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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  G06Q
管理番号 1373791
異議申立番号 異議2021-700118  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-06-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-02 
確定日 2021-04-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第6736038号発明「予約一元管理装置、予約一元管理プログラム、及び予約一元管理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6736038号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6736038号の請求項1?5に係る特許についての出願は、令和元年5月13日に出願され、令和2年7月17日にその特許権の設定登録がされ、令和2年8月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年2月2日に特許異議申立人 鬼頭厘早(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立て(以下、「異議申立て」という。)を行った。

第2 本件発明
特許第6736038号の請求項1?5の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】
卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイトを管理する複数のWebサーバ装置と通信可能な予約一元管理装置であって、
前記複数のWebサーバ装置のうちのいずれかのWebサーバ装置から、予約日、前記予約における時間帯、人数及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む予約情報を取得する取得部と、
前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて単位時間毎に管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報を格納する格納部と、
前記在庫関係情報における、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する予約処理部と、
更新した前記在庫情報に基づいて、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置に対して、前記複数のWebサーバ装置が格納する在庫情報を更新するように制御する更新制御部と、
を備え、
前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理部は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記 第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる
ことを特徴とする予約一元管理装置。
【請求項2】
前記更新制御部は、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置が格納する予約対象の在庫情報に対して、予約日時が到来した予約情報に対応する在庫を開放する
ことを特徴とする請求項1に記載の予約一元管理装置。
【請求項3】
卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイトを管理する複数のWebサーバ装置と通信可能なコンピュータに、
前記複数のWebサーバ装置のうちのいずれかのWebサーバ装置から、予約日、前記予約における時間帯、人数及び前記予約対象の種別を示す対象タイプを含む予約情報を取得する取得処理と、
前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて単位時間毎に管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報に対して、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する予約処理と、
更新した前記在庫情報に基づいて、前記単位時間毎に、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置に対して、前記複数のWebサーバ装置が格納する在庫情報を更新するように制御する更新制御処理と、
を実行させ、
前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる
ことを特徴とする予約一元管理プログラム。
【請求項4】
前記更新制御処理は、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置が格納する予約対象の在庫情報に対して、予約日時が到来した予約情報に対応する在庫を開放する
ことを特徴とする請求項3に記載の予約一元管理プログラム。
【請求項5】
卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイトを管理する複数のWebサーバ装置と通信可能なコンピュータが、
前記複数のWebサーバ装置のうちのいずれかのWebサーバ装置から、予約日、前記予約における時間帯、人数及び前記予約対象の種別を示す対象タイプを含む予約情報を取得する取得処理と、
前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて単位時間毎に管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報に対して、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する予約処理と、
更新した前記在庫情報に基づいて、前記単位時間毎に、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置に対して、前記複数のWebサーバ装置が格納する在庫情報を更新するように制御する更新制御処理と、
を実行し、
前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる
ことを特徴とする予約一元管理方法。

第3 申立理由
申立人は、概略、以下のとおり主張している。

1 提出証拠
甲第1号証:特開2020-087395号公報(特願2018-234019号)(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:特開2009-199299号公報(以下、「甲2」という。)

2 申立人の主張の概要
(1)取消理由(甲1発明に基づく拡大先願)
本件発明1?5は、その出願の日前の他の特許出願であって本件特許の出願後に出願公開(甲第1号証)がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)と同一であり、その発明者が本件発明の発明者と同一でなく、その出願人が本件特許の出願時において、本件特許の出願人と同一でないから、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり、本件発明1?5に係る特許は同法第113条第2項に該当し、取り消されるべきである。

第4 甲号証の記載
1 甲1(特開2020-087395号公報)
(1)甲1における記載(下線部は当審で付与した。以下、同様。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店の予約を管理する予約管理システム、予約管理方法、及び予約管理プログラムに関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特定の飲食店の予約を受け付け可能な予約サイトが複数存在する場合、当該飲食店に対する予約が重複して行われるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、飲食店に対する予約の重複を防ぐことが可能な予約管理システム、予約管理方法、及び予約管理プログラムを提供することにある。」

「【0012】
[予約管理システム100]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る予約管理システム100は、予約管理装置1と複数の事業者サーバ2とを含む。予約管理装置1と各事業者サーバ2とは、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網N1を介して通信可能である。なお、予約管理装置1は、事業者サーバ2であってもよく、この場合、予約管理装置1は事業者サーバ2の機能も備える。事業者サーバ2の数は限定されないが、以下では一例として、2台の事業者サーバ2A、2Bを挙げて説明する。予約管理システム100及び予約管理装置1はそれぞれ、本発明の予約管理システムの一例である。事業者サーバ2Aは本発明の第1事業者サーバの一例であり、事業者サーバ2Bは本発明の第2事業者サーバの一例である。
【0013】
事業者サーバ2Aは、第1事業者(以下、「A社」という。)が運営するWEB予約サイト(以下、第1予約サイトという。)を管理するWEBサーバであり、事業者サーバ2Bは、第2事業者(以下、「B社」という。)が運営するWEB予約サイト(以下、第2予約サイトという。)を管理するWEBサーバである。事業者サーバ2Aは、利用者端末から取得する要求に応じて、複数の飲食店の情報を含む第1予約サイトのWEBページを利用者端末のブラウザ上に表示させ、第1予約サイトに含まれる予約画面において利用者から所望の飲食店の予約を受け付ける。同様に、事業者サーバ2Bは、利用者端末から取得する要求に応じて、複数の飲食店の情報を含む第2予約サイトのWEBページを利用者端末のブラウザ上に表示させ、第2予約サイトに含まれる予約画面において利用者から所望の飲食店の予約を受け付ける。事業者サーバ2Aは、例えばA社が提携する飲食店の予約を受け付けることが可能であり、事業者サーバ2Bは、例えばB社が提携する飲食店の予約を受け付けることが可能である。A社及びB社が同一の飲食店と提携した場合は、事業者サーバ2A、2Bはそれぞれ同一の飲食店の予約を受け付けることが可能となる。
【0014】
ここで、利用者が飲食店S1を予約する場合の手順の一例を示す。図2Aには、A社の第1予約サイトにおける飲食店S1の予約画面D1を示している。予約画面D1には、利用者が飲食店に来店する来店日(利用日)、予約対象である席(テーブル、個室など)、予約可能時間などが含まれる。第1利用者U1は、自身の利用者端末により第1予約サイトにアクセスし、当該利用者端末に表示される予約画面D1において予約操作を行う。例えば、第1利用者U1は、所望の席及び時間帯の空席マーク(「〇」)をクリックして予約情報の入力を行う。」
「【図2A】



「【0015】
図2Bには、B社の第2予約サイトにおける飲食店S1の予約画面D2を示している。予約画面D2には、来店日、予約対象、予約可能時間などが含まれる。第2利用者U2は、自身の利用者端末により第2予約サイトにアクセスし、当該利用者端末に表示される予約画面D2において予約操作を行う。例えば、第2利用者U2は、所望の席及び時間帯の空席マーク(「〇」)をクリックして予約情報の入力を行う。」
「【図2B】



「【0016】
このように、第1利用者U1及び第2利用者U2がそれぞれ第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれを通じて同一の飲食店S1を予約することが可能な構成では、従来、以下の問題が生じる場合がある。図3は、第1利用者U1が予約画面D1において「個室(4名用)」を「19:00?22:00」で予約した状態を示している。この場合、第1予約サイトには、該当する時間帯の予約の受け付けを不許可とする満席マーク(「×」)が表示される。しかし、第2予約サイトでは、前記満席マークが表示されず、空席マーク(「〇」)が表示されて予約可能な状態が維持される(図2B参照)。このため、例えば第2利用者U2が予約画面D2(図2B)において「個室(4名用)」を「19:00?21:00」で予約した場合、第1利用者U1の前記予約と重複する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る予約管理システム100によれば、飲食店に対する予約の重複を防ぐことが可能である。」
「【図3】



「【0017】
[予約管理装置1]
予約管理装置1は、事業者サーバ2A、2Bを管理する。例えば、予約管理装置1は、第1予約サイトを通じて受け付けられた飲食店S1の予約と、第2予約サイトを通じて受け付けられた飲食店S1の予約とを管理し、これらの予約に基づいて飲食店S1の予約状況を管理する。
【0018】
図1に示されるように、予約管理装置1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信I/F14などを備える。予約管理装置1は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であってもよい。また、予約管理装置1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。」
「【0021】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12は、予約対象情報121及び予約状況122を含む。図4は予約対象情報121の一例を示す図であり、図5は予約状況122の一例を示す図である。」

「【0022】
図4に示されるように、予約対象情報121には、A社及びB社のそれぞれが提携する複数の飲食店の予約対象情報が登録される。例えば、予約対象情報121には、複数の飲食店に関する、飲食店名、予約対象、個数、及び予約可能時間の情報が登録される。前記飲食店名は、飲食店の名前である。前記予約対象は、飲食店に配置される席であり、例えばテーブル、個室などである。なお、前記席は、利用可能な人数が設定されている。例えば飲食店S1の予約対象として、2名用のテーブル(「テーブル(2名用)」)、4名用のテーブル(「テーブル(4名用)」)、4名用の個室(「個室(4名用)」)、6名用の個室(「個室(6名用)」)が登録される。前記個数は、飲食店に配置される前記予約対象の個数である。前記予約可能時間は、飲食店の利用者が利用可能な時間であり、飲食店ごとに予め設定されている。例えば飲食店S1では、18:00?23:00の間で1時間ごと(1時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S2では、18:00?23:00の間で2時間ごと(2時間単位)に予約可能に設定されている。また飲食店S3のように、テーブル及び個室で互いに異なる予約可能時間が設定されてもよい。予約対象情報121の各情報は、事業者サーバ2A、2Bのそれぞれの記憶部22に記憶される予約対象情報221の各情報に対応して更新される。」
「【図4】



「【0023】
予約状況122には、A社及びB社のそれぞれが提携する複数の飲食店の予約状況が登録される。図5には、飲食店S1の「2018年12月25日」の予約状況を示している。例えば、予約状況122には、飲食店名、予約対象、個数、予約可能時間、及び予約数の情報が登録される。予約状況122に含まれる前記飲食店名、前記予約対象、前記個数、及び前記予約可能時間は、予約対象情報121(図4参照)に含まれる各情報に対応している。前記予約数は、前記予約対象に対する前記予約可能時間ごとの予約が行われた数(予約済数)である。飲食店S1に対して未だ予約が行われていない場合は、図5に示すように、予約状況122の各予約数に「0」が登録される。図6には、飲食店S1に対して複数の予約が行われた「2018年12月20日」の予約状況を示している。例えば、図6に示す予約状況122において、「テーブル(2名用)」では、全ての時間帯で最大個数「4」の予約数が登録されており、満席状態であることを示している。また例えば、「テーブル(4名用)」では、「20:00」及び「21:00」の時間帯で残り2個(2席)が予約可能(空席)であることを示している。予約状況122の情報は、第1予約サイト又は第2予約サイトを通じて予約が行われる度に制御部11により更新される。」
「【図5】

【図6】


図5、6によれば、飲食店名、予約対象、個数、予約可能時間、及び予約数の登録は、それぞれを関係付けてすることが見てとれる。
図6によれば、「テーブル(2名用)」の「個数」は「4」であり、全ての時間帯の「予約数」に「4」が登録されていること、「テーブル(4名用)」の「個数」は「6」であり、「20:00」及び「21:00」の時間帯の「予約数」に「4」が登録されていることが見てとれる。

「【0024】
また予約状況122は、第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれに反映される。すなわち、予約状況122が更新されると、第1予約サイト及び第2予約サイトに含まれる予約画面D1、D2の予約状況(予約可否情報)が更新される。」

「【0027】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより予約管理装置1を制御する。
【0028】
具体的に、制御部11は、図1に示されるように、管理処理部111、判定処理部112、更新処理部113、及び通知処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記予約管理プログラムに従った各種の処理を実行することによって、管理処理部111、判定処理部112、更新処理部113、及び通知処理部114として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記予約管理プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0029】
管理処理部111は、第1事業者が運営する第1予約サイト及び第2事業者が運営する第2予約サイトのそれぞれを通じて予約可能な予約対象の予約状況を表す予約状況を管理する。管理処理部111は、本発明の管理処理部の一例である。例えば、管理処理部111は、A社が運営する第1予約サイト及びB社が運営する第2予約サイトのそれぞれを通じて予約可能な予約対象である「テーブル(2名用)」、「テーブル(4名用)」、「個室(4名用)」、「個室(6名用)」の予約状況を管理する。「テーブル(2名用)」、「テーブル(4名用)」、「個室(4名用)」、「個室(6名用)」のそれぞれは、本発明の第1予約対象の一例であり、各予約対象の予約状況は、本発明の第1予約状況の一例である。
【0030】
例えば、管理処理部111は、予約対象情報121(図4参照)から各予約対象及び予約可能時間の情報を抽出して予約状況122に登録する。管理処理部111は、飲食店ごとに、予約状況122に各情報を登録して管理する。
【0031】
判定処理部112は、前記予約対象に対する予約が行われたか否かを判定する。判定処理部112は、本発明の判定処理部の一例である。具体的には、判定処理部112は、事業者サーバ2(事業者サーバ2A、2Bなど)から通知される予約情報(後述)を取得したか否かを判定し、当該予約情報を取得した場合に前記予約対象に対する予約が行われたと判定する。」
【0032】
更新処理部113は、判定処理部112により前記予約対象に対する前記予約が行われたと判定された場合に、第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれに反映される予約状況122を更新する。更新処理部113は、本発明の更新処理部の一例である。
【0033】
例えば、飲食店S1の全て(4個)の「テーブル(2名用)」に対して「18:00?23:00」の全ての時間帯で予約が行われた場合に、更新処理部113は、「テーブル(2名用)」に対する予約の受け付けが不許可となるように(図7A及び図7B参照)、前記予約状況122の予約数に最大個数「4」を登録する(図6参照)。
【0034】
ここで、図6に示すように、各予約対象には、予約可能な複数の時間帯が設定されている。例えば、飲食店S1に配置される4個の「テーブル(2名用)」のそれぞれについて、「18:00」、「19:00」、「20:00」、「21:00」、「22:00」、「23:00」の6個の時間帯が設定されている。この場合において、例えば全て(5個)の「個室(6名用)」に対して、複数の時間帯のうち第1時間帯(「20:00」)の予約が行われた場合に、更新処理部113は、第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれにおいて、「個室(6名用)」に対する「20:00」の予約の受け付けが不許可となるように(図7A及び図7B参照)、予約状況122の「20:00」の予約数に最大個数「5」を登録する。
【0035】
なお、利用者が前記予約画面において利用開始時刻と利用終了時刻とを入力することが可能な場合には、更新処理部113は、予約状況122において、前記利用開始時刻と前記利用終了時刻とを含む時間帯の予約数を更新する。また、1個の予約に対して所定の利用可能時間が設定されている場合には、更新処理部113は、予約状況122において、前記利用可能時間に対応する時間帯の予約数を更新する。
【0036】
通知処理部114は、更新処理部113により更新される予約状況122の更新情報を、更新対象の飲食店の情報を予約サイトに掲載する各事業者の事業者サーバ2に通知する。通知処理部114は、本発明の通知処理部の一例である。ここでは、通知処理部114は、図6に示す予約状況122に対応する更新情報を、事業者サーバ2A、2Bのそれぞれに通知する。具体的には、通知処理部114は、予約対象が満席の時間帯については予約の受け付けを不許可とする受付不許可の通知を事業者サーバ2A、2Bのそれぞれに通知し、予約対象が空席の時間帯については予約の受け付けを許可する受付許可の通知を事業者サーバ2A、2Bのそれぞれに通知する。なお、更新処理部113及び通知処理部114は、一つの予約が行われる度(予約情報を取得する度)に、更新処理及び通知処理を実行する。
【0037】
また、前記予約画面に予約対象の残りの予約可能数(残席数)が表示される場合は、通知処理部114は、前記更新情報として、各予約対象の残席数の情報を事業者サーバ2A,2Bのそれぞれに通知する。」

「【0038】
[事業者サーバ2]
図1に示されるように、事業者サーバ2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信I/F24などを備える。事業者サーバ2は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であってもよい。」
「【0045】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより事業者サーバ2を制御する。
【0046】
具体的に、制御部21は、図1に示されるように、表示処理部211、受付処理部212、予約処理部213、及び通知処理部214などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記予約プログラム及び前記表示プログラムに従った各種の処理を実行することによって、表示処理部211、受付処理部212、予約処理部213、及び通知処理部214として機能する。また、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記予約プログラム及び前記表示プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。」
「【0050】
通知処理部214は、予約処理部213により予約処理が行われると、当該予約に関する予約情報を予約管理装置1に通知する。例えば、通知処理部214は、飲食店S1の1個の「個室(4名用)」に対して「19:00」の時間帯で予約が完了したことを示す予約情報を予約管理装置1に通知する。
【0051】
なお、利用者が前記予約画面において利用開始時刻と利用終了時刻とを入力することが可能な場合には、通知処理部214は、前記利用開始時刻及び前記利用終了時刻の情報を含む前記予約情報を予約管理装置1に通知する。また、1個の予約に対して所定の利用可能時間が設定されている場合には、通知処理部214は、前記利用可能時間に対応する時間帯の情報を含む前記予約情報を予約管理装置1に通知する。
【0052】
表示処理部211は、さらに、予約管理装置1から前記更新情報を取得すると、当該更新情報に基づいて、前記予約サイトに含まれる前記予約画面の予約状況(予約可否情報)を更新する。例えば、事業者サーバ2Aの表示処理部211は、予約管理装置1から前記更新情報を取得すると、当該更新情報に基づいて、図7Aに示すように第1予約サイトに含まれる予約画面D1の予約状況を更新する。また事業者サーバ2Bの表示処理部211は、予約管理装置1から前記更新情報を取得すると、当該更新情報に基づいて、図7Bに示すように第2予約サイトに含まれる予約画面D2の予約状況を更新する。例えば、事業者サーバ2Aの表示処理部211及び事業者サーバ2Bの表示処理部211は、第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれの予約画面D1、D2において、予約の受け付けを不許可とする予約対象については満席マーク(「×」)を表示させ、予約の受け付けを許可する予約対象については空席マーク(「○」)を表示させる。これにより、第1予約サイト及び第2予約サイトのそれぞれの予約画面D1、D2において、同一の予約状況が表示される。なお、表示処理部211は、前記予約画面に予約対象の残りの予約可能数(残席数)を表示してもよい。」

「【0075】
本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態に対応する変形例について以下に説明する。また、以下の説明では、上記実施形態の構成と共通の構成については、上記実施形態の構成と同じ符号を付し示すことにより、その説明を省略し、また、作用及び効果について重複する説明を省略する。」

「【0076】
[変形例1]
図4に示すように、各飲食店には、利用可能人数が同一である複数の予約対象が配置されている。例えば、飲食店S1には、利用可能人数が4名のテーブルが6個配置されている。変形例1に係る予約管理システム100では、第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに、第1予約対象(例えば「テーブル(4名用)」)を予約可能な数であるの予約枠が予め割り当てられてもよい。予約状況122には、前記予約枠に関する予約枠情報が含まれる。図11は、変形例1に係る予約状況122の一例を示す図である。例えば図11の予約状況122に示すように、「テーブル(4名用)」に対して、A社には5個の予約枠が割り当てられ、B社には4個の予約枠が割り当てられる。利用者は、第1予約サイトを通じて各時間帯において最大5個の「テーブル(4名用)」を予約可能である。また利用者は、第2予約サイトを通じて各時間帯において最大4個の「テーブル(4名用)」を予約可能である。
【0077】
上記構成において、所定数の第1予約対象に対する予約が行われた場合に、更新処理部113は、A社及びB社のそれぞれに割り当てられた前記予約枠の数又は比率(割合)に基づいて、前記第1予約サイト及び前記第2予約サイトのそれぞれに反映される少なくともいずれかの予約状況に含まれる前記予約枠の数を更新する。なお、更新処理部113は、予約状況122において、前記予約の受け付けの許否に対応する前記予約数及び前記予約枠の情報を更新する。また、更新処理部113は、更新した前記予約枠の数に基づいて、予約状況122において、前記予約の受け付けの許否に対応する前記予約数を更新する。
【0078】
第1の例として、6個の「テーブル(4名用)」のうち同一時間帯の2個の予約が行われた場合、「テーブル(4名用)」の残りの予約可能数は4個となる。この場合、A社の予約枠は5個に設定されているため、更新処理部113は、予約状況122に含まれるA社の残りの予約枠を4個に更新する。一方、B社の予約枠は4個に設定されているため、更新処理部113は、予約状況122に含まれるB社の予約枠を4個のまま更新しない。
【0079】
第2の例として、6個の「テーブル(4名用)」のうち同一時間帯の3個の予約が行われた場合、「テーブル(4名用)」の残りの予約可能数は3個となる。この場合、更新処理部113は、A社の残りの予約枠を3個に更新し、B社の残りの予約枠を3個に更新する。
【0080】
第3の例として、6個の「テーブル(4名用)」のうち同一時間帯の1個の予約が行われた場合、「テーブル(4名用)」の残りの予約可能数は5個となる。この場合、A社の予約枠は5個に設定されており、B社の予約枠は4個に設定されているため、それぞれの予約サイトにおいて、予め割り当てられた前記予約枠の予約が可能である。このため、更新処理部113は、予約状況122に含まれるA社の予約枠及びB社の予約枠を更新しない。
【0081】
なお、上述の処理は、A社に割り当てられる前記予約枠の数とB社に割り当てられる前記予約枠の数との合計数が、飲食店S1に配置される予約対象の数より多い場合、すなわち予約対象に対する予約可能数の合計が予約対象の数を上回る場合に実行される。
【0082】
上述の変形例1に係る予約管理システム100は、以下の構成として表すことができる。
【0083】
すなわち、飲食店S1には、利用可能人数が同一であるLa個の第1予約対象が配置されている。また第1事業者には前記第1予約対象を予約可能なM個(但し、M≦Laとする。)の前記予約枠が割り当てられており、第2事業者には前記第1予約対象を予約可能なN個(但し、M>Nとする。)の前記予約枠が割り当てられている。ここで、予約処理部213によりLb個の前記第1予約対象に対する予約が行われた場合に、更新処理部113は以下の処理を実行する。
【0084】
例えば、(La-Lb)≧Mの場合(前記第3の例に対応)、更新処理部113は、前記第1予約サイト及び前記第2予約サイトのそれぞれに反映される予約状況122に含まれる前記予約枠の数を更新しない。また(La-Lb)<M、かつ(La-Lb)≧Nの場合(前記第1の例に対応)、更新処理部113は、前記第1予約サイトに反映される予約状況122に含まれる前記予約枠の数を更新し、前記第2予約サイトに反映される予約状況122に含まれる前記予約枠の数を更新しない。また(La-Lb)<M、かつ(La-Lb)<Nの場合(前記第2の例に対応)、更新処理部113は、前記第1予約サイト及び前記第2予約サイトのそれぞれに反映される予約状況122に含まれる前記予約枠の数を更新する。
【0085】
ここで、予約管理システム100では、予約管理装置1が利用者から予約を受け付けてもよい。この構成では、予約管理装置1は、前記予約処理及び前記予約管理処理を行い、前記更新情報を事業者サーバ2A、2Bのそれぞれに通知する。この構成において、例えば、第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに、第1予約対象(例えば「テーブル(4名用)」)を予約可能な数であるの予約枠が予め割り当てられている場合に、更新処理部113は、以下の更新処理を行ってもよい。例えば、6個の「テーブル(4名用)」に対して、A社には4個の予約枠が割り当てられ、B社には2個の予約枠が割り当てられている場合において、利用者から3個の「テーブル(4名用)」の予約が行われた場合に、更新処理部113は、A社及びB社のそれぞれに割り当てられた前記予約枠の比率(4:2)に基づいて、A社の予約枠のうち2個(=3×4÷6)を予約済みに更新し、B社の予約枠のうち1個(=3×2÷6)を予約済みに更新する。このように、予約管理装置1は、受け付けた予約数を、各事業者に予め割り当てられた前記予約枠の比率に応じて振り分けてもよい。」
「【図11】



「【0086】
[変形例2]
変形例2に係る予約管理システム100では、第1事業者(A社)に、1個の予約により飲食店を利用可能な利用可能時間(予約単位時間)を表す第1基準時間枠が予め設定されており、第2事業者(B社)に、1個の予約により飲食店を利用可能な利用可能時間を表す、前記第1基準時間枠とは異なる第2基準時間枠が予め設定されている。記憶部12には、図12に示す基準時間枠情報123が記憶される。例えば図12に示すように、A社の基準時間枠は「2時間」に設定され、B社の基準時間枠は「3時間」に設定されている。利用者はA社の第1予約サイトを通じて予約する際は2時間単位で予約が可能であり、B社の第2予約サイトを通じて予約する際は3時間単位で予約が可能である。
【0087】
上記構成において、1個の予約対象に対するMa個の時間枠の予約が行われた場合に、更新処理部113は、前記第1予約サイトに反映される予約状況122に含まれる時間枠をMa個減少させ、前記第2予約サイトに反映される予約状況122に含まれる時間枠を、前記第1基準時間枠と前記第2基準時間枠との比率に応じた数だけ減少させる。具体的には、更新処理部113は、前記第2予約サイトに反映される予約状況122に含まれる前記時間枠を、前記第1基準時間枠に前記Maを乗算して得られた値を前記第2基準時間枠で除算して小数点以下を切り上げて得られた数だけ減少させる。
【0088】
例えば、1個の「テーブル(4名用)」に対して2個(Ma)の時間枠(4時間分)の予約が行われた場合に、更新処理部113は、前記第1予約サイトに反映される予約状況122に含まれる時間枠を2個減少させる。一方、更新処理部113は、前記第2予約サイトに反映される予約状況122に含まれる前記時間枠を、前記第1基準時間枠「2時間」に予約数「2」を乗算して得られた値(「4」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「2」)だけ減少させる。これにより、第1予約サイトでは4時間分が予約済み(受付不許可)となり、第2予約サイトでは6時間分が予約済み(受付不許可)となる。
【0089】
他の例として、前記第1基準時間枠が「4時間」に設定され、前記第2基準時間枠が「3時間」に設定されている場合において、1個の「テーブル(4名用)」に対して2個(Ma)の時間枠(8時間分)の予約が行われた場合に、更新処理部113は、前記第1予約サイトに反映される予約状況122に含まれる時間枠を2個減少させる。一方、更新処理部113は、前記第2予約サイトに反映される予約状況122に含まれる前記時間枠を、前記第1基準時間枠「4時間」に予約数「2」(Ma)を乗算して得られた値(「8」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「3」)だけ減少させる。これにより、第1予約サイトでは8時間分が予約済み(受付不許可)となり、第2予約サイトでは9時間分が予約済み(受付不許可)となる。
【0090】
上述の構成によれば、予約単位時間が異なる複数の予約サイトにおいても確実に重複予約を防止することが可能となる。」
「【図12】



(2)甲1発明
上記(1)から、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

「複数の事業者サーバと通信可能な予約管理装置であって(【0012】)、
各事業者サーバは、それぞれ、予約サイトを管理し、予約サイトのWEBページを利用者端末のブラウザ上に表示させ、予約サイトに含まれる、予約対象である席(テーブル、個室など)や来店日が含まれる予約画面において、例えば、利用者が所望の席及び時間帯の空席マーク(「〇」)をクリックして予約情報の入力を行うことにより、利用者から所望の飲食店の予約を受け付け(【0013】?【0015】、【図2A】、【図2B】)、
事業者サーバの予約処理部により予約処理が行われると通知される予約に関する予約情報であって、例えば、飲食店S1の1個の「個室(4名用)」に対して「19:00」の時間帯で予約が完了したことを示す予約情報であり、利用者が前記予約画面において利用開始時刻と利用終了時刻とを入力することが可能な場合には、前記利用開始時刻及び前記利用終了時刻の情報を含み、1個の予約に対して所定の利用可能時間が設定されている場合には、前記利用可能時間に対応する時間帯の情報を含む、予約情報(【0038】、【0045】?【0046】、【0050】?【0051】)を取得し(【0031】、【0036】)、
飲食店の名前である「飲食店名」、飲食店に配置される席であり、例えばテーブル、個室などである「予約対象」、飲食店に配置される前記予約対象の個数である「個数」、飲食店の利用者が利用可能な時間であり、飲食店ごとに予め設定されており、例えば、飲食店S1では、18:00?23:00の間で1時間ごと(1時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S1に配置される4個の「テーブル(2名用)」のそれぞれについて、「18:00」、「19:00」、「20:00」、「21:00」、「22:00」、「23:00」の6個の時間帯が設定されている、「予約可能時間」、及び、予約対象に対する前記予約可能時間ごとの予約が行われた数(予約済数)である「予約数」、の情報が関係付けて登録される予約状況(【0022】?【0023】、【0034】、【図4】、【図5】)を含む記憶部(【0021】)を有し、
例えば、個数4の「テーブル(2名用)」の全ての時間帯に、予約数4が登録されることは、満席状態であることを示し、個数6の「テーブル(4名用)」の「20:00」及び「21:00」の時間帯に予約数4が登録されることは、残り2個(2席)が予約可能(空席)であることを示し(【0023】、【図6】)、
予約状況は、「2018年12月25日」、「2018年12月20日」などの「対象日」に対応して登録され(【0023】、【図5】、【図6】)、
更新処理部は、予約情報を取得した場合に、予約状況を更新し、例えば、飲食店S1の全て(4個)の「テーブル(2名用)」に対して「18:00?23:00」の全ての時間帯で予約が行われた場合に、前記予約状況122の予約数に最大個数「4」を登録し、全て(5個)の「個室(6名用)」に対して、複数の時間帯のうち第1時間帯(「20:00」)の予約が行われた場合に、予約状況122の「20:00」の予約数に最大個数「5」を登録し(【0031】?【0034】)、
利用者が前記予約画面において利用開始時刻と利用終了時刻とを入力することが可能な場合には、更新処理部は、予約状況において、前記利用開始時刻と前記利用終了時刻とを含む時間帯の予約数を更新し(【0035】)、
通知処理部は、更新処理部により更新される予約状況の更新情報を、更新対象の飲食店の情報を予約サイトに掲載する各事業者の事業者サーバ2に通知し(【0036】)、事業者サーバの表示処理部は、当該更新情報に基づいて、前記予約サイトに含まれる前記予約画面の予約状況を更新する(【0052】)、
予約管理装置。」

(3)甲1変形例1
上記(1)の記載によれば、甲1には次の技術的事項(以下、「甲1変形例1」という。)が記載されている。

「第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに、第1予約対象(例えば「テーブル(4名用)」)を予約可能な数である予約枠が予め割り当てられ(【0076】)、
当該予約枠は、予約の受け付けの許否に対応する数であり(【0077】)、
例えば、6個配置されている「テーブル(4名用)」に対して、A社には5個の予約枠が割り当てられ、B社には4個の予約枠が割り当てられ(【0076】)、
その更新は、
2個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個から4個に更新し、B社の予約枠を4個のまま更新せず(【0076】、【0078】)、
3個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個から3個に更新し、B社の予約枠を4個から3個に更新し(【0076】、【0079】)、
1個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個のまま更新せず、B社の予約枠を4個のまま更新しない(【0076】、【0080】)、
こと。」

(4)甲1変形例2
上記(1)の記載によれば、甲1には次の技術的事項(以下、「甲1変形例2」という。)が記載されている。

「第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに、例えば、2時間単位で予約が可能、3時間単位で予約が可能という、1個の予約により飲食店を利用可能な利用可能時間である「基準時間枠」が設定され(【0086】)、
当該「基準時間枠」を単位とした「時間枠」について、
Ma個の時間枠の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠をMa個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠に前記Maを乗算して得られた値を前記第2基準時間枠で除算して小数点以下を切り上げて得られた数だけ減少させ(【0087】)、
2個(Ma)の時間枠(4時間分)の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠を2個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠「2時間」に予約数「2」を乗算して得られた値(「4」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「2」)だけ減少させ(【0088】)、
他の例として、前記第1基準時間枠が「4時間」に設定され、前記第2基準時間枠が「3時間」に設定されている場合において、2個(Ma)の時間枠(8時間分)の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠を2個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠「4時間」に予約数「2」(Ma)を乗算して得られた値(「8」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「3」)だけ減少させる(【0089】)、
こと。」

2 甲2(特開2009-199299号公報)
(1)甲2における記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店における座席の予約管理などを行う予約管理技術に関し、特に、店舗の従業員の操作によらず予約客自身の操作によって、予約対象物である座席などの確保および解放を行うことができる予約管理技術に関する。」

「【0014】
〔本発明の第1の実施の形態〕
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、客側入力装置101と、店舗側入力装置102と、予約管理装置103と、客側出力装置104と、記憶装置105とから構成され、店舗における座席の予約管理を行う。
【0015】
記憶装置105は、ディスク装置などのよって実現されるものであり、予約管理情報記憶部106を備えている。この予約管理情報記憶部106には、予約対象である座席毎に、その状態が予約済み、使用中あるいは未使用中の何れであるのかを示す状態情報が登録されている。ここで、予約済みとは、予約を受け付けてから予約客が来店して座席を使用するまでの状態を示す。また、使用中とは、予約客によって座席が使用されている状態を示す。また、未使用中とは、予約も使用も可能な状態を示す。
【0016】
更に、予約された座席については、その座席の状態情報に関連付けて、予約IDと予約時刻とが登録される。予約IDは、予約客に対して発行したユニークなIDであり、予約客が複数の座席を予約した場合には、上記複数の座席に関連付けて同じ予約IDが登録される。
【0017】
図2は予約管理情報記憶部106の内容例を示す図である。なお、図2の内容例は、ある1日のある時間帯における予約管理情報(1つの予約管理単位についての予約管理情報)のみを示している。予約管理情報記憶部106には、このような予約管理情報が、予約管理単位毎に登録されている。同図の例は、座席番号#1、#2の座席は予約済み、座席番号#3の座席は使用中、座席番号#4の座席は未使用中であることを示している。また、座席番号#1、#2の座席を予約した予約客には、予約ID「IDa」を発行し、予約時刻がt1であることを示している。」
「【0020】
予約管理装置103は、客側入力装置101から送られてくる検索指示、予約指示、予約取り消し指示や、店舗側入力装置102から送られてくる予約IDに基づいて予約管理を行う装置であり、図3に示すように、送受信部1031および制御部1032を備えている。」
「【0022】
制御部1032には、予約受け付け取り消し手段1033と、来店離店時管理情報変更手段1034と、強制予約取り消し手段1035とが設けられている。
【0023】
予約受け付け取り消し手段1033は、次のような機能を有する。
【0024】
・客側入力装置101から空席の検索指示が送られてきた場合、それに含まれている座席の検索条件に合った空席(状態情報が未使用中となっている座席)を予約管理情報記憶部106からを検索し、検索結果(例えば、検索条件に合った空席を検索できなかった場合は、その旨を示すメッセージ、検索できた場合は、検索された空席の座席番号の一覧と店舗内の座席の配置図など)を客側出力装置104に送信する機能。
・客側入力装置101から予約を希望する座席番号および予約時刻を含む予約指示が送られてきた場合、他の予約が入らないようにするため、予約管理情報記憶部106に格納されている状態情報の内の、上記座席番号に対応する状態情報を予約済みを示すものに変更する(状態情報を予約済みに変更するという場合もある)と共に、上記座席番号に関連付けてユニークな予約IDおよび予約時刻を登録し、更に、客側出力装置104に予約IDを送信する機能。
・客側入力装置101から予約IDを含む予約取り消し指示が送られてきた場合、予約管理情報記憶部106に登録されている状態情報の内、上記予約IDに対応付けて登録されている状態情報を未使用中に変更して他の予約を入れられるようにする機能。」
「【0026】
強制予約取り消し手段1035は、予約管理情報記憶部106に登録されている状態情報の内、予約済みを示し且つ関連付けて登録されている予約時刻が現在時刻よりも所定時間以上前の状態情報を、未使用中を示すものに変更する機能を有する。」

(2)甲2記載事項
上記(1)の記載からみて、甲2には下記の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「予約客自身の操作によって、予約対象物である座席などの確保および解放を行うことができる予約管理(【0001】)において、
予約管理情報記憶部には、予約対象である座席毎に、その状態が予約済み、使用中あるいは未使用中の何れであるのかを示す状態情報が、予約管理情報として、ある1日のある時間帯という予約管理単位毎に登録され、更に、予約された座席については、その座席の状態情報に関連付けて、予約IDと予約時刻とが登録され(【0015】?【0017】)、
客側入力装置から予約を希望する座席番号および予約時刻を含む予約指示が送られてきた場合、予約管理情報記憶部に格納されている状態情報の内の、上記座席番号に対応する状態情報を予約済みを示すものに変更すると共に、上記座席番号に関連付けてユニークな予約IDおよび予約時刻を登録し(【0024】)、
予約管理情報記憶部に登録されている状態情報の内、予約済みを示し且つ関連付けて登録されている予約時刻が現在時刻よりも所定時間以上前の状態情報を、未使用中を示すものに変更する(【0026】)こと。」


第5 当審の判断

1 請求項1に係る発明について

(1)対比
ア 請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)と甲1発明とを対比すると、以下の事項がいえる。

(ア)予約一元管理装置について
甲1発明の「予約サイト」は、予約対象である席(テーブル、個室など)が含まれる予約画面において予約を受け付けるから、本件発明1の「卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイト」に相当し、甲1発明の当該サイトを管理する「複数の事業者サーバ」は、本件発明1の「複数のWebサーバ装置」に相当する。そして、甲1発明の「予約管理装置」は、上記複数のサーバと通信可能であるから、本件発明1の「卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイトを管理する複数のWebサーバ装置と通信可能な予約一元管理装置」に相当する。

(イ)取得部について
本件特許明細書には次の記載がある。
「【0074】
図8は、本実施形態における予約受付時のシーケンス図である。ユーザは、ユーザ端末14を用いて、媒体AのWebサイトAにアクセスし、予約画面にて対象の店舗を選択し、予約情報(予約日、時間帯、席タイプ、人数等)を入力する(S11)。
【0075】
Webサーバ装置13aは、入力された予約情報に基づいて、記憶部43aに格納された在庫情報45aから、入力された席タイプの在庫を減らす(S12)。Webサーバ装置13aは、入力された予約情報及び予約経路(予約を受け付けた媒体名)を含む電子メールを生成し、予約一元管理装置12に送信する(S13)。
【0076】
予約一元管理装置12は、受信した電子メールを解析し、解析結果に基づいて、予約情報及び予約経路の内容を認識し、予約管理DB34を更新(新規追加)し、さらに在庫管理DB35から予約情報に含まれる席タイプの在庫を減らす(S1)。」

本件特許明細書の上記記載を参酌すれば、本件発明1の「予約日、前記予約における時間帯、人数及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む予約情報」は、「予約情報」が、「予約日」、「前記予約における時間帯」、「人数」、「前記予約対象の種別に関する対象タイプ」を含むものである。

甲1発明の、「予約情報」は、例えば、飲食店S1の1個の「個室(4名用)」に対して「19:00」の時間帯で予約が完了したことを示すものであり、ここに示される、「19:00」の時間帯、「個室(4名用)」は、それぞれ、本件発明1の「予約における時間帯」、「予約対象の種別に関する対象タイプ」に相当する。
また、甲1発明は、「来店日」が含まれる予約画面により予約をし、「2018年12月25日」、「2018年12月20日」などの「対象日」に対応して予約状況を登録するものであるから、予約に関連して、来店日/対象日という「日」を特定する情報も取り扱うものである。さらに、飲食店の予約にあたり人数を特定することは、一般に行われていることである。しかしながら、甲1発明の「予約情報」が、上記「日」を特定する情報や、人数を特定する情報を含むかは定かでない。
以上によれば、甲1発明の「予約情報」は、「予約日」及び「人数」を含むかが定かではない点で相違するものの、本件発明1の「予約情報」と、「前記予約における時間帯」「及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む」点で共通する。
そして、甲1発明は、いずれかの事業者サーバからの予約情報を取得するから、当該取得をする構成を備えることは明らかであり、当該構成は、本件発明1の「取得部」と、「前記複数のWebサーバ装置のうちのいずれかのWebサーバ装置から、」「前記予約における時間帯」「及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む予約情報を取得する」点で共通する。

(ウ)格納部について
a 「在庫関係情報」において関係づけられる「前記対象タイプ」について
甲1発明の「予約状況」に登録される、飲食店に配置される席であり、例えばテーブル、個室などである「予約対象」は、本件発明1の「前記対象タイプ」(上記(イ)に検討した「予約対象の種別に関する対象タイプ」)に相当する。

b 「在庫関係情報」において関係づけられる「在庫情報」について
本件特許明細書には次の記載がある。
「【0028】
予約処理部3は、予約情報の内容に基づいて、単位時間毎に在庫関係情報に含まれる在庫情報を管理する。予約処理部3の一例として、後述する予約管理部25が挙げられる。
更新制御部4は、在庫情報に基づいて、単位時間毎に、複数のWebサーバ装置に対して、複数のWebサーバ装置が格納する予約対象の在庫情報を更新するように制御する。更新制御部4の一例として、後述する媒体更新制御部26が挙げられる。
【0029】
このように構成することにより、限られた席数を有する店舗の予約において、より効率的でより多くの予約が可能となる。なお、単位時間は、任意に設定することができ、例えば、1秒、1分、10分等であってもよい。」

本件特許明細書の上記記載において、「単位時間毎に」という文言が「管理する」や「制御する」という動作に係り、例えば、1秒、1分、10分毎という、いわば処理周期を意味して用いられていることを参酌すれば、本件発明1の「前記予約情報の内容に基づいて単位時間毎に管理される前記在庫情報」における「単位時間毎に」も、「前記予約情報の内容に基づいて」する「管理」という処理が、「単位時間毎に」なされることを特定するものである。

甲1発明の「予約状況」に登録される、予約対象に対する前記予約可能時間ごとの予約が行われた数(予約済数)である「予約数」は、例えば、個数4の「テーブル(2名用)」の全ての時間帯に、予約数4が登録されることで、満席状態であることを示し、個数6の「テーブル(4名用)」の「20:00」及び「21:00」の時間帯に予約数4が登録されることで、残り2個(2席)が予約可能(空席)であることを示すものであるから、飲食店に配置される前記予約対象の個数である「個数」との差により、予約対象に対応する在庫を示す情報といえる。また、当該「予約数」は、予約情報の内容に応じて管理されている。しかしながら、甲1発明における予約数の管理は、予約情報を取得した場合にされるものであり、単位時間毎にされるとはいえない。
以上のことから、甲1発明の「予約状況」に登録される「予約数」は、前記予約情報の内容に基づいてされる管理が「単位時間毎に」されない点で相違するものの、本件発明1の「在庫情報」と、「前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて」「管理される前記在庫情報」である点で共通する。

c 「在庫関係情報」において関係づけられる「予約日における時間帯のバリエーション」について
本件特許明細書及び図面には次の記載がある。
「【0031】
予約一元管理装置1は、さらに、格納部5を含む。格納部5は、予約対象の種別に関する対象タイプ情報(例えば、後述する席タイプ情報)と、対象タイプに対応する予約対象の在庫に関する在庫情報(例えば、後述する予約可能卓数)と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報(在庫管理DB35)と、受け付けた予約を管理するための予約管理情報(例えば、後述する予約管理DB34)とを格納する。このとき、予約処理部4は、在庫関係情報から、予約情報に含まれる時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報を抽出し、抽出した在庫情報から予約情報に基づく予約対象数を減少させる。
【0032】
このように構成することにより、予約時間帯が一部重複する複数のバリエーションの席タイプの在庫と、予約を受け付けた媒体との紐づけが可能となるので、予約一元管理装置1に登録された予約時間帯に該当する媒体の席タイプの在庫を効率的に減らす(空席率を低減させる)ことができる。」
「【0060】
在庫管理DB35は、「店舗ID」、「席タイプID」、「日付」、「時間帯」、「最大予約可能卓数」、「予約済卓数」、「予約可能卓数」等のデータ項目を含む。項目「店舗ID」には、店舗を識別する識別情報(店舗ID)が格納される。項目「席タイプID」には、席タイプを識別する識別情報が格納される。項目「日付」には、日付が格納される。項目「時間帯」には、時間帯が格納される。項目「最大予約可能卓数」には、席タイプIDで特定される卓の予約可能数(上限数)が格納される。項目「予約済卓数」には、席タイプIDで特定される卓の予約済卓数が格納される。「予約可能卓数」には、席タイプIDで特定される卓の最大予約可能卓数から予約済卓数を差し引いた数(残数)が格納される。」
「【0065】
そこで、本実施形態では、新たに時間帯の概念を導入し、同一の席タイプについて時間帯ごとに在庫と紐づけを行うことができるようにした。したがって、図5に示すように、例えば媒体Aを介してある席タイプについて「17:00?20:59」が在庫分全て予約されたとしても、その席タイプと同一の席タイプについて、さらに、「21:00?23:59」の時間帯で予約することができる。」
「【図5】



本件特許明細書及び図面の上記記載において、「在庫関係情報」に関係づけられる「時間帯」の「バリエーション」について「予約日における時間帯のバリエーション」との文言が用いられていることを参酌すれば、本件発明1の「予約日における時間帯のバリエーション」は、「在庫関係情報」において関係づけられる「時間帯」が「バリエーション」を有することを特定するものである。

甲1発明の「予約可能時間」は、予約に係る対象日に対応し、飲食店の利用者が利用可能な時間であり、飲食店ごとに予め設定されており、例えば、飲食店S1では、18:00?23:00の間で1時間ごと(1時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S1に配置される4個の「テーブル(2名用)」のそれぞれについて、「18:00」、「19:00」、「20:00」、「21:00」、「22:00」、「23:00」の6個の時間帯という「バリエーション」を有することから、本件発明1の「予約日における時間帯のバリエーション」に相当する。

d 「在庫関係情報」について
甲1発明の「予約状況」は、a-cに検討した情報を関係付けた情報であるから、bに挙げた相違点を除き、本件発明1の「在庫関係情報」と、「前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて」「管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報」である点で共通する。

e 「格納部」について
上記情報を格納する甲1発明の「記憶部」は、(b)に挙げた相違点を除き、本件発明1の「格納部」と、「前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて」「管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報を格納する」点で共通する。

(エ)予約処理部について
本件特許明細書には次の記載がある。
「【0081】
図10は、本実施形態における予約を受け付けた場合の予約一元管理装置12の処理フローを示す図である。上述の通り、予約一元管理装置12は、席タイプ・媒体連携設定部22、メール取得部23、メール解析部24、予約処理部25、媒体更新制御部26として機能する。
【0082】
メール取得部23は電子メールを取得すると(S31)、メール解析部24はその電子メールの内容を解析する(S32)。予約処理部25は、解析結果に基づいて、予約の対象となる店舗を判別し(S33)、その予約を受け付けた媒体(Webサーバ装置13)を判別する(S34)。予約処理部25は、予約管理DB34、在庫管理DB35に基づいて、配席処理を行う(S35)。配席処理については、後述する。
【0083】
それから、予約処理部25は、予約管理DB34を更新することにより、予約情報及び予約経路を予約管理DB34に登録する。また、予約一元管理装置12は、在庫管理DB35を更新することにより、予約情報に応じた卓(または席)の在庫を減らす(S36)。」
「【0089】
図12は、図10の予約管理DBと在庫管理DBの更新処理(S36)の詳細フローを示す図である。まず、予約処理部25は、予約管理DB35に予約情報を登録する(S51)。
【0090】
予約処理部25は、席タイプ管理DB32と予約管理DB34に基づいて、在庫管理DB35から、媒体と紐づけられた席タイプのうち、予約時間帯の一部または全部と重複する席タイプを抽出する(S52)。予約処理部25は、抽出した席タイプの在庫それぞれから、予約分を減らす(S53)。」

本件特許明細書の上記記載を参酌すれば、本件発明1の「前記在庫関係情報における、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する」は、「前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報」の「更新」の詳細処理として「前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する」ものである。

甲1発明の更新処理部が、利用者が前記予約画面において利用開始時刻と利用終了時刻とを入力することが可能な場合にする、予約状況において、前記利用開始時刻と前記利用終了時刻とを含む時間帯の予約数の更新は、利用開始時刻と利用終了時刻とが予約数に係る時間帯に関わらず入力されるものであるから、利用開始時刻と利用終了時刻により定まる時間帯(予約情報に含まれる時間帯)と、予約数に係る時間帯(在庫情報に係る時間帯)との関係として、前者の時間帯の一部が後者の時間帯と重複するもの、前者の時間帯の全部が後者の時間帯と重複するもの、のいずれもが生じ得ることは明らかである。
そして、利用開始時刻と利用終了時刻により定まる時間帯(予約情報に含まれる時間帯)の一部が、予約数に係る時間帯(在庫情報に係る時間帯)と重複する場合の、上記予約数の更新は、本件発明1の「前記在庫関係情報における、」「前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報」「を更新する」ことに相当し、利用開始時刻と利用終了時刻により定まる時間帯(予約情報に含まれる時間帯)の全部が、予約数に係る時間帯(在庫情報に係る時間帯)と重複する場合の、上記予約数の更新は、本件発明1の「前記在庫関係情報における、」「前記予約情報に含まれる前記時間帯の全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報」「を更新する」ことに相当し、これらの詳細処理による更新の全体が、本件発明1の「前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報」を「更新」することに相当する。

以上のことから、上記更新をする甲1発明の「更新処理部」は、本件発明1の「前記在庫関係情報における、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する予約処理部」に相当する。

(オ)更新制御部について
甲1発明の通知処理部が、更新処理部により更新される予約状況の更新情報を通知する各事業者の事業者サーバは、上記更新に係る予約情報の取得元である事業者サーバ以外の事業者サーバを含み、当該サーバが、本件発明1の「前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置」に相当する。そして、当該通知は、事業者サーバにおいて、予約サイトに含まれる予約画面の予約状況を更新させるものである。
したがって、上記通知をする甲1発明の通知処理部は、本件発明1の「更新した前記在庫情報に基づいて、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置に対して、前記複数のWebサーバ装置が格納する在庫情報を更新するように制御する更新制御部」に相当する。

(カ)「第1の在庫関係情報」と「第2の在庫関係情報」について
本件発明1は、
「前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理部は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記 第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる」
構成を有する。
また、本件特許明細書には次の記載がある。
「【0066】
次に、同一の席タイプの在庫に関して、既に予約された時間帯と一部または全部が重複する場合の在庫管理について説明する。
【0067】
図6は、本実施形態における同一の席タイプの在庫に関して、既に予約された時間帯と一部または全部が重複する場合の在庫管理を説明するための図である。図6に示すように、同一の席タイプ(例えば、4名テーブル)について、18時?22時について4名テーブル(通し)で設定することも、18時?20時について4名テーブル(前)で設定することも、20時?22時について4名テーブル(後)で設定することもできる。これら3つの設定内容は併存することができる。この場合、その席タイプについて予約を受け付けた場合の在庫(デフォルトは在庫5であるとする。)の更新状況は次のようになる。
【0068】
例えば、予約例パターン1として「〇〇様(4名)18:00?19:59」の予約を受け付けた場合、予約一元管理装置12は、4名テーブル(前)の在庫(5卓)から1減らし、4名テーブル(通し)の在庫(5卓)1減らす。
【0069】
また、例えば、予約例パターン2として「〇〇様(4名)19:00?20:59」の予約を受け付けた場合、予約一元管理装置12は、4名テーブル(前)の在庫(5卓)から1減らし、4名テーブル(後)の在庫(5卓)から1減らし、4名テーブル(通し)の在庫(5卓)1減らす。
【0070】
なお、在庫管理DB35では、例えば、図4に示すように、4名テーブル(前)の在庫、4名テーブル(後)の在庫、4名テーブル(通し)の在庫が管理されている。図4の例は、パターン2の予約が受け付けられた場合の在庫管理DB35の内容を示している。」
「【図6】


本件特許明細書の上記記載を参酌すれば、本件発明1の「第1の在庫関係情報」と「第2の在庫関係情報」は、例えば、時間帯が「20:00?21:59」である4名テーブル(後)の在庫の在庫関係情報と、時間帯が「18:00?21:59」である4名テーブル(通し)の在庫の在庫関係情報とのように、それぞれが、対象タイプと、在庫情報と、時間帯とを関係付けた情報であり、「20:00?21:59」という時間帯は、「18:00?21:59」という時間帯の一部と重複する、あるいは、「18:00?21:59」という時間帯は、「20:00?21:59」という時間帯の全部と重複する、すなわち、一方の時間帯が、他方の時間帯の一部又は全部と重複するものである。

これに対し、甲1発明における、同日で同一の前記対象タイプの複数の在庫関係情報は、飲食店の利用者が利用可能な時間であり、飲食店ごとに予め設定されており、例えば、飲食店S1では、18:00?23:00の間で1時間ごと(1時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S1に配置される4個の「テーブル(2名用)」のそれぞれについて、「18:00」、「19:00」、「20:00」、「21:00」、「22:00」、「23:00」の6個の時間帯である、「予約可能時間」ごとのものであるため、「同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報」であって「前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複」するものを含まない。
したがって、本件発明の上記構成については、甲1発明はかかる構成を備えていない点で相違する。

イ 以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下の点で、一致・相違する。

[一致点]
「卓または席を予約対象として予約を受け付けるWebサイトを管理する複数のWebサーバ装置と通信可能な予約一元管理装置であって、
前記複数のWebサーバ装置のうちのいずれかのWebサーバ装置から、前記予約における時間帯及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む予約情報を取得する取得部と、
前記対象タイプと、前記対象タイプに対応する在庫に関する在庫情報であって前記予約情報の内容に基づいて管理される前記在庫情報と、予約日における時間帯のバリエーションとを関係付けた情報である在庫関係情報を格納する格納部と、
前記在庫関係情報における、前記予約情報に対応する対象タイプの在庫情報と、前記予約情報に含まれる前記時間帯の一部または全部と重複する同日の時間帯を含む前記対象タイプの在庫情報とを更新する予約処理部と、
更新した前記在庫情報に基づいて、前記いずれかのWebサーバ装置以外の前記複数のWebサーバ装置に対して、前記複数のWebサーバ装置が格納する在庫情報を更新するように制御する更新制御部と、
を備える予約一元管理装置。」

[相違点1]
「前記予約における時間帯」「及び前記予約対象の種別に関する対象タイプを含む予約情報」が、本件発明1では、「予約日」及び「人数」「を含む」のに対して、甲1発明では、その点が定かではない点。

[相違点2]
「予約情報の内容に基づいて」する「在庫情報」の「管理」が、本件発明1では、「単位時間毎に」されるのに対して、甲1発明では、予約情報を取得した場合にされる点。

[相違点3]
本件発明1は、
「前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理部は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記 第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる」
のに対し、甲1発明は、かかる構成を備えていない点。

(2)判断
上記(1)イにて上述したとおり、本件発明1と甲1発明とは相違点1ないし3を有するので、両者は同一ではない。以下、本件発明1と甲1発明との間の相違点1ないし3について、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であって両者が実質同一であるかどうかについて検討する。

事案に鑑み、上記相違点3について検討する。

上記(1)ア(カ)に検討したように、本件発明1の「第1の在庫関係情報」と「第2の在庫関係情報」は、それぞれが、対象タイプと、在庫情報と、時間帯とを関係付けた情報であり、一方の時間帯が、他方の時間帯の一部又は全部と重複するものであるのに対し、甲1発明における、同日で同一の前記対象タイプの複数の在庫関係情報は、飲食店の利用者が利用可能な時間であり、飲食店ごとに予め設定されており、例えば飲食店S1では、18:00?23:00の間で1時間ごと(1時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S2では、18:00?23:00の間で2時間ごと(2時間単位)に予約可能に設定されており、飲食店S3のように、テーブル及び個室で互いに異なる予約可能時間が設定されてもよい、「予約可能時間」ごとのものであるため、「同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報」であって「前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複」するものを含まない。
また、甲1号証は、飲食店ごとに予め設定される「予約可能時間」について、他の「予約可能時間」の一部または全部と重複することを開示しない。

なお、申立人は、特許異議申立書の3.(4)ウ(ア)iiにおいて、甲1号証の変形例1(特に第2の例)の記載から把握できる、「第1事業者に割り当てられた予約枠」が本件発明1の「第1の在庫関係情報」に、「第2事業者に割り当てられた予約枠」が本件発明1の「第2の在庫関係情報」に、それぞれ相当するとの対比をしている。
しかしながら、甲1変形例1の「予約枠」は、第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに割り当てられる、第1予約対象(例えば「テーブル(4名用)」)を予約可能な数であって、対象タイプと、在庫情報と、時間帯とを関係付けた情報ではないから、(1)ア(カ)に検討した、本件発明1の「第1の在庫関係情報」と「第2の在庫関係情報」とは相違する。
さらに、甲1変形例1の「予約枠」は、予約の受け付けの許否に対応する数であり、6個配置されている「テーブル(4名用)」に対して、A社には5個の予約枠が割り当てられ、B社には4個の予約枠が割り当てられているとき、その更新は、2個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個から4個に更新(1個減少)し、B社の予約枠を4個のまま更新せず(0個減少)、3個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個から3個に更新(2個減少)し、B社の予約枠を4個から3個に更新(1個減少)し、1個の予約が行われた場合に、A社の予約枠を5個のまま更新せず(0個減少)、B社の予約枠を4個のまま更新しない(0個減少)、すなわち、予約対象の残りの予約可能数が予約枠を超える場合に、当該予約枠を予約可能数にするものであり、それぞれから減少させる数はいずれも予約対象数と相違するから、本件発明1が「第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる」点とも相違する。
したがって、「第1事業者に割り当てられた予約枠」が本件発明1の「第1の在庫関係情報」に、「第2事業者に割り当てられた予約枠」が本件発明1の「第2の在庫関係情報」に、それぞれ相当するとはいえない。

また、申立人は、特許異議申立書の3.(4)ウ(イ)iiにおいて、甲1号証の変形例2の記載から把握できる、「第1基準時間枠」が本件発明1の「第1の在庫関係情報」に、「第2基準時間枠」が本件発明1の「第2の在庫関係情報」に、それぞれ相当するとの対比をしている。
しかしながら、甲1変形例2の「基準時間枠」は、第1事業者(A社)及び第2事業者(B社)のそれぞれに割り当てられる、例えば、2時間単位で予約が可能、3時間単位で予約が可能という、1個の予約により飲食店を利用可能な利用可能時間であって、対象タイプと、在庫情報と、時間帯とを関係付けた情報ではないから、(1)ア(カ)に検討した、本件発明1の「第1の在庫関係情報」と「第2の在庫関係情報」とは相違する。
さらに、甲1変形例2の「基準時間枠」やこれを単位とした「時間枠」は、Ma個の時間枠の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠をMa個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠に前記Maを乗算して得られた値を前記第2基準時間枠で除算して小数点以下を切り上げて得られた数だけ減少させ、2個(Ma)の時間枠(4時間分)の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠を2個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠「2時間」に予約数「2」を乗算して得られた値(「4」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「2」)だけ減少させ、2個(Ma)の時間枠(8時間分)の予約が行われた場合に、第1予約サイトに反映される時間枠を2個減少させ、第2予約サイトに反映される時間枠を、前記第1基準時間枠「4時間」に予約数「2」(Ma)を乗算して得られた値(「8」)を前記第2基準時間枠「3時間」で除算して小数点以下を切り上げて得られた数(「3」)だけ減少させる、ように、それぞれについての「時間帯」についての記載も示唆もないものであるから、本件発明1が「前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記 第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる」点とも相違する。
したがって、「第1基準時間枠」が本件発明1の「第1の在庫関係情報」に、「第2基準時間枠」が本件発明1の「第2の在庫関係情報」に、それぞれ相当するとはいえない。

そして、飲食店ごとに予め設定される「予約可能時間」について、他の「予約可能時間」の一部または全部と重複することについては、申立人が提出した他の証拠(甲第2号証)にも記載や示唆はなく、それが技術常識であることを示す証拠も示されていない。
してみると、甲1発明において、
「前記在庫関係情報は、同日で同一の前記対象タイプの第1の在庫関係情報と第2の在庫関係情報を含み、
前記第1の在庫関係情報の時間帯は、前記第2の在庫関係情報の時間帯の一部または全部と重複し、
前記予約処理部は、前記予約情報に基づいて、前記予約情報に含まれる時間帯が前記第1の在庫関係情報の時間帯及び前記第2の在庫関係情報の時間帯と重複する場合、前記在庫関係情報から、前記第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報を抽出し、抽出した前記 第1の在庫関係情報と前記第2の在庫関係情報それぞれから前記予約情報に基づく予約対象数を減少させる」
構成を備えるようにすることは、周知技術の付加等にすぎないとはいえない。

さらに、本件発明1は、上記相違点3に係る本件発明1の構成を具備することにより、本件明細書の【0032】に記載された「予約時間帯が一部重複する複数のバリエーションの席タイプの在庫と、予約を受け付けた媒体との紐づけが可能となるので、予約一元管理装置1に登録された予約時間帯に該当する媒体の席タイプの在庫を効率的に減らす(空席率を低減させる)ことができる。」という効果を奏するものである。
よって、上記相違点3は課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であるとは認められない。
それゆえに、上記相違点1及び相違点2について検討するまでもなく、本件発明1と甲1発明とは実質同一であるとは認められない。
したがって、請求項1に係る発明は、甲1発明と同一又は実質同一ではない。

2 請求項3、5に係る発明について
請求項3、5に係る発明は、それぞれ請求項1に係る発明とカテゴリーの異なる発明であるから、上記1にて上述した理由と同様の理由により、甲1発明と同一または実質同一ではない。

3 請求項2、4に係る発明について
請求項2、4に係る発明は、それぞれ請求項1又は請求項3を引用する発明であり、請求項1又は請求項3の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記1及び2にて上述した理由と同様の理由により、甲1発明と同一又は実質同一でない。

4 小括
以上のとおり、請求項1?5に係る発明は、甲1発明と同一又は実質同一ではない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、申立人が異議申立てにおいて主張する取消理由、並びに、証拠として提出された甲1ないし甲2によっては、請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-04-21 
出願番号 特願2019-90453(P2019-90453)
審決分類 P 1 651・ 16- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 谷川 智秀  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 中野 浩昌
後藤 嘉宏
登録日 2020-07-17 
登録番号 特許第6736038号(P6736038)
権利者 株式会社イデア・レコード
発明の名称 予約一元管理装置、予約一元管理プログラム、及び予約一元管理方法  
代理人 林 裕己  

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