕著な効果を奏するのである。」

ウ 「【図1】



3 甲第3号証について
(1)甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

ア 「【0010】
図1は、本実施形態の音声合成システムにおけるシステムの概要を示す図である。この図にあるように、話者は、公開されたインターフェイスを介してシステム運用者に対し音声データを提供する。システム運用者が管理するサーバ装置は、提供された音声データに基づき音声辞書セットを作成し、複数の音声辞書セットを保持するデータベースを構成する。そしてユーザは、前記各音声辞書セットの中から自己の求める条件と整合するようなものを選択する。図1の場合、ユーザは、複数の音声辞書セットの中から「音声辞書セットB」を選択し、「吾輩は猫である」という内容の読上用テキストを外部端末において入力する。すると、当該音声辞書セットが保持する「B」という特性の音声情報に従って、「吾輩は猫である」との合成音声の提供を受ける。」

イ 「【0014】
図2は、本実施形態の音声合成システムにおけるサーバ装置の機能ブロックの一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の「音声合成システム」における「サーバ装置」0200は、「インターフェイス部」0201と、「音声入力受付部」0202と、「登録用情報受付部」0203と、「音声辞書セット保持部」0204と、「音声辞書セット選択部」0205とからなる。」

ウ 「【0024】
「音声辞書セット選択部」は、前記インターフェイス部を介して外部端末から音声辞書セット保持部に保持された音声辞書セットを選択可能とする機能を有する。ここで「インターフェイス部を介して外部端末から」「音声辞書セットを選択可能とする」とは、外部端末を用いるユーザが、自己の希望する条件に適した音声辞書セットを選択し得る提示手段が用いられていることを意味する。「自己の希望する条件に適した音声辞書セットを選択し得る提示手段」とは、例えば、ユーザからある条件の入力を受付け、当該条件と整合する内容の登録用情報と関連付けられている音声辞書セットの情報をインターフェイス部を介して表示出力する方法が考えられる。また、ユーザが過去に選択した音声辞書セットの登録用情報をユーザIDとともに記憶しておき、同登録用情報と類似する情報をもつ音声辞書セットをユーザが優先的に視認可能となるように表示出力する方法も考えられる。さらには、視聴用音声データの出力が可能とする状態にて各音声辞書セットの情報をインターフェイス部を介して公開し、ユーザの選択により視聴用音声データを視聴することで自らの希望する条件を満たす音声データかどうかを確認する方法も考えられる。視聴用音声データは、例えば、予めサーバ装置内に記録した定型の音声データを再生する方法を用いてもよいし、ユーザから後記読上用テキストの入力を受け、当該読上用テキストを合成音声として再生してもよい。さらには、ユーザではなく話者自身が視聴用に読上用テキストを登録しておき、当該読上用テキストを合成音声として再生する構成としてもよい。
【0025】
なお、音声辞書セット選択部にてユーザの選択を受けた場合、当該選択を受けた音声辞書セットは、ユーザ側の外部端末にダウンロードしても良いし、従前通りサーバ装置に保持しておき、その後のユーザの出力命令に従って適宜音声合成に用いる方法をとっても良い。
<サーバ装置の具体的な構成>」

エ 「【0032】
(音声辞書セット選択部の具体的な処理)
CPUは「音声辞書セット選択プログラム」を実行し、外部端末からインターフェイスを介してなされる指示に基づき保持する複数の音声辞書セットのうち当該指示内容に適合する音声辞書セットを選択する処理を行い、処理結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
<処理の流れ>」

オ 「【図1】


【図2】



4 甲第4号証について
(1)甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声処理システムおよびテキスト読上げシステムおよび音声認識システムおよび辞書獲得方法および辞書登録方法および端末装置および辞書サーバーおよび記録媒体に関する。」

イ 「【0049】図2は本発明に係るテキスト読上げシステムの第1の実施形態の構成例を示す図である。なお、図2では、説明の便宜上、1つの端末装置(例えば、30-1)だけが示されている。図2を参照すると、この第1の実施形態では、端末装置30-1は、テキストを読上げる(音声合成する)テキスト読上げ手段31と、テキストを読上げる際に用いられる所望の声質の音声合成用辞書を辞書サーバー10からネットワーク20を介して獲得する辞書獲得手段32とを有している。
【0050】ここで、テキスト読上げ手段31は、各種の情報を提供するプロバイダ40から所望の文書(テキスト)をネットワーク20を介して受信し、受信した文書(テキスト)を音声合成用辞書(後述のように辞書獲得手段32によって獲得した音声合成用辞書)を用いて合成音声で読上げる機能を有している。
【0051】また、端末装置30-1の辞書獲得手段32は、所望の声質の音声合成用辞書の特徴情報をネットワーク20を介して辞書サーバー10に送信し、これにより、サーバー10から所望の声質の音声合成用辞書を獲得するようになっている。
【0052】また、辞書サーバー10は、互いに異なる声質の少なくとも1つの音声合成用辞書を格納する辞書格納手段11と、辞書格納手段11に格納されている音声合成用辞書の特徴情報が記述されている辞書検索テーブル12と、辞書検索手段13とを有し、辞書サーバー10の辞書検索手段13は、所望の声質の音声合成用辞書の特徴情報を端末装置30-1から受信したときに、受信した音声合成用辞書の特徴情報を前記辞書検索テーブル12と照合し、照合の結果、最も一致する音声合成用辞書を辞書格納手段11から取り出して、端末装置30-1に送信するようになっている。
【0053】このように、本発明に係るテキスト読上げシステムの第1の実施形態では、テキスト読上げ機能を備えた端末装置30-1?30-mと互いに異なる声質の少なくとも1つの音声合成用辞書が格納されている辞書サーバー10とがネットワーク20を介して接続されているときに、各端末装置30-1?30-mは、所望の声質の音声合成用辞書を辞書サーバー10からネットワーク20を介して獲得することが可能に構成されている。」

ウ 「【図2】



5 甲第5号証について
(1)甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

ア 「【0080】[第2の実施の形態]図26は、本発明の第2の実施の形態に係る情報通信システムを示すブロック図である。本発明の第2の実施の形態では、図26に示すように、エージェント端末2aは、パソコン端末80と、このパソコン80に無線で接続されるペット型ロボット81とからなる。このパソコン端末80は通信機能を有し、通信ネットワーク4を介してエージェントアクセスサーバ3に接続できる。このエージェントアクセスサーバ3及び専用サーバ5は、第1の実施の形態と同一のものを使用する。そして、この第2の実施の形態でも、エージェントアクセスサーバ3の動作や、専用サーバ5(個人情報蓄積装置51、リコメンド装置52、広告蓄積装置53、条件告知監視装置54、交流促進装置55、あるいは、会話装置56)の動作も第1の実施の形態と同一のものを使用する。
【0081】また、このパソコン端末80は音声認識プログラムを備えており、音声データからテキスト文字に変換できる。パソコン端末80は、無線通信機能を有しており、ペット型ロボット81と無線で接続される。ペット型ロボット81は、人工知能を実現する演算処理装置が内蔵されており、マイクからの音声やショックセンサーからの検出信号により、ペット型ロボット81の顔等表情や動作を制御できるようになっている。また、ペット型ロボット80はスピーカを内蔵しており、人工知能がペット型ロボット80の表情や動作に応じて所定の音声を形成してスピーカから音声を出力できる。
【0082】また、このペット型ロボット81は無線通信機能を備えており、パソコン端末80に無線で接続される。ペット型ロボット81は、自身が備えるマイクで拾った音声データをアナログ/デジタル変換器を介して演算処理装置に入力するとともに、当該音声データを無線通信機能を介してパソコン端末80に入力でき、かつ、パソコン端末80からの音声データを演算処理装置に入力し、その入力音声データをデジタル/アナログ変換してスピーカから音声出力できるようになっている。なお、ペット型ロボット81側に音声認識プログラム及び音声合成プログラムを搭載しておき、パソコン端末80との間ではテキスト化又はコード化された音声データのやり取りを行うようにしても良い。
【0083】この第2の実施の形態では、例えば交流促進装置55からメールが到着している旨のデータがエージェントアクセスサーバ3を介してエージェント端末2aのパソコン端末80に送られてくると、パソコン端末80は、「メールが来たよ」という音声データを形成し、無線通信機能によりペット型ロボット81に送出する。すると、ペット型ロボット81の内部では、当該音声データをデジタル/アナログ変換してスピーカより「メールが来たよ」と発声させる。これにより、あたかもペット型ロボット81がしゃべっているように見える。
【0084】ユーザーがペット型ロボット81に向かって、「メール読んで」というと、ペット型ロボット81の内部では、その音声をアナログ/デジタル変換し、無線通信機能によりパソコン端末80に送る。パソコン端末80は、音声認識プログラムにより音声をテキストに変換した上で指示内容を解析し、この場合はメール読み上げが指示されているので、メール読み上げソフトを使用し、メールを音声データに変換して、無線通信機能を介してペット型ロボット81に送信する。ペット型ロボット81の内部では、当該音声データをデジタル/アナログ変換してスピーカから発声させる。例えばメールが「10月10日新宿駅○広場でまってるよ。栄ちゃんより」という内容であったときに、ペット型ロボット81が、「10月10日新宿駅○広場でまってるよ。栄ちゃんより」という音声をしゃべっているように見えることになる。なお、この第2の実施の形態は、第1の実施の形態のようなキャラクターの成長動作については使用しない。」

イ 「【図26】



6 甲第6号証について
(1)甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

ア 「【0151】《第4実施形態》図19から図23の図面に基づいて本発明の第4実施形態に係る情報システムを説明する。図19は、この情報システムのシステム構成図であり、図20は、図19に示したキャラクタ人形1Eのハードウェア構成図であり、図21は、図20に示したCPU2おいて実行される人形制御プログラムの処理を示すフローチャートであり、図22は、本実施形態の変形例に係る操作コントローラのハードウェア構成図であり、図23は、図22に示したCPU2で実行される操作コントローラの処理を示すフローチャートである。
【0152】上記第1実施形態から第3実施形態では、所定のメッセージを利用者の好み音声で出力する情報システムについて説明した。本実施形態では、利用者端末からの指示により、所定のメッセージを利用者の好み音声で発するキャラクタ人形を含む情報システムについて説明する。他の構成および作用は、第1実施形態から第3実施形態の情報システムと同様である。そこで、同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、必要に応じて、図1から図18の図面を参照する。」

イ 「【0168】そのコマンドが音源データのダウンロードコマンドの場合、CPU2は音源データのダウンロード処理を実行する(S135)。これによって、キャラクタ人形内の音源データが更新される。その後、CPU2は、制御をS131に戻す。」

ウ 「【図19】



エ 「【図21】



第5 当審の判断
1 対比
本件発明と甲1発明とを対比する。

(1)「音声素片データ」について
構成Aによれば、「音声素片データ」は「ヒトの音声に由来する」ものであって、当該データに基づいて「音声出力装置」が「当該ヒトの音声を出力できるように構成」されるものである。
それに対して、甲1発明の構成c4の「アプリバンドル」は、キャラクタアプリのプログラム実行に必要な音声のデータをアーカイブしたバンドルファイルである。また、構成b4にあるとおり、キャラクタアプリが配信を受ける音声合成用データには、音声素片が含まれる。
したがって、甲1発明の構成c4の「アプリバンドル」は「音声素片」のデータである点において、本件発明の「音声素片データ」と共通する。

しかしながら、甲1発明においては、「アプリバンドル」に含まれる「音声素片」がどのように生成されたものかの特定はない。また、構成c3及びd4にあるとおり、アプリバンドルはキャラクタごとに格納されるものである。
したがって、本件発明の「音声素片データ」は、「ヒトの音声に由来する」ものであって、当該データに基づいて「音声出力装置」が「当該ヒトの音声を出力できるように構成」されるものであるのに対して、甲1発明の「アプリバンドル」は、そのようなものではない点で相違する。

(2)「音声出力装置」、「サーバー装置」及び「ユーザ端末」について
甲1発明の構成bの「車載端末装置100」及び「サービスセンタ200」は、それぞれ本件発明の「音声出力装置」及び「サーバー装置」に相当する。

次いで、本件発明の「ユーザ端末」について検討すると、本件特許公報の段落【0039】?【0050】には「音声移植方法の具体的実施形態」が記載され、段落【0051】?【0054】には「音声移植方法の第2実施形態」が記載され、さらに段落【0055】?【0059】には「音声移植方法の第3の実施形態」が記載されている。
ここで、「音声移植方法の具体的実施形態」において、音声移植サーバへのアクセスを行う主体は「ユーザが使用する音声出力装置」として特定される一方、当該実施形態の説明中に「ユーザ端末」との用語は用いられていない。
対して、「音声移植方法の第2実施形態」及び「音声移植方法の第3実施形態」において、音声移植サーバへのアクセスを行う主体は「音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末」として特定されており、段落【0054】及び【0058】にあるとおり、「ユーザ端末と音声出力装置は異なる別々の装置(端末)」として特定されている。
そうすると、本件発明は、「音声出力装置」と「ユーザ端末」とをそれぞれ発明特定事項として有することから、「ユーザ端末と音声出力装置は異なる別々の装置(端末)」として特定されているものといえる。
なお、段落【0054】には、「前述した第1実施形態では、ユーザ端末と音声出力装置は同じ装置(端末)であったが、」との記載があるが(段落【0058】についても同様。)、当該記載は第2実施形態(段落【0058】においては、第3実施形態。)の説明として、第1実施形態である「音声移植方法の具体的実施形態」における「音声出力装置」は、第2実施形態(第3実施形態)における「ユーザ端末」の機能を備えていることを説明しているに過ぎない。したがって、当該記載があるとしても、本件発明が、「ユーザ端末」と「音声出力装置」とが同じ装置(端末)である場合を含むと解することは適当ではない。また、ほかに「ユーザ端末」と「音声出力装置」とが同じ装置(端末)であるとする根拠もない。
そして、甲1発明は、「車載端末装置100」とは別にユーザが利用する端末を有しない。よって、甲1発明は、本件発明の「ユーザ端末」に相当する構成を有しない。

(3)構成Aについて
甲1発明の構成bの「車載端末装置100」は、構成b1及びb2にあるとおり、そのメモリ上で動作する「音声合成・認識ミドル501」によって音声合成処理を行うことが可能であり、上記(1)における検討のとおり、その音声合成に「アプリバンドル」の「音声素片」を用いる。
また、構成b3及びb4にあるとおり、「車載端末装置100」上のキャラクタアプリ605は、「サービスセンタ200」の備えるキャラクタサーバ205から音声合成用データ等のデータの配信を受け、かつ、構成d5にあるとおり、配信されたキャラクタアプリバンドルは「車載端末装置100」の記憶装置103に格納され、インストールされる。

したがって、甲1発明の構成aの「情報提示方法」は、アプリバンドルに基づいて合成された音声を出力できるように構成された車載端末装置100であって、サービスセンタ200との間で情報の送受信ができるように構成された車載端末装置100に対し、アプリバンドルをインストールする方法であるといえるから、「音声素片データに基づいて合成された音声を出力できるように構成された音声出力装置であって、サーバー装置との間で情報の送受信ができるように構成された音声出力装置に対し、音声素片データを移植する方法」である点で、構成Aと共通する。

しかしながら、上記(1)における検討のとおり、構成Aの「音声素片データ」は「ヒトの音声に由来する」ものであり、当該「音声素片データ」に基づいて合成される音声は「当該ヒトの音声」であるのに対して、甲1発明はそのような構成を有しない点で相違する。

(4)構成B?Fについて
上記(2)において検討したとおり、甲1発明は構成B?Eの「ユーザ端末」に相当する構成を有しない。以下、構成B?Fのその余の構成について検討する。

ア 構成Bについて
甲1発明の「車載端末装置100」は、構成b4、c?c4及びd?d5にあるとおり、「アプリバンドル」を格納したキャラクタアプリ管理テーブル800を、付随するデータベース211に構築したキャラクタサーバ205を備える、「サービスセンタ200」と、キャラクタアプリ605によって連携する。
したがって、甲1発明は、「音声素片データの移植に用いるサーバー装置へアクセスするステップ」を有する点で、構成Bと共通する。
しかしながら、構成Bのサーバー装置へのアクセスは、「音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末から、インターネットを介して」行われるのに対して、甲1発明においては、「サービスセンタ200」へのアクセスを「車載端末装置100」から行い、また、アクセスのための通信回線の特定を有しない点で相違する。

イ 構成Cについて
甲1発明は、構成d、d1、e及びe1にあるとおり、ユーザが新規キャラクタアプリを購入・ダウンロードする場合、複数ある候補の中から、購入するキャラクタアプリの選択や確認を行うため、プレビュー画面におけるソフトボタンによって、プレビュー対象キャラクタを切り替える。
そして、プレビュー対象キャラクタは、構成cにおけるサービスセンタ200側のキャラクタアプリ管理テーブル800に格納されたものであり、プレビュー画面1400の表示等は車載端末装置100上で行われるのであるから、プレビュー対象キャラクタのリストに関する情報がサービスセンタ200から車載端末装置100に送信されることは、技術常識に鑑みれば明らかなことである。
したがって、甲1発明は、「移植可能な音声素片データのリストに関する音声選択メニュー情報を、サーバー装置から送信するステップ」を有する点で、構成Cと共通する。
しかしながら、構成Cの音声選択メニュー情報の送信は、「ユーザ端末へ」行われるのに対して、甲1発明においては、送信先が「車載端末装置100」である点で相違する。

ウ 構成Dについて
甲1発明の「車載端末装置100」は、構成d、e及びe1にあるとおり、プレビュー対象キャラクタを切り替えて表示する。
したがって、甲1発明は、「移植可能な音声素片データを前記音声選択メニュー情報に基づいて選択可能に表示するステップ」を有する点において、構成Dと共通する。
しかしながら、構成Dの移植可能な音声素片データの表示は「ユーザ端末において」行われるのに対して、甲1発明においては、表示が「車載端末装置100」で行われる点で相違する。

エ 構成E及びFについて
甲1発明は、構成d3?d5にあるとおり、プレビュー中のキャラクタアプリを実際に購入し、ダウンロードする場合には「車載端末装置100」から「サービスセンタ200」のキャラクタサーバ205に対しキャラクタアプリ605の購入処理の実行を要求し、該当するキャラクタIDの行のアプリバンドルカラムに格納されているアプリバンドルのデータの配信を受けるものである。
したがって、購入処理の実行の要求において、「車載端末装置100」からキャラクタサーバ205へは、プレビュー中のキャラクタアプリの「キャラクタID」が送信されるものと認められる。そして、当該「キャラクタID」は、構成Eの「ユーザが選択した音声素片データに対応する音声識別情報」に相当する。

よって、甲1発明は、「ユーザが選択した音声素片データに対応する音声識別情報を、サーバー装置へ送信するステップ」を有する点で、構成Eと共通する。
しかしながら、構成Eにおいて送信される情報に「当該音声素片データの移植対象である音声出力装置に対応する装置識別情報」が含まれるのに対して、甲1発明はそのような構成を有しない点で相違する。
また、構成Eにおける音声識別情報の送信の主体が「ユーザ端末」であるのに対して、甲1発明においては、音声識別情報の送信の主体が「車載端末装置100」である点で相違する。

さらに、甲1発明は、「前記音声識別情報に対応する音声素片データを、サーバー装置から、音声出力装置へ送信するステップ」を有する点で構成Fと共通する。
しかしながら、構成Fにおける音声素片データの送信先の「音声出力装置」が「前記装置識別情報に対応する音声出力装置」であるのに対して、甲1発明においては、「車載端末装置100」である点で相違する。

オ 構成B?Fと甲1発明との一致点及び相違点
上記ア?エにおける検討を総合すると、構成B?Fと甲1発明とは、以下の(ア)で一致し、(イ)?(エ)で相違する。

(ア)(B’)音声素片データの移植に用いるサーバー装置へアクセスするステップと、
(C’)移植可能な音声素片データのリストに関する音声選択メニュー情報を、サーバー装置から送信するステップと、
(D’)移植可能な音声素片データを前記音声選択メニュー情報に基づいて選択可能に表示するステップと、
(E’)ユーザが選択した音声素片データに対応する音声識別情報を、サーバー装置へ送信するステップと、
(F’)前記音声識別情報に対応する音声素片データを、サーバー装置から、音声出力装置へ送信するステップと、
を有する点。

(イ)構成B、D及びEにおけるサーバー装置へのアクセス、移植可能な音声素片データの表示及び音声識別情報の送信の主体並びに構成Cにおける音声選択メニュー情報の送信先が「音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末」であるのに対して、甲1発明では「車載端末装置100」である点で相違する。

(ウ)構成Bにおけるアクセスが「インターネットを介して」行われるのに対して、甲1発明はそのような構成を有しない点で相違する。

(エ)構成Eにおけるサーバー装置への送信情報に「当該音声素片データの移植対象である音声出力装置に対応する装置識別情報」が含まれ、構成Fにおける音声素片データの送信先の「音声出力装置」が「前記装置識別情報に対応する音声出力装置」であるのに対して、甲1発明では「車載端末装置100」である点で相違する。

(5)構成Gについて
甲1発明の「車載端末装置100」は、構成d5にあるとおり、「サービスセンタ200」のキャラクタサーバ205から配信されたキャラクタアプリバンドルを、「車載端末装置100」の記憶装置103に格納し、インストールする。
したがって、甲1発明は、「サーバー装置から受信した前記音声素片データを、音声出力装置の情報記録媒体にインストールするステップ」を有する点で、構成Gと共通する。

(6)一致点及び相違点
上記(1)?(5)から、本件発明と甲1発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

[一致点]
(A’)音声素片データに基づいて合成された音声を出力できるように構成された音声出力装置であって、サーバー装置との間で情報の送受信ができるように構成された音声出力装置に対し、音声素片データを移植する方法であって、
(B’)音声素片データの移植に用いるサーバー装置へアクセスするステップと、
(C’)移植可能な音声素片データのリストに関する音声選択メニュー情報を、サーバー装置から送信するステップと、
(D’)移植可能な音声素片データを前記音声選択メニュー情報に基づいて選択可能に表示するステップと、
(E’)ユーザが選択した音声素片データに対応する音声識別情報を、サーバー装置へ送信するステップと、
(F’)前記音声識別情報に対応する音声素片データを、サーバー装置から、音声出力装置へ送信するステップと、
(G)サーバー装置から受信した前記音声素片データを、音声出力装置の情報記録媒体にインストールするステップと、
(A’)を含むことを特徴とする音声移植方法。

[相違点1]
構成Aの「音声素片データ」は「ヒトの音声に由来する」ものであり、当該「音声素片データ」に基づいて合成される音声は「当該ヒトの音声」であるのに対して、甲1発明はそのような構成を有しない点。

[相違点2]
構成B、D及びEにおけるサーバー装置へのアクセス、移植可能な音声素片データの表示及び音声識別情報の送信の主体並びに構成Cにおける音声選択メニュー情報の送信先が「音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末」であるのに対して、甲1発明では「車載端末装置100」である点。

[相違点3]
構成Bにおけるアクセスが「インターネットを介して」行われるのに対して、甲1発明はそのような構成を有しない点。

[相違点4]
構成Eにおけるサーバー装置への送信情報に「当該音声素片データの移植対象である音声出力装置に対応する装置識別情報」が含まれ、構成Fにおける音声素片データの送信先の「音声出力装置」が「前記装置識別情報に対応する音声出力装置」であるのに対して、甲1発明では「車載端末装置100」である点。

2 判断
上記相違点のうち、まず相違点2及び4について検討する。

(1)甲第2号証について
申立人は、特許異議申立書の第4、3(1)イ(ア)において、甲第2号証には「第1ユーザ端末から入力された基本情報に基づいて、第1ユーザ端末とは異なる端末である第2ユーザ端末に音声コンテンツを配信すること」が記載されている旨指摘し、甲1発明と甲第2号証の記載事項とは「音声データ(音声コンテンツ)をユーザ端末に送信する点で共通する」こと等に基づいて、「甲1発明において、音声応答データを送信するユーザの端末として、甲2記載事項の『第2ユーザ端末』に音声コンテンツを配信するために、本件特許発明の相違点1に係る構成とすること」(特許異議申立書における「相違点1」は上記1「対比」における相違点2及び4に対応する。)は当業者が容易に想到し得たことである旨主張している。

そこで、甲第2号証に記載の技術について以下に検討する。
甲第2号証に記載の技術は、「第1ユーザー端末2」から「ウェブサーバ1」へ基本情報を送信し、音声合成処理を「ウェブサーバ1」で行って、生成した「音声メッセージ」を特定の「第2ユーザー端末3」に送信するものであるから、甲第2号証の「第1ユーザー端末2」は、サーバにアクセスして、他の端末への情報の送信を制御する端末である点においては、本件発明の「ユーザ端末」と共通する。
しかしながら、甲第2号証において「第2ユーザー端末3」に送信される「音声コンテンツ」は、「ウェブサーバ1」の「音声合成手段1a」によって合成された「『YUKIです。おかえりなさい。お仕事お疲れ様でした!』といったメッセージ」であるから、音声出力装置の情報記録媒体にインストールする「音声素片データ」を「音声出力装置」へ送信する本件発明及び甲1発明とは、送信する情報の技術的性質が異なるものであり、[YM1]それに伴ってシステム全体の構成(特に、音声合成処理を行う構成がいずれの装置であるか。)も異なるものである。
したがって、甲1発明において甲第2号証に記載の技術を適用したとしても、甲1発明の構成に、音声メッセージを送信するための構成が別途付加されるのみであって、アプリバンドルの配信を行うための構成に加えて、「第1ユーザー端末2」から「サービスセンタ200」へ基本情報を送信し、音声合成処理を「サービスセンタ200」で行って、生成した「音声メッセージ」を特定の「車載端末装置100」に送信する構成を有するものとなるに過ぎない。
そして、そのような、甲第2号証に記載の技術を採用した甲1発明においては、「第1ユーザー端末2」への送信及び「第1ユーザー端末2」における表示の対象となる情報が、生成される「音声メッセージ」に関するものであって、「移植可能な音声素片データ」に関するものではない。さらに、生成した「音声メッセージ」が特定の「車載端末装置100」へ送信されるのであって、「音声素片データ」が特定の「車載端末装置100」に送信されるのではない。
よって、甲1発明において甲第2号証に記載の技術を採用したとしても、上記相違点2及び4に係る構成を当業者が容易に発明することができたとはいえない。

なお、甲第3?6号証にも、サーバー装置へのアクセス、移植可能な音声素片データの表示及び音声識別情報の送信の主体並びに音声選択メニュー情報の送信先を「音声素片データの利用者であるユーザが使用するユーザ端末」とし、「音声素片データ」を「装置識別情報に対応する音声出力装置」に送信することは、記載も示唆もされていない。

(2)小括
上記(1)において検討したとおり、本件発明は、相違点1及び3について検討するまでもなく、当業者であっても甲1発明及び甲第2?6号証に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、特許第6598379号の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に特許第6598379号の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-08-26 
出願番号 特願2016-234607(P2016-234607)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G10L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上田 雄  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 間宮 嘉誉
小池 正彦
登録日 2019-10-11 
登録番号 特許第6598379号(P6598379)
権利者 株式会社トランスボイス・オンライン
発明の名称 音声移植方法  
代理人 富田 款  
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