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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
管理番号 1370009
異議申立番号 異議2020-700118  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-26 
確定日 2020-11-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6566234号発明「散薬調剤業務支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6566234号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6566234号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6566234号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成27年1月14日に出願され、令和元年8月9日にその特許権の設定登録がされ、令和元年8月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和2年2月26日に特許異議申立人 原谷 理恵子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年6月11日付けで取消理由を通知し、この取消理由通知は、同月15日に発送された。特許権者は、その指定期間内である令和2年8月7日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、令和2年9月15日に意見書を提出した。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正事項は、以下のアないしエのとおりである。
ア 請求項1及び請求項1を引用する請求項6ないし11における、「さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量する動作と、散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、」の記載を「さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、」に訂正する。

イ 請求項2及び請求項2を引用する請求項5ないし11における、「さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量する動作と、散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、」の記載を「さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、」に訂正する。

ウ 請求項3及び請求項3を引用する請求項6乃至11における、「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作と、散薬を所定の数に分割し、分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、」の記載を「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、」に訂正する。

エ 請求項4及び請求項4を引用する請求項5ないし11における、「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作と、散薬を所定の数に分割し、分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、」の記載を「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、」に訂正する。


本件訂正請求は、一群の請求項〔1-11〕に対して請求されたものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項ア?エは、いずれも、「自動散薬分包装置」が実行可能である「分包動作」について、「散薬」を「計量」する動作を含む動作であるか否かが明らかでなかったところを「散薬」を「計量」する動作を含む動作であることが明瞭であるように訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
また、本件明細書の段落【0049】、【0076】?【0104】の記載からみて、「収容された薬剤」が「全て分配ユニット68に供給」される「手動式薬剤容器47」(段落【0097】)と区別された「自動式薬剤容器46」を用いて「自動散薬分包機5」が行う分包動作が「散薬」を「計量」する動作を含むことが記載されているから、いずれの訂正事項も、本件明細書に記載した事項の範囲内のものである。

なお、申立人は令和2年9月15日提出の意見書において、訂正前の「自動散薬分包装置」は「完全自動分包動作」、「準自動分包動作」又は「手動分包動作」のいずれかの分包動作によって分包可能であるのに対し、訂正後の請求項1?4は、手動分包動作の特定が無くなり、手動分包動作を実行しないものを含むようになるから、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当すると主張している。(意見書における「訂正の不備(その4)」の主張)
しかし、そもそも訂正前の請求項1?4は、「自動散薬分包装置」を「手動分包動作」を実行するものを含んだものに限定する旨の発明特定事項を含んでいない。申立人の主張は、訂正前の請求項1?4の記載に基づくものでなく、採用することができない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし11の記載は、次のとおりである。(訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載のとおりである。)

【請求項1】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置と、少なくとも自動散薬分包装置と、複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器から排出された散薬を包装する薬剤包装装置が少なくとも内部に設けられており、
さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記調剤機器には、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記薬剤秤量装置は、薬剤を選択するための選択画面を表示可能な表示装置を有し、前記選択画面に表示された薬剤を選択し、選択された薬剤の秤量を実施可能であって、
前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。

【請求項2】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置と、少なくとも自動散薬分包装置と、複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器から排出された散薬を包装する薬剤包装装置が少なくとも内部に設けられており、
さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記調剤機器には、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記調剤機器用制御装置による前記判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、
前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。

【請求項3】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置を有し、前記調剤機器には少なくとも自動散薬分包装置と、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記薬剤秤量装置は、薬剤を選択するための選択画面を表示可能な表示装置を有し、前記選択画面に表示された薬剤を選択し、選択された薬剤の秤量を実施可能であって、
前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。

【請求項4】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置を有し、前記調剤機器には少なくとも自動散薬分包装置と、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置が前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、
前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。

【請求項5】
前記処方データ分割送信動作を実施された後、前記薬剤秤量装置から秤量結果に関するデータが前記調剤機器用制御装置に送信され、前記自動散薬分包装置から分包で使用する薬剤に関するデータが前記調剤機器用制御装置に送信されたことを条件として、前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータと、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータとを統合するデータ統合動作が実施されることを特徴とする請求項2又は4に記載の散薬調剤業務支援システム。

【請求項6】
前記自動散薬分包装置によって前記判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき薬剤の全てを前記分包動作によって分包することができない場合、前記自動散薬分包装置がこの処方に関するデータを前記調剤機器用制御装置に送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。

【請求項7】
複数の薬剤容器を備え、
前記薬剤容器は、自動式薬剤容器と手動式薬剤容器を含むものであり、
前記自動散薬分包装置は、前記自動式薬剤容器を使用する前記分包動作と、予め秤量した散薬を導入した前記手動式薬剤容器を使用する手動分包動作が可能であって、
前記判別動作は、下記の(1)乃至(3)の基準に基づいて実施され、以下のいずれかが否であるならば患者に提供されるべき薬剤の全てを前記分包動作によって分包することができない場合に該当させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。
(2)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が1種類又は複数種類であり、個々の薬剤の総量がいずれも所定量以上である。
(3)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が複数種類であり、複数の薬剤を混合して分包する必要がある場合、混合する薬剤の数が所定数以下である。

【請求項8】
複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器のいくつかを保管する容器保管部と、薬剤包装装置が内部に設けられており、
前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された前記薬剤容器を前記容器保管部から容器載置部に移動させ、移動させた前記薬剤容器から排出する散薬を計量する動作を実施し、排出された散薬を前記薬剤包装装置によって服用時期毎に個別に分包する完全自動分包動作を実行可能であって、
判別動作は、前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包可能か否かを判別するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。

【請求項9】
複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器のいくつかを保管する容器保管部と、薬剤包装装置が内部に設けられており、
前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された前記薬剤容器を前記容器保管部から容器載置部に移動させ、移動させた前記薬剤容器から排出する散薬を計量する動作を実施し、排出された散薬を前記薬剤包装装置によって服用時期毎に個別に分包する完全自動分包動作を実行可能であって、
前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを 前記自動散薬分包装置によって分包可能か否かを判別する判別動作と、
前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。

【請求項10】
判別動作の結果、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包することができない場合、この処方に関するデータを前記調剤機器用制御装置に送信するデータ返信動作を実施することを特徴とする請求項8又は9に記載の散薬調剤業務支援システム。

【請求項11】
薬剤に関する情報を表示する表示装置があり、
患者に提供されるべき薬剤の中に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記表示装置に両者を区別する表示がなされることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。

4 通知した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし11に係る特許に対して、当審が令和2年6月11日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

ア 取消理由1(明確性要件)
請求項1ないし11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(ア) 請求項1の記載は、「判別動作」及びその後の表示に係る「前記分包動作で分包できない薬剤」が何かを当業者が特定できるように記載されていない点において、明確でない。
(イ) 請求項2の記載は、「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」に係る「前記分包動作で分包できない薬剤」が何かを当業者が特定できるように記載されていない点において、明確でない。
(ウ) 請求項3の記載は、「判別動作」及びその後の表示に係る「前記分包動作で分包できない薬剤」が何かを当業者が特定できるように記載されていない点において、明確でない。
(エ) 請求項4の記載は、「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」に係る「前記分包動作で分包できない薬剤」が何かを当業者が特定できるように記載されていない点において、明確でない。
(オ) 請求項5は、請求項2又は請求項4を引用する請求項であり、(イ)又は(エ)と同様の点が指摘される。
(カ) 請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(オ)と同様の点が指摘される。
(キ) 請求項7は、請求項1ないし請求項6のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(カ)と同様の点が指摘される。
また、請求項7の、「判別動作」が「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。」という「基準」に基づいて実施される旨の特定の内容も明確でない。
(ク) 請求項8は、請求項1ないし請求項7のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(キ)と同様の点が指摘される。
(ケ) 請求項9は、請求項1ないし請求項7のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(キ)と同様の点が指摘される。
(コ) 請求項10は、請求項8又は請求項9を引用する請求項であり、(ク)又は(ケ)と同様の点が指摘される。
(サ) 請求項11は、請求項1ないし請求項10のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(コ)と同様の点が指摘される。

イ 取消理由2(サポート要件)
請求項1ないし11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(ア) 請求項1の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載しているのに対し、明細書の発明の詳細な説明の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載していないから、この点において、請求項1は、発明の詳細な説明に記載した発明を記載したものでない。
(イ) 請求項2の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」を行うものを記載しているのに対し、明細書の発明の詳細な説明の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」を行うものを記載していないから、この点において、請求項1は、発明の詳細な説明に記載した発明を記載したものでない。
(ウ) 請求項3の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載しているのに対し、明細書の発明の詳細な説明の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載していないから、この点において、請求項3は、発明の詳細な説明に記載した発明を記載したものでない。
(エ) 請求項4の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」を行うものを記載しているのに対し、明細書の発明の詳細な説明の記載は、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である散薬を個別に分包する「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の「処方データ分割送信動作」を行うものを記載していないから、この点において、請求項4は、発明の詳細な説明に記載した発明を記載したものでない。
(オ) 請求項5は、請求項2又は請求項4を引用する請求項であり、(イ)又は(エ)と同様の点が指摘される。
(カ) 請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(オ)と同様の点が指摘される。
(キ) 請求項7は、請求項1ないし請求項6のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(カ)と同様の点が指摘される。
また、請求項7の、「判別動作」が「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。」という「基準」に基づいて実施される旨の特定の内容についても、サポート要件を満たさない。
(ク) 請求項8は、請求項1ないし請求項7のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(キ)と同様の点が指摘される。
(ケ) 請求項9は、請求項1ないし請求項7のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(キ)と同様の点が指摘される。
(コ) 請求項10は、請求項8又は請求項9を引用する請求項であり、(ク)又は(ケ)と同様の点が指摘される。
(サ) 請求項11は、請求項1ないし請求項10のいずれかを引用する請求項であり、(ア)ないし(コ)と同様の点が指摘される。

(2)取消理由1(明確性要件)についての当審の判断
ア 請求項1について
(ア) 請求項1の記載について
請求項1の「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって」との記載によれば、「自動散薬分包装置」における処方データに基づいて実行可能な動作は、「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」であり、文言上、「分包動作」は「散薬」を「計量」する動作を含む。
そして、請求項1の「前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり」、及び、「前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示する」との記載における「判別動作」とは、「薬剤」である「散薬」について「分包可能か否かを判別する」ものであって、これによって、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包出来ない薬剤」とが「混在している場合」に、「薬剤秤量装置」の「薬剤を選択するための選択画面」において、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」がそれぞれ「選択不可能な状態」と「選択可能な状態」という異なる態様によって「表示」される。
以上によれば、請求項1の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっている。

(イ) 明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「明細書」という。)の記載について
A 請求項1の「自動散薬分包装置」に対応する「完全自動散薬分包機5」における処方データに基づいて実施可能な動作について、明細書には、安全自動散薬分包機の内部の容器保管部57にある「自動式薬剤容器46」を使用する「完全自動分包動作」(段落【0078】?【0088】)、安全自動散薬分配機5の外部の管理棚にある「自動式薬剤容器46」を使用する「準自動分包動作」(段落【0089】?【0092】)、「薬剤師が予め秤量した散薬を導入した手動式薬剤容器47」を使用して「薬剤の供給量を測定する動作を実施せず、手動式薬剤容器47に収容された薬剤を全て」分配ユニット68に供給する「手動分包動作」(段落【0093】?【0097】)、及びある薬剤については「自動式薬剤容器46」を使用する「完全自動分包動作」又は「準自動分包動作」を行うとともにその他の薬剤については「手動式薬剤容器47」を使用する「手動分包動作」を行う「半自動分包動作」(段落【0098】?【0104】)が記載されている。
そして、このうち、「完全自動分包動作」、「準自動分包動作」又は「半自動分包動作」は、「自動式薬剤容器46」を用いた計量を伴うものであり、請求項1の「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」に対応しており、他方、「手動式薬剤容器47」を用いた「手動分包動作」は、「自動式薬剤容器46」を用いた計量を伴わない分包動作であって「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」に対応するものでなく、また、「手動分包動作」により分包される薬剤は、「自動式薬剤容器46」でなく「手動式薬剤容器47」に導入されたものであり、「前記分包動作で分包出来ない薬剤」に該当するものとなっている。
B 請求項1の「判別動作」及び「判別動作の結果」としてなされる「薬剤秤量装置」における「選択不可能な状態」と「選択可能な状態」という異なる態様による「表示」に関連して、明細書には、段落【0106】?【0155】及び図10に示された実施例について、概ね、次の内容が記載されているといえる。

(A) 「処方データ」に係る薬剤の分包は、完全自動散薬分包装置5を使用した分包動作である「完全自動分包動作」(STEP5)、「準自動分包動作」(STEP6)、「半自動分包動作」(STEP15)及び「手動分包動作」(STEP24)、又は、「薬剤分包機4を使用した分包動作」(STEP21)のいずれかによって実施される。(図10)

(B) 「完全自動散薬分包機5」は、受信した処方が「完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できる処方であるか否か」、つまり、「処方で提供される全ての薬剤が完全自動分包動作、又は準自動分包動作によって分包可能か否か」を「判別」する「判別動作」を実施し(STEP2、段落【0109】)、その際、処方薬剤の「全て」が「自動式薬剤容器46に収容された薬剤である」こと(条件1)、処方薬剤の「個々の薬剤の総量がいずれも所定量以上である」こと(条件2)、複数の薬剤を混合して分包する必要がある場合、混合する薬剤の数が所定数以下であること(条件3)、他の薬剤分包機4で分包するように指示されていないこと(条件4)という条件を満たすか否かによって「判別」が行われる。(段落【0110】)
「完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できる処方」と判別された場合(段落【0123】)、薬剤秤量装置3による秤量を実行することなく分包が可能となる。(段落【0125】)

(C) (B)の「判別動作」の結果、「完全自動散薬分包機5だけで自動的に処理できない処方と判別された場合」(段落【0126】)には、「秤量準備動作」(STEP8)が行われる。この「秤量準備動作」では、「処方で提供される各薬剤が容器保管部57の自動式薬剤容器46に収容されているか否かを制御装置2や各調剤機器で識別可能なデータ」である「再送データ」に基づいて作成される「秤量用データ」が調剤機器の一つである薬剤秤量装置3に送信され、それによって「薬剤秤量装置3」を使用した秤量の実施が可能となる。(段落【0127】?【0130】)

(D) (C)の「秤量準備動作」で秤量用データが送信された「薬剤秤量装置3」では、対象となる処方が「混在状態」の場合(処方で提供される薬剤に自動式薬剤容器46に現在収容されている薬剤と自動式薬剤容器46に現在収容されていない薬剤が混在する場合。段落【0122】)には、「操作表示部17に表示される選択画面」において、「自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけ」が「選択可能な状態で表示」され、「自動式薬剤容器46に収容された薬剤」は「グレイアウト」で「使用者が選択できない状態で表示」され(STEP10、段落【0133】)、「原則として半自動分包動作が実行」される。(段落【0136】?【0139】)
これに対して、対象となる処方が「未収容状態」の場合(処方で提供される全ての薬剤が自動式薬剤容器46に収容されていない場合。段落【0122】)には、「薬剤秤量装置3」の「表示操作部17」に、「処方で提供される全ての薬剤が全て選択可能な状態」で表示され(段落【0141】、「原則として「薬剤分包機4を使用した分包動作」が実行」される。(段落【0140】)
もっとも、「薬剤分包機4を使用した分包動作に替わって、完全自動散薬分包機5で手動分包動作を実施することも可能」であり、その場合には、「薬剤秤量装置」3での秤量が終わった薬剤を手動式薬剤容器に47に導入して「手動分包動作」を実施することとなる。(段落【0140】、【0144】)
なお、「散薬を一服用分ずつ薬剤導入口72に投入する薬剤分割動作」についても、「完全自動分包動作」、「準自動分包動作」、「手動分包動作」又は「半自動分包動作」のいずれにおいても実施される。(段落【0082】【0092】【0095】【0104】)

(ウ) (イ)によれば、明細書においては、「操作表示部17に表示される選択画面」において「自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけ」が「選択可能な状態で表示」され、「自動式薬剤容器46に収容された薬剤」は「グレイアウト」で「使用者が選択できない状態で表示」されるべく判別がなされており、「自動式薬剤容器46」でなく「手動式薬剤容器47」に導入された薬剤、つまり、「前記分包動作で分包出来ない薬剤」に該当する薬剤の存在を前提として、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包出来ない薬剤」とが「混在している場合」に、「薬剤秤量装置」の「薬剤を選択するための選択画面」において、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」がそれぞれ「選択不可能な状態」と「選択可能な状態」という異なる態様によって「表示」されるものが記載されているということができる。
そして、この明細書の記載は、(ア)において上記した請求項1の記載と整合している。

(エ) 小括
以上に照らせば、請求項1の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっており、この記載は明細書の記載とも整合している。
よって、請求項1の記載は明確であり、訂正請求によって、上記(1)ア(ア)の取消理由は、解消している。

イ 請求項2について
(ア) 請求項2の記載について
請求項2の「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって」との記載によれば、「自動散薬分包装置」における処方データに基づいて実行可能な動作は、「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」であり、文言上、「分包動作」は「散薬」を「計量」する動作を含む。
そして、請求項2の「前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり」及び「前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施する」との記載における「判別動作」とは、「薬剤」である「散薬」についての「分包可能か否かを判別する」ものであって、これによって、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合」には、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のそれぞれに関するデータを「自動散薬分包装置」と「薬剤秤量装置」のそれぞれに送信する「処方データ分割送信動作」が実施される。
以上によれば、請求項2の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっている。

(イ) 明細書の記載について
A 明細書には、上記ア(イ)A、及びBの(A)?(D)が記載されている。

B さらに、明細書には、請求項1の「判別動作」及び「処方データ分割送信動作」に関連して、明細書には、段落【0106】?【0155】、【0158】?【0164】及び図10に示された実施例について、概ね、次の内容が記載されているといえる。
(E) 「判別動作」を「完全自動散薬分包機5に限らず、制御装置2で実施してもよい」旨及び「処方御データの送信後ではなく、処方データの送信に先立って判別動作を実施してもよい」旨(段落【0158】)、及び、制御装置2が実施する判別動作の結果、「自動式薬剤容器46に現在収容されており、完全自動散薬分包機5によって分包可能な薬剤に関するデータ」を「完全自動散薬分包機5」に送信し、他方、「自動式薬剤容器46に現在収容されておらず、完全自動散薬分包機5によって分包不可能な薬剤に関するデータ」を「薬剤秤量装置3」に送信するという、「処方データ分割送信動作」を実施する旨(段落【0161】)

(ウ) (イ)によれば、明細書においては、「自動式薬剤容器46に現在収容されており、完全自動散薬分包機5によって分包可能な薬剤に関するデータ」を「完全自動散薬分包機5」に送信し、他方、「自動式薬剤容器46に現在収容されておらず、完全自動散薬分包機5によって分包不可能な薬剤に関するデータ」を「薬剤秤量装置3」に送信するという、「処方データ分割送信動作」を実施すべく判別がなされている。ここで、「薬剤秤量装置3」による秤量がなされた薬剤は、「自動式薬剤容器46」ではなく「手動式薬剤容器47」に導入される「前記分包動作で分包出来ない薬剤」であるから、ここでは、散薬を「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」する結果に応じて、「患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合」には、「前記分包動作で分包出来ない薬剤」の存在を前提とした「処方データ分割送信動作」を実施するものが記載されているということができる。
そして、この明細書の記載は、(ア)において上記した請求項2の記載と整合している。

(エ) 小括
以上に照らせば、請求項2の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である「所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっており、この記載は明細書の記載とも整合している。
よって、請求項2の記載は明確であり、訂正請求によって、上記(1)ア(イ)の取消理由は、解消している。

ウ 請求項3について
(ア) 請求項3の記載について
請求項3の「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって」との記載によれば、「自動散薬分包装置」における処方データに基づいて実行可能な動作は、「散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」であり、文言上、「分包動作」は「散薬」を「計量」する動作を含む。
そして、請求項3の「前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり」、及び、「前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示する」との記載における「判別動作」とは、「薬剤」である「散薬」について「分包可能か否かを判別する」ものであって、これによって、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包出来ない薬剤」とが「混在している場合」に、「薬剤秤量装置」の「薬剤を選択するための選択画面」において、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」がそれぞれ「選択不可能な状態」と「選択可能な状態」という異なる態様によって「表示」される。
以上によれば、請求項3の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり「散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっている。

(イ) 明細書の記載について
明細書には、上記ア(イ)及び上記イ(イ)のA及びBの(A)?(E)として上述した内容が記載されている。

(ウ) (イ)によれば、明細書においては、「操作表示部17に表示される選択画面」において「自動式薬剤容器46に収容されていない薬剤だけ」が「選択可能な状態で表示」され、「自動式薬剤容器46に収容された薬剤」は「グレイアウト」で「使用者が選択できない状態で表示」されるべく判別がなされており、「自動式薬剤容器46」でなく「手動式薬剤容器47」に導入された薬剤、つまり、「前記分包動作で分包出来ない薬剤」に該当する薬剤の存在を前提として、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包出来ない薬剤」とが「混在している場合」に、「薬剤秤量装置」の「薬剤を選択するための選択画面」において、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」がそれぞれ「選択不可能な状態」と「選択可能な状態」という異なる態様によって「表示」されるものが記載されているということができる。
そして、この明細書の記載は、(ア)において上記した請求項3の記載と整合している。

(エ) 小括
以上に照らせば、請求項3の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、「散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっており、この記載は明細書の記載とも整合している。
よって、請求項3の記載は明確であり、訂正請求によって、上記(1)ア(ウ)の取消理由は、解消している。

エ 請求項4について
(ア) 請求項4の記載について
請求項4の「前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって」との記載によれば、「自動散薬分包装置」における処方データに基づいて実行可能な動作は、「散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」であり、文言上、「分包動作」は「散薬」を「計量」する動作を含む。
そして、請求項4の「前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり」及び「前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施する」との記載における「判別動作」とは、「薬剤」である「散薬」についての「分包可能か否かを判別する」ものであって、これによって、散薬が「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」され、その「判別動作の結果」、「患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合」には、「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のそれぞれに関するデータを「自動散薬分包装置」と「薬剤秤量装置」のそれぞれに送信する「処方データ分割送信動作」が実施される。
以上によれば、請求項4の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、自動散薬分包装置における処方データに基づいて実行可能な動作である「散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっている。

(イ) 明細書の記載について
明細書には、上記ア(イ)及び上記イ(イ)のA及びBの(A)?(E)として上述した内容が記載されている。

(ウ) (イ)によれば、明細書においては、「自動式薬剤容器46に現在収容されており、完全自動散薬分包機5によって分包可能な薬剤に関するデータ」を「完全自動散薬分包機5」に送信し、他方、「自動式薬剤容器46に現在収容されておらず、完全自動散薬分包機5によって分包不可能な薬剤に関するデータ」を「薬剤秤量装置3」に送信するという、「処方データ分割送信動作」を実施すべく判別がなされている。ここで、「薬剤秤量装置3」による秤量がなされた薬剤は、「自動式薬剤容器46」ではなく「手動式薬剤容器47」に導入される「前記分包動作で分包出来ない薬剤」であるから、ここでは、散薬を「前記分包動作で分包可能な薬剤」と「前記分包動作で分包できない薬剤」のいずれかに「判別」する結果に応じて、「患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合」には、「前記分包動作で分包出来ない薬剤」の存在を前提とした「処方データ分割送信動作」を実施するものが記載されているということができる。
そして、この明細書の記載は、(ア)において上記した請求項4の記載と整合している。

(エ) 小括
以上に照らせば、請求項4の記載は、「前記分包動作で分包できない薬剤」、つまり、「散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作」で「分包できない薬剤」、が存在し得ることを前提とした「判別」を行うものとなっており、この記載は明細書の記載とも整合している。
よって、請求項4の記載は明確であり、訂正請求によって、上記(1)ア(エ)の取消理由は、解消している。

オ 請求項5について
請求項5の被引用請求項である請求項2又は4についてイ又はエで上記したことに照らせば、請求項5は、「前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータと、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータとを・・・」との記載を含め、明確であり、上記(1)ア(オ)の取消理由は、解消している。

カ 請求項6について
請求項6の被引用請求項である請求項1ないし請求項5のいずれかについてアないしオで上記したことに照らせば、請求項6は、「前記自動散薬分包装置によって前記判別動作を実施可能であり、前記判別動作の結果、・・・」との記載も含め、明確であり、上記(1)ア(カ)の取消理由は、解消している。

キ 請求項7について
請求項7は、「判別動作」が「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。(2)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が1種類又は複数種類であり、個々の薬剤の総量がいずれも所定量以上である。(3)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が複数種類であり、複数の薬剤を混合して分包する必要がある場合、混合する薬剤の数が所定数以下である。」という「基準」の基準に基づいて実施される旨を特定する。これらの基準は、明細書の段落【0109】ないし【0118】に記載された「条件1」ないし「条件4」のうち、「条件1」ないし「条件3」に対応している。この点、請求項7では「条件4」(「対象の処方で分包する薬剤が、制御装置2で他の薬剤分包装置4で分包するように指示されていない薬剤である。」)が判別の基準として特定されていないものの、条件2?条件4は、実施例として示された具体例に係るものであって、条件4の特定が必須でないことも明らかである。
そして、請求項7の被引用請求項である請求項1ないし請求項6のいずれかについてアないしカで上記したことに照らせば、請求項7における「基準」のうち「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。」が「判別動作」の基準に含まれていることは、明らかである。
よって、請求項7は、「前記判別動作は、・・・」との記載も含め、明確であり、上記(1)ア(キ)の取消理由は、解消している。

ク 請求項8について
請求項8の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項8は明確であり、上記(1)ア(ク)の取消理由は、解消している。

ケ 請求項9について
請求項9の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項9は、「前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを前記自動散薬分包装置によって分包可能か否かを判別する判別動作・・・を実施可能である」との記載も含め、明確であり、上記(1)ア(ケ)の取消理由は、解消している。

コ 請求項10について
請求項10の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項10は明確であり、上記(1)ア(コ)の取消理由は、解消している。

サ 請求項11について
請求項10の被引用請求項である請求項1ないし請求項10のいずれかについてアないしコで上記したことに照らせば、請求項11は、「前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している」との記載も含め、明確であり、上記(1)ア(サ)の取消理由は、解消している。

(3)取消理由2(サポート要件)についての当審の判断
ア 請求項1について
請求項1の記載は、(2)ア(ア)に上記したとおりであり、明細書の記載は、(2)ア(イ)に上記したとおりである。
してみると、請求項1は、明細書に記載された、「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載したものといえる。
よって、請求項1の記載は、サポート要件に適合しており、訂正請求によって、上記(1)イ(ア)の取消理由は、解消している。

イ 請求項2について
請求項2の記載は、(2)イ(ア)に上記したとおりであり、明細書の記載は、(2)イ(イ)に上記したとおりである。
してみると、請求項2は、明細書に記載された、「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の処方データ分割送信動作を実施するものを記載したものといえる。
よって、請求項2の記載は、サポート要件に適合しており、訂正請求によって、上記(1)イ(イ)の取消理由は、解消している。

ウ 請求項3について
請求項3の記載は、(2)ウ(ア)に上記したとおりであり、明細書の記載は、(2)ウ(イ)に上記したとおりである。
してみると、請求項3は、明細書に記載された、「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の表示を行うものを記載したものといえる。
よって、請求項3の記載は、サポート要件に適合しており、訂正請求によって、上記(1)イ(ウ)の取消理由は、解消している。

エ 請求項4について
請求項4の記載は、(2)エ(ア)に上記したとおりであり、明細書の記載は、(2)エ(イ)に上記したとおりである。
してみると、請求項4は、明細書に記載された、「前記分包動作で分包できない薬剤」の存在を前提とした「判別動作」及びその後の処方データ分割送信動作を実施するものを記載したものといえる。
よって、請求項4の記載は、サポート要件に適合しており、訂正請求によって、上記(1)イ(エ)の取消理由は、解消している。

オ 請求項5について
請求項5の被引用請求項である請求項2又は4についてイ又はエで上記したことに照らせば、請求項5の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(オ)の取消理由は、解消している。

カ 請求項6について
請求項6の被引用請求項である請求項1ないし請求項5のいずれかについてアないしオで上記したことに照らせば、請求項6の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(カ)の取消理由は、解消している。

キ 請求項7について
請求項7は、「判別動作」が「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。(2)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が1種類又は複数種類であり、個々の薬剤の総量がいずれも所定量以上である。(3)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が複数種類であり、複数の薬剤を混合して分包する必要がある場合、混合する薬剤の数が所定数以下である。」という「基準」の基準に基づいて実施される旨を特定する。これらの基準は、明細書の段落【0109】ないし【0118】に記載された「条件1」ないし「条件4」のうち、「条件1」ないし「条件3」に対応している。この点、請求項7では「条件4」(「対象の処方で分包する薬剤が、制御装置2で他の薬剤分包装置4で分包するように指示されていない薬剤である。」)が判別の基準として特定されていないものの、条件2?条件4は、実施例として示された具体例に係るものであって、条件4の特定が必須でないことも明らかである。
そして、請求項7の被引用請求項である請求項1ないし請求項6のいずれかについてアないしカで上記したことに照らせば、請求項7における「基準」のうち「(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。」が「判別動作」の基準に含まれていることは、明らかである。
よって、請求項7の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(キ)の取消理由は、解消している。

ク 請求項8について
請求項8の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項8の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(ク)の取消理由は、解消している。

ケ 請求項9について
請求項9の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項9は明確であり、上記(1)イ(ケ)の取消理由は、解消している。

コ 請求項10について
請求項10の被引用請求項である請求項1ないし請求項7のいずれかについてアないしキで上記したことに照らせば、請求項10の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(コ)の取消理由は、解消している。

サ 請求項11について
請求項10の被引用請求項である請求項1ないし請求項10のいずれかについてアないしコで上記したことに照らせば、請求項10の記載はサポート要件に適合しており、上記(1)イ(サ)の取消理由は、解消している。

5 特許異議申立理由と申立人の意見について
特許異議申立理由は、4で検討した取消理由1及び取消理由2に実質的に対応するものである。下記ア?ウを含め、申立人は縷々主張しているが、いずれも採用の限りでない。
ア 申立人は、4で検討した内容に加えて、請求項7の「基準」のうち「(2)」における「所定量」、及び、「(3)」における「所定数」が明確でないと主張している。(特許異議申立書9?10頁)
しかし、「所定量」及び「所定数」は、発明の実施にあたって適宜決定すべき量及び数を示すものとして明確であるから、申立人の主張は、採用できない。

イ 申立人は、特許明細書の段落【0014】【0048】の記載を根拠として、「散薬を計量する動作」は、「散薬を個別に分包する分包動作」の前工程であってこれと別の動作であると主張している。(令和2年9月15日提出の意見書における「訂正の不備(その3)」の主張)
しかし、上記したとおり、訂正後の請求項1ないし11における「分包動作」は、分包の前工程となる計量(秤量)を含む「完全自動分包動作」と「準自動分包動作」を含む概念として用いられていることが明らかである。また、特許明細書の段落【0014】【0048】の記載は、「計量(秤量)」が「分包」やそのための「分割」の前に行われることを一般的に示した記載にすぎず、請求項の「分包動作」が「計量」を含まないことを示す記載とはいえない。よって、申立人の主張は、採用できない。

ウ 申立人は、請求項1、3について、図10のSTEP2及びSTEP3の「判別動作」は条件1?4を満たすか否かの判別であるのに対し、STEP9の「判別動作」は条件1を満たすか否かのみを判別するものであり、2種類の「判別動作」が同じ「判別動作」という表現で混在しており、不明確であると主張している。(同意見書における「訂正の不備(その6)」の主張)
しかし、請求項1、3における「判別動作」は、「患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する」ものであって、その結果として「前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合」であるか否かを判別するのであるから、明細書のSTEP2の判別動作に対応する内容を示すものであって、2種類の判別動作を示すものとなっていないことが明らかである。申立人の主張は、請求項の記載に基づくものでなく、採用できない。

エ 申立人は、訂正後の請求項4の記載が不明確である旨(同意見書における「訂正の不備(その1)」の主張)、及び訂正が明細書の特許請求の範囲に対応する記載についてなされていないから、なお記載不備が存在する旨(同意見書における「訂正の不備(その2)」の主張)を主張している。
しかし、4で検討した内容に照らせば、これらの点について取消理由ないし特許異議申立理由に係る明確性要件違反ないし記載不備は認められないから、申立人の主張は、採用できない。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置と、少なくとも自動散薬分包装置と、複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器から排出された散薬を包装する薬剤包装装置が少なくとも内部に設けられており、
さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記調剤機器には、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記薬剤秤量装置は、薬剤を選択するための選択画面を表示可能な表示装置を有し、前記選択画面に表示された薬剤を選択し、選択された薬剤の秤量を実施可能であって、
前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。
【請求項2】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置と、少なくとも自動散薬分包装置と、複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器から排出された散薬を包装する薬剤包装装置が少なくとも内部に設けられており、
さらに前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された薬剤容器から排出する散薬を計量し散薬を個別に分包する分包動作を実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記調剤機器には、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記調剤機器用制御装置による前記判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、
前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。
【請求項3】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置を有し、前記調剤機器には少なくとも自動散薬分包装置と、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置と前記自動散薬分包装置の少なくともいずれかが前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記薬剤秤量装置は、薬剤を選択するための選択画面を表示可能な表示装置を有し、前記選択画面に表示された薬剤を選択し、選択された薬剤の秤量を実施可能であって、
前記判別動作の結果、対象となる処方で提供される散薬に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記選択画面では、前記分包動作で分包可能な薬剤を示す情報を選択不可能な状態で表示し、前記分包動作で分包できない薬剤を示す情報を選択可能な状態で表示することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。
【請求項4】
処方に関するデータであって患者に提供されるべき薬剤の情報を含む処方データに基づいて複数台の調剤機器を制御する調剤機器用制御装置を有し、前記調剤機器には少なくとも自動散薬分包装置と、対象薬剤を秤量するための薬剤秤量装置が含まれ、
前記自動散薬分包装置は、前記処方データに基づき、散薬を計量する動作し散薬を所定の数に分割し分割した散薬を個別に分包する分包動作が実行可能であって、
前記調剤機器用制御装置が前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき散薬の全てを前記分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき散薬の一部が前記分包動作によって分包することができない場合、
前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータを前記自動散薬分包装置に送信し、且つ、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータを前記薬剤秤量装置に送信する処方データ分割送信動作を実施することを特徴とする散薬調剤業務支援システム。
【請求項5】
前記処方データ分割送信動作を実施された後、前記薬剤秤量装置から秤量結果に関するデータが前記調剤機器用制御装置に送信され、前記自動散薬分包装置から分包で使用する薬剤に関するデータが前記調剤機器用制御装置に送信されたことを条件として、前記分包動作によって分包可能な薬剤に関するデータと、前記分包動作によって分包不可能な薬剤に関するデータとを統合するデータ統合動作が実施されることを特徴とする請求項2又は4に記載の散薬調剤業務支援システム。
【請求項6】
前記自動散薬分包装置によって前記判別動作を実施可能であり、
前記判別動作の結果、患者に提供されるべき薬剤の全てを前記分包動作によって分包することができない場合、前記自動散薬分包装置がこの処方に関するデータを前記調剤機器用制御装置に送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
【請求項7】
複数の薬剤容器を備え、
前記薬剤容器は、自動式薬剤容器と手動式薬剤容器を含むものであり、
前記自動散薬分包装置は、前記自動式薬剤容器を使用する前記分包動作と、予め秤量した散薬を導入した前記手動式薬剤容器を使用する手動分包動作が可能であって、
前記判別動作は、下記の(1)乃至(3)の基準に基づいて実施され、以下のいずれかが否であるならば患者に提供されるべき薬剤の全てを前記分包動作によって分包することができない場合に該当させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
(1)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤の全てが前記自動式薬剤容器に収容されている。
(2)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が1種類又は複数種類であり、個々の薬剤の総量がいずれも所定量以上である。
(3)処方データに基づいて特定された患者に提供されるべき薬剤が複数種類であり、複数の薬剤を混合して分包する必要がある場合、混合する薬剤の数が所定数以下である。
【請求項8】
複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器のいくつかを保管する容器保管部と、薬剤包装装置が内部に設けられており、
前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された前記薬剤容器を前記容器保管部から容器載置部に移動させ、移動させた前記薬剤容器から排出する散薬を計量する動作を実施し、排出された散薬を前記薬剤包装装置によって服用時期毎に個別に分包する完全自動分包動作を実行可能であって、
判別動作は、前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包可能か否かを判別するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
【請求項9】
複数の薬剤容器を備え、
前記自動散薬分包装置は、前記薬剤容器のいくつかを保管する容器保管部と、薬剤包装装置が内部に設けられており、
前記処方データに基づき、所定の散薬が収容された前記薬剤容器を前記容器保管部から容器載置部に移動させ、移動させた前記薬剤容器から排出する散薬を計量する動作を実施し、排出された散薬を前記薬剤包装装置によって服用時期毎に個別に分包する完全自動分包動作を実行可能であって、
前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを 前記自動散薬分包装置によって分包可能か否かを判別する判別動作と、
前記処方データに基づいて、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包可能か否かを判別する判別動作を実施可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
【請求項10】
判別動作の結果、患者に提供されるべき薬剤の全てを完全自動分包動作によって分包することができない場合、この処方に関するデータを前記調剤機器用制御装置に送信するデータ返信動作を実施することを特徴とする請求項8又は9に記載の散薬調剤業務支援システム。
【請求項11】
薬剤に関する情報を表示する表示装置があり、
患者に提供されるべき薬剤の中に、前記分包動作で分包可能な薬剤と、前記分包動作で分包できない薬剤とが混在している場合、前記表示装置に両者を区別する表示がなされることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の散薬調剤業務支援システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-11-19 
出願番号 特願2015-5370(P2015-5370)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 松田 直也
相崎 裕恒
登録日 2019-08-09 
登録番号 特許第6566234号(P6566234)
権利者 株式会社湯山製作所
発明の名称 散薬調剤業務支援システム  
代理人 藤田 隆  
代理人 藤田 隆  

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