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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C09J
管理番号 1369033
異議申立番号 異議2020-700620  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-19 
確定日 2020-12-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第6650730号発明「超小型固定用テープおよびそれを含む物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6650730号の請求項1ないし11、13ないし15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯・証拠の一覧
1 本件特許に係る出願は、平成27年10月22日に特許出願され、令和2年1月23日に特許権の設定登録がされ、同年2月19日に特許掲載公報が発行され、同年8月19日に特許異議申立人 村戸 良至(以下「申立人」という。)によって、請求項1?11、13?15に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。
2 証拠等の一覧
申立人が提示した証拠は次のとおりである。(以下、甲第1号証を「甲1」などという。)
また、当審が職権で検討した引用文献も一覧に加えた。
甲1:特開平9-99010号公報
甲2:特表2011-514391号公報
甲3:特表2011-514178号公報
引用文献4:特開昭62-81477号公報

第2 本件発明
1 特許異議の申立ての対象となった請求項1?11、13?15に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明11」、「本件発明13」?「本件発明15」といい、まとめて、「本件発明」という。)
「【請求項1】
伸長部と非伸長部とからなる超小型固定用テープであって、
該非伸長部の少なくとも一部に固定手段が備えられており、
該超小型固定用テープは基材層Bを有し、
該基材層Bの厚みが50μm以上であり、
該基材層Bの温度23℃、湿度50%における長尺方向の上降伏点強度が5N/25mm?15N/25mmであって、
温度23℃、湿度50%において、前記基材層Bを長尺方向に伸び率400%に伸長した後に定常状態に戻し、続いて長尺方向に伸び率100%に伸長した後に定常状態に戻し、さらに長尺方向に伸び率100%に伸長したときの該基材層Bの永久歪量が30%以下である、
超小型固定用テープ。
【請求項2】
前記基材層Bの温度23℃、湿度50%における長尺方向の破断点伸びが600%以上である、請求項1に記載の超小型固定用テープ。
【請求項3】
前記伸長部の少なくとも一部に係合部が備えられている、請求項1または2に記載の超小型固定用テープ。
【請求項4】
前記係合部のせん断接着力が、温度23℃、湿度50%において、6N/1.95mm^(2)以上である、請求項3に記載の超小型固定用テープ。
【請求項5】
前記係合部が粘着剤層またはフック材である、請求項3または4に記載の超小型固定用テープ。
【請求項6】
前記固定手段が粘着剤である、請求項1から5までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項7】
前記粘着剤がホットメルト粘着剤である、請求項6に記載の超小型固定用テープ。
【請求項8】
長尺方向の長さが5mm?80mmである、請求項1から7までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項9】
幅方向の長さが5mm?40mmである、請求項1から8までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項10】
前記基材層Bが、エラストマー層の少なくとも一方の側にオレフィン系樹脂層を有する伸縮性積層体である、請求項1から9までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項11】
前記オレフィン系樹脂層が非エラストマー性オレフィン系樹脂を含む、請求項10に記載の超小型固定用テープ。
【請求項13】
前記エラストマー層がオレフィン系エラストマーを含む、請求項10から12までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項14】
少なくとも1箇所の折り畳み加工部を有する、請求項1から13までのいずれかに記載の超小型固定用テープ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれかに記載の超小型固定用テープを含む吸収性物品。」
2 本件特許明細書の記載
本件特許明細書には次の記載がある。
(1)「【0182】
<上降伏点強度、破断点伸び>
実施例および比較例のZ型テープを幅25mmに切断した後、展開し、長手方向にチャック間50mmにて引張試験機(島津製作所製:AG-20kNG)にセットし、引張速度300mm/minにて破断点まで伸長した。
上降伏点強度および破断点伸びは、S-Sデータの測定から確認した。0%から100%までに伸長する間において、上降伏点を有しない場合は100%歪み時の伸長応力が最も高く、上降伏点を有する場合は100%よりも少ない歪み時の伸長応力が最も高くなり、その点が上降伏点となる。また、最大伸び量は破断時伸び(%)で得られる。」
(2)「【0183】
<永久歪量>
実施例および比較例のZ型テープを幅25mmに切断した後、展開し、長手方向にチャック間50mmにて引張試験機(島津製作所製:AG-20kNG)にセットし、引張速度300mm/minにて400%まで伸長した後、引張速度1000mm/minにて0%まで伸長を戻した(1回目)。このフィルムを一度チャックから外し、延伸されたフィルムをもう一度50mmチャック間にて300mm/minにて100%延伸した(2回目)。再度0%まで戻し、今度はチャックを外さずにもう一度100%まで延伸した(3回目)。この3回目の延伸時に確認される永久歪量(応力を発生しない歪量%)を永久歪量とした。」

第3 特許異議の申立てなどについて
1 申立理由の概要
申立人は、本件発明は、甲1に記載された発明並びに甲2及び甲3に記載された周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であって、本件発明に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである、と主張している。
2 当審の判断
(1)甲1の記載事項
甲1には次の記載がある。
ア 「【請求項1】 基部と、該基部に連設された伸長可能な伸長部とを具備してなる伸長テープ。
【請求項2】 上記基部は、2000gf/25mm以下の荷重では塑性変形しない材料により形成されており、上記伸長部は、2000gf/25mm以下の荷重により塑性変形する材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の伸長テープ。
【請求項3】 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、該トップシート及び該バックシートの間に介在された吸収体とを具備する吸収性物品において、
上記トップシート又は上記バックシートの表面に、吸収性物品の廃棄時止着用の細帯状の止着テープを有し、該止着テープは、その長手方向における少なくとも一部が伸長可能になされていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】 上記止着テープは、その長さ方向に折り畳まれて、上記トップシート又は上記バックシートの表面に固着される基部及び吸収性物品の廃棄時に吸収性物品を固定する固定部が形成されており、該固定部の少なくとも一部が、該止着テープの長手方向に伸長可能になされていることを特徴とする請求項3記載の吸収性物品。
【請求項5】 上記止着テープは、上記トップシート又は上記バックシートの表面に固着される基部と、該基部の左右に延設された伸長部とを具備していることを特徴とする請求項3記載の吸収性物品。
【請求項6】 上記吸収性物品が、使い捨ておむつであることを特徴とする請求項3記載の吸収性物品。
【請求項7】 上記吸収性物品が、生理用ナプキンであることを特徴とする請求項3記載の吸収性物品。」
イ 「【0013】本発明の吸収性物品の第1の形態としてのパンツ型の使い捨ておむつについて、図1?図4を参照して説明する。ここで、図1は、本発明の吸収性物品の第1の形態としてのパンツ型の使い捨ておむつにおける背面を示す斜視図であり、・・・図3は、図1に示す使い捨ておむつに止着テープとして用いられている本発明の伸長テープを示す拡大図であり、図3(a)は、該伸長テープの拡大側面図であり、図3(b)は、該伸長テープを引き延ばした状態を示す拡大斜視図である。また、図4は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつを廃棄する状態を示す概略側面図である。
・・・
【0025】而して、本発明のパンツ型の使い捨ておむつ1は、図1及び図3に示すように、上記バックシート3の表面に、該おむつの廃棄時止着用の細帯状の止着テープ50を有し、該止着テープ50は、その長手方向における少なくとも一部が伸長可能になされている。更に詳述すると、図1に示すように、上記止着テープ50は、おむつの背側部7の略中央部において、該止着テープ50の長手方向がおむつの長手方向に沿うように設けられている。」
ウ 「【0026】そして、該止着テープ50は、図3(a)及び(b)に示す本発明の伸長テープ50’をおむつの背側部7の略中央部に固着して設けられている。以下、本形態のおむつに止着テープ50として用いられている、本発明の伸長テープ50’について図3(a)及び(b)を参照して説明する。図3に示す上記伸長テープ50’は、基部51と、該基部51に連設された伸長可能な伸長部56とを具備してなる。更に詳述すると、上記伸長テープ50’は、図3(a)に示すように、テープ基材上に粘着剤を塗布して形成されてなるものであり、その長さ方向に該止着テープ50を略3等分する2つの折曲部57において、3つ折りに折り畳まれて、基部51及びおむつの廃棄時に該おむつを固定する固定部52が形成されており、該固定部52の一部が該止着テープ50としての伸長テープ50’の長手方向に伸長可能になされている。即ち、該固定部52は、該基部51に連接され且つ剥離自在に粘着されている、該伸長テープ50’の長手方向に伸長可能な伸長部56及びおむつの廃棄処理時におむつのバックシート3(又はトップシート2)に接着される接着部分54により形成されている。また、上記伸長部56は、弱い粘着面55を有することにより、上記基部51と剥離自在に粘着されており、上記接着部分54は、強い粘着面53を有することにより、おむつのバックシート3(又はトップシート2)に接着されるようになされている。
【0027】上記伸長テープ50’は、このように構成されているので、上記接着部分54の端部を持って引張ることにより、上記伸長部56が該伸長テープ50’の長手方向に塑性変形して伸長する。
【0028】上記伸長テープ50’において、上記基部51は、好ましくは2000gf/25mm以下、更に好ましくは3000gf/25mm以下の荷重では塑性変形しない材料により形成されており、上記伸長部56は、好ましくは2000gf/25mm以下、更に好ましくは1000gf/25mm以下の荷重により塑性変形する材料により形成されている。上記基部51は、人の手によって軽く伸長できない部分であるため、2000gf/25mm以下の荷重では伸長しない方が好ましく、上記伸長部56は、人の手によって軽く伸長できる部分であるため、2000gf/25mm以下の荷重で伸長するのが好ましい。」
エ 「【0029】上記の条件を満たす上記基部51及び上記伸長部56の形成材料としては、ポリオレフィン系樹脂を溶融押し出しして成形されてなる樹脂フィルムが好ましく用いられる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー;ポリプロピレンとポリエチレン等との、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ランダムブロックコポリマー等のポリプロピレンコポリマー;該ポリプロピレンホモポリマーと該ポリプロピレンコポリマーとのブレンド物;高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;該ポリエチレンと該ポリプロピレンホモポリマー及び/又は該ポリプロピレンコポリマーとのブレンド物等が挙げられる他、これらにオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、スチレン系等の種々の熱可塑性エラストマーをブレンドして用いてもよい。また、上記基部51は、ポリエチレンテレフタレートなどの通常のフィルム、シートに用いられている材料を形成材料として用いて、形成することもできる。
【0030】そして、本形態においては、上記接着部分54も上記基部51と同様にして形成されている。」
オ 「【0031】また、上記伸長テープ50’としては、特開昭62ー15304号公報及び特開昭62-285969号公報に記載されている止着テープ基材、即ち、伸長可能になされていない部分(基部)には、ポリプロピレン/ポリエチレン混合物を用い、また、伸長可能になされている部分(伸長部)には、塑性変形可能な材料を用い、両者を溶融押出しして形成された境界域部を介して一体的に結合してなる止着テープ基材を用いて形成されたものを用いることもできる。また、特開昭62ー81477号公報に記載されている、通常のゴム材料などの弾性体からなる中央部と、非弾性体からなる2つの端部とを連結して構成してなり、上記非弾性体を、弾性体前駆組成物を織布及び/又は不織布に含浸させて上記弾性体と一体的に硬化させて形成した止着テープにより形成されたものを用いることができる他、塑性変形可能な材料からなる細帯状のテープ片の両縁端に塑性変形不可能な材料からなる細帯状のテープ片をそれぞれ繋ぎ合わせて一体化したものや、塑性変形可能な材料からなる細帯状のテープ片の両端部分の裏面に塑性変形不可能な材料を貼り合わせて一体化したもの等を用いることもできる。」
カ 「【0033】また、上記伸長テープ50’における上記強い粘着面53を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤が、好ましくは、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、アクリル酸エステル、アクリル共重合体、酢酸ビニルエチレン-酢酸ビニル共重合体等のホットメルト樹脂あるいはエマルジョン等が挙げられる。
【0034】また、上記止着テープにおける上記弱い粘着面55を形成する粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤、強い接着面を形成する接着剤として、ゴム系の粘着剤で石油系樹脂を多く配合したものや、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤に付加型シリコーンを配合してなる粘着剤等が挙げられる。」
キ 「【0035】本形態の使い捨ておむつにおいて上記止着テープ50として用いられる伸長テープ50’は、例えば、下記の如くして製造することができる。即ち、上記テープ基材として、塑性変形可能な材料と塑性変形不可能な材料とを用い、塑性変形可能な材料の両端にそれぞれ塑性変形不可能な材料を繋ぎ合わせ、それぞれの境界域部を介して一体的に結合することにより、上記伸長テープ50’を得ることができる。この際、上記伸長部として弾性体を用いてもよい。また、テープ基材の連続シートを、塑性変形する材料で形成しておいて、その両端部を第1の端片及び第2の端片で覆い、ウレタン系ヒートシール剤を用いてヒートシールしたり、ホットメルト型粘接着剤で固定することにより、伸長時には、中央部のみが塑性変形する上記伸長テープ50’を得ることもできる。
【0036】そして、本形態のパンツ型の使い捨ておむつ1は、該使い捨ておむつを丸めた後、上記止着テープ50の上記伸長部56を図3(b)に示すように伸長させ、図4に示すように、丸めたおむつの表面に上記接着部分54を接着させることにより、おむつの丸めた状態を維持して廃棄することができる。また、接着しなくてもひも状にぐるぐるまきにしてしばり上げることも可能である。
【0037】本形態のパンツ型の使い捨ておむつ1は、長手方向に伸長可能になされた上記止着テープ50が配されているので、排便時及び大量の排尿を吸収した時の後処理においても、排泄物等で膨れ上がったおむつを容易且つ確実に丸めた状態で止着することができ、おむつを衛生的に廃棄処理することができる。また、本形態の使い捨ておむつのように胴回り部全体にギャザーが形成されていても、止着テープ50を伸長させてギャザーの形成されていない部分で止着することができるため、ギャザーの有無に係わりなく、止着テープの接着性を低下させずに、おむつの廃棄時における止着をすることができる。」
ク 「【0042】而して、本形態のパンツ型の使い捨ておむつ101は、上記バックシート103の表面に、おむつの廃棄時止着用の細帯状の止着テープ140を有し、該止着テープ140は、その長手方向における少なくとも一部が伸長可能になされている。更に詳述すると、上記止着テープ140は、上記背側部110の略中央部において、おむつの幅方向に沿って配された細帯状のテープであり、おむつに固定される基部141と、該基部141の左右に連設された伸張部142とを具備している(図10及び11参照)。
【0043】そして、該止着テープ140は、図10及び11に示す本発明の伸長テープ140’をおむつの背側部107の略中央部に固着して設けられている。以下、本形態のおむつに止着テープ140として用いられている、本発明の伸長テープ140’について図10及び11を参照して説明する。図3に示す上記伸長テープ140’は、基部141と、該基部141に連設された伸長可能な伸長部142とを具備してなる。更に詳細には、上記伸長テープ140’において、上記伸張部142は、上記基部141の長手方向における左右両側において、該基部141に連設されており、該伸張部142の先端に摘み部143が設けられている。
【0044】また、上記基部141の裏面には、接着剤が塗布されており(図示せず)、上記バックシート103の表面に固着されるようになされている。また、上記伸張部142の裏面には、粘着剤が塗布されており、上記バックシート103の表面に剥離自在に粘着されている。
【0045】また、上記伸長テープ140’の形成材料は、上述した第1の形態における伸長テープの形成材料と同じであり、上記基部141及び上記伸長部142は、それぞれ、上述した第1の形態における基部51及び伸長部56の形成材料により形成される。
【0046】上記伸張部142の伸長性は、伸長前の長さの2?10倍、更には、4?6倍の長さに伸長し得るようになされているのが好ましい。また、上記伸張部142の長さは、1?5cmとするのが好ましい。
・・・
【0049】そして、本形態の使い捨ておむつの廃棄時においては、図12に示すように、おむつを丸めた後、上記摘み部143を持って止着テープ140の長手方向に向けて引っ張り、伸びた止着テープ140でおむつの左右両側を丸め込んだ後、該止着テープを結ぶ等して、廃棄することができる。」
ケ 図面
(ア)「【図1】


(イ)「【図3】


(ウ)「【図4】


(エ) 「【図10】


(オ)「【図11】


(カ)「【図12】


(2)甲2、3の記載事項
ア 甲2には次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
(i)少なくとも一つのオレフィンベースエラストマーポリマーと、
(ii)坪量が約25gsm以下のエラストマーフィルムを製造するのに有効な量の少なくとも一つのドローダウンポリマーとを含む層を含み、
前記エラストマーフィルムが約25gsm以下の坪量を有し、前記エラストマーフィルムがその元々のサイズの100%の延伸からの回復の後約15%以下の永久歪を有するエラストマーフィルム。」
イ 「【0024】
*「永久歪み」とは加えられた荷重を取り除いた後の材料の永久変形である。弾性フィルムの場合、永久歪みはフィルムが所定の長さに引き伸ばされその後緩和を許容された後のフィルム試験片の長さの増加である。永久歪みは典型的には元々のサイズに対する増加の百分率として表される。例えば、もしも弾性フィルムの10cm片が20cmに伸長され、その後緩和を許容される場合、結果として得られる緩和されたフィルムは長さ11.5cmであり、フィルムの永久歪みは15%である。
【0025】
永久歪みを測定するために使用された試験法は、詳細は以下のとおりであるASTM D882-97に基づく。サンプルは切り取られ、1インチ×6インチの試験片が作られる。6インチという長さは、フィルムまたは積層体が試験される方向のものである(例えば、以下の例におけるCD方向)。MTS引張試験機(Qtest)がサンプルの変形を測定するために使用される。試験機グリップ面は、25mm幅のゴムグリップ面である(MTS part No.56163829)。サンプルは上方グリップ面の中心から下方グリップ面の中心までが2インチにセットされたグリップ距離で荷重を与えられる。歪みの終点は100%に設定される。第1のアップロードサイクルは20インチ/分の速度で歪み終点まで運転し、その後直ちに20インチ/分の速度で0%歪みに戻し、その後30秒間0%歪みで保持する。第2のアップロードサイクルは20インチ/分の速度で歪み終点まで運転し、その後直ちに20インチ/分の速度で0%歪みに戻す。永久歪みは第2のアップロードのサイクルの間荷重が8グラム重に達するときの点において計算される。」
(ウ)「【0098】
実施例6
本発明のエラストマー積層体が調製され試験された。積層体は不織布の一つの層およびABAエラストマーフィルムから構成され、ABA層はフィルム組成物全体の約12%/76%/12%であった。A(スキン)層は、INFUSE^(TM)9107ポリオレフィンエラストマー69%、ELITE^(TM)5800リニア低密度ポリエチレン30%、および加工補助剤(ドイツ、ハンブルグ、Lehmann&Voss&Co.のLUVOFILM9679)1%から構成された。B(コア)層は、VISTAMAXX^(TM)6102 100%から構成された。エラストマーフィルムはキャスト押出ライン上に押し出された。フィルムは坪量25gsmであった。フィルムはFiberweb(ワシントン州、Washougal)で製造された、18gsm(70/30 コア/シース)二成分スパンボンドの一層に押出ラミネートされた。積層体は、0.140インチまたは0.160インチの係合深さでのCD活性化増分延伸によって活性化された。どの積層体にもピンホールは観察されなかった。」
イ 甲3には次の記載がある。
(ア)「【0021】
更に、エラストマーフィルムが、少なくとも1つのオレフィン系エラストマーポリマー及び少なくとも1つのドローダウン(draw down)ポリマーを含んでもよく、エラストマーフィルムが、100%の最大工学的歪を用いて、2サイクルヒステリシス試験方法によって測定される、約15%以下の永久歪を有する。更に具体的には、エラストマーフィルムの第1及び第2の外層が、少なくとも1つのオレフィン系エラストマーポリマー及び少なくとも1つの第1のドローダウン(draw down)ポリマーを含んでもよく、エラストマーフィルムのコア層が、少なくとも1つのエラストマーポリマー及び少なくとも1つの第2のドローダウン(draw down)ポリマーを含んでもよく、エラストマーフィルムが、100%の最大工学的歪を用いて、2サイクルヒステリシス試験方法によって測定される、約15%以下の永久歪を有する。」
(イ)「【0054】
「永久歪」は、加荷重を除去した後、材料の永久的は変形である。エラストマーフィルムの場合において、永久歪は、2サイクルヒステリシス試験に記載されるように、フィルムが、所定の長さまで延伸し、緩和された後、フィルムのサンプルの長さの増加である。永久歪は、典型的には、元のサイズと比較して割合の増加として表される。」
(ウ)「【0123】
本発明の実施例 押出接着された積層体の例は、表1、2、3(1つの不織布を有する二重積層体)及び表4(2つの不織布を有する三重積層体)に記載され、それぞれの例のフィルム構造(単層又は多層)、フィルム構成要素、フィルム坪量及び不織布の詳細を提供する。表4の例は、図1と関連して読み取ることができ、第1の不織布(NW1)、タイ層(A1)、コア層(B)、及び表面薄層若しくは第2のタイ層(A2)を含むフィルム、並びに第2の不織布(NW2)を例示する。全ての例(実施例5及び12を除く)のフィルムコアの組成物は、92% VISTAMAXX 6102(ExxonMobil,Houston Texasより入手可能)、1% Ampacet 10562(加工助剤)及び7% Ampacet 110361(70% TiO_(2)を有する白色マスターバッチ)の重量%ブレンドである。Ampacet材料は、Ampacet Corporation,Cincinnati,Ohioより入手可能である。実施例5及び12のフィルムコアの組成物は、92% Infuse 9107(Midland,MichiganのThe Dow Chemical Companyより入手可能)、1% Ampacet 10562及び7% Ampacet 110361の重量%ブレンドである。実施例5、12、6、13、19及び21は、タイ層(A_(1))及び表面薄層(A_(2))のない単層フィルムを備える押出接着された積層体である。実施例7及び14は、コアフィルム及び表面薄層(BA_(2))を備え、タイ層(A_(1)なし)を有さない押出接着された積層体であり、表面薄層(A_(2))は、82% Elite 5800(ドローダウン(draw down)ポリマー)(Midland,MichiganのThe Dow Chemical Companyより入手可能)、9% Fina 3868(Houston,TexasのTotal Petrochemicalsより入手可能)、1% Luvofilm 9679(Lehmann & Voss & Company,Hamburg,Germanyより入手可能)及び8% PE 20 S(Polytechs SAS,Cany Barville,Franceより入手可能な粘着防止剤)の重量%ブレンドである。実施例25及び26は、コアフィルム及び表面薄層(BA_(2))を備え、タイ層(A_(1)なし)を有さない押出接着された積層体であり、表面薄層(A_(2))は、50% Elite 5800(ドローダウン(draw down)ポリマー)、32% Equistar M6060(Equistar Chemicals,LP,Cincinnati,Ohio、LyondellBasell Industriesの子会社より入手可能)9% Fina 3868、1% Luvofilm 9679及び8% Polytech PE 20 Sの重量%ブレンドである。
【0124】
表1、2及び3の実施例1、2、3、4、8、9、10、11、20、及び22は、図7と関連して読み取ることができ、第1の不織布(NW1)、タイ層(A1)、コア層(B)、及びタイ層(A2)を含むフィルムを例示し、A1及びA2は、第1の押出成形機から押出され、Bは、A1、A2、及びB層がともに接合されるように、第2の押出成形機から同時に共押出される。そして、NW1は、同時に解巻され、A1層に接合される。これらの実施例において、A2は、表面薄層として機能する。これらは、タイ層(A1)及び表面薄層(A2)を含む多層フィルム(A1BA2)を備えるEBLの例であり、A1の組成物は、組成的にA2と同質である。実施例1、2、3、4、8、9、10、11、15、16、17及び18において使用されるタイ層は、Infuse 9107、Ampacet 10562及びElite 5800(ドローダウン(draw down)ポリマー)の重量%ブレンドであり、2成分(PP/PE、コア/シース)不織布へのフィルムの接着を改善するために選択され、層間剥離の発生を低減する。それぞれの表面薄層式に対する実重量%量を、表1?4に示す。実施例20、22、23及び24において使用されるタイ層は、59% VISTAMAXX6102、1% Ampacet 10562及び40% Adflex V109F(Basell USA Inc.,Elkton,MD又は Laporte,Texasより入手可能)の重量%ブレンドであり、単繊維であるPP系Sofspan200不織布へのフィルムの接着強度を低下させるために選択され、押出積層体の活性化の生存性を改善する(例えば、活性化中、不必要なピンホールの形成を最小限にする又は排除する)。」
(エ)「【0125】
・・・
【表2】

1.NW1=18gsm(70/30コア/シース、PP/PE)2成分要素スパンボンド、Fiberweb(Washougal,Washington)で製造。
NW1=4=18gsm PP/PE コア/シース 2成分要素スパンボンド、Fiberweb(Peine,Germany)より#07-HH18-01
2.重量%において、VMブレンド=Vistamaxx 6102(92%)、Ampacet 10562(1%)、Ampacet 110361(7%)
重量%において、Infuseブレンド=Infuse 9107(92%)、Ampacet 10562(1%)、Ampacet 110361(7%)
3.制御された圧縮(CC)におけるニップ間隙は、2つの組み合わせたロール間の間隙であり、開口部において押圧した材料のおよその厚さ約0.012cm(約0.005”)である。」
(オ)「【0132】
実施例15、17及び23(0.254cm(0.100”)ピッチで0.40cm(0.160”)DOEまでHSRP上で活性されたオンライン(on-line))並びに16、18及び24(0.254cm(0.100”)ピッチで0.43cm(0.170”)DOEまでHSRP上で活性されたオンライン(on-line))の押出積層体の引張特性を表8に示す。三重積層体の実施例15、16、17、18、23及び24は、最終引張強度の>3.2N/cm及び破断での歪の>250%工学的歪を有する。また、実施例15、16、17、18、23及び24の2サイクルヒステリシスの結果を表8に示す。2サイクルヒステリシス試験によって測定される、押出積層体の回復可能な特性は、低工学的歪及び低歪率での負荷除去力によって示される。例えば、第1のサイクルの回復サイクルにおいて測定された力(C1負荷除去力)は、50%工学的歪>0.15N/cm及び30%工学的歪で>0.06N/cmである。130%工学的歪まで延伸した後、低歪率(<10%)は、押出積層体が所望の弾性特性であることを示す。更に、130%工学的歪で測定された、これらの押出積層体(実施例15、16、17、18、23及び24)の応力緩和は、<40%の応力緩和である。
【表9】


(カ)「【図5A】


(3)特開昭62-81477号公報の記載事項
前記(1)オに摘記した甲1の段落【0031】に記載された特開昭62-81477号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
ア 1頁左下欄3?11行
「2.特許請求の範囲
(1)弾性体からなる中央部と非弾性体からなる2つの端部とを連結して構成したテープ基材の少なくとも上記2つの非弾性体の同じ側の一面にそれぞれ止着剤層を設けてなり、上記非弾性体を、弾性体前駆組成物を織布及び/又は不織布に含浸させて上記弾性体と一体的に硬化させて形成したことを特徴とする伸縮性を有する止着テープ。」
イ 3頁左下欄6行?右下欄8行
「第1図は、本発明の伸縮性を有する止着テープの一実施例を形成するためのシート基材を略巻き取った状態で示す斜視図、第2図は、第1図のシート基材をその長手方向に所定間隔をあけてその巾方向に切断して得られるテープ基材を主体とする本発明の一実施例の概略を特にその厚さ方向を著しく拡大して示す拡大断面図で、これらの図面において、1は弾性体からなる中央部、2,2は非弾性体からなる端部で、該中央部(弾性体)1と該両端部(非弾性体)2,2とは、非弾性体2,2を、弾性体前駆物を織布及び/又は不織布3,3に含浸させて弾性体1と一体的に硬化させて形成することにより、連結されてテープ基材10を構成している。また、4,4は、該テープ基材10における非弾性体2,2の同じ側の面に設けた止着剤層である。 上記弾性体1は、応力を加えれば変形するが、除くと形状回復する通常ゴム弾性と呼ばれる性質を有するものであり、主として、初めは極めて流動性の良い弾性体前駆物を反応硬化させることによって弾性体となる樹脂Aや、熱可塑性樹脂を溶融させた弾性体前駆物を硬化させたもの樹脂Bを素材として形成される。」
ウ 4頁左下欄2行?5頁左上欄
「製造例1 離型性処理を施した70mm以上に不織布及び弾性体がはみ出さないように側壁を設けたスチールベルトダブルコンベアを80℃に保ち、この下ベルトに巾30mmのポリエステル不織布(目付50g/mm^(2)、厚さ0.30mmの長繊維不織布)を中央部に10mmの間隔をあけて2条に供給し、その上方のウレタン発泡機から発泡性ウレタン混合液を不織布面及び不織布のない面にポリウレタン樹脂が平均して150g/mm^(2)となるように供給し、上ベルトにより全体の厚さが0.30mmとなるように加圧しながら80℃に5分間保持し、しかる後、コンベアから取り出して巻き取り、室内に24時間放置した。 得られたシート基材は、第1図及び第2図に示す如く、両端部2,2それぞれに、その表面から裏面に亘って均一に不織布3とポリウレタン樹脂が混在しており、且つ中央部1と両端部2,2との間に厚さの差が全くないものであった。 次いで、上記シート基材の両端部2,2の片側にゴム系粘着剤を塗布して止着剤層4,4を設ける一方、両端部の反対側の面にシリコーンによる背面処理層5,5を設けた後、シート基材をその長手方向に25mm間隔をあけて中方向に切断し、第2図に示す如き長さ70mm、巾25mm、厚さ0.3mmの止着テープを得た。 この止着テープは、第2図に示す如く、両端部2,2の内部、即ちポリウレタン樹脂の中に不織布3を均一に混在させたものであり、室温(20℃)で保存しても、10℃及び40℃で保存しても、10℃及び40℃の保存を繰り返し行っても、全くカールすることはなかった。 又、上記止着テープの両端からそれぞれ10mm迄の部分をチャックで挟み、1500gfで引張ったところ、中央部1は10mmから30mmに伸びたが、両端部2,2のチャックで挟んだ以外の20mm巾の部分は全く伸びず、20mmのままであった。そして、3分後に引張力を0にした時の中央部1の長さは、その直後で13mm、更に5分経過後で11mmであった。 又、上記止着テープを使い捨て紙おむつのテープファスナーとして使用すべく使い捨て紙おむつの組立工程に供したところ、変形がないため、搬送し易く、柔軟なおむつ表面材に容易に接着することができ、非伸縮性テープの場合と同様に使い捨て紙おむつを製造することができた。」
エ 7頁第1図



オ 7頁第2図



(4)引用発明Aの認定及び判断
ア 前記(1)アに摘記した甲1の請求項1及び2から次の発明(以下「引用発明A」という。)が認定できる。
「2000gf/25mm以下の荷重では塑性変形しない材料により形成された基部と、該基部に連設された、2000gf/25mm以下の荷重により塑性変形する材料により形成された伸長可能な伸長部を具備してなる伸長テープ。」
イ 対比
(ア)引用発明Aの伸長テープは、前記(1)イに摘記した甲1の段落【0013】、同ケ(4)の【図4】に記載されているように使い捨ておむつの廃棄時に固定するために用いられるものであり、その大きさから本件発明1における「超小型固定用テープ」に相当する。
(イ)引用発明Aにおける「基部」、「伸長部」は、本件発明1における「非伸長部」、「伸長部」にそれぞれ相当する。
(ウ)引用発明Aにおける伸長部は、基材ということができる。
ウ 一致点
そうすると、引用発明Aと本件発明1とは、「伸長部と非伸長部とからなる超小型固定用テープ」であり、「該超小型固定用テープは基材層Bを有」する点で一致する。
エ 本件発明1と引用発明Aとの相違点は次のとおりである。
(ア)相違点A1
本件発明1においては、「非伸長部の少なくとも一部に固定手段が備えられて」いるのに対して、引用発明Aにおいては明らかでない点。
(イ)相違点A2
本件発明1においては、「基材層Bの厚みが50μm以上であ」るのに対して、引用発明Aにおいては、特定されていない点。
(ウ)相違点A3
本件発明1においては、「該基材層Bの温度23℃、湿度50%における長尺方向の上降伏点強度が5N/25mm?15N/25mmであ」るのに対して、引用発明Aにおける伸長部は、「2000gf/25mm以下の荷重により塑性変形する」点。
(エ)相違点A4
本件発明1においては、「温度23℃、湿度50%において、前記基材層Bを長尺方向に伸び率400%に伸長した後に定常状態に戻し、続いて長尺方向に伸び率100%に伸長した後に定常状態に戻し、さらに長尺方向に伸び率100%に伸長したときの該基材層Bの永久歪量が30%以下であ」るのに対して、引用発明Aにおける伸長部は、「2000gf/25mm以下の荷重により塑性変形する」点。
オ 相違点についての判断
各相違点について検討する。
(ア)相違点A1について
前記(1)ウに摘記した甲1の段落【0026】には、伸長テープの「接着部54」がバックシート3に接着することが記載され、同ケ(イ)に摘記した【図3】(b)によれば、接着部は基部に設けられていることがわかるから、相違点A1は、当業者が容易に想到しうるものといえる。
(イ)相違点A2?A4について
相違点A2?A4について、まとめて検討する。
甲1には、その伸長部について、その厚みも上降伏点強度も永久歪量も明らかでない。また、引用発明Aにおける変形は「塑性変形」であるから、弾性により回復することを前提としているともいえない。
そうすると、前記(2)において摘記した甲2及び甲3には、熱可塑性エラストマーが開示されているものの、弾性により変形から回復することを前提としない甲1における基材を甲2や甲3の材料に置き換えることには阻害要因があり、当業者が容易になし得ることではない。
カ 小括
以上のとおり、本件発明1は引用発明A並びに甲2及び甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。また、本件発明2?11、13?15は本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)引用発明Bの認定及び判断
ア 引用文献4から、前記(3)アに摘記した請求項1から次の発明(以下「引用発明B」)が認定できる。
「弾性体からなる中央部と非弾性体からなる2つの端部とを連結して構成したテープ基材の少なくとも上記2つの非弾性体の同じ側の一面にそれぞれ止着剤層を設けてなり、上記非弾性体を、弾性体前駆組成物を織布及び/又は不織布に含浸させて上記弾性体と一体的に硬化させて形成したことを特徴とする伸縮性を有する止着テープ」
イ 対比
(ア)引用発明Bにおける「非弾性体からなる2つの端部」、「弾性体からなる中央部」、「止着テープ」、「弾性体」は、本件発明1の「非伸長部」、「伸長部」、「超小型固定用テープ」、「基材層」にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明Bにおける「非伸長部」に設けられる「止着剤層」は、本件発明1において「該非伸長部の少なくとも一部に固定手段が備えられており、」との構成に相当する。
ウ 一致点
そうすると、本件発明1と引用発明Bは次の点で一致する。
「伸長部と非伸長部とからなる超小型固定用テープであって、
該非伸長部の少なくとも一部に固定手段が備えられており、
該超小型固定用テープは基材層Bを有」する点。
エ 相違点
(ア)相違点B1
本件発明1においては、「基材層Bの厚みが50μm以上であ」るのに対して、引用発明Bにおいては、特定されていない点。
(イ)相違点B2
本件発明1においては、「該基材層Bの温度23℃、湿度50%における長尺方向の上降伏点強度が5N/25mm?15N/25mmであ」るのに対して、引用発明Bにおいては、特定されていない点。
(ウ)相違点B3
本件発明1においては、「温度23℃、湿度50%において、前記基材層Bを長尺方向に伸び率400%に伸長した後に定常状態に戻し、続いて長尺方向に伸び率100%に伸長した後に定常状態に戻し、さらに長尺方向に伸び率100%に伸長したときの該基材層Bの永久歪量が30%以下であ」るのに対して、引用発明Bにおいては特定されていない点。
オ 相違点についての判断
(ア)相違点B1について
前記(3)ウに摘記した引用文献4の製造例1において、「厚さ0.3mm」と記載されているから、相違点B1は実質的な相違点ではない。
(イ)相違点B2について
前記(3)ウに摘記した引用文献4の製造例1においては、「1500fの力で引張ったところ、中央部1は10mmから30mmに伸びた」との記載はあるが、前記第2、2(2)において摘記した本件特許明細書の段落【0182】に記載された条件とは異なっている、「上降伏点強度が5N/25mm?15N/25mm」であるということはできない。また、前記(2)イ(カ)に摘記した甲3の【図5A】に記載された上降伏点強度が7Nの材料を基材として用いる動機があるといえない。相違点B2は、当業者にとって容易に想到できない。
(ウ)相違点B3について
a 前記(3)ウに摘記した引用文献4の製造例1においては、「中央部1は10mmから30mmに伸びた・・・3分後に引張力を0にした時の中央部1の長さは、その直後で13mm、更に5分経過後で11mm」と記載されているから、300%延伸の5分経過後の永久歪量は、10%であるといえる。
b しかしながら、本件発明1においては、前記第2、2(2)に摘記した本件特許明細書の段落【0183】に定義されているように、「・・・幅25mm・・・チャック間50mmにて引張試験機・・・にセットし、引張速度300mm/minにて400%まで伸長した後、引張速度1000mm/minにて0%まで伸長を戻した(1回目)。このフィルムを一度チャックから外し、延伸されたフィルムをもう一度50mmチャック間にて300mm/minにて100%延伸した(2回目)。再度0%まで戻し、今度はチャックを外さずにもう一度100%まで延伸した(3回目)。この3回目の延伸時に確認される永久歪量」を規定するものである。
c そして、引用発明Bに対して、400%→100%→100%の3度の延伸を行った時にどの程度の永久歪量となるかは不明としか言えない。
d また、400%→100%→100%の3度の延伸を行った時の永久歪量がどの程度かを推測できる証拠も見当たらない。
e 以上から、相違点B3に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到しうるということはできない。
カ 小括
以上のとおり、本件発明1は引用発明B並びに甲2及び甲3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。また、本件発明2?11、13?15は本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立人の主張について
申立人は、「この結果は2回目と3回目の100%延伸時に発生した永久歪量の数値にすぎない。この点、甲1や後述する周知例でも示唆されているような、本願の出願前から市場で入手可能だった熱可塑性エラストマーについて同様の測定方法を行った結果が30%以下であるということは、特徴的な数値とはいえない(異議申立人は、特許庁に対して実験結果を提示する用意もあるのでご連絡を賜りたい)。」と主張する。
申立人の主張は、400%延伸後にテープをチャックから外しているので、その後の延伸による影響は、前記(2)ア(イ)に摘記した甲2の段落【0025】に記載された試験法や前記(2)イ(オ)に摘記した甲3の【表9】に記載の2サイクルヒステリシスの試験法と同様だと主張していると解される。
しかしながら、400%の延伸後にテープをチャックから外すとしても、400%もの延伸を行ったことがその後の100%延伸の結果に影響することは明らかであるから、前段の主張は採用できないし、また、後段に関しては、実験は異議申立て前に行い、その結果も異議申立て時に提示すべきものである。

第4 むすび
以上のとおり、申立人の主張する理由及び証拠によっては、本件特許1?11、13?15を取り消すことはできない。
また、他に取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2020-12-08 
出願番号 特願2015-207993(P2015-207993)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 悦司  
特許庁審判長 天野 斉
特許庁審判官 木村 敏康
門前 浩一
登録日 2020-01-23 
登録番号 特許第6650730号(P6650730)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 超小型固定用テープおよびそれを含む物品  
代理人 籾井 孝文  
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