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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1371313
審判番号 不服2020-4012  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-25 
確定日 2021-03-09 
事件の表示 特願2015-210143「光学部材の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 83587、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2015-210143号は平成27年10月26日を出願日とする出願(以下「本件出願」という。)であって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和元年8月14日付け:拒絶理由通知
令和元年9月24日付け:手続補正書
令和元年9月24日付け:意見書
令和2年2月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和2年3月25日付け:審判請求書
令和2年3月25日付け:手続補正書(以下「本件補正」という。)

第2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のもの(以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」という。また、その他の請求項に係る発明を同様にいい、請求項1?3に係る発明を、総称して「本願発明」という。)である。
「【請求項1】
第1傾斜面及び第2傾斜面を有する単位光学形状が複数配列された第1光学形状層を備え、映像源から投射された映像光の一部を少なくとも前記第1傾斜面で観察者側に反射させる光学部材の製造方法であって、
前記単位光学形状を賦形する賦形面を有する成形型に、未硬化のエネルギー線硬化樹脂を充填するエネルギー線硬化樹脂充填工程と、
前記エネルギー線硬化樹脂にエネルギー線を照射して、前記成形型に充填された前記エネルギー線硬化樹脂を収縮可能な状態で硬化させて、前記第1光学形状層を成形する第1光学形状層成形工程と、
硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂から第1光学形状層を得る第1光学形状層作製工程と、
前記第1光学形状層に設けられた前記単位光学形状の少なくとも前記第1傾斜面に反射層を形成する反射層形成工程と、
前記第1光学形状層の反射層が形成された側の面に第2光学形状層を形成する第2光学形状層形成工程と、
を含む光学部材の製造方法であって、
前記成形型に充填された前記エネルギー線硬化樹脂の表面に、前記エネルギー線硬化樹脂の収縮とともに変形可能な基材を貼り付ける基材貼り付け工程を含み、
前記第1光学形状層作製工程は、
硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂から前記基材を剥離する基材剥離工程と、
前記基材の剥離された前記エネルギー線硬化樹脂を前記成形型から剥離して、前記第1光学形状層を得る第1光学形状層剥離工程と、を含み、
前記第1光学形状層は、
前記単位光学形状の谷部から、前記単位光学形状が設けられた側と反対側の面までの深さd1が20μm≦d1≦100μmの範囲で形成され、
前記単位光学形状の頂部から、前記単位光学形状が設けられた側と反対側の面までの深さd2が30μm≦d2≦400μmの範囲で形成され、
前記基材の厚みが8μm≦s1≦50μmの範囲で形成されること、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項2】
第1傾斜面及び第2傾斜面を有する単位光学形状が複数配列された第1光学形状層を備え、映像源から投射された映像光の一部を少なくとも前記第1傾斜面で観察者側に反射させる光学部材の製造方法であって、
前記単位光学形状を賦形する賦形面を有する成形型に、未硬化のエネルギー線硬化樹脂を充填するエネルギー線硬化樹脂充填工程と、
前記エネルギー線硬化樹脂にエネルギー線を照射して、前記成形型に充填された前記エネルギー線硬化樹脂を収縮可能な状態で硬化させて、前記第1光学形状層を成形する第1光学形状層成形工程と、
硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂から第1光学形状層を得る第1光学形状層作製工程と、
前記第1光学形状層に設けられた前記単位光学形状の少なくとも前記第1傾斜面に反射層を形成する反射層形成工程と、
前記第1光学形状層の反射層が形成された側の面に第2光学形状層を形成する第2光学形状層形成工程と、
を含む光学部材の製造方法であって、
硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂の表面に、前記観察者側とは反対側である背面側の面が60度の光沢度で90以上である基材を貼り付ける基材貼り付け工程を含み、
前記第1光学形状層作製工程では、硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂を前記基材とともに前記成形型から剥離して、前記基材の接合された前記第1光学形状層を得ること、
を特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光学部材の製造方法であって、
前記第1光学形状層は、
前記第1傾斜面の算術平均うねりWaが0.05μm以下に形成され、
前記単位光学形状の厚み方向の頂部から谷部までの高さhが10?300μmの範囲で形成され、
前記単位光学形状の配列ピッチPが100?1000μmの範囲で形成されること、を特徴とする光学部材の製造方法。」

第3 引用文献及び引用発明等
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由において引用された、特開平11-142627号公報(以下「引用文献1」という。)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す(以下、同様である。)。

ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、反射型や反射・透過両用型の液晶表示装置等の形成に好適なプリズム式半透過反射板及び照明装置に関する。
【0002】
【発明の背景】従来、反射・透過両用型の液晶表示装置の形成に用いうる半透過反射板としては、マイカ等の鱗片状反射粒子を配合した樹脂シートや、樹脂シート上に金属蒸着層を反射性と透過性を示すように厚さ制御して付設したものが知られていた。しかしながら、反射性と透過性のバランスが鱗片状反射粒子の配合量や金属蒸着層の厚さで一義的に決定されて反射性と透過性が背反する関係にあるため、反射性と透過性をバランスさせる自由度が小さい問題点があった。
・・・中略・・・
【0004】
【課題の解決手段】本発明は、プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材の前記プリズム状凹凸面に金属蒸着層を付設してなり、かつそのプリズム状凹凸の凸部に基づいて光の反射面と透過面を有することを特徴とするプリズム式半透過反射板、及びその反射板のプリズム状凹凸形成面とは反対面の側に、プリズム状凹凸面の光透過面に対して指向性を示す面光源を配置したことを特徴とする照明装置を提供するものである。
【0005】
【発明の効果】本発明によれば、プリズム状凹凸構造の形成面を介し反射/透過を分担させてその光反射面と光透過面の面積を大きい変動幅で独自に設定でき、反射性と透過性を大きい自由度で独自的にバランスさせ得て、光量に優れる反射光と透過光を得ることができる。
【0006】前記の結果、従来の反射型専用反射板に匹敵する反射面積も容易に確保できて反射モードでは従来の反射型専用反射板に匹敵する明るさを示し、かつ光透過面も大きい面積を確保できて透過モードにても充分な明るさを示し、光透過面に対して指向性を示す面光源と組合せた照明装置により明るくて視認性に優れる反射・透過両用型の液晶表示装置を形成することができる。」

イ 「【0007】
【発明の実施形態】本発明のプリズム式半透過反射板は、プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材の前記プリズム状凹凸面に金属蒸着層を付設してなり、かつそのプリズム状凹凸の凸部に基づいて光の反射面と透過面を有するものからなる。その例を図1?図3に示した。1がプリズム式半透過反射板で、11が透明基材、12が金属蒸着層、13が光反射面、14が光透過面である。また2,21は埋設層、22は光散乱性粒子である。
【0008】また本発明の照明装置は、前記のプリズム式半透過反射板のプリズム状凹凸形成面とは反対面の側に、プリズム状凹凸面の光透過面に対して指向性を示す面光源を配置したものからなる。その例を図3に示した。3が面光源であり、31は導光板、32は光源、33は反射層である。なお図3は、反射・透過両用の液晶表示装置としたものを示しており、4は液晶セルである。
・・・中略・・・
【0014】ちなみに図1において光反射面13の傾斜角θ_(1),θ_(2),θ_(3)を30度、20度、10度とし、それらの傾斜角θ_(1),θ_(2),θ_(3)が複合した状態の繰返し構造とすることにより、図4の如き異なる出射角の3ヵ所に反射光のピークを示す反射板を得ることができる。またその反射光を光散乱層等を介して拡散させることにより図5の如き台形状の出射特性を得ることができ、台形状の出射特性は視角を変化させた場合の明暗差が少なく、広い視野角で良好な視認を達成できる利点などを有している。なお反射光の出射方向が一定な出射特性は、光反射面の傾斜角を一定とすることにより達成することができる。
【0015】一方、図1に例示の如く光透過面14の傾斜角θ_(4)も、目的とする透過光の出射方向や光の利用効率、斜め入射光のカット角などに応じて適宜に決定される。なおプリズム状の凹凸であることより光の反射面と透過面の傾斜角を全く独立して設定できるものではなく、凹凸の高さ調節等による広い設定自由度を有するとしても反射面と透過面の傾斜角は相互に影響しあう。
・・・中略・・・
【0018】プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材の製造は、例えば所定の形状(プリズム状凹凸の繰返し構造)が転写形成される型の上に熱や放射線等で重合処理できる液状の基材形成材を流延して重合処理する方法、所定の形状が形成される金型等に熱可塑性樹脂を押付けてその金型等の面形状を転写する方法、又はその所定の金型等に熱可塑性樹脂を充填して成形する方法、溶剤溶液や溶融液等としたポリマーを所定形状の成形開口を有するノズルから台上に押出して固化させる方法、基材上に別途形成のプリズム状凹凸の繰返し構造を付設する方法、ポリマー層にマスクを介し紫外線等を照射するマスク露光方法などの適宜な方法で形成することができる。
【0019】プリズム状凹凸の繰返し構造は、透明基材にそれと同種又は異種の材料からなるプリズム状凹凸を付設する方法にても形成しうるものであるが、本発明においては、付設界面での反射損等の防止による光利用効率の向上化などの点より、プリズム状凹凸の繰返し構造を含む透明基材の全体が同じ材料にて一体に形成されていることが好ましい。
【0020】プリズム状凹凸を設けた透明基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜に決定できるが、一般には薄いほど好ましく、通例3mm以下、就中10μm?1mm、特に30?500μmとされる。またプリズム状凹凸の高さないし深さも使用目的や反射光と透過光の光量バランスなどに応じて適宜に決定でき、一般には3mm以下、就中0.1μm?1mm、特に1?500μmとされる。
【0021】半透過反射板は、透明基材のプリズム状凹凸面における光反射面とする面に金属蒸着層を付設することにより形成することができる。すなわち通例、蒸着源に平行な面に対して厚さdの蒸着層が形成される条件で蒸着処理を行うと、傾斜角θの面に対しては厚さがdcosθの蒸着層が形成される。
【0022】従って、蒸着源とプリズム状凹凸の光反射面とする面が可及的に平行となるように配置して蒸着処理することにより、プリズム状凹凸の光透過面となる面への蒸着を抑制することができ、光の反射性と透過性を示す蒸着処理を行うことができる。蒸着源に対しプリズム状凹凸の光反射面とする面が平行となるように透明基材を配置して、プリズム状凹凸の光透過面となる面の蒸着源に対する角度が90度以上となる場合には、前記dcosθの関係より理論上は光透過面となる面に蒸着層が形成されることを防止することができ、実際上も光透過性に優れる面が形成される。
【0023】蒸着処理は、真空蒸着方式やスパッタリング方式などの適宜な方式で行ってよく、蒸着用の金属には例えばアルミニウムや銀などの適宜なものを用いうる。また光反射面の金属蒸着層は、単層又は2層以上の重畳層として形成することができ、必要に応じ金属蒸着層の多層積層構造からなる直線偏光等の偏光特性を示す反射光を提供するものとすることもできる。
【0024】光反射面における金属蒸着層の厚さは、光反射性などの点より、80nm以上、就中100nm以上、特に200nm以上であることが好ましい。一方、光透過面における金属蒸着層の厚さは、光透過性などの点より、800nm以下、就中400nm以下、特に200nm以下であることが好ましい。
【0025】金属蒸着層を設けたプリズム状凹凸面の上には、必要に応じて図2や図3に例示の如く少なくともプリズム状凹凸の凹部を埋める埋設層を設けることができる。埋設層は、屈折等を介して出射方向を制御することを目的とした樹脂層や、液晶セル等への接着を目的とした粘着層などの適宜な目的を有する層として形成することができる。
【0026】前記樹脂層の形成には、上記透明基材で例示したポリマーなどの適宜な光透過性物質を用いることができ、その種類について特に限定はない。また粘着層の形成にも、例えばアクリル系重合体やシリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどの適宜なポリマーを用いてなる透明な粘着剤を用いることができ、その種類について特に限定はない。透明樹脂のプリズム状凹凸と埋設層の屈折率の相違に基づく全反射による出射光量の低減を防止する点などよりは、プリズム状凹凸を形成する材料の屈折率よりも大きい屈折率の材料で埋設層を形成することが好ましい。
【0027】埋設層は、透明基材のプリズム状凹凸に対応した凹凸形状を有する埋設基材の嵌合配置や、埋設層形成材溶液等の流動体を塗布して固化させる方式などの適宜な方式で形成することができる。埋設層の厚さは、屈折による出射方向の制御や接着力などにより適宜に決定でき、図例の如く透明基材のプリズム状凹凸の凸部を超える厚さとすることもできる。
【0028】上記のようにプリズム状凹凸の光反射面を介した反射光が強いピークを示す場合、そのままでは視角変化による明暗差の大きい表示となることから、その明暗差を抑制する点などよりは反射光を光散乱させることが好ましい。その光散乱は、例えばプリズム状凹凸面をマット処理等の適宜な方式で粗面化して金属蒸着層に微細凹凸構造を持たせる方式、又は/及びプリズム状凹凸面上に光散乱層を設ける方式などの適宜な方式にて行うことができる。
・・・中略・・・
【0036】図3に例示の面光源3は、導光板31の側面に光源32を配置し、裏面に反射層33を設けたものよりなり、光源32より出射した光が導光板31の側面より入射し裏面等での反射を介して導光板の表面より出射して半透過反射板1に入射する。なお導光板裏面の反射層33は、その裏面よりの漏光の防止などを目的とする。
・・・中略・・・
【0040】上記のように本発明の照明装置は、半透過反射板とサイドライト型導光板等の適宜な面光源と組合せて、面光源からの光を半透過反射板におけるプリズム状凹凸の光透過面より出射するものである。その場合、光透過面よりの出射光の方向は通例、半透過反射板に対して垂直ではないから、透明基材と液晶セル等の表示装置との間に1層又は2層以上の光散乱層を設けて図3の矢印の如く光透過面よりの透過光を半透過反射板に対し垂直化した方向に出射させることが、透過モードでの表示装置の視認性の向上などの点より好ましい。
・・・中略・・・
【0043】本発明のプリズム式半透過反射板や照明装置は、プリズム状凹凸の形状や大きさ、配置形態やピッチ、埋設層との屈折率差などで反射光や透過光の出射方向を制御でき、視認特性の改善目的に応じたプリズム式半透過反射板を用いることで、反射モードや透過モードでの視野角の調節や拡大、輝度の向上などの視認特性の向上をはかりうるものである。なおプリズム式半透過反射板は、埋設層等を設けた外表面に基づいて、光拡散層による微細凹凸を除き平面状態、就中、表裏で平行平面状態にあることが反射光や透過光の出射方向を一定化する点などより好ましい。」

ウ 「【図1】



エ 「【図2】



オ 「【図3】



(2)引用発明1
引用文献1の【0007】には、「プリズム式半透過反射板」が記載されているところ、その製造方法は、【0018】、【0021】及び【0025】に記載されている。
そうしてみると、引用文献1には、次の「プリズム式半透過反射板の製造方法」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材のプリズム状凹凸面に金属蒸着層を付設してなり、かつそのプリズム状凹凸の凸部に基づいて光の反射面と透過面を有するプリズム式半透過反射板の製造方法であって、
プリズム状凹凸の繰返し構造が転写形成される型の上に熱や放射線等で重合処理できる液状の基材形成材を流延して重合処理する方法で透明基材を形成し、
透明基材のプリズム状凹凸面における光反射面とする面に金属蒸着層を付設し、
金属蒸着層を設けたプリズム状凹凸面の上に、プリズム状凹凸の凹部を埋める埋設層を設け、
埋設層は、屈折等を介して出射方向を制御することを目的とした樹脂層として形成される、
プリズム式半透過反射板の製造方法。」

2 引用文献3及び引用文献4に記載された技術的事項
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2004-151406号公報(以下「引用文献3」という。)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
なお、下線は当合議体が技術的事項の認定で使用した箇所である。

ア 「【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、液晶表示パネルの側面より入射させた光を効率よく視認方向に光路変換して薄型軽量で明るく、見易い表示の液晶表示装置を形成しうる光学フィルムの製造方法に関する。」

イ 「【0010】
【発明の実施形態】
・・・中略・・・
【0060】
光学フィルム8の形成は、例えば図7Dの例の如く、放射線硬化型樹脂を必要に応じ透明フィルム等に塗布して支持した状態で、金型7の凸部71を形成した面に密着させて、放射線硬化型樹脂層に金型の凸部形成側の表面形状を写し、それにより当該表面形状を写した成形層を形成し、それに放射線を照射して成形層を硬化させ、その成形硬化層8を金型7から分離することにより行われる。
・・・中略・・・
【0065】
上記において、必要に応じ放射線硬化型樹脂の支持に用いて、光学フィルムを形成することのある透明フィルムは、光源等を介して入射させる光の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料の1種又は2種以上を用いて形成しうる。ちなみに可視光域では例えば上記の高分子膜で例示したもので代表される透明樹脂、熱や紫外線、電子線等の紫外線で重合処理しうる硬化型樹脂などがあげられる。」

(2)引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2012-22336号公報(以下「引用文献4」という。)は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルの側面より入射させた光を効率よく視認方向に光路変換して薄型軽量で明るく、像の乱れが少なくて見易い表示の外光・照明両用型の液晶表示装置を形成しうる光学フィルムに関する。」

イ 「【実施例】
【0068】
実施例1
ポリカーボネート(PC)からなる厚さ60μmの透明フィルムに、アプリケータを用いて紫外線硬化性のアクリル系樹脂を約100μmの厚さで塗工し、その塗工層を予め所定形状に加工した金型にゴムローラにて密着させると共に余分な樹脂と気泡を押し出した後、メタルハライドランプにて紫外線を照射し硬化させて金型から剥離し、所定サイズに切り出してPCフィルムを剥離し単層タイプの光学フィルムを得た。なお硬化後の紫外線硬化性樹脂の屈折率を測定したところ1.515であった。」

(3)周知技術
上記(1)?(2)からみて、「透明フィルムにあらかじめ放射線硬化性の樹脂を塗布、塗工した後、金型に密着させて放射線を照射し硬化させる、光学フィルムの製造方法。」は、本件出願時における周知技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。

第4 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、以下のとおりとなる。
ア 光学部材の製造方法
引用発明1の「プリズム式半透過反射板」は、「プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材の前記プリズム状凹凸面に金属蒸着層を付設してなり、かつそのプリズム状凹凸の凸部に基づいて光の反射面と透過面を有する」。
上記の構成からみて、引用発明1の「プリズム式半透過反射板」は、「反射面」及び「透過面」を有する「プリズム状凹凸」が複数配列された「透明基材」の層を備え、「半透過反射板」として機能する光学的な部材といえる。また、引用発明1の「透明基材」は、「光」の「反射」及び「透過」に寄与する、光学的な形状を具備したものといえる。
そうしてみると、引用発明1の「反射面」、「透過面」、「プリズム状凹凸」、「透明基材」及び「プリズム式半透過反射板」は、それぞれ本願発明1の「第1傾斜面」、「第2傾斜面」、「単位光学形状」、「第1光学形状層」及び「光学部材」に相当する。また、引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」と本願発明1の「光学部材の製造方法」は、「第1傾斜面及び第2傾斜面を有する単位光学形状が複数配列された第1光学形状層を備え」、「光」「を少なくとも前記第1傾斜面で」「反射させる光学部材の製造方法」の点で共通する。

イ エネルギー線硬化樹脂充填工程
引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」は、「プリズム状凹凸の繰返し構造が転写形成される型の上に熱や放射線等で重合処理できる液状の基材形成材を流延して重合処理する方法で透明基材を形成し」という工程を具備する。
ここで、引用発明1の「型」は、その形状からみて、「プリズム状凹凸」を成形するための面を有する「型」である。また、引用発明1の「基材形成材」は、その性状からみて、硬化する性質を有する未硬化の材料である。そして、上記工程のうち、「プリズム状凹凸の繰返し構造が転写形成される型の上に熱や放射線等で重合処理できる液状の基材形成材を流延」する工程(以下「流延工程」という。)は、「型」に「基材形成材」を充填する工程といえる。
そうしてみると、引用発明1の「型」は、本願発明1の「成形型」に相当する。また、引用発明1の「基材形成材」と本願発明1の「エネルギー線硬化樹脂」は、「硬化性材料」の点で共通する。加えて、引用発明1の「流延工程」と本願発明1の「エネルギー線硬化樹脂充填工程」は、「前記単位光学形状を賦形する賦形面を有する成形型に、未硬化の」「硬化」性材料「を充填する」「硬化」性材料「充填工程」の点で共通する。

ウ 第1光学形状層成形工程
引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」は、前記イで述べた工程を具備する。
ここで、前記ア及びイで述べた対比結果を考慮すると、前記イで述べた工程のうち「重合処理する方法で透明基材を形成し」という工程(以下「形成工程」という。)は、「型」に充填された「基材形成材」を硬化させて、「透明基材」を成形する工程といえる。
そうしてみると、引用発明1の「形成工程」と本願発明1の「第1光学形状層成形工程」とは、「前記成形型に充填された前記」「硬化」性材料「を」「硬化させて、前記第1光学形状層を成形する第1光学形状層成形工程」の点で共通する。

エ 第1光学形状層作製工程
引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」は、「形成工程」の後に、「透明基材のプリズム状凹凸面における光反射面とする面に金属蒸着層を付設」する工程(以下「付設工程」という。)を具備する。
ここで、引用発明1において「付設工程」を行うために、「形成工程」において成形された「透明基材」を「型」から剥離し「透明基材」を得る工程(以下「剥離工程」という。)が存在することは、明らかである(当合議体注:剥離して「反射面」を露わにしなければ、「金属蒸着層」を蒸着できない。)。
そうしてみると、引用発明1の「形成工程」と「付設工程」の間に内在する「剥離工程」と本願発明1の「第1光学形状層作製工程」は、「硬化後の前記」「硬化」性材料「から第1光学形状層を得る第1光学形状層作製工程」の点で共通するとともに、「前記第1光学形状層作製工程は」、「前記」「硬化」性材料「を前記成形型から剥離して、前記第1光学形状層を得る第1光学形状層剥離工程と、を含み」という点においても共通する。

オ 反射層形成工程
引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」は、前記エで述べた「付設工程」を具備する。
ここで、引用発明1の「付設工程」は、その工程からみて、「透明基材」に設けられた「プリズム状凹凸」の「反射面」に「金属蒸着層」を、光を反射する層として形成するものである。
そうしてみると、引用発明1の「金属蒸着層」は、本願発明1の「反射層」に相当する。また、引用発明1の「付設工程」は、本願発明1の「前記第1光学形状層に設けられた前記単位光学形状の少なくとも前記第1傾斜面に反射層を形成する」とされる「反射層形成工程」に相当する。

カ 第2光学層形成工程
引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」は、「金属蒸着層を設けたプリズム状凹凸面の上に、プリズム状凹凸の凹部を埋める埋設層を設け」る工程(以下「埋設工程」という。)を具備する。また、引用発明1の「埋設層」は、「屈折等を介して出射方向を制御することを目的とした樹脂層として形成される」。
ここで、引用発明1の「埋設層」は、その製造工程及び機能からみて、「プリズム状凹凸の凹部」と相補的な形状を具備する光学的な層といえる。そして、引用発明1の「埋設工程」は、「透明基材」の「金属蒸着層」が形成された側の面に「埋設層」を形成する工程といえる。
そうしてみると、引用発明1の「埋設層」は、本願発明1の「第2光学形状層」に相当する。また、引用発明1の「埋設工程」は、本願発明1の「前記第1光学形状層の反射層が形成された側の面に第2光学形状層を形成する」とされる「第2光学形状層形成工程」に相当する。

キ 全体の構成
上記ア?カの対比結果並びに引用発明1及び本願発明1の全体構成からみて、引用発明1の「プリズム式半透過反射板の製造方法」と本願発明1の「光学部材の製造方法」は、「硬化」性材料「充填工程と」、「第1光学形状層成形工程と」、「第1光学形状層作製工程と」、「反射層形成工程と」、「第2光学形状層形成工程と」、「を含む」点で共通する。

2 一致点及び相違点
本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。
ア 一致点
「第1傾斜面及び第2傾斜面を有する単位光学形状が複数配列された第1光学形状層を備え、光を少なくとも前記第1傾斜面で反射させる光学部材の製造方法であって、
前記単位光学形状を賦形する賦形面を有する成形型に、未硬化の硬化性材料を充填する硬化性材料充填工程と、
前記成形型に充填された前記硬化性材料を硬化させて、前記第1光学形状層を成形する第1光学形状層成形工程と、
硬化後の前記硬化性材料から第1光学形状層を得る第1光学形状層作製工程と、
前記第1光学形状層に設けられた前記単位光学形状の少なくとも前記第1傾斜面に反射層を形成する反射層形成工程と、
前記第1光学形状層の反射層が形成された側の面に第2光学形状層を形成する第2光学形状層形成工程と、
を含む光学部材の製造方法であって、
前記第1光学形状層作製工程は、
前記硬化性材料を前記成形型から剥離して、前記第1光学形状層を得る第1光学形状層剥離工程を含む、
光学部材の製造方法。」

イ 相違点
本願発明1と引用発明1とは、以下の点で、相違又は一応相違する。
(相違点1)
「光学部材」が、本願発明1は、「映像源から投射された映像光の一部を少なくとも前記第1傾斜面で観察者側に反射させる」ものであるのに対して、引用発明1は、上記下線を付した事項が明らかでない点。

(相違点2)
「硬化性材料」が、本願発明1は、「エネルギー線硬化樹脂」であり、「第1光学形状層成形工程」が、本願発明1は、「前記エネルギー線硬化樹脂にエネルギー線を照射して」、「エネルギー線硬化樹脂を収縮可能な状態で硬化させて、前記第1光学形状層を成形する」のに対して、引用発明1は、「エネルギー線硬化樹脂」とは特定されておらず(例:熱硬化性モノマーかもしれない)、また、「収縮可能な状態で」で硬化させているのか、一応、明らかではない点。

(相違点3)
本願発明1は、「光学部材の製造方法」が「前記成形型に充填された前記エネルギー線硬化樹脂の表面に、前記エネルギー線硬化樹脂の収縮とともに変形可能な基材を貼り付ける基材貼り付け工程を含み」、「第1光学形状層作製工程」が「硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂から前記基材を剥離する基材剥離工程」「を含み」、「第1光学形状層剥離工程」が「基材の剥離された前記エネルギー線硬化樹脂を前記成形型から剥離して、前記第1光学形状層を得る」工程であるのに対して、引用発明1は、上記下線を付した構成を具備せず、また、「エネルギー線硬化樹脂」については前記相違点2で述べたとおりである点。

(相違点4)
「第1光学形状層」が、本願発明1は、「前記単位光学形状の谷部から、前記単位光学形状が設けられた側と反対側の面までの深さd1が20μm≦d1≦100μmの範囲で形成され」、「前記単位光学形状の頂部から、前記単位光学形状が設けられた側と反対側の面までの深さd2が30μm≦d2≦400μmの範囲で形成され」、「前記基材の厚みが8μm≦s1≦50μmの範囲で形成される」のに対して、引用発明1は、このように特定されていない点。

3 判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
ア 相違点3について
引用発明1の「透明基材」の製造に関しては、引用文献1の【0018】に「プリズム状凹凸の繰返し構造を有する透明基材の製造は、例えば所定の形状(プリズム状凹凸の繰返し構造)が転写形成される型の上に熱や放射線等で重合処理できる液状の基材形成材を流延して重合処理する方法、所定の形状が形成される金型等に熱可塑性樹脂を押付けてその金型等の面形状を転写する方法、又はその所定の金型等に熱可塑性樹脂を充填して成形する方法、溶剤溶液や溶融液等としたポリマーを所定形状の成形開口を有するノズルから台上に押出して固化させる方法、基材上に別途形成のプリズム状凹凸の繰返し構造を付設する方法、ポリマー層にマスクを介し紫外線等を照射するマスク露光方法などの適宜な方法で形成することができる。」という、一般的な記載があるにとどまる。そして、このような引用文献1の記載に接した当業者は、「透明基材」の製造方法に関しては上記「適宜な方法」の範囲内で構わないと理解するにとどまると考えられるから、引用発明1の「重合処理」に関して、それ以上何らかの創意工夫を行うとはいいがたい。
そうしてみると、引用発明1において、相違点3に係る本願発明1の構成を当業者が採用する動機付けはないと解するのが自然である。また、相違点3に係る本願発明1の構成が技術常識ないし周知技術であるという証拠も見いだすことができないから、格段の発明力を要することなく当業者が自ずとこの構成に到るということもできない。

ところで、原査定で引用された引用文献3及び4には、上記「第3 2(3)」に記載したとおりの周知技術が例示されている。
しかしながら、周知技術の構成と、相違点3に係る本願発明1の構成は、工程として相違するから、引用発明1に周知技術を適用したとしても、相違点3に係る本願発明1の構成には到らない。
すなわち、周知技術は、「透明フィルムにあらかじめ放射線硬化性の樹脂を塗布、塗工した後、金型に密着させて放射線を照射し硬化させる」ものである。これに対して、相違点3に係る本願発明1の構成は、少なくとも、「成形型に充填された前記エネルギー線硬化樹脂の表面に、前記エネルギー線硬化樹脂の収縮とともに変形可能な基材を貼り付ける基材貼り付け工程」というものである。そうしてみると、引用発明1に周知技術を適用したとしても、相違点3に係る本願発明1の構成には到らない(貼り付け後に成形型/樹脂/基材の構成に到るからといって、周知技術の工程と相違点3に係る本願発明3の工程を、同一視することはできない。)。そして、引用発明1に周知技術を適用するに際して、透明フィルムではなく型の方に樹脂を塗布した後に、型を密着させるのではなく透明フィルムの方を樹脂を塗布した型に貼り付けるような設計変更を行うことが、当業者にとって容易であるといえるだけの根拠もない。
加えて、原査定において引用された他の文献(引用文献2及び5?9)のいずれの文献にも、少なくとも相違点3に係る本願発明の上記工程を開示するものは存在しないし、この工程が本件出願時における技術常識であったと認めるに足りる証拠もない。
したがって、上記周知技術を心得た当業者が、引用発明1の「製法方法」において、上記周知技術を採用する動機が仮に認められたとしても、相違点3に係る本願発明1の構成には到らない。

イ 小括
以上のとおりであるから、その他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用文献1に記載された発明(並びに引用文献2?9に記載された事項及び周知技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 請求項2について
(1)相違点
本願発明2と引用発明1を対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。
(相違点3’)
本願発明2は、「光学部材の製造方法」が「硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂の表面に、前記観察者側とは反対側である背面側の面が60度の光沢度で90以上である基材を貼り付ける基材貼り付け工程を含み」、「第1光学形状層作製工程」が「硬化後の前記エネルギー線硬化樹脂を前記基材とともに前記成形型から剥離して、前記基材の接合された前記第1光学形状層を得る」工程を具備するのに対して、引用発明1は、これら工程を具備しない点。

(2)判断
相違点3’に係る本願発明2の構成は、原査定において引用されたいずれの文献にも記載されておらず、また、示唆もない。さらに、当該構成が本件出願時における技術常識であったと認めるに足りる他の証拠もない。
そうしてみると、引用発明1において、当業者が相違点3’に係る本願発明2の構成に容易に想到し得るとはいえない。

ところで、本願発明2に対する、原査定の拒絶の理由(特に、令和元年8月14日付け拒絶理由通知を参照。)は、引用文献1の「半透過反射板や面光源、それらに付随する導光板等の各部品は、必要に応じて接着剤を介し積層一体化することができる。」(【0039】)との記載に基づき、「導光板」が本願発明2の「基材」に相当するから、半透過反射板に導光板等を積層した後に、成形型から剥離することは、当業者が容易になし得たことである、というものである。
しかしながら、引用文献1には、「半透過反射板」を成形型から剥離する前に、導光板を接着剤を介して積層一体化する工程、及び「半透過反射板」を「導光板」とともに成形型から剥離する工程は記載されておらず、また、このような一連の工程が、本件出願時における技術常識であったと認めるに足りる他の証拠もない。
したがって、引用文献1に上記の記載があるからといって、当業者が相違点3’に係る本願発明2の構成に容易に想到し得るとはいえない。

イ 小括
以上のとおりであるから、その他の相違点について判断するまでもなく、本願発明2は、引用文献1に記載された発明(並びに引用文献2?9に記載された事項及び周知技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 請求項3について
請求項3は、請求項1又は2を引用するものである。
したがって、本願発明3は、本願発明1又は2と同様の理由により、引用文献1に記載された発明(並びに引用文献2?9に記載された事項及び周知技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 引用文献2を主たる引用文献とした場合
原査定は、引用文献2に記載された発明を主たる引用発明とした拒絶の理由を含むが、同文献に、相違点3及び相違点3’に係る本願発明1?3の構成が開示されていないことは既に述べたとおりである。
したがって、少なくとも、引用文献1を主たる引用文献とした場合と同様の理由により、本願発明1?3は、引用文献2に記載された発明(並びに引用文献1、3?9に記載された事項及び周知技術)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定について
1 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、令和元年9月24日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項3に係る発明は、[A]引用文献1に記載された発明等に基づいて、又は、[B]引用文献2に記載された発明等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


引用文献1:特開平11-142627号公報
引用文献2:特開平03-058080号公報
引用文献3:特開2004-151406号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2012-022336号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2013-197083号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2004-361835号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7:特開2004-162000号公報(参考文献)
引用文献8:特開2006-193675号公報(参考文献)
引用文献9:特開2008-213398号公報(参考文献)

2 原査定についての判断
上記「第4」で検討したとおり、本願発明1?本願発明3は、引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 まとめ
以上のとおり、本願発明1?3は、引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明等に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2021-02-18 
出願番号 特願2015-210143(P2015-210143)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 慎平菅原 奈津子  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 福村 拓
里村 利光
発明の名称 光学部材の製造方法  
代理人 正林 真之  
代理人 芝 哲央  
代理人 林 一好  

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