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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1367769
審判番号 不服2018-17544  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-28 
確定日 2020-11-05 
事件の表示 特願2016-181549「判定装置、判定方法、及び判定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日出願公開、特開2018- 45572〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月16日に出願された特願2016-181549号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成30年 2月23日付け:拒絶理由通知
平成30年 5月 1日 :意見書及び手続補正書
平成30年 9月20日付け:拒絶査定
平成30年12月28日 :審判請求及び手続補正書
令和 2年 3月26日付け:拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)
令和 2年 6月 1日 :意見書及び手続補正書

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲(令和2年6月1日提出の手続補正書による補正後の特許請求の範囲)の記載によれば、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「ネットワークを介して発生する情報のうち、ユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された行動履歴に基づいて、将来的に前記ユーザに起こり得るイベントであって、金融サービス以外のイベントを推定する推定部と、
前記推定部によって推定されたイベントに基づいて、前記ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容であって、ユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含まれる金融サービスの内容を判定する判定部と、
ことを特徴とする判定装置。」

第3 当審拒絶理由通知
当審拒絶理由通知における拒絶理由(理由2)は、次のとおりである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である引用文献1記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2016-71604号公報

第4 引用文献1及び引用発明並びに周知例

1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1の記載
引用文献1は、本願の出願前である平成28年5月9日の出願公開に係る特許公報であり、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。


「【0005】また、上述した従来の技術は、通信販売サイトにおいて商品を検索したり購入したりする際に、当該検索や購入をおこなった利用者が関心をもっている商品を提案するものであり、利用者が検索や購入をおこなわない状況においては商品の提案がなされない。このため、情報の提供が必要な利用者に対して効果的に情報を提案することが難しい。」


「【0073】また、利用者の行為の履歴に関する情報は、たとえば、利用者によるウェブサイトの閲覧の履歴(利用者が閲覧したウェブサイト)に関する情報によって実現することができる。この場合、金融情報提案システム100においては、たとえば、利用者がウェブサイトを閲覧する行為を、利用者の行為とし、履歴データベース320は、当該行為の履歴に関する情報を、利用者の識別情報に関連付けて記憶する。
【0074】この場合、履歴データベース320は、利用者の識別情報ごとに、利用者が閲覧したウェブサイトに関する情報を関連付けて記憶する。利用者が閲覧したウェブサイトは、たとえば、電子商取引をおこなったウェブサイトによって実現することができる。電子商取引をおこなったウェブサイトは、商品を購入して決済処理をおこなったウェブサイトであってもよく、閲覧のみで決済処理をおこなわなかったウェブサイトであってもよい。
【0075】情報処理装置110は、所定期間ごとに、ウェブサーバ140と通信をおこない、金融情報提案システム100の利用者にかかる、当該利用者が閲覧したウェブサイトに関する情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、履歴データベース320を更新する。ウェブサイトに関する情報は、たとえば、ウェブサイトのURLや当該ウェブサイトの閲覧日時に関する情報によって実現することができる。」


「【0120】質問情報出力部408は、質問情報をアバターを介して出力してもよい。アバターは、金融情報提案システム100が提供するサービスの提供者の分身として画面上に登場するキャラクターであって、たとえば、サービスの提供者である金融情報提案システム100の管理者や利用者が任意に設定することができる。
・・・
【0127】・・・提案情報出力部411による提案情報の出力は、質問情報出力部408による質問情報の出力と同様にしておこなうことができる。すなわち、利用者が設定したアバターを介して、当該アバターが話しかけるようにして、提案情報を出力することができる。」


「【0145】(情報処理装置110の処理手順)つぎに、この発明にかかる実施の形態の情報処理装置110の処理手順について説明する。図6および図7は、この発明にかかる実施の形態の情報処理装置110の処理手順を示すフローチャートである。
【0146】図6のフローチャートにおいて、まず、金融情報を取得するまで待機する(ステップS601:No)。ステップS601においては、たとえば、カードを用いた決済処理がおこなわれるごとにカード会社サーバ120から送信される決済情報を受信することによって、金融情報を取得する。また、ステップS601においては、たとえば、振込処理がおこなわれるごとに金融機関サーバ130から送信される振込処理に関する情報を受信することによって、金融情報を取得してもよい。また、ステップS601においては、たとえば、電子商取引がおこなわれるごとにウェブサーバ140から送信される注文情報を受信することによって、金融情報を取得するものであってもよい。
【0147】情報処理装置110は、たとえば、前回に金融情報を取得してから所定の期間が経過した場合、あらかじめ定められた所定の期日が到来した場合などに、カード会社サーバ120、金融機関サーバ130、ウェブサーバ140、あるいは、利用者の端末装置150などと通信をおこない、金融情報を取得してもよい。この場合の所定の期間は、たとえば、「1日」、「12時間」、「1週間」、「1ヶ月」など、金融情報提案システム100の管理者が任意に設定することができる。また、この場合の所定の期日は、たとえば、「毎日午後0時」、「毎週日曜日」、「毎月10日」など、金融情報提案システム100の管理者が任意に設定することができる。この場合、ステップS601においては、たとえば、前回金融情報を取得してから所定の期間が経過した場合、あるいは、所定の期日が到来した場合に金融情報を取得するものであってもよい。
【0148】ステップS601において、金融情報を取得した場合(ステップS601:Yes)、取得した金融情報を履歴データベース320に記憶して(ステップS602)、履歴データベース320を更新する。そして、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報に基づいて、被判断値を決定する(ステップS603)。ステップS602における金融情報を記憶する処理は、ステップS601:Yesにおいて金融情報を取得した以降であれば、順序やタイミングを問わない。
【0149】ステップS603においては、たとえば、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報が、カード会社サーバ120から送信された決済情報である場合は、カードによる決済処理をおこなった店舗の属性や場所あるいは決済金額に関する情報を、被判断値に決定する。また、ステップS603においては、たとえば、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報が、金融機関サーバ130から送信された振込処理に関する情報である場合は、振込先や振り込みの金額に関する情報を、被判断値に決定する。また、ステップS603においては、たとえば、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報が、ウェブサーバ140から送信された注文情報である場合は、注文にかかる決済金額、ウェブサイトの識別情報などを、被判断値に決定する。被判断値は、1つでもよく、複数であってもよい。
【0150】つぎに、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報や、ステップS603において決定した被判断値に基づいて、履歴データベース320を参照して、履歴に関する情報を取得する(ステップS604)。ステップS604において取得する履歴に関する情報は、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報を除く。このために、図6においてステップS602で示した金融情報を記憶する処理は、図6においてステップS604で示した履歴に関する情報を取得する処理の後におこなってもよい。
【0151】そして、ステップS604において取得した履歴に関する情報に基づいて、行動判断の基準値を決定する(ステップS605)。さらに、ステップS601:Yesにおいて取得した金融情報や、ステップS603において決定した被判断値、ステップS605において決定した行動判断の基準値などに基づいて、判断の閾値を決定する(ステップS606)。
【0152】つぎに、ステップS603において決定した被判断値が、ステップS605において決定した行動判断の基準値に対して所定の閾値以上乖離しているか否かを判断する(ステップS607)。ステップS607において、所定の閾値以上乖離していない場合(ステップS607:No)、一連の処理を終了する。ステップS607において、所定の閾値以上乖離している場合(ステップS607:Yes)、上記のように質問情報を生成する(ステップS608)。そして、ステップS608において生成した質問情報を、該当する利用者の端末装置150を介して出力させ(ステップS609)、一連の処理を終了する。
【0153】ステップS609においては、たとえば、上記のように、アバターを介して質問情報を出力することができる。アバターを介して質問情報を出力することにより、金融情報提案システム100に対する利用者の親近感を高め、出力した質問情報にかかる質問に対する利用者の関心を高めることができる。これにより、質問に対する回答情報の入力を促し、金融情報提案システム100において回答情報を得やすくすることが期待できる。
【0154】金融情報提案システム100の運用上、質問情報の提示を受けた利用者は、任意で、当該質問情報による質問に対する回答を示す回答情報を入力する。回答情報の入力は、質問情報の提示をおこなった、利用者の端末装置150を実現するコンピュータ装置が備える入力デバイス227やスマートフォンが備える操作部236に対する所定の入力操作によって実現することができる。
【0155】回答情報の入力を受け付けた利用者の端末装置150は、当該利用者の端末装置150にあらかじめインストールされているプログラムを実行することにより、入力された回答情報を情報処理装置110に送信する。情報処理装置110は、ブラウザを介して回答情報を取得してもよく、電子メールの形式で送信された回答情報を取得してもよい。
【0156】図7のフローチャートにおいて、まず、利用者の端末装置150から送信された回答情報を取得するまで待機する(ステップS701:No)。そして、ステップS701において、回答情報を取得した場合(ステップS701:Yes)、履歴データベース320に、取得した回答情報を記憶し(ステップS702)、取得した回答情報に含まれる利用者の識別情報を抽出する(ステップS703)。ステップS702における回答情報を記憶する処理は、ステップS701:Yesにおいて回答情報を取得した以降であれば、順序やタイミングを問わない。
【0157】つぎに、ステップS701:Yesにおいて取得した回答情報や、ステップS703において抽出した利用者の識別情報に基づいて特定される過去の回答情報などに基づいて、該当する回答情報を解析する(ステップS704)。そして、ステップS704における回答情報の解析結果に基づいて、提案情報を生成する(ステップS705)。その後、ステップS705において生成した提案情報を、ステップS609と同様にアバターを介して出力させて(ステップS706)、一連の処理を終了する。」


「【0158】(金融情報提案システム100が提供するサービスの具体例)つぎに、この発明にかかる実施の形態の金融情報提案システム100が提供するサービスの具体例について説明する。金融情報提案システム100は、長期間にわたってサービスを提供する「長期サポート」や、長期サポートよりは期間の短い「短期サポート」などの各種のサービスを提供することができる。
【0159】長期サポートは、たとえば、5年や10年など比較的長い期間において利用者に生じると想定されるイベントを対象に、各イベントのタイミングにおいて利用者に最適な提案情報を提示するサービスとすることができる。
【0160】具体的に、金融情報提案システム100が提供するサービスの利用者『Aさん』を対象とする長期サポートの一例について説明する。Aさんは『現在結婚2年目で、共働きの妻と賃貸で2人暮らし。先月、念願の第一子を授かった。今後の生活を見据え、子育てのウェブページで勉強中。子供用のベッドもクレジットカードで購入した。』という設定とする。
【0161】この場合、金融情報提案システム100のアバターは、子供用のベッドの購入に際してカードを用いた決済処理をおこなったタイミングで、たとえば、「Aさん、最近子育てについてお調べしているようですね。赤ちゃん用の商品も購入されているようですし…もしかしてお子様が産まれるんですか?」などの質問情報を提示する。
【0162】そして、上記質問情報に対して利用者であるAさんが、たとえば、「そうなんだよ!念願の子供が12月に産まれるんだ。今後に向けて色々準備しないと。子育てにどのくらい費用がかかるかも不安だからね。」などの回答情報を入力した場合、金融情報提案システム100は、当該回答情報に基づいて、「おめでとうございます!父親になるんだからしっかりしないといけませんね。将来のお子様の教育資金を準備するための『○△保険』もありますので、よかったら参考にしてくださいね。」などの提案情報を生成する。そして、当該提案情報をアバターを介して出力する。」


「【0175】以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の情報処理装置110は、利用者の識別情報と、当該利用者の行為に関する情報と、を含む利用者行為情報を取得し、取得された利用者行為情報に基づいて、行動判断の被判断値を決定するとともに、履歴データベース320を参照して該当する利用者の行為の履歴に関する情報を抽出し、決定された被判断値が、抽出された履歴に関する情報に基づいて決定される行動判断の基準値に対して所定の閾値以上乖離している場合に、乖離の理由に関する質問情報を生成する。そして、質問情報を該当する利用者の端末装置150を介して出力させた結果、当該質問情報に応じた回答情報が取得された場合、取得された回答情報に基づいて、利用者の行為に関する提案情報を利用者の端末装置150を介して出力させるようにしたことを特徴としている。」


「【0178】また、この発明にかかる実施の形態の情報処理装置110によれば、提供する準備が整っている各種の商品を、これまで対象としていなかった利用者に対して、当該利用者にとって適したタイミングで提案することができる。これにより、各種の商品を効果的なタイミングで提供することができ、販売促進を期待することができる。各種の商品は、学資保険や生命保険などの無形の商品であってもよく、衣服、おもちゃ、食品、雑貨などの有形の商品であってもよい。」


「【0179】この実施の形態の金融情報提案システム100においては、金融取引をおこなった利用者を対象として提案情報を提示する情報処理装置110を例示したが、これに限るものではない。たとえば、実際に銀行口座の入出金をともなわない、利用者によるインターネットの利用時に提案情報を提示するようにしてもよい。
【0180】たとえば、利用者がインターネットを利用した場合に、利用者が閲覧したウェブサイトや検索にかかるキーワードなどを被判断値とし、過去に利用者が閲覧したウェブサイトや検索に用いたキーワードなどに基づいて行動判断の基準値を決定してもよい。そして、これらの被判断値や行動判断の基準値に基づいて乖離の有無を判断し、提案情報を提示するようにしてもよい。これにより、利用者に、より一層適した提案情報を提示することができる。」


2 周知例について
(1)特開2002-304581号公報(平成14年10月18日出願公開)
「【0022】顧客が登録の際に入力した個人データから、例えば配偶者の誕生日が近づくと、所定のホームページを記載したメールを端末機3に送信し顧客のそのホームページを見るように促す。そのメールの送り主は上述のメールと同じくキャラクター名で行う。そのホームページは例えば図5に示すようなものであって、商品情報6が表示され、その商品を購入する場合には上述の場合と同じくボックス61にチェック印または個数を入力し注文ボタン62を押す。」

図5



(2)国際公開2016/125237号(平成28年8月11日国際公開)
「[0149]図16に、アクションユーザへのリコメンドを含むリコメンド通知1600の表示例を示す。リコメンド通知1600には、少なくとも、アクションユーザからイベントユーザに贈与すべき商品を示す情報が含まれる。典型的には、商品の名称である。ただし、商品の名称の代わりに、もしくは、商品名に加えて、商品が属するカテゴリの名称、商品を説明する語句、商品の写真、等が含まれてもよい。
[0150]リコメンド装置50の制御部503は、選定した商品を示す情報を、アクションユーザが使用するユーザ端末20へ送信する。アクションユーザが使用するユーザ端末20の制御部207は、選定された商品を示す情報をリコメンド装置50から受信する。
[0151]商品が一つに絞り込まれた場合には、ユーザ端末20の制御部207は、選定された商品を示す商品ページへ画面を遷移させるソフトウェアボタン(以下「ボタン」と略す。)を表示し、そのボタンが操作されると、選定された商品を示す商品ページへ画面を遷移させる。アクションユーザは、リコメンド装置50によって選定された商品を示す商品ページを閲覧し、商品の購入手続きを行う。
[0152]絞り込まれた商品の数が複数の場合には、ユーザ端末20の制御部207は、商品の検索結果を示すページへ画面を遷移させるボタン1610を表示し、ボタン1610が操作されると、電子ショッピングモールで販売されている商品を、選定した商品を表す文字列にて検索し、その検索結果を表示する。」



(3)特開2003-281439号公報(平成15年10月3日出願公開)
「【0045】バトルセンター割付機能101とは、一般参加者(端末装置2)に参加させるバトルゲームについて複数種類のバトルアプリケーションの中から自動的にバトルアプリケーションを決定する機能である。ゲームサーバ1は、複数のバトルアプリケーションに基づくバトルゲームを同時に展開するとともに、個人情報に応じて各一般参加者に参加させるバトルゲームを決定する。すなわち、一般参加者は、ゲームサーバ1によって割付けられたバトルアプリケーションに基づいて展開されるバトルゲームを楽しみ、また、割付けられたバトルアプリケーションで掲載される広告を見る。このとき、バトルアプリケーション毎に異なる広告を掲載するように設定すれば、個人情報に応じた広告を一般参加者に対して掲示することができる。すなわち、提示したい対象に絞り込んで広告を配信することができる。」

「【0052】図7(b)は、広告モードにおける表示用画像140の一例を示す図である。同図によれば、端末装置2の画面上には、広告を表示する表示領域141と、アンケートを取るための表示領域142とが表示される。(b)に示すように、広告モードでは、バトルモードにおける画面とは異なる画面に変更することで、一般参加者にTVコマーシャルのような印象を与える。なお、アンケートを表示する表示領域142に、「この賞品を購入してみようと思う」142aや「このCMは面白い」142bといった文を掲載し、一般参加者がポインティングデバイスなどにより選択できるように設定する。掲載したいずれかの文が一般参加者により選択されると、端末装置2がその選択入力に基づくアンケート応答データを生成してゲームサーバ1に送信する。なお、アンケート応答データには、アンケートに対する回答データと、広告を識別するための広告IDとが含まれる。」

図7(b)



第5 拒絶理由についての当審判断
1 引用発明の認定
(この節では、「第4」の「1(1)」のア、イ・・・を単にア、イ・・と表記する。)

(1) 引用文献1には、「実施の形態」に係る「金融情報提案システム」(オ、カ、キ、ク)について、「長期サポート」の例である「5年や10年など比較的長い期間において利用者に生じると想定されるイベントを対象に、各イベントのタイミングにおいて利用者に最適な提案情報を提示するサービス」の提供に係る「金融情報提案システム」が記載されている。(オ)

(2) 「実施の形態」に係る「金融情報提案システム」の「情報処理装置」は、「利用者の識別情報と、当該利用者の行為に関する情報と、を含む利用者行為情報を取得し、取得された利用者行為情報に基づいて、行動判断の被判断値を決定する」とともに「履歴データベース」を「参照」して「該当する利用者の行為の履歴に関する情報を抽出」し、「決定された被判断値」が「抽出された履歴に関する情報に基づいて決定される行動判断の基準値」に対して「所定の閾値以上乖離している」場合に「乖離の理由に関する質問情報」を「生成」し「質問情報」を「該当する利用者の端末装置を介して出力」させ、さらに、取得された「当該質問情報に応じた回答情報」に基づいて「利用者の行為に関する提案情報」を「利用者の端末装置を介して出力」させるものである。(カ)このうち、「履歴データベース」は、例えば、利用者がウェブサイトを閲覧する行為を利用者の行為とする場合利用者の識別情報ごとに利用者が閲覧したウェブサイトに関する情報を関連付けて記憶するものである。(イ)
また、質問情報と提案情報を利用者の端末装置を介して出力するにあたって、金融情報提案システムの管理者や利用者が任意に設定することができる「アバター」を介して出力することができる(ウ)。上記(1)の長期サポートの例では、「Aさん、最近子育てについてお調べしているようですね。赤ちゃん用の商品も購入されているようですし…もしかしてお子様が産まれるんですか?」等の質問情報や「将来のお子様の教育資金を準備するための『○△保険』もありますので、よかったら参考にしてくださいね。」等の提案情報が、利用者の端末装置のアバターを介して出力される。(オ)

(3) 「実施の形態」の「金融情報提案システム」は、「金融取引をおこなった利用者を対象として提案情報を提示する情報処理装置」の「例」に限るものでなく、「利用者がインターネットを利用した場合に、利用者が閲覧したウェブサイトや検索にかかるキーワードなどを被判断値とし、過去に利用者が閲覧したウェブサイトや検索に用いたキーワードなどに基づいて行動判断の基準値を決定」して「これらの被判断値や行動判断の基準値に基づいて乖離の有無を判断し、提案情報を提示する」ことで「利用者によるインターネットの利用時に提案情報を提示」するものとすることで、「利用者に、より一層適した提案情報を提示」することができる。(ク)

(4) 以上を踏まえると、引用文献1には、例示された金融情報提案システムの情報処理装置に関する、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「 例えば、5年や10年など比較的長い期間において利用者に生じると想定されるイベントを対象に、各イベントのタイミングにおいて利用者に最適な提案情報を提示するサービスの提供に係る金融情報提案システムの情報処理装置であって、
利用者の識別情報と、当該利用者の行為に関する情報と、を含む利用者行為情報を取得し、取得された利用者行為情報に基づいて、行動判断の被判断値を決定するとともに、例えば利用者がウェブサイトを閲覧する行為を利用者の行為とする場合には利用者の識別情報ごとに利用者が閲覧したウェブサイトに関する情報を関連付けて記憶する履歴データベースを参照して該当する利用者の行為の履歴に関する情報を抽出し、決定された被判断値が、抽出された履歴に関する情報に基づいて決定される行動判断の基準値に対して所定の閾値以上乖離している場合に、乖離の理由に関する質問情報として、例えば「Aさん、最近子育てについてお調べしているようですね。赤ちゃん用の商品も購入されているようですし…もしかしてお子様が産まれるんですか?」等の質問情報を生成し、質問情報を該当する利用者の端末装置を介して、例えば端末装置に表示されたアバターを介して、出力させ、当該質問情報に応じて取得された回答情報に基づいて、利用者の行為に関する、例えば「将来のお子様の教育資金を準備するための『○△保険』もありますので、よかったら参考にしてくださいね。」等の提案情報を利用者の端末装置を介して、例えば端末装置に表示されたアバターを介して、出力させるものであり、
利用者がインターネットを利用した場合に、利用者が閲覧したウェブサイトや検索にかかるキーワードなどを被判断値とし、過去に利用者が閲覧したウェブサイトや検索に用いたキーワードなどに基づいて行動判断の基準値を決定し、これらの被判断値や行動判断の基準値に基づいて乖離の有無を判断し、提案情報を提示するようにし実際に銀行口座の入出金をともなわない、利用者によるインターネットの利用時に提案情報を提示する
情報処理装置。」

2 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)本願発明の「取得部」について
引用発明の「利用者」は、本願発明の「ユーザ」に相当し、引用発明の「利用者がインターネットを利用した場合」における「利用者が閲覧したウェブサイトや検索にかかるキーワードなど」の「利用者の行為に関する情報」及び「過去に利用者が閲覧したウェブサイトや検索に用いたキーワードなど」の「利用者の行為の履歴に関する情報」は、本願発明の「ネットワークを介して発生する情報」である「ユーザのネットワーク上における行動履歴」に相当する。
引用発明は、「ユーザのネットワーク上における行動履歴」である「利用者の行為に関する情報」を取得し「利用者の行為の履歴に関する情報」を「履歴データベース」から「抽出」するところ、この利用者の行為に関する情報を取得し及び履歴データベースから抽出する手段は、本願発明の「ネットワークを介して発生する情報のうち、ユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する取得部」に相当する。

(2)本願発明の「推定部」について
引用発明では、「Aさん、最近子育てについてお調べしているようですね。赤ちゃん用の商品も購入されているようですし…もしかしてお子様が産まれるんですか?」等の質問情報を生成する例が示され、ユーザにおける最近の調査等に基づいて「利用者に生じると想定されるイベント」として子の誕生というユーザにおけるイベントを推定し、このイベントをユーザに確認するための質問を行う例が示されているところ、引用発明の、この例における、子の誕生というユーザにおけるイベントは、将来的にユーザに起こり得るイベントであり、さらに、このイベントは、(3)において後述する「金融サービス」でないから、本願発明の「将来的に前記ユーザに起こり得るイベントであって、金融サービス以外のイベント」に相当する。
そして、引用発明は、上記(1)の取得部が取得した、ユーザのネットワーク上における行動履歴に基づく判断値及び基準値に応じて質問情報を生成する例として、最近の調査等を示すユーザのネットワーク上における行動履歴に基づいて「お子様が産まれるんですか?」という質問情報を生成しており、その際、質問情報によってユーザに対して確認される「将来的に前記ユーザに起こり得るイベント」を推定しているから、引用発明における、この推定する手段は、本願発明の「前記取得部によって取得された行動履歴に基づいて、将来的に前記ユーザに起こり得るイベントであって、金融サービス以外のイベントを推定する推定部」に相当するものである。

(3)本願発明の「判定部」について
引用発明の「○△保険」は、本願発明の「金融サービス」に相当し、引用発明の「金融サービス」である「○△保険」が「将来」の「子」の「教育資金を準備するため」の保険であることは、ユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含まれるものでない(相違点)ものの、本願発明の「金融サービスの内容」に対応する。
そして、引用発明は、推定されたユーザにおいて将来的に起こり得るイベント(子の誕生)を確認するための質問情報に対する回答情報に基づいて「将来のお子様の教育資金を準備するための『○△保険』もありますので、よかったら参考にしてくださいね。」との具体的な提案情報を生成しているところ、この引用発明における具体的な提案情報を生成するにあたっては、推定されたイベント(将来の子の誕生)がユーザからの回答によって確認された直後に提案すべき金融サービスの内容として教育資金の準備のための保険を判定してその内容の金融サービスの存在をユーザに示すための提案情報を生成しているのであるから、引用発明における、この提案する手段は、上記の相違点を除けば、本願発明の「前記推定部によって推定されたイベントに基づいて、前記ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容」を「判定」する「判定部」に対応するものといえる。

(4)本願発明の「判定装置」について
引用発明の「情報処理装置」は、(1)(2)で上記したとおり、本願発明の「取得部」と「推定部」に相当する構成を備え、また、(3)で上記したとおり、上記相違点を除いて本願発明の「判定部」に対応する構成を備えているから、本願発明の「判定装置」に相当するといえる。

(5)したがって、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>
ネットワークを介して発生する情報のうち、ユーザのネットワーク上における行動履歴を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された行動履歴に基づいて、将来的に前記ユーザに起こり得るイベントであって、金融サービス以外のイベントを推定する推定部と、
前記推定部によって推定されたイベントに基づいて、前記ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容を判定する判定部と、
を備えた判定装置

(6)そして、両者は、次の点で相違する。

<相違点>
ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容が、本願発明では、「ユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含まれる」ものであるのに対し、引用発明では、アバターを介して出力されるものであって、「ユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含まれる」ものではない点

3 相違点の判断
上記相違点について、判断する。
(1)ターゲット広告やリコメンド等の商品やサービスに係る販売促進のための表示を行うにあたって、ユーザに提供される商品やサービスの内容をそのユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含めて表示することは、「第4」の「2」に摘示した周知例にあるように、周知技術である。

(2)そして、引用発明は、学資保険などの無形のものも含めた商品についての「販売促進」を「期待」したものであり、ターゲット広告やリコメンド等の商品やサービスに係る販売促進のための表示のための技術の採用の動機づけは十分である。さらには、ユーザからの回答を得るための表示枠とともにアバターをも含むコンテンツに含めてサービスの内容を表示出力する態様も考えられる(「第4」の「2」の「(1)」に摘示した周知例を参照)から、上記周知技術の採用が阻害されることもない。
さらに、引用発明において周知技術を採用して本願発明の構成とした際の効果も、引用発明と周知技術から当業者が予測可能なものであり、顕著なものではない。

(3)してみると、引用発明において上記周知技術を採用し、ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容を「ユーザからの回答を得るために表示された表示枠を備えたコンテンツに含まれる」ものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

4 請求人の主張について
令和2年6月1日提出の意見書の内容を検討したが、下記のとおり、いずれも採用できない。
(1)本願発明について
請求人は、本願発明は、ユーザからの回答を取得せずに金融サービスの内容を判定するものである旨を主張している。
本件請求項1の記載によれば、「推定」された「将来的に前記ユーザに起こり得るイベント」に基づいて「前記ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容」を「判定する」にあたって、ユーザにおける「推定」された「イベント」が将来的に生じ得ることの確認が介在しない旨は記載されておらず、これが介在する態様を含む記載となっている。
そして、明細書においても、「判定装置100は、ユーザ端末10に対してイベントの確認の通知を行ってもよい。」(段落【0103】)と記載されており、「推定」された「ユーザに起こり得るイベント」について「イベントの確認の通知」を行って、ユーザにおいて推定されたイベントが将来的に生じ得ることを確認する態様の例が記載されている。
以上を踏まえれば、本件請求項1の記載は、このようにユーザにおいて推定されたイベントが将来的に生じ得ることを確認する態様を排除するものとなっていないから、「推定」された「将来的に前記ユーザに起こり得るイベント」に基づいて「前記ユーザに対して将来的に提供される所定の金融サービスの内容」を「判定する」にあたって、推定されたイベントについてのユーザの確認を示す回答を取得して「判定する」ものは、請求項の記載の上で排除されていない。
請求人の主張は、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づくものでない。

(2)引用文献1の記載内容と引用発明について
請求人は、引用文献1には、「例えば、5年や10年など比較的長い期間において利用者に生じると想定されるイベントを対象に、各イベントのタイミングにおいて利用者に最適な提案情報を提示するサービスを提供する点が記載されて」おり、段落0123の記載を示しつつ、引用文献1に記載の技術は、取得された回答情報に基づいて金融取引に関する提案情報を提供するために生成するものであり、他方、本願発明は、ユーザからの回答を取得せずに金融サービスの内容を判定するとして、この点が相違点である旨を主張している。
これらの出願人の主張は、引用発明の認定及び対比の誤りの指摘として失当である。
まず、(1)において上記したとおり、本件請求項1の記載は、ユーザにおいて推定されたイベントが将来的に生じ得ることを確認する態様を排除するものとなっておらず、推定されたイベントについてのユーザの確認を示す回答を取得して「判定する」ものは、請求項の記載の上で排除されていない。
次に、引用文献1は、「回答情報に基づいて提案情報を生成」することを記載するものであるが、段落【0123】のようにこのことを抽象的に記載するにとどまらず、例として、回答情報に応じた内容を回答情報を踏まえたタイミングで質問し提案すること(以下、前者という。)のみならず、イベントが将来起こり得ることを確認するユーザの回答を取得してイベントに対応する一般的な内容を提案すること(以下、後者という。)をも、記載している。当審では、以下のとおり、後者の例の記載を踏まえて引用発明を認定している。
すなわち、引用文献1における、将来の子の誕生というイベントが推定された場合の記載(段落【0161】?【0165】)のうち、段落【0161】【0162】の記載においては、「・・・念願の子供が12月に産まれるんだ。・・・」などの回答情報を入力した場合」の「・・将来のお子様の教育資金を準備するための『○△保険』もあります・・・」との提案情報は、同時に「おめでとうございます!父親になるんだからしっかりしないといけませんね。」というメッセージとともに出力されている。ここでは、回答情報中に示された「12月」という子の誕生というイベントのタイミングではなく、「もしかしてお子様が産まれるんですか?・・」「そうなんだよ!・・」というやりとりによる確認の直後のタイミングで、推定された将来起こり得るイベント(将来の子の誕生)に対する一般的な金融サービスの内容(子の教育資金を準備するための保険)を提案しており、これらの(段落【0161】【0162】の)記載は、後者の例を示すものとなっている。(出願人が摘示した【0123】に続く【0124】も、同様の例を示すものとなっている。)
他方、将来の子の誕生というイベントが推定された場合の記載のうち、12月に第一子が誕生する旨の回答に基づいて12月になったタイミングで質問すること(段落【0163】)、実際に誕生した(将来起こり得るものと推定されたイベントが実際に起こった)旨及びお祝いのお返しを考える必要がある旨の回答に基づいてカタログギフトの提案を行うこと(段落【0164】、及び、誕生から2年後のタイミングでの住宅ローンの提案を行うこと(段落【0165】)は、前者の例といえる。
当審では、「第5」の「1」の「(2)」において上記したとおり、後者の例を記載した段落【0161】【0162】の記載を踏まえて引用発明として認定している。

(3)相違点の判断及び効果について
請求人は、本願発明は「ユーザからの回答を瞬時に得やすくすることでユーザにとって利便性の高いサービスを提供することができる」という効果を奏する旨主張する。
相違点の認定判断については、2及び3に上記したとおりである。ユーザに対する販売促進を行うにあたってユーザへの利便性の高いものとすることは、当業者が当然に考慮することであって、請求人の主張する効果は、引用発明と周知技術から当業者が予測可能なものであり、顕著なものではない。

第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-08-27 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-09-16 
出願番号 特願2016-181549(P2016-181549)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 聡史  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 相崎 裕恒
松田 直也
発明の名称 判定装置、判定方法、及び判定プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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