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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1371519
審判番号 不服2020-6645  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-15 
確定日 2021-02-25 
事件の表示 特願2019-179391「偏光板」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月25日出願公開、特開2020- 98326〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2019-179391号(以下、「本件出願」という。)は、令和元年9月30日(先の出願に基づく優先権主張 平成30年12月11日)を出願日とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 元年11月15日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 1月23日 :意見書
令和 2年 2月17日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和 2年 5月15日 :審判請求書

2 本願発明
本件出願の請求項1に係る発明は、本件出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるとおりの、次のものである(以下、「本願発明」という。)。
「 ポリビニルアルコール系樹脂偏光子と、その一方の面に設けられた第1熱可塑性樹脂フィルムとを含み、
前記第1熱可塑性樹脂フィルムの吸水率は0.1%以下であり、
前記偏光板は、平面視において、外縁部に凹状部を有するか、または面内に貫通孔を有する偏光板であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂偏光子の吸収軸方向の幅2mm当たりの収縮力が1.3N以下である偏光板。」

3 原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本件出願の出願前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、及び、本件出願の出願前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2013-72951号公報

第2 当合議体の判断
1 引用例の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由において引用された特開2013-72951号公報(以下「引用文献1」という。)は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある(当合議体注:下線は当合議体が付した。)。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも偏光フィルムと保護フィルムを備える偏光板であって、
前記偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが積層されており、
前記保護フィルムとは反対側の最表面に粘着剤層が設けられており、
前記偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに1.0N以下であり、
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が0.20MPa以上であることを特徴とする、偏光板。
【請求項2】
前記偏光フィルムの前記保護フィルムとは反対側に少なくとも1枚の光学フィルムを備え、最も前記偏光フィルムから遠い前記光学フィルムの前記偏光フィルムとは反対側の面に前記粘着剤層が設けられている、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記偏光フィルムの吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに2.5N以下である、請求項1または2に記載の偏光板。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、液晶表示装置における偏光の供給素子として、また偏光の検出素子として、広く用いられている。かかる偏光板として、従来より、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを接着したものが使用されているが、近年、液晶表示装置のノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などモバイル機器への展開、さらには大型テレビへの展開などに伴い、薄肉軽量化が求められている。
…中略…
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、偏光フィルムや位相差フィルム等の他の光学フィルムのクラックや剥がれ、光抜けが抑制され、寸法変化の小さい偏光板およびその製造方法を提供することを目的とする。
…中略…
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、収縮力が小さい偏光フィルムと弾性率の高い粘着剤を組み合わせることにより、偏光フィルムや位相差フィルム等の他の光学フィルムのクラックや剥がれ、光抜けが抑制され、寸法変化の小さい偏光板を得ることができる。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の偏光板の製造方法の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の偏光板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。図1に示す本発明の偏光板の製造方法は、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムとするポリビニルアルコール系樹脂層形成工程(S10)と、上記ポリビニルアルコール系樹脂層に偏光フィルム化処理を施し偏光フィルムとする偏光フィルム化処理工程(S20)と、上記偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する保護フィルム貼合工程(S30)と、基材フィルムを積層フィルムから剥離する基材フィルム剥離工程(S40)と、保護フィルムとは反対側の最表面に粘着剤層を積層する粘着剤層積層工程(S60)とをこの順に備える。なお、基材フィルム剥離工程(S40)と粘着剤層積層工程(S60)との間に、基材フィルムが剥離された面側に少なくとも一枚の光学フィルムを積層する光学フィルム積層工程(S50)を含んでいてもよい。
【0025】
図2は、本発明の偏光板の製造方法の別の実施形態を示すフローチャートである。図2に示す本発明の偏光板の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成工程(S10)から基材フィルム剥離工程(S40)までは図1に示す製造方法と同様である。図2に示す製造方法は、基材フィルム剥離工程(S40)よりも後の工程として、保護フィルムとは反対側の最表面に、粘着剤層付き光学フィルムを粘着剤層側が最表面となるように積層する粘着剤層付き光学フィルム積層工程(S60’)を備える。なお、基材フィルム剥離工程(S40)と粘着剤層付き光学フィルム積層工程(S60’)との間に、基材フィルムが剥離された面側に少なくとも一枚の光学フィルムを積層する光学フィルム積層工程(S50)を含んでいてもよい。
【0026】
偏光フィルム化処理工程(S20)は、積層フィルムを延伸する延伸工程(S21)、および、ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性物質で染色する染色工程(S22)を含む。偏光フィルム化処理工程(S20)において、延伸工程(S21)および染色工程(S22)は、この順に限定されることはなく、染色工程(S22)の後に延伸工程(S21)を行っても、延伸工程(S21)と染色工程(S22)とを同時に行ってもよい。
…中略…
【0059】
[ポリビニルアルコール系樹脂層形成工程]
ポリビニルアルコール系樹脂層形成工程(S10)においては、基材フィルムの一方の表面上にポリビニルアルコール系樹脂からなる樹脂層(ポリビニルアルコール系樹脂層)を形成する。ポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。
…中略…
【0065】
このような特性を有するポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば(株)クラレ製のPVA124(ケン化度:98.0?99.0モル%)、PVA117(ケン化度:98.0?99.0モル%)、PVA624(ケン化度:95.0?96.0モル%)およびPVA617(ケン化度:94.5?95.5モル%);例えば日本合成化学工業(株)製のAH-26(ケン化度:97.0?98.8モル%)、AH-22(ケン化度:97.5?98.5モル%)、NH-18(ケン化度:98.0?99.0モル%)、およびN-300(ケン化度:98.0?99.0モル%);例えば日本酢ビ・ポバール(株)のJC-33(ケン化度:99.0モル%以上)、JM-33(ケン化度:93.5?95.5モル%)、JM-26(ケン化度:95.5?97.5モル%)、JP-45(ケン化度:86.5?89.5モル%)、JF-17(ケン化度:98.0?99.0モル%)、JF-17L(ケン化度:98.0?99.0モル%)およびJF-20(ケン化度:98.0?99.0モル%)などが挙げられ、本発明において好適に用いることができる。
…中略…
【0071】
[偏光フィルム化処理工程(S20)]
(延伸工程)
延伸工程(S21)では、基材フィルムおよびポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを延伸する。その際、一軸延伸することが好ましい。また、積層フィルムの元長に対して、5倍超の延伸倍率となるように一軸延伸することが好ましい。より好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましくは5倍超かつ8倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光フィルムの偏光度が十分に高くならない。一方、延伸倍率が17倍を超えると延伸時の積層フィルムの破断が生じ易くなると同時に、積層フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性・ハンドリング性が低下するおそれがある。
【0072】
延伸工程(S21)における延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。多段で行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超えの延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
【0073】
延伸工程(S21)において一軸延伸を行う場合は、積層フィルムの長手方向に対して行う縦延伸処理や、幅方向に対して延伸する横延伸処理、斜め延伸処理などを実施することができる。縦延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法などが挙げられ、横延伸方式としてはテンター法などが挙げられる。
【0074】
また、延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、積層フィルムを延伸する際の温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
【0075】
(染色工程)
染色工程(S22)では、積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を、二色性物質で染色する。二色性物質としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
…中略…
【0079】
染色工程は、積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層に、二色性物質を吸着させて、二色性物質を配向させる。染色工程(S22)は、延伸工程(S21)の前、同時または後に行うことができるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させた二色性物質を良好に配向させる点から、積層フィルムに延伸工程(S21)を施した後に行うのが好ましい。
【0080】
(その他の工程)
偏光フィルム化処理工程(S20)において、延伸工程(S21)および染色工程(S22)に加えて、架橋工程を行うことができる。架橋工程は、たとえば、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に積層フィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。たとえば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0081】
架橋溶液として、架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、たとえば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでも良い。架橋溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1?20重量%の範囲にあることが好ましく、6?15重量%であることがより好ましい。
…中略…
【0090】
以上の偏光フィルム化処理工程(S20)により、ポリビニルアルコール系樹脂層が偏光フィルムとしての機能を有することになる。本明細書においては、偏光フィルム化処理工程(S20)を経たポリビニルアルコール系樹脂層を偏光フィルムと言う。
【0091】
得られた偏光フィルムは、偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに1.0N以下である。また、偏光フィルムの吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに2.5N以下であることが好ましい。また、得られた偏光フィルムの厚みは10μm以下であることが好ましい。
【0092】
[保護フィルム貼合工程]
保護フィルム貼合工程(S30)では、偏光フィルムの基材フィルム側の面とは反対側の面に保護フィルムを貼合する。保護フィルムを貼合する方法としては、粘着剤で偏光フィルムと保護フィルムを貼合する方法、接着剤で偏光フィルム面と保護フィルムを貼合する方法が挙げられる。
【0093】
(保護フィルム)
本発明に用いられる保護フィルムとしては、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもかまわないし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもかまわない。保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
【0094】
環状ポリオレフィン系樹脂としては、適宜の市販品、例えば、Topas(登録商標)(Ticona社製)、アートン(登録商標)(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(登録商標)(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)を好適に用いることができる。このような環状ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などの予め製膜された環状ポリオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
【0095】
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができる。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、またはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍からガラス転移温度+100℃までの範囲である。延伸の倍率は、一つの方向につき通常1.1?6倍、好ましくは1.1?3.5倍である。
【0096】
環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
…中略…
【0100】
保護フィルムの厚みは薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣る。一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。したがって、保護フィルムの厚みは、90μm以下が好ましく、より好ましくは5?60μmである。また、市場からはパネル、モジュールを含めた薄型化への要求があるため、偏光板に関しても薄さが求められていることから、偏光フィルムと保護フィルムの合計の厚みが100μm以下であることが好ましく、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
【0101】
また、保護フィルム表面に、直接、ハードコート層、防眩層、反射防止層などの光学層を形成することもできる。保護フィルム表面にこれらの光学層を形成する方法はとくに限定されず、公知の方法を用いることができる。
…中略…
【0118】
[光学フィルム積層工程]
以上のようして製造される本発明の偏光板は、光学フィルム積層工程(S50)において、実用に際して他の光学フィルムを積層してもよい。なお、上記保護フィルムがこれらの光学フィルムの機能を有していてもよい。他の光学フィルムの例としては、保護フィルム、位相差フィルム、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム、視野角補償フィルムが挙げられる。好ましくは、保護フィルムまたは位相差フィルムである。
【0119】
保護フィルムとしては、上述の保護フィルムと同様のものが挙げられる。位相差フィルムとしては、たとえば、トリアセチルセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムが挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、アートン(登録商標)フィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株)製)、ゼオノア(登録商標)フィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
【0120】
ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、例えばDBEF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)、APF(3M社製、住友スリーエム(株)から入手可能)が挙げられる。視野角補償フィルムとしては基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、が挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。
…中略…
【実施例】
【0140】
…中略…
【0143】
(粘着剤A)
アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーを配合し、さらにイソシアネート系架橋剤を添加した有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレートフィルム)の離型処理面に、ダイコーターにて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工したシート状粘着剤。なお、この粘着剤Aの貯蔵弾性率を前述の方法により測定したところ、粘着剤Aの貯蔵弾性率は、23℃において0.41MPa、80℃において0.19MPaであった。
…中略…
【0146】
(粘着剤D)
アクリル酸ブチルとアクリル酸との共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーおよびイソシアネート系架橋剤が添加された粘着剤層が、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に、5μmの厚みで形成されたシート状粘着剤を用いた。なお、この粘着剤Dの貯蔵弾性率を前述の方法により測定したところ、粘着剤Dの貯蔵弾性率は、23℃において0.50MPa、80℃において0.21MPaであった。
【0147】
[粘着剤付位相差フィルム]
以下の例においては、粘着剤付位相差フィルムとして次のものを用いた。
【0148】
(粘着剤付位相差フィルムX)
厚みが20μmのノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムの片面にコロナ処理を施した後、粘着剤Aを貼着したもの(位相差フィルム/粘着剤A/セパレートフィルム)。
…中略…
【0150】
<実施例1>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
【0151】
(2)プライマー層の形成
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z-200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液を、25cm×35cmにカットした上記基材フィルムの片側にコロナ処理を施し、その処理面上に、卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
【0152】
(3)ポリビニルアルコール系樹脂層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0?99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記プライマー層上に卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、「基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層」からなる3層構造の積層フィルムを作製した。このときのポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは11μmであった。
【0153】
(4)偏光フィルム化処理工程
(延伸工程)
上記の積層フィルムから、端部を切り落とし、幅18cm×長さ30cmの積層フィルムを得た。この積層フィルムをテンター延伸装置にて160℃の延伸温度で、幅方向に5.8倍に自由端一軸延伸した。このときのポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは5.1μmであった。
【0154】
(染色工程・架橋工程)
次に、延伸された上記積層フィルムの中央部から、10cm×15cmのフィルムを切り出して、次の手順でポリビニルアルコール系樹脂層の染色および架橋を行った。まず、切り出された積層フィルムを、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液である30℃の染色溶液に150秒間程度浸漬して、ポリビニルアルコール系樹脂層の染色を行ない、ついで10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次に、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液である76℃の架橋溶液に600秒間浸漬させた。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光フィルム化し、10cm×15cmの「基材フィルム/プライマー層/偏光フィルム」からなる3層構造の偏光性積層フィルムを得た。このときの偏光フィルム(ポリビニルアルコール系樹脂層)の厚みは5.1μmであった。
【0155】
得られた偏光性積層フィルムの偏光フィルムのみについて、下記の測定方法により吸収軸と直交する方向の収縮力と、吸収軸方向の収縮力とを測定した。その結果、偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の収縮力は0.28Nであり、吸収軸方向の収縮力は1.2Nであった。
【0156】
(収縮力の測定方法)
偏光性積層フィルムの、収縮力を測定したい方向が長軸となるように幅2mm、長さ50mmにスーパーカッター(株式会社荻野精機製作所製)でカットした。得られた短冊状のチップ(偏光性積層フィルム)から基材フィルムを剥離して偏光フィルムのみとし、試験片とした。
【0157】
試験片の収縮力を熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型式TMA/6100)を用いて測定した。この測定は、寸法一定モードにおいて実施し(チャック間距離を10mmとした)、試験片を20℃の室内に十分な時間放置した後サンプルの室内の温度設定を20℃から80℃まで1分間で昇温させ、昇温後はサンプルの室内の温度を80℃で維持するように設定した。昇温後さらに4時間放置した後、80℃の環境下で試験片の長辺方向の収縮力を測定した。この測定において静荷重は0mNとし、治具にはSUS製のプローブを使用した。
【0158】
(5)保護フィルム貼合工程
まず、ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL-318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液に、ポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部の架橋剤(住化ケムテックス(株)製「スミレーズレジン650」)を混合し、接着剤溶液を調製した。
【0159】
次に、得られた偏光性積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層上に、上記接着剤溶液を塗布した後、トリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)を貼合し、「基材フィルム/プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」の5層からなる基材フィルム付偏光板を得た。
【0160】
(6)基材フィルム剥離工程
得られた10cm×15cmの基材フィルム付偏光板から基材フィルムを剥離し、「プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」の4層からなる偏光板αを作製した。
【0161】
(7)粘着剤層積層工程
得られた偏光板αのプライマー層側の表面にコロナ処理を施し、その表面に粘着剤Aを貼着して、「セパレートフィルム/粘着剤A/プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」からなる粘着剤付偏光板を作成した。
【0162】
(8)評価用サンプルの作製
得られた粘着剤付偏光板を表1に示すとおりの寸法、軸角度でカットし評価用サンプルを作製した。なお、表1中の「偏光フィルムの軸角度」とは、保護フィルム10側からみたときの、偏光板1の長辺方向Cに対する偏光フィルム11の吸収軸11Aの反時計回りの角度αである(図3参照)。また、「位相差フィルムの軸角度」とは、保護フィルム10側からみたときの、偏光板1の長辺方向Cに対する位相差フィルム12の遅相軸12Bの反時計回りの角度βである(図3参照)。
…中略…
【0164】
<実施例2>
実施例1の偏光板αのプライマー層側の表面にコロナ処理を施した後、その表面に粘着剤Dを貼着した。また、粘着剤付位相差フィルムXの位相差フィルム側を、粘着剤Dを介して、偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸が45°傾くように貼合した。なお、あらかじめ粘着剤付位相差フィルムXの粘着剤とは逆の面にはコロナ処理が施されている。このようにして、「セパレートフィルム/粘着剤A/位相差フィルム/粘着剤D/プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」からなる、位相差フィルムを備えた粘着剤付偏光板を作製した。また、実施例1と同様にして評価用サンプルを作製した。
…中略…
【0172】
[偏光板の耐久性評価]
実施例1、2および比較例1?4で作製した評価用サンプルのセパレートフィルムを剥離し、各評価用サンプルの粘着剤層を厚さ0.7mmのガラス板に貼り付け、温度50℃、圧力0.5MPaの条件で20分間オートクレーブ処理を行った。自然冷却後、それぞれのサンプルを、温度が85℃に保たれたオーブンに投入し、500時間保持する加熱試験を行った。この加熱試験後のサンプルについて、初期の寸法からの寸法変化量([試験後の値]-[初期値])をNEXIV VMR-12072(ニコン(株)製)にて測定した。結果を表2に示す。
【0173】
【表1】


【0174】
【表2】



(2)引用発明
引用文献1には、請求項1を引用する請求項3に係る発明として、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。
「 少なくとも偏光フィルムと保護フィルムを備える偏光板であって、
偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが積層されており、
保護フィルムとは反対側の最表面に粘着剤層が設けられており、
偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに1.0N以下であり、
粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が0.20MPa以上であり、
偏光フィルムの吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに2.5N以下である、
偏光板。」

2 対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「偏光板」は、「偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが積層され」たものである。
ここで、引用発明の「偏光フィルム」及び「偏光板」は、その文言が意味するとおり、偏光子及び偏光板として機能する部材である。また、「偏光フィルム」の素材としては、一応、種々のものが考えられなくもないが、引用発明ではポリビニルアルコール系樹脂フィルムが前提であることは、引用文献1の全記載からみて明らかである。同様に、引用発明の「保護フィルム」の素材は、熱可塑性樹脂フィルムといえる。
そうしてみると、引用発明の「偏光フィルム」及び「保護フィルム」は、それぞれ本願発明の、「ポリビニルアルコール系樹脂偏光子」、及び「その一方の面に設けられた」とされる「第1熱可塑性樹脂フィルム」に相当する。また、引用発明の「偏光板」は、本願発明の、「ポリビニルアルコール系樹脂偏光子と」、「第1熱可塑性樹脂フィルムとを含」むとされる、「偏光板」に相当する。

3 一致点及び相違点
(1)一致点
本願発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「 ポリビニルアルコール系樹脂偏光子と、その一方の面に設けられた第1熱可塑性樹脂フィルムとを含む偏光板。」

(2)相違点
本願発明と引用発明は、以下の点で相違、あるいは、一応相違する。
(相違点1)
「前記第1熱可塑性樹脂フィルム」が、本願発明は、「吸水率は0.1%以下であ」るのに対し、引用発明は、これが不明である(保護フィルムの素材が特定されていないない)点。

(相違点2)
「偏光板」が、本願発明は、「平面視において、外縁部に凹状部を有するか、または面内に貫通孔を有する」というものであるのに対し、引用発明は、このような構成を有するか、一応、明らかではない点。

(相違点3)
「ポリビニルアルコール系樹脂偏光子」が、本願発明は、「吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が1.3N以下であ」るのに対し、引用発明は、「偏光フィルムの吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに2.5N以下である」と特定されるにとどまる点。
(当合議体注:本件出願の明細書の【0109】の記載を考慮すると、本願発明と引用発明の収縮力の測定方法は、同等のものと理解される。)

4 判断
上記相違点について検討する。
(2)相違点1について
引用文献1の【0093】には、「保護フィルム」の選択肢として、まず「環状ポリオレフィン系樹脂フィルム」が挙げられ、また、【0094】においても、ゼオノア等具体的な製品名が多数列挙されている。加えて、引用文献1の【0100】には、保護フィルムは薄いものが好ましいこと、ただし、強度、加工性も考慮すべきこと、さらに、市場の薄型化の要求を考慮すると、偏光フィルムと保護フィルムの合計の厚みは、好ましくは80μm以下であることが開示されている。そして、本件出願前の当業者ならば、上記の要請に応えることができる薄型かつ高強度の保護フィルムとして、上記「環状ポリオレフィン系樹脂フィルム」(例:ゼオノア)を心得ているところ、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの吸水率は、相違点1に係る本願発明の「吸水率は0.1%以下であ」るとの要件を満たす(例示されたゼオノアの場合、樹脂の吸水率は0.01%未満であり(例:Cyclo Olefin Polymer(COP) ZEONOR(R) シクロオレフィンポリマー-ゼオノア」,3頁(左上の「低吸水性」のグラフ),[online],2012年9月14日(作成日,更新日),日本ゼオン株式会社,[検索日],インターネット<URL:http://www.zeon.co.jp/content/200181686.pdf>(合議体注:標題中の登録商標を示す「丸囲みのR」を、「(R)」で代用して表記した。)を参照。)、フィルムの吸水率も同程度と考えられる。)。
そうしてみると、引用発明を具体化するに際して、引用発明の「保護フィルム」として環状ポリオレフィン系樹脂を採用し、相違点1に係る本願発明の要件を満たしたものとすることは、引用文献1の記載が示唆する範囲内の事項にすぎない。

(3)相違点2について
携帯電話等モバイル機器の液晶表示装置の形状は、通話部、撮像部、入力部等の配置等を考慮して設計されるところ、偏光板に「凹状部」又は「貫通孔」を有する構成は、本件出願前、既に一般的なものであった(本件出願は、iPhoneXが販売された2017年9月以降の出願である。)。そして、引用文献1の【0002】においても、「偏光板」の用途として「携帯電話などモバイル機器」が明示され、本件出願前の当業者ならば、最も関心を寄せる用途であったといえる。
以上のような技術水準を考慮すると、相違点2は、実質的な相違点とはいえない。仮に相違点であるとしても、引用発明において相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、本件出願前の当業者が当然に考慮すべき構成にすぎない。
そうしてみると、引用発明において、相違点2に係る本願発明の構成を適用することは、引用文献1の示唆(【0002】)に基づき、当業者が容易になし得たことである。

(1)相違点3について
引用文献1には、実施例1(【0174】表2)として、「偏光フィルム」の吸収軸方向(延伸方向)の収縮力(N)を1.20Nとした偏光フィルムが記載されている。ここで、当該「収縮力(N)」は、「収縮力を測定したい方向が長軸となるように幅2mm」の「偏光フィルム」を「試験片」として測定したものである(【0156】、【0157】)。
そうすると、引用発明を具体化するに際して、引用発明の「偏光フィルム」として、上記の実施例1の偏光フィルムを採用し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)引用文献1の実施例2(【0148】、【0164】、【0174】【表2】)から理解される「位相差フィルムを備えた粘着剤付偏光板」を引用発明として認定し、対比・判断を行っても、同様である。

(5)本願発明の効果について
本願発明の効果に関して、本件出願の明細書の【0005】には、「高温環境下に晒された後、室温大気中に放置した後に生じる光抜けが抑制される偏光板を提供することである。」と記載されている。
しかしながら、引用文献1によれば、引用発明も「本発明によれば、収縮力が小さい偏光フィルムと弾性率の高い粘着剤を組み合わせることにより、偏光フィルムや位相差フィルム等の他の光学フィルムのクラックや剥がれ、光抜けが抑制され、寸法変化の小さい偏光板を得ることができる。」(【0021】)ものである。そして、引用発明の当該作用・効果からみて、上記相違点に係る設計変更を施した引用発明においても、高温環境下に晒された後、室温大気中に放置した後に生じる光抜けが抑制されることは、当業者が予測・期待することである(当合議体注:偏光子の収縮力が小さく、偏光板の寸法変化も小さいのであるから、「凹状部」又は「貫通孔」に起因する応力も小さい。)。
そうしてみると、本願発明の効果は、引用文献1の記載事項からみて、格別のものとはいえない。

(6)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「1.理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について」において、「異形部が有るとは限らない偏光板の中から、引用文献1に記載のない異形部を有する偏光板に着目し、更に、高温環境下に曝された後、室温大気中に放置した後に、吸水率0.1%以下の第1熱可塑性樹脂フィルムである場合に特有に生ずる光抜けを抑制するべく、偏光子の収縮力に着目し、これを1.3N/2mm以下として本願発明に想到することは決して容易ではありません。」と主張している。
しかしながら、上記(3)で述べたとおり、「凹状部等を有する偏光板」は本件出願前の技術水準をなすものであり、また、「光抜けを抑制」との効果も上記(5)で述べたとおり、格別のものではなく、引用文献1から当業者が予期し得るものである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第3 まとめ
本願発明は、引用文献1に記載された発明及び同文献に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。







 
審理終結日 2020-12-18 
結審通知日 2020-12-22 
審決日 2021-01-06 
出願番号 特願2019-179391(P2019-179391)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 慎平  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 福村 拓
河原 正
発明の名称 偏光板  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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