• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H05B
管理番号 1368894
審判番号 不服2020-10023  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-17 
確定日 2020-12-23 
事件の表示 特願2017-519601「電力/データ通信を制御するための制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月21日国際公開、WO2016/059160、平成29年11月16日国内公表、特表2017-534146、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月15日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和1年7月26日付けで拒絶理由が通知され、同年10月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年3月16日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年7月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1 本願の請求項1、12?15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 本願の請求項1、12?15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、 頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基いて、本願の請求項2に係る発明は、以下の引用文献1?2に記載された発明に基いて、本願の請求項3?5に係る発明は、以下の引用文献1、3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特表2013-540333号公報
2.特開2014-78420号公報
3.特開2008-226773号公報

第3 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明(以下「本願発明1?15」という。)は、令和1年10月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御システムであって、
前記電力/データ通信システムの負荷の所望の電力レベルを規定するコマンドを供給するためのコマンド供給ユニットと、
供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するための総電力変化決定ユニットと、
決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するための制御ユニットとを有する制御システム。
【請求項2】
前記制御ユニットが、各々の負荷が各々の所望の電力レベルに到達するために必要とされる個別電力変化量を、個別部分電力変化量に細分し、各々の個別負荷を、その電力レベルが、異なる時間に、各々の個別部分電力変化量に従って変えられるように、制御する請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御ユニットが、異なる負荷は異なる時間にそれらの所望の電力レベルに設定されるように、前記コマンドに従って前記負荷の電力レベルを制御する請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御ユニットが、各々の負荷がどの時間にそれらの各々の所望の電力レベルに設定されるかをランダムに制御する請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御ユニットが、異なる負荷は所定の時間間隔内の異なる時間にそれらの所望の電力レベルに設定されるように、前記コマンドに従って前記負荷の電力レベルを制御する請求項3に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御ユニットが、前記決定された総電力変化量が相対的により小さい場合には、前記負荷の総電力消費量の傾きが相対的に大きくなるように、前記決定された総電力変化量が相対的により大きい場合には、前記負荷の総電力消費量の傾きが相対的に小さくなるように、前記負荷を制御する請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御ユニットが、異なる負荷は所定の時間間隔内の異なる電力レベル設定時間にそれらの所望の電力レベルに設定されるように、前記コマンドに従って前記負荷の電力レベルを制御し、前記決定された総電力変化量が相対的により小さい場合には、前記所定の時間間隔が相対的により小さく、前記決定された総電力変化量が相対的により大きい場合には、前記所定の時間間隔が相対的により大きい請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御ユニットが、前記コマンドを受信し、前記決定された総電力変化量が前記所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記コマンドを修正し、修正された前記コマンドを前記負荷に送信し、前記コマンドが、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、修正される請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御システムが、前記負荷が前記所望の電力レベルに設定されているときの前記総電力消費量の傾きが減らされるような前記負荷の制御を規定する傾き低減ルールを供給するための傾き低減ルール供給ユニットを有し、前記制御ユニットが、前記決定された総電力変化量が前記所定の電力変化しきい値より大きい場合には、傾き低減ルールに従って前記負荷を制御する請求項1に記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御システムが、前記負荷が前記傾き低減ルールに従って制御されるときに、前記負荷の総電力消費量の傾きを測定するための電力消費量測定ユニットを有し、前記傾き低減ルール供給ユニットが、前記総電力消費量の測定された傾きに依存して前記傾き低減ルールを修正する請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御システムが、前記負荷の総電力消費量の傾きを測定するための電力消費量測定ユニットを有し、前記制御ユニットが、前記総電力消費量の測定された傾きが所定の傾きしきい値より大きい場合には、前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御する請求項1に記載の制御システム。
【請求項12】
幾つかの負荷と、前記負荷を制御するための、請求項1に記載の制御システムとを有する電力/データ通信システム。
【請求項13】
前記電力/データ通信システムが、照明システムであり、前記負荷が、照明ユニットである請求項12に記載の電力/データ通信システム。
【請求項14】
電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御方法であって、
コマンド供給ユニットによって、前記負荷の所望の電力レベルを規定するコマンドを供給するステップと、
総電力変化決定ユニットによって、供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するステップと、
制御ユニットによって、決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するステップとを有する制御方法。
【請求項15】
電力/データ通信システムの負荷を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが請求項1に記載の制御システムにおいて走らされるときに、前記制御システムに、請求項14に記載の制御方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。」

第4 引用文献の記載事項、認定事項及び引用発明等
1 引用文献1について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様である。)。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部デバイスが接続され得る少なくとも1つの第1のポートを有する、PoE(Power-over-Ethernet)装置のための管理ユニットであって、
前記管理ユニットは、予め定められたスイッチングルールに依存して第1のポートに送られる電力を制御するように適合される、管理ユニット。

【請求項2】
PoE装置における管理ユニットを動作させる方法であって、
前記管理ユニットは、外部デバイスが接続され得る少なくとも1つの第1のポートを有し、
前記第1のポートに送られる電力は、予め定められたスイッチングルールに依存して制御される、方法。」

(1b)「【請求項8】
前記第1のポートに接続され得るか又は接続される前記外部デバイスは、ランプを有する、請求項1に記載の管理ユニット又は請求項2に記載の方法。」

(1c)「【請求項12】
前記管理ユニットは、電力の所与の最大限に許容された合計を越えないように、そのポートに接続された前記外部デバイスを制御するように適合される、請求項1に記載の管理ユニット又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
電力の最大限に許容された合計の値は、前記管理ユニットが接続されるIPネットワークの階層的に高いユニットから伝達される、請求項12に記載の管理ユニット又は方法。」

(1d)「【0017】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、管理ユニットは、電力の所与の最大限に許容された合計を越えないように、これに接続された外部デバイスを制御するように適合される。電力の最大限に許容された合計に近づくと、管理ユニットは、ポートで更なる電力増加を止めてもよく、及び/又は、接続された外部デバイスにこれらの電力消費を減らすよう命令してもよい。この手法において、安全な動作及び最大の機能性の双方が実現される。」

(1e)「【0026】
図1は、上記の原理による例示的なPoE装置の概略を記す。この装置の中央デバイスは、ポート12a、12b(コネクタ)上に電力を供給する照明管理ユニット又はボックス1である。管理ユニット1は、メインに直接接続され得る接続14を介して電力を得る。光生成ユニット又はランプ2は、管理ユニット1の"第1のポート"12aにワイヤ13を介して接続される。ユーザインタラクションは、"第2のポート"12bと呼ばれる、コネクタのうちの1つに接続されるスイッチング手段3によって第1の実施形態において生じ得る。加えて、検知手段4は、自動動作をサポートし得る。また、これらのセンサ4は、第2のポート12bのうちの1つに接続される。
【0027】
第1の実施形態において、管理ユニット1は、PSE(Power Sourcing Equipment)として機能し、全てのコネクタ12a、12bは、PoEコネクタである。全ての接続された外部デバイス2、3、4は、PD(PoE Powered Devices)として機能し、管理ユニット1内部でイーサネットコントローラに対して話すことが可能な通信コントローラを最小限備える。管理ユニットは、接続されたデバイスのトラックを保持し、各デバイスに固有のアドレスを与える格納手段を有する。関連した電力要求と同様にデバイスタイプ(スイッチ、検知手段、照明ユニット等)のようなデバイス特性が同じテーブルに格納される。斯様なテーブルの例は、以下で挙げられる。」

(1f)「【0030】
管理ユニット1におけるソフトウェアが供給し得る1つの重要な特徴は、接続された全てのランプの電力消費を予測し、これを電力接続14を介して排出される最大限に許容された電力と比較するための手段である。最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプは、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御され得る。」

(1g)「【0034】
最小の知能を有するランプ2が作られ、これは、関連した出力ポート12aが給電されるときはいつでも、或る電力レベルを要求するだけであるが、常に熱くなる。管理ユニット1は、これらの種類の付属のデバイスのために、スイッチングルールがこれを要求しているときには電力を上下に直接制御することができる。これは、ランプデバイスが非常に単純である照明装置を可能にし、入力PoE供給電圧を必要なLED駆動電流に変換することだけを必要とする。これらは、全体として受動的であり得る。」

(1h)「【0038】
更に開発されたシステムにおいて、管理ユニット1は、ライン14を介して電源に接続されるだけでなく、1階層レベル上のIPネットワークユニット20にも接続される。これは、機能的に中央で制御又はモニタされ得る高度にネットワーク化されたシステムを可能にする。この手法において、管理ユニット1で利用可能な最大電力は、階層的に次に高いレベルから伝達されてもよい。それ故、電源の消費に渡る階層制御が確立され得る。この挙動は、最小限の照明条件を犠牲にすることなくピークの電力シェービングを可能にするための必要条件である。例えば、不安定なメイングリッドのため、ユーティリティは、引き出される最大ピーク電力を必要としてもよい。斯様な状況を取扱うために、"ピークの電力シェービング"と呼ばれる制御メカニズムは、例えば動的な可調負荷を伴う電力の消費バリエーションの補償によりピークをカットするビルにおいて実現されてもよい。10%単位の入力電力の減少が実質的に見えないので、ランプは特にここで補助してもよい。」

(1i)引用文献1には、以下の図が示されている。
【図1】

イ 認定事項
(1j)請求項1に「前記管理ユニットは、予め定められたスイッチングルールに依存して第1のポートに送られる電力を制御するように適合される」と記載され、請求項8に「前記第1のポートに接続され得るか又は接続される前記外部デバイスは、ランプを有する」と記載されているから、管理ユニットは、ランプの電力を制御するものといえる。

(1k)段落【0030】の「管理ユニット1におけるソフトウェアが供給し得る1つの重要な特徴は、接続された全てのランプの電力消費を予測し、」なる記載から、「管理ユニットが接続された全てのランプの電力消費を予測する手段」を有することは明らかである。
同様に、段落【0030】の「管理ユニット1におけるソフトウェアが供給し得る1つの重要な特徴は、接続された全てのランプの電力消費を予測し、これを電力接続14を介して排出される最大限に許容された電力と比較するための手段である。最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプは、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御され得る。」なる記載及び請求項12の「前記管理ユニットは、電力の所与の最大限に許容された合計を越えないように、そのポートに接続された前記外部デバイスを制御する」なる記載から、管理ユニットが、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段」を有することも明らかである。

(1l)上記(1k)の「管理ユニットが接続された全てのランプの電力消費を予測する手段」が、管理ユニットが接続された全てのランプの電力消費を予測するステップを行うことは明らかである。

(1m)上記(1k)の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段」が、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するステップ」を行うことは、明らかである。

ウ 引用発明
上記ア、イから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1-1」、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明1-1〕
「PoE(Power-over-Ethernet)装置のランプの電力を制御する管理ユニットであって、
接続された全てのランプの電力消費を予測する手段と、
予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段とを有する管理ユニット。」

〔引用発明1-2〕
「PoE(Power-over-Ethernet)装置のランプの電力を制御する管理ユニットを動作させる方法であって、
接続された全てのランプの電力消費を予測する手段によって、接続された全てのランプの電力消費を予測するステップと、
予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段によって、予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するステップとを有する管理ユニットを動作させる方法。」

2 引用文献2について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)「【0055】
そこで本実施形態では、上述のように、光源23の点灯始動時に出力電圧Voを徐々に上昇させるソフトスタート制御を行うので、オーバシュート、過電流・過電圧による電源回路K1の構成部品へのストレスを低減することができ、より小型・低コストな部品を選定することができる。特に、非接触給電システムに特有の現象である送電コイル14と受電コイル21とのずれを考えた場合に、この効果は大きい。」

(2b)「【0057】
また、図4(a)に示すソフトスタート時における出力電圧Voの波形例は一例であって、図4(b)?(e)に示す波形例でもよい。」

(2c)引用文献2には、以下の図が示されている。
【図4】


3 引用文献3について
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
(3a)「【0010】
ここで、前記制御部4は、前記受信部1で受信した時刻が所定の時刻となった場合に、または、前記照度センサ部2で計測した周囲の照度が所定の照度以下となった場合に、前記乱数発生部6を起動し、乱数発生部6で乱数を発生させる。そして、乱数発生部6で発生させた乱数の出力値に基づく所定時間後に、前記電 源部8に対して照明機器10への電源供給指示を出し、前記照明機器10を点灯させる。なお、前記照明機器10への電源供給指示、つまり点灯指示は、個々の照明機器毎に行ってもよいが、例えば、照明機器を、設置場所等により、いくつかの照明機器群に分けて、その照明機器群毎に点灯指示を出すようにしてもよい。これにより、従来の点灯装置を備えた照明機器において問題となっていた一斉同時点灯による瞬断を回避できる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1-1とを対比する。
ア 引用発明1-1の「PoE(Power-over-Ethernet)装置」は、本願明細書段落【0002】に、「電力/データ通信システムは、例えば、PoEシステムである。」と記載されているから、本願発明1の「電力/データ通信システム」に相当する。

イ 引用発明1-1の「ランプ」は、本願発明1の「負荷」に相当し、以下同様に、「電力を制御する」は、「制御するための」に、「管理ユニット」は、引用文献1の請求項12に「管理ユニットは・・・外部デバイスを制御する」と記載されているから、「制御システム」に、それぞれ相当する。

ウ 上記ア?イを総合すると、引用発明1-1の「PoE(Power-over-Ethernet)装置のランプの電力を制御する管理ユニットであって、」は、本願発明1の「電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御システムであって、」に相当する。

エ 上記イの相当関係も踏まえると、引用発明1-1の「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段」と、本願発明1の「供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するための総電力変化決定ユニット」とは、引用発明1-1の「予測」することは、予測して決定することということができ、「接続された全ての電力消費」は総電力量といえるから、両者は「総電力に関する量を決定するための手段」という点で共通する。

オ 引用発明1-1の「予測した接続された全てのランプの電力消費」と、本願発明1の「決定された総電力変化量」とは、上記エを踏まえると、「決定された総電力に関する量」という点で共通する。

カ 引用発明1-1の「最大限に許容された電力」は、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように」制御することからみて、上限のしきい値といえるから、引用発明1-1の「最大限に許容された電力」と、本願発明1の「所定の電力変化しきい値」とは、「所定のしきい値」という点で共通する。

キ 上記オ、カを踏まえると、引用発明1-1の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、」と、本願発明1の「決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、」とは、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、」という点で共通する。

ク 上記イの相当関係を踏まえると、引用発明1-1の「ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段」と、本願発明1の「前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するための制御ユニット」とは、「前記負荷を制御するための手段」という点で共通する。

ケ 上記キ、クを総合すると、引用発明1-1の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段」と、本願発明1の「決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するための制御ユニット」とは、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値よりも大きい場合には、前記負荷を制御するための手段」という点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明1-1との間には、次の一致点、相違点があると認める。
〔一致点〕
「電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御システムであって、
総電力に関する量を決定するための手段と、決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するための手段とを有する制御システム。」

〔相違点〕
〔相違点1〕
本願発明1は、「前記電力/データ通信システムの負荷の所望の電力レベルを規定するコマンドを供給するためのコマンド供給ユニット」を有するのに対し、引用発明1-1は、そのような特定事項を有していない点。
〔相違点2〕
「総電力に関する量を決定するための手段」について、本願発明1は、「供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するための総電力変化決定ユニット」であるのに対し、引用発明1-1は、「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段」であり、また、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するための手段」について、本願発明1は、「決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するための制御ユニット」であるのに対し、引用発明1-1は、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段」である点。

(2)特許法第29条第1項第3号(原査定の概要1)について
本願発明1と引用発明1-1とは、上記相違点1?2で相違するから、本願発明1は引用発明1-1であるとはいえない。

(3)特許法第29条第2項(原査定の概要2)について
相違点についての判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。
(ア)引用発明1-1の「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段」は、要すれば、総電力量を決定する手段ということはできるが、その変化量である総電力変化量を決定する手段とはいえない。
また、引用発明1-1の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプは、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御する手段」も、総電力量がしきい値より大きい場合には、負荷の総電力量が減らされるように、前記負荷を制御する手段ということはできるが、総電力変化量がしきい値よりも大きい場合に、負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御する手段とはいえない。

(イ)また、上記第4の2?3に示したとおり、引用文献2には、オーバシュート、過電流・過電圧による電源回路K1の構成部品へのストレスを低減するために、光源23の点灯始動時に出力電圧Voを徐々に上昇させるソフトスタート制御を行うことが記載されており、引用文献3には、一斉同時点灯による瞬断を回避するために、乱数発生部6で発生させた乱数の出力値に基づく所定時間後に、前記電源部8に対して照明機器10への電源供給指示を出し、前記照明機器10を点灯させることが、記載されているが、引用文献2及び3のいずれにも、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。

(ウ)補足すると、上記引用文献2記載の「ソフトスタート制御」及び引用文献3記載の「乱数の出力値に基づく所定時間後に、・・・照明機器10を点灯させること」は、総電力変化量の傾きを制御することということはできるが、総電力変化量がしきい値よりも大きい場合に、負荷の総電力消費量の傾きが減らされることを、開示するものではない。

(エ)よって、相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明1-1、引用文献2?3に記載された事項のいずれにも、記載も示唆もされていない。

(オ)したがって、その余の相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2?5について
本願発明2?5は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明12、13について
本願発明12、13は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1-1であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものともいえない。

4 本願発明14について
(1)対比
本願発明14と引用発明1-2とを対比する。
ア 引用発明1-2の「PoE(Power-over-Ethernet)装置」は、本願明細書段落【0002】に、「電力/データ通信システムは、例えば、PoEシステムである。」と記載されているから、本願発明14の「電力/データ通信システム」に相当する。

イ 引用発明1-2の「ランプ」は、本願発明14の「負荷」に相当し、以下同様に、「電力を制御する」は、「制御するための」に、「管理ユニットを動作させる方法」は、引用文献1の請求項12に「管理ユニットは・・・外部デバイスを制御する」と記載されているから、「制御方法」に、それぞれ相当する。

ウ 上記ア?イを総合すると、引用発明1-2の「PoE(Power-over-Ethernet)装置のランプの電力を制御する管理ユニットを動作させる方法であって、」は、本願発明14の「電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御方法であって、」に相当する。

エ 上記イの相当関係も踏まえると、引用発明1-2の「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段によって、接続された全てのランプの電力消費を予測するステップ」と、本願発明14の「総電力変化決定ユニットによって、供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するステップ」とは、引用発明1-2の「予測」することは、予測して決定することということができ、「接続された全ての電力消費」は総電力量といえるから、両者は「総電力に関する量を決定するための手段によって、総電力に関する量を決定するステップ」という点で共通する。

オ 引用発明1-2の「予測した接続された全てのランプの電力消費」と、本願発明14の「決定された総電力変化量」とは、上記エを踏まえると、「決定された総電力に関する量」という点で共通する。

カ 引用発明1-2の「最大限に許容された電力」は、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように」制御することからみて、上限のしきい値といえるから、引用発明1-1の「最大限に許容された電力」と、本願発明14の「所定の電力変化しきい値」とは、「所定のしきい値」という点で共通する。

キ 上記オ、カを踏まえると、引用発明1-2の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、」と、本願発明14の「決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、」とは、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、」という点で共通する。

ク 上記イの相当関係を踏まえると、引用発明1-2の「ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御する」ことと、本願発明14の「前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御する」こととは、「前記負荷を制御する」ことという点で共通する。

ケ 上記キ、クを総合すると、引用発明1-2の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段によって、予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するステップ」と、本願発明14の「制御ユニットによって、決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するステップ」とは、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値よりも大きい場合には、前記負荷を制御するための手段によって、決定された総電力に関する量が所定のしきい値よりも大きい場合には、前記負荷を制御するステップ」という点で共通する。

したがって、本願発明14と引用発明1-2との間には、次の一致点、相違点があると認める。
〔一致点〕
「電力/データ通信システムの負荷を制御するための制御方法であって、
総電力に関する量を決定するための手段によって、総電力に関する量を決定するステップと、
決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するための手段によって、決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するステップとを有する制御方法。」

〔相違点〕
〔相違点1〕
本願発明14は、「コマンド供給ユニットによって、前記電力/データ通信システムの負荷の所望の電力レベルを規定するコマンドを供給するステップ」を有するのに対し、引用発明1-2は、そのような特定事項を有していない点。
〔相違点2〕
「総電力に関する量を決定するためのステップ」について、本願発明14は、「総電力変化決定ユニットによって、供給された前記コマンドによってもたらされるだろう総電力変化量を、前記供給されたコマンドに基づいて、決定するステップ」であるのに対し、引用発明1-2は、「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段によって、接続された全てのランプの電力消費を予測するステップ」であり、また、「決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するための手段によって、決定された総電力に関する量が所定のしきい値より大きい場合には、前記負荷を制御するステップ」について、本件発明14は、「制御ユニットによって、決定された前記総電力変化量が所定の電力変化しきい値より大きい場合には、前記所望の電力レベルに設定されているときの前記負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するステップ」であるのに対し、引用発明1-2は、「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段によって、予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプを、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するステップ」である点。

(2)特許法第29条第1項第3号(原査定の概要1)について
本願発明14と引用発明1-2とは、上記相違点1、2で相違するから、本願発明14は引用発明1-2であるとはいえない。

(3)特許法第29条第2項(原査定の概要2)について
相違点についての判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。
(ア)引用発明1-2の「接続された全てのランプの電力消費を予測する手段により、接続された全てのランプの電力消費を予測するステップ」は、要すれば、総電力量を決定するステップということはできるが、その変化量である総電力変化量を決定するステップとはいえない。
また、引用発明1-2の「予測した接続された全てのランプの電力消費を、最大限に許容された電力と比較し、最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプは、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するための手段によって、電力の所与の最大限に許容された合計を越えないように、最大出力が制限因子であるときはいつでも、ランプは、調光コマンドによってこれらの電力要求を低下させるように制御するステップ」も、要すれば、総電力量がしきい値より大きい場合には、負荷の総電力量が減らされるように、前記負荷を制御するステップということはできるが、総電力変化量がしきい値よりも大きい場合には、負荷の総電力消費量の傾きが減らされるように、前記負荷を制御するステップとはいえない。

(イ)また、上記第4の2に示したとおり、引用文献2には、オーバシュート、過電流・過電圧による電源回路K1の構成部品へのストレスを低減するために、光源23の点灯始動時に出力電圧Voを徐々に上昇させるソフトスタート制御を行うことが記載されており、引用文献3には、一斉同時点灯による瞬断を回避するために、乱数発生部6で発生させた乱数の出力値に基づく所定時間後に、前記電源部8に対して照明機器10への電源供給指示を出し、前記照明機器10を点灯させることが、記載されているが、引用文献2及び3のいずれにも、上記相違点2に係る本願発明14の構成は、記載も示唆もされていない。

(ウ)補足すると、上記引用文献2記載の「ソフトスタート制御」及び引用文献3記載の「乱数の出力値に基づく所定時間後に、・・・照明機器10を点灯させること」は、電力変化量の傾きを制御することということはできるが、総電力変化量がしきい値よりも大きい場合に、負荷の総電力消費量の傾きが減らされることを、開示するものではない。

(エ)よって、相違点2に係る本願発明14の構成は、引用発明1-2、引用文献2?3に記載された事項のいずれにも、記載も示唆もされていない。

(オ)したがって、その余の相違点1について検討するまでもなく、本願発明14は、当業者であっても、引用発明1-2及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明15について
本願発明15は、本願発明1の「制御システム」に係る発明特定事項及び本願発明14の「制御方法」に係る発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるから、本願発明1及び14と同様の理由により、本願発明1-1又は本願発明1-2であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明1-1、引用発明1-2及び引用文献2?3に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものともいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-12-08 
出願番号 特願2017-519601(P2017-519601)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H05B)
P 1 8・ 121- WY (H05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野木 新治  
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 島田 信一
佐々木 一浩
発明の名称 電力/データ通信を制御するための制御システム  
代理人 柴田 沙希子  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ