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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1369881
審判番号 不服2020-2574  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-26 
確定日 2021-01-26 
事件の表示 特願2017-524372「バックコンタクト光発電セルの相互接続方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月23日国際公開、WO2016/096422、平成30年 1月18日国内公表、特表2018-501640、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
本願は、2015年(平成27年)12月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年12月15日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 元年 7月 8日付け:拒絶理由通知書
令和 元年10月15日 :意見書、手続補正書
令和 元年10月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 2月26日 :審判請求書、手続補正書
令和 2年 7月 1日 :上申書
令和 2年 9月30日付け:拒絶理由通知書
令和 2年11月20日 :意見書、手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1-請求項14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和2年11月20日提出の手続補正書により補正(以下、この補正を「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1-請求項14に記載された事項により特定された事項により特定される発明であり、以下のものである。

「【請求項1】
光発電セル(100、101、102)の表面上に電気コネクタ(20、21、22)を配置し、それによって複数のコンタクト領域(4、8)を前記電気コネクタ(20、21、22)で覆うステップと、
前記電気コネクタ(20、21、22)を前記複数のコンタクト領域(4、8)に電気的に接続するステップと、
を含み、前記光発電セル(100、101、102)の表面上に配置された前記複数のコンタクト領域(4、8)を電気的に接続する方法であって、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、前記電気絶縁包囲部(11)は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにする電気絶縁糸を含み、
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さく、
前記複数のコンタクト領域(4、8)を前記電気コネクタ(20、21、22)で覆うステップは、前記電気絶縁包囲部(11)の存在により前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップを設けることを含み、
前記電気コネクタ(20、21、22)を前記複数のコンタクト領域(4、8)に電気的に接続するステップは、前記導電性コア(10)の覆われていない領域と前記コンタクト領域(4、8)との間に導電性材料(5)を提供することによって、前記ギャップを橋渡しすることを含み、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コアを含む方法。」

本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明である。

「【請求項10】
同一のセル表面上の、第1極性の複数のコンタクト領域(8)および反対の第2極性の複数のコンタクト領域(4)を含むバックコンタクト式の光発電セル(100、101、102)であって、該光発電セル(100、101、102)は、
前記第1極性の複数のコンタクト領域(8)を覆って前記第1極性のコンタクト領域(8)同士を接続する第1電気コネクタ(20、21)と、
前記第2極性の複数のコンタクト領域(4)を覆って前記第2極性のコンタクト領域(4)同士を接続する第2電気コネクタ(20、22)と、を更に含み、
前記第1電気コネクタ(20、21)および前記第2電気コネクタ(20、22)は、それぞれ、1つの導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、前記電気絶縁包囲部(11)は、電気絶縁糸を含み、この電気絶縁糸は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにするものであり、
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記第1極性のコンタクト領域(8)のサイズおよび前記第2極性のコンタクト領域(4)のサイズのいずれよりも小さく、
前記第1電気コネクタ(20、21)の前記電気絶縁包囲部(11)は、前記第1電気コネクタ(20、21)の導電性コア(10)と前記第1極性のコンタクト領域(8)との間に電気的接触を妨げる第1のギャップを提供し、
前記光発電セル(100、101、102)は、前記第1電気コネクタ(20、21)の導電性コア(10)の覆われていない領域と、前記第1極性のコンタクト領域(8)との間で、前記第1のギャップを橋渡しする導電性材料(5)を更に含み、
前記第2電気コネクタ(20、22)の前記電気絶縁包囲部(11)は、前記第2電気コネクタ(20、22)の導電性コア(10)と前記第2極性のコンタクト領域(4)との間に電気的接触を妨げる第2のギャップを提供し、
前記光発電セル(100、101、102)は、前記第2電気コネクタ(20、22)の導電性コア(10)の覆われていない領域と、前記第2極性のコンタクト領域(4)との間で、前記第2のギャップを橋渡しする導電性材料(5)を更に含み、
前記第2電気コネクタ(20、22)の前記電気絶縁包囲部(11)は、前記第1極性の前記コンタクト領域(8)から前記第2電気コネクタ(20、22)の前記導電性コア(10)を電気的に絶縁する光発電セル(100、101、102)。」

本願発明11は、本願発明10を減縮した発明である。

「【請求項12】
光発電セル(100、101、102)の表面上に配置された複数のコンタクト領域(4、8)を電気的に接続するための電気コネクタ(20、21、22)の使用であって、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、
前記電気絶縁包囲部(11)は、電気絶縁糸を含み、この電気絶縁糸は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにするものであり、
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記電気絶縁包囲部(11)の存在により、前記導電性コア(10)と前記複数のコンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップが設けられるように、前記電気コネクタ(20、21、22)で覆われる前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さい、電気コネクタ(20、21、22)の使用。
【請求項13】
バックコンタクト式の光発電セル(100、101、102)の表面上に配置された複数のコンタクト領域(4、8)を電気的に接続するための電気コネクタ(20、21、22)の使用であって、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、
前記電気絶縁包囲部(11)は、電気絶縁糸を含み、この電気絶縁糸は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにするものであり、
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記電気絶縁包囲部(11)の存在により、前記導電性コア(10)と前記複数のコンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップが設けられるように、前記電気コネクタ(20、21、22)で覆われる前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さい、電気コネクタ(20、21、22)の使用。
【請求項14】
光発電セル(100、101、102)の少なくとも1つのコンタクト領域(4、8)を電子部品に電気的に接続するための電気コネクタ(20、21、22)の使用であって、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、
前記電気絶縁包囲部(11)は、電気絶縁糸を含み、この電気絶縁糸は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにするものであり、
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記電気絶縁包囲部(11)の存在により、前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップが設けられるように、前記電気コネクタ(20、21、22)で覆われる前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さい、電気コネクタ(20、21、22)の使用。」

第3 引用文献の記載事項
1 原査定の拒絶の理由及び当審の拒絶の理由で引用された引用文献1(国際公開第2012/173487号)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。


」(第6頁第1-18行)
(当審訳:
図1aは、太陽電池セルのコンタクト領域に接続するための代替的な接続ストリングの断面を示している。この実施形態では、巻線は、金属コア10の周りを螺旋状に走る、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fの一部である。(それ自体は知られているように、「らせん状」とは、らせんに対応する曲線、またはコアの周りを螺旋状に走ることを意味するが、本明細書で使用されるように、「らせん状に走る」とは、金属コア10とストリングの相対的な位置を意味し、すなわち、コアがストリングの周りをらせん状に走るとき、ストリングは、コアの周りをらせん状に走るとも言われる)。図では、このストリングを通る連続した断面18a?fが示されている:絶縁ストリングは、断面18aから断面18bへ、そしてそこから断面18cへと続いている。金属コア10は、はんだ材料の層19を備えている。金属コア10はまっすぐで、絶縁材料のストリングはその周りを回転するという例が示されているが、金属コア10と絶縁材料のストリングは、それぞれが他の周りを螺旋状に走ると言われるように、一対のワイヤを撚ったものであることが理解されるべきであろう。他の極端なところでは、絶縁材料のストリングは、金属コア10がそれを中心に回転して、まっすぐである可能性がある。本明細書で使用されるように、絶縁材料のストリングは、この場合も金属コア10の周りを螺旋状に走ると言われている。)

Fig.1aの記載から、絶縁された材料のストリング18a?fは、はんだ材料の層19を備えている1つの金属コア10を部分的に覆われてないままにすることが、見て取れる。

2 引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「太陽電池セルのコンタクト領域に接続ストリングを接続する方法であって、はんだ材料の層19を備えている金属コア10と、金属コア10の周りを螺旋状に走る、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fとを含み、絶縁された材料のストリング18a?fは、はんだ材料の層19を備えている1つの金属コア10を部分的に覆われてないままにする太陽電池セルのコンタクト領域に接続するための接続ストリングを含む方法。」(以下「引用発明」という。)

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 引用発明の「太陽電池セル」は、本願発明1の「光発電セル(100、101、102)」に、
引用発明の「接続ストリング」は、本願発明1の「電気コネクタ(20、21、22)」に、
引用発明の「金属コア10」は、本願発明1の「導電性コア(10)」に、
引用発明の「電気的に絶縁された材料のストリング18a?f」は、本願発明1の「電気絶縁包囲部(11)」に、
引用発明の「絶縁された材料のストリング18a?fは、はんだ材料の層19を備えている1つの金属コア10を部分的に覆われてないままにする」ことは、本願発明1の「前記電気絶縁包囲部(11)は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにする電気絶縁糸を含」むことに、
それぞれ相当し、
引用発明の「『接続ストリング』は、『はんだ材料の層19を備えている金属コア10と、金属コア10の周りを螺旋状に走る、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fとを含』」むことは、本願発明1の「前記電気コネクタ(20、21、22)は、導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含」むことに相当し、「前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コアを含む」ことにも相当する。

イ 引用発明は、「『太陽電池セルのコンタクト領域に』『接続ストリング』を『接続する』」ものであるところ、そのためには、接続ストリングがコンタクト領域の上に配置されることを要すると解される。そして、太陽電池セルの表面上にコンタクト領域が複数存在し、それらの複数のコンタクト領域を相互に電気的に接続するために接続ストリングを用いることは、技術常識である(必要ならば、引用文献1のFig.2a、Fig.2bを参照されたい。)。
そうすると、引用発明の「『太陽電池セルのコンタクト領域に』『接続ストリング』を『接続する』」ことは、本願発明1の「『光発電セル(100、101、102)の表面上に電気コネクタ(20、21、22)を配置し、それによって複数のコンタクト領域(4、8)を前記電気コネクタ(20、21、22)で覆う」に、相当する。
また、引用発明の「『太陽電池セルのコンタクト領域に』、『はんだ材料の層19を備えている金属コア10』『を含』む『接続ストリング』を『接続する』」は、本願発明1の「前記電気コネクタ(20、21、22)を前記複数のコンタクト領域(4、8)に電気的に接続する」に相当し、「前記光発電セル(100、101、102)の表面上に配置された前記複数のコンタクト領域(4、8)を電気的に接続する」にも、相当する。

ウ 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「光発電セル(100、101、102)の表面上に電気コネクタ(20、21、22)を配置し、それによって複数のコンタクト領域(4、8)を前記電気コネクタ(20、21、22)で覆うステップと、
前記電気コネクタ(20、21、22)を前記複数のコンタクト領域(4、8)に電気的に接続するステップと、
を含み、前記光発電セル(100、101、102)の表面上に配置された前記複数のコンタクト領域(4、8)を電気的に接続する方法であって、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、導電性コア(10)および電気絶縁包囲部(11)を含み、前記電気絶縁包囲部(11)は、前記導電性コア(10)を包み、かつ前記導電性コア(10)を部分的に覆われないままにする電気絶縁糸を含み、
前記電気コネクタ(20、21、22)は、1つの導電性コアを含む方法。」

【相違点1】
前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、本願発明1は、「前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さ」いのに対し、引用発明は、そのようなものか明らかでない点。

【相違点2】
前記複数のコンタクト領域(4、8)を前記電気コネクタ(20、21、22)で覆うステップについて、本願発明1は、「前記電気絶縁包囲部(11)の存在により前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップを設けることを含」むのに対し、引用発明は、そのようなものではない点。

【相違点3】
前記電気コネクタ(20、21、22)を前記複数のコンタクト領域(4、8)に電気的に接続するステップについて、本願発明1は、「前記導電性コア(10)の覆われていない領域と前記コンタクト領域(4、8)との間に導電性材料(5)を提供することによって、前記ギャップを橋渡しすることを含」むのに対し、引用発明は、そのようなものか明らかでない点。

(2)判断
事案に鑑み相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明1の「前記電気絶縁包囲部(11)の存在により前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップを設けることを含」むとの構成を満たすためには、電気絶縁包囲部(11)が、導電性コア(10)と当該コアに電気的に接続されているコンタクト領域(4、8)との間に存在することを要すると解される。
他方、引用発明では、金属コア10が太陽電池セルのコンタクト領域に接続される際に、金属コア10に備えられたはんだ材料の層19が当該領域に接続されることが予定されていることからみて、金属コア10と当該コアに電気的に接続されているコンタクト領域との間には、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fは存在しておらず、むしろ、当該ストリングは、金属コア10と当該コアに電気的に接続されていないコンタクト領域との間に存在していると解される。
また、引用文献1をみても、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fが、金属コア10と当該コアに電気的に接続されていないコンタクト領域との間に存在することは記載されておらず、そのことが本願優先日前において周知技術であるともいえない。
そして、引用発明において、電気的に絶縁された材料のストリング18a?fを、金属コア10と当該コアに電気的に接続されているコンタクト領域との間に存在させることは、金属コア10とコンタクト領域との電気的な接続を阻害することになるから、当業者がそのような動機をもつとはいえない。
したがって、本願発明1は、相違点1及び3を検討するまでもなく、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、当業者であっても、容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-14について
本願発明2-14は、いずれも、本願発明1の「前記電気絶縁包囲部(11)の存在により前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップを設けることを含」むに対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、当業者であっても、容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1-4、6-15に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
本願の請求項1-15に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

しかしながら、審判請求時の補正より、本願発明1-14は上記相違点2に係る「前記電気絶縁包囲部(11)の存在により前記導電性コア(10)と前記コンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップを設けることを含」むに対応する構成を有するものとなり、その構成は、本件補正によっても維持されている。
よって、上記第3及び第4で認定判断したとおり、本願発明1-4、6-14は、引用文献1に記載された発明ではなく、本願発明1-14は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
なお、上記引用文献1のFig.1をもとに引用発明を認定したとしても、上記相違点2で相違するため、上記第4の判断と同様となる。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審は、令和2年2月26日提出の手続補正書により補正された請求項12には、「前記電気絶縁糸の間の、前記導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズは、前記電気絶縁包囲部(11)の存在により、前記導電性コア(10)と前記複数のコンタクト領域(4、8)との間に電気的接触を妨げるギャップが設けられるように、前記電気コネクタ(20、21、22)で覆われる前記コンタクト領域(4、8)のサイズよりも小さい、電気コネクタ(20、21、22)。」と記載されていたところ、当該請求項12は、電気コネクタ(20、21、22)に関する発明であり、当該記載では、電気絶縁糸の間の、導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズを、電気コネクタの構成要素でないコンタクト領域(4、8)で特定しているので、電気絶縁糸の間の、導電性コア(10)の覆われていない領域のサイズとして、具体的にどのようものまで含むのか不明確となっている旨の拒絶理由を通知したが、
本件補正により、当該請求項12が削除される補正がされた結果、この拒絶理由は解消した。
(2)当審は、令和2年2月26日提出の手続補正書により補正された請求項11には「請求項10に記載の第1バックコンタクト光発電セル(101)および請求項10に記載の第2バックコンタクト光発電セル(102)を含む光発電モジュール」と記載されているが、請求項10に「バックコンタクト光発電セル(100、101、102)」及び「光発電セル(100、101、102)」との記載はあるものの、「第1バックコンタクト光発電セル(101)」及び「第2バックコンタクト光発電セル(102)」との記載がなく、どこを引用しているのか不明確となっている旨の拒絶理由を通知したが、
本件補正により、当該請求項11が「請求項10に記載の光発電セルである第1光発電セル(101)と、請求項10に記載の光発電セルである第2光発電セル(102)とを含む光発電モジュール」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。

2 特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項について
当審は、令和2年2月26日提出の手続補正書により補正された請求項12に係る発明について、新規性欠如及び進歩性欠如の拒絶理由を通知したが、
本件補正により、当該請求項12が削除される補正がされた結果、これらの拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-01-06 
出願番号 特願2017-524372(P2017-524372)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 113- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 幹  
特許庁審判長 山村 浩
特許庁審判官 野村 伸雄
佐藤 洋允
発明の名称 バックコンタクト光発電セルの相互接続方法  
代理人 中野 晴夫  
代理人 田中 光雄  
代理人 山田 卓二  

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