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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  E04H
管理番号 1372720
異議申立番号 異議2020-700438  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-23 
確定日 2021-03-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6626391号発明「機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6626391号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6626391号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6626391号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成28年3月30日に出願され、令和1年12月6日にその特許権の設定登録がされ、令和1年12月25日に特許掲載公報が発行されたものである。
その特許について、令和2年6月23日に特許異議申立人 川股くみ子(以下、「申立人」という。)により、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出されて請求項1ないし11に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。その後の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月28日付け:取消理由通知
令和2年10月27日 :意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)
令和3年 1月 8日 :申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、」と記載されているのを、「前記搬送呼出処理の開始後であって前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?5、8、11も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に「前記開扉処理は、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して
利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く、請求項1?5のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理は、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く、機械式駐車装置の制御方法。」に訂正する。
(請求項6の記載を引用する請求項8、11も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7に「前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する、請求項1?6のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する、機械式駐車装置の制御方法。」に訂正する。
(請求項7の記載を引用する請求項8、11も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に「前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別処理を有するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を有し、
前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない、請求項8に記載の機械式駐車装置の制御方法。」とあり、当該特許請求の範囲の請求項9が引用する特許請求の範囲の請求項8に「前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有する、請求項1?7のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。」とあるところ、請求項9のうち、請求項8を介して請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有し、
前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別処理を有するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を有し、
前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない、機械式駐車装置の制御方法。」に訂正する。
(請求項9の記載を引用する請求項10、11も同様に訂正する。)

2 訂正要件
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、「操作者識別情報通知処理」が、「操作者識別情報」を通知するタイミングについて、訂正前の請求項1における「前記乗降部の入出庫扉を開く前」に加え、「前記搬送呼出処理の開始後」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。
また、上記訂正事項1は、訂正前の請求項1を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 新規事項の有無
訂正事項1における上記限定事項に関連して、本件特許明細書の段落【0046】及び【0047】には、以下の記載がある(下線は当審で付した。)。
「【0046】
次に、ステップS5に移行してパレット6を呼び出す搬送呼出処理を実行し、入庫時には空のパレット6が、出庫時には当該車両が積載されたパレット6が、それぞれパレット搬送手段8によって乗降部3への搬送が開始される。
【0047】
次に、ステップS6では、前述したようにパスワードを生成して利用者に通知する(操作者識別情報通知処理)。ここで、パスワードを表示装置72に画面表示させる場合には、例えば、所定時間(10秒程度)表示した後、表示を終了させるようにする。」

そうすると、搬送呼出処理を実行し、パレットの搬送が開始され、その次に操作者識別情報通知処理がなされることが本件特許明細書に記載されていたと認められるので、「前記搬送呼出処理の開始後」と操作者識別情報通知処理のタイミングを特定する訂正は、明細書に記載した事項の範囲内でした訂正と認められる。

ウ 小括
以上のとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内で、訂正前の請求項1に係る発明を限定するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項6が請求項1から5のいずれかを引用する記載であったところ、そのうち請求項2ないし5を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、上記事項を目的とすることから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項7が請求項1から6のいずれかを引用する記載であったところ、そのうち請求項2ないし6を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、上記事項を目的とすることから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項9が訂正前の請求項8を介して請求項1から7のいずれかを引用するものであったところ、そのうち請求項2ないし7を引用しないものとした上で、請求項8を介して請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改める訂正であるから、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、上記事項を目的とすることから、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし11について、請求項2ないし11はそれぞれ請求項1を直接又は間接に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1ないし11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
したがって、訂正前の請求項1ないし11に対応する訂正後の請求項1ないし11は、一群の請求項である。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号または第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?11〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし11に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、請求項1ないし11に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

本件訂正発明
「【請求項1】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記搬送呼出処理の開始後であって前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。
【請求項2】
前記操作者識別情報通知処理により通知される操作者識別情報は、数字及び/または文字からなる情報である、請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項3】
前記操作者識別情報通知処理により通知される操作者識別情報は、表示画面に表示されるパターンの情報である、請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項4】
前記閉扉処理は、
前記判定処理における判定結果が一致した場合に、該一致に応答して前記入出庫扉を閉じる、請求項1?3のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項5】
前記閉扉処理は、
前記判定処理における判定結果が一致し、かつ利用者による閉扉操作が行われた場合に、前記入出庫扉を閉じる、請求項1?3のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理は、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有する、請求項1?7のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項9】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有し、
前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別処理を有するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を有し、
前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項10】
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記操作者識別情報通知処理と前記操作者識別情報取得処理と前記判定処理とを省略するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、出庫する前記車両が前記乗降部から退出したことを検出することにより出庫完了判定を行う出庫完了判定処理を有し、
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記車体搬送手段が前記乗降部に到着したことを条件に前記開扉処理を行い、前記開扉処理の後に前記出庫完了判定処理が行われ、かつその後に前記乗降部の外部に設けられた操作盤に対して利用者による閉扉操作が行われることによって前記閉扉処理を行う、請求項9に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1?10のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする機械式駐車装置。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由
当審が令和2年8月28日付けの取消理由通知(以下、「取消理由通知」という。)により特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(拡大先願)
本件特許の請求項1ないし5、8及び11に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

第5 甲各号証
1 申立人が提出した証拠
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証: 特開2017-2538号公報
(特願2015-116426号(平成27年6月9日出願、
以下、「先願1」という。)の公開公報、
平成29年1月5日公開、申立書に添えて提出)
甲第2号証: 特開2014-202042号公報(申立書に添えて提出)
甲第3号証: 実公昭49-3738号公報(申立書に添えて提出)
甲第4号証: 特開昭51-42268号公報(申立書に添えて提出)
甲第5号証: 実願昭62-1860号(実開昭63-111562号)
のマイクロフィルム(申立書に添えて提出)
甲第6号証: 特開2015-48595号公報
(令和3年1月8日付け意見書に添えて提出)

2 甲各号証に記載された事項
(1)甲第1号証(先願1)
甲第1号証によれば、先願1の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「先願1の当初明細書等」という。)には、次の事項が記載されており、当該事項はその後出願公開されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。
ア「【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法とを、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その1である。図2は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その2である。図3は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その3である。図4は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その4である。図4は、本発明の実施形態にかかる駐車装置の概念図である。」

イ「【0030】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる装置である。
本発明の実施形態にかかる駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法である。
【0031】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、駐車機構100と制御機構200とで構成される。
駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である。
駐車機構100は、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉を設けられる入出庫空間との間で移動できてもよい。
入出庫空間120は、入庫時にドライバーが車両を入れて、乗り捨てる空間である。
入出庫空間120は、出庫時にドライバーが車両に乗り込む空間である。運転手は、車両に沿って、入出庫空間120から外へでる。
入出庫空間扉130は、入出庫空間120と外部空間との境をしきる開閉可能な扉である。
通常操作では、入出庫空間扉130が閉じているときにのみ、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間120との間で移動できる様になっている。
【0032】
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器である。
制御機構200の操作盤は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる。
ドライバーが制御機構200の操作盤を操作するときに、ドライバーは開いた入出庫空間扉130から入出庫空間120の内部を見張ることができる。
制御機構200は、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施する。
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である。
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理である。
以下では、操作盤を操作するドライバーを操作者と呼称する。
以下では、説明の便宜上、駐車機構が車両をパレットに乗せて取り扱う形式であるとして、説明する。
以下では、制御機構200の実施する入出庫処理S100を説明する。」

ウ「【0033】
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できる。
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
制御機構200は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
【0034】
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する。
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
図1、図2は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
図3、図4は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。」

エ「【0035】
開始処理S10は、開始指令を受ける処理である。
開始処理S10は、操作者が安全確認釦が押すのを待ってもよい。
操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押す。
開始処理S10を完了すると、次ぎに第一認証処理S20を実施する。
開始処理S10を省略し、第一認証処理S20の開始をもって開始指令としてもよい。
開始処理S10において、操作者は入庫要求か出庫要求の何方の処理かを選択しても良い。」

オ「【0036】
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第一認証処理S20が、第一認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第一コードを記録してもよい。
第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録してももよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを自動生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
【0037】
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S21は、操作者がキー入力するコードを入力する。操作者適任?S22は、入力したコードから操作者が適任であるか否かを判定する。
例えば、操作者適任?S22は、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものでないとき操作者を適任と判断しない。
操作者を適任と判断したとき、次の操作者情報記録S23を実施する。
操作者を適任と判断しないとき、再度、操作者認証S21へ戻る。
操作者情報記録S23は、入力したコードを第一コードとして記録してもよい。。
操作者情報記録S23は、入力したコードに紐付けされる紐付コードを第一紐付コードとして記録してもよい。」

カ「【0038】
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。
呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。
操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押す。
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させる。
パレットに普通車用パレットと大型車用パレットの形式があるとき、入力コードに応じて、普通車用パレットと大型車用パレットのどちらか一方の形式のパレットを入出庫空間120に移動させる。
出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる。
ここで、駐車機構がパレットを用いない形式である場合、入力コードに応じた車両を入出庫空間120に移動させる。
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施する。」

キ「【0039】
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理である。
扉開処理S40は、呼出処理S30を完了すると、操作者の追加の操作を待たずに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
扉開処理S40は、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
例えば、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押す。扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施する。」

ク「【0040】
ドライバー入出庫待ちS50は、操作者であるドライバーが入出庫作業をするのを待つ。
入庫要求であれば、ドライバーは、車両を入出庫空間120に入れて、車両を降り、入出庫空間120から出る。
出庫要求であれば、ドライバーは、入出庫空間120に入り、入出庫空間120にある車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
必要があれば、制御機器は、車両の誘導等を音声等により行う。
場合によっては、制御機器は、ドライバー入出庫待ちS50において特に何の処理もせず、次の扉閉指令受取処理S60を実施する。」

ケ「【0041】
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理である。
例えば、扉閉指令受取処理S60は、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待つ。
扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施する。
【0042】
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第二認証処理S70が、第二認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第二コードを記録してもよい。
【0043】
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成されてもよい。
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されてもよい。例えば、操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S71は、操作者がキー入力するコードを入力する。操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録する。
第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施する。」

コ「【0044】
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理である。
操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成されてもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。」

サ「【0046】
第一紐付コードは、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コードである。
第一紐付コードが第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが操作者に紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、第一コードに紐付けされるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、操作者に紐付けされ、結果として第一コードに紐付けされるコードであってもよい。」

シ「【0047】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない。
【0048】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると操作者による追加の操作を必要とせずに扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しなくてもよい。
【0049】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定する(当審注:「判定すると」の誤記と認める。)扉閉指令受け取り処理S60を行い、その後で扉閉処理をS90(当審注:「扉閉処理S90を」の誤記と認める。)実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しなくてもよい。
図4は、操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定する扉閉指令受け取り処理S60を行い、その後で扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉指令受け取り処理S60と扉閉処理S90とを実施しない様子を示す。」

ス「【0052】
扉閉処理S90は、入出庫空間扉の状態を開状態から閉状態に変化させる処理である。扉閉処理S90が完了すると、入出庫処理S100を完了する。
【0053】
扉開処理S40を実施した時から所定時間を経過しても扉閉処理S90を実施しないときに、警告信号を出力してもよい。」

セ「【0068】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。以下では、前述で説明した点と同一の点は説明を省略し、異なる点のみを、説明する。
【0069】
第一紐付コードが第一認証処理を実施する際に第一認証処理が第一操作者に一時的に与える文字コードである。
第二コードが第二認証処理を実施する際に第二操作者により入力される文字コードである。
【0070】
操作者認証S21は、操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる認証操作をまち、その認証操作によりカード読み込機器により認証用カードを読み込んでコードを獲得し、獲得したコードである第一コードに基づいて操作者を認証する。
操作者認証S21は、操作者を認証すると、操作者に一時的な文字コードを与え、一時的な文字コードを第一紐付コードとして第一コードに紐付けして記憶する。
【0071】
操作者認証S71は、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて文字コードを獲得し、獲得した文字コードである第二コードに基づいて操作者を認証する。
【0072】
操作者一致?S81は、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断する。
【0073】
以下に、発明の第三の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法の作用を説明する。以下では、ドライバー甲が出庫処理をした後で、ドライバー乙が入庫処理をする場合を例に、説明する。
ドライバー甲が車両を運転して入出庫空間120の前に移動する。このとき、入出庫空間扉130の状態は閉状態である。ドライバー甲が車からおりて、操作盤の前に立つ。ドライバー甲が安全を確認し安全確認釦を押す。
操作盤が、ドライバーにカードをカード読み込機器に読み込ませることを求める。
ドライバー甲は、自分のカードをカード読取機器に読み込ませる操作盤は、ドライバー甲が契約者であることを確認し、一時的な文字コードを与え、ドライバー甲に次ぎの操作を促す。
ドライバー甲が、スタート釦を押す。
ドライバー甲が待っていると、ドライバー甲の車両が駐車空間から入出庫空間に移動され、車両が入出庫空間に止まると、入出庫空間扉130が開く。ドライバー甲が、入出庫空間120に入り、車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
ドライバー甲が、車から降り、操作盤の前に行く。
ドライバー甲が、扉閉釦を押す。
操作盤が、ドライバーに文字コードの入力を求める。
ドライバー甲が自分に一時的に与えられた文字コードをキー入力機器に入力する。
入出庫空間扉が閉状態になる。ドライバー甲が、車両に乗り込み、去る。
ドライバー乙が、次ぎの入庫を行う。
【0074】
万が一、入出庫空間扉の状態を開状態のままにして、ドライバー甲が立ち去ると以下の通りになる。
ドライバー乙が、入出庫空間扉130が開状態にあるのを発見する。
ドライバー乙が、扉閉釦を押す。操作盤が、ドライバー乙に文字コードの入力を求める。
ドライバー乙が、キー入力機器に入力する文字コードを知らない。
入出庫空間扉130が閉状態にならない。
所定の時間を経過して、警告信号がでる。
管理人によって、安全を確認した後で、復旧処理を行う。
ドライバー乙が、次ぎの入庫を行う。」

ソ「【図5】


(2)先願1に記載された発明
上記記載を踏まえると、先願1の当初明細書等には、以下の2の発明(以下、「先願1方法発明」、「先願1装置発明」という。)が記載されていると認められる。

ア 先願1方法発明
「駐車機構100と制御機構200とで構成される駐車装置であって、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり、制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であって、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である入出庫処理S100と車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる車両搬送処理S200とを実施する駐車装置の制御方法であって、駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法であり、
操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である第一認証処理S20であって、第一認証処理S20は、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを生成して記録し、該第一紐付コードは、第一認証処理S20を構成する操作者認証S21が、操作者を認証すると、操作者に一時的に与える文字コードである、第一認証処理S20と、
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させて、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする呼出処理S30と、
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、実施する処理であって、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40と、
操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得する第二認証処理S70と、
第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する操作者判定処理S80であって、第一紐付コードが第二コードと一致するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断する操作者判定処理S80と、をこの順で行い、
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、操作者による追加の操作を必要とせずに、または、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける扉閉指令受け取り処理S60を行った後、扉閉処理S90を実施するものであり、
第二認証処理S70は、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて文字コードを獲得し、獲得した文字コードである第二コードに基づいて操作者を認証する操作者認証S71で構成され、
操作者(操作盤を操作するドライバー)が扉閉釦を押した際に、操作盤が操作者に文字コードの入力を求め、操作者が自分に一時的に与えられた文字コードをキー入力機器に入力するものであり、
操作盤は入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる、
駐車装置の制御方法。」

イ 先願1装置発明
「駐車機構100と制御機構200とで構成され、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり、制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であって、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である入出庫処理S100と車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる車両搬送処理S200とを実施する駐車装置であって、先願1方法発明の制御方法により制御される駐車装置。」

(2)甲第2号証
甲第2号証には、次の事項が記載されている。
ア「【0060】
まず、演算処理部30aは、前述したように操作盤22の蓋34が開錠されると、操作画面35に図7に示す認証画面を表示し、契約利用者に認証ボタン51をタッチさせる。この認証ボタン51がタッチされると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われる。
【0061】
そして、この初回認証が成功すると、立体駐車場1の中に当該契約利用者の車両が収容されているか否かによって入庫なのか出庫なのかが判定され、入庫の場合には図8に示す入庫確認画面が表示される。また、出庫の場合には図示しない出庫確認画面が表示される。以下では入庫の場合について説明する。
・・・
【0063】
さて、図8の入庫確認画面には、契約者の番号、車種と、「入庫しますか?」という案内、および「はい」、「いいえ」というボタン53,54が表示される。契約利用者が「はい」のボタン53にタッチすると、図9に示す待機指示画面に変わり、空きパレット18が乗入室7に到着するまでのカウントダウン等が表示される。」

(3)甲第3号証
甲第3号証には、次の事項が記載されている。
ア「 本考案は駐車場の安全装置に関するもので、その目的とするところは庫内への人の閉じ込め、通りがかりの人によるいたずらを防止することにある。
駐車場の出入口部分に搬出入装置を設け、これに自動車を格納し、無人にて上部または下部の駐車室へ自動的に納められる方式の機械式駐車場では、人が庫内にいたまま搬出入装置を昇降させると非常に危険である。
また出入口の扉を閉じられても人の閉じ込めとなりこれまた危険である。
このように機械式駐車場で出入口において無人にして自動的に自動車を格納するものは必ずこの人の閉じ込め等の安全性が問題になる。
本考案は上記事情によりなされたもので、機械式駐車場の出入口に無人にして自動車を搬出入する装置を設けたものにおいて、前記出入口に光電ビームーを通し、そのビームを遮断したことを記憶して扉閉じ装置及び搬出入装置が動作をしない装置を設け、出入口の脇に設置した扉閉じ解除装置の操作により前記装置を動作せしめてなる駐車場の安全装置を提案するものである。」(公報第1欄第16?37行)

イ「本考案を一実施例図面によつて説明するに、第1図においてPH-1A,PH-1B,PH-2,PH-3,PH-4,PH-5は各々光電ビームを表わし、この光電ビームを各々遮断すると第2図におけるPH-1Ac,PH-1Bc,PH-2c,PH-3c,PH-4c,PH-5cの接点を開閉せしめる。
11は格納された自動車12を搬出入する装置13は出入口の扉、15は駐車装置を操作する運転盤で第2図における押ボタンスイツチ14を設置している。」(公報第1欄第38行?第2欄10行)

ウ「庫内より人が入るとその出た当人またはそれを確認した人が出入口脇にある押ボタンスイツチ14を押すと庫内のビームを一本も遮断していない時は(+)-PH-4c-PH-5c-PH-3c-PH-1Ac-PH-1Bc-PH-2c-14-60s-(-)により60sが励磁される。
また自動車を入庫してきた時は規定位置に止めたなら(+)-PH-4c-PH-5c-PH-3c-PH-1Ac-40Ja-14-60s-(-)によりやはり励磁される。
これが励磁されるとそのブレイク接点60sbが開路するので+-60sb-60a_(1)-60--の回路が開路してリレー60は消磁する。
従つて次に扉13を閉じることができる。このリレー60を消磁するには第2図の回路より明らかなように庫内のビームを1本も遮断していないか、または庫内に自動車が入つている時は正規の位置に停止していなければできない。
本考案によれば、扉を閉じる前に庫内の自動車が正規の位置に停止しているか、自動車がない場合は庫内の人が光電ビームを切るような位置にいるが自動的に検出できる。」(公報第3欄第4行?第4欄第6行)

エ 第1図及び第2図(四角枠は申立人による。)



(4)甲第4号証
甲第4号証には、次の事項が記載されている。
ア「このため例えば実公昭49-3738「駐車場の安全装置」が提案されている。これは第1図および第2図に示すごとく、搬出入口の搬入口装置11上に自動車12を乗せて、所定の場所へ入庫するよう構成された駐車設備において、搬出入口には光電ビームPH-1A、PH-1B、PH-2、PH-3、PH-4およびPH-5を設け、人および自動車の検出ならびに自動車の誘導を行つており、また、搬出入口のドア13の脇には駐車設備を操作する運転盤15があり、その中に安全確認の押ボタン14が内蔵されている。リレー60は付勢するとドア閉じ装置および搬出入装置の動作を不可能にしている。リレー60Sはそのブレイク接点60sbで、リレー60のメイク接点60aによるリレー60の自己保持回路を開路し、リレー60を消勢させるものである。接点40Jaおよび40Jbは自動車12が搬出入装置11の規定された位置(光電ビームPH-1BおよびPH-2を遮断し、他の光電ビームを切らない位置)に停止していると付勢されるリレー(図示してない)のメイク接点とブレイク接点であり、PH-1Ac、PH-1Bc、PH-2c、PH-3c、PH-4cおよびPH-5cはそれぞれ光電ビームPH-1A、PH-1B、PH-2、PH-3、PH-4およびPH-5の検出用リレーのトランスフア接点で光電ビームを遮断すると、そのブレイク接点を開路し、メイク接点を閉路するものである。
このように構成されているため、搬出入口に自動車または人が入ると必ず光電ビームを遮断するためリレー60は自己保持し、ドアを閉じることができなくなる。その後自動車が入庫したときは前記の規定された位置に停止すると、また人が入ったときは、光電ビームPH-1B、PH-2以外は切らなくなると、安全確認の押ボタンスイツチ14が有効になり、これを押すとリレー60Sが付勢し、リレー60が消勢してドアを閉じることができるようになる。
しかしながらこの安全装置は、搬出入口内に入つた人が外へ出ないときでも光電ビームPH-1B、PH-2以外のものを一本も遮断していなければドアが閉じて搬出入装置を動作させることができ、また、自動車を運転して入り、規定の位置に入つた状態で自動車より人が降りなければ、ドアを閉じて搬出入装置を動作させることができる。このため、搬出入口内への人の閉じ込めは防ぐことが出来ず非常に危険である。」(公報第1頁右下欄第20行?第2頁左下欄第6行)

イ「この発明の特徴とするところは、人が入つたことを記憶してドア閉じ装置および搬出入装置を動作不能にし、さらに人が出たことを検出して前記装置を動作可能とするようになした装置を付加した点にある。」(公報第2頁左下欄11?15行)

ウ「内部の人が外へ出てくるとき、光電ビームPH-4を遮断すると、リレー60Aは前述と同様に付勢し、接点60Aa_(1)により自己保持し、また接点60Aa_(2)が閉路するためリレー60Rは安全確認ボタン14を押すと付勢できるようになる。即ち、人が内部に入り光電ビームPH-4以外のビームを一度でも遮断すると再び一番入口に近い光電ビームPH-4を遮断しなくては、リレー60Rが付勢しないので搬出入口内部の人が外に出ない限り安全押ボタンスイツチ14は無効であるため内部の人の安全が確保される。」(公報第3頁右上欄第7?17行)

エ「次に自動車が搬出入口に入つて行くと、まず光電ビームPH-4を遮断し、リレー60Rが消勢しドアは閉じることができなくなる。さらに進行して光電ビームPH-1AおよびPHIBを同時に遮断すると、・・・したがつて、自動車を規定の位置に停止したままではリレー60Bは付勢したままで、その接点60Bbは開路しているため、リレー60Rの付勢回路は構成されず、ドアが閉じられることはないので安全である。自動車の中の人が外に出るための自動車のドアを開くと、光電ビームPH-5を遮断するため、リレー60Bの自己保持回路は開路し、リレー60Bは消勢する。しかし、光電ビームPH-5を遮断している限りリレー60Rは付勢せず安全は保たれている。人が自動車より出て自動車のドアを閉じると押ボタン14が有効となるが、外部からの搬出入口内部の確認は人が自動車の内部にいる状態では行いにくいが外へ出ているため確認が容易であり、万一ドアを閉じる操作を行われても容易に脱出しやすい場所にいるため安全である。
このように自動車が搬出入口内部に入つたときは人が自動車の外へ出るまで、また一度人や自動車が搬出入口に入つた場合は、一番出入口に近い光電ビームを切るまでリレー60Rは付勢されず閉じ込められる心配はなくなる。このようにして人が外へ出たあとは押ボタン14が有効になるため押すとリレー60Rは付勢し、その接点60Raが閉路し自己保持される。・・・」(公報第3頁右上欄第18行?右下欄第15行)

オ「この発明は以上の説明で明らかなように一度人が一番出入口に近い光電ビームPH-4以外の光電ビームを切ると、再び光電ビームPH-4を遮断しなければドアを閉じることができないので、単に光電ビームPH-4を人の出入りで必ず2回遮断することを利用したものよりも安全である。即ち、2人以上の人が内部に入つて1人の人が出て来ても内部にいる人が光電ビームPH-4以外の光電ビームを遮断すれば再びドア閉じはできなくなり人の閉じ込めは起きなくなる。また、自動車の搬出入口に入ると光電ビームPH-5を遮断するまでドア閉じはできないので、自動車の中にいる人を外より確認する必要がなくなり、また、自動車の運転者は安心して搬出入口内へ乗り入れることができる。」(公報第3頁右下欄第18行?第4頁左上欄第12行)

(5)甲第5号証
甲第5号証には、次の事項が記載されている。
「(従来の技術)
従来、この種の安全装置は乗入口の出入口に第1検出器を設けるとともに正規の乗入位置の後面に第2検出器を設け、車輌が乗入位置へ乗入れて第2検出器の位置を通過すると車輌搬出入装置の作動を不能とし、運転者が車輌から降りて第1検出器を通過して場外へ出ると前記車輌搬出入装置の作動不能を解除するごとくしていた。」(明細書第1頁下から2行?第2頁第6行)

(6)甲第6号証
甲第6号証には、次の事項が記載されている。
ア「【0048】
入出庫口30には、人の乗降室20への入退室を検知する入退室検知センサ36が設けられる。入退室検知センサ36は、一例として、センサ36Aが入出庫口30の内側に設けられ、センサ36Bが入出庫口30の外側に設けられる。
入退室検知センサ36は、センサ36Bからセンサ36Aの順で人を検知した場合、乗降室20へ人が入室したと検知し、センサ36Aからセンサ36Bの順で人を検知した場合、乗降室20から人が退室したと検知する。」

イ「【0050】
乗降室20外の操作盤22には、人に操作されることでパレット16の搬送の許可が入力される最終確認ボタン40が備えられている。」

ウ「【0070】
ステップ104では、入退室検知センサ36の検知結果に基づいて、乗降室20から運転者が退室したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ106へ移行する。
【0071】
ステップ106では、操作盤22に備えられる最終確認ボタン40への操作を有効とする。
乗降室20へ入室した人の退室が検知された後に、最終確認ボタン40への操作が有効とされることで、例えば安全確認者が乗降室20から出る前に他者によって最終確認ボタン40が操作されても、パレット16の搬送が実行されることは無い。
従って、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、より確実に乗降室20内の安全性が確保できる。」

第6 取消理由についての当審の判断
1 本件訂正発明1
(1)対比
本件訂正発明1と先願1方法発明を対比する。
ア 先願1方法発明の「パレット」及び「入出庫空間」は、本件訂正発明1の「車体搬送手段」及び「乗降部」にそれぞれ相当する。

イ 先願1方法発明の「入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させ、出庫要求であるとき、入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させて、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする呼出処理S30」は、パレット(車体搬送手段)を入出庫空間120(乗降部)に呼び出すものであるから、本件訂正発明1の「車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理」に相当する。

ウ 先願1方法発明の「入出庫空間扉130」は、本件訂正発明1の「入出庫扉」に相当し、先願1方法発明の「呼出処理S30を完了すると、次ぎに、実施する処理であって、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40」は、本件訂正発明1の「車体搬送手段が乗降部に到着した後に、入出庫扉を開く開扉処理」に相当する。

エ 先願1方法発明の「第一認証処理S20」における「操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得」し、「獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する」にあたり、「獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを生成して記録し、該第一紐付コードは、第一認証処理S20を構成する操作者認証S21が、操作者を認証すると、操作者に一時的に与える文字コードである」処理は、「入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40」の前に行われるから、「入出庫空間120(乗降部)の入出庫空間扉130(入出庫扉)を開く前」に行われる処理であり、第一認証操作で認証した第一操作者と第二認証操作で認証した第二操作者とが一致するかを判断する「操作者識別」に用いられる情報として「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」を第一コードと紐付けて「生成して」「操作者に」「与える」ものである。
そして、先願1方法発明は、「第一認証処理S20を構成する操作者認証S21が、操作者を認証すると、」「第一紐付コード」として「操作者に一時的に」「文字コード」を「与える」ものであるから、「第一認証処理S20」と「呼出処理S30」とを「この順で行」う先願1方法発明の「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」(操作者識別情報)の通知は、「呼出処理S30(搬送呼出処理)の開始前」に行われるものである。
してみると、先願1方法発明の「第一認証処理S20」において「操作者」に「与え」られる「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」は、本件訂正発明1の「操作者識別情報通知処理」により「利用者へ通知」された「操作者識別情報」に相当し、先願1方法発明の「操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する」にあたり、「第一コードに紐付けされる第一紐付コード」である「一時的」な「文字コード」を「生成して」「操作者に」「与える」処理は、本件訂正発明1の「前記搬送呼出処理の開始後であって乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理」と、「乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理」である点で共通する。

オ 先願1方法発明の「第二認証処理S70」は、「扉閉処理S90」の前に行われる処理であり、「操作者」が「キー入力機器に入力する」「文字コード」を「第二コード」として「獲得」するものである。
具体的には、「入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる」「操作盤」が「操作者(ドライバー)」に「文字コードの入力」を求めることに応じて「操作者(ドライバー)」が、「自分に一時的に与えられた文字コードをキー入力機器に入力」するものである。
先願1方法発明の「操作者(ドライバー)」が入力する「自分に一時的に与えられた文字コード」は、第二認証処理S70の「第二コード」として獲得されるものであり、操作者を、「一時的に与えられた文字コード」を知らない者と識別できる情報であると認められるから、本件訂正発明1の「操作者識別情報取得処理により取得された」「操作者識別情報」に相当する。
また、先願1方法発明の「第二認証処理S70」は、入出庫扉を閉じる前に行われるものであり、操作者は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる操作盤の求めに応じて文字コードを入力するのであるから、「乗降部(入出庫空間120)の外部に存在する」ものと認められ、先願1方法発明の第二認証処理S70において「操作盤を操作する操作者(ドライバー)が扉閉釦を押した際に、操作盤が操作者(ドライバー)に文字コードの入力を求め、操作者が自分に一時的に与えられた文字コードをキー入力機器に入力」し、「キー入力機器により入力されて文字コードを獲得」することは、本件訂正発明1の「入出庫扉を閉じる前に、乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理」に相当する。

カ 先願1方法発明の第一認証処理S20において操作者に与えられる「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」は、上記エのとおり、本件訂正発明1の「操作者識別情報通知処理」により「利用者へ通知」された「操作者識別情報」に相当し、先願1方法発明の第二認証処理S70で「操作者」が「キー入力機器に入力」することによって獲得された「文字コード」である「第二コード」は、上記オのとおり、本件訂正発明1の「操作者識別情報取得処理により取得された」「操作者識別情報」に相当する。
そして、先願1方法発明の「操作者判定処理S80」は、「第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する」処理であって、「第一認証処理20が第一操作者に一時的に与え、記録する文字コードである第一紐付コードが第二コードと一致するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断する」ものであるから、本件訂正発明1の「前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理」に相当する。

キ 先願1方法発明の「操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、」実施する「扉閉処理S90」は、本件訂正発明1の「前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理」に相当する。

ク 先願1方法発明の「駐車装置」は、「駐車機構100と制御機構200とで構成され」るものであり、「車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構」である駐車機構100が、制御機構200が実施する「車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる」「車両搬送処理S200」によって制御されるものであるから、「機械式」であり、本件訂正発明1の「機械式駐車装置」に相当する。
先に検討したように、先願1方法発明も、入出庫空間120(乗降部)において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置において、入出庫空間内の安全を考慮しつつ入出庫空間120(乗降部)の入出庫空間扉130(入出庫扉)等の制御を行うものであるから、先願1方法発明の「駐車機構100と制御機構200とで構成され、駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構であり、制御機構200は、駐車機構100を制御する機器であって、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である入出庫処理S100を実施する駐車装置の制御方法であって、駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法」は、本件訂正発明1の「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法」に相当する。

したがって、本件訂正発明1と先願1方法発明とは、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているかを判定する判定処理と、
操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致していると判定した後に、入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。」
で一致し、以下の点で相違する。

ア 相違点1
操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理が、本件訂正発明1では、「搬送呼出処理の開始後」であるのに対し、先願1方法発明では、「呼出処理S30(搬送呼出処理)の開始前」である点。

イ 相違点2
操作者識別情報が、本件訂正発明1では、「ランダムに」生成されるのに対し、先願1方法発明では、「ランダムに」生成されているか否か不明である点。

(2)判断
以上のとおり、本件訂正発明1と先願1方法発明とは上記相違点で相違しているので、上記相違点が実質同一であるか、すなわち、「本件の請求項に係る発明と引用発明との間の相違点が課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であるかについて検討する。

ア 相違点1について
操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理を「搬送呼出処理の開始後」に行うことについて、甲各号証には記載されておらず、周知技術ないし慣用技術であるともいえない。
そうすると、相違点1は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえず、実質的な相違点である。

イ 相違点2について
特定の者のみが知り得るように一時的に付与される識別情報を「ランダム」に生成することは例を挙げるまでもなく慣用された技術であり、新たな効果を奏するものでもないから、この点は、課題解決のための具体化手段における微差に過ぎない。
よって、相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)意見書における申立人の主張について
ア 申立人の主張
申立人は、令和3年1月8日付けの意見書において、本件訂正発明1について概略以下の主張をしている。
「・・・「操作者識別情報」を搬送呼出処理の開始後に通知するか、開始前に通知するかについては、当業者が適宜行う設計事項に過ぎず、実質的な相違点にはなり得ない。
特許権者は、令和2年10月27日付け意見書の3頁の「(イ)本件発明1の作用効果」において、「操作者識別情報」を搬送呼出処理の開始後に通知することについての作用効果を繍々主張している。しかしながら、特許権者が述べている作用効果は、本件明細書に何ら開示されていない。また、特許権者は、「操作者識別情報」を搬送呼出処理の開始後に通知することについて、あたかも格別な作用効果があるように誇張しているが、機械式駐車場における技術常識を考慇すれば、先願1方法発明に対して本件訂正発明1が奏する効果は微差に過ぎず、とは到底言えない。
・・・
上記の通り、特許権者が意見書で主張する作用効果は失当である。よって、上記相違点は、当業者が適宜行う設計事項に過ぎず、実質的な相違点にはなり得ない。
そして、その余の構成については、取消理由通知書で正しく認定判断されている通りであるから、本件訂正発明1と先願1方法発明とは実質的に同一である。」(意見書第3頁第5行?第6頁第12行)

イ 当審の見解
本件訂正発明1の、操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理を「搬送呼出処理の開始後」に行うことについては、上記(2)アにて判断したとおりである。
すなわち、当該発明特定事項について、甲各号証には記載されておらず、また、これが周知技術ないし慣用技術であるともいえない。
よって、申立人の意見書による主張を参酌しても、本件訂正発明1が先願1方法発明と実質同一であるとすることはできない。

(4)小括
以上のとおり、相違点1は実質的な相違点であるから、本件訂正発明1と先願1方法発明とは実質同一であるともいえない。
そうすると、本件訂正発明1と先願1方法発明とは同一ではない。

2 本件訂正発明2ないし5及び本件訂正発明1ないし5のいずれかを引用する本件訂正発明8について
本件訂正発明2ないし5及び本件訂正発明1ないし5のいずれかを引用する本件訂正発明8と先願1方法発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記1(1)アに記載した相違点1で相違している。そして、上記相違点1の判断は、上記1(2)アで説示したとおりである。
したがって、本件訂正発明2ないし5及び本件訂正発明1ないし5のいずれかを引用する本件訂正発明8は、甲1発明と同一ではない。

3 本件訂正発明1ないし5及び本件訂正発明1ないし5のいずれかを引用する本件訂正発明8を引用する本件訂正発明11について

本件訂正発明11と先願1装置発明とを対比する。
1(1)クで先願1方法発明の「駐車装置」と本件訂正発明1の「機械式駐車装置」とを対比したのと同様に、先願1装置発明の「駐車装置」は、本件訂正発明11の「機械式駐車装置」に相当する。

そして、先願1装置発明の駐車装置は、先願1方法発明の制御方法によって制御されるものであるところ、先に検討したように、先願1方法発明の制御方法と本件訂正発明1ないし5の制御方法とは、それぞれ、実質同一ではない。

したがって、本件訂正発明1ないし5及び本件訂正発明1ないし5のいずれかを引用する本件訂正発明8を引用する本件訂正発明11は、先願1装置発明と同一ではない。

第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、以下のとおりである。

(拡大先願)
本件特許の訂正前の請求項6、7、9及び10に係る発明及びこれらを引用する請求項8、11に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた先願1の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一(請求項9については、技術常識ないし周知技術を示す文献として甲第2号証ないし第6号証を参照)であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記先願1の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の判断
(1)本件訂正発明6
ア 本件訂正発明6について
本件訂正発明6は、訂正前の請求項6が請求項1から5のいずれかを引用する記載であったところ、そのうち請求項2ないし5を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項に改めたものである。

イ 対比
本件訂正発明6と先願1方法発明を対比する。

先願1方法発明の「第一認証処理S20」における「操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得」し、「獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する」にあたり、「獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを生成して記録し、該第一紐付コードは、第一認証処理S20を構成する操作者認証S21が、操作者を認証すると、操作者に一時的に与える文字コードである」処理は、「入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40」の前に行われるから、「入出庫空間120(乗降部)の入出庫空間扉130(入出庫扉)を開く前」に行われる処理であり、第一認証操作で認証した第一操作者と第二認証操作で認証した第二操作者とが一致するかを判断する「操作者識別」に用いられる情報として「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」を第一コードと紐付けて「生成して」「操作者に」「与える」ものである。
してみると、先願1方法発明の「第一認証処理S20」において「操作者」に「与え」られる「一時的」な「文字コード」である「第一紐付コード」は、本件訂正発明6の「操作者識別情報通知処理」により「利用者へ通知」された「操作者識別情報」に相当し、先願1方法発明の「操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する」にあたり、「獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コード」である「一時的」な「文字コード」を第一操作者に与える処理は、本件訂正発明6の「乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理」と、「乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理」である点で共通する。

また、本件訂正発明1と共通する発明特定事項については、第6 1(1)ア?ウ、オ?クと同様である。

そうすると、本件訂正発明6と先願1方法発明とは、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているかを判定する判定処理と、
操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致していると判定した後に、入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。」
で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。

(ア)相違点2’
操作者識別情報が、本件訂正発明6では、「ランダムに」生成されるのに対し、先願1方法発明では、「ランダムに」生成されているか否か不明である点。

(イ)相違点3
本件訂正発明6は、「開扉処理は、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く」ものであるのに対し、先願1方法発明では、そのような特定がない点。

ウ 判断
(ア)相違点2’について
第6 1(2)イ で相違点2について判断したように、相違点2’は実質的な相違点ではない。

(イ)相違点3について
「開扉処理は、前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く」ことは、甲各号証には記載されておらず、また、これが周知技術ないし慣用技術であるとはいえない。
そうすると、当該相違点は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、を奏するものではないもの)とはいえず、実質的な相違点である。

エ 申立人の主張について
(ア)申立人は、申立書において以下のように主張する
「甲1発明と本件特許発明6とを対比すると、一応の相違点として以下の点が挙げられる。
(相違点2)
本件特許発明6は、「6A開扉処理は、前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く」のに対し、甲1発明は、「6a'パレットを入出庫空間120に移動させる呼出処理S30が完了し、かつ、操作者に一時的な文字コードを与える操作者 認証S21が行われた場合に、入出庫空間扉130が開く」ように構成されているが、一時的な文字コードが発行されたときに、操作者による通知確認操作が行われるか明らかではない点。
しかしながら、操作者に対して必要な情報を通知した際に、通知した情報を操作者が確認したか否かを把握するために操作者に対して通知確認操作を行わせることは、証拠を挙げるまでもなく様々な技術分野において一般的に行われている慣用技術である。また、操作者に通知確認操作を行わせることによって得られる効果も、通知した情報を操作者が確認したということを装置側において確認できるという程度のものにすぎず、周知の効果にすぎない。
上記のように、一応の相違点として挙げた上記「相違点2」は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加)に過ぎず、実質的な相違点となり得ない。よって、甲1発明と本件特許発明6とは実質同一である。」(申立書第17頁第3?20行)

(イ)申立人は、意見書において、さらに、以下のように主張する。
「先願1の当初明細書の段落0073には、「操作盤は、ドライバー甲が契約者であることを確認し、一時的な文字コードを与え、ドライバー甲に次ぎの操作を促す。ドライバー甲が、スタート釦を押す。ドライバー甲が待っていると、ドライバー甲の車両が駐車空間から入出庫空間に移動され、車両が入出庫空間に止まると、入出庫空間扉130が開く。」(なお、下線は異議申立人が付加)と記載されている。
ここで、「スタート釦」は、一時的な文字コード(「操作者識別情報」に相当)を確認した後に押下されるボタンである。当然ながら、ドライバー甲は、一時的に与えられる文字コードが後の閉扉処理で必要となることを知っているから、文字コードを覚えたり、どこかに記録したりした後でなければ、スタート釦を押すことはない。そうすると、「スタート釦の押下」は、「利用者による通知確認」も含む行為であると合理的に解釈できる。そして、先願1方法発明は、一時的な文字コードの通知に対して利用者によるスタート釦の押下が行われ、かつ、車両が入出庫空間に到着した場合に、入出庫扉が開かれるものである。
以上から、先願1方法発明と本件訂正発明6とは実質同一である。」(意見書7頁第4?17行)

オ 当審の見解
(ア)上記エ(ア)について
申立人は、操作者に対して必要な情報を通知した際に、通知した情報を操作者が確認したか否かを把握するために操作者に対して通知確認操作を行わせることは、証拠を挙げるまでもなく様々な技術分野において一般的に行われている慣用技術であると主張している。
しかしながら、申立人は機械式駐車装置の技術分野ではなく様々な技術分野における慣用技術であることを主張するにとどまり、慣用技術であることを示す具体的証拠も挙げていないから、機械式駐車装置の分野において、操作者に対して必要な情報を通知した際に、通知した情報を操作者が確認したか否かを把握するために操作者に対して通知確認操作を行わせることが慣用技術であるとすることはできないし、申立人が主張する慣用技術を、機械式駐車装置の開扉処理に適用する動機付けがあるということもできない。
そうすると、申立人が主張する慣用技術を、機械式駐車装置の技術分野における「操作者識別情報通知処理」に適用し、通知確認操作が行われた場合に「入出庫扉を開く」ようにすることが、課題解決のための具体化手段における微差であるとすることはできない。

(イ)上記エ(イ)について
a 「通知確認操作」について、本件特許明細書段落【0062】では、「利用者が」「利用者が通知を確認したことを示す通知確認信号を制御装置71へ入力するための操作部(例えば確認ボタン)」を「押す」ことが「通知確認操作」として例示される。当該記載からみても、「通知確認操作」は、利用者が通知を確認したことがわかるようにされている手段を操作することであると理解できる。
b 一方、先願1の段落【0038】(上記第5 2(1)カ)には、「呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。・・・」と記載され、この記載から、先願1の「スタート釦」は、呼出処理S30を開始するための釦と理解される。
c そうすると、先願1方法発明の「スタート釦」は、利用者が通知を確認したことがわかるようにされている手段とは認められず、上記aからして、「スタート釦の押下」が本件訂正発明6の「通知確認操作」に相当するとはいえない。
d 以上のように、先願1方法発明の「スタート釦の押下」と、本件訂正発明6の「通知確認操作」とは異なるものであるから、申立人が主張するように「スタート釦の押下」が、「利用者による通知確認」も含むと合理的に解釈できるとはいえず、申立人の申立書及び意見書による主張を参酌しても、本件訂正発明6が先願1方法発明と実質同一であるとはいえない。

カ 小括
本件訂正発明6と先願1方法発明とは同一ではない。

(2)本件訂正発明7
ア 本件訂正発明7について
本件訂正発明7は、訂正前の請求項7が請求項1から6のいずれかを引用する記載であったところ、そのうち請求項2ないし6を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項に改めたものである。

イ 対比
本件訂正発明7と先願1方法発明を対比する。
訂正前の請求項1と共通する発明特定事項については、(1)イと同様である。

そうすると、本件訂正発明7と先願1方法発明とは、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているかを判定する判定処理と、
操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致していると判定した後に、入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。」
で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。

(ア)相違点2’’
本件訂正発明7は、操作者識別情報が「ランダムに」生成されると特定されているのに対し、先願1方法発明では、「ランダムに」生成されているか否か不明である点。

(イ)相違点4
本件訂正発明7は、「前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する」ものであるのに対し、先願1方法発明では、そのような特定がない点。

ウ 判断
(ア)相違点2’’について
第6 1(2)イ で相違点2について判断したように、相違点2’’は実質的な相違点ではない。

(イ)相違点4について
「前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する」ことは、甲各号証には記載されておらず、また、これが周知技術ないし慣用技術であるともいえない。
そうすると、当該相違点は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえず、実質的な相違点である。

エ 申立人の主張について
(ア) 申立人は、申立書において以下のように主張する。
「甲1発明と本件特許発明7とを比較すると、一応の相違点として以下の点が挙げられる。
(相違点3)
本件特許発明7は、「7A 前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する」のに対し、甲1発明は、「7a扉開処理S40を実施した時から所定時間を経過しても扉閉処理S90が実施されないときに、 警告信号を出し、管理人が復旧処理を行う」が、警告信号と共に第一紐付コードが管理人の元に送信されるか明らかではない点。
甲1発明において、管理人が復旧処理を行うためには、操作者認証S21において一時的に発行された文字コードである第一紐付コードが必要になる。したがって、甲1発明においても警告信号とともに第一紐付コードが管理人の元に送信されることが合理的に理解できる。また、管理人に扉の閉め忘れが発生している旨の警告信号等を通知する際に、管理人が在中している外部の管理センタの端末に送信することは技術常識である。
よって、甲第1号証の出願時における技術常識を参酌すれば、管理人に復旧処理を行わせるために、警告信号と共に第一紐付コードを外部の管理センタの端末に送信することは、甲第1号証に記載されているに等しい事項といえる。」(申立書第17頁下から5行?第18頁第11行。)

オ 当審の見解
申立人は、「管理人が復旧処理を行うためには、操作者認証S21において一時的に発行された文字コードである第一紐付コードが必要になる。」と主張するが、機械式駐車装置において管理人に利用者よりも権限が大きい管理者権限を与えることは一般に行われていることであり、そのような場合には第一紐付コードとは異なる管理者権限に応じたコードで復旧作業を行うようにすることもできるから、復旧のために必ずしも第一紐付コードが必要とはいえず、「管理人に復旧処理を行わせるために、警告信号と共に第一紐付コードを外部の管理センタの端末に送信することは、甲第1号証に記載されているに等しい」との主張を採用することはできない。
よって、申立人の申立書による主張を参酌しても、本件訂正発明7が先願1方法発明と実質同一であるとすることはできない。

カ 小括
本件訂正発明7と先願1方法発明とは同一ではない。

(3)本件訂正発明9
ア 本件訂正発明9について
本件訂正発明9は、訂正前の請求項9が訂正前の請求項8を介して請求項1から7のいずれかを引用するものであったところ、そのうち請求項2ないし7を引用しないものとした上で、請求項8を介して請求項1を引用するものについてその引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めたものである。

イ 対比
本件訂正発明9と先願1方法発明を対比する。
(ア)訂正前の請求項1と共通する発明特定事項については、(1)イと同様である。

(イ)先願1方法発明の「操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得し、操作者を認証する」は、呼出処理S30(搬送呼出処理)に先だって行われるものであり、本件訂正発明9の「前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有する」に相当する。

そうすると、本件訂正発明9と先願1方法発明とは、
「乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているかを判定する判定処理と、
操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致していると判定した後に、入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有する、機械式駐車装置の制御方法。」
で一致し、以下の点で相違する。

(ア)相違点2’’’
本件訂正発明9は、操作者識別情報が「ランダムに」生成されると特定されているのに対し、先願1方法発明では、「ランダムに」生成されているか否か不明である点。

(イ)相違点5
本件訂正発明9は、「前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別処理を有する」のに対し、先願1方法発明は、呼出処理S30(搬送呼出処理)において、「入庫要求」か、「出庫要求」かを判別した上で制御しており、「利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別手段」を備えているといえるが、入出庫判別手段どのようなものか明示しておらず、「前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する」ものとはいえない点。

(ウ)相違点6
本件訂正発明9は、「前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を有し、
前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない」ものであるのに対し、先願1方法発明では、そのような特定がない点。

ウ 判断
(ア)相違点2’’’について
第6 1(2)イ で相違点2について判断したように、相違点2’’’は実質的な相違点ではない。

(イ)相違点5について
甲第2号証の段落【0061】(第5 2(2)ア)に「この初回認証が成功すると、立体駐車場1の中に当該契約利用者の車両が収容されているか否かによって入庫なのか出庫なのかが判定され」と記載されるように、当該契約利用者の車両が収容されているか否か、すなわち、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別することは、機械式駐車装置の技術分野において本件特許の出願前の周知技術である。
そして、入出庫の判定に該周知技術を採用しても、新たな効果を生じるものではない。
そうすると、相違点5に係る構成は、周知技術の付加であって、課題解決のための具体化手段における微差と認められ、実質的な相違点ではない。

(ウ)相違点6について
本件訂正発明9の相違点6に係る発明の構成は、甲各号証には記載されておらず、また、これが周知技術ないし慣用技術であるとはいえない。
そして、本件訂正発明9は、相違点6に係る発明の構成を備えることにより、「利用目的に応じて適切な対応を行うことができる」(段落【0019】)という明細書記載の効果を奏する。
ここで、「利用目的に応じ」た「適切な対応」とは、出庫の場合は、操作盤付近から乗降部内の人の有無の確認が容易であるが、入庫の場合には出庫に比して確認が難しいことから、入庫の場合、入庫が完了した後には人が前記乗降部から退出したことを検出する入庫完了判定を行うものとし、入庫完了判定完了後にそれを条件に操作者識別情報を通知された利用者が閉扉するようにしたものであると理解できる。
より具体的には、入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、開扉処理を行った後で、入庫する車両が乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を行い、その上で、操作者識別情報取得処理を行い、さらに後続する「操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、前記判定処理における判定結果が一致した後に、入出庫扉を閉じる閉扉処理」とを行うことを規定したものである。
そして、入庫の場合には、閉扉処理を含む入出庫操作を行う利用者を第1認証操作を行い操作者識別情報を通知された利用者に限定し、乗降部への人の居残りがないことが検知された後に、当該操作者識別情報を通知された利用者が閉扉処理を行うことで、乗降部内への人の閉じ込め及び第1認証操作を行った者とは異なる第三者による操作を抑制できる、という効果を奏するといえる。
そうすると、当該相違点は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)とはいえず、実質的な相違点である。

エ 申立人の主張について
(ア) 申立人は、申立書において以下のように主張する。
「甲1発明と本件特許発明9とを比較すると、一応の相違点として以下の点が挙げられる。
(相違点4)
本件特許発明9は、「9B 前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理」を有するのに対し、発明はそのような構成を有するのか明らかでない点。
(相違点5)
本件特許発明9は、「9C 前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない」のに対し、甲1発明はそのような構成とされているか明らかでない点。

相違点4について
入庫時において、開扉後に車両の進入及び利用者の退出を乗降室内のセンサで判定することは、例えば、甲第3号証?甲第5号証に記載されている通り、周知技術である。
したがって、一応の相違点として挙げた上記「相違点4」は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加)に過ぎず、実質的な相違点となり得ない。

相違点5について
開扉処理を行った後、ドライバーが駐車空間から退出するまで、第二コードを獲得する第二認証処理S70を行わない点は、安全性を確保するために行われる常套手段に過ぎず、周知技術である(必要であれば、甲第3号証?甲第5号証を参照)。したがって、一応の相違点として挙げた上記「相違点5」は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加)に過ぎず、実質的な相違点となり得ない。

(イ)申立人は、令和3年1月8日付けの意見書において、以下のように主張する。

「相違点Aについて
(当審註:意見書における相違点Aは申立書における相違点4と同じ)
・・・
上記の通り、甲第4号証、甲第6号証には、人が退出したことを検知するセンサが記載されている。このように、人が退出したことをセンサによって検出することは、甲第4号証、甲第6号証等に記載されている通り、周知技術である。
また、開扉処理が行われれば車両を乗降部に乗り入れることが可能な状態となることは証拠を挙げるまでもなく当たり前のことであるし、入庫時において、開扉後に車両の進入及び利用者の退出を乗降室内のセンサで判定することは、例えば、甲第3号証?甲第5号証に記載されている。
以上から、一応の相違点として挙げた上記「相違点A」は、甲第3号証?甲第6号証に記載されている通り周知技術であり、実質的な相違点となり得ない。

相違点Bについて
(当審註:意見書における相違点Bは申立書における相違点5と同じ)
・・・
上記の通り、甲第4号証、甲第6号証には、「開扉処理を行った後、ドライバーが駐車空間から退出するまで、操作盤における操作が無効とされている」ことが記載されている。このように、安全面からドライバーが駐車空間から退出するまでは、操作盤における操作が無効とされていることは、甲第4号証、甲第6号証に記載の通り、周知技術である。
したがって、一応の相違点として挙げた上記「相違点B」は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加)に過ぎず、実質的な相違点となり得ない。

オ 当審の見解
申立人は、請求項9を9Aないし9Cの3に分説し、9Aないし9Cのそれぞれについて技術常識ないし実質同一である旨主張をしている。
しかし、上記ウにて説示したように、入出庫判別処理をどのように行うかはともかく、9B及び9Cの入庫判定処理の結果に基づいて所定の場合に入庫完了判定処理を行い、それに基づいて操作者識別情報取得処理の実施の是非を定めるという行程は一連のものであり、該一連の行程によって効果を奏するものであるから、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえない。
したがって、申立人の申立書及び意見書による主張を参酌しても、本件訂正発明9が先願1方法発明と実質同一であるとすることはできない。

カ 小括
本件訂正発明9と先願1方法発明とは同一ではない。

(4)本件訂正発明6、7のいずれかを引用する本件訂正発明8及び本件訂正発明9を引用する本件訂正発明10について
本件訂正発明6、7のいずれかを引用する本件訂正発明8及び本件訂正発明9を引用する本件訂正発明10と先願1方法発明とを対比すると、少なくとも、上記(1)イ、(2)イまたは(3)イに記載したいずれかの相違点で相違している。そして、上記相違点の判断は、上記(1)ウ、(2)ウまたは(3)ウで説示したとおりである。

したがって、本件訂正発明6、7のいずれかを引用する本件訂正発明8及び本件訂正発明9を引用する本件訂正発明10は、先願1方法発明と同一ではない。

(5)本件訂正発明6、7、それらを引用する本件訂正発明8、本件訂正発明9、本件訂正発明10を引用する本件訂正発明11について

本件訂正発明11と先願1装置発明とを対比すると、先願1装置発明の「駐車装置」は、本件訂正発明11の「機械式駐車装置」に相当する。

そして、先願1装置発明の駐車装置は、先願1方法発明の制御方法によって制御されるものであるところ、先に検討したように、先願1方法発明の制御方法と本件訂正発明6、7、9の制御方法とは、それぞれ、実質同一ではない。

したがって、本件訂正発明6、7、それらを引用する本件訂正発明8、本件訂正発明9、本件訂正発明10を引用する本件訂正発明11は、先願1装置発明と同一ではない。

第7 むすび
以上のとおり、本件訂正は全て認められるとともに、本件訂正発明1ないし11に係る特許は、先の取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件訂正発明1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記搬送呼出処理の開始後であって前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。
【請求項2】
前記操作者識別情報通知処理により通知される操作者識別情報は、数字及び/または文字からなる情報である、請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項3】
前記操作者識別情報通知処理により通知される操作者識別情報は、表示画面に表示されるパターンの情報である、請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項4】
前記閉扉処理は、
前記判定処理における判定結果が一致した場合に、該一致に応答して前記入出庫扉を閉じる、請求項1?3のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項5】
前記閉扉処理は、
前記判定処理における判定結果が一致し、かつ利用者による閉扉操作が行われた場合に、前記入出庫扉を閉じる、請求項1?3のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理は、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着し、かつ、前記操作者識別情報通知処理に対して利用者による通知確認操作が行われた場合に、前記入出庫扉を開く、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記開扉処理を行った後、所定時間経過しても前記閉扉処理がなされないときに、前記操作者識別情報通知処理によって通知した操作者識別情報を外部の管理センタの端末へ送信する送信処理を有する、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有する、請求項1?7のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項9】
乗降部において車両の入出庫が行われる機械式駐車装置の制御方法であって、
車体搬送手段を前記乗降部へ呼び出す搬送呼出処理と、
前記乗降部の入出庫扉を開く前に、ランダムに生成される操作者識別情報を利用者へ通知する操作者識別情報通知処理と、
前記車体搬送手段が前記乗降部に到着した後に、前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記乗降部の外部に存在する利用者から入力される操作者識別情報を取得する操作者識別情報取得処理と、
前記操作者識別情報通知処理により通知した操作者識別情報と前記操作者識別情報取得処理により取得された操作者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致した後に、前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、
を有し、
前記搬送呼出処理を行う前に行われ、利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理を有し、
前記認証処理と前記搬送呼出処理との間に行われ、利用者の車両が入庫済みであるか否かを示す情報に基づいて利用者が入庫のために来たのか出庫のために来たのかを判別する入出庫判別処理を有するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が入庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、入庫する前記車両が前記乗降部に乗り入れられ、かつ、その後に人が前記乗降部から退出したことを検出することにより入庫完了判定を行う入庫完了判定処理を有し、
前記開扉処理を行った後、前記入庫完了判定処理による入庫完了判定が行われるまでは、前記操作者識別情報取得処理を行わない、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項10】
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記操作者識別情報通知処理と前記操作者識別情報取得処理と前記判定処理とを省略するとともに、
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記開扉処理を行った後で、出庫する前記車両が前記乗降部から退出したことを検出することにより出庫完了判定を行う出庫完了判定処理を有し、
前記入出庫判別処理によって利用者が出庫のために来たと判別した場合には、前記車体搬送手段が前記乗降部に到着したことを条件に前記開扉処理を行い、前記開扉処理の後に前記出庫完了判定処理が行われ、かつその後に前記乗降部の外部に設けられた操作盤に対して利用者による閉扉操作が行われることによって前記閉扉処理を行う、請求項9に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1?10のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする機械式駐車装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-26 
出願番号 特願2016-68991(P2016-68991)
審決分類 P 1 651・ 16- YAA (E04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 立澤 正樹  
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 土屋 真理子
森次 顕
登録日 2019-12-06 
登録番号 特許第6626391号(P6626391)
権利者 新明和工業株式会社
発明の名称 機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
代理人 特許業務法人有古特許事務所  
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