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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1369417
審判番号 不服2020-2178  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-18 
確定日 2020-12-10 
事件の表示 特願2018-182550号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日出願公開、特開2018-199023号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年7月20日に出願した特願2016-141993号の一部を平成30年9月27日に新たな特許出願としたものであって、令和1年5月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月22日に意見書が提出されたところ、同年11月8日付け(送達日:同年同月19日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年2月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の出願時の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A?Fは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 所定の入球口に遊技球が入球することを契機として大当たりを付与するか否かの当否抽選を行う遊技機であって、
B 前記所定の入球口として設けられた第一入球口および第二入球口と、
C 演出用の音を出力する音出力装置と、
を備え、
D 前記第二入球口の方が前記第一入球口よりも遊技球が入球しにくい遊技状態にあるとき、前記第二入球口については遊技球が入球した場合に前記音出力装置を通じて所定の効果音が出力される一方、
E 前記第一入球口については遊技球が入球した場合であっても効果音
が出力されないように設定されている
F ことを特徴とする遊技機。」

3 拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2016-120020号公報

4 進歩性について
(1)引用発明
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-120020号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体で付与した。)。

ア 「【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

イ 「【0021】
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。
・・・略・・・
【0024】
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
【0025】
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。なお、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。あるいは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば第2始動入賞口を閉鎖することなどにより、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動領域としての第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過(進入)しにくいまたは通過(進入)できない通常開放状態とに変化する。
【0026】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。」

ウ 「【0033】
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。」

エ 「【0075】
時短制御が行われるときには、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。このように、時短制御に伴い第2始動入賞口に遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御としては、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合わせられて行われるようにしてもよい。
【0076】
高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口は、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、時短制御が行われる期間と同一であればよい。
【0077】
時短制御と高開放制御がともに行われる遊技状態は、時短状態あるいは高ベース状態ともいう。また、確変制御が行われる遊技状態は、確変状態あるいは高確状態ともいう。確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる遊技状態は、高確高ベース状態とも称される。確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない確変状態は、高確低ベース状態とも称される。なお、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる遊技状態のみを、特に「確変状態」ということもあり、高確低ベース状態とは区別するために、時短付確変状態ということもある。一方、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない確変状態(高確低ベース状態)は、高確高ベース状態と区別するために、時短なし確変状態ということもある。確変制御が行われずに時短制御や高開放制御が行われる時短状態は、低確高ベース状態とも称される。確変制御や時短制御および高開放制御がいずれも行われない通常状態は、低確低ベース状態とも称される。通常状態以外の遊技状態において時短制御や確変制御の少なくともいずれかが行われるときには、特図ゲームが頻繁に実行可能となることや、各回の特図ゲームにおける可変表示結果が「大当り」となる確率が高められることにより、遊技者にとって有利な状態となる。大当り遊技状態とは異なる遊技者にとって有利な遊技状態は、特別遊技状態とも称される。」


オ 「【0107】
この実施の形態では、入賞時乱数値判定処理(図14参照)において、始動入賞の発生に基づき、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン種別決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、可変表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されることを指定する値や、大当り種別を指定する値を設定し、演出制御基板12に対して送信する制御を行う。また、変動カテゴリコマンドのEXTデータに判定結果としての乱数値MR3が含まれる決定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御基板12に対して送信する制御を行う。演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120は、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、可変表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されるか否か、大当り種別を認識できるとともに、変動カテゴリコマンドに設定されている値に基づいて、変動パターン種別決定用の乱数値MR3が所定範囲の決定値に含まれる場合には変動パターン種別を認識できる。」

カ 「【0222】
また、この実施の形態では、図17に示すように、高ベース状態である場合には、低ベース状態である場合と比較して、普通図柄の変動表示結果が当りとなる確率を高める(普図高確率)ことによって、高ベース状態である場合には可変入賞球装置6Bが開状態となる頻度が高くなるようにして始動入賞しやすくするが、このような態様に限られない。例えば、高ベース状態であるときと低ベース状態であるときとで普通図柄の変動表示結果が当りとなる確率は同じであるものの、高ベース状態である場合には、低ベース状態である場合と比較して、可変入賞球装置6Bが開状態となる時間(図17に示す普通電動役物開放時間)を長くすることによって、高ベース状態である場合には始動入賞しやすくなるように構成してもよい。」

キ 「【0253】
図21は、入賞報知演出設定処理として、図19のステップS161にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図21に示す入賞報知演出設定処理において、演出制御用CPU120は、まず、開放報知演出実行中フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS731)。開放報知演出実行中フラグは、開放報知演出の実行中であるときにセットされる。開放報知実行中フラグがセットされていない場合には(ステップS731;No)、入賞報知演出を実行しないため、入賞報知演出を終了する。
【0254】
開放報知実行中フラグがセットされていれば(ステップS731;Yes)、遊技状態が高ベース状態であるか否かを判定する(ステップS732)。なお、遊技状態は、主基板11から送信される遊技状態指定コマンドから特定すればよい。高ベース状態である場合には(ステップS732;Yes)、入賞報知演出設定処理を終了する。
【0255】
このように、高ベース状態である場合には入賞報知演出設定処理を終了することで、入賞報知演出を実行しないようになっている。高ベース状態では、普通可変入賞球装置6Bが拡大開放状態となる頻度が高いため、入賞報知演出を実行すると演出が頻繁に行われて煩わしくなるおそれがある。そこで、この実施の形態では、高ベース状態である場合には、入賞報知演出を実行しないようになっている。なお、高ベース状態である場合であっても、入賞報知演出を実行するようにしてもよい。この場合、入賞報知演出の頻度を下げたり、演出態様を控えめにする等、開放報知演出を制限してもよい。
【0256】
高ベース状態でない場合には(ステップS732;No)、大当り遊技状態であるか否かを判定する(ステップS733)。大当り遊技状態であるか否かは、例えば演出制御プロセスフラグの値で確認される。その場合、演出制御用CPU120は、演出制御プロセスフラグの値が6以上であるときに大当り遊技状態であると判定すればよい。大当り遊技状態である場合には(ステップS733;Yes)、入賞報知演出設定処理を終了する。
【0257】
このように、大当り遊技状態である場合には入賞報知演出設定処理を終了することで、入賞報知演出を実行しないようになっている。これにより、大当り遊技状態においては、大当り遊技状態における演出を優先的に実行することができる。そして、大当り遊技状態における演出に入賞報知演出が割り込むことによる演出効果の低下を防止できる。なお、大当り遊技状態である場合であっても、入賞報知演出を実行するようにしてもよい。この場合、入賞報知演出の頻度を下げたり、演出態様を控えめにする等、入賞報知演出の実行を制限してもよい。
【0258】
・・・略・・・
【0259】
大当り遊技状態でもない場合には(ステップS733;No)、入賞報知演出実行中フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS734)。入賞報知演出実行中フラグは、入賞報知演出の実行中であるときにセットされる。入賞報知実行中フラグがセットされていない場合には(ステップS734;No)、新たな第2入賞指定コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS735)。
【0260】
ここで、第2入賞指定コマンドは、第2始動口入賞指定コマンドまたは第2オーバー入賞指定コマンドである。この実施の形態では、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口への有効入賞のみならず無効入賞(保留の上限を超えた入賞)に基づいて、入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようになっている。ステップS735では、その入賞報知演出の実行条件となる第2始動入賞口への入賞があったか否かを判定している。なお、この実施の形態では、第2入賞指定コマンドに基づいて第2始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようになっているが、第1始動口入賞指定コマンドまたは第1オーバー入賞指定コマンドに基づいて第1始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようにしてもよい。」

ク 「【0263】
ステップS736の処理に続いて、カウンタNの値に応じた入賞報知演出Nの実行を開始する(ステップS737)。即ち、1回の報知条件の成立期間における普通可変入賞球装置6Bへの入賞数に応じた入賞報知演出を開始する。この実施の形態では、図22に示すように、カウンタN(入賞数)に応じて、「ワン(1)」、「ツー(2)」、「スリー(3)」、「フォー(4)」等といった数字の音声をスピーカ8L、8Rから出力する入賞報知演出が実行されるようになっている。ステップS737では、例えば、ROM121に格納される入賞報知演出Nに対応した演出制御パターンを選択し、当該演出制御パターン(音声制御データ)に基づく演出を開始すればよい。
【0264】
このように、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、入賞報知演出を実行することで、普通可変入賞球装置6Bへの入賞数を強調して報知することができる。また、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、複数の遊技球が入賞したことを強調できるので、遊技者に対して特別感を与えることができる。また、1回の報知条件の成立期間における普通可変入賞球装置6Bへの入賞数をカウンタNにより演出制御基板12の側でカウントするので、主基板11では、入賞数を記憶する必要がない。従って、主基板11側の制御負担を抑えつつ入賞数に応じた入賞報知演出を実行することができる。
【0265】
なお、図22に示す入賞報知演出の演出態様は一例であって、1回の報知条件の成立期間における普通可変入賞球装置6Bへの入賞を報知できる演出であれば、これに限定されない。また、入賞報知演出は音声を出力するものに限定されず、画像表示装置5における画像表示、遊技効果ランプ9の点灯、演出用の可動部材の動作、これらの任意の組み合せにより実行するようにしてもよい。音声を出力する入賞報知演出の場合、入賞数に応じて音量や音階を上げていくようなものであってもよい。また、入賞報知演出の対象となる入賞に基づいて保留表示予告となる先読み予告演出を実行する場合には、特別な入賞報知演出を実行するようにしてもよい。例えば、普通可変入賞球装置6Bへの入賞があったことに対応して、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける保留記憶表示を特別態様で表示する場合には、図22に示す音声に代えて、カウンタN(入賞数)に応じて、「イチ(1)」、「ニー(2)」、「サン(3)」、「シー(4)」等といった数字(日本語)の音声(特別な音声)を出力する特別な入賞報知演出を実行するようにしてもよい。」

ケ 「【0270】
続いて、開放報知演出及び入賞報知演出が実行される場合の具体例について説明する。図23は、開放報知演出及び入賞報知演出が実行される場合の主基板及び演出制御基板で実行される制御を示すタイミングチャートである。図23に示すように、普図当りとなる普通図柄の可変表示が開始されるときに、普図変動開始(当り)コマンドが、主基板11から演出制御基板12に送信される。なお、遊技状態は低ベース状態である。演出制御基板12では、普図変動開始(当り)コマンドを受信すると、開放報知演出の実行を待機する。そして、普通図柄の表示結果が普図当りとなる所定時間(例えば1秒)前に、第2始動入賞口が開放することを報知する開放報知演出が開始される。このように、普図当りとなって第2始動入賞口が開放する所定時間前に、開放報知演出を開始することで、遊技者は第2始動入賞口を狙って遊技球を発射することができる。なお、開放報知演出の実行開始タイミングはこれに限定されず、少なくとも第2始動入賞口が開放することまたは開放していることを報知できればよい。
【0271】
そして、開放した第2始動入賞口に遊技球が入賞するたびに、第2入賞指定コマンド(第2始動口入賞指定コマンドまたは第2オーバー入賞指定コマンド)が主基板11から演出制御基板12に送信され、演出制御基板12では、当該コマンドに基づいて異なる音声を出力する入賞報知演出が実行される。なお、図23に示すように、一の入賞報知演出(「ツー」の音声出力)が終了する前に、新たな入賞が発生した場合には、当該一の入賞報知演出が終了してから、次の入賞報知演出(「スリー」の音声出力)が実行されるように制御される。これにより、音声が重なることがなく各入賞報知演出がわかりやすくなる。なお、音声を重ねて出力するようにしてもよく、その場合和音となるように各入賞演出の音声を設定してもよい。」

コ 「【0341】
また、開放報知演出は、低ベース状態であって普通可変入賞球装置6Bが開放中に実行される。そして、入賞報知演出は、低ベース状態であって普通可変入賞球装置6Bに遊技球が入賞すると実行される。従って、開放報知演出と入賞報知演出とは同時に実行される。従って、これらの音声の再生に使用される再生チャンネルは異なっている。図31に示すように、開放報知演出の音声の再生には再生チャンネル24、25が使用され、入賞報知演出の音声の再生には再生チャンネル26、27が使用される。このように、再生チャンネルを異ならせることで、開放報知演出と入賞報知演出の演出音が干渉することを防止できる。そして、開放報知演出と入賞報知演出とが重複して実行される場合であっても、それぞれの演出の音声を再生・出力することができる。」

サ 「【0352】
図35は、開放報知演出及び入賞報知音の詳細を示すタイムチャートである。遊技状態が低ベース状態であって、特別図柄の可変表示中等において、遊技球が通過ゲート41を通過すると、普通図柄表示器20において普通図柄の可変表示が実行される。ここで、普通図柄の表示結果が普図当りとなると、可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口が開放状態となる。このとき、第2始動入賞口が開放状態となる所定時間(例えば1秒)前に、開放報知演出が実行される。具体的には、再生チャンネル25、26において、開放報知演出の音声が再生される。そして、解放状態となった第2始動入賞口に遊技球が入賞すると、入賞報知演出が実行される。具体的には、再生チャンネル27、28において、入賞報知演出に対応した入賞報知音が再生される。この実施の形態では、図35に示すように、一の入賞報知演出が終了する前に、さらに入賞が発生した場合には、一の入賞報知演出が終了した後に次の入賞報知演出が実行される。なお、入賞報知音を出力するチャンネルを複数設けて、複数の入賞報知音を同時に出力できるようにしてもよい。」

シ 「【0359】
上記実施の形態や変形例では、低ベース状態において普図当りとなると可変入賞球装置(普通電動役物)6Bが1秒間1回開放するようになっていた。そして、その1秒間の間に入賞した入賞数に応じた入賞報知演出が実行されるようになっていた。これに対して、普図当りとなると可変入賞球装置6Bが複数回開放する場合には、複数回の合計入賞数に応じた入賞報知演出を実行するようにしてもよい。これにより、1回の普図当りにおける入賞数を強調することができる。また、何回目の開放において入賞したかに応じて入賞報知演出の演出態様を異ならせてもよい。
【0360】
また、低ベース状態において普図当りとなって、入賞報知演出を実行する報知条件が成立した後、所定期間内に再度普図当りとなった場合、前回の入賞数を引き継いだ入賞報知演出を実行するようにしてもよい。例えば、1回普図当りとなって可変入賞球装置6Bが開放状態となり、開放開始後(あるいはその開放が終了した後)、所定期間(例えば10秒)以内に再度普図当りとなった場合(あるいはその普図当りに対応した開放中に遊技球が入賞した場合)には、前回の入賞数を引き継いだ入賞報知演出を実行するようにしてもよい。このようにすることで、より多くの入賞数を報知する機会が増え、低ベース状態における入賞数をより強調することができる。」

ス 「



セ 「



ソ 「



タ 「



チ 上記ア?タの記載事項、および、図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?fは、本願発明のA?Fに対応させて合議体にて付与した。)。

「a 第1始動入賞口や第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞の発生に基づき、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン種別決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定するパチンコ遊技機であって(【0012】、【0021】、【0107】)、
b 画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられ、普通入賞球装置6Aは、所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成し、普通可変入賞球装置6Bは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が通過(進入)しがたい通常開放状態となり、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態となる第2始動入賞口を形成しており(【0024】、【0025】)、
c 遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており(【0033】)、
d 遊技状態として、時短制御と高開放制御がともに行われる高ベース状態と、時短制御や高開放制御が行われない低ベース状態を備え(【0077】、【0270】、【0352】)、
高ベース状態である場合には、低ベース状態である場合と比較して、可変入賞球装置6Bが開状態となる頻度が高くなるようにして第2始動口は始動入賞しやすくなっており(【0222】) 、
低ベース状態であって普通可変入賞球装置6Bが開放中に実行される開放報知演出と、低ベース状態であって普通可変入賞球装置6Bに遊技球が入賞すると実行される入賞報知演出と(【0341】)を備え、
高ベース状態ではない場合で(【0256】)、大当り遊技状態でもない場合には(【0259】)、入賞報知演出の実行中であるときにセットされる入賞報知演出実行中フラグがセットされているか否かを判定し(【0259】)、入賞報知実行中フラグがセットされていない場合には、第2始動入賞口への有効入賞のみならず無効入賞(保留の上限を超えた入賞)に基づいて、入賞があったことを報知する入賞報知演出が実行され(【0260】)、
入賞報知演出は、音声を出力するものである(【0271】)、
f パチンコ遊技機(【0012】)。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の構成aの「第1始動入賞口や第2始動入賞口」、「通過(進入)することによる始動入賞の発生に基づき」、「「大当り」に決定されるか否か」、「乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定する」、「パチンコ遊技機」は、それぞれ本願発明の特定事項Aの「所定の入球口」、「入球することを契機として」、「大当たりを付与するか否か」、「当否抽選を行う」、「遊技機」に相当することは明らかである。
よって、引用発明の構成aは、本願発明の特定事項Aに相当する。
また、引用発明の構成fは、本願発明の特定事項Fに相当する。

(b)引用発明の「第1始動入賞口」、「第2始動入賞口」は、それぞれ本願発明の「第一入球口」、「第二入球口」に相当する。
よって、引用発明の構成bは、本願発明の特定事項Bに相当する。

(c)引用発明の「効果音等」、「スピーカ8L、8R」は、それぞれ本願発明の「演出用の音」、「音出力装置」に相当する。
よって、引用発明の構成cは、本願発明の特定事項Cに相当する。

(d)引用発明では、「遊技状態として、時短制御と高開放制御がともに行われる高ベース状態と、時短制御や高開放制御が行われない低ベース状態を備え」ており、「高ベース状態である場合には可変入賞球装置6Bが開状態となる頻度が高くなるようにして第2始動口は始動入賞しやすくなっており」、第1始動入賞口は、「所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれ」ているものであって、「低ベース状態」では、第2始動入賞口を形成している「可変入賞球装置6B」は、開状態となる頻度が高くないことから、「可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が通過(進入)しがたい通常開放状態」となっている頻度が高いといえる。
そうすると「低ベース状態」では、「常に一定の開放状態に保たれ」ている第1始動入賞口と比較すると、「可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が通過(進入)しがたい」第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しがたいといえる。
よって、引用発明の「低ベース状態」は、本願発明の「前記第二入球口の方が前記第一入球口よりも遊技球が入球しにくい遊技状態」に相当する。
また、引用発明の「第2始動入賞口」、「効果音等」、「スピーカ8L、8R」が、それぞれ本願発明の「第二入球口」、「効果音等」、「スピーカ8L、8R」に相当することは上記(b)及び(c)のとおりであるから、引用発明の構成dは、本願発明の特定事項Dに相当する。

(e)上記(a)?(d)によれば、本願発明と引用発明は、
「A 所定の入球口に遊技球が入球することを契機として大当たりを付与するか否かの当否抽選を行う遊技機であって、
B 前記所定の入球口として設けられた第一入球口および第二入球口と、
C 演出用の音を出力する音出力装置と、
を備え、
D 前記第二入球口の方が前記第一入球口よりも遊技球が入球しにくい遊技状態にあるとき、前記第二入球口については遊技球が入球した場合に前記音出力装置を通じて所定の効果音が出力される、
F 遊技機。」

の点で一致し、次の点で相違する。

・相違点(特定事項E)
「前記第二入球口の方が前記第一入球口よりも遊技球が入球しにくい遊技状態にあるとき」に、本願発明では、「前記第一入球口については遊技球が入球した場合であっても効果音が出力されないように設定されている」のに対して、引用発明では、「第1始動口」に「入賞」があったとき、音声を出力する「入賞報知演出」を実行するのか否か明確ではない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
引用文献1の【0260】には、
「ここで、第2入賞指定コマンドは、第2始動口入賞指定コマンドまたは第2オーバー入賞指定コマンドである。この実施の形態では、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口への有効入賞のみならず無効入賞(保留の上限を超えた入賞)に基づいて、入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようになっている。ステップS735では、その入賞報知演出の実行条件となる第2始動入賞口への入賞があったか否かを判定している。なお、この実施の形態では、第2入賞指定コマンドに基づいて第2始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようになっているが、第1始動口入賞指定コマンドまたは第1オーバー入賞指定コマンドに基づいて第1始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようにしてもよい。」
と記載されており(下線部は関連する箇所として合議体が付した。)、特に下線部の記載によれば、実施の形態では、第2始動入賞口への入賞があったときにだけ入賞報知演出を実行するようになっていたものを、付加的に第1始動入賞口への入賞があったときにも入賞報知演出を実行してもよい、すなわち、第1始動入賞口への入賞があったときにも第2始動入賞口への入賞があったときのように入賞報知演出を実行しても差しつかえない、と第1始動入賞口への入賞があったときに「入賞報知演出を実行」するという選択も可能であることが記載されている(以下「引用文献1の記載事項」という。)といえること、
同【0264】には、
「このように、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、入賞報知演出を実行することで、普通可変入賞球装置6Bへの入賞数を強調して報知することができる。また、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、複数の遊技球が入賞したことを強調できるので、遊技者に対して特別感を与えることができる。・・・略・・・」
と普通可変入賞装置6Bへの入賞数を強調して報知すると記載されていること、
引用文献1の記載全体を通して、実施の形態としては、第1始動入賞口に入賞した場合に入賞報知演出を実行することが記載されていないこと、
を総合的に勘案すると、当業者であれば、少なくとも、引用文献1の段落【0260】における上記記載から、第1始動入賞口への入賞があったときには入賞報知演出を実行しないという選択を行い、上記相違点に係る本願発明の特定事項に想到することは容易になし得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明及び引用文献1の記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)請求人の主張
請求人は、令和2年2月18日付けの審判請求書において、概略、次のように主張している。
「審査において、『段落0260の「・・・するようにしてもよい。」との記載は、引用文献1に記載された発明を、第1始動口に入賞があった場合に報知音を出力するものに限定するものではなく、第1始動口に入賞があった場合に報知音を出力するか否かは選択可能であることを示唆するものにすぎないから、先の拒絶理由における引用文献1に記載された発明の認定は、この点について特定していなくても、誤ったものであるとまではいえない。』とされている。
しかし、令和1年5月15日付拒絶理由通知においては、『引用文献1には、第二入球口に入球した際の入賞報知音に関する記載はあるが、第一入球口に入球した際の入賞報知音に関する記載がない』(下線は出願人が付した)とされている。
つまり、同拒絶理由通知では『第一入球口に入球した際の入賞報知音』に関する『記載がない』とされているのに、拒絶査定時には『第1始動口に入賞があった場合に報知音を出力するか否かは選択可能であることを示唆する』ものであるとする認定を『引用文献1(段落0260)の記載』に基づき行っている。すなわち、第一入球口(第1始動口)に入球した際の入賞報知音に関し、拒絶理由通知時には引用文献1に記載がないとし、拒絶査定時には引用文献1に記載がある(段落0260)とされているのであるから、拒絶理由通知時と拒絶査定時とで、引用文献1に記載される発明の認定が異なることは明らかである。
よって、原出願の審査手続は特許法第50条に違反するものであり原査定は取り消されるべきものである。
なお、以下の3-2)にて行う主張は、拒絶査定時に示された判断(段落0260の記載に基づく引用発明の認定)を前提として行った。また、以下の3-2)にて行う主張は、拒絶査定時に示された認定(段落0260の記載に基づく引用発明の認定)を知ることによってはじめて行うことができるものであって、拒絶理由通知時に示された認定(第一入球口に入球した際の入賞報知音に関する『記載がない』とされた判断)に対して行うこと(同拒絶理由通知書に対する意見書にて行うこと)は不可能であったことを考慮していただきたい。」
そこで、上記主張について検討する。
上記(3)で述べたとおり第1始動入賞口に入賞した場合に入賞報知演出を実行することは、引用文献1では、実施の形態としての記載はなく、請求人が主張するように「拒絶理由通知時と拒絶査定時とで、引用文献1に記載される発明の認定が異なることは明らかである。」とはいえないことから、請求人の主張は採用することができない。

また、請求人は同審判請求書において、次のように主張している。
「3-2)引用文献1の段落0260の記載の解釈について
(イ)上記の通り、審査では引用文献1の段落0260の記載に関し、
『段落0260の「・・・するようにしてもよい。」との記載は、・・・第1始動口に入賞があった場合に報知音を出力するか否かは選択可能であることを示唆するものにすぎない』
『・・・効果音を出力しない方を選択した場合には、本願の請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明との間に構成上の差異はなくなる』
とされている。
これに基づけば、段落0260には、
「第1始動口に入賞があった場合に報知音(効果音)を出力する」構成と、
「第1始動口に入賞があった場合に報知音(効果音)を出力しない」構成
の両方が開示されていると判断しているものと認められる。
しかし、以下の理由から、引用文献1には「第1始動口に入賞があった場合に報知音(効果音)を出力しない」構成が開示されているとは認められないというべきである。
「○○するようにしてもよい。」との記載は、あくまで「○○する」ことを促す記載であって、「○○しない」ことまでをも開示するものであるとは認められない。審査においてなされたように「選択可能」であることを示したいのであれば、「○○してもよいし、○○しなくてもよい」といった記載とする(一方の事柄だけでなく、その逆も明記する)のが通常である。
また、引用文献1の段落0260は特許明細書の一部である。特許明細書において、「○○するようにしてもよい。」とする表現は数多く見受けられるところ、特許審査において、このような記載のみをもって「○○しない」ことまでも特許明細書に記載されている(補正として請求項に追加する(以下、クレームアップと称する)ことが可能な事項である)と解釈されないはずである。仮に、審査のように判断されるのであれば、特許明細書である引用文献1の段落0260の記載のみに基づき、「第1始動口に入賞があった場合に報知音(効果音)を出力しない」構成をクレームアップする補正がいわゆる新規事項の追加(特許法第17条の2第3項)に該当しないということになるが、このような判断はなされていないはずである(「第1始動口に入賞があった場合に報知音を出力しない」構成をクレームアップする補正は新規事項の追加であると判断されるはずである)。
このように、クレームアップされたと仮定すれば新規事項の追加に該当するとされる事項が引用発明として開示されていると認定は妥当性を欠くものであると思料する。特許明細書は、新規発明公開の代償として公開されるものである(特許法第1条)から、特許明細書に記載される発明を引用発明として提示する場合、当該明細書に記載されていると判断されるべき事項は、少なくとも補正により請求項に追加することができる事項でなければならないというべきである。
なお、仮に、特許文献に関し、「審査対象となる」とき(「審査される側」であるとき)と、「引用文献として採用される」とき(他の特許出願を「拒絶する側」として採用されるとき)とでは、特許明細書等の記載の解釈が異なることが許されるというのであれば、その理由を示していただきたい。」
そこで、上記主張について検討する。
上記(3)で説示したとおり、第1始動入賞口への入賞があったときに「入賞報知演出を実行」するという選択も可能であることが記載されているといえるから「しかし、以下の理由から、引用文献1には「第1始動口に入賞があった場合に報知音(効果音)を出力しない」構成が開示されているとは認められないというべきである。」という主張は妥当ではなく採用することができない。
また、「仮に、審査のように判断されるのであれば、特許明細書である引用文献1の段落0260の記載のみに基づき・・・」以下の主張については、事案によって個別具体的に判断されるべき事項であり、当審で判断すべき事項ではない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


(付記)
本願発明は、上記5のとおり引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるが、次のとおり、本願発明は、引用発明と同一であると判断する余地があるため付記する。

当審では、上記4(1)で説示したとおり引用発明を認定したものの、
引用文献1の【0260】には、
「・・・略・・・
なお、この実施の形態では、第2入賞指定コマンドに基づいて第2始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようになっているが、第1始動口入賞指定コマンドまたは第1オーバー入賞指定コマンドに基づいて第1始動入賞口への入賞があったことを報知する入賞報知演出を実行するようにしてもよい。」
と記載されており(下線部は関連する箇所として合議体が付した。)、特に下線部の記載のよれば、実施の形態では、第2始動入賞口への入賞があったときに入賞報知演出を実行するようになっていたものを、第1始動入賞口への入賞があったときにも入賞報知演出を実行するしてもよい、すなわち、第1始動入賞口への入賞があったときにも第2始動入賞口への入賞があったときのように入賞報知演出を実行しても差しつかえない、という「入賞報知演出を実行」するという選択が可能であることが記載されているといえること、
同【0255】には、
「このように、高ベース状態である場合には入賞報知演出設定処理を終了することで、入賞報知演出を実行しないようになっている。高ベース状態では、普通可変入賞球装置6Bが拡大開放状態となる頻度が高いため、入賞報知演出を実行すると演出が頻繁に行われて煩わしくなるおそれがある。そこで、この実施の形態では、高ベース状態である場合には、入賞報知演出を実行しないようになっている。なお、高ベース状態である場合であっても、入賞報知演出を実行するようにしてもよい。この場合、入賞報知演出の頻度を下げたり、演出態様を控えめにする等、開放報知演出を制限してもよい。」
と記載されていることから、入賞報知演出が頻繁に行われて煩わしくなることを避けることが記載されているといえること(すなわち、第1始動入賞口は、所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれており、いずれの遊技状態でも一定数の入賞がある。)、
同【0264】には、
「このように、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、入賞報知演出を実行することで、普通可変入賞球装置6Bへの入賞数を強調して報知することができる。また、始動入賞が発生しづらい低ベース状態において、複数の遊技球が入賞したことを強調できるので、遊技者に対して特別感を与えることができる。・・・略・・・」
と普通可変入賞装置6Bへの入賞数を強調して報知すると記載されていること、
引用文献1の明細書及び図面の全体を通して、実施の形態としては、第1始動入賞口に入賞した場合に入賞報知演出を実行することが記載されていないこと、
から、引用文献1には、高ベース状態、低ベース状態のいずれの遊技状態においても、第1始動入賞口に入賞したときに入賞報知演出を実行しないことが記載されているといえる。
そうすると、上記4(2)で説示した相違点は引用文献1に記載されていることになるから、当付記で説示した点を含めて引用発明を認定すると、本願発明と引用発明とは同一であり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2020-09-30 
結審通知日 2020-10-06 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2018-182550(P2018-182550)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有賀 綾子齋藤 智也  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  
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