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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R
管理番号 1369623
審判番号 不服2020-1559  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-05 
確定日 2020-12-24 
事件の表示 特願2017-216489「磁気センサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月 6日出願公開、特開2019- 87688〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月9日にされた特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 5月22日付け:拒絶理由通知書
令和元年 7月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年 8月 7日付け:拒絶理由通知書
令和元年10月21日 :意見書の提出
令和元年10月31日付け:拒絶査定(同年11月5日送達)
令和2年 2月 5日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1から8に係る発明は、令和元年7月29日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1は、以下のとおり記載されている(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

「【請求項1】
長尺とされ、磁気抵抗効果を有し、短手方向を感度軸方向とする素子部を備え、
前記素子部は、短手方向及び長手方向と直交する直交方向から見ると、前記長手方向の両端を結ぶ線分を長径としかつ前記長手方向の中央位置での短手方向の両端を結ぶ線分を短径とする仮想楕円内に配置可能な非楕円形状とされ、
前記素子部の短手方向の幅は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の前記両端に向けて徐々に狭くなり、前記長手方向における前記幅の変化率は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の両端に向けて徐々に大きくなる、磁気センサ。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の一つは、この出願の請求項1-4、7-8に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2008-268219号公報
引用文献2:特開2007-207778号公報

第4 引用文献に記載された発明等
1 引用文献1
(1)引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0001】
本発明は、永久磁石などの縦バイアス磁化手段を用いることなく磁区(ドメイン)の安定したフリー層を有する磁気センサに係り、特に、高感度MTJ(magnetic tunnel junction:磁気トンネル接合)構造またはGMR(giant magneto resistance:巨大磁気抵抗)構造を有する磁気センサおよびその製造方法、並びにその磁気センサを用いて導電線を通じて流れる電流の微小な変化を検出する電流検出方法および電流検出装置(電流センサ)に関する。」

「【0020】
図1は本発明の一実施の形態に係るMTJセンサ41の断面構造を表すものである。このMTJセンサ41は同一構造のMTJセンサ42と共に、後述の電流センサ(電流検出装置)を構成している(図3)。
【0021】
MTJセンサ41は複数(ここでは4個)の小型のMTJ素子(セル)21(磁気抵抗素子)により構成されている。なお、MTJ素子21の数は2?1,000個であることが望ましい。これら複数のMTJ素子21は、詳細は後述するが、平面形状が小さな非円形となるように同一形状にパターン化されたものであり、上部電極22と下部電極23とを共有している。これらMTJ素子21は電気的には互いに並列となっており、電流の検出中、検出電流Is は各MTJ素子21に等しく分割して流れる。このとき検出電流により磁界が誘起され、MTJ素子21はそれぞれ独立してこれに応答し、MTJセンサ41によって発生する総電圧降下は、複数のMTJ素子21において生ずる個々の電圧降下の平均値となる。
【0022】
本実施の形態では、このようにMTJセンサ41を複数の小型のセル(MTJ素子21)により構成すると共に、各MTJ素子21の平面形状を、図3に示したように、同一の楕円形状とするものである。本明細書では、この楕円形状の短軸方向に相当する方向を「第一軸方向」、長軸方向に相当する方向を「第二軸方向」とも称する。この楕円形状の短軸(第一軸)方向の長さを「幅」、長軸(第二軸)方向の長さを「長さ」とすると、幅に対する長さの比(長さ/幅)は、上記フリー層7が異方性磁化を保持するのに十分な値、少なくとも1.2、より好ましくは2.0以上である。また、その長さは、フリー層7(図2)におけるドメインウォール幅(domain wall width)(あるいはニールウォール幅(Neel wall width))未満(最大1.0μm)となっている。
【0023】
すなわち、本実施の形態では、1つのMTJセンサ41を複数の小型のMTJ素子21により構成し、そのMTJセンサ41のフリー層を素子毎のフリー層7の集合としたものである。ここで、各フリー層7は上記のように楕円形状による形状異方性を有し、かつその長さが、磁区と磁区とを分離するドメインウォール幅よりも小さくなっている。そのため各フリー層7は単一磁区を維持し、全てのフリー層7が一体として1のフリー層として機能するようになっている。
【0024】
ちなみに、強磁性薄膜において、隣り合う粒子間の磁気交換相互作用は非常に強力であるので、近傍の粒子における磁化方向は一致するかあるいはほぼ一致する。素子領域の最大長が強磁性薄膜における磁化磁区壁の幅(ドメインウォール幅)よりも小さい場合には、フリー層では、例え、大規模外部磁界による励起を受けたとしても、2以上の複合磁区構造をとることがなく、単一磁区を維持する。よって、その磁気応答曲線ではヒステリシスを示すことがなくなる。
【0025】
なお、各MTJ素子21の平面形状は、完全な楕円に限らず、曲線状の角を有する矩形状、眼形状、ダイヤモンド状形状等の略楕円形状を含むものであり、上記の比(長さ/幅)が1.2以上のものであればよい。」

「【0030】
次に、上記MTJ素子21の製造方法について説明する。
【0031】
まず、下部電極21となる下部導電層上に、公知の方法により、下地層1、反強磁性(AFM)層2、ピンド層3、AFM連結層4、ピンドリファレンス層5、分離層6、フリー層7およびキャップ層8となる各層をこの順で形成する(図2)。
【0032】
次いで、第一軸方向の大規模外部磁場の存在下、下地層1からキャップ層8までを熱処理する。この熱処理によって、ピンドリファレンス層5が第一軸方向に固定される。このピンドリファレンス層5の固定磁化方向は後述の導体電流(検出電流)による誘導磁界方向H1,H2 に平行である。
【0033】
次に、キャップ層8から下地層1までの各層をパターニングすることによって、互いに独立し、それぞれの平面形状が、楕円形状で、かつ上記比(長さ/幅)が少なくとも1.2であり、かつ最大1.0μmの長さを有する複数のMTJ素子21を形成する。このとき、楕円形状の短軸が導体電流による誘導磁界方向H1,H2 に平行(第一軸方向)となるようにパターニングする。
【0034】
次いで、下部導電層をパターニングすることにより、複数のMTJ素子21に共通する下部電極23を形成する。更に、これら複数のMTJ素子21を各側壁を含めて被覆するのに十分な厚さに誘電体層(図示せず)を形成する。続いて、CMP(化学機械研磨)法により、この誘電体層をキャップ層8の表面が露出するまで平坦化した後、上部導電層を形成する。最後に、この上部導電層をパターニングすることによって、複数のMTJ素子21に共通する上部電極22を形成する。
【0035】
図3は上記MTJ素子21を用いた電流センサの構成を表すものである。この電流センサは、U型の導電体10の対向する2つの直線部10a,10b上の互いに対向する位置にMTJセンサ41,42を設置したものである。MTJセンサ41,42は前述のようにそれぞれ複数(ここでは4個)のMTJ素子21を含むアレイ構造となっている。
【0036】
MTJセンサ41,42は、平行になった直線部10a,10b上の互いに対向する位置に配置されているため、これらMTJセンサ41,42それぞれの各MTJ素子21には、同じ導体電流(検出電流)Is によって互いに反対方向の誘導磁界H1,H2が発生するようになっている。一方、各MTJ素子21の形状異方性により、2つのMTJセンサ41,42における全てのフリー層7の磁化方向は、それらの長軸方向(第二軸方向)に沿って一列に揃っている。従って、導体電流Is によって磁界H1 ,H2 が発生すると、各MTJセンサ41、42における全てのフリー層7の磁化方向は、関知した磁界方向(すなわち第一軸方向)に向かって回転する。このとき磁界H1 ,H2 の向きは互いに逆向きであるため、MTJセンサ41とMTJセンサ42とではそれぞれのフリー層7の向きが互いに逆方向となる。すなわち、MTJセンサ41,42での抵抗値は、検出電流Is によって発生した磁界H1 ,H2 に応じて互いに反対方向に変化する。」

「【図3】




(2)引用文献1の前記(1)の記載をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「磁界H2に応じて抵抗値が変化するMTJセンサ41であって(【0036】)、
MTJセンサ41は複数のMTJ素子21(磁気抵抗素子)により構成され(【0021】)、
各MTJ素子21(磁気抵抗素子)の平面形状は、眼形状であり、短軸方向の長さを「幅」とし、長軸方向の長さを「長さ」としたときの幅に対する長さの比が1.2以上であり(【0022】、【0025】)、
短軸方向と磁界H2の方向が平行である(【0033】)、
MTJセンサ41。」

2 引用文献2
(1)引用文献2には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0001】
本発明は、磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気記憶装置の製造方法に関する。」

「【0043】
(b)平面形状
図7(a)乃至(k)は、本発明の第2の実施形態に係るMTJ素子の平面形状の例を示す。以下に、MTJ素子の平面形状の例について説明する。
【0044】
図7(a)乃至(k)に示すように、MTJ素子10の平面形状は、正方形、長方形、六角形、楕円、菱型、平行四辺形、円、十字型、ビーンズ型(凹型)、目型、十字型の一部が平行四辺形となった形状等、種々変更可能である。尚、図示する形状の角張った部分は、丸まっていても勿論よい。」

「【図7】



(2)引用文献2の前記(1)の記載を参酌すると、引用文献2には、MTJ素子の平面形状の「目型」として、下記の、図7(j)のものが示されている。






第5 対比、一致点及び相違点の認定
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。

(1)引用発明の「MTJセンサ41」は、誘導磁界H2に応じて抵抗値が変化するものであるから、本願発明の「磁気センサ」に相当し、本願発明と引用発明は磁気センサである点において一致する。

(2)引用発明の「MTJ素子21(磁気抵抗素子)」は、本願発明の「磁気抵抗効果を有」する「素子部」に相当する。
そして、引用発明の「MTJ素子21(磁気抵抗素子)」は、「短軸方向の長さを「幅」とし、長軸方向の長さを「長さ」としたときの幅に対する長さの比が1.2以上」であるから「長尺とされ」たものであり、「短軸方向と誘導磁界H2の方向が平行である」から、「短手方向を感度軸方向とする」ものである。
したがって、本願発明と引用発明は、「長尺とされ、磁気抵抗効果を有し、短手方向を感度軸方向とする素子部を備え」る点で一致する。

2 一致点及び相違点
前記1の対比の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(1)一致点
「長尺とされ、磁気抵抗効果を有し、短手方向を感度軸方向とする素子部を備えた磁気センサ。」

(2)相違点
素子部の形状について、本願発明は、「短手方向及び長手方向と直交する直交方向から見ると、前記長手方向の両端を結ぶ線分を長径としかつ前記長手方向の中央位置での短手方向の両端を結ぶ線分を短径とする仮想楕円内に配置可能な非楕円形状とされ、前記素子部の短手方向の幅は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の前記両端に向けて徐々に狭くなり、前記長手方向における前記幅の変化率は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の両端に向けて徐々に大きくなる」のに対して、引用発明は、MTJ素子21の平面形状が「眼形状」であるものの、その厳密な具体的形状は不明である点。

第6 判断
1 相違点について
引用発明における「眼形状」という概念から発明をより具体化して設計するに際して当業者が具体的にどのような形状を想定するかについてまず検討する。
引用文献2に「目型」形状のものとして、引用文献2の図7の(j)のものが記載されているように、通常、「眼形状」というと、目頭と目尻に相当する2つの頂点を2本の滑らかな曲線で結んだ形状を想定すると考えられる。そして、「眼形状」のMTJ素子21を当業者が実際に設計する場合、2本の滑らかな曲線として、変曲点や直線部分を有する複雑な曲線を選択する特段の理由はなく、最も単純な曲線をまず想定すると考えるのが常識的であるから、滑らかな曲線としては、円弧や放物線といった単純な凸曲線である2次曲線をまず選択するのが通常というべきである(高次のものを選択する特段の理由がない)。したがって、引用発明の「眼形状」という概念から、円弧又は放物線の、互いに対称な2つの2次の凸曲線よりなる「眼形状」は当業者が容易に想到し得たものと認められる。
なお、引用発明における「眼形状」は、引用文献1の【0025】によると、「略楕円形状」の一つとして、「曲線状の角を有する矩形状」及び「ダイヤモンド状形状」と並んで挙げられている。楕円に代わる「曲線状の角を有する矩形状」及び「ダイヤモンド状形状」として常識的に想定される形状と、引用文献2に記載された「目型」形状とを並べて図示すると、以下のとおりである(左から「曲線状の角を有する矩形状」、引用文献2に記載された「目型」形状、「ダイヤモンド状形状」である。)。並べてみると、左から順に楕円に対する出っ張りが小さくなり、また、曲線と直線からなるもの、曲線だけからなるもの、直線からなるものの順にも並んでおり、矛盾はなく、整合的である。



2本の滑らかな曲線として円弧及び放物線を選択して「眼形状」を作図し、上記相違点の定義に従って作図した「仮想楕円」とともに示したのが以下の図である(左側が円弧を選択した場合で、右側が放物線を選択した場合である。太い実線が「眼形状」、細い実線が「仮想楕円」であり、一点鎖線は長径及び短径を示す。)。



この図から明らかなように、2本の滑らかな曲線として円弧及び放物線を選択した「眼形状」は、いずれも「仮想楕円」内に配置可能であるから、上記相違点のうち、「短手方向及び長手方向と直交する直交方向から見ると、前記長手方向の両端を結ぶ線分を長径としかつ前記長手方向の中央位置での短手方向の両端を結ぶ線分を短径とする仮想楕円内に配置可能な非楕円形状とされ」という要件を満たす。
また、2本の滑らかな曲線として円弧及び放物線を選択した「眼形状」は、「曲線状の角を有する矩形状」とは異なり、短手方向の幅が一定な部分がないから、上記相違点のうち、「前記素子部の短手方向の幅は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の前記両端に向けて徐々に狭くなり」という要件を満たす。
さらに、2本の滑らかな曲線として円弧及び放物線を選択した「眼形状」は、「ダイヤモンド状形状」とは異なり、短手方向の幅の長手方向における変化率が一定な部分がないから、上記相違点のうち、「前記長手方向における前記幅の変化率は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の両端に向けて徐々に大きくなる」という要件を満たす。
以上検討のとおり、引用発明における「眼形状」として、上記相違点の要件を全て満たす形状を選択することは、当業者が容易になし得たことである。

2 有利な効果について
本願の明細書の【0017】-【0021】によると、本願発明の効果は、平面形状が楕円である磁気センサと比較してヒステリシスが小さいということである。
この点について検討すると、引用文献1の【0023】-【0024】には、MTJ素子21のフリー層7の形状を「楕円形状による形状異方性を有し、かつその長さが、磁区と磁区とを分離するドメインウォール幅よりも小さく」なるようにすることで、「フリー層7は単一磁区を維持し」、その結果、「その磁気応答曲線ではヒステリシスを示すことがなくなる」ことが記載されているから、磁気抵抗素子の平面形状に応じて磁気センサのヒステリシスが変化しうることは、当業者が予測することができたものである。よって、本願発明の効果は、引用発明の有する効果と比べて異質なものとはいえない。
また、楕円Eを次式、X^(2)/a^(2)+ Y^(2)/b^(2)=1(a>b>=0)と置くとき、x=X, y=Y*(1-k|X|/a), ただし(1>k>0)によって定義される曲線(以下「曲線C」という。)は、請求項1の条件を全て満たす。この場合、kを無限小とすると、曲線Cは楕円Eに漸近する。そうすると、本願の図2Bや図3等で説明されるヒステリシス低減の効果は、kの減少に伴って元の楕円のものに漸近する。すなわち、本願発明の効果は、無限小のものも包摂することとなる。したがって、本願発明の効果は、引用発明の有する効果と比べて際だって優れたものとはいえない。
さらに、MTJ素子21(磁気抵抗素子)の平面形状の形状を楕円から変更した場合に、ヒステリシスを測定することは、当業者が当然に実施すべき通常の創作活動であるということができるから、楕円と相違点の形状の間にヒステリシスの相違があったとしても、当業者が通常の創作能力の発揮により確認すべきことであり、格別顕著な効果であるとは認められない。
以上検討のとおり、本願発明の効果は、格別顕著なものであるとはいえない。

3 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、引用文献1の「眼形状」ないし引用文献2の「目型」には一般的、普遍的な定義があるわけではないから、これらの文献には、「仮想楕円内に配置可能」、「前記長手方向における前記幅の変化率は、前記長手方向の中央位置から前記長手方向の両端に向けて徐々に大きくされている」との要件が開示されていない旨の主張をしている。
しかしながら、前記1で示したとおり、引用発明における「眼形状」として、これらの要件を全て満たす形状を選択することは、当業者が容易に想到し得たことであるから、審判請求人の主張は採用できない。
また、審判請求人は、審判請求書において、引用文献1に開示された発明では、ヒステリシスの低減という本願発明が解決しようとする課題が別の方法ですでに解決されているので、この課題を解決するために、引用文献1と2を組み合わせる動機付けがない旨の主張をしている。
しかしながら、引用文献1の【0025】には、MTJ素子21の平面形状を「眼形状」とすることが明示されているから、その具体的形状を設計する動機を当業者は有していたというべきであり、効果についても当業者の通常の創作能力の発揮により確認すべきことであるから、審判請求人の主張は採用できない。

4 判断のまとめ
前記1-3で示したとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-10-15 
結審通知日 2020-10-20 
審決日 2020-11-05 
出願番号 特願2017-216489(P2017-216489)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永井 皓喜  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 中塚 直樹
岸 智史
発明の名称 磁気センサ  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
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