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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) A61H
管理番号 1366115
判定請求番号 判定2019-600042  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 判定 
判定請求日 2019-12-25 
確定日 2020-09-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第6126283号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号説明書に示す「ハイドロポッド セット」は、特許第6126283号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1 手続の経緯
本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 8月25日 特許出願(特願2016-164616号)
平成29年 4月14日 設定登録
令和 1年12月25日 本件判定請求書の提出
令和 2年 1月15日付 判定請求書副本送付
同年 2月25日 判定請求答弁書(被請求人)の提出
同年 3月12日 手続補正書(請求人)の提出
(判定請求書の被請求人名称に関する手続補
正)
同年 4月28日付 請求人に対する審尋の送付
同年 5月21日 回答書(請求人)の提出
同年 6月11日 回答書(請求人)の提出
同年 6月11日 手続補正書(請求人)の提出
(イ号説明書に対する手続補正)

2 請求の趣旨
請求人の請求の趣旨は、判定請求書及び令和2年5月21日付け回答書の「2 対象請求項(発明)の確認」の記載からみて、イ号説明書に示す「ハイドロポッド セット」は、特許第6126283号(以下、「本件特許」という。)の請求項1に記載された発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

3 本件特許発明について
請求人が上記判定を求める請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、当審において、構成要件毎に分説し、符号A?Hを付し、それぞれを「構成要件A」などという。

【請求項1】
A 密封容器を備え、
B 水素ガスが、外部から導入された加圧された水素ガスであり、水素水が、水素水収納部に収納された水に、外部から導入された水素ガスの溶解によって生成された水素水であり、
C 前記密封容器が、自体に、密封容器のいずれの箇所も加圧状態の時に外部に開放されず、水素ガス以外に気体導入に伴う圧力源導入を受けることのないボトル形に形成された密封形態の容器であって、外部からの水素ガスを導入する水素ガス導入手段及び密封容器内の水素水を外部に排出する水素水排出手段を備え、
D 前記密封容器が、内部に、水素ガス供給前の当初から水素水を収納する水素水収納部及び密封容器内を加圧する水素ガスを収納可能な大きさを持った加圧水素ガス空間部を備えて構成され、
E 水素水収納部に収納された水量、外部から供給される水素ガスを収納する加圧水素ガス空間部の大きさ、及び外部からの供給量が予め定められた水素ガス量から設定された加圧水素ガス空間部における加圧内部圧力が保持され、
F 水素水噴出器が、前記水素水排出手段に取り付けられ、水素水が加圧内部圧力で噴出されることを特徴とするポータブル水素水噴出装置、又は該ポータブル水素水噴出装置における水素水噴出器が、水素水噴霧器であって、大人に持ち運び可能とされ、前記加圧水素ガス空間部が、水素水生成及び水素水の外部への圧力排出の間、外部から導入された加圧された水素ガスの導入以外に密封容器自体でのガス圧力源発生及び外部から気体導入に伴う圧力源導入を受けることがなく、加圧内部圧力下、前記密封容器の密封状態が維持され、前記密封容器内の水素水の水素ガス濃度の維持可能な構成とされたことを特徴とするポータブル水素水噴霧装置であって、
G 前記密封容器外に設けた水素水排出管を備え、前記密封容器内と前記排出管との間を遮断可能とさせ、かつ人為的接続操作によって接続可能とさせる弁形態を有する操作部とを備え、前記水素ガス導入手段と前記水素水排出手段と前記操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出系統が形成されることを特徴とする
H ポータブル水素水噴出装置又はポータブル水素水噴霧装置。

4 イ号物品について
(1)請求人の提出した証拠方法
請求人は、イ号物品を説明するものとして、甲第3号証?甲第11号証を提出している。
(証拠方法)
甲第3号証 イ号説明書
甲第4号証の1 ハイケアジャパン公式サイトページ
甲第4号証の2 (株)ビースタイル公式ホームページ
甲第4号証の3 (株)ビースタイル代表取締役岩永覚翔の名刺
甲第5号証 ハイケアジャパンのパンフレット
甲第6号証 ハイドロポッド 10L取扱説明書
甲第7号証 ハイドロ ミスト取扱説明書
甲第8号証 「ハイドロポッド セット」の図面(イ号図面)
甲第9号証 「ハイドロポッド セット」の写真(イ号写真)
甲第10号証 ハイドロポッド 10L取扱説明書
甲第11号証 ハイドロ ミスト取扱説明書

なお、甲第10号証及び甲第11号証は、甲第6号証及び甲第7号証に替わる証拠として提出されたものである。ここで、甲第10号証の第3頁以降には、ハイドロ ミストの取扱いが記載され、甲第11号証の第3頁以降には、ハイドロポッド 10Lの取扱いが記載されているため、甲第10号証が甲第7号証に替わる証拠、甲第11号証が甲第6号証に替わる証拠として提出されたものであると認める。

(2)甲号証の記載内容
ア 甲第4号証の1の記載事項
甲第4号証の1には、次の事項が記載されている。
(ア)「製品の選択
・・・
STEP 1
ポッド(水素貯蔵装置)を選択して下さい。
・・・
・ハイドロポッド10L
・ハイドロポッド100L
・ハイケアLM(100L)
・ハイドロポッド500L
STEP 2
専用ツールを選択して下さい。
・・・
・ハイドロミスト(スプレー)
・ハイドロフォーム(泡生成)
・ハイドロドーザー(皮下浸透)
・ハイドロキャップ(水素水)
・ハイドロインへラー(吸入器)」(第9?11頁)
(イ)「HYDRO MIST
HYDRO MISTは、ハイドロポット上部に「接続」すると、瞬時に水素ガスが充填されます。ご愛用の化粧水に純度99.99%の水素ガスを直接充填し、ミキシングしてから使用します。水素の・・・圧力を加えるとさらに濃度が上がっていきます。高純度水素化粧水・・・の美容法があなたのものに。」(第15?16頁)
(ウ)「Personal use製品

」(第25?26頁)

イ 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、「HYCARE」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「携帯に便利!高純度「医療用水素」HYCARE」(第1頁)
(イ)「HYDROPOD 10L
ハイドロポッドは、高純度水素を専用容器に圧縮・貯蔵しています。FCV(燃料電池自動車)の技術を応用していますので大量の水素を貯めることが出来、充分な量を容器から取り出して利用できます。」(第1頁)
(ウ)「MIST 純水素ミスト
ご愛用の化粧水に純度99.99%の水素ガスを直接充填し、ミキシングしてから使用します。HYDROMISTは、4ppm以上の水素溶存濃度でご使用になれます。」(第1頁)
(エ)「

」(第1頁)

ウ イ号図面(甲第8号証)
甲第8号証には、「イ号図面」として、次の図6?図8が記載されている。




エ 甲第10号証の記載事項
甲第10号証には、「ハイドロ ミスト」の取扱いに関して、次の事項が記載されている。
(ア)「1.各部の名称
各部の名称は以下の通りです。

」(第3頁)
(イ)「2-2.準備
1)ボディーの内部を流水で良く洗浄し、ゴミや塵の残存が無いことを確認して下さい。
・・・
2)水やお手持ちの化粧を入れてご使用下さい。粘度の高い液体など、粒子の詰まりやすいものは不向きです。容器の半分量(透明容器の真中)まで注ぎ、蓋をしっかり締めて下さい。
3)水素供給源(HYDROPOD、HYCARE LMなど)を準備し、所定の圧力に調整してください。HYDROPODの場合は、デジタル圧力計で、0.5Mpa以下であることを確認してください。」(第4頁)
(ウ)「2-3.水素充填
1)ミストスプレーの裏面のオスアダプターを水素供給源のメスアダプターに差し込み、一気に押し付けて下さい。
・・・
2)ナノフィルターからボディー内部の液体に水素が一気に拡散し、数秒で充填が完了します。
・・・
3)ミストスプレーを水素供給源のメスアダプターから離し、10秒以上しっかり振ってください。」(第5頁)
(エ)「2-4.スプレー
1)吐出ボタンを押すと、液体がミストとなって、水素ガスと共に吐出します。逆さや、横にして使用することは出来ませんのでご周知ください。
・・・
2)ミストの吐出が弱まってきたら、再度水素充填及びシェイクを行ってください。
3)内部に圧力が残っている状態(ミストが吐出する状態)で蓋を開ける必要が生じた際には逆さにして、出来るだけ短く、かつ断続的に吐出ボタンを押して、内部の圧力を開放してください。」(第6頁)

(3)イ号物品の認定
ア 甲第5号証には、上記(2)イ(エ)のとおり、「HYDROPOD set」が「ハイドロポッド(純水素充填10L)」、「吸入器」、「ミスト」、「CAP」のセットであることが記載されている。そして、甲第4号証の1の上記(2)ア(ア)及び(ウ)の記載を踏まえると、「ハイドロポッド(純水素充填10L)」、「吸入器」、「ミスト」、「CAP」は、それぞれ、「ハイドロポッド10L」、「ハイドロインへラー(吸入器)」、「ハイドロミスト(スプレー)」、「ハイドロキャップ(水素水)」であるといえるから、「ハイドロポッド セット(英字訳:HYDROPOD Set)」は、ハイドロポッド10L、ハイドロミスト、ハイドロキャップ、ハイドロインへラーを備えるものといえる。
そして、甲第4号証の1には、上記(2)ア(イ)によれば、ハイドロミストで化粧水に水素を充填して水素化粧水とすることが記載され、また、甲第10号証には、上記(2)エ(イ)?(エ)によれば、ハイドロミストの内部に水又は化粧水を入れて水素を充填した後に、液体をミストとして吐出することが記載され、甲第5号証には、上記(2)イ(ア)によれば、ハイドロミストは、携帯に便利であることも記載されていることからして、ハイドロミストは、水素水をミストとして吐出させる携帯可能な装置といえる。

イ 甲第10号証には、「3)水素供給源(HYDROPOD、HYCARE LMなど)を準備し、所定の圧力に調整してください。HYDROPODの場合は、デジタル圧力計で、0.5Mpa以下であることを確認してください。」(上記(2)エ(イ))と記載され、また、甲第5号証には、「HYDROPOD 10L ハイドロポッドは、高純度水素を専用容器に圧縮・貯蔵しています。FCV(燃料電池自動車)の技術を応用していますので大量の水素を貯めることが出来、充分な量を容器から取り出して利用できます。」(上記(2)イ(イ))と記載されていることから、ハイドロポッド10Lは、加圧された水素ガスを供給するための水素供給源であるといえる。
また、甲第10号証には、「2)水やお手持ちの化粧を入れてご使用下さい。・・・容器の半分量(透明容器の真中)まで注ぎ、蓋をしっかり締めて下さい。」(上記(2)エ(イ))、「1)ミストスプレーの裏面のオスアダプターを水素供給源のメスアダプターに差し込み、一気に押し付けて下さい。2)ナノフィルターからボディー内部の液体に水素が一気に拡散し、数秒で充填が完了します。」(上記(2)エ(ウ))と記載され、甲第4号証の1には、上記(2)ア(イ)によれば、ハイドロミストで化粧水に水素を充填して水素化粧水とすることも記載され、さらに、甲第5号証には、上記(2)イ(ウ)によれば、ハイドロミストによって、「4ppm以上の水素溶存濃度」となることも記載されているから、ハイドロミストは、透明容器に注がれた水に外部の水素供給源から水素を充填して、水素を溶存させた水素水とするものといえる。
以上から、ハイドロミストで使用する水素ガスは、ハイドロポッド10Lから充填する加圧された水素ガスであり、水素水は、透明容器に注がれた水に、外部のハイドロポッド10Lから充填された水素を溶存させた水素水であるといえる。

ウ 甲第10号証には、ハイドロミストの取扱いについて、「2)水やお手持ちの化粧を入れてご使用下さい。・・・容器の半分量(透明容器の真中)まで注ぎ、蓋をしっかり締めて下さい。」(上記(2)エ(イ))、「1)ミストスプレーの裏面のオスアダプターを水素供給源のメスアダプターに差し込み、一気に押し付けて下さい。2)ナノフィルターからボディー内部の液体に水素が一気に拡散し、数秒で充填が完了します。」(上記(2)エ(ウ))、及び、「1)吐出ボタンを押すと、液体がミストとなって、水素ガスと共に吐出します。・・・3)内部に圧力が残っている状態(ミストが吐出する状態)で蓋を開ける必要が生じた際には逆さにして、出来るだけ短く、かつ断続的に吐出ボタンを押して、内部の圧力を開放してください。」(上記(2)エ(エ))と記載されている。
そして、甲第10号証の上記記載を踏まえると、甲第10号証の上記(2)エ(ア)の記載(写真)から、ハイドロミストは、本体の一部が円筒形状の透明容器であり、着脱可能な蓋を備えることが見て取れ、上記イで検討したとおり、水素供給源(ハイドロポッド10L)から充填される水素ガスは加圧された水素ガスであることから、蓋を締めた透明容器は、加圧された水素ガスが充填されても密封状態となっているものといえる。
また、甲第10号証の上記(2)エ(ア)の記載(写真)から、水素供給源以外の加圧ガス供給源を有していないことが見て取れるし、さらに、蓋には、吐出ボタン、サクションチューブ及びノズルを備えていることも見て取れるから、甲第10号証の「1)吐出ボタンを押すと、液体がミストとなって、水素ガスと共に吐出します。」(上記(2)エ(エ))及び「3)内部に圧力が残っている状態(ミストが吐出する状態)」(上記(2)エ(エ))の記載を踏まえると、透明容器内の水素水が内部圧力によってサクションチューブ及びノズルを介して吐出されるものと理解できる。
さらに、甲第8号証の図7(上記(2)ウ参照)から、蓋内部には、サクションチューブとノズルに連通する管を備えることを見て取れる。
以上から、ハイドロミストは、密封状態を形成できる透明容器を備えた本体及び蓋を備えるものであり、蓋を締めた透明容器は、加圧された水素ガスが充填されても密封状態となっており、水素供給源(ハイドロポッド10L)以外の加圧ガス供給源を有していない円筒形状の容器であって、本体裏面に外部の水素供給源(ハイドロミスト10L)からの水素ガスを透明容器内に充填するためのオスアダプターを備え、蓋体は、透明容器内の水素水を外部に吐出するためのサクションチューブ及び蓋内部の管を備えているといえる。

エ 甲第8号証の図7(上記(2)ウ参照)から、蓋外部にノズルが設けられていることや、蓋内部にサクションチューブとノズルに連通する管を備え、当該管を開閉するための弁を有し、吐出ボタンが前記弁に接続していることが見て取れるし、甲第8号証の図8(上記(2)ウ参照)から、ノズルの前面にノズル孔及び内部に管を備えることが見て取れる。
また、上記ウで検討したとおり、甲第10号証の記載からは、透明容器内の水素水が内部圧力によってサクションチューブ及びノズルを介してミストとして吐出されるものと理解できるし、本体裏面には、外部の水素供給源(ハイドロミスト10L)からの水素ガスを透明容器内に充填するためのオスアダプターを備えているといえる。
さらに、上記アで検討したとおり、ハイドロミストは、水素水をミストとして吐出させる携帯可能な装置といえる。
すなわち、ハイドロミストは、ノズルが蓋内部の管に連通するように設けられ、透明容器内の水素水が内部圧力によってミストとして吐出されるように構成され、ノズルが蓋の外側に設けられ、ノズルは、前面に設けたノズル孔及び内部に設けた管を備え、蓋には、透明容器内部とノズル内部の管との間を開閉するための弁及び当該弁に接続した吐出ボタンを備え、この吐出ボタンを操作することで透明容器内の水素水をサクションチューブ、蓋内部の管及びノズルを介して外部に吐出するように構成され、また、裏面のオスアダプターはハイドロポッド10Lのメスアダプターに差し込むことで内部に水素ガスを導入できるように構成される、水素水をミストとして吐出させる携帯可能な装置といえる

オ 甲第10号証には、「2)水やお手持ちの化粧を入れてご使用下さい。・・・容器の半分量(透明容器の真中)まで注ぎ、蓋をしっかり締めて下さい。」(上記(2)エ(イ))、及び、「1)ミストスプレーの裏面のオスアダプターを水素供給源のメスアダプターに差し込み、一気に押し付けて下さい。2)ナノフィルターからボディー内部の液体に水素が一気に拡散し、数秒で充填が完了します。」(上記(2)エ(ウ))と記載されているから、ハイドロミストの透明容器の半分は、注いだ水の空間であり、残部は、水素供給源(ハイドロポッド10L)からの加圧された水素ガスが充填される空間であるといえる。
そして、上記ウで検討したとおり、蓋を締めた透明容器は密閉状態となっているから、注いだ水量及び加圧された水素ガスが充填される空間、充填された水素ガスの圧力は保持されているといえる。
以上から、ハイドロミストは、透明容器内の半分が注いだ水の空間であり、残部が水素供給源(ハイドロポッド10L)からの加圧された水素ガスが充填される空間であるといえ、透明容器に注いだ水量、加圧された水素ガスが充填される空間、及び、充填された水素ガスの圧力は保持されているといえる。

カ 上記ア?オでの検討を踏まえると、イ号物品の「ハイドロポッド セット」は次のとおりのものであると認める。
なお、a?hは、イ号物品を本件特許発明1に対応するように分説し、各分説に付した記号であり、それぞれ「構成a」などという。

a 密封状態を形成できる透明容器を備えた本体及び蓋を備え、
b 水素ガスは、外部のハイドロポッド10Lから充填する加圧された水素ガスであり、水素水は、透明容器に注がれた水に、外部のハイドロポッド10Lから充填された水素ガスを溶存させた水素水であり、
c 蓋を締めた透明容器は、加圧された水素ガスが充填されても密封状態となっており、ハイドロポッド10L以外の加圧ガス供給源を有していない円筒形状の容器であって、本体裏面に外部のハイドロミスト10Lからの水素ガスを透明容器内に充填するためのオスアダプターを備え、蓋体は、透明容器内の水素水を外部に吐出するためのサクションチューブ及び蓋内部の管を備え、
d ハイドロミストの透明容器内の半分は、注いだ水の空間であり、残部は、ハイドロポッド10Lからの加圧された水素ガスが充填される空間であり、
e 透明容器に注いだ水量、加圧された水素ガスが充填される空間、及び、充填された水素ガスの圧力は保持され、
f ノズルが蓋内部の管に連通するように設けられ、透明容器内の水素水が内部圧力によってミストとして吐出される携帯可能なハイドロミストを含むハイドロポッドセットであって、
g ノズルが蓋の外側に設けられ、ノズルは、前面に設けたノズル孔及び内部に設けた管を備え、蓋には、透明容器内部とノズル内部の管との間を開閉するための弁及び当該弁に接続した吐出ボタンを備え、この吐出ボタンを操作することで透明容器内の水素水をサクションチューブ、蓋内部の管及びノズルを介して外部に吐出するように構成され、また、裏面のオスアダプターはハイドロポッド10Lのメスアダプターに差し込むことで内部に水素ガスを導入できるように構成される、
h 携帯可能なハイドロミストを含むハイドロポッドセット。

(4)請求人が特定するイ号について
ア 請求人は、令和2年6月11日付け手続補正書により補正されたイ号説明書(以下、「イ号説明書」という。)第8頁末行において、イ号物品の構成hを、「h ポータブル水素水噴出装置又はポータブル水素水噴霧装置」と特定している。
しかしながら、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第8号証?甲第11号証では、「ポータブル水素水噴出装置」及び「ポータブル水素水噴霧装置」との用語を用いて、「ハイドロポッド セット」を構成する装置を説明していないし、また、請求人は、イ号説明書において、「ハイドロポッド セット」と「ポータブル水素水噴出装置又はポータブル水素水噴霧装置」との関係も説明していないため、請求人の上記特定は採用できない。

イ 請求人は、イ号説明書第7頁下から10行において、イ号物品の構成aを、「a ハイドロ ミストを備え」と特定している。
しかしながら、ハイドロミストは、上記(3)アで検討したとおり、水素水をミストとして吐出させる装置であり、単に密封状態を形成できる容器としてのみ機能するものでないため、本件特許発明1の「密閉容器」に対応する構成をハイドロミストとすることは適当でないから、請求人の上記特定は採用できない。

ウ 請求人は、イ号説明書第2頁下から9行?第3頁第10行、第7頁下から9?7行、第7頁末行?第8頁第6行において、甲第7号証(上記4(1)に示したとおり、「甲第10号証」と読み替える。)の記載から、イ号物品は、「水素水収容部」を備えているから、「水素水収容部」との用語を用いて、イ号物品の構成b、d、eを特定している。
しかしながら、「水素水収容部」との用語は、甲第8号証(イ号図面)に記載されているものの、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第9号証?甲第11号証で使用されている用語でなく、イ号説明書において、ハイドロミストの本体や透明容器との関係も説明されていないので、請求人の上記特定は採用できない。

エ 請求人は、イ号説明書第7頁下から6?2行、第8頁第7?14行において、「水素ガス導入手段」、「水素水吐出手段」、「操作部」との用語を用いて、イ号物品の構成c、f、gを特定している。
しかしながら、「水素ガス導入手段」、「水素水吐出手段」、「操作部」との用語は、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第8号証?甲第11号証で使用されている用語でないし、また、「水素ガス導入手段」は、イ号説明書における「水素供給源のオスアダプターにペットボトル ミストのオスアダプターが押し込まれ、水素供給源からの水素ガスを密封容器に導入する水素ガス導入手段を備え、水素ガス導入構造が形成される」(第2頁下から6?4行)及び「ハイドロ ミストは、ボトル形態のハイドロミスト本体及び蓋を備え、下部にオスアダプターを備え、ハイドロポッド 10Lがメスアダプターを備えて、オスアダプターをメスアダプターに差し込むことで水素ガス導入手段が形成される」(第4頁下から2行?第5頁第2行)との主張から、ハイドロミストのオスアダプターを示すものと解されるものの、イ号説明書において、「水素水吐出手段」や「操作部」と、ハイドロミストの構造との関係が説明されていないため、請求人の上記特定は採用できない。

オ 請求人は、イ号説明書第8頁第3?6行において、イ号物品の構成eを、「・・・外部からの供給量が予め定められた水素ガス量から設定された加圧水素ガス空間部における加圧内部圧力・・・に保持され」と特定している。
しかしながら、「外部からの供給量が予め定められた水素ガス量から設定された加圧水素ガス空間部における加圧内部圧力」「に保持され」ることは、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第8号証?甲第11号証に記載されていないし、イ号説明書にも何等説明されていないので、請求人の上記特定は採用できない。

カ 請求人は、イ号説明書第8頁第9?14行において、イ号物品の構成gを、「・・・前記水素ガス導入手段と前記水素水排出手段と前記操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出系統が形成される」と特定している。
しかしながら、上記エでの検討に加えて、「水素ガス導入及び水素水排出系統」との用語も、甲第4号証の1?甲第5号証、甲第8号証?甲第11号証で使用されている用語でないし、また、イ号説明書において、「水素ガス導入及び水素水排出系統」と、ハイドロミストの構造との関係が説明されていないため、請求人の上記特定は採用できない。

5 対比、判断
(1)構成要件充足性の判断
イ号物品の構成が本件特許発明1の各構成要件を充足するかを検討する。

ア 構成要件Aについて
イ号物品の構成aの「密封状態を形成できる透明容器を備えた本体及び蓋」は、透明容器と蓋により密封容器となるものであるから、イ号物品の構成aは、本件特許発明1の構成要件Aを充足する。

イ 構成要件Bについて
イ号物品の構成bの「外部のハイドロポッド10Lから充填する加圧された水素ガス」、「水素ガスを溶存させた水素水」は、それぞれ、構成要件Aの「外部から導入された加圧された水素ガス」、「水素ガスの溶解によって生成された水素水」といえる。
また、本件特許明細書の段落【0041】の「密封容器1は、密封容器内に、外部から水素ガスが導入され、生成された水素水を収納する水素水収納部11及び収納された水素水が、底部の水素水まで密封容器外に圧力排出される加圧された水素ガスを収納する加圧水素ガス空間部12を備える。」との記載によれば、構成要件Bの「水素水収容部」は、密閉容器の水素水が収容されている部分といえるから、イ号物品の構成bの「透明容器」の注がれた水の部分は、水素水収容部といえ、イ号物品の構成bの「溶明容器に注がれた水」は、構成要件Bの「水素収容部に収納された水」といえる。
よって、イ号物品の構成bは、本件特許発明1の構成要件Bを充足する。

ウ 構成要件Cについて
イ号物品の構成cの「蓋を締めた透明容器は、加圧された水素ガスが充填されても密封状態となっており、ハイドロポッド10L以外の加圧ガス供給源を有していない円筒形状の容器」は、蓋を締めた透明容器が加圧状態でも外部に開放されず、水素供給源以外から気体導入に伴う圧力源導入を受けることのないボトル形の密封された容器といえるから、構成要件Cの「前記密封容器が、自体に、密封容器のいずれの箇所も加圧状態の時に外部に開放されず、水素ガス以外に気体導入に伴う圧力源導入を受けることのないボトル形に形成された密封形態の容器」といえる。
また、イ号物品の構成cの「本体裏面に外部のハイドロミスト10Lからの水素ガスを透明容器内に充填するためのオスアダプター」、「蓋体は、透明容器内の水素水を外部に吐出するためのサクションチューブ及び蓋内部の管」は、それぞれ、構成要件Cの「外部からの水素ガスを導入する水素ガス導入手段」、「密封容器内の水素水を外部に排出する水素水排出手段」といえる。
よって、イ号物品の構成cは、本件特許発明1の構成要件Cを充足する。

エ 構成要件Dについて
イ号物品の構成dの「ハイドロミストの透明容器」は、上記アでの検討のとおり、構成要件Dの「密封容器」といえるし、同構成dの「注いだ水の空間」は、上記イで検討したとおり、水素ガスが充填されて水素水となる水が収納された空間であるから、構成要件Dの「水素ガス供給前の当初から水素水を収納する水素水収納部」といえるし、さらに、同構成dの「ハイドロポッド10Lからの加圧された水素ガスが充填される空間」は、構成要件Dの「密封容器内を加圧する水素ガスを収納可能な大きさを持った加圧水素ガス空間部」といえる。
よって、イ号物品の構成dは、本件特許発明1の構成要件Dを充足する。

オ 構成要件Eについて
イ号物品の構成eの「透明容器に注いだ水量」、「加圧された水素ガスが充填される空間」は、上記エでの検討を踏まえれば、それぞれ、構成要件Eの「水素水収納部に収納された水量」、「外部から供給される水素ガスを収納する加圧水素ガス空間部の大きさ」といえる。
また、イ号物品の構成eの「充填された水素ガスの圧力」は、加圧された水素ガスが充填される空間の大きさやハイドロポッド10Lからの水素供給量により設定されるものであるから、構成要件Eの「外部からの供給量が予め定められた水素ガス量から設定された加圧水素ガス空間部における加圧内部圧力」といえる。
よって、イ号物品の構成eは、本件特許発明1の構成要件Eを充足する。

カ 構成要件Fについて
本件特許発明1は、構成要件Hのとおり、「ポータブル水素水噴出装置」又は「ポータブル水素水噴霧装置」に関するものであるし、また、本件特許明細書の段落【0016】に「本発明は、上述されたポータブル水素水噴出装置における水素水噴出器が、水素水噴霧器であって、大人に持ち運び可能とされ、前記加圧水素ガス空間部が、水素水生成及び水素水の外部への圧力排出の間、外部から導入された加圧された水素ガスの導入以外に密封容器自体でのガス圧力源発生及び外部から気体導入に伴う圧力源導入を受けることがなく、加圧内部圧力下、前記密封容器の密封状態が維持され、前記密封容器内の水素水の水素ガス濃度の維持可能な構成とされたことを特徴とするポータブル水素水噴霧装置を提供する。」と記載されていることからして、本件特許発明1の構成要件Fは、「水素水噴出器が、前記水素水排出手段に取り付けられ、水素水が加圧内部圧力で噴出されることを特徴とするポータブル水素水噴出装置」、又は、「該ポータブル水素水噴出装置における水素水噴出器が、水素水噴霧器であって、大人に持ち運び可能とされ、前記加圧水素ガス空間部が、水素水生成及び水素水の外部への圧力排出の間、外部から導入された加圧された水素ガスの導入以外に密封容器自体でのガス圧力源発生及び外部から気体導入に伴う圧力源導入を受けることがなく、加圧内部圧力下、前記密封容器の密封状態が維持され、前記密封容器内の水素水の水素ガス濃度の維持可能な構成とされたことを特徴とするポータブル水素水噴霧装置」との択一的な構成要件である。
これに対して、イ号物品の構成fの「ノズルが蓋内部の管に連通するように設けられ」ることは、該「ノズル」が構成要件Fの「水素水噴霧器」であるといえるし、また、上記ウで検討したとおり、「蓋内部の管」が水素水排出手段の一部であることを踏まえると、構成要件Fの「水素水噴出器が、前記水素水排出手段に取り付けられ」ることといえる。また、同構成fの「透明容器内の水素水が内部圧力によってミストとして吐出される携帯可能なハイドロミストを含むハイドロポッドセット」は、構成要件Fの「水素水が加圧内部圧力で噴出されることを特徴とするポータブル水素水噴出装置」といえる。
したがって、イ号物品の構成fは、本件特許発明1の構成要件Fの「水素水噴出器が、前記水素水排出手段に取り付けられ、水素水が加圧内部圧力で噴出されることを特徴とするポータブル水素水噴出装置」との択一的な構成要件を充足している。
よって、イ号物品の構成fは、本件特許発明1の構成要件Fを充足する。

キ 構成要件Gについて
構成要件Gの「前記密封容器外に設けた水素水排出管を備え、前記密封容器内と前記排出管との間を遮断可能とさせ、かつ人為的接続操作によって接続可能とさせる弁形態を有する操作部とを備え」ることの充足性を検討すると、イ号物品の構成gの「ノズルが蓋の外側に設けられ、ノズルは、前面に設けたノズル孔及び内部に設けた管を備え」ることは、密封容器を構成する蓋の外側に、水素水を吐出するための、内部に管を設けたノズルを備えることであるから、構成要件Gの「前記密封容器外に設けた水素水排出管を備え」ることといえるし、また、イ号物品の構成gの「透明容器内部とノズル内部の管との間を開閉するための弁及び当該弁に接続した吐出ボタン」は、構成要件Gの「前記密封容器内と前記排出管との間を遮断可能とさせ、かつ人為的接続操作によって接続可能とさせる弁形態を有する操作部」といえる。
次に、構成要件Gの「前記水素ガス導入手段と前記水素水排出手段と前記操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出系統が形成される」ことの充足性を検討すると、本件特許明細書の段落【0039】の「水素ガス導入手段と水素ガス排出手段と操作部2とによって水素水導入及び水素水排出系統が一系統で形成される。水素水導入系統及び水素水排出系統を別系統で形成してもよい。この場合にあっても、遮断・接続移行時に各系統は遮断される。」との記載を参酌すると、当該構成要件は、水素ガス導入手段と水素水排出手段と操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出の一系統が形成されること、あるいは、水素ガス導入手段と操作部によって水素ガス導入系統が形成され、水素水排出手段と操作部とによって水素水排出系統が形成されることを示しているといえる。
これに対して、イ号物品の構成gの「この吐出ボタンを操作することで透明容器内の水素水をサクションチューブ、蓋内部の管及びノズルを介して外部に吐出するように構成され」ることは、上記ウ及びカでの検討のとおり、サクションチューブ及び蓋内部の管が水素水吐出手段であり、ノズルが水素水噴出器であることを踏まえると、サクションチューブ及び蓋内部の管(水素水排出手段)と吐出ボタン(操作部)とによって水素水排出系統が形成されているといえるし、また、イ号物品の構成gの「裏面のオスアダプターはハイドロポッド10Lのメスアダプターに差し込むことで内部に水素ガスを導入できるように構成される」ことは、上記ウでの検討のとおり、オスアダプターが水素ガス導入手段であることを踏まえると、オスアダプター(水素ガス導入手段)によって水素ガス導入系統が形成されているといえる。
しかしながら、イ号物品のサクションチューブ及び蓋内部の管は、水素ガスを導入するためのものでないし、オスアダプターは、水素水を吐出するためのものでないから、イ号物品の構成gは、サクションチューブ及び蓋内部の管(水素水排出手段)とオスアダプター(水素ガス導入手段)と吐出ボタン(操作部)とによって水素ガス導入及び水素水排出の一系統が形成されるものといえない。
また、イ号物品の構成gは、上記のとおり、サクションチューブ及び蓋内部の管(水素水排出手段)と吐出ボタン(操作部)とによって水素水排出系統が形成されるものといえるが、オスアダプター(水素ガス導入手段)によって形成される水素ガス導入系統は、吐出ボタン(操作部)を備えていないため、オスアダプター(水素ガス導入手段)と吐出ボタン(操作部)とによって水素ガス導入系統が形成されるものといえない。
したがって、イ号物品の構成gは、構成要件Gの「前記水素ガス導入手段と前記水素水排出手段と前記操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出系統が形成される」ものでない。
また、イ号物品には、その他に構成要件Gの「前記水素ガス導入手段と前記水素水排出手段と前記操作部とによって水素ガス導入及び水素水排出系統が形成される」ことに該当する構成は見当たらない。
よって、イ号物品は、本件特許発明1の構成要件Gを充足しない。

ク 構成要件Hについて
イ号物品の構成hの「携帯可能なハイドロミストを含むハイドロポッドセット」は、上記カで検討したように、「ポータブル水素水噴出装置」といえる。
よって、イ号物品の構成hは、本件特許発明1の構成要件Hを充足する。

(2)小括
以上のとおり、イ号物品は、構成要件Gを充足しないから、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。

6 むすび
以上のとおりであるから、イ号物品は、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。

 
判定日 2020-08-31 
出願番号 特願2016-164616(P2016-164616)
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼ 美葉子神田 和輝菊地 寛  
特許庁審判長 菊地 則義
特許庁審判官 宮澤 尚之
後藤 政博
登録日 2017-04-14 
登録番号 特許第6126283号(P6126283)
発明の名称 ポータブル水素水噴出装置、ポータブル水素水噴霧装置及びこの装置による水素水噴射あるいは噴霧方法  
代理人 特許業務法人 日峯国際特許事務所  
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