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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1368086
異議申立番号 異議2019-700843  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-24 
確定日 2020-09-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6505991号発明「宅配物配達システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6505991号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。 特許第6505991号の請求項1、2、4?6に係る特許を維持する。 特許第6505991号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6505991号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成26年7月16日に出願され、平成31年4月5日にその特許権の設定登録がされ、平成31年4月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和元年10月24日に特許異議申立人坂口 弘明(以下、「申立人」という。)により特許異議申立てがされた。その後の経緯は、次のとおりである。
令和 2年 2月 4日付け : 取消理由通知書
令和 2年 4月 6日 : 特許権者による意見書の提出
令和 2年 5月14日付け : 取消理由通知書(決定の予告)
令和 2年 7月17日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 2年 8月 4日付け : 訂正請求があった旨の通知
令和 2年 9月 3日 : 申立人による意見書の提出

2 訂正請求の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
訂正請求における訂正事項1?6は、以下のア?カのとおりである。
ア 訂正事項1
請求項1に、
「・・前記荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」
と記載されているのを、
「・・前記荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4、5及び6も同様に訂正する)。

イ 訂正事項2
請求項2に、
「・・前記管理サーバは、前記荷受け人が入庫された宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」
と記載されているのを、
「・・前記管理サーバは、前記荷受け人が入庫された宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」
に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4、5及び6も同様に訂正する)。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

エ 訂正事項4
請求項4に、
「前記管理サーバは、荷送り人と荷受け人の認証番号、並びにその電子メールアドレスを荷送り人と荷受け人毎にデータベースとして記録することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」
と記載されているのを、
「前記管理サーバは、荷送り人と荷受け人の認証番号、並びにその電子メールアドレスを荷送り人と荷受け人毎にデータベースとして記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の宅配物配達システム。」
に訂正する。

オ 訂正事項5
請求項5に、
「前記荷送り人が営業を行う業者ないしその店舗であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」
と記載されているのを、
「前記荷送り人が営業を行う業者ないしその店舗であることを特徴とする請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」
に訂正する。

カ 訂正事項6
請求項6に、
「前記宅配ボックスが集合住宅に設置され、荷受け人が該集合住宅に住む居住者であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」
と記載されているのを、
「前記宅配ボックスが集合住宅に設置され、荷受け人が該集合住宅に住む居住者であることを特徴とする請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」
に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1について、訂正前の請求項3に記載された内容である「前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知」する旨の特定事項を直列的に追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものでなく、かつ、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。

イ 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2について、訂正前の請求項3に記載された内容である「前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知」する旨の特定事項を直列的に追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものでなく、かつ、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものでなく、かつ、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。

エ 訂正事項4?6について
訂正事項4?6は、訂正事項3(請求項3)に伴って、請求項4?6の被引用請求項から請求項3を除くものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものでなく、かつ、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでない。

(3)小括
以上のとおりであるから、訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件特許発明
訂正された請求項1、2、4?6に係る発明(以下、項番に対応して「本件特許発明1」などという。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4?6に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。

本件特許発明1
「 荷送り人から荷受け人に配達される宅配物を収納し、認証番号の入力あるいは読み取りに応じて電気錠により開錠、施錠することが可能な収納ボックスを複数備えた宅配ボックスと、
前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録する管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、荷受け人を指定して宅配物が収納ボックスに入庫されたとき、収納ボックス開錠に用いた認証番号から荷送り人を特定し、該特定された荷送り人が誰であるの情報を付して宅配物の該収納ボックスへの入庫を前記指定された荷受け人に電子メールを介して通知し、前記荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」

本件特許発明2
「 荷送り人から荷受け人に配達される宅配物を収納し、認証番号の入力あるいは読み取りに応じて電気錠により開錠、施錠することが可能な収納ボックスを複数備えた宅配ボックスと、
前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録する管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、前記荷受け人が入庫された宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。」

本件特許発明4
「 前記管理サーバは、荷送り人と荷受け人の認証番号、並びにその電子メールアドレスを荷送り人と荷受け人毎にデータベースとして記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の宅配物配達システム。」

本件特許発明5
「 前記荷送り人が営業を行う業者ないしその店舗であることを特徴とする請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」

本件特許発明6
「 前記宅配ボックスが集合住宅に設置され、荷受け人が該集合住宅に住む居住者であることを特徴とする請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。」

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1?6に係る特許に対して、当審が令和2年2月4日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

訂正前の請求項1?6に係る発明は、甲第3号証(特開2001-325660号公報)記載の発明と甲第5号証(特開2013-38817号公報)記載の技術に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1?6に係る特許は、取り消されるべきものである。

(2)引用した甲号証の記載(下線は、当審が付与した。)
ア 甲第3号証(特開2001-325660号公報:主引用例)
「【0020】2はメールボックス、宅配ボックス、クリーニングボックス等の一時預かりボックスであり、他の用途としてレンタルビデオや写真(DPE)等の受渡しやロッカーとしても利用可能である。
【0021】一時預かりボックス2にはテンキーやマイク等の入力手段3aや液晶表示装置やブラウン管ディスプレイ等の表示手段3b、更にはスピーカー3cを配置したコントロールパネル3が設けられており、該コントロールパネル3の内部には携帯電話機1から発信されたID情報を照合して一時預かりボックス2を解錠する制御部4が設けられている。
【0022】また、各一時預かりボックス2の表面部には空き状態を知らせるためのランプ3eが設けられており、各一時預かりボックス2の内部には物品の存在を検知する赤外線センサ3dが夫々設けられている。尚、赤外線センサ3dの他に重量センサや他の種々のセンサが適用可能である。
【0023】制御部4の内部には携帯電話機1及び中央コンピュータ10との間でID情報や音声、文字、画像情報を送受信可能で電話機能を有する送受信部5と、CPU(中央演算処理装置)6と、記憶手段として読み書き可能なメモリ7と、一時預かりボックス2の扉を施錠/解錠する施錠機構8が設けられている。
【0024】・・・
【0025】また、CPU6は赤外線センサ3dの検知情報から一時預かりボックス2の空き状態を判別し、送受信部5からインターネット9を介して図2に示す中央管理センターに設けられた中央コンピュータ10に一時預かりボックス2の空き状態及び運営に関する各種記録データを伝達する。」

「【0035】上記のように構成された一時預かりボックスシステムを利用する手順の一例を図3を用いて詳細に説明する。尚、以下に説明する利用手順は不特定多数の利用者が一時預かりボックス2を利用する場合であり、且つ携帯電話機1の電話番号のみを預入人のID情報として認める場合の一例である。
【0036】図3のステップS1において、先ず、荷物を預け入れる場合には、利用者は携帯電話機1を所持している必要があり、所持していない場合には利用出来ない(ステップS15)。
【0037】携帯電話機1を所持している利用者は、例えば、一時預かりボックス2のコントロールパネル3に設けられた表示手段3bに表示された電話番号に携帯電話機1から電話を掛ける(ステップS2)。
【0038】ステップS3において、ID情報として携帯電話機1の電話番号が発信されない場合には利用出来ない(ステップS16)。
【0039】ID情報として携帯電話機1の電話番号が発信された場合には送受信部5を介して該電話番号情報がメモリ7に記憶され、更に送受信部5、インターネット9を介して中央管理センターに設けられた中央コンピュータ10に送られる。
【0040】ステップS3において、携帯電話機1の電話番号を受信した制御部4では、ステップS4において、予めメモリ7に記憶された、例えば「入荷の場合には「01#」を押してください。出荷の場合には「02#」を押してください。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、携帯電話機1とスピーカー3cからボイスメッセージを流して入出荷の指示を待つ。
【0041】利用者が携帯電話機1を用いて「01#」を押して入荷の指示を行うと、各ボックスに設けられたランプ3eのうち、空きボックスのランプ3eが点滅して、利用者に空きボックスを知らせる(ステップS5)。尚、ランプ3eの点滅の代わりに表示手段3bに空きボックスの位置や番号を表示することでも良い。
【0042】利用者が携帯電話機1を用いて利用ボックス番号を指定すると(ステップS6)、CPU6は指定されたボックスの施錠機構8を駆動して該ボックスの解錠を行い、これと同時に一時預かりボックス2の利用基本料金が携帯電話機1の電話番号に対して課金される(ステップS7)。
【0043】ステップS8において、利用者がボックスの扉を開けて荷物を入れると、荷物センサとなる赤外線センサ3dにより荷物の有無が検知され(ステップS9)、CPU6に伝達される。ボックスの扉はバネ等で自動的に閉じられ、携帯電話機1から施錠を指示する。但し、赤外線センサ3dにより荷物が検知されない限り、施錠指示は機能しない。
【0044】ステップS9において、赤外線センサ3dが一定時間内に荷物の感知をしない場合には、予めメモリ7に記憶された、例えば「荷物をセンサの位置に入れてください。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、携帯電話機1とスピーカー3cからボイスメッセージを流して荷物が正常な位置に投入されるのを待つ。
【0045】ここで、所定時間内に荷物の投入が無い場合には、CPU6は施錠機構8を駆動してボックスを自動的に施錠するオートロックを実行し、空きボックスの状態に戻す。利用者は再度ステップS2からやり直すか、クレーム係に電話する。
【0046】ステップS9において、赤外線センサ3dが荷物を感知すると、CPU6は携帯電話機1からの施錠指示に基づいて施錠機構8を駆動して施錠を行い、これと同時に一時預かりボックス2を利用する時間制料金の課金を開始する(ステップS10)。この時、携帯電話機1と制御部4との間の電話回線が切断される。尚、24時を過ぎた時点で一泊として加算する日割制料金の課金の方法であっても良い。
【0047】次にステップS11において、受取人の指定を行い、予めメモリ7に記憶された、例えば「受取人がご自分の場合には「11#」を押してください。受取人がご自分以外の場合には「12#」を押してください。受取人が提携業者の場合には「13#」を押してください。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、スピーカー3cからボイスメッセージを流して受取人の指示を待つ。尚、一定時間内に指示がなければ自動的に預入人を受取人と認識する。
【0048】受取人が自分や提携業者以外の第三者である場合には、利用者は入力手段3aを用いて「12#」を押し、入力手段3aから受取人の電話番号またはe-mail(電子メール)アドレス及び暗証番号を入力する(ステップS12)。但し、受取人のID情報が携帯電話機1の電話番号となる場合には暗証番号は不要とする。
【0049】また、受取人が提携業者である場合には、利用者は同じく入力手段3aを用いて「13#」を押す(ステップS13)。
【0050】一時預かりボックス2の提携業者は、事前にその電話番号またはe-mail(電子メール)アドレス及び暗証番号がメモリ7や中央コンピュータ10に登録されており、多数桁からなる長いID情報を入力する代わりに短縮番号等の簡易な番号や記号を入力手段3aから入力することで手続を完了することが出来るようになっている。尚、この場合の暗証番号は提携業者から事前に登録され、且つセキュリティの目的で定期的に更新される。
【0051】また、受取人が自分である場合には、利用者は入力手段3aを用いて「11#」を押す。受取人が自分である場合には、利用者は携帯電話機1を用いて一時預かりボックス2に電話を掛けて荷物を預けたボックスを指定するだけで該ボックスを解錠することが許容されている。
【0052】ステップS11?S13において、受取人の指定が行われると、利用日時、オートロックの時間、預入人、受取人、ボックス番号、利用者の電話番号、e-mail(電子メール)アドレス等の利用記録がプリンタ3fから印刷出力され、これと同時に送受信部5、インターネット9を介して上記利用情報が中央管理センターに設けられた中央コンピュータ10に送られる。
【0053】中央コンピュータ10は指定された受取人の電話またはコンピュータ等の情報端末に対して、インターネット9を介して、預入人からどの一時預かりボックス2に荷物が預けられたかをe-mail(電子メール)やボイスメールにより通知する(ステップS14)。尚、受取人が提携業者である場合には、この時点から利用料を受取人の負担とすることでも良い。
【0054】インターネット9を介してe-mail(電子メール)やボイスメールにより荷物が預けられたことを知得した第三者や提携業者は、指定された一時預かりボックス2に出向き、前述したと同様にステップS1?S3を携帯電話機1または入力手段3aを用いて実施した後、ステップS4において、受取人が携帯電話機1または入力手段3aを用いて「02#」を押して出荷の指示を行う。尚、預け入れた本人も同様である。
【0055】ステップS17において、CPU6は預け入れた利用者が予め指定した受取人(或いは本人)の携帯電話機1の電話番号、或いは暗証番号と、出向いた受取人の携帯電話機1から発信された電話番号或いは入力手段3aを用いて入力された暗証番号とを照合し、それ等が一致しない場合には、予めメモリ7に記憶された、例えば「IDが一致しないため荷物の受け取りが出来ません。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、受取人の携帯電話機1またはスピーカー3cからボイスメッセージを流して出荷不能とする(ステップS25)。
【0056】前記ステップS17において、預け入れた利用者が予め指定した受取人の携帯電話機1の電話番号或いは暗証番号と、出向いた受取人(或いは本人)の携帯電話機1から発信された電話番号或いは入力手段3aを用いて入力された暗証番号とが一致した場合には、予めメモリ7に記憶された、例えば「利用ボックス番号を入力してください。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、受取人の携帯電話機1またはスピーカー3cからボイスメッセージを流して利用ボックス番号の入力を待つ。
【0057】ステップS18において、受取人は入力手段3aを用いて、預け入れた利用者が予め指定した利用ボックス番号を入力し、ステップS19において、CPU6は入力された利用ボックス番号と預入人が利用したボックス番号とが一致した場合に施錠機構8を駆動して一時預かりボックス2を解錠し、これと同時に課金を停止し、電話回線が切断される(ステップS20)。
【0058】ステップS19において入力された利用ボックス番号と預入人が利用したボックス番号とが一致しない場合には、予めメモリ7に記憶された、例えば「利用ボックス番号が一致しないため荷物の受け取りが出来ません。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、携帯電話機1またはスピーカー3cからボイスメッセージを流して出荷不能とする(ステップS26)。
【0059】次にステップS21において、受取人は指定された一時預かりボックス2の扉を開けて荷物を出し、一時預かりボックス2の扉を閉める。ステップS22において荷物センサとなる赤外線センサ3dにより荷物の有無が検知され、CPU6に伝達される。
【0060】ボックスの扉は手動でも閉められるが赤外線センサ3dにより荷物が取り出されたことを検知してから所定の時間(例えば1分程度)が経過すると自動的に施錠するオートロックが作動する。
【0061】ステップS22において、赤外線センサ3dが荷物の感知をしたままの場合には、予めメモリ7に記憶された、例えば「荷物を取り出してください。」等のメッセージを表示手段3bに表示すると共に、スピーカー3cからボイスメッセージを流して荷物が取り出されるのを待つ。
【0062】そして、赤外線センサ3dにより荷物が取り出されたことを検知してから所定の時間(例えば1分程度)が経過すると、CPU6は施錠機構8を駆動してボックスを自動的に施錠するオートロックを実行する(ステップS23)。尚、一定時間以上、荷物を赤外線センサ3dで感知し続けた場合、該ボックスはオートロックされると同時に中央コンピュータ10へ異常を通知する。
【0063】受取日時、オートロック解除の時間、預入人、受取人、ボックス番号、利用者の電話番号等の利用記録がプリンタ3fから印刷出力され、これと同時に送受信部5、インターネット9を介して上記利用情報が中央管理センターに設けられた中央コンピュータ10に送られる。
【0064】受取人が預入人と異なる場合、中央コンピュータ10は預入人に対して、インターネット9を介して、受取人により一時預かりボックス2の荷物が取り出されたことをe-mail(電子メール)やボイスメールにより通知する(ステップS24)。
【0065】尚、ステップS11において第三者や提携業者を受取人に指定した後、預け入れた本人が一時預かりボックス2を解錠して荷物を取り出した場合には予定受取人に対して荷物の受け取りがキャンセルされた旨のメッセージがインターネット9を介してe-mail(電子メール)やボイスメールにより通知される。」

「【0072】尚、前述した実施形態では、不特定多数の利用者が一時預かりボックス2を利用出来る場合の一例について説明したが、予め登録された利用者に限定した会員制の一時預かりボックス2として構成することも出来る。この場合、預入人や受取人は携帯電話機1を持たなくても予め登録された暗証番号や暗号或いは声紋を入力手段3aにより入力して利用することが出来る。
【0073】尚、携帯電話機1を所持している場合には声紋は携帯電話機1から入力することが出来る。また、声紋は予め携帯電話機1や電話等を通じて事前に中央コンピュータ10に登録される。」

「【0076】【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、携帯電話機を利用して容易に一時預かりボックスを解錠することが出来、更にはインターネットを利用して一時預かりボックスの配置位置、経過利用料金、入出荷情報、空き状態等が容易に知得出来、一時預かりボックスの利用料金を携帯電話機の電話番号に対して課金出来る一時預かりボックスシステムを提供することが出来る。
【0077】即ち、利用者が携帯電話機を利用してID情報を発信すると、制御部が予め登録されたID情報と、携帯電話機から発信されたID情報とを照合して両者が一致した時に一時預かりボックスを解錠するため許可されたものだけが容易に一時預かりボックスを解錠することが出来る。
【0078】従って、鍵やカード等が不要であり、無くす虞もない。また、荷物の受取人への自動通知や経過利用料金、或いは停滞荷物の警告等の情報提供や予約等が可能となる。」

イ 甲第5号証(特開2013-38817号公報)
「【0025】入力部31は、ロッカーCPU33によって操作検出され、宅配物の宛て先である例えば、受取先の住戸の居室番号を入力するとともに、着荷・保管部30に放置されている宅配物を宅配業者が回収するためのバスワードを入力するものであり、例えば、テンキーボタンで構成されている。
【0026】検知部32は、ロッカーCPU33によって制御され、宅配業者により着荷・保管部30へ宅配物が着荷されたこと、着荷・保管部30に着荷された宅配物が宛て先の居住者により取り出されこと、及び着荷・保管部30に着荷された宅配物が一定時間以上取り出さずに放置されたままであることをそれぞれ検知し、その旨のデータ信号をロッカーCPU33にて生成させるためのものであり、計時機能が備えられている。」

「【0052】次に、前述のような表示/出力手段をもとに着荷情報を確認した201号室の居住者は、例えば、帰宅時等において宅配ロッカー3まで赴き、入力部31にて自住戸の居室番号「201」を入力する等の所定の操作を行うことにより、この操作を検出したロッカーCPU33の制御によって着荷・保管部30の電気錠(図示せず。)が解錠し、予め保管されている宅配物を取り出すことができる。ここで、検知部32は、着荷・保管部30からの宅配物の取り出し及びその取出時刻、例えば、(本日の)午後6時20分を併せて検知し、ロッカーCPU33は、その検知された取出情報を含む取出情報データ信号を生成する。この取出情報データ信号は、前述の着荷情報データ信号と同一の伝送路を経由してロッカーCPU33から制御機4の制御機CPU41に伝送される。
【0053】制御機4の制御機CPU41は、ロッカーラインL3を経由して宅配ロッカー3から伝送されてきた取出情報データ信号を受信すると、前述の取出情報を含む取出情報メールデータを生成する。この取出情報メールデータは、前述の指示情報メールデータと同一の伝送路を経由して制御機CPU41からメールサーバ8に伝送される。
【0054】ここで、取出情報メールデータの構成としては、図2(C)のフォーマット図に示すように、メールヘッダーC1、メールタイトルC2及びメール本文C3に大別される。また、メールヘッダーC1には、例えば、取出情報メールデータの送信元名「○○○マンション」及びこのマンションの複数の住戸を代表する1つのメールアドレス(送信元メールアドレス)と、取出情報メールデータの宛先名「△△△運輸株式会社」及びこの宅配業者に関連付けられたメールアドレス(送信先メールアドレス)と、宅配物を取り出した住戸の居室番号である「201」が所定のフォーマットで記載されている。また、メールタイトルC2には、例えば、「201号室宛ての宅配物に関しての取出情報」といったメッセージが所定のフォーマットで記載されている。さらに、メール本文C3には、例えば、「伝票番号:1234567890、201号室宛ての宅配物が本日、午後6時20分に取り出されました。」といったメッセージが所定のフォーマットで記載されている。
【0055】また、宅配業者の配達人(「鈴木」)によれば、汎用ネットワーク5を経由して制御機4からメールサーバ8に伝送されてきた取出情報メールデータを宅配業者サーバ7にて確認するにあたり、(○○○マンションの)201号室の居住者である山田太郎様宛ての宅配物が、宅配ロッカー3の着荷・保管部30から本日、午後6時20分に取り出されたことを容易に確認できる。
【0056】次に、前述のように宅配ロッカー3の着荷・保管部30に着荷された201号室の居住者宛ての宅配物が、検知部32の計時機能により計時される一定時間を超えて保管されたまま放置されると、その検知された放置情報を含む放置情報データ信号がロッカーCPU33にて生成される。この放置情報データ信号は、前述の着荷情報データ信号及び取出情報データ信号と同一の伝送路を経由してロッカーCPU33から制御機4の制御機CPU41に伝送される。
【0057】制御機4の制御機CPU41は、ロッカーラインL3を経由して宅配ロッカー3から伝送されてきた放置情報データ信号を受信すると、前述の放置情報を含む放置情報メールデータを生成する。この放置情報メールデータは、前述の指示情報メールデータ及び取出情報メールデータと同一の伝送路を経由して制御機CPU41からメールサーバ8に伝送される。
【0058】ここで、放置情報メールデータの構成としては、図2(D)のフォーマット図に示すように、メールヘッダーD1、メールタイトルD2及びメール本文D3に大別される。また、メールヘッダーD1には、例えば、放置情報メールデータの送信元名「○○○マンション」及びこのマンションの複数の住戸を代表する1つのメールアドレス(送信元メールアドレス)と、放置情報メールデータの宛先名「△△△運輸株式会社」及びこの宅配業者に関連付けられたメールアドレス(送信先メールアドレス)と、放置されている宅配物の宛て先である住戸の居室番号「201」が所定のフォーマットで記載されている。また、メールタイトルD2には、例えば、「201号室宛ての宅配物に関しての放置情報」といったメッセージが所定のフォーマットで記載されている。さらに、メール本文D3には、例えば、「伝票番号:1234567890、201号室宛ての宅配物が放置されたままです。」といったメッセージに回収用のパスワード、例えば、「201OP」が所定のフォーマットで記載されている。
【0059】また、宅配業者の配達人(「鈴木」)によれば、汎用ネットワーク5を経由して制御機4からメールサーバ8に伝送されてきた放置情報メールデータを宅配業者サーバ7にて確認するにあたり、(○○○マンションの)201号室の居住者である山田太郎様宛ての宅配物が、宅配ロッカー3の着荷・保管部30に放置されたままであることを、回収用パスワード「201OP」と併せて容易に確認でき、この後、○○○マンションの宅配ロッカー3へ迅速に赴くことができる。
【0060】さらに、(○○○マンションの)宅配ロッカー3に赴いた宅配業者の配達人(「鈴木」)は、201号室宛ての宅配物を着荷・保管部30から回収するにあたり、入力部31にて前述の回収用パスワード「201OP」を入力する。この回収パスワード「201OP」を検出し、宅配業者による有効な回収操作であると判断したロッカーCPU33は、着荷・保管部30の電気錠(図示せず。)を解錠させることにより、宅配業者の配達人(「鈴木」)は、201号室宛ての宅配物を容易に回収することができる。これにより、前述までの回収作業を行うにあたっては、宅配業者の配達人しか知り得ない回収用パスワード「201OP」の入力が必須となるため、泥棒等の不審者による不正な回収の発生を防止することができセキュリティレベルが高められる。」

5 通知した取消理由についての当審の判断
(1)本件特許発明1について
ア 引用発明(甲3発明)の認定
4(2)アに示した記載及び図面に示されたところによれば、甲第3号証には、図1及び図2において図示される、一時預かりボックスのコントロールパネル、携帯電話機及び中央コンピュータからなるシステムについて、次のとおりの発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。

(甲3発明)
「携帯電話機から発信されたID情報を照合して一時預かりボックスを解錠する制御部を有するコントロールパネルが設けられた宅配ボックス等の一時預かりボックス、制御部の内部に設けられた電話機能を有する送受信部によりID情報や音声、文字、画像情報を送受信可能である携帯電話機及び中央コンピュータからなるシステムであって、(【0021】【0022】【0023】【図2】)
一時預かりボックスには、さらにその内部に物品の存在を検知する赤外線センサが設けられており(【0022】)、制御部の内部には、携帯電話機及び中央コンピュータとの間でID情報や音声、文字、画像情報を送受信可能である送受信部、赤外線センサの検知情報から一時預かりボックスの空き状態を判別し、また、送受信部からインターネットを介して中央コンピュータに一時預かりボックスの空き状態及び運営に関する各種記録データを伝達する等を行うCPU、メモリ、一時預かりボックスの扉を施錠/解錠する施錠機構等が設けられており、(【0023】【0025】)
携帯電話機を所持する預入人がコントロールパネルに表示された電話番号に電話を掛けると、この携帯電話機から発信される預入人のID情報である携帯電話機の電話番号がメモリに記憶され、更にインターネットを介して中央コンピュータに送られ、(【0035】?【0039】)
この電話番号を受信した制御部において預入人からの入荷の指示及び利用ボックス番号の指定により指定されたボックスの解錠を行い、同時に利用基本料金が携帯電話機の電話番号に対して課金され、(【0040】?【0042】)
赤外線センサが荷物を感知すると時間制料金の課金を開始し、(【0046】)
受取人の指定及び受取人が自分や提携業者以外の第三者である場合の受取人の携帯電話機の電話番号または電子メールアドレスの入力が行われ、(【0047】?【0048】)
受取人の指定が行われると、利用日時、オートロックの時間、預入人、受取人、ボックス番号、利用者の携帯電話機の電話番号、電子メールアドレス等の利用情報が印刷出力されるとともにインターネットを介して中央コンピュータに送られ、(【0052】)
中央コンピュータは、インターネットを介して、指定された受取人の電話またはコンピュータ等の情報端末に対し、預入人からどの一時預かりボックスに荷物が預けられたかを電子メールやボイスメールにより通知し、(【0053】)
荷物が預けられたことを知得した受取人が指定された一時預かりボックスに出向いてコントロールパネルに表示された電話番号に電話をかけて出荷の指示を行うと、出向いた受取人の携帯電話の電話番号を預入人が予め指定した受取人の携帯電話機の電話番号と照合し、(【0054】【0055】)これが一致した場合には、出向いた受取人が入力した利用ボックス番号と預入人が指定した利用ボックス番号とが一致した場合に一時預かりボックスを解錠して課金を停止し、(【0056】【0057】)赤外線センサにより荷物が取り出されたことを検知してから所定時間が経過するとオートロックが作動し(【0060】)、
中央コンピュータは受取人と異なる預入人に対して、インターネットを介して、受取人により一時預かりボックスの荷物が取り出されたことを電子メールやボイスメールにより通知し、(【0064】)
赤外線センサが一定時間以上荷物を感知し続けた場合は中央コンピュータへ異常を通知し(【0062】)、停滞荷物の警告等の情報提供を行う(【0078】)
システム。」

イ 対比
(ア)甲3発明の「預入人」、「受取人」は、それぞれ本件特許発明1の「荷送り人」、「荷受け人」にそれぞれ相当する。
甲3発明の「宅配ボックス等の一時預かりボックス」の「荷物」は、本件特許発明1の「宅配物」に相当する。また、甲3発明の「宅配ボックス等の一時預かりボックス」は,その「制御部」に「一時預かりボックスの扉を施錠/解錠する施錠機構等」が設けられており,指定された「利用ボックス番号」について「解錠」が行われる「扉」の「ボックス」の集合体であるところ、甲3発明における,宅配物の入荷や出荷にあたって指定されるボックス番号に対応する個々の「ボックス」は、宅配物を収納するボックスであり,本件特許発明1の「収納ボックス」に相当する。
甲3発明の荷送り人や荷受け人において個々の収納ボックスの扉を施錠/解錠する際用いられる「施錠機構」は、本件特許発明1の「電気錠」に相当する。また、甲3発明の「携帯電話機の電話番号」は、電気錠の開錠、施錠にあたって各々の収納ボックスの開錠や施錠をする者である荷送り人の「ID情報」として用いられ、さらに,荷送り人の指定する荷受け人の入力に係る照合情報としても用いられており,収納ボックスの開錠や施錠をする荷送り人や荷受け人を認証するために用いられる番号であるといえるから、本件特許発明1の「認証番号」に相当する。
甲3発明の各々の収納ボックスの集合体としての「宅配ボックス等の一時預かりボックス」は、本件特許発明1の「宅配ボックス」に相当し、甲3発明のシステムは、後述する相違点を除いて、「宅配ボックス」を備えた「宅配物配達システム」であるといえる。

(イ)甲3発明の「中央コンピュータ」は、荷送り人が荷受け人を指定して宅配物を宅配ボックスに入荷する際、指定された荷受け人の情報端末に対し荷送り人からどの宅配ボックスに宅配物が預けられたかを電子メール等により通知し、また、指定された荷受け人が宅配物を宅配ボックスから出荷する際、荷受け人により宅配ボックスの宅配物が取り出されたことを電子メールにより通知するものであるから、荷受け人への電子メールと荷送り人への電子メールがそれぞれ荷送り人と荷受け人についての情報を付しているか否か明らかでないものの、「荷受け人を指定して宅配物が収納ボックスに入庫されたとき」に「宅配物の該収納ボックスへの入庫を指定された荷受け人に電子メールを介して通知し」、「荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき」、「宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知する」ものである点で、本件特許発明1の「管理サーバ」に対応するといえる。

(ウ)甲3発明では、赤外線センサが一定時間以上荷物を感知し続けた場合、つまり、宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、中央コンピュータへ異常を通知し、停滞荷物の警告等の情報提供を行うものの、管理サーバが宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを「前記特定された荷受け人が誰であるの情報」を付して「荷送り人」に電子メールを介して通知するものでなく、この点で、本件特許発明1と相違する。

(エ)してみると、本件特許発明1と甲3発明とは、次の点で一致している。
<一致点>
荷送り人から荷受け人に配達される宅配物を収納し、認証番号の入力あるいは読み取りに応じて電気錠により開錠、施錠することが可能な収納ボックスを複数備えた宅配ボックスと、
管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、荷受け人を指定して宅配物が収納ボックスに入庫されたとき、宅配物の該収納ボックスへの入庫を前記指定された荷受け人に電子メールを介して通知し、前記荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。

(オ)そして、次の相違点1?4で相違する。
<相違点>
(相違点1)
管理サーバが、本件特許発明1では、「前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録」し、入庫時に「収納ボックス開錠に用いた認証番号から荷送り人を特定」し、引き取り時に「荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定」するのに対し、甲3発明では、認証番号として携帯電話機の電話番号を用いて荷送り人及び荷受け人の特定を制御部のCPUが行っており、管理サーバ(中央コンピュータ)が荷送り人と荷受け人に関連付けて認証番号を記録し、認証番号に基づき荷受け人と荷送り人を特定していない点

(相違点2)
宅配物が収納ボックスに入庫されたときに管理サーバが荷受け人に電子メールを介して通知するにあたって、本件特許発明1は、「該特定された荷送り人が誰であるの情報を付して」通知するのに対し、甲3発明は、この旨が明らかでない点

(相違点3)
宅配物を収納ボックスから引き取ったときに管理サーバが荷送り人に電子メールを介して通知するにあたって、本件特許発明1は、「該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して」通知するのに対し、甲3発明は、この旨が明らかでない点

(相違点4)
本件特許発明1の「管理サーバ」は、さらに、「前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知する」のに対し、甲3発明の管理サーバ(中央コンピュータ)は、宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したときに宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを「前記特定された荷受け人が誰であるの情報」を付して「荷送り人」に電子メールを介して通知していない点

相違点の判断
(ア)相違点1について
甲第3号証には、携帯電話機の電話番号ではなく予め中央コンピュータに登録された声紋等を認証情報として用いることを示唆する記載がある(段落【0072】【0073】)。また、中央コンピュータに登録された認証情報を用いる場合には、認証情報の照合も中央コンピュータにおいて行うことが自然であるといえる。
してみると、甲3発明を上記の示唆に従って、その管理サーバである中央コンピュータを「前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録」するものとし、入庫時に「収納ボックス開錠に用いた認証番号から荷送り人を特定」し、引き取り時に「荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定」するように変更することは、当業者が適宜なし得たことである。

(イ)相違点2について
甲3発明において宅配物入庫時の荷受け人への電子メールに荷送り人の情報が示されていると明示されていなくともに、これは単に記載が省略されているにすぎず、実質的な相違点でないと認められる。
すなわち、一般に、宅配時に宅配物の存在を荷受け人に知らせるにあたってその宅配物の荷送り人をも知らせる場合があり、荷受け人に宅配物の存在を知らせるための荷受け人不在の際の宅配物再配送や宅配ボックスへの宅配を知らせるメモ(いわゆる「ご不在連絡票」)に宅配物の荷送り人を記載する場合もあるから、明示されていなくても甲3発明でも入庫時の荷受け人に電子メールで宅配物の存在を知らせるにあたって荷受け人に知らせる場合があると解するのが自然であるから、この点は実質的な相違点でない。
仮にこれを実質的な相違点と捉えても、上記に照らせば、当業者が適宜選択設計し得る事項である。

(ウ)相違点3について
甲3発明は、宅配物の引き取り時に荷送り人である預入人(受取人と異なる預入人)への電子メールにおいて「受取人により一時預かりボックスの荷物が取り出されたこと」を通知する(甲第3号証【0064】)ものであるところ,甲第3号証の「【0020】2はメールボックス、宅配ボックス、クリーニングボックス等の一時預かりボックスであり、他の用途としてレンタルビデオや写真(DPE)等の受渡しやロッカーとしても利用可能である。」との記載からみて,甲3発明においては,クリーニング業者やレンタルビデオ業者のような荷送り人が複数の受取人を指定して複数の宅配ボックスを利用する場合が想定されている。このことに照らせば,甲3発明における「受取人により一時預かりボックスの荷物が取り出されたこと」を通知する電子メールにおいて,複数の受取人を指定して複数の宅配ボックスを利用する場合が想定されることを踏まえて,荷送り人に対していずれの受取人に対する荷物が取り出されたかが通知されることが望ましいことは明らかである。
してみると,上記の甲第3号証の記載に照らせば、相違点3は,当業者が適宜選択設計し得る事項である。

(エ)相違点4について
4(2)イにおいて上記した甲第5号証の記載事項によれば、甲第5号証には、集合住宅のインタホンやメールを受信できる端末に対して宅配物の着荷予告や着荷を通知するにあたって、宅配物が一定時間以上取り出されずに放置されたままであることをメールで配達業者に通知してこれを回収させることが記載されている。
しかし、甲第5号証には、放置された宅配物の回収や廃棄を促すためにそのような放置された宅配物の存在を宅配物の荷送り人に通知すること、放置されて配達業者において回収された宅配物の存在をさらに宅配物の荷送り人に通知すること、及び、このような「荷送り人」への通知に「前記特定された荷受け人が誰であるの情報」を付すことは、いずれも記載されていない。
そして、甲3発明の管理サーバ(中央コンピュータ)において、宅配物の荷送り人に対する通知を可能とするためには、管理サーバ(中央コンピュータ)が宅配物の荷送り人の連絡先を管理する必要があるところ、甲第5号証は、荷物が取り出されずに放置されたままであることを宅配業者に連絡することによって「宅配業者の作業効率を高める」(甲第5号証の段落【0006】)ものであり、荷送り人に対する通知を行うことを想定していないから、甲3発明において甲第5号証記載の技術を採用しても、管理サーバ(中央コンピュータ)が荷送り人の連絡先を管理する構成に想到しない。また、甲3発明における「停滞荷物の警告」として甲第5号証記載のメールを用いることはできても、「宅配業者」に荷物が停滞していることをメールで通知するにとどまり、「前記特定された荷受け人が誰であるの情報」を付して「荷送り人」に通知するという、本件特許発明1の構成には想到しない。
以上を踏まえれば、甲3発明において甲第5号証記載の技術を採用しても、相違点4に係る本件特許発明1の構成に想到することができない。
よって、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 申立人の意見について
申立人は、令和2年9月3日提出の意見書において、本件特許発明1の「荷送り人」は、本件特許の明細書の段落【0030】の記載を参照すると、クリーニング店やレンタカー業者などの宅配業務を行う「業者店舗」を含んでおり、「荷送り人」がロッカーに宅配物を入庫し滞留している宅配物を回収することがあるから、「荷送り人」と「宅配業者」とで文言上の相違はあるものの、両者は同一であると考え得ることができる旨、及び、ロッカーから滞留している宅配物を回収する目的からしても、放置情報の通知先が「荷送り人」か「宅配業者」かの違いはあっても回収する目的は達成できるため、通知先の違いは、進歩性を肯定する理由にならない旨、を主張している。
しかし、甲第5号証において、「宅配業者」は、「差出人」(本件特許発明1の「荷送り人」に対応)と区別されており、この区別を捨象した認定をすることはできない。さらに、仮に、甲3発明における「停滞荷物の警告」として甲第5号証記載のメールを用い、「差出人」(荷送り人)ともなっている「宅配業者」に荷物が停滞していることを通知することに想到し得るにしても、それにとどまり、さらに「前記特定された荷受け人が誰であるの情報」を付して「荷送り人」に通知する構成には想到しない。
してみると、申立人の主張は、採用できない。

(2)本件特許発明2について
本件特許発明2は、実質的に、本件特許発明1から、管理サーバについての宅配物が収納ボックスに入庫されたときの処理の特定を省いたものであり、両者は、(1)イ(オ)で示した相違点1?4のうち、相違点1、相違点3及び相違点4において、相違する。
そして、(1)ウ(エ)において上記したとおり、これらのうち相違点4については、甲3発明において甲第5号証記載の技術を採用しても、本件特許発明1の構成に想到することができない。
よって、本件特許発明2は、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件特許発明4?6について
本件特許発明4?6は、請求項1又は請求項2を被引用請求項とする請求項4?6に係る発明であり、本件特許発明又は本件特許発明2と同様に、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立書において、申立人は、甲第1号証(特開2005-23580号公報)、甲第2号証(特開2007-29384号公報)を主引用例として提出し、さらに、上記した甲第3号証、甲第5号証の他、甲第4号証(特開2008-27182号公報)を提出して、請求項1?6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである旨の特許異議申立理由を主張している。
本件特許発明1と甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明とを対比すると、5(1)イ(オ)で示した相違点1?4のうち、少なくとも相違点4と同様の相違点が存在する。そして、この相違点4と同様の相違点に係る構成は、5(1)ウ(エ)において上述したとおり、この点に対応する訂正前の請求項3の特許に対して特許異議申立人が示した副引例である甲第5号証に記載の技術を採用することによって想到することができない。
よって、特許異議申立理由は、成り立たない。

7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、2、4?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、4?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
訂正により削除される請求項3についての特許異議の申立ては、却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷送り人から荷受け人に配達される宅配物を収納し、認証番号の入力あるいは読み取りに応じて電気錠により開錠、施錠することが可能な収納ボックスを複数備えた宅配ボックスと、
前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録する管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、荷受け人を指定して宅配物が収納ボックスに入庫されたとき、収納ボックス開錠に用いた認証番号から荷送り人を特定し、該特定された荷送り人が誰であるの情報を付して宅配物の該収納ボックスへの入庫を前記指定された荷受け人に電子メールを介して通知し、前記荷受け人が宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。
【請求項2】
荷送り人から荷受け人に配達される宅配物を収納し、認証番号の入力あるいは読み取りに応じて電気錠により開錠、施錠することが可能な収納ボックスを複数備えた宅配ボックスと、
前記荷送り人と荷受け人に与えられた収納ボックス開錠のための認証番号をそれぞれ荷送り人と荷受け人に関連付けて記録する管理サーバと、を備え、
前記管理サーバは、前記荷受け人が入庫された宅配物を収納ボックスから引き取ったとき、荷受け人が収納ボックス開錠に用いた認証番号に基づき荷受け人を特定し、該特定された荷受け人が誰であるの情報を付して宅配物の引き取りを前記荷送り人に電子メールを介して通知し、
前記管理サーバは、前記宅配物の入庫から引き取りまでの時間が所定時間を経過したとき、宅配物が長期に渡って収納ボックスに滞留していることを前記特定された荷受け人が誰であるの情報を付して荷送り人に電子メールを介して通知することを特徴とする宅配物配達システム。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記管理サーバは、荷送り人と荷受け人の認証番号、並びにその電子メールアドレスを荷送り人と荷受け人毎にデータベースとして記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の宅配物配達システム。
【請求項5】
前記荷送り人が営業を行う業者ないしその店舗であることを特徴とする請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。
【請求項6】
前記宅配ボックスが集合住宅に設置され、荷受け人が該集合住宅に住む居住者であることを特徴とする請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の宅配物配達システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-09-17 
出願番号 特願2014-145579(P2014-145579)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 雅士  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 相崎 裕恒
松田 直也
登録日 2019-04-05 
登録番号 特許第6505991号(P6505991)
権利者 日本宅配システム株式會社
発明の名称 宅配物配達システム  
代理人 早川 裕司  
代理人 村雨 圭介  
代理人 早川 裕司  
代理人 村雨 圭介  
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