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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1369454
審判番号 不服2019-6303  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-15 
確定日 2020-12-18 
事件の表示 特願2017-244806「可変焦点型液体充填レンズ機構体」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018- 72853〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1手続の経緯 事案の概要
特願2017-244806号(以下、「本件出願」という。)は、2010年(平成22年)2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年3月6日、米国、2009年2月13日、米国(以下、2009年2月13日を、「本件優先日」という。))を国際出願日とする特願2011-550220号の一部を平成27年11月13日に新たな特許出願とした特願2015-223344号の一部を平成29年12月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成30年 1月22日提出:上申書
平成30年 1月22日提出:手続補正書
平成30年10月 1日付け:拒絶理由通知書
平成31年 1月 8日提出:意見書
平成31年 1月 8日提出:手続補正書
平成31年 1月 9日付け:拒絶査定
令和 元年 5月15日提出:審判請求書
令和 元年 5月15日提出:手続補正書
令和 元年 8月 6日提出:上申書
令和 2年 2月 5日付け:拒絶理由通知書(以下、この拒絶理由通知書により通知した拒絶の理由を、「当審拒絶理由」という。)
令和 2年 6月 9日提出:意見書
令和 2年 6月 9日提出:手続補正書

第2 本願発明
本件出願の請求項1?請求項17に係る発明は、令和2年6月9日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項17に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のものである。
「 可変焦点型光学器械を備え、その光学強度を変化させる機構体であって、前記可変焦点型光学器械は、可変量の流体で満たされているキャビティを備えた光学コンポーネントと、追加の流体を収容すると共に前記光学コンポーネントの前記キャビティと流体連通状態にあるリザーバとを有し、前記機構体は、
前記リザーバを密封するダイヤフラムと、
アクチュエータとを有し、前記アクチュエータは、サムホイール、バレル、クランプ又はレバーを備え、前記サムホイール、前記バレル、前記クランプ又は前記レバーの動きに応答して前記リザーバに対する前記ダイヤフラムの運動を生じさせて前記リザーバ内における圧力を増減するように構成されており、
前記リザーバ内の上昇した圧力は前記リザーバの流体を前記光学コンポーネントの前記キャビティ内へ押し出し、前記リザーバ内の低下した圧力は前記光学コンポーネントの前記キャビティの流体を前記リザーバの中に引き出し、
前記光学コンポーネントの前記キャビティ内における流体の量の変化により、前記光学器械の前記光学強度が変化し、
前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムに当たるプランジャを有し、前記プランジャは、前記ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くことができ、これにより、前記ダイヤフラムの方へ向かう前記プランジャの運動が、前記リザーバ内の圧力を上昇させ、前記ダイヤフラムから遠ざかる前記プランジャの運動が前記リザーバ内の圧力を低下させる、機構体。」

第3 当審拒絶理由の概要
本願発明に対する当審拒絶理由のうち、「理由2(進歩性)」(引用文献1を主引用例とする場合)は、概略、以下のとおりである。

理由2(進歩性)(引用文献1を主引用例とする場合)
本願発明は、本件優先日前に日本国内または外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開平4-323613号公報
引用文献2:特開昭60-51801号公報
引用文献3:仏国特許出願公開第1602997号明細書
引用文献4:特表2008-517663号公報
引用文献5:米国特許第7369321号明細書
引用文献6:国際公開第2008/050114号
引用文献7:国際公開第2008/007077号
引用文献8:特表2002-507757号公報
引用文献9:特開平10-206609号公報
引用文献10:特開平4-285907号公報

第4 当審拒絶理由の「理由2(進歩性)」(引用文献1を主引用例とする場合)についての判断
1 引用例に記載された事項及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由に引用された特開平4-323613号公報(以下、「引用文献1」という。)は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある(当合議体注:下線は当合議体が付した。以下、同じ)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 剛性の枠体によって規定され、少なくとも1つのレンズ面が可撓性で透明に形成され、両レンズ面の内部に光透過特性が大きな液体を密封状態で収容したレンズ本体と、上記レンズ本体の上記液体と連通し、上記液体量を増減して上記レンズ本体の上記可撓性のレンズ面の表面形態を変化させることにより上記レンズ本体の光学特性を可変的に定めるようにする液体圧可変手段と、を具備したことを特徴とする眼鏡装置。
【請求項2】 上記液体圧可変手段は上記眼鏡装置のフレーム内に設けられたシリンダおよびピストンから成るポンプ装置からなり、上記ピストンを操作するピストン操作手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の眼鏡装置。
【請求項3】 上記ピストン操作手段は上記フレーム内に設けられた電気的モータと、そのモータを予め決定されている上記レンズ本体の光学特性に対応して制御するモータ制御手段とからなることを特徴とする請求項2記載の眼鏡装置。」

イ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は眼鏡装置、より詳細には眼鏡装置のレンズ本体の光学特性を可変にする構成を含んだ眼鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、老眼矯正のためには、近視用の眼鏡と老眼用の眼鏡を併用するか、あるいは単一のレンズに近視用と老眼用の2つの異なった光学特性を有する特殊なレンズを用いる必要があった。
【0003】前者の近視用と遠視用の別々の眼鏡を選択して使用することは煩わしく、かつ一方の眼鏡を常に携帯する必要がある。他方、後者の特殊レンズを用いる方法ではその使用に特殊な訓練を必要とし、かつ往々その誤使用の結果人命的な事故に遭遇する場合がある。またいずれの方法においても、矯正のための最適なレンズ特性を容易に、簡便に得ることは困難である。すなわち、例えば、老眼の進行に対応して最適矯正を維持することは、従来技術において、眼鏡のレンズの交換以外はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明により解決しようとする課題は、従来の上述した老眼用の眼鏡の併用並びに近視および遠視両用レンズの使用に関連した問題点を全て解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来技術の問題点を、レンズ本体の光学特性を可変にする構成を眼鏡本体に設けることによって解決する。より詳細には、この構成は、剛性の枠体によって規定され、少なくとも1つのレンズ面が可撓性で透明に形成され、両レンズ面の内部に光透過特性が大きな液体を密封状態で収容したレンズ本体と、上記レンズ本体の上記液体と連通し、上記液体量を増減して上記レンズ本体の上記可撓性のレンズ面の表面形態を変化させることにより上記レンズ本体の光学特性を可変的に定めるようにする液体圧可変手段とからなる。」

ウ 「【0006】
【実施例】図1は本発明を組み込んだ眼鏡装置10を正面から見た図であり、図で、12は剛性の枠体14で規定されたレンズ本体を示す。2つのレンズ本体12は接続体16で連結されている。通常の態様で、レンズ本体12はそれぞれ眼鏡装置をそれぞれの耳で保持する保持体18と屈曲部20で結合されている。レンズ枠体14、接続体16、保持体18は眼鏡のフレームを形成する。
【0007】図2は図1の眼鏡装置の断面略図であり、22は薄い透明ガラス、26は伸縮自在のフィルム、28は伸縮自在のフィルムの外側表面に設けられたフィルム保護用のプラスチック、24は透明ガラス22と伸縮自在のフィルム26間に収容された液体である。これら要素22、24、26、28はレンズ本体12を形成する。本発明によれば、液体24はシリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34と連通する。レンズ本体12内で液体24は密封される。この目的のため枠体14にはシール36が設けられる。液体24はレンズ本体12のほぼ全面に及んでいる。ポンプ装置34のピストン32が移動すると、それに応じてレンズ本体内の液体24による内圧が変化し、それにより、伸縮自在のフィルム26の形態が変化する。そのフィルム26の周囲は枠体14により規定されている。従って、フィルム26は枠体14から最も離れた点が最大に変位する。従って、液体26の内圧が変化すれば、液体26(当合議体注:直前の2箇所の「液体26」は、「液体24」の誤記である。)は凸レンズあるいは凹レンズの形態で変化する。
・・・略・・・
【0009】液体注入および排出用のポンプ装置34は好ましくは眼鏡のフレームの保持体18の内部に設けられており、そのピストン32の操作は、レンズ本体12の物理的レンズ特性を決定する。すなわち、レンズ本体12で構成されるレンズの焦点を定める。ピストン32のピストン操作ロッド38を外部から手動にて操作されてもよく、その場合、複数のスライド位置で選択的に固定されるように構成されてもよい。あるいは、連続的な焦点位置変化を与えることが出来るように、機械的に無段固定位置を有するように構成してもよい。
【0010】ポンプ装置34のピストンを手動で操作することに代えて、電気的モータ40で操作することが可能である。このようなモータとして、例えば腕時計用の超小型モータを電池42と制御回路44に関連して使用可能である。これら要素はいずれもフレームの保持部分18内に収容されてもよい。モータ40の回転軸はピストン32の操作ロッド38と係合する。モータの回転をピストンの直線運動に変えるために、ピニオンおよびギヤ構成が使用されてもよい。制御回路44は、レンズ本体12の複数の異なった物理的光学特性に対応するそれぞれのプログラムを予め備えてもよく、その場合、外部からのスイッチ操作でプログラムが選択される。あるいは、制御回路44を外部から操作して、連続的にレンズ部分12の焦点をモータ40の制御で変化させ、適当な焦点位置でモータ40を停止して、その焦点位置のレンズ本体の物理的光学特性状態に固定するように構成してもよい。
・・・略・・・
【0012】眼鏡装置10の実施例の以上の説明において、一方のレンズ本体12に関連して説明されたが、同様の構成を他方のレンズ部分に関連して設けてもよく、あるいは同一の物理的レンズ特性を両レンズ本体で呈するようにするために、両レンズ本体12の液体を連通させ一つのポンプ装置34で制御するようにしてもよい。
【0013】
【発明の効果】以上で説明した本発明の眼鏡装置を持ってすれば、単一の遠近両用の眼鏡が与えられ、従って、近視用の眼鏡と遠視用の眼鏡を掛け代える必要はなく、また従来のような遠近両用レンズと異なり、使用のための特殊な訓練は不用である他、多種多様の物理的光学特性に簡単な操作でレンズ本体を変えることができ、常に最適な矯正状態で単一の眼鏡を使用できるという効果を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の眼鏡装置の正面図。
【図2】本発明一実施例の眼鏡装置の部分断面概略図。
【符号の説明】
12 レンズ本体
22 薄い透明ガラス
24 液体
26 伸縮自在のフィルム
30 シリンダ
32 ピストン
34 ポンプ装置
40 電気的モータ
42 電池
44 制御回路


エ 「【図1】



オ 「【図2】



(2) 引用発明
イ 引用文献1の【0005】の【課題を解決するための手段】、【実施例】の【0007】、【0009】、【0010】の記載及び「本発明を組み込んだ眼鏡装置10を正面から見た図であ」る【図1】、「図1の眼鏡装置の断面略図であ」る【図2】とからみて、引用文献1には、「眼鏡本体に設け」られ、「レンズ本体12の光学特性を可変的に定めるようにする構成」の発明として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「 眼鏡本体に設けられ、レンズ本体12の光学特性を可変的に定めるようにする構成であって、
剛性の枠体14によって規定され、少なくとも1つのレンズ面が可撓性で透明に形成され、両レンズ面の内部に光透過特性が大きな液体24を密封状態で収容したレンズ本体12と、上記レンズ本体12の上記液体24と連通し、上記液体24の量を増減して上記レンズ本体12の上記可撓性のレンズ面の表面形態を変化させることにより上記レンズ本体12の光学特性を可変的に定めようにする液体圧可変手段とからなり、
レンズ本体12は、透明ガラス22、透明ガラス22と伸縮自在のフィルム26間に収容された液体24、伸縮自在のフィルム26、伸縮自在のフィルム26の外側表面に設けられたフィルム保護用のプラスチック28から形成され、
液体24はシリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34と連通し、
ポンプ装置34のピストン32が移動すると、それに応じてレンズ本体12内の液体24による内圧が変化し、それにより、伸縮自在のフィルム26の形態が変化し、液体24は凸レンズあるいは凹レンズの形態で変化し、
液体注入および排出用のポンプ装置34のピストン32の操作は、レンズ本体12で構成されるレンズの焦点を定め、
ポンプ装置34のピストン32を電気的モータ40で操作し、電気的モータ40の回転軸はピストン32の操作ロッド38と係合する、
眼鏡本体に設けられ、レンズ本体12の光学特性を可変的に定めるようにする構成。」
(当合議体注:符号が付されていない「レンズ本体」、「枠体」及び「液体」は、符号付きの「レンズ本体12」、「枠体14」及び「液体24」に統一して記載した。また、「上記液体量」を、「上記液体24の量」と記載した。)

(3) 引用文献3
当審拒絶理由に引用された仏国特許出願公開第1602997号明細書(以下、「引用文献3」という。)は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。

ア 1頁24?2頁16行


・・・略・・・


(日本語訳)
「 本発明は、それらの容積が変形可能なレンズ又はミラーに係るものである。
本発明によるレンズ又はミラーの主な特徴は、透明で変形可能な弾性のプラスチック材料(例えば、ポリエステル)のフィルムで作られた気密なポケットによって構成され、気密なポケットは、同じような透明な液体・・・略・・・で満たされ、ポケットの外側の周囲容積に比較して加圧あるいは減圧され、流体の性質が、膨張した隔壁の両側部分で異なり、屈折を引き起こす。したがって、ポケットは、光線の受け取り角度に応じてレンズやプリズムのように動作する。
本発明による別の特徴は、弾性フィルムに作用する前記液体の圧力変化による、あるいは、ポケットへの機械的作用による、あるいは、連続的な方法の焦点可変を得るために可変の体積のポンプまたはリザーバである圧力可変器とともに防水性の通路による、変形能力である。
したがって、ポケットは、3つの同軸のクラウン又はフランジによって締めることにより、組み立てられ、密閉された、2つの透明な弾性膜により構成され、中央のフランジは、内部の圧力を変動させる装置を備えています。該装置は、ポケットの連続的な制御された膨張又は収縮を許可する。また、内部流体を,異なる屈折率の別の流体に交換することも許可する。
・・・略・・・
これは、焦点距離が可変な凸レンズあるいは両凸レンズを構成する。」

イ 2頁33?36行



(日本語訳)
「図1-両凸で3つのフランジを持つレンズ及びピストンを持つ圧力可変装置の断面図A
図2-同じ上記レンズの正面図。
図3-焦点距離の変化を示す図。」

ウ 2頁43行?3頁34行


・・・略・・・


(日本語訳)
「 2つの弾性膜を備えた第1の実施形態は、図1および2に再現されている。
2つのフランジ1及び2は、中央フランジ上に、プラスチック材料の透明な弾性材料、例えばポリエステル、あるいはビニール材料などの、の2つの膜4及び5を挟む。防水装置が、フランジとプラスチック材料のフィルムの間に、ジョイントがあってもなくても、例えば一連の締め付けボルト6を使用して、なされる。
・・・略・・・
透明なレンズの容積、すなわち部分7は、2つの膜の間に構成され、純水、屈折率が1.5のベンジン、臭化亜鉛(i=1.55)あるいは杉油あるいは任意の他の高屈折率、高透明な液体により構成されている。
充填は、中間フランジに形成されたオリフィス8を介して行われる。気泡は許されず、ポンチ孔9を備えたオリフィス8は、上部分での脱気を可能にする。
オリフィ8から、栓11が取り付けられたパイプ10が、レンズ7の内部を圧力変動装置12(充填にも使用される)と連通させる。
標題として、装置12は、密閉されたピストン13が移動する本体からなることができ、その外側のロッドは手で操作され、レンズ本体を膨張または収縮させる。
図3は、内部圧力PとP’での2つの膜の2つの位置を示している。各膜4及び5の厚みに応じて、弾性的な変形は対称又は対称でない。
膜5、例えば、理論的な回転放物面形状の膜は、前記膜の厚みが一定ならば、液体の重量により僅かに変形する。我々は、半径Rが半径R’に減少させられた中央ゾーンの球面状のキャップを確認することができる。
それは、膜4も同じである。
したがって、外部の周囲の圧力が値Pa<Pを持ち、圧力がPからP’まで増加するとき、焦点距離はFからF'に減少する。」

エ Fig.1




オ Fig.2




カ Fig.3




(4) 引用文献4
当審拒絶理由に引用された特表2008-517663号公報(以下、「引用文献4」という。)は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、インサイチュで変化し得る光学パラメータを有する眼内レンズ(『IOL』)に関するものである。より詳細には、本発明は、白内障患者のための嚢内移植のためのIOLの用途を有し、ここで、眼内の毛様体筋によって適用される力は、IOLの内部の液体媒体の動きを誘導し、これにより、レンズの光学倍率を変化させて、調節をもたらすことができる。」

イ 「【0036】
図3Aおよび図3Bを参照して、本発明の原理に基づいて構成された眼内レンズの例示としての実施形態について、説明する。IOL20は、光学部分21と、触覚部分22と、を備えている。光学部分21は、光透過性材料から形成されている。一方、触覚部分22は、光学部分の周辺部分に配置されているものであって、眼の網膜上へと光を焦点合わせすることには参加しない。
【0037】
光学部分21は、前方レンズ部材23と、レンズピストン25を含むアクチュエータ層24と、基材26と、後方レンズ部材27と、を備えている。これらすべての部材は、光透過性材料から形成されており、例えば、シリコーンポリマーや、アクリルポリマーや、眼内レンズの当業者には公知であるような他の生体適合性材料、から形成されている。触覚部分22は、一例においては、基材26から延出されたアーム28,29を備えている。しかしながら、他の触覚構成を使用することもできる。アーム28,29の各々の端部には、トランスデューサ30が設置されている。トランスデューサ30の各々は、好ましくは、触覚ピストンを備え、触覚ピストンは、力集中フィン31と、ダイヤフラム32と、リザーバ33と、を有している。リザーバ33は、レンズピストン25の直下の井戸35にまでリザーバから延出されたチャネル34を介して、レンズピストン25の内部に対して流体連通している。
【0038】
図3Bにおいては、トランスデューサ30は、非変形状態とされている。この状態においては、力集中フィン31が、ダイヤフラム32を最大に偏向させており、これにより、端部壁41を、完全に偏向させており、前方部材23を、完全な調節状態としている。これは、後述するように、毛様体筋の完全な収縮状態に対応する。
【0039】
アクチュエータ層24は、基材26の凹所36内に配置されており、好ましくは、丈夫な弾性材料を備えている。アクチュエータ層24は、チャネル34の中の流体と井戸35の中の流体とレンズピストン25の内部の流体とを、前方レンズ部材23とアクチュエータ層24との間のスペース37内の流体から、隔離する。チャネル34内に配置された流体38、および、スペース37内に配置された流体39は、好ましくは、シリコーンオイルまたはアクリルオイルを備えたものとされ、前方レンズ部材23とアクチュエータ層24と基材26とをなす材料に適合した屈折率を有しているように選択される。
【0040】
好ましい実施形態においては、レンズピストン25は、拡張可能な端部壁41に対して結合された実質的に変形不可能な円筒形状の側壁40を備えている。端部壁41は、触覚部分からの流体運動によって側壁40内に印加された圧力に応答して、外向きに偏向し得るよう構成されている。端部壁41は、前方レンズ部材23の内表面に対して接触している。そのため、レンズピストンの端部壁41の偏向により、前方レンズ表面23の対応した偏向が引き起こされる。そのような偏向により、前方レンズ部材を、より短い曲率半径を有した球面形状のものとする。これにより、レンズのジオプトリ力を変更することができる。当然のことながら、理解されるように、上記構成に代えて、光学部分は、レンズピストンが後方レンズ部材27を偏向させるように、構成することもできる。図3に示す構成は、あくまでも一例に過ぎない。
【0041】
前方レンズ部材23の内表面および厚さ(レンズの光軸に対して)は、前方レンズ部23の外面が、レンズピストン25の移動の全範囲にわたって、例えば0?10ジオプトリという調節の全範囲にわたって、例えば球形といったような付加的な補正形状を維持し得るように、選択される。当然のことながら、前方レンズ部材23の内表面および厚さを、光学的補正のための要望に応じて、非球面形状の外表面を呈し得るように選択し得ることは、理解されるであろう。
・・・略・・・
【0043】
さて、図5Aおよび図5Bを参照して、本発明の原理に基づいて構成された触覚ピストン42について、より詳細に説明する。触覚ピストンは、ダイヤフラム32に向けて付勢された力集中フィン31を支持しているフレキシブルでありかつ弾性的なトランスデューサ30を備えている。各々のダイヤフラム32は、流体38によって充填された対応リザーバ33のための弾性カバーを備えている。上述したように、流体38は、井戸35内へとおよびレンズピストン25の内部へと、チャネル34を介して連通している。トランスデューサ30は、毛様体筋13および毛様小帯14から嚢15を介して印加された力に応答して形状を変化させ得るよう、弾性的な弾性変形可能材料から形成されている。
【0044】
図5Aにおいては、触覚ピストン42は、非変形状態(図3Bと同様)で示されている。この状態は、毛様体筋が完全に収縮した状態と対応する。この状態においては、フィン31の頂点は、ダイヤフラム32を押圧している。これにより、トランスデューサ30による付勢力に起因する最大の力を伝達している。ダイヤフラム32の内向き変形により、チャネル34(図3を参照)を介して井戸35へと流体が駆動される。これにより、レンズピストン25の端部壁41の拡張が引き起こされる。トランスデューサ30が非変形状態にあるときには、フィン31は、触覚部分からレンズピストン25へと、最大量の流体を駆動する。これにより、前方部材23が最大に偏向され、これにより、レンズが最大に調節される。これは、毛様体筋が完全に収縮した状態と対応しており、毛様小帯14および嚢15は、トランスデューサ30の前面および背面に対して、最少の圧縮力を印加する。
【0045】
しかしながら、毛様体筋が弛緩した際には、毛様小帯の張力が増大し、嚢15は、楕円形状(図2Aを参照)とされ、レンズは、非調節状態へと移行する。嚢が張りつめた状態となった際には、圧縮力Fが、トランスデューサ30の前面および背面に対して印加される。これにより、トランスデューサは、図5Bに示すような楕円形状へと変形する。トランスデューサ30の変形により、フィン31は、ダイヤフラム32から離間する向きに移動する。これにより、ダイヤフラムに対する付勢力が弱められ、レンズピストン25に対して印加される流体圧力が低減する。これにより、レンズピストン25は、非偏向状態へと移行することができ、前方レンズ部材23の偏向を低減させ、レンズを非調節状態へと復帰させる。」

イ 「【図面の簡単な説明】
【0087】
・・・略・・・
【図3A】本発明による眼内レンズの一例を示す分解斜視図である。
【図3B】本発明による眼内レンズの一例を、図3Aにおける3B-3B線に沿って示す矢視断面図である。
・・・略・・・
【図5A】図3のレンズの触覚部分を示す部分断面図であって、調節状態を示している。
【図5B】図3のレンズの触覚部分を示す部分断面図であって、非調節状態を示している。」
・・・略・・・
【符号の説明】
【0088】
・・・略・・・
20 眼内レンズ
21 光学部分
22 触覚部分
23 前方レンズ部材
24 アクチュエータ層
25 レンズピストン
26 基材
27 後方レンズ部材
28 アーム
29 アーム
30 トランスデューサ
31 力集中フィン
32 ダイヤフラム
33 リザーバ」

ウ 「【図3A】



エ 「【図3B】



オ 「【図5A】



カ 「【図5B】



(5) 引用文献5
当審拒絶理由に引用された米国特許第7369321号明細書(以下、「引用文献5」という。)は、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
ア 1欄1?6行
「 VALIABLE-FOCUS LIQUID LENS
This invention relates to optical focusing, in particular devices, methods, systems and apparatus for a liquid-based lens and associated zoom lens, wherein the focal length of the lens is variable.」
(日本語訳)
「 可変焦点液体レンズ
この発明は、光学合焦、特に、レンズの焦点距離が可変である、液体ベースのレンズとそれに関連するズームレンズのための、デバイス、方法、システム及び装置に関連する。」

イ 3欄20行?35行
「 BRIEF DESCRIPTION OF THE FIGURES
FIG. 1a is a perspective view of the two layers each with a hole formed there through.
FIG. 1b is a perspective view of the two layers with one end of each hole sealed with an elastic membrane.
FIG. 1c is a perspective view of two layers adhered together with an adhesive material.
FIG. 1d is a side view of a structure of the lens cell with a clear liquid sealed inside a chamber between the two layers.
FIG. 2 is a side view of a lens showing the focus state of the lens cell with an inward pressure applied to an outer membrane.」
(日本語訳)
「 図面の簡単な説明
図1aは、それぞれに貫通するホールが形成された2つの層の斜視図
図1bは、弾性の膜を用いて各々のホールの一方の端部が密閉された2つの層の斜視図
図1cは、接着剤を用いて互いに接着された2つの層の斜視図
図1dは、2つの層間のチャンバ内で密閉された透明な液体を持ちレンズセル構造の側面図
図2は、外側の膜に内側の圧力が印加されえたレンズセルの合焦状態を示すレンズの側面図」

ウ 4欄40行?5欄61行
「 The present invention provides devices, methods, systems and apparatus for a liquid lens with a variable focal length. FIG. 1a shows a pair of layers, the top layer 10 has a reservoir hole 11 there though and the bottom layer 12 has a lens through hole 11. The material of the top and bottom layers 10 and 12 for the lens cell should be rigid, such as polycarbonate, glass,transparent crystal plate, rigid polymer, plastic, metal or other material that is obvious to those skilled in the art. In a preferred embodiment, the top layer 10 is a clear material while the bottom layer 12 is rigid it is not necessarily clear. ・・・略・・・
The reservoir hole 11 and lens hole 13 are sealed with an elastic membrane 13 and 14 as shown in FIG. 1b. In this example,the reservoir hole 11 is sealed on the outer surface of the top layer 10 with an elastic membrane 14 and the lens hole 13 in the bottom layer 12 is sealed with elastic membrane 15 on the outer top surface of the bottom layer 12. In the embodiment shown, the elastic membranes 14 and 15 are attached to the surface of the top and bottom layers 10 and 12. The elastic membrane is preferably a flexible, optically transparent, water impermeable material, such as Saran (polyvinylidene chloride resins or films) rubber,polydimethyl-silioxane (PDMS) membrane, or an elastic polymer. The elastic membrane may be adhered on the layers or may be wedged using a circular ring.
In the preferred embodiment, the variable-focus liquid lens is fabricated with a fluid filled in the cell chamber 18. A cell chamber 18 is formed between the top layer 10 and the bottom layer 12 as shown in FIG. 1c by leaving a thin gap between the top and bottom layers when adhering the periphery edges of the top and bottom layers 10 and 12 with an adhesive 16 material.・・・略・・・
An opening 17 is left in the adhesive 16 for injecting liquid into the cell chamber 18 formed by the gap. FIG. 1d is a side view of the variable-focus liquid lens structure of the cell with liquid filled in the cell chamber 18. After the cell chamber 18 is filled with liquid, the opening 17 is sealed tightly with glue. The volume of liquid injected into the chamber 18 is controlled so that the top membrane 14 and bottom membrane 15 are flat.
・・・略・・・
In this example, the cell chamber 18 has two holes but the holes are not overlapped as shown in FIGS. 1a through 1d. As described above, the lens hole 13 is sealed on the inner surface of the bottom layer using clear elastic membrane 15 and the reservoir hole 11 is sealed with elastic membrane 14 on the outer surface of the top layer. The periphery of the cell chamber 18, the space between the top and the bottom layer, is sealed to form the cell chamber which is filled with liquid prior to completing the seal to prevent liquid leakage.
・・・略・・・
When the elastic membrane 14 covering the reservoir hole 11 is pressed inward as shown in FIG. 2, liquid in the cell chamber 18 is redistributed, forcing the elastic membrane 15 covering the lens hole 13 to inflate outward. In the example shown in FIG. 2, the focusing effect of the cell chamber 24 as the membrane 22 on the top layer 20 is depressed inward using a ball-headed lever 25. The pressure propagates through liquid 24 and because the liquid 24 is not constringent, the pressure forces the distensible lower layer membrane 23 on the bottom layer 21 to swell outward.The extended membrane 23 acts as a spherical or aspherical profile, causing the outgoing light to focus.」
(日本語訳)
「 この発明は、可変焦点距離を持つ液体レンズのためのデバイス、方法、システム、装置を与える。図1は、1対の層を示し、上の層10は貫通するリザーバホール11を有し、底の層はレンズ貫通ホールを有する。レンズセルのための上と底の層10,12の材料は、ポリカーボネート、ガラス、透明結晶プレート・・・略・・・あるいは、当業者にとって自明な他の材料のような、硬くなければならない。好ましい実施例においては、上の層10は透明な材料であり、一方、底の層12は、硬ければ、必ずしも透明である必要はない・・・略・・・
リザーバホール11及びレンズホール13は、図1bに示されるように弾性の膜13,14で密閉される。この例では、リザーバホール11は、弾性の膜14で上の層10の外側の表面上において密閉され、レンズホール13は、弾性の膜15で底の層12の外側の上の表面上で密閉される。示された実施例では、弾性の膜14,15は上の層10及び底の層12の表面に取り付けられる。弾性の膜は好ましくは、Saran(ポリビニリデンクロライド樹脂又はフィルム)ゴム、ポリジメチルシロキサン(PDMS)膜、あるいは弾性樹脂などの、可撓性の、光学的に透明な、水を通さない材料である。弾性の膜は、層の上に取り付けられる、あるいは、円形リングを用いて楔で取り付けられる。
好ましい実施例では、可変焦点液体レンズは、セルチャンバ18中に液体を満たした状態で作成される。セルチャンバ18は、図1cに示されるように、接着剤16材料により上の層10と底の層12の周辺端を接着する時に上の層と底の層との間に狭いギャップを残すことにより、上の層10と底の層12との間に形成される。・・・略・・・
開口17は、ギャップにより形成されたセルチャンバ内に液体を注入するために接着剤16に残される。図1dは、セルチャンバ内に液体が満たされたセルの可変焦点液体レンズ構造の側面図である。セルチャンバ18に液体が満たされた後、開口17は糊で強く密閉される。チャンバ18内に注入される液体の体積は、上の膜14及び底の膜15がフラットとなるように制御される。
・・・略・・・
この実施例では、セルチャンバ18は、2つのホールを持っている、しかし、図1a?図1dに示されるように、2つのホールはオーバラップしない。上で述べられたように、レンズホール13は、透明な弾性の膜15を用いて底の層の内側の表面上に密閉され、リザーバホール11は、上の層の外側の表面上に弾性の膜14で密閉される。セルチャンバ18の周辺、上の層と底の層との間の空間は、液体の漏れを防ぐために、密閉が完了するのに先だって、液体で満たされたセルチャンバを形成するように密閉される。
・・・略・・・
リザーバホール11を覆う弾性の膜14が、図2に示されるように内側に押されたとき、セルチャンバ18の液体は再分配され、レンズホール13を覆う弾性の膜15を外側に膨らむように強制する。図2に示された例では、頭がボール状のレバーを用いて上の層20の膜22が内側に沈むにつれて、セルチャンバ24の合焦効果・・・圧力は液体24を通して伝わり、液体24が非圧縮性であるから、圧力は、底の層21上の膨張性の下位の層の膜23を強制的に外側に膨張させる。伸ばされた膜23は、球面あるいは非球面プロファイルとして作用し、外方に向かう光を合焦させる。」

エ 「

Fig. 1a」

オ 「

Fig. 1b」

カ 「

Fig. 1c」

キ 「

Fig. 1d」

ク 「

Fig. 2」

2 対比及び判断
(1) 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 対比に先立ち、引用発明の構造及び動作について整理する。
引用発明の構造及び動作は、前記1(2)に記載のとおりである。
引用発明の構造及び動作からみて、引用発明の「液体圧可変手段」は、「シリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34」と「ピストン32の操作ロッド38と係合する」「電気的モータ40」からなると理解される。

イ 引用発明の「レンズ本体12」の構造から、引用発明の「レンズ本体12」は、「透明ガラス22」と「伸縮自在のフィルム26」との間の空間(以下、単に「空間」という。)に「液体24」を「収容」していることが理解できる(当合議体注:図2からも確認できることである。)。

ウ 引用発明の構造及び動作から、引用発明においては、「液体24はシリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34と連通し」、「ポンプ装置34のピストン32が移動すると、それに応じてレンズ本体12内の液体24による内圧が変化し」、「レンズ本体12内の液体24」「は凸レンズあるいは凹レンズの形態で変化し」、「液体注入および排出用のポンプ装置34のピストン32の操作は、レンズ本体12で構成されるレンズの焦点を定め」るものである。
また、引用発明においては、「ポンプ装置34のピストン32を電気的モータ40で操作し、電気的モータ40の回転軸はピストン32の操作ロッド38と係合する」ものである。

そうすると、イより、(A)引用発明において、「電気的モータ40」の「操作」により「ピストン32」の「シリンダ30」に押し込むように「移動」させることにより、「ポンプ装置34」の「シリンダ30」内の「液体24」による圧力が上昇し、「シリンダ30」内の「液体24」を、「レンズ本体12の」の当該「空間」に押し出し、「注入」し、当該「空間」内の「液体24」の量が増加して「形態」が変化し、「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」、すなわちパワーが変化することが理解できる。
同様に、イより、(B)引用発明においては、「ポンプ装置34」の「操作」により「ピストン32」の「シリンダ30」から引き出すように「移動」させることにより、「シリンダ30」内の「液体24」による圧力が減少し、「レンズ本体12」の当該「空間」に「収容」された「液体24」を「排出」し、「シリンダ30」内に引き出し、当該「空間」内の「液体24」の量が減少し、「液体24」の「形態」が変化し、「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」(パワー)が変化することが理解できる。
また、(C)引用発明の「ポンプ装置34」の「シリンダ30」と、当該「空間」とは、「液体24」が移動できるよう「連通」状態にあるということができる。
さらに、(D)引用発明においては、「レンズ本体12」の当該空間内の「液体24」の量の変化(増減)により、「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」(パワー)が変化することが理解できる。
(当合議体注:以上のことは、図2に示された眼鏡装置の構造から理解できる、あるいは技術的に理解できることである。)

エ 流体、キャビティ、光学コンポーネント、リザーバ
上記ア?ウより、引用発明の「液体24」、「透明ガラス22」と「フィルム26」との間の空間、「レンズ本体12」及び「シリンダ30」は、それぞれ本願発明の「流体」、「キャビティ」、「光学コンポーネント」及び「リザーバ」に相当するといえる。
上記ウ(A)、(B)とより、引用発明の当該「空間」に「収容」される「液体」の量は変化することが理解できる。
そうすると、上記イより、引用発明の「レンズ本体12」は、本願発明の「光学コンポーネント」における、「可変量の流体で満たされているキャビティを備えた」との要件を具備する。
また、上記ウ(A)、(B)より、引用発明の「ポンプ装置34」の「シリンダ30」は、当該「空間」に「注入」される「液体24」を「収容」しているということができる。
そうすると、上記ウ(C)より、引用発明の「シリンダ30」は、本願発明の「リザーバ」における、「追加の流体を収容すると共に前記光学コンポーネントの前記キャビティと流体連通状態にある」との要件を具備する。

オ アクチュエータ
上記アとウより、引用発明の「ピストン32」及び「ピストン32の操作ロッド38と係合する」「電気的モータ40」は、本願発明の「アクチュエータ」に相当する。
また、上記ウ(A)、(B)より、引用発明の「ピストン32」及び「電気的モータ40」と、本願発明の「アクチュエータ」は、「前記リザーバ内における圧力を増減するように構成されており」との要件を具備する点において共通する。

カ 可変焦点型光学器械
上記ア?オより、引用発明の(「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」(パワー)が変化する)「レンズ本体12」及び「シリンダ30」は、まとめて本願発明の「可変焦点型光学器械」に対応付けることができる。
そうすると、上記エより、引用発明の「レンズ本体12」及び「シリンダ30」は、本願発明の「可変焦点型光学器械」の「光学コンポーネントと」、「リザーバとを有し」との要件を具備するといえる。

キ 機構体
上記ア?カより、引用発明の(「眼鏡本体に設けられ、レンズ本体12の光学特性を可変的に定めるようにする」)「構成」は、本願発明の「機構体」に対応する。
また、引用発明の「レンズ本体12」及び「シリンダ30」において、「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」(パワー)の変化を、本願発明の「可変焦点型光学器械」の「光学強度」の変化に対応付けることができる。
そうすると、引用発明は、「レンズ本体12」及び「シリンダ30」を備え、「レンズ本体12で構成されるレンズ」の「焦点」(パワー)を変化させている点において、本願発明の「機構体」の、「可変焦点型光学機器を備え、その光学強度を変化させる」との要件を具備するといえる。
さらに、上記ウ(A)、(B)及び(D)とオより、引用発明と、本願発明の「機構体」は、「アクチュエータ」「を有し」、「前記アクチュエータは」、「前記リザーバ内における圧力を増減するように構成されており」、「前記リザーバ内の上昇した圧力は前記リザーバの流体を前記光学コンポーネントの前記キャビティ内へ押し出し、前記リザーバ内の低下した圧力は前記光学コンポーネントの前記キャビティの流体を前記リザーバの中に引き出し」、「前記光学コンポーネントの前記キャビティ内における流体の量の変化により、前記光学器械の前記光学強度が変化し」ている点において共通する。

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
本願発明と引用発明とは、次の構成で一致する。
「 可変焦点型光学器械を備え、その光学強度を変化させる機構体であって、前記可変焦点型光学器械は、可変量の流体で満たされているキャビティを備えた光学コンポーネントと、追加の流体を収容すると共に前記光学コンポーネントの前記キャビティと流体連通状態にあるリザーバとを有し、前記機構体は、
アクチュエータを有し、前記アクチュエータは、前記リザーバ内における圧力を増減するように構成されており、
前記リザーバ内の上昇した圧力は前記リザーバの流体を前記光学コンポーネントの前記キャビティ内へ押し出し、前記リザーバ内の低下した圧力は前記光学コンポーネントの前記キャビティの流体を前記リザーバの中に引き出し、
前記光学コンポーネントの前記キャビティ内における流体の量の変化により、前記光学器械の前記光学強度が変化する、機構体。」

イ 相違点
本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、「前記リザーバを密封するダイヤフラム」「を有し」、「アクチュエータ」は、「サムホイール、バレル、クランプ又はレバーを備え、前記サムホイール、前記バレル、前記クランプ又は前記レバーの動きに応答して前記リザーバに対する前記ダイヤフラムの運動を生じさせて」前記リザーバ内における圧力を増減するように構成され、「前記ダイヤフラムに当たるプランジャを有し、前記プランジャは、前記ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くことができ、これにより、前記ダイヤフラムの方へ向かう前記プランジャの運動が、前記リザーバ内の圧力を上昇させ、前記ダイヤフラムから遠ざかる前記プランジャの運動が前記リザーバ内の圧力を低下させる」のに対して、
引用発明は、そのような構成を有していない点。

(3) 判断
上記相違点について検討する。
ア 引用発明は、「近視用と遠視用の別々の眼鏡を選択して使用することは煩わしく、かつ一方の眼鏡を常に携帯する必要がある」、「単一のレンズに近視用と老眼用の2つの異なった光学特性を有する特殊なレンズ」「を用いる方法ではその使用に特殊な訓練を必要とし、かつ往々その誤使用の結果人命的な事故に遭遇する場合がある」、「矯正のための最適なレンズ特性を容易に、簡便に得ることは困難である」、「老眼の進行に対応して最適矯正を維持することは、従来技術において、眼鏡のレンズの交換以外はない」との従来技術の問題点(【0003】)を全て解決することを【発明が解決しようとする課題】(【0004】)とし、「従来技術の問題点」を、「剛性の枠体によって規定され、少なくとも1つのレンズ面が可撓性で透明に形成され、両レンズ面の内部に光透過特性が大きな液体を密封状態で収容したレンズ本体と、上記レンズ本体の上記液体と連通し、上記液体量を増減して上記レンズ本体の上記可撓性のレンズ面の表面形態を変化させることにより上記レンズ本体の光学特性を可変的に定めるようにする液体圧可変手段とからなる」「レンズ本体の光学特性を可変にする構成」を「眼鏡本体に設けることによって解決する」ものである(【0005】【課題を解決するための手段】)。また、引用発明の「ポンプ装置34」は、「ピストン32のピストン操作ロッド38を外部から手動にて操作されてよ」いものである(【0009】)。
そうすると、引用文献1の上記の【0003】?【0005】及び【0009】の記載に接した当業者は、「眼鏡本体に設けられ」る引用発明においては、「(レンズ本体の液体と連通し、液体量を増減してレンズ本体の可撓性のレンズ面の表面形態を変化させることによりレンズ本体の光学特性を可変的に定めるようにする)液体圧可変手段」を備えることが、上記の課題解決のために必須の構成であり、「液体圧可変手段」は、「シリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34」あるいは「ピストン32を電気的モータ40で操作」する「ポンプ装置34」でなくてもよいと理解できる。また、引用文献1の同記載に接した当業者は、引用発明の「液体圧可変手段」は、手動で操作されるものでもよいと理解できる(当合議体注:「引用発明」が、「液体圧可変手段」を具備しさえすれば、「液体圧可変手段」は「シリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34」あるいは「ピストン32を電気的モータ40で操作」する「ポンプ装置34」でなくてもよいことは、引用文献1の特許請求の範囲の請求項1の記載において、シリンダ及びピストンからなるポンプ装置を有することや、ピストンを電気的モータで操作することが、発明を特定するために必要と認める事項として記載されていないことからも明らかである。)。

イ ここで、可変焦点型レンズの焦点距離(パワー)を変化させる機構として、リザーバを密封するダイヤフラムと、ダイヤフラムに当たるプランジャとを備え、プランジャを、ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動く(ダイヤフラムに近づき、ダイヤフラムを押し込む方向に動く、あるいはその逆方向のダイヤフラムから離れる方向に動く)ように移動させ、ダイヤフラムの方へ向かうプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を上昇させたり、ダイヤフラムから遠ざかるプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を低下させることにより、リザーバ内の流体を可変焦点型レンズのキャビティ内に押し出したり、引き出したりして、焦点距離(焦点、パワー)を変化させる機構は、例えば、引用文献3?5等に記載されているように、本件優先日前に周知のものである。
例えば、引用文献3の記載(上記1(3)(特に、図1及び下線部)を参照)からは、「可変の体積のポンプまたはリザーバ」(「圧力変動装置12」)を密閉するように取り付けられた「膜」(図1を参照。「ダイヤフラム」に相当)を横切る(近づく方向あるいは離れる方向)ように「外側」に「ロッド」(「プランジャ」に相当)を有する「ピストン」(13)を手動により移動させることにより、レンズを膨張または収縮させて、レンズの焦点距離を可変とする機構が理解できる。
同様に、引用文献4の記載(上記1(4)(特に、図5A、図5B及び下線部)を参照)からは、「流体38によって充填された」「リザーバ33のための弾性カバーを備え」る「ダイヤフラム32」を「力集中フィン31」(「プランジャ」に相当)で横切るように押圧し、内向き変形させて、「リザーバ33」内の「流体38」を「前方レンズ部材23」と「後方レンズ部材27」との間の空間に移動させて、眼内レンズの調整を行い、「力集中フィン31」を「ダイヤフラム32」から離間する向きに移動させ、「ダイヤフラム32」に対する付勢力を弱め、流体圧力を低減し、流体38を戻して、眼内レンズを非調整状態へと復帰させることにより、眼内レンズの光学倍率を変化、調節する機構が理解できる。
同様に、引用文献5の記載(上記1(5)(特に、図1d、図2及び下線部)を参照)からは、「リザーバホール」(11)を密閉する「弾性の膜」(14、22)(「ダイヤフラム」に相当)を「頭がボール状のレバー」(25)(「プランジャ」に相当)で横切るように内側に押したり、戻したりして、液体を再分配し、「レンズホール」(13)を密閉する「弾性の膜」(15、23)を外側に膨張させたり、フラットにすることにより、液体ベースのレンズの焦点距離を可変とする技術(機構)が理解できる。

ウ 引用発明の「液体圧可変手段」は、「シリンダ30とピストン32とからなるポンプ装置34」や「電気的モータ40」から構成されると理解されるところ、この「液体圧可変手段」と、上記イの本件優先日前に周知の可変焦点型光学器械の焦点距離(パワー)を変化させる機構とは、レンズの焦点距離(パワー)を可変とする技術であって、リザーバ内の液体の圧力を増減することにより、リザーバ内の液体を移動させ、レンズ内の液体量を増減し、レンズの表面形態を変化させ、レンズの焦点距離(パワー)を変化させている点において、技術分野及び作用・機能が共通するものである。
そうしてみると、引用発明において、上記アで述べた課題を解決する手段である「液体圧可変手段」を、技術分野及び作用・機能が共通する、上記周知の、可変焦点型光学器械の焦点距離(パワー)を変化させる機構に基づき、リザーバ(シリンダ30)を密封するダイヤフラムと、ダイヤフラムに当たるプランジャを備え、アクチュエータとして、ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くようにアクチュエータとして移動させて、ダイヤフラムの方へ向かうプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を上昇させたり、ダイヤフラムから遠ざかるプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を低下させることにより、リザーバ内の「液体24」を「レンズ本体12」の「透明ガラス22」と「伸縮自在のフィルム26」の間の空間(「キャビティ」)内に押し出したり、リザーバの中に引き出したりして、「レンズ本体12」の焦点を変化させる構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、引用文献1の【0009】、【0010】等の、ピストン32の操作ロッド38の操作を(「電気的モータ40」ではなく)外部から手動で行うとの記載・示唆に基づき、手動により操作されるサムホイール、バレル(例えば、ねじを利用するバレル)、クランプ又はレバーを備え、これらによりプランジャをダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くようアクチュエータとして移動させ、リザーバに対するダイヤフラムの運動を生じさせ、リザーバ内における圧力を増減することは、当業者の設計上のことである(当合議体注:例えば、ネジ、ホイールやレバー・つまみなどを手動により操作して他の部材を移動させることは、当審拒絶理由に引用された、引用文献3(図1に示される手動で操作されるねじ等)、引用文献5(5欄50?61行、図2に示される「頭がボール状のレバー」(25)等)、引用文献6(図5、図6、5頁4?22行に示される「ハンドホイール76」等)、引用文献7(5頁下から6行?6頁2行、図4、図5に示される「ホイール130」)等)、引用文献8(図5、【0060】に示される、内部にネジが形成された「キャップ60」、図6、【0061】に示される「ホイール82」等)、引用文献9(【0033】、図6?図9に示される「つまみ58」等)、引用文献10(図3に示される「雄螺子8」、「つまみ7」等)等に例示されているように、本件優先日前に周知・慣用のこと、あるいは技術常識である。)。
よって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ あるいは、引用文献3?5のいずれかに記載された技術を公知技術と考えても、同様である。
すなわち、引用文献3?5のいずれかに記載された、リザーバを密封するダイヤフラムと、ダイヤフラムに当たるプランジャとを備え、プランジャを、ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くように移動させて、リザーバ内の圧力を増減し、液体を移動させることにより、レンズの焦点距離・パワーを変化させる機構や、引用文献1の、ピストン32のピストン操作ロッド38の操作を外部から手動で行うとの記載・示唆に基づき、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 本願発明の効果について
(ア) 本件出願の明細書には、本願発明の「発明の効果」として明示の記載はないが、【発明の概要】【0012】の「可変焦点液体充填レンズの光学強度を変化させる機構体が提供される」との記載が、本願発明の効果に係る記載として理解可能である。
また、【背景技術】【0007】?【0009】に記載の、「アパーチュアサイズが制限される」、「漏れの恐れがある」、「性能に一貫性がない」、「嵩張っていて、消費者にとって審美的に適しておらず、消費者は、薄いレンズを備えた眼鏡及び嵩張ったフレームなしの眼鏡を望んでいる」、「レンズの本体中への液体の注入又は圧送によって動作するレンズの場合、通常、複雑な制御システムが必要であり、それにより、かかるレンズは嵩張ると共に高価になり、しかも振動の影響を受けやすくなる」、「今日まで、液体をレンズチャンバ内に導入し又は液体をレンズチャンバから取り出して消費者自体がレンズの屈折力を変化させるためにその容量を変化させることができる性能を消費者に提供しているような従来型液体レンズは存在しない」、「消費者が液体をレンズチャンバ内に導入し又は液体をレンズチャンバから取り出して消費者自体がレンズの屈折力を変化させるためにその容量を変化させることができるようにする機構体を提供するような先行技術の液体レンズは存在しない」との先行技術の液体レンズの欠点の解消が、本願発明の効果に係る事項として理解可能である。

(イ) しかしながら、上記(ア)のいずれの効果も、引用発明及び上記周知の技術からみて、当業者にとって自明な効果、あるいは当業者が予測できる効果であって、格別のものではない。

オ 請求人の主張について
(ア) 請求人は、令和2年6月9日提出の意見書の「(5) 引用例との対比」において、「d. しかしながら、引用例1記載の発明は、リザーバ内に配置されたプランジャ/ピストンを、液体をレンズのキャビティの中に移動させるために使用している可変焦点レンズに関するものである。」、「e. そして、審判官は、本願請求項1記載の発明に備えられている構成『リザーバを密封するダイヤフラム』、及び『アクチュエータは...リザーバに対するダイヤフラムの運動を生じさせて』を開示する文献として、引用例2を引用している。ここで、引用例2は、可変体積部分8及び9に接続された隔膜を開示しているものの、作動方法は、引用例1等に記載されている作動方法とは全く異なるものである。従って、当業者が、引用例1記載の発明と、引用例2記載の発明を組み合わせる動機付けは無く、当業者が、これらの発明を組み合わせることを容易に想到するとは考えられない。」、「f. 審判官は、上記発明を組み合わせることについて、単に『引用発明1において、リザーバを密封するダイヤフラムと、ダイヤフラムに当たるプランジャとを備え、プランジャを、ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くように移動させて、ダイヤフラムの方へ向かうプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を上昇させたり、ダイヤフラムから遠ざかるプランジャの運動により、リザーバ内の圧力を低下させることにより、リザーバ内の流体をレンズ本体の透明ガラスと伸縮自在のフィルムの間に押し出したり、引き出したりして、レンズ本体の光学強度を変化させる構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。』と認定するのみであり、組み合わせの容易性について、何ら具体的な根拠も、証拠も挙げられていない。」、「g. このように、本願請求項1記載の発明は、各引用例に基づいて、当業者が容易に想到可能な発明ではなく、新規性進歩性を有し、特許されるべきものである。」旨主張している。

(イ) しかしながら、上記アで述べたとおり、引用発明において、「液体圧可変手段」が、「シリンダ30とピストン34とからなるポンプ装置34」及び「電気的モータ40」からなるものに限られるわけではない。そして、上記ウで述べたとおり、「液体圧可変手段」として、技術分野や作用・機能が共通する上記の周知の可変焦点型光学器械の焦点距離(パワー)を変化させる機構、あるいは、引用文献3?5のいずれかに記載の可変焦点型光学器械の焦点距離(パワー)を変化させる機構を採用することは、引用発明の課題解決を考慮する当業者が容易になし得たことである。
してみると、引用発明に、周知の技術、あるいは、引用文献3?5のいずれかに記載された技術を採用すること(組み合わせること)に動機付けがあるということができるから、上記の請求人の主張を採用することはできない。

第4 まとめ
本願発明は、引用文献1に記載された発明及び本件優先日前に周知の可変焦点型光学器械の焦点距離を変化させる機構に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
あるいは、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3?5のいずれかに記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-07-10 
結審通知日 2020-07-13 
審決日 2020-08-07 
出願番号 特願2017-244806(P2017-244806)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 徹後藤 慎平  
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 宮澤 浩
河原 正
発明の名称 可変焦点型液体充填レンズ機構体  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 渡邊 誠  
代理人 山本 泰史  
代理人 松下 満  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 須田 洋之  

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