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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65B
審判 全部申し立て 1項1号公知  B65B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65B
管理番号 1372665
異議申立番号 異議2019-700544  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-11 
確定日 2021-01-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6452436号発明「真空包装機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6452436号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、9について訂正することを認める。 特許第6452436号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6452436号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成26年12月22日に出願され、平成30年12月21日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月16日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和1年7月11日 : 特許異議申立人株式会社TOSEI(以下、「異議申立人」という。)による本件特許に対する特許異議の申立て
令和1年10月10日付け : 審尋
令和1年10月30日 : 異議申立人による回答書の提出
令和1年12月24日付け : 取消理由通知
令和2年3月5日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(訂正請求書による訂正を、以下、「本件訂正」という。)
令和2年4月21日 : 異議申立人による意見書の提出
令和2年7月1日付け : 取消理由通知(決定の予告)
令和2年9月4日 : 特許権者による意見書の提出

第2 本件訂正の適否
1.本件訂正の内容
下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に直ぐ隣接する位置に、前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、」と記載されているのを、
「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に、前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、」に訂正する。
なお、本件訂正前の請求項1?8は、請求項2?8が、本件訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1?8について請求されている。

(2)訂正事項2
明細書段落0006において、
「チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方の側にて直ぐ隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、」と記載されているのを、
「チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方の側に隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、」に訂正する。

(3)訂正事項3
明細書段落0007において、
「上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方に直ぐ隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、真空ポンプによりチャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知部材が上動したことを位置検出センサにより検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしたので、チャンバ内に収容した包装袋が小さなものであっても、検知部材は上下のブロック体に直ぐ隣接する位置で膨張する包装袋によって確実に上動するようになり、」と記載されているのを、
「上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、真空ポンプによりチャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知部材が上動したことを位置検出センサにより検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしたので、チャンバ内に収容した包装袋が小さなものであっても、検知部材は上下のブロック体に隣接する位置で膨張する包装袋によって確実に上動するようになり、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9において、
「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて直ぐ隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、前記包装袋の上側を通過する光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機。」と記載されているのを、
「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機。」に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書段落0013において、
「また、上記課題を解決するための他の発明は、被包装物をを横たえて収納した包装袋を収容するチャンバと、」と記載されているのを、
「また、上記課題を解決するための他の発明は、被包装物を横たえて収納した包装袋を収容するチャンバと、」に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書段落0013において、
「チャンバの一方の側には、上下のブロック体よりも他方にて直ぐ隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、包装袋の上側を通過する光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機を提供するものである。」と記載されているのを、
「チャンバの一方の側には、上下のブロック体よりも他方にて隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機を提供するものである。」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書段落0014において、
「上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方にて直ぐ隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、包装袋の上側を通過する光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたため、」と記載されているのを、
「上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方にて隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたため、」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1?3
訂正事項1に係る請求項1についての訂正、訂正事項2に係る段落0006についての訂正及び訂正事項3に係る段落0007についての訂正は、本件訂正前「直ぐ隣接する」となっていたものを本件訂正後の「隣接する」へ訂正するものである。
そこで、当該訂正について検討すると、「直ぐ」は「距離をおかないさま。ごく近く。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であり、「隣接」は「となりあってつづくこと。近隣関係にあること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であり、「近隣」は「近所となり。近辺。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であり、「近い」は、「距離のへだたりが小さい。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であるから、同様の意味を有する語を繰り返したことによって、不明瞭な記載となっていたものを、「直ぐ」を削除することによって、同様の意味を有する語の繰り返しを解消し、明瞭な記載としたものである。
したがって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正は、本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていなかった語を削除しただけであるから、新規事項の追加に該当せず、同様の意味を有する語の繰り返しを解消しただけであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項4
訂正事項4に係る請求項9についての訂正は、本件訂正前「直ぐ隣接する」となっていたものを本件訂正後の「隣接する」へ訂正するものである。
この点は、前記(1)で検討したとおりであるから、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項4に係る請求項9についての訂正は、請求項9に係る発明の「発光部」が「光の発射する」ことについて、本件訂正前の「前記包装袋の上側を通過する」を、本件訂正後は「膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で」へ訂正するものであるところ、本件訂正前は、「包装袋の膨らみを検知でき」ないものが包含されていたものを、本件訂正後は、「包装袋の膨らみを検知でき」ないものが包含されないものへ減縮するものであるから、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件訂正後の「膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で」は、本件特許の願書に添付した明細書の【0047】に記載された内容に依るものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項5
訂正事項5に係る段落0013についての訂正は、本件訂正前「被包装物をを横たえて」となっていたものを本件訂正後の「被包装物を横たえて」へ訂正するものであり、誤記の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項6、7
訂正事項6に係る段落0013についての訂正及び訂正事項7に係る段落0014についての訂正は、本件訂正前「直ぐ隣接する」となっていたものを本件訂正後の「隣接する」へ訂正するものである。
この点は、前記(1)で検討したとおりであるから、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項6に係る段落0013についての訂正及び訂正事項7に係る段落0014についての訂正は、「発光部」が「光の発射する」ことについて、本件訂正前の「前記包装袋の上側を通過する」を、本件訂正後は「膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で」へ訂正するものである。
この点は、前記(2)で検討したとおりであるから、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕、9について訂正すること、及び、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の明細書について訂正することを認める。

第3 取消理由の概要
本件特許に対して、当審が令和1年12月24日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「当審取消理由」という。)の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1]
本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
[取消理由2]
本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
[取消理由3]
本件特許の請求項1?9に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(引用例1?2)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(引用例3)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例1:特開2013-203402号公報(甲第1号証)
引用例2:「NEW真空包装機LYNXシリーズ ホットテンプ(HotTemp)誕生」(平成26年3月公開)(甲第8号証)
引用例3:動画サイトYouTube「ニチワ電機 ホットテンプ」(平成26年1月14日公開、URL:http://www.youtube.com/watch?v=7-28nU1nT3w)(甲第10号証)

第4 当審の判断
1.訂正後の請求項1?9に係る発明
本件訂正により訂正された訂正後の請求項1?9に係る発明(以下、単に、「請求項1?9に係る発明」という。)は、次のとおりのものである。なお、下線は訂正箇所を示す。
「【請求項1】
被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に、前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、
前記真空ポンプにより前記チャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する前記包装袋によって前記検知部材が上動したことを前記位置検出センサにより検出することで、前記包装袋の膨らみを検知するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の真空包装機において、
検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びた両端が水平軸線回りに回動可能に支持された帯板状の検知プレートよりなり、前記位置検出センサは前記検知プレートの長手方向と直交する方向にて前記チャンバの他方の側の端部の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項3】
請求項2に記載の真空包装機において、
前記検知プレートの長手方向の端部には前記チャンバの他方の側に延びる検知アームを備え、
前記位置検出センサは前記検知アームの上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の真空包装機において、
前記検知プレートの長手方向と直交する方向の端縁を曲げ加工したことを特徴とする真空包装機。
【請求項5】
請求項2?4の何れか1項に記載の真空包装機において、
前記チャンバ内には前記検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、
前記支持ブラケットの前記検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、前記検知プレートの両端部との一方には前記検知プレートの長手方向にて同じ方向に突出する一対の支持軸部を設けるとともに、前記支持ブラケットの前記検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、前記検知プレートの両端部との他方には前記支持軸部に係止する一対の係止孔部を形成し、
前記一対の支持軸部を前記一対の係止孔部に挿通するように前記検知プレートを前記長手方向に移動させることにより、前記検知プレートを前記支持ブラケットに支持させたことを特徴とする真空包装機。
【請求項6】
請求項2?5の何れか1項に記載の真空包装機において、
前記チャンバ内には前記検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、
前記支持ブラケットには前記検知プレートの回動角度を規制するストッパを設けたことを特徴とする真空包装機。
【請求項7】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びて上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、前記位置検出センサは前記検知バーの長手方向の端部の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項8】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びて長手方向の一端を支点として他端が上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、前記位置検出センサは前記検知バーの長手方向の他端の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項9】
被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機。」

2.当審取消理由に記載した取消理由1について
訂正前の請求項1に係る発明の「直ぐ隣接した」という記載について、同様の意味を有する語を繰り返したことによって、不明瞭な記載となっていたものを、「直ぐ」を削除することによって、同様の意味を有する語の繰り返しを解消したため、明瞭な記載となった。
したがって、請求項1?9に係る発明は明確である。

3.当審取消理由に記載した取消理由2について
請求項9に係る発明の「発光部」が「光の発射する」ことについて、本件訂正前の「前記包装袋の上側を通過する」が、本件訂正後は「膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で」になったことで、「包装袋の膨らみを検知でき」ないものが排除され、本件訂正後の請求項9に係る発明は、「・・・真空包装機において、包装袋の大きさに関わらず包装袋の膨らみを検知できるようにするとともに包装袋の膨張の検知精度を高くすることを目的とする。」(段落0005)という課題の解決ができないものを包含しないものとなった。
よって、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。

4.当審取消理由に記載した取消理由3について
(1)引用例
ア.引用例1
引用例1には、図面と共に、次の記載がある。
「【請求項6】
液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧して包装袋内の脱気を行う脱気装置と、チャンバー内に設けられ、包装袋の被包装物投入口を閉じる投入口閉成装置と、閉状態の被包装物投入口を封止する封止装置と、脱気装置と投入口閉成装置と封止装置とを制御する制御装置と、を備えた真空包装装置において、
前記制御装置は、
前記脱気装置を制御して、予め設定された投入口閉成前設定圧までチャンバー内を減圧した後、このチャンバー内において投入口閉成装置を制御して被包装物投入口を閉じ、この状態で脱気装置を制御してチャンバー内を投入口閉成前設定圧よりも低い投入口閉成時設定圧まで減圧する包装減圧制御手段と、
該包装減圧制御手段により投入口閉成時設定圧まで減圧したチャンバー内において投入口閉成装置を制御して被包装物投入口の閉状態を解除する閉成解除制御手段と、
該閉成解除制御手段により被包装物投入口の閉状態を解除した後、投入口閉成装置を制御して被包装物投入口を再び閉じ、この閉状態で封止装置により封止する封止制御手段と、を備えたことを特徴とする真空包装装置。
【請求項7】
前記チャンバー内の包装袋の膨張を検出可能な膨張検出手段を備え、
チャンバー内を投入口閉成時設定圧まで減圧して前記被包装物投入口が閉じられた状態の包装袋が膨張すると、膨張検出手段が包装袋の膨張を検出し、該検出に基づいて制御装置がチャンバー内の脱気を停止するように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の真空包装装置。
【請求項8】
前記膨張検出手段は、包装袋の上部に当接する袋当接部を上下動自在な状態で備え、該袋当接部により膨張状態の包装袋を押し潰し可能であることを特徴とする請求項7に記載の真空包装装置。
【請求項9】
前記脱気装置は、真空ポンプと、該真空ポンプの駆動により減圧されるチャンバー内の減圧速度を予め設定された第1減圧速度と、該第1減圧速度よりも遅い第2減圧速度とに切替可能な減圧調整機構と、を備え、
前記制御装置は、
前記脱気装置を制御して、前記投入口閉成前設定圧よりも高い準備設定圧まで第1減圧速度でチャンバー内を減圧した後、第2減圧速度で前記投入口閉成前設定圧までチャンバー内を減圧する準備減圧制御手段を備えたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の真空包装装置。
【請求項10】
前記減圧調整機構は、
前記真空ポンプとチャンバーとを連通可能な吸気流路と、
該吸気流路よりも流路抵抗が大きく設定され、吸気流路を迂回して真空ポンプとチャンバーとを連通可能なバイパス流路と、
前記吸気流路を介して真空ポンプとチャンバーとを連通する吸気連通状態と、バイパス流路を介して真空ポンプとチャンバーとを連通するバイパス連通状態とに切替可能な流路切替弁と、を備え、
該流路切替弁を吸気連通状態に切り替えた状態で真空ポンプを駆動すると、チャンバー内が第1減圧速度で減圧され、バイパス連通状態に切り替えた状態で真空ポンプを駆動すると、チャンバー内が第2減圧速度で減圧されるように構成したことを特徴とする請求項9に記載の真空包装装置。」
「【0024】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
真空包装装置1は、図1および図2に示すように、被包装物を収容した包装袋Bを収納するチャンバー2と、該チャンバー2内を減圧して包装袋B内の脱気を行う脱気装置3と、チャンバー2の内部に設けられ、包装袋Bの被包装物投入口Baを閉じる投入口閉成装置5と、包装袋Bの被包装物投入口Baを封止するシール用ヒーター6(本発明における封止装置に相当)と、脱気装置3と投入口閉成装置5とシール用ヒーター6とを制御する制御装置7と、を備えて構成されている。なお、脱気装置3については、後で詳細に説明する。
【0025】
チャンバー2は、上面に包装袋Bを載置可能な本体部2aと、該本体部2aを上方から閉塞する蓋部2bとから構成された耐圧容器であり、蓋部2bを上下方向に回動して開閉可能とし、蓋部2bと本体部2aとの当接部分にシール材(図示せず)を設けてチャンバー2内の気密性を維持できるように構成されている。また、本体部2aには吸引口9を穿設して脱気装置3へ接続し、脱気装置3を駆動するとチャンバー2内の空気が吸引口9から吸引されてチャンバー2内が減圧されるように構成されている。
【0026】
投入口閉成装置5は、本体部2a側に昇降可能な状態で設けられた下側閉成ブロック10と、蓋部2bの下面側に固定された上側閉成ブロック11とを対向する状態で備え、下側閉成ブロック10を閉成用シリンダ12の駆動により昇降可能とし、上側閉成ブロック11と上昇状態の下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持して被包装物投入口Baを閉成するように構成されている。・・・さらに、下側閉成ブロック10の上側閉成ブロック11側(上部)および上側閉成ブロック11の下側閉成ブロック10側(下部)にはシール用ヒーター6をそれぞれ備え、上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持した状態でシール用ヒーター6に通電すると、被包装物投入口Baが閉成した状態で加熱圧着されて封止されるように構成されている。」
「【0028】
次に、脱気装置3について説明する。
脱気装置3は、真空ポンプ16と、該真空ポンプ16とチャンバー2との間を接続する減圧調整機構17とを備えて構成されている。・・・」
「【0033】
まず、被包装物を入れた包装袋Bをチャンバー2内にセットするセット工程(準備工程)を行う。セット工程では、蓋部2bを開けた状態で、作業員が包装袋Bを本体部2a上に載せるとともに被包装物投入口Baを下側閉成ブロック10上に載せる。」
「【0046】
ところで、上記各実施形態においては、チャンバー2内が予め設定された第3設定圧P3まで減圧されると、チャンバー2内の脱気を停止するように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図13に示す第3実施形態では、基本的には第2実施形態と同じであるが、第3設定圧を設定せず、その代わりに包装袋B(詳しくは、内部で液体が沸騰している包装袋B)の膨張状態を検出し、この検出結果に基づいてチャンバー2内の脱気を停止するように構成されている。
【0047】
具体的に説明すると、図13に示すように、第3実施形態における真空包装装置1のチャンバー2には、包装袋Bの膨張状態を検出可能な膨張検出手段50を備えている。膨張検出手段50は、本体部2a上に載置された包装袋Bよりも上方に位置する平板状の袋当接部51と、該袋当接部51の姿勢の変化により包装袋Bの膨張状態を検出可能な膨張検出センサ52とを備えて構成されている。そして、袋当接部51の投入口閉成装置5側の端部(図13中、左端部)を上側閉成ブロック11の側部に回動自在な状態で軸着し、蓋部2bの軸着側に位置する自由端部(図13中、右端部)が昇降(上下方向に移動)して、自由端部が蓋部2b側に位置する上昇姿勢(図13中、実線で示す姿勢)と、本体部2a側に位置する下降姿勢(図13中、二点鎖線で示す姿勢)とに変換できるように構成されている。さらに、袋当接部51には、温度検出センサ40を包装袋Bに臨ませる開口部(図示せず)を開設し、温度検出センサ40が誤って袋当接部51の温度を検出することを避けている。
【0048】
また、袋当接部51の自由端部の上面(蓋部2b側を向いた面)には検出片53を備え、下面には自由端部が本体部2aに当接することを阻止するストッパー54を備えている。そして、チャンバー2のうち検出片53の上方に位置する箇所には、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53を検出可能な膨張検出センサ52を備え、該膨張検出センサ52の検出信号を制御装置7のインターフェイス回路31へ送信できるように構成されている(図14参照)。なお、本実施形態では、膨張検出センサ52を磁気センサによって構成するとともに検出片53を磁性体で構成し、検出片53の接近により変化する磁界の強さを膨張検出センサ52で感知することで、袋当接部51の姿勢変化を検出可能としている。
【0049】
このような構成の膨張検出手段50を備えた真空包装装置1の包装減圧工程では、図15に示すように、第2設定圧P2まで減圧されたチャンバー2内において、被包装物投入口Baを閉成した状態の包装袋B内で、被包装物内の液体(水)が沸騰し始め、液体が気化して発生する気体(水蒸気)により包装袋B内の気圧がチャンバー2内の気圧よりも高くなって包装袋Bが膨らんでくる。そして、包装減圧制御手段として機能している制御装置7の制御に基づいて、被包装物投入口Baを閉成した状態で真空ポンプ16の駆動を継続し、チャンバー2内を第2減圧速度で減圧して被包装物内の液体を沸騰させ続けると、膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接する。引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される。
【0050】
膨張検出センサ52により検出片53を検出した旨の検出信号(言い換えると、包装袋Bの膨張を検出した旨の検出信号)を制御装置7が受信すると、真空包装装置1が閉成解除工程に移行し、制御装置7が閉成解除制御手段として機能する。そして、図16に示すように、チャンバー2内の脱気を停止(チャンバー2と真空ポンプ16との間の通気を阻止)するとともに、下側閉成ブロック10を下降させて上側閉成ブロック11から離間させて膨張状態の包装袋Bの被包装物投入口Baを開放、言い換えると被包装物投入口Baの閉状態を解除する。すると、包装袋B内で発生した気体が被包装物投入口Baからチャンバー2内に放出され、さらに、準備減圧工程および包装減圧工程において包装袋B内から吸引(脱気)しきれなかった残留空気も前記気体とともに包装袋Bの外方へ放出される。また、包装袋Bの膨張により上昇姿勢に変換していた袋当接部51がその自重により下方に移動して下降姿勢に戻り、膨張していた包装袋Bを押し潰す。これにより、包装袋Bの膨張状態を検出する構成を利用して包装袋B内に停留する残気(空気や前記気体)を外方へ追い出すことができ、包装袋B内を十分に脱気することができる。したがって、残留空気を含み難い良好な真空包装を行うことができる。」
「【0052】
なお、袋当接部51は、上側閉成ブロック11に軸着された平板で構成されることに限定されない。要は、チャンバー2内のうち包装袋Bの上方に昇降自在な状態で配置され、膨張した包装袋Bにより押し上げられ、膨張状態の包装袋Bの上面に載って包装袋Bを押し潰すことができれば、どのような構成でもよい。例えば、チャンバー2内に立設された柱状のスライドガイドに沿って昇降自在な部材で構成してもよいし、あるいは蓋部2bの内側からチェーンや紐等で吊り下げられた部材で構成してもよい。さらに、袋当接部をばね等の付勢部材の付勢力により下方の包装袋B側へ常時付勢し、包装減圧工程においては、膨張する包装袋Bが付勢部材の付勢力に抗して袋当接部を押し上げ、閉成解除工程においては、袋当接部が付勢部材の付勢力により膨張状態の包装袋Bを押し潰すように構成してもよい。また、膨張検出センサ52は、磁気センサで構成されることに限定されず、包装袋Bの膨張に伴う袋当接部51の状態変化を検知可能であればどのようなものでもよい。例えば、マイクロスイッチ等の機械式センサで構成してもよい。
【0053】
さらに、膨張検出手段は、包装減圧工程における包装袋Bの膨張を検出可能であれば、袋当接部を有する構成に限定されない。例えば、チャンバー2内の包装袋Bを撮影する監視カメラを備え、包装袋Bの膨張状態を予め撮影した画像に基づくデータを制御装置7に記憶しておき、監視カメラで撮影された包装袋Bの画像と前記データとを比較して包装袋Bの膨張状態を検出する手段(画像認識による検出手段)であってもよい。」

引用例1における請求項6の「液体が含まれた被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバーと、・・・」という記載、【0024】の「・・・真空包装装置1は、図1および図2に示すように、被包装物を収容した包装袋Bを収納するチャンバー2と、・・・」という記載、【0025】の「チャンバー2は、上面に包装袋Bを載置可能な本体部2aと、・・・」という記載、【0026】の「・・・上側閉成ブロック11と上昇状態の下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持して被包装物投入口Baを閉成するように構成されている。・・・」という記載、【0033】の「・・・セット工程では、蓋部2bを開けた状態で、作業員が包装袋Bを本体部2a上に載せるとともに被包装物投入口Baを下側閉成ブロック10上に載せる。・・・」という記載、図1及び図13を参照すれば、「チャンバー2」は、「液体が含まれた被包装物を収納した包装袋Bを」横たえて「収容する」ものといえ、また、「包装袋B」の「被包装物投入口Ba」を「チャンバー2」内の一方の側にて「下側閉成ブロック10上に載せ」、「包装袋B」の「被包装物投入口Ba」と反対側となる閉止底部を、「チャンバー2」内にて「下側閉成ブロック10」よりも他方の側に配置して、「包装袋B」を「チャンバー2」内に「収容」しているといえる。

ここで、「位置」とは「ある人・物・事柄が、他との関係もしくは全体との関係で占める場所、あるいは立場。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であること、及び「隣接」は「となりあってつづくこと。近隣関係にあること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であることをふまえると、【0047】の「・・・そして、袋当接部51の投入口閉成装置5側の端部(図13中、左端部)を上側閉成ブロック11の側部に回動自在な状態で軸着し、・・・」という記載及び図13を参照すれば、「袋当接部51」は、その軸着部分において、「上側閉成ブロック11」に対して、近隣関係にあるから、「袋当接部51」は、「チャンバー2」の一方の側の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」よりも他方に隣接する位置にあるといえる。

したがって、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「上面に包装袋Bを載置可能な本体部2aと、該本体部2aを上方から閉塞する蓋部2bとから構成された耐圧容器であり、液体が含まれた被包装物を収納した包装袋Bを横たえて収容するチャンバー2と、
本体部2a側に昇降可能な状態で設けられた下側閉成ブロック10と、蓋部2bの下面側に固定された上側閉成ブロック11とを対向する状態で備え、下側閉成ブロック10を閉成用シリンダ12の駆動により昇降可能とし、上側閉成ブロック11と上昇状態の下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持して被包装物投入口Baを閉成するように構成されている投入口閉成装置5と、上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持した状態で通電すると、被包装物投入口Baが閉成した状態で加熱圧着されて封止されるように構成された、上側閉成ブロック11側(上部)および上側閉成ブロック11の下側閉成ブロック10側(下部)にそれぞれ備えられたシール用ヒーター6と、
真空ポンプ16と、該真空ポンプ16とチャンバー2との間を接続する減圧調整機構17とを備えて構成されており、チャンバー2内を減圧して包装袋B内の脱気を行う脱気装置とを備え、
包装袋Bの被包装物投入口Baをチャンバー2内の一方の側にて下側閉成ブロック10上に載せ、包装袋Bの被包装物投入口Baと反対側となる閉止底部を、チャンバー2内にて下側閉成ブロック10よりも他方の側に配置して、包装袋Bをチャンバー2内に収容して真空包装する真空包装装置であって、
チャンバー2の一方の側の上側閉成ブロック11及び下側閉成ブロック10よりも他方に隣接する位置に、その自由端部の上面に検出片53を備えた袋当接部51を備え、チャンバー2のうち検出片53の上方に位置する箇所には、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53を検出可能な膨張検出センサ52を備え、
被包装物投入口Baを閉成した状態で真空ポンプ16の駆動を継続し、チャンバー2内を減圧して被包装物内の液体を沸騰させ続けると、膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接し、引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される、真空包装装置」

イ.引用例2
引用例2には、次の記載がある。
「吹きこぼれやすい粘性のある液体も、レバープレートが運転を制御し、吹きこぼれを防止します(ホットテンプ:液体・粘性モード)。」(2ページ「ホットテンプ機能」の欄)
また、この記載の右側の図から、被包装物が収納された包装袋の膨張によって、被包装物が収納された包装袋の開口部周縁に隣接した位置にある自由端が、膨張した包装袋によって上動する部材が看取されるが、当該上動する部材の形状について3面図や説明が付されているわけではないから、その形状や機能・作用は不明である。仮に、当該上動する部材がレバープレートであったとしても、その機能・作用は、前記「レバープレートが運転を制御し、吹きこぼれを防止します」にとどまる。
ここで、異議申立人は、引用例2に記載された「レバープレート」について、本件特許の出願日後に公開された甲第9号証を提出しているが、引用例2に記載された事項の認定は、引用例2の記載内容全体から、当業者の技術常識を考慮してなされるべきところ、甲第9号証は、本件特許の出願前に、本件特許の出願前に引用例2に記載された「レバープレート」が、包装袋の膨張を検知するものと理解する当業者の技術常識を示す証拠ではないから、引用例2に記載された「レバープレートが」真空包装機の「運転を制御」することを、「レバープレート」が包装袋の膨張を検知すると解すべき根拠はない。
したがって、引用例2には次の事項(以下「引用例2事項」という。)が示されている。
「真空包装機において、レバープレートが運転を制御し、吹きこぼれを防止すること。」

ウ.引用例3
引用例3には、ニチワ電機の真空包装機であるホットテンプについて紹介されており、動画開始2分47秒-2分52秒及び4分15秒-4分20秒において、被包装物を収納した包装袋を真空パックする過程で、膨張する包装袋によって、画面上で「吹きこぼれを防止するレバープレート」と明示された部品の自由端が上動する様子が示されると共に、「レバープレートが運転を制御して、吹きこぼれを防止します。」との音声が付されている。
また、動画から前記「吹きこぼれを防止するレバープレート」の自由端は、包装袋の開口部周縁に隣接した位置にあることが看取される。
したがって、引用例3には次の事項(以下「引用例3事項」という。)が示されている。
「真空包装機において、被包装物が収納された包装袋の膨張によって、包装袋の開口部周縁に隣接した位置にある吹きこぼれを防止するレバープレートの自由端が上動し、レバープレートが運転を制御して、吹きこぼれを防止すること。」

(2)請求項1に係る発明について
ア.対比
請求項1に係る発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「包装袋B」及び「液体が含まれた被包装物」は、それぞれ請求項1に係る発明の「包装袋」及び「被包装物」に相当するから、引用発明の「チャンバー2」は、請求項1に係る発明の「チャンバ」に相当する。
引用発明の「本体部2a側に昇降可能な状態で設けられた下側閉成ブロック10と、蓋部2bの下面側に固定された上側閉成ブロック11とを対向する状態で備え、下側閉成ブロック10を閉成用シリンダ12の駆動により昇降可能とし」たという態様は、請求項1に係る発明の「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され」た態様に相当するから、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」は、「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体」という限りで、請求項1に係る発明の「上下のブロック体」と一致する。
引用発明の「上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持した状態で通電すると、被包装物投入口Baが閉成した状態で加熱圧着されて封止される」ことは、請求項1に係る発明の「包装袋を加熱溶着する」ことに他ならないから、引用発明の「シール用ヒーター6」は、請求項1に係る発明の「ヒータ」に相当する。
したがって、引用発明の「投入口閉成装置5」及び「シール用ヒーター6」を合わせると、その構成と機能から、「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置」という限りで、請求項1に係る発明の「加熱封止装置」に一致する。
また、引用発明の「チャンバー2内を減圧して包装袋B内の脱気を行う」ことは、請求項1に係る発明の「前記チャンバ内を脱気して負圧化させる」ことに他ならないから、引用発明の「脱気装置」の「真空ポンプ16」は、請求項1に係る発明の「真空ポンプ」に相当し、引用発明の「包装袋Bの被包装物投入口Baをチャンバー2内の一方の側にて下側閉成ブロック10上に載せ、包装袋Bの被包装物投入口Baと反対側となる閉止底部を、チャンバー2内にて下側閉成ブロック10よりも他方の側に配置して、包装袋Bをチャンバー2内に収容して真空包装する」ことは、請求項1に係る発明の「前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する」ことに相当し、引用発明の「真空包装装置」は、請求項1に係る発明の「真空包装機」に相当する。
引用発明の「チャンバー2の一方の側の上側閉成ブロック11及び下側閉成ブロック10よりも他方に隣接する位置」は、請求項1に係る発明の「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置」に相当し、引用発明の「その自由端部の上面に検出片53を備えた袋当接部51」及び「上昇姿勢における袋当接部51の検出片53を検出可能な膨張検出センサ52」は、それぞれ請求項1に係る発明の「前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材」及び「前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサ」に相当するから、引用発明の「被包装物投入口Baを閉成した状態で真空ポンプ16の駆動を継続し、チャンバー2内を減圧して被包装物内の液体を沸騰させ続けると、膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接し、引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される」ことは、請求項1に係る発明の「前記真空ポンプにより前記チャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する前記包装袋によって前記検知部材が上動したことを前記位置検出センサにより検出することで、前記包装袋の膨らみを検知するようにしたこと」に相当する。

以上のことから、請求項1に係る発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と備え、前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサを備え、
前記真空ポンプにより前記チャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する前記包装袋によって前記検知部材が上動したことを前記位置検出センサにより検出することで、前記包装袋の膨らみを検知するようにした真空包装機。」
[相違点1]
「上下のブロック体」について、請求項1に係る発明は「細長い形状をした」ものであるのに対し、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」は、細長い形状か否か不明である点。
[相違点2]
「検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサ」について、請求項1に係る発明は「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に」「備えて」いるのに対し、引用発明の「膨張検出センサ52」は、「チャンバー2のうち検出片53の上方に位置する箇所」にあって、「チャンバー2」の一方の側の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」よりも他方に隣接する位置にあるとは言えない点。

イ.判断
(ア)[相違点1]について
包装袋の加熱溶着による封止の際、その加熱溶着幅を無意味に増すことは不自然であるから、加熱溶着される包装袋の開口部周縁の寸法との関係で、溶着部分が細長くなる、すなわち、加熱溶着する装置の、包装袋の開口部周縁を挟持・加熱する部分も細長くなるのが自明である。
したがって、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」を細長い形状に構成することは、引用発明を具体化する際、当業者が設計上適宜になし得たことである。

(イ)[相違点2]について
引用例1の「さらに、膨張検出手段は、包装減圧工程における包装袋Bの膨張を検出可能であれば、袋当接部を有する構成に限定されない。・・・」(【0053】)という記載を当業者がみれば、結局、「膨張検出手段」は、「包装袋B」の膨張を検出可能に構成されていれば良いものであると理解できる。
そのうえで、「袋当接部51」の上面に備えられた「検出片53」の位置及び「検出片53」を検出可能な「膨張検出センサ」の位置について検討する。
「検出片53」の「袋当接部51」の回動範囲内であれば、「袋当接部51」の姿勢変化は検知可能であり、「包装袋B」の膨張を検出可能である。
しかし、引用例1の「また、袋当接部51の自由端部の上面(蓋部2b側を向いた面)には検出片53を備え、・・・」(【0048】)という記載及び図13によれば、「検出片53」は「袋当接部51」の「上面」に突出した状態で設けられているところ、「袋当接部51」の回動角が同一の場合には、「袋当接部51」の「自由端部」の回動量に比較して、「袋当接部51」の「軸着」部分近辺の回動量は少ないから、「検出片53」を、「袋当接部51」の「自由端部」から移設できたとしても、「袋当接部51」の「軸着」部分近辺まで移設すると、「袋当接部51」の「自由端部」に「検出片53」を備えた場合よりも、「袋当接部51」の回動角が小さい場合でも「膨張検出センサ」が「検出片53」を検知してしまうという阻害要因がある。
そして、当該阻害要因を克服するためには、新たな構成を検討せざるを得ないから、「袋当接部51」の上面に備えられた「検出片53」の位置及び「検出片53」を検出可能な「膨張検出センサ」の位置を「上側閉成ブロック11」と「下側閉成ブロック10」に隣接する位置として、前記相違点に係る請求項1に係る発明のように構成することは、引用発明を具体化する際、当業者が設計上適宜になし得たこととはいえない。
また、上記(1)イ.及びウ.のとおり、引用例2事項及び引用例3事項は、レバープレートが運転を制御するものではあるものの、包装袋の膨らみを検知する構成は不明であるから、引用例2事項または引用例3事項を参考にしても、引用発明において、「袋当接部51」の上面に備えられた「検出片53」の位置及び「検出片53」を検出可能な「膨張検出センサ」の位置を、「上側閉成ブロック11」と「下側閉成ブロック10」に隣接する位置とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ.小括
したがって、請求項1に係る発明は、引用発明、または、引用発明、及び引用例2事項または引用例3事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえない。

(3)請求項2?8に係る発明について
上記(2)ウ.のとおり、請求項1に係る発明が、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえない以上、請求項1を引用して記載された請求項2?8に係る発明も、同様に、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえない。

(4)請求項9に係る発明について
ア.対比
請求項9に係る発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「包装袋B」及び「液体が含まれた被包装物」は、それぞれ請求項9に係る発明の「包装袋」及び「被包装物」に相当するから、引用発明の「チャンバー2」は、請求項9に係る発明の「チャンバ」に相当する。
引用発明の「本体部2a側に昇降可能な状態で設けられた下側閉成ブロック10と、蓋部2bの下面側に固定された上側閉成ブロック11とを対向する状態で備え、下側閉成ブロック10を閉成用シリンダ12の駆動により昇降可能とし」たという態様は、請求項9に係る発明の「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され」た態様に相当するから、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」は、「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体」という限りで、請求項9に係る発明の「上下のブロック体」と一致する。
引用発明の「上側閉成ブロック11と下側閉成ブロック10との間に包装袋Bを挟持した状態で通電すると、被包装物投入口Baが閉成した状態で加熱圧着されて封止される」ことは、請求項9に係る発明の「包装袋を加熱溶着する」ことに他ならないから、引用発明の「シール用ヒーター6」は、請求項9に係る発明の「ヒータ」に相当する。
したがって、引用発明の「投入口閉成装置5」及び「シール用ヒーター6」を合わせると、その構成と機能から、「前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置」という限りで、請求項9に係る発明の「加熱封止装置」に一致する。
また、引用発明の「チャンバー2内を減圧して包装袋B内の脱気を行う」ことは、請求項9に係る発明の「前記チャンバ内を脱気して負圧化させる」ことに他ならないから、引用発明の「脱気装置」の「真空ポンプ16」は、請求項9に係る発明の「真空ポンプ」に相当し、引用発明の「包装袋Bの被包装物投入口Baをチャンバー2内の一方の側にて下側閉成ブロック10上に載せ、包装袋Bの被包装物投入口Baと反対側となる閉止底部を、チャンバー2内にて下側閉成ブロック10よりも他方の側に配置して、包装袋Bをチャンバー2内に収容して真空包装する」ことは、請求項9に係る発明の「前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する」ことに相当し、引用発明の「真空包装装置」は、請求項9に係る発明の「真空包装機」に相当する。
引用発明の「チャンバー2の一方の側の上側閉成ブロック11及び下側閉成ブロック10よりも他方に隣接する位置」は、請求項9に係る発明の「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置」に相当するから、引用発明の「チャンバー2の一方の側の上側閉成ブロック11及び下側閉成ブロック10よりも他方に隣接する位置に、その自由端部の上面に検出片53を備えた袋当接部51を備え、チャンバー2のうち検出片53の上方に位置する箇所には、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53を検出可能な膨張検出センサ52を備え、被包装物投入口Baを閉成した状態で真空ポンプ16の駆動を継続し、チャンバー2内を減圧して被包装物内の液体を沸騰させ続けると、膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接し、引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される」ことは、「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の位置に、包装袋の膨張を検知するセンサを備えた」ことの限りで、請求項9に係る発明の「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたこと」と一致する。

以上のことから、請求項9に係る発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の位置に、包装袋の膨張を検知するセンサを備えた真空包装機。」
[相違点3]
「上下のブロック体」について、請求項9に係る発明は「細長い形状をした」ものであるのに対し、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」は、細長い形状か否か不明である点。
[相違点4]
「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の位置に、包装袋の膨張を検知するセンサを備えた」ことについて、請求項9に係る発明は「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えた」ものであるのに対し、引用発明は「チャンバー2の一方の側の上側閉成ブロック11及び下側閉成ブロック10よりも他方に隣接する位置に、その自由端部の上面に検出片53を備えた袋当接部51を備え、チャンバー2のうち検出片53の上方に位置する箇所には、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53を検出可能な膨張検出センサ52を備え、被包装物投入口Baを閉成した状態で真空ポンプ16の駆動を継続し、チャンバー2内を減圧して被包装物内の液体を沸騰させ続けると、膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接し、引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される」ものである点。

イ.判断
(ア)[相違点3]について
包装袋の加熱溶着による封止の際、その加熱溶着幅を無意味に増すことは不自然であるから、加熱溶着される包装袋の開口部周縁の寸法との関係で、溶着部分が細長くなる、すなわち、加熱溶着する装置の、包装袋の開口部周縁を挟持・加熱する部分も細長くなるのが自明である。
したがって、引用発明の「上側閉成ブロック11」及び「下側閉成ブロック10」を細長い形状に構成することは、引用発明を具体化する際、当業者が設計上適宜になし得たことである。

(イ)[相違点4]について
引用例1の「さらに、膨張検出手段は、包装減圧工程における包装袋Bの膨張を検出可能であれば、袋当接部を有する構成に限定されない。・・・」(【0053】)という記載を当業者がみれば、結局、「膨張検出手段」は、「包装袋B」の膨張を検出可能に構成されていれば良いものであると理解できるが、「袋当接部を有する構成」以外の構成について、具体的な記載はない。
そこで、引用発明における「膨張した包装袋Bの上面が袋当接部51に当接し、引き続き真空ポンプ16の駆動を継続して包装袋Bをさらに膨張させると、袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換し、上昇姿勢における袋当接部51の検出片53が膨張検出センサ52により検出される」態様と同等の機能・作用を奏するための構成を検討すると、引用発明における「袋当接部51」は、「膨張した包装袋Bの上面」が「袋当接部51」の「軸着」部分から「自由端部」までのいずれの部位に当接しても、「袋当接部51が包装袋Bに押し上げられて下降姿勢から上昇姿勢に変換」するものであるから、「袋当接部を有する構成」以外の構成とするとしても、「引用発明」における「袋当接部51」の「軸着」部分から「自由端部」までの範囲内のいずれの部位に「膨張した包装袋Bの上面」があっても検出することが可能でなければならない。
そうすると、異議申立人が特許異議申立書において「・・・発光素子と受光素子とによる光学センサは極めて周知である。・・・」(21ページ10?11行)と主張するとおり、発光素子と受光素子とによる光学センサが周知技術であったとしても、上記相違点4に係る構成のように「前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した」だけでは、「引用発明」における「袋当接部51」の「軸着」部分から「自由端部」までの範囲内のいずれの部位に、「膨張した包装袋Bの上面」があっても検出することはできない。
したがって、引用発明及び周知技術に基いて、前記相違点4に係る請求項9に係る発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ.小括
したがって、請求項9に係る発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるとはいえない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.異議申立理由1について
異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1?9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第12号証のいずれか(特に、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証、甲第8号証、甲第10号証のいずれか)に記載された事項に基づき、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである旨を主張する。
甲第1号証(引用例1)、甲第8号証(引用例2)、甲第9号証、甲第10号証(引用例3)については、上記第4のとおりであるので、甲第2号証?甲第7号証、甲第11号証、甲第12号証について検討する。

(1)甲第2号証について
甲第2号証(「卓上型真空包装機トスパックホットシリーズHVP-382N」のカタログ)には、頒布された日を確認できる記載がないから、特許法第29条第1項第3号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物」であるかが不明である。
仮に、甲第2号証が、特許法第29条第1項第3号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物」であるとしても、甲第2号証には、真空包装機の具体的な構成、特に、包装袋の膨らみを検知する構成について記載されていない。
したがって、請求項1?9に係る発明は、引用発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない

(2)甲第3号証について
甲第3号証(「TOSEI ホットパック機に機能追加」、包装タイムス、平成26年11月17日発行)には、「新製品では、吹きこぼれ対策として新たに二つの機能を追加。」等の記載があるが、真空包装機の具体的な構成、特に、包装袋の膨らみを検知する構成について記載されていない。
したがって、請求項1?9に係る発明は、引用発明及び甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない

(4)甲第4号証について
甲第4号証(受領書、平成26年12月11日)には、商品名HPV-382Nを、つるや旅館佐藤守が受領したことを示すだけであって、真空包装機の具体的な構成、特に、包装袋の膨らみを検知する構成について記載されていない。
したがって、請求項1?9に係る発明は、引用発明及び甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない

(5)甲第5号証について
甲第5号証(卓上型真空包装機HPV-382N取扱説明書)には、頒布された日を確認できる記載がないから、特許法第29条第1項第3号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物」であるかが不明である。
ここで、甲第4号書には、前記のとおり、商品名HPV-382Nを、つるや旅館佐藤守が受領したことは示されているが、当該受領されたHPV-382Nに、取扱説明書が付されていたとしても、甲第5号証と同一物が付されていたことを示す証拠はないから、甲第4号証をもってしても、甲第5号証が頒布された日は不明である。

(6)甲第6号証、甲第7号証について
甲第6号証及び甲第7号証は、つるや旅館において撮影されたHVP-382Nとのことであるが、甲第6号証及び甲第7号証によって示されたHVP-382Nが、甲第4号証に記載されたとおり、平成26年12月11日に、つるや旅館佐藤守が受領したHVP-382Nそのものであることの証拠はない。
また、甲第6号証の<写真5>には「装置の右側面拡大(製造年の表示あり)」との説明文が記載されているが、当該<写真5>からは、製造年は看取されない。なお、甲第6号証の<写真3>から「製造年度2014年製造」とも読めなくもない文字が看取されるが、判然としない。さらに、甲第7号証については、製造年が記載された箇所は撮影されていないから、製造年は看取されない。
仮に、甲第6号証及び甲第7号証によって示されたHVP-382の製造年が2014年であり、これが正しいものであったとしても、製造年月までは不明である。また、製造年月は明確であったとしても、これが直ちに、特許法第29条第1項第1号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた」こと及び特許法第29条第1項第2号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた」ことを証明するものでもない。

(7)甲第11号証について
甲第11号証は、甲第10号証を撮影したものに過ぎない。
そして、甲第10号証については上記第4の4.(2)ウ.で引用例3事項として認定したとおりである。

(8)甲第12号証について
甲第12号証(「真空包装機ホットテンプLYNX32」を撮影した写真)の<写真5>には「製造年月2013.12」との記載が看取されるが、当該製造年月が正しいものであったとしても、製造年月が直ちに、特許法第29条第1項第1号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた」こと及び特許法第29条第1項第2号に規定された「特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた」ことを証明するものでもない。
なお、<写真4>には「チャンバー内の下側ブロックとセンサー(前方側円柱)」との説明文が記載され、<写真7>には「レバープレート拡大(センサーに対向する磁石取付位置)」との説明文が記載されているが、円柱がセンサーであるにせよ、外見からは、どのような種類・構造のセンサーであるのかは不明であるし、「センサーに対向する磁石取付位置」と主張する部分も、外見からは磁石であるのか否かは不明であるから、包装袋の膨らみを検知する構成の有無は不明である。
また、異議申立人は、甲第12号証によって示された真空包装機ホットテンプLYNX32について、特許異議申立書の21ページ21?23行において「・・・同様に、甲第8号証?甲第12号証によれば、ニチワ電機株式会社の「真空包装機ホットテンプLYNX32」は、本件特許発明の構成(A)(B)(C)(D)(E)(F)(G)(J)(L)(M)を備えている。・・・」と主張されているが、甲第8号証の5ページに掲載されたLYNX32の写真には、甲第12号証の<写真4>の「センサー(前方側円柱)」は存在しないから、甲第8号証によって示されたものと、甲第12号証によって示されたものとを、同一物として扱うことができない。
したがって、異議申立人のかかる主張は、採用することができない。

2.異議申立理由2について
異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2、4及び6に係る発明は、甲第2号証?甲第12号証に示す真空包装機は出願前に販売されたことによって公知であるから、特許法第29条第1項第1号及び特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである旨を主張する。
しかし、甲第2号証?甲第12号証については、第4及び第5の1.のとおりであるから、異議申立人のかかる主張は、採用することができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、当審取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
真空包装機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内を真空ポンプにより脱気して負圧化して、包装袋を加熱封止装置により密封して真空包装する真空包装機に関し、被包装物を温かい(または熱い)状態で包装袋内に真空包装することを可能とした真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には食材、調理物等の被包装物を収納した包装袋を真空包装する真空包装機が開示されている。この真空包装機は、食材、調理物等の被包装物を収納した包装袋を収容するチャンバと、チャンバ内の前部にて包装袋の開口部周縁を加熱溶着して包装袋を密封する加熱封止装置と、チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備えている。この真空包装機の加熱封止装置は、チャンバ内の前部に設けた上側ブロック体と、上側ブロック体の下側にて上下動可能に設けて上側ブロック体とともに包装袋の開口部周縁を狭持する下側ブロック体と、下側のブロック体に設けたヒータとを有している。この真空包装機においては、食材、調理物等の被包装物を収納した包装袋をチャンバ内に収容し、包装袋の開口部周縁を下側ブロック体の上側に載せ、真空ポンプによってチャンバ内を脱気して負圧化させてから、下側ブロック体を上側ブロック体に押圧することで包装袋の開口部を閉じ、下側ブロック体のヒータを発熱させて包装袋の開口部周縁を加熱溶着して包装袋を真空包装するようにしている。
【0003】
この真空包装機は、スープ、シチュー等の温かい(または熱い)調理物を真空包装することに対応させて、チャンバ内を脱気しているときに包装袋が膨張するのを検知する膨張検知手段を備えている。この膨張検知手段は、チャンバ内にて上側ブロック体に水平軸線回りに回動可能に支持されてチャンバの後部まで延びる膨張検知板と、膨張検知板の後端部に設けた磁石よりなる検出片と、チャンバの後側上部にて膨張検知板の後端部と対向する位置に設けた位置検出センサとを備えている。この膨張検知手段は、チャンバ内に収容した包装袋がチャンバ内を負圧化させることによって膨張すると、膨張検知板は膨張した包装袋によって後端部が上方に回動するように持ち上げられ、膨張検知板の後端部の検出片が位置検出センサに近接し、位置検出センサは検出片が近接したことに基づいて包装袋が膨張したことを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-203402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような真空包装機においては、この膨張検知手段の膨張検知板はチャンバ内の前部となる上側ブロック体からチャンバ内の後部まで延出し、膨張検知板の後端部に設けた磁石よりなる検出片を位置検出センサにより検出させ、位置検出センサによる検出片の近接に基づいて包装袋の膨張を検知している。この真空包装機において、チャンバ内に収容した包装袋がチャンバの前部から少なくとも前後方向の中間部までの長さを有していれば、膨張した包装袋によって膨張検知板の後端部を位置検出センサによって検出できる位置まで上方に回動させることができる。しかし、チャンバ内に収容した包装袋が小さいものであるときには、膨張した包装袋によって膨張検知板の後端部を位置検出センサによって検出できる位置まで回動させることができず、膨張検知手段によって検知できる包装袋の大きさがある程度大きいものと限定されることになっていた。さらに、膨張検知板は前後方向の長さが長いので重量も重く、膨張した包装袋により後端部を上方に回動させて持ち上げにくく、包装袋の膨張の検知精度が高くない問題もあった。本発明は、真空包装機において、包装袋の大きさに関わらず包装袋の膨らみを検知できるようにするとともに包装袋の膨張の検知精度を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、被包装物を横たえて収納した包装袋を収容するチャンバと、チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、上下のブロック体の少なくとも一方に包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した包装袋の開口部周縁を上下のブロック体により狭持した状態でヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、包装袋の開口部周縁をチャンバ内の一方の側にて下側のブロック体の上側に載せ、包装袋の開口部と反対側となる閉止底部をチャンバ内にて下側のブロック体よりも他方の側に配置して、包装袋をチャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、真空ポンプによりチャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知部材が上動したことを位置検出センサにより検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしたことを特徴とする真空包装機を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、真空ポンプによりチャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知部材が上動したことを位置検出センサにより検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしたので、チャンバ内に収容した包装袋が小さなものであっても、検知部材は上下のブロック体に隣接する位置で膨張する包装袋によって確実に上動するようになり、位置検出センサは包装袋の大きさに関わらず包装袋の膨張によって確実に上動する検知部材の位置を検出することによって、包装袋の膨らみを確実に検知できるようになった。
【0008】
上記のように構成した真空包装機の一実施形態として、検知部材はブロック体の長手方向に延びた両端が水平軸線回りに回動可能に支持された帯板状の検知プレートよりなり、位置検出センサは検知プレートの長手方向と直交する方向にてチャンバの他方の側の端部の上下方向の位置を検出するようにしてもよい。このように構成した真空包装機においては、検知プレートの長手方向の端部にはチャンバの他方の側に延びる検知アームを備え、位置検出センサは検知アームの上下方向の位置を検出するのが好ましく、このようにしたときには、帯板状の検知プレートの幅を膨張する前の包装袋に当たらないように短くしてしても、位置検出センサにより位置検出される検知アームの回動範囲を大きく保つことができるようになった。
【0009】
また、このように構成した真空包装機においては、検知プレートの長手方向と直交する方向の端縁を曲げ加工するのが好ましく、このようにしたときには、帯板状の検知プレートの強度を保った状態で厚みを薄くして軽量化でき、包装袋が膨らんだときに検知プレートを確実に回動させることができるようになった。
【0010】
また、このように構成した真空包装機においては、チャンバ内には検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、支持ブラケットの検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、検知プレートの両端部との一方には検知プレートの長手方向にて同じ方向に突出する一対の支持軸部を設けるとともに、支持ブラケットの検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、検知プレートの両端部との他方には支持軸部に係止する一対の係止孔部を形成し、一対の支持軸部を一対の係止孔部に挿通するように検知プレートを長手方向に移動させることにより、検知プレートを支持ブラケットに支持させるのが好ましく、このようにしたときには、検知プレートの着脱が容易となり、検知プレートの洗浄等のメンテナンスを容易にすることが可能となった。
【0011】
また、このように構成した真空包装機においては、チャンバ内には検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、支持ブラケットには検知プレートの回動角度を規制するストッパを設けるのが好ましく、このようにしたときには、検知プレートが膨らむ前の包装袋に当たるのを防ぐ、または、検知プレートがチャンバの上部に接触するのを防ぐことができた。
【0012】
また、上記のように構成した真空包装機の他の実施形態として、検知部材はブロック体の長手方向に延びて上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、位置検出センサは検知バーの長手方向の端部の上下方向の位置を検出するようにしてもよい。また、上記のように構成した真空包装機のさらに他の実施形態として、検知部材はブロック体の長手方向に延びて長手方向の一端を支点として他端が上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、位置検出センサは検知バーの長手方向の他端の上下方向の位置を検出するようにしてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するための他の発明は、被包装物を横たえて収納した包装袋を収容するチャンバと、チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した包装袋の開口部周縁を上下のブロック体により狭持した状態でヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、包装袋の開口部周縁をチャンバ内の一方の側にて下側のブロック体の上側に載せ、包装袋の開口部と反対側となる閉止底部をチャンバ内にて下側のブロック体よりも他方の側に配置して、包装袋をチャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、チャンバの一方の側には、上下のブロック体よりも他方にて隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない包装袋の上側を通過するとともに膨張した包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機を提供するものである。
【0014】
上記のように構成した真空包装機においては、チャンバの一方の側には上下のブロック体よりも他方にて隣接する位置で上下のブロック体の長手方向の両側に、膨らんでいない包装袋の上側を通過するとともに膨らんだ包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたため、チャンバ内に収容した包装袋の大きさに関わらず、光学式センサの発光部から発射した光が膨らんだ包装袋によって遮られるようになり、包装袋の膨らみを確実に検知できるようになった。また、光学式センサを採用したことで、チャンバ内に機械的な構造物を増やす必要がなく、チャンバ内を洗浄等のメンテナンスをするときの作業性を良くすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の真空包装機をチャンバカバーを開放した状態により示す斜視図である。
【図2】本発明の真空包装機の主としてチャンバと真空ポンプとを接続する配管を示す概略図である。
【図3】第1実施形態の真空包装機の前部の拡大斜視図である。
【図4】支持ブラケットと検知プレートとを組み付けた斜視図(a)と、検知プレートを支持ブラケットからスライド移動させた斜視図(b)である。
【図5】制御装置を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態のチャンバの前部の断面概略図であり、包装袋が膨張する前の断面概略図(a)と、包装袋が膨張したときの断面概略図(b)である。
【図7】本発明の第2実施形態の真空包装機をチャンバカバーを開放した状態により示す斜視図である。
【図8】第2実施形態の真空包装機の前部の拡大斜視図である。
【図9】第2実施形態のチャンバの前部の断面概略図であり、包装袋が膨張する前の断面概略図(a)と、包装袋が膨張したときの断面概略図(b)である。
【図10】第3実施形態の真空包装機の前部の拡大斜視図である。
【図11】第1の開口保持具の斜視図(a)であり、フックの上下を逆にした斜視図(b)である。
【図12】第2の開口保持具の斜視図である。
【図13】第3の開口保持具の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の真空包装機の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の真空包装機は食材、調理物等の被包装物を包装袋に真空包装するものであり、特に温かい(または熱い)食材、調理物等の被包装物を包装袋に真空包装することを可能としたものである。本発明の真空包装機は、温かい(または熱い)食材、調理物等の被包装物を包装袋に真空包装するときに、包装袋の膨らみを検知可能としたものである。
(第1実施形態)
図1及び図2に示したように、真空包装機10は、ハウジング11の上部に包装袋を収容するチャンバ12と、チャンバ12内の前部にて包装袋の開口部周縁を密封する加熱封止装置20と、ハウジング11の下部にてチャンバ12内を脱気して負圧化させる真空ポンプ30とを備えている。
【0017】
図1に示したように、チャンバ12は上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベース13と、チャンバベース13の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル板よりなるチャンバカバー14とから構成される耐圧密閉容器である。チャンバカバー14は、前端側が上下に移動可能となるように、後端部がハウジング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。チャンバカバー14の下面の周部にはシール部材としてゴム製のパッキン15が設けられており、パッキン15はチャンバカバー14をチャンバベース13に対して気密にシールしている。このチャンバ12内に包装袋を収容するときには、包装袋の開口部周縁をチャンバ12の前側(一方の側)にて加熱封止装置20の下側ブロック体21の上側に載せ、包装袋の開口部と反対側となる閉止底部をチャンバ12内にて下側のブロック体21より後側(他方の側)に配置するようにする。
【0018】
図1及び図2に示したように、チャンバ12の前部(一方の側)には加熱封止装置20が設けられている。加熱封止装置20はチャンバ12内に収容した熱溶着可能な包装袋の先端開口部周縁を加熱溶着して密封するものである。なお、包装袋は内側に融点の低い材質を採用した二層構造の熱可塑性樹脂製フィルムを用いたものである。加熱封止装置20は包装袋の先端開口部周縁を狭圧して保持(狭持)する細長い形状をした下側及び上側ブロック体21,22とを備え、下側及び上側ブロック体21,22はチャンバ12の前部にて左右方向に延びている。下側ブロック体21はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース13の前部に着脱可能かつ上下に移動可能に設けられている。下側ブロック体21の上面にはニクロム素材よりなる帯板状のヒータ23が設けられている。上側ブロック体22は弾性変形可能なシリコン製であり、下側ブロック体21の上側に対向する位置にて、チャンバカバー14の下面前部に設けられている。
【0019】
図2に示したように、チャンバベース13の前部には下側ブロック体21を上下に昇降させる左右一対の昇降機構24(図2では一方のみを示す)が設けられている。昇降機構24はチャンバベース13の前部の底壁を貫通する左右一対の支持軸25を備えている。これら支持軸25はチャンバベース13の前部にて下側ブロック体21を上下動可能に支持するものである。これら支持軸25は先端部が下側ブロック体21の下部に挿入されており、支持軸25は上下方向の中間部がチャンバベース13の下面前部に設けた左右一対の昇降シリンダ26により上下に移動可能に支持されている。支持軸25の中間部には昇降シリンダ26内にて鍔部26aが設けられており、鍔部26aは昇降シリンダ26内を上部空間26bと下部空間26cとに気密に区画している。昇降シリンダ26の上部空間26bには支持軸25の外周にばね26dが介装されており、ばね26dは鍔部26aを介して支持軸25を下方に付勢している。
【0020】
図2に示したように、ハウジング11内には真空ポンプ30とチャンバ12とを接続する吸引管(吸引経路)31が設けられており、吸引管31にはこれを開閉する真空弁32が設けられている。吸引管31にはチャンバ12と真空弁32との間に外気を導入する外気導入管33が接続されている。外気導入管33は第1管部33aと、第1管部33aから分岐した第2管部33bとからなり、第1及び第2管部33a、33bにはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁34,35が設けられている。第1管部33aは第2管部33bより径が太く形成されており、第1外気導入弁34を開放したときにはチャンバ12内に速く外気が導入され、第2外気導入弁35を開放したときには、チャンバ12内にゆっくりと外気が導入される。
【0021】
吸引管31には外気導入管33の第1管部33aを介して圧力検出管36が接続されており、圧力検出管36にはチャンバ12の圧力を検出する真空計37が設けられている。チャンバ12内を真空ポンプ30により脱気していないときには、真空計37により検出されるチャンバ12内の圧力は大気圧と同じ101kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ12内を真空ポンプ30により脱気して負圧化させ、真空計37により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。
【0022】
吸引管31には真空ポンプ30と真空弁32との間から分岐したシリンダ管38が昇降シリンダ26の上部空間26bに接続されており、シリンダ管38には三方弁39が設けられている。三方弁39の2つのポートはシリンダ管38の真空ポンプ30側と昇降シリンダ26側に接続され、三方弁39の残る1つのポートは外気側に開放されている。
【0023】
図1?図4に示したように、真空包装機10はチャンバ12内に収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知手段40を備えている。膨らみ検知手段40は、チャンバ12内のブロック体21,22よりも後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置に、包装袋の上側に設けた検知プレート(検知部材)41を備えており、検知プレート41はチャンバカバー14の前部下面に設けた左右一対の支持ブラケット42の支持軸部42aに水平軸線回りに回動可能に支持されている。検知プレート41はブロック体21,22の長手方向に延びる帯板形状をしており、検知プレート41の長手方向と直交する方向の両端縁(端縁)には上側に曲げ加工された曲げ部41aが形成されている。検知プレート41の長手方向の両端部の前部には支持ブラケット42に支持させるための一対の支持部41bが上側に延出しており、支持部41bには貫通孔よりなる係止孔部41cが形成されている。左右両側の係止孔部41cに支持ブラケット42の支持軸部42aを挿通することによって、検知プレート41は後端部(チャンバ12の他方の側)が上下動するように水平軸線回りに回動可能に支持されている。検知プレート41の長手方向の端部には後側に延びる(チャンバの他方の側に延びる)検知アーム41dが設けられており、検知アーム41dには検知プレート41の後端部の上下方向の位置検出のための磁石43が取り付けられている。
【0024】
一対の支持ブラケット42はチャンバカバー14の前部下面の左右両側部に設けられており、各支持ブラケット42には検知プレート41を支持する支持軸部42aが設けられている。左右両側の支持軸部42aは検知プレート41の長手方向にて同じ方向に突出しており、検知プレート41を長手方向にスライド移動させることで、検知プレート41の左右の両支持部41bの係止孔部41cに支持ブラケット42の左右の両支持軸部42aを挿通させる、または、支持ブラケット42の左右の両支持軸部42aから検知プレート41の左右の両支持部41bを抜き出すことができ、検知プレート41の支持ブラケット42からの着脱が簡単となっている。また、右側の支持軸部42aにはクリップ42bが着脱可能に取り付けられており、クリップ42bは検知プレート41が長手方向に移動するのを規制して支持ブラケット42から外れるのを防いでいる。
【0025】
左側の支持ブラケット42には検知プレート41の上下側にストッパ42c,42dが設けられており、上下のストッパ42c,42dは検知プレート41の回動範囲を規制している。上側のストッパ42cは検知プレート41が膨張した包装袋によってチャンバカバー14に接触するのを防ぐ機能を有している。下側のストッパ42dは検知プレート41が膨張する前の包装袋に接触するのを防ぐ機能を有している。
【0026】
チャンバベース13の左側部には検知プレート41の上下方向の位置を検出する位置検出センサ44が設けられており、位置検出センサ44は検知プレート41の上下方向の位置検出をすることによって、包装袋の膨らみを検知するものである。この実施形態の位置検出センサ44はリードスイッチであり、検知プレート41の後端部が上側に回動したときの検知アーム41dに設けた磁石43と対向して近接する位置に設けられている。位置検出センサ44は検知プレート41の後端部が上側に回動したときに、検知アーム41dに設けた磁石43が対向して近接した位置となるとオン信号を出力する。
【0027】
真空包装機10は制御装置50を備えており、図5に示したように、この制御装置50はヒータ23と、真空ポンプ30と、真空弁32と、第1及び第2外気導入弁34,35と、真空計37と、三方弁39と、位置検出センサ44とに接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、ROMにチャンバ12内の被包装物を真空包装をするための各種真空包装プログラムを備えており、ハウジング11の前面に設けた操作パネル51を操作して真空包装プログラムを実行させたときには、真空計37及び位置検出センサ44の検出に基づいてヒータ23と、真空ポンプ30と、真空弁32と、第1及び第2外気導入弁34,35と、三方弁39との作動を制御し、チャンバ12内の被包装物を真空包装する。
【0028】
上記のように構成した真空包装機10を用いて温かい(または熱い)食材、調理物等の被包装物を包装袋に真空包装するときの制御について説明する。図6(a)に示したように、温かい(または熱い)食材、調理物等の被包装物を包装袋B内に収納し、被包装物を収納した包装袋Bの先端開口部周縁をチャンバ12の前側(一方の側)にて下側ブロック体21の上側に載せ、包装袋Bの開口部と反対側となる閉止底部をチャンバ12内にて下側ブロック体21よりも後側(チャンバ12の他方の側)に配置するように、包装袋Bをチャンバベース13に載置して、チャンバカバー14によりチャンバベース13の上面開口を塞ぐ。操作パネル51を操作して真空包装プログラムを実行させると、制御装置50は、全ての弁32,34,35が閉止された状態と、三方弁39が昇降シリンダ26側と外気側を連通状態(真空ポンプ30側を閉止状態)にした状態から、真空弁32を開放するとともに真空ポンプ30を駆動させてチャンバ12内を脱気して負圧化させる。また、制御装置50は、真空弁32の開放によってチャンバ12内の負圧化を開始すると同時に、三方弁39を真空ポンプ30側と昇降シリンダ26側とを連通状態にさせる。三方弁39を真空ポンプ30側と昇降シリンダ26側とを連通状態とすることで、昇降シリンダ26の上部空間26b内が負圧化されて左右の支持軸25が上昇し、下側ブロック体21が上昇位置まで上昇して上側ブロック体22に押圧して包装袋Bの開口部周縁を狭持して閉じる。
【0029】
図6(b)に示したように、真空ポンプ30の駆動によるチャンバ12内の負圧化によって、包装袋B内の被包装物に含まれる水分が蒸発し、包装袋Bは水分の蒸発によって膨張する。膨張した包装袋Bは検知プレート41の後端部を上方に押し上げ、検知プレート41の検知アーム41dに設けた磁石43は位置検出センサ44に近接するようになる。位置検出センサ44は磁石43が近接したことを検出することで包装袋Bの膨らみを検知すると、制御装置50は、真空弁32を閉止してチャンバ12内の真空度を維持しつつ、三方弁39を昇降シリンダ26側と外気側との連通状態にして、昇降シリンダ26の上部空間26b内に外気を導入してばね26dの付勢力によって左右の支持軸25を下降させ、下側ブロック体21を下降位置まで下降させる。包装袋Bの開口部は上昇していた下側ブロック体21と上側ブロック体22とによって閉じられた状態から開かれた状態となり、包装袋B内の蒸気が検知プレート41の自重によって押されて排出されるとともに、包装袋B内の空気は検知プレート41の自重とともに蒸気に押されて排出される。また、包装袋B内の空気が押されて排出されるため、検知プレート41の後端部は上昇した位置から下降し、検知アーム41dに設けた磁石43は位置検出センサ44に近接した位置から離間する。
【0030】
位置検出センサ44は磁石43が離間したことにより包装袋Bの膨らみが無くなったことを検知すると、制御装置50は、三方弁39を真空ポンプ30側と昇降シリンダ26側との連通状態とすることにより、昇降シリンダ26の上部空間26b内を負圧化して左右の支持軸25を再び上昇させ、下側ブロック体21を上昇位置まで上昇させて上側ブロック体22に押圧し、包装袋Bの開口部周縁を再び狭持して閉じる。その後、制御装置50は、ヒータ23に通電させて開口部周縁を加熱溶着して包装袋Bを密封する。制御装置50は、真空ポンプ30の駆動を停止させるとともに第1外気導入弁34を開放させることによりチャンバ12内に外気を導入して、チャンバ12内を大気圧に戻すとともに、三方弁39を昇降シリンダ26側と外気側との連通状態にして昇降シリンダ26の上部空間26b内に外気を導入してばね26dの付勢力によって左右の支持軸25を下降させ、下側ブロック体21を下降位置まで下降させる。包装袋B内には蒸気が残っていることがあるが、チャンバ12内を大気圧に戻すことにより、包装袋B内の蒸気は凝縮して水に戻り、包装袋B内に気体が含まれないようになる。
【0031】
この真空包装機10は、チャンバ12内には加熱封止装置20の上下のブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知プレート(検知部材)41と、検知プレート41の後側の上下方向の位置を検出する位置検出センサ44とを備えている。真空包装機10においては、真空ポンプ30によりチャンバ12内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知プレート41の後側の端部が上動したことを位置検出センサ44より検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしている。具体的には、検知プレート41はブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置にて、ブロック体21,22の長手方向に延びた帯板状をし、長手方向の両端が支持ブラケット42により水平軸線回りに回動可能に支持されている。位置検出センサ44は検知プレート41の長手方向と直交する方向にて後端部(チャンバ12の他方の側の端部)に設けた磁石43を用いて検知プレート41の後端部の上下方向の位置を検出し、これに基づいて包装袋の膨らみを検知している。
【0032】
真空包装するための包装袋が開口部周縁を狭持させたブロック体21,22の直ぐ周囲にだけに配置される程度の小さなものであっても、膨張した包装袋はブロック体21,22に隣接する位置に設けた帯板状の検知プレート41の後側を上動させることができ、位置検出センサ44は包装袋の大きさに関わらず包装袋の膨張によって確実に上動する検知プレート41の上下方向の位置を検出することによって、包装袋の膨らみを確実に検知できるようになった。
【0033】
検知プレート41の長手方向の後端部には後側(チャンバ12の他方の側)に延びる検知アーム41dを備え、位置検出センサ44は検知アーム41dの上下方向の位置を、検知アーム41dに取り付けた磁石43により検出するようにしている。これにより、帯板状の検知プレート41の幅を膨張する前の包装袋に当たらないように短くしても、位置検出センサ44により位置検出される検知アーム41dの回動範囲を大きく保つことができるようになり、位置検出センサ44の検知プレート41の上下方向の位置検出の精度が低下しないようになった。
【0034】
検知プレート41には長手方向と直交する方向の両端縁(端縁)に上方に曲げ加工した曲げ部41aが形成されている。これにより、帯板状の検知プレート41の強度を保った状態で厚みを薄くして軽量化でき、包装袋が膨らんだときに検知プレート41を確実に回動させることができるようになった。なお、検知プレート41の曲げ部41aを長手方向と直交する方向の一方の端縁に形成したものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
チャンバ12内となるチャンバカバー14の前部下面には検知プレート41の長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケット42が設けられている。支持ブラケット42の検知プレート41の長手方向の両端部と対向する位置には長手方向にて同じ方向に突出する一対の支持軸部42aが設けられ、検知プレート41の両端部には支持軸部42aに係止する一対の係止孔部41cが形成されている。支持ブラケット42の一対の支持軸部42aを検知プレート41の係止孔部41cに挿通するように検知プレート41を長手方向に移動させることによって、検知プレート41を支持ブラケット42に支持させることができるので、検知プレート41を支持ブラケット42に対して容易に着脱させることができ、検知プレート41の洗浄等のメンテナンスを簡単にすることができるようになった。なお、支持ブラケット42に一対の支持軸部42aを設け、検知プレート41に一対の係止孔部41cを形成したが、これに限られるものでなく、検知プレート41に長手方向にて同じ方向に突出する一対の支持軸部を設け、支持ブラケット42に一対の係止孔部を形成したものであってもよい。
【0036】
左側の支持ブラケット42には検知プレート41の後端部の回動角度を規制する上下のストッパ42c、42dが設けられている。支持ブラケット42に検知プレート41の上方への回動角度を規制するストッパ42cを設けたので、検知プレート41は膨張した包装袋によってチャンバカバー14に接触しないようになった。支持ブラケット42に検知プレート41の下方への回動角度を規制するストッパ42dを設けたので、検知プレート41は膨張する前の包装袋に接触しないようになった。
【0037】
なお、位置検出センサ44は、検知プレート41の後端部(チャンバ12の他方の側)が上動したときにオン信号を出力することで、検知プレート41の後端部の上下方向の位置を検出するようにしたものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、位置検出センサ44を検知プレート41の後端部が下側位置にあるときに対向する位置に配置して、検知プレート41の後端部が上動したときにオン信号の出力が停止されるようにして、検知プレート41の後端部の上下方向の位置を検出するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態の真空包装機10Aは、第1実施形態の真空包装機10の膨らみ検知手段40を膨らみ検知手段40Aに変更したものであり、他の部分及び作動については第1実施形態の真空包装機10と同様である。以下に、第2実施形態の真空包装機10Aを膨らみ検知手段40Aを中心にして説明する。
【0039】
図7?図9に示したように、第2実施形態の真空包装機10Aの膨らみ検知手段40Aは、チャンバ12内のブロック体21,22よりも後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置に包装袋の上側に設けた検知バー(検知部材)41Aを備えており、検知バー41Aはチャンバカバー14の前部下面に設けた左右一対の略J字形をした支持ブラケット42に上下方向に移動可能に支持されている。検知バー41Aはブロック体21,22の長手方向に延びる棒状部材よりなり、検知バー41Aの長手方向の端部(本実施形態では右端部)には検知バー41Aの上下方向の位置検出のための磁石43が取り付けられている。チャンバベース13の右側部には検知バー41Aの上下方向の位置を検出する位置検出センサ44が設けられており、位置検出センサ44による検知バー41Aの上下方向の位置検出によって、包装袋の膨らみを検知するようにしている。この実施形態の位置検出センサ44もリードスイッチであり、検知バー41Aが上側に移動したときの検知バー41Aの端部に設けた磁石43と対向する位置に設けられている。位置検出センサ44は検知バー41Aが上側に移動して端部に設けた磁石43が対向して近接する位置まで上動するとオン信号を出力する。
【0040】
このように構成した真空包装機10Aは、チャンバ12内には加熱封止装置20の上下のブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)に隣接する位置に、包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知バー(検知部材)41Aと、検知バー41Aの上下方向の位置を検出する位置検出センサ44とを備えている。真空包装機10Aにおいては、真空ポンプ30によりチャンバ12内を脱気して負圧化させたときに膨張する包装袋によって検知バー41Aが上動したことを位置検出センサ44より検出することで、包装袋の膨らみを検知するようにしている。具体的には、検知バー41Aはブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)に隣接する位置にて、ブロック体21,22の長手方向に延び、長手方向の両端部が支持ブラケット42により上下方向に移動可能に支持されている。位置検出センサ44は検知バー41Aの長手方向の端部に設けた磁石43を用いて検知バー41Aの上下方向の位置を検出し、これに基づいて包装袋の膨らみを検知している。
【0041】
真空包装するための包装袋が開口部周縁を狭持させたブロック体21,22の直ぐ周囲にだけに配置される程度の小さなものであっても、膨張した包装袋はブロック体21,2に隣接する位置に設けた検知バー41Aを上動させることができ、位置検出センサ44は包装袋の大きさに関わらず包装袋の膨張によって確実に上動する検知バー41Aの上下方向の位置を検出することによって、包装袋の膨らみを確実に検知できるようになった。
【0042】
また、第2実施形態の真空包装機10Aにおいては、検知バー41Aはチャンバカバー14の前部下面に設けた左右一対の略J字形をした支持ブラケット42に上下方向に移動可能に支持されおり、位置検出センサ44は検知バー41Aの長手方向の端部に設けた磁石43により、検知バー41Aの上下方向の位置検出をし、包装袋の膨らみを検知している。本発明はこの実施形態に限られるものでなく、検知バー41Aは上記の実施形態と同様にブロック体21,22の長手方向に延びる棒状部材よりなり、検知バー41Aの長手方向の左端部(一端)を支点として右端部(他端)が上下方向に移動可能に支持され、位置検出センサ44は検知バー41Aの長手方向の右端部(他端)に設けた磁石43により、検知バー41Aの長手方向の右端部(他端)の上下方向の位置検出をし、包装袋の膨らみを検知してもよい。このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
なお、位置検出センサ44は、検知バー41Aが上動したときに近接してオン信号を出力することで、検知バー41Aの上下方向の位置を検出するようにしたものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、位置検出センサ44を検知バー41Aが下側位置にあるときに対向する位置に配置して、検知バー41Aが上動したときにオン信号の出力が停止されるようにして、検知バー41Aの上下方向の位置を検出するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
上記の各実施形態においては、チャンバ12の一方の側として前部に加熱封止装置20を設け、包装袋の膨らみ検知手段の検知プレート41,検知バー41Aを上下のブロック体21,22よりも他方の側として後側にて隣接する位置に設けたが、これに限られるものでなく、チャンバ12の一方の側として後部、左側部または右側部に加熱封止装置20を設け、包装袋の膨らみ検知手段の検知プレート41,検知バー41Aを上下のブロック体21,22よりも他方の側として前側、右側または左側にて隣接する位置に設けるようにしてもよい。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態の真空包装機10Bは、第1実施形態の真空包装機10の膨らみ検知手段40を膨らみ検知手段40Bに変更したものであり、他の部分及び作動については第1実施形態の真空包装機10と同様である。以下に、第3実施形態の真空包装機10Bを膨らみ検知手段40Bを中心にして説明する。
【0046】
図10に示したように、第3実施形態の真空包装機10Bの膨らみ検知手段40Bは、チャンバ12のブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置でブロック体21,22の長手方向の両側に、包装袋の上側を通過する光を発射する発光部41Baと発光部41Baの光を受光する受光部41Bbとを両側に分けて配置した光学式センサ41Bを備えている。
【0047】
包装袋が膨張していないときには、発光部41Baの光は包装袋の上側を通過して受光部41Bbにより受けられるが、包装袋が膨張すると、発光部41Baの光は膨張した包装袋によって遮られて受光部41Bbで受けられなくなる。光学式センサ41Bは発光部41Baの光を受光部41Bbによって受けたか否かに基づいて、包装袋の膨らみを検知するようにしている。このように、ブロック体21,22の後側(チャンバ12の他方の側)にて隣接する位置にブロック体21,22の長手方向の両側に分けて配置した発光部41Baと受光部41Bbとからなる光学式センサ41Bを包装袋の膨らみの検知に用いたので、チャンバ12内に収容した包装袋の大きさに関わらず、包装袋の膨らみを確実に検知できるようになった。また、光学式センサ41Bを採用したことで、チャンバ12内に機械的な構造物を増やす必要がなく、チャンバ12内を洗浄等のメンテナンスをするときの作業性を良くすることができた。
【0048】
この実施形態においては、チャンバ12の一方の側として前部に加熱封止装置20を設け、包装袋の膨らみ検知手段の光学式センサ41Bを上下のブロック体21,22よりも他方の側として後側にて隣接する位置に設けたが、これに限られるものでなく、チャンバ12の一方の側として後部、左側部または右側部に加熱封止装置20を設け、包装袋の膨らみ検知手段の光学式センサ41Bを上下のブロック体21,22よりも他方の側として前側、右側または左側にて隣接する位置に設けるようにしてもよい。
【0049】
上記の各実施形態のチャンバ12は、上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベース13と、耐圧性のアクリル板よりなるチャンバカバー14とから構成される耐圧密閉容器であるが、本発明は、これに限られるものでなく、耐圧性の板材を用いたチャンバベースと、下面が開口したハット形をしたチャンバカバーとからチャンバを構成するようにしたものであってもよいし、上面が開口した浅い皿形をしたチャンバベースと、下面が開口したハット形をしたチャンバカバーとからチャンバを構成するようにしたものであってもよい。
【0050】
次に、本発明の真空包装機に関連して、シチューやスープ等の液状の調理物を包装袋内に収納するときに、包装袋の口を開けた状態で保持する包装袋の3つの開口保持具について図面を用いて説明する。図11に示したように、第1の開口保持具100は、基台101上に支持柱102が立設しており、支持柱102には左右両側に延びるアーム103が上下方向に移動可能にねじによって取り付けられている。図11(a)に示したように、アーム103の両側部には左右一対のフック104が左右方向に移動可能にねじによって取り付けられている。フック104は、細い線材または管材を屈曲または接合したものであり、アーム103の前側に延出した第1水平部104aと、第1水平部104aの前端に設けた上下を逆にした第1逆U字部104bと、第1逆U字部104bの前端から前側に延出した第2水平部104cと、第2水平部104cの前端に設けて第1逆U字部104bと同じ形状をした上下を逆にした第2逆U字部104dとを備えている。第2水平部104cの長さは第1及び第2逆U字部104dの各鉛直部の間の長さ(以後、幅と記載する)より長くなっており、図11(b)に示したように、フック104の上下を逆にしたものでは、第1逆U字部104bの前側の鉛直部と第2水平部104cと第2逆U字部104bの後側の鉛直部とにより第3逆U字部104eが形成されている。この第3逆U字部104eの幅は第1及び第2逆U字部104b,104dの幅より長くなっている。
【0051】
第1の開口保持具100の使い方について説明する。包装袋の高さに応じて(包装袋が基台101に載る高さが好ましい)、アーム103を上下に位置調整した状態で支持柱102に取り付けるとともに、包装袋の横方向の長さに応じて、左右のフック104を左右に位置調整した状態でアーム103の両側に取り付ける。図11(a)に示したように、大きなサイズの包装袋BLであれば、包装袋BLの開口部周縁を外側に折り曲げた状態で両側の第1及び第2逆U字部104b,104dの両方に引っ掛け、小さなサイズの包装袋BSであれば、包装袋BSの開口部周縁を外側に折り曲げた状態で両側の第2逆U字部104dに引っ掛ける。また、中程度のサイズの包装袋BMであれば、図11(a)の2点鎖線に示したように、フック104をアーム103から取り外し、図11(b)に示したように、フック104の上下を逆にしてアーム103に取り付け、包装袋BMの開口部周縁を外側に折り曲げた状態で両側の第3逆U字部104eに引っ掛ける。このように、第1の開口保持具100は、包装袋の大きさに応じて、アーム103の高さ、左右のフック104の左右方向の位置を変えることができるとともに、フック104の第1?第3逆U字部104b,104d,104eに選択的に包装袋の開口部を引っ掛けるようにでき、多様な大きさの包装袋をその口を開いた状態で保持することができるようになった。
【0052】
図12に示したように、第2の開口保持具100Aは、基台101A上に左右一対の支持柱102Aが設けられており、図12の左側の支持柱102ALは左右方向に移動可能に取り付けられている。左右の支持柱102Aは下側支持柱102Aaと、下側支持柱102Aaに上下方向にスライド移動可能に取り付けられた上側支持柱102Abとを備えている。左右の支持柱102Aは上側支持柱102Abを上下にスライド移動させることにより高さ調整可能となっている。
【0053】
第2の開口保持具100Aの使い方について説明する。包装袋の横方向の長さに応じて、左側の支持柱102ALを左右方向に位置調整するとともに、包装袋の高さに応じて(包装袋が基台101Aに載る高さが好ましい)、上側支持柱102Abを下側支持柱102Aaに対して高さ調整することで支持柱102Aの高さ調整をする。包装袋の開口部周縁を外側に折り曲げた状態で左右の支持柱102Aの上部に引っ掛ける。このように、第2の開口保持具100Aは、包装袋の大きさに応じて、左側の支持柱102ALの左右方向の位置と、左右の支持柱102Aの高さを変えることができるので、多様な大きさの包装袋をその口を開いた状態で保持することができるようになった。
【0054】
図13に示したように、第3の開口保持具100Bは、前部に脚部101Baを有して後部側に斜めに傾斜させた板形の基台101Bを備えている。基台101Bには左右両側部に前後に移動可能に取り付けた左右一対の支持柱102Bが設けられており、左右の支持柱102には梁材103Bが上下に位置調整可能に取り付けられている。基台101Bの上面前部には3つのフック104Bが設けられ、梁材103Bにも3つのフック105Bが設けられている。
【0055】
第3の開口保持具100Bの使い方について説明する。包装袋の大きさに応じて、左右の支持柱102Bの前後方向の位置調整と、梁材103Bの上下方向の高さ調整をする。包装袋の開口部周縁を外側に折り曲げた状態で基台101Bのフック104Bと梁材103Bのフック105Bに引っ掛ける。このように、第3の開口保持具100Bは、包装袋の大きさに応じて、左右の支持柱102Bの前後方向の位置と、梁材103Bの上下方向の位置を変えることができるので、多様な大きさの包装袋の口を開いた状態で保持することができるようになった。
【符号の説明】
【0056】
10…真空包装機、12…チャンバ、20…加熱封止装置、21,22…ブロック体、23…ヒータ、30…真空ポンプ、41…検知部材(検知プレート)、41A…検知部材(検知バー)、41B…光学式センサ、41Ba…発光部、41Bb…受光部、41c…係止孔部、41d…検知アーム、42…支持ブラケット、42a…支持軸部、42c,42d…ストッパ、44…位置検出センサ。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方に隣接する位置に、前記包装袋の上側で上下に移動可能に支持された検知部材と、前記検知部材の上下方向の位置を検出する位置検出センサとの両方を備え、
前記真空ポンプにより前記チャンバ内を脱気して負圧化させたときに膨張する前記包装袋によって前記検知部材が上動したことを前記位置検出センサにより検出することで、前記包装袋の膨らみを検知するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びた両端が水平軸線回りに回動可能に支持された帯板状の検知プレートよりなり、前記位置検出センサは前記検知プレートの長手方向と直交する方向にて前記チャンバの他方の側の端部の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項3】
請求項2に記載の真空包装機において、
前記検知プレートの長手方向の端部には前記チャンバの他方の側に延びる検知アームを備え、
前記位置検出センサは前記検知アームの上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の真空包装機において、
前記検知プレートの長手方向と直交する方向の端縁を曲げ加工したことを特徴とする真空包装機。
【請求項5】
請求項2?4の何れか1項に記載の真空包装機において、
前記チャンバ内には前記検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、
前記支持ブラケットの前記検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、前記検知プレートの両端部との一方には前記検知プレートの長手方向にて同じ方向に突出する一対の支持軸部を設けるとともに、前記支持ブラケットの前記検知プレートの長手方向の両端部と対向する位置と、前記検知プレートの両端部との他方には前記支持軸部に係止する一対の係止孔部を形成し、
前記一対の支持軸部を前記一対の係止孔部に挿通するように前記検知プレートを前記長手方向に移動させることにより、前記検知プレートを前記支持ブラケットに支持させたことを特徴とする真空包装機。
【請求項6】
請求項2?5の何れか1項に記載の真空包装機において、
前記チャンバ内には前記検知プレートの長手方向の両端部を回動可能に支持する支持ブラケットを備え、
前記支持ブラケットには前記検知プレートの回動角度を規制するストッパを設けたことを特徴とする真空包装機。
【請求項7】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びて上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、前記位置検出センサは前記検知バーの長手方向の端部の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項8】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記検知部材は前記ブロック体の長手方向に延びて長手方向の一端を支点として他端が上下方向に移動可能に支持された検知バーよりなり、前記位置検出センサは前記検知バーの長手方向の他端の上下方向の位置を検出するようにしたことを特徴とする真空包装機。
【請求項9】
被包装物を収納した包装袋を横たえて収容するチャンバと、
前記チャンバ内の一方の側にて上下の少なくとも一方が上下動可能に支持され、前記包装袋の開口部周縁を上下から狭持する細長い形状をした上下のブロック体と、該上下のブロック体の少なくとも一方に前記包装袋を加熱溶着するヒータとを有して、横たえて収容した前記包装袋の開口部周縁を前記上下のブロック体により狭持した状態で前記ヒータにより加熱溶着して密封する加熱封止装置と、
前記チャンバ内を脱気して負圧化させる真空ポンプとを備え、
前記包装袋の開口部周縁を前記チャンバ内の一方の側にて前記下側のブロック体の上側に載せ、前記包装袋の開口部と反対側となる閉止底部を前記チャンバ内にて前記下側のブロック体よりも他方の側に配置して、前記包装袋を前記チャンバ内に収容して真空包装する真空包装機であって、
前記チャンバの一方の側には前記上下のブロック体よりも他方の側にて隣接する位置で前記上下のブロック体の長手方向の両側に、膨張していない前記包装袋の上側を通過するとともに膨張した前記包装袋に遮られる位置で光を発射する発光部と該発光部の光を受光する受光部とを分けて配置した光学式センサを備えたことを特徴とする真空包装機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-01-12 
出願番号 特願2014-259056(P2014-259056)
審決分類 P 1 651・ 111- YAA (B65B)
P 1 651・ 121- YAA (B65B)
P 1 651・ 537- YAA (B65B)
P 1 651・ 121- YAA (B65B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宮崎 基樹  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 石井 孝明
村山 達也
登録日 2018-12-21 
登録番号 特許第6452436号(P6452436)
権利者 ホシザキ株式会社
発明の名称 真空包装機  
代理人 井上 正則  
代理人 永井 裕輔  
代理人 永井 裕輔  

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