• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1374250
審判番号 不服2019-14767  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-05 
確定日 2021-06-01 
事件の表示 特願2018-508739「ダブルナックルタッチスクリーン制御のためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日国際公開、WO2017/028786、平成30年 9月27日国内公表、特表2018-528537、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)8月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年8月20日 米国、2016年8月12日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和30年 2月16日 :手続補正書の提出
平成30年12月14日付け:拒絶理由通知書
令和31年 2月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 7月 5日付け:拒絶査定
令和 元年11月 5日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 2年11月11日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月 9日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年7月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1?20に係る発明は、以下の引用文献A?Eに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A 米国特許出願公開第2014/0327626号明細書
B 特表2013-541776号公報
C 国際公開第2013/027292号
D 特開2011-186550号公報
E 特表2013-504103号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和2年11月11日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果が、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断する」と記載されているが、ここで、用語「プロファイル」の定義、意味が不明であり、「振動音響効果プロファイル」とは、技術的にどのような概念であるのか不明である。
また、上記記載において、「振動音響効果」が「振動音響効果プロファイルと一致することを判断する」とは、どのような意味で「一致することを判断する」ことであるのか、不明である。
そして、以上の点は、明細書の記載(例えば、段落【0031】?【0034】)を参酌しても明らかでない。
請求項6,11にも請求項1と同様の記載がある。

2 理由2(進歩性)
この出願の請求項1?15に係る発明は、以下の引用文献1?6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1 米国特許出願公開第2014/0327626号明細書(拒絶査定時の引用文献A)
2 特表2013-541776号公報(拒絶査定時の引用文献B)
3 国際公開第2013/027292号(拒絶査定時の引用文献C)
4 特開2011-186550号公報(拒絶査定時の引用文献D)
5 特表2013-504103号公報(拒絶査定時の引用文献E)
6 特開2013-73512号公報

第4 本願発明
本願請求項1?15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、令和3年2月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるものであって、本願発明1,6,11は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
デバイスを動作させるための方法であって、
前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第1ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第1ペアは、両方のタッチが相互に第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップと、
前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第2ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第2ペアは、両方のタッチが相互に前記第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップと、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が、相互に第2閾値の時間内で発生したことを検出するステップであり、前記第2閾値は前記第1閾値より長い、ステップと、
前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果プロファイルが、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断するステップと、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したことの検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップと、
を含み、
前記同時発生のタッチのペアは、ユーザの2つのナックルを使用して行われ、前記タッチスクリーン上でのタッチ間の距離の閾値ではなく、タッチ間の時間である前記第1閾値に従って、ダブルナックルによるマルチタッチであると判断され、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方は、前記ユーザの同じ前記ダブルナックルによって前記第2閾値の時間内に行われたダブルノックであると判断され、
前記デバイスは、前記タッチスクリーン上でのダブルナックルダブルノックを検出する、
方法。」
「【請求項6】
タッチスクリーンデバイスであって、
タッチスクリーンと、
インストラクションを含んでいる非一時的メモリストレージと、
前記タッチスクリーンおよび前記非一時的メモリストレージと通信する1つまたはそれ以上のプロセッサと、を含み、
前記1つまたはそれ以上のプロセッサは、
前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第1ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第1ペアは、両方のタッチが相互に第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップ、
前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第2ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第2ペアは、両方のタッチが相互に前記第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップ、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が、相互に第2閾値の時間内で発生したことを検出するステップであり、前記第2閾値は前記第1閾値より長い、ステップ、
前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果プロファイルが、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断するステップ、および、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したことの検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップ、
のための前記インストラクションを実行し、
前記同時発生のタッチのペアは、ユーザの2つのナックルを使用して行われ、前記タッチスクリーン上でのタッチ間の距離の閾値ではなく、タッチ間の時間である前記第1閾値に従って、ダブルナックルによるマルチタッチであると判断され、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方は、前記ユーザの同じ前記ダブルナックルによって前記第2閾値の時間内に行われたダブルノックであると判断され、
前記デバイスは、前記タッチスクリーン上でのダブルナックルダブルノックを検出する、
タッチスクリーンデバイス。」
「【請求項11】
デバイスにおいて動作を起動するための方法であって、
前記デバイスのタッチスクリーン上での第1タッチの振動音響効果プロファイルが、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断するステップと、
前記第1タッチが、前記デバイスのタッチスクリーン上での2つの第1同時発生タップを含んでいたことを判断するステップであり、前記2つの第1同時発生タップは、両方のタップが相互に第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップと、
前記デバイスの前記タッチスクリーン上での第2タッチの振動音響効果プロファイルが、前記プロファイルと一致することを判断するステップと、
前記第2タッチが、前記デバイスのタッチスクリーン上での2つの第2同時発生タップを含んでいたことを判断するステップであり、前記2つの第2同時発生タップは、両方のタップが相互に前記第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップと、
前記第2タッチが、前記第1タッチの後の第2閾値の時間内に発生したものと判断するステップであり、前記第2閾値は前記第1閾値より長い、ステップと、
前記第2閾値の時間内に前記第2タッチが発生したものと判断することに応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップと、
を含み、
前記同時発生のタッチのペアは、ユーザの2つのナックルを使用して行われ、前記タッチスクリーン上でのタッチ間の距離の閾値ではなく、タッチ間の時間である前記第1閾値に従って、ダブルナックルによるマルチタッチであると判断され、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方は、前記ユーザの同じ前記ダブルナックルによって前記第2閾値の時間内に行われたダブルノックであると判断され、
前記デバイスは、前記タッチスクリーン上でのダブルナックルダブルノックを検出する、
方法。」

また、本願発明2?5,7?10,12?14は、それぞれ本願発明1,6,11を減縮した発明であり、本願発明15は、本願発明1?5,11?14のいずれかに対応するプログラムの発明である。

第5 当審拒絶理由の理由1について
請求人は、令和3年2月9日に提出の意見書において、用語「プロファイル」は、「輪郭」や「側面」といった、そのものに係る特徴を意味するものである旨を述べており、このことから、請求項1,6,11の「振動音響効果プロファイル」とは、「振動音響効果」についての特徴を意味することが理解できる。
また、同日に提出の手続補正書により請求項1の記載が補正されて、「前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断する」対象が、「前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果プロファイル」であることが特定され、請求項6,11についても同様に補正されたことから、各請求項の記載は、「振動音響効果プロファイル」同士が一致することを判断するという点を特定していることが明確になったといえる。
以上のことから、当審拒絶理由の理由1は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1(米国特許出願公開第2014/0327626号明細書)
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「[0023] FIG. 1 is a block diagram of an electronic device 100 according to the present invention. The device 100 includes a touch-sensitive surface 110, for example a touch pad or touch screen. It also includes computing resources, such as processor 102, memory 104 and data storage 106 (e.g., an optical drive, a magnetic media hard drive or a solid state drive). Detection circuitry 112 provides an interface between the touch-sensitive surface 110 and the rest of the device 100. Instructions 124 (e.g., software), when executed by the processor 102, cause the device to perform certain functions. In this example, instructions 124 include a touch analysis module that analyzes the user interactions with the touch-sensitive surface 110. The instructions 124 also allow the processor 102 to control a display 120 and to perform other actions on the electronic device.」
(当審訳: [0023] 図1は、本発明に係る電子デバイス100のブロック図である。デバイス100は、タッチセンシティブ表面110、例えば、タッチパッド又はタッチスクリーンを含む。また、本発明は、コンピューティング・リソースとしては、プロセッサ102、メモリ104及びデータ記憶装置106(例えば、光学ドライブ、磁気メディア、ハードドライブ又はソリッドステートドライブ)などを含んでいる。検出回路112は、タッチセンシティブ表面110とデバイス100の残りの部分とのインターフェースを提供する。命令124(例えば、ソフトウェア)は、プロセッサ102によって実行されるとき、デバイスに何らかの機能を実行させる。この例では、命令124は、タッチセンシティブ表面110とのユーザインタラクションを分析するタッチ分析モジュールを含む。命令124はまた、プロセッサ102が、ディスプレイ120を制御し、電子デバイス上の他の動作を実行することを許可する。)

イ 「[0028] FIG. 2 is a flow diagram illustrating touch interaction using device 100. The user uses his finger(s) to interact with the touch-sensitive surface 110. For example, he may use his finger to touch an element displayed on the device, or to touch-and-drag an element, or to touch-and-drag his finger over a certain region. These interactions are meant to instruct the electronic device to perform corresponding actions. The touch-sensitive surface 110 and detection circuitry 112 detect 210 this finger touch interaction. For example, the touch-sensitive surface may be based on capacitive, optical, resistive, electric field, acoustic or other technologies that form the underlying basis for the touch interaction. Whatever the underlying principle of operation, touches on the touch-sensitive surface will result in signals. However, these raw signals typically are not directly useable in a digital computing environment. For example, the signals may be analog in nature. The detection circuitry 112 typically provides an intermediate stage to process and/or condition these signals so that they are suitable for use in a digital computing environment.

[0029] A touch analysis module (implemented by instructions 124 in this example) analyzes 220 the detected finger touch interaction as an initial step to determine the appropriate actions to take. In this example, the analysis includes determining 224 the finger touch type, in addition to other analysis that may be performed.

[0030] FIG. 3 illustrates one possible classification of finger touch types. At a first level, finger touch types may be subdivided into “uni-touch” and “multi-touch”. Uni-touch occurs when the touch interaction is defined by interaction with a single portion of a single finger, although the interaction could occur over time. Examples of uni-touch include a simple touch (e.g., a single tap), touch-and-drag, and double-touch (e.g., a double-taptwo taps in quick succession). In multi-touch, the touch interaction is defined by combinations of different fingers or finger parts. For example, a touch interaction where two fingers are simultaneously touching is a multi-touch. Another example would be when different parts of the same finger are used, either simultaneously or over time.

[0031] Finger touch types can also be classified according to which part of the finger touches. In FIG. 3, the uni-touch category is further subdivided according to the contacting finger part: finger pad, finger nail or knuckle. The finger pad is the fleshy part around the tip of the finger. It includes both the fleshy tip and the fleshy region from the tip to the first joint. The knuckle refers to any of the finger joints. The term “finger” is also meant to include the thumb. It should be understood that the finger itself is not required to be used for touching; similar touches may be produced in other ways. For example, the “finger pad” touch type is really a class of touch interactions that have similar characteristics as those produced by a finger pad touching the touch-sensitive surface, but the actual touching object may be a man-made instrument or a gloved hand or covered finger, so long as the touching characteristics are similar enough to a finger pad so as to fall within the class. The multi-touch category could also be subdivided in an analogous fashion.

[0032] Using the classification system of FIG. 3, a finger touch type of finger pad uni-touch means that the contacting part is the finger pad and the touch interaction is uni-touch rather than multi-touch. The categories shown in FIG. 3 are not exhaustive of all possible finger touch types. Nor is it the only possible classification.

[0033] In one approach, the finger touch type is determined in part by a classification of vibro-acoustic signals from the finger touch interaction. When an object strikes a certain material, vibro-acoustic waves propagate outward through the material or along the surface of the material. Typically, touch-sensitive surface 110 uses rigid materials, such as plastic or glass, which both quickly distribute and faithfully preserve the signal. As such, when respective finger parts touch or contact the surface of the touch-sensitive surface 110, vibro-acoustic responses are produced. The vibro-acoustic characteristics of the respective finger parts are unique, mirroring their unique anatomical compositions.

[0034] For example, FIG. 4 illustrates a spectrogram of three types of finger touches. As shown in FIG. 4, the finger pad, knuckle, and finger nail produce different vibro-acoustic responses.

[0035] Referring back to FIG. 1, the detection circuitry 112 may include circuitry and acoustic components to detect the vibro-acoustic signal. For example, these components may be arranged at a rear side of the touch-sensitive surface so that the vibro-acoustic signal caused by the touch interaction can be captured. The detection circuitry 112 can be triggered by the onset of the vibro-acoustic signal resulting from the touch interaction. To capture the vibro-acoustic signal, the detection circuitry 112 may include one or more impact sensors, vibration sensors, accelerometers, strain gauges, or acoustic sensors such as a condenser microphone, a piezoelectric microphone, MEMS microphone and the like. Once the vibro-acoustic signal has been captured, a vibro-acoustic classifier (mostly implemented as part of instructions 124 in FIG. 1) processes the vibro-acoustic signal to determine the finger touch type.

[0036] FIG. 5 is a block diagram of an example classifier. It includes a segmentation module 522, a conversion module 524, a feature extraction module 526, and a classification module 528. This particular example is based on vibro-acoustics, although other phenomenon can also be used. The segmentation module 522 (implemented as part of detection circuitry 112 in FIG. 1) samples the vibro-acoustic signal in the background, for example, at a sampling rate of 96 kHz using a rolling buffer of 4096 samples of the vibro-acoustic signal. When a touch event occurs, the conversion module 524 performs a Fourier transform on the sampled time-dependent vibro-acoustic signal in the buffer to produce a frequency domain representation. For example, the Fourier transform of this window may produce 2048 bands of frequency power. The vibro-acoustic classifier 520 further takes in a series of features generated by the feature extraction module 526. These features include down-sampling the time and frequency domain data into additional vectors (e.g., buckets of ten), providing a different aliasing. In addition, additional time-domain features may be calculated from the vibro-acoustic signal, such as zero crossings, standard deviation of the absolute amplitude, and the center of mass for both the segmented input signal and the Fourier transformed signal. The classification module 528 classifies the vibro-acoustic signal using these features as well as other non-acoustic features, for example the major and minor axes of touch and capacitive response to determine the finger touch type (at least with respect to which part of the finger makes contact).

[0037] In one exemplary embodiment, the classification module 528 is implemented with a support vector machine (SVM) for feature classification. The SVM is a supervised learning model with associated learning algorithms that analyze data and recognize patterns, used for classification and regression analysis. To aid classification, the user can provide supplemental training samples to the vibro-acoustic classifier.

[0038] Returning to FIG. 2, the touch analysis module 124 analyzes 220 the finger touch interaction to determine the finger touch type. Based on this analysis, the processor 102 then takes the appropriate actions 230. The appropriate action depends on the finger touch interaction (e.g., touch, touch-and-drag, etc.) but it also depends on the finger touch type. The same finger touch interaction can result in different actions by processor 102, for different finger touch types. For example, a touch by the finger pad, a touch by the finger nail and a touch by the knuckle may trigger three different actions.」
(当審訳: [0028] 図2は、デバイス100を使用するタッチインタラクションを示すフロー図である。ユーザは、自分の(複数の)指を使用して、タッチセンシティブ表面110と相互作用する。例えば、ユーザは、指を使用して、デバイスに表示された要素に触れる、又は要素をタッチ・アンド・ドラッグする、又は特定の領域の上で該ユーザの指をタッチ・アンド・ドラッグする。これらのインタラクションは、電子デバイスに、対応するアクションを実行するように指示することを意味する。タッチセンシティブ表面110と検出回路112は、この指タッチインタラクションを検出210する。例えば、タッチセンシティブ表面は、容量、光学、抵抗、電界、音響、又は他のタッチインタラクションのための基礎を形成する技術に基づくことができる。動作の基本的な原理が何であっても、タッチセンシティブ表面上のタッチは、結果として信号となる。しかしながら、これらの生の信号は、典型的に、デジタルコンピューティング環境において直接には使用可能ではない。例えば、信号は本来アナログであるかもしれない。検出回路112は、典型的に、デジタルコンピュータ環境における使用に適するように、これらの信号を処理する及び/又は調整するために中間段階を提供する。

[0029] タッチ分析モジュール(この例では命令124によって実現される)は、最初のステップとして、とるべき適切なアクションを決定するために、検出された指タッチインタラクションを分析220する。この例では、分析は、実行し得る他の分析に加え、指タッチのタイプを決定すること224を含む。

[0030] 図3は、可能な指タッチのタイプの分類を示す図である。第1のレベルでは、指タッチのタイプは“単一タッチ”と“マルチタッチ”とに細分化される。インタラクションは経時的に発生し得るが、単一タッチは、タッチインタラクションが単一の指の単一の部分とのインタラクションによって定義される場合に発生する。単一タッチの例には、シンプルタッチ(例えば、単一のタップ)、タッチアンドドラッグ、ダブルタッチ(例えば、ダブルタップ-素早く連続する2回のタップ)が含まれる。マルチタッチにおいて、タッチインタラクションは異なる複数の指又は指の複数の部分の組み合わせによって定義される。例えば、2本の指が同時にタッチする場合のタッチインタラクションは、マルチタッチである。別の例は、同じ指の異なる部分を、同時に又は経時的に使用するときのものであるだろう。

[0031] 指タッチのタイプの分類は、指のどの一部がタッチするかによって分類することもできる。図3では、単一タッチのカテゴリは更に、接触する指の部分:指の腹(finger pad)、指の爪、又は、ナックルによって細分化される。指の腹は、指先の周りの肉付きである。それは、肉付きの先端と、先端から第1関節までの肉付き領域との両方を含む。ナックルは、いずれかの指関節を意味する。“指”(finger)という用語はまた、親指(thumb)を含む意味である。指自体を、タッチのために使うことは必要とされないことを理解すべきである;すなわち、同様のタッチを、他の方法で生成することができる。例えば、“指の腹”タッチタイプは、実際には、タッチセンシティブ表面にタッチしている指の腹により生成されたものと類似の特徴を有するタッチインタラクションの類型であるが、タッチの特性がその類型範囲に入るほどに十分に指の腹に類似する限り、実際にタッチしている物体は人工の器具、又は、手袋をはめた手、又は、カバーされた指であり得る。マルチタッチのカテゴリも類似のやり方で細分化されることができる。

[0032] 図3の分類体系を用いると、指の腹単一タッチという指タッチのタイプは、タッチする部分が指の腹であり、タッチインタラクションがマルチタッチではなく単一タッチであることを意味する。図3に示すカテゴリーは、全ての可能な指タッチのタイプを網羅するものではない。また、唯一の可能な分類でもない。

[0033] 一つのアプローチでは、指タッチのタイプは、部分的には指タッチインタラクションからの振動音響信号の分類によって決定される。物体が特定の素材に衝突すると、振動音響波がその素材を通して又は素材の表面に沿って外向きに伝播する。典型的には、タッチセンシティブ表面110は、プラスチック又はガラスなどの硬質材料を使用し、それは、信号を迅速に分配しかつ忠実に保つ。このようにして、指の各部分がタッチセンシティブ表面110の表面とタッチ又はコンタクトするとき、振動音響応答が生成される。指の各部分の振動音響特性は固有であり、それらの固有の解剖学的組成物を反映している。

[0034] 例えば、図4は3種類の指タッチのスペクトログラムを示している。図4に示すように、指の腹、ナックル及び指の爪は異なる振動音響応答を生成する。

[0035] 図1に戻って参照すると、検出回路112は、振動音響信号を検出するための回路及び音響的な構成要素を含むことができる。例えば、これらの構成要素は、タッチの相互作用によって引き起こされた振動音響信号を捕捉することができるように、タッチセンシティブ表面の後ろ側に配置されてもよい。検出回路112は、タッチインタラクションから生じる振動音響信号の開始によってトリガすることができる。振動音響信号を捕捉するために、検出回路112は、1つ以上の衝撃センサ、振動センサ、加速度計、歪みゲージ、コンデンサマイクロホンや圧電マイクロフォンやMEMSマイクロフォン等の音響センサを含んでもよい。振動音響信号が捕捉されると、振動音響分類器(図1における命令124の一部として実装される)は、指タッチのタイプを決定するために、振動音響信号を処理する。

[0036] 図5は、例示的な分類器のブロック図である。それは、セグメント化モジュール522、変換モジュール524、特徴抽出モジュール526、及び分類モジュール528を含む。この特定の実施例は、振動音響に基づいているが、他の現象もまた用いることができる。セグメント化モジュール522(図1における検出回路112の一部として実装される)は、例えば振動音響信号の4096個のサンプルのローリングバッファを使用して96kHzのサンプリングレートで、バックグラウンドで振動音響信号をサンプリングする。タッチイベントが発生したとき、変換モジュール524は、周波数領域表現を生成するために、バッファ内にサンプリングされた時間依存の振動音響信号に対してフーリエ変換を行う。例えば、このウィンドウのフーリエ変換は、2048バンドの周波数電力を生成し得る。振動音響分類器520は更に、特徴抽出モジュール526によって生成された一連の特徴を取り込む。これらの特徴は、時間領域データ及び周波数領域データをダウンサンプリングする追加のベクトル(例えば10個のバケット)に、異なるエイリアシングを提供することを含む。加えて、追加の時間ドメイン特性は、振動音響信号、例えばゼロ交差、振幅の絶対値の標準偏差、及びセグメント化された入力信号及びフーリエ変換された信号の両方についての質量の中心から、算出され得る。分類モジュール528は、これらの特徴とともに、他の非音響的な特徴、例えば、タッチの長軸及び短軸、並びに、容量性応答を用いて、指タッチのタイプ(少なくとも指のどの部分がコンタクトするかに関するもの)を決定するために、振動音響信号を分類する。

[0037] 一つの例示的な実施形態では、分類モジュール528は特徴の分類のためにサポートベクターマシン(SVM)を用いて実装される。SVMは、データを分析し、パターンを認識する関連する学習アルゴリズムを用いた教師あり学習モデルであって、分類及び回帰分析に使用される。分類を補助するために、ユーザは、振動音響分類器に補足トレーニングサンプルを提供することができる。

[0038] 図2に戻ると、タッチ分析モジュール124は、指タッチのタイプを決定するために指タッチインタラクションを分析220する。この分析に基づいて、プロセッサ102は、次いで、適切なアクション230を行う。適切なアクションは、指タッチインタラクション(例えば、タッチ、タッチアンドドラッグなど)に依存するが、それは指タッチのタイプにも依存する。同じ指タッチインタラクションは、異なる指タッチのタイプのために、プロセッサ102による異なるアクションの結果となり得る。例えば、指の腹によるタッチ、指の爪によるタッチ、及びナックルによるタッチは、3つの異なるアクションのトリガとなり得る。)

ウ 図4


(2)上記(1)の記載について、次のことがいえる。
ア 「タッチ分析モジュール」が「指タッチインタラクションを分析」する([0029])こと、「タッチ分析モジュール124」が「指タッチのタイプを決定するために指タッチインタラクションを分析220」し、「この分析に基づいて、プロセッサ102は、次いで、適切なアクション230を行う」([0038])こと、といった動作は、電子デバイス100([0023])を動作させるための方法を構成している。

イ 図4において、「Knucke」は「Knuckle」の誤記と認められる。そして、段落[0034]の記載を参照すると、図4は、指の腹(Pad)、指先(Tip)、ナックル(Knuckle)、及び指の爪(Nail)の4種類の指の部分では、指タッチの振動音響応答の0Hz-1000Hzの周波数範囲のスペクトログラム([0034])が、互いに異なることを示すものである。

(3)上記(1)の記載について上記(2)アを踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「タッチスクリーンを含み、プロセッサ102によって実行される命令124が、タッチ分析モジュールを含む、電子デバイス100を動作させるための方法であって、
タッチ分析モジュールが、とるべき適切なアクションを決定するために検出された指タッチインタラクションを分析し、分析は、指タッチのタイプを決定することを含み([0029])、
指タッチのタイプの分類の第1のレベルでは、指タッチのタイプは単一タッチとマルチタッチとに細分化され、単一タッチの例には、シンプルタッチ(例えば、単一のタップ)、タッチアンドドラッグ、及びダブルタッチ(例えば、ダブルタップ、すなわち、素早く連続する2回のタップ)が含まれ、マルチタッチにおいて、タッチインタラクションは異なる複数の指又は指の複数の部分の組み合わせによって定義され、例えば、2本の指が同時にタッチする場合のタッチインタラクションはマルチタッチであり([0030])、
指タッチのタイプの分類は、指のどの部分がタッチするかによって分類することもでき、単一タッチのカテゴリは更に、接触する指の部分、すなわち指の腹(finger pad)、指の爪、又はナックルによって細分化され、指の腹は、指先の周りの肉付きであり、それは、肉付きの先端と、先端から第1関節までの肉付き領域との両方を含み、マルチタッチのカテゴリも、類似のやり方で細分化されることができ([0031])、
指タッチのタイプが、部分的には指タッチインタラクションからの振動音響信号の分類によって決定され([0033])、
振動音響信号が捕捉されると、命令124の一部として実装される振動音響分類器が、指タッチのタイプを決定するために振動音響信号を処理し([0035])、
タッチ分析モジュールが、指タッチのタイプを決定するために指タッチインタラクションを分析し、この分析に基づいてプロセッサ102が適切なアクションを行い、適切なアクションは、指タッチインタラクション(例えば、タッチ、タッチアンドドラッグなど)に依存するが、それは指タッチのタイプにも依存する([0038])、
方法。」

2 周知技術
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献2(特表2013-541776号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0055】
制御部160は402段階でタッチセンサー部141を制御してマルチタッチダブルタップ(multi-touch double tap)が入力されるのか判断する。本発明でマルチタッチダブルタップは複数の地点への同時タッチ後のタッチ解除動作が二回繰り返される動作に該当する。特に、本発明においてマルチタッチダブルタップは、上述のように、一番目のマルチタッチタップ以後、予め設定された時間以内に二番目のマルチタッチタップが入力される動作である。マルチタッチダブルタップが入力される地点は、表示画面の任意の地点である。」

(2)当審拒絶理由で引用された引用文献3(国際公開第2013/027292号)には、次の事項が記載されている。
「[0020] 具体的に、特定手段42は、ステップS2およびステップS3の繰り返しにより、第1発光素子311を、図2における左側から順次1つずつ駆動して赤外線Lを発光させる。また、第2発光素子331を、図2における上側から順次1つずつ駆動して赤外線Lを発光させる。そして、特定手段42は、各第1発光素子311と各第2発光素子331にそれぞれ対向する、第1受光素子321と第2受光素子341からの受光信号に基づいて、遮光を検出したか否かを判断する。
特定手段42および動き検出手段43は、ステップS3において、遮光を検出した場合には、一定時間内(例えば、1秒)に2本以上の指Fが2回タッチしたか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、指Fが所定時間内に2回断続的にタッチしたか否かを判定する。なお、3回以上断続的に指Fがタッチしたか否かを判断してもよい。」

(3)当審拒絶理由で引用された引用文献4(特開2011-186550号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0041】
(3)二本指ダブルタップ
図6は、二本指ダブルタップの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、二本指ダブルタップを検出した場合には、キャンバス拡大コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、キャンバス拡大コマンドが入力されると、キャンバスを拡大(例えば、200%)する。ユーザは、一本指ダブルタップと二本指ダブルタップを繰り返すことで、縮小・拡大を繰り返すことができる。」

(4)上記(2)の「一定時間内(例えば、1秒)に2本以上の指Fが2回タッチ」すること、上記(3)の「二本指ダブルタップ」は、いずれも、上記(1)の「マルチタッチダブルタップ」と同じことを意味するものと解される。
したがって、「マルチタッチダブルタップ」は、周知技術であると認められる。

第7 当審拒絶理由の理由2について
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明の「電子デバイス100」は、本願発明1の「デバイス」に含まれる。
したがって、引用発明と本願発明1とは、後述する各「ステップ」の内容に関して相違する点を除き、「デバイスを動作させるための方法」である点で共通している。

(イ)引用発明は、「タッチスクリーンを含」む「電子デバイス100」の「タッチ分析モジュール」が、「検出された指タッチインタラクションを分析し、分析は、指タッチのタイプを決定することを含」むものであり、「指タッチのタイプ」は、「単一タッチとマルチタッチとに細分化され」、「単一タッチの例には、シンプルタッチ、タッチアンドドラッグ及びダブルタッチ」が含まれ、「2本の指が同時にタッチする場合のタッチインタラクションはマルチタッチであ」るというものである。
ここで、「指タッチのタイプ」が「マルチタッチ」であると「決定する」ことは、「2本の指が同時にタッチする」ことが発生したと「決定する」ことであるといえる。
また、引用発明の「2本の指が同時にタッチする」ことが「タッチスクリーン上」で発生することが明らかである。
そして、上記「決定する」ことと、本願発明1の「同時発生のタッチの第1ペアを検出する」こととは、「同時発生のタッチのペアを検出する」ことである点で共通している。
以上の点について上記(ア)を踏まえると、本願発明1の
「前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第1ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第1ペアは、両方のタッチが相互に第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップ」
に関して、引用発明と本願発明1とは、
「前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチのペアを検出するステップ」を有する点で共通している。

(ウ)引用発明は、「2本の指が同時にタッチする場合のタッチインタラクション」である「マルチタッチ」について、「指タッチのタイプが、部分的には指タッチインタラクションからの振動音響信号の分類によって決定され」ることを含むものであり、ここで、指の腹(Pad)、指先(Tip)、ナックル(Knuckle)、及び指の爪(Nail)の4種類の指の部分では、指タッチの振動音響応答の0Hz-1000Hzの周波数範囲のスペクトログラム([0034])が、互いに異なること(上記第6の1(2)イ)を踏まえると、「振動音響信号の分類」は、「振動音響信号」の特徴、すなわちプロファイルを処理することであることが明らかである。
したがって、本願発明1の
「前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果プロファイルが、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断するステップ」
に関して、引用発明と本願発明1とは、
「前記同時発生のタッチのペアの振動音響効果プロファイルを処理するステップ」を有する点で共通している。

(エ)引用発明は、「指タッチのタイプを決定するために指タッチインタラクションを分析し、この分析に基づいてプロセッサ102が適切なアクションを行」うものであり、ここで、「指タッチインタラクションを分析」して「指タッチのタイプを決定する」ことと、本願発明1の「同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したことの検出」とは、「特定の種類のタッチが発生したことの検出」である点で共通している。
また、「分析に基づいてプロセッサ102が適切なアクションを行」うことは、本願発明1の「検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始する」ことに相当する。
以上のことから、本願発明1の
「同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したことの検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップ」
に関して、引用発明と本願発明1とは、
「特定の種類のタッチが発生したことの検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップ」である点で共通している。

(オ)引用発明は、「指タッチのタイプの分類の第1のレベルでは、指タッチのタイプは単一タッチとマルチタッチとに細分化され」、「例えば、2本の指が同時にタッチする場合のタッチインタラクションはマルチタッチ」であるとされる一方、「指タッチのタイプの分類は、指のどの部分がタッチするかによって分類することもでき、単一タッチのカテゴリは更に、接触する指の部分、すなわち指の腹(finger pad)、指の爪、又はナックルによって細分化され」、「マルチタッチのカテゴリも、類似のやり方で細分化されることができ」るものである。
したがって、引用発明は、「2本の指が同時にタッチする場合」の「マルチタッチ」が、「ナックル」によって行われる場合を含むものであり、この点は、本願発明1の「前記同時発生のタッチのペアは、ユーザの2つのナックルを使用して行われ」ることに相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「デバイスを動作させるための方法であって、
前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチのペアを検出するステップと、
前記同時発生のタッチのペアの振動音響効果プロファイルを処理するステップと、
特定の種類のタッチが発生したことの検出に応答して、前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始するステップと、
を含み、
前記同時発生のタッチのペアは、ユーザの2つのナックルを使用して行われる、
方法。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「同時発生のタッチ」の「ペアを検出するステップ」について、当該「ペア」は、「両方のタッチが相互に第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている」ものであるのに対し、引用発明は、「2本の指が同時にタッチする」との「指タッチのタイプを決定する」ことを何によって行うかについて具体的に特定されるものではない点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第1ペアを検出するステップ」に加えて、「前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第2ペアを検出するステップであり、同時発生のタッチの前記第2ペアは、両方のタッチが相互に前記第1閾値の時間内で発生したものと検出されたことによって、同時であると判断されている、ステップと」、「同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が、相互に第2閾値の時間内で発生したことを検出するステップであり、前記第2閾値は前記第1閾値より長い、ステップと」を含むのに対し、引用発明は、単に「2本の指が同時にタッチする」との「指タッチのタイプを決定する」ものである点。

(相違点3)
「前記同時発生のタッチのペアの振動音響効果プロファイルを処理する」ことの具体的な内容が、本願発明1では、「前記同時発生のタッチのペアのうち少なくとも一つの振動音響効果プロファイルが、前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断する」というものであるのに対し、引用発明では、「2本の指が同時にタッチする場合」に「指タッチのタイプが、部分的には指タッチインタラクションからの振動音響信号の分類によって決定され」ることに関して、「2本の指が同時にタッチする」際の「振動音響信号」のプロファイルの処理対象が、それらのうちの「少なくとも一つ」であるとの特定はなく、処理の内容が「前記デバイスにおいて保管されている複数の振動音響効果プロファイルの中の振動音響効果プロファイルと一致することを判断する」ものであるとの特定もない点。

(相違点4)
「前記デバイスにおいて事前に指定された動作を開始する」ことが、本願発明1では、「同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したことの検出に応答して」行われるのに対し、引用発明では、「指タッチインタラクションを分析し、この分析に基づいて」行われる点。

(相違点5)
本願発明1は、
「前記タッチスクリーン上でのタッチ間の距離の閾値ではなく、タッチ間の時間である前記第1閾値に従って、ダブルナックルによるマルチタッチであると判断され、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方は、前記ユーザの同じ前記ダブルナックルによって前記第2閾値の時間内に行われたダブルノックであると判断され、
前記デバイスは、前記タッチスクリーン上でのダブルナックルダブルノックを検出する」
との発明特定事項を含むのに対し、引用発明は、そのような事項を含むものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「ダブルナックルダブルノック」を含む相違点5、及びこの検出に関連する相違点2,4について、まとめて検討する。
上記第6の2(4)のとおり、「マルチタッチダブルタップ」は周知技術であると認められるものの、指の関節による「ダブルナックルダブルノック」とは異なり、「ダブルナックルダブルノック」については、引用文献1?6のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められない。
また、上記のとおり、引用文献1?6には「ダブルナックルダブルノック」について記載されていないのであるから、「ダブルナックルダブルノック」を検出する際に、相違点2,4に係る、「前記デバイスのタッチスクリーン上で同時発生のタッチの第2ペアを検出する」ときに「同時発生のタッチの前記第2ペアは、両方のタッチが相互に前記第1閾値の時間内で発生したものと検出」すること、及び「同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方が前記第2閾値の時間内で発生したこと」を検出することも、引用文献1?6には記載されていない。加えて、「ダブルナックルダブルノック」を検出する際に、上記各検出を行うことが周知技術であるともいえない。
そして、引用発明は、「単一タッチの例」に「ダブルタッチ」が含まれ、「単一タッチのカテゴリ」は、「ナックルによって細分化され」得るものであるが、上記周知技術を考慮しても、引用発明の「指タッチのタイプ」を「ダブルナックルダブルノック」とすること、及び、この「ダブルナックルダブルノック」を検出する際に本願発明1に係る上記各検出を行うことが、当業者にとって容易に想到し得た、ということはできない。
よって、相違点1,3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?15について
また、本願発明6,11は、いずれも本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。
本願発明2?5,7?10,12?14は、それぞれ本願発明1,6,11を減縮した発明であり、本願発明15は、本願発明1?5,11?14のいずれかに対応するプログラムの発明である。
そうすると、本願発明2?15も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。

第8 原査定についての判断
令和3年2月9日付けの補正により、補正後の請求項1?15は、相違点5に係る
「前記タッチスクリーン上でのタッチ間の距離の閾値ではなく、タッチ間の時間である前記第1閾値に従って、ダブルナックルによるマルチタッチであると判断され、
同時発生のタッチの前記第1ペアと同時発生のタッチの前記第2ペアの両方は、前記ユーザの同じ前記ダブルナックルによって前記第2閾値の時間内に行われたダブルノックであると判断され、
前記デバイスは、前記タッチスクリーン上でのダブルナックルダブルノックを検出する」
との技術的事項を含むものとなった。当該技術的事項における「ダブルナックルダブルノック」、及び、これに関連する相違点2,4に係る各検出を行うことは、上記第6及び7で検討したように、原査定における引用文献A?E(引用文献1?5)には記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1?15は、当業者であっても、原査定における引用文献A?Eに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-11 
出願番号 特願2018-508739(P2018-508739)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 滝谷 亮一  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 小田 浩
富澤 哲生
発明の名称 ダブルナックルタッチスクリーン制御のためのシステムおよび方法  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ