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審決分類 審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更  F21S
審判 全部無効 2項進歩性  F21S
審判 全部無効 1項2号公然実施  F21S
管理番号 1369626
審判番号 無効2018-800050  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-04-26 
確定日 2020-12-25 
事件の表示 上記当事者間の特許第4366431号発明「光照射装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4366431号(以下「本件特許」という。)についての特許出願は、平成20年7月30日になされ、平成21年8月28日にその特許権が設定登録された。
そして、本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。なお、本件特許の特許請求の範囲について、平成29年12月25日に訂正の審判請求(訂正2017-390157)があり、平成30年3月20日付けで訂正することを認める審決がなされ、同年3月29日に審決が確定し、さらに、同年3月15日に訂正の審判請求(訂正2018-390056)があり、同年6月15日付けで訂正することを認める審決がなされ、同年6月25日に審決が確定している。

平成30年 4月26日 本件無効審判請求
同年 6月25日付け 手続補正書(方式)
同年 9月 3日 被請求人より審判事件答弁書の提出
同年 9月13日付け 訂正を認める審決の確定の通知書
同年10月16日 請求人より審判事件弁駁書及び手続補正書
の提出
同年12月 3日付け 審理事項通知書
平成31年 1月11日 被請求人より口頭審理陳述要領書(以下「被
請求人陳述要領書」という。)の提出
同年 2月 1日 請求人より口頭審理陳述要領書(以下「請求
人陳述要領書」という。)書の提出
同年 2月15日 口頭審理

第2 本件特許発明
本件無効審判請求に係る本件特許の請求項1及び3に係る発明は、訂正2018-390056により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び3に記載された以下のとおりのものである。なお、請求項2は削除されている。
「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた、ライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし、
複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。

【請求項3】
前記LEDが、表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。」

第3 請求人の主張
平成30年10月16日に提出された手続補正書による審判請求書の補正は、第1回口頭審理陳述要領書のとおり、口頭審理において決定をもって許可した。
請求人は、特許第4366431号の請求項1及び3についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めており、上記手続補正書により補正された審判請求書(以下「補正審判請求書」という。)、審判事件弁駁書、請求人陳述要領書において主張する無効理由及び証拠方法は概ね以下のとおりである。なお、各証拠について、「甲第○号証」を「甲○」のように簡略表記とする。

1 無効理由について
(1)無効理由ア-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由ア-2
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)として本件特許の出願日前に公然実施された発明、周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)及び周知・慣用技術(表面実装型LED(甲2、甲5))に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)無効理由イ-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(4)無効理由イ-2
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明、周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)及び周知・慣用技術(表面実装型LED(甲2、甲5))に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(5)無効理由ウ-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明である。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第2号に該当し特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(6)無効理由ウ-2
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(7)無効理由ウ-3
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)ないし請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(8)無効理由ウ-4
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明である。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第1項第2号に該当し特許を受けることができないものであるから、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(9)無効理由ウ-5
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(10)無効理由ウ-6
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)ないし請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(11)無効理由エ
訂正2018-390056による訂正前の請求項1(及び請求項1を引用する請求項3)を訂正後の請求項1(及び請求項1を引用する請求項3)とする訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものである。
したがって、上記訂正は、特許法第126条第6項の規定に違反するものであるから、請求項1及び3に係る特許は、同法第123条第1項第8号に該当し、無効とすべきものである。

2 証拠方法
請求人は、審判請求書に添付して甲1ないし甲5を提出し、平成30年6月25日付け手続補正書(方式)に添付して甲6を提出し、審判事件弁駁書に添付して甲7ないし甲11を提出している。
甲1 :株式会社イマック 2004年?LED照明総合カタログ 表紙、
第12?33頁、裏表紙
甲2 :株式会社イマック 2005年?LED照明総合カタログ 表紙、
第12?35頁、裏表紙
甲3 :説明書(I)(作成者:株式会社イマック LED照明機器グル
ープ設計部 松本直人 和田祐二,作成日:平成30年4月20日)
甲4 :説明書(II)(作成者:同上,作成日:同上)
甲5 :説明書(III)(作成者:同上,作成日:同上)
甲6 :特開2009-59636号公報
甲7 :説明書(1)(作成者:株式会社イマック LED照明機器グルー
プ設計部 松本直人 和田祐二,作成日:平成29年11月2日,
侵害訴訟で大阪地裁に請求人が乙4として提出したもの)
甲8 :説明書(2)(作成者:株式会社イマック LED照明機器グルー
プ設計部 松本直人 和田祐二 藤河恒生,作成日:平成29年11
月2日,侵害訴訟で大阪地裁に請求人が乙5として提出したもの)
甲9 :回路調査結果(作成者:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援
機構 近畿職業能力開発大学附属滋賀職業能力開発短期大学校 電子
情報技術科 能力開発教授 齋藤公利,作成日:平成29年12月
15日,侵害訴訟で大阪地裁に請求人が乙7として提出したもの)
甲10:説明書(IV)(作成者:株式会社イマック LED照明機器グル
ープ設計部 松本直人 和田祐二,作成日:平成30年10月15
日)
甲11:特許第3481599号公報

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めており、審判事件答弁書、被請求人陳述要領書における主張及び証拠方法は概ね以下のとおりである。

1 無効理由について
(1)公然実施発明であるかについて
甲3ないし甲5に示された各資料からでは、これらが実際に販売されていた製品と同一であるかどうかは不明である。
したがって、甲3ないし甲5に基づいては、請求人が主張するところの甲3ないし甲5に係る発明が公然実施発明とは認められない。
仮に公然実施発明であったとしても以下(2)?(11)のとおりである。

(2)無効理由ア-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(3)無効理由ア-2
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)として本件特許の出願日前に公然実施された発明、周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)及び周知・慣用技術(表面実装型LED(甲2、甲5))に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(4)無効理由イ-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(5)無効理由イ-2
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明、周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2、甲5)、甲11)及び周知・慣用技術(表面実装型LED(甲2、甲5))に基いて当業者が容易に発明をすることがすることができたものではない。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(6)無効理由ウ-1
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明ではない。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第2号に該当し特許を受けることができないものではなく、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(7)無効理由ウ-2
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(8)無効理由ウ-3
請求項1に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)ないし請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものはなく、請求項1に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(9)無効理由ウ-4
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明ではない。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第1項第2号に該当し特許を受けることができないものではなく、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(10)無効理由ウ-5
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(11)無効理由ウ-6
請求項3に係る発明は、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件特許の出願日前に公然実施された発明及び請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)ないし請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件特許の出願日前に公然実施された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものはない。
したがって、請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、請求項3に係る特許は、同法123条第1項第2号に該当せず、無効となるべきものでない。

(12)無効理由エ
訂正2018-390056による訂正前の請求項1(及び請求項1を引用する請求項3)を訂正後の請求項1(及び請求項1を引用する請求項3)とする訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものではない。
したがって、上記訂正は、特許法第126条第6項の規定に違反するものではなく、請求項1及び3に係る特許は、同法第123条第1項第8号に該当せず、無効となるべきものでない。

2 証拠方法
被請求人は、審判事件答弁書に添付して乙1ないし乙5を提出している。
乙1:説明書(8)(作成者:株式会社イマック LED照明機器グループ
設計部 松本直人 和田祐二 ,作成日:平成30年6月22日,侵害
訴訟で大阪地裁に請求人が乙17として提出したもの)
乙2:準備書面(被告第8)(侵害訴訟で大阪地裁に請求人が提出したも
の)
乙3:説明書(作成者:シーシーエス株式会社 照明技術・商品開発部商品
設計課 可児尚希,作成日:平成30年8月22日,侵害訴訟で大阪
地裁に被請求人が甲12として提出したもの)
乙4:訂正審判(訂正2018-390056)の請求書
乙5:訂正審判(訂正2018-390056)の審決

第5 当審の判断
1 公然実施発明であるかについて
(1)甲3について
ア 甲3の記載事項等
(1a)甲3の資料1の左上のタイトルには、「LED Direct Bar Light IDB-11/14R」と記載され、中央下段の図右下には、「基板 P211-011-2」、「赤色LED 6個」及び「GL3UR43」という記載があり、図左下には「ケース C211-010-1A」という記載がある。ここで、技術常識を踏まえると、「GL3UR43」は「赤色LED」の型番を示すものと推認できる。
そうすると、請求人製品IDB-11/14Rは、複数の同一の赤色LED(型番「GL3UR43」6個)を搭載した基板を備えること、基板を収容するケースを備えること、1枚の基板を配置すること、を有するLED Direct Bar Lightであることが認定できる。

(1b)甲3の資料2(機名「IDB-11/14R」、名称「プリント基板」、図番「P211-010-2」)の左上の回路図から、請求人製品IDB-11/14Rは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続し、プリント基板に搭載されるLEDの個数は6個であることが看取できる。そして、甲3の資料2の記載と併せてみると、甲3の資料1に記載される「基板」は「プリント基板」であることも明らかである。

(1c)甲3の資料5の左上のタイトルには、「LED Direct Bar Light IDB-11/14W」と記載され、中央下段の図右下には、「基板 P211-011-1」、「白色LED 6個」、「NSPW310BS-CR/CS」、「CR:150Ω」及び「CS:180Ω」という記載があり、図左下には、「ケース C211-010-1A」という記載がある。ここで、技術常識を踏まえると、「NSPW310BS-CR/CS」という記載は「NSPW310BS-CR」及び「NSPW310BS-CS」という白色LEDの型番を示し、「CR:150Ω」及び「CS:180Ω」はそれらに組み合わせる抵抗を意味するものと推認され、「LED Direct Bar Light」のような用途においては発光のばらつきを避けることが通常であるので、これらの記載から、「NSPW310BS-CR」を6個または「NSPW310BS-CS」を6個のいずれかを用いていると理解するのが自然である。
そうすると、請求人製品IDB-11/14Wは、複数の同一の白色LED(型番「NSPW310BS-CR」6個または型番「NSPW310BS-CS」6個)を搭載した基板を備えること、基板を収容するケースを備えること、1枚の基板を配置すること、を有するLED Direct Bar Lightであることが認定できる。

(1d)甲3の資料6(機名「IDB-11/14W」、名称「プリント基板」、図番「P211-011-1」)の左上の回路図から、請求人製品IDB-11/14Wは、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、基板に搭載されるLEDの個数は6個であることが看取できる。そして、甲3の資料6の記載と併せてみると、甲3の資料5に記載される「基板」は「プリント基板」であることも明らかである

(1e)甲3の資料3の「電気的光学的特性」の表を参照すると、「GL3UR43」のTYP順電圧が1.85Vであることが示されている。

(1f)甲3の資料7の第1頁の「初期電気/光学特性」の表を参照すると、「NSPW310BS」の標準順電圧が3.6Vであることが示されている。

イ 甲3発明
上記ア(1a)?(1f)の事項からみて、請求人製品「IDB-11/14R」と「IDB-11/14W」として次の発明(以下「甲3発明」という。)が認定できる。
「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、
前記プリント基板を収容するケースと、を備えたLED Direct Bar Lightであって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、LEDを6個直列に接続し、
前記赤色LEDはGL3UR43であり、
前記GL3UR43のTYP順電圧が1.85Vであり、
白色LEDの場合には、LEDを3個直列に接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、
前記白色LEDはNSPW310BS-CRまたはNSPW310BS-CSであり、
前記NSPW310BSの標準順電圧が3.6Vであり、
前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり、
1枚の前記プリント基板を配置するLED Direct Bar Light。」

公然実施された発明か否かについて
(ア)甲3の資料4の各注文書及び納品書(控)より、本件の出願前に「IDB-11/14R」の取引がなされたことが推認でき、同資料8の各注文書及び納品書(控)より、本件特許の出願前に「IDB-11/14W」の取引がなされたことが推認できる。

(イ)「IDB-11/14R」に係る甲3の資料1の中央上段の図にはケースの全長が「36」、ケースの幅が「12」、発光面の長さが「14」、発光面の幅が「11」、2つの孔の間隔が「30」であることが示され、中央下段の図にはケースの上方部分の長さが「24」、ケースの高さが「11」であることが示されている。
また、「IDB-11/14W」に係る甲3の資料5の中央上段及び中央下段の図にも、同様の数値が示されている。

(ウ)甲1(2004年?LED照明総合カタログ)の頁番号16のタイトルに「ダイレクトバー照明/IDB」と記載され、頁番号17の下段の表に、「IDB-11/14R」の各寸法(mm)が記載され、また、LED数が6個であることが記載されている。
そして、上段左方の「1」の図と併せると、上記(イ)の「IDB-11/14R」のケースの全長、ケースの幅、発光面の長さ、発光面の幅、2つの孔の間隔、ケースの上方部分の長さ、ケースの高さに対応する、G、C、B、D、F、A、Eが、「36」、「12」、「14」、「11」、「30」、「24」、「11」であることが記載されており、上記(イ)の数値と同一であることが理解できる。
また、当該表には、「IDB-11/14W」の記載はないが、甲1の頁番号16の右上に「赤/白/青/緑/赤外/紫外の製作が出来ます。」(下線は当審で付加。)と記載されており、白色LEDを用いたものが製作可能であることが示されている。そして、当該表の「IDB-15/26RS」及び「IDB-15/26WS」等他の型式のものの「R」(赤色LED)と「W」(白色LED)が付されたものにおいて、両者の各寸法が同一であることが示されおり、使用するLEDの色に関わらず、LEDの色を示す記号(R、W等)を除いた型式名が同一のものであるなら、各寸法も同一であることが推認でき、その場合「IDB-11/14W」のG、C、B、D、F、A、Eも、「36」、「12」、「14」、「11」、「30」、「24」、「11」であって、上記(イ)の数値と同一であると推認できる。

(エ)同じ会社により製造ないし販売される照明装置において、型式名が同一であれば同一構造を有するのが一般的であると解されるところ、甲3発明が、上記(ア)の取引をされたもの、あるいは、上記(ウ)のカタログに掲載されたもの(ないし推認されたもの)と具体的な構造が異なるとする特段の事情は見当たらない。そして、被請求人は「甲3及び甲4に示された各資料からでは、これらが実際に販売されていた製品と同一であるかどうかは不明である。」(審判事件答弁書第6頁下から8行?下から7行)と主張するだけで、甲3発明が公然実施発明でないとする具体的な理由や証拠を示していない。
以上のことを総合すると、甲3発明は本件特許の出願前に公然実施されていたと推認できる。

(2)甲4について
ア 甲4の記載事項等
(2a)甲4の資料1の右下の欄には、機名「IDB-C11/14R」、「*6 Red φ3 LEDs (0.3w)」と記載され、右上の「部品名」、「型番」、「数量」等の表には、部品名「ケース」として型番「C211-010-1A」、数量「1」と記載され、部品名「プリント基板」として型番「P211-010-2 Au」、数量「1」と記載され、部品名「LED」として型番「GL3UR43」、数量「6」と記載されている。
そうすると、請求人製品「IDB-C11/14R」は、6個の同一の赤色LED(型番「GL3UR43」)を搭載したプリント基板を備えること、プリント基板を収容するケースを備えること、1枚の基板を配置することが認定できる。
また、甲2の頁番号16のタイトルに「ダイレクトバー照明/IDB」と記載されていること、及び、同頁番号17の下段の表に型式「IDB-C11/14R」と記載されていることより、請求人製品「IDB-C11/14R」は、ダイレクトバー照明であることが認定できる。

(2b)甲4の資料2の右下の欄には、機名「IDB-11/14R」、名称「プリント基板」、図番「P211-010-2」と記載され、請求人製品「IDB-11/14R」は、左上の回路図から、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続することが看取できる。
そして、上記(2a)の請求人製品「IDB-C11/14R」においても、使用されるプリント基板の型番からみて、甲4の資料2と同様のプリント基板を用いていることが推認できる。

(2c)甲4の資料5の左上のタイトルには、「IDB-C11/14B」と記載され、中央の「部品名」、「型番」、「必要数」等の表には、部品名「ケース」として型番「C211-010-1A」、必要数「1」と記載され、部品名「基板」として型番「P211-011-1」、必要数「1」と記載され、部品名「LED」として型番「NSPB310A-WS/WT」、必要数「6」と記載され、部品名「抵抗」として型番「RK73K2ESTD-151/181G」と記載されている。
上記「(1)ア(1c)」で述べたのと同様に、技術常識を踏まえると、「NSPB310A-WS/WT」という記載は「NSPB310A-WS」及び「NSPB310A-WT」という青色LEDの型番を示し、抵抗も型番「RK73K2ESTD-151/181G」のスラッシュで区切られた2種類のものを、使用する青色LEDに組み合わせるものと推認され、「ダイレクトバー照明」のような用途においては発光のばらつきを避けることが通常であるので、これらの記載から、「NSPB310A-WS」を6個または「NSPB310A-WT」を6個のいずれかを用いていると理解するのが自然である。
そうすると、請求人製品「IDB-C11/14B」は、6個の同一の青色LED(型番「NSPB310A-WS」または「NSPB310A-WT」)を搭載した基板を備えること、基板を収容するケースを備えること、1枚の基板を配置すること、を有するダイレクトバー照明であることが認定できる。

(2d)甲4の資料6の右下の欄には、機名「IDB-11/14W」、名称「プリント基板」、図番「P211-011-1」と記載され、請求人製品「IDB-11/14W」は、左上の回路図から、直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、プリント基板に搭載されるLEDの個数は6個であることが看取できる。
そして、上記(2c)の請求人製品「IDB-C11/14B」においても、使用される基板の型番からみて、甲4の資料6と同様のプリント基板を用いていることが推認できる。

(2e)甲4の資料3の「電気的光学的特性」の表を参照すると、「GL3UR43」のTYP順電圧が1.85Vであることが示されている。

(2f)甲4の資料7の第1頁の「初期電気/光学特性」の表を参照すると、「NSPB310A」の標準順電圧が3.6Vであることが示されている。

イ 甲4発明
上記ア(2a)?(2f)の事項からみて、請求人製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」として次の発明(以下「甲4発明」という。)が認定できる。
「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、
前記プリント基板を収容するケースと、を備えたダイレクトバー照明であって、
直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、
前記赤色LEDはGL3UR43であり、
前記GL3UR43のTYP順電圧が1.85Vであり、
青色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、
前記青色LEDはNSPB310A-WSまたはNSPB310A-WTであり、
前記NSPB310Aの標準順電圧が3.6Vであり、
前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり、
1枚の前記プリント基板を配置するダイレクトバー照明。」

公然実施された発明か否かについて
(ア)甲4の資料4の各注文書及び納品書(控)より、本件の出願前に「IDB-C11/14R」の取引がなされたことが推認でき、同資料8の(1)、(2)の各注文書及び納品書(控)より、本件特許の出願前に「IDB-C11/14B」の取引がなされたことが推認できる。

(イ)「IDB-C11/14R」に係る甲4の資料1の中央左上段の図にはケースの全長が「36」、ケースの幅が「12」、発光面の長さが「14」、発光面の幅が「11」、2つの孔の間隔が「30」であることが示され、中央左下段の図にはケースの上方部分の長さが「24」、ケースの高さが「11」であることが示されている。
また、「IDB-C11/14B」に係る甲4の資料5の左上段及び左中段の図にも、同様の数値が示されている。

(ウ)甲2(2005年?LED照明総合カタログ)の頁番号16のタイトルに「ダイレクトバー照明/IDB」と記載され、頁番号17の下段の表に、「IDB-C11/14R」の各寸法(mm)が記載され、また、LED数が6個であることが記載されている。
そして、上段左方の「1」の図と併せると、上記(イ)の「IDB-C11/14R」のケースの全長、ケースの幅、発光面の長さ、発光面の幅、2つの孔の間隔、ケースの上方部分の長さ、ケースの高さに対応する、G、C、B、D、F、A、Eが、「36」、「12」、「14」、「11」、「30」、「24」、「11」であることが記載されており、上記(イ)の数値と同一であることが理解できる。
また、当該表には、「IDB-C11/14B」の記載はないが、甲2の頁番号16の右上に「赤/白/青/緑/赤外/紫外の製作が出来ます。」(下線は当審で付加。)と記載されており、青色LEDを用いたものが製作可能であることが示されている。そして、当該表の「IDB-C11/14R」及び「IDB-C11/14W」や「IDB-C15/26RS」及び「IDB-C15/26WS」等他の型式のものの「R」(赤色LED)と「W」(白色LED)が付されたものにおいて、両者の各寸法が同一であることが示されおり、使用するLEDの色に関わらず、LEDの色を示す記号(R、W等)を除いた型式名が同一のものであるなら、各寸法も同一であることが推認でき、その場合「IDB-C11/14B」のG、C、B、D、F、A、Eが、「36」、「12」、「14」、「11」、「30」、「24」、「11」であって、上記(イ)の数値と同一であると推認できる。

(エ)同じ会社により製造ないし販売される照明装置において、型式名が同一であれば同一構造を有するのが一般的であると解されるところ、甲4発明が、上記(ア)の取引をされたもの、あるいは、上記(ウ)のカタログに掲載されたもの(ないし推認されたもの)と具体的な構造が異なるとする特段の事情は見当たない。そして、被請求人は「甲3及び甲4に示された各資料からでは、これらが実際に販売されていた製品と同一であるかどうかは不明である。」(審判事件答弁書第6頁下から8行?下から7行)と主張するだけで、甲4発明が公然実施発明でないとする具体的な理由や証拠を示していない。
以上のことを総合すると、甲4発明は本件特許の出願前に公然実施されていたと推認できる。

(3)甲5について
ア 甲5の記載事項等
(3a)甲5の資料1の左上のタイトルには、「LED Linear Array Light IDB-L600/20RS」と記載され、下方中央の「部品名」、「型番」、「必要数」、「材質・表面」、「備考」の表には、部品名「ケース」として型番「C213-020」、必要数「1」と記載され、部品名「基板」として型番「P211-490-2B」、必要数「2」と記載され、部品名「LED」として型番「LT1U40A」、必要数「348」、備考「赤色」と記載されている。
そうすると、請求人製品「IDB-L600/20RS」は、348個の同一の赤色のLED(型番「LT1U40A」)を搭載すること、2枚の同一の基板を備えること、2枚の基板を収容するケースを備えることが認定できる。

(3b)甲5の資料1の上部右方の「*Only 12V USE」という記載を踏まえると、請求人製品「IDB-L600/20RS」の電源の電圧は12Vと認定できる。また、甲5の資料1の下方中央の「部品名」、「型番」、「必要数」、「材質・表面」、「備考」の表の基板(型番「P211-490-2B」)の「材質・表面」から「備考」にかけての欄に「FR-4 部品面に実装」と記載されていることから、基板の部品面に部品を実装していることが示されている。

(3c)甲5の資料2の右下の欄には、機名「IDB-300/20RS」、名称「プリント基板単体図」、図番「P211-490-2B」と記載され、また、上段の図には「基板外径寸法 299.7 +0-0.1」(合議体注:「+0」と「-0.1」は小さい字で上下に並べて記載。)と記載されている。
一方、甲5の資料1の上段の図には、「600(発光面)」と記載されている。

(3d)甲5の資料2の上段の図より、基板に搭載されるLED数が図上で縦3個、横58列であり、合計数が174個(=3×58)であることが示されている。また、左下の構成回路の図にも、部品面「P211-490-2」にLEDを搭載する場合、LEDが「D1」から「D174」の174個であること、直列に接続されるLEDが6個であること、抵抗が「R1」から「R29」の29個であることが示されている。
そうすると、甲5の資料2の左下の構成回路の図より、請求人製品「IDB-300/20RS」に用いるプリント基板「P211-490-2B」の部品面「P211-490-2」にLEDを搭載する場合、電源電圧(+COM、-COM)とLEDを接続し、プリント基板(図番「P211-490-2B」)の部品面「P211-490-2」においては、LEDを直列に6個接続し、そのような直列回路を29本並列接続することが看取できる。

(3e)そして、上記(3a)の請求人製品「IDB-L600/20RS」においても、使用される基板の型番からみて、甲5の資料2と同様のプリント基板を用いていることが推認でき、上記(3c)の発光面と基板外形寸法の値から当該プリント基板を長手方向に2枚直列させてあることが把握できる。
さらに、上記(3b)で指摘したように、甲5の資料1には基板の部品面に部品を実装していることが示されているから、上記(3d)も併せると、請求人製品「IDB-L600/20RS」の各プリント基板に実装されるLEDは、電源電圧(+COM、-COM)とLEDを接続し、LEDを直列に6個接続し、そのような直列回路を29本並列接続するものであることが認定できる(LED数も、6(個)×29(本)×2(枚)=348(個)となり整合している。)。

(3f)甲5の資料5の左上のタイトルには、「LED Linear Array Light IDB-L600/20WS」と記載され、下方中央の「部品名」、「型番」、「必要数」、「材質・表面」、「備考」の表には、部品名「ケース」として型番「C213-020」、必要数「1」と記載され、部品名「基板」として型番「P211-490-2B」、必要数「2」と記載され、部品名「LED」として型番「E1S30-AW0A7-03」、必要数「348」、備考「白色」と記載されている。
そうすると、請求人製品「IDB-L600/20WS」は、348個の同一の白色のLED(型番「E1S30-AW0A7-03」)を搭載すること、2枚の同一の基板を備えること、2枚の基板を収容するケースを備えることが認定できる。

(3g)甲5の資料5の上部右方の「*Only 12V USE」という記載を踏まえると、請求人製品「IDB-L600/20WS」の電源電圧は12Vと認定できる。また、甲5の資料5の下方中央の「部品名」、「型番」、「必要数」、「材質・表面」、「備考」の表の基板(型番「P211-490-2B」)の「材質・表面」から「備考」にかけての欄に「FR-4 ハンダ面に部品実装」と記載されていることから、基板のハンダ面に部品を実装していることが示されている。

(3h)上記(3c)の事項に加え、甲5の資料5の上段の図には、「600(発光面)」と記載されている。

(3i)上記(3d)の事項に加え、甲5の資料2の左下の構成回路の図には、ハンダ面「P211-491-2」にLEDを搭載する場合、LEDが「D1」から「D174」の174個であること、直列に接続されるLEDが3個であること、抵抗が「R1」から「R58」の58個であることが示されている。
そうすると、甲5の資料2の左下の構成回路の図より、請求人製品「IDB-300/20RS」に用いるプリント基板「P211-490-2B」のハンダ面「P211-491-2」にLEDを搭載する場合、電源の電圧(+COM、-COM)とLEDを接続し、プリント基板(図番「P211-490-2B」)のハンダ面「P211-491-2」においては、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を58本並列接続することが看取できる。

(3j)そして、上記(3f)の請求人製品「IDB-L600/20WS」においても、使用される基板の型番からみて、甲5の資料2と同様のプリント基板を用いていることが推認でき、上記(3c)、(3h)の発光面と基板外形寸法の値から当該プリント基板を長手方向に2枚直列させてあることが把握できる。
さらに、上記(3g)で指摘したように、甲5の資料5には基板のハンダ面に部品を実装していることが示されているから、上記(3i)も併せると、請求人製品「IDB-L600/20WS」の各プリント基板に実装されるLEDは、電源電圧(+COM、-COM)とLEDを接続し、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を58本並列接続するものであることが認定できる(LED数も、3(個)×58(本)×2(枚)=348(個)となり整合している。)。

(3k)甲5の資料3の電気的光学的特性の表を参照すると、「LT1U40A」のTYP順電圧が1.85Vであることが示されている。

(3l)甲5の資料6の電気的・光学的特性の表を参照すると、「E1S30-AW0A7-03」のTyp.標準の直流順電圧が3.2Vであることが示されている。

イ 甲5発明
上記ア(3a)?(3l)の事項からみて、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」として、次の発明(以下「甲5発明」という。)が認定できる。
「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、
前記プリント基板を収容するケースと、を備えたLED Linear Array Lightであって、
電源電圧(12V)とLEDを接続し、
赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、そのような直列回路を29本並列接続し、
前記赤色LEDはLT1U40Aであり、
前記LT1U40AのTYP順電圧が1.85Vであり、
白色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を58本並列接続し、
前記白色LEDはE1S30-AW0A7-03であり、
前記E1S30-AW0A7-03のTyp.標準の直流順電圧が3.2Vであり、
1枚の前記プリント基板に搭載されるLEDの個数は174個であり、
2枚の前記プリント基板を長手方向に2枚直列させてあるLED Linear Array Light。」

公然実施されたか否かについて
(ア)甲5の資料4の各注文書及び納品書(控)より、本件の出願前に「IDB-L600/20RS」の取引がなされたことが推認でき、同資料7の各注文書及び納品書(控)より、本件の出願前に「IDB-L600/20WS」の取引がなされたことが推認できる。

(イ)「IDB-L600/20RS」に係る甲5の資料1の上段の図にはケースの全長が「610」、ケースの幅が「26」、発光面の長さが「600」、発光面の幅が「18」であることが示され、中段の図にはケースの高さが「26」であることが示されている。
また、「IDB-L600/20WS」に係る甲5の資料5の上段及び中段の図にも、同様の数値が示されている。

(ウ)甲2(2005年?LED照明総合カタログ)の頁番号21のタイトルに「ラインセンサー照明/IDB-L IDB-L/H」と記載され、その中段の表に、「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」の各寸法(mm)が記載され、また、LED数が348個であることが記載されている。
そして、上段右方の「1」の図と併せると、上記(イ)の「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」のケースの全長、ケースの幅、発光面の長さ、発光面の幅、ケースの高さに対応する、A、C、B、D、Eが、「610」、「26」、「600」、「18」、「26」であることが記載されており、上記(イ)の数値と同一であることが理解できる。

(エ)同じ会社により製造ないし販売される照明装置において、型式名が同一であれば同一構造を有するのが一般的であると解されるところ、甲5発明が、上記(ア)の取引をされたもの、あるいは、上記(ウ)のカタログに掲載されたものと具体的な構造が異なるとする特段の事情は見当たらず、また、被請求人は「甲5に示された各資料からでは、これらが実際に販売されていた製品と同一であるかどうかは不明である。」(審判事件答弁書第13頁下から6行?下から5行)と主張するだけで、甲5発明が公然実施発明でないとする具体的な理由や証拠を示していない。
以上のことを総合すると、甲5発明は本件特許の出願前に公然実施されていたと推認できる。

2 無効理由ア-1
(1)対比
本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)と甲3発明とを対比する。
ア 甲3発明の「LED」、「プリント基板」、「ケース」及び「直流電源の電源電圧」は、その意味、機能または構成からみて、本件発明1の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「電源電圧」にそれぞれ相当する。

イ 上記アを踏まえると、甲3発明の「複数の同一のLEDを搭載した基板」は、本件発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

ウ 甲3発明の「ケース」は「前記プリント基板を収容する」ものであるから、プリント基板を収容する空間を有することは明らかである。そうすると、甲3発明の「前記プリント基板を収容するケース」は、本件発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

エ 甲3発明は「LED Direct Bar Light」であるところ、「Bar Light」がライン状の光を照射することは、甲1の頁番号16の左下図に示されるように技術常識である。そうすると、上記イ、ウも踏まえると、甲3発明の「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、前記プリント基板を1枚収容するケースと、を備えたLED Direct Bar Light」は、本件発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」に相当する。

オ 以上のことから、本件発明1と甲3発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。
<一致点1>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置。」

<相違点1>
本件発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし、複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」のに対して、甲3発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、」「白色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり、1枚の前記プリント基板を配置する」点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。
ア 甲3発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、」「白色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であ」るところ、数学的には6(赤色LEDの数)と3(白色LEDの数)の最小公倍数は6(プリント基板に搭載されるLEDの数)であることが一応はいえる。
しかしながら、甲3の資料1?3、5?7には、赤色LEDと白色LEDの「LED単位数」をそれぞれ決定したこと、そして、LED基板に搭載されるLEDの個数を、異なるLED毎に定まる「LED単位数」の「最小公倍数」とすることの明示は少なくともないし、自明ということもできない。そして、甲3には、そのような「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」に基づいて決定された「赤色LED」または「白色LED」の搭載個数及び配線の接続関係とした「プリント基板」をライン方向に直列させたことについては全く示されていない。

イ 請求人は、審判事件弁駁書の第5頁第19?23行において「LED基板のサイズとLED基板に搭載されるLEDの個数を共通にするように、赤色LEDのLED単位数を6とし白色LEDのLED単位数を3として、LED基板に搭載されるLEDの個数を『3』と『6』の公倍数(最小公倍数)である『6』としたのである。」と主張し、同頁第23?24行において「このことは、請求人の出願である甲第6号証(特に、段落0004及び0005)からも理解できることである。」と主張している。しかし、甲6の段落【0004】、【0005】及び対応する【図6】、【図7】の記載からは、「順電圧Vfが1.85V程度の赤色系などの発光ダイオードD1a?D1f」を6個直列に接続すること、「順電圧Vfが3.6V程度の白色系,青色系,緑色系,電球色系などの発光ダイオードD1a?D1c」を3個直列に接続したものを2本並列に接続すること、及び、順電圧Vfの異なる発光ダイオードが適用される場合、配線基板Pのサイズが同じであっても2種類の配線パターンを有する配線基板Pを製造しなくてはならないといった程度のことが解されるにすぎず、やはり、「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」という技術的思想に基づいて、LEDの個数や接続関係を設定したことの明示は少なくともないし、自明ということもできない。
そうすると、請求人の主張及び証拠方法からでは、甲3発明は上記技術的思想に基づいて、各LEDの個数や配線を決定したことが認識できるとまではいえない。

ウ また、請求人は、「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」ことに関し、請求人製品「IDB-Lシリーズ」(甲2、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5))や特許第3481599号公報(甲11)において採用している周知技術であり(補正請求書第18頁第17?25行、審判事件弁駁書第7頁第5?10行)、甲3発明に採用することは当業者にとって容易想到である旨主張するので、以下検討する。
(ア)まず、甲2について検討する。
甲2の頁番号21に「ラインセンサー照明/IDB-L IDB-L/H」(上部のタイトル)の製品群が記載されている。
当該頁の中段の表に各型式の「LED数」の記載があるが、「LED基板」の枚数や配列についての記載はなく、上段左方の写真、上段左方の表、上段右方の図及び下段の図をみても、「LED基板」の構造は把握できない。
したがって、甲2には、請求人が主張する技術が周知技術であることを示すに足る開示があるとはいえない。

また、甲3発明への甲2に記載された技術的事項の適用を検討したとしても、甲2からは「LED基板」の構造は把握できないので、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものには至らない。

(イ)次に甲5について検討する。
上記「1(3)」で詳述したとおり、請求人製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)においても、プリント基板を2枚直列させてあることが把握できる。
しかしながら、「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」が本件の出願前に公然実施されていたことのみをもって、請求人が主張する技術が周知技術であることを示すには足りない(上記(ア)のとおり、「ラインセンサー照明/IDB-L IDB-L/H」シリーズの甲5以外の他の型式のものにおける「LED基板」の構成は明らかでなく、さらに、それら他の型式のものが公然実施されていたか否かについても明らかでない。)。

また、甲3発明への請求人製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)に係る技術的事項の適用を検討したとしても以下のとおりである。
本件発明1は、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項により、本件特許明細書段落【0009】に記載の「LED基板の大きさを同じにするだけでなく、その大きさを可及的に小さくして、汎用性を向上させる」ものであり、LED基板の長さを可及的に短くしたことにより、答弁書の第4頁末行?第5頁第5行の「短い長さのLED基板の直列枚数を変えることによって、細やかに長さの異なるライン光照射装置のバリエーションを、共通のLED基板を用いながらも、実現できる。すなわち、LED基板を、多様な長さのライン光照射装置に共通に用いることのできる汎用性の高いものにできるものである。」という作用効果を奏するものと認められる。(なお、請求人陳述要領書の第6頁第11?15行及び第8頁第11行において、被請求人の主張する効果は後付けである旨主張するが、第6頁第9?10行に請求人自ら「LED基板の大きさが可及的に小さければ、光照射装置の長さのバリエーションを多くすることができることは至極当然のこと」と主張するように、本件特許明細書及び図面の記載から当業者であれば把握可能な効果である。)
一方、甲5においては、上記「1(3)」で詳述したとおり、1枚の基板に搭載されるLEDは174個であって、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし」てはおらず、LED基板の長さを可及的に短くしているとは到底いえるようなものではない。
また、甲3発明は、1枚のプリント基板にLEDを6個搭載し、それを収容するケースから構成されるLED Direct Bar Light として完成されたものである。そして、より明るい照度を得るため、LEDの個数を例えば12個に増やす場合には、LEDを6個搭載された基板を2枚直列に接続すると、基板間の配線等の電気的接続手段が必要になり、さらに、甲3には、LED搭載数の異なる機種間でLED基板を共通化することの示唆もないことから、所望とする数に応じた大きさの1枚のプリント基板を採用することが自然である。
以上のことを総合すると、甲3発明に請求人製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)に係る技術的事項を適用する動機付けがあるとはいえないし、また、上述の作用効果の予測性があるともいえないので、当該適用は、当業者であっても容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)最後に、甲11について検討する。基板が複数設けられたものに関する記載は、請求項3、4、5、及び、それらに対応する発明の詳細な説明及び図面である。
a まず、「請求項3」に関する事項について検討する。
「線状照明装置」の「照明ユニット」の一部である「線状光源1」は、複数個の「LED1a」とそれを線状に並べた「基板1b」からなるものであるところ、基板が複数設けられたものに関する記載は以下のとおりである。(なお、下線は当審で付加した。以下同様。)
(a)「【請求項3】 前記線状光源を左右に配置し、該左右の線状光源に対応した凹面反射鏡を備え、各線状光源と凹面反射鏡とが上記照射目的点である他方の焦点を共有して上記関係を持つように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の線状照明装置。」

(b)「【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明の第1の形態は、線状光源とシリンドリカル凹面反射鏡とを備えた線状照明装置において、該線状光源に直交する断面において該凹面反射鏡は該線状光源を一方の焦点、照射目的点を他方の焦点とする楕円の一部であって、該線状光源の有効発光角をカバーし、且つ、有効発光角内の光の反射光が該線状光源により遮られないような部分から成ることを特徴とするものである。」

(c)「【0029】[実施の形態2] 図5により本発明の第2の実施形態を説明する。図1と同様、図5は線状光源1の線状方向に垂直な断面における光学的配置を描いたものである。本実施形態においては、図1で示した線状照明装置、すなわちLEDを線状に並べた線状光源1と断面が凹状でシリンドリカル反射面2aを備えた反射鏡2とを組み合わせた線状照明装置6、が二組設けられている。これら二組の線状照明装置6、6は、各々の照射目的点である楕円2eの第2焦点F'が照射面3上でほぼ一致する
ように、両線状光源1、1を背中合わせにして配置してある。・・・」

(d)【図5】は以下のとおりである。


上記(a)?(d)の事項から明らかなように、甲11の記載から認識されるのは、「複数個のLED1aとそれを線状に並べた基板1bからなる線状光源1、1を左右に配置し、該左右の線状光源1、1に対応した凹面反射鏡2、2を備え、各線状光源1、1と凹面反射鏡2、2とが照射目的点である他方の焦点を共有するように、両線状光源1、1を背中合わせにして配置してある」技術的事項(以下「甲11に記載された技術的事項A」という。)であって、「複数の基板1bをライン方向に沿って直列させてある」ものではない。
したがって、甲11の請求項3に関する事項には、請求人が主張する周知技術の開示は認められない。

また、甲3発明への甲11に記載された技術的事項Aの適用を想定したとしても、上記相違点1に係る「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」という本件発明1の発明特定事項を有するものには至らない。

b 次に「請求項4、5」に関する事項について検討する。
(e)「【請求項4】 前記照明ユニットを複数個備え、各照明ユニットには、相互に連接して線状照明装置が所望な長さ寸法に構成できるような連接機構を備えていることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の線状照明装置。
【請求項5】 前記連接機構が、前記複数の照明ユニット個々に設けられるとともに該複数の照明ユニットをレール上に配置して連接するスライド溝を含むことを特徴とする請求項4に記載の線状照明装。」

(f)「【0041】
【実施例】本発明に係る線状照明装置の具体的構成例として、連接型線状照明装置を図11?図14により説明する。本実施例の線状照明装置は、一定の長さの線状照明装置ユニットを複数個、レール上に並べて連接することにより、任意の長さの線状照明装置を構成することができるものである。図11はレール11上に固定された線状照明装置ユニット10の断面図である。ユニット10はケース12とその中に固定された照明ユニット13から成る。ケース12にはレール11の断面に対応する凹断面を有するスライド溝14が形成され、これによりユニット10全体がレール11上をスライド可能となっている。なお、ケース12はアルミ又はプラスチックの押し出し成形により作製することができる。
【0042】 図12に示すように、照明ユニット13はLED保持板15と反射鏡16から成り、LED保持板15は反射鏡16の裾部にネジや接着剤等により固定されている。LED保持板15はプリント基板で構成され、LED17取り付け用の穴が一定の間隔で穿孔されているとともに、各穴を接続するプリント配線が形成されている。LED17は、そのリード線を各穴に通した後、プリント配線にハンダ付けすることにより固定される。反射鏡16の反射面は楕円又は放物線となっており、その反射面とLED17の発光部が本発明に従う上記位置関係を持つように、LED保持板15は反射鏡16に固定されている。反射鏡16は樹脂成形により作製し、反射面はアルミ等の金属膜を蒸着して形成するのがコスト上有利である。」

(g)【図11】?【図13】は以下のとおりである。



上記(e)?(g)の事項から明らかなように、甲11の記載から認識されるのは、「一定の長さの線状照明装置ユニット10を複数個、レール11上に並べて連接することにより、任意の長さの線状照明装置を構成することができるものであり、前記線状照明装置ユニット10は、ケース12とその中に固定された照明ユニット13から成り、前記照明ユニット13は、プリント基板から構成されるLED保持板15と反射鏡16からなる」技術的事項(以下「甲11に記載された技術的事項B」という。)である。
本件発明1の「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」という事項は、前提として「LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」という事項を有するものであるから、複数のLED基板が1の筐体に収容されるものであるところ、甲11の上記技術は、LED保持板15(LED基板)は「ケース12」(筐体)に収容されるものであり、その両者から構成される「線状照明装置ユニット10」を複数個連接するものであるから、本件発明1とはその構成を異にするものである。
したがって、甲11の請求項4、5に関する事項には、請求人が主張する周知技術の開示は認められない。

また、甲3発明への甲11に記載された技術的事項Bの適用を検討したとしても以下のとおりである。
甲11に記載された技術的事項Bは、「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」に係る事項を有するものではなく、LED基板の長さを可及的に短くしているものでもないので、甲3発明に甲11に記載された技術的事項Bを適用する動機付けは見当たらないし、作用効果の予測性があるともいえない。
仮に、甲11に記載された技術的事項Bを甲3発明に適用した場合を想定したとしても、「プリント基板を収容するケース」を複数ライン方向に直列させたものになり、上記相違点1に係る「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」という本件発明1の発明特定事項を有するものには至らない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲3発明に、甲2に係る技術的事項または甲5に係る技術的事項または甲11に記載された技術的事項Aまたは甲11に記載された技術的事項Bを適用することを検討したとしても、本件発明1は、甲3発明及び甲2に係る技術的事項に基いて、あるいは、甲3発明及び甲5に係る技術的事項に基いて、あるいは、甲3発明及び甲11に記載された技術的事項Aに基いて、あるいは、甲3発明及び甲11に記載された技術的事項Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ア-1は理由がない。

3 無効理由ア-2
本件の請求項3に係る発明(以下「本件発明3」という。)は、本件発明1に対しさらに「前記LEDが、表面実装型LEDである」という事項を特定している。
ここで、LEDを用いた光照射装置において表面実装型LEDを採用することは、本件特許の出願前の周知・慣用技術といえるものである。
しかしながら、本件発明3は、上記「2」で述べた相違点1に係る構成を有するものであるから、上記「2」と同様の理由により、本件発明3は、甲3発明、周知技術及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲3発明に、甲2に係る技術的事項または甲5に係る技術的事項または甲11に記載された技術的事項Aまたは甲11に記載された技術的事項B、及び、周知・慣用技術を適用することを検討したとしても、上記「2」と同様の理由により、本件発明3は、甲3発明、甲2に係る技術的事項及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲3発明、甲5に係る技術的事項及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲3発明、甲11に記載された技術的事項A及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲3発明、甲11に記載された技術的事項B及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ア-2は理由がない。

4 無効理由イ-1
(1)対比
本件発明1と甲4発明とを対比する。
ア 甲4発明の「LED」、「プリント基板」、「ケース」及び「直流電源の電源電圧」は、その意味、機能または構成からみて、本件発明1の「LED」、「LED基板」、「筐体」及び「電源電圧」にそれぞれ相当する。

イ 上記アを踏まえると、甲4発明の「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板」は、本件発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

ウ 甲4発明の「ケース」は「前記プリント基板を収容する」ものであるから、プリント基板を収容する空間を有することは明らかである。そうすると、甲4発明の「前記プリント基板を収容するケース」は、本件発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

エ 甲4発明は「ダイレクトバー照明」であるところ、「ダイレクトバー照明」がライン状の光を照射することは、甲2の頁番号16の左下図に示されるように技術常識である。そうすると、上記イ、ウも踏まえると、甲4発明の「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、前記プリント基板を1枚収容するケースと、を備えたダイレクトバー照明」は、本件発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」に相当する。

オ 以上のことから、本件発明1と甲4発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。
<一致点2>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置。」

<相違点2>
本件発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし、複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」のに対して、甲4発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、」「青色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり、1枚の前記プリント基板を配置する」点。

(2)判断
上記相違点2について検討する。
ア 甲4発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、」「青色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を2本並列に接続し、」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であ」るところ、数学的には6(赤色LEDの数)と3(青色LEDの数)の最小公倍数は6(プリント基板に搭載されるLEDの数)であることが一応はいえる。
しかしながら、甲4の資料1?3、5?7には、赤色LEDと青色LEDの「LED単位数」をそれぞれ決定したこと、そして、LED基板に搭載されるLEDの個数を、異なるLED毎に定まる「LED単位数」の「最小公倍数」とすることの明示は少なくともないし、自明ということもできない。そして、甲4には、そのような「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」に基いて決定された「赤色LED」または「青色LED」の搭載個数及び配線の接続関係とした「プリント基板」をライン方向に直列させたことについては全く示されていない。

イ 請求人は、審判事件弁駁書の第5頁第19?23行において、甲3に関し「LED基板のサイズとLED基板に搭載されるLEDの個数を共通にするように、赤色LEDのLED単位数を6とし白色LEDのLED単位数を3として、LED基板に搭載されるLEDの個数を『3』と『6』の公倍数(最小公倍数)である『6』としたのである。」と主張し、同頁第23?24行において「このことは、請求人の出願である甲第甲6号証(特に、段落0004及び0005)からも理解できることである。」と主張し、「赤色LED」と「青色LED」を用いる甲4においても同様趣旨の主張をしていると解されるが、その判断については、上記「2(2)イ」で述べたのと同様である。

ウ また、請求人は、「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」ことに関し、請求人製品「IDB-Lシリーズ」(甲2、請求人製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5))や特許第3481599号公報(甲11)において採用している構成であり(補正請求書第18頁第17?25行、審判事件弁駁書第7頁第5?10行)、甲4発明に採用することは当業者にとって容易想到である旨主張するが、その判断については、上記「2(2)ウ」で述べたのと同様である。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲4発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲4発明に、甲2に係る技術的事項または甲5に係る技術的事項または甲11に記載された技術的事項Aまたは甲11に記載された技術的事項Bを適用することを検討したとしても、本件発明1は、甲4発明及び甲2に係る技術的事項に基いて、あるいは、甲4発明及び甲5に係る技術的事項に基いて、あるいは、甲4発明及び甲11に記載された技術的事項Aに基いて、あるいは、甲4発明及び甲11に記載された技術的事項Bに基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由イ-1は理由がない。

5 無効理由イ-2
本件発明3は、本件発明1に対しさらに「前記LEDが、表面実装型LEDである」という事項を特定している。
ここで、LEDを用いた光照射装置において表面実装型LEDを採用することは、本件特許の出願前の周知・慣用技術といえるものである。
しかしながら、本件発明3は、上記「4」で述べた相違点2に係る構成を有するものであるから、上記「4」と同様の理由により、本件発明3は、甲4発明、周知技術及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、甲4発明に、甲2に係る技術的事項または甲5に係る技術的事項または甲11に記載された技術的事項Aまたは甲11に記載された技術的事項B、及び、周知・慣用技術を適用することを検討したとしても、上記「4」と同様の理由により、本件発明3は、甲4発明、甲2に係る技術的事項及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲4発明、甲5に係る技術的事項及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲4発明、甲11に記載された技術的事項A及び周知・慣用技術に基いて、あるいは、甲4発明、甲11に記載された技術的事項B及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由イ-2は理由がない。

6 無効理由ウ-1
(1)対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
ア 甲5発明の「LED」、「プリント基板」、「ケース」及び「電源電圧」は、その意味、機能または構成からみて、本件発明1の「LED」、「LED基板」、「ケース」及び「電源電圧」にそれぞれ相当する。

イ 上記アを踏まえると、甲5発明の「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板」は、本件発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板」に相当する。

ウ 甲5発明の「ケース」は「前記プリント基板を収容する」ものであるから、プリント基板を収容する空間を有することは明らかである。そうすると、甲5発明の「前記プリント基板を収容するケース」は、本件発明1の「前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体」に相当する。

エ 甲5発明の「LED Linear Array Light」がライン状の光を照射することは、甲2の頁番号21の下段の図に示されるように技術常識である。そうすると、上記イ、ウも踏まえると、甲5発明の「複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と、前記プリント基板を収容する部品と、を備えたLED Linear Array Light」は、本件訂正発明1の「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置」に相当する。

オ 上記エのとおり、甲5発明の「LED Linear Array Light」がライン状の光を照射するものであるところ、「長手方向」は当該ライン方向と同じ方向であることが明らかである。
そうすると、甲5発明の「2枚の前記プリント基板を長手方向に2枚直列させてあるLED Linear Array Light」は、本件発明1の「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置」に相当する。

カ 以上のことから、本件発明1と甲5発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。
<一致点3>
「複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えたライン状の光を照射する光照射装置であって、
複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。」

<相違点3>
本件発明1は、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし」たのに対して、甲5発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、そのような直列回路を29本並列接続し、」「白色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し、そのような直列回路を58本並列接続し、」「1枚の前記プリント基板に搭載されるLEDの個数は174個であ」る点。

(2)判断
上記相違点3について検討する。
甲5発明は、「赤色LEDの場合には、LEDを直列に6個接続し、」「白色LEDの場合には、LEDを直列に3個接続し」たものであるところ、仮に、赤色LEDのLED単位数が6であり、白色LEDの単位数が3であるということができた際に、LED単位数の最小公倍数は6となる。
一方、甲5発明の1枚の「プリント基板」に搭載されるLEDの数は、174(=6×29(赤色LED),=3×58(白色LED))であり、最小公倍数である6ではないため、本件発明1と甲5発明とは、少なくともこの点で明確に相違する。
さらに、甲5の資料1?3、5、6には、赤色LEDと白色LEDの「LED単位数」をそれぞれ決定したこと、そして、LED基板に搭載されるLEDの個数を、異なるLED毎に定まる「LED単位数」の「最小公倍数」とすることの明示は少なくともないし、自明ということもできない。
したがって、相違点3は実質的な相違点である。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲5発明であるとはいえない。
よって、無効理由ウ-1は理由がない。

7 無効理由ウ-2
(1)判断
上記相違点3について検討する。
ア 本件発明1は、上記「2(2)ウ(イ)」で述べたように、本件特許明細書段落【0009】に記載の「LED基板の大きさを同じにするだけでなく、その大きさを可及的に小さくして、汎用性を向上させる」ものであり、LED基板の長さを可及的に短くしたことにより、答弁書の第4頁末行?第5頁第5行の「短い長さのLED基板の直列枚数を変えることによって、細やかに長さの異なるライン光照射装置のバリエーションを、共通のLED基板を用いながらも、実現できる。すなわち、LED基板を、多様な長さのライン光照射装置に共通に用いることのできる汎用性の高いものにできるものである。」という作用効果を奏するものと認められるところ、甲5発明は、174個という多数のLEDを1枚のプリント基板に搭載する構成を有したものであり、そのような構成から、甲5発明がプリント基板の長さを可及的に短くするという技術思想を有したものということはできない。そして、甲5発明において、1枚のプリント基板に搭載するLEDの個数を174個から、直列接続されている赤色LEDの個数「6」と直列接続されている青色LEDの個数「3」の最小公倍数である6個に変更する合理的な理由も見当たらない。
したがって、甲5発明において、プリント基板に搭載するLED数を6とすることは、当業者であっても容易になし得たこととはいえない。

イ さらに、上記「6(2)」で述べたように、甲5からは「LED単位数」という技術的思想を把握することはできず、請求人が提出したその他の証拠をみても、当該LED単位数に係る事項を示すことの記載はなく、甲5発明において、「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数と」することが、当業者にとって容易になし得たということもできない。

(2)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ウ-2は理由がない。

8 無効理由ウ-3
(1)判断
上記相違点3について検討する。
上記「2(2)ア」、「4(2)ア」で述べたように、甲3発明及び甲4発明は、「LED単位数」、「LED単位数の最小公倍数」という技術的思想に基づいて、LEDの個数や接続関係を設定したものとはいえないこと、さらに、上記「2(2)ウ」、「4(2)ウ」で述べたように、甲3発明及び甲4発明は、複数のプリント基板ではなく、1枚のプリント基板にLEDを6個搭載し、それを収容するケースから構成されるLED Direct Bar Light として完成されたものであること、加えて、甲5発明は、1枚のプリント基板に174個という多数のLEDを搭載するものであるところ、甲3発明及び甲4発明は、1枚のプリント基板に6個のLEDを搭載したものであり、LEDの個数が大幅に異なることを鑑みると、甲3発明または甲4発明に係る技術的事項を甲5発明に適用する動機付けがあるとはいえないし、また、作用効果の予測性があるともいえないので、当該適用は、当業者であっても容易に想到し得たこととはいえない。

(2)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲5発明及び甲3発明に係る技術的事項に基いて、または、甲5発明及び甲4発明に係る技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ウ-3は理由がない。

9 無効理由ウ-4
本件発明3は、本件発明1に対しさらに「前記LEDが、表面実装型LEDである」という事項を特定しており、請求人は甲5の「説明書(III)において、「LT1U40A」及び「E1S30-AW0A7-03」が表面実装型LEDである旨主張している。
しかしながら、本件発明3は、上記「6」で述べた相違点3に係る構成を有するものであるから、上記「6」と同様の理由により、本件発明3は、甲5発明であるとはいえない。
よって、無効理由ウ-4は理由がない。

10 無効理由ウ-5
本件発明3は、本件発明1に対しさらに「前記LEDが、表面実装型LEDである」という事項を特定しており、請求人は甲5の「説明書(III)において、「LT1U40A」及び「E1S30-AW0A7-03」が表面実装型LEDである旨主張している。
しかしながら、本件発明3は、上記「6」で述べた相違点3に係る構成を有するものであるから、上記「7」と同様の理由により、本件発明3は、甲5発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ウ-5は理由がない。

11 無効理由ウ-6
本件発明3は、本件発明1に対しさらに「前記LEDが、表面実装型LEDである」という事項を特定しており、請求人は甲5の「説明書(III)において、「LT1U40A」及び「E1S30-AW0A7-03」が表面実装型LEDである旨主張している。
しかしながら、本件発明3は、上記「6」で述べた相違点3に係る構成を有するものであるから、上記「8」と同様の理由により、本件発明3は、甲5発明及び甲3発明に係る技術的事項に基いて、または、甲5発明及び甲4発明に係る技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由ウ-6は理由がない。

12 無効理由エについて
(1)請求人の主張概要
請求人は、訂正2018-390056の訂正(以下「本件訂正」という。)により「複数の前記LEDを前記ライン方向に沿って直列させてある」という発明特定事項を付加したことについて、「1枚の汎用基板を作ることで専用基板を作ることからくる部品点数の増大を押さえるなどの効果を企図していたものが、1枚のLED基板の構成の問題ではなく、基板を並べて必要長さを満たすという話になっている」(補正審判請求書第21頁下から3行?第22頁第1行)として、「単体の基板の構成の発明から基板の“使途”や“用途”を規定する発明に変質している」(同第22頁第3?4行)から、特許請求の範囲を実質的に変更している旨主張する。

(2)判断
本件訂正前後の請求項1の記載は以下のとおりである。(下線部は訂正箇所。)
(訂正前)
「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた、ライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。」

(訂正後)
「【請求項1】
複数の同一のLEDを搭載したLED基板と、
前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と、を備えた、ライン状の光を照射する光照射装置であって、
電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし、
前記LED基板に搭載されるLEDの個数を、順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし、
複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。」

本件請求項1に係る発明は、「光照射装置」の発明であるところ、本件訂正前においては、LED基板の枚数や具体的な配置の特定がなかったのを、訂正2018-390056の審決(乙5)の「第3 当審の判断」の「1 訂正の目的について」で述べたとおり、本件訂正後においては「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」ことを特定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。そして、同「第3 当審の判断」の「2 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更について」で述べたとおり、本件訂正は、発明特定事項における直列的要素の削除若しくは択一的記載の要素の追加又は発明特定事項の上位概念への変更ではなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
請求人は、「単体の基板の構成の発明から基板の“使途”や“用途”を規定する発明に変質している」から特許請求の範囲を実質的に変更している旨主張するが、上記本件訂正前後の請求項1の記載から明らかなように、本件請求項1に係る発明は、本件訂正前後において「基板」を一構成要素とする「光照射装置」の発明であって、訂正の対象が基板に係る事項であったとしても請求項1の記載により特定される発明は「基板」自体の発明ではないため、当該主張は採用できない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に違反するものではなく、請求項1及び3に係る特許は、同法第123条第1項第8号に該当せず、無効理由エは理由がない。

第6 むすび
以上検討したとおり、本件発明1及び3は、新規性進歩性を有するものであり、また、訂正2018-390056による訂正についても適法になされたものである。
したがって、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件発明1及び3についての特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-24 
結審通知日 2019-04-26 
審決日 2019-05-08 
出願番号 特願2008-197040(P2008-197040)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (F21S)
P 1 113・ 112- Y (F21S)
P 1 113・ 855- Y (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 正志  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 中川 真一
一ノ瀬 覚
登録日 2009-08-28 
登録番号 特許第4366431号(P4366431)
発明の名称 光照射装置  
代理人 上村 喜永  
代理人 齊藤 真大  
代理人 三雲 悟志  
代理人 藤河 恒生  
代理人 西村 竜平  
代理人 楠本 高義  
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