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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C23C
管理番号 1369503
審判番号 不服2019-6145  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-13 
確定日 2020-12-16 
事件の表示 特願2015-515233「バッチ蒸着のための高材料流束によるソース試薬に基づく流体の送出」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日国際公開、WO2013/181521、平成27年 7月 9日国内公表、特表2015-519478〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)5月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月31日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、平成27年1月28日に翻訳文が提出され、同年2月3日に手続補正書(自発)が提出され、平成29年7月28日付けで拒絶理由が通知され、同年10月3日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月29日付けで拒絶理由が通知され、同年7月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和元年5月13日に本件拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定の理由は、「平成30年3月29日付け拒絶理由通知書に記載した理由2」であり、要するに、本願の請求項1ないし8に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、引用文献1:特表2008-501507号公報に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第3 本願の請求項1に係る発明(本願発明)
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成30年7月2日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
前記気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面を含み、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁をさらに備え、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さを有し、前記複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有し、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システムであって、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切り前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、
前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成する、システム。」

第4 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、「ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける方法及び装置」(発明の名称)に関する、以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審で付した。)。
・「【請求項36】
容器と、
ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、を備える装置であって、
ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有する装置。」

・「【0002】
技術分野
この特許出願に記述した1つ以上の実施形態は、蒸発器の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景
蒸発器が、たとえば、工作物全体に薄膜を形成させる化学気相成長法(CVD)設備、又は工作物内に噴射するために工作物の方にイオンを加速させるイオン注入機などの、半導体処理設備の処理槽にキャリヤガス内の材料を送出するのに使用されることがある。
【0004】
噴水機器と呼ばれる1つの蒸発器が、容器内の液体材料を加熱し、容器の底部近くの液体材料内に制御された速度でキャリヤガスを導入することにより、液体状態の材料から処理槽に蒸気を送出する。次いで、キャリヤガスは、容器の上部まで泡立つと、液体材料からの蒸気で飽和する。次いで、飽和したキャリヤガスは処理槽に運ばれる。
【0005】
材料をその昇華温度まで加熱し、キャリヤガスをその加熱された材料を流れるよう方向付けることにより、固体状態の材料からの蒸気が、処理槽に送出されることがある。」

・「【0015】
詳細な説明
図1は、1つ以上の実施形態について、蒸発器110から蒸発器110に結合された処理設備120に所望のガスを送出するシステム100を示している。蒸発器110は、材料を蒸発させ、蒸発器110に結合されたガス源130からガスを受けとり、受けとられたガスと蒸発材料との接触から生じたガスを処理設備120に送出するのを助ける。蒸発器110は、受けとられたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう、蒸発すべき材料の露出表面積を増加させるのを助けるために、蒸発すべき材料を支える。
【0016】
受けとられたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けることにより、1つ以上の実施形態の蒸発器110が、比較的より高い流量で、得られたガスを処理設備120に送出するのを助けるよう使用されることがある。」

・「【0017】
1つ以上の実施形態の蒸発器110が、図2の流れ図200に従って、所望のガスを処理設備120に送出するのに使用されることがある。
【0018】
図2のブロック202について、蒸発すべき材料が、蒸発すべき材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう、蒸発器110の容器内で支えられる。
・・・
【0020】
1つ以上の実施形態の蒸発器110が、固体状態の任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、たとえば約20℃?約300℃の範囲内の昇華温度及びたとえば約10^(-2)トル?約10^(3)トルの範囲内の蒸気圧によって特徴づけられる、任意の好適な固体材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、ホウ素(B)、亜リン酸(P)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ランタン(La)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、デカボラン(B_(10)H_(14))、四塩化ハフニウム(HfCl_(4))、四塩化ジルコニウム(ZrC1_(4))、三塩化インジウム(InCl_(3))、有機金属β-ジケトネート複合体、シクロペンタジエニルシクロヘプタトリエニルチタン(CpTiChT)、三塩化アルミニウム(A1Cl_(3))、ヨウ化チタン(TixIy)、シクロオクタテトラエンシクロペンタジエニルチタン((Cot)(Cp)Ti)、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジアジド、タングステンカルボニル(Wx(CO)y)、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(Cp)_(2))、及び/又は三塩化ルテニウム(RuCl_(3))を有する、任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、粉末、凝集粒子、1つ以上の結晶体、及び/又は薄膜などの、任意の好適な形態の任意の好適な固体材料を蒸発させるよう使用されることがある。結晶体が、たとえば、板、レンガ、又は平円板形状などの、任意の好適な大きさ及び形状を有することがある。
【0021】
1つ以上の実施形態の蒸発器110が、液体状態の任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、第3アミリミドトリス(ジメチルアミド)タンタル(タイマータ)、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(TDEAT)、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(TDMAT)、五リン酸ジメチルアミドタンタル(PDMAT)、タンタルペンタエトキシド(TAETO)、及びビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(EtCp)2)を有する、任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、材料を蒸発させる前に、固体状態の任意の好適な材料を液体状態まで加熱するのに使用されることがある。
・・・
【0043】
図2のブロック210について、導入されたガスと蒸発材料との接触から生じたガスが、処理設備120に送出される。蒸発器110が、得られたガスを処理設備120に送出するために、任意の好適な方法で任意の好適な処理設備120に結合されることがある。蒸発器110が導入されたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるので、1つ以上の実施形態のガスが、得られたガスを比較的より高い流量で処理設備120に送出するのを助けるために、比較的より高い流量で蒸発器110の容器内に導入されることがある。
【0044】
1つ以上の実施形態の蒸発器110が、送出されたガスを受けたことに反応して、任意の好適な処理設備120により実施すべき任意の好適な半導体プロセスにおいて使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、たとえば、原子層堆積(ALD)法、プラズマ促進原子層堆積(PEALD)法、有機金属気相成長(MOCVD)法、又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)法などの、任意の好適な化学気相成長(CVD)法において使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることがある。」

・「【0050】
増大した表面積を有する材料を支えるための構造の例
1つ以上の実施形態の蒸発器110が、材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう材料を支えるのを助けるための1つ以上の支持面を画定する、1つ以上のホルダを備えた容器を備えることがある。図3は、一実施形態の例について、各支持面311、321、331、341、351、及び361を画定する、複数のホルダ310、320、330、340、350、及び360を備えた容器300を示している。
・・・

【0052】
一の実施形態の容器は、底部壁にほぼ対向する容器の上部に又はこの近くに、任意の好適な大きさ及び形状の開口部を有する、任意の好適な大きさ及び形状の内部領域を画定するのを助けるための、底部壁と1つ以上の側壁とを有することがある。図3の実施形態の例に示されているように、容器300が、容器300の上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有することがある。1つ以上の実施形態のほぼ円筒形の内部領域の内径は、たとえば約3インチ?約6インチの範囲内であり、一の実施形態のそれは、たとえば約3.75インチであり得る。一の実施形態の容器は、底部壁にほぼ対向する容器の上部に又はこの近くにほぼ矩形の開口部を有する、容器内のほぼ平行六面体の形状の内部領域を画定するのを助けるための、底部壁と4つの側壁とを有することがある。
・・・
【0058】
図3の実施形態の例に示されているように、ホルダ310は、底面301全体に支持面311を画定するために底面301全体に位置決めされ、ホルダ320は、支持面311全体に支持面321を画定するためにホルダ310全体に位置決めされ、ホルダ330は、支持面321全体に支持面331を画定するためにホルダ320全体に位置決めされ、ホルダ340は、支持面331全体に支持面341を画定するためにホルダ330全体に位置決めされ、ホルダ350は、支持面341全体に支持面351を画定するためにホルダ340全体に位置決めされ、ホルダ360は、支持面351全体に支持面361を画定するためにホルダ350全体に位置決めされることがある。図3の実施形態の例には、6つのホルダ310、320、330、340、350、及び360を使用して示されているが、たとえば3、4、又は5などの、任意の好適な数の1つ以上のホルダが、1つ以上の他の実施形態のために使用されることがある。
・・・
【0064】
一の実施形態の複数の除去可能なホルダが、任意に、容器の内部領域内のスタック内に置かれることがある。一の実施形態の複数の分離可能かつ除去可能なホルダが、一度に1つずつ容器内に置かれることがある。第1のホルダが容器内に置かれた後、一の実施形態の第2のホルダが、第1のホルダ上に載るよう容器内に置かれ、次いで、任意のその後のホルダが、容器内の上部のホルダ上に載るよう容器内に置かれることがある。一の実施形態の1つ以上のホルダが、別のホルダに直接載るよう容器内に置かれることがある。一の実施形態の1つ以上のホルダが、たとえばガスケット又は他の任意の好適な構造が他のホルダ全体に置かれた、別のホルダに間接的に載るよう容器内に置かれることがある。
・・・
【0068】
ホルダが、任意の好適な大きさ、輪郭、及び形状を有する、1つ以上の支持面を画定することがある。1つ以上の実施形態のホルダが、任意に、ホルダ全体に位置決めされた、たとえば1つ以上の他のホルダを支えるのを助けるための、かつホルダによって支えられた材料全体にガスが流れる領域を画定するのを助けるための、支持面に対して任意の好適な大きさ及び形状の、1つ以上の側壁及び/又は1つ以上の支持材を有することがある。一の実施形態のホルダが、支持面の周囲の少なくとも一部分に沿って、1つ以上の側壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の側壁が、ホルダによって支えられる、任意の好適な量の材料を含むのを助けるよう画定されることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の側壁に、任意に、たとえばホルダと上にあるホルダとの間にガスケットを位置決めするのを助けるために、上部に沿って溝がつけられることがある。」

・「【0106】
一の実施形態のホルダが、支持面を分割するのを助けるためにホルダの支持面から上に延在する、任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有し、ホルダを通るガス流用の1つ以上のこのような1つ以上の壁内に画定された任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の通路を有することがある。一実施形態のこのような1つ以上の壁が、蒸発すべき材料が支えられる任意の好適な数の2つ以上の領域に支持面を分割するのを助けるために、任意の好適な場所に画定されることがある。
【0107】
図6の実施形態の例に示されているように、ホルダ610が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有することがある。ホルダ610、支持面611、側壁612、及び側壁615が、図3、図4、及び図5の、それぞれ、ホルダ310、支持面311、側壁312、及び側壁315にほぼ対応する。ホルダ610が、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有することがある。1つ以上の通路が、ホルダ610全体に、上に、及び/又は内に、蒸発すべき材料を置くこと又は形成することを簡単にするのを助けるために、たとえば支持面611全体に渡って広がるのではなく、1つ以上のこのような1つ以上の壁内に画定されることがある。
【0108】
一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に流れるよう、下にあるホルダを通って1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダに対して位置決めされる又は配向されることがある。一の実施形態について、下にあるホルダのための1つ以上の通路を有する1つ以上の壁は、ガス流が下にあるホルダを通って1つ以上の通路を出ることができるようにするために、及び/又は下にあるホルダによって支えられた材料全体にガス流を循環させる又は渦を起こすのを助けるために、このような1つ以上の壁と上にあるホルダの底部との間で、任意の好適な大きさの出口領域を画定するのを助ける任意の好適な高さであり得る。
【0109】
図6の実施形態の例に示されているように、上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有することがある。ホルダ620、支持面621、側壁622、側壁625、及び壁627及び628は、それぞれ、ホルダ610、支持面611、側壁612、側壁615、及び壁617及び618にほぼ対応する。一の実施形態の上にあるホルダ620が、上にあるホルダ620の、たとえば壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されることがある。」

・「【0117】
一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、任意に、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に延在するために、ホルダの底部から下に延在する任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁が、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助けることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さであり得る。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、任意の好適な技術を使用して、ホルダに結合されることがある。別の実施形態のこのような1つ以上の壁が、ホルダと一体に形成されることがある。
【0118】
たとえば、図6の実施形態の例のホルダ620が、ホルダ620を通って1つ以上の通路に延在する、たとえば壁627及び/又は628などの支持面621を分割する1つ以上の壁に対向するホルダ620の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。たとえば、図7の実施形態の例のホルダ720が、ホルダ720を通って1つ以上の通路に延在する壁727に対向するホルダ720の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。」

・「【0144】
ガスが容器の内部領域の第1の端部に又はこの近くに導入され、内部領域の第2の端部の方に流れるよう方向付けられる、1つ以上の実施形態について、第1の端部の方に支えられた材料が、第2の端部の方に支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されることがある。キャリヤガスが容器内に導入される1つ以上の実施形態について、キャリヤガスは、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料で大部分又は十分に飽和することがある。ガスが蒸発材料に反応するよう容器内に導入される1つ以上の実施形態について、導入されたガスが、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料に反応することがある。1つ以上の実施形態について、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、より多くの材料が第1の端部の方に支えられ、より少ない材料が第2の端部の方に支えられることがある。複数のホルダが容器の内部領域内で材料を支えるのを助けるのに使用される1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、任意に、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、第1の端部の方にはより多くの材料を及び第2の端部の方にはより少ない材料を支えるのを助ける大きさを有する及び/又は間隔が置かれることがある。たとえば、このようなホルダが1つ以上の側壁を有する1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、異なる高さの1つ以上の側壁を有することがある。」

・「【0151】
図面の簡単な説明
【図1】1つ以上の実施形態について、ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける蒸発器を使用するシステムを示す図である。
【図2】1つ以上の実施形態について、図1のシステム内のガス送出を示す流れ図である。
【図3】一例の実施形態について、ガスとホルダによって支えられた材料からの蒸気との接触を促進するのを助けるための、ホルダを備えた蒸発器の容器を示す透視分解図である。
【図4】一例の実施形態について、ホルダを示す透視図である。
・・・
【図6】別の例の実施形態について、別のホルダの上に位置決めされたホルダを示す透視分解組立図である。」

・「【図1】

【図2】

【図3】

【図6】



第5 引用文献1に記載された発明(引用発明)
1 引用文献1の【請求項36】には、「容器と、ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、を備える装置であって、ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有する装置。」が記載されている。
2 そして、【0002】には、当該装置の実施形態(具体例)として、「蒸発器」が挙げられ、【図1】(ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける蒸発器を使用するシステムを示す図)及びその説明箇所(【0015】、【0016】)には、「ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう材料の増大した露出表面積を有する蒸発器110」を使用するシステム100について記載されているから、上記の装置として、「蒸発器(蒸発器110)」が想定されていることを理解することができる。
3 また、上記請求項36に係る装置の「容器」及び「ホルダ」の具体例として、【図3】(ガスとホルダによって支えられた材料からの蒸気との接触を促進するのを助けるための、ホルダを備えた蒸発器の容器を示す透視分解図)には、「容器300」が記載され、また、【図4】、【図5】には当該容器において使用されているホルダが、さらに、【図6】?【図8】には、【図4】、【図5】のものとは異なる別のホルダが、それぞれ記載されているところ、【図6】に記載された「ホルダ610」、「ホルダ620」は、後述のとおり、1つ以上の壁と通路を有することから、上記請求項36に係る装置における「ホルダ」の具体例であるということができる(なお、【図6】以外のホルダ図面については摘記を省略した。)。
4 ここで、上記【図3】及び【図6】について子細にみておくと、蒸発器110の容器300について記載した【図3】及びその説明箇所(【0050】?【0068】)には、材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう材料を支えるのを助けるための1つ以上の支持面を画定する、1つ以上のホルダを備えた容器として、各支持面311、321、331、341、351、及び361を画定する、複数のホルダ310、320、330、340、350、及び360を備えた容器300が記載され(【0050】)、容器300が、その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有することが記載され(【0052】)、さらに、ホルダ310は、底面301全体に支持面311を画定するために底面301全体に位置決めされ、ホルダ320は、支持面311全体に支持面321を画定するためにホルダ310全体に位置決めされ、ホルダ330は、支持面321全体に支持面331を画定するためにホルダ320全体に位置決めされ、ホルダ340は、支持面331全体に支持面341を画定するためにホルダ330全体に位置決めされ、ホルダ350は、支持面341全体に支持面351を画定するためにホルダ340全体に位置決めされ、ホルダ360は、支持面351全体に支持面361を画定するためにホルダ350全体に位置決めされることが記載されている(【0058】)。
また、蒸発器110のホルダ610、620について記載した【図6】及びその説明箇所(【0106】?【0109】)には、ホルダ610が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有し、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有し、これらホルダ610、支持面611、側壁612、及び側壁615が、それぞれ図3のホルダ310、支持面311、側壁312、及び側壁315に対応するものであることが記載され(【0107】)、さらに、上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有し、当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されることが示記載されている((【0109】)。
5 そうすると、引用文献1には、その【請求項36】に記載され、具体的には蒸発器(蒸発器110)が想定されている装置において、その容器として、【図3】に記載された容器300を、そのホルダとして、【図6】に記載されたホルダ610、620を、それぞれ使用することが記載されているといえるから、引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として、以下の発明を認定することができる。
「容器と、
ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、
を備える蒸発器であって、
ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有し、
具体的には、
前記容器は、【図3】に記載された容器300、すなわち、
複数のホルダを備え、
その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有するものであり、
前記ホルダは、【図6】に記載されたホルダ610、620、すなわち、
ホルダ610が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有し、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有し、
上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有し、当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されるものである、
蒸発器110。」

第6 本願発明の容易想到性の検討
1 本願発明と引用発明との対比
(1) 両者の主要構成について
引用発明の「蒸発器」は、引用文献1の【0044】に記載のとおり、原子層堆積(ALD)法などの化学気相成長(CVD)法において使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることが想定されているところ、引用発明の「蒸発材料」は、当該ガスを得るための材料であって、同【0020】、【0021】に記載のとおり、ホウ素(B)などの固体材料やテトラキス(ジメチルアミド)チタン(TDMAT)などの液体材料などが想定されたものである。
他方、本願明細書の【0008】には、本願発明の「システム」は、化学蒸着(CVD)や原子層蒸着(ALD)プロセスに用いられる「ソース試薬材料」の気化のためのものであることが記載され、同【0022】には、当該ソース試薬材料として、ホウ素をはじめとする、上記引用文献1記載の蒸発材料と同様の物質が列記されている。
そうすると、引用発明の「蒸発器」及び「蒸発材料」は、それぞれ本願発明の「システム」及び「ソース試薬材料」に相当するものであるといえ、さらに、当該引用発明の「蒸発器」の主要構成である、「容器(容器300)」及び上記蒸発材料を支える「ホルダ(ホルダ610、620)」は、本願発明の「システム」の主要構成である、「気化器容器」及び「試薬支持トレイ」に、それぞれ対応するものであるということができる。
(2) 両者の各主要構成について
各主要構成について子細にみていく。
ア 気化器容器(容器:容器300)について
引用発明の「容器300」は、「その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有するもの」であるから、本願発明でいう「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器」に相当するものといえる。
イ 試薬支持トレイ(ホルダ:ホルダ610、620)について
(ア) 引用発明の「容器(容器300)」に備えられた「1つ以上のホルダ(複数のホルダ:ホルダ610、620)」は、本願発明の「気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイ」に相当するものであり、その「支持面611、621」及び「側壁612、622」は、それぞれ本願発明の「ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面」及び「支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁」に相当するものといえ、当該ホルダが、本願発明のように「前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さ」を有することも明らかである。
(イ) さらに、引用発明における「ホルダ(ホルダ610、620)」は、最終的に容器300の内部領域内に、【図3】に示されているように設置されるものであり、引用文献1の【0064】にも、「一の実施形態の複数の除去可能なホルダが、任意に、容器の内部領域内のスタック内に置かれることがある。・・・第1のホルダが容器内に置かれた後、一の実施形態の第2のホルダが、第1のホルダ上に載るよう容器内に置かれ、次いで、任意のその後のホルダが、容器内の上部のホルダ上に載るよう容器内に置かれることがある。」との記載があることからみて、当該「ホルダ」は、本願発明が「複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され」ているのと同様の構成を有していることは明らかである。
そして、引用発明の「ホルダ620」は、「壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されるものである」から、当該「ホルダ」は、本願発明が「前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成され」ているのと同様の構成を有しているということができる。
(ウ) 引用発明の「ホルダ(ホルダ610、620)」は、上にあるホルダ620についていうと、「蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する・・・壁627及び628などの複数の壁」及び「当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路」を有するものであり、当該「壁」及び「通路」は、それぞれ本願発明の「仕切り」及び「孔(チャネル)」に相当するものといえる。また、明記はないが、引用文献1の【図6】における通路の形態は、本願の図3、4と同様の形態であることにも照らすと、当該【図6】の記載からみて、これらの壁に形成された複数の通路は、全体として平行な複数のチャネルを形成していると解されるから、当該「ホルダ」は、本願発明が「前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通る少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成する」のと同様の形態を有しているということができる。
(3) 一致点・相違点の認定
そうすると、本願発明と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点が存するものと認められる。
ア 一致点
「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、
前記気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイと、を備え、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面を含み、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁をさらに備え、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さを有し、
前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システムであって、
前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通る少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成する、システム。」
イ 相違点
(ア) 相違点1
本願発明は、「複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有し」ているのに対し、引用発明は、かかる構成を有するものではない点。
(イ) 相違点2
本願発明は、少なくとも1つの仕切りが、支持表面の「下縁より下に第1の距離延在する下端部」を有していることで、結果的に、複数の試薬支持トレイの各々は、「前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達」するという構成を具備するものとなっているのに対し、引用発明は、かかる構成を有するものではない点。

2 相違点についての検討
(1) 相違点1について
相違点1について検討するに、前記第4において摘記した引用文献1の【0144】には、「ガスが容器の内部領域の第1の端部に又はこの近くに導入され、内部領域の第2の端部の方に流れるよう方向付けられる、1つ以上の実施形態について、第1の端部の方に支えられた材料が、第2の端部の方に支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されることがある。キャリヤガスが容器内に導入される1つ以上の実施形態について、キャリヤガスは、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料で大部分又は十分に飽和することがある。ガスが蒸発材料に反応するよう容器内に導入される1つ以上の実施形態について、導入されたガスが、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料に反応することがある。1つ以上の実施形態について、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、より多くの材料が第1の端部の方に支えられ、より少ない材料が第2の端部の方に支えられることがある。複数のホルダが容器の内部領域内で材料を支えるのを助けるのに使用される1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、任意に、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、第1の端部の方にはより多くの材料を及び第2の端部の方にはより少ない材料を支えるのを助ける大きさを有する及び/又は間隔が置かれることがある。たとえば、このようなホルダが1つ以上の側壁を有する1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、異なる高さの1つ以上の側壁を有することがある。」と記載されていることから、側壁を有する複数のホルダを用いる引用発明においても、上記引用文献1の教示に基づいて、蒸発材料の上記のような不均衡な除去を相殺するために、ホルダの2つ以上が、異なる高さの1つ以上の側壁を有する構成とすること、すなわち、本願発明でいう「複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有」する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることと認められる。
そして、当該相違点1に係る本願発明の構成を具備することにより、引用文献1の記載などから予測し得ない有利な効果を奏するものとも認められない。
(2) 相違点2について
相違点2について検討するに、前記第4において摘記した引用文献1の【0117】には、「一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、任意に、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に延在するために、ホルダの底部から下に延在する任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁が、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助けることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さであり得る。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、任意の好適な技術を使用して、ホルダに結合されることがある。別の実施形態のこのような1つ以上の壁が、ホルダと一体に形成されることがある。」と記載され、続けて、同【0118】には、「たとえば、図6の実施形態の例のホルダ620が、ホルダ620を通って1つ以上の通路に延在する、たとえば壁627及び/又は628などの支持面621を分割する1つ以上の壁に対向するホルダ620の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。」と記載されている。
これらの記載に基づけば、引用発明において、たとえばホルダ620の支持面621を分割する壁627及び628を、ホルダ620の底部から下に延在する構成とすること、すなわち、本願発明でいう「少なくとも1つの仕切りが、支持表面の前記下縁より下に第1の距離延在する下端部を有す」る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることといえる。
そして、当該壁の構成は、上記【0117】の記載のとおり、「上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助ける」ものであり、また、「ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さ」を提供するものであるから、結局、上記の壁の構成を具備した引用発明のホルダは、本願発明でいう「前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達」するという構成を具備するものとなるといえる。
したがって、上記相違点2に係る本願発明の構成についても、上記引用文献1の教示に基づいて当業者が容易に想到し得たものということができる。
そして、当該相違点2に係る本願発明の構成を具備することにより、引用文献1の記載などから予測し得ない有利な効果を奏するものとも認められない。

3 審判請求人の主張について。
審判請求人は、審判請求書において、引用文献1の図5及び図6を引用し、図5に示されているのは、差し込まれた管317、318が下に伸びているものであり、図5及び図6を組み合わせても、本願請求項1に係る発明の構成にはならず、また、当業者であっても、図5及び引用文献1の他の記載を参照した場合、例えば、図6に示されるチャネル等に、管を差し込み、管を下縁より下に伸ばすように動機付けられるのが通常であり、仕切り自体の下端部を、支持表面の下縁より下に延在するように動機付けられることは考えられないから、図5と図6を組み合わせても、「少なくとも1つの仕切りを通って下端部と上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネル」及び「少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネル」の両方を備える構成にならず、本願発明は、引用文献1に記載のものに対して進歩性を有するものである旨主張する。
そこで、審判請求人の主張について検討するに、仕切り自体の下端部を支持表面の下縁より下に延在するように構成することは、前記2(2)で検討したように、図5及び図6の組み合わせによらずとも、引用文献1の【0117】及び【0118】の教示に照らして容易想到の事項ということができ、このような教示については、原査定においても既に指摘され、容易想到性を動機付ける根拠の一つとされている。
しかるに、審判請求人の主張は、前記のように専ら図5及び図6の組み合わせによる容易想到性を否定するものであり、上記教示について釈明するものではないから、審判請求人の主張を勘案して、前記相違点2についての判断を覆すことはできない。

4 小括
以上のとおり、上記相違点1、2に係る本願発明の構成はいずれも容易想到の事項であり、これらの構成の組合せによる相乗的効果も認められないから、本願発明は、引用発明及び引用文献1の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというほかなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1の記載に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は原査定の理由により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-06-30 
結審通知日 2020-07-07 
審決日 2020-07-29 
出願番号 特願2015-515233(P2015-515233)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安齋 美佐子  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 後藤 政博
馳平 憲一
発明の名称 バッチ蒸着のための高材料流束によるソース試薬に基づく流体の送出  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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