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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1370835 |
審判番号 | 不服2020-1489 |
総通号数 | 255 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-04 |
確定日 | 2021-02-04 |
事件の表示 | 特願2017-127963号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月24日出願公開、特開2019- 10237号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年6月29日の出願であって、平成31年4月12日付けの拒絶理由通知に対して、令和1年6月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたところ、同年11月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和2年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和2年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年2月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、明細書及び特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の令和1年6月21日付けの手続補正書において、 「【請求項1】 図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、 前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、 前記非遊技期間中にデモ演出を実行可能なデモ演出制御手段と、 注意喚起表示を実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた 遊技機において、 前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合には、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示と、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行する一方、 前記非遊技期間中に前記注意喚起表示を実行する場合には、前記第2注意喚起表示を実行せず、前記第1注意喚起表示を実行し、 前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを実行する場合、前記第1注意喚起表示に係る第1注意喚起画像と前記第2注意喚起表示に係る第2注意喚起画像とを、画面の周辺部側の近傍で前記周辺画像と重なるように表示する ことを特徴とする遊技機。」 とあったものを、 「【請求項1】 A 図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、 B 前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、 C 前記非遊技期間中にデモ演出を実行可能なデモ演出制御手段と、 D 注意喚起表示を実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた E 遊技機において、 F 前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像及び遊技に関する遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合には、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示と、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行する一方、 G 前記非遊技期間中に前記注意喚起表示を実行する場合には、前記第2注意喚起表示を実行せず、前記第1注意喚起表示を実行し、 H 前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像、前記周辺画像及び前記遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合、前記注意喚起表示に係る注意喚起画像を、画面の周辺部側の近傍で、前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示する I ことを特徴とする遊技機。」 と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。記号A?Iは、分説するため当審で付した。)。 2 補正の適否 (1)補正の目的 本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」について、補正後の「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像及び遊技に関する遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」へと限定するとともに、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記周辺画像と重なるように表示する」について、補正後の「前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示する」へと限定しようとするものであり、併せて、補正前の「前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを実行する場合」、「前記第1注意喚起表示に係る第1注意喚起画像と前記第2注意喚起表示に係る第2注意喚起画像」について、補正後の構成Fの「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像及び遊技に関する遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合には、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示と、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行する」との記載と併せ読めば、それぞれ意味内容の変わらない「前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像、前記周辺画像及び前記遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」、「前記注意喚起表示に係る注意喚起画像」という表現へと言い改めようとするものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (2)新規事項 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0244】、【図45】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。 (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に公開された特開2017-80319号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0009】 以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。 [第1の実施形態] まず、第1の実施形態を図面にもとづいて説明する。図1は、第1の実施形態の遊技機の一例を示す斜視図である。 【0010】 第1の実施形態の遊技機10は、前面枠12を備え、該前面枠12は、外枠(支持枠)11に開閉回動可能に組み付けられている。・・・」 イ 「【0060】 次に、演出制御装置300の構成について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態の演出制御装置の構成の一例を示すブロック図である。演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(CPU)311と、主制御用マイコン311からのコマンドやデータにしたがって表示装置41への映像表示のための画像処理をおこなうグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)312と、各種のメロディや効果音等をスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。」 ウ 「【0074】 そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に、識別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理をおこなう。すなわち、遊技制御装置100が、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞にもとづき変動表示ゲームの進行制御をおこなう遊技制御手段をなす。 ・・・・・ 【0076】 そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が大当りや小当りの場合は、特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に特別結果態様や小当り結果態様を表示するとともに、特別遊技状態や小当り遊技状態を発生させる処理(すなわち、特別遊技や小当り遊技を実行する処理)をおこなう。特別遊技状態や小当り遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、たとえば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御をおこなう。そして、大入賞口に所定個数(たとえば、9個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定の開放可能時間が経過するかのいずれかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)をおこなう。すなわち、遊技制御装置100が、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御をおこなう大入賞口開閉制御手段をなす。また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54にはずれの結果態様を表示する制御をおこなう。」 エ 「【0114】 〔タイマ割込み処理〕 次に、上述のメイン処理におけるタイマ割込み処理について説明する。図10は、第1の実施形態のタイマ割込み処理のフローチャートを示す図である。このタイマ割込み処理は、上述のメイン処理において、割込み許可が出てから割込みが禁止されるまでの間(ステップS34からS39)に生じる割込み処理である。タイマ割込み処理は、CPU111Aが実行する処理である。 ・・・・・ 【0190】 〔特図ゲーム処理〕 次に、上述のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS129)の詳細について図22を用いて説明する。図22は、第1の実施形態の特図ゲーム処理のフローチャートを示す図である。 ・・・・・ 【0194】 ステップA7にて、特図ゲーム処理番号が「0」の場合は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理をおこなうために必要な情報の設定等をおこなう特図普段処理(ステップA8)をおこなう。 ・・・・・ 【0254】 〔特図普段処理〕 次に、上述の特図ゲーム処理における特図普段処理(ステップA8)の詳細について図28を用いて説明する。図28は、第1の実施形態の特図普段処理のフローチャートを示す図である。 【0255】 特図普段処理では、まず、特図2保留数(第2始動記憶数)が「0」であるか否かを判定する(ステップA301)。特図2保留数が「0」である(ステップA301;Y)と判定すると、特図1保留数(第1始動記憶数)が「0」であるか否かを判定する(ステップA306)。そして、特図1保留数が「0」である(ステップA306;Y)と判定すると、客待ちデモが開始済みであるか否かを判定し(ステップA311)、客待ちデモが開始済みでない場合(ステップA311;N)は、客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグをセットする(ステップA312)。 【0256】 続けて、客待ちデモコマンドを準備して(ステップA313)、演出コマンド設定処理(ステップA314)をおこない、特図普段処理移行設定処理1(ステップA315)をおこなって、特図普段処理を終了する。一方、ステップA311にて、客待ちデモが開始済みである場合(ステップA311;Y)は、特図普段処理移行設定処理1(ステップA315)をおこなって、特図普段処理を終了する。」 オ 「【0617】 次に、エンディング種別について図103から図108を用いて説明する。図103は、第1の実施形態のエンディング種別ごとの表示態様の一例を示す図である。 まず、「エンディング1」について説明する。「エンディング1」は、当りの終了後に確率変動がある遊技状態となる当りのうち、当りが連続したときに1回目となる当りのとき、当該当りの終了時に選択されるエンディングである。たとえば、「エンディング1」は、確率変動および普電サポートがない遊技状態で発生した当りが大当り1または大当り2のときに、当該当りの終了時に選択される。 ・・・・・ 【0632】 また、遊技機10は、モードの突入表示やモードの継続表示と同時に、注意喚起A表示または注意喚起B表示、あるいは注意喚起A表示と注意喚起B表示とをおこなうものであってもよい。このような遊技機10は、限られたエンディング時間で効率的な状態報知や注意喚起をおこなうことができる。たとえば、遊技機10は、確変明示モード突入表示でライオン1のキャラクタを表示する場合に、併せてメッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」(注意喚起A表示)を表示することができる。また、遊技機10は、確変明示モード継続表示でライオン2のキャラクタを表示する場合に、併せてメッセージ「のめり込みに注意してね」(注意喚起B表示)を表示することができる。また、遊技機10は、確変明示モード突入表示でライオン3のキャラクタを表示する場合に、併せてメッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」(注意喚起A表示)とメッセージ「のめり込みに注意してね」(注意喚起B表示)を表示することができる。このような遊技機10は、モードの突入や継続を遊技者に直感的に感得させるとともに、注意喚起を効果的におこなうことができる。」 カ 「【0652】 〔メイン処理〕 まず、演出制御装置300のメイン処理を図109を用いて説明する。図109は、第1の実施形態の演出制御装置におけるメイン処理のフローチャートを示す図である。 【0653】 メイン処理は、遊技機10の電源供給が開始された時点で演出制御装置300の制御部(CPU311)によって実行される処理である。 ・・・・・ 【0699】 〔特図ゲーム系コマンド処理〕 次に、特図ゲーム系コマンド処理について図112を用いて説明する。図112は、第1の実施形態の演出制御装置における特図ゲーム系コマンド処理のフローチャートを示す図である。特図ゲーム系コマンド処理は、受信コマンド解析処理のステップD68で制御部によって実行される処理である。 【0700】 [ステップD71]制御部は、MODEのデータが客待ちデモコマンドであるか否かを判定する。制御部は、MODEのデータが客待ちデモコマンドである場合に客待ちデモ設定処理を実行し(ステップD72)、MODEのデータが客待ちデモコマンドでない場合にステップD73に進む。なお、客待ちデモ設定処理は、客待ちデモ中の演出内容を設定する処理である。 ・・・・・ 【0705】 〔エンディング設定処理〕 次に、エンディング設定処理について図113を用いて説明する。図113は、第1の実施形態の演出制御装置におけるエンディング設定処理のフローチャートを示す図である。エンディング設定は、特図ゲーム系コマンド処理のステップD80で制御部によって実行される処理である。 【0706】 [ステップD81]制御部は、ACTIONのデータがエンディング1であるか否かを判定する。制御部は、ACTIONのデータがエンディング1である場合にエンディング1設定処理を実行し(ステップD82)、ACTIONのデータがエンディング1でない場合にステップD83に進む。なお、エンディング1設定処理は、エンディング1中の演出内容(図103参照)を設定する処理である。」 キ 「【0804】 ・・・・・ [第3の実施形態] 次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、オプション設定部25の操作にもとづいて注意喚起表示をおこなう点で、第1の実施形態および第2の実施形態と相違する。以下、第3の実施形態においてオプション設定部25をプッシュボタンあるいはPB(Push Button)と称する。 ・・・・・ 【0816】 (2)に示す表示画面720aは、客待ち画面からオプション設定画面に切り替わる際に挿入される。表示画面720aは、注意喚起表示723を含む。注意喚起表示723は、大きなフォントのメッセージ「のめり込みに注意しましょう」と小さなフォントの詳細な注意事項とを表示する。遊技機10は、注意喚起表示723の掲出タイミングをオプション設定のタイミングとすることで、遊技者が遊技開始前あるいは遊技を中断して冷静な状態で注意喚起をおこなうことができる。したがって、遊技機10は、遊技者が注意喚起を甘受しやすい状態で注意喚起をおこなうことができ、遊技者の不快感の軽減と注意喚起効果の向上との両立を図ることができる。 ・・・・・ 【0819】 (5)に示す表示画面720dは、オプション設定画面から客待ち画面に切り替わる際に挿入される。表示画面720dは、注意喚起表示723aを含む。注意喚起表示723aは、大きなフォントのメッセージ「のめり込みに注意しましょう」を表示する。遊技機10は、注意喚起表示723aの掲出タイミングをオプション設定後のタイミングとすることで、遊技者が遊技開始前あるいは遊技を中断して冷静な状態で注意喚起をおこなうことができる。したがって、遊技機10は、遊技者が注意喚起を甘受しやすい状態で注意喚起をおこなうことができ、遊技者の不快感の軽減と注意喚起効果の向上との両立を図ることができる。 ・・・・・ 【0826】 [第3の実施形態の変形例1] 次に、第3の実施形態の変形例1について説明する。第3の実施形態の変形例1は、オプション設定画面において注意喚起表示をおこなう点で第3の実施形態と相違する。オプション設定画面中の注意喚起表示について図131を用いて説明する。図131は、第3の実施形態の変形例1の表示装置におけるオプション設定時に注意喚起表示のある表示画面の一例を示す図である。 【0827】 (1)に示す表示画面720fは、オプション設定画面の1つである。表示画面720fは、オプション設定表示724fと、音量設定表示725fと、明るさ設定表示726fと、注意喚起表示723fと、戻る表示727と、設定操作案内表示722を含む。オプション設定表示724fは、音量設定表示725fと、明るさ設定表示726fと、注意喚起表示723fとをメニュー表示し、オプション設定可能な状態であることを明示する。メニュー表示は、オプション設定可能な項目として音量設定表示725fと明るさ設定表示726fとを含み、オプション設定可能な項目ではないが注意喚起表示723fを含む。表示画面720fは、選択中の設定項目を選択されていない設定項目よりも強調表示する。たとえば、表示画面720fは、音量設定が選択中であり、明るさ設定が選択されていないことを、音量設定表示725fの強調表示と明るさ設定表示726fの非強調表示とにより明示する。」 ク 「【図131】(1) 」 ケ 上記記載事項キによれば、引用文献1の【0816】には、「(2)に示す表示画面720aは、客待ち画面からオプション設定画面に切り替わる際に挿入される。」と記載され、同【0819】には、「(5)に示す表示画面720dは、オプション設定画面から客待ち画面に切り替わる際に挿入される。」と記載され、同【0827】には、「(1)に示す表示画面720fは、オプション設定画面の1つである。表示画面720fは、オプション設定表示724fと、音量設定表示725fと、明るさ設定表示726fと、注意喚起表示723fと、戻る表示727と、設定操作案内表示722を含む。」と記載されている。 また、上記記載事項クによれば、引用文献1の【図131】(1)には、表示画面720fに、注意喚起表示723fとして「のめり込みに注意しましょう」と表示される一方、プリペイドカードの取り忘れに対する注意を喚起する表示はなされないことが示されている。 そうすると、引用文献1には、「客待ち画面から切り替わるとともに客待ち画面に切り替わるオプション設定画面の1つである表示画面720fには、「のめり込みに注意しましょう」と表示される注意喚起表示723fが含まれる一方、プリペイドカードの取り忘れに対する注意を喚起する表示はなされない」こと(認定事項ケ)が記載されていると認められる。 上記ア?クの記載事項を総合すると、引用文献1には、第1の実施形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?iは、本願補正発明の構成A?Iに対応させて付した。ただし、引用発明は、本願補正発明の構成Gに対応する構成を有しないため、記号gは使用しておらず、認定の都合上、構成a?iの記載順序は、本願補正発明の構成A?Iの記載順序と整合していない。また、括弧内に引用文献1における引用箇所を示した。)。 「b 特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合は、特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理をおこなう遊技制御装置100のCPU111Aと(【0074】、【0076】)、 c 客待ちデモ中の演出内容を設定する処理である客待ちデモ設定処理を実行する演出制御装置300の制御部(CPU311)と(【0653】、【0700】)、 演出制御装置300の主制御用マイコン(CPU)311からのコマンドやデータにしたがって表示装置41への映像表示のための画像処理をおこなうグラフィックプロセッサとしてのVDP312とを備えた(【0060】)、 e 遊技機10において(【0010】)、 a 前記遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理をおこなうために必要な情報の設定等をおこなう特図普段処理では、特図2保留数が「0」であると判定し、特図1保留数が「0」であると判定し、客待ちデモが開始済みでない場合は、客待ちデモ中フラグをセットし、客待ちデモコマンドを準備して、演出コマンド設定処理をおこない(【0114】、【0194】、【0255】、【0256】)、 dfh 前記演出制御装置300の制御部(CPU311)は、エンディング1中の演出内容を設定する処理であるエンディング1設定処理を実行し(【0653】、【0706】)、 確率変動および普電サポートがない遊技状態で発生した当りが大当り1または大当り2のときに、当該当りの終了時に選択される「エンディング1」では、確変明示モード突入表示でライオン3のキャラクタを表示する場合に、併せてメッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」を表示することができる(【0617】、【0632】)、 i 遊技機10(【0010】)。」 また、上記ア?クの記載事項及び上記認定事項ケを総合すると、引用文献1には、第3の実施形態として、次の技術的事項(以下、「引用文献1に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(記号g、iは、本願補正発明の構成G、Iに対応させて付した。また、括弧内に引用文献1における引用箇所を示した。)。 「g 客待ち画面から切り替わるとともに客待ち画面に切り替わるオプション設定画面の1つである表示画面720fには、「のめり込みに注意しましょう」と表示される注意喚起表示723fが含まれる一方、プリペイドカードの取り忘れに対する注意を喚起する表示はなされない(認定事項ケ)、 i 遊技機10(【0010】)。」 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?Iについて、それぞれ(a)?(i)の見出しを付けて行った。なお、引用発明は、本願補正発明の構成Gに対応する構成を有しないため、(g)の見出しは使用していない。)。 (a)引用発明の「特図普段処理」は、「特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理をおこなうために必要な情報の設定等をおこなう」ものであるから、特図変動表示ゲームの変動開始前に実行されるものといえる。 また、引用発明の「特図変動表示ゲーム」は、「特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する」(構成b)ものであるところ、引用発明の「特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54」は、本願補正発明の「図柄表示手段」に相当する。 そうすると、引用発明の「特図普段処理」において「特図2保留数が「0」であると判定し、特図1保留数が「0」であると判定し、客待ちデモが開始済みでない場合」は、本願補正発明の「図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合」に相当する。 また、引用発明の「客待ちデモ中フラグをセットし、客待ちデモコマンドを準備して、演出コマンド設定処理をおこな」うことは、本願補正発明の「非遊技期間を開始」することに相当する。このことから、引用発明の「客待ちデモフラグ」がセットされている期間は、本願補正発明の「非遊技期間」に相当するといえる。 してみると、引用発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。 (b)引用発明の「特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームの結果が大当りの場合」に「特図1図柄表示部53や特図2図柄表示部54に特別結果態様を表示する」ことは、本願補正発明の「前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった」ことに相当する。 また、引用発明の「特別遊技状態を発生させる処理をおこなう」ことは、本願補正発明の「特別利益状態を発生させる」ことに相当する。 してみると、引用発明の「遊技制御装置100のCPU111A」は、本願補正発明の「特別利益状態発生手段」に相当するから、引用発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。 (c)引用発明の「客待ちデモ中の演出内容」に係る演出は、本願補正発明の「前記非遊技期間中のデモ演出」に相当する。 そして、引用発明の「演出制御装置300の制御部(CPU311)」は、「客待ちデモ中の演出内容を設定する処理である客待ちデモ設定処理を実行する」ものであり、同「VDP312」は、「演出制御装置300の主制御用マイコン(CPU)311からのコマンドやデータにしたがって表示装置41への映像表示のための画像処理をおこなう」ものであるから、「客待ちデモ中の演出内容」に係る演出は、「演出制御装置300の制御部(CPU311)」及び「VDP312」により実行可能なものといえる。 してみると、引用発明の「演出制御装置300の制御部(CPU311)」及び「VDP312」は、本願補正発明の「デモ演出制御手段」に相当するから、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cに相当する。 (d)引用発明の「メッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」」の「表示」は、本願補正発明の「注意喚起表示」に相当する。 そして、引用発明は、「「エンディング1」では、」「メッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」を表示することができる」ところ、引用発明の「演出制御装置300の制御部(CPU311)」は、「エンディング1中の演出内容を設定する処理であるエンディング1設定処理を実行」するものであり、同「VDP312」は、「演出制御装置300の主制御用マイコン(CPU)311からのコマンドやデータにしたがって表示装置41への映像表示のための画像処理をおこなう」(構成c)ものであるから、「メッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」」の「表示」は、「演出制御装置300の制御部(CPU311)」及び「VDP312」により実行可能なものといえる。 してみると、引用発明の「演出制御装置300の制御部(CPU311)」及び「VDP312」は、本願補正発明の「注意喚起表示制御手段」に相当するから、引用発明の構成dfh及び構成cは、本願補正発明の構成Dに相当する構成を有している。 (e)引用発明の「遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、引用発明の構成eは、本願補正発明の構成Eに相当する。 (f)引用発明の「確率変動および普電サポートがない遊技状態で発生した当りが大当り1または大当り2のときに、当該当りの終了時に選択される「エンディング1」」の演出が実行される時期は、本願補正発明の「前記特別利益状態の終了後」に相当する。 また、引用発明の「ライオン3のキャラクタ」の「表示」は、本願補正発明の「キャラクタ画像」に相当し、引用発明の「メッセージ「のめり込みに注意してね」」の「表示」、「メッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」」の「表示」は、それぞれ本願補正発明の「遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示」、「カード取り忘れに関する第2注意喚起表示」に相当する。 してみると、引用発明の構成dfhと、本願補正発明の構成Fとは、「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合には、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示と、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行する」点で共通する。 (h)上記(d)及び(f)で検討したとおり、引用発明の「確率変動および普電サポートがない遊技状態で発生した当りが大当り1または大当り2のときに、当該当りの終了時に選択される「エンディング1」」の演出が実行される時期、「ライオン3のキャラクタ」の「表示」、「メッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」」の「表示」は、それぞれ本願補正発明の「前記特別利益状態の終了後」、「前記キャラクタ画像」、「前記注意喚起表示」に相当する。 してみると、引用発明の構成dfhと、本願補正発明の構成Hとは、「前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像と共に前記注意喚起表示を実行することが可能である」点で共通する。 (i)引用発明の「遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、引用発明の構成iは、本願補正発明の構成Iに相当する。 上記(a)?(i)の検討により、本願補正発明と引用発明とは、 (一致点) 「A 図柄表示手段による図柄の変動表示が行われていないことを含む非遊技条件を満たす場合に非遊技期間を開始するように構成し、 B 前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が特定態様となった場合に特別利益状態を発生させる特別利益状態発生手段と、 C 前記非遊技期間中にデモ演出を実行可能なデモ演出制御手段と、 D 注意喚起表示を実行可能な注意喚起表示制御手段とを備えた E 遊技機において、 F’ 前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合には、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示と、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示とを実行し、 H’ 前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像と共に前記注意喚起表示を実行することが可能である I 遊技機。」 である点で一致し、構成F、G、Hに関する以下の点で相違している。 (相違点1) 「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像」「と共に前記注意喚起表示を実行する」場合の表示態様について、本願補正発明では、「キャラクタ画像の周辺画像及び遊技に関する遊技情報示唆画像」も共に表示され(構成F、H)、「前記注意喚起表示に係る注意喚起画像を、画面の周辺部側の近傍で、前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示する」(構成H)のに対して、引用発明では、ライオン3のキャラクタ(キャラクタ画像)を表示し、併せてメッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」を表示(注意喚起表示)するが、その表示態様は明らかでない点。 (相違点2) 本願補正発明では、「前記非遊技期間中に前記注意喚起表示を実行する場合には、前記第2注意喚起表示を実行せず、前記第1注意喚起表示を実行」(構成G)するのに対して、引用発明では、客待ちデモ中に注意喚起表示を実行するか否かが明らかでない点。 (3)判断 ア 相違点1の判断について まず相違点1について検討すると、遊技機の技術分野において、確変状態への突入を報知する表示画面にキャラクタ画像と確変状態へ突入する旨を表す文字との両方を表示することは、本願出願前に周知の技術である(例えば、特開2017-104625号公報の【図34】(g)、特開2016-73886号公報の【図44】(G)、特開2016-140535号公報の【図57】(13)等を参照。)。 また、遊技機の技術分野において、キャラクタ画像を表示する際に、当該キャラクタ画像を背景などの周辺画像と共に表示することは、例示するまでもなく本願出願前に周知の技術にすぎない。 そして、遊技機の表示画面に複数の画像要素を表示する際に、各画像要素をどのように配置し、各画像要素を重ねて表示する場合にいずれの画像要素を前側とするかなど、具体的にどのように表示するかは、遊技者にとっての見やすさや、いずれの情報を優先的に遊技者に注目させたいかなどに応じて、当業者が適宜決定できる設計事項にすぎないものであり、さらに、文字からなる画像要素を表示画面に複数表示する場合に、それらが重なって表示されると著しく見難くなるため、文字からなる画像要素が重ならないように表示するのは当然のことであるし、重ねて表示された複数の画像要素のうちの前側の画像要素が透過性を有する状態で表示されるようにすることも、複数の画像要素を表示する場合の常套手段の一つにすぎない。 そうすると、引用発明に対して、表示画面の見やすさ、分かりやすさ等の観点から、上記の各周知技術をそれぞれ適用して、「エンディング1」における確変明示モード突入表示中(特別利益状態の終了後)にライオン3のキャラクタ(キャラクタ画像)とともにメッセージ「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください。」とメッセージ「のめり込みに注意してね」の表示(注意喚起表示)を実行する場合に、当該キャラクタ画像の周辺画像(背景画像など)及び確変状態へ突入する旨を表す文字(遊技に関する遊技情報示唆画像)も併せて表示するように構成することは、当業者が容易に想到できたことであり、その際に、前記注意喚起表示に係る注意喚起画像を、画面の周辺部側の近傍で、文字からなる前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示することは、当業者であれば適宜なし得たことにすぎない。 したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到できたことである。 イ 相違点2の判断について 次に相違点2について検討する。 本願補正発明と引用文献1に記載された技術的事項とを対比すると、引用文献1に記載された技術的事項の「オプション設定画面」は、「客待ち画面から切り替わるとともに客待ち画面に切り替わる」ものであるから、「非遊技期間中」に表示されるものであるといえる。そうすると、引用文献1に記載された技術的事項の「オプション設定画面の1つである表示画面720fには、「のめり込みに注意しましょう」と表示される注意喚起表示723fが含まれる」ことは、本願補正発明の「前記非遊技期間中に前記注意喚起表示を実行する」ことに相当する。 また、引用文献1に記載された技術的事項の「プリペイドカードの取り忘れに対する注意を喚起する表示はなされない」こと、「表示画面720fには、「のめり込みに注意しましょう」と表示される注意喚起表示723fが含まれる」ことは、それぞれ本願補正発明の「前記第2注意喚起表示を実行」しないこと、「前記第1注意喚起表示を実行」することに相当する。 そうすると、引用文献1に記載された技術的事項は、「前記非遊技期間中に前記注意喚起表示を実行する場合には、前記第2注意喚起表示を実行せず、前記第1注意喚起表示を実行」する構成を有するものといえる。 そして、引用発明は、特別利益状態の終了後(「エンディング1」における確変明示モード突入表示中)に、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示を含む注意喚起表示を実行することが可能なものであるところ、遊技者の遊技へののめり込みを防止するためには、それ以外のタイミングにも注意喚起表示がなされることが有効であることは明らかであるから、引用発明に対して、上記の引用文献1に記載された技術的事項の構成を適用して、非遊技期間中(オプション設定画面の表示中)にも注意喚起表示を実行し、その場合に、遊技へののめり込みに関する第1注意喚起表示は実行するが、カード取り忘れに関する第2注意喚起表示は実行しないように構成して、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 なお、仮に引用文献1に記載された技術的事項について、「プリペイドカードの取り忘れに対する注意を喚起する表示はなされない」とまで認定できないとしても、どのような演出中にどのような注意喚起表示をするかは、演出の性質と注意喚起表示の内容に応じて当業者が適宜決定できる設計事項にすぎないから、いずれにしても相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 ウ 本願補正発明の作用効果について 本願補正発明の作用効果は、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び各周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。 エ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、「そこで本願発明では、上記Hに示すように、特別利益状態の終了後にキャラクタ画像、周辺画像及び遊技情報示唆画像と共に注意喚起表示を実行する場合、注意喚起表示に係る注意喚起画像を、画面の周辺部側の近傍で、遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で周辺画像の前側に重なるように表示するように構成されております。これにより、演出の中心的存在であるキャラクタ画像及び周辺画像の視認性を大きく損なうことなく、しかも注意喚起画像と並んで遊技者にとって重要な情報である遊技情報示唆画像の視認性を損なうことなく、注意喚起画像の視認性を確保することができるため、所要時間を短縮しつつ、各表示を全て効果的に機能させることが可能であるという格別の効果を奏するものです。」(4頁1行?10行)と主張している。 しかしながら、上記アで説示したとおり、「前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像、前記周辺画像及び前記遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合、前記注意喚起表示に係る注意喚起画像を、画面の周辺部側の近傍で、前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示する」構成とすることは、当業者が容易に想到できたことであり、請求人の主張する効果についても、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び各周知技術から当業者が予測できる範囲のものであるから、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和1年6月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの、上記「第2[理由]1 補正の内容」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 1.特開2017-80319号公報 3 引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(1)引用文献1に記載された事項」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成要件である「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像及び遊技に関する遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」を、「前記特別利益状態の終了後にキャラクタ画像とその周辺画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」へと拡張するとともに、同じく構成要件である「前記遊技情報示唆画像とは重ならず、透過性を有する状態で前記周辺画像の前側に重なるように表示する」を「前記周辺画像と重なるように表示する」へと拡張し、併せて、意味内容の変わらない「前記特別利益状態の終了後に前記キャラクタ画像、前記周辺画像及び前記遊技情報示唆画像と共に前記注意喚起表示を実行する場合」、「前記注意喚起表示に係る注意喚起画像」という表現に言い改めていたものを、それぞれ元の「前記特別利益状態の終了後に前記第1注意喚起表示と前記第2注意喚起表示とを実行する場合」、「前記第1注意喚起表示に係る第1注意喚起画像と前記第2注意喚起表示に係る第2注意喚起画像」との表現に戻したものである。 そうすると、本願発明の一部の特定事項をより限定し、それ以外には本願発明の特定事項をすべて含んだものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(2)対比、(3)判断」に記載したとおり、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-11-18 |
結審通知日 | 2020-11-24 |
審決日 | 2020-12-08 |
出願番号 | 特願2017-127963(P2017-127963) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小泉 早苗 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
▲高▼橋 祐介 小島 寛史 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人谷藤特許事務所 |