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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E04B
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  E04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E04B
管理番号 1372670
異議申立番号 異議2020-700041  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-01-28 
確定日 2021-01-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6552239号発明「家屋の外壁施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6552239号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6552239号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6552239号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願(以下「本件特許出願」という。)は、平成27年3月25日に出願され、令和1年7月12日にその特許権の設定登録がされ、同年7月31日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。

令和 2年 1月28日 特許異議申立人川野俊彦(以下「申立人」と
いう。)による請求項1ないし4に係る発明
の特許に対する特許異議の申立て
同年 3月19日付け 取消理由通知
同年 5月22日 特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正
請求による訂正を「本件訂正」という。)
同年 9月30日 申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否

1.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「壁面支持土台部には前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、」
と記載されているのを、
「壁面支持土台部には、
家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカーに連結される円筒形状の円筒形連結具の中空部に圧接翼を介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部、前記円筒形連結具、および隣接する他の壁面支持土台部に形成された嵌合溝に嵌合する連結翼片を備えた連結金具とともにボルトにより共締めされる連結管の先端に形成され、
隅部以外においては、前記壁面支持土台部を貫通するアンカーにねじ込まれた連結パイプの先端部に形成されて前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし4も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0007】に
「壁面支持土台部5には前記外壁支柱2の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、」
と記載されているのを、
「壁面支持土台部5には、
家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカー16に連結される円筒形状の円筒形連結具18の中空部に圧接翼19aを介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部5、前記円筒形連結具18、および隣接する他の壁面支持土台部5’に形成された嵌合溝5aに嵌合する連結翼片22aを備えた連結金具22とともにボルト21により共締めされる連結管19の先端に形成され、
隅部以外においては、前記壁面支持土台部5を貫通するアンカー16にねじ込まれた連結パイプ23の先端部に形成されて前記外壁支柱22の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、」
に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、「被連結部」について、「家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカーに連結される円筒形状の円筒形連結具の中空部に圧接翼を介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部、前記円筒形連結具、および隣接する他の壁面支持土台部に形成された嵌合溝に嵌合する連結翼片を備えた連結金具とともにボルトにより共締めされる連結管の先端に形成され」るとともに、「隅部以外においては、前記壁面支持土台部を貫通するアンカーにねじ込まれた連結パイプの先端部に形成され」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ.新規事項の追加について
上記訂正事項1に関して、本件特許明細書には次の記載がある。
「【0035】
本例において、地震時の浮き上がり力が大きな家屋四隅部には、浮き上がり力に対する抵抗力の高いホールダウン構造が形成される。
【0036】
ホールダウン構造は、土台連結用のアンカー16に支柱ユニット4の外壁支柱2を浮き上がり不能に連結して形成され、図4(a)に示すように、円筒形状に形成される円筒形連結具18と、連結管19とを有する。
【0037】
円筒形連結具18は、土台5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてナット20を使用してアンカー16に連結され、連結管19は、圧接翼19aを介して円筒形連結具18の中空部に圧入される。
【0038】
これら円筒形連結具18と連結管19とは、図5に示すように、土台5、円筒形連結具18、および連結管19を貫通するボルト21により共締めされる。円筒形連結具18への連結状態において連結管19の先端部は土台5から突出して被連結部8を形成し、支柱ユニット4の外壁支柱2は、下端に開設した土台連結部7を被連結部8に嵌合させた後、ドリフトピン12を被連結部8に貫通させることにより土台5に固定される。
【0039】
また、本例において、上記円筒形連結具18は、隣接する他の土台5'の連結用中継部材を兼用し、円筒形連結具18を貫通したボルト21に断面コ字形状の連結金具22が共締めされる。
【0040】
この連結金具22に形成される連結翼片22aは隣接土台5'に形成された嵌合溝5aに嵌合された後、連結翼片22aを貫通するドリフトピン12により隣接土台5'に固定される。
【0041】
さらに、上記隅部以外のアンカー16yは、図6に示すように、土台5を貫通し、その先端に連結パイプ23がねじ込まれる。この連結パイプ23の先端部は、土台5から突出して被連結部8を形成し、隅部以外の外壁支柱2は、土台連結部7を被連結部8にドリフトピン12を使用して連結することにより土台5に固定される。」

そうすると、訂正事項1に係る訂正のうち、「家屋の四隅部」における「被連結部」についての事項は上記段落【0035】ないし【0040】の記載等に、また、「隅部以外」における「被連結部」についての事項は上記段落【0041】の記載等に基づくものであり、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。

ウ.特許請求の範囲の拡張又は変更について
請求項1についての上記訂正事項1に係る訂正は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2に係る訂正は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲と明細書の記載を整合させる訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、当該訂正は、上記訂正事項1に係る訂正と同様に、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)一群の請求項について
訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1ないし4は、請求項2ないし4が請求項1の記載を引用するものであるから、これらの訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

3.小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件特許発明

本件訂正請求により訂正された請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明4」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
屋根、床等の上部荷重を梁材とともに線荷重として支える外壁支柱間に面材を配置して家屋の外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法であって、
下端に土台連結部を開設した複数の外壁支柱と、幅寸法が全て等寸法で、外壁支柱の側方に面材を支持する複数の枠体とから、単一の外壁支柱の側方に前記枠体を固定し、または複数の外壁支柱間と一方の外壁支柱の側方に前記枠体を固定して支柱ユニットを予め形成するとともに、
壁面支持土台部には、
家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカーに連結される円筒形状の円筒形連結具の中空部に圧接翼を介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部、前記円筒形連結具、および隣接する他の壁面支持土台部に形成された嵌合溝に嵌合する連結翼片を備えた連結金具とともにボルトにより共締めされる連結管の先端に形成され、
隅部以外においては、前記壁面支持土台部を貫通するアンカーにねじ込まれた連結パイプの先端部に形成されて前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、
前記外壁支柱の土台連結部を壁面支持土台部の被連結部に嵌合させた後、引き抜き不能に固定して支柱ユニットを順次立設するとともに隣接する他の支柱ユニット同士をユニット間連結金具を介して側方に相互に連結して家屋外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項2】
前記支柱ユニットの上縁は、外壁支柱、および枠体の上縁に固定される単一の梁材により形成されるとともに、該梁材が上階に配置される支柱ユニットの壁面支持土台部となる請求項1記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項3】
前記支柱ユニットは、L字状に連結して自立状態を保持した家屋の隅部を開始点として順次支柱ユニットを連結して壁面を延設する請求項1または2記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項4】
前記枠体の室内対応表面に固定される内壁板材の表面に対して外壁支柱の室内側端部を突出させて真壁を形成する1、2または3記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。」

第4 特許異議申立理由の概要及び証拠

申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の「1.」に示す申立理由を主張するとともに、証拠方法として、以下の「2.」に示す各甲号証を提出している。
また、申立人は、令和2年9月30日提出の意見書に添付して、以下の「3.」に示す各甲号証を提出している。

1.特許異議申立理由の概要
申立人が異議申立書において主張する特許異議申立理由は、異議申立書第3ページの表の「理由の要点」の欄及び第13ページ「(5)」の記載等からみて、概略次のものであると認められる。

(1)訂正前の本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明を「本件特許発明1」といい、同様に訂正前の本件特許の請求項2ないし4に係る発明をそれぞれ「本件特許発明2」ないし「本件特許発明4」という。)は、甲第1号証及び甲第1号証の2から把握される発明であって、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である(異議申立書第3ページの表の「理由の要点」の欄の「○1(当審注:「○1」は丸数字の1を示す。以下同様。)」、第13ページ「(5)ア」等)。

(2)本件特許発明1及び2は、甲第1号証の2及び甲第2号証ないし甲第4号証から把握される発明であって、本件特許出願前に公然実施をされた発明である(異議申立書第3ページの表の「理由の要点」の欄の「○2」、第13ページ「(5)イ」等)。

(3)本件特許発明3は、甲第1号証の2に記載された発明及び甲第5号証に示される周知技術から容易に想到し得る発明である(異議申立書第3ページの表の「理由の要点」の欄の「○3」、第13ページ「(5)ウ」等)。

(4)本件特許発明4は、甲第1号証の2に記載された発明及び甲第6号証に示される周知技術から容易に想到し得る発明である(異議申立書第3ページの表の「理由の要点」の欄の「○4」、第13ページ「(5)ウ」等)。

2.申立書に添付して提出された証拠方法
甲第1号証 ideahnet、「ハイブリットユニット工法」、YouTube、URL:https://www.youtube.com/watch?v=SoMoN8B9bRY
甲第1号証の2 甲第1号証のウェブページに掲載された動画、YouTube、URL:https://youtu.be/SoMoN8B9bRY
甲第1号証の3 ウェブページ及び動画の存在に関する事実実験公正証書
甲第2号証 マスイデア、「ハイブリットユニット工法」、URL:http://www.masidea.com/hybrid-unit/
甲第3号証 株式会社益田建設「新しい工務店支援システムと新工法「ハイブリットユニット工法」」、PR TIMES、2014年7月3日、URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000002601.html
甲第4号証 「ユニット工法を工務店に提供 益田建設 大工工事を20日で完了」、新建ハウジング、平成26年7月10日、第6ページ
甲第5号証 特開2000-199267号公報
甲第6号証 登録実用新案第3091824号公報

3.意見書に添付して提出された証拠方法
甲第7号証 登録実用新案第3089184号公報
甲第8号証 特開2002-294875号公報
甲第9号証 特開2009-68293号公報

第5 取消理由通知に記載した取消理由について

1.取消理由の概要
当審が令和2年3月19日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。

(1)本件特許発明1及び2は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証の2に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

(2)本件特許発明3は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証の2及び甲第5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

(3)本件特許発明4は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証の2及び甲第6号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

2.甲各号証について
(1)甲第1号証、甲第1号証の2及び甲第1号証の3
ア.公知性について
甲第1号証はYouTubeのウェブページ(URL:https://www.youtube.com/watch?v=SoMoN8B9bRY)の写しであって、ウェブページ上部の画面内には「0:00/3:17」との記載があり、当該画面の下には「7,053回視聴・2014/11/06」との記載がある。
YouTubeが、投稿された動画をインターネット上で不特定多数に共有するウェブサイトであることは広く知られているところ、甲第1号証の2の動画は、URLが「https://youtu.be/SoMoN8B9bRY」であって甲第1号証とURLの一部が共通すること、甲第1号証の画面と同一の場面を含むこと、再生時間が3分17秒であって甲第1号証の「0:00/3:17」との記載と整合すること等から、甲第1号証のウェブサイトにおいて共有された動画であると認められる。
そして、甲第1号証の「7,053回視聴・2014/11/06」との記載における「2014/11/06」が動画が投稿された日を示すことは明らかであるから、甲第1号証の2の動画は2014年11月6日に投稿されたものであって、本願出願前にインターネット上で不特定多数に共有されることにより、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものと認められる。
なお、甲第1号証の3は、甲第1号証のウェブページ及び甲第1号証の2の動画の存在に関する事実実験の公正証書であって(申立書第7ページ第8?11行)、甲第1号証の2に示された以外の技術事項を開示するものではない。

イ.甲第1号証の2から把握できる事項
甲第1号証の2の動画からは、以下の点を把握することができる(以下では、動画の再生時間について、例えば1分23秒のことを「[01:23]」のように示す。また、以下の各項には、対応する時間帯における動画のキャプチャ画面を参考として付した(ただし、各項に記載した事項は、当該画面のみから看取したものではなく、付記した時間帯の動画全体から看取したものである。)。なお、下線は当審で付した(下線については、他の甲号証についても同様。)。)。

(ア)「2枚の窓を有する外壁パネル(以下「外壁パネルA」という。)が、建築物の土台に等間隔に立設された金具(以下「土台金具」という。)に嵌合されて立設される」点、及び、「外壁パネルAの土台金具の位置に水平方向に金具(以下「水平方向金具」という。)が打ち込まれる」点を看取することができる([00:56]?[01:37])。


([01:09]の画面)

(イ)「窓のない外壁パネル(以下「外壁パネルB」という。)が、一方の側端部上側に金具(以下「側端部金具」という。)を有するとともに他方の側端部上側に溝(以下「側端部溝」という。)を有する」点、及び、上記「(ア)」の工程に続いて「外壁パネルBの一方の側端部が隣接する外壁パネルAに連結されるとともに、建築物の土台に立設される」点を看取することができる([01:37]?[01:50])。


([01:37]の画面)

(ウ)「1枚の窓を有する外壁パネル(以下「外壁パネルC」という。)が、「複数の柱と、柱の側方に面材を支持する複数の枠体とからなり、上縁に単一の梁を有する」点、「外壁パネルCの柱間に面材を配置する」点、「外壁パネルCの枠体の幅寸法が全て等寸法である」点、「外壁パネルCの複数の柱間と一方の柱の側方に枠体を固定した」点、及び、上記「(イ)」の工程に続いて「外壁パネルCの柱が、外壁パネルBに隣接して、建築物の土台に立設された土台金具に嵌合されて立設される」点を看取することができる([01:50]?[02:09])。


([01:54]の画面)

(エ)「上階の外壁パネル(以下「外壁パネルD」という。)が下階の外壁パネルの梁に立設された金具に嵌合されて立設される」点を看取することができる([02:24]?[02:40])。


([02:25]の画面)

(オ)画面中央下の看板に「宅地分譲 全7区画 建築条件付売地 ○3(当審注:「○3」は丸数字の3を意味する。)区画 新築住宅」と書かれている点を看取することができ([03:02])、これを踏まえると、「(ア)ないし(エ)」からみて、甲第1号証の2の動画は「住宅の外壁の施工方法」に係るものであると理解することができ、また、「(ア)ないし(ウ)」における「建築物の土台」は「住宅の土台」であるといえる。


([03:02]の画面)

(カ)「外壁パネルA」、「外壁パネルB」及び「外壁パネルC」は、それぞれ別個の外壁パネルではあるものの、連続して建築物の土台に立設され、相互に隣接するものであるから、その構造や接合に関する基本的な構成は共通すると解するのが自然であって、上記「(ア)ないし(ウ)」を総合すると、「外壁パネルA」、「外壁パネルB」及び「外壁パネルC」はいずれも、「複数の柱と、面材を支持する枠体とからなり、上縁に単一の梁を有する」点、「柱間に面材を配置する」点、「壁パネルの柱が住宅の土台に等間隔に立設された金具に嵌合されて立設される」点、「外壁パネルの土台金具の位置に水平方向に水平方向金具が打ち込まれる」点、及び、「一方の側端部上側に金具を有するとともに他方の側端部上側に溝を有しており、当該一方の側端部が隣接する外壁パネルに連結される」点を備えるものと認められる。
また、上記「(エ)」の「外壁パネルD」も、上階に立設されるものであって建築物の土台に立設されるものではないものの、その他の点については「外壁パネルA」、「外壁パネルB」及び「外壁パネルC」と同様であって、「複数の柱と、面材を支持する枠体とからなり、上縁に単一の梁を有する」点、及び、「柱間に面材を配置する」点を備えるものと認められる。

(キ)上記「(カ)」の検討を踏まえると、上記「(ウ)」から、「一部の外壁パネルは、枠体の幅寸法が全て等寸法であり、複数の柱間と一方の柱の側方に枠体を固定したものである」ということができる。

以上を総合すると、甲第1号証の2からはつぎの発明(以下「引用発明1」という。)が、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものと認められる。

「外壁パネルが、複数の柱と、柱の側方に面材を支持する複数の枠体とからなり、上縁に単一の梁を有し、柱間に面材を配置しており、
複数の外壁パネルの柱が住宅の土台に等間隔に立設された土台金具に嵌合されて立設され、
当該外壁パネルの土台金具の位置に水平方向に水平方向金具が打ち込まれ、
外壁パネルが、一方の側端部上側に側端部金具を有するとともに他方の側端部上側に側端部溝を有しており、当該一方の側端部が隣接する外壁パネルに連結され、
上階の外壁パネルが下階の外壁パネルの梁に立設された金具に嵌合されて立設され、
一部の外壁パネルは、枠体の幅寸法が全て等寸法であり、複数の柱間と一方の柱の側方に枠体を固定したものである
住宅の外壁の施工方法。」

(2)甲第5号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には以下の記載がある。

ア.「【請求項1】 住宅建築において、二面を突き合せて平断面L字型及び/又はT字型に組んだフレーム(1)の外壁面側にはその全面に外壁材(2)を張り、また内壁面側にはその下部張残し面(J)を除いた中部及び上部面に内壁材(3)を張って成るL字型及び/又はT字型の外壁コーナーパネル(A)と、それらの外壁コーナーパネル(A)間に納まり、一面に組んだフレーム(4)の外壁面側にはその全面に外壁材(5)を張り、また内壁面側にはその下部張残し面(K)を除いて中部及び上部面に内壁材(6)を張って成る外壁フラットパネル(B)と、根太材(7)とそれを繋ぐ床フレーム(23)の上に床板材(8)を張って成る床パネル(C)とを、運搬車両に積載可能サイズに形成し、前記床パネル(C)の壁立付け部分に間隔置きにボルト固定部(9)を設け、前記外壁コーナーパネル(A)及び前記外壁フラットパネル(B)の各上部フレーム(1b),(4b)と下部フレーム(1a),(4a)に前記床パネル(C)のボルト固定部(9)に対応するボルト固定部(10)をそれぞれ設け、それらの設計所要サイズの各パネルを予め工場にて所要枚数作成し、それらの各パネルを建築現場に搬入し、その建築現場において、予め設置しておいた基礎(L)上に固定した土台枠(D)の上に、前記床パネル(C)を載置してボルト固定し、前記床パネル(C)のボルト固定部(9)上に前記外壁コーナーパネル(A)を自立させた後、追っかけ外壁コーナーパネル(A)の前記内壁下部張残し面(J)から前記床パネル(C)に対して各外壁コーナーパネル(A)の下部フレーム(1a)をボルト固定し、各外壁コーナーパネル(A)間の前記床パネル(C)のボルト固定部(9)上に外壁フラットパネル(B)を直立させ、追っかけ外壁フラットパネル(B)の内壁下部張残し面(K)から前記床パネル(C)に対して各外壁フラットパネル(B)の下部フレーム(4a)をボルト固定し、さらに追っかけ前記自立した各外壁コーナーパネル(A)の上部フレーム(1b)と前記直立させた各外壁フラットパネル(B)の上部フレーム(4b)との全体に頭つなぎランナー材(E)を掛け渡して各外壁パネル(A),(B)を一体的に固定して外壁囲壁面を形成し、その頭つなぎランナー材(E)上にその上の階の各床パネル(C)同士を水平にそれぞれ突き付け載置してその根太材(7)を頭つなぎランナー材(E)を挟んで前記各外壁パネル(A),(B)の上部フレーム(1b),(4b)にボルト固定し、固定された各床パネル(C)のボルト固定部(9)上に前記外壁コーナーパネル(A)を自立させて上記工程と同様に順次その上階部分を組み立てて行くことを特徴とする自立型外壁コーナーパネルを用いたパネル工法。」

以上を総合すると、甲第5号証には以下の技術事項(以下「甲5記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「パネル工法において、自立型外壁コーナーパネルを用い、L字型の外壁コーナーパネルを自立させた後、外壁フラットパネルを直立させて外壁囲壁面を形成する点。」

(3)甲第6号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には以下の記載がある。

ア.「【0013】
【考案の実施の形態】
本考案に係る構造用パネルに関する実施形態について以下に詳述する。図1は、壁面に用いる構造用パネル1の斜視図を示している。図2は、柱30に取り付けた状態での図1のA-A断面図であり、図3は、図2のB-B断面図である。図4は、図2における真壁材2の柱30への係合状態を示す部分拡大断面図である。
【0014】
配向性ストランドボードからなる矩形状の真壁材2と矩形状の面材3との間には、その長手方向に3本の枠材4が所定の間隔を空けて平行に配置され、枠材4の両端は枠材5により固定されている。そして、真壁材2及び面材3は、釘着又は接着により枠材4及び枠材5に固定されている。枠材4及び枠材5により囲まれた空間には必要に応じて断熱材6を配設しておいてもよい。

イ.「【0017】
構造用パネル1を取り付けた状態では、真壁材2が室内に露出した状態になるため、室内の湿気を吸収して湿度調整機能を果たすようになる。」

ウ.図2はつぎのものである。

【図2】


エ.上記「イ.」の記載を参照すると図2においては真壁材2が位置する側である図の下側が室内であると理解でき、この点及び上記「ア.及びイ.」の記載を踏まえると、図2からは「構造用パネル1を柱30に取り付けた状態では、真壁材2の表面に対して、柱30の室内側端部が突出する」点を看取することができる。

以上を総合すると、甲第6号証には以下の技術事項(以下「甲6記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「壁面に用いる構造用パネルにおいて、構造用パネルを柱に取り付けた状態では、枠材の室内側に固定される真壁材の表面に対して、柱の室内側端部が突出する点。」

(4)甲第7号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には以下の記載がある。

ア.「【0026】
次に第2、3実施形態を図4?5、図6?7を参照して説明する。尚、前記第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。第2実施形態においては、第1の連結部材を形成するアンカーボルト32を埋設、固定したコンクリート基礎31を第1の被接合部材とし、コンクリート基礎31の上面に設けた土台34を第2の被接合部材、柱35を第3の被接合部材としたものであり、アンカーボルト32の上端に第1の螺子8が形成されている。
【0027】
したがって、この第2実施形態では請求項1に対応してコンクリート基礎31と、このコンクリート基礎31の一側に設けられる当接する土台34と、この土台34の一側に当接する柱35とを一体に接合する接合金具において、前記コンクリート基礎31、土台34及び柱35に第1?3の孔4,5,6を同一軸線X上にそれぞれ形成し、前記第1の孔4に埋設、固定したアンカーボルト32の一側に第1の螺子8を形成し、前記貫通した第2の孔5に挿入した第2の連結部材13の他側に前記第1の螺子8に螺合する第1の受け螺子14を設けると共に、この第2の連結部材13の一側に第2の螺子15を形成し、前記第3の孔6に挿入して固定した第3の連結部材16の他側に前記第2の螺子15に螺合する第2の受け螺子17を設け、コンクリート基礎31、土台34及び柱35に、アンカーボルト32、第2、3の連結部材13,16を埋設すると共に、柱35を回動することにより、第2の螺子15と第2の受け螺子17を螺合させて柱35を土台34、ひいてはコンクリート基礎31に引き寄せることができる。したがって、土台34と柱35の隅角に、接合金具があらわれるようなことはなくなり、構造板(図示せず)等を隅角にも簡単に取り付けることが可能となる。また、コンクリート基礎31、土台34及び柱35に対応するように、アンカーボルト32、第2,3の連結部材13,16を設けたことにより、コンクリート基礎31、土台34及び柱35を順次組み立てると同時にアンカーボルト32、第2,3の連結部材13,16をも組み立てることとなるので、作業を簡単に行うことができる。」

イ.「【符号の説明】

9,10,18,19 ストッパー
…」(第2ページ右欄)

ウ.図4は次のものである。
【図4】


(5)甲第8号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には以下の記載がある。

ア.「【0008】本発明は、このような問題点をも解決すべく、研究,開発を繰り返し、試行錯誤の末開発されてもので、前述のようにホールダウン金物の問題点を解決するため、土台内に収まる構成としながらも、土台の横設も柱の立設も容易に行え、基礎のアンカーボルトと土台上の柱とを連結できる画期的な柱脚金具を提供することを目的としている。」

イ.「【0027】基礎1上に配設する土台2に形成した土台孔3に係合収納され、基礎1上に突出するアンカーボルト4に連結する土台埋設部Aと、前記土台2上に立設する柱5の底部に形成した柱孔6に挿入されるホゾ部B(柱埋設部)とを、一体とせず別体に構成して前記基礎1上に前記土台2を横設セットした後係合連結し得るように構成している。
【0028】本実施例の柱脚金具の下部分となる土台埋設部Aは、下方から内方へ挿通される前記アンカーボルト4に螺着連結するアンカーボルト連結部7を下部に有し、上部に前記ホゾ部Bの下部が係合連結するホゾ部連結部8を有する構成とし、前記ホゾ部Bは、前記土台埋設部Aの上部に設けたホゾ部連結部8に係合連結する係合部9を下部に有し、上部に前記柱5の柱孔6に挿入し柱5の側方より挿通する係止体10を貫通する連結孔11を有するパイプ状の連結棒部12を有する構成としている。
【0029】具体的には、土台孔3を上下に貫通した円形孔とし、前記土台埋設部Aを上下が開放した円筒状とし、底部には内方へ突出した係止鍔部16を設け、上方よりアンカーボルト連結孔7Aを形成した底板体14を挿入して係止鍔部16に係止することで有底筒状体となるように構成している。
【0030】即ち、この筒状体を前記土台2の上下方向に貫通形成した前記土台孔3に面一状態にして係合収納するように構成し、この筒状体の下部の底板体14にアンカーボルト4が挿通され且つアンカーボルト4の位置ズレに対応できる長孔状のアンカーボルト連結孔7Aを設け、このアンカーボルト連結孔7Aから筒状体内上方に突出したアンカーボルト4にナット7Bを螺着する構成としたアンカーボルト連結部7を設け、この筒状体の上部に、前記ホゾ部Bの下部に設けたムクの係合部9を面一状態に挿入係合し、前記土台2側方から挿通配設する係止体13を土台2,筒状体並びにホゾ部Bの連結孔15を介して係合部9に貫通してこの土台埋設部Aとホゾ部Bとを係合連結するホゾ部連結部8を設け、このホゾ部Bの係合部9に前記柱5の柱孔6に挿入し柱5の側方より挿通する係止体10を貫通する連結孔11を有するパイプ状の連結棒部12を立設して前記ホゾ部Bを構成している。」

ウ.図2、4及び6は次のものである。
【図2】


【図4】


【図6】


(6)甲第9号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には以下の記載がある。

ア.「【0062】
ここで、横材1や縦材2の止着孔6に貫通挿入する止着杆4は、例えば単に止着孔6に打設して圧着固定するピン部材を採用しても良いし、例えば止着孔6の一方側からボルト杆を挿入して他方側からボルト杆の先端を突出させ、その先端にナットを螺着して固定するボルト杆を採用しても良い。特に止着杆4としてボルト杆を採用した場合には、例えば図2及び図4に図示したように、横材1の側面にアゴ掛け金具9を連結固定したり、その他にもこの木材の側面に各種建築用金具を連結固定するためのボルト杆を前記止着杆4と兼ねる構成としても良い。」

イ.図2は次のものである。
【図2】


3.当審の判断
(1)請求項1について
ア.対比
本件訂正特許発明1と引用発明1とを対比する。

(ア)引用発明1の「梁」、「柱」、「面材」、「住宅」、「枠体」、「外壁パネル」、「土台金具」及び「側端部金具」は、その構造、機能及び作用からみて、本件訂正特許発明1の「梁材」、「外壁支柱」、「面材」、「家屋」、「枠体」、「支柱ユニット」、「被連結部」及び「ユニット間連結金具」にそれぞれ相当する。

(イ)引用発明1の「外壁パネル」は「梁」及び「柱」を備え、「柱間に面材を配置」するものである。そして、このうち「梁」及び「柱」が線部材である構造材、すなわち軸組であることは明らかであるから、引用発明1の「住宅」の構造は在来の軸組によるものであって、その工法は「在来工法」であるといえる。
また、引用発明1は「住宅の外壁の施工方法」であり、構造材である「梁」及び「柱」は線部材であると認められるところ、「住宅」が屋根や床等を備え、構造材であり線部材である「梁」や「柱」が当該屋根や床等の荷重を線荷重として受けることは自明である。
そうすると、引用発明1の「住宅の外壁の施工方法」は、本件訂正特許発明1の「屋根、床等の上部荷重を梁材とともに線荷重として支える外壁支柱間に面材を配置して家屋の外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法」に相当する。

(ウ)引用発明1の「外壁パネル」は、「複数の柱と、柱の側方に面材を支持する複数の枠体とからな」るものである。また、「柱」、「枠体」、「梁」及び「面材」が一体となった状態で立設されているから、「外壁パネル」が予め形成されていることは明らかである。
そうすると、引用発明1は「複数の柱と、面材を支持する枠体とからなる外壁パネルを予め形成する」との事項を備えており、引用発明1の当該事項と本件訂正特許発明1の「下端に土台連結部を開設した複数の外壁支柱と、幅寸法が全て等寸法で、外壁支柱の側方に面材を支持する複数の枠体とから、単一の外壁支柱の側方に前記枠体を固定し、または複数の外壁支柱間と一方の外壁支柱の側方に前記枠体を固定して支柱ユニットを予め形成する」とは、「複数の外壁支柱と、外壁支柱の側方に面材を支持する複数の枠体とから、支柱ユニットを予め形成する」との概念で共通する。

(エ)引用発明1においては、「外壁パネルの柱が建築物の土台に等間隔に立設された土台金具に嵌合されて立設され」るところ、「柱」に「土台金具」と嵌合される部位が形成されていることは明らかであって、引用発明1の当該部位は本件訂正特許発明1の「土台連結部」に相当する。
この点を踏まえると、引用発明1の「複数の外壁パネルの柱が」「嵌合されて立設され」る「土台金具」を「建築物の土台に等間隔に立設」した点は、本件訂正特許発明1の「壁面支持土台部には前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し」の点に相当する。

(オ)引用発明1において「外壁パネルの土台金具の位置に水平方向に水平方向金具が打ち込まれ」ることにより、「外壁パネル」を「建築物の土台」から引き抜くことができなくなることは明らかである。
この点及び上記「(エ)」で検討した点を踏まえると、引用発明1の「複数の外壁パネルの柱が建築物の土台に等間隔に立設された土台金具に嵌合されて立設され、当該外壁パネルの土台金具の位置に水平方向に水平方向金具が打設され」る点は、本件訂正特許発明1の「外壁支柱の土台連結部を壁面支持土台部の被連結部に嵌合させた後、引き抜き不能に固定して支柱ユニットを順次立設する」点に相当する。

(カ)引用発明1の「外壁パネルが、一方の側端部上側に側端部金具を有するとともに他方の側端部上側に側端部溝を有しており、当該一方の側端部が隣接する外壁パネルに連結され」る点は、本件訂正特許発明1の「隣接する他の支柱ユニット同士をユニット間連結金具を介して側方に相互に連結して家屋外壁を形成する」点に相当する。

そうすると、本件訂正特許発明1と引用発明1とは、
「屋根、床等の上部荷重を梁材とともに線荷重として支える外壁支柱間に面材を配置して家屋の外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法であって、
下端に土台連結部を開設した複数の外壁支柱と、外壁支柱の側方に面材を支持する複数の枠体とから、支柱ユニットを予め形成するとともに、
壁面支持土台部には前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、
前記外壁支柱の土台連結部を壁面支持土台部の被連結部に嵌合させた後、引き抜き不能に固定して支柱ユニットを順次立設するとともに隣接する他の支柱ユニット同士をユニット間連結金具を介して側方に相互に連結して家屋外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法。」
の点で一致し、つぎの点で相違する。

(相違点1)
支柱ユニットについて、本件訂正特許発明1では、「枠体」の「幅寸法が全て等寸法で」、「単一の外壁支柱の側方に枠体を固定し、または複数の外壁支柱間と一方の外壁支柱の側方に枠体を固定し」たものであるのに対して、引用発明1では、支柱ユニット(外壁パネル)の一部が「枠体の幅寸法が全て等寸法であり、複数の柱間と一方の柱の側方に枠体を固定したものである」ものの、そうでない支柱ユニット(外壁パネル)も存する点。

(相違点2)
被連結部について、本件訂正特許発明1では、「家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカーに連結される円筒形状の円筒形連結具の中空部に圧接翼を介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部、前記円筒形連結具、および隣接する他の壁面支持土台部に形成された嵌合溝に嵌合する連結翼片を備えた連結金具とともにボルトにより共締めされる連結管の先端に形成され、隅部以外においては、前記壁面支持土台部を貫通するアンカーにねじ込まれた連結パイプの先端部に形成され」るのに対して、引用発明1ではそのようなものでない点。

イ.検討
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。

(ア)「家屋の四隅部」及び「隅部以外」について
a.上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は、「被連結部」を、「家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカー16に連結される円筒形状の円筒形連結具18の中空部に圧接翼19aを介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部5、前記円筒形連結具18、および隣接する他の壁面支持土台部5’に形成された嵌合溝5aに嵌合する連結翼片22aを備えた連結金具22とともにボルト21により共締めされる連結管19の先端に形成され」るものとし、「隅部以外においては、前記壁面支持土台部5を貫通するアンカー16にねじ込まれた連結パイプ23の先端部に形成され」るものとするものであって、要するに「家屋の四隅部」と「隅部以外」とで「被連結部」に係る構成を異なるものとすることを含むものである。

b.上記「a.」の事項に着目して各甲号証について検討すると、甲第7号証及び甲第8号証にはそれぞれ土台と柱との接合構造が記載されているが、「家屋の四隅部」と「隅部以外」とで接合に係る構成を異なるものとすることは記載されていない。
また、他の各甲号証にも「家屋の四隅部」と「隅部以外」とで構成を異なるものとすることは記載されていない。

c.そうすると、上記相違点2のうち上記「a.」に係る、「被連結部」を、「家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカー16に連結される円筒形状の円筒形連結具18の中空部に圧接翼19aを介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部5、前記円筒形連結具18、および隣接する他の壁面支持土台部5’に形成された嵌合溝5aに嵌合する連結翼片22aを備えた連結金具22とともにボルト21により共締めされる連結管19の先端に形成され」るものとし、「隅部以外においては、前記壁面支持土台部5を貫通するアンカー16にねじ込まれた連結パイプ23の先端部に形成され」るものとすることは、申立人が提出した甲第2号証ないし甲第9号証には記載も示唆もされていないし、本件特許出願前において周知技術であったとはいえず、当業者が適宜なし得た設計的事項であるとすることもできない。

(イ)「圧接翼」について
a.上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は、家屋の四隅部において、「被連結部」が「圧接翼を介して圧入される」ことを含むものである。

b.上記「a.」の「被連結部」が「圧接翼を介して圧入される」点に着目して各甲号証について検討すると、甲第8号証には「前記ホゾ部Bは、前記土台埋設部Aの上部に設けたホゾ部連結部8に係合連結する係合部9を下部に有し、上部に前記柱5の柱孔6に挿入し柱5の側方より挿通する係止体10を貫通する連結孔11を有するパイプ状の連結棒部12を有する構成としている」(段落【0028】)ことが記載されており、その「パイプ状の連結棒部12」は本件訂正特許発明1の「被連結部」に相当する。
そして、甲第8号証には「パイプ状の連結棒部12」を有する「ホゾ部B」が「土台埋設部Aの上部に設けたホゾ部連結部8に係合連結する係合部9を下部に有し」(段落【0028】)ており、「筒状体の上部に、前記ホゾ部Bの下部に設けたムクの係合部9を面一状態に挿入係合」(段落【0030】)することが記載されているが、その「係合部9」は「ムク」すなわち中実であるとともに、図4に示されるように円柱状の部材であって、「圧接翼」といい得るような翼状の部分を有するものではない。
すなわち、甲第8号証には「被連結部」が「圧接翼を介して圧入される」ことは記載されていない。
また、他の各甲号証にも「被連結部」が「圧接翼を介して圧入される」ことは記載されていない。

c.そうすると、上記相違点2のうち上記「a.」に係る「被連結部」が「圧接翼を介して圧入される」ことは、申立人が提出した甲第2号証ないし甲第9号証には記載も示唆もされていないし、本件特許出願前において周知技術であったとはいえず、当業者が適宜なし得た設計的事項であるとすることもできない。

(ウ)上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項に関連して、本件特許明細書には「本例において、地震時の浮き上がり力が大きな家屋四隅部には、浮き上がり力に対する抵抗力の高いホールダウン構造が形成される。」(段落【0035】)と記載されており、本件訂正特許発明1は相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えることにより、地震時の浮き上がり力が大きな家屋四隅部においても、浮き上がり力に対する抵抗力が高いという効果を奏するものと認められる。

ウ.小括
以上のとおり、上記相違点2に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は、各甲号証に開示も示唆もされていないとともに、本件特許出願前において周知技術であったとはいえず、当業者が適宜なし得た設計的事項であるとすることもできない。
そうすると、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正特許発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(2)請求項2ないし4について
本件訂正特許発明2ないし4は、本件訂正特許発明1を引用し、さらに限定した発明であり、本件訂正特許発明1については上記「(1)」において検討したとおりである。
そうすると、本件訂正特許発明2は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
また、本件訂正特許発明3は、引用発明1及び甲5記載技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
また、本件訂正特許発明4は、引用発明1及び甲6記載技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書において主張した特許異議申立理由であって、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要は次のとおりである。

(1)本件特許発明1及び2は、甲第1号証及び甲第1号証の2から把握される発明であって、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である。

(2)本件特許発明1及び2は、甲第1号証の2及び甲第2号証ないし甲第4号証から把握される発明であって、本件特許出願前に公然実施をされた発明である。

2.甲各号証について
(1)甲第1号証及び甲第1号証の2
ア.甲第1号証には、「2014/6/24 埼玉県八潮市大原で新工法「ハイブリットユニット工法」の上棟を公開しました。」と記載されている。

イ.甲第1号証の2からは、上記「第5 2.(1)」の引用発明1を把握することができる。

(2)甲第2号証
ア.甲第2号証には「ハイブリットユニット工法」と記載されている。

イ.また、職権で調査したところによれば、申立人が申立書第7ページ第12?17行で説明するとおり、甲第2号証のウェブページには、甲第1号証の2の動画へのリンクが設けられ、当該動画が表示されるものと認められる。

ウ.しかしながら、甲第2号証には当該動画に関する日付等を示す記載は何らないから、甲第2号証のみからは、甲第2号証のウェブページ及び甲第1号証の2の動画に係る工法が、本件特許出願前に公然実施をされたとはいえない。

(3)甲第3号証
甲第3号証には次の記載がある。

ア.「新しい工務店支援システムと新工法「ハイブリッドユニット工法」
マスイデア・益田建設が新しい工務店支援システムと新工法を公開

株式会社 益田建設
2014年7月3日 13時46分

株式会社 マスイデアと株式会社 益田建設(代表 益田修一 埼玉県八潮市)は6月24日に埼玉県八潮市において株式会社 益田建設が推進する新工法「ハイブリッドユニット工法」の上棟を公開するとともに、株式会社 マスイデアが推進する新しい工務店支援システムの発表を行った。

(画像省略)

(株)マスイデアと(株益田建設(代表 益田修一 埼玉県八潮市)は6月24日に埼玉県八潮市において、(株)益田建設が推進する新工法「ハイブリットユニット工法」の上棟を公開するとともに、(株)マスイデアが推進する新しい工務店支援システムの発表を行った。当日は工務店、メーカー、研究機関、設計事務所、行政等約150名以上が熱心に見学し関心の高さがうかがえた。」

(4)甲第4号証
甲第4号証には次の記載がある。

ア.「益田建設(埼玉県八潮市、益田修一社長)は、独自のハイブリッドユニット工法を初めて採用した住宅の建設を進めている。6月24日、上棟見学会を埼玉・八潮市内で行った。」

イ.甲第4号証の右上枠外には「新建ハウジング 平成26年(2014年)7月10日」と記載されているから、上記「ア.」における「6月24日」は平成26年6月24日のことであると解するのが自然である。

(5)各甲号証から把握される発明
ア.甲第1号証及び甲第1号証の2から把握される発明
上記「第5 2.(1)」で検討したとおり、甲第1号証を参照すると、甲第1号証の2から把握される引用発明1が本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものと認められる。

イ.甲第1号証の2及び甲第2号証ないし甲第4号証から把握される発明
(ア)上記甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証の記載等を総合すると、甲第1号証の2は、本件特許出願前の2014年6月24日に行われた「ハイブリッドユニット工法」の上棟を撮影したものであり、甲第3号証の「上棟を公開する」及び甲第4号証の「上棟見学会」との記載等からみて、当該「ハイブリッドユニット工法」の上棟は公然知られ得る状況で行われたものと認められる。

(イ)そして、甲第3号証及び甲第4号証には、甲第1号証の2から把握される以上の技術事項は記載されていないから、甲第1号証の2、甲第3号証及び甲第4号証から把握される発明は、上記「第5 2.(1)」の引用発明1であって、当該引用発明1は本件特許出願前に公然実施をされたものであると認められる。

3.当審の判断
引用発明1については、上記「第5 3.(1)及び(2)」で検討したとおりであって、本件訂正特許発明1及び2と引用発明1とは少なくとも相違点2において相違するから、本件訂正特許発明1及び2が引用発明1であるということはできない。
そうすると、本件訂正特許発明1及び2は、甲第1号証及び甲第1号証の2から把握される発明ではないから、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるとはいえない。
また、本件訂正特許発明1及び2は、甲第1号証の2及び甲第2号証ないし甲第4号証から把握される発明ではないから、本件特許出願前に公然実施された発明であるともいえない。

第7 むすび

以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由並びに申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本件訂正特許発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正特許発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (54)【発明の名称】
家屋の外壁施工方法
【技術分野】
【0001】
本発明は家屋の外壁施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋、主として木造家屋の施工方法としては、従来から、予め立設した支柱間に筋交い、あるいは合板を固定して耐力壁を構成し、屋根荷重等を軸組の線荷重として受ける軸組工法と、ツーバイフォー工法、木質パネル工法等のように、フレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けて耐力壁、および剛床とを一体化した箱型構造を構成し、屋根荷重等を耐力壁の面荷重として受ける木造枠組壁工法という荷重負担の考え方が全く相違する2種類の工法が存在し、軸組工法における面材部の形成を容易にする工法として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、家屋外壁は、所定間隔で予め立設された支柱間にパネル体を固定して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-226896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例は、支柱を単独で立設する工程が発生するために、支柱間の間隔、あるいは各支柱の鉛直度のばらつきが大きくなるという欠点がある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、在来工法(軸組工法)における支柱の立設位置、立設姿勢を高い精度で施工することにより施工効率を向上させた家屋の外壁施工方法、およびこれに使用する在来工法用支柱ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
屋根、床等の上部荷重を梁材1とともに線荷重として支える外壁支柱2間に面材を配置して家屋の外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法であって、
下端に土台連結部を開設した複数の外壁支柱2と、幅寸法が全て等寸法で、外壁支柱2の側方に面材を支持する複数の枠体3とから、単一の外壁支柱2の側方に前記枠体3を固定し、または複数の外壁支柱2間と一方の外壁支柱2の側方に前記枠体3を固定して支柱ユニット4を予め形成するとともに、
壁面支持土台部5には、
家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカー16に連結される円筒形状の円筒形連結具18の中空部に圧接翼19aを介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部5、前記円筒形連結具18、および隣接する他の壁面支持土台部5’に形成された嵌合溝5aに嵌合する連結翼片22aを備えた連結金具22とともにボルト21により共締めされる連結管19の先端に形成され、
隅部以外においては、前記壁面支持土台部5を貫通するアンカー16にねじ込まれた連結パイプ23の先端部に形成されて前記外壁支柱2の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、
前記外壁支柱2の土台連結部を壁面支持土台部5の被連結部に嵌合させた後、引き抜き不能に固定して支柱ユニット4を順次立設するとともに隣接する他の支柱ユニット4同士をユニット間連結金具を介して側方に相互に連結して家屋外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法を提供することにより達成される。
【0008】
本発明において、外壁の施工は予め外壁支柱2と面材の支持部材である枠体3とをユニット化した支柱ユニット4を建て込ませて行われる。
【0009】
支柱ユニット4内の外壁支柱2は単数であっても複数であってもよく、単一の外壁支柱2により形成される支柱ユニット4は、外壁支柱2の側方に枠体3を接着等の固定手段により固定して形成される。また、複数の外壁支柱2を有する支柱ユニット4は、外壁支柱2間に枠体3を固定して形成され、2組の支柱ユニット4を隣接させた際に外壁支柱2同士が隣接することのないように、一方の支柱ユニット4の端部には枠体3が配置される。
【0010】
本発明における支柱ユニット4の枠体3は、面材の支持部材としての機能に加えて外壁支柱2間の間隔を正確に維持する機能を有しており、単一、あるいは隣接して他の支柱ユニット4を立設した状態において、外壁支柱2間の間隔が正確に管理されるために、施工時の微調整作業が不要となって施工効率が向上する上に、隙間等の発生を防止することが可能になる。
【0011】
また、外壁支柱2を単独で土台等の壁面支持土台部5に立設する場合、壁面支持土台部5に対する垂直度の確保は非常に困難であるが、複数の外壁支柱2を有する支柱ユニット4を立設する場合には、支柱ユニット4単位で外壁支柱2間の並行が保証されているために、各外壁支柱2を壁面支持土台部5に連結するだけで、壁面支持土台部5の長手方向に対する垂直度が自動的に確保され、さらに、一旦支柱ユニット4が固定された後は、それに連結するだけで、他の支柱ユニット4の垂直度も自動的に確保されるために、施工効率の向上、さらに、組み付け精度の向上が達成できる。
【0012】
さらに、屋根荷重等は、基本的に外壁支柱2に軸力として伝達されるが、外壁支柱2間に固定される枠体3は、耐力壁としての機能を発揮するために、建物全体の強度も向上させることが可能になる上に、地震時の横揺れに対する荷重負担要素としても機能するために、地震耐力も向上させることが可能になる。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記支柱ユニット4の上縁は、外壁支柱2、および枠体3の上縁に固定される単一の梁材1により形成されるとともに、該梁材1が上階に配置される支柱ユニット4の壁面支持土台部5となる在来工法における家屋の外壁施工方法を構成することができる。
【0014】
本発明において、支柱ユニット4の上縁部は単一の梁材1により形成されており、上階の壁面は、下階側の梁材1に上階側の支柱ユニット4の外壁支柱2を連結、固定して形成される。
【0015】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記支柱ユニット4は、L字状に連結して自立状態を保持した家屋の隅部を開始点として順次支柱ユニット4を連結して壁面を延設する在来工法における家屋の外壁施工方法を構成することができる。
【0016】
本発明において、外壁は、まず、家屋の隅部で一対の支柱ユニット4をL字状に連結した後、これら支柱ユニット4を基端として他の支柱連結ユニットを壁面支持土台部5に沿って連結して形成される。支柱ユニット4をL字状に連結することにより、各支柱ユニット4は相互に補完しあって起立角度が直角となり、これに連結される他の支柱ユニット4も設置済み支柱ユニット4にガイドされるように順次垂直が確保されるために、施工効率が向上し、かつ、施工精度が向上する。
【0017】
上記施工方法には、
屋根、床等の上部荷重を梁材1とともに線荷重として受ける在来工法における外壁支柱2の複数と、外壁支柱2の側縁に固定され、外壁支柱2間に配置される面材の保持体としての枠体3とを固定して一体に形成され、
各外壁支柱2の下端に、壁面支持土台部5に連結する土台連結部7を設けた在来工法用支柱ユニット4を使用することができる。
【0018】
支柱ユニット4は、在来工法において屋根荷重等を軸力として負担する複数本の外壁支柱2と、外壁支柱2間、および、必要に応じて最端部の外壁支柱2の側縁に枠体3を固定して形成される。工場において高い寸法精度で作成されて外壁支柱2に固定される枠体3は、外壁支柱2を壁面支持土台部5上に立設させる際の間隔決定ゲージとしての機能を期待できるために、外壁施工精度を向上させることが可能になる。
【0019】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
複数の外壁支柱2と枠体3との上縁に配置され、外壁支柱2の上端に引抜き不能に固定される単一の梁材1を有し、
該梁材1には、上階に配置される他の在来工法用支柱ユニット4の土台連結部7を引き抜き不能に連結するための被連結部8が形成される在来工法用支柱ユニット4を構成することができる。
【0020】
本発明において、支柱ユニット4の上端部は複数の外壁支柱2、および枠体3の上端に固定される単一の梁材1により形成されており、上階の壁面は、下階側の支柱ユニット4の梁材1に形成された被連結部8に外壁支柱2の土台連結部7を連結させながら上階側の支柱ユニット4を立設するだけで完成させることができるために、施工効率の向上を図ることが可能になる。
【0021】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記枠体3の室内対応表面に固定される内壁板材9の表面に対して外壁支柱2の室内側端部を突出させて真壁を形成する在来工法用支柱ユニット4を構成することができる。
【0022】
屋根荷重等を軸力として外壁支柱2で負担する在来工法を基本とする本発明において、枠体3には地震力や風圧力による水平方向の力に対抗する耐力壁としての機能が期待されているために、真壁とすることが容易になる。この結果、壁面が大壁として形成されるツーバイフォー工法においては、造作材等を新たに壁面に固定して真壁を形成する必要があり、室内面積が小さくなってしまうのに対し、本発明においては、室内面積を減少させることなく真壁を形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来、在来工法において単独に外壁支柱を土台等に立設する必要があるために、外壁支柱間の間隔等を正確に管理することが困難であったのに対し、本発明においては、単一、あるいは隣接して他の支柱ユニットを立設した状態において、外壁支柱間の間隔が正確に管理されるために、施工時の微調整作業が不要となり、施工効率が向上する上に、隙間等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用された木造家屋を示す図で、(a)は南立面図、(b)は東立面図である。
【図2】支柱ユニットを示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は(b)の2C-2C線断面図、(d)は(a)の2D-2D線断面図である。
【図3】家屋の壁面を示す図である。
【図4】家屋の隅柱部を示す図で、(a)は図3の4A部縦断面図、(b)は支柱ユニットの設置工程を示す図である。
【図5】家屋の隅柱部を示す図で、(a)は図4(a)の5A-5A線断面図、(b)は図5(a)の5B-5B線断面図、(c)は土台の連結工程を示す図である。
【図6】図3の6A部拡大図で、(a)は断面図、(b)は支柱ユニットの設置工程を示す図である。
【図7】出隅部における支柱ユニットの連結状態を示す図で、(a)は図3の7A方向から見た連結操作を示す図、(b)は(a)の7B-7B線断面図、(c)は連結完了状態を示す断面図である。
【図8】直線状に配置される支柱ユニット同士の連結状態を示す図で、(a)は図3の8A部の連結操作を示す図、(b)は連結完了状態における図8(a)の8B-8B線断面図である。
【図9】上下階の支柱ユニット同士の連結状態を示す図で、(a)は図3の9A部の連結操作を示す図、(b)は連結完了状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明が適用された木造家屋で、図1(a)は南立面図、図1(b)は東立面図を示す。図1に示すように、本例は、2階建て家屋であり、図1(a)の南立面図に示される外壁面は、1、2階共に2枚の支柱ユニット4により形成され、東立面図に示される外壁面は、1階部分が4枚の支柱ユニット4により、2階部分が3枚の支柱ユニット4により形成される。
【0026】
各壁面には高窓、腰窓、あるいは掃き出し窓等の開口部10が設けられる。
【0027】
図2に示すように支柱ユニット4は、ほぼ正方形断面の外壁支柱2と、枠体3と、梁材1とを有して構成され、工場で予め組み建てられて施工現場に搬送される。外壁支柱2は、各支柱ユニット4に複数含まれ、その各々は、同一の断面積、言い換えれば同一の強度にされる。また、全ての外壁支柱2は、支柱ユニット4単体において、さらには後述のように支柱ユニット4同士を水平方向に連結したときに、屋根荷重等を均等に負担できるように、等間隔となるようにされる。
【0028】
枠体3は、枠材を矩形に枠組みし、さらに中央部に間柱3aを配置して形成される。枠体3の奥行寸法(D3)は、図2(d)に示すように、外壁支柱2の奥行方向(D2)の寸法に比して小寸に形成され、外壁支柱2の室外側端面(図2(d)における上縁)に沿わせるようにして外壁支柱2の側壁、および梁材1の下縁に接着される。
【0029】
この枠体3は、横方向(W3)寸法を厳しく管理することにより、外壁支柱2間の間隔(W2)を所定の設計値に合致するように調整するゲージの役割を兼ね、壁面に開口部10が形成される場合、枠体3内に窓枠、あるいはサッシが組み込まれる。また、枠体3は、縦方向(H3)寸法や、縦横の枠材同士の交差角度(θ)についても厳しく管理されてゲージとして機能し、これにより外壁支柱2と梁材1との組み付け状態が所定の設計値に合致するように調整される。
【0030】
梁材1は、上記外壁支柱2、および枠体3の上端に固定されて支柱ユニット4の上端部を構成する。この梁材1の外壁支柱2への固定は、図2(c)に示すように、外壁支柱2の頭部、および梁材1の下縁部に挿入した十分な引っ張り強度を有する連結ピン11を十分な剪断強度を有するドリフトピン12により外壁支柱2、および梁材1の双方に連結して行われ、十分な剥離、引き抜き強度が確保される。
【0031】
また、上記連結ピン11は上端部を突出させた状態で梁材1の上端に固定され、外壁支柱2の下端に形成された孔状の土台連結部7に挿入可能な被連結部8が形成され、さらに、必要に応じて、梁材1には、同一階の支柱ユニット4同士を連結するためのユニット間連結金具6が固定される。
【0032】
図2(d)に示すように、以上のように骨組みされた支柱ユニット4の背面、すなわち屋外側の面には構造用合板等の耐力板材13が全面にわたって張り付けられるとともに、枠体3内に断熱材14を固定して支柱ユニット4が完成する。
【0033】
以上の支柱ユニット4を使用した外壁の施工方法を図3以下に示す。まず、家屋の基礎部に設置されたコンクリート基礎15にはアンカー16が予め所定間隔で埋設、固定され、支柱ユニット4は、該アンカー16に外壁支柱2を固定することにより順次固定される。
【0034】
図4、5に示すように、支柱ユニット4の立設に先立って、コンクリート基礎15上には、設置壁面の長手方向に長尺の合成樹脂製の基礎パッキン17が載置され、該基礎パッキン17上に木材による土台(壁面支持土台部5)が配置される。土台5は、基礎パッキン17の両側縁に設けられた支承部により幅方向両側縁部が支承されて基礎パッキン17上に保持される。
【0035】
本例において、地震時の浮き上がり力が大きな家屋四隅部には、浮き上がり力に対する抵抗力の高いホールダウン構造が形成される。
【0036】
ホールダウン構造は、土台連結用のアンカー16に支柱ユニット4の外壁支柱2を浮き上がり不能に連結して形成され、図4(a)に示すように、円筒形状に形成される円筒形連結具18と、連結管19とを有する。
【0037】
円筒形連結具18は、土台5に開設された円形の貫通穴に嵌合されてナット20を使用してアンカー16に連結され、連結管19は、圧接翼19aを介して円筒形連結具18の中空部に圧入される。
【0038】
これら円筒形連結具18と連結管19とは、図5に示すように、土台5、円筒形連結具18、および連結管19を貫通するボルト21により共締めされる。円筒形連結具18への連結状態において連結管19の先端部は土台5から突出して被連結部8を形成し、支柱ユニット4の外壁支柱2は、下端に開設した土台連結部7を被連結部8に嵌合させた後、ドリフトピン12を被連結部8に貫通させることにより土台5に固定される。
【0039】
また、本例において、上記円筒形連結具18は、隣接する他の土台5’の連結用中継部材を兼用し、円筒形連結具18を貫通したボルト21に断面コ字形状の連結金具22が共締めされる。
【0040】
この連結金具22に形成される連結翼片22aは隣接土台5’に形成された嵌合溝5aに嵌合された後、連結翼片22aを貫通するドリフトピン12により隣接土台5’に固定される。
【0041】
さらに、上記隅部以外のアンカー16は、図6に示すように、土台5を貫通し、その先端に連結パイプ23がねじ込まれる。この連結パイプ23の先端部は、土台5から突出して被連結部8を形成し、隅部以外の外壁支柱2は、土台連結部7を被連結部8にドリフトピン12を使用して連結することにより土台5に固定される。
【0042】
なお、図4、6において24は土台上に固定される床下地合板を示す。
【0043】
以上のようにして隅柱となる外壁支柱2を含む支柱ユニット4を設置した後、この支柱ユニット4(設置済みユニット)と協働して家屋の出隅部を構成する他の支柱ユニット4(連結ユニット4’)が設置される。連結ユニット4’は、設置済みユニット4の外壁支柱2に隣接する部位に枠体3を配置したものが使用され、設置済みユニット4と同様に、外壁支柱2の土台連結部7を土台5から突出する被連結部8に嵌合させた後、ドリフトピン12により固定して設置される。
【0044】
さらに、設置済みユニット4の梁材1には、図2に示すように、ユニット間連結金具6が固定されており、図7に示すように、このユニット間連結金具6の連結翼片6aを連結ユニット4’の梁材1に形成された嵌合溝4a内に挿入した後、ドリフトピン12を挿通させることによって双方の支柱ユニット4、4’が相互に連結される。
【0045】
双方の支柱ユニット4、4’とを直交状に相互に連結することにより、互いに補完しあって直立状態が保証される。
【0046】
壁面は、以上の隅部の支柱ユニット4に順次他の支柱ユニット4を連結しながら立設することにより完成される。図8に示すように、支柱ユニット4同士の連結は、一方の支柱ユニット4の外壁支柱2と他方の支柱ユニット4の枠体3とを対応させて行われ、上述した隅部における支柱ユニット4間の連結と同様に、外壁支柱2側の梁材1に固定されたユニット間連結金具6を他の支柱ユニット4の梁材1に形成された嵌合溝4a内に挿入した後、ドリフトピン12を挿入して固定される。
【0047】
以上のようにして一階部分の壁面を設置した後、二階(上階)部分の壁面が設置される。図2に示すように、支柱ユニット4の梁材1には連結ピン11により被連結部8が形成されており、上階の壁面は、図9に示すように、下階側の支柱ユニット4’の梁材1上に床下地合板24を固定した後、上記被連結部8に上階側の外壁支柱2の土台連結部7を嵌合させ、ドリフトピン12を固定して設置される。
【0048】
下階側の支柱ユニット4’の梁材1への連結ピン11の配置は、これに積層される上階側の支柱ユニット4の外壁支柱2に対応する位置に配置され、隅柱に対応する位置において、下階側の支柱ユニット4’の外壁支柱2のアンカー16への連結位置と、上階側の支柱ユニット4の外壁支柱2の連結位置とは一直線上に配置される。
【0049】
以上のようにして形成された壁面の室内側壁面には、図2(d)に示すように、石膏ボード等の内壁板材9が固定される。この状態において、各支柱ユニット4の外壁支柱2は、内壁板材9より室内側に突出した真壁構造となる。
【符号の説明】
【0050】
1 梁材
2 外壁支柱
3 枠体
4 支柱ユニット
5 壁面支持土台部
6 ユニット間連結金具
7 土台連結部
8 被連結部
9 内壁板材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根、床等の上部荷重を梁材とともに線荷重として支える外壁支柱間に面材を配置して家屋の外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法であって、
下端に土台連結部を開設した複数の外壁支柱と、幅寸法が全て等寸法で、外壁支柱の側方に面材を支持する複数の枠体とから、単一の外壁支柱の側方に前記枠体を固定し、または複数の外壁支柱間と一方の外壁支柱の側方に前記枠体を固定して支柱ユニットを予め形成するとともに、
壁面支持土台部には、
家屋の四隅部において、前記壁面支持土台部に開設された円形の貫通穴に嵌合されてアンカーに連結される円筒形状の円筒形連結具の中空部に圧接翼を介して圧入されるとともに、前記壁面支持土台部、前記円筒形連結具、および隣接する他の壁面支持土台部に形成された嵌合溝に嵌合する連結翼片を備えた連結金具とともにボルトにより共締めされる連結管の先端に形成され、
隅部以外においては、前記壁面支持土台部を貫通するアンカーにねじ込まれた連結パイプの先端部に形成されて前記外壁支柱の土台連結部に嵌合可能な被連結部を等間隔に立設し、
前記外壁支柱の土台連結部を壁面支持土台部の被連結部に嵌合させた後、引き抜き不能に固定して支柱ユニットを順次立設するとともに隣接する他の支柱ユニット同士をユニット間連結金具を介して側方に相互に連結して家屋外壁を形成する在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項2】
前記支柱ユニットの上縁は、外壁支柱、および枠体の上縁に固定される単一の梁材により形成されるとともに、該梁材が上階に配置される支柱ユニットの壁面支持土台部となる請求項1記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項3】
前記支柱ユニットは、L字状に連結して自立状態を保持した家屋の隅部を開始点として順次支柱ユニットを連結して壁面を延設する請求項1または2記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。
【請求項4】
前記枠体の室内対応表面に固定される内壁板材の表面に対して外壁支柱の室内側端部を突出させて真壁を形成する1、2または3記載の在来工法における家屋の外壁施工方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-01-15 
出願番号 特願2015-62334(P2015-62334)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (E04B)
P 1 651・ 113- YAA (E04B)
P 1 651・ 112- YAA (E04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 長井 真一
特許庁審判官 森次 顕
西田 秀彦
登録日 2019-07-12 
登録番号 特許第6552239号(P6552239)
権利者 株式会社益田建設 三菱商事建材株式会社 ミサワホーム株式会社
発明の名称 家屋の外壁施工方法  
代理人 山川 雅男  
代理人 山川 雅男  
代理人 山川 雅男  
代理人 山川 雅男  
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