• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1373677
審判番号 不服2018-8295  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2021-05-14 
事件の表示 特願2015-532118「組織の通過を容易にし保持強度を高める凹凸とげを有するとげ付き縫合糸」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月20日国際公開、WO2014/043610、平成27年10月 8日国内公表、特表2015-529534〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)9月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年(平成24年)9月17日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月26日付け:拒絶理由通知書
平成29年10月 2日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月28日付け:拒絶査定
平成30年 6月18日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出
平成30年11月 7日 :上申書の提出

第2 平成30年6月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年6月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「創傷閉鎖装置であって、
近位端と遠位端とを有するフィラメント状要素と、
前記フィラメント状要素から外方に延出している複数のとげと、を備え、前記とげのそれぞれは、前記フィラメント状要素と接続された基底部と、前記基底部から離間配置された先端部と、前記基底部と前記先端部との間に延在し前記フィラメント状要素から離れる方を向いている外縁と、を有し、前記外縁は、前記基底部と前記とげの遷移点との間に延在する凹面を有する第1部分と、前記とげの前記遷移点と前記とげの前記先端部との間に延在する凸面を有する第2部分と、を含み、
前記外縁が、前記とげの前記遷移点で、前記第1部分の前記凹面から、前記第2部分の前記凸面に移行し、
前記とげの前記第1部分の前記凹面が、約0.19?0.64センチメートル(0.075?0.25インチ)の半径を有し、前記とげの前記第2部分の前記凸面が、約0.13?0.25センチメートル(0.05?0.1インチ)の半径を有し、
前記とげが、前記フィラメント状要素の長手方向軸と約10?49度の鋭角を画定する長手方向軸に沿って延在する、創傷閉鎖装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年10月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「創傷閉鎖装置であって、
近位端と遠位端とを有するフィラメント状要素と、
前記フィラメント状要素から外方に延出している複数のとげと、を備え、前記とげのそれぞれは、前記フィラメント状要素と接続された基底部と、前記基底部から離間配置された先端部と、前記基底部と前記先端部との間に延在しフィラメント状要素から離れる方を向いている外縁と、を有し、前記外縁は、前記基底部と前記とげの遷移点との間に延在する凹面を有する第1部分と、前記とげの前記遷移点と前記とげの前記先端部との間に延在する凸面を有する第2部分と、を含み、
前記外縁が、前記とげの前記遷移点で、前記第1部分の前記凹面から、前記第2部分の前記凸面に移行し、
前記とげの前記第1部分の前記凹面が、約0.19?0.64センチメートル(0.075?0.25インチ)の半径を有し、前記とげの前記第2部分の前記凸面が、約0.13?0.25センチメートル(0.05?0.1インチ)の半径を有する、創傷閉鎖装置。」

2 補正の適否
(1)補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「とげ」について、上記1(1)のとおりの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(2)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(3)引用文献の記載事項

ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された引用文献である、米国特許出願公開第2008/0281357号明細書には、次の記載がある。
「FIELD OF THE INVENTION
【0001】This invention relates generally to tissue-grasping devices, and, more particularly, to such devices which include a looped suture.」
(当審訳:発明の分野
本発明は、一般的には、組織把持装置に関し、より詳細には、ループ状縫合糸を含む装置に関する。)

「SUMMARY
【0011】A tissue-grasping device includes a needle and a looped suture attached to the needle. The looped suture has a closed end opposite the needle and first and second strands extending between the closed end and the needle. At least one of the first and second strands includes one or more tissue-grasping elements provided thereon. For instance, tissue-grasping elements may be provided on inner, outer, or both inner and outer lateral surfaces of the first and second strands.
【0012】The closed end of the tissue-grasping device is not provided with any tissue-grasping elements. The first strand includes a first portion proximate the needle and a second portion proximate the closed end. Both the first and second portions of the first strand do not have tissue-grasping elements thereon. Likewise, the second strand has a first portion proximate the needle and a second portion proximate the closed end, neither of which has tissue-grasping elements thereon.
【0013】
The tissue-grasping elements each include a leading edge proximate to the needle and a trailing edge distal to the needle. The leading and trailing edges have a concaved shape where they merge with the looped suture. In one embodiment, the concaved shape of the trailing edge forms a recess which extends laterally into the looped suture. The tissue-grasping elements are substantially shark fin-shaped in another embodiment. Yet another embodiment has a trailing edge which includes a plurality of serrations thereon.」
(当審訳:発明の概要
【0011】組織把持装置は、針と針に取付けた縫合糸を含んでいる。ループ状縫合糸は、針に対向する閉じられた端部と閉鎖端部と針との間に延びる第1および第2の糸を有している。第1および第2の糸のうちの少なくとも1つは、1つ又はそれ以上の組織保持要素が設けられている。例えば、組織把持要素は、第1および第2の糸の内側、外側、または内側と外側の両方の側面に設けてもよい。
【0012】組織把持装置の閉じられた端部は、任意の組織把持要素が設けられていない。第1の糸は針に近接する第1部分と、閉鎖端に隣接した第2部分とを含む。第1の糸の第1部分と第2部分は、組織把持要素を有していない。同様に、第2の糸は、針に隣接する第1の部分と閉鎖端部の近くの第2の部分は、組織把持要素を有している。
【0013】組織把持要素は、針に隣接して前縁と針の遠位側後縁を含む。前縁及び後縁は、ループ状縫合糸とが交差する形状を有している。一実施形態では、後縁の凹面形状は、ループ状縫合糸に横方向に延在する凹部を形成する。組織把持要素は、別の実施形態では、実質的にサメのひれの形状をしている。さらに別の実施形態は、その上に複数の鋸歯を備えた後縁を有する。)

「【0032】Still referring to FIG. 1 , the elongated body 12 is arranged to form a looped suture 14 having a closed end 16 and two legs, or strands 18 , 20 , which extend in a substantially axial direction away from the closed end 16 and terminate in free ends 22 , 24 , respectively. Each of the strands 18 , 20 has an outer lateral surface distal to the other strand, and an inner lateral surface proximate to the other strand. The free ends 22 , 24 of the strands 18 , 20 are secured together and affixed to a needle 26 .」
(当審訳:【0032】さらに図1を参照すると、細長い本体12は、閉鎖端16及び2本の脚部、又は糸18及び20、閉端部16から離れる方向にほぼ軸方向に延在するループ状縫合糸14を形成し、自由端22、24において終端をなしているように配置されている。糸18、20の各々は、他の糸の遠位にある外表面と、他方の糸に近接する内周面を有している。糸18、20の自由端22、24は、互いに固定され、針26に取り付けられている。)

「【0057】Reference is now made to FIGS.4,5 and 6, which illustrate one such alternate embodiment of the looped tissue-grasping device of the present invention. In describing this alternate embodiment, elements which correspond to elements described above in connection with the embodiment of FIG. 1 will be designated by corresponding reference numerals increased by three hundred. Unless otherwise specified, the alternate embodiment of FIGS. 4,5 and 6, is constructed and operates in the same manner as the embodiment of FIG. 1 .
【0058】Referring still to FIGS. 4,5 and 6, a looped tissue-grasping device 310 includes an elongated body 312 from which a loop having two strands is formed. For the sake of clarity, only the strand 318 is shown in FIGS. 4,5 and 6, with the understanding that the strand 320 ,while not shown, is constructed and operates in the same manner as the strand 318 . Tissue-grasping elements 328 are formed on the elongated body 312 in a 'shark fin' shape. More particularly, as illustrated in FIG. 5, each of the tissue-grasping elements 328 includes a gradually-sloping fillet 336 on a leading edge 337 thereof and an enlarged (i.e., widened) radius 338 on a trailing edge 339 thereof. The radius 338 is curved so as to reduce stress concentration. An elongated space 340 is provided between each of the trailing edges 339 and the strand 318 .
【0059】The fillet 336 provides the tissue-grasping elements 328 with a low profile, which reduces the insertion forces exerted on the tissue-grasping elements 328 during suturing. The tissue-grasping elements 328 also maintain high tissue-holding strength by capturing a large volume of tissue in the elongated space 340. The fillet 336 includes additional material, which increases the bending resistance of the tissue-grasping elements 328.」
(【0057】図4、図5及び図6を参照すると、本発明のループ状の組織把持装置の代替的な実施形態の1つを示している。この代替的な実施形態を説明する際に、図1の実施形態に関連して上述した要素に対応する参照番号に300番代に増やして示す。特に明記しない限り、図4、図5及び図6の代替の実施形態は、図1の実施形態と同様に動作する。
【0058】図4、図5及び図6を参照すると、ループ状の組織把持装置310は、細長い本体312の2本の糸を有するループが形成されている。分かりやすくするために、糸318は、図4、図5及び図6に図示され、糸320は図示しないが、糸318と同様に構成され動作する。組織把持要素328は、細長い本体312に「サメのひれ」形状に形成されている。より具体的には、図5に示すように、組織把持要素328の各々は、前縁337に徐々に傾斜するフィレット336及び後縁339に拡大(すなわち、拡開)された円弧338を有している。円弧338が湾曲しているため、応力集中を低減することができる。細長の空間340が、後縁339と糸318とのそれぞれの間に設けられている。
【0059】フィレット336は、低プロファイルを有する組織把持要素328を提供し、縫合中の組織把持要素328に加えられる挿入力を減少させる。組織把持部材328はまた、細長の空間340に大量の組織を捕捉することにより、高い組織把持強度を維持する。フィレット336は、組織把持要素328の曲げ抵抗を増加させる付加的な材料を含む。)

「FIG.1


「FIG.5



イ 上記記載及び図面から、引用文献には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
FIG.5から、糸318から外方に複数の組織把持要素328が延出し、前記組織把持要素328は、前記糸318と接続される接続部と、前記接続部から離間配置された先端部と、前記接続部と前記先端部との間に延在し、前記糸318より離れる方を向いている外縁があることは明らかである。
FIG.5から、組織把持要素328の前縁337の徐々に傾斜するフィレット336には、凹状部が形成されていること、及び前記凹状部より前記先端部側の前縁337には、凸状部が形成されていることが看取できる。

ウ 上記ア、イから、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「糸318から外方に組織把持要素328が複数延出し、前記組織把持要素328は、前記糸318と接続される接続部と、前記接続部から離間配置された先端部と、前記接続部と前記先端部との間に延在し、前記糸318より離れる方を向いている外縁を有し、組織把持要素328の前縁337の徐々に傾斜するフィレット336には、凹状部が形成され、前記凹状部より前記先端部側の前縁337には、凸状部が形成されている組織把持装置310。」

(4)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「組織把持装置310」は、その文言及び意味から本件補正発明における「創傷閉鎖装置」に相当する。
同様に「糸318」は近位端及び遠位端を有することは明らかであるから「近位端と遠位端とを有するフィラメント状要素」に、「糸318」から外方に複数延出している「組織把持要素328」は「フィラメント状要素から外方に延出している複数のとげ」に、「組織把持要素328」の「糸318」と接続される「接続部」は「フィラメント状要素と接続された基底部」に、「接続部から離間配置された先端部」は「基底部から離間配置された先端部」に、「接続部」と「先端部」との間に延在し、「糸318より離れる方を向いている外縁」は「前記基底部と前記先端部との間に延在しフィラメント状要素から離れる方を向いている外縁」に相当する。
また、引用発明の「組織把持要素328の前縁337に徐々に傾斜するフィレット336」の「凹状部」及び「凹状部より前記先端部側の前縁337」に形成された「凸状部」は、本件補正発明の「前記とげの遷移点との間に延在する凹面を有する第1部分」及び「前記とげの前記遷移点と前記とげの前記先端部との間に延在する凸面を有する第2部分」と、「凹面を有する第1部分」及び「凸面を有する第2部分」を有する点で一致する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「創傷閉鎖装置であって、
近位端と遠位端とを有するフィラメント状要素と、
前記フィラメント状要素から外方に延出している複数のとげと、を備え、前記とげのそれぞれは、前記フィラメント状要素と接続された基底部と、前記基底部から離間配置された先端部と、前記基底部と前記先端部との間に延在しフィラメント状要素から離れる方を向いている外縁と、を有し、前記外縁は、凹面を有する第1部分と、凸面を有する第2部分とを有する、創傷閉鎖装置。」
【相違点】
(ア)相違点1
本件補正発明の「外縁」は「遷移点」を備え、「凹面を有する第1部分」が「前記基底部と前記とげの遷移点との間に延在」し、「凸面を有する第2部分」が「前記とげの前記遷移点と前記とげの前記先端部との間に延在」しているのに対して、引用発明は「遷移点」を備えているか一見不明であり、「凹状部」が「接続部」と「遷移点」との間に延在し、「凸状部」が「遷移点」と「先端部」との間に延在しているか不明である点。

(イ)相違点2
本件補正発明は、「凹面が、約0.19?0.64センチメートル(0.075?0.25インチ)の半径を有し、前記とげの前記第2部分の前記凸面が、約0.13?0.25センチメートル(0.05?0.1インチ)の半径を有」しているのに対して、引用発明は「凸状部」及び「凹状部」の大きさが特定されていない点。

(ウ)相違点3
本件補正発明は、「前記とげが、前記フィラメント状要素の長手方向軸と約10?49度の鋭角を画定する長手方向軸に沿って延在」しているのに対して、引用発明は、「糸318」から「組織把持要素328」がどのように延在しているか特定されていない点。

(5)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明において、組織把持要素328の凹状部から凸状部に移行する領域に、曲がり方向が変わる遷移領域が存在することは自明であるから、引用発明は、「凹状部」が「接続部」と「遷移領域」との間に延在し、「凸状部」が「遷移領域」と「先端部」との間に延在しているといえる。そして、遷移領域の大きさは、組織把持要素328、凹状部及び凸状部のそれぞれの形状等を考慮して当業者が必要に応じて設定し得る設計事項にすぎず、遷移領域を遷移点とすることにより、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明は、「フィレット336は、低プロファイルを有する組織把持要素328を提供し、縫合中の組織把持要素328に加えられる挿入力を減少させる。組織把持部材328はまた、細長の空間340に大量の組織を捕捉することにより、高い組織保持強度を維持する。」(【0059】)ことを目的とするものであり、当該目的を達成するために、「凸状部」及び「凹状部」の大きさをどの程度にするかは、組織把持装置310が縫合する組織の状態や、組織把持要素328の材料の弾性率等の特性に応じて当業者が適宜設定し得る設計事項にすぎず、「とげの前記第1部分の前記凹面が、約0.19?0.64センチメートル(0.075?0.25インチ)の半径を有し、前記とげの前記第2部分の前記凸面が、約0.13?0.25センチメートル(0.05?0.1インチ)の半径を有する」ことに格別な効果は認められない。

ウ 相違点3について
引用文献のFIG.5によれば、「フィレット336」は、「糸318」に対して鋭角であると認められるところ、上記イで指摘した引用発明の目的である「縫合中の組織把持要素328に加えられる挿入力を減少させる。」ため及び把持力を考慮し、引用発明において、「フィレット336」を「糸318」の長手方向軸と約10?49度の鋭角を画定する長手方向軸に沿って延在するように構成することは、当業者であれば容易になし得たことである。

エ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年6月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成29年10月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(3)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献:米国特許出願公開第2008/0281357号明細書

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項は、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「とげ」の形状に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-06 
結審通知日 2019-09-10 
審決日 2019-09-27 
出願番号 特願2015-532118(P2015-532118)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 沼田 規好宮下 浩次  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 関谷 一夫
莊司 英史
発明の名称 組織の通過を容易にし保持強度を高める凹凸とげを有するとげ付き縫合糸  
代理人 加藤 公延  
代理人 大島 孝文  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ