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審決分類 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B65G
審判 全部無効 発明同一  B65G
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  B65G
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65G
審判 全部無効 2項進歩性  B65G
管理番号 1369191
審判番号 無効2019-800065  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-09-11 
確定日 2020-10-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4100639号発明「搬送装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4100639号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第4100639号(以下「本件特許」という。)の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成19年7月2日に出願され、平成20年3月28日にその特許権の設定登録がされた。その後、請求人により、本件特許について無効審判の請求がされた。
本件無効審判の経緯は、次のとおりである。
令和1年 9月11日 :請求人より無効審判の請求
令和1年11月19日 :請求人より上申書の提出
令和1年12月 6日 :被請求人より答弁書及び訂正請求書の提出
令和1年12月26日付け:訂正拒絶理由通知書
令和2年 2月 4日 :被請求人より意見書及び手続補正書の提出
令和2年 2月26日 :請求人より弁駁書の提出
令和2年 3月31日付け:審理事項通知書
令和2年 5月 8日 :請求人より口頭審理陳述要領書の提出
令和2年 5月11日 :被請求人より口頭審理陳述要領書の提出
令和2年 5月13日付け:口頭審理中止通知書
令和2年 5月20日付け:通知書
令和2年 5月26日 :第1回口頭審尋
令和2年 5月29日付け:被請求人に対する審尋
令和2年 6月15日 :被請求人より回答書の提出
令和2年 6月26日 :請求人より意見書の提出

第2 訂正の請求
1 訂正請求に係る補正の適否
令和1年12月6日に被請求人が提出した訂正請求書は、令和2年2月4日の手続補正書により、訂正事項3に係る訂正事項中、支持レールを備えないことを付加する訂正部分を削除する補正がされた。
上記補正は、請求の趣旨について減縮的変更をするものであり、訂正請求書の要旨を変更するものではないので、これを認める。

2 訂正の内容
令和1年12月6日の訂正請求書に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)?(6)のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「飲食物を搬送する搬送装置」と記載されているのを、「飲食物を搬送する注文搬送装置」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし5も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「特徴とする搬送装置。」と記載されているのを、「特徴とする注文搬送装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし5も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「特徴とする搬送装置。」と記載されているのを、「特徴とする注文搬送装置。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3ないし5も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。」と記載されているのを、「特徴とする請求項1または2に記載の注文搬送装置。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4及び5も同様に訂正する)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置。」と記載されているのを、「特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注文搬送装置。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に「特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置。」と記載されているのを、「特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の注文搬送装置。」に訂正する。

3 一群の請求項
訂正前の請求項1?5について、請求項2?5は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?5に対応する訂正後の請求項1?5は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

4 訂正の要件
(1)訂正の目的の適否
訂正事項1?6は、訂正前の請求項1?5に記載の「搬送装置」を「注文搬送装置」に限定するものである。
したがって、訂正事項1?6は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1?6は、上記(1)のとおり、訂正前の請求項1?5に記載の「搬送装置」を「注文搬送装置」に限定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1?6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)新規事項の有無
願書に添付した明細書の段落【0023】及び図2には、寿司等の飲食物(注文飲食物)が載置された寿司皿Dが載置される走行体としての搬送トレー11を走行させることで飲食物を搬送する搬送装置が、注文搬送装置10であることが記載されている。
したがって、訂正事項1?6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

5 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件無効審判においては、訂正前のすべての請求項に対して無効審判の請求がされているため、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?5に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明5」といい、本件発明1?5を併せて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する注文搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールであることを特徴とする注文搬送装置。
【請求項2】
前記走行体は、前記走行体連結部を介して前記搬送駆動部により略水平に支持されることを特徴とする請求項1に記載の注文搬送装置。
【請求項3】
前記搬送駆動部は、駆動源により回転する駆動回転体、該駆動回転体とは別個に設けられる従動回転体、前記駆動回転体と前記従動回転体とに掛け渡され、前記走行体連結部が取り付けられる環状部材を含む駆動部品と、該駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材と、から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の注文搬送装置。
【請求項4】
飲食物を無端状の循環搬送路を循環搬送させることにより該飲食物を飲食客に提供する循環型飲食物注文搬送装置を備え、
前記走行路は、前記循環搬送路の上方に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注文搬送装置。
【請求項5】
前記走行体の走行状況を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の注文搬送装置。」

第4 請求人の主張
1 無効理由の概要
請求人は、審判請求書において、「特許第4100639号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、概ね次の無効理由を主張している。

(1)無効理由1(甲第1号証に基づく拡大先願違反)
請求項1?5に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願(甲第1号証)であって、その出願後に特許掲載公報(甲第2号証)の発行がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、本件特許出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

(2)無効理由2(甲第3号証に基づく新規性欠如)
請求項1?2に係る発明は、本件特許出願前に頒布された甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

(3)無効理由3(甲第3、5?8号証に基づく進歩性欠如)
請求項1?5に係る発明は、甲第3号証に記載された発明と、甲第5?8号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

(4)無効理由4(甲第4?8号証に基づく進歩性欠如)
請求項1?5に係る発明は、甲第4号証に記載された発明と、甲第5?8号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

(5)無効理由5(サポート要件違反)
本件特許は、請求項1の記載が下記ア及びイの点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とされるべきものである。
ア 本件特許発明の目的を達成するためには、走行体連結部が搬送駆動部に確実に連結している必要があるが、請求項1に係る発明では、走行体連結部及び搬送駆動部の連結については何ら特定されていない。
イ 直線搬送路部7aの上方に注文搬送装置10が配置されていることを前提として、補助レール32は、飲食客の手や頭を走行路12に不用意に進入させないための進入抑止手段を構成することになるが、請求項1に係る発明では、上記前提の構造が何ら特定されていない。

2 証拠方法
甲第1号証:特願2007-121860
甲第2号証:特許第4105749号公報(甲第1号証の特許公報)
甲第3号証:米国特許第4765440号明細書
甲第4号証:特開昭60-241410号公報
甲第5号証:意匠登録第1256941号公報
甲第6号証:意匠登録第1148185号公報
甲第7号証:特開2004-187921号公報
甲第8号証:特開2006-212099号公報
甲第9号証:特願2007-174209号(本件特許の出願書類)
甲第10号証:新村出編、「広辞苑第七版」、株式会社岩波書店、2018年1月12日、第3126頁
甲第11号証:「浦安市に住んでてスシローに行きたいならココ?南行徳店でお寿司を食べてきた!」、上から10枚目の写真、[online]、2015年10月13日、バンザイ!ディズニー!、インターネット

第5 被請求人の主張
1 答弁の概要
被請求人は、答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、概ね次のように主張している。

(1)無効理由1(甲第1号証に基づく拡大先願違反)について
本件発明1?5は、甲第1号証記載の発明と同一であるとすることはできない。

(2)無効理由2(甲第3号証に基づく新規性欠如)について
本件発明1?2は、甲第3号証記載の発明と同一であるとすることはできない。

(3)無効理由3(甲第3、5?8号証に基づく進歩性欠如)について
本件発明1?5と甲第3号証記載の発明との相違点について、甲第5?8号証を適用しても、本件発明1?5に至ることはない。

(4)無効理由4(甲第4?8号証に基づく進歩性欠如)について
本件発明1?5と甲第4号証記載の発明との相違点について、甲第5?8号証を適用しても、本件発明1?5に至ることはない。

(5)無効理由5(サポート要件違反)について
本件発明1における特許請求の範囲の記載は、当業者の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものである。

2 証拠方法
乙第1号証:特開2005-185326号公報
乙第2号証:特開2005-185327号公報
乙第3号証:意匠登録第1289852号公報
乙第4号証:特開2007-236504号公報

第6 当審の判断
1 甲号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同様。)。
ア「【0017】
本実施例の個別搬送装置1は、支柱19に固定される係止具31と、この係止具31に取り付けられるフレーム39と、このフレーム39に設けられる支持板71と、フレーム39内に設けられるベルト75と、このベルト75を回転させるモータ79とを備える。」

イ「【0032】
また、本実施例の個別搬送装置1は、無端状のベルト75と、このベルト75を回転させるモータ79と、このモータ79の回転軸79aに接続される原動プーリ81とを有した駆動装置77を備える。ベルト75は、フレーム39内に配置されており、調理場側に配置されたモータ79により回転可能とされている。・・・」

ウ「【0034】
また、下側のベルト75bは、店内側端部において従動プーリ87に巻き掛けられて、上側のベルト75aへと導出されている。このように、各プーリ81,83,85,87に巻き掛けられたベルト75は、モータ79の回転に伴い、正逆両方の回転が可能とされ、上側のベルト75aおよび下側のベルト75bは、前後方向に沿って移動可能とされる。」

エ「【0035】
このように設けられたベルト75のうち、下側のベルト75bには、フック89が取り付けられている。
フック89は、矩形板状の一片89aと、この一片89aの右端部から右側へ延出した後、上方へ直角に延出する略L字形の他片89bとを有する。」

オ「【0039】
フック89には、矩形板状のトレー103が着脱可能に設けられる。トレー103には、二つの車輪105,105が、前後方向に離間して設けられており、各車輪105は、左右方向に沿う軸107まわりに回転可能とされている。また、トレー103の上面には、食器皿が載せ置かれる二つの浅い円形の凹所103aが前後に離間して形成されている。」

カ「【0040】
トレー103は、車輪105,105が支持板71に接地された状態で支持板71に載せ置かれて、その一側端部にフック89の他片89bが引っ掛けられる。この状態においてトレー103の上面は、水平に配置されている。
なお、本実施例では、下側のベルト75bに、二つのフック89,89が前後方向に離間して取り付けられており、各フック89にトレー103がそれぞれ取り付けられている。」

キ「【0041】
このように設けられたトレー103は、ベルト75が回転することで前後方向に沿って移動が可能とされる。
つまり、モータ79の回転軸79aが正または逆回転することで、ベルト75が正または逆回転し、これに伴って、下側のベルト75bに取り付けられたフック89が前後方向に沿って移動し、トレー103は往復動する。・・・」

ク「【0042】
このような構成の本実施例の個別搬送装置1が取り付けられた循環搬送装置3の循環路11に希望する飲食物が流れていない場合、客は、インターホンや液晶画面から希望する飲食物を注文する。なお、直接店員に注文してもよい。
そして、店員は、調理場において調理したものを食器皿に載せ、その食器皿をトレー103に載せ置き、トレー103を移動させればよい。」

ケ「【0043】
本実施例では、各座席位置へのトレー103の移動は、ロータリエンコーダとサーボモータ79を用いて容易になされる。
つまり、注文をした客の座席位置にトレー103が移動するまで、エンコーダで監視しつつ、モータ79を駆動制御すればよい。
ただし、これに替えて、注文をした客席の前で手動でモータを止めてトレー103を止めるようにしてもよいし、各客席に設けたセンサなどにより自動的に駆動装置を止めてトレー103を客の前で停止させてもよい。」

コ「【0044】
・・・また、本実施例では、ベルト75やローラ65を収容したフレーム39を支柱19側に配置し、透明な支持板71をフレーム39より外側へ延出させて、レーン11a(11c),11b(11d)の上方に透明な支持板71を配置している。・・・」

また、段落【0017】、【0032】、【0044】及び図5?7の記載から見て、駆動装置77は、トレー103に載置される食器皿の取り出し口側と反対側の側方に、走行路に沿って設けられており、段落【0040】及び図4?6の記載から見て、支持板71は、走行路の長手方向に向けて延設され、トレー103の中央より取り出し口側の下方を支持し、トレー103よりも取り出し口側に突出していると認められる。

したがって、これらを総合して整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「注文された飲食物が載せられた食器皿が載せ置かれたトレー103を移動させる個別搬送装置1であって、
トレー103が移動する走行路に沿って設けられる駆動装置77と、
トレー103に取り付けられ、駆動装置77の駆動によりトレー103の走行方向に移動するフック89と、を備え、
駆動装置77は、トレー103に載せ置かれた食器皿の取り出し口側と反対側の走行路の側方に配設され、
走行路の長手方向に向けて延設され、トレー103の中央より取り出し口側の下方を支持し、トレー103よりも取り出し口側に突出した支持板71が設けられる、個別搬送装置1。」

(2)甲第3号証
甲第3号証には、次の記載がある(訳文は、甲第3号証添付の訳文を参考に当審が作成した。)。
「As in other conventional food service conveyors, electrical motor means 60 and step down gear assembly 61 with suitable switches and circuits are used to provide the necessary rotational energy to a sprocket chain 41 that travels in a plane that is parallel to table top 21, as shown in FIG. 5. Chain 41 forms a continuous loop along table top 21. At the ends of the loop, chain 41 is trained over small diameter sprocket members 62 (only one shown). In contrast with other conventional systems, however, the conveyor assembly 40 in this invention is capable of following a relatively small radius of curvature at the ends of the track thereby contributing to its volumetric efficiency. As shown in FIG. 5, motor means 60, with the appropriate step down device 61, provides rotational movement to sprocket member 62 which in turn moves chain 41. As best seen from FIGS. 4; 6 and 7, chain link 44 has inverted L-shape post member 46 rigidly mounted thereon. Arm member 48 is pivotally mounted to post member 46 on one end 47 and the other end 49 of member 48 is pivotally mounted to the top surface of sliding block 50 which is preferably made out of a self-lubrication plastic material such as Delrin. Block 50 includes a longitudinal aperture 51 that houses a low friction tubular member 54 which is rigidly mounted over rail member 52.
Tray assembly 30 is rigidly connected to block 50 on its inner side and its outer side rests on roller 39. In the preferred embodiment a pin 45 is mounted through channel extension member 43 that is rigidly attached to the inner side of tray 30. Pin 45 is mounted to the upperside of block 50, allowing it to turn as shown in FIG. 4. Upwardly extending flanges 32 help keep the food items on tray assemblies 30. A menu identifier member 35 is shown in FIGS. 5 and 7 to be an upwardly extending member mounted to one of the sides of tray 30 to identify a particular tray for a predetermined combination of food items that it is to contain.」(明細書第2欄第25?61行)
「(訳)他の従来のフードサービスコンベアと同様に、図5に示すように、適切なスイッチと回路を備えた電動モータ手段60と減速ギアアセンブリ61を使用することにより、テーブルトップ21に平行な平面内を移動するスプロケットチェーン41に必要な回転エネルギーを供給する。チェーン41は、テーブルトップ21に沿って連続ループを形成する。ループの端部において、チェーン41は、小径のスプロケット部材62(1つのみが示されている)上で走行する。しかしながら、他の従来のシステムとは対照的に、本発明のコンベアアセンブリ40は、走行路の端部において、比較的小さな曲率半径に沿わせることができることにより、この体積の効率化に貢献する。図5に示すように、適切な減速装置61を備えたモータ手段60は、スプロケット部材62に回転運動を与え、スプロケット部材62は、チェーン41を順に動かす。図4,6及び7から最も良く分かるように、チェーンリンク44は、これに強固に取り付けられた逆L字形状のポスト部材46を有する。アーム部材48は、一端47において、ポスト部材46に回転可能に取り付けられており、部材48の他端49は、好ましくはデルリン(Delrin)などの自己潤滑プラスチック材料で作られた摺動ブロック50の上面に回転可能に取り付けられている。ブロック50は、レール部材52上に強固に取り付けられた低摩擦管状部材54を収容する長手方向開口部51を含む。
トレイアセンブリ30は、この内側においてブロック50に強固に接続されており、この外側はローラ39に載っている。好ましい実施形態では、ピン45は、トレイ30の内側に強固に取り付けられた通路延長部材43を介して取り付けられている。ピン45は、ブロック50の上側に取り付けられており、図4に示すように回転できるようになっている。上方に延びるフランジ32は、食品をトレイアセンブリ30に保持するのに役立つ。メニュー識別部材35は、図5及び図7に示されており、トレイ30の側面の1つに取り付けられた上方に延びる部材であり、収容すべき食品の所定の組み合わせのための特定のトレイを識別する。」

また、図1から見て、コンベアアセンブリ40は、トレイアセンブリ30に載置される食品の取り出し口側と反対側の側方に配設されており、図1及び5から見て、テーブルトップ21は、走行路の長手方向に向けて延設され、トレイアセンブリ30の中央より取り出し口側の下方を支持し、トレイアセンブリ30よりも取り出し口側に突出していると認められる。

したがって、これらを総合して整理すると、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「食品を載置可能なトレイアセンブリ30を走行させて食品を搬送するフードサービスコンベアであって、
トレイアセンブリ30が走行する走行路に沿って設けられるコンベアアセンブリ40と、
トレイアセンブリ30に取り付けられ、コンベアアセンブリ40の駆動によりトレイアセンブリ30の走行方向に移動する通路延長部材43と、を備え、
コンベアアセンブリ40は、トレイアセンブリ30に載置される食品の取り出し口側と反対側の走行路の側方に配設され、
走行路の長手方向に向けて延設され、トレイアセンブリ30の中央より食品の取り出し口側の下方を支持し、トレイアセンブリ30よりも取り出し口側に突出したテーブルトップ21が設けられる、フードサービスコンベア。」

(3)甲第4号証
甲第4号証には、次の記載がある。
ア「回転式カウンター10において、11は中央が凹設された流しであって、ステンレス板で内張りされている。13は流し11の中央に載置されるステンレス製の台座であり、この台座13の上部を覆って、木製で、たとえばうるし塗りが施されたセンターテーブル15が載置される。
台座13外壁面と流し11の内壁面とでチェーンの周回溝14を形成する。なお17は排水パイプである。
この周回溝14外周縁に沿ってカウンター16を周設する。流し11の両端部に対応して、垂直駆動軸20上端に軸着された、水平回転するスプロケット22,22が設けられ、該スプロケット22,22にステンレス製のチェーン24が掛け渡されている。」(第2頁左上欄第20行?同頁右上欄第14行)

イ「チェーン24が摺接位置する台座13の側壁にはチェーン24を滑らかに無音摺動させるための合成樹脂製レール26が配設され、この合成樹脂製レール26は、台座13の外壁に固着されたL字フック28によって固定されている。チェーン24を構成する金属環上面には固定具たるL字形フック34が、下面には、逆L字形を成す、車輪36の軸38を固定する固定板40が設けられている。L字形フック34の水平部分と固定板40の水平部分とは、金属環中央を貫通するネジなどによって固着されている。32は鮨皿載置台であり、四角形のお盆形状であって例えばABS樹脂によって形成され、うるし塗りとし、周回溝14上面をほぼ覆うことができる大きさに形成され、流し11内に立設されたL字支持板上に架設した合成樹脂製レール42上にその外周底面を摺接する。鮨皿載置台32の内端面には係止リング37が突設され、この係止リング37に前記L字形フック34が下方から挿通することによって、鮨皿載置台32は前記のレール42とチェーン24とで水平に支持される。また鮨皿載置台32はチェーン24に固設されたL字形フック34に規制されてチェーン24に伴われて移動することとなる。L字形フック34は、1つの鮨皿載置台32に対してその内端面部分に対応して3個ずつチェーン24上に設けられており、鮨皿載置台32はその中央部のL字形フック34に係止され、他の2つのL字形フック34は鮨皿載置台32の内端面に当接して、その揺れを防止する作用をする。」(第2頁右上欄第15行?同頁右下欄第3行)

ウ「・・・スプロケット22,22によってチェーン24を駆動することによって、鮨皿載置台32を密接して移動させることができる。」(第3頁左上欄第8?10行)

また、第1図及び第2図から見て、スプロケット22及びチェーン24は、鮨皿載置台32に載置される鮨皿の取り出し口側と反対側の側方に配設されており、レール42は、鮨皿の取り出し口側の側方に、周回溝14の長手方向に向けて延設され、鮨皿載置台32の側方を支持していると認められる。

したがって、これらを総合して整理すると、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「鮨皿を載置可能な鮨皿載置台32を移動させて鮨皿を搬送する回転式カウンター10であって、
鮨皿載置台32が移動する周回溝14に沿って設けられるチェーン24と、
鮨皿載置台32の内端面に係止され、スプロケット22によるチェーン24の駆動により鮨皿載置台32の走行方向に移動するL字形フック34と、を備え、
スプロケット22及びチェーン24は、鮨皿載置台32に載置される鮨皿の取り出し口側と反対側の周回溝14の側方に配設され、
周回溝14の長手方向に向けて延設され、鮨皿載置台32の外周底面を支持するレール42が設けられる、回転式カウンター10。」

(4)甲第5?7号証
甲第5?7号証には、図面の記載によれば、以下の事項が記載されていると認められる。
「飲食物を搬送する搬送装置が上下に2段で配置されていること。」

(5)甲第8号証
甲第8号証には、次の記載がある。
「【0021】
また、内部には、搬送機構を構成する駆動スプロケット10及び従動スプロケット11と、これら駆動スプロケット10及び従動スプロケット11に巻回された無端状のチェーン12と、が内設されている。・・・」

2 無効理由1(甲第1号証に基づく拡大先願違反)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1の構成の解釈
(ア)「側方」について
本件特許の請求項1には、「前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールである」と記載されており、本件発明1には、「飲食物の取り出し口側と反対側の側方」に搬送駆動部が配設されるとともに、「飲食物の取り出し口側の側方」に進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、「走行体の側方」を支持する支持レールであることが特定されていると認められる。
一般に「側方」とは、「左右の方向。また、側面。わき。」(広辞苑第五版)を意味するものであり、本件発明1の「走行体の側方」とは、走行体と上下方向において重ならない位置と解釈するのが自然である。
しかしながら、被請求人は、口頭審理陳述要領書の第1の8(第26頁)において、本件発明1における「走行体の側方」には、走行体の下方が含まれるかのような主張を行っており、本件発明1における「側方」の意味が、必ずしも一義的に明らかとはいえない。
そのため、本件発明1における「側方」の意味については、本件特許明細書及び図面の記載を参酌して、その意味を解釈する必要があるといえる。

本件特許明細書の記載によれば、従来の搬送装置にあっては、トレーを走行させるための駆動チェーンが搬送路面の下方に設けられることで、駆動チェーンの駆動力を搬送路面を介してトレーに伝達するために磁力等を利用する必要が生じるため、伝達機構が複雑化して製造コストが嵩むといった問題があり(段落【0005】)、また、駆動チェーンとトレーとを連結部材等により連結することも考えられるが、この場合には、搬送路面上に連結部材を通過させるための溝等を形成する必要があり、見栄えが悪くなるという問題があり(段落【0006】)、本件発明は、このような問題点に着目してなされたもので、簡単な構造で飲食物が載置される走行体を安定して走行させることができる搬送装置を提供することを目的としている(段落【0007】)ことが認められ、段落【0008】の記載によれば、本件発明1が上記課題を解決するための手段であり、これにより、搬送駆動部を駆動して走行体連結部を移動させることで走行体が走行するとともに、走行体と搬送駆動部との間には走行路面等が存在しないことで、走行体連結部を介して走行体を搬送駆動部に確実に連結することができるため、走行体を安定して走行させることができるという効果を奏することが認められる。
すなわち、本件発明1は、搬送駆動部を、走行体の下方ではなく、走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設することで、上記課題を解決したものであることが認められる。
そして、段落【0040】には、「特に駆動ユニット13は、搬送トレー11に載置される飲食物の取り出し口35と反対側の側方、つまり走行路12における搬送トレー11よりも飲食客から視て奥側に配設されているため、飲食物の取り出しの際に駆動ユニット13が邪魔になることがないばかりか、安全性が向上する。」との記載があることから、「飲食物の取り出し口側と反対側の側方」とは、走行路12における搬送トレー11(走行体)よりも飲食客から視て奥側のことを意味しており、本件発明の課題との関係からみて、搬送トレー11(走行体)の下方は含まれていないことが明らかである。

そうすると、その反対側である「飲食物の取り出し口側の側方」は、走行路12における搬送トレー11(走行体)よりも飲食客から視て手前側のことを意味し、「飲食物の取り出し口側と反対側の側方」と同様に、搬送トレー11(走行体)の下方は含まれないと解するのが合理的である。
現に、図2、4に、搬送トレー11(走行体)よりも飲食客から視て手前側に設けられた補助レール32(支持レール)により、搬送トレー11(走行体)が支持されている態様しか示されておらず、搬送トレー11(走行体)の下方を、補助レール32(支持レール)により支持しているような態様は示されていない。
なお、段落【0061】には、「注文搬送装置10は、・・・、循環型飲食物搬送装置4の下方や側方、・・・配設されてもよい。」と記載され、「下方」と「側方」とは区別して記載されていることも、上記認定を裏付けるものといえる。

したがって、特許請求の範囲の記載に加え、本件特許明細書の記載及び図面も併せて考慮すれば、本件発明1における「側方」には、「下方」は含まれておらず、「飲食物の取り出し口側と反対側の側方」とは、「走行路における走行体よりも飲食客から視て奥側」を、「飲食物の取り出し口側の側方」とは、「走行路における走行体よりも飲食客から視て手前側」をそれぞれ意味しており、また、飲食物の取り出し口側の側方に設けられた支持レールが支持する「走行体の側方」とは、「走行体よりも飲食客から視て手前側で、走行体と上下方向において重ならない位置」であると解される。

(イ)「注文搬送装置」について
本件特許請求の範囲の記載のみからでは、本件発明1における「注文搬送装置」の意味が一義的に明らかとはいえないため、本件特許明細書及び図面の記載を参酌する。

本件特許明細書及び図面には、「注文搬送装置」に関して、次の記載がある。
「【0035】
このように構成された注文搬送装置10にあっては、搬送トレー11は、基本的に注文搬送装置10の注文搬送路(走行路12)における厨房エリア2側の端部にて待機されている。そして、飲食客から受け付けた注文飲食物が厨房エリア2内で調理され、該注文飲食物F2を載置した寿司皿Dを搬送トレー11に配置し、調理者が所定の搬送操作を行うことで、駆動ユニット13が駆動してコンベアベルト15が回転する。そして、該コンベアベルト15の回転により連結部材14が走行路12に沿って移動するとともに、該連結部材14に連結された搬送トレー11が、走行路12を飲食客エリア3に向けて走行する(図2及び図3中実線矢印方向)。
【0036】
駆動ユニット13の搬送モータは、図示しない制御部に接続されており、前述したように調理者が行う所定の搬送操作により、その駆動量すなわち搬送距離等が制御部により制御されるため、搬送トレー11が注文客の客席9に到達した時点で駆動が停止され、これにより搬送トレー11が注文客の客席9にて停止するようになっている(図3参照)。」
「【0055】
また、搬送トレー11は、循環型飲食物搬送装置4のように常時搬送路上を搬送されているものではなく、注文客に注文飲食物F2を提供するときにのみ搬送トレー11が走行路12を走行するものであり、・・・」

したがって、特許請求の範囲の記載に加え、本件特許明細書の記載及び図面も併せて考慮すれば、本件発明1における「注文搬送装置」とは、飲食客から注文を受け付けたときのみに、注文飲食物が載置された走行体を飲食客エリアに向けて走行させ、走行体を注文客の客席にて停止させるように動作させる搬送装置を意味し、回転寿司等に一般的に用いられるような、連続して常時移動する「循環搬送装置」とは異なる搬送装置であると解される。

イ 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「トレー103」及び「駆動装置77」は、本件発明1の「走行体」及び「搬送駆動部」にそれぞれ相当する。
甲1発明における「個別搬送装置1」は、甲第1号証の段落【0042】?【0043】に記載のように、客から飲食物の注文を受け付けると、店員は、調理場において調理したものを食器皿に載せ、その食器皿をトレー103に載せ置き、トレー103を移動させ、注文をした客席の前でトレー103を停止させており、トレー103を注文に応じて間欠的に動作させているから、本件発明1の「注文搬送装置」に相当する。
甲1発明における「フック89」は、甲第1号証の段落【0036】、【0040】の記載によれば、一片89aにおいてベルト75bに固定され、他片89bにおいてトレー103が取り付けられるものであるから、本件発明1の「走行体連結部」に相当する。
甲1発明における、駆動装置77が、「トレー103に載せ置かれた食器皿の取り出し口側と反対側の走行路の側方に配設され」ることは、本件発明1の、搬送駆動部が、「走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され」ることに相当する。
甲1発明における「支持板71」は、トレー103よりも取り出し口側に突出して設けられており、その突出した部分の存在により、食器皿の取り出し口側の側方から走行路内への進入が抑止される機能を有していると認められるので、本件発明1の「進入抑止手段」に相当する。
甲1発明における「トレー103の中央より取り出し口側を支持」する「支持板71」は、「走行体を支持するもの」である限りにおいて、本件発明1の「走行体の側方を支持する支持レール」に相当する。

したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する注文搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、
飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体を支持するものである、注文搬送装置。」

<相違点1-1>
進入抑止手段に関して、本件発明1では、「走行体の側方」を支持する「支持レール」であるのに対し、
甲1発明では、「トレー103の中央より取り出し口側の下方」を支持する「支持板71」である点。

ウ 判断
上記相違点1-1について検討する。
注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持することについては、請求人が提出した証拠(上記第4の2)のいずれにも記載や示唆はなく、それが技術常識であることを示す証拠も示されていない。他に本件特許出願時に、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持することが知られていたことを認めるに足りる証拠は見当たらず、甲1発明において、「トレー103の中央より取り出し口側の下方」を支持することに換えて、トレー103よりも飲食客から視て取り出し口側で支持することが、周知技術の付加等にすぎないとはいえない。
また、一般に「レール」とは、「1.車輪を支え、その上を円滑に走らせる細長い鋼材。2.引き戸などを滑らせる棒状のもの。」(広辞苑第五版)を意味し、「板」とは、「1.材木を薄く平たくしたもの。2.金属や石などを薄く平たくしたもの。」(広辞苑第五版)を意味しており、「レール」は細長い形状であり、「板」は薄く平たい形状であるから、「板」と「レール」とは形状が異なる。
そして、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、レールにより支持させることが、本件特許出願時に周知技術であったことを認めるに足りる証拠は見当たらず、甲1発明において、板状である「支持板71」をレール状とすることが、周知技術の付加等にすぎないとはいえない。
さらに、本件発明1は、相違点1-1に係る本件発明1の構成を具備することにより、本件特許明細書の段落【0008】に記載のような、「進入抑止手段により、飲食客が走行体に不用意に進入しないように設けられ、かつ支持レールとして構成されていることで、進入抑止手段と支持レールを別々に分けて設ける必要がなく製造コストを低減できる」という効果を奏するものである。

エ 小括
したがって、相違点1-1に係る本件発明1の構成は、課題解決のための具体化手段における微差ということはできず、本件発明1は、甲1発明と実質同一とはいえない。

(2)本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1の全ての構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲1発明と実質同一とはいえない。

3 無効理由2(甲第3号証に基づく新規性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明における「トレイアセンブリ30」及び「コンベアアセンブリ40」は、本件発明1の「走行体」及び「搬送駆動部」にそれぞれ相当する。
甲3発明における「通路延長部材43」は、甲第3号証の明細書第2欄第25?61行及び図4?6の記載によれば、走行体である「トレイアセンブリ30」に取り付けられ、搬送駆動部である「コンベアアセンブリ40」の駆動によりトレイアセンブリ30の走行方向に移動するものであるから、本件発明1の「走行体連結部」に相当する。
甲3発明における、コンベアアセンブリ40が、「トレイアセンブリ30に載置される食品の取り出し口側と反対側の走行路の側方」に配設されることは、本件発明1の、搬送駆動部が、「走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方」に配設されることに相当する。
甲第3号証の図5から見て、テーブルトップ21の左端が、トレイアセンブリ30よりも左側に突出しており、食品の取り出し口側の側方から走行路内への進入が抑止される機能を有していると認められるので、甲3発明における「テーブルトップ21」は、本件発明1の「進入抑止手段」に相当する。
甲3発明における「トレイアセンブリ30の中央より取り出し口側の下方を支持」する「テーブルトップ21」は、「走行体を支持するもの」である限りにおいて、本件発明1の「走行体の側方を支持する支持レール」に相当する。
甲3発明における「フードサービスコンベア」は、「搬送装置」である限りにおいて、本件発明1の「注文搬送装置」に相当する。

したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、
飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体を支持するものである、搬送装置。」

<相違点2-1>
進入抑止手段に関して、本件発明1では、「走行体の側方」を支持する「支持レール」であるのに対し、
甲3発明では、「トレイアセンブリ30の中央より取り出し口側の下方」を支持する「テーブルトップ21」である点。

<相違点2-2>
本件発明1では、「注文」搬送装置であるのに対し、
甲3発明の「フードサービスコンベア」は、搬送装置ではあるものの、「注文搬送装置」であることが特定されていない点。

イ 判断
本件発明1と甲3発明とは、上記相違点2-1及び2-2で相違しているから、本件発明1は、甲3発明と同一とはいえない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲3発明と同一とはいえない。

4 無効理由3(甲第3、5?8号証に基づく進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明との対比は、上記3(1)アのとおりである。

イ 判断
(ア)相違点2-1について
上記2(1)ウのとおり、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持させることについては、請求人が提出した証拠(上記第4の2)のいずれにも記載や示唆はなく、それが技術常識であることを示す証拠も示されていない。他に本件特許出願時に、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持することが知られていたことを認めるに足りる証拠は見当たらない。
また、甲第3号証の図1?3から見て、「テーブルトップ21」は、板状の部材であると認められるが、上記2(1)ウのとおり、「板」と「レール」とは形状が異なるものであると認められるところ、甲第3号証には、「テーブルトップ21」をレール状の部材とすることについて、記載も示唆もなく、甲3発明において、「テーブルトップ21」の形状を、レール状に換える動機付けはない。
そして、仮に、甲3発明において、支持レールを設けたとしても、「レール」の意味に照らせば(上記2(1)ウ参照。)、テーブルトップ21上のローラ39の走行位置に設けられることになると考えられるから、当該支持レールは、「飲食物の取り出し口側の側方に設けられた進入抑止手段」にはならない。
さらに、仮に、甲3発明に、甲第5?7号証に記載された技術的事項を適用して、「フードサービスコンベア」を上段に配置する構成としたところで、「テーブルトップ21」が、トレイアセンブリ30の側方を支持する支持レールとなるわけではない。
よって、相違点2-1に係る本件発明1の構成に、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(イ)相違点2-2について
甲第3号証には、「フードサービスコンベア」が、飲食客から注文を受け付けたときに、注文飲食物が載置された走行体を走行させ、走行体を注文客の客席にて停止させるように動作させる旨の記載はないし、図1?3の記載から、複数のトレイアセンブリ30をチェーン41に接続して連続的に移動させるものと認められることから、技術常識に照らして、連続して常時移動する「循環搬送装置」であると認められる。
そして、仮に、甲3発明の「フードサービスコンベア」において、注文飲食物を当該注文した飲食客の客席で停止させるようにした場合、他の飲食客の客席においても、「循環搬送装置」に載置された飲食物が停止してしまい、好みの飲食物が回ってくるのを待っている飲食客に迷惑がかかることに鑑みれば、甲3発明の「フードサービスコンベア」を「注文搬送装置」とする動機付けはないというべきである。

ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲第5?7号証に記載された技術的事項並びにその他の本件各証拠に基いても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(2)本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1の全ての構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲3発明及び甲第5?8号証に記載された技術的事項並びにその他の本件各証拠に基いても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

5 無効理由4(甲第4?8号証に基づく進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲4発明とを対比すると、甲4発明における「鮨皿載置台32」、「周回溝14」、「スプロケット22及びチェーン24」、及び「レール42」は、本件発明1の「走行体」、「走行路」、「搬送駆動部」、及び「支持レール」にそれぞれ相当する。
甲4発明における「L字形フック34」は、甲第4号証の第2頁左下欄第11?17行及び第3図の記載によれば、走行体である「鮨皿載置台32」に連結され、搬送駆動部である「チェーン24」の駆動により鮨皿載置台32の走行方向に移動するものであるから、本件発明1の「走行体連結部」に相当する。
甲4発明における、スプロケット22及びチェーン24が、「鮨皿載置台32に載置される鮨皿の取り出し口側と反対側の走行路の側方」に配設されることは、本件発明1の、搬送駆動部が、「走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方」に配設されることに相当する。
甲4発明における「鮨皿載置台32の外周底面を支持するレール42」は、「走行体を支持する支持レール」である限りにおいて、本件発明1の「走行体の側方を支持する支持レール」に相当する。
甲4発明における「回転式カウンター10」は、「搬送装置」である限りにおいて、本件発明1の「注文搬送装置」に相当する。

したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、
前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体を支持する支持レールが設けられる、搬送装置。」

<相違点3-1>
支持レールに関して、本件発明1では、「飲食物の取り出し口側の側方」に設けられ、「走行体の側方」を支持するものであり、「走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段」であるのに対し、
甲4発明では、レール42は、「鮨皿載置台32の外周底面」を支持するものであり、レール42が、走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段の機能を有するとは特定されていない点。

<相違点3-2>
本件発明1では、「注文」搬送装置であるのに対し、
甲4発明の「回転式カウンター10」は、搬送装置ではあるものの、「注文搬送装置」であることが特定されていない点。

イ 判断
(ア)相違点3-1について
上記2(1)ウのとおり、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持させることについては、請求人が提出した証拠(上記第4の2)のいずれにも記載や示唆はなく、それが技術常識であることを示す証拠も示されていない。他に本件特許出願時に、注文搬送装置において、飲食物を載置可能な走行体を、走行体よりも飲食客から視て手前側で支持することが知られていたことを認めるに足りる証拠は見当たらず、甲4発明において、「鮨皿載置台32の外周底面」を支持することに換えて、鮨皿載置台32よりも飲食客から視て取り出し口側で支持させるようにし、もって走行路内への進入を抑止する進入抑止手段とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、仮に、甲4発明に、甲第5?7号証に記載された技術的事項を適用して、「回転式カウンター10」を上段に配置する構成としたところで、「レール42」が、鮨皿載置台32の側方を支持することにはならない。

(イ)相違点3-2について
甲第4号証には、「回転式カウンター10」が、飲食客から注文を受け付けたときにのみ、注文飲食物が載置された走行体を走行させ、走行体を注文客の客席にて停止させるように動作させる旨の記載はないし、図1?2の記載から、複数の鮨皿載置台32をチェーン24に接続して連続的に移動させるものと認められることから、技術常識に照らして、連続して常時移動する「循環搬送装置」であると認められる。
そして、仮に、甲4発明の「回転式カウンター10」において、注文飲食物を当該注文した飲食客の客席で停止させるようにした場合、他の飲食客の客席においても、「循環搬送装置」に載置された飲食物が停止してしまい、好みの飲食物が回ってくるのを待っている飲食客に迷惑がかかることに鑑みれば、甲4発明の「回転式カウンター10」を「注文搬送装置」とする動機付けはないというべきである。

ウ 小括
したがって、本件発明1は、甲4発明及び甲第5?7号証に記載された技術的事項並びにその他の本件各証拠に基いても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(2)本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1の全ての構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲4発明及び甲第5?8号証に記載された技術的事項並びにその他の本件各証拠に基いても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

6 無効理由5(サポート要件違反)について
(1)特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下、上記の観点に立って、本件について検討することとする。

(2)請求人は、審判請求書において、
「本件特許発明の目的(解決しようとする課題)は、簡単な構造で飲食物が載置される走行体を安定して走行させることができる搬送装置を提供することにある(本件特許明細書の段落【0007】)。ここで、走行体を安定して走行させる点に関して、本件特許明細書には、『・・・走行体連結部を介して走行体を搬送駆動部に確実に連結することができるため、走行体を安定して走行させることができる。・・・』(段落【0009】)、『・・・従来のように磁力等を利用することなく、連結部材14を介して搬送トレー11を駆動ユニット13に確実に連結して搬送トレー11を安定して走行させることができる。』(段落【0038】)との記載がある。これらの記載によれば、上述した本件特許発明の目的を達成するためには、走行体連結部が搬送駆動部に確実に連結している必要がある。
本件特許発明1では、構成Cにおいて、走行体連結部が走行体に連結されていることは特定されているものの、走行体連結部及び搬送駆動部の連結については何ら特定されていない。この点について、本件特許発明1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えている。」(第30頁下から第18?3行)
と主張している。
これを検討するに、本件特許明細書の段落【0008】には、
「前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の搬送装置は、飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールであることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送駆動部を駆動して走行体連結部を移動させることで走行体が走行するとともに、走行体と搬送駆動部との間には走行路面等が存在しないことで、走行体連結部を介して走行体を搬送駆動部に確実に連結することができるため、走行体を安定して走行させることができる。そして飲食物の取り出しの際に搬送駆動部が邪魔になることがないばかりか、安全性が向上する。」
と記載されている。当該記載によれば、飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設された搬送駆動部の駆動により走行体連結部を介して走行体を走行させることで、走行体と搬送駆動部との間に走行路面等が存在しないようにしたことが、走行体連結部を介して走行体を搬送駆動部に確実に連結させ、走行体を安定して走行させるという課題を解決するための手段であると認められる。
そして、本件発明1には、「前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され」と特定されており、本件発明1は、走行体と搬送駆動部との間に走行路面等が存在しないようにしていることが理解できるから、上記課題を解決するための手段が反映されているといえる。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえず、上記主張は採用することができない。

(3)また、請求人は、審判請求書において、
「本件特許明細書には、『また、直線搬送路部7aにおけるクレセントチェーンコンベア5の上方には、本発明の実施例としての注文搬送装置10の注文搬送路が配設されている。・・・』(段落【0020】)、『また、本実施例では、走行路12における飲食物の取り出し口35側に、走行路12に沿って延設される補助レール32が設けられており、これにより、走行路面が存在しない走行路12内に、飲食客が手や頭を不用意に進入させることが抑止されるため、走行路12を走行してきた搬送トレー11と飲食客との接触等の危険を回避することができる。つまり、補助レール32は本発明の進入抑止手段を構成している。』(段落【0051】)との記載がある。
本件特許図面の図2乃至図4の記載から理解できるように、直線搬送路部7aの上方に注文搬送装置10が配置されていることを前提として、補助レール32は、飲食客の手や頭を走行路12に不用意に進入させないための進入抑止手段を構成することになる。本件特許発明1では、上述した前提の構造(直線搬送路部7aの上方に注文搬送装置10が配置されていること)が何ら特定されていない。この点についても、本件特許発明1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えている。
ここで、本件特許明細書には、『例えば、前記実施例に記載の注文搬送装置10は、循環型飲食物搬送装置4における循環搬送路の上方位置に配設されていたが、循環型飲食物搬送装置4の下方や側方、あるいは該循環型飲食物搬送装置4がない場所に単独で配設されてもよい。』(段落【0061】)との記載があるものの、このような変更は、本件特許の出願当初の請求項1に係る発明(甲第9号証)に関して成り立つものであり、進入抑止手段を備えた本件特許発明1に関して成り立つものではない。」(第30頁下から第2行?第31頁第21行)
と主張している。
しかしながら、本件発明1の支持レールは、その存在により、飲食物の取り出し口側の側方から走行路内への進入が抑止される機能を有していると認められ、当該機能は、注文搬送装置10の下方に直線搬送路部7aが存在するか否かに左右されるものではないことは明らかであり、注文搬送装置10が直線搬送路部7aの上方に配置される構成が、本件発明1の前提になっているとはいえない。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえず、上記主張は採用することができない。

(4)さらに、請求人は、弁駁書において、
「本件訂正特許発明1の特徴は、進入抑止手段としての支持レールを設けた点にあり、この特徴によって解決される課題は、客の頭部や手が走行路内に進入することを抑止することにある。
客の頭部や手が走行路内に進入することを抑止する点に関して、被請求人は、審判事件答弁書の『第2,2 透光性を有する支持板』において、『搬送トレーを駆動ユニット13のみで片持ち状態で荷重を支持するようになっている。この場合、走行体が走行していない走行路は空の空間であって、取り出し口側で待機している客の頭部や手が容易に進入し易い。これに対して、本件訂正発明1の支持レールは、当該進入抑止手段として機能する。』(第11頁第22行目?最終行目、下線は被請求人が付した。)と主張している。この主張から明らかなように、支持レールが進入抑止手段として機能するためには、搬送駆動部が走行体連結部を介して走行体を片持ち状態で支持する構造が前提になる。
本件訂正特許発明1では、走行体に連結される走行体連結部が、搬送駆動部の駆動により走行体の走行方向に移動することを特定しているだけであり、上述した前提の構造(走行体を片持ち状態で支持する構造)は、本件訂正特許発明1では何ら特定されていない。このため、本件訂正特許発明1は、本件訂正特許発明1の課題(すなわち、客の頭部や手が走行路内に進入することを抑止すること)を解決できると認識し得る範囲を超えたものとなり、発明の詳細な説明に記載されたものといえるものではない。」(第18頁下から第15行?第19頁第6行)
と主張している。
これを検討するに、本件特許明細書には、飲食物の取り出し口側と反対側の側方では、搬送駆動部が走行体連結部を介して走行体を支持し、飲食物の取り出し口側の側方では、支持レールが走行体を支持している、走行体を両持ち構造で支持する構造の実施例が開示されている。
そして、上記(2)のとおり、本件発明1の支持レールは、その存在により、飲食物の取り出し口側の側方から走行路内への進入が抑止される機能を有しているものであり、走行体連結部を介して搬送駆動部のみで片持ち状態で走行体の荷重を支持し、支持レールに走行体の荷重が支持されない構造でなければ、支持レールが進入抑止手段として機能しないとは認められず、搬送駆動部が走行体連結部を介して走行体を片持ち状態で支持する構造が、本件発明1の課題を解決するための前提になっているとはいえない。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえず、上記主張は採用することができない。

第7 むすび
以上のとおり、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する注文搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設され、飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する、進入抑止手段が設けられ、該進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールであることを特徴とする注文搬送装置。
【請求項2】
前記走行体は、前記走行体連結部を介して前記搬送駆動部により略水平に支持されることを特徴とする請求項1に記載の注文搬送装置。
【請求項3】
前記搬送駆動部は、駆動源により回転する駆動回転体、該駆動回転体とは別個に設けられる従動回転体、前記駆動回転体と前記従動回転体とに掛け渡され、前記走行体連結部が取り付けられる環状部材を含む駆動部品と、該駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材と、から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の注文搬送装置。
【請求項4】
飲食物を無端状の循環搬送路を循環搬送させることにより該飲食物を飲食客に提供する循環型飲食物搬送装置を備え、
前記走行路は、前記循環搬送路の上方に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注文搬送装置。
【請求項5】
前記走行体の走行状況を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の注文搬送装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-08-26 
結審通知日 2020-08-31 
審決日 2020-09-11 
出願番号 特願2007-174209(P2007-174209)
審決分類 P 1 113・ 113- YAA (B65G)
P 1 113・ 537- YAA (B65G)
P 1 113・ 161- YAA (B65G)
P 1 113・ 121- YAA (B65G)
P 1 113・ 851- YAA (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 志水 裕司  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 井上 信
田村 嘉章
登録日 2008-03-28 
登録番号 特許第4100639号(P4100639)
発明の名称 搬送装置  
代理人 冨所 剛  
代理人 須澤 洋  
代理人 井出 真  
代理人 日高 一樹  
代理人 日高 一樹  
代理人 大友 良浩  
代理人 大友 良浩  
代理人 保志 周作  
代理人 水野 勝文  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 久松 洋輔  
代理人 保志 周作  
代理人 網盛 俊  
代理人 飯田 秀郷  
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