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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G01D
管理番号 1371051
審判番号 訂正2020-390099  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-10-23 
確定日 2021-01-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6416983号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6416983号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6416983号は、平成29年5月22日に出願された特願2017-100567号の請求項1?3に係る発明について、平成30年10月12日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和2年10月26日に本件訂正審判の請求がされた。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6416983号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、その訂正の内容は、次の訂正事項からなる。なお、下線部は訂正箇所を示す。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する。

3 訂正事項3
明細書の段落【0006】及び【0010】のそれぞれに「前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度」と記載されているのを、「前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1の記載は、次のとおりである(ア?オは、記載を分説するために当審が付した。)。
「【請求項1】
ア 複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、
イ 前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、
ウ 前記第1の回転軸を回転させ、
エ 前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出し、
オ 算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法。」

アの記載から、「較正用角度センサ」が取り付けられるのは「第1の回転軸」であることが理解でき、ウ及びオの記載から、「第1の回転軸」を回転させて算出した「第1角度」と「第2角度」の「差分」を「第1の回転軸」の回転角度の較正値とすることが理解できる。
エにおいて、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」は「第2の回転軸」の角度であるとしているが、請求項1に係る発明が「角度較正方法」の発明であることからして、「第1の回転軸」の回転角度の検出値を校正するために、当該軸とは異なる「第2の回転軸」の回転を検出することは、あり得ないことであって、エの記載がその他の記載との整合性を著しく欠いていて、誤記があり、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第1の回転軸」の角度であるとするのが正しい記載であることは、当業者には明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。

(2)訂正事項2
訂正前の請求項3の記載は、次のとおりである(カ?コは、記載を分説するために当審が付した。)。
「【請求項3】
カ 複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、
キ 前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、
ク 前記第1の回転軸を回転させたときに、
ケ 前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、
コ 該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラム。」

前記(1)における検討と同様にして、ケにおいて、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第2の回転軸」の角度であるとする記載が誤記を含み、「較正用角度センサ」により検出される「第2角度」が「第1の回転軸」の角度であるとするのが正しい記載であることは、当業者には明らかである。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。

(3)訂正事項3
訂正前の明細書の段落【0006】及び【0010】の記載は、それぞれ次のとおりである。
「【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させ、前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出し、算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法を提供する。」

「【0010】
本発明の他の態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させたときに、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第2の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラムを提供する。」

訂正事項3は、訂正前の請求項1及び3の引き写しがそれぞれ記載された訂正前の明細書の段落【0006】及び【0010】の記載について、それぞれ訂正事項1及び2と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。

2 新規事項の追加の有無について
前記1で検討したとおり、訂正事項1?3による訂正は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1?3による訂正は、特許法126条5項の規定に適合するものである。

3 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の有無について
前記1で検討したとおり、訂正事項1?3による訂正は、誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1?3による訂正は、特許法126条6項の規定に適合するものである。

4 独立特許要件について
訂正事項1及び2による訂正後の請求項1及び3のいずれにも、「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し」と記載されているところ、この記載は、「較正用角度センサ」が何に「接続」されるかが、一見すると不明瞭であるようにも思われる。
しかしながら、訂正後の請求項1及び3の記載全体を参酌すると、「較正用角度センサ」は「制御部」に「接続」され、上記「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し」という記載が、「前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサの出力配線に代えて前記較正用角度センサの出力配線を制御部に接続し」の意味であることは、当業者には明らかである(明細書の段落【0015】の「第2の回転テーブルを回転させるモータ(以下、第2のモータという。)3に備えられているエンコーダ7と制御部6とを接続する配線9を取り外し、これに代えて、較正用角度センサ8の出力配線10を制御部に接続するステップS2」という記載も参照。)。したがって、訂正後の請求項1及び3の記載は、発明を明確に把握できる程度には明瞭であって、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
そして、訂正事項1及び2による訂正後の請求項1?3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
また、訂正事項3による訂正後の請求項1?3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
したがって、訂正事項1?3による訂正は、特許法126条7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条5項から7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
発明の名称 (54)【発明の名称】
回転軸の角度較正方法および角度較正プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の角度較正方法および角度較正プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の回転テーブルの角度較正は、較正用に用意された高精度角度測定システムを回転テーブルに取り付けた状態で回転テーブルを回転させ、工作機械側に備えられている回転テーブルの角度センサによる回転角度の検出値と、高精度角度測定システムによる測定値との差を較正値として算出し、算出された較正値を制御装置に入力することにより行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-118894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の角度較正方法は、高精度角度測定システムにより測定された回転テーブルの角度を読み取る専用の角度読取装置と、該角度読取装置により読み取った回転テーブルの角度と工作機械の制御装置から受け取った回転テーブルの角度との差を演算する専用の計算機が必要となるという不都合がある。また、計算機により算出された回転テーブルの角度の差を工作機械の制御装置に入力しなければならないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、専用の角度読取装置や計算機を用意することを不要とし、回転軸の角度センサを精度よく較正することができる回転軸の角度較正方法および角度較正プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させ、前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度との差分を算出し、算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法を提供する。
【0007】
本態様によれば、複数の回転軸を有する産業用機械のいずれかの回転軸(第1の回転軸)の回転角度を較正するには、第1の回転軸に、第1の回転軸に備えられた制御用角度センサより高精度の較正用角度センサを取り付ける。そして、取り付けた較正用角度センサを第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の制御用角度センサに代えて接続し、第1の回転軸を回転させる。
【0008】
これにより、第1の回転軸の回転角度は、第1の回転軸の制御用角度センサおよび較正用角度センサにより検出される。すなわち、高精度の較正用角度センサによる検出値は第2の回転軸の回転角度として検出されるので、第1の回転軸の制御用角度センサを較正する際には、制御部は、第1の回転軸の回転角度と第2の回転軸の回転角度の差分を算出することにより第1の回転軸の制御用角度センサの較正値を容易に取得することができる。
そして、算出された較正値を記憶しておくことにより、専用の角度読取装置や計算機を用意することなく、第1の回転軸の制御用角度センサを精度よく較正することができる。
【0009】
上記態様においては、前記産業用機械が被加工物を加工する工作機械であり、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸が、前記被加工物を搭載する回転テーブルであってもよい。
このようにすることで、第1または第2の回転軸の一方の制御用角度センサを、較正用角度センサにより検出する他方の回転軸の回転角度によって精度よく較正することができる。同種の制御用角度センサを用いる回転テーブルどうしで較正し合うことができる。
【0010】
本発明の他の態様は、複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させたときに、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、専用の角度読取装置や計算機を用意することを不要とし、回転軸の角度センサを精度よく較正することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転軸の角度較正方法を適用する工作機械と較正用角度センサの一例である。
【図2】図1の角度較正方法により、図1の工作機械に較正用角度センサを装着した状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る角度較正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る回転軸の角度較正方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る角度較正方法を適用する産業用機械は、工作機械1であって、図1に示されるように、2つの回転テーブル(図示略)をそれぞれ回転させる2つのモータ(第1および第2の回転軸、回転軸)2,3と、他の複数のモータ(回転軸)4,5と、これらのモータ2,3,4,5を制御する制御部6とを備えている。
【0014】
各モータ2,3,4,5には、それぞれ、回転角度を検出するエンコーダ(制御用角度センサ)7が備えられている。制御部6は、コンピュータであって、演算を行う図示しないプロセッサと、データを記憶する図示しないメモリとを備え、エンコーダ7により検出された回転角度に基づいてモータ2,3,4,5を制御し回転テーブルを所定の回転速度および角度位置で回転させるようになっている。
【0015】
本実施形態に係る角度較正方法は、図1から図3に示されるように、モータ2,3,4,5に備えられているエンコーダ7よりも高精度に回転角度を検出することができる較正用角度センサ8を、較正を行うエンコーダ7が取り付けられている第1の回転テーブルのモータ(以下、第1のモータという。)2に取り付けるステップS1と、第2の回転テーブルを回転させるモータ(以下、第2のモータという。)3に備えられているエンコーダ7と制御部6とを接続する配線9を取り外し、これに代えて、較正用角度センサ8の出力配線10を制御部6に接続するステップS2とを備えている。
【0016】
較正用角度センサ8は、2つの回転テーブルの外部に配置された治具に固定される読み取りユニット11と、該読み取りユニット11に対して所定の軸線回りに回転可能に支持されたスケールユニット12とを備えている。較正用角度センサ8を第1のモータ2に取り付けるステップS1は、較正用角度センサ8のスケールユニット12の軸線を第1のモータ2の軸線に一致させた状態でスケールユニット12を第1のモータ2に固定するようになっている。
これにより、図2に示されるように、工作機械1に較正用角度センサ8が装着され、配線9と出力配線10とを入れ替えるステップS2によって、工作機械1の制御部6は、較正用角度センサ8による検出値を第2のモータ3に備えられたエンコーダ7による検出値であると認識するようになる。
【0017】
次いで、本実施形態に係る角度較正方法は、図3に示されるように、制御部6に角度較正プログラムを実行させるようになっている。角度較正プログラムは、第1のモータ2を回転させる回転ステップS3と、第1のモータ2に備えられたエンコーダ7により検出された第1角度と較正用角度センサ8により検出された第2角度との差分を算出する差分算出ステップS4と、算出された差分を第1の回転テーブルの回転角度の較正値としてメモリに記憶させる記憶ステップS5とをプロセッサに実行させるようになっている。
【0018】
制御部6が、角度較正プログラムを実行させると、第1の回転テーブルの第1のモータ2が回転させられて第1の回転テーブルが回転させられる。これにより、第1のモータ2に備えられたエンコーダ7により第1角度が検出される一方、第1の回転テーブルと同軸に固定された較正用角度センサ8のスケールユニット12が読み取りユニット11に対して回転させられることにより較正用角度センサ8によって第2角度が検出される。
【0019】
すなわち、同じ第1の回転テーブルの回転角度が、エンコーダ7と較正用角度センサ8の両方によって検出される。制御部6は、検出された第1角度と第2角度との差分を算出し、算出された差分をメモリに記憶する。
較正用角度センサ8はエンコーダ7よりも高精度に回転角度を検出できるものであるため、差分が小さければエンコーダ7が精度よく回転角度を検出していることが分かり、差分が大きい場合にはエンコーダ7の検出する回転角度にズレが発生していることが分かる。
【0020】
したがって、エンコーダ7により検出された第1角度と、較正用角度センサ8により検出された第2角度との差分をメモリに記憶しておくことにより、第1の回転テーブルの実際の制御において、記憶しておいた差分を用いて、エンコーダ7により検出された回転角度を補正し、2つの回転テーブルを精度よく制御することができる。
【0021】
この場合において、本実施形態に係る角度較正方法によれば、第1の回転テーブルの第1のモータ2に備えられているエンコーダ7よりも高精度かつ同一形式のデータを出力する較正用角度センサ8を、第2の回転テーブルのエンコーダ7に代えて制御部6に接続するので、専用の角度読取装置を用意しなくても、較正用角度センサ8により検出された回転角度を制御部6に認識させることができる。
【0022】
これにより、制御部6により実行可能な簡単な角度較正プログラムによって、制御部6自体に差分を演算させることができるため、差分を演算する専用の計算機を設ける必要もない。すなわち、本実施形態に係る角度較正方法によれば、専用の角度読取装置や計算機を用意することを不要とし、回転軸2,3,4,5のエンコーダ7を精度よく較正することができるという利点がある。
【0023】
本実施形態に係る角度較正方法により第1の回転テーブルのエンコーダ7の較正値がメモリに記憶された後には、第1の回転テーブルと第2の回転テーブルとを入れ替えて、同様のステップを実行することにより、第2の回転テーブルのエンコーダ7の較正値もメモリに記憶することができる。
さらに、較正が終了した後には、較正用角度センサ8に代えて、取り外されていたエンコーダ7を制御部6に接続し直すことにより、精度よく較正された状態で工作機械1を動作させることができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、2つの回転テーブルを有する工作機械1に角度較正方法を適用する場合を例示したが、これに代えて、他の任意の産業用機械に適用してもよい。
また、回転テーブルと他の回転軸2,3,4,5のエンコーダ7が共通のデータ形式を有している場合には、他の回転軸2,3,4,5のエンコーダ7の較正に適用することにしてもよい。
また、本実施形態においては、被加工物を搭載する回転テーブルとして、2つの回転テーブルの場合を例示したが、これに代えて、任意の数の回転テーブルを用いてもよい。
【0025】
また、本実施形態においては、エンコーダ7と制御部6とを接続する配線9を取り外し、較正用角度センサ8の出力配線10を制御部6に接続するものを例示したが、これに代えて、配線9に切替部を設け、該切替部に出力配線10が接続されているものを採用してもよい。
【0026】
この場合、エンコーダ7による第2のモータ3の検出値と、較正用角度センサ8による第1のモータ2の検出値とを切替部によって切り替えることにより、制御部6への配線9の取り外しおよび出力配線10の取り付け作業を行うことなく第1のモータ2の第1角度および第2角度を検出することができる。また、切替部は、手動で操作されてもよいし、制御部6によって自動で操作されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 工作機械(産業用機械)
2 第1のモータ(第1の回転軸、回転軸)
3 第2のモータ(第2の回転軸、回転軸)
4,5 モータ(回転軸)
6 制御部
7 エンコーダ(制御用角度センサ)
8 較正用角度センサ
S4 差分算出ステップ
S5 記憶ステップ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、
前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、
前記第1の回転軸を回転させ、
前記制御部において、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度との差分を算出し、
算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する回転軸の角度較正方法。
【請求項2】
前記産業用機械が被加工物を加工する工作機械であり、
前記第1の回転軸および前記第2の回転軸が、前記被加工物を搭載する回転テーブルである請求項1に記載の回転軸の角度較正方法。
【請求項3】
複数の回転軸と、各該回転軸に備えられた制御用角度センサにより検出された角度に基づいて前記回転軸を制御する制御部とを備える産業用機械の第1の回転軸に、前記制御用角度センサより高精度かつ前記制御用角度センサと同型式のデータを出力する較正用角度センサを取り付け、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸の前記制御用角度センサに代えて前記較正用角度センサを接続し、前記第1の回転軸を回転させたときに、前記制御用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第1角度と、前記較正用角度センサにより検出された前記第1の回転軸の第2角度との差分を算出する差分算出ステップと、該差分算出ステップにより算出された前記差分を前記第1の回転軸の回転角度の較正値として記憶する記憶ステップとをコンピュータに実行させる角度較正プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-12-10 
結審通知日 2020-12-15 
審決日 2021-01-07 
出願番号 特願2017-100567(P2017-100567)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (G01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩本 太一岡田 卓弥  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱野 隆
岸 智史
登録日 2018-10-12 
登録番号 特許第6416983号(P6416983)
発明の名称 回転軸の角度較正方法および角度較正プログラム  
代理人 小栗 眞由美  
代理人 上田 邦生  
代理人 柳 順一郎  
代理人 柳 順一郎  
代理人 小栗 眞由美  
代理人 上田 邦生  
代理人 竹内 邦彦  
代理人 竹内 邦彦  
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