• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 特174条1項  A63F
管理番号 1372744
異議申立番号 異議2021-700013  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-07 
確定日 2021-04-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6719426号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6719426号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6719426号の請求項1、2に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願(以下「本件特許出願」という。)は、平成29年7月5日に出願した特願2017-132207号であって、令和2年6月18日にその特許権の設定登録がされ、同年7月8日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和3年1月7日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。

第2 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の請求項1、2に係る発明(以下「本件発明1、2」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、1A等の符号は、申立人の主張を考慮して、当審にて分説して付した。分説された本件発明1、2の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項1A」等という。以下同様。)。

本件発明1、2
「【請求項1】
1A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
1B 有利状態へ制御されるか否かを所定表示を動作させることによって示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
1C 前記示唆演出における演出結果が遊技者にとって有利な結果となるかを、特定表示の表示態様を変化させ、特別態様へ変化させることによって報知する報知手段と、
を備え、
1D 前記報知手段は、所定表示の動作に関連して特定表示を移動させることなく特定表示の表示態様を前記特別態様とは異なる態様へ変化させる第1変化パターンと、所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターンとの少なくとも一方で、特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する
1E 遊技機。

【請求項2】
2A 可変表示に対応する可変表示対応表示を表示可能な可変表示対応表示手段と、
2B 第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段とを備え、
2C 可変表示対応表示の表示態様には、少なくとも、前記第1態様と、有利度が高い第2態様とが含まれ、
2D 前記変化演出実行手段は、
変化演出として、前記第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を前記第2態様に変化させる演出を実行可能であり、
2E 実行された変化演出の実行態様に応じて、該変化演出の後に異なる割合により変化演出を実行可能である
2F ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

2 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出し、本件特許に対し次の理由を申し立てている。
(1)理由1
本件特許は、令和1年6月14日付け手続補正書でした補正及び令和2年1月20日付け手続補正書でした補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。
したがって、本件特許は、特許法第113条第1号の規定により取り消されるべきものである。

(2)理由2
本件発明1、2は、サポート要件を満たしていないから、特許法第36第6項第1号の規定に適合しない発明である。
したがって、本件特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(3)理由3
本件発明1は、甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。また、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。さらに、本件発明2は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許は、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

(4)理由4
本件発明2は、明確性要件を満たしていないから、特許法第36第6項第2号の規定に適合しない発明である。
したがって、本件特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2016-104114号公報
甲第2号証:特開2017-86605号公報
甲第3号証:特開2017-86764号公報
甲第4号証:特開2016-116865号公報

第3 当審の判断
1 理由1について
(1)補正内容
令和1年6月14日付け手続補正書でした補正及び令和2年1月20日付け手続補正書でした補正により、出願時における請求項1の「所定表示の表示態様に対応して表示態様を変化させる第2変化パターン」が、「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターン」に変更された(下線は、当審で付した。以下同様。)。

(2)当初明細書等に記載された事項
本件特許の当初明細書等には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)遊技を行うことが可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1、スロットマシン等)であって、
有利状態(例えば、大当り、突確、ART(AT)、ボーナス等)へ制御されるか否かを所定表示(例えば、バトル等)を行うことによって示唆する示唆演出(例えば、バトル演出等)を実行する示唆演出実行手段(例えば、演出制御基板等)と、
前記示唆演出における演出状態(例えば、味方が優勢か否か等)を、特定表示(例えば、ゲージG等)の表示態様を変化(例えば、体力バーを減少等)させることによって報知する報知手段(例えば、演出制御基板等)と、
を備え、
前記報知手段は、所定表示の表示態様(例えば、弱攻撃、中攻撃発生時のバトル等)に対応することなく特定表示の表示態様を変化させる第1変化パターンと、所定表示の表示態様(例えば、強攻撃発生時のバトル等)に対応して表示態様を変化させる第2変化パターンとの少なくとも一方で、特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する遊技機。
……
【0012】
第1変化パターンは、特定表示のうち、演出状態を示す内容だけを変化させるパターンとしてもよい。一方、第2変化パターンは、演出状態を示す内容を変化させるだけではなく、特定表示自体を変化させるパターンとしてもよい。例えば、本実施形態のように、第1変化パターンは、図67(b)に示されるように、演出状態を示す体力バーのみを変化させるパターンである。一方、第2変化パターンは、図67(c)に示されるように、演出状態を示す内容を変化させるだけではなく、特定表示自体を変化させるパターンである。なお、第1変化パターン及び第2変化パターンはそれぞれ1つに限らず、複数存在してもよい。すなわち、何種類かの第1変化パターンや何種類かの第2変化パターンが存在してもよい。」

(イ)「【0574】
図66は、バトル演出の概要を示す図である。図66に示されるように、バトル演出では、味方と相手(敵)のバトルが最長で5ターンに渡って行われる。味方が相手の体力を0にすると大当りとなる。1つのターンでは、5ターン目を除き、味方または相手が他方に攻撃を行う。5ターン目は、必ず味方の攻撃が行われる。味方の攻撃には、強攻撃、中攻撃、及び弱攻撃の3種類ある。このうち、強攻撃は、大当り確定演出である。中攻撃は、弱攻撃より相手に与えるダメージが大きい。このように、スーパーAのリーチ演出は、有利状態(大当り)へ制御されるか否かを所定表示(バトル)を行うことによって示唆する示唆演出である。」

(ウ)「【0575】
図67は、演出表示装置9に表示される各種バトル画面を示す図である。図67(a)は、バトル開始画面を示す図である。図67(a)には、ゲージG、味方M、相手A、及び小図柄Fが示されている。このように、バトル演出において、相手の体力はゲージGで表現される。従って、体力が減少するたびに、ゲージ内の体力バーも減少する。よって、示唆演出における演出状態は、特定表示(ゲージ)の表示態様を変化させることによって報知される。なお、小図柄とは、演出図柄に代えて小さく表示される図柄であり、演出図柄の表示内容を示す図柄である。図67の場合、演出図柄「7」でリーチが発生していることを示す小図柄Fが表示されている。
【0576】
ゲージの表示態様の変化には、中攻撃及び弱攻撃発生時に行われる第1変化パターンと、強攻撃発生時に行われる第2変化パターンの2つのパターンが存在する。演出制御基板80は、第1変化パターンと、第2変化パターンとの少なくとも一方で、特定表示の表示態様を変化させることによって示唆演出における演出状態を報知する。第1変化パターンでは、バトルに対応することなくゲージの表示態様を変化させる。具体的に、本実施形態における第1変化パターンは、体力バーのみが変化するパターンである。図67(b)は、第1変化パターンの一例を示す図である。図67(b)では、味方Mが相手Aに弱攻撃を行い、ゲージGに示されるように、弱攻撃に対応する体力だけ、体力バーのみが変化する。
【0577】
第2変化パターンでは、所定表示の表示態様に対応して表示態様を変化させる。本実施形態における第2変化パターンの表示態様は、バトルの表示態様において行われる動作に対応した表示態様である。具体的に、本実施形態における第2変化パターンでは、味方によって攻撃された相手の態様と同じ態様でゲージGが変化する。図67(c)は、第2変化パターンの一例を示す図である。図67(c)では、味方Mが相手Aに強攻撃を行うことで、相手Aは錐揉みした態様となる。この相手Aの錐揉みした態様と同じく、ゲージGも錐揉みした態様となる。このようにすることで、バトル演出とゲージGとの関連性を高めることが可能となり興趣を向上することができる。」

(エ)「【0593】
次に、第2変化パターンの他の例について説明する。図70は、第2変化パターンの他の例を示す図である。図70(a)は、バトル演出の強攻撃に対応してゲージGを震えるように変化させる第2変化パターンを示す。弱攻撃や中攻撃はさほど体力が減らないため、ゲージGの体力バーの変化量も少ないが、強攻撃の場合は、体力バーが0となるため変化量が大きい。その変化量が大きいため、ゲージGを震わすことで、ゲージG自体にも影響が出たように遊技者に感じさせることができるので、興趣を向上することができる。
【0594】
図70(b)は、バトル演出がゲージGに作用する表示態様とした第2変化パターンを示す。味方Mが相手Aに対し、強攻撃である強烈な衝撃波攻撃を行う。この衝撃波攻撃がゲージGまで作用し、ゲージGが吹き飛ばされる。上述した図70(a)や、図67(c)では、バトル演出がゲージGに作用していない。一般的に、バトルとゲージは互いに物理的な影響を与えることがない分離されているものと考えられているところ、バトルをゲージに作用させることで、分離されているにもかかわらずゲージに作用するほどの強烈な攻撃であるという印象を遊技者に与え、また遊技者は爽快感も味わえるため、遊技者の興趣を向上することができる。また、バトル演出とゲージGとの関連性を高めることが可能となり興趣を向上することができる。」

(オ)「【図67】



(カ)「【図70】



イ 認定事項
(ア)認定事項1
上記ア(ウ)の記載を踏まえて上記ア(オ)の図67(c)左側の記載をみると、味方Mが相手Aに強攻撃を行うことで、相手Aを錐揉みした態様とした際、ゲージGの体力バーが0ではないことが見て取れる。

(イ)認定事項2
上記ア(エ)の記載を踏まえて上記ア(カ)の図70(a)右側の記載をみると、第2変化パターンにおいて、バトル演出の強攻撃に対応してゲージGを震えるように変化させた際、ゲージGの体力バーが0ではないことが見て取れる。

(ウ)認定事項3
上記ア(エ)の記載を踏まえて上記ア(カ)の図70(a)右側の記載をみると、第2変化パターンにおいて、バトル演出の強攻撃が行われた後、ゲージGを上方から中央へ移動させた際、ゲージGの体力バーが0ではないことが見て取れる。

(3)判断
上記認定事項2のように、第2変化パターンにおいて、バトル演出の強攻撃に対応してゲージGを震えるように変化させた際、ゲージGの体力バーが0ではないことが記載されていたと認められる。すなわち、この強攻撃では、ゲージGの体力バーが0となる前に、ゲージGを震えるという態様で移動させることが認められる。ここで、上記(2)ア(イ)で示されたように強攻撃は大当り確定演出であるから、強攻撃が行われれば変動表示が終了する前にゲージGの体力バーを0へ変化させることは当業者にとって明らかである。したがって、当初明細書等の記載に接した当業者は、ゲージGを震えるという態様で移動させ、ゲージGの体力バーを0へ変化させることが理解できる。
また、上記認定事項3のように、第2変化パターンにおいて、バトル演出の強攻撃が行われた後、ゲージGを上方から中央へ移動させた際、ゲージGの体力バーが0ではないことが記載されていたと認められる。すなわち、この強攻撃では、体力バーが0ではない状態で、ゲージGを上方から中央へ移動させることが認められる。ここで、上記(2)ア(イ)で示されたように強攻撃は大当り確定演出であるから、強攻撃が行われれば変動表示が終了する前に体力バーを0に変化させることは当業者にとって明らかである。したがって、当初明細書等の記載に接した当業者は、ゲージGを上方から中央へ移動させ、ゲージGの体力バーを0へ変化させることが理解できる。
そうすると、当初明細書等には、実施例として、バトルの強攻撃に関連してゲージGを移動させ、当該ゲージGの体力を0へ変化させる第2変化パターンが記載されていたものと認められる。ここで、実施例の「バトルの強攻撃」、「ゲージG」、「ゲージGの体力」、「0」及び「第2変化パターン」は、それぞれ、補正後の請求項1の「所定表示の動作」、「特定表示」、「特定表示の表示態様」、「特別態様」及び「第2変化パターン」に、相当する。
以上のことから、当初明細書等には、「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターン」が記載されていたものと認められる。

(4)申立人の主張
申立人は、異議申立書において、当初明細書等の段落0574、段落0577、段落0593及び図67(c)によれば、ゲージの体力バーが0にされ、その後、味方によって攻撃された相手の態様と同じ態様でゲージが移動するという順で演出がなされること(以下「主張1-1」という。)、当初明細書等の段落0593、段落0594及び図70には、ゲージGの体力バーを0に変化させてからゲージGを中央付近に移動させるパターンや、ゲージGの体力バーを0に変化させてからバトルにおける相手Aへの攻撃をゲージGにも作用させ移動させることが記載されていること(以下「主張1-2」という。)を、主張する。
主張1-1について検討すると、上記(2)ア(ウ)の記載をみても、ゲージの体力バーが0にされ、その後、味方によって攻撃された相手の態様と同じ態様でゲージが移動するという順で演出がなされることは明記されていない。むしろ、上記認定事項1によれば、味方Mが相手Aに強攻撃を行うことで相手Aを錐揉みした態様としたとき、体力バーが0ではないと認められる。そうすると、ゲージの体力バーが0にされ、その後、味方によって攻撃された相手の態様と同じ態様でゲージが移動するという順で演出がなされるとは認められない。
また、主張1-2については、上記(3)で検討したとおり、当初明細書等には、「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターン」が記載されていたものと認められる。
よって、申立人の主張を採用することはできない。

(5)まとめ
以上のことから、令和1年6月14日付け手続補正書でした補正及び令和2年1月20日付け手続補正書でした補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものではない。
したがって、本件特許は、特許法第113条第1号の規定により取り消されるべきものではない。

2 理由2について
理由1について検討したとおり、発明特定事項1Dで特定される「第2変化パターン」は当初明細書等に記載されたものである。そして、発明特定事項1Dで特定される「第2変化パターン」に関する当初明細書等の記載は削除されず、本件特許の明細書等に記載されている。
そうすると、本件発明1及びこれを引用する本件発明2は、サポート要件を満たし、特許法第36第6項第1号の規定に適合する。
したがって、本件特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものではない。

3 理由3について
(1)甲第1号証について
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(平成28年6月9日出願公開。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
……
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、……
【0011】
……また、遊技領域16の略中央には、「0」?「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられている。さらに、演出用表示部6を囲むようにセンター部材26が遊技盤2に設置されている。そして、該センター部材26には、第1可動体61及び第2可動体62を有し、……」

(イ)「【0015】
次に、パチンコ機1の制御機構について、図5をもとに説明する。図5は、パチンコ機1の制御機構を示したブロック図である。
……
【0018】
サブ制御装置40には、サブ統合CPU42、記憶手段43、タイマ44、及びインターフェイス45等が搭載されたサブ統合基板41が内蔵されている。該サブ統合基板41は、インターフェイス45を介してメイン制御基板31と電気的に接続されているとともに、表示制御装置50、発光制御装置51、及び音制御装置52と電気的に接続されている。また、サブ統合基板41は、インターフェイス45を介して遊技ボタン25や電動役物とも電気的に接続されている。そして、サブ統合CPU42は、後述するようにメイン制御基板31から大当たり抽選に係る信号(後述するような各種コマンド等)を受信すると、その内容に応じて各制御装置を制御し、スピーカ14やランプ部材15の動作や、演出用表示部6における装飾図柄の表示動作等を制御するとともに、電動役物を用いた役物演出の実行の有無を決定し、役物演出を実行すると決定すると、後述の如く遊技ボタン25の操作を有効と検出し得る状態としたり、第1可動体61及び第2可動体62を作動させて所謂バトル演出を実行したり等する。」

(ウ)「【0030】
……
さらに、基本変動パターンEに対応する詳細変動パターンで装飾図柄の変動が開始されると、当該装飾図柄の変動表示中における所定のタイミングで、サブ制御装置40による制御のもと電動役物が作動して、第1可動体61及び第2可動体62が退避位置から演出位置へ移動する。そして、後述の如き遊技ボタン25の連打を伴うバトル演出が実行され、遊技者は「大当たり状態」が生起する期待を抱くことになる。」

(エ)「【0031】
(電動役物を用いた役物演出についての説明)
……
……図14は、バトル演出の開始時における電動役物及び演出用表示部6を示した説明図である。……図17は、バトル演出において第1可動体61が敗北姿勢へと姿勢変更した様子を示した説明図である。図18は、バトル演出において第2可動体62が敗北姿勢へと姿勢変更した様子を示した説明図である。……」

(オ)「【0036】
そして、gカウンタからの取得数値をもとに決定される動作パターンとは、第1可動体61及び第2可動体62が演出位置へ到達した後、8秒間にわたるバトル演出が開始されてからの第1可動体61の動作態様であって、動作パターン1は、開始後0.2秒間は通常姿勢とし、その後0.5秒かけて胴部61Aの姿勢を通常姿勢からダメージ姿勢を経て再び通常姿勢とするダメージ動作(第1の態様)を実行した後、0.5秒間は通常姿勢とする。さらに0.5秒かけてダメージ動作を実行してから、0.7秒間は通常姿勢とするといったようにダメージ動作を断続的に複数回繰り返した後、最後の0.2秒(演出期間の終了時)で胴部61Aの姿勢を通常姿勢から敗北姿勢へ変更するといった敗北動作を実行するといったパターンとなっている。また、動作パターン2?4は、ダメージ動作を実行する回数やタイミングが夫々異なっているものの、動作パターン1同様、ダメージ動作を断続的に複数回繰り返した後、最後の0.2秒で敗北動作を実行するといったパターンとなっている。一方、動作パターン5?8は、夫々動作パターン1?4と同じタイミングでダメージ動作を断続的に複数回繰り返し実行するものの、最後に敗北動作を実行することなく、通常姿勢のままバトル演出が終了するというパターンとなっている。
【0037】
また、体力メーター67、68は、第1可動体61及び第2可動体62の演出位置への到達に伴い、演出用表示部6に表示されるものであって、体力メーター67は第1可動体61の上方に、体力メーター68は第2可動体62の上方に夫々表示される。……」

(カ)「【0047】
そして、サブ制御装置40のサブ統合CPU42は、メインCPU32から開始コマンドを受信すると、開始コマンドに含まれている基本変動パターンに係る情報を参照し、基本変動パターンが基本変動パターンEである(演出条件の充足)と役物演出を実行すると決定する。また、当該決定に伴い、サブ統合CPU42は、gカウンタ及びhカウンタから数値を取得するとともに、開始コマンドに含まれている大当たり抽選の結果に係る情報を参照し、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、図12(a)に示す動作態様決定テーブルを用い、gカウンタからの取得数値に対応する動作パターン及び減少パターンを読み出す(動作パターン及び減少パターンを決定する)とともに、図13(a)に示すヒットパターン決定テーブルを用い、hカウンタからの取得数値に対応するヒットパターンを読み出す(ヒットパターンを決定する)。すなわち、gカウンタからの取得数値が“0”?“55”であると動作パターン1及び減少パターン1、“56”?“75”であると動作パターン2及び減少パターン2、“76”?“95”であると動作パターン3及び減少パターン3、“96”?“100”であると動作パターン4及び減少パターン4と決定する。また、hカウンタからの取得数値が“0”?“20”であるとヒットパターン1、“21”?“33”であるとヒットパターン2、“34”?“43”であるとヒットパターン3、“44”?“48”であるとヒットパターン4、“49”?“50”であるとヒットパターン5と決定する。一方、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、図12(b)に示す動作態様決定テーブルを用い、gカウンタからの取得数値に対応する動作パターンを読み出す(動作パターンを決定する)とともに、図13(b)に示すヒットパターン決定テーブルを用い、hカウンタからの取得数値に対応するヒットパターンを読み出す(ヒットパターンを決定する)。すなわち、gカウンタからの取得数値が“0”?“20”であると動作パターン5及び減少パターン5、“21”?“50”であると動作パターン6及び減少パターン6、“51”?“80”であると動作パターン7及び減少パターン7、“81”?“100”であると動作パターン8及び減少パターン8と決定する。また、hカウンタからの取得数値が“0”?“1”であるとヒットパターン6、“2”?“9”であるとヒットパターン7、“10”?“18”であるとヒットパターン8、“19”?“27”であるとヒットパターン9、“28”?“40”であるとヒットパターン10、“41”?“50”であるとヒットパターン11と決定する。
【0048】
その後、サブ統合CPU42は、詳細変動パターンにしたがい演出用表示部6において装飾図柄の変動を開始するとともに、装飾図柄の変動表示中における所定のタイミングで案内手段65、66を作動させ、第1可動体61及び第2可動体62を退避位置から演出位置へ移動させる。また、両可動体61、62が演出位置へ到達すると、バトル演出の開始を報知する開始デモ映像や体力メーター67、68を演出用表示部6に表示した後、8秒間にわたるバトル演出を開始する(演出期間の設定)。そして、バトル演出の開始に伴い、上述の如くして決定した動作パターンにしたがって第1可動体61を作動させるとともに、決定した動作パターンに対応づけられた減少パターンにしたがって体力メーター67の目盛りを減少させる。
【0049】
また、第2可動体62に関しては、バトル演出が開始してから所定の作動時間(たとえば6秒間)が経過するまでは、所定の第1周期(たとえば1秒間に3回)でソレノイドを作動させ、残りの作動時間は第1周期よりも短い第2周期(たとえば1秒間に5回)でソレノイドを作動させ、胴部62Aに対して頭部62B及び腕部62Cを所定の単位作動態様で繰り返し作動させるといった一定の動作パターンで作動させる。そして、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、体力メーター68の目盛りが0目盛りとなるタイミング(特別条件の充足時)、若しくは、体力メーター68の目盛りが0目盛りとならないままバトル演出終了まで残り0.2秒になったタイミング(特別条件が充足されないまま演出期間が終了する際の演出期間の終了時)で、胴部62Aの姿勢を通常姿勢から敗北姿勢へ変更するといった敗北動作を実行する。一方、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、敗北動作を実行しないままバトル演出を終了させる。」

(キ)「【0054】
ここで、上記バトル演出を実際の遊技の流れに沿って説明する。
たとえば大当たり抽選の結果が「はずれ」であり、gカウンタ及びhカウンタからの数値の取得の結果、動作パターンは動作パターン1、ヒットパターンはヒットパターン1と夫々決定されたとする。この設定でバトル演出が開始されると、開始直後から体力メーター67の目盛りはどんどん減少する。また、遊技者が遊技ボタン25を連打したところで、第1可動体61は頻繁にダメージ動作をとる(図15)ため、遊技者による遊技ボタン25の操作が有効と検出される機会が少ない上、たとえ有効と検出されたとしてもiカウンタからの取得数値が「ヒット数値」となる確率が低く、更には「ヒット数値」となったところで体力メーター68の目盛りがなかなか減らないため、体力メーター68の目盛りをあまり減らすことができないまま、第1可動体61が敗北動作をとりやすい(図17)。したがって、この場合、ほぼ一方的に第1可動体61がダメージを受け、反撃もままならないまま第1可動体61が敗北してしまうといった演出になりやすい。なお、運良くiカウンタからの取得数値が「ヒット数値」となることが連続したとしても、上述したように体力メーター68の目盛りが0目盛りとなることはなく、第2可動体62に敗北動作をとらせる(すなわち第1可動体61が勝利する)ようなことはない。
……
【0056】
さらに、たとえば大当たり抽選の結果が「大当たり」であり、gカウンタ及びhカウンタからの数値の取得の結果、動作パターンは動作パターン6、ヒットパターンはヒットパターン6と夫々決定されたとする。この設定でバトル演出が開始されると、開始直後から体力メーター67の目盛りはどんどん減少する。また、遊技者が遊技ボタン25を連打したところで、第1可動体61は頻繁にダメージ動作をとる(図15)ため、遊技者による遊技ボタン25の操作が有効と検出される機会が少ない上、たとえ有効と検出されたとしてもiカウンタからの取得数値が「ヒット数値」となる確率が低く、更には「ヒット数値」となったところで体力メーター68の目盛りをなかなか減らすことができない。にも拘わらず、バトル演出の終了時に体力メーター68が一気に0目盛りとなって第2可動体62が敗北動作をとるといった状況が起こりやすい(図18)。したがって、この場合、当初は第2可動体62が優勢であるものの、最後に第1可動体61が大逆転して勝利するような演出となりやすい。なお、運良くiカウンタからの取得数値が「ヒット数値」となることが連続すると、バトル演出の後半途中でバトル演出の終了をまたずに第2可動体62に敗北動作をとらせる場合も起こり得る。」

(ク)「【図5】



(ケ)「【図14】



(コ)「【図17】



(サ)「【図18】



イ 認定事項
(ア)認定事項1
バトル演出の開始時の上記ア(ケ)の図14の記載と、大当たり抽選の結果が「はずれ」であるときの上記ア(コ)の図17の記載をみると、大当たり抽選の結果が「はずれ」であるときのバトル演出では、体力メーター68を移動させないことが見て取れる。

(イ)認定事項2
バトル演出の開始時の上記ア(ケ)の図14の記載と、大当たり抽選の結果が「大当たり」であるときの上記ア(サ)の図18の記載をみると、大当たり抽選の結果が「大当たり」であるときのバトル演出では、体力メーター68を移動させないことが見て取れる。

ウ 甲第1号証に記載された発明
上記ア、イより、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(なお、発明特定事項1A等に概ね対応させて符号1a1等を付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。以下同様。)。

甲1発明
「1a1 遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するパチンコ機1であって(【0010】)、

1b1、1c1、1d1
遊技領域16の略中央には、キャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられており、遊技盤2に演出用表示部6を囲むようにセンター部材26が設置され、該センター部材26には、第1可動体61及び第2可動体62を有し(【0011】)、
サブ制御装置40には、サブ統合CPU42が搭載されたサブ統合基板41が内蔵されており、サブ統合CPU42は、演出用表示部6における装飾図柄の表示動作等を制御するとともに、第1可動体61及び第2可動体62を作動させて所謂バトル演出を実行し(【0018】)、
演出用表示部6は、第1可動体61及び第2可動体62の演出位置への到達に伴い、体力メーター67、68が表示され(【0037】)、
サブ統合CPU42は、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、gカウンタからの取得数値が“0”?“55”であると動作パターン1及び減少パターン1と決定し、一方、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、gカウンタからの取得数値が“21”?“50”であると動作パターン6及び減少パターン6と決定し(【0047】)、第2可動体62に関しては、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、胴部62Aの姿勢を通常姿勢から敗北姿勢へ変更するといった敗北動作を実行し、一方、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、敗北動作を実行しないままバトル演出を終了させ(【0049】)、
大当たり抽選の結果が「はずれ」であり、gカウンタ及びhカウンタからの数値の取得の結果、動作パターンは動作パターン1、ヒットパターンはヒットパターン1と夫々決定され、この設定でバトル演出が開始されると、体力メーター68の目盛りが0目盛りとなることはなく、第2可動体62に敗北動作をとらせる(すなわち第1可動体61が勝利する)ようなことはなく(【0054】)、大当たり抽選の結果が「はずれ」であるときのバトル演出では、体力メーター68を移動させず(認定事項1)、
大当たり抽選の結果が「大当たり」であり、gカウンタ及びhカウンタからの数値の取得の結果、動作パターンは動作パターン6、ヒットパターンはヒットパターン6と夫々決定され、この設定でバトル演出が開始されると、バトル演出の終了時に体力メーター68が一気に0目盛りとなって第2可動体62が敗北動作をとるといった状況が起こり(【0056】)、大当たり抽選の結果が「大当たり」であるときのバトル演出では、体力メーター68を移動させない(認定事項2)

1e1 パチンコ機1(【0010】)。」

(2)甲第2号証について
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(平成29年5月25日出願公開。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【0030】
……図4は、スロットマシン1の機能構成例を示す図である。図4の例では、遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000などが設けられている。
……
【0032】
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(図4の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。……
【0033】
演出制御基板90は、演出用スイッチ56が接続され、また液晶表示器51などの演出装置(図4の演出制御基板90の左側に例示)を駆動制御する。演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図4の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。……」

(イ)「【0049】
[ATについて]
メイン制御部41は、ボーナスやRT2などの有利な状態に加えて、AT(アシストタイム)に制御可能である。メイン制御部41は、ATに制御するか否かのAT抽選を実行する。また、メイン制御部41は、AT抽選でATに制御すると決定した場合にATに制御し、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行するための処理を実行する。

(ウ)「【0054】
[ボタン演出について]
サブ制御部91は、演出用スイッチ56(図4参照)の操作を遊技者に要求するボタン演出を実行可能である。……
……
【0056】
また、ボタン演出は、ボタン演出抽選処理の実行契機となるAT抽選の結果を報知する結果演出の実行の前に実行される演出である。ボタン演出を実行することにより、遊技者に対して、AT抽選によりAT当選するのではないかといった期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0057】
図15は、ボタン演出を説明するための図である。図15(A)に示すように、ボタン演出は、液晶表示器51に、味方キャラA、敵キャラB、「演出用スイッチを押せ!」といった文字201、演出用スイッチ56を模倣したボタン画像202、およびゲージ画像203が表示される。
【0058】
ボタン演出では、文字201と、ボタン画像202とを表示することにより、遊技者に対して演出用スイッチ56を操作することを要求する。また、ボタン演出では味方キャラAと敵キャラBとがバトルを行うバトル演出も実行される。また、ボタン演出では、ゲージ画像203が表示されるゲージ画像203が表示される。ゲージ画像203は、演出用スイッチ56が操作される毎に、ゲージが減少していく態様で表示される。図15のゲージ画像203は、ボタン演出が開始されたタイミングでは、黒色のみで表示され、ボタン演出が操作される毎に黒色の部分が減少する。
【0059】
図15(B)は、遊技者により演出用スイッチ56が1回操作されたときに表示される画像である。……
【0060】
図15(C)は、遊技者により演出用スイッチ56の操作が継続したとき(つまり、演出用スイッチ56が押下され続けた(長押しされた))ときに表示される画像である。……
……
【0063】
図15(D)は、ボタン演出が終了したときに実行される結果演出の一例を示す図である。図15(D)の結果演出は、ボタン演出抽選処理の実行の契機となるAT抽選でAT当選したときに実行されるAT当選結果演出の一例を示したものである。図15(D)のAT当選結果演出は、ガッツポーズをした味方キャラAが表示されるとともに、「AT当選!!」といった文字が表示される演出である。このようなAT当選結果演出を実行することにより、AT当選したことを遊技者に報知できる。このAT当選結果演出が実行されたゲームの次のゲームからATに制御される。
【0064】
また、ボタン演出抽選処理の実行の契機となるAT抽選でAT非当選であったときには、ボタン演出終了後、結果演出として、AT非当選結果演出(図示せず)が実行される。……」

(エ)「【0163】
[変形例]
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。本発明は、上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例などについて説明する。また、前述した本実施形態で説明した技術事項、および、以下の変形例で説明する技術事項のうち少なくとも2つを組み合わせて実施するようにしてもよく、前述した本実施形態で説明した技術事項を以下の変形例で説明する技術事項に置換して実施するようにしてもよく、当該置換したものに対して、以下の変形例で説明する技術事項をさらに組み合わせて実施するようにしてもよい。」

(オ)「【0164】
[ボタン演出について]
(1) ……
……
【0182】
(6) また、操作有効期間が終了する旨を報知する終了報知を行うように構成してもよい。以下では、パチンコ遊技機を例にして説明するが、スロットマシンでも同様の構成を採用することができる。
……
【0184】
操作演出パターンのうち、一例として、操作演出パターンBT-2?1およびBT-2?2の詳細を、図28、図29、および図30を用いて説明する。……
……
【0214】
次に、操作演出パターン(BT-2)の操作演出の一例を図30を用いて説明する。図30は、液晶表示器に表示される操作演出を、図30(a)?(g)で示す時系列で説明したものである。
……
【0216】
図30(b)は、t20における、ボタン演出開始時の演出態様を表している。液晶表示器には、演出図柄表示エリア5L、5C、5Rに表示されている変動中の演出図柄に、小ボタン5BSおよびゲージ値が初期表示である小ゲージ5GSが重畳されて表示される。小ゲージ5GSは初期表示において、ゲージ値5GSS1を最大値で表示し、小ゲージ減少値5GS0は表示しない。
【0217】
図30(c)?(d)は、小ゲージ5GSの小ゲージ値5GS1が、時間の経過とともに徐々に減少していることを表している。小ゲージ値5GS1は、図示右側から左側に徐々に減少し、図30(d)の小ゲージ値5GS1は図30(c)の小ゲージ値5GS1に比べて小さくなる。小ゲージ値5GS1を徐々に減少させる演出態様は、液晶表示器縦方向の画素を1ライン分ずつ減らして表示させることによって行うことができる。但し、ゲージ値を徐々に減少させる演出態様はこの表示方法に限定されず、遊技者に対して小ゲージ値5GS1が徐々に減少していくことを認識させるものであればよい。
【0218】
図30(e)は、t21において、演出用スイッチの押下がされたことを表している。図30(e)の図示右側の図は、演出用スイッチが遊技者によって押下されたことを表している。演出用スイッチの押下によって、小ゲージ値5GS1を徐々に減少させる演出は終了する。
【0219】
図30(f)は、t23において、小ゲージ5GSの小ゲージ値5GS1が0となる「ゲージ値ゼロ表示」を表している。本実施形態ではt21で演出用スイッチが押下されると、直ちに「ゲージ値ゼロ表示」がされる。従って、遊技者は小ゲージ5GSの表示が変化したことを認識しやすくなる。演出用スイッチの押下に応じた「ゲージ値ゼロ表示」を行うことにより、パチンコ遊技機1に演出用スイッチの押下が受け付けられたことを遊技者に対して報知することができる。
【0220】
図30(g)は、t24において、小ゲージ5GSが消去され、カットイン演出5CEが表示されていること表している。カットイン演出は、変動中の演出図柄に重畳されて表示されている。なお、操作演出パターンがBT2-1である場合はカットイン演出(青)が表示され、操作演出パターンがBT2-2である場合はカットイン演出(赤)が表示される。」

(カ)「【0271】
……
[終了報知を行う終了報知手段]
この実施の形態では、終了報知を行う終了報知手段として、ゲージ値ゼロ表示を液晶表示器51に表示する態様を例示したが、終了報知を行う終了報知手段はこれに限定されない。
……
【0282】
この実施の形態では、特定の態様で指標を表示するものとして、「ゲージ値ゼロ表示」を表示する場合を例示したが、特定の態様で指標を表示する態様はこれに限定されず、ゲージ値が「0」となったことを遊技者に報知することができる態様であればよい。たとえば、ゲージの表示位置、表示形状などを変更することにより、遊技者の操作に応じた有効期間の終了を報知することができる。
【0283】
例えば、遊技者が操作手段を操作したときに、ゲージの表示を移動させて液晶表示器の表示範囲から消去してもよい。また、ゲージ自体の大きさを徐々に縮小して、液晶表示器の表示から消去してもよい。」

(キ)「【図15】



(ク)「【図30】



イ 甲第2号証に記載された技術
上記ア(ア)及び(カ)より、甲第2号証には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

甲2技術
「スロットマシン1において、ゲージの表示位置、表示形状などを変更することにより、遊技者の操作に応じた有効期間の終了を報知すること(【0030】、【0282】)」

ウ 甲第2号証に記載された発明
上記アより、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

甲2発明
「1a2 遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90が設けられたスロットマシン1であって(【0030】)、

1c2 演出制御基板90には、サブ制御部91の回路構成が搭載されており(【0033】)、
サブ制御部91は、演出用スイッチ56の操作を遊技者に要求するボタン演出を実行可能であり(【0054】)、
ボタン演出は、液晶表示器51に、味方キャラA、敵キャラB、「演出用スイッチを押せ!」といった文字201、演出用スイッチ56を模倣したボタン画像202、およびゲージ画像203が表示され(【0057】)、
ボタン演出では味方キャラAと敵キャラBとがバトルを行うバトル演出も実行され(【0058】)、
また、ボタン演出では、ゲージ画像203が表示され、ゲージ画像203は、演出用スイッチ56が操作される毎に、ゲージが減少していく態様で表示され(【0058】)、

1b2 遊技制御基板40には、メイン制御部41の回路構成が搭載されており(【0032】)、
メイン制御部41は、AT抽選でATに制御すると決定した場合にATに制御し、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行するための処理を実行し(【0049】)、
ボタン演出が終了したときに結果演出が実行され、AT当選したときには、ガッツポーズをした味方キャラAが表示されるとともに、「AT当選!!」といった文字が表示されるAT当選結果演出が実行され、AT当選結果演出を実行することにより、AT当選したことを遊技者に報知でき、AT当選結果演出が実行されたゲームの次のゲームからATに制御され(【0063】)、
AT非当選であったときには、ボタン演出終了後、結果演出として、AT非当選結果演出が実行される
(【0064】)

1e2 スロットマシン1(【0030】)。」

(3)甲第3号証について
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第3号証(平成29年5月25日出願公開。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【0015】
以下、本発明の実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機Pについて図面を参照しながら具体的に説明する。」

(イ)「【0041】
例えば、図4に示す状態から1つの保留(表示領域42aに表示された保留表示)が処理されるときには、当該保留表示が、処理表示領域46上に移動して、処理保留表示として表示される。以下では、処理表示領域46において表示される処理保留表示のことを処理保留表示46という。」

(ウ)「【図4】



イ 甲第3号証に記載された技術
上記アより、甲第3号証には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。

甲3技術
「パチンコ機Pにおいて、1つの保留(表示領域42aに表示された保留表示)が処理されるときには、当該保留表示が、処理表示領域46上に移動して、処理保留表示として表示される(【0015】、【0041】)技術」

(4)甲第4号証について
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第4号証(平成28年6月30日出願公開。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項
(ア)「【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。……」

(イ)「【0428】
図35及び図36は、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出の具体例を示す説明図である。図35(A)に示されるように、演出表示装置5において、演出図柄の変動表示中であって、合算保留記憶表示部5Dに2つの保留表示が通常態様(本例では「○」)で表示されているとともに、演出表示装置5の左上部に表示されている保留合計数の表示が『2』であるときに始動入賞が行われると、先読み演出(先読み演出パターン、最終表示態様、変化タイミング)および示唆演出の態様が決定され、決定結果に応じて新たな保留表示が表示される。図35及び図36に示す例では、先読み演出パターンを第2先読み演出パターンと決定し、最終表示態様を第1特別態様または第2特別態様と決定し、変化タイミングをシフト回数1またはシフト回数2と決定する。また、示唆演出の演出態様を、第1演出態様または第2演出態様と決定する。
【0429】
本実施例では、第2先読み演出パターンにもとづく先読み演出では、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様にて表示され、任意のシフトタイミングで、最終表示態様の第1特別態様または第2特別態様に変化して表示される。そのため、先読み演出パターンが第2先読み演出パターンと決定されると、図35(B)に示すように、始動入賞のタイミングで、合算保留記憶表示部5Dに3つ目の保留表示が特殊態様(本例では「○」の外側に6本の線が描かれている)で表示される。
【0430】
そして、演出図柄の変動表示が停止し(図35(C))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示がアクティブ表示エリア5Fにシフトされるときに消去され、2つ目以降の保留表示がそれぞれシフトされるとともに、保留合計表示が1減算更新される。そして、示唆演出の演出態様が第2演出態様に決定されていると、保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御がおこなわれる(図35(D))。
【0431】
ここで、変化タイミングがシフト回数1に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図35(E1)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、合算保留記憶表示部5Dの2つ目の保留表示(図35(B)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第1特別態様(本例では「○」内にバツが含まれる)に変化して表示される。また、変化タイミングがシフト回数1に決定され、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図35(E2)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、合算保留記憶表示部5Dの2つ目の保留表示(図35(B)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に白い矢が刺さる演出(第2演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、白い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第2特別態様(本例では「○」内にバツが2つ含まれる)に変化して表示される。
【0432】
また、変化タイミングがシフト回数2に決定されているときには、図35(E3)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、白い矢がいずれの保留表示にも刺さらず通過する示唆演出(第2演出態様の示唆演出(通過パターン))が行われる。なお、図35(E3)に示す示唆演出は、演出図柄変動開始処理において示唆演出(通過パターン)を第2演出態様で実行すると決定されたときに行われる。このように、本実施例では、示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から黒い矢(第1演出態様)または白い矢(第2演出態様)が飛んでくる表示制御を行うことで、保留表示の表示態様が変化することを示唆し、矢が保留表示に刺さると(示唆演出(成功パターン)が行われると)表示態様が変化し、矢がいずれの保留表示にも刺さらず通過すると(示唆演出(通過パターン)が行われると)表示態様が変化しない。
【0433】
その後、演出図柄の変動表示が停止し(図36(F))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示がアクティブ表示エリア5Fにシフトされるときに消去され、2つ目以降の保留表示がシフトされる。このとき、保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御がおこなわれる(図36(G))。
【0434】
そして、変化タイミングがシフト回数2に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、図36(H1)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、合算保留記憶表示部5Dの1つ目の保留表示(図35(B)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第1特別態様(本例では「○」内にバツが含まれる)に変化して表示される。また、変化タイミングがシフト回数2に決定され、最終表示態様が第2特別態様に決定されている場合には、図36(H2)に示すように、示唆演出の実行タイミングでで、合算保留記憶表示部5Dの1つ目の保留表示(図32(B)で新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第2特別態様(本例では「○」内にバツが2つ含まれる)に変化して表示される。
【0435】
次いで、図36(H1)に示すように、合算保留記憶表示部5Dの1つ目の保留表示の表示態様が第1特別態様に変化した後は、演出図柄の変動表示が停止し(図36(I))、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、1つ目の保留表示がアクティブ表示エリア5Fにシフトされるときに消去され、2つ目以降の保留表示がシフトされる。また、保留合計表示が1減算更新される。このとき、アクティブ表示エリア5Fに表示されている消費保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御(図36(J1))、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御(図36(J2))、表示領域の右側からいずれの矢も飛んでこない(示唆演出非実行)表示制御(図36(J3))のいずれかが行われる。
【0436】
図36(J1)に示すように、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化しないと決定されている場合には、図36(K1)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、黒い矢が消費保留表示に刺さらず通過する示唆演出(第1演出態様の示唆演出(通過パターン))が行われる。また、図36(J1)に示すように、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化すると決定されている場合には、図36(K2)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、黒い矢が消費保留表示に刺さる示唆演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった消費保留表示が第1特別態様から第2特別態様に変化して表示される。
【0437】
図36(J2)に示すように、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化しないと決定されている場合には、図36(K3)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、白い矢が消費保留表示に刺さらず通過する示唆演出(第2演出態様の示唆演出(通過パターン))が行われる。また、図36(J2)に示すように、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化すると決定されている場合には、図36(K4)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、黒い矢が消費保留表示に刺さる示唆演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった消費保留表示が第1特別態様から第2特別態様に変化して表示される。
【0438】
更に、図36(J3)に示すように、表示領域の右側からいずれの矢も飛んでこない(示唆演出非実行)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化しないと決定されている場合には、図36(K5)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、示唆演出は実行されず、消費保保留表示は変化しない。また、図36(J3)に示すように、示唆演出が実行されず、消費保留表示の表示態様が変化すると決定されている場合には、図36(K6)に示すように、示唆演出の実行タイミングで、示唆演出が実行されずに消費保留表示が第1特別態様から第2特別態様に変化して表示される。」

(ウ)「【図35】


【図36】



イ 甲第4号証に記載された技術
上記アより、甲第4号証には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。

甲4技術
「パチンコ遊技機1(【0017】)において、先読み演出パターンを第2先読み演出パターンと決定し、最終表示態様を第1特別態様または第2特別態様と決定し、変化タイミングをシフト回数1またはシフト回数2と決定した場合(【0428】)、
示唆演出の演出態様が第2演出態様に決定されていると、保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御がおこなわれ(【0430】)、
変化タイミングがシフト回数2に決定されているときには、示唆演出の実行タイミングで、白い矢がいずれの保留表示にも刺さらず通過する示唆演出(第2演出態様の示唆演出(通過パターン))が行われ(【0432】)、
その後、演出図柄の変動表示が停止し(【0433】)、
そして、変化タイミングがシフト回数2に決定され、最終表示態様が第1特別態様に決定されている場合には、示唆演出の実行タイミングで、合算保留記憶表示部5Dの1つ目の保留表示(新たに表示された特殊態様の保留表示に相当)に黒い矢が刺さる演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった保留表示が特殊態様から第1特別態様(「○」内にバツが含まれる)に変化して表示され(【0434】)、
次いで、演出図柄の変動表示が停止し、1つ目の保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されると、このとき、アクティブ表示エリア5Fに表示されている消費保留表示が変化することを示唆する示唆演出として、演出表示装置5において、表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御、表示領域の右側から白い矢が飛んでくる(第2演出態様)表示制御、表示領域の右側からいずれの矢も飛んでこない(示唆演出非実行)表示制御のいずれかが行われ(【0435】)、
表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化すると決定されている場合には、示唆演出の実行タイミングで、黒い矢が消費保留表示に刺さる示唆演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった消費保留表示が第1特別態様から第2特別態様に変化して表示され(【0436】)、
表示領域の右側から黒い矢が飛んでくる(第1演出態様)表示制御が実行され、消費保留表示の表示態様が変化すると決定されている場合には、示唆演出の実行タイミングで、黒い矢が消費保留表示に刺さる示唆演出(第1演出態様の示唆演出(成功パターン))が行われるとともに、黒い矢が刺さった消費保留表示が第1特別態様から第2特別態様に変化して表示される(【0437】)技術」

(5)対比・判断
ア 本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する(本件発明の発明特定事項1A等に対応させて、見出し(1a1)等を付した。以下同様。)。

(1a1)甲1発明の「パチンコ機1」は、本件発明1の「遊技機」に相当する。
また、甲1発明の「パチンコ機1」は、「遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技する」ものであるから、本件発明1の「遊技機」と同様に、「遊技を行うことが可能な」ものであるといえる。
よって、甲1発明の発明特定事項1a1は、本件発明1の発明特定事項1Aに相当する。

(1b1)甲1発明の「大当たり」及び「バトル演出」は、それぞれ、本件発明1の「有利状態」及び「示唆演出」に相当する。
また、甲1発明では、「第2可動体62に関しては、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、胴部62Aの姿勢を通常姿勢から敗北姿勢へ変更するといった敗北動作を実行し、一方、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、敗北動作を実行しないままバトル演出を終了させ」るから、甲1発明の「バトル演出」は、本件発明1の「示唆演出」と、「有利状態へ制御されるか否かを示唆する」点で共通するといえる。
さらに、甲1発明の「サブ統合CPU42」は、「バトル演出」を実行するから、「示唆演出」を実行する「示唆演出実行手段」に相当するといえる。
よって、甲1発明の発明特定事項1b1、1c1、1d1は、本件発明1の発明特定事項1Bと、「有利状態へ制御されるか否かを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段」を有する点で共通するといえる。

(1c1)甲1発明の「体力メーター68」は、本件発明1の「特定表示」に相当し、甲1発明の「体力メーター68の目盛りが0目盛りとなること」は、本件発明1の「特定表示の表示態様を変化させ、特別態様へ変化させること」に相当する。
また、甲1発明の「体力メーター68の目盛りが0目盛りとなること」によって、バトル演出の演出結果が遊技者にとって有利な大当たりとなることを報知することは、当業者にとって明らかである。
さらに、甲1発明の「サブ統合CPU42」は、上記のように報知するものであるから、本件発明1の「報知手段」に相当するといえる。
よって、甲1発明の発明特定事項1b1、1c1、1d1は、本件発明1の発明特定事項1Cに相当する構成を有する。

(1d1)上記(1c1)で述べたように、甲1発明の「体力メーター68」は、本件発明1の「特定表示」に相当する。ここで、甲1発明においては「大当たり抽選の結果が「はずれ」であるときのバトル演出では、体力メーター68を移動させ」ない。そうすると、甲1発明は、「特定表示を移動させること」がない「変化パターン」で、「特定表示」を実行するといえる。
また、甲1発明では、上記の「変化パターン」で「特定表示」を実行する「大当たり抽選の結果が「はずれ」であ」る場合のうち、「gカウンタ及びhカウンタからの数値の取得の結果、動作パターンは動作パターン1、ヒットパターンはヒットパターン1と夫々決定され」たときに、「体力メーター68の目盛りが0目盛りとなること」がない。ここで、上記(1c1)で述べたように、甲1発明の「体力メーター68の目盛りが0目盛りとなること」は、本件発明1の「特定表示の表示態様を変化させ、特別態様へ変化させること」に相当するから、逆に言えば、甲1発明の「体力メーター68の目盛りが0目盛りとなること」がないことは、本件発明1の「特定表示の表示態様を特別態様とは異なる態様へ変化させる」ことに相当する。
よって、甲1発明の発明特定事項1b1、1c1、1d1は、本件発明1の発明特定事項1Dと、「報知手段」が「特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する」変化パターンとして、「特定表示を移動させることなく特定表示の表示態様を前記特別態様とは異なる態様へ変化させる変化パターン」を有する点で共通するといえる。

(1e1)上記(1a1)のとおり、甲1発明の「パチンコ機1」は、本件発明1の「遊技機」に相当する。
よって、甲1発明の発明特定事項1e1は、本件発明1の発明特定事項1Eに相当する。

したがって、本件発明と甲1発明とは、
[一致点]
「1A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
1B 有利状態へ制御されるか否かを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
1C 前記示唆演出における演出結果が遊技者にとって有利な結果となるかを、特定表示の表示態様を変化させ、特別態様へ変化させることによって報知する報知手段と、
を備え、
1D 前記報知手段は、特定表示を移動させることなく特定表示の表示態様を前記特別態様とは異なる態様へ変化させる変化パターンで、特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する
1E 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1-1](発明特定事項1B)
「示唆演出」が「有利状態へ制御されるか否かを」「示唆する」ために、本件発明1の「示唆演出」では、「所定表示」を動作させることによって示唆するのに対し、甲1発明の「バトル演出」では、「第2可動体62」が敗北動作を実行するか否かによって示唆する点。

[相違点1-2](発明特定事項1D)
「報知手段」が「特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する」変化パターンとして、本件発明1では、「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させることなく特定表示の表示態様を前記特別態様とは異なる態様へ変化させる第1変化パターン」と「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターン」を有するのに対し、甲1発明では、このような変化パターンを有しない点。

イ 本件発明1と甲1発明との相違点についての判断
事案に鑑み、相違点1-2において、本件発明1が「第2変化パターン」を有することの進歩性について検討する。
甲1発明の体力メーター68は、体力メーター68の目盛りが0目盛りとなることによって、バトル演出の演出結果が遊技者にとって有利な大当たりとなることを報知するものである。そして、甲1発明は、大当たりとなることを報知する際に、体力メーター68を移動させない。
甲2技術は、「ゲージの表示位置、表示形状などを変更すること」を行うことであるが、甲2技術の「ゲージ」は、「遊技者の操作に応じた有効期間の終了を報知する」ものである。そうすると、甲1発明の「体力メーター68」と甲2技術の「ゲージ」とは報知する内容が異なるから、甲1発明に甲2技術を組み合わせる動機付けがない。
また、甲第2号証における段落【0282】の「この実施の形態では、特定の態様で指標を表示するものとして、「ゲージ値ゼロ表示」を表示する場合を例示したが、特定の態様で指標を表示する態様はこれに限定されず、ゲージ値が「0」となったことを遊技者に報知することができる態様であればよい。」との記載を踏まえれば、甲2技術は、「ゲージ値ゼロ表示を表示することにより、ゲージ値が「0」となったことを遊技者に報知する」代わりに、「ゲージの表示位置、表示形状などを変更することにより、遊技者の操作に応じた有効期間の終了を報知する」ものと認められる。そうすると、仮に甲1発明に甲2技術を組み合わせる動機付けがあるとしても、体力メーター68の目盛りを0目盛りとする代わりに、体力メーター68の表示位置を変更することになる。そうすると、本件発明1の「第2変化パターン」における「特定表示の表示態様を特別態様へ変化させる」発明特定事項を失う。したがって、甲1発明に甲2技術を組み合わせたとしても、本件発明1の「第2変化パターン」には至らない。
してみると、上記相違点1-2に係る本件発明1の構成とすること(少なくとも、「第2変化パターン」を有するようにすること)は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

ウ 本件発明1と甲2発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(1a2)甲2発明の「スロットマシン1」は、本件発明1の「遊技機」に相当する。
また、甲2発明の「スロットマシン1」は、「遊技の進行を制御する」「遊技制御基板40」「が設けられた」ものであるから、「遊技を行うことが可能な」ものであるといえる。
よって、甲2発明の発明特定事項1a2は、本件発明1の発明特定事項1Aに相当する。

(1b2)甲2発明の「AT抽選でATに制御すると決定した場合に」「遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行する」「AT」は、本件発明1の「有利状態」に相当する。
また、甲2発明の「結果演出」は「AT当選結果演出を実行することにより、AT当選したことを遊技者に報知できる」ものであり、「AT当選結果演出が実行されたゲームの次のゲームからATに制御される」ことから、甲2発明の「結果演出」は、「有利状態へ制御されるか否かを示唆する」ものであり、「示唆演出」といえる。
よって、甲2発明の発明特定事項1b2は、本件発明1の発明特定事項1Bと「有利状態へ制御されるか否かを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段」を備える点で共通するといえる。

(1c2)甲2発明の「ゲージ画像203」は、本件発明1の「特定表示」に相当する。
また、甲2発明では、「ゲージ画像203」が「ゲージが減少していく態様で表示され」るから、甲2発明は、「ゲージ画像203」の「表示態様を変化させ」るといえる。
さらに、甲2発明の「ボタン演出」では、「ゲージ画像203」が「演出用スイッチ56が操作される毎に」「表示され」るから、甲2発明は、「演出用スイッチ56が操作され」たことを「報知する」といえる。そして、甲2発明で「ボタン演出」を実行可能な「サブ制御部91」は、「報知手段」といえる。
よって、甲2発明の発明特定事項1c2は、本件発明1の構成1Cと「特定表示の表示態様を変化させる報知手段」を備える点で共通するといえる。

(1e2)上記(1a2)のとおり、甲2発明の「パチンコ遊技機」は、本件発明1の「遊技機」に相当する。
よって、甲2発明の発明特定事項1e2は、本件発明1の発明特定事項1Eに相当する。

したがって、本件発明と甲2発明とは、
[一致点]
「1A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
1B’ 有利状態へ制御されるか否かを示唆する示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、
1C’ 特定表示の表示態様を変化させる報知手段と、
を備える
1E 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点2-1](発明特定事項1B)
本件発明1の「示唆演出」は、「所定表示を動作させることによって示唆する」ものであるのに対し、甲2発明の「結果演出(示唆演出)」は、「所定表示を動作させることによって示唆する」ものでない点。

[相違点2-2](発明特定事項1C)
本件発明1の「報知手段」は、「前記示唆演出における演出結果が遊技者にとって有利な結果となるかを、特定表示の表示態様を変化させ、特別態様へ変化させることによって報知する」ものであるのに対し、甲2発明の「サブ制御部91(報知手段)」は、「特定表示の表示態様を変化させる」ものであるものの、これによって「前記示唆演出における演出結果が遊技者にとって有利な結果となるかを」「報知する」ものであるか否かが明らかでない点。

[相違点2-3](発明特定事項1D)
本件発明1の「報知手段」は、「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させることなく特定表示の表示態様を前記特別態様とは異なる態様へ変化させる第1変化パターンと、所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる第2変化パターンとの少なくとも一方で、特定表示の表示態様を変化させることによって前記示唆演出における演出状態を報知する」ものであるのに対し、甲2発明の「サブ制御部91(報知手段)」はこのようなものではない点。

エ 本件発明1と甲2発明との相違点についての判断
事案に鑑み、相違点2-3から検討する。
甲2発明の「ゲージ画像203」は、「演出用スイッチ56が操作され」たことを「報知する」ものである。すなわち、甲2発明の「ゲージ画像203」は、甲1発明の「体力メーター68」と同様の技術である。そうすると、相違点2-3は、上記アで検討した相違点1-1と類似する。
してみると、上記アの判断と同様に、上記相違点2-3に係る本件発明1の構成とすることは、甲2発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

(6)申立人の主張
申立人は、異議申立書において、次の主張をしている。
ア 甲第2号証に記載された発明の認定
申立人は、甲第2号証に記載された発明が、
「d2)……バトルの動作に関連してゲージの表示をゼロ表示まで変化させ、ゲージの位置を変更または移動させるパターンを含み……」
との構成を有すると主張する(異議申立書第37頁)。
しかしながら、上記(5)イで検討したように、甲2技術は、「ゲージ値ゼロ表示を表示することにより、ゲージ値が「0」となったことを遊技者に報知する」代わりに、「ゲージの表示位置、表示形状などを変更することにより、遊技者の操作に応じた有効期間の終了を報知する」ものと認められるから、申立人が主張した甲第2号証に記載された発明は、少なくとも構成d2において誤っている。
よって、申立人の主張を採用することはできない。

イ 甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明に基づく進歩性欠如
申立人は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証に記載された発明の構成d2を、ゲージの表示をゼロ表示まで変化させることとゲージの位置を変更または移動させることとの順序を変えて適用して、本件発明1の相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た旨を主張する(異議申立書第40頁)。
しかしながら、上記アで検討したように、申立人が認定した甲2発明の構成d2は、誤っている。
また、ゲージの表示をゼロ表示まで変化させることとゲージの位置を変更または移動させることとの順序を変えることが、遊技機分野において公知であることを示す証拠は提出されていないし、甲1発明に甲2発明の構成d2を適用する際に、ゲージの表示をゼロ表示まで変化させることとゲージの位置を変更または移動させることとの順序を変えることが想到容易であるとする理由を見いだせない。
よって、申立人の主張を採用することはできない。

ウ 甲第2号証に記載された発明に基づく進歩性欠如
申立人は、本件発明1と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明1の「報知手段」が「遊技者にとって有利な結果となるかを、特定表示の表示態様を変化させ、特別態様(ゼロ)へ変化させることによって報知する」のに対し、甲第2号証に記載された発明の報知手段はAT状態に制御されるか否かの演出において、味方キャラが勝利したときに、ゲージ値がゼロになるかが不明である点(相違点1)と、本件発明1の「第2変化パターン」が「所定表示の動作に関連して特定表示を移動させ、当該特定表示の表示態様を前記特別態様へ変化させる」のに対し、甲第2号証に記載された発明の第2パターンは、本件発明1の「第2変化パターン」と、「移動させ」、「変化させる」の演出順序が逆である点(相違点2)とが相違すると主張する(異議申立書第41頁)。
しかしながら、上記アで検討したように、申立人が主張した甲第2号証に記載された発明の構成d2は誤っているから、申立人が主張する相違点2も誤っている。
よって、申立人の主張を採用することはできない。

(7)まとめ
以上のことから、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術又は甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
また、本件発明2の引用例として提出された甲第3号証及び甲第4号証に記載された甲3技術及び甲4技術は、本件発明1の発明特定事項1Dを開示するものでないことは明らかである。そうすると、本件発明1を引用する本件発明2の発明特定事項2Aないし発明特定事項2Eについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明又は甲2発明、甲2技術、甲3技術及び甲4技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
したがって、本件特許は、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものではない。

4 理由4について
(1)本件発明2
本件発明2を再掲する。
「【請求項2】
2A 可変表示に対応する可変表示対応表示を表示可能な可変表示対応表示手段と、
2B 第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段とを備え、
2C 可変表示対応表示の表示態様には、少なくとも、前記第1態様と、有利度が高い第2態様とが含まれ、
2D 前記変化演出実行手段は、
変化演出として、前記第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を前記第2態様に変化させる演出を実行可能であり、
2E 実行された変化演出の実行態様に応じて、該変化演出の後に異なる割合により変化演出を実行可能である
2F ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

(2)判断
「可変表示対応表示」に関して、請求項2では、
発明特定事項2Aで「可変表示に対応する可変表示対応表示」であることが記載され、
発明特定事項2Bで「第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能」であることが記載され、
発明特定事項2Cで「可変表示対応表示の表示態様には、少なくとも、前記第1態様と、有利度が高い第2態様とが含まれ」ることが記載され、
発明特定事項2Dで「変化演出として、前記第1態様により可変表示対応表示を表示した後に、該可変表示対応表示の表示態様を前記第2態様に変化させる演出を実行可能であ」ることが記載されている。
また、これらの発明特定事項に対応するものとして、本件明細書等に記載された「保留表示」が挙げられる。
以上のことから、本件発明2の「可変表示対応表示」が不明確であるとは認められない。

(3)申立人の主張
申立人は、異議申立書において、「可変表示に対応する可変表示対応表示」は、本件明細書等における第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄、リーチ可変表示、第4図柄、演出図柄、普通図柄等の複数の記載に対応する可能性があるから、発明の外郭が定まらず、不明確なものとなっていると主張する。
しかしながら、発明特定事項2Aないし発明特定事項2Dで特定された「可変表示対応表示」は、上記(2)のとおり、不明確であるとは認められない。
付言すれば、本件明細書等の複数の記載に対応する可能性があることからは、直ちに外郭が不明確であるとは認められない。

5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-03-25 
出願番号 特願2017-132207(P2017-132207)
審決分類 P 1 651・ 55- Y (A63F)
P 1 651・ 537- Y (A63F)
P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 武田 知晋  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 蔵野 いづみ
太田 恒明
登録日 2020-06-18 
登録番号 特許第6719426号(P6719426)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ