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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B05D
管理番号 1371620
審判番号 不服2019-3390  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-12 
確定日 2021-03-16 
事件の表示 特願2017-540560「熱硬化性コーティングを有する物品及びコーティング方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月11日国際公開、WO2016/126766、平成30年 4月19日国内公表、特表2018-510761〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯、本願発明
本願は、2016年2月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年2月3日 米国(US)、2015年11月18日 米国(US)、2016年2月2日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成30年2月14日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月2日付けで拒絶査定(発送日:同年11月13日)がされ、これに対して平成31年3月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

そして、本願の請求項1?25に係る発明は、平成30年8月17日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?25に記載されたとおりのものであるところ、請求項1及び12に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明12」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
2物品システムにおける感受性の高い物品の腐食を防止するための方法であって、前記2物品システムにおける第1の物品及び第2の物品は、互いに面する表面を有しており、前記2つの物品は、異なる陽極指数を有しており、
前記第1の物品の表面にコーティング材を塗布するステップと、
前記第1の物品の表面上の前記コーティング材を硬化させるステップと、
前記第1の物品の表面を前記第2の物品の表面に接触させて固定するステップと
を含み、
前記2つの物品は、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さず、前記コーティング材料は、コーティング中に架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成するエポキシ材料である、2物品システムにおける感受性の高い物品の腐食を防止するための方法。
【請求項12】
2物品システムであって、該2物品システムの第1の物品及び第2の物品は、互いに面する表面を有しており、前記2つの物品は異なる陽極指数を有し、
前記第1の物品の表面は、該第1の物品の表面上でコーティング材を硬化することによって形成されたコーティング層を含み、
前記第1の物品の表面は、前記第2の物品の表面と接触して固定されており、
前記2つの物品は、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さず、前記コーティング材料は、架橋エポキシコーティングである、2物品システム。」

第2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?25に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1?3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2007-198544号公報
2.特表2006-526116号公報
3.特開2003-64492号公報

第3 引用文献1及び2
1 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
マグネシウム合金部材と、該マグネシウム合金部材を締結する締結部材と、を備えるマグネシウム合金の締結構造において、
前記締結部材は本体と、前記マグネシウム合金部材と接する該本体表面の少なくとも一部を覆う被覆層と、からなり、
該被覆層はポリテトラフルオロエチレンもしくは二硫化モリブデンからなる固体潤滑剤と、該固体潤滑剤を分散し、フェノール樹脂、或いはポリイミド樹脂を主成分とする被覆樹脂と、から形成されていることを特徴とするマグネシウム合金の締結構造。
【請求項2】
前記マグネシウム合金部材は、耐熱マグネシウム合金部材であり、前記被覆樹脂はエポキシ樹脂を主成分とするものでもよい請求項1記載のマグネシウム合金の締結構造。」(下線は当審で付与。以下同様。)

(2)「【0001】
本発明は、マグネシウム合金部材の締結構造に関し、特にマグネシウム合金部材の締結部分における電気的腐食(電食)の発生を未然に防止する技術に関する。」

(3)「【0024】
また耐熱用途として用いられる耐熱マグネシウム合金としてアルミニウム、カルシウム及びストロンチウムを含有するものも用いることが出来る。
・・・(中略)・・・
【0025】
前記マグネシウム合金部材を締結する前記締結部材は、本体と、前記マグネシウム合金部材と接する該本体表面の少なくとも一部を覆う被覆層と、からなる。
・・・(中略)・・・
【0027】
前記本体は、前記マグネシウム合金部材と接する表面の少なくとも一部を被覆層で覆われている。前記金属製である本体と前記マグネシウム合金部材とが電解質を含む水等を介して電気的に接触する時、マグネシウム合金は実用金属中、最も電気的に卑であるため、マグネシウム合金が電位差腐食を起こす。被覆層はマグネシウム合金の電位差腐食を防ぐため、締結用部材本体に被覆される。」

(4)「【0033】
被覆樹脂は、フェノール樹脂、或いはポリイミド樹脂を主成分とする。マグネシウム合金部材が耐熱マグネシウム合金部材の場合はエポキシ樹脂でもよい。上記樹脂は、樹脂強度が高く繰り返し使用に対して樹脂割れが起こりにくい。また冷熱繰り返し使用に対しても樹脂割れが起こりにくい。そのため上記被覆樹脂を被覆した締結部材は長期間にわたって電食防止性能が持続する。また上記樹脂は密着性に優れ、締結部材から剥離しにくい。
・・・(中略)・・・
【0035】
被覆方法は、特に限定されない。例えば、固体潤滑剤を分散した溶剤を含む被覆樹脂を締結部材に塗布し、被覆樹脂の硬化する温度以上になるように熱処理を行い焼き付け塗布して被覆層を形成することが出来る。
【0036】
被覆層の厚さは、被覆層の強度及び密着性の面から2μm以上800μm以下が好ましい。更に10μm以上100μm以下がより好ましい。」

(5)「【0038】
次に実施例によって本発明の作用効果を明らかにする。
【0039】
(1)被覆層の性能評価
A.被覆樹脂の強度測定
まずフェノール樹脂、フッ素系樹脂(テフロン(登録商標))、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン6樹脂、ポリエチレン樹脂を用い、フランジ付き鉄製ボルトの頭部に約10μm以上100μm以下の上記各樹脂の被覆層を形成した。
【0040】
被覆層形成方法は、以下の方法で行った。上記各樹脂を各適した有機溶媒に溶解又は分散させ、18℃?25℃にした樹脂溶液にフランジ付き鉄製ボルトの頭部をディッピングして、ボルト頭部に各樹脂を塗布した。熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂を塗布したフランジ付き鉄製ボルトは、加熱炉に入れ、各樹脂の硬化温度に加熱して被覆層を形成した。他の熱可塑性樹脂であるフッ素系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン6樹脂、ポリエチレン樹脂を塗布したフランジ付き鉄製ボルトは、150℃で30分加熱して被覆層を形成した。」

(6)「【0049】
(2)電位差腐食防止性能評価
C.マグネシウム合金部材を用いた電位差腐食試験
厚み30mmの耐熱マグネシウム合金部材(Mg-Al-Ca-Sr)に締結用の8φのボルト穴を形成した。耐熱マグネシウム合金部材は、合金部材の全体を100質量%とした場合、アルミニウムを7質量%、カルシウムを2.8質量%、ストロンチウムを0.5質量%及びマンガンを0.2質量%含むマグネシウム合金で形成されていた。
【0050】
被覆樹脂はフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))を主成分とする3種類を用い、固体潤滑剤としてMoS_(2)を用いた。
【0051】
各配合量は主成分としてフェノール樹脂を用いた場合、フェノール樹脂50質量部、MoS_(2)は3質量部、溶剤としてメチルエチルケトン30質量部、メチルイソブチルケトン10質量部、その他黒色顔料を1質量部であった。主成分としてエポキシ樹脂を使用したものは、エポキシ樹脂45質量部、MoS_(2)は3質量部、溶剤としてメチルエチルケトン35質量部、メチルイソブチルケトン5質量部、その他黒色顔料を1質量部であった。主成分としてフッ素樹脂を使用したものは、フッ素樹脂45質量部、MoS_(2)は1質量部、溶剤としてメチルエチルケトン30質量部、メチルイソブチルケトン10質量部、その他黒色顔料を1質量部であった。
【0052】
鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆し、フェノール樹脂とエポキシ樹脂を用いたものは熱処理して焼き付け塗布した。またフッ素樹脂を用いたものは耐熱性を持たせるため120℃で60分加熱して焼き付けを行った。被覆層の厚みは50μm?100μmであった。
・・・(中略)・・・
【0054】
締結部材のない耐熱マグネシウム合金部材のみ、又被覆層の形成されていない通常の鉄製ボルトを耐熱マグネシウム合金部材に締結したもの、及び上記3種類のボルトを各々締結した耐熱マグネシウム合金部材の5種類の試験材料を用いて電位差腐食試験を行った。
【0055】
電位差腐食試験としてJIS Z2731に基づく塩水噴霧試験を行った。まず初期重量を測定した各合金部材に、5%塩化ナトリウム水溶液を1.5ml/分の流量で連続噴霧した。各試験時間後(日数)各合金部材を15%クロム酸水溶液中で1分間煮沸洗浄することにより、各合金部材の腐食生成物を除去した。乾燥後、各合金部材の重量を測定し、初期重量との差を腐食量とし、mg/cm^(2)で表示した。
【0056】
塩水噴霧試験による経過時間ごとの腐食量の推移を図3にグラフで示した。図3のグラフに示されるように、通常の鉄製ボルトで耐熱Mg合金部材を締結したものの塩水噴霧による電位差腐食量に対し、鉄製ボルトの頭部に固体潤滑剤を含んだ被覆層を形成されたコートボルトを締結した耐熱Mg合金部材の腐食量は低減された。特にフェノール樹脂を用いたコートボルトの腐食量の低減量は、他の樹脂を用いたものに比べ大きな低減となっている。」(当審注:段落【0055】の「JIS Z2731」については、日本工業規格「JIS Z2371:2000」(塩水噴霧試験方法;改正され日本産業規格「JIS Z2371:2015」となった)が存在すること、及び、「JIS Z2731」は日本工業規格(日本産業規格)として存在しないことに照らして、「JIS Z2371」の誤記であると認める。)

(7)「【0067】
図7にみられるように、アルミニウムは含有量が増えることによってマグネシウム合金板の電位差腐食による腐食量が大幅に低減した。
【0068】
また図8に見られるように、カルシウム又はストロンチウムが含有されることによってマグネシウム合金板の電位差腐食による腐食量は低減するが、含有量を増やしても大幅な電位差腐食による腐食量の低減は見られなかった。
【0069】
図7、図8から、耐熱マグネシウム合金に含まれる他の元素の電位差腐食を抑制するのに最適な含有量は、該合金部材の全体を100質量%とした場合、アルミニウムを3質量%以上12質量%以下、カルシウムを0.5質量%以上3質量%以下及びストロンチウムを0.1質量%以上1質量%以下であることがわかった。
【0070】
またマグネシウム合金の強度等からより好ましい含有量は、該合金部材の全体を100質量%とした場合、アルミニウムを5質量%以上10質量%以下、カルシウムを1質量%以上4質量%以下及びストロンチウムを0.3質量%以上1.0質量%以下である。」

(8)前記「(3)」の段落【0025】の「マグネシウム合金部材を締結する前記締結部材は、本体と、前記マグネシウム合金部材と接する該本体表面」、及び段落【0027】の「前記本体は、前記マグネシウム合金部材と接する表面」との記載から、鉄製のフランジ付きボルトとマグネシウム合金部材とは、互いに面する表面を有しており、また、鉄製のフランジ付きボルトの表面は、耐熱マグネシウム合金部材の表面と接触して固定されているといえる。

(9)前記「(3)」の段落【0027】の「前記金属製である本体と前記マグネシウム合金部材とが電解質を含む水等を介して電気的に接触する時、マグネシウム合金は実用金属中、最も電気的に卑であるため、マグネシウム合金が電位差腐食を起こす。」との記載、及び金属の腐食電位に関する技術常識を考慮すれば、マグネシウム合金部材と鉄製のフランジ付きボルトとは、異なる腐食電位を有しているといえる。

(10)上記の各事項及び図面の記載を総合し、本願発明1及び12の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、「マグネシウム合金の締結構造」に関して、実施例として、次の二つの発明(以下「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されている。

[引用発明1]
「耐熱マグネシウム合金部材と、該耐熱マグネシウム合金部材を締結する締結部材である鉄製のフランジ付きボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造におけるマグネシウム合金部材の締結部分における電気的腐食の発生を未然に防止する方法であって、前記締結構造における鉄製のフランジ付きボルト及び耐熱マグネシウム合金部材は、互いに面する表面を有しており、前記耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは、異なる腐食電位を有しており、
前記鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆し、
熱処理して焼き付け塗布すること、
被覆層を形成した鉄製のフランジ付きボルトを、ボルト穴が形成された耐熱マグネシウム合金部材に締結することと
を含み、
前記耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは、電位差腐食試験としてJIS Z2371に基づく塩水噴霧試験において、通常の鉄製ボルトで耐熱マグネシウム合金部材を締結したものの塩水噴霧による電位差腐食量よりも、鉄製ボルトの頭部に固体潤滑剤を含んだ被覆層を形成されたコートボルトを締結した耐熱マグネシウム合金部材の腐食量は低減され、前記被覆する材料はエポキシ樹脂である、前記マグネシウム合金部材の締結部分における電気的腐食の発生を未然に防止する方法。」

[引用発明2]
「耐熱マグネシウム合金部材と、該耐熱マグネシウム合金部材を締結する締結部材である鉄製のフランジ付きボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造であって、該締結構造の鉄製のフランジ付きボルト及び耐熱マグネシウム合金部材は、互いに面する表面を有しており、前記耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは異なる腐食電位を有し、
前記鉄製のフランジ付きボルトは、前記鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆し、熱処理して焼き付け塗布されて被覆層を形成しており、
前記鉄製のフランジ付きボルトの表面は、前記耐熱マグネシウム合金部材の表面と接触して固定されており、
前記耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは、電位差腐食試験としてJIS Z2371に基づく塩水噴霧試験において、通常の鉄製ボルトで耐熱マグネシウム合金部材を締結したものの塩水噴霧による電位差腐食量よりも、鉄製ボルトの頭部に固体潤滑剤を含んだ被覆層を形成されたコートボルトを締結した耐熱マグネシウム合金部材の腐食量は低減され、前記被覆層はエポキシ樹脂を熱処理して焼き付け塗布されたものである、締結構造。」

2 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0038】
1つの実施形態においては、さらに別のコーティング層の粘着を防ぐのに用いられるコーティングのバインダ成分は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、望ましいコーティング特性、例えば、良好な粘着及び良好な耐磨耗性を与えて、ファスナとの製造中にコーティングが元の状態のままであるように選択される。理論的には、多くの種類のエポキシバインダが好適であり、このような望ましいコーティング特性を与える。エポキシバインダは熱硬化性、すなわち、架橋することができ、又は、好適な高分子量である場合には熱可塑性とすることができる。好適なエポキシ樹脂の特定の実施例は、限定されるものではないが、ビスフェノールA及びビスフェノールAのジクリジジルエーテルの反応から製造されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、フェノキシ樹脂、水分散性に改質されるような樹脂(例えば、末端エポキシド基或いはジカルボン酸又は環状酸無水物をもつヒドロキシル基の反応によって)及びそれらの組み合わせを含む。コーティング組成物が熱硬化性となるように調剤される場合には、好適な硬化剤又は架橋剤がバインダに含まれる。エポキシ樹脂のための典型的な架橋剤は、限定されるものではないが、二無水物、ポリアミン、及びアミノホルムアルデヒド樹脂といったアミノ樹脂、ポリイソシアネート架橋剤、及びポリエポキシド(カルボキシル機能化樹脂のための)を含む。水性のコーティング組成物の場合には、架橋樹脂を水性の媒体に分散する前に、水分散性エポキシ樹脂と混合することができる。好ましい実施形態においては、架橋剤は非黄変である。非黄変コーティングは、外観が重要であるとき、又は、望ましい表面外観を与えるようにコーティングを着色するときのようないくつかの場合において望ましいものである。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「鉄製のフランジ付きボルト」は、本願発明1の「第1の物品」に相当する。
以下同様に、「耐熱マグネシウム合金部材」は、「第2の物品」に、
「耐熱マグネシウム合金部材と、該耐熱マグネシウム合金部材を締結する締結部材である鉄製のフランジ付きボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造」は、「2物品システム」に、
「耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルト」は、「2つの物品」に、
「鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆」することは、「第1の物品の表面にコーティング材を塗布するステップ」に、
「被覆層を形成した鉄製のフランジ付きボルトを、ボルト穴が形成された耐熱マグネシウム合金部材に締結すること」は、「第1の物品の表面を前記第2の物品の表面に接触させて固定するステップ」に、
「被覆する材料はエポキシ樹脂である」ことは、「コーティング材料は」「エポキシ材料である」ことに、それぞれ相当する。

イ 本願の明細書の段落【0024】の「2物品システムにおける感受性の高い物品のガルバニック腐食」との記載を参酌すると、本願発明1でいうところの「感受性の高い」ことは、ガルバニック腐食が生じやすいこと、すなわち電気的腐食(異種金属接触腐食)が生じやすいことを意味するといえる。
また、マグネシウム合金が電気的腐食が生じやすいことは、当業者にとって技術常識である。
そうすると、引用発明1の「マグネシウム合金部材の締結部分における電気的腐食の発生を未然に防止する方法」は、本願発明1の「2物品システムにおける感受性の高い物品の腐食を防止するための方法」に相当する。

ウ 本願の明細書の段落【0045】の「【図8】種々の一般に使用される材料の相対的な陽極指数を示す表である。」との記載、段落【0071】の「2つの物品は、物品が電解質の存在下にあるときにガルバニック腐食が起こり得るような異なる電極電位(陽極指数)を有する。」との記載、及び本願の図面の【図8】の記載、並びに金属の腐食電位に関する技術常識を考慮すれば、本願発明1でいうところの「陽極指数」が異なることは、「腐食電位」が異なることに等しい。
そうすると、引用発明1の「異なる腐食電位を有し」ていることは、本願発明1の「異なる陽極指数を有し」ていることに相当する。

エ 引用文献1(前記「第3 1」の「(4)」?「(6)」を参照。)の段落【0035】の「被覆樹脂の硬化する温度以上になるように熱処理を行い焼き付け塗布して被覆層を形成することが出来る。」、段落【0040】の「熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂を塗布したフランジ付き鉄製ボルトは、加熱炉に入れ、各樹脂の硬化温度に加熱して被覆層を形成した。」、及び段落【0052】の「エポキシ樹脂を用いたものは熱処理して焼き付け塗布した」との記載を参酌すると、引用発明1のエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であることが分かる。
そうすると、引用発明1の鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆したものについて、「熱処理して焼き付け塗布すること」は、本願発明1の「第1の物品の表面上の前記コーティング材を硬化させるステップ」に相当する。

オ 以上のことから、本願発明1と引用発明1とは次の点で一致する。
「2物品システムにおける感受性の高い物品の腐食を防止するための方法であって、前記2物品システムにおける第1の物品及び第2の物品は、互いに面する表面を有しており、前記2つの物品は、異なる陽極指数を有しており、
前記第1の物品の表面にコーティング材を塗布するステップと、
前記第1の物品の表面上の前記コーティング材を硬化させるステップと、
前記第1の物品の表面を前記第2の物品の表面に接触させて固定するステップと
を含み、
前記コーティング材料は、エポキシ材料である、2物品システムにおける感受性の高い物品の腐食を防止するための方法。」

カ 一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
2つの物品に関して、本願発明1においては、「2つの物品は、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないのに対して、
引用発明1においては、耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは、電位差腐食試験としてJIS Z2371に基づく塩水噴霧試験において、通常の鉄製ボルトで耐熱マグネシウム合金部材を締結したものの塩水噴霧による電位差腐食量よりも、鉄製ボルトの頭部に固体潤滑剤を含んだ被覆層を形成されたコートボルトを締結した耐熱マグネシウム合金部材の腐食量は低減されてはいるものの、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さないか否かは、明らかでない点。

[相違点2]
コーティング材料であるエポキシ材料に関して、本願発明1においては、コーティング材料は、「コーティング中に架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成する」ものであるのに対して、
引用発明1においては、被覆する材料であるエポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂であるものの(熱硬化性樹脂であることについては前記「エ」を参照。)、コーティング中に架橋結合するとは、特定されていない点。

(2)判断
[相違点2]について
先に相違点2について検討する。
本願の明細書の段落【0058】には、「種々の例では、熱硬化性コーティングは、エポキシ樹脂材料又はポリエポキシド材料などのエポキシ材料を含む。熱硬化性コーティングのエポキシ樹脂材料は、触媒による単独重合によりそれ自体と、又は多官能性アミン類、酸類(及び酸無水物類)、フェノール類、アルコール類及びチオール類を含む広範囲の共反応物と、のいずれかにおいて反応(架橋)させてもよい。これらの共反応物は、ハードナー又は硬化剤であってもよく、架橋反応は、『硬化(curing)』と呼ばれることもある。」と記載されており、当該記載に鑑みれば、本願発明1でいうところのエポキシ材料の「架橋」とは、エポキシ材料が熱硬化することを意味するといえる。
一方、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂において、熱硬化が架橋結合することに等しいといえることは、例えば引用文献2(前記「第3 2」を参照。)に示されるように、本願の優先日前に周知の事項である。
そうすると、引用発明1においては、被覆する材料であるエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であるから、これを熱処理して焼き付け塗布し硬化することは、被覆層を形成する工程において架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成することに等しく、引用発明1は実質的に相違点2に係る構成を有しているといえる。
仮に引用発明1のエポキシ樹脂の熱硬化が架橋結合以外の硬化であったとしても、上述の引用文献2に記載のとおり架橋による熱硬化性のエポキシ樹脂は本願優先日前に周知の事項であるから、引用発明1のエポキシ樹脂を、コーティング中に熱硬化させることにより架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成するようにし、結果的に「コーティング中に架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成するエポキシ材料」として相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、周知の事項から当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点1]について
次に、相違点1について検討する。
本願発明1においては、「標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないための具体的な構成として、「前記第1の物品の表面にコーティング材を塗布するステップと、前記第1の物品の表面上の前記コーティング材を硬化させるステップ」を含んでいること、及び「前記コーティング材料は、コーティング中に架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成するエポキシ材料である」ことの、二つの事項を特定しているにすぎず、それ以外に、例えば第1の物品の材質、第2の物品の材質、エポキシ材料の具体的な成分、及びコーティング材の厚さ等について特定しているものではなく、また、上記の具体的な構成が本願の明細書中に記載されているものでもない。
ここで、上記二つの事項のうち、一方の「前記第1の物品の表面にコーティング材を塗布するステップと、前記第1の物品の表面上の前記コーティング材を硬化させるステップ」を含んでいることは、引用発明1も備えている構成であり、また、他方の「前記コーティング材料は、コーティング中に架橋結合して架橋エポキシコーティングを形成するエポキシ材料である」ことは、前述の「[相違点2]について」において示したように、引用発明1が備えているか、または周知の事項から当業者が容易に想到し得たことである。

そして、引用文献1(前記「第3 1(4)」を参照。)の段落【0033】には、「被覆樹脂は、フェノール樹脂、或いはポリイミド樹脂を主成分とする。マグネシウム合金部材が耐熱マグネシウム合金部材の場合はエポキシ樹脂でもよい。上記樹脂は、樹脂強度が高く繰り返し使用に対して樹脂割れが起こりにくい。また冷熱繰り返し使用に対しても樹脂割れが起こりにくい。そのため上記被覆樹脂を被覆した締結部材は長期間にわたって電食防止性能が持続する。また上記樹脂は密着性に優れ、締結部材から剥離しにくい。」と記載され、耐熱マグネシウム合金部材の場合には、エポキシ樹脂を用いると、長期間にわたって電食防止性能が持続すること等が示唆されており、
また、引用文献1(前記「第3 1(4)」を参照。)の段落【0036】には、「被覆層の厚さは、被覆層の強度及び密着性の面から2μm以上800μm以下が好ましい。更に10μm以上100μm以下がより好ましい。」と記載され、被覆層の強度及び密着性の観点から、被覆層の適切な厚さが示唆されており、
更に、引用文献1(前記「第3 1(7)」を参照。)の段落【0067】には、「図7にみられるように、アルミニウムは含有量が増えることによってマグネシウム合金板の電位差腐食による腐食量が大幅に低減した。」と、段落【0068】には、「また図8に見られるように、カルシウム又はストロンチウムが含有されることによってマグネシウム合金板の電位差腐食による腐食量は低減するが、含有量を増やしても大幅な電位差腐食による腐食量の低減は見られなかった。」と、段落【0069】には、「図7、図8から、耐熱マグネシウム合金に含まれる他の元素の電位差腐食を抑制するのに最適な含有量は、該合金部材の全体を100質量%とした場合、アルミニウムを3質量%以上12質量%以下、カルシウムを0.5質量%以上3質量%以下及びストロンチウムを0.1質量%以上1質量%以下であることがわかった。」と、段落【0070】には、「またマグネシウム合金の強度等からより好ましい含有量は、該合金部材の全体を100質量%とした場合、アルミニウムを5質量%以上10質量%以下、カルシウムを1質量%以上4質量%以下及びストロンチウムを0.3質量%以上1.0質量%以下である。」と、それぞれ記載され、マグネシウム合金に、アルミニウム、カルシウム、及びストロンチウムを添加することにより、電位差腐食による腐食量が低減すること、並びにこれらの適切な添加量について示唆されている。
ここで、長期間にわたり電位差腐食が少ない方が望ましいことは、当業者にとって周知の課題であり、また、腐食に関する評価試験として、どのような試験方法を用いるかは、要求される性能及び使用環境に応じて、当業者が必要に応じて適宜選択する事項である。
そうすると、引用発明1において、電位差腐食を少なくするために、被覆層の厚さ、並びに耐熱マグネシウム合金へのアルミニウム、カルシウム、及びストロンチウムの添加量を適宜選択し、できうる限り電位差腐食を少なくするようにして、耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトが、「標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないようにすることにより、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明1が奏する作用効果は、引用発明1及び周知の事項から当業者であれば予測できた程度のものであって、格別のものとはいえない。
以上のことから、本願発明1は、引用発明1及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 本願発明12について
(1)対比
本願発明12と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「鉄製のフランジ付きボルト」は、本願発明12の「第1の物品」に相当する。
以下同様に、「耐熱マグネシウム合金部材」は、「第2の物品」に、
「耐熱マグネシウム合金部材と、該耐熱マグネシウム合金部材を締結する締結部材である鉄製のフランジ付きボルトとを備えるマグネシウム合金部材の締結構造」は、「2物品システム」に、
「耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルト」は、「2つの物品」に、それぞれ相当する。

イ 前記「1(1)ウ」に示したとおり、本願発明12でいうところの「陽極指数」が異なることは、「腐食電位」が異なることに等しい。
そうすると、引用発明2の「異なる腐食電位を有し」ていることは、本願発明12の「異なる陽極指数を有し」ていることに相当する。

ウ 引用発明2においては、「鉄製のフランジ付きボルトは、前記鉄製のフランジ付きボルトの頭部に固体潤滑剤を分散させた樹脂をディッピング方式で被覆し、熱処理して焼き付け塗布されて被覆層を形成して」おり、この被覆層となる樹脂は「エポキシ樹脂」である。
ここで、前記「1(1)エ」に示した理由と同様の理由から、引用発明2のエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂である。
そうすると、引用発明2は、本願発明12の「第1の物品の表面は、該第1の物品の表面上でコーティング材を硬化することによって形成されたコーティング層を含」むことに相当する構成を備えている。

エ 引用発明2においては、「被覆層はエポキシ樹脂を熱処理して焼き付け塗布されたものである」から、引用発明2は、本願発明12の「コーティング材料は」、「エポキシコーティング」であることに相当する構成を備えている。

オ 以上のことから、本願発明12と引用発明2とは次の点で一致する。
「2物品システムであって、該2物品システムの第1の物品及び第2の物品は、互いに面する表面を有しており、前記2つの物品は異なる陽極指数を有し、
前記第1の物品の表面は、該第1の物品の表面上でコーティング材を硬化することによって形成されたコーティング層を含み、
前記第1の物品の表面は、前記第2の物品の表面と接触して固定されており、
前記コーティング材料は、エポキシコーティングである、2物品システム。」

カ 一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点3]
2つの物品に関して、本願発明12においては、「2つの物品は、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないのに対して、
引用発明2においては、耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトは、電位差腐食試験としてJIS Z2371に基づく塩水噴霧試験において、通常の鉄製ボルトで耐熱マグネシウム合金部材を締結したものの塩水噴霧による電位差腐食量よりも、鉄製ボルトの頭部に固体潤滑剤を含んだ被覆層を形成されたコートボルトを締結した耐熱マグネシウム合金部材の腐食量は低減されてはいるものの、標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さないか否かは、明らかでない点。

[相違点4]
コーティング材料であるエポキシコーティングに関して、本願発明12においては、「架橋」されたものであるのに対して、
引用発明2においては、被覆層はエポキシ樹脂を熱処理して焼き付け塗布されたものであるものの、当該エポキシ樹脂の被覆層が架橋されているとは、特定されていない点。

(2)判断
[相違点4]について
先に相違点4について検討する。
前記「1(1)エ」に示した理由と同様の理由から、引用発明2のエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であることが分かる。
そうすると、前記「1(2)[相違点2]について」に示した理由と同様の理由から、引用発明2は実質的に相違点4に係る構成を有しているということができる。また、引用発明2において、エポキシ樹脂を熱処理して焼き付け塗布されたものである被覆層を、架橋されたものとして、結果的に「架橋エポキシコーティング」として相違点4に係る本願発明12の構成とすることは、周知の事項から当業者が容易に想到し得たことでもある。

[相違点3]について
相違点3は、相違点1と実質的に同じである。
そして、本願発明12においては、「標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないための具体的な構成として、「第1の物品の表面は、該第1の物品の表面上でコーティング材を硬化することによって形成されたコーティング層を含」んでいること、及び「前記コーティング材料は、架橋エポキシコーティングである」ことの、二つの事項を特定しているにすぎず、それ以外に、例えば第1の物品の材質、第2の物品の材質、エポキシ材料の具体的な成分、及びコーティング材の厚さ等について特定しているものではなく、また、上記の具体的な構成が本願の明細書中に記載されているものでもない。
ここで、上記二つの事項のうち、一方の「第1の物品の表面は、該第1の物品の表面上でコーティング材を硬化することによって形成されたコーティング層を含」んでいることは、引用発明2も備えている構成であり、また、他方の「前記コーティング材料は、架橋エポキシコーティングである」ことは、前述の「[相違点4]について」において示したように、引用発明2が備えているか、または周知の事項から当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、前記「1(2)[相違点1]について」に示した理由と同様の理由から、引用発明2において、耐熱マグネシウム合金部材及び鉄製のフランジ付きボルトが、「標準規格GMW17026下での15年シミュレーション試験後における腐食環境への曝露後、実質的に腐食を呈さ」ないようにすることにより、相違点3に係る本願発明12の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明12が奏する作用効果は、引用発明2及び周知の事項から当業者であれば予測できた程度のものであって、格別のものとはいえない。
以上のことから、本願発明12は、引用発明2及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明1(請求項1に係る発明)は、引用発明1及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
また、本願発明12(請求項12に係る発明)は、引用発明2及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2019-10-23 
結審通知日 2019-10-29 
審決日 2019-11-11 
出願番号 特願2017-540560(P2017-540560)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B05D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 葛原 怜士郎佐々木 佳祐  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 内田 博之
小関 峰夫
発明の名称 熱硬化性コーティングを有する物品及びコーティング方法  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  

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