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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1368870
審判番号 不服2019-3088  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-05 
確定日 2021-01-04 
事件の表示 特願2017-518087「ユーザインタフェースのための対話方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日国際公開、WO2016/050086、平成29年11月24日国内公表、特表2017-534975、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)5月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月2日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月 7日付け 拒絶理由通知書
平成30年 8月13日 意見書、手続補正書の提出
平成30年10月31日付け 拒絶査定
平成31年 3月 5日 審判請求書の提出
令和 2年 6月25日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 8月26日 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成30年10月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし7及び10ないし14に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、又、本願の請求項1ないし14に係る発明は、以下の引用文献2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2006/0284852号明細書
2.特開2013-101465号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(令和2年6月25日付け拒絶理由)の概要は次のとおりである。

本願は、特許請求の範囲の請求項2ないし14の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和2年8月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし13は以下のとおりである。

「【請求項1】
ユーザインタフェース(500)を提供するよう構成されるディスプレイと、
少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガするよう構成されるプロセッサとを備え、
前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答し、前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答し、
前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、
前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される、
装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース(500)の前記フォアグラウンドは、前記ユーザインタフェース(500)のアクティブなコンテキストであり、前記ユーザインタフェース(500)の前記バックグラウンドは、前記ユーザインタフェース(500)のさらなるコンテキストを定義する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の対話型要素(502)は、少なくとも部分的に前記フォアグラウンドにとどまり、前記第2の対話型要素(504)は、前記ユーザと前記第2の対話型要素(504)との前記対話の間、少なくとも部分的にバックグラウンドにとどまる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記フォアグラウンド内の前記第1の対話型要素(502)は、ハンドル(506)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記ユーザと前記ハンドル(506)との対話に応答して前記第1の対話型要素(502)を少なくとも部分的に前記フォアグラウンドから移動または回転させるように構成され、前記第2の対話型要素(504)が、少なくとも部分的に知覚可能となる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記ユーザと前記ハンドル(506)との対話に応答して、前記第2の対話型要素(504)を起動するよう構成される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の対話型要素(502)は、前記ユーザインタフェース(500)の前記フォアグラウンド内の幾何学的オブジェクトの第1の面上に配置され、前記第2の対話型要素(504)は、前記バックグラウンド内の前記幾何学的オブジェクトの第2の面上に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、ユーザと前記第1の面との対話に応答して前記幾何学的オブジェクトを回転させるようさらに構成され、前記第2の面が少なくとも部分的に知覚可能となる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の対話型要素(504)との前記対話を表すボイスコマンドを検出するよう構成される音響センサをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の対話型要素(504)によって判断される前記機能は、前記第1の対話型要素(502)に関連する追加機能を定義する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(102a、102b、102n)を備えるユーザ機器。
【請求項12】
ユーザインタフェースを操作する方法であって、
少なくとも第1の対話型要素を前記ユーザインタフェースのフォアグラウンドに提供するステップ(704)と、
少なくとも第2の対話型要素を提供するステップ(706)であって、前記第2の対話型要素が前記ユーザインタフェースのバックグラウンドに配置される、ステップ(706)と、
前記フォアグラウンドにおける前記第1の対話型要素とユーザの第1の対話の指示と、前記バックグラウンドにおける前記第2の対話型要素と前記ユーザの第2との対話の指示を同時に受信するステップと、
前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素との前記第2の対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素によって判断された機能をトリガするステップ(714)と、
前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェースを初期状態に復帰するステップと、
前記第1の対話型要素との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するステップとを備える、
方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータで実行される場合、請求項12に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の記載が記載されている。

「Exemplary Computing System for Implementing Current Embodiments
[0027] With reference to FIG. 3 , an exemplary system suitable for making use of embodiments of the current development is shown. It will be appreciated, however, that this development is not limited to being practiced on the system of FIG. 3 , but instead, can be carried out in connection with other computing devices. The system of FIG. 3 includes a general purpose computing device in the form of a conventional personal computer (PC) 320 , provided with a processing unit 321 , a system memory 322 , and a system bus 323 ・・・・」
(現在の実施形態を実施するための例示多岐なコンピューティングシステム
[0027] 図3を参照すると、現在の開発の実施の形態を利用するのに適した例示的なシステムが示されている。しかしながら、この開発は、図3のシステム上の実施に限定されないことが理解され、代わりに、他のコンピューティング装置に関連して実施することができる。図3のシステムは、従来のパーソナルコンピュータ(PC)320の形態である、プロセッシングユニット321、システムメモリ322、及びシステムバス322を備えた、汎用コンピューティング装置を含む。・・・・)

「Exemplary Application Employing One Embodiment
[0049] FIG. 5 shows a screen 500 a from an interactive display surface presenting a music player application similar to that described in connection with FIGS. 2A-2B . Again, by using a physical object such as user's hand 502 , a user can build a playlist 504 by touching or otherwise selecting icons 506 that represent one or more musical selections. In contrast to the music player application depicted in FIGS. 2A-2B , however, screen 500 a does not include an exit icon 208 that is always visible on screen 500 a. Instead, in this exemplary embodiment, a user accesses an exit icon by engaging a "peel-back interface" 510 at the lower right corner of the displayed user interface screen.
[0050] FIGS. 6A-6D depict this exemplary embodiment in use. FIG. 6A illustrates a corner 600 of screen 500 a, showing an enlarged version of peel-back interface 510 . To engage peel-back interface 510 , in this exemplary embodiment, a user employs a physical object, such as the user's finger, which is shown at a first position 602 a, to engage an access portion 604 . Access portion 604 , in this exemplary embodiment of the present invention, is graphically depicted as a flap as the flap would appear if physically, a corner 600 of the image of screen 500 a as presented on the display were peeled back. In one embodiment, access portion 604 overlies a secondary interface area 606 before the access portion is "peeled back." In the example shown in FIG. 6A , secondary interface area 606 foreshadows a possibility that additional content is included beneath the flap of access portion 604 , just as, by analogy, a loose flap of a top layer of wallpaper might foreshadow a previous wall covering under the top layer of wallpaper. Further, just as peeling back a loose corner of the top layer of wallpaper provides access to the wall covering that is covered by the top layer, manipulating access portion 604 allows a user further access to secondary interface area 606 . As shown in FIG. 6A , a user engages access portion 604 by touching access portion 604 with the user's finger, although another external object, or a pointing device-controlled cursor could be used instead for this purpose.
[0051] Having touched access portion 604 , FIG. 6B shows corner 600 of the screen and movement of the user's finger from first position 602 a, as shown in FIG. 6A , in the direction of arrow 610 , to a second position 602 b, causing the corner flap to be folded back further so that more of secondary interface area 606 is visible, and so part of an exit icon 612 is exposed. FIG. 6C shows corner 600 after the user's finger has continued moving inwardly of the displayed screen to a third position 602 c, making still more of secondary interface area 606 visible to fully display exit icon 612 , which had originally been hidden by the overlying display screen. Finally, FIG. 6D shows corner 600 , illustrating how, while maintaining third position 602 c to continue fully revealing the exit icon, the user engages now fully exposed exit icon 612 with another external physical object, such as a finger 614 on the user's other hand. The combined movements depicted in FIGS. 6A-6D enable user to first make the exit icon visible, and then select the exit icon to exit the application.
(一つの実施形態の例示的用途
[0049] 図5は、図2A-2Bに関連して説明したと同様の音楽プレーヤアプリケーションを提示する対話式ディスプレイ画面のスクリーン500aを示している。この場合、ユーザは、ユーザの手502のような物理的オブジェクトを使用し、一つ又は複数の音楽の選択を示すアイコン506にタッチするか又は選択することにより、プレイリスト504を構築することができる。図2A-2Bに示される音楽プレーヤアプリケーションとは対照的に、通常表示されるスクリーン500aでは、スクリーン500aは終了アイコン208を含んでいない。代わりに、この例示的な実施形態では、ユーザは、表示されているユーザインタフェース画面の右下隅にある「引き剥がしインタフェース」510を作動させることによって、終了アイコンにアクセスする。
[0050] 図6A-6Dは、使用する際の例示的な実施形態を示す。図6Aは、スクリーン500Aの隅の引き剥がしインタフェース510の拡大図を示している。引き剥がしインタフェース510に接触することは、この例示的な実施形態では、ユーザは、ユーザの指のような、物理的なオブジェクトを使用して、第1の位置602aに示されているような、アクセス部604に接触する。この発明の例示的な実施形態では、アクセス部604はフラップとして示され、フラップは、物理的なディスプレイ上に提示されるスクリーンの500aの画像の隅600に引き剥がしとして示される。実施形態では、アクセス部604は、アクセス部が引き剥がされるまで、第2のインタフェース領域606を覆っている。図6Aの例では、第2のインタフェース領域606は、ちょうど、壁紙の上の階層の緩んだフラップにより、壁紙の上の階層の下の前壁材が予見されることが類推されるように、アクセス部604のフラップの下に追加のコンテンツが存在する可能性を予め示している。さらに、壁紙の上の階層の緩んだ角を引き剥がすことにより、上の階層により覆われた壁材をアクセスできるのと同様に、アクセス部604を操作することにより、ユーザは、第2のインタフェース領域606にさらにアクセスすることができる。図6Aに示すように、ユーザは、ユーザの指をアクセス部604に触れることにより、アクセス部604に接触するが、別の外部オブジェクト、もしくは、ポインティングデバイス制御カーソルをこの目的のために使用することができる。
[0051] アクセス部604に接触し、第6図Bに示すように、ユーザの指を、図6Aに示す第1の位置602aから、矢印610の方向に、第2の位置602bの位置まで移動すると、隅のフラップが折り返ることにより第2のインタフェース領域606が現れ、終了アイコン612の一部が露出される。図6Cは、ユーザの指が表示画面の内側の第3の位置602cに動いた後、その上に重なった表示画面によって隠された、第2のインタフェース領域606に終了アイコン612が完全に表示された状態の隅600を示している。最後に、図6Dは、終了アイコンを完全に表示する第3の位置602cを維持しながら、例えば他方の手の指614のような、他の物理的オブジェクトを終了アイコン612にユーザが接触する隅600を示している。図6A-6Dに描かれた複合動作により、ユーザは最初に終了アイコンを表示してから、アプリケーションを終了するために、終了アイコンを選択する。)



したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「プロセッシングユニット321を備えた、汎用コンピューティング装置であって、
音楽プレーヤアプリケーションを提示する対話式ディスプレイ画面のスクリーン500aを備え、
ユーザの指をアクセス部604に接触し、第1の位置602aから、表紙画面の内側の第3の位置602cに動かし、第2のインタフェース領域606に終了アイコン612が完全に表示された状態とし、
ユーザの指を終了アイコン612を完全に表示する第3の状態を維持しながら、他方の手の指614により、アプリケーションを終了するために終了アイコン612を選択する、
汎用コンピューティング装置。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の記載がされている。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関し、より詳細には、表示部に表示された情報に関連する関連情報の呼び出し処理を行う情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。」

「【0015】
<1.第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置は、スマートフォン等のモバイル端末やタブレット端末等のようにタッチパネルを用いて操作入力を行う端末の、機能呼び出し処理を行う装置である。具体的には、情報処理装置は、表示部に表示された情報に関連する関連情報の呼び出し処理を行う。この際、ユーザにとって自然な操作入力で直感的に機能を実行できるように、情報処理装置により処理される。以下、情報処理装置の構成とこれによる機能呼び出し処理について、詳細に説明していく。
【0016】
[1-1.モバイル端末の機能構成]
まず、図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る情報処理装置である情報処理部120の機能構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報処理部120を備えるモバイル端末100の機能構成を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態では、情報処理部120を備える端末としてスマートフォン等のモバイル端末100を例に説明するが、情報処理部120は、他の端末にも適用可能である。
【0017】
本実施形態に係るモバイル端末100は、図1に示すように、操作入力検出部110と、情報処理部120と、表示部130とを備える。
【0018】
操作入力検出部110は、ユーザが情報を操作するための操作入力を行う入力装置の1つであり、指等の操作体の位置の接触を検出する。操作入力検出部110としては、例えば、静電気による電気信号を感知することにより操作体の接触を検知する静電式タッチパネルや、圧力の変化を感知して指の接触を検知する感圧式のタッチパネル等を用いることができる。操作入力検出部110は、情報を表示する表示部130と積層して設けられており、ユーザは表示部130の表示領域上で指等を動かすことで表示部130に表示されている情報を操作することができる。操作入力検出部110は、操作体の接触を検出すると、当該操作体の接触を特定するために付与された検出ID、位置情報、および接触時刻を検出信号として情報処理部120へ出力する。
【0019】
情報処理部120は、表示部に表示された情報に関連する関連情報の呼び出し処理を行う。情報処理部120は、図1に示すように、位置判定部122と、操作入力判定部124と、表示処理部126と、記憶部128とからなる。
【0020】
位置判定部122は、操作入力検出部110により検出された操作体の接触位置に基づいて操作対象を特定する。本実施形態に係る情報処理部120は、表示部130に表示された情報に関連する関連情報の呼び出し処理を行うものであり、このとき位置判定部122は関連情報の表示を行う表示オブジェクト(図3の符号214)が操作対象として選択されたか否かを判定する。位置判定部122の判定結果は、表示処理部126へ出力される。
【0021】
操作入力判定部124は、操作入力検出部110により検出された操作体の動きに基づいて、表示オブジェクトに対して所定の操作入力が行われたか否かを判定する。操作入力判定部124は、操作体が表示オブジェクトに接触したときに付与された検出IDの検出信号を継続して監視することで操作入力の内容を判定する。関連情報の呼び出し処理を開始する所定の操作入力としては、例えば表示オブジェクトに対する長押し操作や短押し操作等とすることができる。操作入力判定部124の判定結果は、表示処理部126へ出力される。
【0022】
表示処理部126は、位置判定部122および操作入力判定部124の判定結果に基づいて、関連情報の呼び出し処理を開始するか否かを決定し、決定事項に応じて表示部130に表示されている表示情報を処理する。関連情報表示部126は、表示オブジェクトが操作対象として選択され、かつ当該表示オブジェクトに対して所定の操作入力が行われたと判定されたときに、関連情報の呼び出し処理を開始する。関連情報の呼び出し処理についての詳細は後述する。表示処理部126は、表示情報を変更する場合、表示情報の変更処理を行い、更新後の表示情報を表示部130へ出力する。
【0023】
記憶部128は、情報処理部120で行われる関連情報の呼び出し処理に用いられる各種情報を記憶する。記憶部128は、例えば関連情報の呼び出し処理を開始する所定の操作入力の内容や、判定に用いる閾値情報(例えば、後述する第1の判定時間や第2の判定時間、終了判定時間)等を記憶する。また、記憶部128には、関連情報の呼び出し処理を行うにあたり一時的に情報を記憶するメモリ(図示せず。)を設けてもよい。メモリには、例えば操作入力検出部110により検出された検出信号(検出IDに対する接触時刻とそのときの位置情報)等が記憶される。
【0024】
表示部130は、情報を表示する表示装置であって、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることができる。表示部130には、表示処理部126の指示を受けて表示情報が表示される。」

「【0026】
(1)音楽アプリケーションにおける関連情報呼び出し処理の概要
本実施形態では、モバイル端末100における音楽アプリケーションの操作を例として説明する。図3左に示すように、モバイル端末100の表示部130の表示領域200には、音楽のプレイリストの一覧(プレイリスト一覧)210が表示されている。音楽のプレイリストは第1の情報の一例である。
【0027】
プレイリストの一覧210は、例えば水にぷかぷかと浮いているように表現させてもよく、このとき各プレイリスト212を表すオブジェクト212(212a?212e)を1枚の板に見立てる。水に浮く複数のオブジェクト212からプレイリスト一覧210が構成されているように表現することで各オブジェクト212は僅かにゆらゆらと動くように表示され、これにより各オブジェクト212がそれぞれ動くことを示唆することができる。各オブジェクト212が動くことを示唆する他の方法として、プレイリスト210に対して指が接触したときにのみ、各オブジェクト212を僅かに揺れさせるようにしてもよい。
【0028】
各プレイリストは、プレイリストを構成する楽曲からそれぞれ構成される。各プレイリストのオブジェクト212には、例えばプレイリストの名称や、プレイリストを構成する楽曲数、プレイリストを表すアイコン等が表示されている。例えば、オブジェクト212aに対応付けられたプレイリスト「プレイリスト1」は20の楽曲から構成され、オブジェクト212bに対応付けられたプレイリスト「プレイリスト2」は12の楽曲から構成されていることがわかる。
【0029】
また、本実施形態に係るプレイリストのオブジェクト212には、その一端(図3に示す例では右端)に当該プレイリストに関連する関連情報を表示させるための表示オブジェクト214が表示されている。表示オブジェクト214は、オブジェクト212が移動可能であることを示すアイコンであり、表示オブジェクト214に対して所定の操作入力を行うことでオブジェクト212を移動させることができる。図3に示す表示オブジェクト214は3本並んだ縦線からなるアイコンであるが、本技術はかかる例に限定されず、表示オブジェクト214には例えばつまみや押し込み操作を誘導するような表示等の任意のアイコン等を用いることができる。
【0030】
表示オブジェクト214に対して所定の操作入力があると、プレイリストのオブジェクト212が移動する。本実施形態では、表示オブジェクト214を押し込むような操作入力により、てこの原理でオブジェクト212が移動するように表現する。具体的には、表示オブジェクト214を力点として、表示オブジェクト214と反対側の他端が表示部130の表示領域200と対向するユーザ側に向かって移動するように、オブジェクト212の移動を表現する。このように、ユーザの操作入力とオブジェクト212の動きとに関連性を持たせることで、ユーザは自然にオブジェクト212を移動させることができる。
【0031】
プレイリストのオブジェクト212が移動されると、移動されたオブジェクト212が表示されていた位置に、当該プレイリストに関連する関連情報が表示される。本実施形態では、図3右に示すように、プレイリストに関連する機能メニュー222が表示される。機能メニュー222は第2の情報の一例である。ここで、機能メニュー222が表示されている表示領域を関連情報表示領域220とする。機能メニュー222は、例えば当該プレイリストに楽曲を追加するための追加アイコン222aやメール機能を実行するためのメールアイコン222b等からなり、これらの機能はプレイリストに対して実行する頻度の高いものである。プレイリストのオブジェクト212を移動させて関連情報表示領域220を現せることで機能メニュー222が操作可能となるので、ユーザはプレイリストに関連する機能を簡単に実行させることができる。」

【図3】


したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「タッチパネルを用いて操作入力を行う端末の、機能呼び出し処理を行う装置であって、
操作入力検出部110と、情報処理部120と、表示部130とを備え、
表示部130には、表示処理部126の指示を受けて表示情報が表示され、
表示部130の表示領域200には、複数のオブジェクト212から構成される、音楽のプレイリストの一覧(プレイリスト一覧)210が表示され、
プレイリストのオブジェクト212には、その一端に当該プレイリストに関連する関連情報を表示させるための表示オブジェクト214が表示され、
表示オブジェクト214に対して所定の操作入力があると、プレイリストのオブジェクト212が移動し、
移動されたオブジェクト212が表示されていた位置に、当該プレイリストに関連する機能メニュー222が表示され、
機能メニュー222が表示されている表示領域を関連情報表示領域220とし、
機能メニュー222を操作することにより、ユーザはプレイリストに関連する機能を簡単に実行させることができる、
装置。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1との対比・判断
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明1の「対話式ディスプレイ画面のスクリーン500a」は、本願発明1の「ユーザインタフェース(500)を提供するよう構成されるディスプレイ」に相当する。

イ 引用発明1の「アクセス部604」は、ユーザの指が接触し、ユーザの指を第1の位置602aから第3の位置603cに動かすことにより、「第2のインタフェース領域606」に終了アイコン612を表示した状態とすることから、引用発明1の「アクセス部604」、「アクセス部604」が表示された領域、「第2のインタフェース領域606」、「終了アイコン612」は、それぞれ、本願発明1の「第1の対話型要素(502)」、「第1の対話型要素(502)」を提供する「前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンド」、「前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンド」、「第2の対話型要素(504)」に相当する。
そうすると、引用発明1は、本願発明1の「少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供」することと同様の提供を行っていると認められる。

ウ また、引用発明1は、アプリケーションを終了するために「終了アイコン612」を選択しているから、このことは、本願発明1の「前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガする」ことに相当する。

エ そして、引用発明1の「プロセッシングユニット321」は、本願発明1の「少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガする」ことと同様の機能を提供していることは明らかであるから、引用発明1の「プロセッシングユニット321」は、本願発明1の「前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガするよう構成されるプロセッサ」に相当する。

オ 加えて、引用発明1は、ユーザの指をアクセス部604に接触し、第1の位置602aから、表紙画面の内側の第3の位置602cに動かし、第2のインタフェース領域606に終了アイコン612が完全に表示された状態としていることから、このことは、本願発明1の「前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答」することに相当する。
さらに、引用発明1は、ユーザの指を終了アイコン612を完全に表示する第3の状態を維持しながら、他方の手の指614により、アプリケーションを終了するために終了アイコン612を選択しているから、このことは、本願発明1の「前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答」することに相当する。
そうすると、引用発明1は、本願発明1の「前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答し、前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答」するのと同様の、対話要素を備えていると認められる。

カ そうすると、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「ユーザインタフェース(500)を提供するよう構成されるディスプレイと、
少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガするよう構成されるプロセッサとを備え、
前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答し、前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答する、
装置。」

[相違点1]
本願発明1は「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成され」ているのに対して、引用発明1は対応する構成を備えていない点。

キ 本願発明1と引用発明1の相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される」という技術的事項は、引用文献2に記載されておらず、また本願の優先権主張日前において周知技術であったとはいえない。
そうすると、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明1と引用発明2との対比・判断
本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明2の「タッチパネルを用いて操作入力を行う端末」の「表示部130」は、本願発明1の「ユーザインタフェース(500)を提供するよう構成されるディスプレイ」に相当する。

イ 引用発明2の「表示オブジェクト214」は、当該プレイリストに関連する関連情報を表示させるためのものであり、表示オブジェクト214に対して所定の操作入力があると、プレイリストのオブジェクト212が移動するものであるから、本願発明1の「第1の対話型要素(502)」に相当する。
また、引用発明2の「機能メニュー222」は、本願発明1の「第2の対話型要素(504)」に相当する。
そして、引用発明2の「表示オブジェクト214」が表示される「オブジェクト212」は、移動することにより移動された「表示オブジェクト212」が表示されていた領域である「関連情報表示領域220」「機能メニュー222」が表示されていることから、「表示オブジェクト214」が表示される「オブジェクト212」と、「機能メニュー222」が表示される「関連情報表示領域220」とは、上下の関係を有しているといえる。そうすると、引用発明2の「オブジェクト212」と「関連情報表示領域220」は、本願発明1の「フォアグラウンド」と「バックグラウンド」の関係と同様の関係を有しているといえる。
してみると、引用発明2の「表示オブジェクト214」と「機能メニュー222」は、本願発明1の「少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し」と同様の関係を有していると認められる。

ウ 引用発明2は、表示された「機能メニュー222」を操作することにより、ユーザはプレイリストに関連する機能を簡単に実行させることができるから、このことは、本願発明1の「「前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガする」ことに相当する。

エ そして、引用発明2の本願発明1の「少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガする」ことに対応する機能が、引用発明2の「情報処理部120」により実行されることは明らかであるから、引用発明2の「情報処理部120」は、本願発明1の「少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガするよう構成されるプロセッサ」に相当する。

オ 引用発明2は「表示オブジェクト214に対して所定の操作入力があると、プレイリストのオブジェクト212が移動」しているから、引用発明2の「表示オブジェクト214」は、本願発明1の「前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答」することと同様の動作を行っているといえ、また引用発明2は「表示オブジェクト214に対して所定の操作入力があると、プレイリストのオブジェクト212が移動し、移動されたオブジェクト212が表示されていた位置に、当該プレイリストに関連する機能メニュー222が表示され」ており、この表示された「機能メニュー222」を操作することにより、ユーザはプレイリストに関連する機能を簡単に実行させているから、このことは、本願発明1の「前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答」することと同様の動作を行っていると認められる。

カ そうすると、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「ユーザインタフェース(500)を提供するよう構成されるディスプレイと、
少なくとも第1の対話型要素(502)を前記ユーザインタフェース(500)のフォアグラウンドに提供し、前記ユーザインタフェース(500)のバックグラウンドに配置される少なくとも第2の対話型要素(504)を提供し、前記バックグラウンドにおいて前記第2の対話型要素(504)とユーザとの対話の指示を受信し、前記第2の対話型要素(504)との前記対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素(504)によって判断された機能をトリガするよう構成されるプロセッサとを備え、
前記第1の対話型要素(502)は、前記第1の対話型要素(502)との第1の対話に応答し、前記第2の対話型要素(504)は、前記第1の対話と同時に行われる前記第2の対話型要素(504)との第2の対話に応答する、
装置。」

[相違点2]
本願発明1は「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成され」ているのに対して、引用発明2は対応する構成を備えていない点。

キ 本願発明1と引用発明2の相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、相違点2に係る本願発明1の「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される」という技術的事項は、引用文献1に記載されておらず、また本願の優先権主張日前において周知技術であったとはいえない。
そうすると、本願発明1は、当業者であっても引用発明2及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1及び2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2ないし11について
本願発明2ないし11も、本願発明1の「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される」という技術的事項と同一の技術的事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1及び2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明12及び13について
本願発明12は、本願発明1に対応する方法の発明であり、また、本願発明13は、本願発明12の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムの発明であり、本願発明1の「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される」という技術的事項に対応する、「前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素との前記第2の対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素によって判断された機能をトリガするステップ(714)と、前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェースを初期状態に復帰するステップと、前記第1の対話型要素との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するステップ」を備えるものである。
そうすると、本願発明12及び13は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1及び2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和2年8月26日にされた補正によって、本願発明1ないし11は「前記プロセッサは、前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素(504)によって判断された前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェース(500)の初期状態に復帰するようさらに構成され、前記プロセッサは、前記第1の対話型要素(502)との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するようさらに構成される」という技術的事項を有するものとなり、加えて本願発明12及び13は「前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素との前記第2の対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素によって判断された機能をトリガするステップ(714)と、前記機能をトリガした後、前記ユーザインタフェースを初期状態に復帰するステップと、前記第1の対話型要素との対話のさらなる指示に応答して前記復帰を中断するステップ」を備えるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 請求項2ないし12について
当審では、請求項2に記載された「トリガ」について、請求項1に記載された「トリガ」と矛盾するから不明確であるとし、請求項2の記載を引用する請求項3ないし12についても同様の理由で不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年8月26日にされた補正により請求項2が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 請求項13及び14について
当審では、請求項13に記載された2つの「トリガ」が、同じ機能をトリガするものであり、動作が矛盾するから不明確であるとし、請求項13の記載を引用する請求項14についても同様の理由で不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年8月26日にされた補正により、補正前の請求項13の「前記第2の対話型要素との前記第2の対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素によって判断された機能をトリガするステップ(714)」が、「前記第1の対話の中断に応答して、前記第2の対話型要素との前記第2の対話の前記指示に基づいて前記第2の対話型要素によって判断された機能をトリガするステップ(714)」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する
 
審決日 2020-12-08 
出願番号 特願2017-518087(P2017-518087)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 萩島 豪滝谷 亮一  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 小田 浩
野崎 大進
発明の名称 ユーザインタフェースのための対話方法  
代理人 木内 敬二  
代理人 実広 信哉  

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