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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02M
管理番号 1366810
審判番号 不服2019-15403  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-18 
確定日 2020-10-27 
事件の表示 特願2017-553708「インジェクタ、燃料レール及び燃料レールアッセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月8日国際公開、WO2017/094401、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月26日(国内優先権主張平成27年11月30日)を出願日とする出願であって、その手続は以下のとおりである。

平成31年1月22日付け(発送日:同年1月29日):拒絶理由通知書
平成31年2月14日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年3月5日付け(発送日:同年3月12日):拒絶理由通知書
令和元年5月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年9月20日付け(発送日:同年10月1日):拒絶査定(以下「原査定」という。)、補正却下の決定
令和元年11月18日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

請求項1ないし17に対して:引用文献1ないし3
請求項18に対して :引用文献1ないし4

引用文献等一覧
1.実願昭53-104077(実開昭55-20686号)のマイクロフィルム
2.特開平8-14449号公報(周知技術として引用した文献)
3.特開2004-44633号公報(周知技術として引用した文献)
4.特開平8-246992号公報(周知技術として引用した文献)

第3 本願発明
本願の請求項1ないし請求項18に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明18」という。)は、令和元年11月18日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項18に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(下線は補正箇所を示すために、請求人が付した。)。

「【請求項1】
燃料レールの取付部に取り付けられるインジェクタにおいて、
前記取付部の取付孔に挿入され、シール部材によりシールされる挿入部を備え、
前記挿入部は前記シール部材と反対側でハウジングに固定され、
前記挿入部は、前記挿入部の端から前記シール部材によるシール位置までの距離に対し、前記シール位置から前記ハウジングとの固定位置までの距離が長くなるように構成され、
前記挿入部はストレートな円筒状のパイプであり、前記取付孔はテーパとなっている内周面を有し、前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、前記パイプの端部を前記取付孔のストッパ部へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触し、
前記シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、
前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接し、前記締付部材と前記押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項2】
燃料レールの取付部に取り付けられるインジェクタにおいて、
前記取付部の取付孔に挿入され、シール部材によりシールされる挿入部を備え、
前記挿入部の厚みは前記挿入部の径に対し4分の1以下となるように構成され、
前記挿入部はストレートな円筒状のパイプであり、前記取付孔はテーパとなっている内周面を有し、前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、前記パイプの端部を前記取付孔のストッパ部へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触し、
前記シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、
前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接し、前記締付部材と前記押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記挿入部の先端は、前記取付孔の底面に突き当てられるように構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項4】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記挿入部は、前記取付孔の入口側端面よりも前記燃料レールの側の全域において、前記入口側端面の内周側に位置するように構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項5】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記インジェクタは、前記取付部に対して締付部材が直接、締め付けられることにより前記取付部に固定されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項6】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
締付部材が締めつけられる際に締め付け方向に付勢され、かつ前記挿入部の外周面と前記取付孔の内周面との間に形成される隙間に挿入され、この隙間をシールするシール部材により前記挿入部の外周面と前記取付孔の内周面とがシールされることを特徴とするインジェクタ。

【請求項7】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記挿入部は、円筒状に形成される金属パイプであることを特徴とするインジェクタ。

【請求項8】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成され、締付部材が締めつけられる際に締め付け方向に付勢されることで、前記シール部材の先端部が前記挿入部の外周面と前記取付孔の内周面との間に形成される隙間に挿入され、該隙間を埋めることを特徴とするインジェクタ。

【請求項9】
請求項1又は2に記載のインジェクタにおいて、
前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成されるとともに、前記取付部の前記取付孔の内周面は前記締め付け方向に向かって内周側に傾斜するように形成され、
締付部材が締めつけられる際に締め付け方向に付勢されることで、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触するように構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項10】
請求項1に記載のインジェクタにおいて、
前記取付部の前記取付孔の内周側は前記挿入部の軸方向位置を決定するストッパ部を有し、前記挿入部の先端が前記ストッパ部に突き当てられることで位置決めされることを特徴とするインジェクタ。

【請求項11】
請求項1に記載のインジェクタにおいて、
前記押付部材は前記シール部材及び前記締付部材とは別体に構成されることを特徴とするインジェクタ。

【請求項12】
インジェクタが取り付けられる取付部を備えた燃料レールにおいて、
前記インジェクタはシール部材によりシールされる挿入部を備え、
前記取付部の取付孔の底面に前記挿入部の先端が突き当てられるように構成され、
前記挿入部はストレートな円筒状のパイプであり、前記取付孔はテーパとなっている内周面を有し、前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、前記パイプの端部を前記取付孔の底面へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触し、
前記シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、
前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接し、前記締付部材と前記押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成されることを特徴とする燃料レール。

【請求項13】
請求項12に記載の燃料レールにおいて、
前記挿入部は、前記取付孔の入口側端面よりも前記燃料レールの側の全域において、前記入口側端面よりも内周側に位置するように構成されることを特徴とする燃料レール。

【請求項14】
請求項12に記載の燃料レールにおいて、
前記インジェクタは、前記取付部に対して締付部材が直接、締め付けられることにより前記取付部に固定されることを特徴とする燃料レール。

【請求項15】
請求項14に記載の燃料レールにおいて、
前記締付部材が締めつけられる際に締め付け方向に付勢され、かつ前記挿入部の外周面と前記取付孔の内周面との間に形成される隙間に挿入され、この隙間をシールするシール部材により前記挿入部の外周面と前記取付孔の内周面とがシールされることを特徴とする燃料レール。

【請求項16】
請求項12に記載の燃料レールにおいて、
前記取付部の前記取付孔の内周側は前記挿入部の軸方向位置を決定するストッパ部を有し、前記挿入部の先端が前記ストッパ部に突き当てられることで位置決めされることを特徴とする燃料レール。

【請求項17】
請求項1?11の何れかに記載のインジェクタと、前記燃料レールとを備えたことを特徴とする燃料レールアッセンブリ。

【請求項18】
請求項17に記載の燃料レールアッセンブリにおいて、前記燃料レールに取り付けられたブラケットの端面をエンジンヘッド取り付け端面に固定し、前記インジェクタの先端位置を内燃機関の燃焼室に対し所定の位置に固定することを特徴とする燃料レールアッセンブリ。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭53-104077号(実開昭55-20686号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、「内燃機関の燃料噴射弁保持装置」に関して、図面(特に第2図、第6図)とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。

(1)引用文献1の記載事項
ア 「第2図は本考案装置の断面図であり、10は燃料供給主管、11はこの主管10に第3図のように気筒数に応じて突設した分岐管である。本例では6気筒器を例示してある。
この分岐管11は先端に雌ねじ部12を有し、この雌ねじ部12には金属又は樹脂等からなるコネクタ13の雄ねじ部14を螺合して両者を一体的に連結する一方、両者間に介装したガスケット15により液密性を保つている。
コネクタ13は軸心位置に連結孔16を有し、その先端内側にはコーン面17を形成している。また、先端外側には雄ねじ部18を有している。
一方、燃料噴射弁19は燃料噴射口20を吸気管21に穿設した孔22に嵌入させるとともに、シールリング(例えばOリング)23により機密性を保持し、吸気路24に燃料を噴射しうるようになつている。そして、噴射弁19の反対側端部、即ち燃料供給口25側端部を略球面状に形成し、これを前記コネクタ13のコーン面17に当接すると共に、前記雄ねじ部18に螺合するフレアナツト26にてコネクタに密接状態に連結するのである。」(明細書4ページ16行ないし5ページ17行)

イ 「上記構成によれば燃料噴射弁19の燃料供給口25はコネクタのコーン面17にフレアナツト26による締付力にて圧着すると共に、弾性部材29の弾性力により、燃料噴射弁19自体が吸気管21側に押圧されシールリング23による液密性が維持される。この結果、燃料噴射弁19前後における液密性は向上され、燃料漏れを確実に防止することができる。」(明細書6ページ12ないし19行)

ウ 「以上の説明は噴射弁19と主管10との間にコネクタ13を介在させたものについて説明したが、第6図に示すように燃料噴射弁19を直接分枝管11に連結することもできる。この場合には分枝管11先端に雄ねじ部34とコーン面35を形成し、ニツプルもしくはフレアナツト26にて締め付けるように構成すればよい。この構成によつても殆んど前例と同様の効果を奏する。」(明細書8ページ11行ないし16行)

エ 上記ア、ウ、第2図及び第6図には、噴射弁19が燃料供給口25を側端部に有する燃料供給管端管を備え、該燃料供給管端管の一方の端部である燃料供給口25側端部を、分枝管11のコーン面35に当接する状態でフレアナツト26の締付力にて圧着、つまりシールすると共に、反対側で吸気管21に固定される構造が示されているといえる。そして、該燃料供給管端管は燃料供給口25側端部が略球面状に形成された円筒状のパイプであり、燃料供給管端管の端からコーン面35によるシール位置までの距離に対し、当該シール位置から吸気管21との固定位置までの距離が長くなっており、コーン面35はテーパとなる内周面を有していることがわかる。

(2)引用発明
上記記載及び認定事項並びに図面(特に第2図、第6図)の図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕
「燃料供給主管10の分枝管11に連結される噴射弁19において、
前記分枝管11に形成したコーン面35に当接する状態でフレアナツト26の締付力にコーン面35及び燃料供給口25側端部によりシールされる燃料供給管端管を備え、
前記燃料供給管端管はコーン面35及び燃料供給口25側端部と反対側で吸気管21に固定され、
前記燃料供給管端管は、前記燃料供給管端管の端からコーン面35及び燃料供給口25側端部によるシール位置までの距離に対し、前記シール位置から前記吸気管21との固定位置までの距離が長くなるよう構成され、
前記燃料供給管端管は燃料供給口25側端部が略球面状な円筒状のパイプであり、前記コーン面35はテーパとなる内周面を有している噴射弁19。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-14449号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面(特に、図1、2を参照。)とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献2の記載
ア 「【0015】【実施例】この発明の実施例を、以下図面を参照して説明する。この明細書において、図1は、この発明の管継手の一実施例を示しており、後端側から管(2) が挿入される管状継手部材(1) と、継手部材(1) の後端側から突出した管(2) の周囲に嵌められる前側スリーブ(3) および後側スリーブ(4) と、前側スリーブ(3) および後側スリーブ(4) を締付けて管(2) を継手部材(1) に固定するナット(5) とを備えている。」

イ 「【0018】前側スリーブ(3) の外周には、継手部材(1) 後端のテーパ面(1b)に合致するテーパ面(3a)が形成され、同後端部内周には前細りテーパ状の環状凹部(11)が形成されている。【0019】後側スリーブ(4) の前端には、前側スリーブ(3)の凹部(11)に嵌まり込む前細りテーパ状の環状凸部(12)が形成されている。【0020】上記管継手において、ナット(5) を締付けると、ナット(5) の内向きフランジ(10)の前面が後側スリーブ(4) の後面に当り、これを前進させる。すると、後側スリーブ(4) の凸部(12)が前側スリーブ(3) の凹部(11)内に嵌まり込み、前側スリーブ(3) を後側スリーブ(4) とともに前進させ、前側スリーブ(3) の前端部が継手部材(1) のテーパ面(1b)に当る。さらに、締め付けると、前側スリーブ(3)および後側スリーブ(4) の各前端部が内方に変形させられて、管(2) に食い込み、管(2) が強く締付けられる。」

(2)引用文献2の記載事項
上記記載及び図面(特に図1、2)の図示内容からみて、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

[引用文献2記載事項]
「管継手において、管状継手部材(1)の後端側から管(2)が挿入され、前側スリーブ(3)及び後ろ側スリーブ(4)と、前側スリーブ(3)及び後ろ側スリーブ(4)を締付けて管(2)を継手部材(1)に固定するナット(5)を備え、ナット(5)を締め付けると、前側スリーブ(3)を後側スリーブ(4)とともに前進させ、前側スリーブ(3)及び後側スリーブ(4)の各前端部が内方に変形させられて、管(2)に食い込み、管(2)を強く締め付けること。」

3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-44633号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面(特に図1、2)とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献3の記載
ア 「【0010】図1および図2に示すように、この発明の管継手は、後端側から管(32)が挿入される管状ボディ(継手部材)(31)と、ボディ(31)の後端側から突出した管(32)の周囲に嵌められるフロントリング(33)およびバックリング(34)と、フロントリング(33)およびバックリング(34)を締付けて管(32)をボディ(31)に固定する袋ナット(35)とを備えている。【0011】ボディ(31)の中間部外周に外向きフランジ(36)が形成され、その前後両端部の外周におねじ部(37)(38)がそれぞれ形成されている。ボディ(31)の後端部の内周には、前側の部分より少し内径の大きい大径部(31a)が形成され、その後端部内周には、前細り状のテーパ面(31b)が形成されている。【0012】袋ナット(35)の前端部側の内周に、めねじ(35a)が形成されており、これがボディ(31)の後端部のおねじ部(38)にねじ嵌められている。袋ナット(35)の後端には、内向きフランジ(39b)が形成されている。【0013】フロントリング(33)の外周には、ボディ(31)後端のテーパ面(31b)に合致するテーパ面(33a)が形成され、同後端部内周には前細りテーパ状の環状凹部(33b)が形成されている。バックリング(34)の前端には、フロントリング(33)の凹部(33b)に嵌まり込む前細りテーパ状の環状凸部(34a)が形成されている。【0014】上記管継手(30)において、袋ナット(35)を締付けると、袋ナット(35)の内向きフランジ(39b)の前面がバックリング(34)の後面に当り、これを前進させる。すると、バックリング(34)の凸部(34a)がフロントリング(33)の凹部(33b)内に嵌まり込み、フロントリング(33)をバックリング(34)とともに前進させ、フロントリング(33)の前端部がボディ(31)のテーパ面(31b)に当る。さらに、締め付けると、フロントリング(33)およびバックリング(34)の各前端部が内方に変形させられて、管(32)に食い込み、管(32)が強く締付けられる。」

(2)引用文献3の記載事項
上記記載及び図面(特に図1、2)の図示内容からみて、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

[引用文献3記載事項]
「管継手において、管状ボディ(継手部材)(31)の後端側から管(32)が挿入され、フロントリング(33)およびバックリング(34)と、フロントリング(33)およびバックリング(34)を締め付けて管(32)を管状ボディ(継手部材)(31)に固定する袋ナット(35)を備え、袋ナット(35)を締め付けると、袋ナット(35)の内向きフランジ(39b)の前面がバックリング(34)の後面に当り、これを前進させ、フロントリング(33)およびバックリング(34)の各前端部が内方に変形させられて、管(32)に食い込み、管(32)が強く締付けられること。」

4 引用文献4
継手における接続部材に関する周知技術として、登録実用新案第3118770号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面(特に図1ないし6)とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献4の記載
ア 「【0007】
本実施形態における継手本体10は、1/8インチ配管接続用の雄コネクタであり、1/16インチ配管T側に雄ネジ状の第1のネジ11が設けられ、機器50側に機器50に螺着される雄ネジ状の第2のネジ12が設けられている(図2参照)。 また、継手本体10は、1/16インチ配管T側の先端から機器50側に向けて形成されたアダプタチューブ挿入孔13と、機器50側の先端から1/16インチ配管T側に向けて形成され、アダプタチューブ挿入孔13に連通する連通孔14とを有している。
アダプタチューブ挿入孔13は、開口部13aに向けて口径が拡がっているすり鉢状孔部13bと、口径が略1/8インチである挿入孔主部13cとからなっている。なお、本実施形態では、アダプタチューブ挿入孔13の口径の方が連通孔14の口径より大きい。すなわち、図2において、開口部13aから段差13dまでがアダプタチューブ挿入孔13である。」

イ 「【0010】
袋ナット30は、アダプタチューブ20を継手本体10に接続するためのものであり、アダプタチューブ20が挿入され、かつ、フェルール40が通過しない孔31aが形成された頭部31と、継手本体10の第1のネジ11に螺着される雌ネジ32とを有している(図4参照)。本実施形態において、頭部31の孔31aの口径は、アダプタチューブ20の外径と略同等である。
【0011】
本実施形態におけるチューブ固定用部材であるフェルール40は、アダプタチューブ20を継手本体10に接続するためのものであり、フロントフェルール41とバックフェルール42とから構成され、アダプタチューブ20を挿入する貫通孔41a,42aが各々形成されたものである(図5参照)。
ここで、フロントフェルール41は、アダプタチューブ挿入孔13のすり鉢状孔部13bに密着可能な外周面を有する切頭円錐状であって、先端41bに向けて口径が漸次小さくなる貫通孔41aが形成された部材である。フロントフェルール41の貫通孔41aの最小口径はアダプタチューブ20の外径と略同等である。
バックフェルール42は、環状の台座部42bと、台座部42bの一方の面から突出し、台座部42bから離間するにつれて外径が漸次小さくなるテーパ部42cとを有し、台座部42bからテーパ部42cの先端にかけて、アダプタチューブ20が挿入される貫通孔42aが形成された部材である。バックフェルール42の貫通孔42aの口径もアダプタチューブ20の外径と略同等である。
フェルール40においては、フロントフェルール41が継手本体10のアダプタチューブ挿入孔13に挿入され、フロントフェルール41の貫通孔41a内にバックフェルール42のテーパ部42cの先端側一部が挿入され、バックフェルール42の台座部42bの底面が袋ナット30の頭部31に当接する。
フェルール40の材質としては、継手本体10と同様のものを使用することができる。
【0012】
上述した継手ユニット1を用いて1/16インチ配管を機器に接続する手順の一例について説明する。まず、図6に示すように、継手本体10の第2のネジ12を機器50の雌ネジ51に螺着する。次いで、1/16インチ配管Tをアダプタチューブ20の配管挿入孔21内に挿入する。また、フロントフェルール41の先端側一部が継手本体10のアダプタチューブ挿入孔13のすり鉢状孔部13bに挿入され、バックフェルール42の台座部42bが袋ナット30の頭部31に当接した状態で、袋ナット30の雌ネジ32を継手本体10の第1のネジ11に手締めにより仮螺着する。この仮螺着により、フェルール40が袋ナット30の頭部31と継手本体10のすり鉢状孔部13bの内面とに当接する。
次いで、1/16インチ配管Tが挿入されたアダプタチューブ20を、袋ナット30の孔31a(図4参照)、バックフェルール42の貫通孔42a、フロントフェルール41の貫通孔41a(図5参照)、継手本体10のアダプタチューブ挿入孔13(図2参照)内に挿入する。そして、工具などを用いて袋ナット30を継手本体10の第1のネジ11に本螺着する。
【0013】
袋ナット30の頭部31にはバックフェルール42が当接しているため、本螺着の際に、袋ナット30がバックフェルール42を継手本体10方向に押し込み、バックフェルール42がフロントフェルール41を継手本体10方向に押し込む。そのため、フロントフェルール41が継手本体10のアダプタチューブ挿入孔13のさらに内部に挿入する。ここで、フロントフェルール41は、内側に向けて縮径するすり鉢状孔部13bに当接しているため、フロントフェルール41の先端はすり鉢状孔部13bよって絞られて変形する。その変形の結果、フロントフェルール41の貫通孔41aが縮径するため、フロントフェルール41がアダプタチューブ20に密着して固定される。また、バックフェルール42もフロントフェルール41の貫通孔41aによって絞られるため、アダプタチューブ20に密着して固定される。
このように、袋ナット30を継手本体10の第1のネジ11に螺着して、1/16インチ配管Tの先端に挿入されたアダプタチューブ20を継手本体10に固定することにより、機器50に接続された継手本体10に1/16インチ配管Tを接続する(図6参照)。
なお、継手ユニット1を用いた1/16インチ配管Tの接続手順は上記手順に限定されるものではない。」

(2)引用文献4の記載事項
上記記載からみて、引用文献4には次の事項が記載されている。

[引用文献4記載事項]
「継手ユニットにおいて、継手本体10のアダプターチューブ挿入孔13に挿入され、接続されるアダプターチューブ20を備え、アダプターチューブ20を継手本体10に接続するために、フロントフェルール41とバックフェルール42を用いること。」

5 引用文献5
継手における接続部材に関する周知技術として、実公昭62-6377号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献5の記載
ア 「管7を接続する場合、両気密素子11、14はプラスチック被膜16で一体化されたまま管7の外周面に嵌脱される。
ユニオンナット8を締め付けると、両気密素子11、14は継手本体1の円錐孔6の方に押し付けられ、それぞれの円錐面12、15に内向きの力を受けて縮径し、管7の外周面を把持するとともに気密を保持する。」(第2欄27行ないし第3欄7行)

(2)引用文献5の記載事項
上記記載からみて、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。

「管7を継手本体1に接続する機構において、ユニオンナット8を締め付けることで、継手本体1の円錐孔6の方に押しつけられ、管7の外周面を把持するとともに気密を保持する気密素子11、14を用いること。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「燃料供給主管10」は、その機能、構成または技術的意義から見て、本願発明1における「燃料レール」に相当し、以下同様に、「燃料供給管端管」は「挿入部」に、「分枝管11」は「取付部」に、「コーン面35」は「取付孔」に、「圧着」は「シール」に、「吸気管21」は「ハウジング」に、「フレアナツト26」は「締付部材」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「コーン面35及び燃料供給口25側端部」と、本願発明1の「シール部材」とは、「シール機構」という限りにおいて一致する。
また、引用発明の「燃料供給管端管は燃料供給口25側端部が略球面状な円筒状のパイプ」と、本願発明1の「挿入部はストレートな円筒状のパイプ」とは、「挿入部は円筒状のパイプ」という限りにおいて一致する。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「燃料レールの取付部に取り付けられるインジェクタにおいて、
前記取付部の取付孔に挿入され、シール機構によりシールされる挿入部を備え、
前記挿入部は前記シール機構と反対側でハウジングに固定され、
前記挿入部は、前記挿入部の端から前記シール機構によるシール位置までの距離に対し、前記シール位置から前記ハウジングとの固定位置までの距離が長くなるように構成され、
前記挿入部は円筒状のパイプであり、前記取付孔はテーパとなっている内周面を有するインジェクタ。」

〔相違点〕
〔相違点1〕
「シール機構」に関して、本願発明1は、挿入部を「シール部材」によりシールしているのに対して、引用発明は、コーン面35及び燃料供給口25側端部でシールをおこなっている点。
そして、本願発明1は、シール部分について、「前記シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、前記パイプの端部を前記取付孔のストッパ部へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触し、前記シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接し、前記締付部材と前記押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成」されているのに対して、引用発明は、そのような発明特定事項を備えていない点。

〔相違点2〕
「挿入部は円筒状のパイプ」に関して、本願発明1は「挿入部はストレートな円筒状のパイプ」であるのに対して、引用発明は「燃料供給管端管は燃料供給口25側端部が略球面状な円筒状のパイプ」である点。

上記相違点1について検討する。
引用発明1の、コーン面35及び燃料供給口25側端部からなるシール機構を、本願発明1のように、「シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、パイプの端部を取付孔のストッパ部へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触し、前記シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接し、前記締付部材と前記押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成」されるものに変更することについて、引用文献1にはこのような変更を動機付ける記載がなく、また、このような変更が適宜なし得たことであるとすべき技術常識も存在しなから、このように変更することは当業者といえども容易とはいえない。
さらに、引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項における周知技術を適用することにより、上記「シール部材」の構成とすることができるかについて検討する。
引用文献2記載事項ないし引用文献4記載事項には、管継手における締付けのための構造が、また、引用文献5記載事項には、管継手においてシールを目的とした構造が記載されている。
しかし、引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項には、本願発明における、「シール部材の内周面及び外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、パイプの端部を取付孔のストッパ部へ突き当てた状態で、前記シール部材の外周面が前記取付孔の内周面と接触」する機構、「シール部材は締付部材が締めつけられる際に前記締付部材と前記シール部材との間に配置される押付部材により締め付け方向に付勢され、前記押付部材の外周面が締め付け方向に向かって傾斜し、締付部材が締めつけられる際に、前記押付部材の外周面が前記シール部材の内周面と接触し、前記押付部材の傾斜した外周面の前記シール部材と反対側の端部に位置する端面が前記締付部材と当接」する機構、及び「締付部材と押付部材の当接面は締め付け方向に垂直な面で構成」された形状についての記載は無く、そうすると、引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項を参酌したとしても、引用発明に基いて相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは当業者といえども困難である。

よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本願発明1は、原査定の引用文献1ないし3及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1における挿入部の構成について、
「前記挿入部は前記シール部材と反対側でハウジングに固定され、
前記挿入部は、前記挿入部の端から前記シール部材によるシール位置までの距離に対し、前記シール位置から前記ハウジングとの固定位置までの距離が長くなるように構成され」とされたものを、
「前記挿入部の厚みは前記挿入部の径に対し4分の1以下となるように構成され」
としたものである。

したがって、本願発明2と引用発明とを対比すると、上記「1 本願発明1」について検討した一致点、相違点に加えて、以下の点において相違する。

〔相違点〕
〔相違点3〕
「挿入部」に関して、本願発明2は「挿入部の厚みは前記挿入部の径に対し4分の1以下となるように構成され」ているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えているか不明である点。

本願発明2と引用発明とを対比するに、上記相違点1についての判断は、上記で述べたとおりである。
そうすると、相違点3について検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明において、引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項を適用しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明2は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明3ないし9について
本願発明3ないし9は、本願発明1または2の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。
そうすると、本願発明3ないし9は、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明3ないし9は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本願発明10及び11について
本願発明10及び11は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。
そうすると、本願発明10及び11は、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明10及び11は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 本願発明12について
本願発明12は、本願発明1が「インジェクタ」の発明であるのに対して、「前記挿入部は前記シール部材と反対側でハウジングに固定され、前記挿入部は、前記挿入部の端から前記シール部材によるシール位置までの距離に対し、前記シール位置から前記ハウジングとの固定位置までの距離が長くなるように構成され」たものを削除し、「燃料レール」の発明としたものである。

したがって、本願発明12と引用発明とを対比するに、上記「1 本願発明1」について検討した相違点と同様の点において相違する。
そうすると、上記「1 本願発明1について」で検討したとおり、本願発明12は、引用発明において、引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項を適用しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明12は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 本願発明13ないし16について
本願発明13ないし16は、本願発明12を直接的あるいは間接的に引用したものであるから、本願発明12の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。
そうすると、本願発明13ないし16は、本願発明12と同様に、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明13ないし16は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

7 本願発明17及び18について
本願発明17及び18は、本願発明1または2を直接的あるいは間接的に引用したものであるから、本願発明1または2の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。
そうすると、本願発明17及び18は、本願発明1または2と同様に、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本願発明17及び18は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

8 まとめ
以上のように、本願発明1ないし本願発明18は、原査定の引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-10-12 
出願番号 特願2017-553708(P2017-553708)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 麻乃  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 谷治 和文
北村 英隆
発明の名称 インジェクタ、燃料レール及び燃料レールアッセンブリ  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
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