• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1367976
審判番号 不服2019-12382  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-18 
確定日 2020-11-11 
事件の表示 特願2017-563533「振動計を用いて燃料制御システム内の粘度を制御する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日国際公開、WO2016/200362、平成30年 8月30日国内公表、特表2018-524569〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)6月8日を国際出願日とする出願であって、平成31年1月15日付けで拒絶理由が通知され、同年4月17日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年5月10日付けで拒絶査定されたところ、同年9月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和元年9月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年9月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「 【請求項1】
コリオリ流量計を用いて、燃料制御システムの燃料の粘度を制御する方法であって、
エンジンへの燃料ラインを介して、コリオリ流量計に燃料を供給するステップと、
コリオリ流量計を用いて燃料の密度を測定するステップと、
測定された燃料の密度に基づいて信号を生成するステップと、
コリオリ流量計に付与される燃料の温度を制御するように構成された温度制御ユニットに信号を提供するステップを備える、方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成31年4月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
コリオリ流量計を用いて、燃料制御システムの燃料の粘度を制御する方法であって、
コリオリ流量計に燃料を供給するステップと、
コリオリ流量計を用いて燃料の密度を測定するステップと、
測定された燃料の密度に基づいて信号を生成するステップと、
コリオリ流量計に付与される燃料の温度を制御するように構成された温度制御ユニットに信号を提供するステップを備える、方法。」

2 補正の適否
本件補正は、「コリオリ流量計に燃料を供給するステップ」において、「コリオリ流量計に燃料を」「エンジンへの燃料ラインを介して」「供給する」旨の限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である米国特許第3762429号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。

(引1a)「The viscosity measurement apparatus shown in FIG. 1 may also be used in a process control arrangement to maintain the viscosity of the fluid 23 at a desired value determined by a signal generated by the viscosity reference circuit 34 on line 35.
The viscosity reference circuit 34 may, if desired, comprise an analog computer or function generator which takes into account the temperature and/or specific gravity of the fluid 23 whose viscosity is to be regulated. The viscosity reference signal provided by the viscosity reference generator 34 on line 35 is preferably a DC voltage, which is coupled to the viscosity comparator 36. The AC signal at terminal 7, the amplitude of which is a measure of the viscosity of the fluid 23, is coupled to the viscosity comparator 36 on line 37. The viscosity comparator 36 converts the AC viscosity indicating signal on line 37 to a DC voltage, preferably by means of an operational rectifier of conventional type, and compares the resulting DC voltage with the viscosity reference voltage on line 35 to provide a viscosity correction signal on the output line 38 from the comparator 36.
The viscosity correction signal on line 38 is applied to a viscosity control device 39, which varies the viscosity of the fluid 23 by way of a thermal, fluid flow or other technique symbolized by the line 40, in such a manner as to cause the viscosity of the fluid 23 to approach the desired viscosity as established by the DC voltage supplied by the viscosity reference circuit 34 to the viscosity comparator 36 on line 35.
For example, the fluid 23 may comprise a fuel oil the viscosity of which varies with temperature, and the viscosity control device 39 may be a temperature controller. Such an arrangement automatically varies the temperature to which the fuel oil is heated before it is supplied to a furnace or engine combustion chamber, so that a predetermined fuel flow rate results.」(8欄26-62行、当審訳:「図1に示す粘度測定装置は、プロセス制御構成において、流体23の粘度を、ライン35上の粘度基準回路34で生成される信号によって決定される所望の値に維持するために、使用されてもよい。
粘度基準回路34は、必要に応じて、粘度が調整されるべき流体23の温度及び/又は比重を基に計算するアナログコンピュータ又は関数発生器を含み得る。ライン35上の粘度基準発生器34によって提供される粘度基準信号は、好ましくは、粘度比較器36に結合されるDC電圧である。振幅が流体23の粘度の測定値である、端子7でのAC信号は、ライン37で粘度比較器36に結合される。粘度比較器36は、ライン37上のAC粘度表示信号を、好ましくは従来型の動作整流器によってDC電圧に変換し、比較器36からの出力ライン38に粘度補正信号を提供するために、結果として生じるDC電圧をライン35上の粘度基準電圧と比較する。
ライン35上の粘度比較器36に粘度基準回路34から供給されるDC電圧により確立される所望の粘度に近づくように流体23の粘度を調整する方法において、ライン38上の粘度補正信号は、熱、流体流、又はライン40によって表される他の技術によって流体23の粘度を変化させる粘度制御装置39に適用される。
例えば、流体23は、その粘度が温度と共に変化する燃料油を含んでもよく、粘度制御装置39は、温度コントローラであってもよい。このような構成により、燃料油が加熱される温度が炉又はエンジンの燃焼室に供給される前に加熱されることにより自動的に変化し、所定の燃料流量が得られる。」)

(引1b)「 Alternatively, the viscosity control device may be a valve controller which varies the relative proportions of two or more constituents of the fluid 23 in such a manner as to maintain the desired viscosity. Such an arrangement is illustrated in FIG. 4. As shown in FIG. 4, a blending tank 41 contains a fluid 23 which is blended by means of a rotating impeller 42. The fluid 23 comprises at least two constituents having different viscosities, one of said constituents 43 being supplied to the blending tank 41 by way of a conduit 44 and controllable valve 45. The other constituent 46 is supplied to the blending tank 41 by way of a conduit 47 and controllable valve 48. The blended fluid 23 leaves the blending tank 41 by way of a conduit 49. A relatively small bypass conduit 50 diverts some of the fluid flowing through the conduit 49 so that a portion of the blended fluid flows through the viscosity measuring chamber 51. Situated in the viscosity measuring chamber 51 is a vibratory member 52, corresponding to the member 1 shown in FIG. 1.
The vibratory member 52 has an upper arm 53 with magnetic portions 54 and 55 which coact with the driving and detection coils 4 and 5 respectively. The vibratory member 52 also has a shank portion 56 and a sensing end portion 57 which is immersed in the portion of the fluid 23 which enters the chamber 51. The rigid shank 56 of the member 52 is secured to the elastic casing 58 of the sensing apparatus near the upper end of said shank.
The driver coil 4 causes the vibratory member 52 to oscillate torsionally, so that the end portion 57 is subjected to viscous shear by the fluid in the measuring chamber 51. In order to provide high sensitivity in the case where the fluid 23 is of relatively low viscosity, the end portion 57 is of annular shape with serrated inner and outer surfaces which provide additional surface area for interaction with the fluid. The end portion 57 is provided with apertures 59 which permit air or gas bubbles to escape.
The voltage developed at terminal 7 of the resistor 6 shown in FIG. 4 is a measure of the viscosity of the fluid within the measuring chamber 51, and is supplied to the comparator 36 on line 37. The comparator 36 compares the viscosity indicating voltage on line 37 with a DC voltage on line 35 indicative of the desired viscosity, and provides a viscosity correction signal to the valve controller 60 on line 38. The valve controller 60 in turn provides control signals on lines 61 and 62 to selectively operate the flow control valves 45 and 48 respectively. Thus the valve controller 60 operates to supply more or less of the fluid of greater or lesser viscosity, as dictated by the valve control signal on line 38, in such a manner as to cause the viscosity of the blended fluid 23, as ascertained in the measuring chamber 51, to approach the desired value. In a typical application for solvent blending, the desired viscosity of 1.000 centipoise density units can be controlled within . ±.0.0025 centipoises.」(8欄63行-9欄53行、当審訳:「あるいは、粘度制御装置は、所望の粘度を維持するような方法における、流体23の2つ以上の成分の相対比率を変化させるバルブコントローラであってもよい。このような配置が図4に示されている。図4に示すように、混合タンク41は、回転インペラ42によって混合される流体23を含む。流体23は、異なる粘度を有する少なくとも2つの成分を含み、前記成分の1つ43は、導管44及び制御可能な弁45を介して混合タンク41に供給される。他の成分46は、導管47及び制御可能な弁48を介して混合タンク41に供給される。混合流体23は、導管49を通って混合タンク41を出る。比較的小さなバイパス導管50は、混合された流体の一部が粘度測定室51を通って流れるように、導管49を通って流れる流体の一部をそらす。粘度測定室51内には、図1に示す部材1に対応する振動部材52が配置されている。
振動部材52は、駆動及び検出コイル4及び5とそれぞれ協働する磁性部分54及び55を備えた上アーム53を有する。振動部材52はまた、シャンク部分56と、チャンバ51に入る流体23の部分に浸される感知端部分57とを有する。部材52の剛性シャンク56は、前記シャンクの上端近くで感知装置の弾性ケーシング58に固定される。
駆動コイル4は、振動部材52をねじり振動させ、その結果、端部57は、測定チャンバ51内の流体によって粘性剪断を受ける。流体23の粘度が比較的低い場合に高感度を提供するために、端部57は、流体との相互作用のための追加の表面積を提供する鋸歯状の内面及び外面を備えた環状形状である。端部57には、空気又は気泡を逃がすことができる開口部59が設けられている。
図4に示す抵抗器6の端子7で発生する電圧は、測定チャンバ51内の流体の粘度の尺度であり、ライン37を介して比較器36に供給される。比較器36は、ライン37上の粘度表示電圧を、所望の粘度を示すライン35上のDC電圧と比較し、ライン38上のバルブコントローラ60に粘度補正信号を提供する。次に、バルブコントローラ60は、それぞれ流量制御バルブ45及び48を選択的に操作するために、ライン61及び62に制御信号を提供する。したがって、弁コントローラ60は、混合流体23の粘度が、測定室51で確認されるような、所望の値に近づくように、ライン38上の弁制御信号によって指示されるより大きな又はより小さい粘度の流体をより多く又はより少なく供給するように動作する。溶剤混合の一般的な用途では、1.000センチポアズの密度単位の望ましい粘度を±.0.0025センチポアズの範囲内で制御できる。」)

(引1c)「



(引1d)「



(イ)引用文献1に記載された技術事項
a 上記(引1a)より、引用文献1には、「図1に示す粘度測定装置」として、
「流体23の粘度を、ライン35上の粘度基準回路34で生成される信号によって決定されるものであって、
ライン35上の粘度基準発生器34によって提供される粘度基準信号は、好ましくは、粘度比較器36に結合されるDC電圧であり、
振幅が流体23の粘度の測定値である端子7でのAC信号は、ライン37で粘度比較器36に結合され、
粘度比較器36は、ライン37上のAC粘度表示信号から変換したDC電圧をライン35上の粘度基準電圧と比較することによって、比較器36からの出力ライン38に粘度補正信号を提供し、
ライン38上の粘度補正信号は、流体23の粘度を変化させる粘度制御装置39に適用される装置。」
が記載されている。
そして、上記(引1a)にはさらに、「例えば、流体23は、その粘度が温度と共に変化する燃料油を含んでもよく、粘度制御装置39は、温度コントローラであってもよい。このような構成により、燃料油が加熱される温度が炉又はエンジンの燃焼室に供給される前に加熱されることにより自動的に変化し、所定の燃料流量が得られる。」と記載されていることから、引用文献1の「流体23」は、「炉又はエンジンの燃焼室に供給される」「燃料油」を含んでいる。
そうすると、引用文献1には、「図1に示す粘度測定装置」として、「炉又はエンジンの燃焼室に供給される燃料油である流体23の粘度を、ライン35上の粘度基準回路34で生成される信号によって決定されるものであって、
ライン35上の粘度基準発生器34によって提供される粘度基準信号は、好ましくは、粘度比較器36に結合されるDC電圧であり、
振幅が流体23の粘度の測定値である端子7でのAC信号は、ライン37で粘度比較器36に結合され、
粘度比較器36は、ライン37上のAC粘度表示信号から変換したDC電圧をライン35上の粘度基準電圧と比較することによって、比較器36からの出力ライン38に粘度補正信号を提供し、
ライン38上の粘度補正信号は、流体23の粘度を変化させる粘度制御装置39に適用される装置。」が記載されているといえる。

b 上記(引1b)には、上記aにおける「粘度制御装置39」に相当する「粘度制御装置」が、「流体23の2つ以上の成分の相対比率を変化させるバルブコントローラ」である場合において、「流体23は、異なる粘度を有する少なくとも2つの成分を含み、前記成分43の1つは、導管44及び制御可能な弁45を介して混合タンク41に供給され」、「他の成分46は、導管47及び制御可能な弁48を介して混合タンク41に供給され」、「混合流体23は、導管49を通って混合タンク41を出る」ものであり、「バイパス導管50は、混合された流体の一部が粘度測定室51を通って流れるように、導管49を通って流れる流体の一部をそらす」ものであって、「粘度測定室51内には」、「振動部材52が配置され」、「振動部材52は、駆動及び検出コイル4及び5とそれぞれ協働する磁性部分54及び55を備えた上アーム53を有し」、「振動部材52はまた、シャンク部分56と、チャンバ51に入る流体23の部分に浸される感知端部分57とを有し」、「駆動コイル4は、振動部材52をねじり振動させ、その結果、端部57は、測定チャンバ51内の流体によって粘性剪断を受け」るものであり、「抵抗器6の端子7で発生する電圧は、測定チャンバ51内の流体の粘度の尺度であり、ライン37を介して比較器36に供給され」、「比較器36は、ライン37上の粘度表示電圧を、所望の粘度を示すライン35上のDC電圧と比較し、ライン38上のバルブコントローラ60に粘度補正信号を提供し」、「バルブコントローラ60は、それぞれ流量制御バルブ45及び48を選択的に操作するために、ライン61及び62に制御信号を提供する」装置が記載されている。

c 上記(引1a)に記載の「流体23」が「炉又はエンジンの燃焼室に供給される」「燃料油」である構成は、上記bの「粘度制御装置」が、「流体23の2つ以上の成分の相対比率を変化させるバルブコントローラ」である装置においても当然想定されているものであるから、上記bの装置の「導管49を通って混合タンク41を出る」「流体23」は、「炉又はエンジンの燃焼室に供給される」「燃料油」であって、「導管49」は、「炉又はエンジンの燃焼室に」「燃料油」を「供給」するラインであるといえる。
また、上記bの装置の「抵抗器6の端子7で発生する電圧」は、「振動部材52」が備える「検出コイル」「5」から検出されるものであって、該電圧は「測定チャンバ51内の流体の粘度の尺度であ」るから、上記bにおける装置の「振動部材52」は、「炉又はエンジンの燃焼室に供給される」「燃料油」の粘度を測定するものであり、粘度が測定される「炉又はエンジンの燃焼室に供給される」「燃料油」は、「バイパス導管50」によって、「導管49を通って流れる流体の一部をそらす」ことにより「粘度測定室51を通って流れる」「混合された流体の一部」である。
そうすると、引用文献1には、以下の技術事項(以下「技術事項1」という。)が記載されている。

「炉又はエンジンの燃焼室に供給される混合された流体である燃料油の粘度を、炉又はエンジンの燃焼室に燃料油を供給するラインである導管49を通って流れる燃料油の一部をバイパス導管50にそらすことにより粘度測定室51に通し、粘度測定室51内に配置された振動部材52により粘度を測定する粘度測定装置。」

イ 引用文献2
(ア)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特表平11-500535号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(引2a)「 主フローライン202は、第1の点と第2の点との間で材料を搬送するために使用される任意のラインとすることができる。ライン202は、燃料リザーバ211から始まって通常のボイラ212で終わる燃料ラインであるのが好ましい。流れは、重力、又は、通常の燃料ポンプ216の動力支援を受けて、主フローライン202を通って失印214の方向に進行する。中央弁又はチョーク218が、ライン202の中に減圧部を形成している。加熱コイル219が、弁218の上流側の位置でライン202を包囲している。そうではなく、ヒータ219は、流通系の中の任意の箇所に設けることができる。」(10頁末行-11頁7行)

(引2b)「アセンブリ10は、分流ライン204から単一の部品として取り外すことができるので、図2において破線で囲まれている。アセンブリ10は、コリオリ質量流量計12を備えており、このコリオリ質量流量計は、例えば、Micro Motion(コロラド州ボールダー)から商業的に入手可能な Model CMFO25 質量流量計とすることができる。質量流量計12は、通信導線18を介して計器の電子回路14に接続されている。上記 Model CMFO25 質量流量計と共に使用される計器の電子回路の特に好ましい形態は、遠隔型の流量送信器である Model RFT9739であり、これも Micro Motion(コロラド州ボールダー)から商業的に入手可能である。計器の電子回路14は、導線20を介して、差圧トランスジューサ又は発信器16と交信する。差圧測定トランスジューサ16として使用するのに適した装置は、Model 3051CD であり、これは、Rosemount(ミネソタ州ミネアポリス)から商業的に入手可能である。トランスジューサ16は、導線26、28を介して、一対の通常の圧力トランスジューサ22、24に接続されている。上にモデル番号をもって挙げた好ましい構成要素に代えて、商業的に入手可能な他の種々の装置を用いることができる。
計器の電子回路14は、質量流量計12及び差圧トランスジューサ14から測定信号を受信するように作動する。計器の電子回路14は、通常のコリオリ処理技術を利用して、上記信号の材料流動情報(例えば、質量流量、密度、温度及び粘度)としての理解を容易にする。計器の電子回路14は、下の式(1)のハーゲン-ポアズイユの毛細管の関係に従って、質量流量情報から粘度を計算するのが好ましい。
(1) μ=KPρ/m
上式において、μは、絶対粘度であり、Kは、毛細管に関する比例定数であり、Pは、毛細管の前後の差圧であり、ρは、密度であり、mは、材料の質量流量である。上記ハーゲン-ポアズイユの関係は、ニュートン流体(又は、近ニュートン流体)及び層流に関して有効である。従って、上記条件が粘度計12を通して存在するのが好ましい。この手法は、別のレオロジーに相当する他の固有方程式を解くことによって、非ニュートン流体に拡張することができる。」(11頁下から5行-12頁下から6行)

(引2c)「ステップP110乃至P114は、粘度計12がアセンブリ10を通る主フローライン202から分流された材料に対して測定を行っている粘度計の作動の通常の測定状態又はモードを示している。ステップP110においては、粘度計アセンブリ10を用いて、主フローライン202から分流ライン204を通って流れている材料の粘度値を得る。この時点において、弁238、256は、総ての方向において完全に閉じている。弁224、234は開いており、弁218は部分的に閉じていて、主フローライン202に減圧部を形成している。これにより、材料は、ライン202から分流ライン204に入ることができる。アセンブリ10は、定期的に粘度値を計算し、その粘度値をデータとして制御装置210に供給する。ステップP112において、制御装置210が制御装置10からの粘度値を好ましい値又は好ましい範囲の値と比較する。制御装置210は、粘度を適正な範囲にするために必要な流体のパラメータ値(例えば、温度)を調節する。例えば、上記最適範囲よりも大きな粘度値は、制御装置210が加熱コイル219又は燃料供給ラインの上流側の他のヒータを作動させて主フローライン202の中の材料を加熱するので、修正される。その結果増大した温度は、対応する粘度の減少を生じさせて、燃料の粘度を上記最適範囲に維持する。」(14頁下から3行-15頁13行)

(イ)引用文献2に記載された発明
a 上記(引2b)及び(引2c)の「アセンブリ10」、「粘度計アセンブリ10」及び「制御装置10」は、同じものを指していることから、「アセンブリ10」として整理する。また、(引2b)に「アセンブリ10は、コリオリ質量流量計12を備え」と記載されていることから、(引2c)の「粘度計12」は、「コリオリ質量流量計12」として整理する。

b 上記(引2c)において、引用文献2の「制御装置210が加熱コイル219又は燃料供給ラインの上流側の他のヒータを作動させて主フローライン202の中の材料を加熱」し、「燃料の粘度を上記最適範囲に維持する」から、「主フローライン202から分流ライン204を通って流れている材料」は、燃料であるといえる。

c 上記a及びbを踏まえると、(引2a)及び(引2c)の記載より、引用文献2には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「コリオリ質量流量計12がアセンブリ10を通る、燃料リザーバ211から始まって通常のボイラ212で終わる燃料ラインである、主フローライン202から分流された燃料に対して測定を行っている粘度計の作動において、
アセンブリ10を用いて、主フローライン202から分流ライン204を通って流れている燃料の粘度値を得るステップであって、
アセンブリ10は、定期的に粘度値を計算し、その粘度値をデータとして制御装置210に供給するステップ110と、
制御装置210がアセンブリ10からの粘度値を好ましい値又は好ましい範囲の値と比較し、
制御装置210が加熱コイル219又は燃料供給ラインの上流側の他のヒータを作動させて主フローライン202の中の燃料を加熱することにより、
制御装置210は、粘度を適正な範囲にするために必要な流体のパラメータ値である温度を調節するステップP112とからなる
方法。」

ウ 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用された国際公開第2014/051582号(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(引4a)「Viscosity measurement performed using a vibratory flowmeter is disclosed in U.S. Patent No. 5,661,232 to Van Cleve et al, and is incorporated by reference herein in its entirety. In this arrangement, two Coriolis mass flow meters are used to measure two different flow portions having different resistances to fluid flow. The two meters measure the flow velocities of the two flows, along with measuring two mass flow rates and two densities. A viscosity of the flow fluid can be derived from the fluid flow velocities, fluid flow mass flow rates, and fluid densities.」(16頁3-9行、当審訳:「振動式流量計を用いて行なわれる粘度測定は、ヴァン・クレーフらに付与された米国特許第5 , 6 6 1 , 2 3 2 号に開示されており、参照することによりその全体を本明細書に記載加入するものとする。ここでの構成では、2つのコリオリ式質量流量計が流体の流れに対して異なる抵抗を有する2つの異なる流れ部を測定するために用いられる。2つのコリオリ式質量流量計は、2つの異なる流れ部の流速に加えて、2つの質量流量及び2つの密度が測定される。流動流体の粘度は、流動流体の流速、流動流体の質量流量及び流動流体の密度から導出することができるようになっている。」)

エ 参考文献1
本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2000-505557号公報(以下「参考文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

(参1a)「【特許請求の範囲】
1. 流動する物質の粘度を決定する装置であって、
物質源(504)に接続可能な入口(508)、及び、物質受入部(506)に接続可能な出口(511)を有している、第1のコリオリ質量流量計(302)を備えており、
更に、
前記物質源に接続可能な入口(509)、及び、前記物質受入部に接続可能な出口(512)を有している、第2のコリオリ質量流量計(503)を備えており、
該第2のコリオリ質量流量計は、前記第1のコリオリ質量流量計の物質流に対する抵抗とは大きさが異なる物質流に対する抵抗を有しており、
また、前記物質源から前記物質受入部まで前記第1及び第2のコリオリ質量流量計を通って流れる物質流に応答して、前記第1のコリオリ質量流量計の中の物質流の密度及び流速、並びに、前記第2のコリオリ質量流量計の中の物質流の密度及び速度を決定する手段(210、306)と、
前記第1及び第2の流量計の各々の中の物質の前記密度及び速度の決定に応答して、前記流動する物質の粘度に関する出力情報を発生する手段(206)とを備えること、を特徴とする装置。」

オ 参考文献2
本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-145444号公報(以下「参考文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(参2a)「【請求項18】
流体のコリオリ質量流量を表す質量流量測定値(X_(m))及び流体の密度を表す密度測定値(X_(ρ))を送出するたわみ振動型のコリオリ質量流量/密度測定装置を用いて、管路を流れる流体の粘度を測定する方法において、
流体の流れる測定管(13)に励振装置(16)を介して測定管を静止状態に対して振動させて空間的偏向を起こすことにより流体に粘性摩擦を形成し、ここで測定管(13)から生じた振動は少なくとも部分的にたわみ振動であり、
測定管(13)を振動させる励振装置(16)に供給される励振電流(i_(exc))を検出し、
測定管(13)のたわみ振動を表す少なくとも1つのセンサ信号(x_(s1),x_(s2))を検出し、
検出された励振電流(i_(exc))及び少なくとも1つのセンサ信号(x_(s1),x_(s2))に基づいて密度測定値(X_(ρ))により粘度を表す粘度測定値(X_(η))を形成する
ことを特徴とする管路を流れる流体の粘度を測定する方法。」

カ 上記ウ?オより、引用文献4、参考文献1及び2には、いずれも「コリオリ質量流量計で測定された流体の密度により粘度を特定する技術」が記載されているから、該技術は周知技術であるといえる。

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「制御装置210」は、「加熱コイル219又は燃料供給ラインの上流側の他のヒータを作動させて主フローライン202の中の燃料を加熱することにより」「必要な流体のパラメータ値である温度を調節する」ことにより「粘度を適正な範囲にする」ものであるから、本件補正発明の「燃料制御システム」に相当する。
また、引用発明の「コリオリ質量流量計12」は、本件補正発明の「コリオリ流量計」に相当する。
そして、引用発明は「コリオリ質量流量計12」により「燃料の粘度値を得」、「制御装置210がアセンブリ10からの粘度値を好ましい値又は好ましい範囲の値と比較し」「制御装置210は、粘度を適正な範囲にするために必要な流体のパラメータ値である温度を調節する」ものであるから、引用発明の「コリオリ質量流量計12」により得られた「燃料の粘度値」により「制御装置210」が、「粘度を適正な範囲にする」方法は、本件補正発明の「コリオリ流量計を用いて、燃料制御システムの燃料の粘度を制御する方法」に相当する。

(イ)引用発明は「コリオリ質量流量計12がアセンブリ10を通る」「主フローライン202から分流された燃料に対して測定を行って」おり、「コリオリ質量流量計12が」「燃料に対して測定」をするためには、引用発明は「コリオリ質量流量計12」に燃料を供給するステップを有していることは明らかであるから、引用発明の、「コリオリ質量流量計12」に燃料を供給するステップは、本件補正発明の「コリオリ流量計に燃料を供給するステップ」に相当する。

(ウ)引用発明の「コリオリ質量流量計12がアセンブリ10を通る」「主フローライン202から分流された燃料に対して測定を行」い、「主フローライン202から分流ライン204を通って流れている燃料の粘度値を得るステップ」と、本件補正発明の「コリオリ流量計を用いて燃料の密度を測定するステップ」とは、「コリオリ流量計を用いて燃料の値を測定するステップ」である点で共通する。

(エ)引用発明の「制御装置210がアセンブリ10からの粘度値を好ましい値又は好ましい範囲の値と比較し、制御装置210が加熱コイル219又は燃料供給ラインの上流側の他のヒータを作動させて主フローライン202の中の燃料を加熱することにより、制御装置210は、粘度を適正な範囲にするために必要な流体のパラメータ値(例えば、温度)を調節するステップP112」と、本件補正発明の「測定された燃料の密度に基づいて信号を生成するステップと、コリオリ流量計に付与される燃料の温度を制御するように構成された温度制御ユニットに信号を提供するステップ」とは、「測定された燃料の値に基づいて信号を生成するステップと、コリオリ流量計に付与される燃料の温度を制御するように構成された温度制御ユニットに信号を提供するステップ」である点で共通する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)「コリオリ流量計を用いて、燃料制御システムの燃料の粘度を制御する方法であって、
コリオリ流量計に燃料を供給するステップと、
コリオリ流量計を用いて燃料の値を測定するステップと、
測定された燃料の値に基づいて信号を生成するステップと、
コリオリ流量計に付与される燃料の温度を制御するように構成された温度制御ユニットに信号を提供するステップを備える、方法。」

(相違点1)コリオリ流量計への燃料の供給が、本件補正発明が「エンジンへの燃料ラインを介して」いるのに対し、引用発明が「燃料リザーバ211から始まって通常のボイラ212で終わる燃料ラインである、主フローライン202から分流された」「分流ライン204」を介している点。

(相違点2)コリオリ流量計を用いて測定する燃料の値が、本件補正発明が「密度」であるのに対し、引用発明が「粘度」である点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明の「分流ライン204」は、「主フローライン202」から分流した後再び「主フローライン202」に戻るラインであり、「主フローライン202」は「燃料リザーバ211から始まって通常のボイラ212で終わる燃料ラインである」から、引用発明の「分流ライン204」は、「ボイラ212」への「燃料ラインである」といえ、引用発明のコリオリ質量流量計12」への燃料の供給は、「ボイラ212」への燃料ラインを介しているといえる。
また、技術事項1の「振動部材52」は引用発明の「コリオリ質量流量計12」と同様に流体の粘度を測定するものであって、技術事項1の「振動部材52」が測定する「粘度測定室51を通」って流れる「混合された流体である」「燃料油の一部」は、「炉又はエンジンの燃焼室に燃料油を供給するラインである導管49」を介して「粘度測定室51」に供給するものであって、技術事項1には、粘度が測定される燃料が、引用発明の「ボイラ212」に相当する「炉」と同様に「エンジンの燃焼室に燃料油を供給するラインである導管49」を介して「粘度測定室51」に供給するものも示唆しているといえるから、引用発明の「コリオリ質量流量計12」への燃料の供給に関する構成に、技術事項1の「エンジンの燃焼室に燃料油を供給するラインである導管49」を介して供給する構成を適用し上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことであるといえる。

イ 相違点2について
引用発明の「コリオリ質量流量計12」が粘度を測定するためにどの値を測定しているか特定されていないが、引用文献2には、上記(引2b)に、
「・・・アセンブリ10は、コリオリ質量流量計12を備えており、・・・計器の電子回路14は、質量流量計12及び差圧トランスジューサ14から測定信号を受信するように作動する。計器の電子回路14は、通常のコリオリ処理技術を利用して、上記信号の材料流動情報(例えば、質量流量、密度、温度及び粘度)としての理解を容易にする。計器の電子回路14は、下の式(1)のハーゲン-ポアズイユの毛細管の関係に従って、質量流量情報から粘度を計算するのが好ましい。
(1) μ=KPρ/m
上式において、μは、絶対粘度であり、Kは、毛細管に関する比例定数であり、Pは、毛細管の前後の差圧であり、ρは、密度であり、mは、材料の質量流量である。・・・」
と、「コリオリ質量流量計12」で密度を測定できること、密度等から粘度が特定できるとが記載され、また、上記(2)カで検討したとおり、「コリオリ質量流量計で測定された流体の密度により粘度を特定する技術」は周知技術であるから、上記相違点2は、実質的な相違点であるとはいえないし、仮に相違点2が実質的な相違点であったとしても、当業者が容易に想到できたものであるといえる。

ウ 効果について
本件補正発明の効果は、引用文献1及び2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術事項1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年9月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成31年4月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明であるから特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないか、又は、引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:米国特許第3762429号明細書
引用文献2:特表平11-500535号公報
引用文献3:特開2012-37121号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:国際公開第2014/051582号(周知技術を示す文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2に記載された事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「コリオリ流量計に燃料を供給するステップ」において、「コリオリ流量計に燃料を」「エンジンへの燃料ラインを介して」「供給する」旨の限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記第2の[理由]2(3)で検討した相違点のうちの相違点2のみで相違することとなり、相違点2は前記第2の[理由]2(4)イで検討したとおり、実質的な相違点であるとはいえないし、仮に相違点であったとしても、当業者が容易に想到できたものであるといえるから、本願発明は、引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するか、又は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-06-15 
結審通知日 2020-06-16 
審決日 2020-06-29 
出願番号 特願2017-563533(P2017-563533)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 113- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 達也  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 渡戸 正義
福島 浩司
発明の名称 振動計を用いて燃料制御システム内の粘度を制御する方法  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ