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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01M
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01M
審判 全部申し立て 特174条1項  H01M
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01M
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01M
管理番号 1371670
異議申立番号 異議2020-700045  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-01-29 
確定日 2020-12-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6555400号発明「フルオロスルホン酸リチウム、非水系電解液、及び非水系電解液二次電池」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6555400号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1?3,5?16〕について訂正することを認める。 特許第6555400号の請求項1ないし3及び5ないし16に係る特許を維持する。 特許第6555400号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6555400号(以下「本件特許」という。)の請求項1?16についての出願は,平成24年 4月13日(優先権主張平成23年 4月13日)の出願1(特願2012-92111号)の一部を平成28年 2月10日に新たな出願2(特願2016-23960号)とし,その一部を平成29年 4月13日に新たな出願3(特願2017-79873号)とし,更にその一部を平成30年 7月24日に新たな出願(特願2018-138133号)としたものであって,令和 1年 7月19日にその特許権の設定の登録がされ,同年 8月 7日に特許掲載公報が発行された。
その後,令和 2年 1月29日に,特許異議申立人 松永健太郎(以下「申立人」という。)により,請求項1?16に係る特許に対して特許異議の申立てがされ,同年 6月29日付けで取消理由が通知され,同年 8月31日に特許権者より意見書の提出及び訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたものである。なお,それらに対して申立人による意見書の提出はされなかった。

第2 訂正請求について
1 訂正の趣旨,及び,訂正の内容
(1)訂正の趣旨
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は,特許第6555400号の特許請求の範囲を令和 2年 8月31日付の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?16について訂正を求めるものであり,その内容は以下のとおりである。

(2)訂正の内容
ア 訂正事項1
請求項1において,
本件訂正前の「非水系電解液中の硫酸イオンの含有量が、」を
本件訂正後の「非水系電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が、0.0005mol/L以上0.5mol/L以下であり、硫酸イオンの含有量が、」と訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同じ。)。
請求項1を引用する請求項2?16も同様に訂正する。

イ 訂正事項2
請求項1において,
本件訂正前の「負極活物質を含む、非水系電解液二次電池。」を
本件訂正後の「負極活物質を含み、前記非水系電解液がフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩を含有する、非水系電解液二次電池。」と訂正する。
請求項1を引用する請求項2?16も同様に訂正する。

ウ 訂正事項3
(ア)請求項4において,本件訂正前の請求項4を削除する。
(イ)請求項5において,本件訂正前の「請求項4に記載の」を,本件訂正後の「請求項1?3のいずれか一項に記載の」と訂正する。
(ウ)請求項6において,本件訂正前の「請求項1?5の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5の何れか一項に記載の」と訂正する。
(エ)請求項8において,本件訂正前の「請求項1?7の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5?7の何れか一項に記載の」と訂正する。
(オ)請求項10において,本件訂正前の「請求項1?9の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5?9の何れか一項に記載の」と訂正する。
(カ)請求項12において,本件訂正前の「請求項1?11の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5?11の何れか一項に記載の」と訂正する。
(キ)請求項14において,本件訂正前の「請求項1?13の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5?13の何れか一項に記載の」と訂正する。
(ク)請求項16において,本件訂正前の「請求項1?15の何れか一項に記載の」を,訂正後の「請求項1?3、5?15の何れか一項に記載の」と訂正する。

2 訂正の適否について
(1)一群の請求項について
本件訂正によって,本件訂正前の請求項1を引用する請求項2?16が連動して訂正されるから,本件訂正前の請求項1?16は一群の請求項であるところ,本件訂正請求は,上記一群の請求項についてされたものであるから,特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
そして,本件訂正は,請求項間の引用関係の解消を目的とするものではなく,特定の請求項に係る訂正事項について別の訂正単位とする求めもないから,本件訂正請求は,訂正後の請求項〔1?16〕を訂正単位として訂正の請求をするものである。

(2)訂正目的・新規事項の有無・特許請求の範囲の拡張又は変更について
ア 訂正事項1は,請求項1において,非水系電解液中の「フルオロスルホン酸リチウム」の「モル含有量」が「0.0005mol/L以上0.5mol/L以下」であることを特定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして,上記特定事項は,本件特許明細書の段落【0022】の記載を根拠とするものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
よって,訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2は,請求項1において,非水系電解液が「フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩」を含有することを特定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして,上記特定事項は,本件特許明細書の段落【0021】の記載を根拠とするものであるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり,かつ,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
よって,訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3のうち,(ア)は,請求項4を削除するものであり,(イ)は,請求項4を引用する請求項5において,請求項4が「請求項1?3の何れか一項」を引用していたことを根拠に,「請求項1?3のいずれか一項」を引用するものに変更するものであり,(ウ)?(ク)はいずれも,請求項4を引用する請求項6,8,10,12,14及び16において,請求項4の引用を削除するものである。
よって,訂正事項3はいずれも,特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,かつ,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)独立特許要件について
本件においては,訂正前の全ての請求項1?16について特許異議の申立てがされているので,特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の規定は適用されない。

3 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり,令和 2年 8月31日に特許権者が行った本件訂正請求による本件訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項,第6項の規定に適合するので,訂正後の請求項〔1?16〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり,本件訂正は適法なものであるから,本件特許の請求項1?16に係る発明(以下,各々「本件発明1」?「本件発明16」という。)は,訂正特許請求の範囲に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。
「【請求項1】
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに非水系電解液が外装ケースに封入された非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液は、フルオロスルホン酸リチウム及び硫酸イオンを含有し、非水系電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が、0.0005mol/L以上0.5mol/L以下であり、硫酸イオンの含有量が、1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下であり、かつ該負極が集電体上に負極活物質層を有し、該負極活物質層は、炭素質材料を含有する負極活物質を含み、前記非水系電解液がフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩を含有する、非水系電解液二次電池。
【請求項2】
前記負極活物質層を形成する負極材中における負極活物質の含有量が70質量%以上である、請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質層がバインダーを含む、請求項1または2に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩がLiPF_(6)及びLiPB_(4)の少なくとも一方である、請求項1?3のいずれか一項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項6】
前記非水系電解液がフッ素原子を有する環状カーボネートを含有する請求項1?3、5の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項7】
前記フッ素原子を有する環状カーボネートが非水系電解液中に0.001質量%以上85質量%以下含有されている、請求項6に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項8】
前記非水系電解液が炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、請求項1?3、5?7の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項9】
前記炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが非水系電解液中に0.001質量%以上10質量%以下含有されている、請求項8に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項10】
前記非水系電解液が環状スルホン酸エステルを含有する、請求項1?3、5?9の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項11】
前記環状スルホン酸エステルの非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上10質量%以下である、請求項10に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項12】
前記非水系電解液がシアノ基を有する化合物を含有する、請求項1?3、5?11の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項13】
前記シアノ基を有する化合物の非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上10質量%以下である、請求項12に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項14】
前記非水系電解液がジイソシアネート化合物を含有する請求項1?3、5?13の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項15】
前記ジイソシアネート化合物の非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上5質量%以下である、請求項14に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項16】
前記非水系電解液がリチウムオキサラート塩類を含有する、請求項1?3、5?15の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。」

第4 特許異議の申立ての理由,取消理由の概要
1 申立理由
申立人は,証拠方法として,下記甲第1,2号証を提出して,以下の申立理由1?5により,訂正前の請求項1?16に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

(証拠方法)
甲第1号証 特開2012-230897号公報
甲第2号証 特開2008-91196号公報

(1)申立理由1(新規事項)
本件特許に係る出願について平成30年 8月30日付けでした段落【0007】の手続補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,本件特許は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり,第113条第1号に該当する。

(2)申立理由2(新規性),申立理由3(進歩性)
本件特許に係る出願は分割の要件を満たしていないから,その出願日は遡及せず,現実の出願日が適用される。
そして,当該現実の出願日前に公開された甲第1号証(当審注:上記第1の出願1の公開公報。)には,訂正前の請求項1?16に係る発明がすべて記載されており,新規性及び進歩性を有しないから,本件特許は,特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反してされたものであり,第113条第2号に該当する。

(3)申立理由4(サポート要件)
訂正前の請求項1?16に係る発明は,課題を解決することのできない発明を含んでおり,発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから,本件特許は,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,第113条第4号に該当する。

(4)申立理由5(実施可能要件)
本件特許明細書の発明の詳細な説明には,フルオロスルホン酸リチウム中の硫酸イオンの濃度を低減する具体的な製造方法が記載されておらず,また,製造された非水系電解液中の硫酸イオンの濃度を確認するための濃度の測定方法も不明であって,訂正前の請求項1?16に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから,本件特許は,発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,第113条第4号に該当する。

2 取消理由
当審は,申立理由を採用せず,職権で以下の取消理由(サポート要件)を通知した。
(1)「フルオロスルホン酸リチウム」の濃度を特定しない訂正前の請求項1?16に係る発明は,発明が解決しようとする課題を達成できない態様まで含み,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるから,本件特許は,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,第113条第4号に該当する。

(2)LiPF_(6)のような「フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩」を特定しない訂正前の請求項1?16に係る発明は,発明が解決しようとする課題を達成できない態様まで含み,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるから,本件特許は,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,第113条第4号に該当する。

第5 当審の判断
当審は,本件訂正請求が認められたことにより上記取消理由は解消されたので,申立人による申立理由及び当審による取消理由のいずれによっても,本件訂正後の本件特許を取り消すことはできないと判断する。以下,申立理由のうちサポート要件以外のもの(申立理由1?3,5)についてまず判断し,次いで,サポート要件(取消理由,申立理由4)について判断する。

1 申立理由1?3,5について
(1)申立理由1(新規事項)について
ア 本件特許に係る出願について平成30年 8月30日付けでした手続補正の前後において,段落【0007】の記載は次のとおりである。

(ア)補正前の【0007】
「本発明の課題は、初期充電容量、入出力特性およびインピーダンス特性が改善されることで、初期の電池特性と耐久性のみならず、耐久後も高い入出力特性およびインピーダンス特性が維持される非水系電解液二次電池をもたらすことができる非水系電解液用の添加剤ならびに非水系電解液を提供することにあり、また、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することにある。」

(イ)補正後の【0007】(下線は変更箇所を示す。)
「本発明の課題は、初期の電池特性と耐久性に優れた非水系電解液二次電池をもたらすことができる非水系電解液用の添加剤ならびに非水系電解液を提供することにあり、また、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することにある。」

イ 上記によれば,発明の課題についての「初期充電容量、入出力特性およびインピーダンス特性が改善されることで、初期の電池特性と耐久性のみならず、耐久後も高い入出力特性およびインピーダンス特性が維持される」との記載が,「初期の電池特性と耐久性に優れた」という記載になっているところ,「初期の電池特性と耐久性」を発明の課題として認識していることは,補正の前後において共通している。
そして,当初明細書等の実施例の記載(段落【0244】?【0273】)をみても,電池特性として初期放電容量とガス発生量が示されており,当該ガス発生量とは,充電状態の電池を高温保存した前後の体積変化を測定したものであり,電池の耐久性が測定されたものといえるから,発明の課題が「初期の電池特性と耐久性」に優れた非水系電解液二次電池に関するものであることは,当初明細書等に示されているといえる。
よって,申立理由1(新規事項)によって,本件特許を取り消すことはできない。

ウ 申立人は,当初明細書等に記載されていた「初期の電池特性と耐久性のみならず、耐久後も高い入出力特性およびインピーダンス特性が維持される」という課題を解決するために特許請求の範囲に記載された特定事項を課題解決手段としていた発明が,「初期の電池特性と耐久性に優れた」という課題を解決するために特許請求の範囲に記載された特定事項を課題解決手段とする発明に実質変更されている旨主張し,敷衍して,当初明細書等の記載からは,本件特許請求の範囲に記載された発明が,本来「初期の電池特性と耐久性に優れた…非水系電解液二次電池を提供する」ことを課題としていたことは全く読み取れず,また,当初明細書等の段落【0244】?【0273】において確認されている電池特性が初期放電容量とガス発生量のみであるからといって,「初期の電池特性と耐久性のみならず、耐久後も高い入出力特性およびインピーダンス特性が維持される」が当然に誤りであり,「初期の電池特性と耐久性に優れた」が正しいと当業者が解する余地もない旨を主張する。
しかしながら,実施例の記載(段落【0244】?【0273】)に徴して,当初明細書等が「初期の電池特性と耐久性」を発明の課題として認識していることは十分理解できるものである。また,当該実施例の記載と,当初明細書等の段落【0007】の記載との間に不整合があったとしても,それは新規事項の問題ではなくサポート要件の問題であるし,しかも,上記不整合は手続補正により解消したといえるものである。
よって,申立人の主張は採用できない。

(2)申立理由2(新規性),申立理由3(進歩性)について
ア 本理由は,本件特許が新規事項を含む補正をした出願についてされたものであって,本件特許に係る出願は分割の要件を満たしていないから,その出願日は現実の出願日が適用されるところ,当該現実の出願日前に公開された甲第1号証(当審注:上記第1の出願1の公開公報。)には,請求項1?16に係る発明がすべて記載されており,新規性進歩性を有しないというものである。

イ しかしながら,本件特許が新規事項を含む補正をした出願についてされたものでないことは上記(1)で検討したとおりである。そうすると,本件特許に係る出願は分割の要件を満たしており,その出願日が遡及せず現実の出願日が適用されるということはないから,本件発明1?16に係る新規性進歩性の判断の根拠として,甲第1号証を採用することはできない。
よって,申立理由2(新規性)及び申立理由3(進歩性)によって,本件特許を取り消すことはできない。

(3)申立理由5(実施可能要件)について
ア 本理由は,本件特許に係る原出願(上記第1の出願3)に係る特許に対する特許異議の申立て(当審注:特許異議申立人は,本件特許における申立人と同一である。)における理由3(実施可能要件)と同様である。
そして,申立人は,上記理由3に対し,特許権者が令和 1年 8月19日付けで提出した意見書を引用して,フルオロスルホン酸リチウムの精製方法は,明細書に記載されていないばかりか,出願時公知でもなく,また,精製方法が「周知技術から容易に理解すること」ができたとしても,適用されている技術が周知技術とは言えないことは明らかである旨,更に,硫酸イオン等のような極微量のイオンを液体クロマトグラフィーにより測定することは困難であることが当業界における技術常識であり,具体的な測定法も何ら示されておらす,分析方法は依然として不明である旨主張する(特許異議申立書16?17頁)。

イ この点について,上記意見書の第2(2)理由2(c)(第28?34頁)の説明を参照すると,いずれも本件特許に係る出願の分割に係る原出願の出願日後に公知となったものではあるが,特開2012-218985号公報(乙19)には,塩化リチウムとフルオロスルホン酸(フルオロ硫酸)を原料として炭酸ジメチル中で反応させ,炭酸ジメチルを蒸留留去することにより,硫酸イオン及び塩化物イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムの粉末が得られるが,この粉末を炭酸ジメチルに60℃で加熱攪拌して溶解させ,溶け残った微量の粉末をメンブレンフィルターで濾別し,冷却して再結晶を行う精製工程を繰り返して行うことによって,塩化物イオンを硫酸イオンの含有濃度以下に低減しうることが記載されている(段落【0056】?【0063】,下記(ア)参照。)。また,特開2012-232888号公報(乙20)には,酢酸リチウムとフルオロスルホン酸(フルオロ硫酸)を原料として炭酸ジメチル中で反応させ,炭酸ジメチルを蒸留留去し,カルボン酸を除去することにより,硫酸イオン及び酢酸イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムの溶液が得られるが,これに45℃で炭酸ジメチルを加えて得られた溶液を,メンブレンフィルターで濾過し,冷却して再結晶を行う精製工程を繰り返して行うことによって,酢酸イオンと硫酸イオンを同程度の濃度に低減しうることが記載されている(段落【0057】?【0060】,下記(イ)参照。)。

(ア)特開2012-218985号公報(乙19)
「【0056】
(実施例1)
<反応>
乾燥窒素気流下、200mlのPFA製四口フラスコに塩化リチウム4.4g (103.5mmol)を量り取り、炭酸ジメチル125mlを加えた。この溶液を氷浴中で攪袢しながらフルオロスルホン酸5ml(8.63g、86.24mmol)を約10分かけてと滴下した。滴下前に10℃であった液温は、酸の滴下により発熱し20℃まで昇温されたが、滴下終了後に速やかに元の温度に戻った。滴下に伴い、炭酸ジメチルに難溶である塩化リチウムが溶解した。氷水浴にて冷却しながら2時間撹拌した後、氷水浴を外し室温環境下にて1時間攪袢した。反応終了後の溶液からメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて過剰の塩化リチウムを濾別した。
【0057】
<濃縮>
上記反応溶液から約10kPa、40℃で炭酸ジメチルを100ml蒸留留去し、この溶液を放置することで白色粉末を得た。
NMR分析結果から得られた粉末はフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.30mol/kg、塩化物イオン0.56mol/kgを含んでいた。
【0058】
<再結晶1>
得られた、粗生物を乾燥不活性ガス雰囲気化、50mlの炭酸ジメチルに分散させ、60℃で30分間加熱撹拌することで溶解させた。溶け残った微量の粉末をメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて濾別した。得られた濾液を室温まで放冷の後、5℃にて10時間静置し。無色の結晶を得た。
【0059】
NMR分析結果から得られた粉末はフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.12mol/kg、塩化物イオン0.11mol/kgを含んでいた。
フルオロスルホン酸リチウムの収量は4.9g。再結晶の収率は72%、操作全体を通しての収率は54%であった。
【0060】
<再結晶2>
このフルオロスルホン酸リチウムを再度同様の方法で再結晶を実施したところ、硫酸イオン0.062mol/kg、塩化物イオン0.056mol/kgを含むフルオロスルホン酸リチウムを収量3.5g得た。この操作での収率は71%、操作全体を通しての収率は39%であった。
【0061】
(実施例2)
<濃縮>工程までは実施例1記載の方法と同様に実施した。
<再結晶1>
得られた、粗生物を乾燥不活性ガス雰囲気化、50mlの炭酸ジメチルに分散させ、140μL(塩化物イオンに対して1.2mol倍量)の純水を加えた後、60℃で30分間加熱撹拌することで溶解させた。溶け残った微量の粉末をメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて濾別した。得られた濾液を室温まで放冷の後、5℃にて10時間静置し。無色の結晶を得た。
【0062】
NMR分析結果から得られた粉末は実施例1と同様にフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.083mol/kg、塩化物イオン0.0011mol/kgを含んでいた。
<再結晶2>
このフルオロスルホン酸リチウムを実施例1と同様の純水を添加しない方法で再度再結晶を実施したところ、硫酸イオン0.062mol/kg、塩化物イオン0.00056mol/kgを含むフルオロスルホン酸リチウムを収量2.58g得た。操作全体を通しての収率は29.8%であった。
【0063】
<脱炭酸ジメチル>
得られたフルオロスルホン酸リチウムを真空容器内に入れ、100Paまで減圧後、40℃に加熱しながら4時間放置したところ、炭酸ジメチルの比率は1.3mol%であった。」

(イ)特開2012-232888号公報(乙20)
「【0057】
(実施例2)
<反応工程>
乾燥窒素気流下、500mlのPFA製四口フラスコに酢酸リチウム7.9g(120.1mmol)を量り取り、炭酸ジメチル250mlを加えた。この溶液を水浴中で攪袢しながらフルオロスルホン酸5.43ml(10.0g、100mmol)を約10分かけて滴下した。滴下前に25℃であった液温は、酸の滴下により発熱し30℃まで昇温されたが、滴下終了後に速やかに元の温度に戻った。滴下に伴い、炭酸ジメチルに難溶である酢酸リチウムが溶解した。水浴にて1時間撹拌した。
【0058】
<反応工程時に用いた非水溶媒を取り除く工程>
上記反応溶液を浴温45℃にて減圧度を制御しながら炭酸ジメチルを約220ml蒸留留去し、脱水された不活性ガスにて大気圧に復圧後、300mlの炭酸ジエチルを加えた。この溶液からメンブレンフィルター(PTFE製、公称孔径0.5μm)を用いて過剰の酢酸リチウムを濾別した。
【0059】
<カルボン酸を除去する工程>
上記溶液をトートクエンジ社製のHelipackNo.2を充填した10cmの精留塔を用いて、浴温45℃にて、減圧度を制御しながら、残りの炭酸ジメチルと炭酸ジエチルを炭酸ジエチルが残り約10mlとなるまで留去した。
【0060】
<精製工程>
脱水された不活性ガスにて大気圧に復圧後、浴温45℃を保ちながら、炭酸ジメチルを40ml加えた。得られた溶液を、脱水された不活性ガス雰囲気下、メンブレンフィルター(PTFE製、公称孔径0.5μm)を用いて熱時漉過を行い、溶液を不活性ガス雰囲気下で徐々に4℃まで冷却したところ、白色結晶が得られた。収率は66%、硫酸イオンの含量は0.01mol/kg以下、酢酸イオンの含量は0.001mol/kg以下であった。さらに、得られた固体を45℃にて50mlのDMCに溶解し、同様の工程を実施したところ、90%の回収率で、硫酸イオン・酢酸イオン共に0.001mol/kg以下の白色結晶を得た。」

ウ したがって,乙19や乙20を参照すると,塩化物イオンや酢酸イオンと硫酸イオンを含有したフルオロスルホン酸リチウムは,熱濾過や再結晶を繰り返すことで精製可能であることが理解され,ここで使用された熱濾過や再結晶という操作自体は有機合成における基本的な操作であって,これらの操作を行うことでフルオロスルホン酸リチウムを精製できることは,本件発明に係る出願の優先日前における当業者の技術常識といえる。
してみると,本件発明1?16のように,非水系電解液中の硫酸イオンの含有量が,1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下に低減されていれば,フルオロスルホン酸リチウムの製造工程において塩化物イオンや酢酸イオンが混入する場合であっても,不純物である塩化物イオンや酢酸イオンは,硫酸イオンと同程度かそれ以下に低減されているとみなすことができる。
よって,フルオロスルホン酸リチウム中の硫酸イオンの濃度を低減する具体的な方法については,本件発明1?16に係る出願の優先日前における技術常識である上記精製工程を行うことによって,当業者が過度の試行錯誤をすることなく実施可能であるといえる。

エ また,特許権者が提出した上記アの意見書の第3(1)(c)(第34?35頁)を参照すると,非水系電解液中の硫酸イオンの濃度の分析は,一般的な液体クロマトグラフィー等の周知の手法を利用することができると説明されている。そして,液体クロマトグラフィーであるHPLC(高速液体クロマトグラフィー)は,装置構成や分析条件を設定することにより,%からpptオーダーの分析感度とし得るものであり,例えば,検出器として質量分析計を用いれば,最小検出感度が10^(-14)gと極微量の検出が可能であることも技術常識であるといえる(Thermo Fisher Scientific のHP「初心者必見!知っておきたいHPLCの基礎」,https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/hplc_basic/#HPLC-6 参照。)。

オ したがって,本件特許の発明の詳細な説明には,フルオロスルホン酸リチウム中の硫酸イオンの濃度を「1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下」の範囲に低減する具体的な製造方法や,非水系電解液中の硫酸イオンの濃度が上記範囲にあることを確認するための具体的な測定方法については記載されていないけれども,上記ウ,エに記載した事項が本件発明に係る出願の優先日前において技術常識であったことを勘案すれば,硫酸イオンの濃度が「1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下」であるフルオロスルホン酸リチウムを含有する非水系電解液を調製することは,当業者が過度の試行錯誤をすることなく実施可能であるといえる。
よって,申立理由5(実施可能要件)によって,本件特許を取り消すことはできない。

2 取消理由及び申立理由4(サポート要件)について
(1)発明の詳細な説明の記載
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には,次の記載がある。下線は当審が付した。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、特定量のカルボン酸が含まれるフルオロスルホン酸リチウム、特定量のハロゲン元素が含まれるフルオロスルホン酸リチウム、特定量の硫酸イオン分が含まれるフルオロスルホン酸リチウム、これらフルオロスルホン酸リチウムを含有する非水系電解液、及び非水系電解液二次電池に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、初期の電池特性と耐久性に優れた非水系電解液二次電池をもたらすことができる非水系電解液用の添加剤ならびに非水系電解液を提供することにあり、また、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することにある。」
「【発明を実施するための形態】
【0011】(略)
【0012】
<フルオロスルホン酸リチウム>
フルオロスルホン酸リチウムを電池等に用いた場合により高い性能を示す為に、純度は高いことが好ましい。
その中でも、例えばカルボン酸リチウムを用いて製造した場合、電池内で容易に酸化されるカルボン酸イオンが電解液中に溶解しないように除去されていることが電池特性を制御する上で望ましい。これは、水に溶かした際のカルボン酸イオン量を測定することで確認が出来る。
【0014】
また、電池内で容易に酸化されるハロゲン化物イオン、電池内に混入する微量の水で容易にハロゲン化物イオンを生成する化学種、又は、電池内の反応によってハロゲン化物イオンを生成する可能性のある、ハロゲン元素を有する化合物が電解液中に溶解しないように除去されていることが電池特性を制御する上で望ましい。これは、水に溶かした際のハロゲン化物イオン量を測定することで確認が出来る。一方、極微量のハロゲン化物塩を混入させると電池の性能が向上することも知られている。
【0017】
また、本発明は、特定量の硫酸イオン分を含有するフルオロスルホン酸リチウムに関する。硫酸イオンは、例えば、上記ハロゲン化リチウムを用いてフルオロスルホン酸リチウムを製造する際に副生することがある。硫酸イオンは、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、硫酸のいずれの形態で含有していてもよい。本発明のフルオロスルホン酸リチウムは、硫酸イオン分のモル含有量が、フルオロスルホン酸リチウムの重量に対して下限値として、1.0×10^(-5)mol/kg以上であり、好ましくは5.0×10^(-5)mol/kg以上、より好ましくは1.0×10^(-4)mol/kg以上である。また、フルオロスルホン酸リチウム中に含有する硫酸イオン分のモル含有量が、上限値として、2.5×10^(-1)mol/kg以下であり、好ましくは2.0×10^(-1)mol/kg以下、より好ましくは1.5×10^(-1)mol/kg以下である。硫酸イオン分のモル含有量が上記範囲内にあることにより、電解液に加えた際の電池内での硫酸イオン分の効果が十分に発現し、また、副反応による抵抗の増加を抑制する。
【0018】
また、フルオロスルホン酸リチウムを電解液中に含有する場合、非水系電解液中の硫酸イオンの含有量は、上限値としては、1.0×10^(-2)mol/L以下であり、好ましくは8.0×10^(-3)mol/L以下、より好ましくは5.0×10^(-3)mol/L以下、更に好ましくは1.0×10^(-3)mol/L以下、最も好ましくは5.0×10^(-4)mol/L以下である。一方で、下限値としては、1.0×10^(-7)mol/L以上であり、好ましくは5.0×10^(-7)mol/L以上、より好ましくは8.0×10^(-7)mol/L以上である。硫酸イオンのモル濃度が上記範囲内であると、耐久性がより発現し易くなる。また、上記値は、添加量から算出される値及び電解液を分析して、電解液中に含まれる含有量から適宜算出される値のうち少なくとも一方である。
【0019】
本発明のフルオロスルホン酸リチウムの合成及び入手の方法は、特に制限されず、いかなる方法を用いて合成されたものであっても、又は入手されたものであっても使用することができる。
ここで、フルオロスルホン酸リチウムの合成方法としては、例えば、フッ化リチウムやリチウムフッ化ケイ素化合物と三酸化硫黄やフルオロスルホン酸を反応させてフルオロスルホン酸リチウムを得る方法や、フルオロスルホン酸とリチウムを反応させてフルオロスルホン酸リチウムを得る方法、フルオロスルホン酸のアンモニウム塩とリチウムとを反応させてフルオロスルホン酸リチウムを得る方法、フルオロスルホン酸とカルボン酸リチウムとを反応させて、塩交換することによりフルオロスルホン酸リチウムを得る方法、フルオロスルホン酸とハロゲン化リチウムとを反応させて塩交換することによりフルオロスルホン酸リチウムを得る方法、クロロスルホン酸等の他のハロスルホン酸のように、容易にフッ素に置換される官能基を持つ置換スルホン酸リチウムをフッ素、フッ酸、フッ化カリウム等のフッ化物塩酸性フッ化カリウム等の酸性フッ化物塩、非金属無機フッ化物や有機フッ素化剤等でフッ素置換して得る方法、等が挙げられる。」
「【0021】
<1.非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、少なくとも、フルオロスルホン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩、及びこれらを溶解する非水系溶媒を含有するものである。
<1-1.フルオロスルホン酸リチウム>
本発明の非水系電解液に用いるフルオロスルホン酸リチウムは、前項に記載されたフルオロスルホン酸リチウムを用いることができる。
【0022】
本発明の非水系電解液においては、非水系電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が、下限値として、0.0005mol/L以上であり、0.01mol/L以上であることが好ましく、0.02mol/L以上であることがより好ましい。また、上限値として、0.5mol/L以下であり、0.45mol/L以下であることが好ましく、0.4mol/L以下であることがより好ましい。フルオロスルホン酸リチウムの濃度の範囲としては、0.0005mol/L以上0.5mol/L以下であり、0.01mol/L以上0.5mol/L以下が好ましく、0.01mol/L以上0.45mol/L以下がより好ましく、0.01mol/L以上0.40mol/L以下が特に好ましい。フルオロスルホン酸リチウムのモル濃度が上記範囲内であると、電池内部インピーダンスが低くなり、入出力特性や耐久性に優れる。」
「【0024】
<1-2.フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩>
本発明における非水系電解液は、特定量の硫酸イオン分を含有するフルオロ硫酸リチウムを含有するが、さらにその他のリチウム塩を1種以上含有することが好ましい。
その他のリチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば、特に制限はなく、具体的には以下のものが挙げられる。
【0025】
例えば、LiPF_(6)、LiBF_(4)、LiClO_(4)、LiAlF_(4)、LiSbF_(6)、LiTaF_(6)、LiWF_(7)等の無機リチウム塩;…(以下略)
(【0026】?【0027】 略)
【0028】
以上の中でも,…(中略)…LiPF_(6)が最も好ましい。
【0029】
本発明の非水系電解液においては、非水系電解液中のフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩の対アニオン種(例えば、フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩がLiPF_(6)の場合のPF_(6)^(‐))のモル含有量が、下限値としては、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.6mol/L以上であることがより好ましく、0.7mol/L以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、3.0mol/L以下であることが好ましく、2.0mol/L以下であることがより好ましく、1.5mol/L以下であることが特に好ましい。フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩の対アニオン種の濃度範囲としては、0.5mol/L以上3.0mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることがより好ましく、0.5mol/L以上1.5mol/L以下であることが更に好ましい。フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩の対アニオン種の濃度が上記範囲内であると、非水系電解液中の総イオン含有量が存在量と電解液の粘性が適度なバランスとなるため、イオン伝導度が低下することなく電池内部インピーダンスが低くなり、入出力特性の効果発現し易くなる。」
「【実施例】
【0244】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、任意に変形して実施することができる。
<実施例1?15、比較例1?9>(当審注:比較例については,以下の記載よりみて「比較例1?3」の誤記と解される。)
[試験例A]
[硫酸イオン分の測定]
フルオロスルホン酸リチウムに含まれる硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーで測定した。測定結果を表1に示す。
[電池の製造]
【0245】
[負極の作製](略)
【0246】
[正極の作製](略)
【0247】
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比30:70)に乾燥したLiPF_(6)を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、硫酸イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムを5質量%含有するように混合した。
【0248】
[リチウム二次電池の製造](略)
【0249】
[初期容量評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で4.1Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。これを2サイクル行って電池を安定させ、3サイクル目は、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。その後、4サイクル目に0.2Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電して、初期放電容量を求めた。評価結果を表1に示す。尚、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、2Cとはその2倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
【0250】
[高温保存膨れ評価]
初期放電容量評価試験の終了した電池を、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。これを85℃で24時間保存し、電池を冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、高温保存前後の体積変化から発生したガス量を求めた。評価結果を表1に示す。
【0251】
【表1】

【0252】
表1より、同量のフルオロスルホン酸リチウムを含有する電解液を用いた電池においては、フルオロスルホン酸リチウム中に含まれる硫酸イオンの量が少ない方が、初期放電容量が高く、かつ高温保存時のガス発生量が低いことから、電池特性に優れることが分かる。」
「【0253】
[試験例B]
[電解液の製造]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比30:70)に乾燥したLiPF_(6)を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、硫酸イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムを表2に記載の割合となるように混合した。
【0254】
[リチウム二次電池の製造]
実施例1及び比較例1と同様の方法にてシート状電池を作製して初期容量評価及び高温保存膨れ評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0255】
【表2】

【0256】
表2より、製造された電解液の硫酸イオンの量が1.00×10^(-7)mol/L?1.00×10^(-2)mol/Lの範囲内であれば、初期放電容量が向上し、高温保存時のガス発生量が低下することから、電池特性が向上することが分かる。」

イ 上記アによれば,発明の詳細な説明の記載は,次のとおりである。
(ア)技術分野は,特定量のカルボン酸,特定量のハロゲン元素又は特定量の硫酸イオン分が含まれるフルオロスルホン酸リチウムを含有する非水系電解液二次電池に関するものである(段落【0001】)。

(イ)発明が解決しようとする課題は,初期の電池特性と耐久性に優れた非水系電解液二次電池をもたらすことができる非水系電解液用の添加剤を用いた非水系電解液二次電池を提供することである(段落【0007】)。

(ウ)フルオロスルホン酸リチウムを非水電解液二次電池の添加剤として用いた場合により高い性能を示すために,純度は高いことが好ましく,特に,電池内で容易に酸化されるカルボン酸イオンが電解液に溶解しないように除去されていることが電池特性を制御する上で望ましい(段落【0012】)。同様に,電池内で容易に酸化されるハロゲン化物イオンが電解液に溶解しないように除去されていることが電池特性を制御する上で望ましいが,極微量のハロゲン化物塩を混入させると電池の性能が向上することも知られている(段落【0014】)。

(エ)非水電解液二次電池の添加剤として,特定量の硫酸イオンを含有するフルオロスルホン酸リチウムを用いる(段落【0017】)。非水電解液中の硫酸イオンのモル濃度が1.00×10^(-7)mol/L?1.00×10^(-2)mol/Lの範囲内であると,耐久性がより発現し易くなる(段落【0018】)。非水電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル濃度が0.0005mol/L?0.5mol/Lの範囲内であると,電池内部インピーダンスが低くなり,入出力特性や耐久性に優れる(段落【0022】)。さらにその他のリチウム塩としてLiPF_(6)を含有することが好ましく,対アニオン種(PF_(6)^(-))の濃度が0.5mol/L?3.0mol/Lの範囲内であると,非水電解液中の総イオン含有量が存在量と電解液の粘性が適度なバランスとなるため,イオン伝導度が低下することなく電池内部インピーダンスが低くなり,入出力特性の効果発現し易くなる(段落【0029】)。

(オ)具体例として,LiPF_(6)を1mol/Lの割合で含む基本電解液に対し,硫酸イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムを5質量%含有するように混合した電解液を用いてリチウム二次電池を製造したところ,硫酸イオンの量が少ない方が,初期放電容量が高く,かつ高温保存時のガス発生量も低かった(段落【0244】?【0252】,表1)。また,同じ基本電解液に,硫酸イオンを含むフルオロスルホン酸リチウムを0?5質量%の割合となるように混合した電解液を用いてリチウム二次電池を製造したところ,硫酸イオンの量が1.00×10^(-7)mol/L?1.00×10^(-2)mol/Lの範囲内であれば、初期放電容量が向上し,フルオロスルホン酸リチウムが低濃度であるほど,高温保存時のガス発生量が低下した(段落【0253】?【0256】,表2)。

(2)「フルオロスルホン酸リチウム」について
ア 本件訂正後の請求項1には,非水電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が,0.0005mol/L以上0.5mol/L以下であることが特定されている。

イ 他方,発明の詳細な説明の記載をみると,発明が解決しようとする課題は,初期の電池特性と耐久性に優れた非水系電解液二次電池をもたらすことができる非水系電解液用の添加剤の提供にあるところ(上記(1)イ(イ)),非水系電解液には,特定量の硫酸イオンを含有するフルオロスルホン酸リチウムを,フルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が0.0005mol/L?0.5mol/Lの範囲内で添加すると,電池内部インピーダンスが低くなり,入出力特性や耐久性に優れることが説明される(上記(1)イ(エ))とともに,フルオロスルホン酸リチウムが0.025質量%?5質量%(これは,モル濃度に換算して0.00298×10^(-3)mol/L?0.596mol/L以下に相当する。)の範囲内で,初期放電容量の向上及びガス発生量の低下が認められ,かつ,この傾向は,フルオロスルホン酸リチウムが低濃度であるほど顕著であることが分かる(上記(1)イ(オ))。

ウ そうすると,フルオロスルホン酸リチウムを添加剤として用いる場合は,非水系電解液中のモル濃度を特定の範囲内で,できるだけ低濃度であることにより,発明が解決しようとする課題を達成することができるといえる。
そして,フルオロスルホン酸リチウムのモル含有量を特定した請求項1は,発明が解決しようとする課題を達成できるものであって,発明の詳細な説明に記載された発明の範囲内のものである。
請求項1を引用する請求項2?16について同様である。

(3)「フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩」について
ア 上記(2)のとおり,請求項1に記載される発明では,フルオロスルホン酸リチウムの非水系電解液中のモル濃度が,特定の範囲内で,できるだけ低濃度である必要があるところ,当該濃度は,フルオロスルホン酸リチウムに由来するリチウムイオン,すなわち,非水系溶媒に溶解しイオン解離してリチウムイオンを供給する塩の濃度に相当する。

イ 他方,発明の詳細な説明の記載をみると,非水電解液は,さらにその他のリチウム塩としてLiPF_(6)を含有することが好ましく,対アニオン種(PF_(6)^(-))の濃度が0.5mol/L?3.0mol/Lの範囲内であると,イオン伝導度が低下することなく電池内部インピーダンスが低くなり,入出力特性の効果が発現し易くなる旨が説明される(上記(1)イ(エ))とともに,具体例としても,LiPF_(6)を1mol/Lの割合で含む基本電解液を用いた結果が示されている(上記(1)イ(オ))。
ここで,LiPF_(6)は,非水系溶媒に溶解しイオン解離してリチウムイオンを供給する塩であり,非水系電解液にLiPF_(6)のようなフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩が含有されていなければ,正極及び負極に十分なリチウムイオンを供給することができない。
しかも,上記(2)のとおり,非水系溶媒中のリチウムイオン源として唯一特定されているフルオロスルホン酸リチウムは,特定の範囲内でできるだけ低濃度とすることが好ましいものであるところ,そのような低濃度にすれば,充放電を行うことができず,最低限の初期放電容量を得ることもできない。

ウ これに対し,本件訂正後の請求項1は,LiPF_(6)のようなフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩が含まれることが特定されているから,発明が解決しようとする課題を達成できるものであって,発明の詳細な説明に記載された発明の範囲内のものである。また,本件特許明細書の段落【0024】,【0025】には,「本発明における非水系電解液は、特定量の硫酸イオン分を含有するフルオロ硫酸リチウムを含有するが、さらにその他のリチウム塩を1種以上含有することが好ましい。その他のリチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば、特に制限はなく、具体的には以下のものが挙げられる。 例えば、LiPF_(6)…」と記載されており,当該記載によれば,「LiPF_(6)」は「フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩」の好ましい一例であって,従来同じ用途に用いられるものであれば,これに限られるものではないことが理解される。なお,上記同じ用途とは,非水系溶媒に溶解して,当該リチウム二次電池の正極・負極において吸蔵・放出されるリチウムイオンを供給することであることは,当業者には自明の事項である。
請求項1を引用する請求項2?16について同様である。

(4)申立理由4(サポート要件)について
ア 本理由は,本件特許に係る原出願(上記第1の出願3)に係る特許に対する特許異議の申立て(上記1(3)ア参照。)における理由1(サポート要件)の一部と同様であり,申立人は,電池特性に影響を与える塩化物イオンやカルボン酸イオンの含有量が特定されていないので,発明の課題を解決し得ない範囲を含み,発明の詳細な説明に記載したものとはいえない旨主張している。

イ これに対して,上記特許異議の申立てにおける上記1(3)アの意見書の第2(2)理由2(a)(b)(第20?28頁)を参照すると,いずれも本件特許に係る出願の優先日前に公知となった,国際公開第2010/113483号(乙17)には,ビス(フルオロスルホニル)イミドとフルオロ硫酸を含む混合液を,LiOHで中和し,中和液からフルオロ硫酸リチウムを単離する製法が記載されており,また,Wilhelm Traube et al., “Uber Fluor-sulfonsaure, Fluor-sulfonate und Sulfurylfluorid”, BERICHTE DER DEUTSCHEN CHEMISCHEN GESELLSCHAFT. ABTEILUNG B: ABHANDLUNGEN,1919, p1272-1285(乙18)には,三酸化硫黄とフッ化アンモニウムからフルオロスルホン酸アンモニウムを合成し,得られたフルオロスルホン酸アンモニウムをリチウムアルコキシドを用いて濃縮することでフルオロスルホン酸リチウムを得る方法が記載されている。
したがって,乙17や乙18が本件発明に係る出願の優先日よりも前に公知となっていることを勘案すると,初期放電容量や容量維持率を悪化させるようなClイオンや酢酸イオンを含有することなくフルオロスルホン酸リチウムが製造可能であることは,本件発明に係る出願の優先日における,当業者の技術常識であったといえる。

ウ また,フルオロスルホン酸リチウムの製造方法によっては,副生成物として硫酸イオン以外にClイオンや酢酸イオンが含有される場合があるが,フルオロスルホン酸リチウムに含まれる硫酸イオンを低減するために,通常行われる精製方法によって精製すると,Clイオンや酢酸イオンも同時に低減されることとなるので,本件発明1?16のように硫酸イオンが低減されている場合には,Clイオンや酢酸イオンが微量含まれていたとしても,電池の初期放電容量や容量維持率を悪化させるような含有量で含むことはないといえる。
この点については,上記1(3)アの意見書の第2(2)理由2(c)(第28?34頁)の説明を参照して,上記1(3)イ及びウで検討したとおり,本件発明1?16のように,非水系電解液中の硫酸イオンの含有量が,1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下に低減されていれば,フルオロスルホン酸リチウムの製造工程において塩化物イオンや酢酸イオンが混入する場合であっても,不純物である塩化物イオンや酢酸イオンは,硫酸イオンと同程度かそれ以下に低減されているとみなすことができる。

(5)取消理由及び申立理由4(サポート要件)についてのまとめ
よって,取消理由及び申立理由4(サポート要件)によって,本件特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおり,本件訂正請求による訂正は適法なものであって,訂正後の請求項1?3,5?16に係る特許については,当審による取消理由及び申立人による異議理由のいずれによっても取り消すことはできない。また,他に訂正後の請求項1?3,5?16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また,請求項4については,本件訂正請求により削除されたから,特許異議の申立ての対象となる請求項が存在しない。
よって,結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに非水系電解液が外装ケースに封入された非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液は、フルオロスルホン酸リチウム及び硫酸イオンを含有し、非水系電解液中のフルオロスルホン酸リチウムのモル含有量が、0.0005mol/L以上0.5mol/L以下であり、硫酸イオンの含有量が、1.0×10^(-7)mol/L以上1.0×10^(-2)mol/L以下であり、かつ該負極が集電体上に負極活物質層を有し、該負極活物質層は、炭素質材料を含有する負極活物質を含み、前記非水系電解液がフルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩を含有する、非水系電解液二次電池。
【請求項2】
前記負極活物質層を形成する負極材中における負極活物質の含有量が70質量%以上である、請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質層がバインダーを含む、請求項1または2に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記フルオロスルホン酸リチウム以外のリチウム塩がLiPF_(6)及びLiBF_(4)の少なくとも一方である、請求項1?3のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項6】
前記非水系電解液がフッ素原子を有する環状カーボネートを含有する請求項1?3、5の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項7】
前記フッ素原子を有する環状カーボネートが非水系電解液中に0.001質量%以上85質量%以下含有されている、請求項6に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項8】
前記非水系電解液が炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、請求項1?3、5?7の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項9】
前記炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが非水系電解液中に0.001質量%以上10質量%以下含有されている、請求項8に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項10】
前記非水系電解液が環状スルホン酸エステルを含有する、請求項1?3、5?9の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項11】
前記環状スルホン酸エステルの非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上10質量%以下である、請求項10に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項12】
前記非水系電解液がシアノ基を有する化合物を含有する、請求項1?3、5?11の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項13】
前記シアノ基を有する化合物の非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上10質量%以下である、請求項12に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項14】
前記非水系電解液がジイソシアネート化合物を含有する請求項1?3、5?13の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項15】
前記ジイソシアネート化合物の非水系電解液中における含有量が0.001質量%以上5質量%以下である、請求項14に記載の非水系電解液二次電池。
【請求項16】
前記非水系電解液がリチウムオキサラート塩類を含有する、請求項1?3、5?15の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-11-30 
出願番号 特願2018-138133(P2018-138133)
審決分類 P 1 651・ 55- YAA (H01M)
P 1 651・ 121- YAA (H01M)
P 1 651・ 113- YAA (H01M)
P 1 651・ 536- YAA (H01M)
P 1 651・ 537- YAA (H01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 結城 佐織  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 平塚 政宏
中澤 登
登録日 2019-07-19 
登録番号 特許第6555400号(P6555400)
権利者 三菱ケミカル株式会社
発明の名称 フルオロスルホン酸リチウム、非水系電解液、及び非水系電解液二次電池  
代理人 重森 一輝  
代理人 金山 賢教  
代理人 坪倉 道明  
代理人 岩瀬 吉和  
代理人 金山 賢教  
代理人 坪倉 道明  
代理人 小野 誠  
代理人 城山 康文  
代理人 重森 一輝  
代理人 小野 誠  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 飯野 陽一  
代理人 城山 康文  
代理人 飯野 陽一  
代理人 五味渕 琢也  
代理人 五味渕 琢也  
代理人 岩瀬 吉和  

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