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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1370576
審判番号 不服2019-9325  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-11 
確定日 2021-02-15 
事件の表示 特願2016-552210「連続的監視デバイスのための適応型インターフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日国際公開、WO2015/066051、平成28年12月22日国内公表、特表2016-539760、請求項の数(29)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月28日(パリ条約による優先権主張 2013年10月31日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年6月28日付けで拒絶理由が通知され、同年12月3日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成31年3月6日付けで拒絶査定されたところ、令和元年7月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において令和2年3月13日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年9月16日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成31年3月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1?7、9?15、17、19?21、23?26、30に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願請求項1?15、17、19?30に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明と、以下の引用文献Bに記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A 特表2012-519547号公報
B 特表2008-501426号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1?29に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明と、以下の引用文献2に記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1 特表2012-519547号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2 特開平9-276234号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願請求項1?29に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明29」という)は、令和2年9月16日付けの手続補正書による手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?29に記載された事項により特定される発明であるところ、本願発明1は以下のとおりである。(下線部は、補正箇所を示す)

「 【請求項1】
分析物監視デバイスの適応型構成のための方法であって、
第1の報告形式特性を含む第1の報告形式を使用して、ホストの生理学的情報に関する第1の報告を伝送することと、
前記ホストの少なくとも1つの挙動または状況特性を含む、挙動または状況情報のうちの少なくとも1つを判定することと、
前記少なくとも1つの挙動及び/または状況特性を、1つ以上の挙動または状況基準と比較することと、
調節を特定するメッセージを伝送することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記報告形式を調節することであって、前記報告形式は、前記第1の報告形式特性とは異なる第2の報告形式特性を含み、前記第2の報告形式特性は、裁量のレベルの変更および報告頻度の変更を含むことと、
前記第2の報告形式を使用して、生理学的情報に関する第2の報告を伝送することと、
を含み、前記方法はさらに、
前記調節の確認を受信すると、後続の報告のための前記第2の報告形式を起動することと、
前記調節の否認を受信するか、または前記メッセージに対する応答を受信しない場合、後続の報告のための前記第1の報告形式を起動することと、
を含み、
前記ホストの前記状況特性は、前記ホスト自身の状態を検出すること、またはGPSおよび/またはカレンダー情報に基づいて社会的状況を判定することによって決定される、前記ホストの状況である、
方法。」

なお、本願発明2?25は、本願発明1を限定・減縮した発明である。
本願発明26は、方法の発明である本願発明1?25のいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールを備える一体型システムの発明である。
本願発明27は、方法の発明である本願発明1?25のいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールを備えるホストにおけるグルコース濃度を監視するための電子デバイスの発明である。
本願発明28は、方法の発明である本願発明1?25のいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールを備えるホストにインスリンを送達するための電子デバイスの発明である。
本願発明29は、方法の発明である本願発明1?25のいずれかに記載の前記方法を使用して前記特定された状況または挙動に基づいて、分析物監視デバイスに適応型報告を提供するように構成される、適応エンジンを備える分析物監視デバイスの適応型構成のためのシステムの発明である。

第5 引用文献の記載事項
1 本願の優先権主張日前に頒布され、原査定及び当審の拒絶理由に引用された引用文献1には、下記の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。
(1-1)
「【0027】
図1は、特定実施形態の生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)を示しており、これは、「既製の」ハードウェアおよび通信プロトコルを用いたオープンネットワークアーキテクチャを含んでいる。様々な実装におけるこのアーキテクチャは、共用(オープン)ネットワークであり、複数の患者監視装置110、ネットワークバス120(たとえば、イーサネット(登録商標)バックボーン)、および病院WLAN 126を含んでいる。さらに、この共用ネットワークは、インターネット150との接続122、インターネット150経由でのエンドユーザ装置152との接続122、および病院WLAN 126経由でのエンドユーザ装置128との接続122をさらに含むことが可能である。したがって、特定実施形態の生理学的監視システム100は、現在利用可能な患者監視システムをコスト効率よく置き換えるエンタープライズシステムである。
【0028】
生理学的監視システム100は、複数のベッドサイド装置、たとえば、患者監視装置110を含んでいる。様々な実施形態の患者監視装置110は、複数のセンサ102、1つ以上のセンサ処理モジュール104、および通信モジュール、たとえば、ネットワーク・インタフェース・モジュール106を含んでいる。図示した実施形態では、2つの患者監視装置110を示している。一方の患者監視装置は、1セットのセンサ102と、1つのセンサ処理モジュール104と、1つのネットワーク・インタフェース・モジュール106とを含んでいる。他方の患者監視装置110は、2セットのセンサ102と、2つのセンサ処理モジュール104と、1つのネットワーク・インタフェース・モジュール106とを含んでいる。
・・・
【0030】
患者監視装置110の1つ以上のセンサ102が、医療患者に装着されている。これらのセンサ102は、ECGセンサ、音響センサ、パルスオキシメータ、または他のタイプのセンサであってよい。センサ102は、医療患者から生理学的情報を取得し、この情報を、ケーブル103または無線接続(図示せず)を介してセンサ処理モジュール104に送信する。特定実施形態では、生理学的情報は、1つ以上の生理学的パラメータまたは値と、それらの生理学的パラメータに対応する波形とを含む。」

(1-2)
「【0137】
図9は、患者監視用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)900の一例を示す。GUI 900は、看護師詰所システムなどに設けることが可能である。また、GUI 900は、臨床担当者装置上に表示することも可能である。
【0138】
GUI 900には、いくつかの表示領域がある。図示した実施形態では、GUI 900は、患者状態表示領域910を含んでいる。患者状態表示領域910は、病院または他の臨床施設にいる複数の患者の状態を示す。一実施形態では、患者状態表示領域910は、病院の一診療科における複数の患者の患者状態を示す。有利なことに、特定実施形態では、患者状態表示領域910は、複数の患者の健康状態の「一目でわかる」ビューを提供する。
【0139】
患者状態表示領域910は、複数の患者状態モジュール912を含んでいる。各患者状態モジュール912は、医療患者に結合可能な患者監視器に対応することが可能である。各患者状態モジュール912は、グラフィカル状態インジケータ914を表示することが可能である。画面900に、グラフィカル状態インジケータ914の一例を、縮小画像による患者監視器アイコンで示す。グラフィカル状態インジケータ914は、患者監視器のいくつかの状態のうちの1つを選択的に表示することが可能である。一実施形態では、患者監視器が示しうる4つの状態を、グラフィカル状態インジケータ914で表示することが可能である。この4つの状態は、アラーム状態、アラーム状態なし、患者状況情報状態、および接続状態である。
【0140】
様々な実装において、グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す。たとえば、アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示すことが可能である。当該患者に関して使用可能な状況情報がない場合(図1を参照)は、グラフィカル状態インジケータ914を黄色にすることが可能である。装置が患者またはネットワークに接続されていない場合は、グラフィカル状態インジケータ914を灰色にすることが可能である。アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にすることが可能である。上述の実施形態の代わりに、または上述の実施形態との組み合わせで、他にも様々な色、記号、および/または状態を用いることが可能である。
【0141】
有利なことに、グラフィカル状態インジケータ914は、患者監視器の状態を、一目でわかるように示す。したがって、患者状態表示領域910では、何人かの患者に対応するいくつかのグラフィカル状態インジケータ914が、これらの患者に対応する患者監視器についての一目でわかるビューを表示する。したがって、臨床担当者は、アラーム、接続状態、および状況情報に関する患者側のニーズを容易に理解することが可能である。
【0142】
現在利用可能な看護師詰所コンピュータ用グラフィカル・ユーザ・インタフェースは、各患者について複数の波形または変化中の生理学的パラメータの数値を表示するものが多い。この患者情報表示方法は、雑然とし、込み入っていてわかりにくく、眠気を誘うこともあるものになる可能性がある。たとえば、夜間シフトで勤務中の看護師は、ディスプレイ上の他の複数の患者のインジケータの数値や波形などが変化しているときに、あるアラームに集中することは困難であろう。これに対し、本明細書に記載のグラフィカルインタフェースでは、グラフィカル状態インジケータ914がアラーム状態を示す際に、このアラーム状態を目立たせることが可能であり、臨床担当者にただちに認識させることが可能である。」

(1-3)
「【0167】
図14は、臨床担当者トークン1410の存在を自動的に検出できる患者監視装置1400の概略図である。実施形態によっては、臨床担当者トークン1410は、たとえば、臨床担当者が一日中装着または携帯することを意図された可搬型アイテムである。患者監視装置1400は、臨床担当者トークンの存在に基づいて、その臨床担当者の存在を認識することが可能である。
【0168】
患者監視装置1400は、(たとえば、通信モジュール1402のような)検出器を含んでいる。患者監視装置1400はまた、ディスプレイ1404およびプロセッサ1406を含んでいる。プロセッサ1406を用いて、たとえば、1人以上の患者から収集された生理学的情報に基づく臨床的に有用なタスク(たとえば、生理学的パラメータ値の計算、アラーム状態の特定、臨床担当者ユーザインタフェースからの生理学的情報の出力、臨床担当者へのアラーム状態の通知など)を実行することが可能である。患者監視装置1400はまた、本明細書に記載のように、患者の監視を支援する他のモジュール(たとえば、医療センサまたはコンピュータネットワークから生理学的情報を受信するインタフェース、臨床担当者との対話を容易にするユーザインタフェースなど)を含むことも可能である。実施形態によっては、通信モジュール1402は、送信機、受信器、または送受信機である。他のタイプの通信モジュールも使用可能である。実施形態によっては、通信モジュール1402は、短距離送受信機である。短距離送受信機は、たとえば、Bluetooth(登録商標)対応送受信機であってよい。Bluetooth(登録商標)は、比較的短距離での装置間データ交換のための無線プロトコルである。通信モジュール1402はまた、赤外線送受信機、RFIDタグ、または他の任意の通信手段(たとえば、短距離通信)であってよい。」

2 本願の優先権主張日前に頒布され、当審の拒絶理由に引用された引用文献2には、下記の事項が記載されている。
(2-1)
「【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の情報報知システムの一実施例の構成を示すブロック図である。生理生体情報センサ1(計測手段)は、例えば、工場などにおいて作業をしている作業者(測定対象者)の生理生体情報を継続して計測する。この生理生体情報センサ1は、皮膚電導度センサ、脈波センサ、心拍センサ、呼吸数センサ、手首または胴体加速度センサなどにより構成される。
・・・
【0011】生理生体情報センサ1により検出された生理生体情報は、生理生体情報記録部2(生体情報記録手段)に供給され、A/D変換されて記録される。生理生体情報記録部2に記録された生理生体情報x_(1)乃至x_(n)は、適宜読み出され、データ処理装置3に供給されるようになされている。」

(2-2)
「【0037】このような表示が行われている状態において、ステップS15に進み、使用者が、マウス21またはキーボード22などを操作して、表示の範囲の変更を指令したか否かを判定し、YESと判定された場合、ステップS16に進み、その指令に対応する範囲に表示が変更される。
・・・
【0040】ステップS15において、表示範囲を変更する入力がなされていないと判定された場合、ステップS17に進み、操作の終了が指令されたか否かが判定される。終了が指令されていない場合においては、ステップS15に戻り、同様の処理が繰り返し実行される。ステップS17において、提示の終了が指令されたと判定された場合、処理は終了される。」

これらの記載からみて、引用文献2には、生理生体情報センサ1により検出された生理生体情報が、生理生体情報記録部2記録され、適宜読み出され、データ処理装置3に供給され、処理され、指示に応じて表示されるという技術事項が記載されていると認められる。

3 本願の優先権主張日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献Bには、下記の事項が記載されている。
(3-1)
「【0038】
<2.グルコース・モニタ>
図1Aは、本発明の実施態様に従った特徴モニタリング・システム100のブロック図である。特徴モニタリング・システム100は、概して、ユーザの血糖レベル等の測定される特徴に対応する信号を生成するセンサを採用するセンサ・セット102を含む。センサ・セット102は、それらの信号を解釈してそのユーザに関する特徴の示度または値、すなわち特徴の測定値を生成するべく設計された特徴モニタ104にそれらの信号を伝達する。センサ信号はセンサ入力106を介してモニタ104に入り、センサ入力106を介してプロセッサ108に信号が伝達される。プロセッサ108は、モニタ104内においてセンサの示度を決定し、かつ操作する。それに加えて特徴モニタ104は、限定の意図ではないが、特徴の示度が適用される治療計画における補助となる追加の機能を提供する。たとえばモニタが、限定の意図ではないが、食事、エクササイズ、およびそのほかの糖尿病の治療に影響を与える活動を追跡してもよい。これらの追加の機能は、モニタ104によって決定される特徴の示度と組み合わせて、あるいはそれらと独立させることが可能である。本発明のモニタは、多くの実施態様を有し、たとえばさらに、ユーザに対する投薬を提供する注入ポンプと結合することができる。オプションとしてこのモニタには目立たない設計がなされ、たとえば腕時計を彷彿させるような目立たないモニタに設計される。」

(3-2)
「【0049】
好ましい実施態様においては、センサ・セット102が、ユーザの状態を表す特定の血液パラメータのモニタリングのために使用されるタイプの柔軟な薄膜電気化学センサの正確な配置を容易にする。好ましくは、センサが体内のグルコース・レベルをモニタし、米国特許第4,562,751号;同第4,678,408号;同第4,685,903号;または同第4,573,994号(これらは参照によりこれに援用される)の中で述べられているとおりの外部または移植可能なタイプの自動もしくは半自動薬物注入デバイスとともに使用して、糖尿病患者に対するインシュリンの送達をコントロールすることができる。それに加えて特徴モニタ104は、通常、薬物送達およびモニタリングが単一デバイス内において好都合に提供されるようにその種の薬物注入デバイス内に統合することができる。」

これらの記載からみて、引用文献Bには、ユーザの血糖レベルに対応する信号を生成するセンサを採用するセンサ・セット102を含むモニタリング・システムという技術事項が記載されていると認められる。

第6 引用発明
1 上記第5(1-2)の「【0140】 様々な実装において、グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す。」との記載からみて、引用文献1には「グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す方法」について記載されているといえる。

2 上記第5(1-1)の「【0027】図1は、特定実施形態の生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)を示しており、・・・【0028】生理学的監視システム100は、複数のベッドサイド装置、たとえば、患者監視装置110を含んでいる。様々な実施形態の患者監視装置110は、複数のセンサ102、1つ以上のセンサ処理モジュール104、および通信モジュール、たとえば、ネットワーク・インタフェース・モジュール106を含んでいる。」との記載から、図1の患者監視装置110は、様々な実施形態の「患者監視装置」を表しているといえる。
また、同(1-3)の「【0167】図14は、臨床担当者トークン1410の存在を自動的に検出できる患者監視装置1400の概略図である。・・・【0168】患者監視装置1400は、(たとえば、通信モジュール1402のような)検出器を含んでいる。」との記載から、「患者監視装置1400」は「患者監視装置110」が「臨床担当者トークン1410の存在を自動的に検出できるもの」に限定されているものといえ、「様々な実施形態の患者監視装置110」の1つであるから、「患者監視装置1400」を「患者監視装置110」と上位概念で標記する。

3 上記1、2と上記第5(1-1)?(1-3)の記載を踏まえれば、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。なお、参考のため、引用発明の認定に使用した引用文献1の摘記番号を、付記してある。

「(A)生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)であって、複数のベッドサイド装置である患者監視装置110を含み、患者監視装置110は、パルスオキシメータを含む複数のセンサ102、および通信モジュールを含み、
さらに、生理学的監視システム100は、看護師詰所システムなどに設けることが可能である、患者監視用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)900を含み、(1-1)(1-2)

(B)GUI 900は、患者状態表示領域910を含み、患者状態表示領域910は複数の患者の状態を示し、患者状態表示領域910は、複数の患者状態モジュール912を含み、各患者状態モジュール912は、グラフィカル状態インジケータ914を表示することが可能であり、(1-2)

(C)患者監視装置110は、ディスプレイ1404およびプロセッサ1406を含み、プロセッサ1406を用いて1人以上の患者から収集された生理学的情報に基づく臨床的に有用なタスク(アラーム状態の特定)を実行し、(1-3)

(D)アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にし、アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示し、変化中の生理学的パラメータの数値を表示し、(1-2)

(E)グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す方法。(1-2)」
(以下「引用発明」という)

第7 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 分析物監視デバイスの適応型構成のための方法について
(ア)引用発明の「(A)生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)」は「患者監視装置110を含み、患者監視装置110は、パルスオキシメータを含む複数のセンサ102」「を含」んでおり、パルスオキシメータは、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO_(2))をリアルタイムでモニターするための医療機器であるから、動脈血が分析物であるといえる。
さらに、引用発明の「(A)」「生理学的監視システム100は、看護師詰所システムなどに設けることが可能である、患者監視用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)900を含」むのであるから、GUI900は、SpO_(2)を監視しているといえる。

(イ)そうすると、引用発明の「(A)」「複数のベッドサイド装置である患者監視装置110を含み、患者監視装置110は、パルスオキシメータを含む複数のセンサ102、および通信モジュールを含」み、さらに「看護師詰所システムなどに設けることが可能である、患者監視用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)900」を含む「生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)」は、本願発明1の「分析物監視デバイス」に相当する。

(ウ)本願明細書には「【0006】収集された情報に基づいて、個別に調整された構成を提供するように連続的に適応するシステムは、外来通院環境における疾患の慢性的な管理のための健康管理補助を適応型かつ対話型で改善することによって、広範な採用を改善すると考えられている。・・・適応には、ユーザインターフェース、警告発信、動機付けメッセージ、訓練等を適応させることが含まれ得る。そのような適応により、患者が、デバイスによって/を介して提供される情報をより容易に特定し、理解することが可能となり得る。」、「【0061】「適応型報告」とは、一般に、機能的特徴が調節されるように、受信した情報に基づいて報告スタイルまたは形式(例えば、医療デバイスもしくはそのデータと関連するヒト検出可能インターフェースの)を更新または変化させるプロセス、性質、または行為を指す。」と記載されている。

そうすると、引用発明の「(D)アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にし、アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示し、変化中の生理学的パラメータの数値を表示し、」「(E)グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す」ことは、受信した情報に基づいて報告形式を変化させており、患者監視器状態の適応型報告といえる。

(エ)以上より、引用発明の「(A)生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)であって、複数のベッドサイド装置である患者監視装置110を含み、患者監視装置110は、パルスオキシメータを含む複数のセンサ102、および通信モジュールを含み、
さらに、生理学的監視システム100は、看護師詰所システムなどに設けることが可能である、患者監視用グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)900を含み」、
「(D)アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にし、アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示し、変化中の生理学的パラメータの数値を表示し、
(E)グラフィカル状態インジケータ914は、色、形状などを変えることにより、異なる患者監視器状態のうちの1つを示す方法。」は、本願発明1の「分析物監視デバイスの適応型構成のための方法」に相当する。

イ 第1の報告を伝送することについて
引用発明の「(D)アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にし」、「変化中の生理学的パラメータの数値を表示」することは、「グラフィカル状態インジケータ914」を用い、「変化中の生理学的パラメータの数値を表示」する報告形式において、「アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にする」というホストの生理学的情報に関する1つの報告形式特性といえるので、本願発明1の「第1の報告形式特性を含む第1の報告形式を使用して、ホストの生理学的情報に関する第1の報告を伝送すること」に相当する。

ウ ホストの状況特性を判定し、基準と比較することについて
引用発明の「(A)」「複数のベッドサイド装置である患者監視装置110を含み、患者監視装置110は、パルスオキシメータを含む複数のセンサ102、および通信モジュールを含み」、「(C)患者監視装置110は、ディスプレイ1404およびプロセッサ1406を含」む「生理学的監視システム100(たとえば、アラーム通知システム)」が、「プロセッサ1406を用いて1人以上の患者から収集された生理学的情報に基づく臨床的に有用なタスク(アラーム状態の特定)を実行」することは、患者から収集されたパルスオキシメータの出力を基準と比較して患者のアラーム状態を判定することが通常のパルスオキシメータの用い方といえるから、本願発明1の「前記ホストの少なくとも1つの挙動または状況特性を含む、挙動または状況情報のうちの少なくとも1つを判定することと、
前記少なくとも1つの挙動及び/または状況特性を、1つ以上の挙動または状況基準と比較すること」であって、「前記ホストの前記状況特性は、前記ホスト自身の状態を検出すること」「によって決定される、前記ホストの状況である」ことに相当するといえる。

エ 比較に基づいて前記報告形式を調節することについて
(ア)上記イを踏まえれば、引用発明の「(D)」「アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示し、変化中の生理学的パラメータの数値を表示」することは、「グラフィカル状態インジケータ914」を用い、「変化中の生理学的パラメータの数値を表示」する報告形式において、「アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示す」というホストの生理学的情報に関する2つめの報告形式特性といえる。
そして、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にした報告形式は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にした報告形式とは異なる2つめの報告形式といえる。

(イ)そうすると、引用発明の「(D)アラーム状態がなく、状況情報があり、患者監視器が患者およびネットワークに接続されている場合は、グラフィカル状態インジケータ914を緑色にし、アラーム状態が存在する場合は、グラフィカル状態インジケータ914を赤色にしてアラームを示し、変化中の生理学的パラメータの数値を表示」することと、
本願発明1の「前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記報告形式を調節することであって、前記報告形式は、前記第1の報告形式特性とは異なる第2の報告形式特性を含み、前記第2の報告形式特性は、裁量のレベルの変更および報告頻度の変更を含むことと、
前記第2の報告形式を使用して、生理学的情報に関する第2の報告を伝送すること」とは、
「前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記報告形式を調節することであって、前記報告形式は、前記第1の報告形式特性とは異なる第2の報告形式特性を含むことと、
前記第2の報告形式を使用して、生理学的情報に関する第2の報告を伝送すること」で共通する。

(2)よって、本願発明1と引用発明とは、
「分析物監視デバイスの適応型構成のための方法であって、
第1の報告形式特性を含む第1の報告形式を使用して、ホストの生理学的情報に関する第1の報告を伝送することと、
前記ホストの少なくとも1つの挙動または状況特性を含む、挙動または状況情報のうちの少なくとも1つを判定することと、
前記少なくとも1つの挙動及び/または状況特性を、1つ以上の挙動または状況基準と比較することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記報告形式を調節することであって、前記報告形式は、前記第1の報告形式特性とは異なる第2の報告形式特性を含むことと、
前記第2の報告形式を使用して、生理学的情報に関する第2の報告を伝送することと、
を含み、
前記ホストの前記状況特性は、前記ホスト自身の状態を検出することによって決定される、前記ホストの状況である、
方法。」
の発明である点で一致し、次の相違点1?2で相違する。

(相違点1)
第2の報告形式特性が、本願発明1では、「裁量のレベルの変更および報告頻度の変更を含」むのに対して、引用発明では、そのような特定をしていない点。

(相違点2)
本願発明1では、「調節を特定するメッセージを伝送することと、
前記調節の確認を受信すると、後続の報告のための前記第2の報告形式を起動することと、
前記調節の否認を受信するか、または前記メッセージに対する応答を受信しない場合、後続の報告のための前記第1の報告形式を起動することと、
を含」むのに対して、引用発明では、そのような構成を含んでいない点。

(3)相違点についての判断
ア 相違点1について検討する。
「裁量のレベルの変更および報告頻度の変更を含」む「第2の報告形式特性」に相当する構成は、引用文献2には記載されていないし、本願優先日前において周知技術であるともいえない。

イ そうすると、引用発明及び引用文献2記載の事項から、当業者であっても上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想起し得たとはいえない。

ウ したがって、本願発明1は、相違点2を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?25について
本願発明2?25は、本願発明1を技術的に限定・減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明26について
本願発明26は、本願発明1?25の方法のうちのいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールと、を備える、ホストにおけるグルコース濃度を監視するため及び前記ホストにインスリンを送達するための一体型システムの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本願発明27について
本願発明27は、本願発明1?25の方法のうちのいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールと、を備える、ホストにおけるグルコース濃度を監視するための電子デバイスの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 本願発明28について
本願発明28は、本願発明1?25の方法のうちのいずれかを行うように構成される、プロセッサモジュールと、を備える、ホストにインスリンを送達するための電子デバイスの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 本願発明29について
本願発明28は、本願発明1?25の方法のいずれかに記載の前記方法を使用して前記特定された状況または挙動に基づいて、分析物監視デバイスに適応型報告を提供するように構成される、適応エンジンと、
を備える、前記システムの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明および引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第8 原査定についての判断
令和2年9月16日付けの補正により、補正後の請求項1?29は、「第2の報告形式特性は、裁量のレベルの変更および報告頻度の変更を含む」という技術的事項を有するものとなった。当該技術事項は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)及びBには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1?29は、当業者であっても、原査定における引用文献A及びBに基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由により、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-01-27 
出願番号 特願2016-552210(P2016-552210)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊知地 和之  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 信田 昌男
森 竜介
発明の名称 連続的監視デバイスのための適応型インターフェース  
代理人 村山 靖彦  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  

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