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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C02F
管理番号 1366339
審判番号 無効2019-800014  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-02-20 
確定日 2020-07-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5699232号発明「水素水の製造装置及びその製造方法と保管方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5699232号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5699232号(以下、「本件特許」という。)は、UKホールディングス株式会社(以下、「被請求人」という。)が保有するものであり、その請求項1?3に係る発明は、平成26年2月12日に特許出願されたものであって、平成27年2月20日にその特許の設定登録がされたものである。
これに対して、Meet株式会社(以下、「請求人」という。)から、平成31年2月20日に、本件特許の請求項1?3に係る発明の特許について、本件無効審判の請求がされ、その後の手続きの経緯は、以下のとおりである。
令和 1年 6月 4日 :審判事件答弁書
令和 1年 7月16日付け:審理事項通知
令和 1年 9月27日 :口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 1年 9月27日 :口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 1年10月11日 :口頭審理
令和 1年11月 7日 :上申書(請求人)
令和 1年11月11日 :上申書(被請求人)
令和 1年11月27日付け:審決の予告
令和 2年 2月 3日 :訂正請求書、上申書(被請求人)
令和 2年 3月13日 :審判事件弁駁書(請求人)

第2 当事者の主張
1 請求人の請求の趣旨及び理由
(1)請求人の請求の趣旨は、「特許第5699232号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」というものである。

(2)請求人の請求の理由(無効理由及び証拠方法)は、審判請求書、口頭審理陳述要領書、上申書及び審判事件弁駁書の記載によれば、概略、以下のとおりのものと認められる。

(無効理由)
甲第1号証を主たる証拠として、本件特許の請求項1?3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

(証拠方法)
甲第1号証:特開2002-301483号公報
甲第2号証:特開2013-126650号公報
甲第3号証:特開2007-229695号公報
甲第4号証:特開2005-13825号公報
甲第5号証:特開2005-13833号公報
甲第6号証:特開2013-22567号公報
甲第7号証:特開2011-87547号公報
甲第8号証:特開2012-176395号公報
甲第9号証:株式会社KIYORAきくちのウェブページ上のコラム
「【水素水の誤解3】水素って水に溶けるの?水素水の水
素って引火しないの?」、2014年7月3日公開、
<https://www.kiyora-kikuchi.com/column/864.html>
甲第10号証:特開2004-237271号公報
甲第11号証:特開2009-180277号公報
甲第12号証:新村出編、広辞苑[第六版]、株式会社岩波書店、
平成20年1月11日、第2433頁、第2434頁
なお、甲第1号証?甲第8号証は、審判請求書とともに、甲第9号証は、上申書とともに、甲第10号証?甲第12号証は、審判事件弁駁書とともに提出された。

2 被請求人の反論
被請求人の反論の趣旨は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」というものである。

第3 訂正の適否
1 訂正の内容
令和2年2月3日になされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。なお、下線部が訂正箇所である。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「該容器を密閉できるキャップ」と記載されているのを、「該容器を密閉できる逆止弁を備えた接合部を有するキャップ」に訂正する。また、当該請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記容器に水素を供給する連結管を有する」と記載されているのを、「前記容器に水素を供給する連結管であって末端が前記キャップの前記接合部に連結される連結管を有する」に訂正する。また、当該請求項1を引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。

ここで、訂正前の請求項2及び3は、訂正前の請求項1を引用し、これら請求項1?3は一群の請求項を構成するものであるから、上記訂正事項1及び2に係る特許請求の範囲についての訂正(本件訂正)は、特許法第134条の2第3項の規定に従い、この一群の請求項〔1?3〕を訂正の単位として請求されたものである。

2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「キャップ」について、「逆止弁を備えた接合部を有する」点を追加して、その構造を限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、願書に添付された明細書の段落【0033】には、「逆止弁を備えた接合部42を有するキャップ40」との記載がなされているから、訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載された「連結管」について、「末端が前記キャップの前記接合部に連結される」点を追加して、その構造を限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、願書に添付された明細書の段落【0024】には、「例えばペットボトルを密閉容器として用いる場合、水素ボンベから繋がるフレキシブルパイプとペットボトルを結合する接続部が必要である。・・・連結管の末端にはこの接続部に連結するためのエンドコネクタが付設される」との記載がなされ、また、同段落【0033】には、「本実施例1では、ペットボトル10に水道の蛇口に取り付けた浄水器で浄化した水道水を250mL入れ、逆止弁を備えた接合部42を有するキャップ40を装着した。接合部42と水素吸蔵合金ボンベ20とを耐圧チューブ30で連結した。」との記載がなされているから、訂正事項2は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものである。

3 訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。

第4 本件発明
上記第3のとおり、本件訂正は容認できるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明3」という。)は、令和2年2月3日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
水を収容して密閉可能な容器と、
該容器を密閉できる逆止弁を備えた接合部を有するキャップと、
水素を収容した水素貯蔵容器と、
該水素貯蔵容器と前記容器を連結し、前記容器に水素を供給する連結管であって末端が前記キャップの前記接合部に連結される連結管を有する水素水の製造装置であって、
前記容器がペットボトル、アルミニウムボトル及びスチールボトルから選ばれた1種であり、
前記水素貯蔵容器に収容された水素は、水とともに前記容器内に収容された気体状態の水素を前記容器内の水素圧力として1気圧以上かつ10気圧未満に加圧し、
前記容器を振り混ぜることにより、前記容器内の水と水素を接触させて水素水を製造することを特徴とする水素水の製造装置。
【請求項2】
前記連結管は、耐圧性のフレキシブルチューブで構成され、前記水素貯蔵容器を接続したまま、前記容器を振り混ぜることができることを特徴とする請求項1に記載の水素水の製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水素水の製造装置を用いる水素水の製造方法であって、
前記水素貯蔵容器と前記容器を連通し、前記容器内の水素圧力を1気圧以上、10気圧未満とする加圧段階、及び、
前記水素貯蔵容器と前記容器を連通した状態で、前記容器を振り混ぜることにより、水と水素とを接触させて水に水素を溶存させる混合段階を有することを特徴とする水素水の製造方法。」

第5 無効理由についての当審の判断
1 甲号証について
(1)甲第1号証の記載事項と甲第1号証に記載された発明(甲1発明)
ア 甲第1号証には、「水素水製造装置」に関して、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 飲料水を電気分解することなく、水素水にすることを特徴とする水素水製造装置。
【請求項2】 飲料水を電気分解することなく、水素を発生する装置で、水中に水素を吹き込み、注入して水素水にすることを特徴とする水素水製造装置。
【請求項3】 水素を発生する装置を設け、ボトルに入った水の中に、水素を吹き込み注入して、水素水にすることを特徴とする水素水製造装置。」
(イ)「【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
(イ)水素(3)を充填している水素ボンベ(1)とバルブ(2)と水素導管(4)を設ける。
(ロ)他に、ボトル(5)とボトル(5)内の水(6)と栓(7)を設ける。本発明は以上のような構成で、これを使用するときは、水素(3)を充填している水素ボンベ(1)の水素(3)を、バルブ(2)を開いて水素導管(4)を通って、ボトル(5)内の水(6)の中に吹き込み注入)して、ボトル(5)内の水(6)を水素水にする」
(ウ)「【図1】



イ 上記ア(ア)及び(イ)に摘示した記載によれば、上記ア(ウ)に摘示した図1には、水素水製造装置が示されているといえ、ボトル(5)が栓(7)で密閉されていることが見て取れるから、これら記載を「水素水製造装置」に注目して整理すると、甲第1号証には、
「水(6)を収容して密閉可能なボトル(5)と、
ボトル(5)を密閉できる栓(7)と、
水素(3)を収容した水素ボンベ(1)と、
水素ボンベ(1)とボトル(5)を連結し、ボトル(5)に水素(3)を供給する水素導管(4)を有する水素水製造装置であって、
栓(7)で密閉されたボトル(5)内の水(6)に水素(3)を吹き込み注入する水素水製造装置。」
の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、「水素水の生水方法及び生水装置」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0003】
水素は気体中で一番分子量が小さくそのために水素水を調整して容器に密閉しても、保存中に気散してしまう欠点がある。従って、工場で水素水を調整して容器に詰めても保存や流通過程で水素が容器から気散してしまい、消費者の手元に渡った時点ではかなり水中の溶存水素濃度(DHと略す)が低下したものとなってしまう欠点があった。・・・」
イ 「【0017】
図1?図3並びに図12に示した本発明の水素水の生水装置を用いて本発明の生水方法を説明する。図1に於いて(A)は密閉容器で飲料水(1)と上部空間に存在する水素ガス若しくは水素ガスを含む混合気体(以降、混合気体と省略する)を接触させて飲料水に水素を溶解させて水素水を生水する装置である。幾つかの水素水の生水方法があるがその一つについてまず説明
する。図3の装置で容器(A)にはフロート式取水口(4)、容器(B)には水素発生剤が収納されていない装置とする。配管(9)、配管(6)のバルブは開にして、飲料水の注入口に接続された配管(2)から水道水などの飲料水を容器(A)にその容積の約8割程度、aLの量を充填してバルブを閉とする。
【0018】
容器(B)の配管(13)を水素ボンベに接続して配管(12)のバルブを閉とし、配管(11)、(6)のバルブを開として水素ガスを容器(B)から容器(A)へ加圧供給する。この場合、水素ガスは容器(A)の底部に位置する気体拡散装置を通して微細な気泡となって飲料水中を上昇して容器(A)の上部空間に集合する。容器(A)、(B)の内圧がPuとなった時点で配管(13)のバルブを閉として水素ガスの供給を停止する。Puが高いほど水素水のDHは高くなるが数気圧以下が安全性の面で好ましい。」
ウ 「【0023】
水素は分子量が小さいために水中への拡散速度が速いと考えられる。従って、容器(A)内で上部の水面から水素を加圧しても可なり早い速度で容器(A)の下部に位置する排水口まで水素が到達してDHの高い水素水が得られる。本装置では水素の水への溶解を促進するために気体拡散装置を装備しているが、更に上部からの水素溶解も重要な工程である。しかしながら、拡散にはやはり時間がかかるので高いDHを有する水素水を採水するのは飲料水を充填してからしばらくは採水を待つのが好ましい。」
エ 「【0026】
図2は容器(A)を水平方向に振動する台車(10)の上に搭載して容器Aを振動させる水素水の生水装置を示している。容器(A)を振動することで飲料水が攪拌されて水素が迅速に飲料水に溶解して拡散する。・・・」
オ 「【実施例1】
【0038】
ステンレス製の円筒状の容器(A)、(B)を用意して図3に示したように配管で容器(A)と(B)を接続した。容器(A)、(B)の内容積はそれぞれ25.6L、7.8Lであり、容器(A)内には水面上に浮上する取水口(4)は装備せず、ガス拡散装置(8)として配管(7)の先端にポリエチレン粉末を焼結して製造した多孔質焼結体を装備した。また容器(B)内は空として水素発生剤は用いなかった。
【0039】
最初に配管(6)、(9)を開として、配管(2)より水道水20L(1)を(A)に充填した。次いで容器(B)の配管(13)を水素ボンベに接続して配管(12)を閉とし、配管(11)と容器(A)の配管(6)を開、配管(2)と(9)のバルブを閉として水素を容器(B)から(A)へ供給した。容器(B)の内圧が上昇するにつれて気体拡散装置から水素が気泡となって飲料水中へ分散する様子が容器(A)からの発音で分かった。容器(A)及び(B)の内圧がゲージ圧で0.17MPaになった時点で配管(13)のバルブを閉じて水素の供給を止めた。
【0040】
この時点を時間0として以後20分ごとに容器(A)の排水口(3)から2Lづつ飲料水をPETボトルに採水してその溶存水素濃度(DH)を分析して求めた。採水時に容器(A)の内圧が低下するため容器(B)から容器(A)へ気体拡散装置を通して水素が供給されるのが発音で観察された。最後の200分後では1.5Lを採水したが内圧が0.1気圧以下まで低下して採水に時間を要した。・・・」
カ 「【実施例3】
【0046】
実施例1と同じ装置で容器(A)を図2に示したように台車(10)に載せた。容器(A)に水道水20Lを配管(2)から注入した後、容器(A)の配管(9)と容器(B)(水素発生剤は無)の配管(12)を配管(16)で接続してバルブを開とし、容器(A)の配管(2)、(6)、容器(B)の配管(11)を閉とした。次いで、容器(B)の配管(13)を窒素ボンベに接続して容器(B)と(A)に窒素ガスを導入して約0.1MPa迄加圧した後バルブを閉じて、配管(2)のバルブを開にして容器(A)、(B)の内圧が0気圧になるまで窒素ガスをパージした。この操作を合計3回繰り返して容器(A)と(B)の空間を窒素で置換した。
【0047】
次いで、容器(A)と容器(B)の配管(6)と(11)のバルブを開、配管(2)、(9)、(12)を閉として、容器(B)の配管(13)を水素ボンベに接続して容器(B)と(A)の内圧が0.17MPaになるまで加圧した。この時点を0時間として最初の20分は10分間隔で、それ以降は20分間隔で1回に付き2Lの水素水を排水口から採水してそのDHを測定した(Run.8)。但し、最初の20分は台車を60回/分のサイクル、振幅約10cmで水平の往復運動を台車に1分間加え、次いで2分間は休止するサイクルを繰り返して容器(A)内の飲料水を攪拌した。採水時間が20分以上では攪拌操作は中止した。また、DHの測定は一部の採水については省略した。
・・・
【0049】
・・・また図9に攪拌の効果を明らかにするために実施例1の攪拌無の場合(1回目)と今回の往復運動での攪拌を実施した第1回目データーを比較して示した。Run.1は空気と水素の混合気体、Run.8は窒素と水素の混合気体であるが、実験条件としてはほぼ同じと考えられる。図から攪拌の効果が十分あり水素の加圧開始から10分後でも0.6ppmを超える高いDHの水素水が得られ、且つ全体に高いDHの水素水が得られる事が解った。」
キ 「【図2】


ク 「【図3】


ケ 「【図9】



(3)甲第3号の記載事項
甲第3号証には、「水素結合水の製造方法及び水素結合水の製造装置」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】
・・・請求項3の発明は、耐圧タンク内の圧力を、水道水の水圧によって耐圧タンクに圧入した水素ガスの圧力を高め、この水素ガスを水に溶解させることを特徴とする請求項1の水素結合水の製造方法である。こうすることで、圧入された水素ガスはより高効率に水に溶解する。」
イ 「【0018】
・・・水道水を水素溶解タンク1に加圧(通常の水道水耐圧:0.25Mpa程度以上)して噴射させて、上記したように水素ガスを溶解させる。・・・
【0019】
・・・上記のように、水道水の水圧0.25Mpaの場合、水素ガス溶解タンク及び生成タンクの圧力は0.15?0.2Mpaとなり、弁eの2次側(生成タンクの出口)は大気圧となっている。」

(4)甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、「還元性水素水、還元性水素水の製造装置」に関して、次の事項が記載されている。
「【0038】
良好なる気液混合をなすために、原水(原料水)散布スプレーノズル1と水素ガス供給ノズル2の間隔(上下距離)が300mm以上であることが必要である。圧力容器の内圧は、大気圧に対しての差圧0.01MPa?0.9MPaの範囲で維持するのが好適である。」

(5)甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、「還元性水素水、還元性水素水の製造装置」に関して、次の事項が記載されている。
「【0039】
良好なる気液混合をなすために、原水(原料水)散布スプレーノズル1と水素ガス供給ノズル2の間隔(上下距離)が300mm以上であることが必要である。圧力容器の内圧は、大気圧に対しての差圧0.01MPa?0.9MPaの範囲で維持するのが好適である。」

(6)甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、「水素水製造装置及び水素水製造方法」に関して、次の事項が記載されている。
「【0022】
・・・水素発生部で発生した水素は容器に供給される。容器に供給された水素は、水素発生部で発生した水素自身によって加圧された状態、例えば、水素の圧力が0.3MPaになる。加圧された水素は該容器に予め貯留しておいた水に溶解し、水素水が製造される。この水素水は、加圧された水素が貯留された水に溶解してなるものであるため、大気圧下での飽和水素濃度、例えば、1,500μg/Lよりも高い。従って、大気圧下での飽和水素濃度よりも高い水素水、例えば水素濃度が1,900μg/Lの水素水を外部へ供給することが可能である。」

(7)甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、「水素含有飲料の飲料用容器及び水素含有飲料の製造方法」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、ペットボトルその他のボトル内の飲料用液体に対して水素を含有させることを可能し、または水素含有飲料の含有水素の放出を防止しできる水素含有飲料の飲料用容器及び水素含有飲料の製造方法」
イ 「【0020】
・・・
容器に関しては、ボトル例えばペットボトルやその他の各種ボトルなど、飲料用缶その他の飲料用容器であればよいものであり、材質や形状は各種のものを用いたものであってもよい。」
ウ 「【0021】
・・・
次に、飲料内に水素を含有していない通常の一般的な飲料の容器内空隙11に前記水素ガスを封入するものであってもよい。
この場合飲料3内に水素を含有しているものではないが、高濃度の水素ガスを容器内空隙11に封入することにより、自然に飲料3に溶け込んでいくものとなる。
従って、飲料を水素含有飲料にすることができる。
【0022】
この場合例えばボトルを振るなどして飲料3と水素ガスとを撹拌することにより効果的に飲料3内に水素を溶け込ますことができる。・・・」

(8)甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、「水素水の調整方法及び生水器」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明はPETボトルなどの容器中の水、各種飲料水やお酒などの水若しくは水溶液に水素を溶解させる水素水の調整方法及びその装置に関する。」
イ 「【0034】
水素の水中への溶解は気液接触界面の面積が大きいほど早く、また界面での濃度分極などを考えると容器中の水を撹拌するのが短時間でDHの高い水素水を調整するのに好ましい。そのためには外蓋で密閉して容器内を水素で加圧状態にした後に容器を手で振動して容器内のA液を攪拌するのが好ましい。この撹拌効果を高めるために、予め容器内にプラスチックなどの板片を入れたり、内蓋や容器の底部に邪魔板などを設けた構造を有する器具を用いるなどの工夫は好ましい。」
ウ 「【0035】
本発明で用いる密閉容器は数気圧の圧力に耐える容器であれば金属製、プラスチック製のいずれでも使用可能である。プラスチック製では炭酸飲料水などに使用される肉厚のPETボトルが安全性の面から好ましい。・・・」

(9)甲第9号証の記載事項
甲第9号証には、「水素水」に関して、次の事項が記載されている。
「水素を溶け込ませる方法は2つあります。
1つは、バブリングといって、
水素の気体を水の中に出し続けて
時間をかけて溶け込ませていくもの。
小さいビーカー1杯分を飽和濃度(1.6ppm)に
近づけようとすると、
毎分5Lの水素を5分間ほど
バブリングすることになります。」(「水素を溶け込ませる技術」欄)

(10)甲第10号証の記載事項
甲第10号証には、「酸素水の生成方法及び酸素水生成容器」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
容器に原料水と酸素ガスを密封し、揺動手段により酸素水を生成することを特徴とする酸素水の生成方法及び酸素水生成容器。」
イ 「【0017】
容器1は、PETや、ナイロン等の樹脂や、アルミニュームや鉄等の金属から形成されている。・・・」
ウ 「【0030】
図6は、本発明の容器1であり、容器1には原料水2と酸素ガス3が密栓4により密封されている。密栓4には穴8が明けられ、さらに、容器1に対して外から中には酸素ガス3が封入可能で、中から外には酸素ガス3が漏れない逆止弁9からなる陽圧密封手段が具備されている。酸素ガス3は、酸素ボンベや酸素濃縮器等から陽圧状態で逆止弁9を通り封入されると、逆止弁9は内圧により穴8を塞ぎ、陽圧状態で容器1に密封される。
【0031】
密栓4に陽圧密封手段を具備したことで、容器1を搖動した際に、容器1の中の原料水2への酸素ガス3の溶解が助長され、陽圧でない時よりも酸素の溶存効率が向上した酸素水ができあがる。なお、本実施態様では、密栓4に逆止弁9を一体化して陽圧密封手段として説明したが、自転車等のタイヤのバルブの構造であってもよい。また、陽圧密封手段は、容器1に設けてもよい。」

(11)甲第11号証の記載事項
甲第11号証には、「カプラ及びガス又は液体の供給装置」に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0005】
本発明によるカプラは、水素吸蔵合金を内蔵した容器と、前記容器の表面側に取付けられ、バネ付勢による自己シール型オス型用開閉バルブ機構を有するオス型カプラ部と、を備え、前記オス型カプラ部を前記容器の表面側に設けた構成であり、また、前記オス型カプラ部には、オス型と同一又は類似構造のバネ付勢による自己シール構造を持つメス型用開閉バルブ機構を有するメス型カプラ部が着脱自在に設けられる構成であり、また、前記オス型カプラ部の一端には、前記水素吸蔵合金よりも微細な孔を有するフィルタが設けられている構成であり、また、前記メス型カプラ部にはオス型カプラとの脱着時に容器側とのシールを行なうOリングが設けられている構成であり、また、前記メス型カプラ部を接続部の表面側に設けた構成であり、また、前記メス型カプラ部におけるメス用筒体と前記接続部におけるメス型保持部とを一体化した構成であり、また、請求項1記載のオス型カプラ部と請求項2記載のメス型カプラ部とにより、ガス又は液体の出し入れを行う構成であり、また、前記フィルタはカシメにより設けられている構成である。」
イ 「【0007】
本発明は、バルブ開閉機構を有するオス型カプラ部とメス型カプラ部により、簡単な構成によって水素などの出し入れを可能とするカプラ及び水素などの供給装置を提供することを目的とする。」
ウ 「【0010】
前記メス型カプラ部2のバネ付勢による自己シール型メス型用開閉バルブ機構30は、外周にOリング20と27を有するメス用筒体21内に出入自在に設けられ、外周にシール22を有するメス用バルブ24と、前記メス用筒体21の座フタ25の端部25aと前記メス用バルブ24との間に設けられた前記バネ26と、から構成されている。
従って、前記メス用バルブ24が、前記バネ26に抗して又はバネ力により軸方向に移動することにより、前記シール22が移動し、穴28が開閉することで、メス型用開閉バルブ機構30の開閉が行われるように構成されている。・・・」
エ 「【0011】
・・・
また、図5と図6は、図4の角型の水素貯蔵容器50とは別の円筒状の容器60(例えば、周知のスプレー缶等と同等の容量)の表面60aに、前記オス型カプラ部1を取付け、充填ノズル70にメス型カプラ部2を取付けた状態を示している。
【0012】
従って、前述の状態で、図5と図6における容器60のオス型カプラ部1に充填ノズル70のメス型カプラ部2を接続させると、図1に示されるように、メス型用開閉バルブ機構30のメス用バルブ24のシール22が移動して穴28が開状態となり、オス型用開閉バルブ機構6のオス用バルブ12のシール9が移動して穴13が開状態となり、容器60内の水素が、フィルタ40を経てオス型用開閉バルブ機構6から導通口14と29を経て、メス型用開閉バルブ機構30を介して座フタ25の端部25aの穴から充填ノズル70のパイプ71を経て外部へ水素が供給される。尚、前述と逆に、容器60内に水素を充填することもできる。・・・」

(12)甲第12号証の記載事項
甲第12号証には、次の事項が記載されている。
ア 「ふき-こ・む【吹き込む】・・・ふきいれる。・・・」(第2434頁)
イ 「ふき-い・れる【吹き入れる】・・・ふきい・る(下二)吹いてある物の内へ入れる。ふきこむ。」(第2433頁)

2 本件発明1について
(1)甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「ボトル(5)」、「栓(7)」、「水素ボンベ(1)」、「水素導管(4)」、「水素水製造装置」は、それぞれ、本件発明1の「容器」、「キャップ」、「水素貯蔵容器」、「連結管」、「水素水の製造装置」に相当するといえる。
また、甲1発明の「栓(7)で密閉されたボトル(5)内の水(6)に水素(3)を吹き込み注入する」ことは、水素を吹き込み注入することで、ボトル(5)内の水素が気体状態で加圧されると共に、水素が水と接触して水素水が製造されることといえるから、本件発明1の「前記水素貯蔵容器に収容された水素は、水とともに前記容器内に収容された気体状態の水素を前記容器内の水素圧力として加圧」すること、及び、「前記容器内の水と水素を接触させて水素水を製造する」ことに相当するといえる。
したがって、本件発明1は、甲1発明と、
「水を収容して密閉可能な容器と、
該容器を密閉できるキャップと、
水素を収容した水素貯蔵容器と、
該水素貯蔵容器と前記容器を連結し、前記容器に水素を供給する連結管を有する水素水の製造装置であって、
前記水素貯蔵容器に収容された水素は、水とともに前記容器内に収容された気体状態の水素を前記容器内の水素圧力として加圧し、
前記容器内の水と水素を接触させて水素水を製造する水素水の製造装置。」の点で一致し、以下の相違点1?4で相違していると認められる。
(相違点1)
本件発明1では、容器内の水素圧力が「1気圧以上かつ10気圧未満」であるのに対して、甲1発明では、その点が明らかでない点。
(相違点2)
本件発明1では、容器内の水と水素を接触させる手段が「容器を振り混ぜる」ことであるのに対して、甲1発明では、容器内の水と水素を接触させる手段が「水(6)に水素(3)を吹き込み注入」することである点。
(相違点3)
本件発明1では、容器が「ペットボトル、アルミニウムボトル及びスチールボトルから選ばれた1種であ」るのに対して、甲1発明では、ボトル(容器)の材質が明らかでない点。
(相違点4)
本件発明1では、キャップが「逆止弁を備えた接合部」を有し、連結管の末端が「前記キャップの前記接合部に連結される」のに対して、甲1発明では、その点が明らかでない点。

(2)相違点の検討
当審は、上記相違点1?4に係る本件発明1の構成のうち、相違点4の構成については、容易想到の事項とはいえないと判断する。以下、念のため、相違点1から順にその理由について詳述する。

ア 相違点1について
甲第2号証には、上記1(2)アに摘示した「溶存水素濃度(DHと略す)」との記載、及び、上記1(2)イに摘示した「密閉容器で飲料水(1)と上部空間に存在する水素ガス若しくは水素ガスを含む混合気体(以降、混合気体と省略する)を接触させて飲料水に水素を溶解させて水素水を生水する装置である。・・・水素ガスを容器(B)から容器(A)へ加圧供給する。・・・容器(A)、(B)の内圧・・・Puが高いほど水素水のDHは高くなるが数気圧以下が安全性の面で好ましい。」との記載があるから、これらの記載によれば、加圧供給する水素ガスを密閉容器内の飲料水に接触させる水素水の製造装置において、密閉容器の水素圧力は、水素水の溶存水素濃度と装置の安全性の関係から定めることが記載されているといえる。
また、上記1(3)?(6)に摘示した甲第3号証?甲第6号証の記載によれば、水素水製造装置における容器内の水素圧を「1気圧以上かつ10気圧未満」とすることは、本件特許に係る出願時の技術常識といえる。
そして、甲1発明の水素水製造装置は、ボトル(5)内の水素が気体状態で加圧されるものであり、甲第2号証に記載された製造装置と同じ技術分野に属するものであることや、上記技術常識を踏まえると、甲1発明において、容器(ボトル)内の水素圧力は、「1気圧以上かつ10気圧未満」になっているとみるのが妥当である。
したがって、上記相違点1は実質的なものではない。

イ 相違点2について
甲第2号証には、上記1(2)イ及びクに摘示したとおり、密閉容器と、密閉容器の底部に位置する気体拡散装置と、気体拡散装置に配管を介して接続した水素ボンベとを備え、密閉容器に飲料水を充填し、水素ボンベから気体拡散装置を通して加圧供給された水素ガスを微細な気泡として飲料水中を上昇させて上部空間に集合させた後、上部空間に存在する水素ガスを飲料水に接触させる水素水の製造装置が記載されている。
また、甲第2号証には、上記1(2)オ、カ、キ及びケに摘示したとおり、上記製造装置において、水素ボンベから気体拡散装置を通して加圧供給された水素ガスを微細な気泡として飲料水中を上昇させて上部空間に集合させた後、上部空間に存在する水素ガスを飲料水に接触させる際に、密閉容器を往復運動させて攪拌させた場合(実施例3、Run.8)の10分後に採水した水素水の溶存水素濃度が、攪拌しない場合(実施例1、Run.1)の20分後に採水した水素水の溶存水素濃度と比較して、高い溶存水素濃度となることが記載されている。
これらの記載からみて、甲第2号証には、密閉容器内の水に水素を接触させる手段として、密閉容器内の水に水素を吹き込み注入した後に、密閉容器を往復運動させて容器を振り混ぜる(攪拌させる)手段が記載され、密閉容器内の水に水素を吹き込み注入した後に容器を振り混ぜない(攪拌しない)場合より、短時間で高い溶存水素濃度の水素水が得られることが記載されているといえる。
さらに、水素ガスを水と接触させて水素水を製造するに際して、水素ガスと水を振り混ぜることで水素ガスを水に効果的に溶解できることは、例えば、上記1(7)ウに摘示した甲第7号証の記載や、上記1(8)イに摘示した甲第8号証の記載のとおり、周知技術にすぎない。
上記認定の甲第2号証の記載事項及び周知技術を併せ考えると、短時間で高い溶存水素濃度の水素水を得るために、甲1発明の容器(ボトル)内の「水(6)に水素(3)を吹き込み注入」した後に、容器(ボトル)を往復運動させて「容器を振り混ぜる」という手段を設けることは、当業者であれば容易に想到し得ることであると解するのが合理的である。
なお、甲第9号証は、相違点2に関して、バブリングのみでは十分な溶存水素濃度を有する水素水を製造することができないことを立証するための証拠であるが、この証拠を参酌するまでもなく、上記相違点2に係る本件発明1の構成が容易想到であることは、上記のとおりである。

ウ 相違点3について
甲第7号証及び甲第8号証には、上記1(7)ア及びイ、及び、上記1(8)ア及びウに提示した記載によれば、水素水の飲料用容器として、ペットボトルや金属缶を使用することが記載されている。また、飲料用容器として、ペットボトル、スチールボトル及びアルミニウムボトルを使用することは、先行技術文献を示すまでもなく、周知技術である。
そして、甲第1号証の上記1(1)アに摘示した「【請求項1】飲料水を電気分解することなく、水素水にすることを特徴とする水素水製造装置。」との記載によれば、甲1発明の水素水は飲料用のものといえるから、甲第7号証及び甲第8号証に記載された周知技術を踏まえれば、甲1発明の容器(ボトル)をペットボトル、スチールボトルあるいはアルミニウムボトルの飲料用容器とすることは、当業者であれば容易になし得ることにすぎない。

エ 相違点4について
(ア)甲第10号証には、上記1(10)ア?ウに摘示したとおり、PETからなる容器内に原料水と酸素を密栓により密封し、容器を揺動させることで酸素水を生成する酸素水生成容器において、密栓に逆止弁からなる陽圧密封手段を設けて、酸素ボンベからの水素が容器内に陽圧状態で封入できるように、密栓に逆止弁からなる陽圧密封手段を設けることが記載されている。
また、甲第11号証には、上記1(11)ア?エに摘示したとおり、容器の表面にオス型用開閉バルブ機構を有するオス型カプラ部を取り付け、充填ノズルにメス型開閉バルブ機構を有するメス型カプラ部を取り付け、オス型カプラ部にメス型カプラ部を接続させると、オス型用開閉バルブ機構及びメス型用開閉バルブ機構が開状態になり、水素ノズルから容器内に水素を充填できることが記載されている。
したがって、これら記載からみて、密閉容器にガスを供給するに際して、密閉容器やそのキャップに、逆止弁を設けることや、開閉バルブ機構を備えたカプラ部(接合部)を設けること自体は周知技術といえるかもしれない。
しかしながら、甲1発明は、「ボトル(5)内の水(6)に水素(3)を吹き込み注入する」ものであり、ここでいう「吹き込む」とは、上記1(12)ア及びイに摘示した甲第12号証の記載によれば、「吹いてある物の内へ入れる」ことを意味していると解されるから、甲1発明の「ボトル(5)内の水(6)に水素(3)を吹き込み注入する」ことを具現するには、少なくとも「水素を吹いて水の内へ入れる」ための構成が不可欠である。そして、当該構成としては、上記1(1)ア(ウ)に摘示した図1のように、水素導管の末端を水中に配置して水素を水中に直接導入する構造(甲1発明が一義的に想定するもの)の他にも、ボトル内の水に対して液面側から水素を吹き入れる構造も考えられるが、この場合、水素導管の末端をボトル内の水の液面近傍に配置して、水素を強く吹き入れる必要がある(そうでないと水の内に水素を入れることはできない。)から、結局、甲1発明は、水素導管の末端が水中または液面近傍に配置されている構造を前提とするものと解するのが合理的である。
そうすると、甲1発明において、上記周知技術に基づき、栓に逆止弁を備えた接合部を設けた上で、水素導管の末端を前記接合部に連結された場合には、上記前提を欠くことになるから、甲1発明において、上記周知技術を採用することには阻害要因があるというほかない。

(イ)請求人は、上記相違点4に関して、甲第1号証には、水素導管(4)が水(6)中に挿入されていなければならないとの記載は存在せず、甲第12号証(広辞苑[第六版])の「吹き込む」との用語の定義によると、甲第1号証の「吹き込み」には、ボトル(5)内に収容されている水(6)の液面側から水素(3)を吹き入れるものを含むことから、甲1発明の連結管の末端をキャップの接合部に連結させることは、甲第1号証の技術思想内において、吹き込みの形態を限定しているに過ぎない旨を主張している(審判事件弁駁書第5頁第1行?末行)。
しかしながら、上記(ア)で検討したとおり、甲1発明は、ボトル内の水の液面側から水素を吹き入れる場合であっても、水素導管の末端がボトル内の水の液面近傍に配置されることを前提とするから、連結管の末端をキャップの接合部に連結させることも、甲第1号証の技術思想内であるとする請求人の上記主張は採用できない。

オ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項をすべて備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上の検討のとおり、本件特許の請求項1?3に係る発明についての特許は、請求人の主張する無効理由によっては無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決をする。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を収容して密閉可能な容器と、
該容器を密閉できる逆止弁を備えた接合部を有するキャップと、
水素を収容した水素貯蔵容器と、
該水素貯蔵容器と前記容器を連結し、前記容器に水素を供給する連結管であって末端が前記キャップの前記接合部に連結される連結管を有する水素水の製造装置であって、
前記容器がペットボトル、アルミニウムボトル及びスチールボトルから選ばれた1種であり、
前記水素貯蔵容器に収容された水素は、水とともに前記容器内に収容された気体状態の水素を前記容器内の水素圧力として1気圧以上かつ10気圧未満に加圧し、
前記容器を振り混ぜることにより、前記容器内の水と水素を接触させて水素水を製造することを特徴とする水素水の製造装置。
【請求項2】
前記連結管は、耐圧性のフレキシブルチューブで構成され、前記水素貯蔵容器を接続したまま、前記容器を振り混ぜることができることを特徴とする請求項1に記載の水素水の製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水素水の製造装置を用いる水素水の製造方法であって、
前記水素貯蔵容器と前記容器を連通し、前記容器内の水素圧力を1気圧以上、10気圧未満とする加圧段階、及び、
前記水素貯蔵容器と前記容器を連通した状態で、前記容器を振り混ぜることにより、水と水素とを接触させて水に水素を溶存させる混合段階を有することを特徴とする水素水の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-05-28 
結審通知日 2020-06-04 
審決日 2020-06-16 
出願番号 特願2014-24249(P2014-24249)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 紀史  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 宮澤 尚之
後藤 政博
登録日 2015-02-20 
登録番号 特許第5699232号(P5699232)
発明の名称 水素水の製造装置及びその製造方法と保管方法  
代理人 天野 一規  
代理人 石田 耕治  
代理人 塩野谷 英城  
代理人 塩野谷 英城  
代理人 池田 義典  
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