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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C11D
審判 全部申し立て 2項進歩性  C11D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C11D
管理番号 1368063
異議申立番号 異議2019-700975  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-29 
確定日 2020-09-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6521507号発明「繊維製品用の液体洗浄剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6521507号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第6521507号の請求項1?9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6521507号の請求項1?9の特許についての出願は、平成26年12月29日に出願され、令和元年5月10日にその特許権の設定登録がされ、同年5月29日に特許掲載公報が発行された。その後、同年11月29日に、その請求項1?9のすべての特許について、特許異議申立人である森田弘潤より本件特許異議の申立てがされた。
本件特許異議申立事件における手続の経緯は、次のとおりである。
令和 2年 3月10日付け:取消理由通知
同年 5月 7日 :意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 6月19日 :意見書の提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否

1 訂正の内容
令和2年5月7日にされた訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について訂正することを求めるものであり、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する訂正前の請求項〔1-9〕を訂正の単位として請求されたものである。
そして、当該訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容(訂正事項)は、次のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「 (A)成分:半極性界面活性剤と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーと、を含有し、25℃におけるpHが2?7であることを特徴とする繊維製品用の液体洗浄剤(ただし、ポルフィン誘導体または金属ポルフィリン誘導体を含む組成物を除く)。」
とあるのを、
「 (A)成分:半極性界面活性剤と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーと、を含有し、
前記(A)成分は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
【化1】

[式(1)中、R^(1)は、炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、Xは、-CONH-、-NHCO-、-COO-又は-OCO-であり、R^(2)は、炭素数1?5のアルキレン基であり、R^(3)及びR^(4)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又は炭素数1?3のヒドロキシアルキル基であり、pは、0又は1の数である。]
前記(B)成分は、下記一般式(B1)で表される高分子化合物、下記一般式(B2)で表される高分子化合物、又はこれらの混合物であり、
【化2】

[(B1)、(B2)中、R^(20)及びR^(30)は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R^(24)及びR^(27)は、それぞれメチル基又は水素原子であり、R^(25)、R^(26)、R^(28)及びR^(29)は、それぞれ独立して、炭素数2?4のアルキレン基であり、s1及びs2は、それぞれ0?10であり、t1、t2、u1及びu2は、それぞれ独立して1?100である。]
前記(A)成分の含有量が、0.1?5質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、0.05?5質量%であり、
25℃におけるpHが2?7であることを特徴とする繊維製品用の液体洗浄剤(ただし、ポルフィン誘導体または金属ポルフィリン誘導体を含む組成物、及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を除く)。」
に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?9も同様に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記(B)成分の含有量が、0.05?5質量%である、請求項1又は2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。」
とあるのを、
「前記(B)成分の含有量が、0.05?3質量%である、請求項1又は2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。」
に訂正する。
請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4?9も同様に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
ア 訂正事項1のうち、(A)成分及び(B)成分に関する訂正については、本件訂正前の請求項1に記載されていた(A)成分の種類を、本件特許明細書の【0009】、【0010】の記載に基づいて、特定の化合物に限定し、併せて、当該(A)成分の含有量を、同【0018】の記載に基づいて、特定の数値範囲に限定するとともに、同請求項1に記載されていた(B)成分についても同様に、その種類及び含有量を、それぞれ同【0038】?【0040】の記載及び本件特許請求の範囲の【請求項3】の記載に基づいて、特定の化合物及び特定の数値範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項1のうち、「α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を除く」という訂正については、本件訂正前の請求項1に記載された液体洗浄剤の範囲から、特定の組成物を除くものであり、本件特許明細書又は特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでもないから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえるとともに、新規事項の追加にも該当しない。また、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項3に記載されていた(B)成分の含有量の数値範囲を、本件特許明細書の【0042】の記載に基づいて、より狭い範囲とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 本件訂正についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件特許の請求項1?9に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を「本件発明1」、「本件特許1」などといい、まとめて、「本件発明」、「本件特許」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A)成分:半極性界面活性剤と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーと、を含有し、
前記(A)成分は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
【化1】

[式(1)中、R^(1)は、炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、Xは、-CONH-、-NHCO-、-COO-又は-OCO-であり、R^(2)は、炭素数1?5のアルキレン基であり、R^(3)及びR^(4)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又は炭素数1?3のヒドロキシアルキル基であり、pは、0又は1の数である。]
前記(B)成分は、下記一般式(B1)で表される高分子化合物、下記一般式(B2)で表される高分子化合物、又はこれらの混合物であり、
【化2】

[(B1)、(B2)中、R^(20)及びR^(30)は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R^(24)及びR^(27)は、それぞれメチル基又は水素原子であり、R^(25)、R^(26)、R^(28)及びR^(29)は、それぞれ独立して、炭素数2?4のアルキレン基であり、s1及びs2は、それぞれ0?10であり、t1、t2、u1及びu2は、それぞれ独立して1?100である。]
前記(A)成分の含有量が、0.1?5質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、0.05?5質量%であり、
25℃におけるpHが2?7であることを特徴とする繊維製品用の液体洗浄剤(ただし、ポルフィン誘導体または金属ポルフィリン誘導体を含む組成物、及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を除く)。」
【請求項2】
[(A)成分の含有質量]/[(B)成分の含有質量]で表される、前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比が、0.1以上である、請求項1に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量が、0.05?3質量%である、請求項1又は2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項4】
更に、(C)成分:アニオン界面活性剤を含有する、請求項1?3のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項5】
[(A)成分の含有質量]/[(C)成分の含有質量]で表される、(C)成分に対す
る(A)成分の質量比が、0.04以上である、請求項4に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項6】
前記(C)成分の含有量が、5質量%以下である、請求項4又は5に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項7】
更に、ノニオン界面活性剤を含有する、請求項1?6のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項8】
界面活性剤の合計含有質量が、12質量%以下である、請求項1?7のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項9】
さらに、過酸化水素を含有する、請求項1?8のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。」

第4 取消理由について

1 取消理由の概要
令和2年3月10日付けの取消理由通知において指摘した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1) (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が後記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(特許法第113条第4号に該当)。
(2) (新規性)本件発明1?7は、その特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明にあたる後記甲2発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、本件特許1?7は、特許法第29条の規定に違反してされたものである(特許法第113条第2号に該当)。
(3) (進歩性)本件発明は、その特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明にあたる後記甲2発明に基いて、その特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものである(特許法第113条第2号に該当)。

2 取消理由(1)(サポート要件)について
取消理由(1)に係るサポート要件についての具体的な指摘事項は、要するに、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、当業者において、上記課題が解決できると認識できる範囲は、上記実施例に供された、特定の種類の(A)?(C)成分を、特定の含有量で配合した液体洗浄剤であるというべきであるから、本件発明は、当該液体洗浄剤の範囲を超えるものであるというほかない、というものである。
そこで、この点について、本件訂正後の特許請求の範囲の記載及び令和2年5月7日提出の意見書における特許権者の主張を参酌しながら、以下、検討をする。
本件発明が解決しようとする課題は、本件特許明細書の【0004】の記載などからみて、従来技術では洗濯後の繊維製品に対する消臭効果、特に着用と洗濯が繰り返された衣類に対する消臭効果が充分でなかったという事情に鑑み、より消臭効果に優れる繊維製品用の液体洗浄剤を提供することにあるということができる。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された【実施例】をみると、上記の課題に係る「洗濯後の繊維製品に対する消臭効果」及び「着用と洗濯が繰り返された衣類に対する消臭効果」はそれぞれ、実施例においては「消臭効果(1)」及び「消臭効果(2)」として評価されていると解されるところ、その【0077】?【0079】記載の【表1】?【表3】をみると、実施例1?20の液体洗浄剤は、これらの消臭効果が合格(△、○、◎)の評価となっていることから、当業者において、上記課題を解決することができるものとして認識することができる。なかでも、実施例1?14と、比較例1、2((A)成分と(B)成分のいずれか又は両者が欠如しているもの)とを比較してみると、これらは当該(A)成分及び(B)成分以外の成分組成((C)成分及び任意成分の成分組成、以下、「ベース組成」ということがある。)が共通するものであるから、実施例1?14における優れた消臭効果は、当該(A)成分の「A-1又はA-2」及び(B)成分の「B-1」の両者を併用したことによる相乗的な効果によるものであることを理解することができる。
また、上記「ベース組成」の(C)成分(アニオン界面活性剤)や任意成分は、繊維製品用の液体洗浄剤において、普通に用いられているものと解されるから、上記(A)成分「A-1又はA-2」及び(B)成分「B-1」と著しく相互作用して、それらの効用を失わせるものでない限り、当該「ベース組成」は、ある程度の互換が可能である(当該「ベース組成」を変更しても、ある程度は、実施例と同様の結果を奏する)と考えるのが合理的であり、実際、(C)成分を欠く実施例20においても上記の課題を解決することができている。なお、上記の相乗的効果に、特定の(C)成分が少なからず関与していることは否めないが、当該(C)成分が上記課題の解決に不可欠であるとまでは認められない。
そうすると、上記実施例の記載に接した当業者は、「A-1又はA-2」及び「B-1」という特定の化合物を特定の割合で配合しさえすれば、上記の相乗的効果(優れた消臭効果)をもたらし、もって上記課題をおおよそ解決することができると認識できるということができる。
さらに、本件発明は、上記の本件訂正により、(A)成分及び(B)成分の種類及び含有量が限定され、上記実施例に係る「A-1又はA-2」及び「B-1」という特定の化合物を特定の割合で配合したものと厳密には一致しないにせよ、おおよそ化学構造が類似する範疇のものとなったところ、このような範疇のものについても、上記実施例の効用と相応の効用をもたらすと考えるが合理的である。
そうである以上、本件発明は、上記実施例の記載からみて、当業者が課題解決できると合理的に認識できる範囲内のものというべきであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合するものと認められる。
したがって、本件特許は、取消理由(1)(サポート要件)を理由に、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、同法第113条第4号に該当しないため、取り消すことはできない。

3 取消理由(2)、(3)(新規性進歩性)について
(1) 甲2とその記載事項
特許異議申立人が提出した甲第2号証(国際公開第2014/109380号。以下、「甲2」という。)には、以下の記載がある。
・「請求の範囲
[請求項1](A)成分:ノニオン界面活性剤と、
(B)成分:アニオン界面活性剤と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位とを有する水溶性ポリマーと、
(E)成分:α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分と、を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上であり、かつ、
前記(B)成分の含有量が、液体洗浄剤の総質量に対して、4質量%以上である、液体洗浄剤。」
・「背景技術
[0002]衣料等の洗濯に用いられる洗浄剤には、粉末型と液体型がある。液体洗浄剤は、溶け残りの懸念が少なく、衣料に直接塗布できる等の点で、近年、使用割合が高まっている。
洗浄剤においては、界面活性剤が主な洗浄成分として働き、さらに、酵素等の種々の成分が配合されている。液体洗浄剤の界面活性剤としては、主にノニオン界面活性剤が用いられている。一方、酵素は、少量で様々な性能を発揮する成分として重要な役割を担っている。」
・「発明が解決しようとする課題
[0006]ところで、コンパクト型の液体洗浄剤は、通常、ノニオン界面活性剤を高濃度に含有するため、ゲル化しやすい。またアニオン界面活性剤を配合すると液体洗浄剤のゲル化は抑制されるが、酵素の保存安定性がより低下しやすい。そのため、アニオン界面活性剤を含む界面活性剤を高濃度に配合した液体洗浄剤において、酵素の保存安定性のさらなる向上が求められている。
[0007]本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、界面活性剤を高濃度に含有し、かつ酵素の保存安定性に優れた液体洗浄剤を提供することを目的とする。」
・「[0013]<(A)成分>
(A)成分は、ノニオン界面活性剤である。(A)成分は、液体洗浄剤に洗浄力を付与するために用いられる界面活性剤である。
(A)成分としては特に限定されないが、例えば・・・炭素数10?20のアルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、・・・等が挙げられる。これらはいずれか1種類の成分を単独で用いてもよく、2種類以上の成分を併用してもよい。」
・「[0027](A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、20質量%以上が好ましく、30?60質量%がより好ましく、30?55質量%がさらに好ましく、35?50質量%が特に好ましい。(A)成分の含有量が液体洗浄剤の総質量に対して20質量%以上であれば、本発明の効果が得られやすくなる。一方、(A)成分の含有量が液体洗浄剤の総質量に対して60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下であれば、低温での液体洗浄剤の粘度の増大が抑制される。」
・「[0028]<(B)成分>
(B)成分は、アニオン界面活性剤である。(B)成分は、液体洗浄剤に洗浄力を付与するために用いられる界面活性剤である。特に、(A)成分と併用することで、液体洗浄剤を放置して水分が揮発した状態でも、(A)成分の結晶化を乱すことでゲル化を防ぐことができる。
[0029](B)成分としては、公知のアニオン界面活性剤の中から適宜選択して用いることができ、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩・・・等が挙げられる。」
・「[0032](B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、4質量%以上であり、4?25質量%が好ましく、4?20質量%がより好ましく、5?10質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲内であれば液体洗浄剤のゲル化を防止しやすくなる。また、液体洗浄剤の低温安定性が高まる。
[0033]また、液体洗浄剤中、(A)成分と(B)成分の質量比((A)成分/(B)成分)が0.8?15であることが好ましく、より好ましくは1.5?15であり、特に好ましくは3.5?10である。
また、液体洗浄剤の総質量に対して、全ての界面活性剤の含有量の合計(以下、「総界面活性剤量」という。)は、45質量%以上であり、好ましくは50質量%以上である。総界面活性剤量が45質量%以上であれば、液体洗浄剤に高い洗浄性能を付与することができる。
総界面活性剤量は、液体洗浄剤がゲル化しにくく、安定性を良好に維持できる点で、液体洗浄剤の総質量に対して、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
即ち、総界面活性剤量は、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、45質量%以上、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上、70質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以上、60質量%以下であることが特に好ましい。」
・「[0038]<(D)成分>
(D)成分は、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位とを有する水溶性ポリマーである。
(D)成分は、液体洗浄剤に再汚染防止性を付与するために用いられる再汚染防止剤(ソイルリリースポリマー)である。(D)成分は、後述の(E)成分との併用により、界面活性剤が高濃度に含まれる液体洗浄剤、特にアニオン界面活性剤を液体洗浄剤の総質量に対して、4質量%以上の高濃度に含有する液体洗浄剤の中で(C)成分の安定性を保つ効果がある。」
・「[0063](D)成分の具体例としては、商品名:TexCareSRN-100(クラリアントジャパン社製、質量平均分子量:2000?3000)、商品名:TexCareSRN-300(クラリアントジャパン社製、質量平均分子量:7000)、商品名:Repel-O-TexCrystal(ローディア社製、質量平均分子量:未定)、商品名:Repel-OTexQCL(ローディア社製、質量平均分子量:未定)として市販されている成分が挙げられる。」
・「[0064](D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1?5質%が好ましく、0.5?3質量%がより好ましく、0.5?1質量%が特に好ましい。(D)成分の含有量が液体洗浄剤の総質量に対して0.1質量%以上であれば、酵素、特に(C)成分の保存安定性がより向上する。一方、(D)成分の含有量が液体洗浄剤の総質量に対して5質量%以下であれば、液体洗浄剤の外観の安定性を良好に維持することができる。」
・「[0082]<任意成分>
本発明の液体洗浄剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分以外の他の成分を含有してもよい。前記他の成分としては、液体洗浄剤に通常用いられる成分を配合することができ、例えば以下に示す成分が挙げられる。」
・「[0099]<物性>
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるpHが4?9であることが好ましく、pH6?9であることがより好ましい。pHが上記範囲内であれば、液体洗浄剤の保存安定性を良好に維持できる。」
(2) 甲2発明
甲2の[請求項1]及び[0002]の記載からみて、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「(A)成分:ノニオン界面活性剤と、
(B)成分:アニオン界面活性剤と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位とを有する水溶性ポリマーと、
(E)成分:α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分と、を含有し、
全ての界面活性剤の含有量の合計が、液体洗浄剤の総質量に対して、45質量%以上であり、かつ、
前記(B)成分の含有量が、液体洗浄剤の総質量に対して、4質量%以上である、衣料等の洗濯に用いられる液体洗浄剤。」
(3) 本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。
相違点:本件発明1は、「α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分」を含む組成物を除くものであるのに対して、甲2発明は、当該成分を必須成分として有するものである点。
そして、甲2発明は、当該成分なくしては成立しないことから、甲2発明から当該成分を除くことは困難であるというほかない。
そうすると、上記の相違点は実質的なものであり、容易想到の事項ということもできないから、本件発明1は、甲2発明に対して、新規性及び進歩性を有するものと認められる。
(4) 本件発明2?9について
本件発明2?9は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様、甲2発明に対して、新規性及び進歩性を有するものである。
(5) 小活
以上のとおり、本件発明は、甲2発明に対して新規性及び進歩性が欠如するということできないから、本件特許は、取消理由(2)、(3)(新規性進歩性)を理由に、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第113条第2号に該当しないため、取り消すことはできない。

第5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について

特許異議申立人は、特許異議申立理由として、特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(申立理由1)及び同法第29条第1項及び第2項所定の規定違反(申立理由2-1?4-2)を主張するところ、これらのうち、上記取消理由にて採用しなかったものについて、ここで検討をする。

1 特許法第36条第6項第1号所定の規定違反について
特許異議申立人は、特許法第36条第6項第1号所定の規定違反(サポート要件違反)として、おおよそ次の点を主張する。
すなわち、本件発明の課題解決に不可欠な成分には、上記取消理由において指摘した(A)?(C)成分のほかにも、界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、過酸化水素水などがあり、これらを発明特定事項として規定していない本件発明は、サポート要件に適合しない。
しかしながら、上記第4の2のとおり、本件発明は、(A)成分及び(B)成分の種類及び含有量を特定のものとすることにより、その課題を解決することができたものと解するのが合理的あるから、上記指摘の成分を必須の構成成分としていないことをもってサポート要件に適合しないということはできない。

2 特許法第29条第1項及び第2項所定の規定違反について
特許異議申立人は、特許法第29条第1項及び第2項所定の規定違反(新規性進歩性)として、上記第4の3において検討した、甲2に記載された発明(甲2発明)を主たる引用発明とした場合のほかに、後記甲第1号証あるいは甲第3号証に記載された発明(以下、甲各号証を「甲1」などといい、それらに記載された発明を「甲1発明」などという。)をそれぞれ主たる引用発明とした場合についても主張しているので、ここで検討をする。
(1) 甲1及び甲3並びにそれらに記載された事項
ア 甲1:特開2005-187695号公報
イ 甲3:国際公開第2014/190133号
なお、甲3に記載された事項の摘記にあたっては、そのパテントファミリーである特表2016-520698号公報(甲3の2)をそのまま訳文として使用し、摘記箇所についても同公報の該当箇所を示すこととする。
ウ 甲第1号証には、「液体漂白性組成物」(発明の名称)に関する、次の事項が記載されている。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)過酸化水素、
(B)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー、及び
(C)界面活性剤を含有することを特徴とする液体漂白性組成物。
【請求項2】
25℃でのpHが4?8である請求項1に記載の液体漂白性組成物。
・・・
【請求項5】
ポリエステル系繊維及び/又はアクリル系繊維を含有する疎水性繊維用である請求項1?4のいずれかに記載の液体漂白性組成物。」
・「【0011】
◆(A)過酸化水素
本発明の液体漂白性組成物においては、(A)成分を必須とする。これにより酸素系の液体漂白剤組成物が得られる。
(A)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、組成物全量(容器質量は除く、以下同様)に対して0.1?10質量%が好適であり、より好ましくは1?10質量%、更に好ましくは2?6質量%である。(A)成分の配合量が少なすぎると、充分な漂白性能が得られない場合があり、また多すぎると例えば家庭用として使用し難くなる場合がある。
【0012】
◆(B)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー
(B)成分を配合することにより、疎水性しみ汚れの除去に優れた液体漂白性組成物が得られる。そして、疎水性繊維(例えばポリエステル繊維及び/又はアクリル繊維等を含む疎水性繊維)の疎水性しみ汚れについての漂白洗浄性能が向上する。
さらに驚くべきことに、当該(B)成分を配合すると、液体漂白性組成物の粘度は、温度変化によって左右されにくい。これは、エタノールなどの一般的なハイドロトロープ剤にはない新たな特徴である。そのため、(B)成分は、好適には、粘度調整作用としての機能も有しており、液体漂白性組成物の減粘作用を有する。
この様に、(B)成分の作用によって温度に対する粘度が安定であるので、環境温度が変化してもハンドリング性に変化が生じず、好ましい。
(B)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0013】
ここで、「アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位とを有する」とは、(b1)アルキレンテレフタレート単位とイソフタレート単位の一方あるいは両方を有し、かつ、(b2)オキシアルキレン単位とポリオキシアルキレン単位の一方あるいは両方を有すること示す。
なお、アルキレンテレフタレート単位とイソフタレート単位は通常混合物で得られる。
ここで、「単位」とは重合体を構成するモノマー単位を示す。
【0014】
(B)成分は、これら必須の(b1)単位、(b2)単位以外の単位(例えば重合開始剤、重合停止剤等に由来する単位や、その他共重合可能な単位)を含んでいてもよいが、これら必須の単位によって、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が形成されていることが好ましい。
水溶性ポリマーとは、例えば、40℃の条件で、1000gの水に10gの高分子を添加、12時間、スターラー(太さ8mm、長さ50mm、1Lビーカー)で200rpm攪拌したとき、溶解するものと定義する。」
・「【0023】
(B)成分の具体的例としては、商品名TexCareSRN-100(ドイツ、Clariant GmbH社製、重量平均分子量 3000)(以下、SRN-100と略記する。)、商品名TexCareSRN-300(ドイツ、ClariantGmbH社製、重量平均分子量 7000)(以下、SRN-300と略記する。)、として市販されているものが挙げられる。特に好ましいのはTexCareSRN-100(ドイツ、Clariant GmbH社製)である。その理由は、水への溶解性が高く、したがって透明感の高い液体漂白性組成物が得られるからである。」
・「【0030】
(B)成分は、液体漂白性組成物中に0.1?3質量%、好ましくは0.2?2質量%の範囲で用いることが好ましい。この範囲外では性能が十分に発現しないか、コストの問題で好ましくない場合がある。
【0031】
◆(C)界面活性剤
(C)成分を配合することにより、漂白洗浄効果を向上させることができる。また、好適には粘度調整剤としても機能する。
(C)成分は1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0032】
(C)成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上が用いられる。
これらの界面活性剤の中でも、炭素数8?24、特に10?20のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤;炭素数8?24、特に10?20のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤を用いるのが好ましい。
上記アルキル基としては、例えばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
また、アルケニル基としては、上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えばデセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0033】
・ノニオン界面活性剤
(C)成分のうち、ノニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げられる。」
・「【0042】
・アニオン界面活性剤
(C)成分のうち、アニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α-オレフィンスルホン酸塩;直鎖、または分岐のアルキル硫酸エステル塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5?8モルのエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;α-スルホ脂肪酸エステル塩;高級脂肪酸塩等が挙げられる。
なお、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。」
・「【0047】
本発明の液体漂白性組成物においては、上記一般式(1)で示されるノニオン界面活性剤やアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤を含有するのが好ましく、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を含有するのがより好ましい。
これらの界面活性剤を使用することにより、(B)成分を安定に可溶化し、液の分離や白濁をより有効に防止することができる。更に被洗物への浸透性が良好で、より高い漂白性能を得ることができる。
特に、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤(特にアルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸系アニオン)を併用すると、特に良好な粘度に調整できるので、特に好ましい。
【0048】
(C)成分の配合量は特に制限されるものではないが、通常、液体漂白性組成物全量に対して0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1?20質量%、特に好ましくは1?15質量%含有すると好適である。配合量が少なすぎると、性能面で充分な効果が得られない場合があり、多すぎると、コストや安定性に問題が生じる場合がある。」
・「【0066】
◆25℃でのpHが4?8であること
液体漂白性組成物のpHは、25℃でのpHを4?8に調整するのが好ましく、さらにpH5?7に調整するのがより好ましい。pHをこの範囲に規定することにより、より安定でしかも疎水性繊維の疎水性しみ汚れ(油性よごれ)の漂白洗浄性能の性能が得られる。」
エ 甲第3号証には、「非イオン性界面活性剤を含む低pH洗剤組成物」(発明の名称)に関する、次の事項が記載されている。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯洗剤組成物であって、
該組成物の重量に対して2%?20%の界面活性剤系を含み、
ここにおいて該界面活性剤系は:
10未満のHLBを有する第1非イオン性界面活性剤(A)と、
10を超えるHLBを有する第2非イオン性界面活性剤(B)と、
ここにおいてA:Bの重量比は、1:100?40:100であり、好ましくは15:100?25:100であり、
アニオン性界面活性剤と、を含み、
ここにおいて該組成物は、1.5?6.9、好ましくは1.5?6.5、
より好ましくは2?4の未希釈pHを有し、
かつここにおいて、該組成物が、20s^(-1)、21.1℃で測定されたとき、約200cps?約3000cps、好ましくは200cps?1500cpsの粘度を有する、組成物。
・・・
【請求項12】
アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との比が、1:100?1:1、好ましくは40:100?75:100である、請求項1?11のいずれか一項に記載の組成物。」
・「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して洗剤組成物に関するものであり、より具体的には、衣類の洗浄に好適な非イオン性界面活性剤を含む低pH洗剤組成物と、その製造方法及び使用方法に関する。」
・「【0020】
界面活性剤系
本明細書に記述される洗剤組成物は、洗剤組成物の重量に対して、約2%?約20%、又は約9%?約20%、又は約5%?約15%、又は約7%?約12%の界面活性剤系を含む。
【0021】
この界面活性剤系には、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性
剤、双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される洗浄性界面活性剤が含まれ得る。いくつかの態様において、この界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。いくつかの態様において、この界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤からなっており、例えば、2つの非イオン性界面活性剤と1つのアニオン性界面活性剤の配合物からなる。本組成物は、双極性界面活性剤を実質的に含まなくともよい。当業者であれば、洗浄性界面活性剤は、洗濯プロセス中に、洗浄、染み除去、又はその他の洗濯効果を布地にもたらす、任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物を包含することを理解するであろう。
【0022】
非イオン性界面活性剤
本組成物の界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含む。この界面活性剤系は、第1界面活性剤(A)及び第2非イオン性界面活性剤(B)を含み得る。いくつかの態様において、この界面活性剤系は2つ以下の非イオン性界面活性剤を含む。第1界面活性剤と第2非イオン性界面活性剤との重量比(A:B)は、約1:100?約40:100、又は約10:100?約30:100、又は約15:100?約25:100であり得る。
【0023】
いくつかの態様において、洗剤組成物は、洗剤組成物の重量に対して、約1%?約12%、又は約2%?約10%、又は約4%?約8%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0024】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、典型的に洗剤製品で使用される従来の非イオン性界面活性剤の任意のものを含む。これらとしては、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。一般に、本明細書で使用される非イオン性界面活性剤は液体である。
【0025】
この非イオン性界面活性剤は、エトキシル化非イオン性界面活性剤であってよい。この材料は、米国特許第4,285,841号(Barratら、1981年8月25日)に記述されている。一態様において、非イオン性界面活性剤は、式R(OC2H4)n OHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され、式中、Rは、約8?約18個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル及びアルキル基が約8?約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5?約15である。この界面活性剤は、米国特許第4,284,532号(Leikhimら、1981年8月18日)により詳しく記述されている。一態様において、非イオン性界面活性剤は、アルコール中に平均で約10個?約16個の炭素原子、及び1モルのアルコールあたり約1?約12モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化度を有するエトキシル化アルコール(別名:脂肪族アルコールエトキシレート)から選択される。
【0026】
脂肪族アルコールエトキシレートを命名する簡潔な方法は、アルキル鎖の炭素の数と、エトキシ(EO)基の平均数で示すことである。例えば、アルキル鎖に12?14個の炭素原子をもち、エトキシル基が平均9個である脂肪族アルコールエトキシレートは、「C12,14 EO9」と表記することができる。この命名法が、本出願に使用される。
【0027】
いくつかの態様において、非イオン性界面活性剤はC12?C18アルキルエトキシレートを含む。一態様において、C12?C18アルキルエトキシレートは、C12,14 EO9;C12,14 EO7;C12,15 EO3;及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの態様において、C12?C18アルキルエトキシレートは、C12,14 EO7及びC12,15 EO3であり、またいくつかの態様において、C12,14 EO7とC12,15 EO3とのモル比は約2:1である。
【0028】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の別の好適な種類は、アミンオキシドである。
アミンオキシドは、当該技術分野では多くの場合に「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシド類は次の式を有し得る:R(EO)_(x)(PO)_(y)(BO)_(z)N(O)(CH_(2)R’)_(2).qH_(2)O。この式において、Rは、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖であり得る比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8個?20個、一実施形態では10個?16個の炭素原子を含有してよく、あるいはC_(12)?C_(16)第一アルキルである。R’は短鎖部分であり、水素、メチル、及び-CH_(2)OHから選択されてよい。x+y+zが0ではない場合、EOはエチレンオキシであり、POはプロピレンオキシであり、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤類は、C_(12?14)アルキルジメチルアミンオキシドで非限定的に示される。いくつかの態様において、界面活性剤系は、半極性非イオン性界面活性剤、又はアミンオキシドを実質的に含まない。
【0029】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の更なる非限定例としては以下が挙げられる:a)C_(12)?C_(18)アルキルエトキシレート、例えば、NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤(Shellから販売);b)C_(6)?C_(12)アルキルフェノールアルコキシレート(ここにおいてアルコキシレート単位はエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物);c)C_(12)?C_(18)アルコール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーとのC_(6)?C_(12)アルキルフェノール縮合物(例えばBASFから販売されるPluronic(登録商標));d)米国特許第4,565,647号(Llenado、1986年1月26日)に記述されるアルキル多糖類;特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号に記述されるアルキルポリグリコシド;e)米国特許第5,332,528号、国際公開特許WO 92/06162号、同WO 93/19146号、同WO 93/19038号、及び同WO 94/09099号に記述されるポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにf)米国特許第6,482,994号及び国際公開特許WO 01/42408号に記述されるエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。」
・「【0042】
アニオン性界面活性剤
界面活性剤系は典型的に、アニオン性界面活性剤を含む。いくつかの態様において、本組成物は、洗剤組成物の重量に対して、約1%?約25%、又は約2%?約20%、又は約5%?約15%のアニオン性界面活性剤を含む。」
・「【0087】
洗濯補助剤
本発明の組成物は、例えば、染料、漂白剤、キレート剤、ラジカルスカベンジャー、香料、蛍光増白剤、抑泡剤、汚れ懸濁ポリマー、汚れ放出ポリマー、移染阻害剤、布地柔軟化添加剤、構造化剤、ビルダー、酵素、保存料、溶媒、泥汚れ除去/再付着防止剤、及び/又はその他の有益剤などの、1つ又は2つ以上の洗濯補助剤を含み得る。いくつかの態様において、本組成物は、本明細書にリストされている補助剤を約0.01%?約50%含んでもよい。他の態様において、本組成物は実質的に補助剤を含まなくてもよい。好適な洗濯補助剤は、例えば、米国特許出願第13/623/128号に更に記述されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
・・・
【0089】
漂白剤
本組成物は、漂白剤を含み得る。いくつかの態様において、本発明の組成物は組成物の重量に対して約0.10%?約10%の漂白剤を含有してよい。本明細書で有用な漂白剤には、過酸化水素又は6-フタルイミドペルオキシヘキサン酸などの過酸が挙げられる。いくつかの態様において、本組成物は、TAED又はNOBSなどの漂白活性化剤を含み得る。本組成物が少なくとも2つ、又は少なくとも3つのコンパートメントを有する単位用量形態であるとき、漂白剤は、界面活性剤とは異なるコンパートメント内にあり得る。いくつかの態様において、本組成物は、漂白剤を実質的に含まない。
・・・
【0097】
汚れ放出ポリマー
本組成物は、組成物の重量対して約0.001%?約0.5%の汚れ放出ポリマーを含み得る。汚れ放出ポリマーには、PETアルコキシレート短ブロックコポリマー、そのアニオン性誘導体、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。」
(2) 甲1発明及び甲3発明
ア 甲1発明
甲1の請求項1には、次の発明(甲1発明)が記載されている。
「(A)過酸化水素、
(B)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー、及び
(C)界面活性剤を含有することを特徴とする液体漂白性組成物。」
イ 甲3発明
甲3の請求項1には、次の発明(甲3発明)が記載されている。
「液体洗濯洗剤組成物であって、
該組成物の重量に対して2%?20%の界面活性剤系を含み、
ここにおいて該界面活性剤系は:
10未満のHLBを有する第1非イオン性界面活性剤(A)と、
10を超えるHLBを有する第2非イオン性界面活性剤(B)と、
ここにおいてA:Bの重量比は、1:100?40:100であり、好ましくは15:100?25:100であり、
アニオン性界面活性剤と、を含み、
ここにおいて該組成物は、1.5?6.9、好ましくは1.5?6.5、
より好ましくは2?4の未希釈pHを有し、
かつここにおいて、該組成物が、20s^(-1)、21.1℃で測定されたとき、約200cps?約3000cps、好ましくは200cps?1500cpsの粘度を有する、組成物。」
(3) 甲1発明に基づく新規性進歩性について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違するものといえる。
相違点α:本件発明1は、(A)成分及び(B)成分として、一般式(1)で表される特定の化合物と一般式(B1)又は(B2)で表される特定の化合物とを併用しており、さらに、それらの含有量についても特定の数値範囲に限定しているのに対して、甲1発明は、当該特定の化合物の併用及びそれらの含有量について明示するものではない点。
そこで、当該相違点について検討すると、甲1の【0033】には、甲1発明における界面活性剤として、アミンオキサイドが挙げられているものの、甲1には、ほかにも多岐にわたるものが列記されている上、当該アミンオキサイドを、甲1発明の「(B)アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー」と併用した具体例などは見当たらない。
他方、本件発明1は、(A)成分及び(B)成分として、上記の特定の化合物を併用し、それらの含有量を特定することにより、優れた消臭効果を奏するものであり、このような相乗的な効果は、甲1の記載などから予測することはできない格別の効果ということができる。
そうすると、甲1の記載を斟酌しても、当該相違点に係る本件発明1の構成(特定の化合物の併用とそれらの含有量の特定)が容易想到の事項であるということはできないから、本件発明1は、甲1発明に対して新規性及び進歩性を有するものである。
そして、本件発明1の発明特定事項をすべて具備する本件発明2?9についても同様である。
(4) 甲3発明に基づく新規性進歩性について
本件発明1と甲3発明とを対比しても、少なくとも、上記(3)において検討した相違点αと同様の相違点が存するものと認められるところ、甲3の【0028】には、甲3発明における非イオン性界面活性剤として、アミンオキサイドが挙げられ、同【0097】には、洗濯補助剤(【0087】)にあたる「汚れ放出ポリマー」として、PETアルコキシレート短ブロックコポリマーが挙げられているものの、甲3には、ほかにも多岐にわたる非イオン性界面活性剤や洗濯補助剤などの添加剤が列記されている上、当該アミンオキサイドとPETアルコキシレート短ブロックコポリマーとを併用した具体例などは見当たらない。
他方、既に述べたとおり、本件発明1は、(A)成分及び(B)成分として、上記の特定の化合物を併用し、それらの含有量を特定することにより、優れた消臭効果を奏するものであり、このような相乗的な効果は、甲3の記載などから予測することはできない格別の効果ということができるから、甲3の記載を斟酌しても、当該相違点に係る本件発明1の構成(特定の化合物の併用とそれらの含有量の特定)が容易想到の事項であるということはできないから、本件発明1は、甲3発明に対して新規性及び進歩性を有するものである。
そして、本件発明1の発明特定事項をすべて具備する本件発明2?9についても同様である。

第6 むすび

以上のとおりであるから、本件特許は、上記取消理由又は特許異議申立理由により取り消すことはできない。
また、ほかに本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:半極性界面活性剤と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーと、を含有し、
前記(A)成分は、下記一般式(1)で表される化合物であり、
【化1】

[式(1)中、R^(1)は、炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数7?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、Xは、-CONH-、-NHCO-、-COO-又は-OCO-であり、R^(2)は、炭素数1?5のアルキレン基であり、R^(3)及びR^(4)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又は炭素数1?3のヒドロキシアルキル基であり、pは、0又は1の数である。]
前記(B)成分は、下記一般式(B1)で表される高分子化合物、下記一般式(B2)で表される高分子化合物、又はこれらの混合物であり、
【化2】

[(B1)、(B2)中、R^(20)及びR^(30)は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R^(24)及びR^(27)は、それぞれメチル基又は水素原子であり、R^(25)、R^(26)、R^(28)及びR^(29)は、それぞれ独立して、炭素数2?4のアルキレン基であり、s1及びs2は、それぞれ0?10であり、t1、t2、u1及びu2は、それぞれ独立して1?100である。]
前記(A)成分の含有量が、0.1?5質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、0.05?5質量%であり、
25℃におけるpHが2?7であることを特徴とする繊維製品用の液体洗浄剤(ただし、ポルフィン誘導体または金属ポルフィリン誘導体を含む組成物、及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物を除く)。
【請求項2】
[(A)成分の含有質量]/[(B)成分の含有質量]で表される、前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比が、0.1以上である、請求項1に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量が、0.05?3質量%である、請求項1又は2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項4】
更に、(C)成分:アニオン界面活性剤を含有する、請求項1?3のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項5】
[(A)成分の含有質量]/[(C)成分の含有質量]で表される、(C)成分に対する(A)成分の質量比が、0.04以上である、請求項4に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項6】
前記(C)成分の含有量が、5質量%以下である、請求項4又は5に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項7】
更に、ノニオン界面活性剤を含有する、請求項1?6のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項8】
界面活性剤の合計含有質量が、12質量%以下である、請求項1?7のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
【請求項9】
さらに、過酸化水素を含有する、請求項1?8のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-08-28 
出願番号 特願2014-266995(P2014-266995)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C11D)
P 1 651・ 121- YAA (C11D)
P 1 651・ 537- YAA (C11D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安川 聡吉岡 沙織山本 悦司  
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 蔵野 雅昭
日比野 隆治
登録日 2019-05-10 
登録番号 特許第6521507号(P6521507)
権利者 ライオン株式会社
発明の名称 繊維製品用の液体洗浄剤  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 高橋 詔男  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 加藤 広之  
代理人 鈴木 三義  
代理人 加藤 広之  
代理人 高橋 詔男  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 志賀 正武  
代理人 鈴木 三義  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 志賀 正武  
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