• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1370533
審判番号 不服2020-2496  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-25 
確定日 2021-01-21 
事件の表示 特願2017-229689号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月24日出願公開、特開2019- 97705号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月29日の特許出願(特願2017-229689号)であって、令和1年8月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月16日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月13日付け(送達日:同年同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年2月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年2月25日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正により、令和1年10月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】
ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生可能な制御手段を備える遊技機において、
入賞があると遊技媒体を払い出し可能な払出制御手段と、
遊技に関する表示を表示可能な第1表示装置と、
遊技条件に関する設定値を変更可能な設定変更手段と、
前記設定値と、前記入賞による獲得遊技媒体数に基づいて導出される性能情報と、を表示可能な第2表示装置と、を備え、
前記制御手段は、
前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応して、前記第1表示装置の表示を前記遊技に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様にし、
前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされることに対応して、前記第2表示装置に確定した当該設定値を所定期間にわたり表示可能であることを特徴とする遊技機。」は、

令和2年2月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】
ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生可能な制御手段を備える遊技機において、
入賞があると遊技媒体を払い出し可能な払出制御手段と、
複数の発光部材によって構成され、前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示を表示可能な第1表示装置と、
遊技条件に関する設定値を変更可能な設定変更手段と、
前記設定値と、前記入賞による獲得遊技媒体数に基づいて導出される性能情報と、を表示可能な第2表示装置と、を備え、
前記制御手段は、
前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応して、前記第1表示装置の表示を前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様にし、
前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされることに対応して、前記第2表示装置に確定した当該設定値を所定期間にわたり表示可能であることを特徴とする遊技機。」に補正された(なお、下線は当審が付した。以下同様。)。

(2)補正事項
本件補正後の請求項1に係る上記補正は、以下の補正事項からなる。

ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「遊技に関する表示を表示可能な第1表示装置」との記載を、「複数の発光部材によって構成され、前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示を表示可能な第1表示装置」との記載にする補正事項。

イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応」する「前記第1表示装置の表示」に関して、「前記遊技に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」との記載を、「前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」との記載にする補正事項。

2 新規事項追加の有無及び本件補正の目的について
(1)上記1(2)アの補正
ア 上記1(2)アの補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0044】?【0045】、【図2B】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「第1表示装置」に関して、「複数の発光部材によって構成され」ると限定することを含むものである。

イ 上記1(2)アの補正は、当初明細書等の【0047】、【0056】、【0060】?【0061】、【1192】?【1198】、【図124】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記第1表示装置」が「表示可能」な「表示」に関して、「前記遊技に関する表示」から、「前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示」に限定することを含むものである。

(2)上記1(2)イの補正
上記1(2)イの補正は、当初明細書等の【0047】、【0056】、【0060】?【0061】、【1192】?【1198】、【図124】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応」する「前記第1表示装置の表示」に関して、「前記遊技に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」から、「前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」に限定することを含むものである。

(3)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)ア及びイの補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)ア及びイの補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおり分説することができる(以下,分説に係る各発明特定事項を符号に対応させて「発明特定事項A」などという。)。
「【請求項1】
A ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生可能な制御手段を備える遊技機において、
B 入賞があると遊技媒体を払い出し可能な払出制御手段と、
C 複数の発光部材によって構成され、前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示を表示可能な第1表示装置と、
D 遊技条件に関する設定値を変更可能な設定変更手段と、
E 前記設定値と、前記入賞による獲得遊技媒体数に基づいて導出される性能情報と、を表示可能な第2表示装置と、を備え、
F 前記制御手段は、
前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応して、前記第1表示装置の表示を前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様にし、
G 前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされることに対応して、前記第2表示装置に確定した当該設定値を所定期間にわたり表示可能である
H ことを特徴とする遊技機。」

(2)先願発明
原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がなされた特願2017-225022号(特開2019-92863号)(出願日:平成29年11月22日、出願人:株式会社藤商事、発明者:矢次 譲)(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。

ア 記載事項1
「【0014】
図1に示すパチンコ遊技機1(以下「遊技機1」と略称する場合がある)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。……」

イ 記載事項2
「【0023】
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグメント表示器により表現される「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。……」

ウ 記載事項3
「【0037】
本実施形態の遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(例えば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。……」

エ 記載事項4
「【0038】
……
本実施形態の遊技機1には、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下「演出制御部24」と称する)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機1に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を有して構成される。……」

オ 記載事項5
「【0039】
……主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、……」

カ 記載事項6
「【0058】
また主制御部20は、設定・性能表示器97が接続されている。
設定・性能表示器97は、例えば7セグメント表示器を有して構成され、設定値Veと性能情報(後述する)の表示が可能とされた表示手段として機能する。設定・性能表示器97は、例えば主制御部(主制御基板)20上の視認し易い位置に搭載されている。
主制御部20は、設定・性能表示器97に対して設定値Veや性能情報を表示させるための制御信号を送信可能とされている。」

キ 記載事項7
「【0067】
(1)特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おいてアウト口49から排出された総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる。……」

ク 記載事項8
「【0083】
(特別図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、特別図柄2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
……
【0088】
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52cが作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。……
……
【0090】
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、先ず主制御部20が、上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34a又は下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「はずれ」であったならばそのはずれ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(はずれが1種類の場合は、はずれについて種別抽選を行う必要がないためその抽選を省略してもよい)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。
……」

ケ 記載事項9
「【0165】
(設定変更処理)
図12は、ステップS115の設定変更処理を示したフローチャートである。
この設定変更処理では、操作に基づき設定値Veを設定するための処理や、設定変更中である旨や新たに設定された設定値Veを通知するための演出制御コマンドを演出制御部24に送信するための処理等が行われる。
【0166】
図12において、CPU201は、先ずステップS701で設定変更中コマンド(BA5AH)を演出制御部24に送信する処理を実行する。
この設定変更中コマンドを受け、演出制御部24は、例えば「設定変更中です」等の文字が配された画面等、設定変更中である旨を報知するための画面表示を液晶表示装置36に実行させたり、スピーカ46から設定変更中に対応した音出力が行われるようにするための処理を行う。さらにこの際、演出制御部24は、前述した光発生手段(光表示装置45a)における所定のLED(例えば全LED)を所定の点灯パターンにより点灯させてもよい。
……
【0172】
……CPU201はステップS711で入力データ作成処理を実行し、続くステップS712でRAMクリアスイッチ98がONであるか否かを判定する。
RAMクリアスイッチ98がONでなければ、CPU201はステップS717に進んで設定値表示用データを出力する処理、すなわち、現在レジスタに格納されている設定値Veに対応した値を示す表示データを設定・性能表示器97に出力する処理を行う。
……その時点でRAM203(及びレジスタ)に格納されている設定値Ve(ステップS704で設定異常と判定された場合は「0」に対応した「1」)が設定・性能表示器97に表示されることになる。つまり、該表示により、ホールスタッフ等が現在の設定値Veを確認することが可能とされている。
……
【0176】
ステップS717の表示用データ出力処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS718で設定キースイッチ94がOFFであるか否かを判定する。
設定キースイッチ94がOFFでなければ(つまり設定完了操作が行われていなければ)、CPU201はステップS706の電源異常チェック処理に戻る。
……
【0177】
……設定キースイッチ94がOFFであれば、CPU201はステップS719に進み、設定値ワークに設定値Veを格納する。すなわち、RAM203のワーク領域における設定値Veの格納領域に現在レジスタに保持されている設定値Veを格納する。
【0178】
続くステップS720でCPU201は、設定値表示用データをクリアし、次いで、ステップS721でセキュリティ信号をOFFとする処理を行った上で、ステップS722の設定完了コマンド(BA09H)の送信処理を実行し、ステップS115の設定変更処理を終える。
ステップS722の送信処理は、設定完了コマンドとしての演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理となる。この設定完了コマンドは、設定変更操作が終了して設定値Veが確定した場合に送信されるコマンドであり、設定変更が完了した旨(設定値Veが確定された旨)を示すコマンドとしても利用される。
……」

コ 記載事項10
「【0277】
次いで、CPU201はステップS912で特別電動役物管理処理を実行する。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。具体的には、大当り抽選結果が大当りであった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)を実行制御する。
……」

サ 記載事項11
「【0420】
……性能表示モニタ(設定・性能表示器97)について、……」

シ 記載事項12
「【0435】
設定完了コマンドや設定確認完了コマンドが送信される場合に、次の処理に移行するまでの待ち時間を設定するようにしてもよい。これにより、例えば、表示手段にて「設定変更が完了しました」等の表示が行われている際に、主制御部20から客待ちデモ表示コマンドが送信されて、即座に客待ちデモ画面に切り替わってしまうようなことがなく、十分な表示時間を設けることが可能となる。……
また、待ち時間を設定した場合には、待ち時間中については、性能表示モニタの動作確認を実行しないように構成してもよい。これにより、ベース値表示と設定値表示を性能表示モニタで兼用した場合に、待ち時間中は、確定した設定値を表示しておくことが可能となる。……」

ス 記載事項13
「【0443】
……設定変更中や設定確認中であることの報知を、演出制御部24側で制御する報知手段(枠・盤ランプ)、スピーカ46、液晶表示装置36等により報知する例を挙げたが、該報知は、主制御部20側で制御する盤ランプや設定・性能表示器97により行うようにしてもよい。ここで、主制御部20側で制御する盤ランプとは、遊技機正面から視認可能となるように遊技盤3に設けられた遊技情報表示手段(特別図柄表示装置38a、38bや普通図柄表示装置39a等)等である。」

セ 記載事項14
「【図3】



ソ 記載事項15
「【図12】



タ 認定事項1
【0014】によれば、先願は、「パチンコ遊技機1」に関するものである。
また、【0038】には、「遊技機1には、遊技動作全般に係る制御……を統括的に司る主制御基板……20(以下「主制御部20」と称する)と、……を有して構成される。」と、【0039】には、「主制御部20は、CPU……201……を内蔵したマイクロプロセッサを搭載する」と記載されているから、「パチンコ遊技機1」は、「CPU201を内蔵する主制御部20を有する」といえる。
さらに、【0088】には、「「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、……その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、……通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。」と、【0090】には、「主制御部20が、……「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’……を含む大当り抽選を行い……、その抽選結果情報に基づき、……最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。」と、【0277】には、「CPU201は……大当り抽選結果が大当りであった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)を実行制御する。」と、記載されているから、「CPU201を内蔵する主制御部20」は、「「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選し、その抽選結果情報に基づき、最終的に停止表示させる特別図柄を決定し、特別図柄変動表示ゲームが終了して、「大当り」となった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)、すなわち、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)を実行制御する」といえる。

チ 認定事項2
【0037】には、「遊技機1においては、……入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数……が遊技球払出装置19……から払い出されるようになっている。」と記載されているから、パチンコ遊技機1は、入賞があると賞球としての遊技球を払い出すものであるところ、【0038】には、「遊技機1には、……賞球の払い出し制御を行う払出制御基板……29と、……を有して構成される。」と記載されているから、パチンコ遊技機1は、賞球としての遊技球の払い出し制御を行う払出制御基板29を有する。そうすると、パチンコ遊技機1は、「入賞があった場合には、遊技球の払い出し制御を行う払出制御基板29」を有するといえる。

ツ 認定事項3
【0165】には、「図12は、ステップS115の設定変更処理を示したフローチャートである」ことが記載されている。また、【0166】には、図12において、「CPU201」が、「先ずステップS701で設定変更中コマンド……を演出制御部24に送信する処理を実行する」ことと、「この設定変更中コマンドを受け、演出制御部24は、……設定変更中である旨を報知するための画面表示を液晶表示装置36に実行させたり、スピーカ46から設定変更中に対応した音出力が行われるようにするための処理を行う」ことが記載されている。さらに、【0443】には、「設定変更中や設定確認中であることの報知」が「主制御部20側で制御する盤ランプ……により行うようにしてもよい」ことと、「主制御部20側で制御する盤ランプとは、……特別図柄表示装置38a、38b……等である」ことが記載されている。したがって、パチンコ遊技機1は、「設定変更処理では、先ず設定変更中であることの報知を、特別図柄表示装置38a、38bにより行う」ものを含むといえる。

テ 認定事項4
【0165】によれば、「設定変更処理では、操作に基づき設定値Veを設定するための処理…が行われる」ところ、【0172】には、設定変更処理では、「その時点でRAM203……に格納されている設定値Ve……が設定・性能表示器97に表示されることになる」ことが記載されている。
また、【0178】には、「ステップS722の設定完了コマンド……の送信処理を実行し、ステップS115の設定変更処理を終える」こと、すなわち、設定変更処理を終えるときに設定完了コマンドを送信することが記載され、さらに、【0420】によれば、性能表示モニタは設定・性能表示器97であるところ、【0435】には、「設定完了コマンド……が送信される場合に、次の処理に移行するまでの待ち時間を設定するようにしてもよい」こと、「待ち時間を設定した場合には、待ち時間中については、性能表示モニタの動作確認を実行しないように構成してもよい」こと、及び「これにより、……待ち時間中は、確定した設定値を表示しておくことが可能となる」ことが記載されている。
したがって、先願発明は、「設定変更処理を終えるときに、次の処理に移行するまでの待ち時間を設定し、待ち時間中については、設定・性能表示器97の動作確認を実行しないように構成することにより、待ち時間中は、確定した設定値を設定・性能表示器97に表示しておくことが可能となる」ものといえる。

上記記載事項及び認定事項を総合すれば、先願明細書等には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。なお、本件補正発明の発明特定事項AないしHに概ね対応させて符号aないしhを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選し、その抽選結果情報に基づき、最終的に停止表示させる特別図柄を決定し、特別図柄変動表示ゲームが終了して、「大当り」となった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)、すなわち、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)を実行制御するCPU201を内蔵する主制御部20を有するパチンコ遊技機1(認定事項1)であって、
b 入賞があった場合には、遊技球の払い出し制御を行う払出制御基板29(認定事項2)と、
c 遊技盤3の右上縁付近の非遊技領域には7セグメント表示器を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成され、7セグメント表示器により表現される「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっており、特別図柄1、特別図柄2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる特別図柄表示装置38a、38b(【0023】、【0083】)と、
e 設定値Veと性能情報の表示が可能とされた表示手段として機能し、特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おいてアウト口49から排出された総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる設定・性能表示器97と(【0058】、【0067】)、を有し、
CPU201は、
d 設定変更処理では、操作に基づき設定値Veを設定するための処理を行い(【0165】)、
f 設定変更処理では、先ず設定変更中であることの報知を、特別図柄表示装置38a、38bにより行い(認定事項3)、
g 設定変更処理を終えるときに、次の処理に移行するまでの待ち時間を設定し、待ち時間中については、設定・性能表示器97の動作確認を実行しないように構成することにより、待ち時間中は、確定した設定値を設定・性能表示器97に表示しておくことが可能となる(認定事項4)
h パチンコ遊技機1。(【0014】)」

(3)対比
本件補正発明と先願発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(h)は、本件補正発明のAないしHに概ね対応させている。
(a)先願発明の「大当り」は本件補正発明の「特別結果」に、以下同様に「特別図柄変動表示ゲーム」は「ゲーム」に、「CPU201」及び「主制御部20」は「制御手段」に、「パチンコ遊技機1」は「遊技機」に、相当する。
また、先願発明は、「特別図柄変動表示ゲームが終了して、「大当り」となった場合」に「特別遊技状態を実行制御する」ものであり、かつ、先願発明の「通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態」が「遊技者に遊技価値を付与する」ことは自明であるから、先願発明は「ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態」を発生可能であるといえる。そして、先願発明の「特別遊技状態」は「CPU201を内蔵する主制御部20」が実行制御するから、先願発明の「パチンコ機1」は「特別遊技状態を発生可能な制御手段を備える」といえる。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Aを有すると認められる。
(b)先願発明の「遊技球」は本件補正発明の「遊技媒体」に、同様に「払出制御基板29」は「払出制御手段」に、それぞれ相当する。
また、先願発明の「払出制御基板29」は、「入賞があった場合には、遊技球の払い出し制御を行う」から、「入賞があると遊技媒体を払い出し可能」であるといえる。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Bを有すると認められる。
(c)先願発明の「特別図柄表示装置38a、38b」は、本件補正発明の「第1表示装置」に、同様に「7セグメント表示器」は「発光部材」に、相当する。
また、「特別図柄表示装置38a、38b」は、「7セグメント表示器」を並べて構成されるから、「複数の発光部材によって構成され」るものと認められる。また、「特別図柄表示装置38a、38b」では、「特別図柄1、特別図柄2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる」から、「ゲームの実行中に関する表示及びゲームの結果に関する表示を表示可能」であるといえる。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Cを有すると認められる。
(d)先願発明の「設定値Ve」は、本件補正発明の「設定値」に相当する。
また、先願発明の「CPU201」は、「操作に基づき設定値Veを設定するための設定変更処理」を行うから、「遊技条件に関する設定値を変更可能な」ものであり、「設定変更手段」の機能を有する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Dを有すると認められる。
(e)先願発明の「設定・性能表示器97」は、「設定値Veと性能情報の表示が可能とされた表示手段」として機能するところ、特定状態中における総払出個数を総アウト球数で除した値に基づく情報を性能情報として採用することができる。そうすると、先願発明の「設定・性能表示器97」は、「設定値と、入賞による獲得遊技媒体数に基づいて導出される性能情報と、を表示可能」であり、本件補正発明の「第2表示装置」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Eを有すると認められる。
(f)先願発明の「設定変更中」は、本件補正発明の「設定値が変更可能な設定変更状態」に相当する。
また、先願発明の「CPU201」は、「設定変更処理では、先ず設定変更中であることの報知を、特別図柄表示装置38a、38bにより行」うから、設定変更処理によって「設定変更状態にされたことに対応して、」報知を行うものといえる。
ここで、先願発明の「設定変更中であることの報知」が、どのような表示態様で行うかは、先願明細書等には明示されていない。しかしながら、「設定変更中であることの報知」を行うならば、その表示態様を「ゲームの実行中に関する表示又はゲームの結果に関する表示」と全く同じ表示態様とせず、異なる表示態様とすることは技術常識からみて明らかである(仮に、同じ表示態様とすれば、ゲームが実行中であることの報知又はゲームの結果が生じたことの報知と誤解されるおそれがある。)。そうすると、先願明細書等に接した当業者は、先願発明における設定変更中であることの報知を、「ゲームの実行中に関する表示及びゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様」と理解することができる。
なお、「設定変更中であることの報知」に関して、先願明細書等の【0165】?【0178】には、設定変更処理の開始当初に処理を行うことは記載されているが、先願明細書等の上記部分及びその他の部分には、設定値の変更に対応して表示態様を変化させることは記載されていない。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Fを有すると認められる。
(g)先願発明の「設定変更処理を終える」ことは、本件補正発明の「前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされること」に、また、先願発明の「待ち時間」は、本件補正発明の「所定期間」に相当する。
また、先願発明の「CPU201」は、「設定変更処理を終えるときに、」「待ち時間中は、確定した設定値を設定・性能表示器97に表示しておくことが可能となる」ものであるから、「前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされることに対応して、前記第2表示装置に確定した当該設定値を所定期間にわたり表示可能である」ものといえる。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Gを有すると認められる。
(h)先願発明の「遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、先願発明は、本件補正発明の発明特定事項Hを有すると認められる。

上記(a)?(h)によれば、本件補正発明と先願発明は、
「A ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生可能な制御手段を備える遊技機において、
B 入賞があると遊技媒体を払い出し可能な払出制御手段と、
C 複数の発光部材によって構成され、前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示を表示可能な第1表示装置と、
D 遊技条件に関する設定値を変更可能な設定変更手段と、
E 前記設定値と、前記入賞による獲得遊技媒体数に基づいて導出される性能情報と、を表示可能な第2表示装置と、を備え、
F 前記制御手段は、
前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応して、前記第1表示装置の表示を前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様にし、
G 前記設定変更状態から前記設定変更手段によって前記設定値が変更不能な遊技可能状態にされることに対応して、前記第2表示装置に確定した当該設定値を所定期間にわたり表示可能である
H 遊技機。」
の点で一致し、相違するところはない。

(4)請求人の主張
請求人は、審判請求書の【請求の理由】の「(4)本願発明と引用発明の対比」において、
「本願発明によれば、設定変更状態(確率設定変更)中において、第1表示装置(一括表示装置50)の表示が通常とは異なる所定の表示態様、すなわち変動中及び変動停止時(ゲームの実行中に関する表示及びゲームの結果に関する表示)と異なる表示となることによって、遊技機が遊技のできない状態であることを遊技機の正面において明示できる(段落[0469])。」
「また、本願発明では、確率設定変更中において、第1表示装置の表示が設定値に対応して変化しない表示態様にもなっている。そのため、本願発明によれば、確率設定変更中の第1表示装置の表示を視認した際に、確率設定値の表示態様と混同することを防止することができる。」
等の理由により、本件補正発明は先願発明と異なるものであると主張する。
しかしながら、主張された構成は、上記(3)(f)で検討したように、先願発明と相違するものではない。また、本件補正発明は、新たな効果を奏するものではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

(5)まとめ
上記(1)?(4)より、本件補正発明は、先願発明と同一の発明であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとはいえず、また、本願の出願時点において、その出願人が先願の出願人と同一であるともいえないので、本件補正発明は、特許法第29条の2の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、同法第17条の2において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和1年10月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の令和1年10月16日付け手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない、というものを含むものである。

<引用文献等一覧>
特願2017-225022号(特開2019-92863号)

3 先願発明
先願明細書等の記載事項及び先願発明の認定については、上記第2[理由]3(2)に説示したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]3で独立特許要件を検討した本件補正発明から、
「複数の発光部材によって構成され、前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示を表示可能な第1表示装置」との記載を、「遊技に関する表示を表示可能な第1表示装置」と上位概念化し、
「前記設定変更手段によって前記設定値が変更可能な設定変更状態にされたことに対応」する「前記第1表示装置の表示」に関して、「前記ゲームの実行中に関する表示及び前記ゲームの結果に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」との記載を、「前記遊技に関する表示と異なる所定の表示態様であり、かつ前記設定値に対応して変化しない表示態様」と上位概念化するものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、一部の特定事項を下位概念化した本件補正発明が先願発明と同一であるから、本願発明も先願発明と同一である。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-11-12 
結審通知日 2020-11-17 
審決日 2020-12-01 
出願番号 特願2017-229689(P2017-229689)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
太田 恒明
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人後藤特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ