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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1371310
審判番号 不服2019-1575  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-05 
確定日 2021-03-09 
事件の表示 特願2017-116965「表示制御プログラム、表示制御装置、表示制御方法及び配信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月10日出願公開、特開2019- 3374、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成29年6月14日に出願された特願2017-116965号であり,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成30年 1月24日付け:拒絶理由通知
平成30年 3月16日 :意見書・手続補正書の提出
平成30年 6月 8日付け:拒絶理由通知(最後の拒絶理由)
平成30年 8月10日 :意見書の提出
平成30年11月 1日付け:拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成31年 2月 5日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和 2年 6月30日付け:拒絶理由通知
(以下,「当審拒絶理由1」という。)
令和 2年 8月25日 :意見書・手続補正書の提出
令和 2年 9月29日付け:拒絶理由通知
(最後の拒絶理由,以下,「当審拒絶理
由2」という。なお,当該拒絶理由1,
2をまとめて「当審拒絶理由」という場
合がある。)
令和 2年11月27日 :意見書・手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

1 平成30年3月16日付け手続補正書でした補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

2 本願請求項1-11に係る発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献Aに記載された発明及び引用文献Cに記載された技術ならびに周知技術(引用文献B及びD)に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A:特開2011-154493号公報
引用文献B:特開2011-182081号公報(周知技術を示す文献)
引用文献C:特開2011-128204号公報
引用文献D:特開2014-96046号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.当審拒絶理由1について
本願請求項1-6,8-11に係る発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2011-154493号公報(拒絶査定時の引用文献A)
引用文献2:特開2014-179054号公報
引用文献3:特許第6059315号公報

2.当審拒絶理由2について
本願請求項1-11の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
令和2年11月27日に提出された手続補正書によって補正(以下,「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし10(以下,それぞれ,「本願発明1」-「本願発明10」という。)は,以下のとおりである。(下線部が補正箇所である。)

「【請求項1】 表示制御装置に、
第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合、当該第1コンテンツの受信後、当該第1コンテンツが含む前記枠内に表示される前記第2コンテンツの取得処理であって、第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って、当該第1取得要求と、当該第2コンテ ンツに関連するコンテンツである第3コンテンツとの取得処理を、前記第1取得要求とは異なる第2取得要求であって、前記第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記第2コンテンツの取得処理を前記第 3コンテンツの取得処理よりも優先して実行する取得手順と、
前記初期表示に前記枠が含まれる場合、前記取得手順によって取得された前記第3コン テンツを前記枠内に表示するとともに、所定の条件を満たす場合に、前記第2コンテンツを前記第3コンテンツに置き換えて表示するよう制御し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記取得手順によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するよう制御する表示制御手順と、
を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項2】
前記表示制御手順は、
前記取得手順によって前記第2コンテンツが取得された場合に、前記枠内に表示している前記第3コンテンツを当該第2コンテンツに置き換えて表示するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項3】
前記取得手順は、
前記第3コンテンツとして、前記第2コンテンツに関連する画像コンテンツの取得処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御プログラム。
【請求項4】
前記取得手順は、
前記第2コンテンツの提供主によって予め当該第2コンテンツに対応付けられた画像コンテンツの取得処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示制御プログラム。
【請求項5】
前記取得手順は、
前記第3コンテンツとして、前記第1コンテンツの配信側によって任意に選択された画像コンテンツの取得処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御プログラム。
【請求項6】
前記取得手順は、
前記第3コンテンツの取得処理を実行した後に、前記第2コンテンツとして、前記第1コンテンツが含む広告枠内に表示される広告画像もしくは広告動画の取得処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載の表示制御プログラム。
【請求項7】
前記取得手順は、
前記第1コンテンツを表示するためのスクリプトにおいて入れ子状に配置されたスクリプトによって前記第2コンテンツの取得処理を実行するとともに、前記入れ子状に配置されたスクリプト以外のスクリプトによって前記第3コンテンツの取得処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の表示制御プログラム。
【請求項8】
第1コンテンツが自装置の画面上に表示される際の初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合、当該第1コンテンツの受信後、当該第1コンテンツが含む前記枠内に表示される前記第2コンテンツの取得処理であって、第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って、当該第1取得要求と、当該第2コンテンツに関連するコンテンツである第3コンテンツとの取得処理を、前記第1取得要求とは異なる第2取得要求であって、前記第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記第2コンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理よりも優先して実行する取得部と、
前記初期表示に前記枠が含まれる場合、前記取得部によって取得された前記第3コンテンツを前記枠内に表示するとともに、所定の条件を満たす場合に、前記第2コンテンツを前記第3コンテンツに置き換えて表示するよう制御し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記取得部によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するよう制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項9】
表示制御装置が実行する表示制御方法であって、
第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合、当該第1コンテンツの受信後、当該第1コンテンツが含む前記枠内に表示される前記第2コンテンツの取得処理であって、第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って、当該第1取得要求と、当該第2コンテンツに関連するコンテンツである第3コンテンツとの取得処理を、前記第1取得要求とは異なる第2取得要求であって、前記第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記第2コンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理よりも優先して実行する取得工程と、
前記初期表示に前記枠が含まれる場合、前記取得工程によって取得された前記第3コンテンツを前記枠内に表示するとともに、所定の条件を満たす場合に、前記第2コンテンツを前記第3コンテンツに置き換えて表示するよう制御し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記取得工程によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するよう制御する表示制御工程と、
を含んだことを特徴とする表示制御方法。
【請求項10】
第2コンテンツを表示するための枠を含む第1コンテンツと、第1コンテンツの表示処理を制御する制御情報とを表示制御装置に配信する配信部、
を備え、
前記制御情報は、
前記第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の初期表示に前記第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合、前記第1コンテンツの配信後、前記枠内に表示される第2コンテンツの取得処理であって、第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って、当該第1取得要求と、当該第2コンテンツに関連するコンテンツである第3コンテンツとの取得処理を、前記第1取得要求とは異なる第2取得要求であって、前記第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記第2コンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理よりも優先して実行する取得手順と、
前記初期表示に前記枠が含まれる場合、前記取得手順によって取得された前記第3コンテンツを前記枠内に表示するとともに、所定の条件を満たす場合に、前記第2コンテンツを前記第3コンテンツに置き換えて表示するよう制御し、前記初期表示に前記枠が含まれない場合、前記取得手順によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するよう制御する表示制御手順と、
を前記表示制御装置に実行させることを特徴とする配信装置。」

第5 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1について
引用文献1には,次の事項が記載されている(下線は,当審が付加した。以下,同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用した広告表示・配信方法,表示設定プログラム,表示設定サーバ,広告表示・配信システムに関し、例えば、インターネットのポータルサイトの画面上にバナー広告(広告を目的とした画像)を配信する場合などに好適な広告配信技術の改良に関するものである。」

「【実施例1】
【0025】
<実施例の全体構成>・・・最初に、図1を参照しながら、実施例1の全体構成を説明する。図1において、インターネット100には、クライアント110としての多数のパソコン111とともに、Yahoo,msn,mixiなどの広告表示サイトを運営するポータルサイト運営会社120の媒体コンテンツ運用サーバ122及び広告配信サーバ124,配信代行会社130の広告配信代行サーバ132が接続されている。なお、接続のためのルータなどの機器やプロバイダなどは公知であるので省略している。
【0026】
これらのうち、パソコン111には、ディスプレイ112,キーボード113が接続されている。なお、他に必要に応じて、プリンタなどが接続される。このようなクライアント100の構成は公知である。クライアント100としては、パソコン111の他、携帯電話,携帯情報端末,ゲーム機など、公知の各種のものが該当する。
【0027】
次に、媒体コンテンツ運用サーバ122は、クライアント110のディスプレイ112上に、ポータルサイトの広告媒体としてのwebページ114を表示するためのサーバである。webページ114には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示されており、更に広告を表示するための広告枠116が設けられている。一方、広告配信サーバ124及び広告配信代行サーバ132は、前記webページ114の広告枠116に広告画像を表示するためのサーバである。
【0028】
以上の構成は、上述した背景技術と同様である。すなわち、本実施例では、ポータルサイト運営会社120や配信代行会社130のサーバシステムが、そのまま現状と同様に利用されるようになっており、新たな設備投資はまったく必要とされない。広告主140からの広告原稿ファイル200は、前記広告配信サーバ124又は広告配信代行サーバ132に入稿されるようになっており、これが前記ポータルサイトのwebページ114の広告枠116に表示される。ただし、本実施例の広告原稿ファイル200には、複数の広告画像とともに、表示設定プログラム(スクリプト)201が含まれている。
【0029】
更に、本実施例では、表示設定管理会社210の表示設定サーバ212が用意されており、広告主140から表示設定データ202が送信されるようになっいる。表示設定データ202は、複数の広告画像のうちのいずれを表示するのか、あるいは、どのような順序で表示するのか、などの表示態様の設定を行うためのデータである。
【0030】
なお、表示設定データ202は、広告主140の要求に基づいて、表示設定サーバ212の管理者が作成するようにしてもよいし、表示設定データ202を作成するためのプログラムを予め用意して広告主140に提供し、このプログラムに基づいて広告主140が表示設定データ202を作成し、表示設定サーバ212に送信するようにしてもよい。また、後述するように、表示設定データ202を作成するためのプログラムをweb上で提供し、設定用のwebページ上で入力処理を行なうことで、表示設定データ202を作成して表示設定サーバ212にインターネット100を通じて送信するようにしてもよい。
【0031】
<実施例の動作>・・・次に、図2及び図3も参照しながら、本実施例の動作を説明する。図2は動作の手順を示すシーケンス図であり、図3は主要動作を示す図である。まず、広告主140は、広告原稿ファイル200を、広告配信サーバ124(もしくは広告配信代行サーバ132)に入稿する。本例では、広告原稿ファイル200に、図3に示す広告画像221?223の3つが含まれている。また、広告主140は、表示設定サーバ212に対して表示設定データ202を送信する。なお、これらの広告原稿ファイル200の入稿や、表示設定データ202の送信も、インターネット100を通じて行うようにしてよい。
【0032】
クライアント110が、パソコン111によってポータルサイト運営会社120が運営するポータルサイトにインターネット100を通じてアクセスすると(図2ステップSA)、媒体コンテンツ運用サーバ122は、当該ポータルサイトのwebページ114のコンテンツデータをインターネット100を通じてクライアント110に送信する(ステップSB)。
【0033】
一方、広告配信サーバ124は、webページ114の広告枠116に表示すべき広告原稿ファイル200を、当該ポータルサイトのwebページを構成する要素として広告枠116に表示されるように、同時にクライアント110にインターネット100を通じて送信する(ステップSC)。クライアント110では、パソコン111によってウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれる。このとき、広告原稿ファイル200に含まれている表示設定プログラム201が実行される(ステップSD)。すると、クライアント110は、まず表示設定サーバ212にインターネット100を通じてアクセスし、表示設定プログラム201から広告判別情報を表示設定サーバ212に送信する(ステップSE)。通常広告配信サーバ124には、多数の広告主140からそれぞれ広告原稿ファイル200が入稿されており、同時に、表示設定サーバ212にも多数の表示設定データ202が用意されている。これらの多数の表示設定データ202がいずれの広告原稿ファイル200のものかを判別するためのデータが広告判別情報である。
【0034】
表示設定サーバ212は、インターネット100を通じて広告判別情報を受信し(ステップSF)、該当する表示設定データ202を該当するクライアント110に送信する(ステップSG)。クライアント110では、インターネット100を通じて表示設定データ202を受信し(ステップSH)、受信した表示設定データ202において指定されている表示態様に基づいて(ステップSI)、ファイル内で指示通りに広告画像を組み立てる。この広告画像は、媒体コンテンツ運用サーバ122から送信されたコンテンツが表示されるwebページ114の広告枠116内に表示される(ステップSJ)。」

「【0044】
なお、いずれの表示態様においても、ポータルサイトのwebページ114にアクセスがあったときに最初に広告枠116に表示される広告画像を固定するという方法もある。一般的に、webページ114のニュースなどのコンテンツは、広告と比較して格段にデータ量が多く、その表示に時間がかかることが多い。また、最近は、クライアント110のパソコン111の性能やインターネット回線の通信速度が向上しており、データの授受も速やかに行なわれる。しかし、図2に示したように、クライアント110がポータルサイトにアクセスした時点で、媒体コンテンツ運用サーバ122との間ではステップSBの処理が行なわれるのみであるが、広告配信サーバ124及び表示設定サーバ212との間では、ステップSC?SJの処理が行なわれる。このため、webページ114のコンテンツは比較的早く表示されるものの、広告が表示されるまでに時間がかかることが予想される。
【0045】
そこで、webページ114の広告枠116に表示する最初の広告画像を固定しておくことで、ポータルサイトにアクセスがあったときに当該広告画像を表示しつつ、ステップSC?SJの処理を行なうように、表示設定プログラム201や表示設定データ202を決めておくようにする。」

したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワークを利用した広告表示方法において、
インターネット100に、クライアント110としての多数のパソコン111とともに、広告表示サイトを運営するポータルサイト運営会社120の媒体コンテンツ運用サーバ122などが接続され、
媒体コンテンツ運用サーバ122は、クライアント110のディスプレイ112上に、ポータルサイトの広告媒体としてのwebページ114を表示するためのサーバであり、
広告配信サーバ124は、前記webページ114の広告枠116に広告画像を表示するためのサーバであり、
広告主140からの広告原稿ファイル200が前記広告配信サーバ124に入稿されるようになっており、これが前記ポータルサイトのwebページ114の広告枠116に表示され、広告原稿ファイル200には、広告画像221?223の3つが含まれており、
広告配信サーバ124は、webページ114の広告枠116に表示すべき広告原稿ファイル200を、当該ポータルサイトのwebページを構成する要素として広告枠116に表示されるように、同時にクライアント110にインターネット100を通じて送信し(ステップSC)、クライアント110では、ウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれ、このとき、広告原稿ファイル200に含まれている表示設定プログラム201が実行され(ステップSD)、広告画像が、媒体コンテンツ運用サーバ122から送信されたコンテンツが表示されるwebページ114の広告枠116内に表示され(ステップSJ)、
クライアント110がポータルサイトにアクセスした時点で、媒体コンテンツ運用サーバ122との間ではステップSBの処理が行なわれるのみであるが、広告配信サーバ124及び表示設定サーバ212との間では、ステップSC?SJの処理が行なわれるため、webページ114のコンテンツは比較的早く表示されるものの、広告枠116内の広告が表示されるまでに時間がかかることが予想されることから、webページ114の広告枠116に表示する最初の広告画像を固定しておくことで、ポータルサイトにアクセスがあったときに当該広告画像を表示しつつ、ステップSC?SJの処理を行なう、
広告表示方法。」

2.引用文献2?3について
ア. 引用文献2について
【技術分野】
「【0001】
本出願は、一般的に、広告を処理・表示する方法およびシステムに関する。広告のかかる処理および表示は、たとえば、視聴可能な広告枠または所定の継続時間にわたり視聴できる広告枠の少なくとも本質的部分を決定すること、およびこれらの広告枠に広告を掲載することを含む。」
「【0036】
図4Aは、開示される本技法の実施形態に従って広告枠をオークションに提示するシステム400を示すブロック・ダイアグラムである。システム400は、ウェブページ405上の広告枠を特定し、それをオークションに提示するSSP410(図3のSSP 340と同様である)を含んでいる。広告主などのDSP415(図3のDSP330と同様である)は、広告枠に対して入札することによりオークションに参加する。ウェブページ405は、たとえば、ウェブ・ブラウザまたはその他の専有アプリケーション経由でユーザからアクセスできる任意のオンライン・コンテンツを含むことができる。ウェブページ405は1つ以上の広告枠を含み、これらの広告枠のそれぞれはSSP 410により取り扱われる1つ以上の広告を表現できる。ウェブページ405にアクセスするユーザは、これらの広告枠に表現される広告を視聴し、当該広告に関する操作を行うことができる。
【0037】
SSP410は、所定の継続時間にわたりユーザにより視聴され得る広告枠を特定し、かつ、これらの広告枠のみオークションに提示するように構成される。1つの実施形態では、SSP410は、当該広告枠の所定の部分、一般的に重要な部分がユーザにより視聴され得る広告枠を特定する。1つの実施形態では、重要な部分は広告枠面積の少なくとも50%、所定の継続時間は少なくとも100ミリ秒とすることができる。広告枠が決定された後、SSP 410は、これらの広告枠をオークションに提示し、広告主にこれらの広告枠に対し入札するよう要求する。この要求は、広告主が自分の入札を提出しなければならない期限を示す応答時間も含む。
【0038】
1つの実施形態では、SSP410は、ウェブページ405にプレインストールされているスクリプトを使用してユーザにより視聴できる広告枠を特定する。ウェブページ405は、ウェブページ405がウェブ・ブラウザ経由でユーザにより視聴されているときにそれを監視する種々のプレインストール・スクリプトを含んでいる。これらのスクリプトは、ウェブページ405の所与の広告枠(「広告スロット」とも呼ばれる)の周囲の1つ以上のピクセルがユーザから見えるようになったか否か監視する。このスクリプトは、ウェブ・ブラウザを利用して、これらの広告枠がユーザから視聴される可能性があることを広告タグ(それは、後述するように、広告内容を特定・要求するために利用できる)の要求により SSP410(または広告サーバ)に報告する。
【0039】
SS410からの入札要請に応じて、広告主/DSP415は、当該広告枠で取り扱われるべき広告とともに入札をSSP410に提出する。広告主からの入札を受け取った後、SSP410は、米国特許出願第13/609146号において記述されている第二価格オークション手順またはその他の都合の良い方法などの所定の基準に基づいて落札入札を決定する。SSP410は、広告主にインプレッションの落札価格について通知する。次に、落札広告主の広告が当該広告枠に掲載される。したがって、視聴可能な広告枠に広告を掲載することにより、広告がユーザにより視聴されない確率が低下する。
【0040】
図4Bは、ユーザにより視聴される可能性をもつ広告枠を特定するために広告媒体社、ウェブ・サーバ、およびSSP410により行われる動作のシーケンスを示す。ここでは、ウェブページの広告スロットの周囲の領域(たとえば、ピクセルにより定義される領域)を監視するために利用できる1つ以上のスクリプトが広告媒体社のウェブページにインストールされている。ユーザのウェブ・クライアントがウェブページを要求したとき、かかるスクリプトがウェブ・クライアントに提供されるウェブページに含まれ、このウェブページに関するユーザ操作の監視を可能にする。このスクリプトが被監視領域の一部(たとえば、被監視領域の1つ以上のピクセル)がユーザにとって視聴可能になったことを検知したとき、ウェブ・クライアントを利用してSSP 410に広告タグを要求する。ここで、広告タグを利用して被監視領域内の広告スロットに示され得る広告をダウンロードする。
【0041】
図4Cは、広告スロット455の周りの領域450により監視される広告スロット455をもつウェブページ435の例を示す。スクリプトは、スロット455の周りのxおよびyの幅のピクセルにより定義される広告スロット455の周りの領域450を監視する。したがって、広告スロット455の周りの領域450がウェブ・ブラウザ440上で視界に入ったとき、監視スクリプトは、広告スロット455がユーザから見えるようになったことをSSP410に知らせることができる。広告スロットの周りのかかる領域を監視することにより、広告スロットの視聴可能性の真の程度ひいてはその真の価格を評価することができる。たとえば、広告スロットがページの最下段にある場合、それはあまり視聴可能にならず、通常、低価格である。しかし、ページのコンテンツは、通常、その最下段で終わるのであるから、ユーザの関与はコンテンツから広告スロットに移る傾向をもっている。」

「【0076】
図9Bでは、最初の広告要求に加えて、ウェブ・クライアントは、最初の広告の測定視聴可能時間が所定の視聴可能時間要求条件を満たしたとき置換広告を要求する。実施形態によっては、所定の視聴可能時間要求条件を最初の広告の継続時間の長さより短い値に設定して、交換広告要求が最初の広告が表示を終了する前に送られるようにする。置換広告要求に応じて、SSP804およびDSP802は、ユーザに表示される置換広告を第2回目のオークションにより取得する(現在のユーザ・セッションにおいてユーザに表示されている最初の広告(または第1の広告)に関する前回のオークションに準拠して)。ウェブ・クライアントは、次に複数の広告の掲載プロセスにおいて利用される置換広告の広告タグを受信する。ウェブ・クライアントは、さらに、表示された置換広告のそれぞれ(および最初の広告)について測定された視聴可能時間をロギング・サーバ808に送る。」

よって、引用文献2には、
「広告枠をオークションに提示するシステム400において、
ウェブページ405に所与の広告枠(「広告スロット」とも呼ばれる)を設け、
ウェブページの広告スロットの周囲の領域(たとえば、ピクセルにより定義される領域)を監視するために利用できる1つ以上のスクリプトが広告媒体社のウェブページにインストールされており、ユーザのウェブ・クライアントがウェブページを要求したとき、かかるスクリプトがウェブ・クライアントに提供されるウェブページに含まれ、このウェブページに関するユーザ操作の監視を可能にし、このスクリプトが、被監視領域の一部(たとえば、被監視領域の1つ以上のピクセル)がユーザにとって視聴可能になったことを検知したとき、ウェブ・クライアントを利用してSSP410に広告タグを要求し、広告タグを利用して被監視領域内の広告スロットに示され得る広告をダウンロードし、
最初の広告要求に加えて、最初の広告の測定視聴可能時間が所定の視聴可能時間要求条件を満たしたとき置換広告を要求し、置換広告要求に応じて、SSP804およびDSP802は、ユーザに表示される置換広告を第2回目のオークションにより取得し、ウェブ・クライアントは、次に複数の広告の掲載プロセスにおいて利用される置換広告の広告タグを受信する」
技術が、記載されている。

イ. 引用文献3について
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0021】
端末装置100は、ウェブページC10の配信を受けると、広告に係るコンテンツの配信を行う広告配信サーバ20に配信要求を送信する。そして、端末装置100は、広告配信サーバ20から広告に係るコンテンツとして、コンテンツC20の配信を受けると、ウェブページC10が有する広告領域C11にコンテンツC20を配置し、ウェブページC10とコンテンツC20とを表示する。
【0022】
〔2.端末装置100が実行する処理〕 ここで、従来技術では、ユーザに閲覧させたいコンテンツを情報コンテンツに重ねて表示するに過ぎず、コンテンツに対するユーザの興味を引き起こすことができない結果、コンテンツにかかる情報の訴求効果を向上させることができない。
【0023】
ここで、利用者の興味を引き起こすため、動的なコンテンツを表示する手法が考えられる。しかしながら、動的なコンテンツを表示した場合には、ウェブページC10を閲覧する利用者の視野内で画面がちらつくため、利用者の印象を悪化させる恐れがある。また、動的なコンテンツを自動的に動作させた場合は、利用者の操作によってコンテンツが動作しているのか、自動的に動作しているのかが解りづらいため、利用者を困惑させる恐れがある。一方で、広告配信に対する課金は、利用者による閲覧や選択等に対して行われるため、広告にかかるコンテンツは、利用者の目に留まり易い態様で行われるのが望ましい。
【0024】
〔2-1.表示変更処理〕
端末装置100は、以下の表示変更処理を行う。例えば、端末装置100は、ウェブページC10の表示範囲C11内にコンテンツC21を配置して表示する。そして、端末装置100は、表示領域C11内、若しくは、表示領域C11外での利用者の操作を検知した場合は、表示領域C11内のコンテンツC21にコンテンツC22を重ねて表示させる。より具体的には、端末装置100は、利用者の指F10が画面上に触れた場合、又は、利用者の指F10が画面上に触れ、その後離れた場合は、表示領域C11内のコンテンツC21にコンテンツC22を重ねて表示させることで、表示領域C11内に表示されたコンテンツC21をコンテンツC22に変更する。」

「【0066】
広告主端末10は、広告主によって利用される情報処理装置である。例えば、広告主端末10は、デスクトップ型PCや、ノート型PCや、タブレット端末や、携帯電話機や、PDA等である。広告主端末10は、広告主による操作にしたがって、コンテンツC20等の広告コンテンツとして広告配信サーバ20に入稿する。例えば、広告主端末10は、広告コンテンツとして、コンテンツC20を広告配信サーバ20に入稿する。また、広告主端末10は、コンテンツC20として、静止画像や、動画像や、テキストデータや、ランディングページを取得するためのURL(Uniform Resource Locator)などを広告配信サーバ20に入稿する。」

「【0078】
また、表示指示には、コンテンツC20のランディングページへの遷移の契機となる利用者の操作や端末装置100の状態等を示す情報が含まれている。なお、上述した表示指示は、例えば、広告主が広告コンテンツを登録する際に、広告主によって任意の設定が行われる。」

「【0145】
〔8-8.コンテンツについて〕
なお、上述した例では、端末装置100は、利用者の操作を検出する度に、表示されていたコンテンツC21?C23に他のコンテンツC21?C23を重ねて表示した。ここで、端末装置100は、各コンテンツC21?C23として、同一の画像や動画像等のコンテンツを表示してもよく、それぞれ異なる画像や動画像等のコンテンツを表示してもよい。また、端末装置100は、表示されているコンテンツC21?C23に関する広告主や配信者と関連するコンテンツC21?C23を表示してもよく、表示されているコンテンツC21?C23に関する広告主や配信者と関連しないコンテンツC21?C23を表示してもよい。例えば、端末装置100は、コンテンツC21が表示されている際に、利用者の操作を検知した場合は、コンテンツC22として、コンテンツC21と同じ広告主に関連するコンテンツを連続して重ねて表示してもよい。」

「【0147】
〔8-9.その他〕 端末装置100は、上述した任意の処理を適宜組み合わせて、表示変更処理を実行してもよい。かかる組合せは、広告配信サーバ20に広告コンテンツを登録する際、表示指示として広告主が任意に設定することができる。そして、広告配信サーバ20は、広告主が設定した処理の組合せを端末装置100に実行させる制御情報を生成し、生成した制御情報を端末装置100に配信する。この結果、端末装置100は、上述した任意の処理を広告主の設定に応じて組合せ、実行することができる。」

「【0174】
〔10-6.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。」

よって、引用文献3には、以下の技術が記載されている。

「端末装置100は、広告配信サーバ20から広告に係るコンテンツとして、コンテンツC20の配信を受けると、ウェブページC10が有する広告領域C11にコンテンツC20を配置し、ウェブページC10とコンテンツC20とを表示し、
利用者の操作を検知した場合は、表示領域C11内のコンテンツC21にコンテンツC22を重ねて表示させ、
広告主端末10は、広告コンテンツとして、コンテンツC20を広告配信サーバ20に入稿し、
コンテンツC22として、コンテンツC21と同じ広告主に関連するコンテンツを連続して重ねて表示してもよく、
上記表示変更処理は、広告配信サーバ20に広告コンテンツを登録する際、表示指示として広告主が任意に設定することができ、
上記実施形態において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる、
コンテンツの表示変更処理方法」

第6 当審の判断
1.対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことが認められる。

(1)引用発明において,「クライアント110のディスプレイ112上に」,「webページ114を表示」するから,引用発明の「クライアント」,「webページ114」は,それぞれ,本願発明1の「表示制御装置」,「第1コンテンツ」に相当する。
また,引用発明において,「前記webページ114の広告枠116に広告画像を表示」するから,引用発明の「広告枠」は,本願発明1の「第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の初期表示に第2コンテンツを表示する枠」と「第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の表示に第2コンテンツを表示する枠」である点で共通し,引用発明の「広告画面」は,本願発明1の「第1コンテンツが含む枠内に表示される第2コンテンツ」に相当する。
また,引用発明において,「クライアント110では,パソコン111によってウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれ」,「広告画像」は,「広告原稿ファイル200」に「含まれて」いるものであるから,クライアント110は広告画像を取得しているといえる。
よって,本願発明1の「第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合,当該第1コンテンツの受信後,当該第1コンテンツが含む前記枠内に表示される前記第2コンテンツの取得処理」と引用発明の「広告枠116」に「広告画像」を取得することとは,「第1コンテンツが前記表示制御装置の画面上に表示される際の表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合,当該第1コンテンツが含む枠内に表示される第2コンテンツの取得処理」を実行する点で一致する。

(2)引用発明において,「webページ114の広告枠116に表示する最初の広告画像を固定して」おり,「最初の広告画像」は「第3コンテンツ」に対応する。また,本願発明1と引用発明とは,「第3コンテンツの取得処理を実行する」点で一致する。

(3)引用発明のクライアント110において,「広告枠116内の広告が表示されるまでに時間がかかることが予想されることから,webページ114の広告枠116に表示する最初の広告画像を固定しておくことで,ポータルサイトにアクセスがあったときに当該広告画像を表示しつつ,ステップSC?SJの処理を行なう」が,これはすなわち,「最初の広告画像」を広告枠116内に表示しつつ,SC?SJの処理を行い,「最初の広告画像」の次の広告画像(以下,「次の広告画像」という。)を表示する準備が整った時(所定の条件を満たす場合)に,「次の広告画像」(第2コンテンツ)が表示されると認められる。
よって,本願発明1と引用発明とは,「前記表示に枠が含まれる場合,第3コンテンツを前記枠内に表示するとともに,所定の条件を満たす場合に,前記第2コンテンツを当該第3コンテンツに置き換えて表示する」点で共通する。

(4)引用発明の「クライアント110」において,上記(1)?(3)の手順が実行されるから,引用発明の「クライアント110」は,下記の相違点を除いて,本願発明1の「表示制御装置」と共通する。

2 一致点および相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下(1)の点で一致し,以下(2)の点で相違する。

(1) 一致点
表示制御装置に、
当該第1コンテンツが含む枠内に表示される際の表示に第2コンテンツの取得処理であって、第3コンテンツとの取得処理を実行する取得手順と、
前記取得手順によって取得された第3コンテンツを前記枠内に表示するとともに、所定の条件を満たす場合に、前記第2コンテンツを当該第3コンテンツに置き換えて表示するよう制御する表示制御手順と、
を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。

(2)相違点
ア 相違点1
本願発明1において,初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合,第1コンテンツの受信後,第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って,当該第1取得要求と第3コンテンツとの取得処理を,前記第1取得要求とは異なる取得要求であって,第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し,前記初期表示に前記枠が含まれない場合,前記第2のコンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理より優先して実行し,前記初期表示に枠が含まれない場合,前記取得手順によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するのに対し,引用発明にはそのように実行されていない点。

イ 相違点2
本願発明1において,第3コンテンツが第2コンテンツに関連するコンテンツであるのに対し,引用発明では,そのような特定があるとはいえない点。

ウ 相違点3
本願発明1は,各手順を実行させるための「表示制御プログラム」を有するが,引用発明においては,各手順を実行させるためのプログラムが特定されていない点。

3.相違点の判断
事案に鑑みて,上記相違点1について検討する。
引用文献1-3には,「初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれる場合,第1コンテンツの受信後,第1取得要求に基づく前記第2コンテンツの取得処理の実行に先立って,当該第1取得要求と第3コンテンツとの取得処理を,前記第1取得要求とは異なる取得要求であって,第1コンテンツに含まれる第2取得要求に基づいて実行し,前記初期表示に前記枠が含まれない場合,前記第2のコンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理より優先して実行し,前記初期表示に枠が含まれない場合,前記取得手順によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示する」ことは記載されておらず,本願優先日前において周知技術であるともいえない。
そして,本願発明1は,本願発明1の上記相違点に係る構成によって,本願明細書の段落【0090】に記載されるように,「なお,取得部143は,ウェブページがユーザ端末100の画面上に表示される際の初期表示に広告枠が含まれる場合に,第2コンテンツの取得処理の実行に先立って第3コンテンツの取得処理を実行するようにしてもよい。実施形態に係る表示制御処理は,コンテンツの表示遅延防止を目的とするので,ウェブページの初期表示(いわゆるファーストビュー)に広告枠が含まれる場合には画像の取得処理を優先する一方で,ウェブページの初期表示に広告が含まれない場合(すなわち,ユーザに表示遅延が認識されない場合)には,広告の取得処理を優先してもよい。なお,ファーストビュー以外に広告枠が含まれる場合には,取得部143は,ユーザのスクロール操作に合わせて,画面に表示されようとする広告枠ごとに,画像を取得するか広告を取得するかの判定を行ってもよい。」との記載のとおり,画面に表示される第3コンテンツの表示が不要な場合(広告枠が含まれない場合)には第2コンテンツ(広告)の取得処理のみを行うため,コンテンツの取得処理や表示制御処理による負担を軽減できるという効果を有するものであると認められる。
したがって,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-10について
上記「第4」のとおり,本願発明2-7は,本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8-10は,それぞれ,本願発明1に対応する,「表示制御装置」,「表示制御方法」,「配信装置」の発明であり,本願発明1の上記相違点に係る構成と実質的に同一の構成を備えるものである。
よって,本願発明1と同じ理由により,本願発明2-10も,当業者であっても,引用発明,引用文献2-3に記載された技術に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
本件補正で補正された請求項1-6は,上記「第6」のとおり,本願発明1の上記相違点に係る構成を備えるものであり,当該構成は,原査定における引用文献A-Fには記載されておらず,本願優先日前における周知技術でもないので,本願発明1-6は,当業者であっても,原査定における引用文献A-Bに記載された発明,引用文献Cに記載された技術及び引用文献D-Fに記載された周知技術に基づいて,容易に発明できたものではない。
また,原査定において,新規事項の追加であると判断した「第1取得要求が第1コンテンツに含まれている」との構成は,補正により削除されている。 したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第8 その他の当審拒絶理由についての判断
1.当審拒絶理由2(特許法第36条第6項第2号)について
当審では,請求項1-10について,「初期表示に第2コンテンツを表示する枠が含まれない場合」についての処理が,どの記載に基づくものであるのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知している。 令和2年11月27日の手続補正において,請求項1の「前記初期表示に前記枠が含まれない場合,前記第2コンテンツの取得処理を前記第3コンテンツの取得処理よりも優先して実行」,「前記初期表示に前記枠が含まれない場合,前記取得手順によって取得された前記第2コンテンツを前記枠内に表示するよう制御」との構成が補正より追加され,同様の構成が請求項2-10にも追加された結果,この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-16 
出願番号 特願2017-116965(P2017-116965)
審決分類 P 1 8・ 536- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北川 純次  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 太田 龍一
野崎 大進
発明の名称 表示制御プログラム、表示制御装置、表示制御方法及び配信装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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