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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1372101 |
審判番号 | 不服2019-12834 |
総通号数 | 257 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-09-27 |
確定日 | 2021-03-09 |
事件の表示 | 特願2015- 37208「矩形配列のキャビティを備えたポリマーフレームを製作する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-111313〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年2月26日に出願したものであって(パリ条約による優先権主張平成26年12月5日、米国)、平成30年10月2日付け拒絶理由通知に対して平成31年3月4日に手続補正がなされたが、令和1年5月21日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年9月27日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和1年9月27日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和1年9月27日の手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 令和1年9月27日の手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、本件補正前に、 「【請求項1】 矩形キャビティの配列を規定するフレームワークであって、 前記矩形キャビティの各々が矩形チップを収容するためにあり、ポリマーマトリクスを有する誘電材料を備え、 前記矩形キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有し、 前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作されるフレームワーク。 【請求項2】 前記矩形キャビティのコーナーが、50ミクロン未満の曲率半径を有することを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項3】 前記ポリマーマトリクスが、ポリイミド、エポキシまたはBT(ビスマレイミド/トリアジン)またはそれらの混和物であることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項4】 前記誘電材料が、前記ポリマーマトリクス内に埋め込まれるセラミックフィラー、ガラスファイバおよびビア柱の少なくとも1つを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項5】 各前記矩形キャビティが、その中に配置されるべき矩形チップの高さを20-50ミクロン超える深さを有することを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項6】 前記フレームワークが、機械的ツーリング、レーザーツーリングおよびウォータジェットツーリングの群から選ばれる技法によってダイシング可能であることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項7】 誘電材料のプレート内に矩形キャビティの配列を作り出すための方法であって、 前記矩形キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有し、 前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作され、 熱および圧力の下で金属スタブの犠牲配列の上に前記誘電材料のシートを加圧するステップ、そして次に、 前記金属スタブをエッチング除去するステップ、を含む方法。 【請求項8】 前記誘電材料が、ポリマーマトリクスを備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記誘電材料が、ガラスファイバを更に備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項10】 前記誘電材料が、ポリマーマトリクスによって含浸される編ガラスファイババンドルのプリプレグを備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項11】 前記金属スタブが、銅を備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項12】 請求項7に記載の方法であって、前記金属スタブが: (i)バリアメタル基板上に連続的銅層を得るステップ; (ii)フォトレジスト層を塗布するステップ; (iii)前記フォトレジスト層をパターン化するステップ、および (iv)前記パターン化されたフォトレジスト層をステンシルとして用いて、前記銅をエッチング除去するステップによって製作されることを特徴とする方法。 【請求項13】 請求項7に記載の方法であって、前記金属スタブが: (a)バリアメタル基板の上にフォトレジスト層を塗布するステップ; (b)前記フォトレジスト層をパターン化するステップ; (c)前記パターン化されたフォトレジストに銅を電気メッキするステップ; (d)前記フォトレジストを除去するステップによって製作されることを特徴とする方法。 【請求項14】 前記パターン化されたフォトレジスト層をステンシルとして用いて、前記銅をエッチング除去する曲率半径を有するコーナーで出会う実質的に平行した円滑な縁部を有することによって前記キャビティが特徴づけられることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項15】 前記キャビティのコーナーが、50ミクロン未満の曲率半径を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項16】 銅ビアが、前記金属スタブと共に堆積されてかつ前記プレートの壁内に埋め込まれ、前記金属スタブとしてマスキングされる前記銅ビアが、エッチング除去されることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項17】 細長い銅セクショニング要素が、前記金属スタブおよび前記銅ビアと共に堆積されてかつ前記プレートの壁内に埋め込まれることを特徴とする請求項16に記載の方法。 【請求項18】 ポリマー樹脂および補強ファイバを備える誘電フレームに埋め込まれるチップの取付方法であって、前記誘電フレームが、100ミクロン未満の曲率半径によって頂点で出会う突き出るファイバのない隣接する円滑な壁によって特徴づけられる矩形キャビティを備え、 前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作され、 前記チップと周囲の前記誘電フレームとの間の空間がフィラー材料によって充填されるチップの取付方法。 【請求項19】 フィラー材料が、モールドコンパウンド、乾燥フィルムまたはプリプレグとして塗布されることを特徴とする請求項18に記載のチップの取付方法。 【請求項20】 前記誘電フレームが、銅ビアを更に備えることを特徴とする請求項18に記載のチップの取付方法。」とあったところを、 本件補正後、 「【請求項1】 矩形キャビティの配列を規定するフレームワークであって、 前記矩形キャビティの各々が矩形チップを収容するためにあり、ポリマーマトリクスを有する誘電材料を備え、 前記矩形キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有し、 前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作されるフレームワーク。 【請求項2】 前記矩形キャビティのコーナーが、50ミクロン未満の曲率半径を有することを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項3】 前記ポリマーマトリクスが、ポリイミド、エポキシまたはBT(ビスマレイミド/トリアジン)またはそれらの混和物であることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項4】 前記誘電材料が、前記ポリマーマトリクス内に埋め込まれるセラミックフィラー、ガラスファイバおよびビア柱の少なくとも1つを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項5】 各前記矩形キャビティが、その中に配置されるべき矩形チップの高さを20-50ミクロン超える深さを有することを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項6】 前記フレームワークが、機械的ツーリング、レーザーツーリングおよびウォータジェットツーリングの群から選ばれる技法によってダイシング可能であることを特徴とする請求項1に記載のフレームワーク。 【請求項7】 誘電材料のプレート内に矩形キャビティの配列を作り出すための方法であって、 前記矩形キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有し、 前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作され、 熱および圧力の下で金属スタブの犠牲配列の上に前記誘電材料のシートを加圧するステップ、そして次に、 前記金属スタブをエッチング除去するステップ、を含む方法。 【請求項8】 前記誘電材料が、ポリマーマトリクスを備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記誘電材料が、ガラスファイバを更に備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項10】 前記誘電材料が、ポリマーマトリクスによって含浸される編ガラスファイババンドルのプリプレグを備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項11】 前記金属スタブが、銅を備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項12】 請求項7に記載の方法であって、前記金属スタブが: (i)バリアメタル基板上に連続的銅層を得るステップ; (ii)フォトレジスト層を塗布するステップ; (iii)前記フォトレジスト層をパターン化するステップ、および (iv)前記パターン化されたフォトレジスト層をステンシルとして用いて、前記銅をエッチング除去するステップによって製作されることを特徴とする方法。 【請求項13】 請求項7に記載の方法であって、前記金属スタブが: (a)バリアメタル基板の上にフォトレジスト層を塗布するステップ; (b)前記フォトレジスト層をパターン化するステップ; (c)前記パターン化されたフォトレジストに銅を電気メッキするステップ; (d)前記フォトレジストを除去するステップによって製作されることを特徴とする方法。 【請求項14】 前記パターン化されたフォトレジスト層をステンシルとして用いて、前記銅をエッチング除去する曲率半径を有するコーナーで出会う実質的に平行した円滑な縁部を有することによって前記キャビティが特徴づけられることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項15】 前記キャビティのコーナーが、50ミクロン未満の曲率半径を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項16】 銅ビアが、前記金属スタブと共に堆積されてかつ前記プレートの壁内に埋め込まれ、前記金属スタブとしてマスキングされる前記銅ビアが、エッチング除去されることを特徴とする請求項7に記載の方法。 【請求項17】 細長い銅セクショニング要素が、前記金属スタブおよび前記銅ビアと共に堆積されてかつ前記プレートの壁内に埋め込まれることを特徴とする請求項16に記載の方法。 【請求項18】 ポリマー樹脂および補強ファイバを備える誘電フレームに埋め込まれるチップの取付方法であって、前記誘電フレームが、100ミクロン未満の曲率半径によって頂点で出会う突き出るファイバのない隣接する円滑な壁によって特徴づけられる矩形キャビティを備え、 前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有し、 前記矩形キャビティは、+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作され、 前記チップと周囲の前記誘電フレームとの間の空間がフィラー材料によって充填されるチップの取付方法。 【請求項19】 フィラー材料が、モールドコンパウンド、乾燥フィルムまたはプリプレグとして塗布されることを特徴とする請求項18に記載のチップの取付方法。 【請求項20】 前記誘電フレームが、銅ビアを更に備えることを特徴とする請求項18に記載のチップの取付方法。」とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。 2 補正の適否 上記の補正は、補正前の請求項1、7及び18における「前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、」を、「前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、」と変更するものである(以下、「補正事項」という。)。 ここで、補正前の請求項1、7及び18の「約0.9mmx0.9mm」及び「約31x31mm」は、それぞれ一辺の長さが約0.9mm及び約31mmの四角形の面積を表しているから、矩形キャビティの一辺の寸法は約0.9mmから約31mmまでの範囲にあるものと解される。 そうすると、補正前の請求項1、7及び18においても、矩形キャビティは約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有しているから、補正後の請求項1、7及び18に記載される発明は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当しない。 さらに、令和1年5月21日付け拒絶査定においては、記載不備を指摘してはいないから、請求項1、7及び18についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものにも該当しない。 そして、本件補正前の請求項1、7及び18においては、上記補正事項に対応する誤記は何ら認められないから、請求項1、7及び18についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものにも該当しない。 したがって、上記補正事項による補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし第4号に掲げる、いずれの事項を目的としたものとも認められない。 なお、請求人は、審判請求書において補正の根拠の説明を行っておらず、補正の根拠を示していない。 よって、上記補正事項による補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。 3 独立特許要件について(予備的見解) 上記2で検討したとおり、本件補正における、本件補正前の請求項1、7及び18についての補正事項は、特許法第17条の2第5項第1号ないし第4号に掲げる、いずれの事項を目的としたものとも認められない。 仮に、本件補正が同法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められるとした場合、本件補正後の上記請求項1に係る発明(令和1年9月27日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される【請求項1】(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1・引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開2013-51384号公報(以下、「引用文献1」という。)には、集合配線基板に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (ア)「【0001】 本発明は、半導体素子が搭載される搭載部を有する複数の小型の配線基板が、搭載部を囲繞する貫通口を有するフレームに接合された集合配線基板に関するものである。」 (イ)「【0013】 本例の集合配線基板30は、図1に示すように、半導体素子15を搭載するための複数の小型の配線導体10が、これらの配線基板10を支持するためのフレーム20の下面に接合されて成る。 【0014】 配線基板10は図2(a),(b)に示すように、例えば絶縁板1aの上下に絶縁層1bを1層ずつ積層した絶縁基板1と、絶縁板1aと絶縁層1bとの上に形成された導体層2と、保護用のソルダーレジスト層3とを備えている。なお、配線基板10の上面中央部には半導体素子15が搭載される搭載部8が形成されている。 【0015】 絶縁基板1を構成する絶縁板1aは、ガラス繊維にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料からなり、上下に貫通するスルーホール4がドリル加工により複数形成されている。スルーホール4の側壁にはスルーホール導体2aが形成されており、それにより絶縁板1aの上下の導体層2間の導通をとっている。 【0016】 絶縁板1aの上下に積層された絶縁層1bは、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁材料からなり、その上面から下面にかけて貫通するビアホール5がレーザ加工により複数形成されている。ビアホール5にはビア導体2bが充填されており、それにより絶縁層1bの上下の導体層2間の導通をとっている。」 (ウ)「【0020】 フレーム20は図3(a)に示すように、絶縁板21と、絶縁板21を貫通する導通導体22と、絶縁板21の上下に形成されたソルダーレジスト層23とを備えている。このフレーム20は、複数の配線基板10を所定の配列で支持する支持体として機能し、支持される配線基板10の配列に対応した位置に配線基板10の搭載部8を囲繞する大きさの貫通口24を有している。また貫通口24の周囲には、上述したフレーム接続パッド7と対応する位置に導通導体22が形成されている。」 (エ)図1の集合配線基板の断面図及び上面図を参照すると、搭載部8及び貫通口24は、半導体素子15を収納する複数の凹部を形成し、貫通口24の側壁は配線基板10に対して垂直である。 (オ)図1(b)の集合配線基板の上面図及び図3(b)の集合配線基板におけるフレームの上面図を参照すると、貫通口24の四隅の角が曲面で形成されている。 ・上記(ア)によれば、半導体素子が搭載される搭載部を有する複数の小型の配線基板が、搭載部を囲繞する貫通口を有するフレームに接合された集合配線基板に関するものである。 ・上記(イ)によれば、配線基板10は、絶縁板1aの上下に絶縁層1bを1層ずつ積層した絶縁基板1を備え、配線基板10の上面中央部には半導体素子15が搭載される搭載部8が形成されている。 ・上記(イ)によれば、絶縁基板1を構成する絶縁板1aは、ガラス繊維にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料からなり、絶縁層1bは、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁材料からなる。 ・上記(ウ)によれば、フレーム20は、複数の配線基板10を所定の配列で支持する支持体として機能し、支持される配線基板10の配列に対応した位置に配線基板10の搭載部8を囲繞する大きさの貫通口24を有している。 ・上記(エ)によれば、搭載部8及び貫通口24は、半導体素子15を収納する複数の凹部を形成し、貫通口24の側壁は配線基板10に対して垂直である。 ・上記(オ)によれば、貫通口24の四隅の角が曲面で形成されている。 したがって、上記記載事項及び図面を勘案すると上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「半導体素子が搭載される搭載部を有する複数の小型の配線基板が、搭載部を囲繞する貫通口を有するフレームに接合された集合配線基板に関するものであって、 配線基板10は、絶縁板1aの上下に絶縁層1bを1層ずつ積層した絶縁基板1を備え、配線基板10の上面中央部には半導体素子15が搭載される搭載部8が形成されており、 絶縁基板1を構成する絶縁板1aは、ガラス繊維にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料からなり、絶縁層1bは、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁材料からなり、 フレーム20は、複数の配線基板10を所定の配列で支持する支持体として機能し、支持される配線基板10の配列に対応した位置に配線基板10の搭載部8を囲繞する大きさの貫通口24を有しており、 搭載部8及び貫通口24は、半導体素子15を収納する複数の凹部を形成し、貫通口24の側壁は配線基板10に対して垂直であり、 貫通口24の四隅の角が曲面で形成されている、 配線基板。」 イ 引用文献2及び3 (ア)引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-33151号公報(以下、「引用文献2」という。)には、デバイスを配置する基板に関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (a)「【0024】 まず、図1,図2(a)のように、一方の面側から他方の面側に貫通する複数の矩形の開口部11aが設けられた基板11を用意する。 【0025】 基板11は、シリコン、セラミックス、ガラス、又は石英等のように剛性が高い材料により形成されていることが好ましい。本実施形態では、基板11として、直径が6インチ、厚さが650μmのシリコンウエハを使用する。そして、超音波加工等により基板11の所定の箇所を矩形にくり抜いて、開口部11aを形成する。 【0026】 後述するように、開口部11a内には複数のデバイスを配置する。それらのデバイスを開口部11a内に配置したときに、開口部11aの壁面とデバイスとの間の隙間が例えば2mm?3mmとなるように、開口部11aの大きさを決定する。」 (イ)引用文献3 原査定において、周知技術を示す文献として引用された特開2014-187360号公報(以下、「引用文献3」という。)には、部品内蔵回路板に関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (b)「【0161】 〔測定・評価用サンプルの調製〕 (1)部品が仮付けされた回路基板の準備 255mm×255mmサイズの内層回路基板に、該内層回路基板の第1及び第2の主面間を貫通する0.8mm×1.2mmサイズのキャビティを5mmピッチで作製した。内層回路基板としては、内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(片面の銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ150μm、全体厚さ186μm、松下電工(株)製「R5715ES」)を使用した。次いで、キャビティの形成された内層回路基板の両面をメック(株)製「CZ8100」にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理をおこなった。その後、内層回路基板の片面(第2の主面)に仮付け材料(古川電気工業(株)製ウエハダイシング用UVテープUC)を貼り合わせ、内層回路基板のキャビティを介して露出した仮付け材料の粘着面に部品((株)村田製作所製積層薄膜コンデンサ1005、1.0mm×0.5mmサイズ、厚さ180μm)を仮付けした。」 (ウ)上記(a)の記載によれば、開口部11aの壁面とデバイスとの間の隙間が2mm?3mmとなるように、すなわちデバイスの形に合わせて、基板に設ける矩形の開口部11aの大きさを決定している。また、上記(b)の記載によれば、積層薄膜コンデンサ1005、1.0mm×0.5mmサイズの形に合わせて、開口部である0.8mm×1.2mmサイズのキャビティを回路基板に作製している。 そうすると、上記引用文献2及び3には、基板に設けられた開口部の形状に関して、以下の技術事項が記載されている。 「配置するデバイスの形に合わせて、基板に矩形の開口部を形成すること」 ウ 引用文献4 原査定において、周知技術を示す文献として引用された特開2013-207194号公報(以下、「引用文献4」という。)には、部品内蔵基板に関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (ア)「【0015】 (部品内蔵基板) 部品内蔵基板3は、電子部品6と、電子部品6が一方の主面上に配された金属板7と、電子部品6が収容される貫通孔Tが形成されて、金属板7の電子部品6が位置した主面上に配された第1基板8と、第1基板8の金属板と反対側の主面上に貫通孔Tの一方の開口を覆って配された第2基板9とを含む。」 (イ)「【0077】 また、平面視において、第1基板8の貫通孔Tの開口の角部は、曲面であることが望ましい。その結果、貫通孔Tの開口の角部に集中する応力を低減でき、ひいては第1基板8におけるクラックの発生を良好に低減することができる。 【0078】 なお、平面視における、第1基板8の貫通孔Tの開口の角部は、曲率半径が例えば3μm以上100μm以下に設定されている。」 上記(ア)、(イ)の記載によれば、上記引用文献4には、電子部品を収納する貫通孔に関して、以下の技術事項が記載されている。 「貫通孔の開口の角部を曲率半径3μm以上100μm以下の曲面に設定すること」 エ 引用文献3及び5 (ア)引用文献3 原査定において、周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3(特開2014-187360号公報)には、部品内蔵回路板に関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (a)「【0015】 <部品が仮付けされた回路基板> 本発明の製造方法で使用する部品が仮付けされた回路基板(以下、「部品仮付け回路基板」ともいう。)は、第1及び第2の主面を有し、該第1及び第2の主面間を貫通するキャビティが形成された回路基板と、該回路基板の第2の主面と接合している仮付け材料と、前記回路基板のキャビティの内部において前記仮付け材料によって仮付けされた部品とを含む。 ?(中略)? 【0019】 回路基板1の基板2の厚さは、部品内蔵回路板の薄型化の観点から、薄い方が好適であり、好ましくは400μm未満、より好ましくは350μm以下、さらに好ましくは300μm以下、さらにより好ましくは250μm以下、特に好ましくは200μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、又は150μm以下である。本発明の方法によれば、斯かる薄い基板を備えた回路基板を使用する場合であっても、基板反りの発生を抑制することができる。基板2の厚さの下限は特に制限されないが、搬送時の取り扱い性向上の観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上である。」 (b)【0025】 キャビティ2aの開口形状は特に制限されず、矩形、円形、略矩形、略円形等の任意の形状としてよい。また、キャビティ2aの開口寸法は、回路配線の設計にもよるが、例えば、キャビティ2aの開口形状が矩形の場合、5mm×5mm以下が好ましく、3mm×3mm以下がより好ましい。当該開口寸法の下限は、収容する部品の寸法にもよるが、通常、0.5mm×0.5mm以上である。キャビティ2aの開口形状及び開口寸法は、回路基板にわたって同じである必要はなく、異なっていてもよい。」 (c)「【0161】 〔測定・評価用サンプルの調製〕 (1)部品が仮付けされた回路基板の準備 255mm×255mmサイズの内層回路基板に、該内層回路基板の第1及び第2の主面間を貫通する0.8mm×1.2mmサイズのキャビティを5mmピッチで作製した。内層回路基板としては、内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(片面の銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ150μm、全体厚さ186μm、松下電工(株)製「R5715ES」)を使用した。次いで、キャビティの形成された内層回路基板の両面をメック(株)製「CZ8100」にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理をおこなった。その後、内層回路基板の片面(第2の主面)に仮付け材料(古川電気工業(株)製ウエハダイシング用UVテープUC)を貼り合わせ、内層回路基板のキャビティを介して露出した仮付け材料の粘着面に部品((株)村田製作所製積層薄膜コンデンサ1005、1.0mm×0.5mmサイズ、厚さ180μm)を仮付けした。」 (イ)引用文献5 原査定において、周知技術を示す文献として引用された特開2010-205877号公報(以下、「引用文献5」という。)には、半導体素子を搭載する半導体装置に関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 (d)「【0018】 一例として、2つの半導体素子を搭載する半導体装置の製造方法を示し、2つの凹部を示す。図3の凹部60において、第1角部66aを形成している壁面60a及び壁面60bは、後に半導体素子の側面が当接されて位置設定されるための基準面となる。凹部60の位置と壁面60a及び壁面60bの表面の形成は、高い加工精度により形成される。凹部の加工には、例えば、フォトリソグラフィの方法を使用し、レジストマスクを形成し、ドライエッチングにより行う。また、必要に応じて研削盤及び研磨盤等を使用する。また、凹部の深さは、例えば、200μmである。」 (ウ)上記(b)、(c)の記載によれば、引用文献3には、電子部品を収納するキャビティの開口寸法に関して、以下の技術事項が記載されている。 「矩形のキャビティの開口寸法を5mm×5mm以下0.5mm×0.5mm以上、3mm×3mm以下0.5mm×0.5mm以上、あるいは0.8mm×1.2mmの矩形とすること」 (エ)上記(a)、(c)、(d)の記載によれば、引用文献3及び5には、電子部品を収納するもの(キャビティ)となる凹部の深さに関して、以下の技術事項が記載されている。 「キャビティとなる凹部の深さを、300μm以下50μm以上とすること」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明において「搭載部8及び貫通口24」が形成する「半導体素子15を収納する複数の凹部」は、本願補正発明の「キャビティ」に相当する。 イ.引用発明の配線基板10の「搭載部8」は、配列に対応した位置で貫通口24に囲繞されるから、本願補正発明の「配列を規定するフレームワーク」に相当する。 ただし、キャビティの形状に関して、本願補正発明は「矩形キャビティ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。 ウ.引用発明が「半導体素子15を収納する複数の凹部」を有することは、本願補正発明の「キャビティの各々が」「チップを収容するためにあ」ることに相当する。 ただし、キャビティに収容されるチップの形状に関して、本願補正発明は「矩形チップ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。 エ.引用発明の「配線基板10」が「絶縁板1a」及び「絶縁層1b」に「熱硬化性樹脂」を含み、かつ「フレーム20」によって「所定の配列」で支持されることは、ポリマーからなり、かつマトリクスを構成するといえ、また「配線基板10」が誘電材料であるといえるから、本願補正発明の「ポリマーマトリクスを有する誘電材料」に相当する。 オ.引用発明の「貫通口24の側壁は配線基板10に対して垂直であ」ることは、本願補正発明の「前記矩形キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であ」ることに相当する。 カ.引用発明の「貫通口24の四隅の角が曲面で形成されている」ことは、本願補正発明の「キャビティのコーナーが、」「曲率半径を有」することに相当する。 ただし、本願補正発明は「前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。 キ.本願補正発明は「前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。 ク.本願補正発明は「前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作される」のに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。 そうすると、本願補正発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違している。 <一致点> 「キャビティの配列を規定するフレームワークであって、 前記キャビティの各々がチップを収容するためにあり、ポリマーマトリクスを有する誘電材料を備え、 前記キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記キャビティのコーナーが、曲率半径を有するフレームワーク。」 <相違点1> キャビティの形状に関して、本願補正発明は「矩形キャビティ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点2> キャビティに収容されるチップの形状に関して、本願補正発明は「矩形チップ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点3> キャビティのコーナーの曲率半径に関して、本願補正発明は「前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点4> キャビティの寸法に関して、本願補正発明は「前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点5> キャビティの寸法誤差に関して、本願補正発明は「前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作される」のに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 (4)判断 上記相違点について判断する。 ア 相違点1及び2について 矩形の半導体素子は普通に使用されている。 引用文献1記載の技術は、貫通口24の大きさを封止に必要な最小限の大きさにとどめておくことで、注入する封止樹脂を低減するものであるから(【0026】)、引用発明においても矩形の半導体素子を収納する際には、貫通口を必要最小限の大きさにとどめておくべく、凹部を矩形に形成して、注入する封止樹脂を低減することが明白といえ、上記相違点1及び2は実質的な相違ではない。 仮に相違するとしても、引用文献2及び3に記載があるように(上記(2)イ(ウ)参照)、配置するデバイスの形に合わせて、基板に矩形の開口部を形成することは、普通に行われている周知の技術事項であるから、上記相違点1及び2に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 なお、上記相違点1及び2に関する事項として、請求人は審判請求書において「引用文献1の発明の各搭載部8(本願のキャビティに相当)はいずれも正方形であり本願の矩形形状とは異なり、また、引用文献2の発明は、1枚のウエファーの開口部に複数のチップを配置した後、樹脂を注入することにより疑似SoCチップを形成する発明であり、各チップの形状は正方形であるが、チップキャビティを使用しないチップ配置方式である旨主張している。 しかしながら、上記検討のとおり、相違点1及び2は実質的な相違でなく、仮に相違するとしても、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、3に記載の周知の技術事項から当業者が容易になし得たことであるから、請求人の上記主張は採用することはできない。 イ 相違点3について 引用文献4に記載があるように、電子部品を収容する貫通口の角部を曲率半径3μm以上100μm以下の曲面に設定することは周知の技術事項である(上記(2)ウ参照。他にも必要であれば、特開2014-130962号公報の【0072】-【0073】、図10及び図11参照)。 してみると、引用発明の貫通口24の角部に周知の技術事項を用いて、上記相違点3に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 ウ 相違点4について 引用文献3に記載があるように(上記(2)エ(ウ)参照)、矩形のキャビティの開口寸法を5mm×5mm以下0.5mm×0.5mm以上、3mm×3mm以下0.5mm×0.5mm以上、あるいは0.8mm×1.2mmとすることは、普通に行われている周知の技術事項である。 また、引用文献3及び5に記載があるように(上記(2)エ(エ)参照)、キャビティとなる凹部の深さを300μm以下50μm以上とすることも、普通に行われている周知の技術事項である。 ここで、キャビティの一辺の寸法や深さに関して、本願明細書には、一般的または典型的ダイサイズに関連して述べているのみであって(【0059】、【0060】及び【0086】)、キャビティの一辺の寸法の範囲(約0.9mmから約31mm)及び深さの範囲(50ミクロンから300ミクロン)に臨界的意義は認められない。 そうすると、引用発明の貫通口24の開口や深さの寸法を、収納する半導体素子に合わせて、周知の技術事項である引用文献3及び5のように形成し、上記相違点4に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 エ 相違点5について 基板に開口部を形成する際の加工方法として、例えばレーザ加工を用いた場合には、加工精度を+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内とすることは必要に応じて適宜なし得る事項である(必要であれば、特開2014-3267号公報の【0096】、特開2003-324168号公報の【0027】参照)。 引用発明のフレーム20の絶縁板21は、ガラス繊維にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料からなり(【0021】参照)、貫通口の形成にレーザ加工を用いることの阻害要因はないから、レーザ加工により加工精度を+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内として、上記相違点5に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明の効果も、引用文献1に記載された発明、及び周知の技術事項から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。 よって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明、及び周知の技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 (5)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和1年9月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成31年3月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記「第2[理由]1」に本件補正前の請求項1として記載したとおりものである。 2 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項、引用発明、及び周知の技術事項は、上記「第2[理由]3(2)引用文献」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、本願補正発明における「前記矩形キャビティが、約0.9mmから約31mmまでの範囲の一辺の寸法を有し、」を、「前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、」とするものであることから、上記「第2[理由]3(3)対比」における検討内容を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「キャビティの配列を規定するフレームワークであって、 前記キャビティの各々がチップを収容するためにあり、ポリマーマトリクスを有する誘電材料を備え、 前記キャビティの壁が、前記フレームワークに対して実質的に垂直であり、 前記キャビティのコーナーが、曲率半径を有するフレームワーク。」 <相違点1’> キャビティの形状に関して、本願発明は「矩形キャビティ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点2’> キャビティに収容されるチップの形状に関して、本願発明は「矩形チップ」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点3’> キャビティのコーナーの曲率半径に関して、本願発明は「前記矩形キャビティのコーナーが、100ミクロン未満の曲率半径を有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点4’> キャビティの寸法に関して、本願発明は「前記矩形キャビティが、約0.9mmx0.9mmから約31x31mmまでの範囲の寸法を有し、且つ、50ミクロンから300ミクロンの範囲の深さを有」するのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 <相違点5’> キャビティの寸法誤差に関して、本願発明は「前記矩形キャビティは、前記矩形キャビティの所定寸法に対して+-25ミクロンの寸法誤差の範囲内で製作される」のに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。 上記相違点について検討する。 (1)相違点1’及び2’について 上記相違点1’及び2’は、上記「第2[理由]3(3)対比」の相違点1及び2と同じであるから、上記「第2[理由]3(4)判断」のアと同様の理由により、相違点1’及び2’は実質的な相違ではない。 仮に相違するとしても、配置するデバイスの形に合わせて、基板に矩形の開口部を形成することは、普通に行われている周知の技術事項であるから(引用文献2及び3(上記「第2[理由]3(2)イ(ウ)」)参照)、相違点1’及び2’に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点3’及び5’について 上記相違点3’及び5’は、上記「第2[理由]3(3)対比」の相違点3及び5と同じであるから、上記「第2[理由]3(4)判断」のイ及びエと同様の理由により、引用発明において、相違点3’及び5’に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)相違点4’について 上記「第2[理由]3(4)判断」のウと同様の理由により、矩形のキャビティの開口寸法を5mm×5mm以下0.5mm×0.5mm以上、3mm×3mm以下0.5mm×0.5mm以上、あるいは0.8mm×1.2mmとすることや(引用文献3(上記「第2[理由]3(2)エ(ウ)」参照)、キャビティとなる凹部の深さを300μm以下50μm以上とすることは(引用文献3及び5(上記「第2[理由]3(2)エ(エ)」)参照)、普通に行われている周知の技術事項であり、引用発明の貫通口24の開口や深さの寸法を、収納する半導体素子に合わせて、周知の技術事項である引用文献3及び5のように形成し、上記相違点4’に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び周知の技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-09-15 |
結審通知日 | 2020-09-29 |
審決日 | 2020-10-13 |
出願番号 | 特願2015-37208(P2015-37208) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 秋山 直人 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
赤穂 嘉紀 五十嵐 努 |
発明の名称 | 矩形配列のキャビティを備えたポリマーフレームを製作する方法 |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |