• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1368006
審判番号 不服2020-1073  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-27 
確定日 2020-11-13 
事件の表示 特願2017- 20212号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-126245号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年2月7日の出願であって、平成30年10月11日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月13日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年5月22日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月14日付け(謄本送達日:同年同月19日)で、同年7月17日に提出された手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、令和2年1月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年1月27日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成30年12月13日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示手段と、この表示手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示と、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示と、を表示可能であり、
前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり、
前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示と、前記第2保留表示とを前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示することを特徴とする遊技機。」 とあったものを、

「識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示手段と、この表示手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示と、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示と、を表示可能であり、
前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり、
前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示と、前記第2保留表示とを前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、
前記縮小する画像に含まれる複数の画像オブジェクトを、当該画像オブジェクト毎に縮小する割合を異ならせて表示することが可能であることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について
(1)補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「縮小する画像」に関して、「前記縮小する画像に含まれる複数の画像オブジェクトを、当該画像オブジェクト毎に縮小する割合を異ならせて表示することが可能である」ものに限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである(なお、下線は合議体が付した。)。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0824】ないし【0825】や図166等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、記号AないしFは、分説するため合議体が付した。)。
「A 識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示手段と、この表示手段を制御する制御手段とを備え、
B 前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示と、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示と、を表示可能であり、
C 前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり、
D 前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示と、前記第2保留表示とを前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、
E 前記縮小する画像に含まれる複数の画像オブジェクトを、当該画像オブジェクト毎に縮小する割合を異ならせて表示することが可能である
F ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-150110号公報(平成27年8月24日出願公開、以下「引用例1」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の表示を表示可能な遊技台が知られている。
・・・略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技台では、表示が単調になりやすく、表示について改良の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、多彩な態様で表示を行うことで、興趣が向上された遊技台を提供することにある。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。まず、図1を用いて、本実施の形態によるパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。
・・・略・・・
【0021】
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設している。演出装置206は、演出可動体224を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。
・・・略・・・
【0039】
次に、図4を用いて、このパチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」という)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。
・・・略・・・
【0060】
図5(c)は装飾図柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」?「装飾10」の10種類がある。「装飾1」?「装飾9」および「装飾10」は、それぞれ数字の「1」?「9」および「0」を表している。特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したこと、すなわち、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・→「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。
・・・略・・・
【0115】
これらの特図関連抽選処理についても、主制御部300が特図2関連抽選処理を特図1関連抽選処理よりも先に行うことで、特図2変動遊技の開始条件と、特図1変動遊技の開始条件が同時に成立した場合でも、特図2変動遊技が先に変動中となるため、特図1変動遊技は変動を開始しない。また、特図2変動遊技の保留数が1以上の場合には、特図1変動遊技の保留に関する抽選処理や変動遊技は行われない。また、装飾図柄表示装置208による、特図変動遊技の当否判定の結果の報知は、第1副制御部400によって行われ、特図2始動口232への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知が、特図1始動口230への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知よりも優先して行われる。本実施の形態では、有利度の高い特図変動遊技(本例では特図2変動遊技)が有利度の低い特図変動遊技(本例では特図1変動遊技)よりも優先して行われる。このため、遊技状態の有利度に差を持たせ易くなる場合がある。」

ウ 「【0213】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100において実行される演出の具体例について説明する。
【0214】
(実施例1)
図16および図17は、本実施の形態の実施例1における演出表示の例を示している。図16(a)?(r)および図17(a)?(h)は、この順に時系列に並んで各時点毎の演出表示状態を示している。図16(a)?(r)および図17(a)?(h)の各図は、図3に示すパチンコ機100の遊技盤200の略示正面図から装飾図柄表示装置208、特図1表示装置212、特図2表示装置214、特図1保留ランプ218、および特図2保留ランプ220だけを抜き出して示している。各図において、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a?208cにおける装飾図柄の変動表示は下向きの白抜き太矢印で表している。また、特図1表示装置212、特図2表示装置214、特図1保留ランプ218および特図2保留ランプ220の消灯部分は白抜きで表し、点灯部分は黒塗りで表している。また、特図1表示装置212全てのセグメントを白抜きで表した状態は、特図1の変動表示が行われていることを示している。この点は特図2表示装置214についても同様である。」

エ 「【0216】
また、各図における装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの左下の正方形の枠で囲まれた領域は、変動アイコンを表示可能な変動アイコン表示領域800になっている。変動アイコンは、保留が消化されて特図変動遊技が開始されると変動アイコン表示領域800に表示されるアイコンである。変動アイコン表示領域800内の変動アイコンの表示態様を変化させることにより、当該特図変動遊技の当否を所定の信頼度で報知(当該変動予告)できるようになっている。なお、変動アイコン表示領域800の外周の枠状画像は、所定の条件を満たすとき(例えば、変動アイコン表示領域800に変動アイコンが表示されていないとき)にのみ表示されるようにしてもよいし、常時表示されるようにしてもよいし、常時非表示であってもよい。
【0217】
また、図16(a)に例示するように、演出表示領域208dの下部であって変動アイコン表示領域800の右側に隣接する横長の長方形の仮想の破線枠で囲まれた領域は、特図1保留アイコンと当該特図1保留アイコンを載置するように視認させる特図1台座画像900とを表示可能な特図1保留アイコン表示領域になっている。本例の特図1保留アイコン表示領域の下端辺は、装飾図柄表示領域208の画像表示領域の下端辺に一致している。
【0218】
特図1保留アイコン表示領域では、1つまたは複数の特図1保留アイコンを表示することが可能である。特図1保留アイコン表示領域では、特図1保留アイコンの個数によって特図1変動遊技の保留数を報知することが可能であるとともに、各特図1保留アイコンの表示態様によって当該保留に係る特図1変動遊技の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である。
【0219】
特図1台座画像(以下、「特図1台座」と略称する場合がある)900は横長の長方形形状を有している。本例の特図1台座900は最大4つの特図1保留アイコンを載置するように表示可能であり、左から右に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の4つの領域に大まかに分かれている。第1?第4の各領域は、それぞれ1番目?4番目の保留順位に対応している。すなわち、第1領域には最先の(最も過去に記憶された)保留に対応する特図1保留アイコンが表示可能となっており、同様に第2?第4領域には2?4個目の保留に対応する特図1保留アイコンがそれぞれ表示可能となっている。本例では、特図1台座900の第1?第4領域にそれぞれ数字1?4が表示されており、表示された数字によって第1?第4領域の位置が明示されているが、第1?第4領域の位置の明示は省略してもよい。
【0220】
特図1台座900上に表示される特図1保留アイコンは、変動アイコンとは異なる表示サイズ(例えば、変動アイコンより小さい表示サイズ)で表示されるようにしてもよい。これにより、特図1保留アイコンと変動アイコンとの識別が容易になる場合がある。
【0221】
また、図16(g)に例示するように、演出表示領域208dの右端辺に隣接する縦長の長方形の仮想の破線枠で囲まれた領域は、特図2保留アイコンと当該特図2保留アイコンを載置するように視認させる特図2台座画像910とを表示可能な特図2保留アイコン表示領域になっている。本例の特図2保留アイコン表示領域の上端辺は、装飾図柄表示領域208の画像表示領域の上端辺に一致している。
【0222】
特図2保留アイコン表示領域では、1つまたは複数の特図2保留アイコンを表示することが可能である。特図2保留アイコン表示領域では、特図2保留アイコンの個数によって特図2変動遊技の保留数を報知することが可能であるとともに、各特図2保留アイコンの表示態様によって当該保留に係る特図2変動遊技の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である。
【0223】
特図2台座画像(以下、「特図2台座」と略称する場合がある)910は縦長の長方形形状を有している。本例の特図2台座910は最大4つの特図2保留アイコンを載置するように表示可能であり、下から上に向かって、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の4つの領域に大まかに分かれている。第1?第4の各領域は、それぞれ1番目?4番目の保留順位に対応している。すなわち、第1領域には最先の(最も過去に記憶された)保留に対応する特図2保留アイコンが表示可能となっており、同様に第2?第4領域には2?4個目の保留に対応する特図2保留アイコンがそれぞれ表示可能となっている。本例では、特図2台座910の第1?第4領域にそれぞれ数字1?4が表示されており、表示された数字によって第1?第4領域の位置が明示されているが、第1?第4領域の位置の明示は省略してもよい。
【0224】
特図2台座910上に表示される特図2保留アイコンは、変動アイコンとは異なる表示サイズ(例えば、変動アイコンより小さい表示サイズ)で表示されるようにしてもよい。これにより、特図2保留アイコンと変動アイコンとの識別が容易になる場合がある。
【0225】
図16(a)は、特図1変動遊技の終了後の状態を示している。特図1表示装置212には特図G(はずれ図柄)が停止表示されている。また、特図2表示装置214には直近の特図2変動遊技の停止図柄である特図d(はずれ図柄)が停止表示されている。また、特図1保留ランプ218の左から1番目のLEDが点灯されて特図1の作動保留球の数(特図1の保留数)が1つであることが報知されており、特図2保留ランプ220の全てのLEDが消灯されて特図2の作動保留球の数(特図2の保留数)が0であることが報知されている。
【0226】
装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a?208cでは、当該特図1変動遊技の当否判定結果がはずれであったことを示す、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾7-装飾2-装飾4」が停止表示され、第4図柄表示領域920には、はずれを報知する青色(図中、右上がりのハッチングで示す)円形の第4図柄が停止表示されている。特図1保留アイコン表示領域の特図1台座900の第1領域には特図1保留アイコン901が表示されている。特図1保留アイコン901の表示態様は、白色円形である。本実施の形態では、白色円形の表示態様がデフォルトの表示態様に設定されている。また、変動アイコン表示領域800では、変動アイコン700の消去アニメーションが実行されている。例えば、消去アニメーションのデフォルト態様として変動アイコンの透過率(透明度)が徐々に上昇していく態様が設定されている。図16(a)では、デフォルト態様で変動アイコン700が消去されている。また、特図2保留アイコン表示領域には特図2台座910と特図2保留アイコン911は表示されていない。
【0227】
図16(b)は、特図1の保留が消化されて、特図1変動遊技が開始された状態を示している。特図1表示装置212では特図1の変動表示が実行され、左中右図柄表示領域208a?208cでは装飾図柄の変動表示が実行され、第4図柄表示領域920では第4図柄の変動表示が実行されている。また、特図1保留ランプ218の左から1番目のLEDを消灯させて、特図1の保留数が1減少して特図1の保留数が0になったことが報知される。特図1保留ランプ218では、特図1の保留が減少したことが特図1変動遊技の開始とほぼ同時に報知される。
【0228】
また、特図1の保留が1個減少し、特図1変動遊技が開始されると、装飾図柄表示装置208の変動アイコン表示領域800および特図1保留アイコン表示領域では、保留・変動アイコン間の移動アニメーションが実行される。保留・変動アイコン間の移動アニメーションでは、特図1台座900の第1領域に表示されていた特図1保留アイコン901が、変動アイコン801となって、変動アイコン表示領域800に移動する。図16(b)は、変動アイコン801が変動アイコン表示領域800内への移動を完了させており、保留・変動アイコン間の移動アニメーションが終了している状態を示している。変動アイコン801の表示態様は、特図1保留アイコン901と同様に白色円形である。
【0229】
図16(c)は、特図1変動遊技の実行中に特図2の保留が1つ増加した状態を示している。特図2保留ランプ220は、特図2の保留が0から1に増加したことを表示している。また、第4図柄表示領域920では第4図柄の変動表示が実行されている。特図2の保留が0から1に増加したことに基づき、特図2台座910が画像表示領域の右側上方から特図2保留アイコン表示領域の所定の位置まで徐々に降下して移動するアニメーション(以下、「特図2台座移動アニメーション」と称する場合がある)の実行が開始される。
また、特図2の保留が増加すると、特図2の保留増加アニメーション1の実行が開始される。保留増加アニメーションは、保留数を示す保留アイコンが増加する様子を表すアニメーションである。
【0230】
図16(d)?(g)は、特図1変動遊技が継続中であり、特図2台座移動アニメーションと特図2の保留増加アニメーション1が開始してから終了するまでの状態を示している。第4図柄表示領域920では第4図柄の変動表示が実行されている。図16(d)は、特図2台座移動アニメーションと特図2の保留増加アニメーション1が開始された状態を示している。特図2台座移動アニメーションでは、特図2台座910が画像表示領域の右側上方から徐々に降下して第1領域までが見えるようになった表示がなされている。特図2の保留増加アニメーション1では、表示態様が白色四角形である特図2保留アイコン911が特図2台座910の第1領域の左隣りに位置して、特図2台座910と一緒に降下している表示がなされている。また、特図2保留アイコン911は、中心を回転軸として回転しつつ表示サイズを徐々に拡大させている。図16(e)は、特図2台座移動アニメーションと特図2の保留増加アニメーション1の実行中の状態を示している。特図2台座移動アニメーションでは、特図2台座910がさらに降下して第1?2領域までが見えるようになった表示がなされている。特図2の保留増加アニメーション1では、特図2保留アイコン911が特図2台座910の第1領域の左隣りに位置して、特図2台座910と一緒にさらに降下している表示がなされている。また、特図2保留アイコン911は、中心を回転軸として回転しつつ表示サイズをさらに拡大させている。図16(f)は、特図2台座移動アニメーションと特図2の保留増加アニメーション1の実行中の状態を示している。特図2台座移動アニメーションでは、特図2台座910がさらに降下して第1?3領域までが見えるようになった表示がなされている。特図2の保留増加アニメーション1では、特図2保留アイコン911が特図2台座910の第1領域の左隣りに位置して、特図2台座910と一緒にさらに降下している表示がなされている。また、特図2保留アイコン911は、中心を回転軸として回転しつつ表示サイズをさらに拡大させている。図16(g)は、特図2台座移動アニメーションと特図2の保留増加アニメーション1が終了した状態を示している。特図2台座移動アニメーションでは、特図2台座910がさらに降下して全体が見えるようになった状態で特図2保留アイコン表示領域の所定の位置に停止している表示がなされている。特図2の保留増加アニメーション1では、特図2保留アイコン911が特図2台座910の第1領域の左隣りに位置して、特図2台座910と一緒にさらに降下して、特図2台座910の第1領域の左隣りの位置で停止している表示がなされている。」

オ 「【0264】
(実施例2)
図18は、本実施の形態の実施例2における演出表示の例を示している。図18(a)?(n)は、この順に時系列に並んで各時点毎の演出表示状態を示している。図18(a)?(n)の各図に示す構成は実施例1の図16(a)に示す構成と同一であり、また同一の動作および作用効果を奏するので、それらには同一の符号を付して説明は省略する。
【0265】
また、図18(a)?(n)の各図における装飾図柄表示装置208の画像表示領域内の装飾図柄表示領域、変動アイコン表示領域800、特図1保留アイコン表示領域、第4図柄表示領域920等の配置や、所定の表示領域における装飾図柄の変動表示や停止表示、変動アイコン700、特図1台座900、保留アイコン901、第4図柄の表示等は図16(a)に示すものと同一なのでその説明は省略する。
【0266】
図18(a)は、特図1変動遊技の実行中の状態を示している。特図1表示装置212では特図1の変動表示が実行され、特図2表示装置214には特図d(はずれ図柄)が停止表示されている。また、特図1保留ランプ218では特図1の作動保留球の数(特図1の保留数)が1つであることが報知されており、特図2保留ランプ220では特図2の作動保留球の数(特図2の保留数)が0であることが報知されている。
【0267】
装飾図柄表示装置208の画像表示領域全体に亘って、背景演出として背景アニメーションの表示(第一の表示)が実行されている。本例の背景アニメーションは、図18(a)?(b)の期間において、二人の武士が座っている画像を含む背景画像が画像表示領域全体に亘って描かれる第一の表示態様で表示される。第一の表示態様での背景アニメーションの表示は表示優先度が最も低く設定されている。また、背景アニメーションは、第一の表示態様による表示の後の図18(c)?(f)を含む期間において、背景画像が画像表示領域内で縮小表示され、さらに背景画像が左方に移動する第三の表示態様で表示される。
【0268】
左中右図柄表示領域208a?208cでは装飾図柄の変動表示が実行され、第4図柄表示領域920では第4図柄の変動表示が実行されている。特図1保留アイコン表示領域の特図1台座900の第1領域には白色円形のデフォルトの表示態様で特図1保留アイコン901が表示されている。また、変動アイコン表示領域800には、当該特図1変動遊技に対する変動アイコン700が表示されている。変動アイコン700の表示態様は、白色円形である。
【0269】
図18(b)は、特図1変動遊技の実行中であり、背景アニメーションが第一の表示態様で実行されている最中に、松の盆栽を模した画像(以下、「盆栽」と称する場合がある)922を用いた盆栽アニメーションの表示(第二の表示)が実行されている状態を示している。図18(b)では盆栽アニメーションは、背景画像の手前で盆栽922が上から降下してくる第二の表示態様で表示される。盆栽922は当該特図1変動遊技の結果を予告報知している。
【0270】
図18(c)は、特図1変動遊技の実行中であり、背景アニメーションが第三の表示態様で表示され、盆栽アニメーションが第四の表示態様で表示されている状態を示している。第三の表示態様では背景アニメーションの背景画像が縮小表示される。この背景画像の縮小表示は当該変動に対する予告である。背景画像の縮小表示に伴い、左中右図柄表示領域208a?208cの表示領域も縮小表示される。このため、画像表示領域の右上角に別の左中右図柄表示領域208a´?208c´が設けられて、2か所で装飾図柄の変動が表示される。また、変動アイコン表示領域800、特図1保留アイコン表示領域、第4図柄表示領域920等の配置や、所定の表示領域における装飾図柄の変動表示や停止表示、変動アイコン700、特図1台座900、保留アイコン901、第4図柄の表示等は背景画像の縮小表示とは連動せずに元の位置で元の大きさで表示される。画像表示領域内の背景画像以外の領域には例えば単色の塗りつぶし画像が表示されている。第四の表示態様では盆栽922が背景画像の縮小表示に伴い縮小表示される。
【0271】
図18(d)は、特図1変動遊技の実行中であり、背景アニメーションの第三の表示態様での表示が継続され、盆栽アニメーションの第四の表示態様での表示が継続されている状態を示している。第三の表示態様では背景画像がより縮小され且つ背景画像が左方に移動する。背景画像の右側には別の演出の画像が表示される。第四の表示態様では盆栽922が背景画像のさらなる縮小表示に伴いさらに縮小表示され且つ背景画像と一緒に左方に移動する。このように、盆栽922による予告を表示しつつ、背景画像の縮小表示による予告を同時に表示している。なお、この2つの予告は共に表示内容が更新され続ける。
【0272】
また、図18(d)は、特図1変動遊技の実行中に特図1の保留が1つ増加した状態を示している。特図1保留ランプ218は、特図1の保留が1から2に増加したことを表示している。特図1の保留が増加したことに基づいて特図1の保留増加アニメーションの実行が開始され、特図1台座900の第2領域の下方から特図1保留アイコン905が上昇を開始している。なお、始動入賞に伴う保留増加アニメーションは背景画像の縮小表示による予告の影響を受けない。また、保留アイコンは先読み予告であるため、先読み予告は背景画像の縮小表示による予告の影響を受けないとも言える。
【0273】
図18(e)は、特図1変動遊技の実行中であり、背景アニメーションの第三の表示態様での表示が継続され、盆栽アニメーションの第四の表示態様での表示が継続されている状態を示している。第三の表示態様では背景画像がより縮小され且つ画像表示領域を左方に移動している。背景画像の右側には別の演出のアニメーション画像の全体が表示されている。第四の表示態様では盆栽922が背景画像のさらなる縮小表示に伴いさらに縮小表示され且つ背景画像と一緒に画像表示領域を左方に移動している。また、特図1の保留増加アニメーションが継続中である。なお、背景アニメーションと別の演出のアニメーションの両方に装飾図柄の変動表示が表示されている。
【0274】
図18(f)は、特図1変動遊技の実行中であり、背景アニメーションの第三の表示態様での表示と盆栽アニメーションの第四の表示態様での表示が終了する状態を示している。画像表示領域では右から移動してきた別の演出の表示領域が拡大されて別の演出が表示の中心となっている。また、特図1の保留増加アニメーションが終了している。
【0275】
図18(g)?(l)は当該別の演出が実行されている。当該別の演出は二人の武士の戦いを描く演出であり当該特図変動遊技の結果の予告を報知している。図18(g)において、表示の変化により視認可能となる領域において、何らかの表示を行っていてもよい。当該表示は遊技に関する表示(例えば、抽選結果等の遊技者の利益に関する表示)であってもよいし、遊技と関係の無い単なる装飾であってもよい。図18(h)では、背景画像の縮小表示による予告の表示終了後に、当該変動についての別の予告が表示される。当該別の予告の導入部は、図18(g)に示すように背景画像の縮小表示による予告の表示中に表示されている。図18(m)は左中右図柄表示領域208a?208cに「装飾3-装飾3-装飾3」が仮停止している状態を示している。図18(n)は、左中右図柄表示領域208a?208cに「装飾3-装飾3-装飾3」が停止して大当りが確定となったことを表示している状態を示している。
【0276】
当該構成を備えたパチンコ機100によれば、第一の表示の表示態様によって、第二の表示の表示態様が変わるため、遊技者を第一の表示に注目させることができる場合がある。また、第二の表示の表示態様から第一の表示の表示態様を推測可能であるため、表示手段において複数の表示が行われている場合であっても、当該複数の表示全てに注意する必要がなく、一箇所の表示のみに注視すればよいため効率がよい場合がある。」

カ 「【0388】
なお、上記詳細な説明で説明した事項、特に実施例および変形例で説明した事項は組み合わせることが可能である。」

キ 「【図16】


【図17】


【図18】



ク 演出表示状態を示す図18(b)ないし(d)の記載からみて、特図1台座900及び保留アイコン901は、縮小表示された背景画像の前面に表示されていることが看取できる。

ケ 上記アないしクからみて、引用例1には、実施例1の説明を援用した実施例2として、次の発明が記載されている。なお、aないしfについては本願補正発明のAないしFに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域で装飾図柄の変動表示を行う装飾図柄表示装置208(【0021】、【0060】)と、演出の制御を行う第1副制御部400(【0039】)とを備え、
b 装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの下部であって、変動アイコン表示領域800の右側に隣接する特図1保留アイコン表示領域で、特図1台座画像900に載置するように白色円形の特図1保留アイコンを表示可能とし(【0216】、【0217】)、
c 装飾図柄表示装置208の画像表示領域全体に亘って、背景演出として背景アニメーションの表示が実行され、該表示の後の期間において、背景画像が画像表示領域内で縮小表示され(【0267】)、
d 背景画像の縮小表示に伴い、左中右図柄表示領域208a?208cの表示領域も縮小表示され、特図1保留アイコン表示領域の配置や、特図1台座900、保留アイコン901の表示は背景画像の縮小表示とは連動せずに元の位置で元の大きさで表示され、画像表示領域内の背景画像以外の領域には例えば単色の塗りつぶし画像が表示され(【0270】)、特図1台座900及び保留アイコン901は、縮小表示された背景画像の前面に表示されている(上記ク)、
f パチンコ機100(【0009】)。」(以下「引用発明」という。)

(3)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第5953543号公報(平成28年7月20日発行、以下「引用例2」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」

イ 「【0396】
(実施例1) 本実施の形態の実施例1の演出例について図28を用いて説明する。また、図28および後述する各図では、各実施例における特図1変動遊技の演出例が時系列で示されている。また、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a?208cにおける装飾図柄の変動を白抜き太矢印で表している。
・・・略・・・
【0432】
図29(o)は、回転対象画像が図29(n)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転(合計270°回転)した状態を示している。回転対象画像は、縦横比1:1の画面に合わせた縦横比で表示されている。また、図29(o)においては、回転対象画像は見切れていない。また、図29(o)は、変動アイコンの表示態様を変化させる演出が実行された状態を示している。当該演出では、保留変化画像h2から雷が発生し、黒色円形で表示された変動アイコンに落雷するアニメーションが実行されている。落雷した変動アイコンは、エフェクト画像とオーバーラップすることで、当該エフェクト画像によって変動アイコンの全体が隠されている。また、図29(o)は、遊技球が特図1始動口230に入球したことに基づいて、特図1保留数表示領域931では「2」が表示され、特図1保留アイコン表示領域950の第2領域に黒色円形で表示された特図1保留アイコン954が保留アイコンの増加アニメーションによって出現した状態を示している。」

ウ 「【0435】
(実施例3) 本実施の形態の実施例3の演出例について図30を用いて説明する。図30(a)?(r)は特図1変動遊技の演出を時系列で表示している。図30(a)?(h)は、図29(a)?(h)と同じ状態を示している。次いで、図30(i)は、演出表示領域208dの右下部に殿のキャラクタ画像h3が表示されている。殿のキャラクタ画像h3と装飾枠f2とがオーバーラップして表示され、殿のキャラクタ画像h3の一部(あごの部分)が装飾枠f2によって隠されている。また、図30(i)は、図29(i)と殿のキャラクタ画像h3および殿のキャラクタ画像h3のセリフを表す吹き出し画像の表示位置が異なることを除けば同じ状態を示している。次いで、図30(j)は、図29(j)と殿のキャラクタ画像h3および殿のキャラクタ画像h3のセリフを表す吹き出し画像の表示位置が異なることを除けば同じ状態を示している。
【0436】
図30(k)は、装飾図柄表示装置208に表示された装飾図柄、殿のキャラクタ画像h3、および殿のキャラクタ画像h3のセリフを表す吹き出し画像(以下、本実施例において、これらの画像を「回転対象画像」と称する場合がある。)が、装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として遊技者から見て反時計回りに45°回転した状態を示している。また、本実施例の回転表示予告演出では、上記実施例1で示した回転表示予告演出と異なり、装飾枠f1、装飾枠f1内に表示された画像、装飾枠f2、装飾枠f2内に表示された画像、および爺のキャラクタのセリフを表す吹き出し画像(以下、本例において、これらの画像を「非回転対象画像」と称する場合がある。)の回転表示が実行されず、非回転対象画像の縦横比が変化しない。また、非回転対象画像は回転対象画像よりも優先して表示される。なお、回転対象画像が非回転対象画像より優先して表示される場合があってもよいし、回転対象画像のうちの一部の画像のみが非回転対象画像より優先して表示される場合があってもよいし、非回転対象画像のうちの一部の画像のみが回転対象画像よりも優先して表示される場合があってもよい。
【0437】
図30(k)では、回転対象画像の縦横比を変化して表示している。回転前の回転対象画像は、縦横比9:16(装飾図柄表示装置208の画面の縦横比)の画面に合わせた縦横比で表示されているのに対して、図30(k)に示す回転対象画像の縦横比は、縦横比3:4の画面に合わせた縦横比に変化している。また、殿のキャラクタ画像h3は、隠されていたあごの部分が表示されている。また、左図柄表示領域208aに表示された「装飾3」の一部が、装飾図柄表示装置208において見切れている。次いで、図30(l)は、回転対象画像が図30(k)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転した状態を示している。回転対象画像の縦横比は、縦横比1:1の画面に合わせた縦横比に変化している。次いで、図30(m)は、回転対象画像が図30(l)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに90°回転した状態を示している。また、回転対象画像の縦横比は、回転前の回転対象画像の縦横比に変化している。次いで、図30(n)は、回転対象画像が図30(m)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転した状態を示している。回転対象画像の縦横比は、縦横比3:4の画面に合わせた縦横比に変化している。また、図30(n)は、回転表示予告演出の実行中に保留変化画像h2が、回転対象画像として、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cに表示された装飾図柄、および殿のキャラクタ画像h3にオーバーラップして表示される。図30(n)に表示されている保留変化画像h2は、変動アイコンの表示態様を変化させる当該変動の予告の演出に用いられる画像である。
【0438】
図30(o)は、回転対象画像が図30(n)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転した状態を示している。回転対象画像の縦横比は、縦横比1:1の画面に合わせた縦横比に変化している。また、図30(o)は、変動アイコンの表示態様を変化させる演出(変動アイコンの変化アニメーション)が実行された状態を示している。本実施例での当該演出では、保留変化画像h2から発生した雷は、変更対象の変動アイコンとは異なる位置に落ちるように表示される。また、非回転対象画像の変動アイコンは、保留変化画像h2から雷が発生してエフェクト画像が表示されたタイミングで、黒色円形から円の中に「熱」の文字が描かれた態様に変化している。本実施例では、変化する変動アイコンがエフェクト画像で隠されないので、変化する変動アイコンがエフェクト画像で隠される場合よりも変化後の変動アイコンが早く視認可能となる。
【0439】
図30(p)は、回転対象画像が図30(o)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転した状態を示している。回転対象画像の縦横比は、縦横比3:4の画面に合わせた縦横比に変化している。保留変化画像h2、雷画像、およびエフェクト画像が消去されている。次いで、図30(q)は、回転対象画像が図30(p)の状態から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として反時計回りに45°回転し元に戻った状態を示している。また、回転対象画像の縦横比は、元の縦横比に戻っている。次いで、図30(r)は、装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a?208cに「装飾3-装飾2-装飾3」が停止表示され、特図1変動遊技の結果がはずれであることが報知された状態を示している。また、変動アイコン表示領域940に表示されていた変動アイコンが下方に移動することで、変動アイコンを消去する消去アニメーションが実行されている。
【0440】
このように本実施例の回転表示予告演出では、回転対象画像の回転表示を行う場合において、非回転対象画像は回転しない。非回転対象画像には、第4図柄表示領域に表示された第4図柄、保留数表示領域に表示された保留数表示、保留アイコン、および変動アイコン等の画像が用いられる。このため、遊技者にとって重要な情報を報知する画像を回転させないようにしている。」

エ 「【図30】




オ 上記アないしエからみて、引用例2には、次の事項が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。
「パチンコ機において(【0001】)、
特図1保留数表示領域931では「2」が表示され、特図1保留アイコン表示領域950の第2領域に黒色円形で表示され(【0432】)、
回転対象画像が、装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中心を回転中心として回転する回転表示予告演出では、装飾枠f1、装飾枠f1内に表示された画像(特図1保留数表示領域931)、装飾枠f2、装飾枠f2内に表示された画像(特図1保留アイコン表示領域950)を含む非回転対象画像の回転表示が実行されず、非回転対象画像は回転対象画像よりも優先して表示されること(【0436】、図30)。」(以下「引用例2の記載事項」という。)

(4)対比
本願補正発明と引用発明を対比する(見出し(a)ないし(f)は、本願補正発明の特定事項AないしFに対応する。)。

(a)引用発明の「装飾図柄の変動表示を行う装飾図柄表示装置208」及び「演出の制御を行う第1副制御部400」は、それぞれ本願補正発明の「識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示手段」及び「この表示手段を制御する制御手段」に相当する。
そうすると、引用発明のaは、本願補正発明の特定事項Aに相当する。

(b)引用発明の「演出表示領域208d」は、本願補正発明の「表示領域」に相当する。
また、引用発明の「特図1保留アイコン」は、技術常識からみて、未実施の変動表示ゲームの回数を示すから、本願補正発明の「未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示」に相当する。
また、引用発明において、第1副制御部400(制御手段)が、特図1保留アイコンを演出表示領域208d(表示領域)で表示可能としていることは明らかである。
そうすると、引用発明の「b 装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの下部であって、変動アイコン表示領域800の右側に隣接する特図1保留アイコン表示領域で、特図1台座画像900に載置するように白色円形の特図1保留アイコンを表示可能とし」と、本願補正発明の「B 前記制御手段は、前記表示手段の表示領域に、未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示と、未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示と、を表示可能であり、」とは、「前記制御手段は、前記表示手段の表示領域に、未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示」「を表示可能であり、」で一致する。

(c)引用発明の「背景画像の縮小表示」は、本願補正発明の「前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「c 装飾図柄表示装置208の画像表示領域全体に亘って、背景演出として背景アニメーションの表示が実行され、該表示の後の期間において、背景画像が画像表示領域内で縮小表示され」は、本願補正発明の「C 前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり」に相当する。

(d)引用発明のdは、保留アイコン901(第1保留表示)は、背景画像の縮小表示(縮小表示演出)とは連動せずに元の大きさで表示され、縮小表示された背景画像の前面に表示されるものであるから、本願補正発明の特定事項Dのうち「前記第1保留表示」「を前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、」との特定事項を備える
また、引用発明のdは、画像表示領域内の背景画像以外の領域には例えば単色の塗りつぶし画像が表示されるものであるところ、背景画像の縮小表示が背景画像以外の領域と明確に区別できるように、前記「単色の塗りつぶし画像」が背景画像の縮小表示との間にコントラストをなすような表示態様であることは自明である。
そうすると、引用発明の「d 背景画像の縮小表示に伴い、左中右図柄表示領域208a?208cの表示領域も縮小表示され、特図1保留アイコン表示領域の配置や、特図1台座900、保留アイコン901の表示は背景画像の縮小表示とは連動せずに元の位置で元の大きさで表示され、画像表示領域内の背景画像以外の領域には例えば単色の塗りつぶし画像が表示され(【0270】)、特図1台座900及び保留アイコン901は、縮小表示された背景画像の前面に表示され」と、本願補正発明の「D 前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示と、前記第2保留表示とを前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、」とは、「前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示」「を前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、」で一致する。

(f)引用発明の「パチンコ機100」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)ないし(f)からみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示手段と、この表示手段を制御する制御手段とを備え、
B’前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示を表示可能であり、
C 前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり、
D’前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、前記第1保留表示を前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示する、
F 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項B、D)
「保留表示」に関し、
本願補正発明では、「未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示」「を表示可能であ」り、「前記第2保留表示」「を前記縮小する画像として含め」ないのに対し、
引用発明では、白色円形の特図1保留アイコン(第1保留表示)を表示可能としているものの、特図1保留アイコンとは異なる表示態様で示す第2保留表示を表示可能であるかどうかが明らかでない点。

・相違点2(特定事項E)
「縮小する画像」に関し、
本願補正発明では、「前記縮小する画像に含まれる複数の画像オブジェクトを、当該画像オブジェクト毎に縮小する割合を異ならせて表示することが可能である」のに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

(5)判断
ア 相違点1について
(ア)引用例2の記載事項(上記(3))の「特図1保留数表示領域931では「2」が表示され」ること、及び、「特図1保留アイコン表示領域950の第2領域に黒色円形で表示され」は、保留表示として相互に異なる態様で示され、それぞれ本願補正発明の「第1保留表示」及び「第2保留表示」に相当するから、引用例2の記載事項は、本願補正発明の特定事項Bを備える。
(イ)引用発明を認定した引用例1には、実施例1として、装飾図柄表示装置208において、白色円形である特図1保留アイコン901、903(【0226】、図16(a)、図17(a)等)と、白色四角形である特図2保留アイコン911、913(【0230】、図16(g)、図17(a)等)とを表示可能であること(以下「引用例1の記載事項」という。)が記載されている。引用例1の記載事項の「白色円形である特図1保留アイコン901」及び「白色四角形である特図2保留アイコン911」は、それぞれ本願補正発明の「第1保留表示」及び「第2保留表示」に相当するから、引用例1の記載事項は、本願補正発明の特定事項Bを備える。
(ウ)引用発明と、引用例1又は2の記載事項とは、パチンコ遊技機において、表示装置に保留表示をすることで共通するから、引用例1又は2の記載事項を引用発明に適用し、前記表示手段の表示領域に、特図1保留アイコン(第1保留表示)だけでなく、特図1保留アイコン(第1保留表示)とは異なる態様で示す保留表示(第2保留表示)を表示可能となすことは当業者が適宜なし得たことである。
そして、引用発明において、特図1保留アイコン(第1保留表示)とは異なる態様で示す保留表示(第2保留表示)を表示可能とした際に、該保留表示(第2保留表示)を特図1保留アイコン(第1保留表示)と同様に、縮小する画像として含めないようにすることは当業者に自明な事項である。
してみると、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が引用例1及び2の記載事項に基づいて適宜なし得たことである。

イ 相違点2について
(ア)パチンコ遊技機において、遊技の興趣の向上を目的として、表示装置に表示可能な複数の画像を、当該画像毎に縮小する割合を異ならせて表示することを可能とすることは本願の出願前に周知(以下「周知技術」という。例.特開平11-156013号公報(特に「【0120】次に、図14?図17を参照して、特殊リーチの第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る縮小リーチは、可変表示中の中図柄のうち、リーチ図柄を除くすべての図柄が可変表示方向に縮小されて表示される点に特徴を有する。」との記載、「【0158】(3)第2実施形態では、図16に示したようにリーチ図柄以外の図柄をすべて均等に縮小しているが、縮小する割合を各図柄に応じて変化させるように構成してもよく、また、一部の図柄については縮小しないように構成してもよい。」との記載、図14ないし図16の記載参照。)、特開2002-95821号公報(特に「【0055】そして、図5(b)に示すように、図柄(L?R)の表示は、基準点Pに近づくほど小さくなるようにする。即ち、図5(b)では、R>M>Lの順の大きさとなるようにしている。」との記載、図5、図6及び図8の記載参照。)、特開2000-5398号公報(特に「【0037】・・・また、上記実施例においては、図柄表示装置25の左列の図柄および右列の図柄を同一サイズに縮小したが、これに限定されるものではなく、例えば両者を異なるサイズに縮小しても良い。」との記載参照。))である。
(イ)引用発明と周知技術とは、パチンコ遊技機において、遊技の興趣の向上を目的として、表示装置に表示されている画像を縮小表示する演出を実行可能とする点で共通するから、引用発明に接した当業者であれば、当然周知技術も念頭におくものである。
そうすると、引用発明において、縮小表示される画像に含まれる図柄等の複数の画像(画像オブジェクト)を、当該画像毎に縮小する割合を異ならせて表示することを可能とすること、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例1の記載事項の奏する効果、引用例2の記載事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(ニ)本願発明と引用文献との対比」において、以下のとおり主張している。
「しかし、補正後の本願発明と引用文献とは、以下の構成で異なります。
即ち、補正後の本願発明は、
「前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に表示している画像が縮小する縮小表示演出を実行可能であり、
前記縮小表示演出において、縮小する画像と、前記縮小する画像が表示されている領域の周囲に位置する背景の画像との間にコントラストを設けた表示とすることが可能であり、」という特徴Aと、
「前記制御手段は、
前記表示手段の表示領域に、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を示す第1保留表示と、
未実施の前記変動表示ゲームの回数を前記第1保留表示とは異なる態様で示す第2保留表示と、を表示可能であり
前記第1保留表示と、前記第2保留表示とを前記縮小する画像として含めず、前記背景の画像の前面に表示し、」という特徴Bに加えて、
「前記縮小する画像に含まれる複数の画像オブジェクトを、当該画像オブジェクト毎に縮小する割合を異ならせて表示することが可能である」という特徴Cをさらに有します。
そして、これらの特徴A、特徴B、及び特徴Cを含む構成によって、既述した効果を実現しています。特に特徴Cによれば、複数のオブジェクトを縮小させて興趣の高い表示演出を実現しつつ、オブジェクト毎に必要な大きさを保持して、例えば演出中にも文字等を容易に読み取れる効果が得られます。
これに対して、各引用文献には、上記特徴Cについて明示または示唆する記載が見当たりません。
このため、各引用文献に記載された構成を組み合わせることができたとしても、補正後の本願発明と同等の構成及び効果を実現することはできません。
よって補正後の本願発明は、当業者が引用文献に記載された発明を参酌したとしても、容易に想到できるものではないと思料いたします。」
しかしながら、上記特徴C(本願補正発明のE)に相当する事項は、上記(5)イ(ア)のとおり周知技術であり、上記(5)イ(イ)で示したとおり、周知技術を考慮すれば、引用発明において、上記特徴Cの構成要素(本願補正発明のE)のようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、上記主張は採用できない。

(8)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が、引用発明、引用例1の記載事項、引用例2の記載事項及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成30年12月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の平成30年12月13日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

<引用文献等一覧>
引用文献1.特許第5953543号公報
引用文献2.特開2015-150110号公報

3 引用例
引用例1(引用文献2)及び引用例2(引用文献1)に記載されている事項は、上記第2[理由]3(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、上記相違点2に係る発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記相違点1でのみ相違するから、本願発明も上記第2[理由]3(5)アで示した理由と同様の理由により、当業者が、引用発明、引用例1に記載の事項及び引用例2の記載事項に基いて、容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-09-15 
結審通知日 2020-09-16 
審決日 2020-09-29 
出願番号 特願2017-20212(P2017-20212)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼木 尚哉柳 重幸  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 鉄 豊郎
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 鹿嶋 英實  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ