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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1374166
審判番号 不服2020-9847  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-14 
確定日 2021-06-01 
事件の表示 特願2018-218158「偏光板」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日出願公開、特開2019- 40212、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2018-218158号(以下「本件出願」という。)は、平成27年9月16日に出願した特願2015-182853号(先の出願に基づく優先権主張 平成26年9月19日)の一部を平成30年11月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和元年12月27日付け:拒絶理由通知書
令和2年 3月 6日提出:意見書
令和2年 3月 6日提出:手続補正書
令和2年 4月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和2年 7月14日提出:審判請求書
令和3年 1月15日付け:拒絶理由通知書
令和3年 3月17日提出:意見書
令和3年 3月17日提出:手続補正書


第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1?9に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献A:特開2010-72091号公報
引用文献B:特開2015-111236号公報
引用文献C:国際公開第2015/111474号
引用文献D:特開2013-231761号公報
引用文献E:特開2014-129505号公報
引用文献F:特開2015-34254号公報
引用文献G:特開2015-111245号公報
(当合議体注:引用文献A?Cは主引例であり、引用文献D?Gは周知技術を示す文献である。なお、先の出願に基づく優先権主張の効果は認められない。)


第3 当合議体の拒絶理由通知の概要
当合議体の拒絶理由通知は、概略、本件出願の請求項1?9に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2006-62281号公報
引用文献2:特開2013-200445号公報
(当合議体注:引用文献1?2は主引例であり、いずれも当合議体において新たに引用した文献である。なお、先の出願に基づく優先権主張の効果は認められない。)


第4 本件発明
本件出願の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明8」という。)は、令和3年3月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるところ、本件発明1は、以下のとおりのものである。

「 光学機能フィルムと、粘着剤層と、偏光膜と、保護フィルムとをこの順に備え、該粘着剤層が該偏光膜上に直接積層され、
該偏光膜の厚みが、15μm以下であり、
該粘着剤層の厚みが、15μm以下であり、
該粘着剤層の50μm換算透湿度が、1500g/m^(2)/24h以下であり、 該光学機能フィルムの透湿度が、200g/m^(2)/24h以下であり、
該保護フィルムの透湿度が、1000g/m^(2)/24h以下であり、
該粘着剤層の50μm換算透湿度が、該光学機能フィルムの50μm換算透湿度以下である、
偏光板。」

また、本件発明2?8は、本件発明1の「偏光板」に対してさらに他の発明特定事項を付加した「偏光板」の発明である。


第5 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1の記載事項
当合議体の拒絶の理由に引用された引用文献1には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイなどの各種画像表示装置に使用する光学フィルム積層体に関し、詳しくは反射性偏光フィルムと吸収性偏光フィルムとを積層した光学フィルム積層体に関する。さらにこれを用いた液晶表示装置に関する。
・・・省略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記のような吸収性偏光フィルムは、親水性であるために、吸湿しやすいため、反射性偏光フィルムと貼り合せる際に水分が蒸散せずに、接着性が不足し、貼り合せ後にそりが生じる。
【0011】
本発明の課題は、上述の問題点を克服することであり、反射性偏光フィルムの片面に吸収性偏光フィルムを設けた光学フィルム積層体でありながら、反射性偏光フィルムと吸収性偏光フィルムとの十分な接着性を得ることができ、そりの生じない光学フィルム積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、水蒸気透過率が5?20g/m^(2)/dayの反射性偏光フィルム、吸収性偏光フィルム、および水蒸気透過率が100?500g/m^(2)/dayの透明性フィルムを含む光学フィルム積層体であって、吸収性偏光フィルムの透過軸と反射性偏光フィルムの透過軸が平行である光学フィルム積層体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反射性偏光フィルムの片面に吸収性偏光フィルムを設けた光学フィルム積層体でありながら、反射性偏光フィルムと吸収性偏光フィルムとの十分な接着性を得ることができ、そりの生じない光学フィルム積層体を提供することができる。」

(2)「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の光学フィルム積層体は、吸収性偏光フィルムの一方の面のうえに水蒸気透過率が5?20g/m^(2)/dayの反射性偏光フィルムを備え、他方の面のうえに水蒸気透過率が100?500g/m^(2)/dayの透明性フィルムを備える構成をとる。そして、吸収性偏光フィルムと反射性偏光フィルムの透過軸が平行である。ここでいう平行とは、透過軸のなす角度が、好ましくは0?5°、さらに好ましくは0?3°の角度である。
【0015】
本発明の光学フィルム積層体は、吸収性偏光フィルムの一方の面に反射性偏光フィルム、他方の面に透明性フィルムを備える構成をとる。図1に本発明の光学フィルム積層体の代表的な構成図を示す。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。説明の便宜上、吸収性偏光フィルム、透明性偏光フィルム、反射性偏光フィルムの順に説明する。
【0017】
[吸収性偏光フィルム]
本発明における吸収性偏光フィルムは、例えば、ポリマーフィルムに、二色性物質、例えばヨウ素を吸着させて、架橋、延伸、乾燥することによって得ることができる。この中でも、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。二色性物質を吸着させるポリマーフィルムとしては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルムがあげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムも使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、偏光フィルムの厚みは通常は1?80μmである。
【0018】
吸収性偏光フィルムと反射偏光フィルムとは接着剤で接着され、吸収性偏光フィルムと透明性フィルムとは接着剤で接着されるのが通常である。接着剤としては、従来公知の接着剤や粘着剤等が使用できる。その種類は、例えば、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。接着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、合成ゴム等のポリマー製材料が挙げられる。特に、吸収性偏光フィルムとの接着性が特に良好なことから、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。
【0019】
[透明性フィルム]
本発明における透明性フィルムは、水蒸気透過率は100?500g/m^(2)/dayである必要がある。透明性フィルムの水蒸気透過率が100g/m^(2)/day未満であると、接着剤を介して積層体を構成したときに水蒸気が蒸散せずに接着性が乏しい。透明性フィルムの水蒸気透過率が500g/m^(2)/dayを越えると、高湿度下で光学フィルム積層体が吸湿し、寸法変化を生じるため、液晶表示のゆがみを生じてしまう。なお、透明性フィルムは、液晶を透過した光の偏光状態を保持するために、低複屈折性の透明性フィルムであることが好ましい。本発明において低複屈折性とは、3次元方向(X、Y、Z)の屈折率差があらゆる方向において0.1以下であることをいう。また、透明性フィルムは、透明性を確保するために、ヘーズが1%以下であることが好ましい。
【0020】
このような水蒸気透過率を備える透明性フィルムを、従来公知の透明性フィルムから適宜選んで使用すればよい。このような透明性フィルムの具体例として、トリアセチルセルロース等のセルロース、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アセテート等の透明樹脂を挙げることができる。また、アクリル、ウレタン、アクリルウレタン、エポキシ、シリコーン等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。これらは一種類でもよいし、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したトリアセチルセルロース(以下「TAC」という。)フィルムが好ましい。TACフィルムを用いる場合、水蒸気透過率を確保するために20?80μmの厚みで用いることが好ましい。
【0021】
また、水蒸気透過特性を満たす他の樹脂の例として、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーのフィルムを使用してもよい。このポリマーとしては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物を使用することができる、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物を挙げることができる。なお、前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
【0022】
透明性フィルムは、1軸または2軸延伸加工されたフィルムであってもよい。延伸加工することにより、光学補償位相差フィルムとして使用することもできる。
【0023】
図2に本発明における透明性フィルムを光学補償位相差フィルムとした場合の構成例を示す。光学補償位相差フィルムとは、液晶および吸収性偏光フィルムの角度による色相変化を補償するものであり、液晶ディスプレイの表示方式により異なる。例えば、垂直配向式液晶(VA型液晶の場合)、面内方向の位相差(Rd)が、40nm?60nmであることが好ましく、厚み方向の位相差(Rth)が100?150nmであることが好ましい。
【0024】
なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同様にX軸、Y軸、Z軸における屈折率であり、dはその膜厚を示す。
Rd=(nx-ny)・d
Rth=[[(nx+ny)/2]-nz]・d
【0025】
上記の水蒸気透過特性と位相差機能発現を具備する素材の例としては、前記のトリアセチルセルロースのアセチル基を部分的にプロピオネートで置換した変性トリアセチルセルロースの延伸フィルムや、前記のイソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物の延伸フィルムなどが挙げられる。このフィルムを用いる場合には、水蒸気透過率を確保するために5?40μmの厚みで用いることが好ましい。
【0026】
[反射性偏光フィルム]
本発明における反射性偏光フィルムの水蒸気透過率は5?20g/m^(2)/dayである必要がある。反射性偏光フィルムの水蒸気透過率が5g/m^(2)/day未満であると、接着剤を介して積層体を構成したときに水蒸気が蒸散せずに接着性が乏しい。反射性偏光フィルムの水蒸気透過率が20g/m^(2)/dayを超えると、高湿度下で光学フィルム積層体が吸湿し、寸法変化を生じるため、液晶表示のゆがみを生じてしまう。
・・・省略・・・
【0076】
本発明において、各種光学部材(光学フィルム、導光板、反射板等)は、例えば、必要に応じて、接着剤または粘着剤を介して積層一体化できる。これらを積層一体化することは、それぞれの界面における反射ロスや各界面への異物等の侵入を抑制して、表示品位の低下を防止することや、光学部材がずれることによる補償効率や偏光変換効率の低下を防止すること等に有効である。前記接着剤や粘着剤としては、従来公知のものが使用できるが、中でも、例えば、応力緩和性に優れる感圧性粘着剤が好ましい。これは、例えば、光源等の熱によって光学フィルムに生じる応力を抑制して、光弾性変形により発生する屈折率変化を防止でき、このため、明るくて視認性や表示品位の信頼性に優れる液晶表示装置の形成に寄与するからである。なお、前記接着剤や粘着剤、またこれらの厚みは、特に制限されず、例えば、前述と同様である。
・・・省略・・・
【実施例】
【0082】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
実施例をもって、本発明をさらに説明する。なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
・・・省略・・・
【0085】
(4)透湿度
JIS Z-0208に準拠して測定した。透湿面積は30cm^(2)、40℃、相対湿度90%の雰囲気下での透湿度を測定した。」

(3)図1

(4)図2


2 引用発明
引用文献1の上記1の記載に基づけば、引用文献1の【0014】?【0018】には、発明を実施するための最良の形態である光学フィルム積層体として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 吸収性偏光フィルムの一方の面のうえに水蒸気透過率が5?20g/m^(2)/dayの反射性偏光フィルムを備え、他方の面のうえに水蒸気透過率が100?500g/m^(2)/dayの透明性フィルムを備え、
偏光フィルムの厚みは1?80μmであり、
吸収性偏光フィルムと反射偏光フィルムとは粘着剤で接着される、
光学フィルム積層体。」


第6 当合議体の判断
1 本件発明1?8の進歩性の判断の基準日について
本件出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴い、平成26年9月19日に出願した特願2014-191734号を先の出願として、平成27年9月16日に出願した特願2015-182853号(以下「原出願」という。)の一部を平成30年11月21日に新たな特許出願としたものである。
しかしながら、本件発明1?8を特定するための事項である「粘着剤層の50μm換算透湿度が、1500g/m^(2)/24h以下であ」ること及び「該粘着剤層の50μm換算透湿度が、該光学機能フィルムの50μm換算透湿度以下である」ことは、先の出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には記載されていないため、優先権主張の効果は認められないから、本件発明1?8の進歩性の判断の基準日は、原出願の現実の出願日である平成27年9月16日である。

2 本件発明1
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。

ア 光学機能フィルム、粘着剤層、偏光膜、保護フィルム、偏光板
引用発明は、「吸収性偏光フィルムの一方の面のうえに」「反射性偏光フィルムを備え、他方の面のうえに」「透明性フィルムを備え」、「吸収性偏光フィルムと反射偏光フィルムとは粘着剤で接着される」ものである。
上記構成及び技術的にみて、引用発明の「反射性偏光フィルム」、「粘着剤」、「吸収性偏光フィルム」、「透明性フィルム」及び「光学フィルム積層体」は、それぞれ、本件発明1の「光学機能フィルム」、「粘着剤層」、「偏光膜」、「保護フィルム」及び「偏光板」に相当する。また、引用発明の「光学フィルム積層体」は、本件発明1の「偏光板」の「光学機能フィルムと、粘着剤層と、偏光膜と、保護フィルムとをこの順に備え」との要件を満たす。
(当合議体注:引用発明の「反射性偏光フィルム」が本件発明1の「光学機能フィルム」に相当することは、本件発明2において「前記光学機能フィルムが、直線偏光分離フィルム」であること、及び本件出願の明細書の【0012】に「直線偏光分離フィルムは、透過軸と反射軸とを有し、特定の偏光状態(偏光方向)の偏光を透過し、それ以外の偏光状態の光を反射し得、輝度向上フィルムとして機能し得るフィルムである。」と記載されていることからも理解できる。また、引用発明の「吸収性偏光フィルム」が本件発明1の「偏光膜」に相当することは、本件発明5において「前記偏光膜がヨウ素系偏光膜」であることからも理解できる。)

イ 光学機能フィルムの透湿度
引用発明の「反射性偏光フィルム」の「水蒸気透過率」は、「5?20g/m^(2)/day」である。
引用発明の「水蒸気透過率」は、透湿度であるといえる(当合議体注:このことは、引用文献1の【0085】の記載からも確認できる。)。また、引用発明の「反射性偏光フィルム」の「水蒸気透過率」は、200g/m^(2)/24hの範囲内である。
そうしてみると、引用発明の「反射性偏光フィルム」は、本件発明1の「光学機能フィルム」の「透湿度が、200g/m^(2)/24h以下であり」との要件を満たす。

ウ 保護フィルムの透湿度
引用発明の「保護フィルム」の「水蒸気透過率」は、「100?500g/m^(2)/day」である。
引用発明の「水蒸気透過率」は、透湿度であるといえることは上記イで示したとおりである。また、引用発明の「保護フィルム」の「水蒸気透過率」は、1000g/m^(2)/24hの範囲内である。
そうしてみると、引用発明の「反射性偏光フィルム」は、本件発明1の「保護フィルム」の「透湿度が、1000g/m^(2)/24h以下であり」との要件を満たす。

(2)一致点及び相違点
以上より、本件発明1と引用発明とは、
「 光学機能フィルムと、粘着剤層と、偏光膜と、保護フィルムとをこの順に備え、
該光学機能フィルムの透湿度が、200g/m^(2)/24h以下であり、
該保護フィルムの透湿度が、1000g/m^(2)/24h以下である、
偏光板。」の点で一致し、以下の点で相違する、又は一応相違する。

(相違点1)
「偏光膜」が、本件発明1は、「厚みが、15μm以下であ」るのに対して、引用発明は、「厚みは1?80μmであ」る点。

(相違点2)
「粘着剤層」が、本件発明1は、「厚みが、15μm以下であり」、「50μm換算透湿度が、1500g/m^(2)/24h以下であ」るのに対して、引用発明は、厚み及び透湿度が明らかでない点。

(相違点3)
「偏光板」が、本件発明1は、「該粘着剤層の50μm換算透湿度が、該光学機能フィルムの50μm換算透湿度以下である」のに対して、引用発明は、「粘着剤」及び「反射性偏光フィルム」の換算透湿度の関係が特定されていない点。

(相違点4)
「偏光板」が、本件発明1は、「該粘着剤層が該偏光膜上に直接積層され」たものであるのに対して、引用発明は、一応、これが明らかではない点。

(3)判断
事案に鑑み、上記相違点2及び相違点3について検討する。
まず、引用文献1の【0018】には、「吸収性偏光フィルムと反射偏光フィルムとは接着剤で接着され、吸収性偏光フィルムと透明性フィルムとは接着剤で接着されるのが通常である。接着剤としては、従来公知の接着剤や粘着剤等が使用できる。その種類は、例えば、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。接着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、合成ゴム等のポリマー製材料が挙げられる。」と記載されていて、透湿度が比較的高いものから低いものまで列挙されている。また、引用文献1において、粘着剤と透湿度との関係を窺わせる記載はなく、まして、粘着剤と反射性偏光フィルムとの透湿度の大小関係について、記載も示唆もない。
さらに、引用文献1の【0018】には、上記の記載に続いて「特に、吸収性偏光フィルムとの接着性が特に良好なことから、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。」として、「反射偏光フィルム」よりも透湿度が高いものが示されている。この記載を考慮すると、引用発明において、相違点3に係る本件発明1の構成を採用することには、動機付けがないか、むしろ阻害要因があるといえなくもない。
また、当合議体の拒絶の理由に引用された引用文献2及び周知技術、並びに原査定の拒絶の理由に引用された引用文献A?Gにおいても、引用発明において相違点2及び相違点3に係る本件発明1の構成を採用することが容易であることを窺わせる記載はない。
仮に、引用発明において、引用文献1の【0018】に列挙されたうちの透湿度の低い粘着剤を用いたとしても、上述したように、引用発明において、粘着剤の透湿度を反射性偏光フィルムの透湿度よりも小さくするという動機付けはないので、粘着剤層の50μm換算透湿度が、該光学機能フィルムの50μm換算透湿度以下であるように構成することには到るとまではいえない。
したがって、当業者であっても、引用発明及び周知技術等に基づいて上記相違点2及び相違点3に係る本件発明1の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(4)小括
以上のとおりであるから、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び周知技術等に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

3 本件発明2?8について
本件発明2?8は、本件発明1の構成を全て具備するものであるから、本件発明2?8も、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び周知技術等に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

4 引用文献2を主引例とした場合
引用文献2を主引例とした場合も、同様である。

5 まとめ
本件発明1?8は、当業者であっても、引用文献1?2に記載された発明及び周知技術等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということができない。


第7 原査定についての判断
上記第6で示したように、本件発明1?8は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献A?Gに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-14 
出願番号 特願2018-218158(P2018-218158)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉川 陽吾  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 井口 猶二
井亀 諭
発明の名称 偏光板  
代理人 籾井 孝文  
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